説明

インバータ発電機

【課題】 エンジンで駆動される交流発電機と、当該交流発電機の出力側に接続したインバータ部と、2台、直列に接続したインバータ発電機に関する。
【解決手段】2台のインバータ部に夫々制御回路(マイコン)を設け、夫々のインバータ部が出力すべき電圧に対応する目標波形信号の大きさを、運転状況に合わせて可変にし、かつ2台のインバータ部から出力する有効電力のうちの大きい側に合わせてエンジンの回転数を調整する。また交流発電機からの一時的な出力不足に対処するように、一時的に出力電圧を下げた上で、エンジンの回転数増加を待って回復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動の発電機にインバータ部を接続して、当該インバータ部に接続される平滑フィルタの出力を直列に接続して、いわゆる単相3線式の給電を行うインバータ発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジン駆動の発電機にインバータ部を接続して、所定の周波数の下での所定の交流電圧を給電することが行われている。そして、更に、複数台のインバータ部の出力並列に接続して、負荷に供給することが行われている。
【0003】
このようにインバータ部を並列に接続した場合には、例えば2台のインバータ部の出力電圧を等しく制御するようにしている。なお、この場合、2台のインバータ部の出力周波数にズレがあると、2台のインバータ部の間で分担する有効電力に差が生じることとなる。また、出力電圧にズレが生じると、無効電力がインバータ部間で環流することが生じる。
【0004】
一方、前記の制御において、例えばワンチップマイコンを用いて制御する構成が採用されており、この場合、インバータ部の出力電圧又は目標波形信号に対応する正弦波交流電圧の位相に同期させるようにして、例えば1周期の間に128回の割込みを生じさせ、当該割込みに対応させて、インバータ部から出力される出力電流の瞬時値やインバータ部の入力端の直流電圧などを計測しかつ累算して、前記の有効電力や無効電力を演算するようにされる。また、当該割込み対応させて、出力周波数(位相)を制御したり、エンジンの回転数を制御したり、複数のインバータ部相互間での情報の交換を行ったりするようにされる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−286540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の場合、前述の如く、インバータ部を並列に運転することが考慮されて、当該運転に見合う制御を行うようにしていたが、最近、例えば2台のインバータ部の出力を直列に接続して、いわゆる単相3線式の給電を行うことが考慮されるようになった。
【0006】
このような場合、例えば2台のインバータ部のいずれか一方のインバータ部にのみ大きい負荷が接続されることが生じるなど、インバータ部の負荷がアンバランスになることがある。また、夫々のインバータ部に接続される負荷の一方が誘導性負荷であって他方が容量性負荷であったりすることも生じる。このような負荷の性質に対応して、出力電圧−出力電流特性は異なるものとなるが、それにも拘らず出力電圧−出力電流特性をフラットにするようにすることが望まれる。
【0007】
また、一般的に言って、給電線に接続される負荷が小さい場合には、エンジンの回転数を小に保って騒音の発生を抑えるなどの配慮が行われるが、例えば電動機が負荷として接続されて起動されるような場合に、大きい起動電流が流れる形となって、本来ならばその起動に伴ってエンジンの回転を増大させるべきなのに、エンジンの回転数の増大が遅くなっていまうことなどもある。
【0008】
本発明は、このようなインバータ部を接続した場合においても、ワンタッチマイコンを用いて、例えば2台のインバータ部を所望する態様で運転するようにすることを目的としている。
【0009】
そして本発明は、特に、エンジンの回転数に対する制御を効率良く行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、インバータ発電機に関し、当該インバータ発電機の場合には、例えば2台のインバータ部の一方の側にのみ負荷が接続されることになることを考慮していずれか、より大きい有効出力を供給しているインバータ部の側の有効電力にもとづいて、エンジンの回転数を、
基準指令回転数=k・(Pm or Psの大きい方)
(但し、Pm、Psは夫々の有効電力)
にもとづくようにしている。
【0011】
