説明

インターホンシステム

【課題】昼間及び夜間のそれぞれにおいて補正作業を行うことなく撮像された画像を昼夜を問わず適切な明るさで表示することができるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】インターホン親機1は、カメラ部23で撮像された画像の明るさを検出するとともに、検出された明るさが所定の目標値となるように画像の明るさを補正する映像処理部15と、昼夜を判別する昼夜判別部17と、家人による入力操作を受け付ける入力受付手段、及び入力受付手段における入力操作に応じて目標値を可変する可変手段から成る手動補正部19と、昼間用の目標値及び夜間用の目標値を各々記憶する記憶部18a,18bとを備え、映像処理部15は、昼夜判別部17の判別結果に応じて何れかの記憶部18a,18bから読み出した目標値を用いて補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアホン子器とインターホン親機で構成されるインターホンシステムに関し、特にドアホン子器のカメラで撮像した画像をインターホン親機で表示する機能を有したインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアホン子器のカメラで撮像した画像をインターホン親機で表示する機能を有したインターホンシステムが提供されており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。このインターホンシステムは、来訪者を撮像するカメラがドアホン子器に設けられるとともに、カメラで撮像された画像を表示する表示部がインターホン親機に設けられている。また、カメラで撮像された画像を処理する画像処理部がドアホン子器に設けられており、図3に示すように、カメラで撮像された画像Aにおいて来訪者アの顔の位置(同図における領域イ)を検出し、その位置における明るさが適切な明るさとなるように画像A全体の明るさを補正した後に表示部に表示するようになっている。このため、来訪者アの顔の位置が画面内の何処にあっても、来訪者アの顔を常に適切な明るさで表示することができるようになっている。また、上記従来例のように自動的に明るさを補正するのみであれば、利用者の望む明るさと若干異なる明るさで補正されることがあるため、利用者が手動で明るさを補正する手段を設け、利用者が補正した明るさで次回から自動的に補正されるように構成してもよく、このようなインターホンシステムも周知である。
【特許文献1】特開2006−154964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カメラで撮像された画像の明るさは周囲の光源に影響を受け、特に昼間と夜間とでは光源の種類(昼間は太陽、夜間は外灯やドアホン子器に備え付けの照明)と位置が異なるために、昼間と夜間とでは各々に適した明るさの補正を行う必要がある。
【0004】
しかしながら、上記従来例は、来訪者の顔を適切な明るさで撮像して表示することに主眼が置かれているため、周囲の光源の位置を考慮するものではなかった。このため、例えば夜間において外灯が逆光となる位置にある場合に、来訪者の顔の周囲が明るくなり過ぎて来訪者の顔は確認できるものの、その周囲の状況を把握できないという問題があった。また、上述のように利用者が明るさを補正する場合には、昼間に補正した値を用いて夜間に補正を行うと、上記理由から適切な明るさに補正されないために再度夜間用に補正しなければならず、補正作業が煩わしいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、昼間及び夜間のそれぞれにおいて補正作業を行うことなく撮像された画像を昼夜を問わず適切な明るさで表示することができるインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、住戸外に設置されるドアホン子器と、住戸内に設置されてドアホン子器との間で通話を行うインターホン親機とから構成され、ドアホン子器は、来訪者を撮像する撮像手段と、インターホン親機との間で通話する通話手段とを備え、インターホン親機は、ドアホン子器との間で通話する通話手段と、ドアホン子器の撮像手段で撮像された画像を表示する表示手段とを備え、ドアホン子器又はインターホン親機の何れか一方には、撮像手段で撮像された画像の明るさを検出するとともに、検出