説明

インターフェイス装置、行動を促す報知方法

【課題】より環境に対する意識を高めて行動を促すことが可能なインターフェイス装置を提供する。
【解決手段】室内環境を検知可能な室内側環境計測手段12と、室外環境を検知可能な室外側環境計測手段11と、室内側における人を検知可能な人感手段13と、電気、ガス、及び水道等のエネルギーの使用状況を監視するエネルギー監視手段14と、室内側環境計測手段、室外側環境計測手段、及び人感手段によって検知された情報に基づいて、室内環境の最適化のための条件を演算し、その結果を報知可能とする最適制御演算手段22と、エネルギー監視手段からの情報に基づいてエネルギーの使用状況に関する演算をし、その結果を報知可能とする報知内容決定手段22と、最適制御演算手段及び報知内容決定手段からの結果の内容を、光、音、映像、及び動作の少なくとも1つで報知する報知機器30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住者に対して環境負荷を意識した行動を促すことを可能とするインターフェイス装置、及び行動を促す報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において地球温暖化に代表される環境問題の意識が高まり、各分野において環境負荷を考慮した技術が開発されている。住宅等の分野においても同様であり、住宅に設置される個々の機器において省エネルギー製品がその多くを占めている。
【0003】
また、建物の開口部に備えられるシャッターや窓等の建具も近年では電動で開閉させることができるものが多く、エアコンをできるだけ使用しないように室内環境を制御するに際して、当該建具を自動に電動で開閉させることが行われる。
【0004】
ところが、当然、電動化されていない建具については自動制御することはできなかった。これに対して特許文献1には、自動制御に頼ることなく、居住者が自らの手で体感しながら室内快適環境を形成するための住宅内環境ナビゲーションシステムが開示されている。これによれば、環境を計測する手段と、設備等を監視する手段からの情報に基づいて、最適環境を提案する手段により演算された結果が表示手段により表示されることにより、居住者が主体的にその表示に基づいて行動するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−300428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、演算された結果としての最適環境が示されるのみであり、その通りの行動が示唆されるものの、その効果やエネルギーの使用状況について居住者に提供することがなかった。従って、居住者の環境意識を高め、さらに積極的な行動へと誘導することが求められていた。
【0007】
そこで本発明は、上記の点に鑑み、より環境に対する意識を高めて行動を促すことが可能なインターフェイス装置を提供することを課題とする。また、このように行動を促すことができる報知方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。ここでは分かり易さのため、図面に付した参照符号を括弧書きで併せて記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、室内環境を検知可能な室内側環境計測手段(12)と、室外環境を検知可能な室外側環境計測手段(11)と、室内側における人を検知可能な人感手段(13)と、電気、ガス、及び水道等のエネルギーの使用状況を監視するエネルギー監視手段(16)と、室内側環境計測手段、室外側環境計測手段、及び人感手段によって検知された情報に基づいて、室内環境の最適化のための条件を演算し、その結果を報知可能とする最適制御演算手段(22)と、エネルギー監視手段からの情報に基づいてエネルギーの使用状況に関する演算をし、その結果を報知可能とする報知内容決定手段(22)と、最適制御演算手段及び報知内容決定手段からの結果の内容を、光、音、映像、及び動作の少なくとも1つで報知する報知機器(30)と、を備えるインターフェイス装置(1)である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインターフェイス装置(1)において、人感手段(13)は、人を区別して認識可能とされており、報知内容決定手段(22)は、区別された人に基づいて報知内容を演算することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、室内環境、及び室外環境を計測し、室内側における人を検知し、電気、ガス、及び水道等のエネルギーの使用状況を監視するとともに、計測された室内環境、室外環境、及び人の情報に基づいて、室内環境の最適化のための条件を演算(S36)し、監視したエネルギーの使用状況に関する演算をし(S38)、演算された室内環境、及びエネルギ−の使用状況を、光、音、映像、及び動作の少なくとも1つで報知する(S50)、行動を促す報知方法(S1)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実際の行動が結果等として居住者に報知されるので、より環境に対する意識を高めさせ、行動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】1つの実施形態にかかるインターフェイス装置を採用した住宅を模式的示した図である。
