インサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型
【課題】発泡成形作業に必要な付属部品を少なくして、ヘッドレストの製造コストを低減することができるとともに、成形型の付属部品のコストを低減することができるヘッドレストの製造方法に用いる開口拡張治具を提供する。
【解決手段】パッド部11を構成する表皮材12の底部中央にスリット状の開口18を形成する。前記スリット状の開口18に屈曲状態に保持された開口拡張治具21を嵌入して、スリット状の開口18を、発泡原料が注入可能な大きさの扁平三角形状の開口状態に拡張保持させる。
【解決手段】パッド部11を構成する表皮材12の底部中央にスリット状の開口18を形成する。前記スリット状の開口18に屈曲状態に保持された開口拡張治具21を嵌入して、スリット状の開口18を、発泡原料が注入可能な大きさの扁平三角形状の開口状態に拡張保持させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のヘッドレスト、アームレスト等のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドレストは、袋状表皮内にヘッドレストステーよりなるインサートを収容した後、該袋状表皮内に発泡原料を注入して、発泡成形されている。このヘッドレストの製造方法として、特許文献1に開示されたものが提案されている。この製造方法は、図10に示すようにヘッドレストのスリット状の開口18を形成した袋状の表皮材12の内部にヘッドレストステー(インサート)17を配し、前記開口18から表皮材12の内方へ表皮端縁を延設して図11に示すように一対の舌片12a,12bを設ける。次に、舌片12a,12bの間にチューブ状フイルム51を挟むとともに、前記舌片12a,12b間に前記開口18の長さとほぼ等しい長さの板状治具52を挿入する。そして、この板状治具52で開口18を直線状に張った後、パッド部11を図11に示す成形型50に収容し、前記チューブ状フイルム51内に漏斗53を差し込んで、該漏斗53を介して注入機54により発泡原料55を表皮材12の内部へ注入し、パッド部11の発泡成形を行うようになっている。
【特許文献1】特開平7−31759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の製造方法は、発泡原料55の注入用の漏斗53と、この漏斗53を開口18から引き抜く際に、漏斗53に付着した発泡原料55が表皮材12の表面に滴下するのを防ぐためのチューブ状フイルム51とを用いなければならない。このため、それらのセット作業に時間を要し、成形作業能率が低下するばかりでなく、発泡成形型50の付属部品点数が多くなって、その製造が面倒となり、製造コストを低減することができないという問題があった。又、発泡成形作業中に前記漏斗53とチューブ状フイルム51に発泡原料55が付着残留するので、原料費が無駄になるばかりでなく、漏斗53の清掃作業を行う必要があるので、この点からも成形作業の能率が低下し、表皮一体発泡品(パッド部11)の製造コストを低減することができないという問題があった。
【0004】
又、従来の製造方法は、漏斗53を用いて発泡原料55をパッド部11内に注入するので、漏斗53内に残留した発泡原料55が滴下する。そのため、図11に示すように発泡原料55の表面が凹凸状になり、この発泡原料55が発泡する最終段階で、パッド部11の内部上側に谷部Tにより局部的に空洞部が形成される恐れがあるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、発泡成形作業に必要な付属部品を少なくして、表皮一体発泡品の製造コストを低減することができるとともに、成形型の付属部品のコストを低減し、原料費の無駄を無くすことができ、さらに、表皮一体発泡品の見栄えをよくすることができるインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、スリット状の開口を形成した袋状表皮の内部にインサートを配し、前記スリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入して、該開口を発泡原料が注入可能な開口状態に保持し、前記インサート及び開口拡張治具を備えた袋状表皮を、型開き状態の発泡成形型内にセットした後、前記開口から袋状表皮の内部へ発泡原料を注入し、その後、前記発泡成形型を型閉して屈曲状態の前記開口拡張治具を扁平状態に変形させるとともに、前記開口を閉鎖し、前記袋状表皮及びインサートと発泡原料を一体に発泡成形することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の製造方法に用いられる開口拡張治具であって、屈曲状態に保持され、発泡成形型によって型閉め力が付与されると、扁平状態に変形するように構成されることを特徴とすることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記開口拡張治具は、弾性板材により屈曲状態に一体に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の開口拡張治具を備えた発泡成形型であって、該発泡成形型には、型閉め状態において、前記開口拡張治具を扁平状態に収容保持する収容凹部が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、袋状表皮のスリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入することにより、スリット状の開口を発泡原料を注入可能な開口状態に保持するようにした。