説明

インサートを有するダイ及びダイに対する気体のパージ方法

本開示は、ダイアセンブリに関する。そのダイアセンブリは、ダイキャビティを画定する複数の内壁部と、そのダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、その入口通路から末端側の位置でダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングを有している。そのダイアセンブリは又、ダイキャビティ内で取外し可能に受容されるインサートを有している。そのインサートは、複数の外壁部を有する本体部を有しており、少なくとも1つの流路が、ダイハウジングの少なくとも1つのキャビティ内壁部と、インサートの本体部の各対向する外壁部との間に形成されている。ダイアセンブリは、流動性材料の外部供給源と少なくとも1つの流路の各々と出口通路との間の流体連通をもたらすための手段を有している。その流体連通をもたらすための手段は、入口通路と出口通路との間で流体連通してインサートの本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管と、各流路及び出口通路と流体連通してダイハウジングを通過する第2の導管と、を有していてもよい。第1の導管及び第2の導管の各々は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされていてもよい。又、ダイ内で使用するためのダイインサート、及び、インサートを有するダイから気体をパージする方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の押出のためのダイアセンブリに関し、より具体的には、押出ダイを使用した液体コーティングプロセスに有用なダイインサート及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体押出ダイは、種々の商品を作るために製造プロセスにおいて使用されている。例えば、あるダイは、プラスチック材料の薄膜、バー、又は他の細長い付形物を形成するために使用されている。他のダイは、流動性材料のコーティングを移動ウェブに施すために使用されている。流動体又は半流動体の材料を移動ウェブに塗布するために、多数の様々なコーティングダイが構成されてきた。一般に、そのようなダイは、ウェブがその長手方向の軸に沿った方向に前進されるとき、圧力下の流動体又は半流動体の材料をポンプ又は他の装置から受容し、ウェブの幅に渡る領域にその材料を分配する。
【0003】
多くの従来のダイは、入口通路と、出口通路と、その入口通路と出口通路との間に延びる内側キャビティとを有している。出口通路は、比較的に幅があり、リボン状の流体をウェブの上に放出するスロット型の出口をダイが有している場合は、ウェブの幅に近いことがしばしばである。内側キャビティは又、相対的に幅があり、流入する流体を入口通路から出口通路の様々な領域に分配するマニホールドとして働く。
【0004】
スロットダイとして知られるいくつかのコーティングダイは、連続的な基材又はウェブ上に流体材料をシート様のビードにして放出する横スロットの形態の出口通路を有している。典型的なスロットコーティングダイは、移動ウェブを液体で均一にコーティングできるように、移動ウェブの幅全体に液体を分配するために使用される内側キャビティを有している。そのキャビティの輪郭は、コーティング物品の製造において使用される様々な液体及び所望の送り速度に渡って、ウェブの横方向の必要な均一性をもたらすように選択される。同様に、キャビティの幅は、コーターヘッドに通されうる最も幅広のウェブをダイがコーティングできるように選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかのコーティング用途には、より幅の広い基材ウェブの限られた幅に渡って、又はダイの公称幅と比べて相当に狭いウェブの全幅に渡って、スロットの中央部分を使用して液体をストリップとして分配することが望ましい。そのような場合、スロットの有効幅は、スロットに渡って配置された付加的なデッケル又はカットシムを用いて減じることができる。又、部分的な又は完全なダイインサートを使用して、有効スロット幅を減じることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広義には、本開示の実施形態は、流動性材料のシートの形成に使用するためのダイインサートを有するダイアセンブリに関する。本開示の実施形態は又、例えば液体コーティングプロセスにおける押出ダイの始動中に、ダイインサートを有するダイアセンブリから気体をパージする方法に関する。
【0007】
一態様において、本開示の実施形態は、ダイキャビティを画定する1つ以上の内壁部と、ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、入口通路から末端側の位置でダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングを備えるダイアセンブリを提供する。インサートが、ダイキャビティ内で取外し可能に受容され、そのインサートは、複数の外壁部を有する本体部を備えており、少なくとも1つの流路が、ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部と、インサートの本体部の各対向する外壁部との間に形成される。ダイアセンブリは、流動性材料の外部供給源と少なくとも1つの流路の各々と出口通路との間に流体連通をもたらすための手段を有している。例示的な実施形態において、入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態において、その流体連通をもたらすための手段は、入口通路と出口通路との間で流体連通してインサートの本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管と、各流路及び出口通路と流体連通してダイハウジングを通過する第2の導管とを有していてもよい。第1及び第2の導管の各々は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされていてもよい。
【0009】
別の態様において、本開示の実施形態は、ダイキャビティを画定する少なくとも1つの内壁部を有するダイハウジング内で、取外し可能に受容されるインサートを備えるダイアセンブリを提供する。入口通路は、ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過し、出口通路は、入口通路から末端側の位置でダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する。いくつかの実施形態において、入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0010】
特定の例示的な実施形態において、そのインサートは、複数の外壁部を有する本体部を有しており、少なくとも1つの流路が、ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部と、インサートの本体部の各対向する外壁部との間に形成される。第1の導管は、インサートの本体部の少なくとも一部を通過し、入口通路と出口通路との間で流体連通する。第2の導管は、少なくともダイハウジングを通過し、各流路及び出口通路と流体連通する。いくつかの実施形態において、第1の導管及び第2の導管の各々は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0011】