【図2】インターフェイス装置のブロック図である。
【図3】1つの実施形態にかかる行動を促す報知方法の流れを示した図である。
【図4】過程S10の流れを示した図である。
【図5】過程S20の流れを示した図である。
【図6】過程S30の流れを示した図である。
【図7】過程S40の流れを示した図である。
【図8】過程S50の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、1つの実施形態にかかるインターフェイス装置10を採用した住宅1を模式的示した図である。例示した住宅1は一般的な2階建て住宅を想定している。住宅1には、インターフェイス装置10の他、窓やシャッター等の建具2、冷蔵庫等の家電3、電気、ガス、水道等のエネルギーの使用量を計量する装置4が具備されている。ここで、建具2は必ずしも電動化されている必要はなく、家電3も必ずしも他の機器との通信機能を備えている必要はない。
【0016】
インターフェイス装置10は、室外側環境計測手段11、室内側環境計測手段12、人感手段13、建具監視手段14、電気設備監視手段15、エネルギー監視手段16、操作手段17、情報処理手段20、及び報知機器30を備えている。図2にはインターフェイス装置10の構成をブロック図で示した。
【0017】
室外側環境計測手段11は、住宅1の室外側に配置され、室外側の環境情報を取得する手段である。これには例えば、室外側温度、室外側湿度、日射照度、気圧、風量、風向、降雨を検知するセンサが含まれることが好ましい。また、室外側環境計測手段11に含まれる各センサは適所に複数設けられることが好ましい。これによりさらに各種判断の精度を上げることができる。
室外側環境計測手段11に用いられるセンサの種類は特に限定されることはなく、公知のものでよい。
【0018】
室内側環境計測手段12は、住宅1の室内側に配置され、室内側の環境情報を取得する手段である。これには例えば、室内側温度、室内側湿度、照明照度、気流、匂い、ほこりを検知するセンサが含まれることが好ましい。また、室内側環境計測手段12に含まれる各センサは適所に複数設けられることが好ましい。これによりさらに各種判断の精度を上げることができる。
室内側環境計測手段12に用いられるセンサの種類は特に限定されることはなく、公知のものでよい。
【0019】
人感手段13は、住宅1の室内側に配置され、住宅1内に人が存在するか否かを検知する手段である。さらに、人感手段13は、住宅1の居住者であるか否か、大人か子供か、男女の別等、人を区別することが可能なものであることが好ましい。これによりその人物に適した報知をすることが可能となる。人感手段としては、人感センサとして赤外線によるもの、超音波によるもの、可視光によるもの等多くの種類があるが特に限定されることなく、公知のものを適用することができる。
【0020】
建具監視手段14は、住宅1に備えられる建具2の作動状況を監視する手段である。建具2としては特に限定されるものではないが、例えば窓、シャッター、ブラインド、等を挙げることができる。また、作動状況は例えば建具の開閉状態、開閉の程度等を挙げることができる。
建具監視手段14は、電動化されている建具についてはその電動化手段が兼用することができる。一方、電動化されていない建具については、建具に対してその作動状況を監視可能なセンサを取り付ければよい。これには例えば、事後的に取り付けすることができるセンサを挙げることができる。窓の開閉を確認するマグネットセンサや、鍵の施錠を確認するクレセントセンサ等がこれに相当する。これにより、建具を新たに電動化する必要がなく簡易にインターフェイス装置10を適用することができる。
【0021】
電気設備監視手段15は、住宅1に備えられる家電3等の電気設備の作動状況を監視する手段である。電気設備としては特に限定されるものではないが、例えば冷蔵庫、エアコン、照明等を挙げることができる。また、作動状況は例えば冷蔵庫であれば扉の開閉、エアコンであればON/OFF、照明であれば点灯・消灯等である。
