説明

インク吐出部の回復装置、インク吐出装置、並びにインク吐出部の回復方法

【課題】長期間にわたって払拭機能を維持することができ、インク吐出部に付着したインクが多量である場合でも該インクを短時間で確実に払拭することができる、インク吐出装置のインク吐出部の回復装置及び回復方法を提供する。
【解決手段】回転体からなるインク吸収体によりインク吐出部10を払拭する払拭手段5と、インク吸収体を洗浄液19で洗浄する洗浄手段18と、インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段9とを具備し、インク吸収体の一方の位置でインク吐出部を払拭するとともに他方の位置で洗浄手段により洗浄され、インク吸収体の内部に吸引排出手段を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク吐出部の回復装置、インク吐出装置、並びにインク吐出部の回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて紙やプラスチックシートなどの記録媒体に画像を記録していくように構成されており、種々の記録方式のものが使用されている。そのうち、記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置は、記録ヘッドのコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができる。また、普通紙に特別な処理をせずに記録することができ、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも多種類のインクを使用してカラー画像を形成するのが容易であるなどの利点を有している。このようなインクジェット記録装置は、インク吐出部である記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して画像を形成するインク吐出装置であり、記録紙、プラスチックシート、布、不織布等の記録媒体に画像を形成する装置として使用されている。
【0003】
従来のインク吐出装置においては、インク吐出部から記録媒体にインクを吐出する際、記録時の余分なインクがインク吐出部の吐出口周辺部に付着し、付着インクによる汚れによってインク吐出が不安定になることがある。このようなインク吐出が不安定になる現象を防止するため、インク吐出部の吐出面(吐出口が配列される面)にスポンジ状のインク吸収部材を摺接させることにより該インク吐出部を払拭(クリーニング)する方法が採られている。しかしながら、従来技術では、何回も吐出面を払拭する場合あるいは付着インクが多量である場合には、インク吸収部材にインクが付着した状態で再び払拭するケースが発生し、逆にインク吸収部材から吐出面にインクが再付着することがある。そのため、インク吸収部材に付着したインクを除去するための考案が数多く提案されている。
【0004】
特許第3157978号公報、特開平10−305587号公報及び特開2002−33167号公報には、吐出面(吐出口形成面、ノズル面)を払拭したインク吸収体(払拭部材)をインク吐出部から離れた別の位置に設けられた洗浄手段の位置へ移動させ、この位置でインク吸収体の払拭面に付着したインクを洗浄手段により清浄化する方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献1には、ローラ状の回転体からなる払拭手段をノズル面(吐出面)に接触させて払拭し、その際に付着したインク等の汚れを別のローラに転写させることで払拭手段を清掃する方法が記載されている。また、特許文献2には、ローラ状の回転体からなる払拭手段をノズル面に接触させて払拭し、該払拭手段を洗浄液に浸漬して洗浄することにより、該払拭手段に付着したインク等の汚れを洗浄する方法が記載されている。さらに、特許文献3には、ローラ状の回転体からなる払拭手段に、吸引された廃インクを吸引排出する手段を設ける構成が記載されている。
【特許文献1】特開2002−172795号公報
【特許文献2】特開平11−334095号公報
【特許文献3】特開平10−217494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許第3157978号公報、特開平10−305587号公報及び特開2002−33167号公報に記載された方法では、インクが付着した払拭部材を一旦別の位置に移動させた後で該払拭部材を洗浄するため、1回の払拭で拭き切れない場合には、該払拭部材を記録ヘッドの位置と洗浄手段の位置との間で何回も往復させなければならず、効率が悪くなってしまう。すなわち、1回の払拭工程で吐出面を清浄化することが困難であり、払拭し切れない場合には払拭部材(吸収体)による払拭を複数回繰り返さなければならない場合があり、そのような場合に払拭工程に時間がかかるという技術的課題があった。さらに、1回目の払拭工程での拭き残りインクが乾いてしまい、かえって吐出面の全体にインク汚れを広げてしまうという技術的課題もあった。
【0007】