いくつかの例示的な実施形態において、入口通路、第1の導管、及び第2の導管の各々は、実質的に円筒形の横断面を有し、第2の導管は、ダイハウジングの入口通路及びインサートの少なくとも一部分を通じて、第1の導管と同心に且つ第1の導管の周りで同軸に延びる。他の例示的な実施形態において、ダイアセンブリは、実質的に円筒形の横断面を有するベント通路を更に備えており、そのベント通路の少なくとも一部分は、ダイハウジングの入口通路、及びインサートの少なくとも一部分で第1の導管と同心に且つ第1の導管の周りで同軸に延びる。特定の例示的な実施形態において、第2の導管は、ベント通路及び少なくとも1つの流路と流体連通している。
【0012】
別の態様において、本開示の実施形態は、流動性材料のシートを形成するためのダイアセンブリ内で使用するインサートを提供する。そのダイアセンブリは、ダイキャビティを画定する複数の内壁部と、そのダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、その入口通路から末端側の位置でダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングを有している。いくつかの実施形態において、入口通路は流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0013】
特定の例示的な実施形態において、インサートは、複数の外壁部を有する本体部を備え、その本体部は、ダイキャビティ内で取外し可能に配置されるようになされている。本体部がダイキャビティ内に配置されると、少なくとも1つの流路が、インサートの本体部の少なくとも1つの外壁部とダイハウジングの各対向する内壁部との間に形成される。そのインサートは、インサートの本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管を更に備え、その第1の導管は、入口通路と出口通路との間で流体連通する。そのインサートは又、少なくともダイハウジングを通過する第2の導管を備え、その第2の導管は、各流路及び出口通路と流体連通する。いくつかの実施形態において、第1の導管及び第2の導管の各々は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0014】
特定の例示的な実施形態において、インサートは、インサート本体内に形成された少なくとも1つのチャンバを更に備える。他の例示的な実施形態において、インサートは、インサート本体内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティを更に備える。いくつかの実施形態において、その少なくとも1つのインサートキャビティは、入口通路、出口通路、第2の導管、及び少なくとも1つの流路のうちの1つ以上と流体連通する。他の例示的な実施形態において、その少なくとも1つのインサートキャビティは、ベント通路と流体連通する。
【0015】
更なる態様において、本開示の実施形態は、インサートを有するダイアセンブリから気体をパージする方法を提供し、そのインサートは、ダイキャビティを画定する複数の内壁部を有するダイハウジングのダイキャビティ内で取外し可能に配置され、それによって、ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部とインサートの本体部の各対向する外壁部との間に少なくとも1つの流路が画定される。第1の導管は、インサートの本体部の少なくとも一部を通過し、ダイハウジング内で入口通路と出口通路との間で流体連通する。第2の導管は、少なくともダイハウジングを通過し、各流路及び出口通路と流体連通する。いくつかの実施形態において、第1の導管及び第2の導管の各々は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている。
【0016】
ある実施形態において、その方法は、
(a)流動性材料の外部供給源から第2の導管を通じて第1の液体の流れを供給することと、
(b)第2の導管及び各流路から気体が実質的になくなるまで、第2の導管を通じて第1の液体の流れを継続することと、及び
(c)その後に、流動性材料の外部供給源から第1の導管を通じて第2の液体の流れを供給し、それによって、出口通路から流動性材料のシートを供給することと、を更に有する。いくつかの実施形態において、その方法は、第1の導管を通じた第2の液体の流れを維持する一方で、第2の導管を通じた第1の液体の流れを遮断することを更に含む。
【0017】
上記の概要は、本開示の例示した各実施形態、又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の図及び詳細な説明により、本願で開示する原理を利用し且つ特許請求の範囲に含まれる特定の好ましい実施形態について、より具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本開示の例示的な実施形態に係るダイアセンブリの斜視図。
【図1B】本開示の例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの横断面図。
【図1C】本開示の別の例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの横断面図。
【図2A】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2B】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2C】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2D】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2E】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2F】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図2G】本開示の更なる例示的な実施形態に係るインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図、及びダイから気体をパージするための方法における工程の関連手順。
【図3】本開示の更なる例示的な実施形態に係る例示的なインサートを有するダイアセンブリの部分横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
押出ダイの上記の議論に関連して、本出願人らが発見したところによれば、コーティングビードの幅を減じるためにデッケル又はシムを使用すると、連続押出プロセス、例えば連続押出コーティングプロセスにおいて、ダイを取り付け、操作し、保守する上で問題が生じることがある。例えば、コーティング液が粒子(例えば分散用)を含有している場合、それらの粒子は、液体の流れが緩徐である大きなダイキャビティの領域に沈殿しがちであり、時間と共にダイの目詰まりの原因となり、又、コーティングプロセスにおいて頻繁に中断してダイを掃除することが必要となる。このことを是正すべく、部分的又は完全なダイインサートが、ダイキャビティの容積並びに有効なスロット幅を減じるために使用されることがある。しかしながら、本出願人らが又、発見したところによれば、ダイインサートを使用すると、連続押出コーティングプロセスにおいて、ダイの取り付け、操作、保守の上で更なる問題が生じることがある。
【0020】