された明るさが所定の目標値となるように画像の明るさを補正する補正手段と、昼夜を判別する昼夜判別手段とが設けられ、インターホン親機には、利用者による入力操作を受け付ける入力受付手段と、入力受付手段における入力操作に応じて目標値を可変する可変手段と、可変手段で可変された目標値を記憶する記憶手段とが設けられ、記憶手段は、昼間用の目標値及び夜間用の目標値を各々記憶し、補正手段は、昼夜判別手段の判別結果に応じて記憶手段から読み出した前記何れかの目標値を用いて補正を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、昼夜判別手段は、時刻を計時する時計を有し、現在時刻から昼夜を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、撮像された画像の明るさを昼夜判別手段の判別結果に応じて昼夜で互いに異なる目標値を読み出して該目標値に相当する明るさに補正することができるので、昼間及び夜間のそれぞれにおいて補正作業を行うことなく撮像された画像を昼夜を問わず適切な明るさで表示することができる。したがって、例えば夜間において外灯が逆光となる位置にある場合に、来訪者の顔の周囲が明るくなり過ぎて周囲の状況を把握できないという不具合を防止することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、外灯が時刻に基づいて点灯・消灯を切り換えることから、外灯の点灯・消灯に応じて昼夜の判別を行うことができるので、例えば照度に応じて昼夜を判別する場合に起こり得る天気が雨や曇りなどの暗くなるのが早い日に外灯が点灯していないにも関わらず夜間と判別して夜間用の明るさに補正してしまい、来訪者の顔が見難くなってしまうという不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るインターホンシステムの実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示すように、住戸外に設置されるドアホン子器2と、住戸内に設置されてドアホン子器2との間で通話を行うインターホン親機1とから構成される。ここで、ドアホン子器2は2線式の通話線及び2線式の制御線から成る2対の信号線によってインターホン親機1と接続される。
【0011】
ドアホン子器2は、インターホン親機1によって通話線に印加される電圧を受けて内部の動作電源を作成するとともに内部の通話経路と通話線との間を2線−4線変換する伝送部20と、マイクロホン及びスピーカを有する音声入出力部21と、マイクロホンから入力する音声信号の増幅やインターホン親機1から通話線を介して送られてくる音声信号の増幅等を行う音声処理部22と、CCDのような個体撮像素子とレンズ等の光学系を有して来訪者を撮像するカメラ部23と、マイクロコンピュータを主構成要素とし、カメラ部23から出力される映像信号に対して画像処理を行うとともに画像処理された後の映像信号を周波数変調する映像処理部24と、来訪者が呼出釦25を押操作した時にオンするスイッチを有し、該スイッチがオンした時に通話線の線間電圧を変化させるなどして呼出信号を送出する操作部(図示せず)と、インターホン親機1との通話時等に制御線を介して給電されることにより表示素子(例えば、発光ダイオード)を点灯させる表示部(図示せず)とを備える。ここで、音声処理部22から出力される音声信号(ベースバンド信号)に周波数変調された映像信号(以下、「FM映像信号」と呼ぶ)が伝送部20で多重化され、通話線を通してインターホン親機1に送られる。
【0012】
インターホン親機1は、通話線に直流電圧を印加してドアホン子器2への給電を行うとともに多重化されて送られてくる音声信号とFM映像信号とを分離する伝送部10と、マイクロコンピュータを主構成要素とする制御部11と、マイクロホン及びスピーカを有する音声入出力部12と、音声入出力部12から入力する音声信号と伝送部10で分離されたドアホン子器2からの音声信号とを比較し、信号レベルが低い方の音声信号を減衰させることで通話方向(インターホン親機1からドアホン子器2、又はドアホン子器2からインターホン親機1)を切り換える音声処理部13と、液晶ディスプレイから成る表示部14と、ドアホン子器2から送られてくるFM映像信号を復調し表示部14に映像信号を出力して映像を表示させる映像処理部15と、通話釦16の操作によりオンする通話スイッチやモニタ釦の操作によりオンするモニタスイッチを有し、各スイッチがオンした時に各々対応する操作信号を制御部11に出力する操作部(図示せず)と、商用電源から各部の動作電源を作成する電源部(図示せず)とを備える。