また、永久磁石型多極発電機においては、永久磁石界磁が用いられているために磁石の特性から、過熱状態の下で出力電力が低下してしまうことがある。このために、当該過熱状態の発生の下で出力が不足することになることを想定してエンジンの回転数を「高い」目に設定していた。このことから、周囲温度が低いときには、本来ならば騒音を抑制するためにエンジンの回転数を低くすることが望まれるにも拘らず、エンジンの回転数が「高い」目に設定されてるものとなっていた。この点を考慮して、インバータ部からの出力電力が増加するにつれてエンジンの回転数を増大させる手段を設けておいて、周囲温度が低いときには過熱保護のために設定していたエンジンの回転数を従来よりも「低い」目に設定し、エンジンの回転数を出来るだけ低くできるようにしている。即ち、
修正基準指令回転数=(有効電力による設定値)+(DCリンク電圧の状態にもとづいた補正分)
とするようにしている。
【0012】
更に、インバータ部が無負荷時にエンジンの回転数を、燃費改善のための騒音抑止のために、低く抑制するようにしているが、急激に高負荷に移行した場合にはエンジン回転数の上昇に遅れが生じる。この点を考慮して、高い負荷状態(パワーモード)が生じる可能性がある場合を、人為的に想定して、無負荷時におけるエンジンの回転数をパワーモードに対応するように設定している。即ち後述する図1に示している(図1の右下方)パワーモードスイッチを設けるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、
(i)インバータ発電機において、インバータ部の負荷が極端にアンバランスになっても対処できるようにでき、
(ii)インバータ部からの出力電力が小さい場合でのエンジンの回転数を極力低くすることができ、
(iii)高い負荷状態(パワーモード)が生じる可能性のある状況の下で、その旨を想定して、急激な高負荷への移行時に対処できるようにして、この結果、高負荷に出力電圧が低下しては困るような負荷をも接続することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の一実施例構成を示す。
【0015】
図中の番号100はインバータユニット、200は永久磁石型多極発電機(Parmanent Magnet Alternator-PMA)、300はエンジン、500はインバータ制御用電源、550はパワーモードスイッチであって運転モードを指示するものを表している。
【0016】
101はインバータ部、102はインバータモジュール、103は整流回路部、104はインバータ回路部(Hブリッジ)、105は電解コンデンサ部、106は内部電圧センサであって後述するDCリンク電圧検出回路を構成するもの、107は温度センサ、108は電流センサ、109は平滑フィルタ部、110は制御回路であってワンチップマイコンで構成されるもの、111は通信線であって制御回路110Aと110Bとの間での情報を送受するもの、150はインバータ制御電源、160は回転指令アダプタであってエンジン(又は発電機)の回転を指示するものを表している。
【0017】
また、301はエンジン制御ユニット(ECU)を表している。なお、図示の永久磁石型多極発電機200は、永久磁石界磁のものであって、図示の場合には図では明瞭ではないが、発電巻線として2組を備えていて、夫々の発電巻線の出力が個別に対応するインバータ部101A、101Bに供給されている。
【0018】
また、インバータ回路部104Aの出力端子とインバータ回路部104Bの出力端子とは直列に接続されており、出力端子Aと出力端子Bと出力端子Cとは、いわゆる単相3線式に構成されている。そのため、出力端子Aと出力端子Bとの間で、または出力端子Bと出力端子Cとの間で、夫々交流電圧Vを出力することができ、かつ出力端子Aと出力端子Cとの間で交流電圧2Vを出力することができる。
【0019】
なお、図中に示す電圧波形600は、夫々のインバータ回路部104A、104Bからの出力部での波形であるPWM波形を表しており、電圧波形601は夫々前記PWM波形600が平滑フィルタ部109によって平滑されて正弦波となっていることを表す波形である。
【0020】
図1に示すように、2組の発電巻線をもつ多極発電機200から出力を得て、夫々、インバータ部101Aと101Bとによって交流出力を得た上で、図示のように単相3線式に接続されている構成を、本発明の対象としている。
【0021】
図2は、図1に示すインバータ部の1つを運転制御する構成を示す。なお、図2においては、図1に示す通信線111の部分は省略されている。
【0022】
図中の符号101、103、104、105、106、108、109、110、200、600、601は図1に対応している。
【0023】
符号112は、電流センサ108からの出力電流検出信号を受けてアナログ信号をデジタル信号に変換する入力ポート部である。113は、内部電圧センサであるDCリンク電圧検出回路106からの直流電圧信号(DCリンク電圧信号)を受けてアナログ信号をデジタル信号に変換する入力ポート部である。
【0024】
制御回路110(ワンチップマイコン)は、インバータ回路部(Hブリッジ)104から出力されるべき交番電圧についての目標波形信号602を生成して、デジタルアナログ変換を行う出力ポート部114から当該目標波形信号602を出力する。