押出ダイ及びダイインサートは、典型的には、精密な寸法管理、良好な耐化学性及び耐腐食性、並びに熱安定性のために、ステンレス鋼などの金属から作られている。しかしながら、ステンレス鋼製のダイ及びダイインサートは、コーティングシステム及びダイキャビティ内それぞれにおいて、補助なしでの持ち上げや位置決めには、重すぎることがしばしばある。ダイインサート及びそのインサートを具備するダイの重量は、インサートの本体部の中にチャンバ又はキャビティを切削することによって減じることができる。しかしながら、インサートの本体部内に一時的に保持される空気などの気体が、後に続くコーティング操作の間に、押出された流体の中に混入し、結果としての押出品のフィルム又はコーティングに気孔又は欠陥(例えば線傷)が生じることがある。
【0021】
又、緊密に嵌合するダイインサートをダイキャビティの内部で位置決めするときにも、問題が起こることがある。完全に嵌合するインサートをダイキャビティに対して設けることは、機械的に相当な難題であるために、ダイインサートの本体の外壁部と、ダイハウジング内にダイキャビティを画定する内壁部との間に、小さな間隙が形成されることがある。これらの間隙は、ダイキャビティ内にインサートを取り付ける間に、気泡(例えば空気泡)を閉じ込めることがある。典型的には、最良の切削を用いると、ダイとインサートとの間隙は、25マイクロメートル(1ミル)未満である。それでもやはり、気体(例えば空気泡)が、ダイキャビティの内壁部とインサートの外壁部との間に閉じ込められることがあり、このようにして閉じ込められた気体は、時間の経過に伴い、押出又はコーティングの間、液体がダイを通過すると解放されることがある。泡は、部分的にダイスロットへの入口を遮蔽して、製品に線傷又は気孔を生じることがある。
【0022】
各実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態を取ることができる。従って、本開示は、説明する以下の実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲及びその任意の等価物に記載された制限によって管理されるものであることが理解される。特に、本願に記載されたすべての数値及び範囲は、別段の定めがない限り、用語「約」によって変更されることを意図したものである。これから、本開示の様々な実施形態について、図を参照して説明することにする。
【0023】
図1A〜1Cを参照すると、図1Aは、本開示の例示的な実施形態によるダイアセンブリ8の斜視図を示している。ダイアセンブリ8は、ダイハウジング10と、ダイハウジング10を通過する入口通路22と、入口通路22から末端側の位置でハウジング10を通過する出口通路14(例えば、ハウジング10の第1の横側部16と第2の横側部18との間に形成されたスロット)と、ダイカバー12と、を有している。ダイアセンブリ8は又、インサート(図1Aには図示せず)を有しており、そのインサートは、ダイキャビティ(図1Aには図示せず)内で取外し可能に受容され、ダイキャビティ内に少なくとも1つの流路(図1Aには図示せず)を形成している。ダイアセンブリ8は又、流動性材料の外部供給源と、少なくとも1つの流路の各々と出口通路との間に流体連通をもたらすための手段を有している。
【0024】
第1の導管(図1Aには図示せず)は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサートの少なくとも一部を通過している。第2の導管24は、各流路及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過している。第1の導管(図1Aには図示せず)及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続されるようになされている。任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管(図1Aには図示せず)に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0025】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態によるインサート30を有するダイアセンブリ8の横断面図を示している。ダイアセンブリ8は、ダイキャビティ32を画定する複数のキャビティ内壁部36と、ダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する入口通路22と、入口通路22から末端側の位置でダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する出口通路14と、を有するダイハウジング10及び、ダイキャビティ32の少なくとも一部分の上にシーリング40を形成するダイカバー12を有している。
【0026】
インサート30は、複数の外壁部38と、少なくとも1つの流路34とを有する本体部を有しており、その流路34は、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の少なくとも1つのキャビティ内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に形成されている。ダイアセンブリ8は又、ダイキャビティ32内で取外し可能に受容されるインサート30と、流動性材料の外部供給源20と少なくとも1つの流路34の各々と出口通路14との間に流体連通をもたらすための手段と、を有している。いくつかの例示的な実施形態において、入口通路22は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。
【0027】
いくつかの実施形態において、流体連通をもたらすための手段は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管42と、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過する第2の導管24と、を有していてもよい。第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされていてもよい。任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態において、チャンバ58が、インサート30の本体部内に形成されている。このチャンバは、インサート30の本体部内に空洞を画定している。チャンバ58は、好ましくは、出口通路14と流体連通していない。特定の実施形態において、チャンバ58は流動性材料の外部供給源20と流体連通していない。いくつかの例示的な実施形態において、チャンバ58は、ダイインサート30の重量を減じるように働き、それによって、ダイハウジング10のキャビティ32内にインサートを取り付け並びに取外す作業、及びコーティング装置又は押出機に取り付けるためのダイアセンブリ8の取扱いが簡単となる。
【0029】
特定の実施形態において、ダイインサート30は、ダイキャビティ32の容積に対してわずかに小さく作られており、それによって、インサート30がダイキャビティ32内に配置されると、制御された間隙を有する少なくとも1つの流路34が、インサート30の少なくとも一部分の周りに生じる。特定の実施形態において、インサート30の本体部が占める容積は、ダイキャビティ32の容積未満である。いくつかの好ましい実施形態において、ダイインサート30の本体部が占める容積は、(インサート30を取り付ける前の)ダイキャビティ32の容積の少なくとも約30%である。他の好ましい実施形態において、ダイインサート30の本体部が占める容積は、(インサート30を取り付ける前の)ダイキャビティ32の最大で約99容量%である。
