説明

インクジェット記録装置

【課題】一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけでインクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を行う。
【解決手段】インク供給管4の途中に設けられた一方向へ送液する単方向ポンプ7と、単方向ポンプの上流側に設けられた第1の三方向弁8Aと、下流側に設けられた第2の三方向弁8Bと、第1の三方向弁と第2の三方向弁よりも記録ヘッド側の部位との間を連通させる第1の連通路9Aと、第2の三方向弁と第1の三方向弁よりもインクタンク6側の部位との間を連通させる第2の連通路9Bとを備え、単方向ポンプを駆動させると共に第1の三方向弁及び第2の三方向弁の流路を切り替えることにより、インクタンク内のインクを第1の連通路及び第2の連通路を通過させずに記録ヘッドに向けて送液する往路と、記録ヘッド側からのインクを第1の連通路及び第2の連通路を通過させてインクタンクに向けて返送する復路のインクの送り方向を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関し、詳しくは、インクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけで行うようにしたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドのノズルから記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像を形成するインクジェット記録装置は、インクを貯留するインクタンクからポンプの駆動によってインク供給管を介して記録ヘッドに向けてインクの送液を行っている。
【0003】
記録ヘッドとインクタンクとの間のインクの送液は、画像形成時にインクタンクから記録ヘッドへ向けて所定量の送液を行う以外にも、状況によっては、記録ヘッド側からインクタンクに向けてインクを返送する必要がある場合がある。例えば、インクタンクと記録ヘッドとの間にインクを貯留する中間タンクを設け、この中間タンクからインクタンク側へ所定量のインクを逆送して中間タンク内を所定の負圧状態に維持することで、記録ヘッドに与えられる背圧を制御するインクジェット記録装置が知られており、この場合、インクタンクと記録ヘッドとの間のインクの送液は、順送と逆送の双方向に行なうことができるようにする必要がある。従って、インクの送液を行うポンプには、インクタンク側から記録ヘッドへ向けた順送と、記録ヘッド側からインクタンクへ向けた逆送とが共に可能であることが好ましい。このように単体でインクの順送と逆送とが可能なポンプには、チューブポンプやプランジャーポンプ等が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、記録ヘッドとリザーバタンクとの間に循環往路と循環復路とを形成すると共に、これら循環往路と循環復路との間に、所定圧力になった時に開くリリーフ弁を設けたバイパス路を設け、循環往路上に設けたチューブポンプによってリザーバタンクから記録ヘッドに送液し、過剰なインクを記録ヘッドから循環復路を介してリザーバタンクに返送するようにした液滴吐出装置が開示されている。ここには、チューブポンプを逆回転させることで、循環往路を逆方向に送液する点も開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、インク容器と記録ヘッドとの間のインク供給管に、三方向弁からなる弁機構を介してインク迂回路を形成し、このインク迂回路上にチューブポンプを設け、弁機構の切り替えとチューブポンプの正回転又は逆回転の切り替えを行うことにより、インク容器からの送液流路を、記録ヘッドにインクを満たす場合とインク供給管にインクを満たす場合とで別流路に切り替えるようにした液滴噴射式記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−331281号公報
【特許文献2】特開2004−284027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今やインクジェット記録装置の用途は、従来一般の画像記録用途のみならず、カラーフィルターの製造や半導体製造等の様々な産業分野に亘っており、これに伴って、使用されるインクの種類も多岐に亘っている。このため、インクジェット記録装置は様々なインクの種類に対応する必要がある。具体的には、カチオンUVインク、ラジカルUVインク等が挙げられる。このため、特に、インクと直に接触するインク供給経路には、耐インク性が求められている。