【0025】
また、制御回路110は、インバータ回路部(Hブリッジ)104からの過電流状態などにもとづいて、インバータ回路部(Hブリッジ)104を停止するなどの制御信号(図示のHブリッジの停止、運転信号)を出力ポート部115から出力し、後述するPWM信号の遮断・通過制御部124を制御する。更に、制御回路110は、インバータ回路部(Hブリッジ)104による運転条件(例えば出力側の電圧波形600(又は601)を一時的に低下させるなどの運転条件)による制御を行うための制御信号を図示の可変指示部121に指示し、図示の「電流による垂下部」122を制御して、図示のPWM化部123からのPWM信号を制御する。なお、図示の107は反転増幅器を表している。
【0026】
図示の「反転増幅器による出力電圧検出部」116は、図示の波形600を抽出する。当該波形600は、ローパスフィルタ(LPF)118を介して、正弦波形603(基本的には波形601に同じ)となる。一方、図示の目標波形信号602も、ローパスフィルタ119を介して、正弦波形604とされる。両者の正弦波形604と603とは比較増幅部120によって比較され、誤差波形信号605が、前述の「電流による垂下部」122に導かれる。
【0027】
「電流による垂下部」122は、当該誤差波形信号605の波形を頭打ちの如く波高制限の機能を有し図示のPWM化部123に信号を送る。言うまでもなく、「電流による垂下部」122は、前述の如く、インバータ回路部(Hブリッジ)104による運転条件が満たされるようにするインバータ部の出力電圧を一時的に低下させるなどの制御を行い、前記誤差波形信号605の振幅を調整する。
【0028】
図示のPWM化部123が、所望される形のPWM信号を生成して、図示の「ロジックICにより、PWM信号の遮断・通過(ON/OFF)制御部」124に送る。当該PWM信号の遮断・通過制御部124は、前述の「Hブリッジ停止、運転信号」による指示を受けた上でPWM信号の遮断・通過制御を行い、図示のHブリッジドライバー125に対してPWM信号を供給する。Hブリッジドライバー125は、当該PWM信号にもとづいて、インバータ回路部104内の各FETを制御する。図示の波形606と607とで示す波形は、当該各FETを制御する制御信号(PWM信号の波形で)を表している。また、図示の波形608は、DCリンク電圧でありリップルを含んでいるものとして示されている。
【0029】
図3は、制御回路(ワンチップマイコン)における処理構成を示す。また、図4は、制御回路(ワンチップマイコン)内での処理の実行のタイミングを示している。
【0030】
制御回路110は、メイン関数処理部401と、割込処理部402とを備える。メイン関数処理部401は、第1状態処理部4011、第2状態処理部4012、第3状態処理部4013、第4状態処理部4014を備える。割込処理部402は、基準タイマ割込部4021、その他の割込部4022を備える。当該制御回路110が、メイン関数処理部401と割込処理部402により、インバータ部101を監視し駆動回路を制御すると共に、必要な処理を実行する。
【0031】
メイン関数処理部401は、図4に示すように、インバータ部の出力である交流電圧の1周期を4等分した第1〜第4の期間において、各々、当該インバータ部の状態を検出し出力し制御するための処理であって相互に異なる第1〜第4の処理を実行する。なお、この例では第1〜第4の期間において、各々、第1〜第4の処理を実行するものとしているが、いずれの期間にいずれの処理を実行しても良い。即ち、第1〜第4の期間において、各々、第1〜第4の処理のいずれかが実行されれば良い。
【0032】
なお、実際は、交流電圧の1周期を4等分するために、メイン関数処理部401は、割込処理部402の基準タイマ割込部4021により交流電圧の1周期をN(この例では、N=128)等分した各々のタイミングにおいて発生する割り込みを利用する。即ち、当該割込みの数をカウントして、当該カウント値が1、32、64、96の場合に、各々、第1〜第4の期間を開始する。
【0033】
図3に示す第1状態処理部4011は図4に示す第1状態処理部の期間に処理を行い、第2状態処理部4012は図4に示す第2状態期間に処理を行い、第3状態処理部4013は図4に示す第3の状態の期間に処理を行い、第4状態処理部4014は図4に示す第4の状態の期間を処理を行う。
【0034】
第1の状態は基準タイマ用カウンタ(図示せず)の内容Sin−itrが値「1」のときに開始され、第2の状態は当該内容Sin−itrが値「32」のときに開始され、第3の状態は当該内容Sin−itrが値「64」のときに開始され、第4の状態は当該内容Sin−itrが値「96」のときに開始される。そして当該内容が値「127」から値「0」を経て値「1」に進むように繰り返されてゆく。なお、上記基準タイマ用カウンタ(図示せず)の内容Sin−itrの更新は、図4に示すように出力電圧の正弦波形に同期している。