電気設備監視手段15は、他の機器と通信する機能を有していればその機能を用いて兼用することができる。一方、そのような機能を有していない場合には、その作動状況を監視可能なセンサを取り付ければよい。これには例えば当該電気設備の電力使用状況を監視するセンサを挙げることができる。これにより、既存の電気設備をそのまま使用し続けることができ、簡易にインターフェイス装置10を適用することができる。
【0022】
エネルギー監視手段16は、電気、ガス、水道等のエネルギーの使用状況を監視する手段である。これはそれぞれの配管又は配線にその使用量を計測する機器を取り付けることにより可能である。
【0023】
操作手段17は、住宅1の室内側に配置され、利用者の操作に供される機器である。利用者は操作手段17に備えられる各種選択キー等を選択することにより、利用者の意思をエネルギー監視手段10に反映させることができる。
このような操作手段17は、リモコン式や据え付け式等の種類が可能であるが、特に限定されるものでなく、公知のものを適用することができ、その形式は特に限定されるものではない。
【0024】
情報処理手段20は、室外側環境計測手段11、室内側環境計測手段12、人感手段13、建具監視手段14、電気設備監視手段15、エネルギー監視手段16、操作手段17から情報を取得し、最適制御演算、及び報知内容を決定するとともに、その結果を報知機器30に出力する機器である。
【0025】
情報処理手段20は、受信手段21、中央演算子22、記憶手段23、RAM24、日時情報提供手段25、及び送信手段26を有して構成されている。
【0026】
受信手段21は、上記した室外側環境計測手段11、室内側環境計測手段12、人感手段13、建具監視手段14、電気設備監視手段15、エネルギー監視手段16、操作手段17からの情報を適切に取り入れる機能を有する部材であり、これらの手段が接続される。いわゆる入力ポート、入力コネクタ等もこれに含まれる。
【0027】
中央演算子22はいわゆるCPUであり、最適制御演算手段、及び報知内容決定手段として機能する。従って後述する各種演算はこの中央演算子17でおこなわれる。また、中央演算子17は、その他にも情報処理手段20に含まれる各部材に接続されて、これらを制御することができるように構成されている。すなわち、中央演算子22は、記憶媒体として機能する記憶手段23に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて最適制御演算や報知内容を決定するために演算をおこなう。具体的には後で詳しく説明する。
【0028】
記憶手段23は、最適制御を演算する、報知内容を決定するに際して根拠となる各種プログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段23には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0029】
RAM24は、中央演算子22による演算の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する部材である。RAM24は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0030】
日時情報提供手段25は、常に日時をカウントしておき、中央演算子22からの要求に応じて日時情報を提供する。
【0031】
送信手段26は、得られた結果のうち報知機器30の対して出力すべき情報を適切に出力する機能を有する部材であり、報知機器30が接続される。いわゆる出力ポート、出力コネクタ等もこれに含まれる。
【0032】
このような情報処理手段20を形成する具体的な態様の例としては、制御基板を挙げることができる。制御基板に備えられる受信手段及び送信手段を情報処理手段20の受信手段21及び送信手段26として用い、制御基板に備えられる記憶装置を記憶手段23として最適化制御のプログラム、報知内容決定のプログラム、報知される音声データ及びその他必要なプログラム等を記憶させておくことができる。そして各種演算や制御、指令は制御基板に備えられる中央演算子(CPU)が中央演算子22として機能し、記憶手段23に記憶された各種プログラムを実行することによりおこなわれる。
【0033】
報知機器30は、住居者に報知内容を実際に報知する機器である。報知機器30は、受信手段31と報知手段32とを備えている。
受信手段31は情報処理手段20からの情報を受信し、報知手段32へと伝送する手段であり、いわゆる入力ポート、入力コネクタ等である。
【0034】
報知手段32は、具体的に居住者に報知する手段である。報知する方法によってその手段も異なり、適宜設定することができる。例えば音声や音による報知であれば報知手段はスピーカーであり、光による報知であれば電灯、映像や画像による報知であれば映像表示装置となる。