【0008】
しかし、従来のチューブポンプは、インク供給経路に可撓性の樹脂チューブを使用する関係上、複層のチューブを使用するような耐インク性が求められる用途には適さない。また、プランジャーポンプは、その特性上、送液時にインクにせん断荷重が生じるため、例えばラジカルUVインクのような高粘度インクの場合、インクがゲル化してしまう問題があり、やはり使用には適さない。
【0009】
このような問題を解消し得るポンプとしてはダイヤフラムポンプがある。ダイヤフラムポンプは他のポンプに比べて、送液膜に耐インク性に優れる高価なパーフルオロエラストマーが使用でき、送液時にインクにせん断荷重を発生させることもなく、送液量の管理も容易である利点を有している。
【0010】
しかしながら、ダイヤフラムポンプは一方向へのみ送液する単方向ポンプであるため、一方向の送液しか行えない欠点を有している。このため、インク供給管を順送と逆送の双方向に送液するためには、順送用と逆送用の2つのダイヤフラムポンプをインク供給管中に並列的に配設しなくてはならず、装置が大型化し、また、コスト的にも非常に不利なものとなってしまう。
【0011】
しかも、順送用と逆送用とで別々のポンプを駆動させることになるため、たとえ同一機種のポンプを使用したとしても、ポンプ間に僅かでもばらつきが生じていると、順送時と逆送時とで送液量に誤差が生じてしまい、送液量の管理が非常に煩雑となる問題があった。
【0012】
このような送液量の誤差は、中間タンクによって記録ヘッドの背圧を制御する場合に特に問題となる。すなわち、記録ヘッドの背圧制御は、記録ヘッドのノズル内のインクメニスカスがインク吐出に最適な位置となるように調整するものであるが、そのインクメニスカスの位置の調整には極めて微小範囲の圧力の調整が要求されるため、ポンプの駆動による送液量の僅かな誤差でもインクメニスカスのブレイク等の重大な問題を発生させてしまい、画像形成作業に支障をきたす問題がある。
【0013】
そこで、本発明の課題は、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけでインクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を行うことができるようにしたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の課題は、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけでインクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を行うことにより、記録ヘッドの背圧制御を精度良く行なうことができるようにしたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0017】
請求項1記載の発明は、インクを貯留するインクタンクと、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する記録ヘッドと、前記インクタンク内のインクをインク供給管を介して前記記録ヘッドに向けて供給するインク供給手段とを備えたインクジェット記録装置において、
前記インク供給手段は、
前記インク供給管の途中に設けられた一方向へ送液する1つの単方向ポンプと、
前記インク供給管における前記単方向ポンプの上流側に設けられた第1の三方向弁と、
前記インク供給管における前記単方向ポンプの下流側に設けられた第2の三方向弁と、
前記第1の三方向弁と前記インク供給管における前記第2の三方向弁よりも前記記録ヘッド側の部位との間を連通させる第1の連通路と、
前記第2の三方向弁と前記インク供給管における前記第1の三方向弁よりも前記インクタンク側の部位との間を連通させる第2の連通路と、
前記単方向ポンプを駆動させると共に前記第1の三方向弁及び前記第2の三方向弁の流路を切り替えることにより、前記インクタンク内のインクを前記第1の連通路及び前記第2の連通路を通過させずに前記記録ヘッドに向けて送液する往路と、前記記録ヘッド側からのインクを前記第1の連通路及び第2の連通路を通過させて前記インクタンクに向けて返送する復路とのいずれかにインクの送り方向を制御する制御手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0018】
