インクジェット記録装置
【課題】マルチドロップ方式でインクジェットヘッドの駆動を行う場合の記録品質を向上する。
【解決手段】制御部22は、インクジェットヘッド1において、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合は、そのインクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための通常波形とは異なる駆動波形を用いて吐出駆動を行うようにヘッド駆動部21を制御する。
【解決手段】制御部22は、インクジェットヘッド1において、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合は、そのインクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための通常波形とは異なる駆動波形を用いて吐出駆動を行うようにヘッド駆動部21を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドに設けられたインク室に圧力を付与してインク室内のインクをノズルから吐出するインクジェット記録装置において、階調表現を行うための駆動方式としてマルチドロップ方式が知られている。マルチドロップ方式は、1画素に対して吐出する同じ大きさのインクドロップの数を制御することにより階調表現を行う方式である。
【0003】
マルチドロップ方式において、ノズルからインクを吐出する際、最初の1ドロップ目は、インク室内部の圧力変動がなくメニスカスが静止した状態から吐出されることになるため、吐出速度が遅くなる。これに対して、1画素に対して複数ドロップを吐出する場合の2ドロップ目以降は、先のインクドロップの吐出後の残留振動によりインク室内部の圧力変動がありメニスカスが動いている状態から吐出されるため、1ドロップ目よりも吐出速度が速くなる。
【0004】
1画素に対して複数ドロップを吐出する場合、その1ドロップ目は、吐出速度の速い2ドロップ目以降に吸収合体され、複数ドロップ吐出の吐出速度は2ドロップ目以降の吐出速度と同程度となる。このため、1ドロップ目の吐出速度が遅いことの影響はなくなる。しかし、1画素に1ドロップだけを吐出する場合、その吐出速度が遅く、上記のような複数ドロップを吐出する場合の吐出速度との間に差が生じる。このような吐出速度の差は、着弾位置のずれを招き、記録品質が低下することがあった。
【0005】
そこで、1ドロップ目を吐出するためにインク室を吐出駆動するパルスを印加する前に、プリパルスを印加する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このプリパルスにより、インクが吐出しない程度の小さな振動をインク室内のインクに生じさせ、1ドロップ目の吐出速度を向上させる。これにより、1画素に1ドロップだけを吐出する場合と、複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−22073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、プリパルスを印加することによっては、1ドロップ目の吐出速度を十分に向上することができず、上述のような着弾位置のずれによる記録品質の低下を改善する効果が十分でなかった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、マルチドロップ方式でインクジェットヘッドの駆動を行う場合の記録品質を向上することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット記録装置の第1の特徴は、インク室と、前記インク室に連通してインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を変化させる可変手段と、画像データに基づいて各画素に応じた数のインクドロップを前記ノズルから吐出させるよう制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ノズルから1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、インクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための駆動波形である通常波形とは異なる駆動波形を用いて前記可変手段を制御することにある。
【0010】
本発明に係るインクジェット記録装置の第2の特徴は、前記通常波形は、前記インク室を元の容積から拡張させるための拡張パルスを印加し、所定の休止時間の後、前記インク室を元の容積より収縮させるための収縮パルスを印加する波形であり、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、前記拡張パルスに連続して前記収縮パルスを印加する波形であることにある。