もちろん、これらのいずれかに限定する必要はなく、これらを複合的に備えた装置により報知がおこなわれてもよい。例えば上記した複数の報知手段を備えた小型の人を模した形態のロボットを用いて報知してもよい。ロボットを用いれば、該ロボットの動作自体も報知手段の1つとなる。
【0035】
以上のように構成されるインターフェイス装置10によれば、環境負荷を考慮した具体的な行動を促したり、電動化されていない建具に対して電動化することなく適切な開閉の行動を促したり、環境的な知識、教育をおこなったりすることができる。すなわち、住環境をより良いものとするための提案、行動の誘導、教育等をおこなう装置を比較的簡易に構成することが可能である。より具体的な詳しい内容は以下の報知方法S1で説明する。
【0036】
次に、居住者等に対して上記のように行動を促すための報知をする方法の1例である、インターフェイス装置10によりおこなう行動を促す報知方法S1(以下、「報知方法S1」と記載することがある。)について説明する。ここではわかりやすさのためインターフェイス装置10を用いた例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の趣旨を含む方法を可能とするものであれば他の構成を備えるインターフェイス装置によるものであってもよい。
【0037】
図3には、報知方法S1の流れを示した。図3からわかるように、報知方法S1は、過程S10、S20、S30、S40、S50を含んでいる。報知方法S1では、電源が入れられるとその動作を開始し、過程S10、S20、S30、S40、S50を繰り返しおこなうことにより、自動に情報を取得し、必要に応じて報知をおこなう。以下各過程について詳しく説明する。
【0038】
過程S10は、人感手段13の情報を取得し、住宅内の人の有無に関する情報を管理する過程である。図4に過程S10の流れを示した。過程S10では、初めに過程S11で人感手段13から情報を取得する。そして過程S11からの情報に基づいて過程S12で人が住宅1内に存在しているかを確認する。ここで人の存在を確認し、「Y」が選択されると、過程S15により滞在している旨の記録がされ、過程S16で滞在時間が加算される。
【0039】
一方、過程S12で人の存在が検知されないと「N」が選択されて過程S13に進む。過程S13では、人の不存在の状態が予め決めておいた時間以上経過しているかについて判断される。これは短時間の不存在(例えばトイレのため数分の不存在)を不存在状態として取り扱わないことが考慮されたものである。従って、過程S13で規定された時間を経過していると「Y」が選択され、不存在である旨の記録がされる。一方、過程S13で規定時間が経過していないと判断されると「N」が選択され、過程S17で不在時間が加算される。
【0040】
過程S10では人感手段13から情報を取得し、上記した処理をすることにより終了され、過程S20へ進む。過程S10で得られた結果は情報処理手段20の記憶手段23やRAM24に記憶される。
【0041】
また、図4の流れに含めていないが、当該人感手段による情報を取得した際には、検知された者の居住者の別、人物の特定、男女の別、大人子供の別等、人の区別の情報も取得することが好ましい。これにより報知の種類や内容をより適切で詳細なものにすることができる。このような情報を取得することにより、現在誰が室内のどこにいるのかを把握することができ、誰が室内設備を操作したのかも認識することが可能となる。
このような情報も記憶手段23やRAM24に記憶され、後でデータとして利用することができる。
【0042】
過程S20は、室外側環境計測手段11、室内側環境計測手段12からの情報を取得し、前回の情報取得からの変化を記録する過程である。図5に過程S20の流れを示した。過程S20では、最初に過程S21で、室外側環境計測手段11及び室内側環境計測手段12から温度や湿度等の環境情報を取得する。次に、過程S22で、過程S21において取得した情報が、その前に取得したデータに対して変化があるか否かを判断する。変化が無いと判断されたときには「N」が選択され、過程S23でその旨の記録がされ過程S20を終了する。
【0043】
一方、過程S22で、変化があると判断されたときには「Y」が選択され、過程S24でその変化量が記録される。その後過程S20を終了する。
【0044】
過程S20でされた記録は情報処理手段20の記憶手段23やRAM24に記憶される。
【0045】
過程S30は、過程S10、過程S20で検知した情報、及びその他の情報に基づいて、室内環境を快適とするための演算を行い、特に建具2がどのようにな状態になればよいかを決定する。さらに、過程S30では、その他備えられている監視手段(14、15、16)からの情報に基づいて報知する情報を演算して候補を挙げる。図6に過程S30の流れを示した。
【0046】