請求項2記載の発明は、前記インク供給管における前記第1の連通路との接続部位と前記記録ヘッドとの間に、前記インクタンクから前記記録ヘッドへ向けて供給されるインクを一旦貯留する中間タンクを有し、
前記制御手段は、前記第1の三方向弁及び前記第2の三方向弁の流路を前記復路に切り替えて、前記単方向ポンプの駆動によって前記中間タンク内のインクを前記インクタンクに逆送することにより、前記中間タンクの内部の圧力を調整して前記記録ヘッドへ与える背圧を制御する背圧制御手段を構成していることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置である。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記インク供給管における前記第1の連通路との接続部位と前記第2の三方向弁との間、前記インク供給管における前記第2の連通路との接続部位と前記第1の三方向弁との間、前記第1の三方向弁と前記単方向ポンプとの間、前記第2の三方向弁と前記単方向ポンプとの間、前記第1の連通路上、又は、前記第2の連通路上のいずれかにフィルタを介設したことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置である。
【0020】
請求項4記載の発明は、前記単方向ポンプは、ダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけでインクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を行うことができるようにしたインクジェット記録装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけでインクタンクと記録ヘッドとの間のインクの双方向の送液を行うことにより、記録ヘッドの背圧制御を精度良く行なうことができるインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図
【図2】本発明に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図
【図3】(a)は本発明に係るインクジェット記録装置の順送時のインクの送液の様子を示す図、(b)は逆送時のインクの送液の様子を示す図
【図4】フィルタの配設位置の態様を示す図
【図5】フィルタの配設位置の態様を示す図
【図6】フィルタの配設位置の態様を示す図
【図7】フィルタの配設位置の態様を示す図
【図8】フィルタの配設位置の態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを貯留するインクタンクと、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する記録ヘッドと、インクタンク内のインクをインク供給管を介して記録ヘッドに向けて供給するインク供給手段とを備える。本発明におけるインク供給管は、インクタンクから記録ヘッドに向けてインクを供給可能とする配管である。
【0025】
インク供給手段は、インク供給管の途中に設けられた一方向へのみ送液する1つの単方向ポンプを備えている。単方向ポンプは、その駆動によってインクをインク供給管内の一方向のみに送液するものであり、好ましくは、耐インク性に優れる観点からダイヤフラムポンプが用いられる。
【0026】
インク供給管には、単方向ポンプの上流側(単方向ポンプの吸込み側)及び下流側(単方向ポンプの吐出側)にそれぞれ1つずつ、合計2つの三方向弁が設けられる。本発明において上流側が第1の三方向弁、下流側が第2の三方向弁であり、これらも本発明におけるインク供給手段を構成している。各三方向弁は3つの流路とつながり、そのうちの1つの流路から流入したインクの流出先を、他の2つの流路のうちのいずれかに選択的に切り替えるものである。
【0027】
インク供給管における第1の三方向弁と、第2の三方向弁が設けられた部位よりも記録ヘッド側の部位との間には、これらを連通させる第1の連通路が設けられている。これにより第1の三方向弁は、単方向ポンプにつながる流路とインクタンクにつながる流路と第1の連通路との3つの流路とつながっている。また、第2の三方向弁と、インク供給管における第1の三方向弁が設けられた部位よりもインクタンク側の部位との間には、これら連通させる第2の連通路が設けられている。これにより第2の三方向弁は、単方向ポンプにつながる流路と記録ヘッド側につながる流路と第2の連通路との3つの流路とつながっている。これら第1の連通路及び第2の連通路も本発明におけるインク供給手段を構成している。