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置の第3の特徴は、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における前記収縮パルスのパルス長が前記拡張パルスのパルス長の略2倍であることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインクジェット記録装置の第1の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、そのインクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、通常波形とは異なる駆動波形を用いて吐出駆動を行うことで、1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合と複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくして、着弾位置のずれの発生を抑え、記録品質の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るインクジェット記録装置の第2の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、拡張パルスに連続して収縮パルスを印加する波形とすることで、インク室内のインクを急激に加圧し、吐出速度を向上することができる。
【0014】
本発明に係るインクジェット記録装置の第3の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における収縮パルスのパルス長を拡張パルスのパルス長の略2倍とすることで、インク室内の圧力波の振幅を弱め、不要なインクドロップが吐出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドにおいてインク供給部を備えた状態のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【図4】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】インクジェットヘッドにおけるインク吐出動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態における通常波形を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における高速吐出用波形を示す図である。
【図8】高速吐出用波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。
【図9】通常波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。
【図10】インク室内のピーク圧力とインクドロップの吐出速度とを示す図である。
【図11】インクドロップの吐出速度を測定した実験結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図、図2は、図1に示すインクジェットヘッドにおいてインク供給部を備えた状態のA−A線に沿った断面図、図3は、図1におけるB−B線に沿った断面図である。図1に示すインクジェットヘッドは、シェアモード型のインクジェットヘッドである。
【0018】
なお、本実施の形態において、後述のインク室に関する構成は全インク室で共通であるので、個々のインク室を示す符号のアルファベット等の添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0019】
図1〜図3に示すように、インクジェットヘッド1には、セラミック等からなる基板2とカバープレート3との間に、2つの圧電部材4a,4bからなる複数の隔壁4が配置されている。圧電部材4a,4bは、例えば、PZT(PbZrO3−PbTiO3)等の公知の圧電材料からなり、図3中の矢印で示すように互いに異なる方向に分極している。
【0020】
基板2、カバープレート3、および隔壁4の先端には、ノズルプレート5が固定されている。これにより、基板2、カバープレート3、隔壁4、およびノズルプレート5に囲まれた複数のインク室6が並列して形成される。ノズルプレート5には、複数のノズル7が設けられており、インク室6の一端側はノズル7に連通されている。インク室6の他端側は、全インク室6に連通するインク流入口8、インク供給口9を経て、インクチューブ10によってインクタンク(図示せず)に接続されている。このインク流入口8、インク供給口9、およびインクチューブ10によりインク供給部が構成される。
【0021】
インク室6の側面を構成する隔壁4および底面を構成する基板2の表面には、電極(可変手段)11が密着形成されている。インク室6内の電極11は、圧電部材4aの後部側表面まで延びている。各電極11には、この後部側表面において異方導電性フィルム(図示せず)を介してフレキシブルケーブル12が接続されており、このフレキシブルケーブル12を介して電極11に駆動電圧が印加されるようになっている。
【0022】
電極11は、駆動電圧が印加されると、隔壁4をせん断変形させることによりインク室6の容積およびインク室6内の圧力を変化させる。これにより、ノズル7からインク室6内のインクが吐出される。
【0023】
図4は、本実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド1を駆動させるヘッド駆動部21と、制御部22と、駆動波形格納部23とを備える。
【0024】
ヘッド駆動部21は、フレキシブルケーブル12を介してインクジェットヘッド1の電極11に駆動電圧を印加することにより、隔壁4を変形させてインク室6の容積およびインク室6内の圧力を変化させ、ノズル7からインクを吐出させる吐出駆動を行う。
【0025】
制御部22は、画像処理部(図示せず)等から入力される画像データに基づいて、ヘッド駆動部21によるインクジェットヘッド1の駆動を制御する。画像データは、各画素に対して吐出するインクドロップ数を示すデータである。制御部22は、この画像データに基づく数のインクドロップをノズル7から吐出させるようヘッド駆動部21を制御することで、マルチドロップ方式の駆動制御を行う。