過程S30では、初めに過程S31で、過程S10で取得しておいた人感手段13の情報を呼び出す。次に過程S32で、過程S20で取得しておいた室外側環境計測手段11及び室内側環境計測手段12の情報を呼び出す。さらに過程S32では、その他、建具監視手段14、電気設備監視手段15、エネルギー監視手段16からその情報を取得する。過程S33では建具2の仕様、過程S34では住宅1の間取り情報をそれぞれ呼び出す。建具2の仕様、及び住宅1の間取り情報は予め情報処理手段20の記憶手段23にデータとして記憶しておき、ここから読み込むことにより行えばよい。
【0047】
次に過程S35では、最適制御の演算に際して必要となる実験データや参照テーブル等を呼び出す。このような各種データは予め実験や文献等により得て、これを情報処理手段20の記憶手段23に記憶しておき、ここから読み込むことにより行えばよい。
【0048】
そして、上記した過程S31〜過程S35で取得した各種データに基づいて、過程S36で最適制御の演算をおこなう。この演算は、外気冷房の可否、通風の可否、及び遮光の効果、空調設備使用の必要性等の観点から、複数の電動建具の開閉の度合いを含めておこなわれる。
ここで「外気冷房」とは、外気により室内の温度を下げることを意味する。また、「通風」とは、主に窓の開放により室内に一定以上の気流を発生させることである。
【0049】
当該演算により、上記観点から複数の建具のそれぞれについてその開閉の度合いが考慮された最適状態が決定され、最適である複数の建具の状態の組み合わせが結果として出力される。
【0050】
そして過程S36による演算結果が最適状態として過程S37で出力される。上記した演算は情報処理手段20の中央演算子22でおこなわれ、その結果は情報処理手段20の記憶手段23やRAM24に記憶される。
【0051】
過程S38では、上記した建具における室内環境最適化に関する演算とはただちには関連しない事項であるが、居住者に報知すべき事項についてその報知内容を演算して選択する過程である。過程S38では、過程S32で取得した建具監視手段14、電気設備監視手段15、エネルギー監視手段16からの情報、及び情報処理手段20に含まれる日時情報25に基づいて、居住者に報知するべき事項を演算する。
【0052】
報知するべき内容は特に限定されることはないが、例えば、降雨情報、電気設備の利用状況、定期的なエネルギー利用情報、前回との比較情報等を挙げることができる。これらは建具による室内側快適環境最適化とは直接関連はしないが、環境問題に対する意識向上や環境教育に役立てることができる。
ここで過程S31において人感手段による情報の中に、人物を特定する情報等が含まれていた場合には、これも演算の要素として考慮することができ、報知すべき内容や内容の難易度を選択することが可能である。
このような演算は情報処理手段20の中央演算子22でおこなわれ、その結果は情報処理手段20の記憶手段23やRAM24に記憶される。
【0053】
過程S38により過程S30は終了する。
【0054】
過程S40は、過程S30により出力された最適状態の出力結果を受け、実際に各種の設定をする過程である。図7に過程S40の流れを示した。
【0055】
過程S40では、最初に過程S41で過程S30の過程S37において出力された最適状態を呼び出す。この呼び出しは情報処理手段20の記憶手段23やRAM24にされてあった記録からおこなえばよい。
【0056】
次に過程S42で、すぐに実行すべき事項であるかを判断する。例えば窓の開閉は、すぐに実行すべき事項である。一方、今後気をつけるべきこと等、必ずしもすぐに何かを実行する必要はないこともある。例えば1週間の電力データに基づいて日々の電力削減方法を報知することについては必ずしもすぐに実行すべき事項ではない。
過程S42ですぐに実行すべき事項であると判断されれば「Y」が選択され、過程S421でそのための設定である「短期推奨内容設定」がおこなわれる。一方、必ずしもすぐに実行すべき事項ではないと判断されれば「N」が選択され、過程S422でそのための設定である「長期推奨内容設定」がおこなわれる。
【0057】
過程S43では電動建具であるか否かについて判断する。電動の建具であれば「Y」が選択され、過程S432で演算した結果としての最適状態となるような推奨内容が設定される。一方、電動の建具でなければ「N」が選択され、過程S431で推奨内容が設定される。その後、過程S44に進む。
【0058】
過程S44では電動化されていない機器のセンサの有無について判断される。ここで電動化されていない機器のセンサの有無が判断され、「N」、「Y」の判断に基づいてそれぞれ過程S441、又は過程S442で推奨内容が設定される。
【0059】
過程S40で決められた各設定は、情報処理手段20の記憶手段23やRAM24に記憶される。
【0060】
過程S50は、ヒューマンインターフェイス、すなわち実際に居住者等に報知をおこなう過程である。図8に過程S50の流れを示した。
