説明

インターホンシステム

【課題】玄関子機のカメラにて撮像される映像信号をIF−BOXのWEBサーバに保存するにあたり、この映像信号を出画することが可能な携帯端末からの不正な取得を防止する。
【解決手段】玄関子機からの呼び出しを居室親機2及び携帯端末3a、3b、3cにて報知するにあたり、玄関子機のカメラにて撮像された映像信号は、居室親機を経由してIF−BOX4のWEBサーバ41に保存され、このWEBサーバを制御する制御サーバ42は、第1の記憶回路42aに予め記憶されている携帯端末のアドレスと呼出報知が行われた携帯端末からWEBサーバに送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスとを比較し、当該アドレスが一致した携帯端末にのみWEBサーバから読み出した映像信号を送信して端末モニタに出画させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに係り、特に、玄関子機のカメラにて撮像される映像信号をIF−BOXのWEBサーバに保存するにあたり、この映像信号を携帯端末からの要求で読み出して当該端末のモニタに出画することができるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホームページ提供者のサーバーに負荷をかけず、コンテンツ作成等の際に少ない労力で、ホームページ中の映像データにインターネット等を介して次次にアクセスし、閲覧可能にする自動表示装置および自動表示制御方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−296536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術に記載された特許文献1のアクセス手段によれば、ネットワークを介してWWWサーバにアクセスし、閲覧したい映像情報に関するホームページをダウンロードすることで表示部に表示できるものの、何らのアクセス制限手段が設けられていない。
【0005】
そこで、特許文献1のアクセス手段を、玄関子機からの呼び出しを居室親機及び携帯端末にて報知し、映像情報として玄関子機のカメラにて撮像される映像信号を適用するにあたっては、この映像信号が所定のURLアドレスに割り当てられてIF−BOXのWEBサーバに保存されている場合、玄関子機から携帯端末への呼び出しを制御するためにIF−BOXに備えられるSIPサーバと前述のWEBサーバとは、通常、別途に設けられることから、SIPサーバがどの携帯端末を呼び出しているのかをWEBサーバが知り得ないため、呼出報知が行われた携帯端末以外の端末等からWEBサーバへアクセスすることで映像信号を不正に取得できる虞があった。
【0006】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、玄関子機のカメラにて撮像される映像信号をIF−BOXのWEBサーバに保存するにあたり、この映像信号を出画することが可能な携帯端末からの不正な取得を防止したインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、カメラを有する玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるとともにカメラにて撮像された映像信号を出画するための親機モニタを有する居室親機と、玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるための携帯端末と、居室親機及び携帯端末の間で行われるデータ通信を制御するためのIF−BOXとを有するインターホンシステムにおいて、IF−BOXは、玄関子機から携帯端末への呼び出しを制御するためのSIPサーバと、玄関子機から伝送されてくる映像信号を保存するためのWEBサーバと、SIPサーバ及びWEBサーバを制御するための制御サーバとを備えている。携帯端末は、玄関子機からの呼び出しを検出したとき、自携帯端末に割り当てられたアドレスをIF−BOXに送信するためのアドレス送信手段と、IF−BOXのWEBサーバに保存された映像信号を読み出し、自携帯端末の端末モニタに出画させるための映像要求信号を生成する映像要求手段とを備えている。IF−BOXの制御サーバは、携帯端末のアドレスを予め記憶するための第1の記憶手段と、携帯端末からWEBサーバに送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスと第1の記憶手段に記憶されたアドレスを比較し、一致を検出したアドレスに割り当てられる当該携帯端末にのみWEBサーバから読み出した映像信号を送信するための映像送信手段とを有するものである。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様において、携帯端末の映像要求手段からIF−BOXのWEBサーバへの映像要求信号は、定期的なタイミングで送信されるものである。
