説明

インターホンシステム

【課題】インターホン親機の動作が商用電源の停電によって確実に停止する前において、商用電源の異常を早期に検出して制御機に通知する。
【解決手段】インターホン親機1a、1b、・・・に電力供給を行う商用電源2、2、・・・の停電を検出する停電検出回路11の検出タイミングと比較して、商用電源の異常を早期電源異常検出回路12にて早期なタイミングで検出し、親機CPU14から制御機4の制御機CPU40へ通知する。この制御機CPUは、通電状態へと復旧し停電検出回路にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル以上に復旧されるように商用電源の異常が復旧した旨の通電状態や、停電検出回路にて検出される直流電源の電圧レベルが依然として閾値レベル未満のままである商用電源の停電状態を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに係り、特に、インターホン親機における商用電源の停電状態又は通電状態を制御機にて監視/確認するインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の居室インターホン親機、集合玄関機、管理室親機及び制御機から成る集合住宅インターホン装置の接続診断を行うための集合住宅インターホン方式が知れている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この集合住宅インターホン方式によれば、管理室親機の操作部で接続診断の検出を行うための操作や定期診断タイマの制御により制御機の制御部から複数の居室インターホン親機、集合玄関機及び管理室親機の各制御部に対して接続診断を行うための診断コマンドが順次送信される。接続状態に異常がない場合には複数の居室インターホン親機、集合玄関機及び管理室親機の各制御部は診断受付コマンドを送信するので、制御機の制御部で接続状態の検出を行うことができる。
【0004】
また、従来から、住戸内の停電により商用電源から居室親機への電源供給が停止した場合、非常用電源に切り替わって居室親機に電源が供給される集合住宅インターホンシステムとして、住戸内停電が発生した場合、居室親機に接続されている火災センサ等の重要なセンサの検知動作が停止しないように、管理室等の共用部に設置した非常用電源(直流電源装置)から停電した居室親機に電力を供給し、最低限の保安機器の動作を確保するよう構成された集合住宅インターホンシステムが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
この集合住宅インターホンシステムによれば、停電が発生しても居室親機に接続されている火災センサやガスセンサ等の重要なセンサには非常用電源から電源が供給され、火災発生等の異常を検知した際には居室親機が警報信号を出して管理室等の外部でも異常発生を報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−284751号公報
【特許文献2】特開2005−117470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された集合住宅インターホン方式によれば、制御機の制御部から複数の居室インターホン親機に対して接続診断を行うことができるものの、その接続状態に異常が発生し、例えば、居室親機インターホン親機への電力供給が遮断された停電状態の場合には、診断受付コマンドが(正常に)送信されず、制御機にて状態確認できない虞があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された集合住宅インターホンシステムによれば、住戸内の停電により商用電源から居室親機への電力供給が停止した場合、非常用電源に切り替わって居室親機に電力供給され、火災センサやガスセンサ等の重要なセンサの動作電源となるものの、居室親機の電源が商用電源から非常電源に切り替わった停電状態である旨を制御機に通知する(例えば、特開2008−79106号公報に記載の集合住宅インターホンシステムを参照。)にあたっては、非常用電源が動作電源として必要となり、その消費電力が大きくなる難点があった。
【0009】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、インターホン親機の動作が商用電源の停電によって確実に停止する前において、商用電源の異常を早期に検出して制御機に通知することができるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、複数のインターホン親機と、インターホン親機を制御するための制御機とを有する当該システムである。インターホン親機は、商用電源を直流電源に整流・平滑するためのAC/DCコンバータと、直流電源の電圧レベルを監視し、所定の閾値レベル未満となったときに商用電源の停電であると検出するための停電検出回路と、AC/DCコンバータのAC回路に接続され交流電圧の波形歪みを検出して商用電源の停電を停電検出回路の検出タイミングより早く検出するための早期電源異常検出回路と、早期電源異常検出回路にて商用電源の異常が検出されたとき、電源異常通知データを生成して制御機に送出するための親機CPUとを備えている。制御機は、インターホン親機の親機CPUからの電源異常通知データの受信の有無に対応して商用電源の停電状態又は通電状態を監視するための制御機CPUを備えている。
