説明

インダクタンス式回転角度検出装置及びそれを備えたモータ駆動式の絞り弁制御装置

【課題】スロットルシャフトの端部にインダクタンス式の非接触式回転角度検出装置をコンパクトに形成した信頼性の高いモータ駆動式の絞り弁制御装置を得る。
【解決手段】本発明は絞り弁が取付けられた回転軸の先端部に励起導体を取付け、この励起導体に対面するように励磁導体および信号検出導体をギアカバーに一体成形し、励磁導体および信号検出導体を遮蔽材で覆う。励磁導体と信号発生導体を回転体側の励起導体が配置された空間から遮蔽でき、回転体側の環境に影響されることのない信頼性の高いインダクタンス式の非接触式回転角度検出装置を備えたモータ駆動式の絞り弁制御装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転軸に取付けられた導体とこれに対面する固定子に取付けたコイル導体との間のインダクタンスが両者の位置関係に応じて変化することを利用して、回転する導体の回転位置を検出する回転角度検出装置に関する。
【0002】
また、モータによって駆動される絞り弁で内燃機関の空気通路の開口面積を電気的に制御するモータ駆動式の絞り弁制御装置であって、絞り弁の回転角度を検出するために上記した回転角度検出装置を備えたものに関する。
【背景技術】
【0003】
インダクタンスの変化によって回転体の位置あるいは回転角度を検出するいわゆる非接触式の回転角度検出装置としては、特開2008−96231号公報に記載したものが知られている。
【0004】
この回転検出装置は、被回転検出体を覆うケース上に基板搭載空間が設けられている。回転検出装置の励磁導体と受信導体は基板上に形成され、前記基板搭載空間に接着剤により固定され搭載される。また、前記ケースには樹脂フィルムが接着され、前記励磁導体と前記受信導体をSO2等の腐食性ガスから保護している。
【0005】
また、モータ駆動式の絞り弁制御装置の回転角度検出装置としてこの種回転角度検出装置を用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−96231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のこの種の非接触式の回転角度検出装置は励磁導体と受信導体が形成された基板をケース上に接着剤で固定し、ケース上のターミナルとの間を別な部材を介し接合しており、部品点数が多く組立が複雑となり、装置も大きくなるという問題があった。
【0008】
また、接着剤により固定されるため、接合部の信頼性の保証が難しいといった問題があった。
【0009】
また、後者の従来技術のようにモータ駆動式の絞り弁制御装置に採用するに際しては電子部品を搭載した基板が吸気通路からの水分や化学物質あるいは、ギアや軸受部の摩耗粉である樹脂粉や金属粉に晒され、酸化や腐食あるいは電磁気的劣化を生じる可能性がある。このためこのような要因で信頼性が低下するという問題を考慮する必要がある。
【0010】
また、回転する導体と固定(検出)側のコイル部を有する基板との間のクリアランスが大きくなると、電磁誘導作用が弱くなり、位置検出精度が悪化する可能性がある。
【0011】
本発明の目的の一つは、ケース部材と励磁導体および受信導体の接合の信頼性が高い小型のインダクタンス式回転角度検出装置を得ることである。
【0012】
また第2の目的は、モータ駆動式の絞り弁制御装置に搭載しても十分な信頼性と検出精度が確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記の目的を達成するために励磁導体と受信導体を被回転検出体を覆うケースと一体成形することにより配設する。
【0014】
また、薄膜の遮蔽剤を用いることにより励磁導体と受信導体を励起導体が配置された空間から遮蔽する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に拠れば、被回転体の回転軸の端部にインダクタンス式の非接触式回転角度検出装置をコンパクトに形成でき、小型の回転角度検出装置あるいはそれを備えたモータ駆動式の絞り弁制御装置が得られる。
【0016】
好適な構成に拠れば、信号検出部が回転体の部屋から隔離でき、回転体側の環境に影響されることのない信頼性の高い回転角度検出装置あるいはそれを備えたモータ駆動式の絞り弁制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の要部拡大断面図。
【図2】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の主要部分解斜視図。
【図3】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の主要部品斜視図。
【図4】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置の断面図。
【図5】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギアカバーの分解斜視図。