【0030】
いくつかの例示的な実施形態において、ダイインサート30の1つ以上の外壁部38の一部分は、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の対向するキャビティ内壁部36のうちの1つ以上から離してインサート30を保持するか又は支持する1つ以上の支持体又はバットレス(図示せず)を有する表面を有していてもよく、それによって、支持される外壁部38とそれに対向するキャビティ内壁部36との間隙に画定される少なくとも1つの流路34が画定される。他の例示的な実施形態において、シム又は他の取外し可能な支持体(図1A〜1Cには図示せず)が、ダイインサート30の外壁部38の1つ以上と、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の対向するキャビティ内壁部36との間に挿入されてもよく、それによって、インサート30が保持されるか又は支持されると共に、支持される外壁部38とそれに対向するキャビティ内壁部36との間隙として形成される少なくとも1つの流路34が画定される。
【0031】
特定の実施形態において、各流路34は、少なくとも約125マイクロメートルの高さを有する間隙を画定している。他の実施形態において、各流路34は、約12,500マイクロメートル以下の高さを有する間隙を画定している。インサート30とダイキャビティ32を画定する複数のキャビティ内壁部36との間の、この制御された間隙により、いくつかの実施形態においては、液体でダイキャビティ32(図1B〜1C及び図2A〜2Gを参照)から気体(例えば空気泡)をパージすることが可能となっている。
【0032】
図1Cは、ダイアセンブリ8の別の例示的な実施形態の横断面図を示している。ダイアセンブリ8は、ダイキャビティ32を画定する複数のキャビティ内壁部36と、ダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する入口通路22と、末端側の位置でダイキャビティ32と流体連通して入口通路22からダイハウジング10を通過する出口通路14と、を有するダイハウジング10と、ダイキャビティ32の少なくとも一部分の上にシーリング40を形成するダイカバー12とを有している。
【0033】
ダイアセンブリ8は又、ダイハウジング10のダイキャビティ32内に1つ以上のシム44の上に配置されたインサート30を有している。各シム44は、インサート30の本体部の外壁部38と、ダイキャビティ32の対向する内壁部36との間に配置されてもよく、それによって、少なくとも1つの流路34が画定される。ダイアセンブリ8は又、ダイキャビティ32内で取外し可能に受容されるインサート30と、流動性材料の外部供給源20と少なくとも1つの流路34の各々と出口通路14との間に流体連通をもたらすための手段とを有している。いくつかの例示的な実施形態において、入口通路22は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。
【0034】
いくつかの実施形態において、流体連通をもたらすための手段は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管42と、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過する第2の導管24とを有していてもよい。第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされていてもよい。任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0035】
図1Cに示すように、第1の流路34は、インサート30と、キャビティ32のキャビティ内壁部36(例えば後方壁)及びダイカバー12のシーリング40との間に形成されている。又、第2の流路34’が、キャビティ32のキャビティ内壁部36(例えばフロア)とインサート30との間に示されている。特定の例示的な実施形態において、各流路34及び34’は、第2の流体導管24と出口通路14との間で流体連通している。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、チャンバ58が、インサート30の本体部内に形成されている。このチャンバは、インサート30の本体部内に空洞を画定している。チャンバ58は、好ましくは、出口通路14と流体連通していない。特定の実施形態において、チャンバ58は、流動性材料の外部供給源20と流体連通していない。いくつかの例示的な実施形態において、チャンバ58は、ダイインサート30の重量を減じるように働き、それによって、ダイハウジング10のキャビティ32内にインサートを取り付け並びに取外し作業、及びコーティング装置又は押出機に取り付けるためのダイアセンブリ8の取扱いが簡単となる。
【0037】
他の例示的な実施形態において、ダイアセンブリ8内で使用して流動性材料のシートを形成するためのインサート30が設けられる。図2A〜2Gは、本開示の例示的な実施形態によるインサート30を有するダイアセンブリ8を示している。ダイアセンブリ8は、キャビティ32を画定する複数のキャビティ内壁部36と、ダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する入口通路22と、入口通路22から末端側の位置でダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する出口通路14とを有するダイハウジング10と、ダイキャビティ32の少なくとも一部分の上にシーリング40を形成するダイカバー(図2A〜2Gには図示せず)と、を備える。
【0038】
インサート30は、ダイキャビティ32内で取外し可能に受容されている。インサート30は、複数の外壁部38と、少なくとも1つの流路34を備える本体部を有し、その流路34は、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の少なくとも1つのキャビティ内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に形成される。ダイアセンブリ8は又、ダイキャビティ32内で取外し可能に受容されるインサート30と、流動性材料の外部供給源20と少なくとも1つの流路34の各々と出口通路14との間に流体連通をもたらすための手段と、を備える。いくつかの例示的な実施形態において、入口通路22は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。
【0039】
いくつかの実施形態において、流体連通をもたらすための手段は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管42と、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過する第2の導管24とを有していてもよい。第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされていてもよい。任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0040】