【0011】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様において、インターホン親機の親機CPUは、停電検出回路にて商用電源の停電状態が検出された場合、制御機への電源異常通知データの送出動作を停止する機能を備えている。
【0012】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、制御機の制御機CPUは、インターホン親機の親機CPUから伝送されてくる電源異常通知データを受信して所定の第1の時間の計時を開始し、第1の時間のタイムアップ後において商用電源が停電状態又は通電状態あるかを確認するための電源状態確認データを生成してインターホン親機に送出する機能を備えている。インターホン親機の親機CPUは、制御機の制御機CPUから伝送されてくる電源状態確認データを受信したとき、早期電源異常検出回路にて商用電源の異常が検出されない場合や停電検出回路にて商用電源の停電を検出していない場合、異常が復旧したことの通電通知データを生成して制御機に送出する機能を備えている。
【0013】
また、本発明の第4の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、インターホン親機の親機CPUは、電源異常通知データを送出したタイミングで所定の第2の時間の計時を開始し、第2の時間のタイムアップ後において早期電源異常検出回路にて商用電源の異常が検出されない場合や停電検出回路にて商用電源の停電を検出していない場合、異常が復旧したことの通電通知データを生成して制御機に送出する機能を備えている。
【0014】
また、本発明の第5の態様であるインターホンシステムは、本発明の第3の態様又は第4の態様において、第1、第2の時間は、インターホン親機の動作が商用電源の停電によって確実に停止するまでの時間であるものである。
【0015】
また、本発明の第6の態様であるインターホンシステムは、本発明の第3の態様において、インターホン親機は、商用電源の停電時における非常電源の電源供給路を形成するための電源切換回路を備えている。インターホン親機の親機CPUは、電源切換回路を切換えて非常電源からの電源供給路が形成されているとき、制御機の制御機CPUから伝送されてくる電源状態確認データに無応答とする機能を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のインターホンシステムによれば、インターホン親機に電力供給を行う商用電源の停電を検出する停電検出回路の検出タイミングと比較して、商用電源の異常を早期電源異常検出回路にて早期なタイミングで検出し、親機CPUから制御機の制御機CPUへ通知することができ、この制御機CPUは、通電状態へと復旧し停電検出回路にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル以上に復旧されるように商用電源の異常が復旧した旨の通電状態や、停電検出回路にて検出される直流電源の電圧レベルが依然として閾値レベル未満のままである商用電源の停電状態を確認することができ、このような確認時において非常電源の消費が不要とされ省電力化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例によるインターホンシステムを構成するインターホン親機の動作を示すタイムチャート図である。
【図3】図3は、本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、第1の動作を示すフローチャート図である。
【図4】図4は、本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、第2の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示す回路ブロックズである。このインターホンシステムは、例えば、集合住宅の各住戸内に設置される複数のインターホン親機1a、1b、・・・と、インターホン親機1a、1b、・・・の主電源(メイン電源)である例えば、AC100Vの商用電源2、2、・・・と、商用電源2、2、・・・の停電時(や異常発生時)において後述するセンサ5a、5b、・・・の動作電源となる例えば、蓄電池設備等の非常電源3、3、・・・と、親機/制御機ラインLを経由して接続されるインターホン親機1a、1b、・・・を制御するための制御機4とを有している。
【0020】
なお、複数のインターホン親機1a、1b、・・・を集合住宅の各住戸内に設置するにあたって、このインターホン親機1a、1b、・・・には、例えば、火災、ガス漏れ等のセキュリティ異常を検知するためのセンサ5a、5b、・・・や住戸玄関に設置されるインターホン子機6a、6b・・・を接続することができ、これらの接続機器5a、5b、・・・、6a、6b、・・・は、通常、インターホン親機1a、1b、・・・からの電力供給により駆動されるものである。
【0021】