【0026】
駆動波形格納部23は、インクジェットヘッド1を駆動させるための電圧の波形データを格納するものであり、後述する通常波形および高速吐出用波形の波形データを格納している。
【0027】
次に、インク吐出の動作について説明する。
【0028】
図5に示すように、圧電部材4a,4bからなる隔壁4A〜4Dで隔てられた3つのインク室6A〜6Cのうちのインク室6Bからインクを吐出させる場合について説明する。図6は、インク室6Bの電極11Bに印加される電圧の波形図であり、本実施の形態における通常波形を示す。
【0029】
図5(a)に示す定常状態から、図6における時刻t1において、インク室6A,6Cの電極11A,11Cを接地するとともに、インク室6Bの電極11Bに負電圧−VAのパルスである拡張パルスP1を印加すると、隔壁4B,4Cを構成する圧電部材4a,4bの分極方向に垂直な方向の電界が生じる。これにより、圧電部材4a,4bの接合面にズリ変形が生じ、図5(b)に示すように、隔壁4B,4Cは互いに離反する方向に変形し、インク室6Bの容積が拡張する。この結果、インク室6B内のインクに負圧が生じて、インク流入口8からインク室6Bにインクが流れ込む。
【0030】
拡張パルスP1のパルス長は時刻t1から時刻t2までの1ALである。AL(Acoustic Length)は、容積が拡張したインク室6にインクが流入することによる圧力波が、インク室6の全域を伝播してノズル7に達するまでの時間であり、インクジェットヘッド1の構造や、インクの密度等に依存して決まるものである。
【0031】
図5(b)の状態から、図6における時刻t2において、インク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位に戻すと、隔壁4B,4Cは、図5(a)に示した中立位置に戻る。これにより、インク室6B内のインクが急激に加圧され、対応するノズル7からインクが吐出される。
【0032】
インク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位に戻してから1ALの休止時間が経過すると、インク室6Bの電極11Bに正電圧VAのパルスである収縮パルスP2を印加する。収縮パルスP2のパルス長は、時刻t3から時刻t4までの1ALである。この収縮パルスP2の印加により、図5(c)に示すように、隔壁4B,4Cは互いに接近する方向に変形し、インク室6Bの容積が収縮する。
【0033】
インクは時刻t2の直後にインク室6B内の圧力がピークを迎えることで吐出される。圧力がピークを迎えた後、インク室6B内には負圧が生じる。収縮パルスP2を印加してインク室6B内の容積を収縮させて加圧力を発生させることで、インク吐出後のインク室6B内の負圧が抑えられ、インク室6B内におけるインクの残留振動が減衰される。これにより、次回の吐出動作を安定して行うことができる。
【0034】
収縮パルスP2の印加後、時刻t4から時刻t5の間においてインク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位とし、図5(a)の状態に戻す。
【0035】
本実施の形態では、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合に、各インクドロップを吐出するために図6の通常波形が用いられる。この場合、制御部22は、図6の通常波形の波形データを駆動波形格納部23から読み出し、この通常波形に基づいてヘッド駆動部21により電極11を駆動させて、上述のような吐出動作をインクドロップ数分だけ繰り返し行わせる。
【0036】
これに対し、1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合、図6の通常波形とは異なる高速吐出用波形が用いられる。この高速吐出用波形の一例を図7に示す。
【0037】
この高速吐出用波形を用いる場合、図5(a)に示す定常状態から、図7における時刻t6において、インク室6A,6Cの電極11A,11Cを接地するとともに、インク室6Bの電極11Bに負電圧−VAの拡張パルスP3を印加すると、図5(b)のようにインク室6Bの容積が拡張し、インク室6Bにインクが流れ込む。
【0038】
図5(b)の状態から、図7における時刻t7において、拡張パルスP3に連続して正電圧VAの収縮パルスP4をインク室6Bの電極11Bに印加すると、図5(c)に示すように、インク室6Bの容積が収縮する。このように、図5(b)の状態から図5(c)の状態に移行することで、インク室6B内のインクが急激に加圧され、対応するノズル7からインクが吐出される。
【0039】
収縮パルスP4の印加後、時刻t8から時刻t9の間においてインク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位とし、図5(a)の状態に戻す。
【0040】
1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合に、制御部22は、図7の高速吐出用波形の波形データを駆動波形格納部23から読み出し、この高速吐出用波形に基づいてヘッド駆動部21により電極11を駆動させて、上述のような吐出動作を行わせる。
【0041】