【0013】
ここで、インターホン親機1の映像処理部15は、カメラ部23で撮像された画像における来訪者の顔の位置を検出する画像処理を行った後、検出された顔の位置の画像の明るさを検出し、その検出値が所定の目標値となるように画像全体の明るさを補正する補正処理を行う補正手段である。尚、上記画像処理及び補正処理の具体的な処理方法については上記特許文献1に記載されているように周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、本実施形態ではインターホン親機1の映像処理部15において上記画像処理及び補正処理を行っているが、ドアホン子器2の映像処理部24において上記各処理を行わせるように構成しても構わない。
【0014】
また、インターホン親機1は、時刻を計時する時計(図示せず)を有し、得られた現在時刻から昼夜を判別する昼夜判別部17と、昼間用の明るさの目標値を記憶する記憶手段である第1の記憶部18aと、夜間用の明るさの目標値を記憶する記憶手段である第2の記憶部18bと、家人(利用者)による入力操作を受け付ける入力受付手段(図示せず)、及び入力受付手段における入力操作に応じて目標値を可変する可変手段(図示せず)から成る手動補正部19とを備える。尚、入力受付手段及び可変手段は周知であるのでここでは詳細な説明を省略するが、例えば2つの押釦から成り、一方の押釦を押操作すると目標値を増加させ、他方の押釦を押操作すると目標値を減少させるように構成される。
【0015】
次に、インターホン親機1及びドアホン子器2の基本的な動作について説明する。先ず、来訪者がドアホン子器2の呼出釦25を押操作すると、操作部が伝送部20から通話線を介してインターホン親機1に呼出信号を送信し、更に映像処理部24とカメラ部23とが起動してカメラ部23で撮像した来訪者の映像が伝送部20から通話線を介してインターホン親機1に伝送される。
【0016】
インターホン親機1では、呼出信号を検出した制御部11が音声処理部13を制御して音声入出力部12のスピーカから呼出音を鳴動させるとともに、ドアホン子器2から伝送されてきたFM映像信号を映像処理部15で復調させて来訪者の映像を表示部14に表示させる。そして、家人がインターホン親機1の通話釦16を押操作すると、操作部から操作信号が出力され、この操作信号を受けた制御部11が音声処理部13並びに音声入出力部12と通話線との間に通話路を形成してドアホン子器2との通話が可能となる。また、モニタ釦が押操作されて操作部から操作信号が出力されると、この操作信号を受けた制御部11が伝送部10から通話線を介してドアホン子器2への給電を行い、ドアホン子器2のカメラ部23及び映像処理部24が起動してカメラ部23で撮像した映像がインターホン親機1に送られるため、表示部14にドアホン子器2のカメラ部23で撮像した映像が映し出される。
【0017】
以下、本発明の要旨であるカメラ部23で撮像された画像の明るさの補正処理について図2を用いて説明する。先ず、ドアホン子器2からの呼出信号をインターホン親機1の伝送部10で受信すると(S1)、昼夜判別部17において時計で計時された現在時刻に基づいて昼夜の判別を行う(S2)。判別結果が昼間であれば、制御部11が第1の記憶部18aから昼間用の明るさの目標値を読み出して映像処理部15に与え(S3)、映像処理部15においてカメラ部23で撮像された画像の明るさが該目標値となるように補正を行う(S4)。その後、カメラ部23で撮像された画像の明るさが家人の望む明るさであれば、補正処理を終了する(S11)。カメラ部23で撮像された画像の明るさが家人の望む明るさと異なる場合には、家人が手動補正部19を操作することでカメラ部23で撮像された画像の明るさを任意の明るさに補正し(S5)、補正値を第1の記憶部18aの目標値に上書きする(S6)。その後、補正処理を終了する(S11)。
【0018】