【0061】
過程S50では最初に過程S51で人の認識をおこなう。人の認識は過程S10で得た情報に基づく。この際に人の在・不在のみでなく人物や男女の別、大人子供の別、居場所も認識していればこの情報も読み取られる。
【0062】
過程S52では過程S40で設定した推奨内容を読み込む。また過程S53では過程S38でした演算して決定された報知内容を読み込む。これらは情報処理手段20の記憶手段23やRAM24から読み込まれる。
【0063】
過程S54では、過程S51〜過程S53からの情報に基づいて、どのように報知するかを選択する過程である。報知方法としては上記したように音(音声を含む)、光、映像、ロボット動作等を挙げることができる。報知方法の選択は報知すべき内容に基づいて決められることが好ましい。例えば激しい雨が降ってきたことを報知する場合には、洗濯物や窓の閉鎖を急いで行う必要があるので、光、音、映像、ロボット動作等を同時に作動させることが考えられる。
【0064】
そして過程S55では、過程S54で決められた報知方法に基づいて実際に報知が行われ、過程S50が終了する。
【0065】
以上のような報知方法S1によれば、居住空間の最適化状態を居住者に報知することができ、電動化されていない建具があってもその開閉を促すことができる。そしてその結果環境負荷を抑制した居住空間を実現することが可能となる。
【0066】
さらには、省エネルギー等に関する各種の情報を居住者個別の行動に関連づけて報知したり、定期的に省エネルギーに対する取り組みの効果を報知することとすれば、居住者の環境に対する意識の高まりをもらたすことができる。
【0067】
例えば、子供が冷蔵庫を何度も開け閉めしていることを電気設備監視手段15で検知すれば、子供に対して「冷蔵庫を開けてると電気を多く消費するので1回ですませようね。」という旨の報知をし、 環境知識、教育も兼ねて行動を促すことができる。
また、他の例として、エネルギー監視手段16により記録された電気使用量に基づき、
先月、先週、昨日と比較して電気使用量が増えたら定期的に「今月の電力使用料が先月よりも10%増えます。」、「1番増えているのは、キッチン家電です。」、「夕飯の支度を30分遅らせる事で電気代が節約できます。」等と通知し行動を促すことができる。
すなわち、居住者個別の行動に対して行動を促すような報知をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1 住宅
2 建具
3 家電
4 使用量計
10 インターフェイス装置
11 室外側環境計測手段
12 室内側環境計測手段
13 人感手段
14 建具監視手段
15 電気設備監視手段
16 エネルギー監視手段
17 操作手段
20 情報処理手段
30 報知機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内環境を検知可能な室内側環境計測手段と、
室外環境を検知可能な室外側環境計測手段と、
室内側における人を検知可能な人感手段と、
電気、ガス、及び水道等のエネルギーの使用状況を監視するエネルギー監視手段と、
前記室内側環境計測手段、前記室外側環境計測手段、及び前記人感手段によって検知された情報に基づいて、室内環境の最適化のための条件を演算し、その結果を報知可能とする最適制御演算手段と、
前記エネルギー監視手段からの情報に基づいて前記エネルギーの使用状況に関する演算をし、その結果を報知可能とする報知内容決定手段と、
前記最適制御演算手段及び前記報知内容決定手段からの前記結果の内容を、光、音、映像、及び動作の少なくとも1つで報知する報知機器と、を備える
インターフェイス装置。
【請求項2】
前記人感手段は、人を区別して認識可能とされており、前記報知内容決定手段は、前記区別された人に基づいて報知内容を演算することを特徴とする請求項1に記載のインターフェイス装置。
【請求項3】
室内環境、及び室外環境を計測し、室内側における人を検知し、電気、ガス、及び水道等のエネルギーの使用状況を監視するとともに、
計測された前記室内環境、前記室外環境、及び人の情報に基づいて、室内環境の最適化のための条件を演算し、
監視した前記エネルギーの使用状況に関する演算をし、
演算された前記室内環境、及びエネルギ−の使用状況を、光、音、映像、及び動作の少なくとも1つで報知する、行動を促す報知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−50906(P2013−50906A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189429(P2011−189429)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】