【0035】
図5と図6と図7と図8とは、前記4つの状態に対応して制御回路(ワンチップマイコン)が実行する処理内容を示している。なお、図7と図8とは連結して1つの図を示している。
【0036】
図5は無限ループを始動するフローチャートを示す。
【0037】
(S1);初期化を行う。
【0038】
(S2);起動準備を行う。
【0039】
(S3);無限ループに入る。
【0040】
図6は、無限ループに対応して実行される状態1ないし状態4の処理内容を示している。
【0041】
状態1の処理において、
(S28);図1に示すインバータ部M(マスタ)101Aとインバータ部S(スレーブ)101Bとの間で送信する送信データをレジスタに格納する。当該送信データには、自インバータ部が出力する有効電力や無効電力が含まれる。有効電力や無効電力を生成する態様については後述する。
(S29);送信を開始する。即ち、(S28)において格納された送信データは、相手方のインバータ部に向かって送信される。
【0042】
状態2の処理において、
(S30);エンジンに対する指令回転数を算出する。
(S31);当該回転数の送信を開始する。図1に示すエンジン制御ユニット(ECU)301に向かって送信する。
【0043】
状態3の処理において、
(S32);インバータ部における故障診断を行う。
(S33);過電流状態になっていた場合において、当該過電流が継続する時間をチエックしてタイムアップした場合に保護が必要か否かを判定する。
(S34);図1に示す温度センサ107のセンスデータにもとづいて過熱保護が必要か否かを判定する。
【0044】
状態4の処理において、
(S35);必要に応じて、出力電圧を変化させるなどの調整を行う。
(S36);各インバータ部の制御装置の間での通信に関して、相手方から受信したデータについての処理を行う。
(S37);相手方に異常があれば異常があることを検出する。
(S38);過電流リミッタのピーク値を変更するなどの調整を行う。
(S39);必要に応じて両者インバータ部間での周波数(位相)の同期化を行うようにする同期化の処理を行う。
【0045】
図7と図8とは連結されて1つの図となるものであり、両者にて無限ループの処理内容を示す図である。
【0046】
(S4);状態1か否かをチエックする。
【0047】
(S5);状態1であれば、図6に示す状態1の処理を行う。
【0048】
(S6);状態1の処理が終了すると、図示の状態1’に遷移する。
【0049】
(S7);(S4)でNか、(S6)での遷移かを経て、状態1’か否かがチエックされる。
【0050】
(S8);状態1’の場合には何もせずに(S9)に進む。
【0051】
(S9);前述のカウンタ(Sin−itr)の内容の値iが「31」を超えていれば状態2に遷移する。
(S10);(S7)でNか、(S9)での遷移かを経て、状態2か否かがチエックされる。
(S11);状態2であれば、図6に示す状態2の処理を行う。
(S12);状態2’へ遷移する。
(S13);(S10)でNか、(S12)での遷移かを経て、状態2’か否かがチエックされる。
(S14);状態2’の場合には何もせずに(S15)に進む。
(S15);iが「63」を超えていれば、状態3に遷移する。
(S16);(S13)でNか、(S15)での遷移かを経て、状態3か否かがチエックされる。
(S17);状態3であれば、図6に示す状態3の処理を行う。
(S18);状態3’へ遷移する。
(S19);(S16)でNか、(S18)での遷移かを経て、状態3’か否かがチエックされる。
(S20);状態3’の場合には何もせずに(S21)に進む。
(S21);iが「95」を超えていれば、状態4に遷移する。
(S22);(S19)でNか、(S21)での遷移かを経て、状態4か否かがチエックされる。
(S23);状態4であれば、図6に示す状態4の処理を行う。
(S24);状態4’へ遷移する。
(S25);(S22)でNか、(S24)での遷移かを経た場合には状態4’にある。
(S26);状態4’の場合には(S25)を経て、何もせずに(S27)に進む。
(S27);iが「32」よりも小さいことを条件に(S4)に戻る。
【0052】
図7と図8から判るように、無限ループは、Sin−itrの値iに対応して、状態1の処理から状態4の処理を繰り返す。即ち電圧の1周期(i=0〜i=127)の間に、夫々の状態の処理が行われて繰り返される。
【0053】
ここで、制御回路(ワンチップマイコン)110が自インバータ部が発する有効電力Pの値や無効電力Qの値、更には自インバータ部が出力する出力電流の値を生成する態様について、概念的に説明しておく。
【0054】
前述したように、制御回路(ワンチップマイコン)110は、インバータ回路部101が出力する出力電圧に見合う目標波形信号602を生成している。そして、図4に示したようにインバータ部の出力電圧の1周期(即ち、目標波形信号602の1周期)を128等分したタイミングで、図3に示す基準タイマ割込部4021による割込みを発している。