【0009】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、IF−BOXの制御サーバは、携帯端末からWEBサーバに送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスを記憶するための第2の記憶手段と、第2の記憶手段にアドレスが記憶されたときを始期として一定時間の計時を開始するための第1の計時手段と、携帯端末の端末モニタにて映像信号の出画時において当該携帯端末による終話操作又は第1の計時手段によるタイムアップを検出したとき、第2の記憶手段に記憶されたアドレスを消去するための第1の消去手段とを有するものである。
【0010】
また、本発明の第4の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、IF−BOXの制御サーバは、携帯端末からWEBサーバに送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスを記憶するための第2の記憶手段と、第2の記憶手段にアドレスが記憶されたときを始期として一定時間の計時を開始するための第2の計時手段と、第2の計時手段によるタイムアップ前において携帯端末からの映像要求信号がWEBサーバにて受信されなかったとき、第2の記憶手段に記憶されたアドレスを消去するための第2の消去手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインターホンシステムによれば、玄関子機からの呼び出しを居室親機及び携帯端末にて報知するにあたり、玄関子機のカメラにて撮像された映像信号は、居室親機を経由してIF−BOXのWEBサーバに保存され、このWEBサーバを制御する制御サーバは、第1の記憶手段に予め記憶されている携帯端末のアドレスと呼出報知が行われた携帯端末からWEBサーバに送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスとを比較し、当該アドレスが一致した携帯端末にのみWEBサーバから読み出した映像信号を送信して端末モニタに出画させることができる。これにより、予め設定された所定の携帯端末以外の当該端末による映像信号の不正な取得を防止することができる。
【0012】
また、本発明のインターホンシステムによれば、IF−BOXのWEBサーバから読み出して携帯端末に出画させる映像信号の要求タイミングが定期的なタイミングであるため、例えば、携帯端末の個体差に基づき映像処理の能力が異なる場合であっても、当該携帯端末に負荷をかけることなく、端末モニタへの映像信号の出画が可能となる。
【0013】
また、本発明のインターホンシステムによれば、終話操作や通話時間のタイムアップ等で映像要求の期限を過ぎた携帯端末への映像信号の送信を防止することができる。
【0014】
さらに、本発明のインターホンシステムによれば、呼出中や通話中において何らかの事由でデータ通信が途絶えた携帯端末への映像信号の送信を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの全体構成を示すシステム説明図である。
【図2】図2(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施例によるインターホンシステムおいて、携帯端末及びIF−BOXの具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例によるインターホンシステムおいて、具体的な動作を説明するための通信シーケンス図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの全体構成を示すシステム説明図である。このインターホンシステムは、住戸玄関等の住戸外に設置される玄関子機1と、住戸内に設置され、子機/親機ラインL1を経由して接続される玄関子機1からの呼び出しを報知し、当該呼び出しに応答して通話を成立させるための居室親機2と、玄関子機1からの呼び出しに応答して通話を成立させるための携帯端末3a、3b、3cと、親機/BOXラインL2を経由して居室親機2に接続され、居室親機2及び携帯端末3a、3b、3cの間で行われるデータ通信を制御するためのIF−BOX4と、BOX/ルータラインL3を経由してIF−BOX4に接続され、携帯端末3a、3b、3c及びIF−BOX4の間のデータ通信を無線又は有線で行うためのルータ5とを有している。なお、ルータ5は、住戸内に設置されるPC端末6やインターネット7が接続可能なものとする。
【0018】
また、玄関子機1には、子機操作部10、カメラ11、子機マイク12及び子機スピーカ13が備えられている。
【0019】
この玄関子機1において、子機操作部10は、居室親機2又は携帯端末3a、3b、3cの使用者である住戸内に在室中の居住者を呼び出すにあたり、住戸外に居る来訪者が所定の呼出操作を行うものであって、例えば、呼出ボタンにて構成されている。また、カメラ11は、呼出操作を行った来訪者の映像信号や住戸玄関の周囲近傍の映像信号を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の映像撮像媒体にて構成されている。さらに、子機マイク12及び子機スピーカ13は、来訪者が前述の居住者との間で通話を成立させるにあたり、音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するためのものである。