図2A〜2Gに示すいくつかの例示的な実施形態において、第1の導管42は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過している。特定の例示的な実施形態において、第2の導管24は、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過している。インサート30は、1つ以上の任意選択のインサートキャビティ50を有していてもよい。インサートキャビティ50は、各流路34との間で流体連通していてもよい。第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされていてもよい。例えば、任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0041】
更なる例示的な実施形態において、ダイアセンブリ8は、第2の導管24及び少なくとも1つの流路34と流体連通するベント通路54を備える。図2A〜2Gに示す特定の実施形態において、ベント通路54及び第2の導管24の各々は、実質的に円筒形の横断面を有しており、ベント通路54は、入口通路22と同心に且つ入口通路22の周りで同軸に配置されている。ベント通路54は又、出口通路14と流体連通していてもよい。ベント通路54は、例えばダイキャビティ32内から気体をパージするために、外部環境に選択的に通気されてもよい。例えば、任意選択のベント弁29は、ベント通路54と流体連通して、ベント通路54を通じた流れを選択的に調整してもよい。ベント通路54は、独立したベント通路であってもよく、又、それに代わって、入口通路22と第1の導管42の少なくとも一部分との間の(図2A〜2Gに示すような)、又は第1の導管42の一部分と第2の導管24との間の(図3に関連して以下で説明するような)通路として形成されてもよい。
【0042】
特定の例示的な実施形態において、インサート30は、インサート30の本体部内に少なくとも1つのチャンバ(図2A〜2Gには図示せず)を有していてもよい。いくつかの例示的な実施形態において、インサート30は、それに加えて又はそれに代わって、インサート30の本体部内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティ50を有していてもよい。いくつかの実施形態において、その少なくとも1つのインサートキャビティ50は、入口通路22と、出口通路14と、第2の導管24と、少なくとも1つの流路34とのうちの1つ以上と流体連通していてもよい。図2A〜2Gに示す例示的な実施形態において、インサートキャビティ50は、ベント通路54、出口通路14、入口通路22、第2の導管24、及び流路34と流体連通して、インサート30の本体部内に形成されている。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態において、ベント通路54は、ダイインサート30の本体部内に形成されたインサートキャビティ50から空気を排出するための経路を提供してもよい。図2A〜2Gに示す特定の例示的な実施形態において、ベント通路54は、インサート30の上部本体部に近接して上端部を有しており、ベント通路54の壁は、その上端部の近くに少なくとも1つの穿孔52を有しており、それによって、流動性材料が、インサートキャビティ50からその少なくとも1つの穿孔52を通過してベント通路54の中に入ることができる。この経路は、ダイの始動中に、ダイキャビティ32に流動性材料を充填する間、開くことができ、又、空気のパージが完了した後に、閉じることができる。例えば、図2に示すダイインサート30及びダイアセンブリ8により、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の少なくとも1つのキャビティ内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に形成された各流路34の中に、液体をポンプ移送することができ、それによって、ダイキャビティ32、及びインサート30の本体部内に形成された任意選択のインサートキャビティ50から、気体(例えば空気)が追い出される(即ちパージされる)。
【0044】
他の実施形態において、導管アセンブリ60(例えば、パイプ又はチューブから作られた「ランセット(lance)」)は、ダイハウジング10内の入口通路22を通過し、ダイインサート30及びダイの外面を貫通しており、空気泡などの気体をインサート30の周り又は内部からダイハウジング10の外側に排出することができる経路を形成している。特定の実施形態において、導管アセンブリ60を「ランセット」の形態で使用することにより、ダイハウジング10に大きな修正を伴うことなく、ダイハウジング10内の既存の入口通路22を使用して、流動性材料の外部供給源20から、ダイインサート30内に形成された第1の導管42に、そして最終的には出口通路14に流動性材料を供給することが可能となっている。いくつかの実施形態において、導管アセンブリ60により、インサート30の本体部の外壁部38とダイキャビティの内壁36との間に、又はインサート30の本体部内に形成された1つ以上のキャビティ50内に閉じ込められた気体(例えば空気)を除去することが可能となっている。
【0045】
図3に示す例示的な一実施形態において、ダイアセンブリ8は、キャビティ32を画定する複数のキャビティ内壁部36と、ダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する入口通路22と、入口通路22から末端側の位置でダイキャビティ32と流体連通してダイハウジング10を通過する出口通路14とを有するダイハウジング10と、ダイキャビティ32の少なくとも一部分の上にシーリング40を形成するダイカバー12とを有している。
【0046】
インサート30は、ダイキャビティ32内で取外し可能に受容されている。インサート30は、複数の外壁部38と、少なくとも1つの流路34とを有する本体部を有しており、その流路34は、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の少なくとも1つのキャビティ内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に形成されている。ダイアセンブリ8は又、流動性材料の外部供給源20と少なくとも1つの流路34の各々と出口通路14との間に流体連通をもたらすための手段を有している。いくつかの例示的な実施形態において、入口通路22は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。
【0047】
いくつかの実施形態において、流体連通をもたらすための手段は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管42と、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過する第2の導管24とを有していてもよい。第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされていてもよい。任意選択の第1の制御弁26は、入口通路22と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。
【0048】
