説明

インジケータ付きモジュールおよびその製造方法

【課題】インジケータの位置に変更があっても効率よく製造可能であるインジケータ付きモジュールおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】電子素子2と、基板1と、端子3と、電子素子2の動作状態に応じて点灯するLEDチップ4と、を備えた半導体リレーモジュールA1であって、LEDチップ4からの光を入射させる光入射部5a、およびこの光を出射させる光出射部5bを有する導光部材5と、電子素子2および導光部材5のうち光出射部5b以外の部分を覆う樹脂コーティング6とを備えており、光出射部5bは、端子3が延びる方向とは異なる方向において基板1および電子素子2よりも突出しており、光出射部5bと樹脂コーティング6のうち光出射部5bを囲う部分とは、面一とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電源モジュールまたは半導体リレーモジュールなど、動作状態を示すためのインジケータを有するモジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のインジケータ付きモジュールの一例を示している。同図に示されたリレーモジュールXは、導通支持部材91、電子素子92、端子93、LEDチップ94、導光部材95、およびカバー96を備えている。リレーモジュールXは、端子93を用いてたとえば回路基板に実装される。LEDチップ94および導光部材95は、いわゆる砲弾型のLEDモジュールを構成しており、リレーモジュールXの動作状態を示すインジケータである。カバー96は、導通支持部材91および電子素子92を覆っており、これらを保護するためのものである。
【0003】
リレーモジュールXを製造する際には、まず導通支持部材91に電子素子92、端子93、LEDチップ94、および導光部材95が搭載される。次に、カバー96は、導通支持部材91および電子素子92を十分に覆うことが可能な形状およびサイズとされる。また、カバー96には、導光部材95を適切に露出させる開孔が設けられる。この開孔の位置は、導通支持部材91に対する導光部材95の取り付け位置をもとに、正確に規定される必要がある。このため、リレーモジュールXの機能や視認性を向上させるための小変更によって導通支持部材91に対する導光部材95の取り付け位置が変更されると、これに合わせて上記開孔の位置を変更することが強いられていた。また、インジケータ付きモジュールの他の形態としては、カバー96に代えてモールド成形された樹脂パッケージを備えるものがある。この形態においては、導光部材95の取り付け位置を変更しようとすると、上記樹脂パッケージを形成するための金型を作り直す必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−208600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、インジケータの位置に変更があっても効率よく製造可能であるインジケータ付きモジュールおよびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるインジケータ付きモジュールは、電子素子と、上記電子素子が搭載された導通支持部材と、上記導通支持部材から延びる端子と、上記電子素子の動作状態に応じて点灯する光源と、を備えたインジケータ付きモジュールであって、上記光源からの光を入射させる光入射部、およびこの光を出射させる光出射部を有する導光部材と、上記電子素子および上記導光部材のうち上記光出射部以外の部分を覆う樹脂コーティングとを備えており、上記光出射部は、上記端子が延びる方向とは異なる方向において上記導通支持部材および上記電子素子よりも突出しており、上記光出射部と上記樹脂コーティングのうち上記光出射部を囲う部分とは、面一とされていることを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、上記光出射部は、上記インジケータ付きモジュールの外面にはっきりと露出したものとなる。このため、上記光出射部を透して上記光源が点灯しているか否かを適切に視認することが可能である。
【0008】
本発明の第2の側面によって提供されるインジケータ付きモジュールの製造方法は、導通支持部材に電子素子、端子、光源、および上記光源からの光を入射させる光入射部を有する導光部材を搭載する第1工程と、上記電子素子および上記導光部材を覆う樹脂コーティングを形成する第2工程と、を有しており、上記第1工程においては、上記導光部材のうち上記光入射部から離間した位置にある端部を、上記端子が延びる方向とは異なる方向において上記導通支持部材および上記電子素子よりも突出させ、上記第2工程の後に、上記導光部材の上記端部が突出する方向に垂直な方向に沿って上記導光部材および上記樹脂コーティングを切断することにより、上記導光部材に上記光源からの光を出射させる光出射部を形成する第3工程をさらに有することを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、上記導光部材の上記基板に対する取り付け位置が変更されても、上記第2工程および上記第3工程における作業をほとんど変更必要がない。したがって、導光部材の取り付け位置を比較的高い頻度で変更するインジケータ付きモジュールや、導光部材の取り付け位置が互いに異なる複数種類のインジケータ付きモジュールを効率よく製造することができる。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るインジケータ付きモジュールの第1実施形態を示している。本実施形態の半導体リレーモジュールA1は、基板1、電子素子2、端子3、LEDチップ4、導光部材5、および樹脂コーティング6を備えている。半導体リレーモジュールA1は、たとえば回路基板に実装される電子部品であり、ある電気信号を受けることにより他の電気信号を制御するスイッチング機能を有する。半導体リレーモジュールA1のスイッチング動作状態は、LEDチップ4の点灯によって目視確認することができる。