【0020】
また、居室親機2には、親機操作部20、親機モニタ21、親機マイク22及び親機スピーカ23が備えられている。
【0021】
この居室親機2において、親機操作部20は、来訪者による玄関子機1からの呼び出しに応答するにあたり、住戸内に在室中の居住者が所定の応答操作を行うとともに、成立中の通話を終了するための所定の終話操作を行うものであって、例えば、通話ボタンにて構成されている。また、親機モニタ21は、玄関子機1のカメラ11にて撮像された映像信号を出画するためのものであって、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の映像出画媒体にて構成されており、この親機モニタ21には、来訪者による玄関子機1からの呼び出しを報知するための文字メッセージを表示することもできる。さらに、親機マイク22及び親機スピーカ23は、居住者が来訪者との間で通話を成立させるにあたり、音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するためのものであって、この親機スピーカ23は、来訪者による玄関子機1からの呼び出しを報知するための呼出音や音声メッセージを出力することもできる。
【0022】
さらに、携帯端末3a、3b、3cはそれぞれ同様な構成で住戸内に在室中の居住者により携行されるものであって、個別のアドレス(IPアドレスと同意とする。)が割り当てられており、端末操作部30、端末モニタ31、端末マイク32及び端末スピーカ33が備えられている。
【0023】
この携帯端末3a、3b、3cにおいて、端末操作部20は、来訪者による玄関子機1からの呼び出しに応答するにあたり、当該携帯端末を携行する居住者が所定の応答操作を行うとともに、成立中の通話を終了するための所定の終話操作を行うものであって、例えば、通話ボタンやテンキーボタンにて構成されている。また、端末モニタ31は、玄関子機1のカメラ11にて撮像され、IF−BOX4の後述するWEBサーバ41に保存される映像信号を出画するためのものであって、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の映像出画媒体にて構成されており、この端末モニタ31には、来訪者による玄関子機1からの呼び出しを報知するための文字メッセージを表示することもできる。さらに、端末マイク32及び端末スピーカ33は、当該携帯端末を携行する居住者が来訪者との間で通話を成立させるにあたり、音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するためのものであって、この端末スピーカ33は、来訪者による玄関子機1からの呼び出しを報知するための呼出音や音声メッセージを出力することもできる。
【0024】
次に、携帯端末3a、3b、3cの具体的な構成について、図2(A)のブロック図を参照して説明する。この携帯端末3a、3b、3cは、前述の端末操作部30、端末モニタ31、端末マイク32及び端末スピーカ33と、端末映像処理部34と、端末音声処理部35と、端末制御部36と、端末インターフェース(以下、同様なインターフェースについては、「I/F」という。)37とが備えられている。
【0025】
ここで、端末映像処理部34は、IF−BOX4の後述するWEBサーバ41から読み出され、ルータ5を経由して送信されてくる映像信号について所定の信号処理を行い、端末モニタ31に出画させるためのものである。また、端末音声処理部35は、端末マイク32及び端末スピーカ33にて入出力される音声(送話音声、受話音声)信号について所定の信号処理を行うためのものである。また、端末制御部36は、当該携帯端末の構成各部を制御するためのものであり、具体的には、玄関子機1からの呼び出しを検出したとき、自携帯端末に割り当てられたアドレスを、ルータ5を経由してIF−BOX4に送信するためのアドレス送信回路36aと、IF−BOX4の後述するWEBサーバ41に保存された映像信号を定期的、例えば、1秒毎のタイミングで読み出し、自携帯端末の端末モニタ31に出画させるための映像要求信号を生成する映像要求回路36bとが備えられている。さらに、端末I/F37は、ルータ5から端末映像処理部34への信号伝送路と、ルータ5及び端末音声処理部35の間の信号伝送路と、ルータ5及び端末制御部36の間の信号伝送路とをそれぞれ形成するためのものである。
【0026】
次に、IF―BOX4の具体的な構成について、図2(B)のブロック図を参照して説明する。このIF−BOX4には、玄関子機1から携帯端末3への呼び出しを制御するためのSIPサーバ40と、玄関子機1から居室親機2を経由して送信されてくる映像信号を保存するためのWEBサーバ41と、SIPサーバ40及びWEBサーバ41を制御するための制御サーバ42と、親機側BOXI/F43と、ルータ側BOXI/F44とが備えられている。