例示的な実施形態において、第1の導管42は、入口通路22と出口通路14との間で流体連通してインサート30の本体部の少なくとも一部を通過している。いくつかの例示的な実施形態において、第2の導管24は、各流路34及び出口通路14と流体連通してダイハウジング10を通過している。インサート30は、図3に示すような、1つ以上の任意選択のインサートキャビティ50を有していてもよい。インサートキャビティ50は、各流路34との間で流体連通していてもよい。更なる例示的な実施形態において、第1の導管42及び第2の導管24の各々は、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。例えば、任意選択の第1の制御弁26は、第1の導管42と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第1の導管42に選択的に接続する。任意選択の第2の制御弁28は、第2の導管24と流体連通して流動性材料の外部供給源20を第2の導管24に選択的に接続する。いくつかの実施形態において、制御弁28は、入口通路22と流体連通しており、この入口通路22も又、第2の導管24と流体連通している。
【0049】
更なる例示的な実施形態において、ダイアセンブリ8は、第2の導管24及び少なくとも1つの流路34と流体連通するベント通路54を有している。図3に示した特定の実施形態において、ベント通路54及び第2の導管24の各々は、実質的に円筒形の横断面を有しており、ベント通路54は、入口通路22と同心に且つ入口通路22内で同軸に配置されている。ベント通路54は又、出口通路14と流体連通していてもよい。ベント通路54は、例えばダイキャビティ32内から気体をパージするために、外部環境に選択的に通気されてもよい。例えば、任意選択のベント弁29は、ベント通路54と流体連通して、ベント通路54を通じた流れを選択的に調整してもよい。ベント通路54は、独立したベント通路であってもよく、或いは入口通路22と第1の導管42の少なくとも一部分との間の(図2A〜2Gに示すような)、又は第1の導管42の一部分と第2の導管24との間の(図3に関連して以下で説明するような)通路として形成されてもよい。
【0050】
特定の例示的な実施形態において、入口通路22、第1の導管42、及び第2の導管24の各々は、実質的に円筒形の横断面を有している。例示的な実施形態において、第2の導管24は、ダイハウジング10の入口通路22及びインサート30の少なくとも一部分を(例えば内部で)通じて、第1の導管42と同心に且つ第1の導管42の周りで同軸に延びている。特定の例示的な実施形態において、第2の導管は、壁と1つ以上の穿孔52、52’とを有しており、その穿孔52、52’は、第2の導管と、少なくとも1つの流路34と流体連通するインサート30の本体部内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティ50との間の流体連通をもたらしている。
【0051】
特定の例示的な実施形態において、インサート30は、それに加えて又はそれに代わって、インサート30の本体部内に少なくとも1つのチャンバ(図3には図示せず)を有していてもよい。いくつかの例示的な実施形態において、インサート30は、それに加えて又はそれに代わって、図3に示すように、インサート30の本体部内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティ50を有していてもよい。いくつかの実施形態において、その少なくとも1つのインサートキャビティ50は、入口通路22、出口通路14、第2の導管24、少なくとも1つの流路34とのうちの1つ以上と流体連通していてもよい。図3に示す例示的な実施形態において、インサートキャビティ50は、ベント通路54、出口通路14、第2の導管24、及び流路34と流体連通して、インサート30の本体部内に形成されている。
【0052】
別の態様において、本開示の実施形態は、インサート30を具備するダイハウジング10内に画定されたキャビティ32から気体をパージする方法を提供する。例えば、図3に示すダイインサート30及びダイアセンブリ8により、ダイハウジング10内のダイキャビティ32の少なくとも1つのキャビティ内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に形成された各流路34の中に、液体をポンプ移送することができ、それによって、ダイキャビティ32、及びインサート30の本体部内に形成された任意選択のインサートキャビティ50から、気体(例えば空気)が追い出される(即ちパージされる)。一例として、ベント通路54は、ダイの始動中に、ダイキャビティ32に流動性材料を充填する間、開くことができ、又、いくつかの実施形態においては、気体(例えば空気)のパージが完了した後に、閉じることができる。
【0053】
本開示の他の実施形態は、ダイハウジング10のダイキャビティ32内に取外し可能に配置されたインサート30を有するダイアセンブリ8から、空気などの気体をパージする更なる方法を提供し、そのダイハウジング10は、ダイキャビティ32を画定する複数の内壁部36を有し、それによって、ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部36と、インサート30の本体部の各対向する外壁部38との間に少なくとも1つの流路34を画定する。第1の導管42は、インサート30の本体部の少なくとも一部を通過しており、ダイハウジング10内で入口通路22と出口通路14との間で流体連通している。第2の導管24は、少なくともダイハウジング10を通過しており、各流路34及び出口通路14と流体連通している。いくつかの実施形態において、第1の導管42、及び第2の導管24の各々は、例えば制御弁26及び28をそれぞれ使用して、流動性材料の外部供給源20に選択的に接続するようになされている。
【0054】
例示的な一実施形態において、その方法は、
(a)流動性材料の外部供給源から第2の導管を通じて第1の液体の流れを供給することと、
(b)第2の導管及び各流路から気体が実質的になくなるまで、第2の導管を通じた第1の液体の流れを継続することと、
(c)その後に、流動性材料の外部供給源から第1の導管を通じて第2の液体の流れを供給し、それによって、流動性材料のシートを出口通路から供給することと、を有している。
【0055】
いくつかの実施形態において、この方法は、第1の導管を通じた第2の液体の流れを維持する一方で、第2の導管を通じた第1の液体の流れを遮断することを更に有している。
【0056】
この方法の例示的な一実施形態が、図2A〜2Gに示されている。図2Aにおいて、外部供給源20から第2の導管24を通じた流動性材料(例えば、コーティング溶液若しくは分散、又は押出用のポリマー溶融体)の流れが、制御弁28を開くことによって開始されている。ベント弁29は、この工程の間、好ましくは開いており、又、制御弁26は、好ましくは閉じられている。図2Bにおいて、流動性材料は、第2の導管24から少なくとも1つのインサートキャビティ50の中に流れており、それによって、キャビティ50内から気体(例えば空気)を追い出している。流動性材料は又、流路34の一部分の中に流れ始め、インサートキャビティ50内の流動性材料の液位の上昇と共に流路34内で上昇し、それによって、流路34内から気体を追い出している。図2Cにおいて、流動性材料は、気体のかなりの部分をキャビティ50内から追い出しており、又、穿孔52を通じてベント通路54の中へと流れ始めており、それによって、ベント通路54内から気体を追い出している。図2Dにおいて、流動性材料は、ベント通路54内の気体の一部分を追い出している。
【0057】