【図6】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置の外観斜視図。
【図7】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギアカバーをはずした斜視図。
【図8】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のスロットルボディ側分解斜視図。
【図9】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギア収納室の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜図3に基づき本発明になる回転角度検出装置の一実施例を説明する。
【0020】
図1に示すように、回転軸1Aの先端に樹脂成形体で構成される有低筒状(カップ状)のホルダ1Bが取付けられている。ホルダ1Bの先端面には絶縁材製の円板1Cが接着により固定される。ホルダ1Bの先端面には環状の窪み1Eが形成されており、この窪み1Eに接着剤が流し込まれ円板1Cがその上に載せられ、接着される。円板1Cの表面(接着面の反対側の面)には後述する励起導体1Dが印刷されている。
【0021】
ホルダ1Bの筒状部の周囲には軸方向に延びる溝と、軸方向に延びる凸条が交互に形成されており、回転体1Aの内周面にはホルダ1Bの周囲の溝と凸条に対して嵌め合い部を構成するように凹凸部が形成されている。両者は嵌め合い面で、接着剤によって接着してもよい。かくして、嵌め合い部はホルダ1Bの周り止めとなり、また位置決めとしても機能する。
【0022】
励起導体1Dは3本一組の放射状に延びる直線部分1D1と、互いに隣接する直線部分1D1の内周側と外周側を接続するように設けられた弧状部分1D2,1D3とから構成されている。直線部分1D1は互いに60度の間隔を置いて6箇所配置されている。
【0023】
センサのケース2Aには励磁導体3A,3aおよび信号検出導体3B,3bがケース2Aと一体成形することにより配置される。励磁導体3aと信号検出導体3bの励起導体1D側の表面は薄肉遮蔽剤2Bがケース2Aと一体成形されることにより励起導体1Dが配置される空間と遮断される。
【0024】
図3は、励磁導体3A,3a,信号検出導体3B,3b,端子3K1−3K5が一時成形された状態の斜視図である。励磁導体3A,3a,信号検出導体3B,3b,端子3K1−3K5は一時成形部材2C,2Dと共に一体成形することによりそれぞれの位置関係が固定される。
【0025】
図2に示すように1層目の層には、環状の励磁導体3Aが4本配置されている。またその内側には放射状に延びる信号検出導体3Bが複数本配置されている。2層目の層にもこれと同様の励磁導体3Aおよび信号検出導体3Bが印刷されており、1層目と2層目の励磁導体3Aおよび信号検出導体3Bが導電体の部材3C−3Fによって繋がっている。
【0026】
この実施例では、120度位相がずれた3相の交流信号が信号検出導体3Bから得られるように構成されている。
【0027】
3Lはマイクロコンピュータで、それぞれの非接触型の回転角度検出装置の駆動制御と信号処理機能を有する。
【0028】
マイクロコンピュータには端子3K1−3K3が電気的に接合されている。端子3K1−3K3は1本が電源端子(例えば3K1)で、1本がグランド端子(例えば3K3)、残りの1本3K2が角度検出装置の信号出力端子として機能する。
【0029】
マイクロコンピュータ3Lは電源端子3K1から励磁導体3Aに電流を供給し、信号検出導体3Bに発生する3相の交流電流波形を処理して、励起導体1Dが取付けられた円板1Cの回転位置を検出し、結果的に回転軸1Aの回転角度を検出する。
【0030】
以下実施例の非接触型のインダクタンス式回転角度検出装置の動作について説明する。
【0031】
マイクロコンピュータ3Mは基本的に図1の表裏に形成された第1回転角度検出装置を構成する導体パターン群3A,3Bを制御するものと考えてよい。
【0032】
マイクロコンピュータ3Lは電源端子3K1から励磁導体3Aに直流電流Iaを供給する。
【0033】
励磁導体3Aに直流電流Iaが流れると、この励磁導体3Aに対面する円板1Cの励起導体1Dの外周弧状導体1D3に電流Iaと逆向きの電流IAが励起される。この励起された電流IAは、励起導体ID全体に矢印の方向に流れる。放射方向導体1D1に流れる電流IRはこの部分に対面する信号検出導体3Bの放射状導体部に電流IRに対して逆向きの電流Irを誘起する。この電流Irは交流電流となる。
【0034】
放射状に等間隔で配置された信号検出導体3Bによって回転角度検出装置用の3組の相(U,V,W層)パターンとが形成される。
【0035】
交流電流Irは円板1Cが特定の回転位置、例えばスタート位置(回転角度がゼロの位置)のときU,V,W層のそれぞれの層で120度位相がずれた交流電流となる。
【0036】
円板が回転するとこれら3相の交流電流の位相が相互にずれる。マイクロコンピュータ3Lがこの位相のずれを検出し、位相のずれから、円板1Cがどれだけ回転したかを検出する。