【0028】
これら単方向ポンプの駆動及び第1、第2の各三方向弁の切り替え動作は制御手段によって制御される。この単方向ポンプの駆動及び第1、第2の各三方向弁の切り替え動作を制御する制御手段は、本発明におけるインク供給手段を構成しており、単方向ポンプを駆動させると共に第1、第2の各三方向弁の流路を選択的に切り替えることにより、インクタンク内のインクを第1の連通路及び第2の連通路を通過させずに、単方向ポンプを経由して記録ヘッドに向けて送液する往路と、記録ヘッド側からのインクを第1の連通路及び第2の連通路を通過させて、単方向ポンプを経由してインクタンクに向けて返送する復路とのいずれかにインクの送り方向を切り替えるように制御する。
【0029】
すなわち、往路によるインクの送液を行う際、制御手段は、第1の三方向弁を、インクタンクにつながる流路と単方向ポンプにつながる流路とを連通させるように切り替え、また、第2の三方向弁を、単方向ポンプにつながる流路と記録ヘッドにつながる流路とを連通させるように切り替える。これによりインクは、インクタンク内からインク供給管を通り、第1の三方向弁によって単方向ポンプに流入し、単方向ポンプの駆動によって第2の三方向弁から記録ヘッド側に向かうインク供給管に流入し、記録ヘッドに向けて送られる。このとき、インクは第1の連通路及び第2の連通路をいずれも通過しない。
【0030】
また、復路によるインクの送液を行う際、制御手段は、第1の三方向弁を、第1の連通路と単方向ポンプにつながる流路とを連通させるように切り替え、また、第2の三方向弁を、単方向ポンプにつながる流路と第2の連通路につながる流路とを連通させるように切り替える。これによりインクは、記録ヘッド側からインク供給管を通り、第1の三方向弁によって単方向ポンプに流入し、単方向ポンプの駆動によって第2の三方向弁から記録ヘッド側に向かうインク供給管に流入し、記録ヘッドに向けて送られる。
【0031】
従って、本発明によれば、一方向へ送液する1つの単方向ポンプだけで、インクタンクから記録ヘッド側に向かう往路と記録ヘッド側からインクタンクに向かう復路との双方向のインクの送液を行うことができる。ポンプは1基だけで済むため、装置が大型化することはなく、大幅なコスト増加を招くこともない。しかも、往路と復路のいずれの送液も単一のポンプを使用するので、往路と復路との間に送液量の誤差が生じるようなことはなく、送液を精度良く行なうことができる。
【0032】
特に本発明は、インク供給管における第1の連通路との接続部位、すなわち、インク供給管における第2の三方向弁よりも記録ヘッド側と第1の連通路とが接続される部位と記録ヘッドとの間に、インクタンクから記録ヘッドへ向けて供給されるインクを一旦貯留する中間タンクを有し、制御手段は、第1の三方向弁及び第2の三方向弁の流路を復路に切り替えて、一方向へ送液する単方向ポンプの駆動によって中間タンク内のインクをインクタンクに逆送することにより、中間タンクの内部の圧力を調整して記録ヘッドへ与える背圧を制御する背圧制御手段を構成するものであることが好ましい。
【0033】
このように中間タンクによって記録ヘッドの背圧を制御するようにしたインクジェット記録装置の場合でも、本発明によれば、往路と復路との間に送液量の誤差が生じるようなことがなく、送液量を精度良く管理することができるので、中間タンク内の圧力を精度良く制御でき、記録ヘッドのノズル内のインクメニスカス位置を規定位置に設定することが容易となる。
【0034】
インクジェット記録装置には、インクタンクから記録ヘッドに送液されるインク中のゴミ等を除去するため、インク供給管上にフィルタが設けられる場合がある。本発明において、このようなフィルタを設ける場合、インク供給管における第1の連通路との接続部位と第2の三方向弁との間、インク供給管における第2の連通路との接続部位と第1の三方向弁との間、第1の三方向弁と単方向ポンプとの間、第2の三方向弁と単方向ポンプとの間、第1の連通路上、又は、第2の連通路上のいずれかに介設することが好ましい。
【0035】
これによれば、フィルタに対してインクを常に一方向から通過させることができる。
【0036】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を用いて説明する。