また、特許文献1の方法では、転写ローラによる次の転写工程でヘッドクリーニングローラ(払拭ローラ)上のインク汚れを確実に転写除去することが困難であるという課題があった。すなわち、元々インクを払拭し易く、インクを吸い込みし易く、かつインクになじみ易いローラ状部材に一旦付着したインクは他の転写ローラに転写し難い傾向にあり、インク汚れを転写除去することが容易ではないという課題があった。
【0008】
また、特許文献2の方法では、払拭用の吸収体の表面に付着したインクのみは溶解されて除去されるが、該吸収体の内部に染み込んだインクは浸漬だけでは容易に洗浄除去することはできない。そればかりか、長期間の使用中に該吸収体の内部にインクが堆積してしまい、吐出面の払拭機能(払拭量)が低下するという課題があった。
【0009】
さらに、特許文献3の方法では、同時に大量の空気も吸引してしまうことから、吸収体内部の位置にあるインクが、吸い込まれた空気の流れにより乾燥又は増粘してしまい、該インクがインク吸収体内部に固着してしまうという課題があった。そのため、ポーラス材中にインクが詰まってしまい、インク吸収機能が低下するという不都合を生じる傾向があった。
【0010】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、長期間にわたって払拭機能を維持することができ、インク吐出部に付着したインクが多量である場合でも該インクを短時間で確実に払拭することができるインク吐出部の回復装置、インク吐出装置、並びにインク吐出部の回復方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるインク吐出部の回復装置は、上記目的を達成するため、インク吸収体によりインク吐出部を払拭する払拭手段と、前記インク吸収体を洗浄液で洗浄する洗浄手段と、前記インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インク吸収体でインク吐出部を払拭した後に直ちにあるいは同時かつ連続的に該インク吸収体を洗浄することができ、該インク吸収体の表面のインク堆積を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図9は本発明によるインク吐出部の回復装置を備えたインク吐出装置の一実施形態を示す斜視図である。図9はインク吐出装置がカラーフィルタを製造するためのインクジェット記録装置である場合を例示する。図9において、インクジェット記録装置60は不図示の架台上に載置され、図9中のX方向及びY方向に移動可能なXYテーブル62と、このXYテーブル62の上方に不図示の支持部材を介して架台上に固定されたインク吐出部であるインクジェットヘッド10を備えている。XYテーブル62上には、ブラックマトリックス及び樹脂組成物層が形成された記録媒体としてのガラス基板64が載置されている。このインクジェット記録装置60は、記録媒体であるガラス基板64上にカラー画像を描画(パターニング)するためのインク吐出装置である。
【0014】
インクジェットヘッド10は、赤色インクを吐出する赤色ヘッド10aと緑色インクを吐出する緑色ヘッド10bと青色インクを吐出する青色ヘッド10cとで構成され、これらのヘッド10a、10b、10cはそれぞれ独立にインクを吐出することができる。すなわち、本実施形態におけるインクジェット記録装置60は、インク吐出部10から記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインク吐出装置を構成するものである。また、XYテーブル62の端部には、インクジェットヘッド10の回復動作を行うための回復装置100が設けられ、該回復装置100はXYテーブル62に対してZ方向(上下方向)に移動可能に配設されている。この回復装置100は、インクジェットヘッド10の吐出口の目詰まりを防止し、吐出面に付着したインク滴やゴミ等を払拭除去して正常なインク吐出状態を維持する機能を有する。
【0015】
図1は本発明によるインク吐出部10の回復装置100の第1の実施形態を示す正面図である。図2は図1中の払拭手段5に接続された吸引排出手段9の構成を示す断面図である。図1及び図2において、回復装置100は、インク吸収体5によりインク吐出装置のインク吐出部(インクジェットヘッド)10の吐出面(吐出口が配列されたノズル面)31を払拭する払拭手段であるインク吸収体5と、該インク吸収体5を洗浄液19で洗浄する洗浄手段18と、該インク吸収体5に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段9と、を備えている。
【0016】
なお、以下の各実施形態では、インク吐出部10の吐出面31が上方を向く面である場合を例に挙げて説明するが、本発明は、この吐出面31の向きには関係なく適用可能なものであり、図9に例示するインクジェット記録装置のようにインクを下方に向けて吐出する場合にも同様に適用可能なものである。ただし、吐出面が下方を向く場合であっても、洗浄手段18からインク吸収体5への洗浄液の供給は、該インク吸収体への浸透を促進するためにも、できるだけ重力を利用できるような該インク吸収体の比較的高い位置で行うことが好ましい。また、記録動作時には吐出面を下向きにしてインクを吐出し、回復操作時にはインク吐出部10の姿勢を変えて吐出面を上向きにするように構成しても良く、本発明はこのような場合にも同様に適用可能なものである。