【0027】
ここで、制御サーバ42には、携帯端末3a、3b、3cのアドレスを予め記憶するための第1の記憶回路42aと、携帯端末3a、3b、3cからルータ5を経由してWEBサーバ41に送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスを記憶するための第2の記憶回路42bと、携帯端末3a、3b、3cからルータ5を経由してWEBサーバ41に送信されてくる映像要求信号に付加されたアドレスと第1の記憶回路42aに記憶されたアドレスとを比較し、一致を検出したアドレスに割り当てられる当該携帯端末にのみWEBサーバ41から読み出した映像信号を送信するための映像送信回路42cと、第2の記憶回路42bに前述のアドレスが記憶されたときを始期として後述する一定時間の計時を開始するための第1、第2の各計時回路42d、42eと、携帯端末3a、3b、3c、・・・の端末モニタ31にて映像信号の出画時において、当該携帯端末の端末操作部30による終話操作又は第1の計時回路42dによるタイムアップを検出したとき、第2の記憶回路42bに記憶されたアドレスを消去するための第1の消去回路42fと、第2の計時回路42eによるタイムアップ前において携帯端末3a、3b、3cからの映像要求信号がWEBサーバ41にて受信されなかったとき、第2の記憶回路42bに記憶されたアドレスを消去するための第2の消去回路42gとを有している。なお、第1、第2の各記憶回路42a、42bは、例えば、RAM、EEPROMにて構成されている。
【0028】
また、親機側I/F43は、親機/BOXラインL2及び制御サーバ42の間のデータ伝送路を形成するためのものである。さらに、ルータ側I/F44は、BOX/ルータラインL3及びWEBサーバ41、制御サーバ42の間の信号伝送路を形成するためのものである。
【0029】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について、図3の通信シーケンス図を参照して説明する。なお、当該実施例において、IF−BOX4の第1の記憶回路42aには、携帯端末3a、3b、3cのうち、携帯端末3a、3bのアドレスが予め記憶されているものとし、他の携帯端末3c及びPC端末6のアドレスについては記憶されていないものとする。
【0030】
図1において、住戸外に居る来訪者が玄関子機1の子機操作部10を使用して所定の呼出操作を行うと、子機/親機ラインL1を経由して居室親機2に呼出信号が送信される。この呼出信号が受信された居室親機2は、来訪者による玄関子機1からの呼び出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージを親機スピーカ23から出力するとともに、玄関子機1のカメラ11による映像信号の撮像を開始させ、この映像信号を親機モニタ21に出画することができ、この親機モニタ21には、来訪者による玄関子機1からの呼び出しがある旨の文字メッセージを表示することもできる。また、居室親機2は、玄関子機1からの呼出信号及び映像信号を、親機/BOXラインL2、図2(B)に示すIF−BOX4の親機側BOXI/F43を経由して制御サーバ42に送信する。
【0031】
ここで、IF−BOX4の制御サーバ42は、玄関子機1から居室親機2を経由して送信されてきた呼出信号及び映像信号のうち、呼出信号についてSIPサーバ40にてSIP呼出信号に変換する信号処理を行い、第1の記憶回路42aに予め記憶されているアドレスを付加した後、ルータ側BOXI/F44、BOX/ルータラインL3、ルータ5、図2(A)に示す携帯端末3a、3b、3c、・・・の端末I/F37を経由して端末制御部36に送信するとともに、映像信号については、所定のURLアドレスに割り当ててWEBサーバ41に定期的なタイミング、例えば、1秒毎に保存する。これにより、WEBサーバ41には、玄関子機1のカメラ11にて撮像された映像信号について、例えば、フレーム毎でコマ落ちがない連続した当該映像信号で保存することができる。
【0032】
携帯端末3a、3b、3cの端末制御部36は、IF−BOX4からルータ5を経由して送信されてきたSIP呼出信号を受信すると、このSIP呼出信号に付加されているアドレスと自端末に予め割り当てられているアドレスとを比較し、当該アドレスが一致した場合にのみ、来訪者による玄関子機1からの呼び出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージを端末スピーカ33から出力するとともに、同様な旨の文字メッセージを端末モニタ31に表示することもでき、さらには、自携帯端末に割り当てられているアドレス(以下、アドレスデータ信号という。)をアドレス送信回路36にて生成させる。このアドレスデータ信号は、前述のSIP呼出信号と逆の信号伝送路を経由してIF−BOX4の制御サーバ42に送信される。
【0033】