このため、発泡原料の注入に必要な付属部品点数を開口拡張治具一つのみにして、製造を容易に行い、製造コストの低減を図ることができる。又、スリット状の開口に対して、開口拡張治具の装着作業を1回行うだけでよいので、成形型のセット作業を容易に行い、コストを低減することができる。さらに、開口拡張治具は袋状表皮のスリット状の開口から内部に深く進入させる必要がないので、該治具の表面に付着する発泡樹脂の量を殆ど無くして、原料費の無駄を無くすことができるとともに、発泡樹脂に欠肉部が生じるの無くして、表皮一体発泡品の見栄えをよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をインサート内蔵表皮一体発泡品としての自動車のヘッドレストの製造方法及びそれに用いる発泡成形型に具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、ヘッドレストのパッド部11の外周面を形成するように所定形状に裁断された生地13を縫着した表皮材12の底部左右両側には、すなわちパッド部11の底部左右両側には、二つの挿通孔16が形成され、両挿通孔16にインサートとしてのU字状のヘッドレストステー17の一対の脚部17aが挿入され、それらの上端部が外部に突出されている。
【0011】
前記表皮材12の底部中央には、すなわちパッド部11の底部中央には、スリット状の開口18が形成され、表皮材12の縫着後の表裏反転がこの開口18を通して行われる。
次に、前記スリット状の開口18の内周縁に取り付けられて、該開口18を扁平三角形状の開口状態に拡張保持するための開口拡張治具21について説明する。
【0012】
この開口拡張治具21は、図1に示すように、左右一対の帯状の板材22,23をヒンジ機構24によって互いに回動可能に連結して構成されている。このヒンジ機構24は、図2に示すように一方の前記板材22の基端部に連結されたほぼ円筒状の筒部25と、他方の前記板材23の基端部に連結された円筒状の上下一対の筒部26に対し、連結ピン27を挿入するとともに、該連結ピン27の中間部を前記筒部25に固定し、連結ピン27の上部外周面に形成された切欠部27aに、前記上側の筒部26の扁平状部26aを接触させている。そして、前記扁平状部26aと切欠部27aの係合により板材22,23が屈曲状態、すなわち扁平な山形状に弾性的に保持されるようになっている。又、屈曲状態の板材22,23に対してヒンジ機構24を中心にして所定値以上の外力、つまり後述するように成形型にセットした状態で型閉め力が作用すると、切欠部27aに対する扁平状部26aの対応関係が解かれて、板材22,23が屈曲状態から扁平状態に回動変形するようにしている。図1に示す開口拡張治具21の屈曲状態において板材22,23の角度αは例えば160度に設定されている。
【0013】
図1に示すように、前記開口拡張治具21の板材22,23の先端下部には係止段部22a,23aが切欠形成されている。開口拡張治具21を図3に示すように前記スリット状の開口18に嵌入することにより開口18の両端縁が前記係止段部22a,23aに係合されて、開口18を扁平三角形状の開放状態に拡張保持するようにしている。
【0014】
前記板材22,23の中間部には、それぞれ長孔状のガイド孔22b,23bが形成され、両ガイド孔22b,23bには後述する図4に示す発泡成形型30の第1成形型31に設けた係止ピン36が挿入され、開口拡張治具21を前記第1成形型31の所定位置に保持するようになっている。図1に示すように前記板材22,23の基端部には切欠部22c,23cが形成され、前記ヒンジ機構24の下端から前記板材22,23が下方に延在され、図4〜6に示すように前記発泡成形型30のキャビティ内に板材22,23の下端縁が若干進入するようになっている。
【0015】
次に、図4〜図7に基づいて、前記ヘッドレストステー17及び開口拡張治具21を装着したパッド部11の内部に発泡原料を注入して、発泡成形する発泡成形型30について説明する。
【0016】
前記パッド部11の片側(図4において右側)の表面を保持する第1成形型31の下端部には、パッド部11の他側(図4において左側)の表面を保持する第2成形型32がヒンジ機構33を介して左右方向に開閉回動可能に装着されている。前記第2成形型32の上端部には、第3成形型34がヒンジ機構35を介して上下方向に開閉可能に装着されている。図7に示すように前記第1成形型31の上部型合わせ面の左右両側には、前記第3成形型34の左右両側に形成された一対の凸部34aを嵌合するための凹部31aが形成されている。又、第1成形型31の前記一対の凹部31aの間に形成された凸部31bは、前記第3成形型34の前記凸部34aの間に形成された凹部34bに嵌入されるようになっている。前記凹部31a, 31a及び凸部34a,34aの型合面には、型合わせ状態で前記ヘッドレストステー17の脚部17a,17aを貫通支持するための支持孔を形成する溝31c,34cが形成されている。