【0017】
図3は払拭手段であるインク吸収体5の横断面図である。図4は図3中のパイプ部材2を示す斜視図であり、図5は図3中の吸収部材1を示す斜視図である。図3において、インク吸収体5は、パイプ部材2の外周面に、吐出面31に摺接することで該吐出面に付着したインクを払拭するための吸収部材1を固着した回転可能な円筒体で形成されている。
【0018】
パイプ部材2は、例えば外径8mm、長さ50mm、厚さ0.5mmのステンレス製の円筒状のパイプであり、その円筒面には外径面から内径面へ貫通する多数の吸引孔3が形成されている。この多数の吸引孔3は、後述する吸引排出手段19が作動したときに、インク吸収部材1に吸収された液体(インクや洗浄液)をパイプ部材2の内径部に吸引するためのものである。各吸引孔3は、直径が0.5mmの孔を約2mm間隔ごとに配置した多数の孔で構成されている。
【0019】
吸収部材1は、例えば外径15mm、内径7.8mm、長さ50mmの吸水性の発泡ウレタン樹脂(例えば、トーヨーポリマー(株)の登録商標:ルビーセルA)からなるインク吸収部材である。そして、パイプ部材2の外周面の吸引孔3がない領域の数箇所に少量のシリコーン系接着剤を滴下塗布し、該パイプ部材の外周面に吸収部材1を嵌め込んで接着固定することにより、図3に示すような円筒状のインク吸収体5が作製される。このインク吸収体5は、インクや洗浄液を吸収しかつ透過させる柔軟な多孔質部材で形成されている。
【0020】
図1において、本実施形態に係るインク吐出部10の回復装置100は、インクジェット記録装置のようにインク吐出部からインクを吐出して記録紙、プラスチックシート、布、不織布等の記録媒体に画像を形成するインク吐出装置において、インク吐出部10のインク吐出性能を正常な状態に維持回復するための装置である。本実施形態におけるインクジェットヘッド等のインク吐出部10は、吐出本体11の正面に、所定の配列で複数の吐出口(吐出口列)が形成された吐出面31を有するノズルプレート12を固着した構造を有する。
【0021】
図1において、回転可能な円筒体であるインク吸収体5は、その一方の面でインク吐出部10の吐出面31を払拭するとともに他方の面で洗浄手段18から供給される洗浄液19により洗浄される。本実施形態の洗浄手段18は、洗浄液19が貯留された洗浄液タンク15に供給管14を介して連結されたスプレイノズルからなる噴霧手段13を用意し、該噴霧手段13をインク吸収体5の吐出面払拭位置と反対側の位置に接近させて取り付けることにより、該インク吸収体5の吐出面払拭位置と反対側の位置に洗浄液19を供給する洗浄液供給手段18により構成されている。本実施形態の洗浄液供給手段18は、噴霧手段13を介して、吸収部材1の表面に洗浄液19をシャワー状に噴霧して供給する構成となっている。こうして、回転体からなるインク吸収体5は、その一方の位置(図示下側の位置)でインク吐出部10の吐出面31を払拭するとともに他方の位置(例えば対向位置)で洗浄手段18により洗浄されるように構成されている。
【0022】
図2に示すように、インク吸収体5の内部には吸引排出手段9が接続されている。図2において、パイプ部材2は、回転軸50に固定され、該回転軸を介して回復装置のベース部(不図示)に回転自在に軸支されている。パイプ部材2の一方(図示左側)の端面は回転軸50に固定されたフランジ部51によって密閉されており、パイプ部材2のもう一方(図示右側)の端面は回転軸50に形成されたボス部52によって密閉されている。この回転軸は、回転速度が可変のモータ53によって回転駆動される。
【0023】
前記ボス部52の外側端面の中心部に開口部54が設けられ、前記ボス部52にはパイプ部材2の内部空間と該ボス部52の開口部54とを連通する複数の通孔(吸引孔)55が形成されている。この外側中心開口部54には、回転可能なシール機能を有する継ぎ手(不図示)を介して、排出管(吸引管)6が接続されている。インク吸収体5は、可変速モータ53により、回転軸50を介して、設定した所望の回転速度で回転駆動することができる。
【0024】
前記排出管6の他端は廃液タンク8に接続されている。そして、廃液タンク8には、該廃液タンク内部に負圧を発生させるための吸引ポンプ7が接続されている。前記廃液タンク8の容量は、例えば3リットル程度に選定される。こうして、インク吸収体5の吸収部材2に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出するとともに、吸引排出されたインク及び洗浄液を回収する吸引排出手段9が構成されている。すなわち、吸引ポンプ7を作動させて廃液タンク8に負圧を発生させることにより、吸収部材2に吸収されたインク及び洗浄液は、パイプ部材2の内径部及びボス部52の通孔55を通して、排出管6により廃液タンク8内へ吸引(排出)される。
【0025】