図2Eにおいて、流動性材料は、ベント通路54内の気体のかなりの部分を追い出し、ベント弁29から流れ出している。気泡がベント弁29から出るのが観測されなくなるような十分な時間の経過後、図2Fに示すように、ベント弁29が閉じられる。流動性材料は、流路34の中へ、そして出口通路14の外へ引き続き流れており、出口通路14は、チャンバ50を通じて第2の導管24によって供給を受けている。流動性材料が、気体のかなりの部分を流路34から追い出し、且つキャビティ32に充填され、そのため、気泡が流動性材料内で出口通路14を出るのが観測されなくなるような十分な時間の経過後に、制御弁26が開かれてもよく、それによって、図2Gに示すように、流動性材料が、入口通路22を通じて第1の導管42の中へと流れることが可能となる。いくつかの実施形態において、物品をコーティングするか又は押出シート若しくはフィルムを形成する上で有用な流動性材料のシートとして、入口通路22、第1の導管42を通じ出口通路14から出る流動性材料の流れを維持する一方で、制御弁28が次いで閉じられてもよい。
【0058】
本開示の様々な実施形態を実施する上で有用な好適なダイは、当業者には既知である。例示的なダイには、例えば、ポリマー溶融体の押出コーティング又は溶融押出において使用される押出ダイが挙げられる。1つの特に好適なダイは、吐出し通路が、ダイハウジングの側壁の間に形成された概ね矩形の横スロットを画定する押出スロットダイである。例示的な導管材には、当業者に既知の様々なパイプ、ダクト、パイプとチューブが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の様々な実施形態による例示的なダイインサートは、多様な材料、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属、ポリカーボネート並びにポリ(メチル)メタクリレートなどのポリマー、及び木材から製作することができる。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態は、ダイハウジングの既存の入口及び出口通路を使用して外部供給源から流動性材料を供給し放出する一方でダイのキャビティ容積の削減を可能にする、取外し可能なダイインサートを有するダイを提供する。他の実施形態は、ダイの出口通路(例えばスロット)の幅を狭め、それによって流動性材料のより幅の狭いストリップを塗布することを可能にするインサートを提供する。他の実施形態において、インサートは、ダイキャビティのかなりの部分を満たし、それによって、流動性材料が集まりうるダイ内の死容積を減じる。このことは、ダイチャンバ内で沈降を経る可能性がある分散に対して、又は反応性の液体に対して特に有利となりうる。又、取外し可能なダイインサートによって、ダイチャンバの掃除を簡単にすることもできる。
【0060】
本開示の他の実施形態は、1つ以上の内部キャビティ又はチャンバを備え、それによってダイインサートの重量を減じるダイインサートを提供し、そのダイインサートにより、ダイ内でインサートを取り付け取外す作業、及びダイの取扱いを簡単にすることができる。本開示の更なる実施形態は、ダイインサートの周り及び内部の空間から空気などの気体をパージし、それによって、ダイスロットを出る流動性材料の中に気泡が放たれるのを軽減するか又は避けるための装置及び方法を提供することができる。このことにより、欠陥、例えば押出された流動性材料内の気泡又は気孔によって生じるコーティングの欠陥が、減少するか又は排除されるという利点がもたらされる。
【0061】
様々な修正が、本開示の範疇及び原理から逸脱することなくなされうることが、当業者には上記の説明から明らかとなり、又、本開示が、先に記載した例示的な実施形態に不当に限定されるものではないことが、理解されるべきである。すべての刊行物及び特許は、各々の刊行物又は特許が、明確に且つ個別に記された場合と同様に、参照によって本願に組み込まれる。本開示の様々な実施形態について説明した。これらの及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアセンブリであって、
ダイキャビティを画定する1つ以上の内壁部と、前記ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、該入口通路から末端側の位置で前記ダイキャビティと流体連通して前記ダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングであって、前記入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされているダイハウジングと、
前記ダイキャビティ内で取外し可能に受容されるインサートであって、複数の外壁部を有する本体部を備え、少なくとも1つの流路が、前記ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部と、前記インサートの前記本体部の各対向する外壁部との間に形成されるインサートと、
流動性材料の前記外部供給源と、前記少なくとも1つの流路の各々と前記出口通路との間に流体連通をもたらすための手段と、を備えるダイアセンブリ。
【請求項2】
流動性材料のシートを形成するためのダイアセンブリであって、
ダイキャビティを画定する1つ以上の内壁部と、前記ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、該入口通路から末端側の位置で前記ダイキャビティと流体連通して前記ダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングであって、前記入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされているダイハウジングと、
前記ダイキャビティ内で取外し可能に受容されるインサートであって、複数の外壁部を有する本体部を備え、少なくとも1つの流路が、前記ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部と、前記インサートの前記本体部の各対向する外壁部との間に形成されるインサートと、
該インサートの前記本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管であって、前記入口通路と前記出口通路との間で流体連通する第1の導管と、
少なくとも前記ダイハウジングを通過する第2の導管であって、各流路及び前記出口通路と流体連通し、流動性材料の前記外部供給源と選択的に接続するようになされている第2の導管と、
を備えるダイアセンブリ。
【請求項3】
前記インサートの前記本体部内に形成された、少なくとも1つのインサートキャビティを更に備える、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのインサートキャビティは、前記入口通路、前記出口通路、前記第2の導管、及び前記少なくとも1つの流路のうちの1つ以上と流体連通する、請求項3に記載のダイアセンブリ。
【請求項5】
前記インサートの前記本体部内に形成された、少なくとも1つのチャンバを更に備える、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の導管と流体連通する制御弁を更に備え、該制御弁は、流動性材料の前記外部供給源を前記第1の導管に選択的に接続するように配置されている、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の導管と流体連通する第2の制御弁を更に備え、該第2の制御弁は、流動性材料の前記外部供給源を前記第2の導管に選択的に接続するように配置されている、請求項6に記載のダイアセンブリ。
【請求項8】
各流路は、高さ125マイクロメートル〜12,500マイクロメートルを有する、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項9】