【0017】
前記第1成形型31の前記凸部31bの先端型合面には、前記開口拡張治具21のヒンジ機構24付近を屈曲状態のまま保持する左右一対の傾斜保持面31d,31dが緩やかな山形状に形成され、両傾斜保持面31d,31dには、前記開口拡張治具21を保持するための左右一対の係止ピン36が互いに平行に形成されている。そして、前記両係止ピン36を板材22,23のガイド孔22b,23bに挿入することにより開口拡張治具21が前記第1成形型31の凸部31bの型合面の所定位置に保持されるようにしている。第3成形型34の前記凹部34bと対応する型合面には、前記開口拡張治具21を型閉め時に扁平状態で収容保持可能な収容凹部34dが形成され、該収容凹部34dには前記両係止ピン36の先端部を挿入可能な挿入孔34eが二箇所に形成されている。
【0018】
次に、前記発泡成形型30を用いて、前記パッド部11内に発泡原料を注入してヘッドレストのパッド部11を発泡成形する方法について説明する。
最初に、図3に示すように、パッド部11の挿通孔16にヘッドレストステー17の脚部17aを装着するとともに、スリット状の開口18に開口拡張治具21を屈曲状態で嵌入する。
【0019】
次に、図4に示すように発泡成形型30の第1〜第3成形型31〜34を開放した状態で、前記パッド部11を第1成形型31に収容するとともに、前記ヘッドレストステー17の脚部17aを第1成形型31に設けた溝31cに係合して上方に突出させる。この動作と同期して、前記第1成形型31の傾斜保持面31dに設けた係止ピン36を前記開口拡張治具21のガイド孔22b,23bに貫通して、開口拡張治具21を両係止ピン36により保持する。この状態では前記開口拡張治具21の板材22,23が屈曲状態に保持されているので、スリット状の開口18が扁平三角形状の開口状態(図3参照)に保持されている。
【0020】
次に、前記第2成形型32及び第3成形型34をヒンジ機構33を中心に図4において時計周り方向に回動し、図5に示すようにパッド部11の左側表面及び板材22,23の先端縁を保持可能な位置に回動する。この状態において前記スリット状の開口18から発泡原料の注入機41によって、例えばウレタン樹脂等の発泡原料42をパッド部11の内部に注入し、所定の量が注入された後に、注入機41からの発泡原料42の注入を停止する。
【0021】
さらに、図5において、第2成形型32及び第3成形型34をヒンジ機構33を中心に、第1成形型31側へ回動することによって、第1〜第3成形型31,32,34を図6に示すように型閉めする。この工程において、前記開口拡張治具21に型閉め力が付与されることにより該開口拡張治具21の板材22,23がヒンジ機構24を中心に屈曲状態から扁平状態に変形され、第1成形型31の凹部31aに第3成形型34の凸部34aが嵌合されるとともに、凹部34bに凸部31bが嵌合される。そして、第3成形型34の収容凹部34dに開口拡張治具21が扁平状態で収容され、発泡成形型30の型閉めが完了する。この型閉め工程においては、両係止ピン36が長孔状のガイド孔22b,23bに貫通されているので、開口拡張治具21の板材22,23の回動変形が許容される。この型閉め状態では、前記係止ピン36の先端部は前記第3成形型34の収容凹部34dの底面に設けた挿入孔34eに挿入される。
【0022】
パッド部11の内部の発泡原料42が発泡されてパッド部11の発泡成形が完了した後、発泡成形型30の第2成形型32及び第3成形型34を型開き状態にする。次に、第3成形型34を開放した状態で、第1成形型31からパッド部11を分離する。さらに、分離されたパッド部11のスリット状の開口18から開口拡張治具21を引き離すことにより、パッド部11の発泡成型が完了する。なお、前記開口拡張治具21は、手動により扁平状態から図1に示す屈曲状態に復元されて、次のパッド部11の成形作業に用いられる。
【0023】
上記実施形態のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、パッド部11の表皮材12に形成したスリット状の開口18に屈曲状態の開口拡張治具21を嵌入して、該開口18を扁平三角形状の開口状態に拡張保持した状態で、パッド部11を型開き状態の発泡成形型30の内部に収容し、前記三角形状の開口18から注入機41によって発泡原料42をパッド部11の内部に注入するようにした。このため、開口拡張治具21のみを利用して、パッド部11の内部に発泡原料42を注入することができ、従来必要であったチューブ状フイルムや漏斗を不要にして、製造コストの低減を図ることができる。又、スリット状の開口18に対して、開口拡張治具21の装着作業を1回行うだけでよいので、成形型30の付属部品のセット作業を容易に行い、前記と同様にコストを低減することができる。さらに、開口拡張治具21は表皮材12のスリット状の開口18から内部に深く進入させる必要がないので、該治具21の表面に付着する発泡樹脂の量を殆ど無くして、原料費の無駄を無くすことができるとともに、発泡樹脂に欠肉部が生じるの無くして、パッド部11の見栄えをよくすることができる。