次に、複数のインターホン親機1a、1b、・・・の構成を説明するにあたり、このインターホン親機1a、1b、・・・はそれぞれ同様な構成であって、AC/DCコンバータ10、停電検出回路11、早期電源異常検出回路12、電源切換回路13、親機CPU14及び親機インターフェース(以下、同様のインターフェースについては「I/F」という。)15が備えられている。
【0022】
このインターホン親機1a、1b、・・・において、AC/DCコンバータ10は、商用電源2、2、・・・の電圧の高さを、電磁誘導を利用してインピーダンス変換する、例えば、変圧トランス又はスイッチングトランスにて構成されるAC回路100と、AC回路100を経由した商用電源2、2、・・・を整流・平滑して直流電源を生成するための整流・平滑回路101とが備えられている。
【0023】
停電検出回路11は、AC/DCコンバータ10の整流・平滑回路101からの出力である直流電源の電圧レベルを監視し、所定の閾値レベル未満となったときに商用電源2、2、・・・の停電(停電状態)であると検出するためのものである。
【0024】
早期電源異常検出回路12は、AC/DCコンバータ10のAC回路100(の2次側)に接続され、商用電源2、2、・・・の交流電圧の波形歪みをもとに当該電源の異常を、停電検出回路11にて停電が検出されるタイミングより早期に検出するためのものである。
【0025】
電源切換回路13は、親機CPU14の制御により切換えられ、非常電源3、3、・・・からの電力供給路を形成するためのものである。
【0026】
親機CPU14は、計時機能としてのタイマ140が備えられ、当該インターホン親機の構成各部を制御するためのものであり、例えば、早期電源異常検出回路12にて商用電源2、2、・・・の異常が検出されたとき、後述する電源異常通知データを生成して制御機4に送出するための機能や停電検出回路11にて商用電源2、2、・・・の停電(停電状態)が検出された場合、制御機4への電源異常通知データの送出動作を停止する機能等を備えている。なお、タイマ140は、親機CPU14に備えられる態様に限定されるものではなく、図中、破線で示すように、親機CPU14に接続される構成部として設けることもできる。
【0027】
親機I/F15は、親機CPU14及び親機/制御機ラインL間の信号伝送路、親機CPU14及びセンサ5a、5b、・・・間の信号伝送路/電力供給路、親機CPU14及びインターホン子機6a、6b、・・・間の信号伝送路/電力供給路をそれぞれ形成するためのものである。なお、親機I/F15は、図示のような単一の構成に限定されるものではく、前述の信号伝送路(/電力供給路)毎に個別の当該I/Fとして設けることもできる。
【0028】
次に、制御機4の構成を説明するにあたり、この制御機4は、制御機CPU40、制御機I/F41が備えられている。
【0029】
この制御機4において、制御機CPU40は、計時機能としてのタイマ400が備えられ、インターホン親機1a、1b、・・・の親機CPU14からの電源異常通知データの受信の有無に対応して商用電源2、2、・・・の停電状態又は通電状態を監視するための各種制御を行うものである。なお、タイマ400は、制御機CPU40に備えられる態様に限定されるものではなく、図中、破線で示すように、制御機CPU40に接続される構成部として設けることもできる。
【0030】
制御機I/F41は、制御機CPU40及び親機/制御機ラインL間の信号伝送路を形成するためのものである。
【0031】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作(第1、第2の動作)について、図2のタイムチャート図及び図3、図4のフローチャート図を参照して説明する。
【0032】
本発明の実施例における第1、第2の動作によれば、その前提として、複数のインターホン親機1a、1b、・・・の親機CPU14は、商用電源2、2、・・・からの通電時において、通常、電源切換回路13をオフ状態に切換えており、非常電源3、3、・・・からの電力供給路を遮断している。
【0033】
また、商用電源2、2、・・・から複数のインターホン親機1a、1b、・・・への通電時において、AC/DCコンバータ10の整流・平滑回路101は、AC回路100を介し、商用電源2、2、・・・の電圧の高さが電磁誘導を利用してインピーダンス変換される交流電圧を整流・平滑して直流電源を生成し、当該インターホン親機の構成各部に電力供給しており、この直流電源の電圧レベルは、停電検出回路11にて監視されることになる。
【0034】
次に、本発明の実施例における第1の動作について説明するにあたり、複数のインターホン親機1a、1b、・・・のうち、例えば、インターホン親機1aに電力供給を行う商用電源2が、図2に示すように停電(停電状態)になると、このインターホン親機1aの早期電源異常検出回路12は、AC/DCコンバータ10のAC回路100を介して交流電圧に発生する波形歪みをもとに当該商用電源の異常を検出し、その旨の電源異常データS1を生成して親機CPU14に送出する(ステップST1、ST2)。
【0035】