【0037】
次に上記非接触式の回転角度検出装置をディーゼルエンジン用のモータ駆動式絞り弁(スロットル弁)制御装置に適用した例を図4〜図9を参照して具体的に説明する。
【0038】
図4はその主要断面図であり、図5〜図9は詳細構造を説明するための分解斜視図である。
【0039】
以下モータ駆動式の絞り弁制御装置の構成について説明する。
【0040】
アルミダイキャスト製の絞り弁組体(以下スロットルボディと呼ぶ)6には吸気通路1(以下ボアと呼ぶ)とモータ20収納用のモータハウジング20Aが一緒に成型されている。
【0041】
スロットルボディ6にはボア1の一つの直径線に沿って金属製の回転軸(以下スロットルシャフトと呼ぶ)3が配置されている。スロットルシャフト3の両端はボールベアリング9,10の内輪に嵌合固定されている。ボールベアリング9,10の外輪はスロットルボディ6に設けた軸受ボス部7,8に圧入固定されている。
【0042】
かくしてスロットルシャフト3は回スロットルボディ6に対して転可能に支持されている。スロットルシャフト3には金属材製の円板で構成される絞り弁(以下スロットル弁と呼ぶ)2がスロットルシャフト3に設けたスリットに差し込まれ、ねじ4,5でスロットルシャフト3に固定されている。
【0043】
かくして、スロットルシャフト3が回転するとスロットル弁2が回転し、結果的に吸気通路の断面積が変化してエンジンへの吸入空気流量が制御される。
【0044】
モータハウジング20Aはスロットルシャフト3とほぼ並行に形成されており、ブラシ式直流モータで構成されるモータ20がモータハウジング20A内に差込まれ、スロットルボディ6の側壁6Aにモータ20のブラケット20Bのフランジ部をねじ21でねじ止めすることで固定されている。
【0045】
軸受ボス部8の開口はキャップ11で封止されており、軸受ボス部9側はスロットルシャフト3と軸受ボス部9の内壁との間にシールリング12を配置して、シャフトシール部を構成し、機密を保つよう構成されている。
【0046】
これにより、軸受部からの空気の漏れ、あるいは軸受の潤滑用のグリースが外気中や、後述するセンサ室に漏れ出すのを防止している。
【0047】
モータ20の回転軸端部には歯数の最も少ない金属製のギア22が固定されている。このギア22が設けられた側のスロットルボディ側面部にはスロットルシャフト3を回転駆動するための減速歯車機構やばね機構が纏めて配置されている。そして、これら機構部は、スロットルボディ6の側面部に固定される樹脂材製のカバー(以下ギアカバーと呼ぶ)で覆われている。そして、このギアカバーで覆われた、いわゆるギア収納室27に図1乃至3で説明したインダクタンス式の非接触型回転角度検出装置(以下スロットルセンサと呼ぶ)が設けられ、スロットルシャフト3の回転角度、結果的にはスロットル弁2の開度が検出される。
【0048】
上記した回転角度検出装置を適用したモータ駆動式の絞り弁制御装置では、シャフトシール12からギア収納室27に漏れる窒素や、水分のような化学物質や、グリースやギアの摩耗粉などの付着からスロットルセンサの特に信号検出導体や励磁導体を保護できる。
【0049】
ギア収納室27側のスロットルシャフト3の端部にはスロットルギア13が固定されている。スロットルギア13は金属プレート14と、この金属プレート14に樹脂成形された樹脂材製ギア部15とから構成されている。金属プレート14の中心部にはカップ状の凹部を備えられ、凹部の開放側端部にギア成型用のフランジ部を有する。このフランジ部に樹脂成形によって樹脂材製ギア部15がモールド成型されている。
【0050】
金属プレート14は凹部の中央に孔を有する。スロットルシャフト3の先端部の周囲にはねじ溝が刻まれている。金属プレート14の凹部の孔にスロットルシャフト3の先端を差込み、ねじ部にナット17を螺合することでスロットルシャフト3に金属プレート14を固定する。かくして、金属プレート14及び、そこに成形された樹脂材製ギア部15はスロットルシャフト3と一体に回転する。
【0051】
スロットルギア13の背面とスロットルボディ6の側面との間に弦巻ばねで形成されたリターンスプリング16が軸方向に圧縮された状態で挟持されている。その結果、スロットルシャフト3は常時、図4の右方向に予荷重が作用し、これにより、ボールベアリングのギャップによる軸方向のがたつきが抑制されている。
【0052】
リターンスプリング16の片側は軸受ボス7の周囲を取巻き、その先端がスロットルボディ6に形成された切欠きに係止され、端部は回転方向には回転できないように構成されている。他端は金属プレート14のカップ状部を取巻き、その先端が金属プレート14に形成された孔に係止され、こちらの端部も回転方向には回転できないように構成されている。
【0053】
本実施例はディーゼルの絞り弁制御装置に関するため、スロットル弁2のイニシャル位置、つまりモータ20の電源が切断されているときにスロットル弁2が初期位置として、与えられている開度位置は全開位置である。
【0054】