【0024】
(2)上記実施形態では、発泡成形型30の第1成形型31の凸部31bの型合面に対して傾斜保持面31dを形成し、この傾斜保持面31dに一対の係止ピン36を取り付け、両係止ピン36に開口拡張治具21をそのガイド孔22b,23bにより装着するようにした。又、型閉め状態で開口拡張治具21を前記第3成形型34の収容凹部34dに扁平状態で収容するようにした。このため、開口拡張治具21を第1成形型31と第3成形型34の凸部31b及び凹部34bの型合面の所定位置に安定して保持することができる。
【0025】
(3)上記実施形態では、開口拡張治具21によってスリット状の開口18を扁平三角形状に拡張保持した状態で、注入機41から発泡原料42を注入するようにしたので、漏斗を用いる方法と比較して発泡原料42の注入時間を短くでき、成形作業の能率を向上することができる。又、広い面積に開放された開口18を利用してパッド部11の内部の底部に発泡原料42を表面に凹凸が生じないようにほぼ均等に注入することができる。さらに、開口拡張治具21に発泡原料42が付着して残留することもないので、残留原料が滴下して、発泡原料42の表面に凹凸が生じることもない。このため、発泡原料42が発泡するに従ってその上面がほぼ均一の高さを保持したまま上昇し、パッド部11の上部空間に発泡樹脂が均一に充填され、欠肉部を無くして、パッド部11の品質を向上することができる。
【0026】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○図8に示すように、弾性板材により常には屈曲状態に一体に形成された開口拡張治具21を用いてもよい。この場合には製造を容易に行い、コストを低減することができる。
【0027】
○図9に示すように、弾性板材により常には扁平な菱形状に一体に形成された開口拡張治具21を用いてもよい。又、図示しないが図1に示す開口拡張治具21を二つ組み合わせて菱形状に形成してもよい。これらの場合にはスリット状の開口18を菱形状に開放することができるので、開口18の開放状態を安定化することができる。
【0028】
○前記第3成形型34の収容凹部34dを省略してもよい。
○前記実施形態では、自動車のヘッドレストの発泡成形装置に具体化したが、これ以外に、例えばアームレストやその他のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明のインサート内蔵表皮一体発泡品としての自動車のヘッドレスト及び開口拡張治具を示す分離斜視図。
【図2】開口拡張治具のヒンジ機構の詳細を示す拡大斜視図。
【図3】パッド部のスリット状の開口に開口拡張治具を嵌入した状態を示す斜視図。
【図4】発泡成形型によるパッド部の発泡成形作業を説明するための型開き状態の断面図。
【図5】発泡成形型の半型開き状態を示す断面図。
【図6】発泡成形型によるパッド部の発泡成形作業を説明するための型閉め状態の断面図。
【図7】開口拡張治具、第1成形型及び第3成形型の関係を説明する斜視図。
【図8】開口拡張治具の別例を示す斜視図。
【図9】開口拡張治具の別例を示す斜視図。
【図10】従来のヘッドレストのパッド部、板状治具及び漏斗を示す斜視図。
【図11】従来の発泡成形作業を説明するための型閉め状態の断面図。
【符号の説明】
【0030】
18…スリット状の開口、21…開口拡張治具、22,23…板材、24…ヒンジ機構、30…発泡成形型、31…第1成形型、31b…凸部、31d…傾斜保持面、32…第2成形型、34…第3成形型、34b…凹部、34d…収容凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のヘッドレスト、アームレスト等のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドレストは、袋状表皮内にヘッドレストステーよりなるインサートを収容した後、該袋状表皮内に発泡原料を注入して、発泡成形されている。このヘッドレストの製造方法として、特許文献1に開示されたものが提案されている。この製造方法は、図10に示すようにヘッドレストのスリット状の開口18を形成した袋状の表皮材12の内部にヘッドレストステー(インサート)17を配し、前記開口18から表皮材12の内方へ表皮端縁を延設して図11に示すように一対の舌片12a,12bを設ける。次に、舌片12a,12bの間にチューブ状フイルム51を挟むとともに、前記舌片12a,12b間に前記開口18の長さとほぼ等しい長さの板状治具52を挿入する。そして、この板状治具52で開口18を直線状に張った後、パッド部11を図11に示す成形型50に収容し、前記チューブ状フイルム51内に漏斗53を差し込んで、該漏斗53を介して注入機54により発泡原料55を表皮材12の内部へ注入し、パッド部11の発泡成形を行うようになっている。