【0055】
このことから、制御回路(ワンチップマイコン)110は、インバータ部の出力電圧v sin ωtを1周期にn回(128回)サンプリングして、夫々のタイミングの下でのサンプリング値v sin(n)を生成することができる。また、前記出力電圧v sin ωtの位相をπ/2だけズラしたv cos ωtに対応するサンプリング値v cos(n)を生成することができる。
【0056】
なお、v sin(n)は、インバータ部の出力電圧が決まれば、予め準備しておくことができ、それらの値は例えばメモリ上のテーブルにセットしておくようにされる。そして、sin−itrの各値i=nのタイミングに合わせて、v sin(n)やv cos(n)を抽出することができる。
【0057】
一方前述の如く、制御回路(ワンチップマイコン)110は、図2に示した如く、インバータ部101からの出力電流を電流センサ108によってセンスしている。このセンスされた出力電流は、図2に示す入力ポート部112において、デジタル信号に変換されて、前述の基準タイマ割込部4021による割込み(1/128割込み)の割込みタイミング毎に、制御回路(ワンチップマイコン)110に取り込まれる。
【0058】
なお、言うまでもなく図2に示すDCリンク電圧検出回路106からのDCリンク電圧も、図2に示す入力ポート部113によって前記割込みタイミング毎に制御回路(ワンチップマイコン)110に取り込まれる。
【0059】
図2に示す入力ポート部112によって逐次取込まれた出力電流の値は、当該出力電流iについての夫々のサンプリングのタイミングにおける瞬時値i(n)である。
【0060】
インバータ部の有効電力Pは、概念的には、
v sin(n)×i(n)
を電圧1周期分積算し、かつ複数周期分の間で平均化したものとして与えられ、また、インバータ部の無効電力Qは、
v cos(n)×i(n)
を電圧の1周期分積算し、かつ複数周期分の間で平均化したものとして与えられる。
【0061】
また、インバータ部からの出力電流Iは、前記i(n)を同じく1周期分積算したものとして与えられる。
【0062】
制御回路(ワンチップマイコン)110における割込みには、図9に示す1/128割込み(基準タイマ割込み)と図10に示すエッジ割込みと、図11に示す21.71ms割込みとが考慮されている。
【0063】
図9は前述のSin−itrの値iに対応した1/128割込み(基準タイマ割込み)についてのフローチャートを示している。
【0064】
図9において、
(S40):Sin−itrの値iを与えるカウンタが「0」から「127」を経て更に「0」、「1」……とカウントアップされる。
(S41):前述の図6に示す状態1ないし状態4に対応する処理が出力中か否かがチエックされる。
(S42):(S41)がNの場合、夫々対応する状態(状態1ないし状態4のいずれか)についての出力準備中か否かがチエックされる。
(S43):(S42)がYの場合、前記値iが「0」か否かがチエックされる。当該(S43)がYの場合、(S44)に進む。Nの場合、(S45)に進む。
(S44):インバータ回路部104を構成しているHブリッジをオン状態にする。即ち、インバータ回路部104が出力を発し得る状態にする。
(S45):(S40)におけるカウンタの値(即ちiの値)がD/Aレジスタにセットされる。
(S46):前記(S42)がNの場合、即ち状態出力が待機状態の場合、インバータ部内にエラーが存在するか否かがチエックされる。(S46)がYの場合(S47)に進む。Nの場合、(S48)に進む。
(S47):対応する状態についての出力準備中に遷移する。
(S48):当該(S48)の処理において、図1に示す整流回路部103に存在するサイリスタをオンするかオフするか判定する。即ち当該判定結果でサイリスタをオンまたはオフして、図1に示す内部電圧センサ106でセンスされる直流電圧(即ち、整流回路部103から出力端の直流電圧)を可能な限り、所定値に維持させるようにする。
(S49):前述のSin−itrの値iに対応して、前述した
v sin(n)×i(n)
v cos(n)×i(n)
i(n)
が生成されてゆく。そして、有効電力Pや無効電力Qや出力電流Iを求めるために利用されてゆくことになる。
(S50):前述のSin−itrの値iが「127」か否かがチエックされる。Yの場合(S51)に進み、Nの場合(S52)に進む。
(S51):(S50)がYの場合、制御回路(ワンチップマイコン)110は、自インバータ部からの出力電圧の位相(出力電圧がレベル零からプラスに向かうゼロロスのタイミング)を他インバータ部に送信する。即ち、後述するゼロタイミング信号をハイ状態からロー状態に変換する。この変換が図1に示す通信線111を介して他インバータ部に送信される。
