説明

インターロイキンの放出の延長のための薬学的調製物およびその治療学的適用

本発明は、インターロイキンIL(及び1又は2以上の他の任意の有効成分)の持続された放出のための流体及び安定な水性コロイド懸濁液に基づく新規な薬学的調製物、及び該調製物の適用(特に治療学的適用)に関するものである。本発明は、インターロイキン(及び1又は2以上の他の任意の有効成分)の持続された放出のための流体薬学的調製物を提供することを目的とし、続く腸管外注射において、インヴィヴォにおけるIL放出時間が有意に増加し、一方その血漿濃度ピークは低減される。更に、前記調製物は、貯蔵安定性を有していなければならず、加えて、生体適合性、非毒性、生分解性、非免疫原性、及び優れた局所的耐性を備えていなければならない。本発明に係る調製物は、疎水基(GH)を有する水溶性の生分解性ポリマーPOのサブミクロン粒子の低粘度水性コロイド懸濁液である。上記粒子は少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の任意の有効成分)と非共有結合的に会合し、注射部位にゲル化沈殿物を形成する。該ゲル化は、生理媒体中の蛋白の存在に起因し生ずる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛋白有効成分、すなわち、インターロイキン(IL)の延長された放出のための、安定な流体水性コロイド懸濁液に基づく新規な薬学的調製物、および該調製物の治療学的適用に関するものである。これら有効な薬学的調製物は、人間及び獣医学的双方の療法に重要である。
【背景技術】
【0002】
インターロイキンは、サイトカイン群に属する蛋白の一群であり、炎症反応及び免疫反応を調節する多くの活性を有するが、その主たる機能は、Tリンパ球の増殖の活性化と誘発である。IL−1、IL−2、IL−11及びIL−12は、この群の重要因子に入るということができる。例えば、IL−2は、抗原により活性化されたTリンパ球により産生される。このIL−2の目的は、他のTリンパ球を、その活性化及び分化を可能とするために刺激し、細胞媒介性免疫応答を調節することである。
【0003】
インターロイキンは治療学的に使用されるが、その周知の毒性が治療阻害における主たる原因として解決されていないことが多い。IL−2の場合、例えば、IL−2の臨床的使用中に観察される主な事象は、発熱、吐気、下痢、皮膚反応、関節痛及び感情鈍麻である。これらの中には、集中的な治療のために入院を必要とするものもあり、稀なケースではIL−2の注入が患者死亡に関係していることが指摘されている。
【0004】
ILの毒性とは別に、インターロイキンが表わす治療蛋白の延長された放出において考慮すべき他の要因は、患者の血漿蛋白濃度を健康な対象において観察される値に可能な限り近づけることを確実にすることの必要性である。
【0005】
この目標は、血漿中におけるILの短命により、繰り返しILを注射する必要性のため、妥協されている。これは、極めて制限的である。治療蛋白の血漿濃度は、その時、高濃度ピークおよび極低最小濃度により特徴付けられる「ぎざぎざ」プロファイルを有する。健康対象における基礎的な濃度より極めて高い、この濃度ピークは、インターロイキン(より正確にはインターロイキンIL2)のような治療蛋白の高毒性のせいで著しく有害な影響を有する。更に、最小濃度は治療効果を奏するために必要な濃度より低く、患者は不十分な治療援護しか受けられず、深刻な長期間の副作用に苦しむ。
【0006】
また、患者の血漿インターロイキン濃度を治療のための理想値に確実に近づけるために、当該薬学的調製物は、血漿濃度の変動をずっと制限させるべく、治療蛋白の放出を延長させ得るものでなければならない。
【0007】
更に、この活性調製物は、好ましくは、当業者に既に周知の下記特性:
1.血漿濃度を治療学的値に維持するための、1又は2以上の活性且つ変性されていない(非修飾)インターロイキンの延長された放出、
2.0.2ミクロン以下の孔サイズを有するフィルターでの濾過により、容易に注射可能且つ殺菌し得るよう十分流動性のある液体形態、
3.安定な液体形態、
4.生体適合性及び生分解性、
5.非毒性、
6.非免疫原性、
7.優れた局所的耐性
を満たすものである。
【0008】
これらの目的を達成する試みにおいて先行技術においては既にいくつかのアプローチが提案されている。
【0009】
第一のアプローチでは、天然の治療蛋白が1又は2以上のポリマー鎖の共有結合グラフトにより、またはヒト血清アルブミン(HSA)等の蛋白の共有結合グラフトにより修飾される。このように修飾された蛋白はそのレセプタに対する親和力が低く、通常の循環における半減期がかなり増加する。これにより血漿濃度のピークと谷の間の濃度における変化の振幅はかなり減少する。従って、シータス(Cetus)はそのUS−B−4766106号において、血漿中における溶解度及び寿命を増加させるために、インターロイキン2にポリオキシエチレン鎖をグラフトさせることを提案している。同様に、ゲノムサイエンスは、結晶中における寿命を増加させるためにヒト血清アルブミンにインターロイキンを共有結合によりグラフトさせることを提案している(US−B−5876969号)。治療蛋白の化学修飾であるこの手段には、概して二つの重大な不利益がある。一つは、蛋白の不可逆修飾(もはやヒト蛋白ではない。)が毒性及び長期間における免疫原性の問題を招来し得ることである。二つ目の不利益は、このように修飾されたインターロイキンIL2の生物活性の部分的損失に由来する。
【0010】
第二のアプローチでは、少なくとも一種のポリマーと一種の有効成分を含有する調製物であって、周囲温度及び雰囲気中において液体であり、注射可能であり、注射後に例えばpHおよび/または温度の変化の影響下においてより粘性になる調製物を使用することにより活性の持続時間を増加させることが提案されている。
【0011】
従って、この傾向において、特許US−B−6143314号は、注射後に固体インプラントを形成するAPの調節された放出のための有機ポリマー溶液を開示している。この溶液は、
(A)生体適合性、生分解性を有し、水又は生理流体(例えば、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸ポリマー)に不溶性である10〜80質量%の塩基熱可塑性ポリマー;
(B)生理流体中に分散した有機溶媒(例えば、N−メチルピロリドン);
(C)有効成分(AP);
(D)最終的に1〜50質量%の、ポリ乳酸−グリコール酸/ポリエチレングリコール型のブロック共重合体からなる調節された放出剤;
を含有する。
【0012】
注入後、(B)は生理流体中で分散又は消散する。(A)は(C)を被包するインプラントであり、(A)又は(D)いずれにも共有結合していないインプラントを形成し、これによりインヴィヴォで徐々に放出される。
【0013】
この技術における主たる不利益は、有機溶媒(B)の使用であり、AP(C)(例えば、治療蛋白)を潜在的に変性し、患者に毒性となる。加えて、ポリマー(A)の加水分解により局所的耐性の問題を引き起こし得る酸がインヴィヴォにおいて生じる。
【0014】
PCT出願WO−A−99/18142号及びWO−A−00/18812号は、溶解された形態又はコロイド形態においてAPを含有するポリマー水溶液が、温血動物に、特に注射により投与され、生理学的温度がそのゲル化以上であるためインヴィヴォにおいてAP(例えば、インスリン)のゲル化沈殿物を形成し得ることに関するものである。このように形成されたゲルは、延長された形態においてAPを放出する。これら特定の生分解性ポリマーはABA又はBAB三ブロック(ここで、A=ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLAGA)又はポリ乳酸ポリマー(PLA)であり、B=ポリエチレングリコールである。)である。これら三ブロックポリマーの液体→ゲル変質温度は、例えば36℃、34℃、30℃及び26℃である。US−B−6143314号に記載のポリマー(A)のように、これらABA又はBAB三ブロックポリマーのインヴィヴォにおける加水分解により、正確な局所的耐性を有し得ない酸を生ずる。
【0015】
PCT出願WO−A−98/11874号には、脂肪親和性の有効成分、ゲル化ポリマー(ゲルライト(Gelrite)(登録商標)=脱アセチル化されたゲラン(gellan)ガム又はエチルヒドロキシセルロース)及び界面活性剤を含有する薬学的調製物が開示されている。ポリマーゲルライト(登録商標)の場合には、生理濃度において、ポリマー/界面活性剤相互作用、及びおそらくCa++イオン等の電解質の存在のみが、脂肪親和性の有効成分が非共有結合的に結合しているポリマー/界面活性剤凝集体からなるゲルの形成をもたらす。該調製物は、標的器官(例えば、眼)への局所的投与に向けられている。インシトゥにおいて形成する凝集体/有効成分会合が標的器官への有効成分のゆるやかな放出を可能とする。
【0016】
蛋白の生物活性を保ちつつその活性の持続時間を延長する試みにおいて採用された第三のアプローチは、変性されていない治療蛋白を使用し、これを生体適合性ポリマーに基づくミクロスフェア又はインプラントに組み込むことであった。このアプローチは、特に特許US−B−6500448号及び特許出願US−A−2003/0133980号に詳しく、そこにはヒト成長ホルモン(hGH)の延長された放出のための組成物が開示され、ホルモン蛋白がまず金属を用いた錯形成反応により安定化され、次いで生体適合性ポリマーマトリックス中に分散されている。生体適合性ポリマーは、例えばポリラクチド、ポリグリコリド、又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体である。この組成物は、例えば、ミクロスフェアのナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液の懸濁液の形態において提供される。このアプローチにはいくつかの不利益がある。第一に、ミクロスフェア製造工程の間に、蛋白が潜在的に変性有機溶媒と接触する。また、ミクロスフェアは大きく(1〜1000ミクロン)、注射及びフィルターでの滅菌に関して制限的である。最後に、局所的耐性の問題はポリマーがインシトゥにおいて加水分解されるときに生じ得る。
【0017】
第四のアプローチによると、蛋白が充填されたナノ粒子の液体懸濁液からなる治療蛋白(特にインターロイキン)の延長された放出の形態が開発された。後者は低粘度の液体調製物における天然蛋白の投与を可能とした。
【0018】
延長された放出の第一の方法によると、延長放出ナノ粒子懸濁液は、修飾されていない天然治療蛋白が被包されたリポソームの懸濁液からなる。注射後、蛋白は徐々にリポソームから放出され、通常の循環において蛋白が存在する時間を延長する。従って、フロッセン(Frossen)等は、論文、Cancer Res.,43、p.546、1983、において、抗腫瘍性試薬の効能を強化するために、リポソームにおける抗腫瘍性試薬の被包について記載している。しかしながら、かかる薬剤の放出が早すぎ延長された放出を実現するものではない。その特許US−B−5399331号において、リポソーム・カンパニー・インコーポレーテッド(Liposome Company,Inc)は、リポソームにインターロイキン2を共有結合によりグラフトさせることによりインターロイキン2のインヴィトロにおける放出時間を改善することを提案しており、前記方法は上述した第一の「修飾蛋白」アプローチと同じ欠点を有するものである。
【0019】
低粘度の液体ナノ粒子調製物の利点を維持しつつ同時にリポソームの安定性欠如の欠点を解決すべく、フラメル・テクノロジーズ(Framel Technologies)は、延長された放出の第二の方法を提供する。該方法では、治療蛋白が「疎水性修飾された」、すなわち、疎水基をグラフトすることにより修飾された水溶性ポリマーと会合している。このポリマーは、特に疎水性グラフトを有するポリアミノ酸(ポリグルタメート又はポリアスパルテート)から選択される。
【0020】
これらの疎水性修飾されたポリマーの着目すべき利点の一つは、これらポリマーがナノ粒子を形成するために水中で自発的に自己会合することである。
【0021】
これらの系における他の利点は、治療蛋白又はペプチドが疎水性修飾されたポリマーのナノ粒子と自発的に会合すること、この会合は非共有結合であり、界面活性剤や潜在的に変性させる変質工程によることなく起こることである。これは、特許US−B−6500449号及び特許出願US−A−2003/0133980号に開示されているような、ミクロスフェア中の蛋白の被包を必要としない。全体的な対比において、これらの疎水性修飾されたコポリアミノ酸のナノ粒子は、化学修飾や変性することなく、また「乳化」及び「溶媒エバポレーション」等の集中的な処置を施すことなく、溶液中で蛋白を自発的に吸着する。該調製物は、液体又は凍結乾燥形態において保存することができる。
【0022】
例えば皮下における注射後、蛋白を充填されたナノ粒子懸濁液は、インヴィヴォにおいて生物活性非変性蛋白を徐々に放出する。かかる蛋白有効成分(AP)/ポリ[Glu]又はポリ[Asp]の非共有結合会合は、特許出願WO−A−00/30618号に開示されている。
【0023】
前記特許出願には、特に、ヒトインスリンと「疎水性修飾された」ポリグルタメートとの会合を含有するpH7.4のコロイド懸濁液が記載されている。下記表には、WO−A−00/30618号の実施例で使用された「疎水性修飾された」ポリアミノ酸及び得られた会合度が示されている。
【表1】