また、前述のような電源異常が発生すると、(インターホン親機1aの)AC/DCコンバータ10の整流・平滑回路101からの出力である直流電源の電圧レベルは、図2に示すように、時間の経過とともに降下(電圧降下)するため、停電検出回路11は、インターホン親機1aの動作電源となる直流電源の電圧レベルが、所定の電圧レベル未満となったとき、商用電源2が通電状態から停電状態に移行したことを検出し、その旨の停電検出データS2を生成して親機CPU14に送出する。なお、親機CPU14は、停電検出回路12からの停電検出データS2を受信したタイミングで電源切換回路13を切換え、非常電源3からの電力供給路を形成することにより、非常電源3からの電力供給を、例えば、センサ5aの動作電源として確保することもできる。
【0036】
ここで、インターホン親機1aの親機CPU14は、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1を受信したタイミングで商用電源2の異常であると検出し、その旨の電源異常通知データS10を生成し、図2に示すように、停電検出回路12からの停電検出データS2が受信されるまでの間継続して送出する(ステップST3)。この電源異常通知データS10は、親機CPU14から親機I/F15、親機/制御機ラインL、制御機4の制御機I/F41を経由して制御機CPU40に伝送される。
【0037】
ここまでの動作により、商用電源2に異常が発生した場合であっても、インターホン親機1aの動作電源となる直流電源の電圧レベルが所定の電圧レベル未満となるまでの間、電源異常通知データS10の生成・送出動作に異常が発生せず、制御機4の制御機CPU40へのデータ伝送を正常かつ確実に行うことができる。
【0038】
制御機4の制御機CPU40は、インターホン親機1aの親機CPU14からの電源異常通知データS10を受信すると、タイマ400の計時機能が能動となり所定の第1の時間T1である例えば、インターホン親機1aの動作が停電によって確実に停止する時間とされる5秒の計時を開始する(ステップST4、ST5)。この計時がタイムアップになると、制御機CPU40は、インターホン親機1aに電力供給を行う商用電源2が停電状態又は停電状態であるかを確認するための電源状態確認データS20を生成し、前述の電源異常通知データS10と逆の経路を介してインターホン親機1aの親機CPU14に送出する(ステップST5、ST6)。
【0039】
インターホン親機1aの親機CPU14は、制御機4の制御機CPU40からの電源状態確認データS20を受信したとき(ステップST7)、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1の受信の有無を確認する。ここで、商用電源2の停電状態が一時的であり、インターホン親機1aの動作が停電によって確実に停止する前に通電状態へと復旧し、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル以上に復旧されるように、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1及び停電検出回路11からの停電検出データS2がそれぞれ受信されていないと、これを検出した親機CPU14は、商用電源2の異常が復旧した旨の通電通知データS11を生成し、前述の電源異常通知データS10と同一の経路を介して制御機4の制御機CPU40に送出する(ステップST8、ST9)。一方、商用電源2の停電状態が継続しており、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが依然として閾値レベル未満のままであるように、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1及び停電検出回路11からの停電検出データS2がそれぞれ受信されていると、これを検出した親機CPU14は、制御機4の制御機CPU40からの電源状態確認データS20に応答することはなく、又はインターホン親機1aの動作が停止して応答できないため、前述のような通電通知データS11の生成、及びその送出動作は行われない(ステップST8)。
【0040】
なお、インターホン親機1aの親機CPU14によれば、非常電源3からの電力供給路が形成されているとき、商用電源2の停電状態が継続している場合であっても、制御機4の制御機CPU40からの電源状態確認データS20を受信できることがあるものの、この状態では依然として、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル未満であるため、前述のような通電通知データS11の生成、及びその送出動作は行われない。
【0041】
制御機4の制御機CPU40は、インターホン親機1aの親機CPU14からの通電通知データS11を受信すると、インターホン親機1aに電力供給を行う商用電源2の異常が復旧して通電状態であると確認することができる(ステップST10、ST11、ST13)。一方、この通電通知データS11が受信されない場合には、商用電源2が(依然として)停電状態であると確認することができ、例えば、非常電源3からインターホン親機1aへの電力供給路が形成されているとき、早期電源異常検出回路12にて商用電源2の停電事由とは異なる異常を検出した場合であっても、確実な停電状態を確認することができる(ステップST12、ST13)。
【0042】