図1において、図2で説明した吸引排出手段9をインク吸収体5に対して紙面に垂直方向に設置することにより、インク吸収体5の一方の位置(図示下側の位置)でインク吐出部10の吐出面31を払拭する払拭手段と、インク吸収体5の他方の位置(図示上側の位置)に洗浄液19を供給して該インク吸収体上のインク汚れを除去するための洗浄手段18と、インク吸収体5の内部に接続されることで該インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段9と、を備えたインク吐出部の回復装置100が構成されている。このような構成によれば、インク吸収体5でインク吐出部10を払拭した後に直ちにあるいは同時かつ連続的に該インク吸収体を洗浄することができ、該インク吸収体の表面のインク堆積を無くすことができ、吐出面31に多量のインクが付着したり、取れにくいインクが付着した場合でも、吐出面上のインクを乾燥固化させくことなく、短時間で確実に吸引除去することができる。
【0026】
次に、以上説明した構成の回復装置を備えたインクジェットプリンタ等におけるインク吐出部の回復方法について説明する。
先ず、インクジェットプリンタ等の液体描画装置としてのステージと、該ステージを移動させるための移動機構と、インク吐出部であるインクジェットヘッドを上記ステージに対して移動させるためのヘッド移動機構と、インクジェットヘッドの移動領域内で該インクジェットヘッドの吐出面に接触可能なインク吸収体5を有する回復装置100と、該ンクジェットヘッドの吐出条件を予め設定した制御プログラムにより上記ステージと該インクジェットヘッドを制御する描画制御ユニットと、上記回復装置と該インクジェットヘッドを制御する回復制御ユニットと、を備えたインク吐出装置を用意した。
【0027】
上記インク吐出装置において、予めインク供給管及び駆動配線等を取り付けたインクジェットヘッド10(キヤノン製BC−30型、ノズル数が160×2列、ノズル全ピッチ16mm、吐出面全体寸法20mm×8mm)を上記液体描画装置に設置した。
インクとして平面ディスプレイのカラーフィルタ塗布液(エチレングリコール20重量部、水70重量部、青色カラーフィルタ染料3.5重量部の混合液)を準備した。この液体の粘度をE型粘度計で測定したところ6mPa・sであった。このインクをインクジェットヘッド10に供給した。
【0028】
予め用意されていた回復吐出制御プログラムにより、インクジェットヘッド10の全吐出口(全部ノズル)から総量で約1.2mlのインクを連続的にゆっくりと吐出させ、ノズルプレート12の表面(吐出面)31の広範囲にインク濡れを生じさせた。
次いで直ちに、図1に示すように、払拭手段であるインク吸収体5をインクジェットヘッド10のノズルプレート12の表面に対し押し圧50g/cm2 で接触させて図示矢印方向に回転速度6rpmで回転させるとともに、該インクジェットヘッドを25mm/分の速度で水平方向(図示左右方向)に移動させた。
【0029】
このとき、インク吸収体5の払拭位置と対向する位置の近傍に配設された洗浄液供給手段18の洗浄液タンク15に、洗浄液として、エチレングリコール20重量部、水70重量部からなる混合溶媒を貯留しておく。そして、噴霧手段13であるスプレイノズル13から90ml/分の洗浄液19を常時インク吸収体5に供給した。このときの洗浄液19の供給は、インク吸収体5の長さ方向の全域(50mm)にわたって約5mmの幅の範囲に対して行った。こうして供給された洗浄液19によって、インク吸収体5の吸収体1に付着したインクを溶解することができる。この洗浄液供給と同時に、吸引排出手段9の吸引ポンプ7を−50mPa・sの吸引圧力で稼動させ、吸収体2に吸収されたインク及び洗浄液を図2中に矢印で示す方向に吸引排出した。このような状況でインク吸収体5によりノズルプレート12の吐出面31を1回払拭した後で該吐出面の表面を顕微鏡で観察したところ、該吐出面上に残存インクが存在しないことが確認された。
【0030】
図6は本発明によるインク吐出部10の回復装置100の第2の実施形態を示す正面図である。図6において、本実施形態では、インク吸収体5の表面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段(洗浄手段)18は、該インク吸収体の表面に供給口16を接触させて直接的に洗浄液を供給するように構成されている。また、洗浄液タンク15から供給口16に洗浄液19を送給する供給管14には、供給量を制御するための制御弁(開閉弁)17が設けられている。この供給口16は0.8mm×45mmのスリット状の供給口で形成され、該供給口は吸収部材1に接触する供給口部材の先端部に形成されている。本実施形態は、以上の点で図1及び図2で説明した第1の実施形態と相違し、その他の点では実質的に同じ構成を有している。従って、本実施形態によっても、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0031】
図6の第2の実施形態において、第1の実施形態と同様なインクジェットヘッドに同様なインクを用いて、予め用意されていた回復吐出制御プログラムにより、インクジェットヘッド10の全ての吐出口(全てのノズル)から総量で約3.6mlのインクを連続的にゆっくりと吐出させ、ノズルプレート12の表面(吐出面)31の広範囲に濡れインクを生じさせた。次いで直ちに、図6に示すように、払拭手段であるインク吸収体5をインクジェットヘッド10のノズルプレート12の表面に対し押し圧50g/cm2 で接触させて図示矢印方向に回転速度6rpmで回転させるとともに、該インクジェットヘッドを25mm/分の速度で水平方向(図示左右方向)に移動させた。