図7の高速吐出用波形では、図6の通常波形のような拡張パルスP1と収縮パルスP2との間の休止時間(時刻t2〜t3)を省略し、拡張パルスP3に連続して収縮パルスP4を電極11に印加することで、駆動電圧VAが同じでも、通常波形よりも吐出タイミングでのインク室6内の圧力を高め、インクドロップの吐出速度を向上することができる。
【0042】
図8は、高速吐出用波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室6内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図、図9は、通常波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室6内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。図8、図9において、AL=2.4μsである。図9では、通常波形の拡張パルスP1の前にプリパルスP5を印加した場合の実験結果を示している。
【0043】
また、図10は、図8および図9に示した実験におけるインク室6内のピーク圧力と、インクドロップの吐出速度とを示す図である。図11は、図8の実験におけるインクドロップの吐出速度と、図9の実験と同様の通常波形を用いて、1ドロップ目の前にはプリパルスを印加して7ドロップを連続して吐出したときの各インクドロップの吐出速度とを測定した実験結果の一例を示す図である。なお、図11における通常波形を用いた場合の2ドロップ目以降の吐出速度の平均は7.51m/sである。
【0044】
図10、図11に示すように、通常波形を用いた場合では、プリパルスP5を印加しても、1ドロップ目の吐出速度は遅い。
【0045】
前述のように、1画素に対して複数ドロップを吐出する場合、吐出速度の遅い1ドロップ目は2ドロップ目以降に吸収合体されるため、この実験の場合、複数ドロップ吐出の吐出速度は、上述の2ドロップ目以降の平均速度の7.51m/sと同程度となる。一方、通常波形を用いて1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の吐出速度は、図10に示すように4.42m/sであり、複数ドロップ吐出の吐出速度とは大きな差がある。このような吐出速度の差は、着弾位置のずれによる記録品質の低下を招く。
【0046】
これに対して、高速吐出用波形を用いて1ドロップのみを吐出したときの吐出速度は、通常波形を用いた場合の1ドロップ目の吐出速度より速く、図10、図11に示すように7.81m/sである。これは、通常波形を用いた複数ドロップ吐出の吐出速度と同程度となっている。
【0047】
なお、高速吐出用波形においては、図7および図8のように、収縮パルスP4のパルス長が、拡張パルスP3のパルス長の2倍の2ALであることが好ましい。図8に示すように、電極11に対してパルス長2ALの収縮パルスP4の印加後に電圧を接地電位(0V)に戻すことでインク室6内の圧力波の振幅が弱められ、不要なインクドロップが吐出されることを防止できる。収縮パルスP4の電圧VAから電圧を接地電位に戻すタイミングによっては、1ドロップの吐出後に圧力が再度高まって不要なインクドロップが吐出されるおそれがあるが、収縮パルスP4のパルス長を2ALとすれば、上述のように、不要なインクドロップの吐出を回避できる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態では、マルチドロップ方式の駆動において、1画素に対して1ドロップのみ吐出するときは、通常波形とは異なる高速吐出用波形を用いて電極11を駆動することで、インクドロップの吐出速度を向上する。これにより、1画素に1ドロップだけを吐出する場合と、複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくして、着弾位置のずれの発生を抑え、記録品質の低下を抑制することができる。
【0049】
なお、高速吐出用波形は、図7に示した波形に限らず、通常波形を用いた場合よりもインク室6内の圧力変化を大きくしてインクドロップの吐出速度を向上するものであればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 インクジェットヘッド
4 隔壁
6 インク室
7 ノズル
11 電極
21 ヘッド駆動部
22 制御部
23 駆動波形格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドに設けられたインク室に圧力を付与してインク室内のインクをノズルから吐出するインクジェット記録装置において、階調表現を行うための駆動方式としてマルチドロップ方式が知られている。マルチドロップ方式は、1画素に対して吐出する同じ大きさのインクドロップの数を制御することにより階調表現を行う方式である。
【0003】
マルチドロップ方式において、ノズルからインクを吐出する際、最初の1ドロップ目は、インク室内部の圧力変動がなくメニスカスが静止した状態から吐出されることになるため、吐出速度が遅くなる。これに対して、1画素に対して複数ドロップを吐出する場合の2ドロップ目以降は、先のインクドロップの吐出後の残留振動によりインク室内部の圧力変動がありメニスカスが動いている状態から吐出されるため、1ドロップ目よりも吐出速度が速くなる。
【0004】
1画素に対して複数ドロップを吐出する場合、その1ドロップ目は、吐出速度の速い2ドロップ目以降に吸収合体され、複数ドロップ吐出の吐出速度は2ドロップ目以降の吐出速度と同程度となる。このため、1ドロップ目の吐出速度が遅いことの影響はなくなる。しかし、1画素に1ドロップだけを吐出する場合、その吐出速度が遅く、上記のような複数ドロップを吐出する場合の吐出速度との間に差が生じる。このような吐出速度の差は、着弾位置のずれを招き、記録品質が低下することがあった。