次に、本発明の実施例における第2の動作について説明するにあたり、複数のインターホン親機1a、1b、・・・のうち、前述の第1の動作と同様、インターホン親機1aに電力供給を行う商用電源2が、図2に示すように停電(停電状態)になると、このインターホン親機1aの早期電源異常検出回路12は、AC/DCコンバータ10のAC回路100を介して交流電圧に発生する波形歪みをもとに当該商用電源の異常を検出し、その旨の電源異常データS1を生成して親機CPU14に送出する(ステップST51、ST52)。
【0043】
また、前述のような電源異常が発生すると、(インターホン親機1aの)AC/DCコンバータ10の整流・平滑回路101からの出力である直流電源の電圧レベルは、図2に示すように、時間の経過とともに降下(電圧降下)するため、停電検出回路11は、インターホン親機1aの動作電源となる直流電源の電圧レベルが、所定の電圧レベル未満となったとき、商用電源2が通電状態から停電状態に移行したことを検出し、その旨の停電検出データS2を生成して親機CPU14に送出する。なお、親機CPU14は、停電検出回路12からの停電検出データS2を受信したタイミングで電源切換回路13を切換え、非常電源3からの電力供給路を形成することにより、非常電源3からの電力供給を、例えば、センサ5aの動作電源として確保することもできる。
【0044】
ここで、インターホン親機1aの親機CPU14は、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1を受信したタイミングで商用電源2の異常であると検出し、その旨の電源異常通知データS10を生成し、停電検出回路12からの停電検出データS2が受信されるまでの間継続して送出する(ステップST53)。この電源異常通知データS10は、前述の第1の動作と同様な経路を介して親機CPU14から制御機4の制御機CPU40に伝送される。
【0045】
ここまでの動作により、商用電源2に異常が発生した場合であっても、インターホン親機1aの動作電源となる直流電源の電圧レベルが所定の電圧レベル未満となるまでの間、電源異常通知データS10の生成・送出動作に異常が発生せず、制御機4の制御機CPU40へのデータ伝送を正常かつ確実に行うことができる。
【0046】
また、インターホン親機1aの親機CPU14は、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1を受信したタイミングでタイマ140の計時機能が能動となり、所定の第2の時間T2である例えば、インターホン親機1aの動作が停電によって確実に停止する時間とされる5秒の計時を開始する(ステップST54)。この計時がタイムアップになると、親機CPU14は、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1の受信の有無及び停電検出回路11からの停電検出データS2の受信の有無をそれぞれ確認する。ここで、商用電源2の停電状態が一時的であり、インターホン親機1aの動作が停電によって確実に停止する前に通電状態へと復旧し、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル以上に復旧されるように、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1及び停電検出回路11からの停電検出データS2がそれぞれ受信されていないと、これを検出した親機CPU14は、商用電源2の異常が復旧した旨の通電通知データS11を生成し、前述の電源異常通知データS10と同一の経路を介して制御機4の制御機CPU40に送出する(ステップST55、ST56)。一方、商用電源2の停電状態が継続しており、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが依然として閾値レベル未満のままであるように、早期電源異常検出回路12からの電源異常データS1が受信されていると、これを検出した親機CPU14では、前述のような通電通知データS11の生成、及びその送出動作は行われない(ステップST55)。
【0047】
制御機4の制御機CPU40は、インターホン親機1aの親機CPU14からの電源異常通知データS10を受信すると、タイマ400の計時機能が能動となり所定の第3の時間T3である例えば、6秒の計時を開始し(ステップST57、ST58)、この第3の時間T3内においてインターホン親機1aの親機CPU14からの通電通知データS11の受信の有無を確認する(ステップST59)。ここで、制御機CPU40は、前述の第3の時間T3内においてインターホン親機1aの親機CPU14からの通電通知データS11を受信すると、インターホン親機1aに電力供給を行う商用電源2の異常が復旧して通電状態であると確認することができる(ステップST59、ST60、ST62)。一方、前述の第3の時間T3内において通電通知データS11が受信されない場合には、商用電源2が(依然として)停電状態であると確認することができ、例えば、非常電源3、3、・・・からインターホン親機1a、1b、・・・への電力供給路が形成されているとき、早期電源異常検出回路12にて商用電源2の停電事由とは異なる異常を検出した場合であっても、確実な停電状態を確認することができる(ステップST59、ST60、ST62)。
【0048】