【0037】
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図、図2は制御構成を示すブロック図である。
【0038】
このインクジェット記録装置は、複数の記録ヘッド1A〜1Fと、これら記録ヘッド1A〜1Fに対して共通にインクを供給する共通流路部材2とを有している。
【0039】
共通流路部材2は、配管部分41〜47によって構成されるインク供給管4によってインクタンク6内とつながっている。インク供給管4の途中には、インクタンク6と記録ヘッド1A〜1Fとの間でインクを一旦貯留する中間タンク3が介設されており、共通流路部材2と中間タンク3とをつなぐインク供給管4の配管部分47によって、電磁弁からなる開閉弁V1を介して、中間タンク3内のインクを共通流路部材2に供給可能としている。インクタンク6内のSP2は、インクタンク6内に設けられたインク無を検知するためのインク無検知センサである。
【0040】
中間タンク3は、インク供給管4を構成している配管部分47によって共通流路部材2と接続されており、内部に貯留されたインクの液面によって各記録ヘッド1A〜1Fに対して所定の背圧をかけている。SH1は液面基準位置センサ、SH2は液面上限センサである。中間タンク3の内部は、電磁弁からなる開閉弁V3によって開閉される大気開放管5とつながっている。また、中間タンク3内の圧力は、電磁弁からなる開閉弁V4を開放することにより、背圧空圧センサSP1によって検出されるようになっている。
【0041】
中間タンク3とインクタンク6とをつなぐインク供給管4の途中には、ダイヤフラムポンプからなる一方向へ送液する単方向ポンプ7が設けられ、インクタンク6内のインクを所定量ずつ中間タンク3内に供給可能とされている。
【0042】
このインク供給管4には、単方向ポンプ7の上流側(吸込み側)に第1の三方向弁8Aが設けられ、下流側(吐出側)に第2の三方向弁8Bが設けられている。
【0043】
また、第1の三方向弁8Aと、インク供給管4における第2の三方向弁8Bよりも中間タンク3側の部位との間に亘って、第1の連通路9Aが内部をインク流通可能に設けられ、第2の三方向弁8Bと、インク供給管4における第1の三方向弁8Aよりもインクタンク6側の部位との間に亘って、第2の連通路9Bが内部をインク流通可能に設けられている。
【0044】
図1中の符号9aは第1の連通路9Aとインク供給管4Bとの接続部位、9bは第2の連通路9Bとインク供給管4Bとの接続部位である。また、符号41は、接続部位9bとインクタンク6内との間をつなぐインク供給管4の配管部分、符号42は、接続部位9bと第1の三方向弁8Aとの間をつなぐインク供給管4の配管部分、符号43は、単方向ポンプ7と第1の三方向弁8Aとの間をつなぐインク供給管4の配管部分、符号44は、単方向ポンプ7と第2の三方向弁8Bとの間をつなぐインク供給管4の配管部分、符号45は、第2の三方向弁8Bと接続部位9aとの間をつなぐインク供給管4の配管部分、符号46は、接続部位9aと中間タンク3との間をつなぐインク供給管4の配管部分である。
【0045】
第1の三方向弁8Aと第2の三方向弁8Bは、図2に示す制御部100によって流路が選択的に切り替え制御されるようになっている。すなわち、第1の三方向弁8Aは、インク供給管4の配管部分42と配管部分43と第1の連通路9Aとつながっており、単方向ポンプ7の吸込み側の配管部分43を、インクタンク6に向かう配管部分42と第1の連通路9Aのいずれかに選択的に連通させる。また、第2の三方向弁8Bは、インク供給管4の配管部分45と配管部分44と第2の連通路9Bとつながっており、単方向ポンプ7の吐出側の配管部分44を、中間タンク3に向かう配管部分45と第2の連通路9Bのいずれかに選択的に連通させる。
【0046】
第1の三方向弁8Aと接続部位9bとの間をつなぐインク供給管4の配管部分42には、フィルタ10が設けられており、インクタンク6から中間タンク3に向けて送液される途中で、インク中のゴミ等を取り除くようになっている。
【0047】
一方、共通流路部材2にはインク排出管11が接続されている。インク排出管11は、電磁弁からなる開閉弁V2によって排出路が開閉可能とされており、その排出端は大気開放されている。
【0048】
各記録ヘッド1A〜1Fのノズル面に対向する位置には、インク受け皿12が配設されており、メンテナンス動作によって記録ヘッド1A〜1Fのノズルから強制的に排出されたインク滴を受け入れ、排出流路13を介して廃液タンク14に流入させるようになっている。この廃液タンク14内には、インク排出管11を介して共通流路部材2から流出するインクも送られる。