【0005】
そこで、1ドロップ目を吐出するためにインク室を吐出駆動するパルスを印加する前に、プリパルスを印加する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このプリパルスにより、インクが吐出しない程度の小さな振動をインク室内のインクに生じさせ、1ドロップ目の吐出速度を向上させる。これにより、1画素に1ドロップだけを吐出する場合と、複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−22073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、プリパルスを印加することによっては、1ドロップ目の吐出速度を十分に向上することができず、上述のような着弾位置のずれによる記録品質の低下を改善する効果が十分でなかった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、マルチドロップ方式でインクジェットヘッドの駆動を行う場合の記録品質を向上することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット記録装置の第1の特徴は、インク室と、前記インク室に連通してインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を変化させる可変手段と、画像データに基づいて各画素に応じた数のインクドロップを前記ノズルから吐出させるよう制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ノズルから1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、インクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための駆動波形である通常波形とは異なる駆動波形を用いて前記可変手段を制御することにある。
【0010】
本発明に係るインクジェット記録装置の第2の特徴は、前記通常波形は、前記インク室を元の容積から拡張させるための拡張パルスを印加し、所定の休止時間の後、前記インク室を元の容積より収縮させるための収縮パルスを印加する波形であり、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、前記拡張パルスに連続して前記収縮パルスを印加する波形であることにある。
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置の第3の特徴は、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における前記収縮パルスのパルス長が前記拡張パルスのパルス長の略2倍であることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインクジェット記録装置の第1の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、そのインクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、通常波形とは異なる駆動波形を用いて吐出駆動を行うことで、1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合と複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくして、着弾位置のずれの発生を抑え、記録品質の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るインクジェット記録装置の第2の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、拡張パルスに連続して収縮パルスを印加する波形とすることで、インク室内のインクを急激に加圧し、吐出速度を向上することができる。
【0014】
本発明に係るインクジェット記録装置の第3の特徴によれば、1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における収縮パルスのパルス長を拡張パルスのパルス長の略2倍とすることで、インク室内の圧力波の振幅を弱め、不要なインクドロップが吐出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドにおいてインク供給部を備えた状態のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【図4】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】インクジェットヘッドにおけるインク吐出動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態における通常波形を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における高速吐出用波形を示す図である。
【図8】高速吐出用波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。