前述までの説明から明らかなように、本発明の第1、第2の動作によれば、インターホン親機1a、1b、・・・に電力供給を行う商用電源2、2、・・・の停電を検出する停電検出回路11の検出タイミングと比較して、商用電源2、2、・・・の異常を早期電源異常検出回路12にて早期なタイミングで検出し、親機CPU14から制御機4の制御機CPU40へ通知することができ、この制御機CPU40は、通電状態へと復旧し停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが閾値レベル以上に復旧されるように商用電源2、2、・・・の異常が復旧した旨の通電状態や、停電検出回路11にて検出される直流電源の電圧レベルが依然として閾値レベル未満のままである商用電源2、2、・・・の停電状態を確認することができ、このような確認時において非常電源3、3、・・・の消費が不要とされ省電力化も可能となる。
【0049】
なお、本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0050】
1a、1b、・・・ ……複数のインターホン親機
10……AC/DCコンバータ
100……AC回路
101……整流・平滑回路
11……停電検出回路
12……早期電源異常検出回路
13……電源切換回路
14……親機CPU
2、2、・・・ ……商用電源
3、3、・・・ ……非常電源
4……制御機
40……制御機CPU
T1、T2……第1、第2の時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインターホン親機(1a、1b、・・・)と、前記インターホン親機を制御するための制御機(4)とを有するインターホンシステムであって、
前記インターホン親機は、商用電源(2、2、・・・)を直流電源に整流・平滑するためのAC/DCコンバータ(10)と、前記直流電源の電圧レベルを監視し、所定の閾値レベル以下となったときに前記商用電源の停電であると検出するための停電検出回路(11)と、前記AC/DCコンバータ中のAC回路(100)に接続され交流電圧の波形歪みを検出して前記商用電源の停電を前記停電検出回路の検出タイミングより早く検出するための早期電源異常検出回路(12)と、前記早期電源異常検出回路にて前記商用電源の異常が検出されたとき、電源異常通知データを生成して前記制御機に送出するための親機CPU(14)とを備え、
前記制御機は、前記インターホン親機の親機CPUからの前記電源異常通知データの受信の有無に対応して前記商用電源の停電状態又は通電状態を監視するための制御機CPU(40)を備えることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記インターホン親機の親機CPUは、前記停電検出回路にて前記商用電源の停電状態が検出された場合、前記制御機への前記電源異常通知データの送出動作を停止する機能を備えることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記制御機の制御機CPUは、前記インターホン親機の親機CPUから伝送されてくる前記電源異常通知データを受信して所定の第1の時間(T1)の計時を開始し、前記第1の時間のタイムアップ後において前記商用電源が前記停電状態又は通電状態あるかを確認するための電源状態確認データを生成して前記インターホン親機に送出する機能を備え、
前記インターホン親機の親機CPUは、前記制御機の制御機CPUから伝送されてくる前記電源状態確認データを受信したとき、前記早期電源異常検出回路にて前記商用電源の異常が検出されない場合や前記停電検出回路にて前記商用電源の停電を検出していない場合、前記異常が復旧したことの通電通知データを生成して前記制御機に送出する機能を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記インターホン親機の親機CPUは、前記電源異常通知データを送出したタイミングで所定の第2の時間(T2)の計時を開始し、前記第2の時間のタイムアップ後において前記早期電源異常検出回路にて前記商用電源の異常が検出されない場合や前記停電検出回路にて前記商用電源の停電を検出していない場合、前記異常が復旧したことの通電通知データを生成して前記制御機に送出する機能を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記第1、第2の時間は、前記インターホン親機の動作が前記商用電源の停電によって確実に停止するまでの時間であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記インターホン親機は、前記商用電源の停電時における非常電源(3、3、・・・)の電源供給路を形成するための電源切換回路(13)を備え、
前記インターホン親機の親機CPUは、前記電源切換回路を切換えて前記非常電源からの電源供給路が形成されているとき、前記制御機の制御機CPUから伝送されてくる前記電源状態確認データに無応答とする機能を備えることを特徴とする請求項3記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−49612(P2012−49612A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187102(P2010−187102)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】