判別結果が夜間であれば、上記と同様に、制御部11が第2の記憶部18bから夜間用の明るさの目標値を読み出して映像処理部15に与え(S7)、映像処理部15においてカメラ部23で撮像された画像の明るさが該目標値となるように補正を行う(S8)。その後、カメラ部23で撮像された画像の明るさが家人の望む明るさであれば、補正処理を終了する(S11)。カメラ部23で撮像された画像の明るさが家人の望む明るさと異なる場合には、家人が手動補正部19を操作することでカメラ部23で撮像された画像の明るさを任意の明るさに補正し(S9)、補正値を第2の記憶部18bの目標値に上書きする(S10)。その後、補正処理を終了する(S11)。
【0019】
上述のように、昼間用の明るさの目標値と夜間用の明るさの目標値とをそれぞれ第1の記憶部18a、第2の記憶部18bに記憶させるとともに、昼夜判別部17の判別結果に応じて何れかの記憶部18a,18bから目標値を読み出して該目標値を用いてカメラ部23で撮像された画像の明るさを補正するので、昼間及び夜間のそれぞれにおいて補正作業を行うことなく撮像された画像を昼夜を問わず適切な明るさで表示することができる。したがって、例えば夜間において外灯が逆光となる位置にある場合に、来訪者の顔の周囲が明るくなり過ぎて周囲の状況を把握できないという不具合を防止することができる。
【0020】
ところで、一般的に外灯は時刻に基づいて点灯・消灯を切り換えるようになっている。このため、仮に昼夜判別部17において照度に応じて昼夜を判別するようにした場合、天気が雨や曇りなどの暗くなるのが早い日には外灯が点灯していないにも関わらず夜間と判別して夜間用の明るさに補正してしまい、来訪者の顔が見難くなってしまうという不具合が生じる虞がある。そこで、本実施形態では昼夜判別部17が時刻を計時する時計を有し、得られた現在時刻から昼夜を判別するようにしているので、上記不具合を防止することができる。勿論、外灯が周囲の照度に基づいて点灯・消灯を切り換えるようになっている場合には、昼夜判別部17を照度に応じて昼夜を判別するように構成するのが望ましいのは言うまでもない。
【0021】
尚、本実施形態では昼夜の判別を現在時刻から判別しているため、季節によって昼夜の判別が異なる虞がある。そこで、昼夜判別部17において季節毎に昼夜の判別基準を設定するように構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作を示すフローチャートである。
【図3】従来のインターホンシステムにおける画像処理の説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 インターホン親機
12 音声入出力部
13 音声処理部
14 表示部
15 映像処理部
17 昼夜判別部
18a 第1の記憶部
18b 第2の記憶部
19 手動補正部
2 ドアホン子器
21 音声入出力部
22 音声処理部
23 カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸外に設置されるドアホン子器と、住戸内に設置されてドアホン子器との間で通話を行うインターホン親機とから構成され、ドアホン子器は、来訪者を撮像する撮像手段と、インターホン親機との間で通話する通話手段とを備え、インターホン親機は、ドアホン子器との間で通話する通話手段と、ドアホン子器の撮像手段で撮像された画像を表示する表示手段とを備え、ドアホン子器又はインターホン親機の何れか一方には、撮像手段で撮像された画像の明るさを検出するとともに、検出された明るさが所定の目標値となるように画像の明るさを補正する補正手段と、昼夜を判別する昼夜判別手段とが設けられ、インターホン親機には、利用者による入力操作を受け付ける入力受付手段と、入力受付手段における入力操作に応じて目標値を可変する可変手段と、可変手段で可変された目標値を記憶する記憶手段とが設けられ、記憶手段は、昼間用の目標値及び夜間用の目標値を各々記憶し、補正手段は、昼夜判別手段の判別結果に応じて記憶手段から読み出した前記何れかの目標値を用いて補正を行うことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記昼夜判別手段は、時刻を計時する時計を有し、現在時刻から昼夜を判別することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−171245(P2009−171245A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7236(P2008−7236)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】