【図9】通常波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。
【図10】インク室内のピーク圧力とインクドロップの吐出速度とを示す図である。
【図11】インクドロップの吐出速度を測定した実験結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図、図2は、図1に示すインクジェットヘッドにおいてインク供給部を備えた状態のA−A線に沿った断面図、図3は、図1におけるB−B線に沿った断面図である。図1に示すインクジェットヘッドは、シェアモード型のインクジェットヘッドである。
【0018】
なお、本実施の形態において、後述のインク室に関する構成は全インク室で共通であるので、個々のインク室を示す符号のアルファベット等の添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0019】
図1〜図3に示すように、インクジェットヘッド1には、セラミック等からなる基板2とカバープレート3との間に、2つの圧電部材4a,4bからなる複数の隔壁4が配置されている。圧電部材4a,4bは、例えば、PZT(PbZrO3−PbTiO3)等の公知の圧電材料からなり、図3中の矢印で示すように互いに異なる方向に分極している。
【0020】
基板2、カバープレート3、および隔壁4の先端には、ノズルプレート5が固定されている。これにより、基板2、カバープレート3、隔壁4、およびノズルプレート5に囲まれた複数のインク室6が並列して形成される。ノズルプレート5には、複数のノズル7が設けられており、インク室6の一端側はノズル7に連通されている。インク室6の他端側は、全インク室6に連通するインク流入口8、インク供給口9を経て、インクチューブ10によってインクタンク(図示せず)に接続されている。このインク流入口8、インク供給口9、およびインクチューブ10によりインク供給部が構成される。
【0021】
インク室6の側面を構成する隔壁4および底面を構成する基板2の表面には、電極(可変手段)11が密着形成されている。インク室6内の電極11は、圧電部材4aの後部側表面まで延びている。各電極11には、この後部側表面において異方導電性フィルム(図示せず)を介してフレキシブルケーブル12が接続されており、このフレキシブルケーブル12を介して電極11に駆動電圧が印加されるようになっている。
【0022】
電極11は、駆動電圧が印加されると、隔壁4をせん断変形させることによりインク室6の容積およびインク室6内の圧力を変化させる。これにより、ノズル7からインク室6内のインクが吐出される。
【0023】
図4は、本実施の形態に係るインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド1を駆動させるヘッド駆動部21と、制御部22と、駆動波形格納部23とを備える。
【0024】
ヘッド駆動部21は、フレキシブルケーブル12を介してインクジェットヘッド1の電極11に駆動電圧を印加することにより、隔壁4を変形させてインク室6の容積およびインク室6内の圧力を変化させ、ノズル7からインクを吐出させる吐出駆動を行う。
【0025】
制御部22は、画像処理部(図示せず)等から入力される画像データに基づいて、ヘッド駆動部21によるインクジェットヘッド1の駆動を制御する。画像データは、各画素に対して吐出するインクドロップ数を示すデータである。制御部22は、この画像データに基づく数のインクドロップをノズル7から吐出させるようヘッド駆動部21を制御することで、マルチドロップ方式の駆動制御を行う。
【0026】
駆動波形格納部23は、インクジェットヘッド1を駆動させるための電圧の波形データを格納するものであり、後述する通常波形および高速吐出用波形の波形データを格納している。
【0027】
次に、インク吐出の動作について説明する。
【0028】
図5に示すように、圧電部材4a,4bからなる隔壁4A〜4Dで隔てられた3つのインク室6A〜6Cのうちのインク室6Bからインクを吐出させる場合について説明する。図6は、インク室6Bの電極11Bに印加される電圧の波形図であり、本実施の形態における通常波形を示す。
【0029】
図5(a)に示す定常状態から、図6における時刻t1において、インク室6A,6Cの電極11A,11Cを接地するとともに、インク室6Bの電極11Bに負電圧−VAのパルスである拡張パルスP1を印加すると、隔壁4B,4Cを構成する圧電部材4a,4bの分極方向に垂直な方向の電界が生じる。これにより、圧電部材4a,4bの接合面にズリ変形が生じ、図5(b)に示すように、隔壁4B,4Cは互いに離反する方向に変形し、インク室6Bの容積が拡張する。この結果、インク室6B内のインクに負圧が生じて、インク流入口8からインク室6Bにインクが流れ込む。
【0030】
拡張パルスP1のパルス長は時刻t1から時刻t2までの1ALである。AL(Acoustic Length)は、容積が拡張したインク室6にインクが流入することによる圧力波が、インク室6の全域を伝播してノズル7に達するまでの時間であり、インクジェットヘッド1の構造や、インクの密度等に依存して決まるものである。
【0031】
図5(b)の状態から、図6における時刻t2において、インク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位に戻すと、隔壁4B,4Cは、図5(a)に示した中立位置に戻る。これにより、インク室6B内のインクが急激に加圧され、対応するノズル7からインクが吐出される。
【0032】