【特許文献1】特開平7−31759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の製造方法は、発泡原料55の注入用の漏斗53と、この漏斗53を開口18から引き抜く際に、漏斗53に付着した発泡原料55が表皮材12の表面に滴下するのを防ぐためのチューブ状フイルム51とを用いなければならない。このため、それらのセット作業に時間を要し、成形作業能率が低下するばかりでなく、発泡成形型50の付属部品点数が多くなって、その製造が面倒となり、製造コストを低減することができないという問題があった。又、発泡成形作業中に前記漏斗53とチューブ状フイルム51に発泡原料55が付着残留するので、原料費が無駄になるばかりでなく、漏斗53の清掃作業を行う必要があるので、この点からも成形作業の能率が低下し、表皮一体発泡品(パッド部11)の製造コストを低減することができないという問題があった。
【0004】
又、従来の製造方法は、漏斗53を用いて発泡原料55をパッド部11内に注入するので、漏斗53内に残留した発泡原料55が滴下する。そのため、図11に示すように発泡原料55の表面が凹凸状になり、この発泡原料55が発泡する最終段階で、パッド部11の内部上側に谷部Tにより局部的に空洞部が形成される恐れがあるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、発泡成形作業に必要な付属部品を少なくして、表皮一体発泡品の製造コストを低減することができるとともに、成形型の付属部品のコストを低減し、原料費の無駄を無くすことができ、さらに、表皮一体発泡品の見栄えをよくすることができるインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、スリット状の開口を形成した袋状表皮の内部にインサートを配し、前記スリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入して、該開口を発泡原料が注入可能な開口状態に保持し、前記インサート及び開口拡張治具を備えた袋状表皮を、型開き状態の発泡成形型内にセットした後、前記開口から袋状表皮の内部へ発泡原料を注入し、その後、前記発泡成形型を型閉して屈曲状態の前記開口拡張治具を扁平状態に変形させるとともに、前記開口を閉鎖し、前記袋状表皮及びインサートと発泡原料を一体に発泡成形することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の製造方法に用いられる開口拡張治具であって、屈曲状態に保持され、発泡成形型によって型閉め力が付与されると、扁平状態に変形するように構成されることを特徴とすることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記開口拡張治具は、弾性板材により屈曲状態に一体に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の開口拡張治具を備えた発泡成形型であって、該発泡成形型には、型閉め状態において、前記開口拡張治具を扁平状態に収容保持する収容凹部が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、袋状表皮のスリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入することにより、スリット状の開口を発泡原料を注入可能な開口状態に保持するようにした。このため、発泡原料の注入に必要な付属部品点数を開口拡張治具一つのみにして、製造を容易に行い、製造コストの低減を図ることができる。又、スリット状の開口に対して、開口拡張治具の装着作業を1回行うだけでよいので、成形型のセット作業を容易に行い、コストを低減することができる。さらに、開口拡張治具は袋状表皮のスリット状の開口から内部に深く進入させる必要がないので、該治具の表面に付着する発泡樹脂の量を殆ど無くして、原料費の無駄を無くすことができるとともに、発泡樹脂に欠肉部が生じるの無くして、表皮一体発泡品の見栄えをよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をインサート内蔵表皮一体発泡品としての自動車のヘッドレストの製造方法及びそれに用いる発泡成形型に具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、ヘッドレストのパッド部11の外周面を形成するように所定形状に裁断された生地13を縫着した表皮材12の底部左右両側には、すなわちパッド部11の底部左右両側には、二つの挿通孔16が形成され、両挿通孔16にインサートとしてのU字状のヘッドレストステー17の一対の脚部17aが挿入され、それらの上端部が外部に突出されている。
【0011】
前記表皮材12の底部中央には、すなわちパッド部11の底部中央には、スリット状の開口18が形成され、表皮材12の縫着後の表裏反転がこの開口18を通して行われる。
次に、前記スリット状の開口18の内周縁に取り付けられて、該開口18を扁平三角形状の開口状態に拡張保持するための開口拡張治具21について説明する。
【0012】