【0049】
なお、以上の各開閉弁V1〜V4は、図2に示す制御部100によって開閉制御されるようになっている。
【0050】
かかるインクジェット記録装置において、インクタンク6内のインクを記録ヘッド1A〜1Fに向けて送液し、中間タンク3に貯留させる往路の送液(順送)を行う場合、図3(a)に示すように、制御部100により第1の三方向弁8Aを、インクタンク6につながる配管部分42と単方向ポンプ7につながる配管部分43とを連通させるように切り替えると共に、第2の三方向弁8Bを、配管部分44と配管部分45とを連通させるように切り替える。これによりインクタンク6内のインクは、インク供給管4の配管部分41、フィルタ10、配管部分42を通り、第1の三方向弁8Aによって配管部分43に流入し、単方向ポンプ7の駆動によって第2の三方向弁8Bから配管部分45、46を通って中間タンク3内に送られる。このとき、インクは第1の連通路9A及び第2の連通路9Bを通過しない。
【0051】
一方、中間タンク3内のインク液量を調整する等のために、該中間タンク3からインクタンク6側にインクを戻す復路の送液(逆送)を行う場合、図3(b)に示すように、制御部100により第1の三方向弁8Aを、第1の連通路9Aと単方向ポンプ7につながる配管部分43とを連通させるように切り替えると共に、第2の三方向弁8Bを、単方向ポンプ7につながる配管部分44と第2の連通路9Bとを連通させるように切り替える。これにより中間タンク3内のインクは、インク供給管4の配管部分46、第1の連通路9Aを通り、第1の三方向弁8Aによって配管部分43に流入し、単方向ポンプ7の駆動によって第2の三方向弁8Bから第2の連通路9B、配管部分41を通ってインクタンク6内に送られる。このとき、インクはインク供給管4の配管部分42及び配管部分45を通過しない。
【0052】
このように、第1の三方向弁8Aと第2の三方向弁8Bの流路を切り替えるだけで、いずれも単方向ポンプ7の駆動によって、インクの送液をインクタンク6から中間タンク3への順送と中間タンク3からインクタンク6への逆送の双方向に行なうことができる。これら順送と逆送は一方向へ送液する単一の単方向ポンプ7によって行われるため、記録ヘッド1A〜1Fの背圧を制御するために中間タンク3内のインクをインクタンク6側に逆送して該中間タンク3内を所定の負圧側に微調整する必要がある場合でも、送液量の誤差なくインクの送液を行うことができ、記録ヘッド1A〜1Fの背圧制御を精度良く行なうことができる。
【0053】
しかも、インクは順送時にのみフィルタ10を通過するため、フィルタ10には常に中間タンク3側(記録ヘッド1A〜1F側)へ向かう一方向しかインクが通過しないため、記録ヘッド1A〜1Fへのゴミ等の侵入を確実に防止できる。
【0054】
このフィルタ10に対してインクを常に一方向から通過させる場合のフィルタ10の配設位置の他の態様について図4〜図8に示す。
【0055】
図4は、フィルタ10の配設位置を、インク供給管4の配管部分45とした場合を示している。この場合、インクの送液がインクタンク6から中間タンク3に向かう順送時に、インクはフィルム10を通過するが(図4(a))、インクの送液が中間タンク3からインクタンク6に向かう逆送時には、インクはフィルム10を通過しない(図4(b))。
【0056】
図5は、フィルタ10の配設位置を、第2の連通路9Bとした場合を示している。この場合、インクの送液がインクタンク6から中間タンク3に向かう順送時には、インクはフィルム10を通過しないが(図5(a))、インクの送液が中間タンク3からインクタンク6に向かう逆送時に、インクはフィルム10を通過する(図5(b))。
【0057】
図6は、フィルタ10の配設位置を、第1の三方向弁8Aと単方向ポンプ7とをつなぐインク供給管4の配管部分43とした場合を示している。この場合、インクの送液がインクタンク6から中間タンク3に向かう順送時に、インクはフィルム10を通過し(図6(a))、また、インクの送液が中間タンク3からインクタンク6に向かう逆送時にも、インクはフィルム10を通過することになる(図6(b))。しかし、フィルタ10は単方向ポンプ7の吸込み側に位置するため、順送と逆送のいずれにおいても、インクは常に一方向にしか通過しない。
【0058】