【0013】
基板1は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板であり、本発明で言う導通支持部材の一例である。基板1は、全体が矩形状とされており、切り欠き1aが形成されている。切り欠き1aは、LEDチップ4および導光部材5を設けるために利用される。基板1には、配線パターン(図示略)が形成されている。この配線パターンを介して、電子素子2、端子3、およびLEDチップ4が適宜導通している。
【0014】
電子素子2は、半導体リレーモジュールA1のスイッチング機能を実現するためのものであり、たとえばMOSFETなどの半導体素子である。電子素子2は、絶縁基板1の一面側に面実装されている。
【0015】
端子3は、リレーモジュールA1が搭載されるたとえば回路基板との間で信号のやり取りを行うためのものである。端子3は、たとえばCu、Niまたはこれらの合金からなり、基板1から突出するように設けられている。
【0016】
LEDチップ4は、たとえば窒化ガリウムからなる半導体層が積層された半導体発光素子であり、本発明で言う光源の一例である。LEDチップ4は、導光部材5によって覆われている。LEDチップ4と導光部材5とは、本発明で言うインジケータの一例を構成しており、切り欠き1aを利用して基板1に対して取り付けられている。導光部材5は、LEDチップ4からの光を透過可能なたとえばエポキシ樹脂からなり、略円柱形状である。導光部材5のうちLEDチップ4の発光部を覆っている部分が、光入射部5aとなっている。導光部材5には、光出射部5bが形成されている。光出射部5bは、光入射部5aから入射した光を出射するための部分であり、平面状とされている。光出射部5bは、端子3が突出する方向とは反対側の方向において、基板1および電子素子2よりも突出している。
【0017】
樹脂コーティング6は、基板1、電子素子2、および導光部材5のうち光出射部5b以外の部分を覆っており、これらを保護するためのものである。樹脂コーティング6は、たとえば黒色の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる。樹脂コーティング6のうち光出射部5bを囲う部分は、光出射部5bと面一とされている。
【0018】
次に、半導体リレーモジュールA1の製造方法について、図2から図4を参照しつつ以下に説明する。
【0019】
まず、図2に示すように、電子素子2、端子3、LEDチップ4、および導光部材5’を実装する。電子素子2の実装は、たとえばリフローの手法を用いて行う。LEDチップ4および導光部材5’は、いわゆる砲弾型のLEDモジュールを構成している。このLEDモジュールを切り欠き1aに沿わせた状態で、基板1にハンダ付けする。これにより、導光部材5’は、その端部5cが端子3とは反対の方向に突出する姿勢となる。以上により、本発明で言う第1工程が完了する。
【0020】
次に、図3に示すように、電子素子2、端子3、LEDチップ4、および導光部材5’が実装された基板1に対してディップモールドを施す。本実施形態においては、電子素子2などが実装された基板1をたとえば150℃程度に加熱した後に、基板1を粉末樹脂51にディップする。このとき、端子3、または端子3が連結されたフレーム(図示略)を支持しながら、基板1全体をディップする。加熱された基板1などに触れた粉末樹脂51は、溶融した後に基板1などに付着する。この作業を数回繰り返すことにより、図4に示す樹脂コーティング6’が形成される。樹脂コーティング6’は、基板1、電子素子2、端子3の一部、導光部材5’全体を覆っている。以上により、本発明で言う第2工程が完了する。
【0021】
次に、図4に示す切断線CLに沿って、導光部材5’および樹脂コーティング6’を切断する。この切断を行うには、たとえば回転刃を用いて導光部材5’および樹脂コーティング6’を切断してもよいし、研磨手段を用いて導光部材5’および樹脂コーティング6’のうち切断線CLから突出する部分を削り落としてもよい。本実施形態においては、端子3を基準として、端子3から所定距離だけ離れた位置まで上記研磨手段によって削り落としている。この切断によって、砲弾型であった導光部材5’が、図1に示す光出射部5bを有する円柱状の導光部材5となる。また、樹脂コーティング6’が、光出射部5bと面一である部分を有する樹脂コーティング6となる。以上より、本発明で言う第3工程が完了し、半導体リレーモジュールA1が得られる。
【0022】
次に、半導体リレーモジュールA1およびその製造方法の作用について説明する。
【0023】
本実施形態によれば、基板1に対する導光部材5の取り付け位置が変更されても、樹脂コーティング6を形成する工程をほとんど変更する必要がない。このため、半導体リレーモジュールA1の仕様変更をする場合に、たとえばカバーの設計変更や金型の再製作に伴ってコストが増加することがない。したがって、導光部材5の取り付け位置に変更があっても半導体リレーモジュールA1を効率よく製造することができる。
【0024】
導光部材5’は、その端部5cが端子3とは異なる方向に突出するように設けられる。このため、切断線CLに沿って切断するときには、端子3を支持した状態で、切断に用いる研磨手段を端子3から所定距離まで接近させることにより、切断線CLに沿って正確に切断することができる。
【0025】
光出射部5bは、半導体リレーモジュールA1の外面にはっきりと露出したものとなる。このため、光出射部5bを透してLEDチップ4が点灯しているか否かを適切に視認することが可能である。
【0026】
図5〜図7は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0027】