この開口拡張治具21は、図1に示すように、左右一対の帯状の板材22,23をヒンジ機構24によって互いに回動可能に連結して構成されている。このヒンジ機構24は、図2に示すように一方の前記板材22の基端部に連結されたほぼ円筒状の筒部25と、他方の前記板材23の基端部に連結された円筒状の上下一対の筒部26に対し、連結ピン27を挿入するとともに、該連結ピン27の中間部を前記筒部25に固定し、連結ピン27の上部外周面に形成された切欠部27aに、前記上側の筒部26の扁平状部26aを接触させている。そして、前記扁平状部26aと切欠部27aの係合により板材22,23が屈曲状態、すなわち扁平な山形状に弾性的に保持されるようになっている。又、屈曲状態の板材22,23に対してヒンジ機構24を中心にして所定値以上の外力、つまり後述するように成形型にセットした状態で型閉め力が作用すると、切欠部27aに対する扁平状部26aの対応関係が解かれて、板材22,23が屈曲状態から扁平状態に回動変形するようにしている。図1に示す開口拡張治具21の屈曲状態において板材22,23の角度αは例えば160度に設定されている。
【0013】
図1に示すように、前記開口拡張治具21の板材22,23の先端下部には係止段部22a,23aが切欠形成されている。開口拡張治具21を図3に示すように前記スリット状の開口18に嵌入することにより開口18の両端縁が前記係止段部22a,23aに係合されて、開口18を扁平三角形状の開放状態に拡張保持するようにしている。
【0014】
前記板材22,23の中間部には、それぞれ長孔状のガイド孔22b,23bが形成され、両ガイド孔22b,23bには後述する図4に示す発泡成形型30の第1成形型31に設けた係止ピン36が挿入され、開口拡張治具21を前記第1成形型31の所定位置に保持するようになっている。図1に示すように前記板材22,23の基端部には切欠部22c,23cが形成され、前記ヒンジ機構24の下端から前記板材22,23が下方に延在され、図4〜6に示すように前記発泡成形型30のキャビティ内に板材22,23の下端縁が若干進入するようになっている。
【0015】
次に、図4〜図7に基づいて、前記ヘッドレストステー17及び開口拡張治具21を装着したパッド部11の内部に発泡原料を注入して、発泡成形する発泡成形型30について説明する。
【0016】
前記パッド部11の片側(図4において右側)の表面を保持する第1成形型31の下端部には、パッド部11の他側(図4において左側)の表面を保持する第2成形型32がヒンジ機構33を介して左右方向に開閉回動可能に装着されている。前記第2成形型32の上端部には、第3成形型34がヒンジ機構35を介して上下方向に開閉可能に装着されている。図7に示すように前記第1成形型31の上部型合わせ面の左右両側には、前記第3成形型34の左右両側に形成された一対の凸部34aを嵌合するための凹部31aが形成されている。又、第1成形型31の前記一対の凹部31aの間に形成された凸部31bは、前記第3成形型34の前記凸部34aの間に形成された凹部34bに嵌入されるようになっている。前記凹部31a, 31a及び凸部34a,34aの型合面には、型合わせ状態で前記ヘッドレストステー17の脚部17a,17aを貫通支持するための支持孔を形成する溝31c,34cが形成されている。
【0017】
前記第1成形型31の前記凸部31bの先端型合面には、前記開口拡張治具21のヒンジ機構24付近を屈曲状態のまま保持する左右一対の傾斜保持面31d,31dが緩やかな山形状に形成され、両傾斜保持面31d,31dには、前記開口拡張治具21を保持するための左右一対の係止ピン36が互いに平行に形成されている。そして、前記両係止ピン36を板材22,23のガイド孔22b,23bに挿入することにより開口拡張治具21が前記第1成形型31の凸部31bの型合面の所定位置に保持されるようにしている。第3成形型34の前記凹部34bと対応する型合面には、前記開口拡張治具21を型閉め時に扁平状態で収容保持可能な収容凹部34dが形成され、該収容凹部34dには前記両係止ピン36の先端部を挿入可能な挿入孔34eが二箇所に形成されている。
【0018】
次に、前記発泡成形型30を用いて、前記パッド部11内に発泡原料を注入してヘッドレストのパッド部11を発泡成形する方法について説明する。
最初に、図3に示すように、パッド部11の挿通孔16にヘッドレストステー17の脚部17aを装着するとともに、スリット状の開口18に開口拡張治具21を屈曲状態で嵌入する。
【0019】
次に、図4に示すように発泡成形型30の第1〜第3成形型31〜34を開放した状態で、前記パッド部11を第1成形型31に収容するとともに、前記ヘッドレストステー17の脚部17aを第1成形型31に設けた溝31cに係合して上方に突出させる。この動作と同期して、前記第1成形型31の傾斜保持面31dに設けた係止ピン36を前記開口拡張治具21のガイド孔22b,23bに貫通して、開口拡張治具21を両係止ピン36により保持する。この状態では前記開口拡張治具21の板材22,23が屈曲状態に保持されているので、スリット状の開口18が扁平三角形状の開口状態(図3参照)に保持されている。
【0020】