【0024】
これらコロイド懸濁液は、インスリン1.4mg/ml、「疎水性修飾された」ポリアミノ酸10mg/mlを含む。
【0025】
WO−A−00/30618号の図1には、上述した懸濁液によりベクトル化されたインスリンのインヴィヴォにおける放出時間が12時間であることが示されている。この放出時間は有利に増大させることができた。
【0026】
従って、前記PCT出願には既にかなりの進歩が示されているが、その技術内容は上記において列挙した詳述、特にインヴィヴォにおけるインターロイキンの放出時間を延ばすことに関して更に至適化することができる。
【0027】
未公開のフランス特許出願第0207008号(07/06/2002)、第0209670号(30/07/2002)、第0350190号(28/05/2003)、及び第0150641号(03/10/2003)は、アスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットを含有する新規な水溶性両親媒性ポリアミノ酸に関わり、これらユニットの少なくともいくつかが疎水性グラフトを有している。特許出願WO−A−00/30618号に開示された疎水性修飾されたポリアミノ酸のように、これら新規なポリマー出発物質は、水性液体媒体中においてAP(インスリン)の延長された放出のために使用され得るナノ粒子のコロイド懸濁液を自発的に形成する。それらは生体適合性及び生分解性を有し、蛋白(特に治療蛋白)が化学修飾又は変性を施すことなくこれらナノ粒子上に自発的に吸着する。
【0028】
前記特許出願は、更に、これらポリアミノ酸に基づく新規な薬学的組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は植物衛生組成物に関するものである。
【0029】
フランス特許出願第0207008号に記載の両親媒性「疎水性修飾された」ポリアミノ酸は、少なくとも一つのアルファ−トコフェロールユニットを含む疎水性グラフトを有するアスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニット(例えば、合成又は天然由来のアルファ−トコフェロールでグラフトされたポリグルタメート又はポリアスパルテート)を含有する。
【0030】
前記未公開特許出願は特に、ポリマー/活性蛋白会合から形成されるナノ粒子を含み且つ、アルファ−トコフェロールでグラフトされたポリグルタメート1mgと、pH7.0の水1ml中のインスリン7mgを混合することにより得られるコロイド懸濁液を開示している。
【0031】
フランス特許出願第0209670号に記載の両親媒性「疎水性修飾された」ポリアミノ酸は、少なくとも一つの疎水性ユニットを含み且つ、二つのアミド基を含む回転結合(rotating linkage)(より正確には、リシン又はオルニチン型の「スペーサー」)を介してアスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットに結合している疎水性グラフトを有するアスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットを含有する。
【0032】
前記未公開特許出願は特に、ポリマー/活性蛋白会合から形成されるナノ粒子を含み且つ、リシン「スペーサー」を介してパルミチン酸でグラフトされたポリグルタメート10mgと、pH7.4の水1ml中のインスリン(7.4mg)200IUを混合することにより得られるコロイド懸濁液を開示している。
【0033】
フランス特許出願第0350190号に記載の両親媒性「疎水性修飾された」ポリアミノ酸は、アスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットを含有するものであり、その中にはLeuおよび/またはILeuおよび/またはValおよび/またはPheに基づく「アミノ酸」「スペーサー」を介してアスパラギン酸ユニット又はグルタミン酸ユニットに結合する少なくとも一つのグラフトを有し、C6〜C30疎水基がエステル結合を介して「スペーサー」に結合されているアスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットを含有するものがある。
【0034】
前記未公開特許出願は特に、ポリマー/活性蛋白会合から形成されるナノ粒子を含み且つ、−Lue−OC8、−Val−OC12、又は−Val−コレステリルグラフトでグラフトされたポリグルタメート10mgと、pH7.4の水1ml当たりインスリン(7.4mg)200IUを混合することにより得られるコロイド懸濁液を開示している。
【0035】
フランス特許出願第0150641号は、アスパラギン酸ユニット又はグルタミン酸ユニットを含有する両親媒性直鎖ホモポリアミノ酸であって、8〜30個の炭素原子を含む疎水基を末端に有する両親媒性直鎖ホモポリアミノ酸を開示している。
【0036】
特に、「疎水性修飾された」テレケリック(telechelic)ホモポリアミノ酸は、例えば、PheOC18/C18末端を有するポリ[GluONa]またはPheOC18/アルファ−トコフェロール末端を有するポリ[GluONa]である。前記未公開特許出願はまた、ポリマー/活性蛋白会合から形成されるナノ粒子を含み且つ、上記ポリマーの中の1種とpH7.4の水1ml当たりインスリン(7.4mg)200IUを混合することにより得られるコロイド懸濁液を開示している。
【0037】
前記未公開特許出願に記載の懸濁液により「ベクトル化された」インスリンのインヴィヴォにおける放出時間は、有利に増加させることができた。
【0038】
いずれにおいても、疎水性修飾されたポリアミノ酸のナノ粒子のコロイド懸濁液に関するこれら先行技術において、以下を可能とした調製物を開示するものはない。
【0039】
(I)腸管外注射、特に皮下注射後の活性蛋白の放出時間を十分増大させること;
(II)および/または活性蛋白を含む調製物の注射後に活性蛋白の血漿濃度ピークを減少させること。
【発明の開示】
【0040】
上述した状況下ゆえに、本発明の本質的な目的は、先行技術の欠点を解決し、特に腸管外(例えば、皮下)注射後における変性されていないインターロイキンのインヴィヴォにおける延長された放出時間を達成することを可能とする、ILの延長された放出のための液体薬学的調製物を提供することである。
【0041】
本発明の他の本質的な目的は、インヴィヴォにおけるインターロイキンの延長された放出のための液体薬学的調製物であって、孔サイズが0.2ミクロン以下であるフィルターでの濾過により容易に注射することができ且つ滅菌することができる程度に十分な流動性を有する液体薬学的調製物を提供することである。
【0042】
本発明の他の本質的な目的は、インヴィヴォにおけるインターロイキンの延長された放出のための液体薬学的調製物であって、物理化学的及び生物学的用語の双方において、貯蔵時に安定である液体薬学的調製物を提供することである。
【0043】
本発明の他の本質的な目的は、インヴィヴォにおけるインターロイキンの延長された放出のための液体薬学的調製物であって、以下の特性:生体適合性、生分解性、非毒性、非免疫原性、優れた局所的耐性のうち少なくとも一つの特性を有する液体薬学的調製物を提供することである。
【0044】
本発明の他の本質的な目的は、インヴィヴォにおけるインターロイキンの緩慢な延長された放出のための薬学的調製物であって、少なくとも一つのインターロイキンと自己会合するポリマーPOのサブミクロン粒子を含有する低粘度の水性コロイド懸濁液であり、該ポリマーPOは疎水基を有する水溶性の生分解性ポリマーである薬学的調製物を提供することである。
【0045】
本発明の他の本質的な目的は、インヴィヴォにおけるインターロイキンの緩慢な延長された放出のための薬学的調製物であって、少なくとも一つのインターロイキンと自己会合するポリマーPOのサブミクロン粒子を含有する低粘度の水性コロイド懸濁液であり、該ポリマーPOは、例えばアスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットから形成されるポリアミノ酸であって、少なくともこれらユニットの中には少なくとも1の疎水基(HG)を含むグラフトを有するユニットが含まれ、POはまた生分解性であり、水溶性であり、且つ両親媒性である薬学的調製物を提供することである。
【0046】
本発明の他の本質的な目的は、上に挙げた目的において言及した調製物の誘導生成物および/または前駆体を提供することである。
【0047】
生理温度において低粘度であり、驚くべきことに、人間又は温血動物への容易な腸管外投与後にインヴィヴォにおいてゲル化沈殿物を形成する水性液体の薬学的調製物を開発したことは、特に本出願人の功績である。この沈殿物の調製物は、腸管外注射時のpH又は温度変化により、もしくは生理媒体中の有機溶媒の分散により誘発されない。このようにして形成されるゲル化沈殿物は、ILのインヴィヴォにおける放出時間を有意に増加させる。
【0048】
このように、本発明は、インターロイキンの延長された放出のための液体薬学的調製物に関するものであり、該薬学的調製物は疎水基(HG)を有する水溶性の生分解性ポリマー(PO)のサブミクロン粒子に基づく低粘度の水性コロイド懸濁液を含有し、前記粒子は少なくとも1のインターロイキン、及び任意に少なくとも1の有効成分(AP)と非共有結合的に会合している薬学的調製物であって、
・懸濁液の分散媒体が本質的に水からなり、
・前記調製物が腸管外により注射され得、その後インヴィヴォにおいてゲル化沈殿物を形成することができ(ここで、このゲル化沈殿物の形成は、
・一方では、少なくとも一部はインヴィヴォにおいて存在する少なくとも一つの生理蛋白に起因し、
・他方では、投与後24時間を超えてAPのインヴィヴォにおける放出時間を延長し調節することを可能とするものである。)、
・注射条件下において液体であり、
・生理温度および/または生理pHおよび/または下記存在下:
・生理濃度における生理電解質、および/または
・少なくとも一つの界面活性剤
においてもまた液体である、ことを特徴とする薬学的調製物である。
【0049】
有利なことに、このインヴィヴォにおけるゲル化は、pHおよび/または温度変化、または注射された調製物中に存在し得る1又は2以上の有機溶媒のインヴィヴォにおける分散に起因しない。
【0050】
理論による拘束を押し付けられることなしに、生理濃度においてインヴィヴォに存在する生理蛋白により、少なくとも一つのインターロイキンと会合するPOのナノ粒子が凝集し得ると考えることができる。このようなゲル化は、とりわけ、例えば1時間又は1時間以上、24時間、48時間又は72時間後に起こる。
【0051】
本発明の最適化された態様において、[PO]濃度は腸管外による注射後にインヴィヴォにおいてゲル化沈殿物を形成する濃度である。
【0052】
上記に示したようなインヴィヴォにおける作用ではなくインヴィトロにおける作用に基づく定義の一形態によれば、本発明は、インターロイキン及び任意に他の有効成分(AP)の延長された放出のための液体薬学的調製物に関するものであり、該調製物は、
・雰囲気において液体であり、