図7は、フィルタ10の配設位置を、第2の三方向弁8Bと単方向ポンプ7とをつなぐインク供給管4の配管部分44とした場合を示している。この場合も、フィルタ10は単方向ポンプ7の吐出側に位置するため、図6の場合と同様に、インクの送液がインクタンク6から中間タンク3に向かう順送時に、インクはフィルム10を通過し(図7(a))、また、インクの送液が中間タンク3からインクタンク6に向かう逆送時にも、インクはフィルム10を通過する(図7(b))。
【0059】
図8は、フィルタ10の配設位置を、第1の連通路9Aとした場合を示している。この場合、インクの送液がインクタンク6から中間タンク3に向かう順送時には、インクはフィルム10を通過しないが(図8(a))、インクの送液が中間タンク3からインクタンク6に向かう逆送時に、インクはフィルム10を通過する(図8(b))。
【符号の説明】
【0060】
1:記録ヘッド
2:共通流路部材
3:中間タンク
4:インク供給管
41〜47:配管部分
5:大気開放管
6:インクタンク
7:単方向ポンプ
8A:第1の三方向弁
8B:第2の三方向弁
9A:第1の連通路
9B:第2の連通路
10:フィルタ
11:インク排出管
12:インク受け皿
13:排出流路
14:廃液タンク
100:制御部
SH1:液面基準位置センサ
SH2:液面上限センサ
SP1:背圧空圧センサ
SP2:インク無検知センサ
V1〜V4:開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するインクタンクと、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する記録ヘッドと、前記インクタンク内のインクをインク供給管を介して前記記録ヘッドに向けて供給するインク供給手段とを備えたインクジェット記録装置において、
前記インク供給手段は、
前記インク供給管の途中に設けられた一方向へ送液する1つの単方向ポンプと、
前記インク供給管における前記単方向ポンプの上流側に設けられた第1の三方向弁と、
前記インク供給管における前記単方向ポンプの下流側に設けられた第2の三方向弁と、
前記第1の三方向弁と前記インク供給管における前記第2の三方向弁よりも前記記録ヘッド側の部位との間を連通させる第1の連通路と、
前記第2の三方向弁と前記インク供給管における前記第1の三方向弁よりも前記インクタンク側の部位との間を連通させる第2の連通路と、
前記単方向ポンプを駆動させると共に前記第1の三方向弁及び前記第2の三方向弁の流路を切り替えることにより、前記インクタンク内のインクを前記第1の連通路及び前記第2の連通路を通過させずに前記記録ヘッドに向けて送液する往路と、前記記録ヘッド側からのインクを前記第1の連通路及び第2の連通路を通過させて前記インクタンクに向けて返送する復路とのいずれかにインクの送り方向を制御する制御手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インク供給管における前記第1の連通路との接続部位と前記記録ヘッドとの間に、前記インクタンクから前記記録ヘッドへ向けて供給されるインクを一旦貯留する中間タンクを有し、
前記制御手段は、前記第1の三方向弁及び前記第2の三方向弁の流路を前記復路に切り替えて、前記単方向ポンプの駆動によって前記中間タンク内のインクを前記インクタンクに逆送することにより、前記中間タンクの内部の圧力を調整して前記記録ヘッドへ与える背圧を制御する背圧制御手段を構成していることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記インク供給管における前記第1の連通路との接続部位と前記第2の三方向弁との間、前記インク供給管における前記第2の連通路との接続部位と前記第1の三方向弁との間、前記第1の三方向弁と前記単方向ポンプとの間、前記第2の三方向弁と前記単方向ポンプとの間、前記第1の連通路上、又は、前記第2の連通路上のいずれかにフィルタを介設したことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記単方向ポンプは、ダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−846(P2012−846A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137739(P2010−137739)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】