【0032】
このとき、インク吸収体5の払拭位置と対向する位置の近傍に配設された洗浄液供給手段18の洗浄液タンク15に、洗浄液として、エチレングリコール20重量部、水70重量部からなる混合溶媒を貯留しておく。そして、供給口16から200ml/分の洗浄液19を常時インク吸収体5の長さ方向50mmの全接触部位に供給した。こうして供給された洗浄液19によって、インク吸収体5の吸収体1に付着したインクを溶解することができる。この洗浄液供給と同時に、吸引排出手段9の吸引ポンプ7を−120mPa・sの吸引圧力で稼動させ、吸収体2に吸収されたインク及び洗浄液を図2中に矢印で示す方向に吸引排出した。
【0033】
このような状況でインク吸収体5によりノズルプレート12の吐出面31を1回払拭した後で該吐出面の表面を顕微鏡で観察したところ、該吐出面上に残存インクが存在しないことが確認された。以上説明した第2の実施形態のように、前述の第1の実施形態の3倍のインクを払拭する場合には、前述の第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる他に、洗浄液供給手段18として多量の洗浄液を供給する手段を用いるとともに、吸引排出手段9の吸引ポンプ7による減圧力を大きくすることにより、インク吸収体5により吐出面31上のインクを一層容易にかつ確実に払拭することができる。
【0034】
図7は本発明によるインク吐出部の回復装置の第3の実施形態を示す正面図であり、図8は図7中のインク吸収体の横断面図である。図7及び図8において、インク吸収体5の吸収部材1の外周面には、周方向等分割の16箇所に(同じ円周角ピッチの16箇所に)長さ方向全域(軸方向長さ50mm)に延びる凹凸部4が形成されている。各凹凸部4の断面先端角度は120度である。本実施形態は、このようにインク吸収体5の外周面に凹凸部4を設ける点で、前述の第1の実施形態と相違するが、その他の点では実質的に同じ構成を有する。
【0035】
本実施形態では、インクとして樹脂タイプのカラーフィルタ塗布液(エチレングリコール20重量部、水70重量部、青色カラーフィルタ染料3.5重量部、ポリビニルアルコール樹脂0.2重量部の混合液)を準備した。この液体の粘度をE型粘度計で測定したところ6.5mPa・sであった。このインクをインクジェットヘッド10に供給した。予め用意されていた回復吐出制御プログラムにより、インクジェットヘッド10の全吐出口(全部ノズル)から総量で約1.5mlのインクを連続的にゆっくりと吐出させ、ノズルプレート12の表面(吐出面)31の広範囲にわたって図7に示すようなインク濡れ20を生じさせた。次いで直ちに、図7に示すように、インク吸収体5をインクジェットヘッド10のノズルプレート12の表面に対し押し圧50g/cm2 接触させて図示矢印方向に回転速度6rpmで回転させるとともに、該インクジェットヘッドを25mm/分の速度で水平方向(図示左右方向)に移動させた。
【0036】
このとき、インク吸収体5の払拭位置と対向する位置の近傍に配設された洗浄液供給手段18の洗浄液タンク15に、洗浄液として、エチレングリコール20重量部、水70重量部からなる混合溶媒を貯留しておく。そして、噴霧手段13であるスプレイノズル13から90ml/分の洗浄液19を常時インク吸収体5に供給した。このときの洗浄液19の供給は、インク吸収体5の長さ方向の全域(50mm)にわたって約5mmの幅の範囲に対して行った。こうして供給された洗浄液19によって、インク吸収体5の吸収体1に付着したインクは溶解される。この洗浄液供給と同時に、吸引排出手段9の吸引ポンプ7を−50mPa・sの吸引圧力で稼動させ、吸収体2に吸収されたインク及び洗浄液を図2中に矢印で示す方向に吸引排出した。
【0037】
このような状況でインク吸収体5によりノズルプレート12の吐出面31を1回払拭した後で該吐出面の表面を顕微鏡で観察したところ、該吐出面上に残存インクが存在しないことが確認された。すなわち、第3の実施形態によれば、前述の第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、第3の実施形態のようにインク吸収体5の周面に多数の凹凸部4を設けることにより、第1の実施形態の場合のインクよりも払拭し難い樹脂含有インクを吐出する場合でも、インク吐出部10の吐出面31に付着したインクを容易にかつ確実に払拭できるという効果がある。
【0038】
なお、以上の実施形態では、インク吐出部の回復装置及び回復方法において、インク吸収体によりインク吐出部を払拭する払拭手段(払拭工程)と、インク吸収体を洗浄液で洗浄する洗浄手段(洗浄工程)と、インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段(吸引排出工程)とを有し、これらの手段(工程)を同時にかつ連続的に実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、これらの手段(工程)は、払拭すべきインクの量、払拭すべき面の汚染具合、払拭時間間隔などの条件によっては、必ずしも全てを同時にかつ連続的に行う必要はなく、個別に選択して、あるいは適宜選択的に組み合わせて実行しても良い。