・生理温度および/または生理pHおよび/または下記存在:
・生理濃度における生理電解質、および/または
・少なくとも一つの界面活性剤
においても液体であり、
・該薬学的調製物は疎水基HGを有する水溶性の生分解性ポリマーPOのサブミクロン粒子に基づく低粘度の水性コロイド懸濁液を含有し、前記粒子は少なくとも一つのインターロイキン(及び任意に少なくとも一つの他の有効成分)と非共有結合的に会合しており、前記懸濁液の分散媒体は本質的に水からなる薬学的調製物であって、
[PO]濃度が、少なくとも一つの蛋白の存在下において、腸管外による注射後にインヴィトロにおけるゲル化沈殿物の形成を可能ならしめるに十分な程度に高値にされていることを特徴とする液体薬学的調製物である。
【0053】
好ましくは、本発明による液体薬学的調製物はその[PO]濃度が以下のものである:
・[PO]≧0.9.C1、
・好ましくは、20.C1≧[PO]≧C1、
・特に好ましくは、10.C1≧[PO]≧C1である。
【0054】
ここでC1は、IG試験において測定される、PO粒子の「誘発されたゲル化」濃度である。
【0055】
該調製物の腸管外投与後に得られるゲル化沈殿物により、蛋白の放出時間の重要な延長、並びにインターロイキンの血漿濃度ピークの減少が達成され得る。
【0056】
インターロイキンの放出時間は、先行技術の調製物、特に発行されたPCT出願WO−A−00/30618号及び未発行のフランス特許出願第0207008号、第0209670号、第0350190号及び第0150641号に開示された調製物の放出時間と比較し、有意に増加している。
【0057】
本発明の調製物により誘導されるインヴィヴォにおける放出時間の延長は、放出されるインターロイキンはまだ十分に生物活性であり変性されていないため、極めて価値がある。
【0058】
本発明の開示における用語インターロイキンは、任意に、修飾されていないインターロイキンまたは修飾されたインターロイキン、例えば、1又は2以上のポリオキシエチレン基のグラフトにより修飾されたインターロイキンである。IL−1、IL−2、IL−11、IL−12及びIL−18は、インターロイキン群の蛋白の中に言及され得る。
【0059】
本発明の開示を通して、少なくとも一つのインターロイキン及び任意に少なくとも他の一つのAPと会合している、もしくは会合していないポリマーPOの超分子アレンジメントは、任意に、「サブミクロン粒子」又は「ナノ粒子」と言われ得る。これらは、動的直径1乃至500nm、より好ましくは5乃至250nm(後掲の実施例において規定するMd手順により測定)を有する粒子に相当する。
【0060】
さらに、これら調製物が液体であること、すなわち、有利なことに、これら調製物は極低粘度であり、そのため注射し易いことに注目することは大変重要である。これらはインヴィヴォにおいてのみゲル化する。
【0061】
本発明によれば、「液体」、「低粘度」又は「極低粘度」の性質は、20℃における動的粘度が5Pa.s以下に有利に相当する。粘度において参照される測定は、例えば、20℃において、円錐−平板ジオメトリー(4cm、2°)を備えたAR1000レオメーター(TAインストルメンツ)を用いて行われ得る。粘度vは、10s−1のせん断勾配で測定される。
【0062】
従って、本発明による調製物の粘度は、例えば、1.10−3〜5Pa.s、好ましくは1.10−3〜0.8Pa.s、特に好ましくは1.10−3〜0.5Pa.s、であり得る。
【0063】
本発明の調製物は、低粘度であるために、とりわけ腸管外(特に、筋肉内又は皮下)に注射することが容易であるのみならず、孔サイズ0.2μmの滅菌フィルターでの滅菌により、削減したコストで容易に滅菌することも可能である。
【0064】
本発明の調製物におけるこの液体状態又は低粘度は、周囲温度(例えば、4〜30℃)に対応する注射温度及び生理温度の双方において存在する。
【0065】
本発明による調製物は、好ましくは、1又は2以上のインターロイキン、及び任意に1又は2以上のAPと会合したナノ粒子の水性コロイド懸濁液である。本発明において、これはかかる懸濁液の分散媒体が本質的に水から形成されることを意味する。実際には、この水は、例えば調製物の全質量に対して少なくとも50質量%以上であることを表わす。
【0066】
本発明に関して、用語「蛋白」は、蛋白またはペプチドのいずれも意味し、修飾されていない蛋白又はペプチドでも、また例えば1又は2以上のポリオキシエチレン基のグラフトにより修飾された蛋白又はペプチドであってよい。
【0067】
本発明に関して「生理蛋白」は、注射部位に存在する温血動物の内因性蛋白および/またはペプチドを意味するものと理解される。
【0068】
本発明に関して「生理温度」は、温血動物の生理温度、すなわち、約37〜42℃を意味するものと理解される。
【0069】
本発明に関して「生理pH」は、例えば、pH6〜7.6を意味するものと理解される。
【0070】
本発明に関して「ゲル」は、生理pHおよび/または生理温度および/または生理電解質(例えば、Ca++)および/または注射された調製物中に存在し得る有機溶媒のインヴィヴォにおける分散(又は消散)が本質的に介入することなく、本発明の液体調製物が生理蛋白の存在によってのみ自発的に変質する半固体状態を意味するものと理解される。
【0071】
本発明に関して「生理電解質」は、温血動物中に存在するすべての電解質種(例えば、Ca++イオン)を意味するものと理解される。
【0072】
本発明に関して「生理濃度」は、当該生理媒体の温血動物において見られるすべての生理濃度を意味するものと理解される。
【0073】
加えて、本発明の調製物は非毒性であり、優れた局所的耐性を有し、安定である。
また、本発明による好ましい調製物の集団を選択し、該調整物におけるPOの好適濃度を決定するためのインヴィトロにおけるIG試験を開発したことは、本発明者等の功績である。
【0074】
本発明によれば、ゲル化濃度C1を測定するためのIG試験は、本発明の各コロイド調製物を特徴付ける臨界濃度C1(以下において、誘導ゲル化濃度C1と称する。)を規定するための参照試験である。
【0075】
誘導ゲル化濃度C1を決定するためのGI試験は以下の通りである。
濃度C1は、本発明による両親媒性ポリマーを様々な濃度において含有するコロイド調製物と治療蛋白を一定濃度において含有するコロイド調製物を調製することにより決定する。このために、乾燥粉末ポリマー量を増加させて脱イオン化水に溶解する。溶液は、治療蛋白の濃縮溶液と混合する前に、磁気攪拌しながら25℃において16時間おく。治療蛋白のこの溶液の容積及び濃度を、調製物において所望される蛋白濃度となるよう調整する[例えば、インターロイキン2(IL2)の2.5mg/ml]。
【0076】
このように調製されたコロイド調製物を、ウシ血清アルブミン(BSA)30mgを含有する濃縮水溶液と混合し、次いで15分間3000rpmにおいて遠心分離機にかける。混合物を静かに24時間攪拌し、特徴づけのために回収する。
【0077】
円錐−プレートジオメトリー(直径4cm、角度1.59)を備えたTAインストルメンツ AR1000レオメーターで粘弾性測定を行う。0.01radの変形(線形粘弾性領域に位置する。)が、0.1〜300rad/sの周波数範囲に亘り、正弦的に変調して置かれる。サンプル温度は、ペルチエセル(Peltier cell)の手段により20℃に保たれる。
【0078】
弾性G’の変調及び粘度の変調又は損失変調G”の振動スペクトルは、特有の緩和時間Trを規定させることができ、該緩和時間Trは、弾性G’の変調が粘性G”の変調と交差する周波数の逆数として本発明において規定される。これらの詳細な説明は、フェリーによるビスコエラスティック・プロパティーズ・オブ・ポリマー(Viscoelastic Properties of Polymers)と題された著書(J.D.Ferry、J.Wiley、NY、1980)及びJ.REGALADO等による論文マクロモルキュールズ(Macromolecules)(1999、32、8580)に見出すことができる。
【0079】
該調製物のポリマー濃度の関数として緩和時間Trの測定により、この時間Trが1秒を超える際の濃度C1を規定することが可能となる。ゲル化濃度C1の値の例は、後掲の例6に記載されている。
【0080】
同様に、緩和時間が各々0.1秒及び10秒を超える際の濃度C0.1及びC10を規定することができる。これらの濃度は次の増加順:C0.1<C1<C10に分類される。
【0081】
本発明に係る調製物の変形例の一つは、
・[PO]≧C0.1、
・好ましくは、[PO]≧C1、
・特に好ましくは、[PO]≧C10、である。
【0082】
有利な更なる特徴は、[PO]≦20.C1、である。
【0083】
本発明に関しては本開示を通して、1又は2以上の有効成分とポリマーPO(例えば、ポリアミノ酸)との間の関係を限定するために使用される「会合」および「会合体」の用語は、有効成分がポリマーPO(例えば、ポリアミノ酸)に、例えば、静電的及び/又は疎水相互作用的及び/又は水素結合及び/又は立体障害により非共有結合的に結合していることを特に意味する。
【0084】
本発明によるポリマーPOは、疎水基HGを有する水溶性の生分解性ポリマーである。疎水基は、鎖の残部に比例して数が減少していることがあり、鎖の側部に結合し又は鎖の間に挿入されており、不規則に分布し(ランダム共重合)、または連続形態で又はグラフト形態で分布し得る(ブロック共重合又はシーケンス共重合)。
【0085】
限定するものではないが、疎水性修飾されたポリマーPOは、両親媒性コポリアミノ酸、多糖類(好ましくは、プルラン(pullulan)及び/又はキトサン及び/又はムコ多糖を含有する小群における多糖類)、ゼラチン、およびこれらの混合物を含有する群から選択され得る。
【0086】
本発明の好ましい一形態は、POが両親媒性コポリアミノ酸から選択される。
本発明に関しては本開示を通して、「ポリアミノ酸」の用語は、2〜20個の「アミノ酸」ユニットを含有するオリゴアミノ酸および20個を超える「アミノ酸」ユニットを含有するポリアミノ酸の双方を含む。
【0087】
好ましくは、本発明によるポリアミノ酸は、グルタミン酸又はアスパラギン酸繰り返しユニットを含むオリゴマー又はホモポリマー、またはこれら二つの型の「アミノ酸」の混合物を含む共重合体である。これらポリマーにおける当該ユニットはD、L、又はD/L配置を有するアミノ酸であり、グルタメート又はグルタミン酸ユニットの場合にはアルファ又はガンマ位を介して、アスパラギン酸又はアスパルテートの場合にはアルファ又はベータ位を介して結合している。
【0088】
好ましいポリアミノ酸主鎖の「アミノ酸」ユニットはL配置およびアルファ型結合を有するものである。
【0089】
本発明の特に好ましい一形態において、ポリマーPOは、少なくともいくつかが少なくとも一つの疎水基HGを含むグラフトを有するアスパラギン酸ユニット及び/又はグルタミン酸ユニットから形成されるポリアミノ酸である。これらのポリアミノ酸は、特にPCT出願WO−A−00/30618号に開示されている型である。
【0090】
第一の可能性によると、調製物のPOは、下記一般式(I)により規定される:
【化1】