インク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位に戻してから1ALの休止時間が経過すると、インク室6Bの電極11Bに正電圧VAのパルスである収縮パルスP2を印加する。収縮パルスP2のパルス長は、時刻t3から時刻t4までの1ALである。この収縮パルスP2の印加により、図5(c)に示すように、隔壁4B,4Cは互いに接近する方向に変形し、インク室6Bの容積が収縮する。
【0033】
インクは時刻t2の直後にインク室6B内の圧力がピークを迎えることで吐出される。圧力がピークを迎えた後、インク室6B内には負圧が生じる。収縮パルスP2を印加してインク室6B内の容積を収縮させて加圧力を発生させることで、インク吐出後のインク室6B内の負圧が抑えられ、インク室6B内におけるインクの残留振動が減衰される。これにより、次回の吐出動作を安定して行うことができる。
【0034】
収縮パルスP2の印加後、時刻t4から時刻t5の間においてインク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位とし、図5(a)の状態に戻す。
【0035】
本実施の形態では、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合に、各インクドロップを吐出するために図6の通常波形が用いられる。この場合、制御部22は、図6の通常波形の波形データを駆動波形格納部23から読み出し、この通常波形に基づいてヘッド駆動部21により電極11を駆動させて、上述のような吐出動作をインクドロップ数分だけ繰り返し行わせる。
【0036】
これに対し、1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合、図6の通常波形とは異なる高速吐出用波形が用いられる。この高速吐出用波形の一例を図7に示す。
【0037】
この高速吐出用波形を用いる場合、図5(a)に示す定常状態から、図7における時刻t6において、インク室6A,6Cの電極11A,11Cを接地するとともに、インク室6Bの電極11Bに負電圧−VAの拡張パルスP3を印加すると、図5(b)のようにインク室6Bの容積が拡張し、インク室6Bにインクが流れ込む。
【0038】
図5(b)の状態から、図7における時刻t7において、拡張パルスP3に連続して正電圧VAの収縮パルスP4をインク室6Bの電極11Bに印加すると、図5(c)に示すように、インク室6Bの容積が収縮する。このように、図5(b)の状態から図5(c)の状態に移行することで、インク室6B内のインクが急激に加圧され、対応するノズル7からインクが吐出される。
【0039】
収縮パルスP4の印加後、時刻t8から時刻t9の間においてインク室6Bの電極11Bに印加する電圧を接地電位とし、図5(a)の状態に戻す。
【0040】
1画素に対して1ドロップだけを吐出する場合に、制御部22は、図7の高速吐出用波形の波形データを駆動波形格納部23から読み出し、この高速吐出用波形に基づいてヘッド駆動部21により電極11を駆動させて、上述のような吐出動作を行わせる。
【0041】
図7の高速吐出用波形では、図6の通常波形のような拡張パルスP1と収縮パルスP2との間の休止時間(時刻t2〜t3)を省略し、拡張パルスP3に連続して収縮パルスP4を電極11に印加することで、駆動電圧VAが同じでも、通常波形よりも吐出タイミングでのインク室6内の圧力を高め、インクドロップの吐出速度を向上することができる。
【0042】
図8は、高速吐出用波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室6内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図、図9は、通常波形を用いて1ドロップを吐出したときのインク室6内の圧力変化を測定した実験結果の一例を示す図である。図8、図9において、AL=2.4μsである。図9では、通常波形の拡張パルスP1の前にプリパルスP5を印加した場合の実験結果を示している。
【0043】
また、図10は、図8および図9に示した実験におけるインク室6内のピーク圧力と、インクドロップの吐出速度とを示す図である。図11は、図8の実験におけるインクドロップの吐出速度と、図9の実験と同様の通常波形を用いて、1ドロップ目の前にはプリパルスを印加して7ドロップを連続して吐出したときの各インクドロップの吐出速度とを測定した実験結果の一例を示す図である。なお、図11における通常波形を用いた場合の2ドロップ目以降の吐出速度の平均は7.51m/sである。
【0044】
図10、図11に示すように、通常波形を用いた場合では、プリパルスP5を印加しても、1ドロップ目の吐出速度は遅い。
【0045】
前述のように、1画素に対して複数ドロップを吐出する場合、吐出速度の遅い1ドロップ目は2ドロップ目以降に吸収合体されるため、この実験の場合、複数ドロップ吐出の吐出速度は、上述の2ドロップ目以降の平均速度の7.51m/sと同程度となる。一方、通常波形を用いて1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の吐出速度は、図10に示すように4.42m/sであり、複数ドロップ吐出の吐出速度とは大きな差がある。このような吐出速度の差は、着弾位置のずれによる記録品質の低下を招く。
【0046】
これに対して、高速吐出用波形を用いて1ドロップのみを吐出したときの吐出速度は、通常波形を用いた場合の1ドロップ目の吐出速度より速く、図10、図11に示すように7.81m/sである。これは、通常波形を用いた複数ドロップ吐出の吐出速度と同程度となっている。