【0039】
すなわち、付着インクの量が少ない場合には払拭工程のみ、あるいは払拭工程と洗浄工程のみを行い、その後に必要に応じて洗浄工程と吸引排出工程を行うなど、工程ごとにも時間的にも適宜実施することができ、本発明はこれらの実施態様を全てその範囲内に含むものである。また、各工程を同時に稼動させるか、段階的に順次稼動させるかについては、そのときに払拭すべきインクの量と汚れの程度により最適な条件を探し出すことが重要であり、本発明は、上記3つ工程(手段)を自由に組み合わせることができ、広範囲な自由度をもつことに特徴がある。これにより、付着インクのあらゆる条件に対して最適な回復条件を設定することが可能になる。
【0040】
前述の実施形態に係るインク吐出部の回復装置及び回復方法は、回転可能なインク吸収体5を使用するものであり、該インク吸収体の一方の面でノズルプレート面のインクを払拭し、他方の面で転写インク汚れを洗い落とす構造を備え、該インク吸収体の内部はインク及び洗浄液を吸引排出する構造を備えている
【0041】
回復動作においては、回転しているインク吸収体5の1面をインクジェットヘッドの吐出面に当接させ、かつ該吐出面に平行に摺接(平行移動)させつつインクを払拭すると同時に、回転している該インク吸収体の別の面に洗浄液を供給してインク汚れを溶解洗浄する。さらに、これと同時に、インク吸収体5の内部に接続された吸引排出手段により強制的にインク及び洗浄液を吸引し、該インク及び洗浄液を吸収部材1の内部に一旦吸い込み、最終的にはこれらのインク及び洗浄液を外部に排出する。このように回復動作における全ての機能を一体化した点に特徴がある。
【0042】
本実施形態におけるインク吸収体5の吸収部材1は、インクを吸収かつ透過する柔軟な多孔質材料であれば、その材質はいかなるものでも良い。好ましくは、いわゆるスポンジ状物質が良い。このスポンジ状物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ホルマール樹脂、アクリロニトリル系共重合体樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などの高分子発泡体であって連通孔を有するものが挙げられる。
【0043】
本実施形態における回転可能なインク吸収体5は円筒体であり、その軸方向長さは払拭すべき吐出面の長さに応じて適宜決められる。インク吸収体5の外径は、通常、数mmから数10mmであり、払拭すべきインクの量が多くインク汚れが激しい場合には大きな表面積が必要となるため、インク吸収体5の直径を大きめにすることが好ましい。また、インク吸収体5の回転速度は、払拭すべき面の状態により適宜決められるものであり、例えば、0.1rpm〜数10rpmの範囲内の回転数に決められる。また、吸収部材1の内径は、吸引排出手段9に接続されるパイプ部材2を保持するのに適した寸法に選定される。
【0044】
円筒体からなる上記インク吸収体5の表面は周方向所定ピッチの凹凸形状にしても良い。この場合の凹凸数は、例えば2〜数100の範囲内で選定される。また、凸部の形状は、先端鋭角形状、長方形、円弧形状などいかなる形状でも良く、払拭すべき汚れインクを除去し易い形状に選定される。吸引排出手段9と接続するために、円筒状の吸収部材1の内径部に固着されたパイプ部材2に多数の吸引孔3を設けられている。パイプ部材2の直径は、通常、数mm〜数十mmの範囲から選定される。吸引孔3の大きさ及び数は、該吸引孔を介して吸収部材1内のインクや洗浄液が均一に吸引されるものが良く、例えば、直径0.1mm〜3mmの孔を多数設ける構造が採られる。また、パイプ部材2の材質としては、金属、プラスチック、セラミックスなど、種々のものを使用することができる。
【0045】
パイプ部材2の少なくとも片側には、排出管(吸引管)6を介して吸引排出手段9が接続されている。本実施形態の吸引排出手段9は吸引ポンプ7と廃液タンク8とを具備しており、作動時の減圧吸引力は−数mPa・sから−数100mPa・sの範囲で調節できることが好ましい。
本実施形態の洗浄手段18は、払拭部材(インク吸収体)5の表面に洗浄液19を供給する洗浄液供給手段で構成されている。具体的には、洗浄液をインク吸収体の表面にシャワー状に噴霧する噴霧手段13を用いる構成、あるいはインク吸収体の表面に供給口14を接触させて直接的に多量の洗浄液を供給する構成が採られている。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、インク吐出部の回復装置100を、インク吸収体によりインク吐出部10を払拭する払拭手段5と、インク吸収体を洗浄液で洗浄する洗浄手段18と、インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段9と、を具備する構成としたので、吐出面31の払拭と払拭手段5の洗浄を同時に行うことができ、払拭手段におけるインク汚れの堆積を無くすことができ、吐出面に多量のインク汚れや除去しにくいインク汚れが存在する場合でも、吐出面を短時間に確実にインクの乾燥固化を招くことなく清掃することができる。