【0091】
式中、
・Rは、H、直鎖C2〜C10アルキル又は分岐鎖C3〜C10アルキル、ベンジル、末端アミノ酸ユニット又は−R−[HG]であり;
・Rは、H、直鎖C2〜C10アシル又は分岐鎖C3〜C10アシル基、ピログルタメート又は−R−[HG]であり;
・Rは、H、又は好ましくは以下を含む群から選択されるカチオン体であり:
−ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む小群から有利に選択される金属カチオン、
−以下の小群から有利に選択される有機カチオン:
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(特に好ましくはポリエチレンアミン)に基づくカチオン、
・リシン又はアルギニンに基づくカチオンを含むクラスから有利に選択されるアミノ酸に基づくカチオン、
−ポリリシンおよびオリゴリシンを含む小群から有利に選択されるカチオンポリアミノ酸;
・Rは、直接結合又は1〜4個のアミノ酸ユニットに基づく「スペーサー」であり;
・Aは、独立に、ラジカル−CH−(アスパラギン酸ユニット)又は−CH−CH−(グルタミン酸ユニット)であり;
・n/(n+m)は、モルグラフト化率として定義され、その値は、pH7、25℃において水中に溶解しているPOがPOのサブミクロン粒子のコロイド懸濁液を形成するのに十分低く、n/(n+m)は好ましくは1〜25mol%であり、特に好ましくは1〜15mol%である;
・n+mは重合度として定義され、10〜1000であり、好ましくは50〜300である;
・HGは疎水基である。
【0092】
第二の可能性によると、調製物のPOは、下記一般式(II)、(III)および(IV)のいずれかを有する:
【化2】