前記インサートの前記本体部によって占められる容積は、前記ダイキャビティの容積未満である、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項10】
前記インサートの前記本体部によって占められる前記容積は、前記ダイキャビティの前記容積の30容積%から99容積%である、請求項9に記載のダイアセンブリ。
【請求項11】
前記入口通路、前記第1の導管、及び前記第2の導管の各々は、実質的に円筒形の横断面を有し、前記第2の導管は、前記第ハウジングの前記入口通路及び前記インサートの少なくとも一部分を通じて、前記第1の導管と同心に且つ前記第1の導管の周りで同軸に延びる、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項12】
前記第2の導管は壁を有し、前記第2の導管の前記壁は、前記第2の導管と前記インサートの前記本体部内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティとの間に流体連通をもたらす、少なくとも1つの穿孔を有し、前記インサートキャビティは、前記少なくとも1つの流路と流体連通する、請求項11に記載のダイアセンブリ。
【請求項13】
前記入口通路と前記第2の導管との少なくとも一方と流体連通するベント通路を更に備える、請求項12に記載のダイアセンブリ。
【請求項14】
前記ベント通路と流体連通するベント弁を更に備え、該ベント弁は、少なくとも前記ベント通路を通じた前記流動性材料の流れを選択的に調整するように配置されている、請求項13に記載のダイアセンブリ。
【請求項15】
前記ベント通路は、前記ダイハウジングの前記入口通路、及び前記インサートの少なくとも一部分で前記第1の導管と同心に且つ前記第1の導管の周りで同軸に通過する、実質的に円筒形の横断面を有する、請求項13に記載のダイアセンブリ。
【請求項16】
前記インサートの前記本体部内に形成されたインサートキャビティを更に備え、該インサートキャビティは、前記第2の導管と前記ベント通路との間で流体連通し、更に、少なくとも1つの流路と流体連通する、請求項13に記載のダイアセンブリ。
【請求項17】
前記インサートの前記本体部の外壁部と前記キャビティの内壁部との間に配置された少なくとも1つのシムを更に備え、それによって前記少なくとも1つの流路を形成する、請求項2に記載のダイアセンブリ。
【請求項18】
ダイ内で使用するためのインサートであって、前記ダイは、ダイキャビティを画定する複数の内壁部と、前記ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、該入口通路から末端側の位置で前記ダイキャビティと流体連通して前記ダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングであって、前記入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされている、ダイハウジングを有し、前記インサートは、
複数の外壁部を有する本体部であって、前記ダイキャビティ内に取外し可能に配置されるようになされており、前記本体部が前記ダイキャビティ内に配置されると、少なくとも1つの流路が、前記インサートの前記本体部の少なくとも1つの外壁部と前記ダイハウジングの各対向する内壁部との間に形成される本体部と、
前記インサートの前記本体部の少なくとも一部を通過する第1の導管であって、前記入口通路と前記出口通路との間で流体連通する第1の導管と、
少なくとも前記ダイハウジングを通過する第2の導管であって、各流路及び前記出口通路と流体連通し、流動性材料の前記外部供給源と選択的に接続するようになされている第2の導管と、を備えるインサート。
【請求項19】
前記インサート本体内に形成された少なくとも1つのチャンバを更に備える、請求項18に記載のインサート。
【請求項20】
前記インサート本体内に形成された少なくとも1つのインサートキャビティを更に備え、該少なくとも1つのインサートキャビティは、前記入口通路、前記出口通路、前記第2の導管、及び前記少なくとも1つの流路のうちの1つ以上と流体連通する、請求項18に記載のインサート。
【請求項21】
前記入口通路、前記第1の導管、及び前記第2の導管の各々は、実質的に円筒形の横断面を有し、前記第2の導管は、前記インサートの少なくとも一部分及び前記ダイハウジングの前記入口通路を通じて、前記第1の導管と同心に且つ前記第1の導管の周りで同軸に延びる、請求項18に記載のインサート。
【請求項22】
前記第2の導管は壁を有し、前記第2の導管の前記壁は、前記第2の導管と前記少なくとも1つの流路との間の流体連通をもたらす少なくとも第1の穿孔を有する、請求項21に記載のインサート。
【請求項23】
前記ダイハウジングの前記入口通路及び前記インサートの少なくとも一部分で、前記第1の導管と同心に且つ前記第1の導管の周りで同軸に通過する、実質的に円筒形の横断面を有するベント通路を更に備える、請求項22に記載のインサート。
【請求項24】
前記第2の導管は壁を有し、前記第2の導管の前記壁は、前記第2の導管と前記ベント通路との間の流体連通をもたらす、少なくとも1つの穿孔を有する、請求項23に記載のインサート。
【請求項25】
ダイアセンブリから気体をパージする方法であって、
前記ダイアセンブリは、
ダイキャビティを画定する複数の内壁部と、前記ダイキャビティと流体連通してダイハウジングを通過する入口通路と、該入口通路から末端側の位置で前記ダイキャビティと流体連通して前記ダイハウジングを通過する出口通路と、を有するダイハウジングであって、前記入口通路は、流動性材料の外部供給源に選択的に接続するようになされているダイハウジングと、
前記ダイキャビティ内で取外し可能に受容されるインサートであって、複数の外壁部を有する本体部を備え、少なくとも1つの流路が、前記ダイハウジングの少なくとも1つの内壁部と、前記インサートの前記本体部の各対向する外壁部との間に形成されるインサートと、
該インサートの前記本体部の少なくとも一部分を通過する第1の導管であって、前記入口通路と前記出口通路との間で流体連通する第1の導管と、
前記ダイハウジングを通過する第2の導管であって、各流路及び前記出口通路と流体連通し、流動性材料の前記外部供給源と選択的に接続するようになされている第2の導管と、
を有し、
前記方法は、
(a)流動性材料の前記外部供給源から前記第2の導管を通じて第1の液体の流れを供給することと、
(b)前記第2の導管及び各流路から気体が実質的になくなるまで、前記第2の導管を通じた前記第1の液体の流れを継続することと、及び
(c)その後に、流動性材料の前記外部供給源から前記第1の導管を通じて第2の液体の流れを供給し、それによって、前記出口通路から流動性材料のシートを供給することと、を有する方法。
【請求項26】
前記第1の導管を通じた前記第2の液体の流れを維持する一方で、前記第2の導管を通じた前記第1の液体の流れを遮断することを更に含む、請求項25に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−543721(P2009−543721A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520874(P2009−520874)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/071961
【国際公開番号】WO2008/011244
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】