このため、リターンスプリング16はモータ20が通電されていないときスロットル弁2が全開位置を維持するよう回転方向に予荷重が与えられている。
【0055】
モータ20の回転軸に取付けられたギア22とスロットルシャフト3に固定されたギア25との間にはスロットルボディ6の側面に圧入固定された金属材製の軸24に回転可能に支持された中間ギア23が噛み合っている。中間ギア23はギア22と噛み合う大径ギア23Aとスロットルギア13と噛み合う小径ギア23Bとから構成されている。両ギアは樹脂成形により一体に成型される。これらギア22,23A,23B,15は2段の減速歯車機構を構成している。
【0056】
かくして、モータ20の回転はこの減速歯車機構を介してスロットルシャフト3に伝達される。
【0057】
これら減速機構やばね機構は樹脂材製のギアカバー25によって覆われている。ギアカバー25の開口端側周縁にはシール部材31を挿入する溝が形成されており、シール部材31がこの溝に装着された状態で、ギアカバー25をスロットルボディ6に被せると、シール部材31がスロットルボディ6の側面に形成されているギア収納室27の周囲のフレームの端面に密着してギア収納室27内を外気から遮蔽する。この状態でギアカバー25をスロットルボディ6に6本のねじ26で固定する。
【0058】
このように構成された減速歯車機構とこれを覆うギアカバーとの間に形成された回転角度検出装置すなわちスロットルセンサについて以下具体的に説明する。
【0059】
スロットルギア13のカップ状部の内周部に、樹脂ホルダ19の筒状部の外周が上記で説明した凹凸嵌め合い状態で固定される。樹脂ホルダ19の先端の平面部には導電板18が印刷された円板が接着により取付けられている。
【0060】
したがって、モータ20が回転してスロットル弁2が回転すると、導電板18も一体に回転する。
【0061】
ギアカバー25にはスロットルセンサの励磁導体27と信号検出導体28が導電板18に対面する位置に薄肉樹脂材29を挟んで固定されている。
【0062】
このギア収納室27にセンサの励磁導体27と信号検出導体28を配すると、ギア等機構部品の摩耗粉及びギア収納室27の空気の膨張圧縮による結露にさらされる。
【0063】
さらに、ディーゼルエンジンに電子制御スロットルボディを搭載することを考慮すると、SO2(二酸化硫黄)やS8等の硫黄系の化学物質がボア1から、軸受9,シールリング12部を通りギア収納室27へ流入し、硫化物によって励磁導体27と信号検出導体28が腐食する虞がある。
【0064】
そこで本実施例は前記課題を解決するために、図4及び図5に示すようにギアカバー25に薄肉樹脂材29を設けて、励磁導体27と信号検出導体28をギア収納室27と遮断することにより、上記課題を克服できる。
【0065】
また、ギア収納室27と励磁導体27および信号検出導体28を薄肉樹脂材29で遮断することで、非接触式回転角度検出装置の精度に影響を及ぼす導電体18と励磁導体27および信号検出導体28のクリアランスを必要以上に大きくしなくてもよい構造となるため、スラスト寸法に関連する部品の公差もラフにでき、結果として小型で安価な電子制御スロットルボディを提供することができる。
【0066】
ここで、リターンスプリング16は導電板18を薄肉樹脂材29の直近まで押し、そこで導電板18が軸方向に必要以上にがたつかないように保持する機能を奏する。これにより導電板18と励磁導体27および信号検出導体28との小さなクリアランスが、長期的に維持できるので、非接触式回転角度検出装置の精度の維持が可能となる。
【0067】
図9にはギア収納室27の平面図が示されている。ギアカバー25が固定されるフレーム6Fによってギア収納室27は区画されている。フレーム6Fの内側にはギアカバー25をねじ止めするためのねじ孔が6箇所見える。6P1−6P3はギアカバー25の位置決め用の壁で、この3箇所の壁にギアカバー25の位置決め突起が係死することで励磁導体27および信号検出導体28が回転側の導体と位置決めされ要求される許容範囲内の信号を出力することができる。全開ストッパ13Aはスロットルギア13のイニシャル位置(つまり、全開位置)を機械的に決めるもので、スロットルボディの側壁に一体に形成された突起で構成されている。
【0068】
この突起にスロットルギア13の切欠き終端部が当接することで、スロットルシャフト3は全開位置を越えて回転できない。
【0069】
全閉ストッパ13Bはスロットルシャフト3の全閉位置を規制するもので、スロットルギア13の反対側の終端13Cが全閉位置において、全閉ストッパ13Bに衝突し、全閉位置以上にスロットルシャフト3が回転するのを阻止する。これにより、スロットルシャフト3の端部に固定した固定側の導体(励起導体18)の回転方向の位置の最大値が決定される。
【0070】
これらストッパの位置における。信号検出導体(図2の符号1Cで示されたものに対応する)の出力が全閉,全開値を示す。20Bはモータブラケットを、20Fはモータブラケット20Bのフランジ部を示す。
【産業上の利用可能性】
【0071】