【0093】
式中、
・HGは、疎水基であり;
・R30は、直鎖C2〜C6アルキル基であり;
・R3’は、H、または好ましくは以下:
−ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む小群から有利に選択される金属カチオン、
−以下を含む小群から有利に選択される有機カチオン:
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(特に好ましくはポリエチレンアミン)に基づくカチオン、
・リシン又はアルギニンに基づくカチオンを含むクラスから有利に選択されるアミノ酸に基づくカチオン;
−ポリリシンおよびオリゴリシンを含む小群から有利に選択されるカチオンポリアミノ酸;
を含む群から選択されるカチオン体であり;
・R50は、C2〜C6アルキル、ジアルコキシ又はジアミン基であり;
・Rは、直接結合又は1〜4個のアミノ酸ユニットに基づく「スペーサー」であり;
・Aは、独立に、ラジカル−CH−(アスパラギン酸ユニット)又は−CH−CH−(グルタミン酸ユニット)であり;
・n’+m’又はn”は、重合度として規定され、10〜1000であり、好ましくは50〜300である。
【0094】
有利には、POのnHG基は各々独立に、下式で表される一価ラジカルである:
【化3】

【0095】
式中、
−Rは、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、イソブチル(ロイシン)、secブチル(イソロイシン)、又はベンジル(フェニルアラニン)であり;
−Rは、6〜30個の炭素原子を含む疎水性ラジカルであり;
−lは、0〜6である。
【0096】
本発明の顕著な一つの特徴によると、POのすべて又はいくつかの疎水基Rは、各々独立に、以下を含むラジカル群から選択される:
・6〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルコキシであり、少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)、および/または少なくとも1個の不飽和ユニットを任意に含むアルコキシ、
・6〜30個の炭素原子を含むアルコキシであり、1個又は2個以上の縮合炭素環を有し、任意に少なくとも1個の不飽和ユニット及び/又は少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)を含むアルコキシ、
・7〜30個の炭素原子を含むアルコキシアリールまたはアリールオキシアルキルであり、任意に少なくとも1個の不飽和ユニット及び/又は少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)を含むアルコキシアリールまたはアリールオキシアルキル。
【0097】
限定するものではないが、実際には、POのグラフトの疎水基Rは、オクタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オレイルアルコール、トコフェロールおよびコレステロールを含む群から選択されるアルコール前駆体から誘導される。
【0098】
本発明の第一の態様において、ポリアミノ酸の主鎖は、アルファ−L−グルタメート又はアルファ−L−グルタミン酸ホモポリマーである。
【0099】
本発明の第二の態様において、ポリアミノ酸の主鎖は、アルファ−L−アスパルテート又はアルファ−L−アスパラギン酸ホモポリマーである。
【0100】
本発明の第三の態様において、ポリアミノ酸の主鎖は、アルファ−L−アスパルテート/アルファ−L−グルタメート又はアルファ−L−アスパラギン酸/アルファ−L−グルタミン酸共重合体である。
【0101】
有利には、POの主鎖ポリアミノ酸のアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸ユニットの分布は、得られるポリマーがランダム又はブロック型又はマルチブロック型の何れかであるような分布である。
【0102】
好ましくは、本発明による調製物において使用されるPOは、分子量が2000〜100000g/molであり、好ましくは5000〜40000g/molである。
【0103】
調製物の好ましい第一の態様において、POのグラフトの疎水性ラジカルRは、トコフェロールから形成されるアルコール前駆体から誘導される:
・1%≦[n/(n+m)]x100≦10%、
・好ましくは、3.5%≦[n/(n+m)]x100≦7.5%、
・n+mは100〜400であり、好ましくは120〜300である。
【0104】
調製物の好ましい第二の態様において、POのグラフトの疎水性ラジカルRは、コレステロールから形成されるアルコール前駆体から誘導される:
・1%≦[n/(n+m)]x100≦10%、
・好ましくは、3.5%≦[n/(n+m)]x100≦6.5%、
・n+mは100〜400であり、好ましくは120〜300である。
【0105】
本発明の調製物のこれら好ましい態様のいずれにおいても、ポリマー[PO]の濃度は有利には15〜50mg/mlである。
【0106】
変形の一例において、本発明による調製物のPOは、グルタメート及び/又はアスパルテートユニットに結合するポリアルキレングリコール型の少なくとも一つのグラフトを有する。
【0107】
有利には、このポリアルキレングリコール型のグラフトは下記式(V)を有する:
【化4】