(S52):(S50)がNの場合、前述のゼロタイミング信号をハイ状態に変換し、またはハイ状態に維持する。
【0065】
図10はエッジ割込みについてのフローチャートを示している。
【0066】
このエッジ割込みは、図9における(S51)の処理に対応して他インバータ部(相手機)のゼロタイミング信号がハイ状態からロー状態に変化したことを検出した際に発生する。
(S53):相手機からのゼロタイミング信号がハイ状態からロー状態に変化したとき、この割込みルーチンに入る。
(S54):この割込みルーチンにおいて、自インバータ部(自機)におけるSin−itrのカウンタ値(iの値)を保存するようにする。
【0067】
なお、このエッジ割込みに対応する処理は、図6に示した状態4の処理における(S39)での、インバータ部相互間での同期化の処理を行うか否かの判断に利用される。
【0068】
図11は21.71mS割込みについてのフローチャートを示している。
【0069】
当該21.71mS割込みは、前述のSin−itrのタイミングとは関係なしに、21.71mSをカウントするタイマのカウントアップに対応して発生される。
(S55):インバータ部が過電流状態にあるか否かがチエックされる。
(S56):(S55)がYの場合、過電流タイマがカウントアップされる。
(S57):(S55)がNの場合、過電流タイマはカウントダウンされる。
(S58):過電流タイマがタイムアップしたか否かがチエックされる。
(S59):(S58)がYの場合、過電流保護を行う。即ちインバータ回路部104でのHブリッジがオフ状態(出力を零にする状態)に入る。
(S60):(S58)または(S59)が処理されたタイミングの次に「スイッチ入力判定」が行われる。即ち、図1の右下に示すパワーモードスイッチ550がオン状態かオフ状態かがチエックされる。なお、パワーモードスイッチ550がオンされている状況の下では、インバータ部に接続される負荷が、急激に増大する電流を要求する場合があることを意味している。このパワーモードスイッチ550は、運転者によって人為的にオンまたはオフされるものである。

以下インバータ発電機におけるエンジンの回転制御について述べる。
(A)エンジンに対する指令回転数の設定。
【0070】
従来の場合の例えば前述の特開2005−286540号公報に開示されたインバータ発電機においては、2台のインバータ部を並列に接続して共通の負荷に給電するようにしていた。
【0071】
一方、この種のインバータ発電機においては、燃費を節約するためや騒音を抑えるためなどから、給電する負荷(インバータ部に接続される負荷)に見合う程度の回転数でエンジンを回転させていた。なお、このことは、インバータ部を用いていることから、インバータ部からの出力電圧の周波数がエンジンの回転数(更に言えばエンジンで駆動される永久磁石型多極発電機が出力する交流電圧の周波数)に影響されないことから可能となっている。
【0072】
したがって、インバータ部が並列運転される場合には、エンジンに対する指令回転数は、
(指令回転数)=(k/2){( PM の有効電力)+PS の有効電力)}
(但し、kは係数、PM は一方のインバータ部、PS は他方のインバータ部)
の形できまるようにされていた。即ち、2台のインバータ部からの夫々の有効電力の平均値を目安として決めていた。そして言うまでもなく、当該平均値が大になるにつれて、エンジンの回転数は増加するようにされていた。
【0073】
しかし、本発明の場合のように、2台のインバータ部の出力端を直列に接続して運転する場合には、図1に示す出力端子AB間に接続される負荷と出力端子BC間に接続される負荷とで、極端にアンバランスになる可能性がある。特に、電動機が負荷に接続されるような場合には、起動電流のために一方のインバータ部が大きい出力電流を供給することを要求されることが生じる。
【0074】
このことから、本発明においては、例えば一方のインバータ部に対応する制御回路(ワンチップマイコン)110において、自インバータ部から出力される有効電力Pm と相手側から送られてくるPs とにもとづいて、
P=(Pm or Ps のより大きい側の値)
をもって、エンジン制御ユニット(ECU)に指示を与えるようにしている。即ち、
(基準指令回転数)=k1
(但しk1 は係数)
の形で決まる指令回転数を基準指令回転数として与えるようにしている。

(B)永久磁石型多極発電機の特性に見合うエンジン回転数指令。
【0075】
前記(A)に述べたように、基本的にはエンジンに対する基準指令回転数が指示されるものであるが、次のような問題がある。
【0076】
即ち、永久磁石型多極発電機においては、界磁として永久磁石が用いられていることもあって、周囲温度が高い時、特に熱時に、当該発電機の出力電力が低下する特性がある。このために、周囲温度が高い時、特に発電機が熱を持った時にも、インバータ部が必要とする当面の間の出力電力に見合うパワーを当該永久磁石型多極発電機が供給できるように配慮して、通常状態の下でエンジンの基準指令回転数の値を多少高い目に設定していた。