【0047】
また、インク吸収体5は回転可能な部材からなり、その一方の面でインク吐出部10を払拭するとともに他方の面で洗浄手段18により洗浄され、インク吸収体の内部に吸引排出手段9が接続される構成としたので、3つの機能(工程)を同時に稼働できる一体化構造を具現できるとともに、回復装置のコンパクト化が可能となる。
インク吸収体5はインクや洗浄液を吸収しかつ透過させる柔軟な多孔質部材で形成される構成としたので、インク吐出部10の吐出面31を傷つけることなく、付着インクを確実に払拭し吸収ことができる。また、インク吸収体5を吐出面に均一に押し当てることができ、付着インクをムラなく払拭除去することができる。
【0048】
インク吸収体5は回転可能な円筒体である構成としたので、該インク吸収体を回転させながら該インク吸収体の全表面を使用して払拭することができ、付着インクを効率良く吸収することができる。
また、インク吸収体5の表面が凹凸形状4を有する構成としたので、吐出面上の付着インクに対して円周面よりも鋭利な面を横方向から連続して複数回当てることができるため、固着インクのような払拭しにくいインクの場合でも容易に取り除くことが可能になる。
【0049】
吸引排出手段9に接続されるパイプ部材2を回転軸50上に保持するとともに、該パイプ部材に多数の吸引孔3を設ける構成としたので、インク及び洗浄液をインク吸収体5の内部に均一に吸い込むことができる。払拭手段5の内部に吸引排出手段9を接続する構成としたので、該払拭手段を回転させながら払拭工程と洗浄工程を同時に行うことができ、払拭手段5から廃インクを連続して排出することができる。
吸引排出手段9を吸引ポンプ7及び廃液タンク8で構成するので、多量のインク及び洗浄液を排出し蓄積することができるため、長時間の連続稼動が可能となる。また、簡単な装置で吸引力を調節できるため、吸引条件の微調整が可能となる。
【0050】
洗浄手段18は洗浄液をインク吸収体5の表面に供給する洗浄液供給手段からなる構成としたので、該インク吸収体によりインク吐出部10を払拭すると同時に該インク吸収体を洗浄することが可能である。また、洗浄液供給手段18は、噴霧手段13からインク吸収体5の表面に洗浄液19をシャワー状に噴霧する構成としたので、インク吸収体5の表面に均一に洗浄することができる。
【0051】
洗浄液供給手段18は、インク吸収体5の表面に供給口16を接触させて直接的に洗浄液を供給する構成としたので、インク吸収体5に対して多量の洗浄液を短時間に送り込むことができ、該インク吸収体の表面にこびり付いた汚れを短時間に洗浄することが可能となり、払拭手段である該インク吸収体の表面を常に清浄に保つことができる。
【0052】
なお、以上の実施形態では、インク吐出装置がカラーフィルタ等のガラス基板に画像を形成する装置である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、インク吐出部からインクを吐出して画像を形成する装置であれば、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有するインクジェット式の記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置に対しても同様に適用可能であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0053】
また、以上の実施形態では、記録媒体をセットしたXYテーブルを固定位置にあるインク吐出部に対して移動させて画像を形成するインク吐出装置を例に挙げて説明したが、本発明は、記録情報に基づいて普通紙などの通常のシート材にインクを吐出して画像を形成するプリンタ等のインクジェット記録装置並びにその回復装置及び回復方法においても同様に適用可能なものであり、同様の作用効果を奏するものである。また、本発明をプリンタ等の記録装置に適用する場合、本発明は、記録媒体に沿って移動可能な記録ヘッドを用いるシリアルタイプの記録装置、あるいは記録媒体の幅方向に延びるライン記録ヘッドを用いて搬送方向の副走査のみで記録していくラインタイプの記録装置など、記録走査の形態に関わらず広く適用可能なものであり、同様の作用効果を奏するものである。
【0054】
さらに、本発明は、インクを吐出するインク吐出部を用いるインク吐出装置であれば、1個のインク吐出部を用いる装置、異なる色のインクを用いる複数のインク吐出部を用いる装置、あるいは同一色彩で異なる濃度のインクを用いる複数のインク吐出部を用いる装置、さらには、これらを組み合わせた装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるインク吐出部の回復装置の第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1中の払拭手段に接続された吸引排出手段の構成を示す断面図である。
【図3】図1及び図2における払拭手段を構成するインク吸収体の横断面図である。
【図4】図3中のパイプ部材を示す斜視図である。
【図5】図3中の吸収部材を示す斜視図である。