すなわち、当該実施例においては、携帯端末3a、3b、3cの端末制御部36のうち、携帯端末3a、3bの端末制御部36のみ当該アドレスが一致し、前述の呼出報知の動作が行われるとともに、アドレス送信回路36aからのアドレスデータ信号の送信動作が行われることになる。
【0034】
また、前述のような呼出報知の動作が行われた携帯端末3a、3bの端末制御部36はそれぞれ、IF−BOX4のWEBサーバ41にて(定期的なタイミングで)保存されている映像信号を読み出し、端末モニタ31に出画させるためのSIP映像要求信号を定期的なタイミング、例えば、1秒毎のタイミングで映像要求回路36bにて生成させる。このSIP映像要求信号には、自携帯端末に割り当てられたアドレスが付加されており、端末I/F37、ルータ5、BOX/ルータラインL3、IF−BOX4のルータ側BOXI/F44を経由してWEBサーバ41に送信される。
【0035】
次に、IF−BOX4のWEBサーバ41は、携帯端末3a、3bからルータ5を経由して(定期的なタイミングで)送信されてきたSIP映像要求信号を受信すると、このSIP映像要求信号に付加されたアドレスデータを制御サーバ42の第2の記憶回路42bに保存させるとともに、この制御サーバ42は、第2の記憶回路42bへの保存のタイミングを始期として一定時間、例えば、3分の計時を第1の計時回路42dにて開始させる。また、WEBサーバ41は、同様に携帯端末3a、3bから送信されてきたSIP映像要求信号に付加されているアドレスデータと第1の記憶回路42aに予め記憶されたアドレスとを比較するように制御サーバ42を制御し、この制御サーバ42は、当該アドレスが一致した場合にのみ、WEBサーバ41に保存されている映像信号を読み出すことができる。
【0036】
すなわち、前述の携帯端末3a、3bのように、玄関子機1からの呼び出しが報知された当該携帯端末からのSIP映像要求信号がIF−BOX4のWEBサーバ41にて受信された場合のみ、制御サーバ42は、WEBサーバ41に保存されている映像信号を読み出し、JPEG方式の映像信号に変換する信号処理を行う。この映像信号は、ルータ側BOXI/F44、BOX/ルータラインL3、ルータ5、携帯端末3a、3bの端末I/F37を経由して端末映像処理部34に送信されることになる。
【0037】
携帯端末3a、3bの映像処理部34は、IF−BOX4からルータ5を経由して送信されてきたJPEG方式の映像信号を出画用のフォーマットに信号処理することにより、玄関子機1のカメラ11にて撮像された映像信号を端末モニタ31に出画させることができる。なお、この出画映像としては、前述のSIP映像要求信号の送信タイミングが、定期的なタイミング、例えば、1秒毎のタイミングであるため、携帯端末3a、3b、3cの個体差に基づき映像処理部34が有する映像処理の能力が異なる場合であっても、当該携帯端末に負荷をかけることなく、端末モニタ31への映像信号の出画が可能となる。
【0038】
一方、IF−BOX4の制御サーバ42を構成する第1の記憶回路42aに予め記憶されていないアドレスを有する携帯端末3cやPC端末6(図1を参照。)からの映像要求信号がルータ5を経由して送信されてきた場合には、当該アドレスが一致しないため、これを検出した制御サーバ42は、WEBサーバ41から映像信号を読み出すことはなく、エラー表示画面データ信号を生成し、ルータ5を経由して携帯端末3c及びPC端末6に送信する。これにより、玄関子機1のカメラ11にて撮像された映像信号が携帯端末3cの端末モニタ31やPC端末6のモニタに出画されることがなく、エラー画面のみが出画されるため、予め設定された所定の携帯端末以外の当該端末による映像信号の不正な取得を防止することができる。具体的には、PC端末6を経由したウィルス感染による映像信号の不正な取得を防止することができる。
【0039】
次に、前述のような玄関子機1からの呼び出しがあることの呼出報知が、カメラ11にて撮像された映像信号の親機モニタ21、端末モニタ31への出画と併せて行われている居室親機2及び携帯端末3a、3bのうち、例えば、住戸内に在室中の居住者が携帯端末3aの端末操作部30を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した端末制御部36は、SIP応答信号を生成し、前述のSIP呼出信号と同様な信号伝送路を経由してIF−BOX4の制御サーバ42に送信する。
【0040】
IF−BOX4の制御サーバ42は、携帯端末3aからルータ5を経由して送信されてきたSIP応答信号をインターホン用の他端末応答要求信号に変換し、前述の呼出信号と逆の信号伝送路を経由して居室親機2及び玄関子機1に送信する。
【0041】
ここで、玄関子機1は、IF−BOX4から居室親機2を経由して送信されてきた他端末応答要求信号を受信すると、来訪者によって使用される子機マイク12及び子機スピーカ13と子機/親機ラインL1との間の信号伝送路を形成することができる。一方、居室親機2は、IF−BOX4からの他端末応答要求信号を検出すると、親機マイク22及び親機スピーカ23を使用せず、子機/親機ラインL1及び親機/BOXラインL2の間の信号伝送路を形成するとともに、他端末応答要求受付信号を生成し、前述の他端末応答要求信号を逆の信号伝送路を経由してIF−BOX4の制御サーバ42に送信する。