【0077】
このことは、考え方を転換すると、周囲温度が比較的に低い時や熱時でない時では、本来ならば、エンジンの基準指令回転数の値をもっと低い値にして、エンジンからの騒音の発生を抑制できるはずである、ということになる。
【0078】
本発明においては、この点を考慮して、エンジンに対する基準指令回転数の値を通常時において低い値に設定するようにしておき、前記のように永久磁石型多極発電機からの出力電力が低下する傾向が生じる際に、エンジンに対する指令回転数の値を高めるようにしている。
【0079】
図12は、エンジンに対する指令回転数を変化させる際のフローチャートを示す。
【0080】
図12において、
(S61);自インバータ部から出力される有効電力Pm と相手側から送られてくるPS とに基づいて、Pm またはPS の大きい方をPとし、自インバータのDCリンク電圧Vdcmと相手側リンクのDCリンク電圧Vdcsの低い方をVdccとする。
【0081】
(S62);エンジンの現時点における実回転数が指令回転数と極端に異なっていないかをチエックする。Nの場合(S64)に進む。
【0082】
(S63);(S62)がYの場合とは、エンジンが所望される回転数の下で回転していることを意味しているが、この状態の際に、図2に示すDCリンク電圧が低下していないかどうかをチエックする。言うまでもなく(S62)がYの場合にDCリンク電圧が低下することは、永久磁石型多極発電機からの出力が低下気味にあって、所望される直流電圧を提供し得ないことを意味している。このことから(S63)においては、DCリンク電圧に関して
(基準値)−(低い方のDCリンク電圧値Vdcc)
を算出し、これを逐次、積分してゆく。この積分値をAとして保持する。
【0083】
(S64);エンジンに対する修正基準指令回転数として、
(修正基準指令回転数)=k2 ・P+A
但し、k2 は前記k1 よりも小さい係数
を与えるようにする。
【0084】
このようにすることによって、通常の場合には、基準回転数を前記(A)項において設定していた基準よりも低い値にして騒音を制御しておいた上で、永久磁石型多極発電機において出力が低下してしまうような状態が発生することを未然に防ぐ対策をとるようにしている。
【0085】
なお、図13は、永久磁石型多極発電機において、温度が上昇するにつれて、出力電圧Vや出力電力Pが低下する傾向にあることを示している。
【0086】

(C)パワーモードに対処する指令回転数の設定。
【0087】
前述した如く、インバータ発電機においては、インバータ部に接続する負荷が小さい場合には、エンジンの燃費を小にするためや騒音の発生を抑制するためにエンジンの指令回転数を低くするようにしている。
【0088】
そして、この低くしておいた状況の下でインバータ部側の負荷が急増したような場合でも、エンジンの回転数を出来るだけ早く増加させたりする対策を考慮している。
【0089】
しかし、なお、エンジンの回転数の増加に時間がかかり過ぎることがあり、インバータ部からの出力電圧が過度的に低下してしまうことが生じる。特に、負荷の性質によっては出力電圧が低下すること自体が好ましくないような負荷もある。
【0090】
図14は、負荷の急激な増加に対応して、エンジンの回転数の増加に時間を要することを説明する図である。
【0091】
図14において、横軸は時間であり、縦軸は負荷とエンジン回転数である。
【0092】
図14では、負荷が無負荷状態から高負荷状態に移行した場合を示しており、回転数の上昇に時間を要している。
【0093】
本発明では、この問題を解決するために、インバータ発電機をパワーモードで運転する場合と、エコモードで運転する場合とを、人手によって指示できるようにしている。
【0094】
図1に示す(図1の右下方)パワーモードスイッチ550は、このパワーモードを指示するためのスイッチである。
【0095】
インバータ部に接続される負荷の性質によって、インバータ部の負荷が急激に大となる可能性がありかつそのような場合にインバータ部の出力電圧が過渡的に低下しては困るような場合に、人手によって、パワーモードスイッチ550をオンとしておくようにする。
【0096】
即ち、前述したようにインバータ部の負荷が小さい場合にはエンジンの回転数を出来るだけ小さくしておくようにされるものであるが、パワーモードスイッチ550がオンされている場合には、通常時でのエンジンの回転数を高い目にセットしておき、エンジンからのパワーに余裕を与えておくようにする。
【0097】
図15は、エコモードとパワーモードとでの特性を示す。
【0098】
図15において横軸はエンジン回転数であり、縦軸はインバータ部からの出力電力である。そして、実線がパワーモードの場合であり、点線がエコモードの場合である。
【0099】