【0108】
式中、
−R’は、直接結合又は1〜4個のアミノ酸ユニットに基づく「スペーサー」であり、
−Xは、酸素、窒素および硫黄を含む群から選択されるヘテロ原子であり;
−RおよびRは、各々独立に、H又は直鎖C1〜C4アルキルであり;
−n’’’は、10〜1000であり、好ましくは50〜300である。
【0109】
実際には、ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールである。
【0110】
本発明においては、グラフトするポリアルキレングリコールのモル百分率は、1〜30%の範囲であることが望ましい。
【0111】
ポリアミノ酸POはまた、調節可能なグラフト化率を有し、pH7.4の水(例えば、ホスフェートバッファー)中に分散してコロイド懸濁液を提供する点で極めて重要である。
【0112】
さらに、インターフェロン有効成分又は蛋白から選択される他のAP、ペプチドおよび小分子は、これらのポリアミノ酸POを含むナノ粒子と自発的に会合することができる。
【0113】
ポリアミノ酸に基づくPOは、pHおよび組成により中性(COOH型)又はイオン化(COOアニオン)のいずれかをとるカルボキシル基を含むことは理解されるであろう。このため、水相中の溶解性は、PO(疎水ユニットでグラフトされていない。)中のフリーCOOH基の割合及びpHの直接関数である。水溶液中において、対カチオンはナトリウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属カチオン、又はトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の有機カチオン、又はポリエチレンイミン等のポリアミンであり得る。
【0114】
本発明の調製物において使用することが可能なポリアミノ酸型のPOは、例えば当業者に公知の方法により得られる。ランダムポリアミノ酸は、予め「スペーサー」で官能化された疎水グラフトを、従来のカップリング反応によりポリマーに直接的にグラフトすることにより得ることができる。ブロック又はマルチブロックポリアミノ酸POは、対応するアミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)の連続重合により得ることができる。
【0115】
例えば、ホモポリグルタメート又はホモポリアスパルテートポリアミノ酸、またはブロック、マルチブロック又はランダムグルタメート/アスパルテート共重合体は、従来法により調製される。
【0116】
アルファ型のポリアミノ酸を得るための最も一般的な技術は、アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)の重合に基づき、例えば、論文「バイオポリマーズ」("Biopolymers")、1976、15、1869及び、「アルファ−アミノ・エーシッド・N−カルボキシ・アンハイドライド・アンド・リレーテッド・ヘテロサイクルズ」("Alpha-amino acid N-carboxy anhydrides and related heterocycles")、Springer Verlag (1987)に記載されている。該NCA誘導体は、好ましくはNCA−O−Me、NCA−O−Et又はNCA−O−Bz誘導体である(Me=メチル、Et=エチル、及びBz=ベンジル)。ポリマーは、次いで好適条件下において加水分解され、その酸性形体においてポリマーを提供する。これらの方法は、特許FR−A−2801226号に開示された記載に基づいている。本発明において使用され得る多くのポリマー、例えば、様々な分子量のポリ(アルファ−L−アスパラギン酸)、ポリ(アルファ−L−グルタミン酸)、ポリ(アルファ−D−グルタミン酸)、及びポリ(ガンマ-L-グルタミン酸)型が商業的に入手可能である。アルファ−ベータ型のポリアスパラギン酸ポリマーが、アスパラギン酸の縮合(ポリスクシンイミドを得るため)、それに続く塩基性加水分解により得られる(cf.トミダ等、ポリマー、1997、38、4733−36)。
【0117】
ポリマーの酸性基とのグラフトのカップリングは、カップリング試薬としてカルボジイミド、及び任意に4−ジメチルアミノピリジン等の触媒の存在下、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)又はジメチルスルホキシド(DMSO)等の好適な溶媒中でポリアミノ酸を反応させることにより容易に影響される。グラフト化率は、組成および反応物の化学量論により、または反応時間により化学的に調節される。「スペーサーで」官能化された疎水グラフトは、従来のペプチドカップリング又は酸触媒下における直接的な縮合により得られる。これらの技術は、当業者に周知である。
【0118】
ブロック又はマルチブロック共重合体は、NCA誘導体を用いて合成され、好ましくは疎水グラフトで合成される。例えば、疎水NCA誘導体はNCA−O−ベンジルを用いて共重合され、該ベンジル基は次いで加水分解により選択的に除去される。
【0119】
ポリアミノ酸POの合成は、好ましくはPOのナノ粒子の水性懸濁液を製造する。
【0120】
かかる懸濁液は、当業者に知られた適切な方法(例えば、加熱(オーブン等)、排気、乾燥剤の使用、凍結乾燥、又は噴霧化)における乾燥によりPOの紛化ナノ粒子に転化され得る。
【0121】
これらPOのナノ粒子は、懸濁液又は粉状物において、本発明による調製物の製造のための出発物質を形成する。
【0122】
この点において、本発明による調製物は、水性液体媒体中において、少なくとも1のPO及び少なくとも1のAPに基づくナノ粒子の非共有結合的会合に起因するということができる。
【0123】
製造において、POおよび/またはインターロイキン(および/または追加のAPすべて)は、固体形態(好ましくは粉末)、および/または液体形態(好ましくはコロイド水性懸濁液)であり得る。
【0124】
本開示における用語において、インターロイキン/PO会合は、インターロイキンがポリマーPO[例えば、1又は2以上のポリアミノ酸]と共有結合形の化学結合以外の1又は2以上の結合により会合していることを意味する。
【0125】
本発明による1又は2以上のインターロイキンとPOとの会合のための技術は、特に特許出願WO−A−00/30618号に詳しい。該技術は、少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)をPOのナノ粒子を含む液体媒体に含ませ、1又は2以上のインターロイキン(および1または2以上の他の可能な有効成分)を充填又は会合させたナノ粒子のコロイド懸濁液を提供することからなる。
【0126】
従って、本発明は更に、前記調製物の製造方法に関するものである。
【0127】
本発明を実施する第一の好ましい形態において、該方法は、本質的に下記:
・少なくとも1のPOのナノ粒子のコロイド懸濁液を得ること、
・このPOのナノ粒子のコロイド懸濁液と少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)とを、好ましくは水溶液中で混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること、
からなることを特徴とする。
【0128】
インターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)は、POのナノ粒子のコロイド懸濁液と混合するために、水性懸濁液又は溶液の形態であることが有利である。
【0129】
本発明を実施する第二の形態において、該方法は、本質的に下記:
・少なくとも1のポリマーPOの粉末を得ること、
・この粉末と少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)の水性懸濁液又は水溶液とを、好ましくは水溶液中で混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること、
からなることを特徴とする。
【0130】
このようにして得られる調製物はまた、当業者に公知の従来法、とりわけ、濾過又はエバポレーションによる濃縮、コーティング、噴霧化又は凍結乾燥によりゲル、粉末又はフィルターに変えることができる。これらの方法は任意に組み合わせてもよい。
【0131】
よって、本発明による液体調製物の製造方法を実施する第三の形態があり、この第三の形態は、本質的に下記:
・上記に規定の本発明による液体調製物を乾燥することにより製造される粉末を得ること、
・この粉末を水性液体媒体とを、好ましくは攪拌しながら混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること、
からなる。
【0132】
加えられ得る賦形剤の例としては、抗菌薬、バッファー、抗酸化薬、等浸透圧性を調製するための試薬が挙げられ、これらは当業者に公知である。参考文献としては、論文Injectable Drug Development、P.K.Gupta等、Interpharm Press、Denver、Colorado、1999.が挙げられる。
【0133】
効果がある場合には、例えば、液体調製物を0.2μmの孔を有するフィルターで濾過することにより滅菌することができる。
【0134】
本発明による液体調製物の製造におけるこれらすべての具体例は、雰囲気及び周囲温度(例えば、25℃)において有利に実行される。
【0135】
本発明による調製物の重要な変形例の一つは、サブミクロン粒子と会合していないインターロイキン[非会合インターロイキン]の重量画分(%)が:
・[非会合インターロイキン]≦1、
・好ましくは、[非会合インターロイキン]≦0.5、
・特に好ましくは、[非会合インターロイキン]≦0.1、
である点である。
【0136】
本発明において、好ましいインターロイキンはインターロイキン2である。
【0137】
他の特徴において、本発明には、上記に規定した本発明による液体調製物から得られるすべての誘導生成物が含まれ、上記に規定のPO/インターロイキン非共有結合会合の形成されたサブミクロン粒子を含む。
【0138】
実際には、これら誘導生成物は特に、とりわけ粉末、ゲル、インプラント又はフィルムからなり得る。
【0139】
本発明は更に、上記に規定した注射可能な液体調製物のすべての前駆体に関するものである。
【0140】
これら誘導生成物の主題に関してはまた、本発明が更に、上記に規定した調製物から得られる粉末誘導体の製造方法に関するものであることを強調しなければならない。この方法は前記粉末が上記に規定の乾燥調製物により得られることを特徴とする。
【0141】
本発明による調製物は、好ましくは、上記に規定の少なくとも1のPO、少なくとも1のインターロイキン及び任意に少なくとも1の他の有効成分を含む薬学的調製物であると共に、化粧品調製物、食品調製物、又は植物衛生調製物でもある。
【0142】
本発明において、インターロイキン以外の可能な追加の有効成分は、蛋白、糖蛋白、1又は2以上のポリアルキレングリコール鎖と結合した蛋白[好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)鎖:「PEG化蛋白」]、多糖、リポサッカリド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はペプチドであり得る。
【0143】
この追加の有効成分は、ヘモグロビン、シトクロム、アルブミン、インターフェロン、サイトカイン、抗原、抗体、エリトロポイエチン、インスリン、成長ホルモン、第VIII因子及び第IX因子、造血刺激因子、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0144】
変形例の一つにおいて、この追加の有効成分は、疎水性、親水性、又は両親媒性の「小」有機分子であり、例えば、ロイプロリド又はシクロスポリン等のペプチド、またはアントラサイクリン、タキソイド又はカンプトテシン族に属するそれらの小分子、及びこれらの混合物である。
【0145】
本発明による調製物の第一の特徴には、その注射可能性及び、生理蛋白又は類縁体の存在下、インヴィヴォにおいてナノ粒子のゲル化又は凝集により注射位置に沈殿物を形成する性能が含まれる。
【0146】
本発明による調製物は、特に腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路により注射され得、あるいは腫瘍内へ注射され得る。
【0147】
本発明による調製物はまた、経口、経鼻腔、経膣、又は眼内経路によっても投与され得る。
【0148】
有利には、該調製物は、特に腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路による投与又は腫瘍内への投与、もしくは経口、経鼻腔、経膣、又は眼内経路による投与用の薬物の製造を意図されている。
【0149】
本発明による調製物は、好ましくは薬学的に用いられるが、上記に規定の少なくとも1のPO及び少なくとも1の対応する有効成分を含有する化粧品調製物、食品調製物、又は植物衛生調製物を除外するものではない。
【0150】
さらに他の特徴によると、本発明は、特に腸管外経路、皮下経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路又は大脳内経路による投与又は腫瘍内への投与、もしくは経口、経鼻腔、経膣又は眼内経路による投与用の薬物の製造方法に関するものであり、本質的に上記に規定された少なくとも一つの調製物および/または該調製物の誘導生成物および/または前駆体を使用することからなることを特徴とする。
【0151】
本発明は更に、本質的に、本開示により規定した調製物を、腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路により投与すること又は腫瘍内へ投与すること、もしくは経口、経鼻腔、経膣又は眼内経路により投与することからなる治療学的処置方法に関するものである。
【0152】
本発明の特定の一変形例において、この治療学的処置方法は、本質的に、上記に規定の調製物を、注射により、腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路により又は腫瘍内へ投与することからなり、好ましくはかかる方法において、注射部位にゲル化又は架橋結合した沈殿物を形成する。
【0153】
後掲の実施例から、本発明はより明確に理解され、その有利性及び変形は、はっきりと明瞭になるであろう。該実施例では、疎水基でグラフトされたポリアミノ酸から形成されたPOの合成、及びインターロイキンの延長された放出のための系への転化、すなわち、本発明による調製物(安定な水生コロイド懸濁液)について記載され、かかる系の、インヴィヴォにおけるかなり延長された態様においてインターロイキンを放出するためにインターロイキンのみならず、特にゲル/架橋に関連付けられる性能について示している。
【実施例】
【0154】
例1:両親媒性ポリマーP1
合成由来のアルファ−トコフェロールでグラフトされたポリグルタメートの合成
アルファ−L−ポリグルタメート(ポリオキシエチレン標準との比較において、約10,000Daに相当する分子量を有し、特許出願FR−A−2801226号に記載されているように、NCAGluOMeの重合、次いで水分解により得られる。)5.5gを、ジメチルホルムアミド(DMF)92mlに40℃で2時間加熱することにより可溶化する。いったんポリマーが溶解したら、温度を25℃に下げ、連続してD,L−アルファ−トコフェロール(>98%、Fluka(登録商標)から入手)1.49gを好ましくはDMF6mlに溶解させて加え、4−ジメチルアミノピリジン0.09gを好ましくはDMF6mlに溶解させて加え、ジイソプロピルカルボジイミド0.57gを好ましくはDMF6mlに溶解させて加える。攪拌しながら25℃において8時間後、反応媒体を、塩化ナトリウム15%及び塩酸(pH2)を含む水800mlに注ぐ。次いで、沈殿したポリマーを濾過して回収し、0.1Nの塩酸、次いで水で洗浄する。続いてポリマーをDMF75mlに再溶解させ、次いで上述した塩および酸(pH2)を含む水で再沈殿させる。水で2回洗浄した後、沈殿物をジイソプロピルエーテルで数回洗浄する。次いでポリマーを減圧下においてオーブンで40℃で乾燥させ、85%の収率を得る。
【0155】
例2:両親媒性ポリマーP1、P2、P3、P4、P5、P6
これらポリマーをポリマーP1と同様に得る。下記表1にこれらポリマーの特徴を要約する。ポリマーP1の特徴は比較として与えられる。
【表2】