【0042】
IF−BOX4の制御サーバ42は、居室親機2からの端末応答要求受付信号をSIPサーバ40にてSIP端末応答要求受付信号に変換する信号処理を行う。このSIP端末応答要求受付信号は、(第2の記憶回路42bから読み出された)携帯端末3aを指定するためのアドレスが付加された後、前述のSIP呼出信号と同様な信号伝送路を経由して携帯端末3a、3b、3cの端末制御部36に送信される。
【0043】
携帯端末3a、3b、3cの端末制御部36は、IF−BOX4からルータ5を経由して送信されてきたSIP端末応答要求受付信号を受信すると、このSIP端末応答要求受付信号に付加されているアドレスと自端末に予め割り当てられているアドレスとを比較し、当該アドレスが一致した場合にのみ端末音声処理部35を制御することにより、居住者によって使用される端末マイク32及び端末スピーカ33と当該端末音声処理部を経由して端末I/F37との間の信号伝送路が形成される。
【0044】
すなわち、当該実施例においては、玄関子機1の子機マイク12から子機/親機ラインL1、居室親機2、親機/BOXラインL2、IF−BOX4の親機側BOXI/F43、制御サーバ42、ルータ側BOXI/F44、BOX/ルータラインL3、ルータ5、携帯端末3aの端末I/F37、端末音声処理部35を経由して端末スピーカ33までの信号伝送路と、携帯端末3aの端末マイク32から端末音声処理部35、端末I/F37、ルータ5、BOX/ルータラインL3、IF−BOX4のルータ側BOXI/F44、制御サーバ42、親機側BOXI/F43、親機/BOXラインL2、居室親機2、子機/親機ラインL1を経由して玄関子機1の子機スピーカ13までの信号伝送路とがそれぞれ形成され、形成された信号伝送路を経由して音声(送話音声、受話音声)信号を送受信させることにより通話が成立する。なお、IF−BOX4とルータ5を経由して携帯端末3aとの間で送受信される音声(送話音声、受話音声)信号は、SIPサーバ40又は端末制御部36にて変換されたSIP信号の信号形式である。
【0045】
次に、前述の通話の成立時(通話中)において、例えば、住戸内に在室中の居住者が携帯端末3aの端末操作部30を使用して所定の終話操作を行うと、この操作を検出した端末制御部36は、SIP終話信号を生成し、前述のSIP応答信号と同様な信号伝送路を経由してIF−BOX4の制御サーバ42に送信するとともに、端末音声処理部35を制御することにより、居住者によって使用される端末マイク32及び端末スピーカ33と当該端末音声処理部を経由して端末I/F37との間の信号伝送路を遮断する。
【0046】
IF−BOX4の制御サーバ42は、携帯端末3aからルータ5を経由して送信されてきたSIP終話信号をインターホン用の他端末終話信号に変換し、前述の他端末応答要求信号と同様な信号伝送路を経由して居室親機2及び玄関子機1に送信する。
【0047】
ここで、玄関子機1は、IF−BOX4から居室親機2を経由して送信されてきた他端末終話信号を受信すると、来訪者によって使用される子機マイク12及び子機スピーカ13と子機/親機ラインL1との間の信号伝送路を遮断することができる。一方、居室親機2は、IF−BOX4から居室親機2を経由して送信されてきた他端末終話信号を受信すると、子機/親機ラインL1及び親機/BOXラインL2の間の信号伝送路を遮断することができ、ゆえに、来訪者と携帯端末3aを携行する居住者との間の通話が終了する。
【0048】
次に、前述のような玄関子機1からの呼び出しがあることの呼出報知が、カメラ11にて撮像された映像信号の端末モニタ31への出画と併せて行われている携帯端末3aにおいて、端末操作部30の使用により所定の終話操作が行われ、前述のSIP終話信号を受信したIF−BOX4の制御サーバ42、或いは、第1の計時回路42dによる例えば、3分のタイムアップを検出した制御サーバ42は、第1の消去回路42fを制御し、第2の記憶回路42bに記憶されたアドレスを消去することができる。これにより、終話操作や通話時間のタイムアップ等で映像要求の期限を過ぎた携帯端末3aへの映像信号の送信を防止することができる。
【0049】
また、IF−BOX4の制御サーバ42は、第2の計時回路42bによる例えば、10秒のタイムアップの検出前において、携帯端末3aからルータ5を経由して送信されてくる映像要求信号がWEBサーバ42にて受信されなかったとき、第2の消去回路42gを制御し、第2の記憶回路42bに記憶されたアドレスを消去することができる。これにより、呼出中や通話中において何らかの事由でデータ通信が途絶えた携帯端末3aへの映像信号の送信を防止することができる。
【0050】
本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のインターホンシステムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0051】