図5は、本発明に係るインジケータ付きモジュールの第2実施形態を示している。本実施形態の半導体リレーモジュールA2は、端子3が突出する方向に対して、光出射部5bが向く方向が上述した実施形態とは異なっている。このような実施形態によれば、半導体リレーモジュールA2が回路基板に実装された状態で、この回路基板が広がる方向から半導体リレーモジュールA2の動作状態を確認することができる。また、本発明に係る製造方法によれば、光出射部5bの向きが互いに異なる半導体リレーモジュールA1,A2を適切に製造することができる。
【0028】
図6および図7は、本発明に係るインジケータ付きモジュールの第3実施形態を示している。本実施形態の半導体リレーモジュールA3は、LEDチップ4および導光部材5の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、LEDチップ4は、基板1に直接実装されている。LEDチップ4の実装位置は、基板1の端縁から比較的離間した位置とされている。導光部材5は、LEDチップ4から基板1外に横たわるように搭載されている。導光部材5には、LEDチップ4を収容可能な凹部が形成されている。この凹部の底面が、光入射部5aとされている。また、導光部材5には、傾斜面5dが形成されている。傾斜面5dは、光入射部5aから入射した光を光出射部5bに向けて反射させるための面である。
【0029】
このような実施形態によれば、LEDチップ4を電子素子2とともにリフローの手法を用いて面実装することが可能であり、半導体リレーモジュールA3の製造効率を高めることができる。また、傾斜面5dを有する導光部材5を用いることにより、基板1の中央寄りに設けられたLEDチップ4からの光を半導体リレーモジュールA3外へと適切に出射させることができる。
【0030】
本発明に係るインジケータ付きモジュールおよびその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るインジケータ付きモジュールおよびその製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0031】
本発明で言う光源は、LEDチップに限定されず、インジケータ付きモジュールの動作状態に応じて適宜点灯可能なものであればよい。本発明で言う導通支持部材は、基板に限定されず、たとえばリードフレームであってもよい。樹脂コーティングを形成する手段は、粉末樹脂を用いた手法に代えて、たとえば液体樹脂を用いる手法を用いてもよい。本発明に係るインジケータ付きモジュールは、半導体リレーモジュールに限定されず、電源モジュールなどその動作状態を目視確認することが必要とされる様々なモジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るインジケータ付きモジュールの第1実施形態を示す一部断面正面図である。
【図2】図1に示すインジケータ付きモジュールの製造方法の一例における第1工程を示す正面図である。
【図3】図1に示すインジケータ付きモジュールの製造方法の一例における第2工程を示す正面図である。
【図4】図1に示すインジケータ付きモジュールの製造方法の一例における第3工程を示す一部断面正面図である。
【図5】本発明に係るインジケータ付きモジュールの第2実施形態を示す一部断面正面図である。
【図6】本発明に係るインジケータ付きモジュールの第3実施形態を示す一部断面正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う要部断面図である。
【図8】従来のインジケータ付きモジュールの一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0033】
A1,A2,A3 半導体リレーモジュール(インジケータ付きモジュール)
1 基板(導通支持部材)
2 電子素子
3 端子
4 LEDチップ(光源)
5,5’ 導光部材
5a 光入射部
5b 光出射部
5c 端部
6,6’ 樹脂コーティング
51 粉末樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子と、
上記電子素子が搭載された導通支持部材と、
上記導通支持部材から延びる端子と、
上記電子素子の動作状態に応じて点灯する光源と、
を備えたインジケータ付きモジュールであって、
上記光源からの光を入射させる光入射部、およびこの光を出射させる光出射部を有する導光部材と、
上記電子素子および上記導光部材のうち上記光出射部以外の部分を覆う樹脂コーティングとを備えており、
上記光出射部は、上記端子が延びる方向とは異なる方向において上記導通支持部材および上記電子素子よりも突出しており、
上記光出射部と上記樹脂コーティングのうち上記光出射部を囲う部分とは、面一とされていることを特徴とする、インジケータ付きモジュール。
【請求項2】
導通支持部材に電子素子、端子、光源、および上記光源からの光を入射させる光入射部を有する導光部材を搭載する第1工程と、
上記電子素子および上記導光部材を覆う樹脂コーティングを形成する第2工程と、を有しており、
上記第1工程においては、上記導光部材のうち上記光入射部から離間した位置にある端部を、上記端子が延びる方向とは異なる方向において上記導通支持部材および上記電子素子よりも突出させ、
上記第2工程の後に、上記導光部材の上記端部が突出する方向に垂直な方向に沿って上記導光部材および上記樹脂コーティングを切断することにより、上記導光部材に上記光源からの光を出射させる光出射部を形成する第3工程をさらに有することを特徴とする、インジケータ付きモジュールの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−124185(P2008−124185A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305019(P2006−305019)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】