【0156】
例3:P3に基づく、本発明による長活性インターロイキン2(IL2)の製造
両親媒性ポリマーの凍結乾燥粉末及び滅菌水を、調製物における所望される最終濃度に対しポリマー濃度X=1.3倍を得るための必要量においてフラスコに入れる。溶解は、磁気攪拌しながら16時間続ける。
【0157】
凍結乾燥したIL2(Prospec)の必要量を、所望される最終濃度のX/(X−1)倍まで濃縮する。
【0158】
濃縮されたIL2溶液の正確な濃度を、Perkin Elmer Lambda 35UV分光光度計を用いてUVアッセイにより280nmにおいて決定する。このIL2溶液を0.8〜0.2μmフィルターで濾過し、4℃で保存する。1M NaOHを添加してそのpHを11に調整する。調製物において所望される濃度に対するこの溶液の蛋白濃度の比をYと称する。
【0159】
次いで、蛋白溶液及びポリマー溶液を周囲温度において混合する。蛋白溶液のX−1体積がポリマー体積当たり加えられる。pH及び浸透圧濃度が、各々、7.4±0.2、300±20mOsmに調整される。
【0160】
このように、ポリマーP3に基づき、ポリマーP3 20mg/ml及びIL2 2.5mg/mlを含む本発明による長期活性IL2調製物を製造するために、当初のポリマー溶液を26mg/mlに濃縮する。当初のIL2溶液を11mg/mlに濃縮する。ポリマー体積当たり蛋白溶液0.3体積を加える。
【0161】
例4:本発明による異なるポリマーPOのナノ粒子の平均流体力学直径の測定
本発明によるポリマーPO粒子の平均流体力学的直径を以下に規定のMd手順により測定する。
【0162】
PO溶液を0.15M NaCl媒体中に1又は2mg/mlの濃度において調製し、24時間攪拌する。次いで、これらの溶液を、波長488nmの垂直偏光レーザービームで作動するブルックヘーブン装置を用い動的光散乱により分析する前に、0.8〜0.2μmフィルターで濾過する。
【0163】
ポリマーPOのナノ粒子の流体力学直径を、著述”Surfactant Science Series” 22巻, Surfactant Solutions, Ed. R. Zana, 第3章, M. Dekker, 1984に記載されているように、加重法により電場自己相関関数から計算する。
【0164】
例2のポリマーPO P2、P3、P4及びP6について得られた結果を以下に示す。
【表3】

【0165】
例5:蛋白とポリマーPOのナノ粒子との自発的会合
ホスフェートバッファー溶液25mMを、粉末NaHPO(Sigma Ref.S−0751)から調製し、1N水酸化ナトリウム(SDS ref.3470015)を用いてpH7.2に調整する。
【0166】
上記ホスフェートバッファー溶液中で凍結乾燥ポリマー5mg/mlを一晩溶解することにより、ポリマーP1のナノ粒子のコロイド懸濁液を調製する。同じバッファー中に蛋白10mg/mlを2時間溶解することにより、BSA(Sigma A−2934)の貯蔵液を調製する。
【0167】
該貯蔵液とバッファーを0.22μmフィルターで濾過する。
【0168】
予め決めた容量の二つの貯蔵液とホスフェートバッファー中の希釈溶液の添加により混合物を構成し、最終的に一定ポリマー濃度(0.1mg/ml)と増加する蛋白濃度(0〜1.8mg/ml)を有するサンプル群を得る。
【0169】
サンプルを25℃において5時間放置して会合させた後、いわゆる前端法(frontal method)を用いた毛管電気泳動により分析する。該分析では、蛋白と蛋白−ポリマー錯体が別々に視覚化される。この技術に関する更なる詳細は、論文:Cao J.Y., Dublin P.L., Muhoberac B.B., Anal. Chem., 1997, 69, 2945を調べることにより得られる。該分析は、溶融シリカバブルキャピラリー(G1600-62-232型)を具備するAgilent G16000A装置で実施される。フリー蛋白に相当する最初の平坦部の高さにより、非会合BSAの濃度の決定が可能となる。実験により、ポリマー1g当たり蛋白0.1g以下の蛋白量について、蛋白がポリマーのナノ粒子と会合していることが示される。
【0170】
例6:ポリマーPO P1、P3及びP6についてのゲル濃度C1の決定
例1及び例2のポリマーP1、3及びP6と会合しているIL2の調製物についてIG試験を実施する。これら調製物の蛋白濃度を下表に示す。BSA(濃度30mg/ml)が存在する調製物の緩和時間はIG試験の手法により測定する。緩和時間が1sを超える臨界濃度C1を、IL2について表3に示す。
【表4】

【0171】
例7:両親媒性ポリアミノ酸に基づく種々の調製物の皮下注射後のサルにおけるインターロイキン2(IL2)の薬物動力学
例3に記載の手順により下記調製物を製造する。
【表5】

【0172】
調製物E及びFは、そのポリマー濃度が例6で測定されるゲル化濃度C1より大きく、そのため本発明による選択に属する。一方、調製物Gの濃度はゲル化濃度C1より小さく、それ故前記調製物は本発明による選択に属しない。
【0173】
これら調製物をカニクイザルに0.5mg/kgの投与量において注射する。血漿サンプルを1、5、11、24、36、48、72、96、120、144、168及び240時間において採取する。血漿IL2濃度をこれらサンプルにおいてELISA(Immunotech IM 3583kit)により測定する。調製物E、F及びGの時間Tmax及びT50を下記表5に示す。
【表6】

【0174】
このように本発明による選択に属する調製物E及びFは、本発明による選択に属しない調製物Gに比べ、放出時間がかなり長い。
【0175】
例8:皮下注射後、インヴィヴォにおける本発明による調製物のゲル化の観察
本発明による調製物の皮下行動を家畜ブタについて研究した。6頭の家畜ブタの腹部の皮膚の深さ4mmに、下記調製物0.3mlを注射した。
【0176】
調製物A:例2のポリマーP6の濃度45mg/mlにおける等浸透圧水溶液(pH7.3)
調製物B:例1のポリマーP1の濃度20mg/mlにおける等浸透圧水溶液(pH7.3)
投与から72時間後、注射部位からサンプルを採取した。組織構造試験が調製物Bについてポリマーのゲル化沈殿物の存在を開示している。色づいたプラークの形態をしている。これとは対照的に、この現象は調製物Aについては観察されず、ポリマーはコラーゲン繊維の間に浸透した。
【0177】
21日後、組織は通常の状態に完全に戻ったので、ポリマーマトリックスBは完全に生分解性であることを強調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】皮下注射後のサルにおいて記録された血漿IL2濃度(ピコグラム/ml)の曲線(IL2投与量0.5mg/kgにおける時間T(h)の関数として):・本発明によるIL2調製物(E)(例7):→曲線−□−□、・本発明によらないコントロールIL2調製物(F)(例7):→曲線−●−●−、・本発明によらないコントロールIL2調製物(G)(例7):→曲線−■−■−.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキンの延長された放出のための液体薬学的調製物であり、疎水基(HG)を有する水溶性の生分解性ポリマー(PO)のサブミクロン粒子に基づく低粘度水性コロイド懸濁液を含有し、前記粒子は少なくとも1のインターロイキン、及び任意に少なくとも1の有効成分(AP)と非共有結合的に会合している液体薬学的調製物であって、
・懸濁液の分散媒体が本質的に水からなり、
・前記調製物が腸管外注射され得、その後インヴィヴォにおいてゲル化沈殿物を形成することができ(ここで、このゲル化沈殿物の形成は、
・一方において、少なくとも一部はインヴィヴォに存在する少なくとも1の生理蛋白に起因し、
・他方において、投与後24時間を超えてAPのインヴィヴォにおける放出時間を延長し調節することを可能とするものである。)、
・注射条件下において液体であり、
・生理温度および/または生理pHおよび/または下記存在下:
・生理濃度における生理電解質、および/または
・少なくとも1の界面活性剤
においてもまた液体である、
ことを特徴とする液体薬学的調製物。
【請求項2】
[PO]濃度が、少なくとも1の生理蛋白の存在下において、腸管外による注射後にインヴィヴォにおけるゲル化沈殿物の形成を可能ならしめるのに充分に高値にされていることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
インターロイキン及び任意に他の有効成分(AP)の延長された放出のための液体薬学的調製物であり、
・雰囲気において液体であり、
・生理温度および/または生理pHおよび/または下記存在下:
・生理濃度における生理電解質、および/または
・少なくとも1の界面活性剤
においても液体であり、
・疎水基HGを有する水溶性の生分解性ポリマーPOのサブミクロン粒子に基づく低粘度水性コロイド懸濁液を含有し、前記粒子は少なくとも1の有効成分と非共有結合的に会合しており、前記懸濁液の分散媒体は本質的に水からなる液体薬学的調製物であって、
[PO]濃度が、少なくとも1の蛋白の存在下において、腸管外による注射後にインヴィトロにおいてゲル化沈殿物の形成を可能ならしめるのに十分に高値にされていることを特徴とする液体薬学的調製物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調製物であって、その[PO]濃度が:
・[PO]≧0.9.C1、
・好ましくは、20.C1≧[PO]≧C1、
・特に好ましくは、10.C1≧[PO]≧C1、
(ここでC1は、IG試験において測定される、PO粒子の「誘発されたゲル化」濃度である。)
であることを特徴とする調製物。
【請求項5】
25℃における粘度が5Pa.s以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項6】
ポリマーPOが、アスパラギン酸ユニットおよび/またはグルタミン酸ユニットから形成されるポリアミノ酸であって、少なくともこれらユニットの中には少なくとも1の疎水基(HG)を含むグラフトを有するユニットが含まれることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項7】
POが、下記一般式(I)により規定されることを特徴とする、請求項6に記載の調製物:
【化1】