【図6】本発明によるインク吐出部の回復装置の第2の実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明によるインク吐出部の回復装置の第3の実施形態を示す正面図である。
【図8】図7中のインク吸収体の横断面図である。
【図9】本発明によるインク吐出部の回復装置を備えたインク吐出装置の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 吸収部材
2 パイプ部材
3 吸引孔
4 凹凸部
5 払拭手段(インク吸収体)
6 排出管(吸引管)
7 吸引ポンプ
8 廃液タンク
9 吸引排出手段
10 インク吐出部(インクジェットヘッド)
11 吐出本体
12 吐出口部材(ノズルプレート)
13 噴霧手段
14 供給管
15 洗浄液タンク
16 供給口
17 制御弁(開閉弁)
18 洗浄手段(洗浄液供給手段)
19 洗浄液
20 付着インク
21 インク汚れ
31 吐出面
50 回転軸
51 フランジ部
52 ボス部
53 モータ
54 開口部
55 通孔(吸引孔)
60 インク吐出装置(インクジェット記録装置)
62 XYテーブル
64 記録媒体(ガラス基板)
100 回復装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク吸収体によりインク吐出部を払拭する払拭手段と、前記インク吸収体を洗浄液で洗浄する洗浄手段と、前記インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出手段と、を具備することを特徴とするインク吐出部の回復装置。
【請求項2】
前記インク吸収体は回転可能な部材からなり、その一方の位置で前記インク吐出部を払拭するとともに他方の位置で前記洗浄手段により洗浄されることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項3】
前記インク吸収体の内部に前記吸引排出手段が接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項4】
前記インク吸収体はインクや洗浄液を吸収しかつ透過させる柔軟な多孔質部材で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項5】
前記インク吸収体は回転可能な円筒体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項6】
前記インク吸収体の表面が凹凸形状を有することを特徴とする請求項5に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項7】
前記インク吸収体は、吸引孔が形成されたパイプ部材の外面に吸収部材を固着した構造を有し、該パイプ部材を介して前記吸引排出手段に接続されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項8】
前記吸引排出手段は吸引ポンプ及び廃液タンクを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項9】
前記洗浄手段は、前記インク吸収体の表面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項10】
前記洗浄液供給手段は洗浄液をシャワー状に噴霧することを特徴とする請求項9に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項11】
前記洗浄液供給手段は前記インク吸収体の表面に供給口を接触させて直接的に洗浄液を供給することを特徴とする請求項9に記載のインク吐出部の回復装置。
【請求項12】
インク吐出部から記録媒体にインクを吐出して記録するインク吐出装置において、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインク吐出部の回復装置を有することを特徴とするインク吐出装置。
【請求項13】
インク吸収体によりインク吐出部を払拭する払拭工程と、前記インク吸収体を洗浄液で洗浄する洗浄工程と、前記インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出する吸引排出工程とを有し、前記各工程を同時又は個別に選択的に実行することを特徴とするインク吐出部の回復方法。
【請求項14】
前記インク吸収体を回転可能な部材で形成し、該インク吸収体の一方の面で前記インク吐出部を払拭するとともに他方の面で前記洗浄液で洗浄されながら、該インク吸収体の内部から該インク吸収体に吸収されたインク及び洗浄液を吸引排出することを特徴とする請求項13に記載のインク吐出部の回復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−334964(P2006−334964A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163581(P2005−163581)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】