次に、前記第2成形型32及び第3成形型34をヒンジ機構33を中心に図4において時計周り方向に回動し、図5に示すようにパッド部11の左側表面及び板材22,23の先端縁を保持可能な位置に回動する。この状態において前記スリット状の開口18から発泡原料の注入機41によって、例えばウレタン樹脂等の発泡原料42をパッド部11の内部に注入し、所定の量が注入された後に、注入機41からの発泡原料42の注入を停止する。
【0021】
さらに、図5において、第2成形型32及び第3成形型34をヒンジ機構33を中心に、第1成形型31側へ回動することによって、第1〜第3成形型31,32,34を図6に示すように型閉めする。この工程において、前記開口拡張治具21に型閉め力が付与されることにより該開口拡張治具21の板材22,23がヒンジ機構24を中心に屈曲状態から扁平状態に変形され、第1成形型31の凹部31aに第3成形型34の凸部34aが嵌合されるとともに、凹部34bに凸部31bが嵌合される。そして、第3成形型34の収容凹部34dに開口拡張治具21が扁平状態で収容され、発泡成形型30の型閉めが完了する。この型閉め工程においては、両係止ピン36が長孔状のガイド孔22b,23bに貫通されているので、開口拡張治具21の板材22,23の回動変形が許容される。この型閉め状態では、前記係止ピン36の先端部は前記第3成形型34の収容凹部34dの底面に設けた挿入孔34eに挿入される。
【0022】
パッド部11の内部の発泡原料42が発泡されてパッド部11の発泡成形が完了した後、発泡成形型30の第2成形型32及び第3成形型34を型開き状態にする。次に、第3成形型34を開放した状態で、第1成形型31からパッド部11を分離する。さらに、分離されたパッド部11のスリット状の開口18から開口拡張治具21を引き離すことにより、パッド部11の発泡成型が完了する。なお、前記開口拡張治具21は、手動により扁平状態から図1に示す屈曲状態に復元されて、次のパッド部11の成形作業に用いられる。
【0023】
上記実施形態のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、パッド部11の表皮材12に形成したスリット状の開口18に屈曲状態の開口拡張治具21を嵌入して、該開口18を扁平三角形状の開口状態に拡張保持した状態で、パッド部11を型開き状態の発泡成形型30の内部に収容し、前記三角形状の開口18から注入機41によって発泡原料42をパッド部11の内部に注入するようにした。このため、開口拡張治具21のみを利用して、パッド部11の内部に発泡原料42を注入することができ、従来必要であったチューブ状フイルムや漏斗を不要にして、製造コストの低減を図ることができる。又、スリット状の開口18に対して、開口拡張治具21の装着作業を1回行うだけでよいので、成形型30の付属部品のセット作業を容易に行い、前記と同様にコストを低減することができる。さらに、開口拡張治具21は表皮材12のスリット状の開口18から内部に深く進入させる必要がないので、該治具21の表面に付着する発泡樹脂の量を殆ど無くして、原料費の無駄を無くすことができるとともに、発泡樹脂に欠肉部が生じるの無くして、パッド部11の見栄えをよくすることができる。
【0024】
(2)上記実施形態では、発泡成形型30の第1成形型31の凸部31bの型合面に対して傾斜保持面31dを形成し、この傾斜保持面31dに一対の係止ピン36を取り付け、両係止ピン36に開口拡張治具21をそのガイド孔22b,23bにより装着するようにした。又、型閉め状態で開口拡張治具21を前記第3成形型34の収容凹部34dに扁平状態で収容するようにした。このため、開口拡張治具21を第1成形型31と第3成形型34の凸部31b及び凹部34bの型合面の所定位置に安定して保持することができる。
【0025】
(3)上記実施形態では、開口拡張治具21によってスリット状の開口18を扁平三角形状に拡張保持した状態で、注入機41から発泡原料42を注入するようにしたので、漏斗を用いる方法と比較して発泡原料42の注入時間を短くでき、成形作業の能率を向上することができる。又、広い面積に開放された開口18を利用してパッド部11の内部の底部に発泡原料42を表面に凹凸が生じないようにほぼ均等に注入することができる。さらに、開口拡張治具21に発泡原料42が付着して残留することもないので、残留原料が滴下して、発泡原料42の表面に凹凸が生じることもない。このため、発泡原料42が発泡するに従ってその上面がほぼ均一の高さを保持したまま上昇し、パッド部11の上部空間に発泡樹脂が均一に充填され、欠肉部を無くして、パッド部11の品質を向上することができる。
【0026】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○図8に示すように、弾性板材により常には屈曲状態に一体に形成された開口拡張治具21を用いてもよい。この場合には製造を容易に行い、コストを低減することができる。
【0027】
○図9に示すように、弾性板材により常には扁平な菱形状に一体に形成された開口拡張治具21を用いてもよい。又、図示しないが図1に示す開口拡張治具21を二つ組み合わせて菱形状に形成してもよい。これらの場合にはスリット状の開口18を菱形状に開放することができるので、開口18の開放状態を安定化することができる。