具体的に、本発明の実施例によれば、IF−BOX4の構成として、第1、第2の各記憶回路42a、42b及び第1、第2の各計時回路42dを制御サーバ42の回路内に備える態様について説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、制御サーバ42から独立させてIF−BOX4内に備えることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1……玄関子機
11……カメラ
2……居室親機
3a、3b、3c……携帯端末
31……端末モニタ
36a……アドレス送信回路(アドレス送信手段)
36b……映像要求回路(映像要求手段)
4……IF−BOX
40……SIPサーバ
41……WEBサーバ
42……制御サーバ
42a……第1の記憶回路(第1の記憶手段)
42b……第2の記憶回路(第2の記憶手段)
42c……映像送信回路(映像送信手段)
42d……第1の計時回路(第1の計時手段)
42e……第2の計時回路(第2の計時手段)
42f……第1の消去回路(第1の消去手段)
42g……第2の消去回路(第2の消去手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(11)を有する玄関子機(1)と、前記玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるとともに前記カメラにて撮像された映像信号を出画するための親機モニタ(21)を有する居室親機(2)と、前記玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるための携帯端末(3a、3b、3c)と、前記居室親機及び前記携帯端末の間で行われるデータ通信を制御するためのIF−BOX(4)とを有するインターホンシステムにおいて、
前記IF−BOXは、前記玄関子機から前記携帯端末への呼び出しを制御するためのSIPサーバ(40)と、前記玄関子機から伝送されてくる映像信号を保存するためのWEBサーバ(41)と、前記SIPサーバ及び前記WEBサーバを制御するための制御サーバ(42)とを備え、
前記携帯端末は、前記玄関子機からの呼び出しを検出したとき、自携帯端末に割り当てられたアドレスを前記IF−BOXに送信するためのアドレス送信手段(36a)と、前記IF−BOXのWEBサーバに保存された映像信号を読み出し、自携帯端末の端末モニタ(31)に出画させるための映像要求信号を生成する映像要求手段(36b)とを備え、
前記IF−BOXの制御サーバは、前記携帯端末のアドレスを予め記憶するための第1の記憶手段(42a)と、前記携帯端末から前記WEBサーバに送信されてくる前記映像要求信号に付加されたアドレスと前記第1の記憶手段に記憶されたアドレスを比較し、一致を検出したアドレスに割り当てられる当該携帯端末にのみ前記WEBサーバから読み出した映像信号を送信するための映像送信手段(42c)とを有することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記携帯端末の映像要求手段から前記IF−BOXのWEBサーバへの映像要求信号は、定期的なタイミングで送信されることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記IF−BOXの制御サーバは、前記携帯端末からWEBサーバに送信されてくる前記映像要求信号に付加されたアドレスを記憶するための第2の記憶手段(42b)と、第2の記憶手段に前記アドレスが記憶されたときを始期として一定時間の計時を開始するための第1の計時手段(42d)と、前記携帯端末の端末モニタにて前記映像信号の出画時において当該携帯端末による終話操作又は前記第1の計時手段によるタイムアップを検出したとき、前記第2の記憶手段に記憶されたアドレスを消去するための第1の消去手段(42f)とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記IF−BOXの制御サーバは、前記携帯端末からWEBサーバに送信されてくる前記映像要求信号に付加されたアドレスを記憶するための第2の記憶手段(42b)と、前記第2の記憶手段に前記アドレスが記憶されたときを始期として一定時間の計時を開始するための第2の計時手段(42e)と、前記第2の計時手段によるタイムアップ前において前記携帯端末からの映像要求信号が前記WEBサーバにて受信されなかったとき、前記第2の記憶手段に記憶されたアドレスを消去するための第2の消去手段(42g)とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−120041(P2011−120041A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276159(P2009−276159)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】