実施例は、ディーゼルエンジン車用モータ駆動式の絞り弁制御装置(モータ駆動式の絞り弁制御装置)にインダクタンス式の非接触型回転検出装置を搭載したものについて説明したが、電子制御スロットル(モータ駆動式の絞り弁制御装置)に限らず電子部品を有する基板を搭載し、腐食もしくは金属摩耗粉等がふりかかる等の問題がある構成部品に適用することができる。
【0072】
また、ディーゼルエンジン車用のモータ駆動式の絞り弁制御装置(電子制御スロットル装置)について説明したが、ガソリンエンジン車用のモータ駆動式の絞り弁制御装置にも適用できる。
【0073】
さらに、回転角度検出センサとして、例えば、アクセルの回転角度を検出するセンサにも適用できる。
【0074】
ターボチャージャの可動翼制御用アクチュエータの回転角度検出装置にも適用できる。
【0075】
自動変速機のギアシフトアクチュエータの回転角度検出装置にも適用できる。
【0076】
2駆,4駆切り替えアクチュエータの回転角度検出装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 ボア
2 スロットル弁
3 スロットルシャフト
4,5,17,21,26 ねじ
6 スロットルボディ
7,8 軸受ボス部
9,10 軸受
11 キャップ
12 シールリング
13 スロットルギア
14 金属プレート
15 樹脂成形部
16 リターンスプリング
18 導電体
19 樹脂ホルダ
20 モータ
22 モータギア
23 中間ギア
24 ギアシャフト
25 ギアカバー
25a 隔壁
27 ギア収納室
28 励磁導体
29 信号検出導体
30 薄肉樹脂材
31 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被回転検出体を覆うケース部材、
前記ケース部材に環状に配設されると共に、電流の印加によって磁界を発生する励磁導体部、
前記被回転検出体に固定されると共に、前記励磁導体部と間隔を保って非接触状態に配置され、電磁作用によって前記被回転検出体の回転位置に応じた電流を発生する励起導体部、
前記ケース部材に配設されると共に、前記励起導体に流れる電流に応じた電流が発生する受信導体部を備えた回転検出装置であって、
前記ケース部材が樹脂製であり、前記励磁導体部と受信導体部が前記樹脂ケースの樹脂成形によりに前記ケース部材と一体成形されている
回転検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部とが1次成形により固定された後、
2次成形によりケース部材に配設された
回転検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部とが2層の層構成により形成された
回転検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部とが1層の層構成により形成された
回転検出装置。
【請求項5】
請求項3に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部を構成する2層の層が導体により接合された
回転検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部に加えて、回転角度を演算するマイクロコンピュータも一体成形により配設される
回転検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部および前記マイクロコンピュータが1次成形により固定された後、
2次成形によりケース部材に配設された
回転検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載したものにおいて、
前記マイクロコンピュータが導電性の接着剤により前記励磁導体部および前記受信導体部が整形された樹脂部に接合された
回転検出装置。
【請求項9】
請求項6に記載したものにおいて、
前記マイクロコンピュータがワイヤボンディングまたは溶接により前記励磁導体部および前記受信導体部と接合された
回転検出装置。
【請求項10】
請求項1に記載したものにおいて、
回転角度を演算するマイクロコンピュータが導電性の接着剤により前記励磁導体部および前記受信導体部と接合された
回転検出装置。
【請求項11】
請求項1に記載したものにおいて、
回転角度を演算するマイクロコンピュータがワイヤボンディングまたは溶接により前記励磁導体部および前記受信導体部と接合された
回転検出装置。
【請求項12】
請求項1に記載したものにおいて、
前記励磁導体部と前記受信導体部が前記ケース部材の樹脂またはコーティング剤により覆われた
回転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−2312(P2011−2312A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144864(P2009−144864)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】