【0028】
○前記第3成形型34の収容凹部34dを省略してもよい。
○前記実施形態では、自動車のヘッドレストの発泡成形装置に具体化したが、これ以外に、例えばアームレストやその他のインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法及びそれに用いる開口拡張治具並びに発泡成形型に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明のインサート内蔵表皮一体発泡品としての自動車のヘッドレスト及び開口拡張治具を示す分離斜視図。
【図2】開口拡張治具のヒンジ機構の詳細を示す拡大斜視図。
【図3】パッド部のスリット状の開口に開口拡張治具を嵌入した状態を示す斜視図。
【図4】発泡成形型によるパッド部の発泡成形作業を説明するための型開き状態の断面図。
【図5】発泡成形型の半型開き状態を示す断面図。
【図6】発泡成形型によるパッド部の発泡成形作業を説明するための型閉め状態の断面図。
【図7】開口拡張治具、第1成形型及び第3成形型の関係を説明する斜視図。
【図8】開口拡張治具の別例を示す斜視図。
【図9】開口拡張治具の別例を示す斜視図。
【図10】従来のヘッドレストのパッド部、板状治具及び漏斗を示す斜視図。
【図11】従来の発泡成形作業を説明するための型閉め状態の断面図。
【符号の説明】
【0030】
18…スリット状の開口、21…開口拡張治具、22,23…板材、24…ヒンジ機構、30…発泡成形型、31…第1成形型、31b…凸部、31d…傾斜保持面、32…第2成形型、34…第3成形型、34b…凹部、34d…収容凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット状の開口を形成した袋状表皮の内部にインサートを配し、前記スリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入して、該開口を発泡原料が注入可能な開口状態に保持し、前記インサート及び開口拡張治具を備えた袋状表皮を、型開き状態の発泡成形型内にセットした後、前記開口から袋状表皮の内部へ発泡原料を注入し、その後、前記発泡成形型を型閉して屈曲状態の前記開口拡張治具を扁平状態に変形させるとともに、前記開口を閉鎖し、前記袋状表皮及びインサートと発泡原料を一体に発泡成形することを特徴とするインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法に用いられる開口拡張治具であって、屈曲状態に保持され、発泡成形型によって型閉め力が付与されると、扁平状態に変形するように構成されていることを特徴とする開口拡張治具。
【請求項3】
請求項2において、前記開口拡張治具は、弾性板材により屈曲状態に一体に形成されていることを特徴とする開口拡張治具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の開口拡張治具を備えた発泡成形型であって、該発泡成形型には、型閉め状態において、前記開口拡張治具を扁平状態に収容保持する収容凹部が形成されていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項1】
スリット状の開口を形成した袋状表皮の内部にインサートを配し、前記スリット状の開口に屈曲状態の開口拡張治具を嵌入して、該開口を発泡原料が注入可能な開口状態に保持し、前記インサート及び開口拡張治具を備えた袋状表皮を、型開き状態の発泡成形型内にセットした後、前記開口から袋状表皮の内部へ発泡原料を注入し、その後、前記発泡成形型を型閉して屈曲状態の前記開口拡張治具を扁平状態に変形させるとともに、前記開口を閉鎖し、前記袋状表皮及びインサートと発泡原料を一体に発泡成形することを特徴とするインサート内蔵表皮一体発泡品の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法に用いられる開口拡張治具であって、屈曲状態に保持され、発泡成形型によって型閉め力が付与されると、扁平状態に変形するように構成されていることを特徴とする開口拡張治具。
【請求項3】
請求項2において、前記開口拡張治具は、弾性板材により屈曲状態に一体に形成されていることを特徴とする開口拡張治具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の開口拡張治具を備えた発泡成形型であって、該発泡成形型には、型閉め状態において、前記開口拡張治具を扁平状態に収容保持する収容凹部が形成されていることを特徴とする発泡成形型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−204782(P2006−204782A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24331(P2005−24331)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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