式中、
・Rは、H、直鎖C2〜C10アルキル又は分岐鎖C3〜C10アルキル、ベンジル、末端アミノ酸ユニット又は−R−[HG]であり;
・Rは、H、直鎖C2〜C10アシル又は分岐鎖C3〜C10アシル基、ピログルタメート又は−R−[HG]であり;
・Rは、H、または好ましくは下記を含む群から選択されるカチオン体であり:
−ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む小群から有利に選択される金属カチオン、
−下記小群から有利に選択される有機カチオン:
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(特に好ましくはポリエチレンアミン)に基づくカチオン、
・リシン又はアルギニンに基づくカチオンを含むクラスから有利に選択されるアミノ酸に基づくカチオン、
−ポリリシンおよびオリゴリシンを含む小群から有利に選択されるカチオンポリアミノ酸;
・Rは、直接結合又は1〜4個のアミノ酸ユニットに基づく「スペーサー」であり;
・Aは、独立に、ラジカル−CH−(アスパラギン酸ユニット)又は−CH−CH−(グルタミン酸ユニット)であり;
・n/(n+m)は、モルグラフト化率として定義され、0.5〜100モル%の範囲の値をとり;
・n/(n+m)は、モルグラフト化率として定義され、その値は、pH7、25℃において水中に溶解しているPOが該POのサブミクロン粒子のコロイド懸濁液を形成するのに十分低く、n/(n+m)は好ましくは1〜25mol%であり、特に好ましくは1〜15mol%である;
・n+mは10〜1000の範囲の値をとり、好ましくは50〜300の範囲の値をとる;
・HGは疎水基である。
【請求項8】
POが、下記一般式(II)、(III)および(IV)のいずれかを有することを特徴とする、請求項6に記載の調製物:
【化2】

式中、
・HGは、疎水基であり;
・R30は、直鎖C2〜C6アルキル基であり;
・R3’は、H、または好ましくは下記を含む群から選択されるカチオン体であり:
−ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムを含む小群から有利に選択される金属カチオン、
−下記を含む小群から有利に選択される有機カチオン:
・アミンに基づくカチオン、
・オリゴアミンに基づくカチオン、
・ポリアミン(特に好ましくはポリエチレンアミン)に基づくカチオン、
・リシン又はアルギニンに基づくカチオンを含むクラスから有利に選択されるアミノ酸に基づくカチオン、
−ポリリシンおよびオリゴリシンを含む小群から有利に選択されるカチオンポリアミノ酸;
・R50は、C2〜C6アルキル、ジアルコキシ又はジアミン基であり;
・Rは、直接結合又は1〜4個のアミノ酸ユニットに基づく「スペーサー」であり;
・Aは、独立に、ラジカル−CH−(アスパラギン酸ユニット)又は−CH−CH−(グルタミン酸ユニット)であり;
・n’+m’又はn”は、重合度として定義され、10〜1000の範囲の値をとり、好ましくは50〜300の範囲の値をとる。
【請求項9】
POのnHGは、互いに独立に、それぞれ下式で表される一価ラジカルであることを特徴とする、請求項7又は8に記載の調製物:
【化3】

式中、
−Rは、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、イソブチル(ロイシン)、secブチル(イソロイシン)、又はベンジル(フェニルアラニン)であり;
−Rは、6〜30個の炭素原子を含む疎水性ラジカルであり;
−lは、0〜6の範囲の値をとる。
【請求項10】
POのすべて又は一部の疎水性ラジカルRは、各々独立に、下記を含むラジカルの群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の調製物:
・6〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルコキシであり、少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)、および/または少なくとも1個の不飽和ユニットを任意に含むアルコキシ、
・6〜30個の炭素原子を含むアルコキシであり、1個又は2個以上の縮合炭素環を有し、且つ任意に少なくとも1個の不飽和ユニット及び/又は少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)を含むアルコキシ、
・7〜30個の炭素原子を含むアルコキシアリールまたはアリールオキシアルキルであり、任意に少なくとも1個の不飽和ユニット及び/又は少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、O及び/又はN及び/又はS)を含むアルコキシアリールまたはアリールオキシアルキル。
【請求項11】
POのグラフトの疎水性ラジカルRは、オクタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オレイルアルコール、トコフェロールおよびコレステロールを含む群から選択されるアルコール前駆体から誘導されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の調製物。
【請求項12】
POは、アルファ−L−グルタメート又はアルファ−L−グルタミン酸ホモポリマーからなることを特徴とする、請求項6に記載の調製物。
【請求項13】
POは、アルファ−L−アスパルテート又はアルファ−L−アスパラギン酸ホモポリマーからなることを特徴とする、請求項6に記載の調製物。
【請求項14】
POは、アルファ−L−アスパルテート/アルファ−L−グルタメート又はアルファ−L−アスパラギン酸/アルファ−L−グルタミン酸共重合体からなることを特徴とする、請求項6に記載の調製物。
【請求項15】
POにおいて、少なくとも1のHGユニットを含むグラフトを有するアスパラギン酸および/またはグルタミン酸ユニットの分布が、得られるポリマーがランダム又はブロック型又はマルチブロック型の何れかであるような分布であることを特徴とする、請求項14に記載の調製物。
【請求項16】
POの分子量が2000〜100000g/molであり、好ましくは5000〜40000g/molであることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
【請求項17】
POのグラフトの疎水性ラジカルRは、トコフェロールから形成されるアルコール前駆体から誘導され、且つ下記であることを特徴とする、請求項7に記載の調製物:
・1%≦[n/(n+m)]x100≦10%、
・好ましくは、3.5%≦[n/(n+m)]x100≦7.5%、
・n+mは100〜400の範囲で変化し、好ましくは120〜300の範囲の値をとる。
【請求項18】
POのグラフトの疎水性ラジカルRは、コレステロールから形成されるアルコール前駆体から誘導されることを特徴とする、請求項7に記載の調製物:
・1%≦[n/(n+m)]x100≦10%、
・好ましくは、3.5%≦[n/(n+m)]x100≦6.5%、
・n+mは100〜400の範囲で変化し、好ましくは120〜300の範囲の値をとる。
【請求項19】
ポリマー[PO]の濃度が15〜50mg/mlであることを特徴とする、請求項17又は18に記載の調製物。
【請求項20】
25℃における粘度が5Pa.s以下であることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項21】
疎水性修飾されたポリマーPOが、ポリアミノ酸、多糖類(好ましくは、プルラン及び/又はキトサン及び/又はムコ多糖を含有する小群における多糖類)、ゼラチン及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項22】
サブミクロン粒子と会合していないインターロイキン[非会合インターロイキン]の重量画分(%)が下記であることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の調製物:
・[非会合インターロイキン]≦1、
・好ましくは、[非会合インターロイキン]≦0.5、
・特に好ましくは、[非会合インターロイキン]≦0.1。
【請求項23】
インターロイキンがインターロイキン2であることを特徴とする、請求項1乃至22いずれか1項に記載の調製物。
【請求項24】
インターロイキン以外の追加の有効成分が、蛋白、糖蛋白、1又は2以上のポリアルキレングリコール鎖と結合した蛋白[好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)鎖:「PEG化蛋白」]、多糖、リポサッカリド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はペプチドであり、該追加の有効成分は、好ましくは、ヘモグロビン、シトクロム、アルブミン、インターフェロン、サイトカイン、抗原、抗体、エリトロポイエチン、インスリン、成長ホルモン、第VIII因子及び第IX因子、造血刺激因子、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至23いずれか1項に記載の調製物。
【請求項25】
腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路により、または腫瘍内へ注射可能であることを特徴とする、請求項1乃至24いずれか1項に記載の調製物。
【請求項26】
薬物の製造に用いられることが意図された調製物であり、特に腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路による投与又は腫瘍内への投与、もしくは経口、経鼻腔、経膣又は眼内経路により投与される薬物の製造用であることを特徴とする、請求項1乃至25いずれか1項に記載の調製物。
【請求項27】
薬物、特に腸管外、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内又は大脳内経路による投与又は腫瘍内への投与、もしくは経口、経鼻腔、経膣又は眼内経路により投与される薬物の製造方法であって、本質的に、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の少なくとも1の調製物を使用することからなることを特徴とする製造方法。
【請求項28】
請求項1に規定の非共有結合的PO/AP会合が形成されたサブミクロン粒子を含有し、且つ請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物から得られることを特徴とする誘導生成物。
【請求項29】
粉末又はゲルからなることを特徴とする、請求項28に記載の誘導生成物。
【請求項30】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物の製造方法であって、本質的に下記:
・少なくとも1のPOのナノ粒子のコロイド懸濁液を得ること、
・このPOのナノ粒子のコロイド懸濁液と少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)とを、好ましくは水溶液中で混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること
からなることを特徴とする製造方法。
【請求項31】
APは、POのナノ粒子のコロイド懸濁液と混合されるために水性懸濁液又は水溶液の形態であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物の製造方法であって、本質的に以下:・
・少なくとも1のポリマーPOの粉末を得ること、
・この粉末と少なくとも1のインターロイキン(及び1又は2以上の他の可能な有効成分)の水性懸濁液又は水溶液とを、好ましくは水溶液中で混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること、
からなることを特徴とする製造方法。
【請求項33】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物の製造方法であって、本質的に以下:
・請求項1乃至26のいずれか1項に記載の液体調製物を乾燥することにより製造される粉末を得ること、
・この粉末と水性液体媒体とを、好ましくは攪拌しながら混合すること、
・任意に、少なくとも1の賦形剤を加えること、
・必要に応じpHおよび/または浸透圧濃度を調整すること、
・任意に、得られる懸濁液を濾過すること、
からなることを特徴とする製造方法。
【請求項34】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物から誘導される粉末の製造方法であって、前記粉末が請求項1乃至26のいずれか1項に記載の調製物を乾燥することにより得られることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−511588(P2007−511588A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540560(P2006−540560)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050607
【国際公開番号】WO2005/051418
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】