【0047】
なお、高速吐出用波形においては、図7および図8のように、収縮パルスP4のパルス長が、拡張パルスP3のパルス長の2倍の2ALであることが好ましい。図8に示すように、電極11に対してパルス長2ALの収縮パルスP4の印加後に電圧を接地電位(0V)に戻すことでインク室6内の圧力波の振幅が弱められ、不要なインクドロップが吐出されることを防止できる。収縮パルスP4の電圧VAから電圧を接地電位に戻すタイミングによっては、1ドロップの吐出後に圧力が再度高まって不要なインクドロップが吐出されるおそれがあるが、収縮パルスP4のパルス長を2ALとすれば、上述のように、不要なインクドロップの吐出を回避できる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態では、マルチドロップ方式の駆動において、1画素に対して1ドロップのみ吐出するときは、通常波形とは異なる高速吐出用波形を用いて電極11を駆動することで、インクドロップの吐出速度を向上する。これにより、1画素に1ドロップだけを吐出する場合と、複数ドロップを吐出する場合との吐出速度の差を小さくして、着弾位置のずれの発生を抑え、記録品質の低下を抑制することができる。
【0049】
なお、高速吐出用波形は、図7に示した波形に限らず、通常波形を用いた場合よりもインク室6内の圧力変化を大きくしてインクドロップの吐出速度を向上するものであればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 インクジェットヘッド
4 隔壁
6 インク室
7 ノズル
11 電極
21 ヘッド駆動部
22 制御部
23 駆動波形格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク室と、
前記インク室に連通してインクを吐出するノズルと、
前記インク室の容積を変化させる可変手段と、
画像データに基づいて各画素に応じた数のインクドロップを前記ノズルから吐出させるよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記ノズルから1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、インクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための駆動波形である通常波形とは異なる駆動波形を用いて前記可変手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記通常波形は、前記インク室を元の容積から拡張させるための拡張パルスを印加し、所定の休止時間の後、前記インク室を元の容積より収縮させるための収縮パルスを印加する波形であり、
1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、前記拡張パルスに連続して前記収縮パルスを印加する波形であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における前記収縮パルスのパルス長が前記拡張パルスのパルス長の略2倍であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項1】
インク室と、
前記インク室に連通してインクを吐出するノズルと、
前記インク室の容積を変化させる可変手段と、
画像データに基づいて各画素に応じた数のインクドロップを前記ノズルから吐出させるよう制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記ノズルから1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合、インクドロップの吐出速度が、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の1ドロップ目の吐出速度よりも速くなるように、1画素に対して複数のインクドロップを吐出する場合の各インクドロップを吐出するための駆動波形である通常波形とは異なる駆動波形を用いて前記可変手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記通常波形は、前記インク室を元の容積から拡張させるための拡張パルスを印加し、所定の休止時間の後、前記インク室を元の容積より収縮させるための収縮パルスを印加する波形であり、
1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形は、前記拡張パルスに連続して前記収縮パルスを印加する波形であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
1画素に対して1ドロップだけ吐出する場合の駆動波形における前記収縮パルスのパルス長が前記拡張パルスのパルス長の略2倍であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−167626(P2011−167626A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33281(P2010−33281)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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