エコモードの場合には、インバータ部の出力電力が例えばレベル「0」から「低」の範囲で、エンジンの回転数をN1 rpmにセットし、レベル「低」を越えレベルの大きさに応じてエンジンの回転数が増大するようにしている。
【0100】
これに対して、パワーモードの場合には、インバータ部の出力電力が例えばレベル「0」から「中」の範囲で、エンジンの回転数をN2 rpm程度にセットし、レベル「中」以上でレベルの大きさに応じてエンジンの回転数が増大するようにしている。
【0101】
パワーモードスイッチがオンされている場合には、インバータ部からの出力電力が小さい状態の下でも、エンジンの回転数が比較的高い状態に保たれていて、インバータ部からの出力電力の急激な増大に対して予め備えておくようにしている。
【0102】
なお、補足であるが、エンジンの回転数を負荷に応じて変化させることは、エンジンの運転効率を高め、また永久磁石型発電機やインバータ部においても効率のよい運転条件を与えることを可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上説明した如く、本発明によれば、インバータ発電機において、複数のインバータ部の間で負荷がアンバランスになることなどにも拘わらず、夫々のインバータ部に供給するエンジン側からのパワー不足が生じないようにし、かつ負荷の大きさに関係なくエンジンの回転数を制御することに可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施例構成を示す。
【図2】図1に示すインバータ部の1つを運転制御する構成を示す。
【図3】制御回路(ワンチップマイコン)における処理構成を示す。
【図4】制御回路(ワンチップマイコン)内での処理の実行タイミングを示す。
【図5】無限ループを始動するフローチャートを示す。
【図6】無限ループに対応して実行される状態1ないし状態4の処理内容を示す。
【図7】無限ループの処理内容を示す。
【図8】無限ループの処理内容を示す。
【図9】Sin−itrの値iに対応した1/128割込み(基準タイマ割込み)についてのフローチャートを示す。
【図10】エッジ割込みについてのフローチャートを示す。
【図11】21.71mS割込みについてのフローチャートを示す。
【図12】エンジンに対する指令回転数を変化させる際のフローチャートを示す。
【図13】永久磁石型多極発電機において、温度が上昇するにつれて出力電圧や出力電力が低下する傾向にあることを示す。
【図14】負荷の急激増加に対応してエンジンの回転数の増加に時間を要することを説明する図である。
【図15】エコモードとパワーモードとでの特性を示す。
【符号の説明】
【0105】
100:インバータユニット
200:永久磁石型多極発電機
300:エンジン
301:エンジン制御ユニット(ECU)
500:インバータ制御用電源
550:パワーモードスイッチ
101:インバータ部
102:インバータモジュール
103:整流回路部
104:インバータ回路部(Hブリッジ)
105:電解コンデンサ部
106:内部電圧センサ(DCリンク電圧検出回路)
107:温度センサ
108:電流センサ
109:平滑フィルタ部
110:制御回路(ワンチップマイコン)
112:入力ポート部
113:入力ポート部
114:出力ポート部
115:出力ポート部
116:出力電圧検出部
118:ローパスフィルタ
119:ローパスフィルタ
120:比較増幅部
121:可変指示部
122:電流による垂下部
123:PWM化部
124:PWM信号の遮断・通過部
125:Hブリッジドライバ
150:インバータ制御電源
160:回転指令アダプタ
601:出力電圧の波形
602:目標波形信号
605:誤差波形信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの回転数を制御する機能を少なくとも有するエンジン制御ユニットと前記エンジンによって回転駆動される交流発電機と、当該交流発電機の発電巻線に誘起された交流電圧が供給される少なくとも2台のインバータ部を有するインバータ部とを備え
当該夫々のインバータ部が、前記供給された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路部と、当該生成された直流電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧が印加されるインバータ回路部と、当該インバータ回路部によって生成された交番電圧を平滑して正弦波交流電圧を得る平滑フィルタ部を有してなり、
前記少なくとも2台のインバータ部に対応する夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を外部出力端として利用されると共に、夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を直列に接続して前記夫々のインバータ部の出力電圧の和が得られる外部出力端を備える、インバータ発電機において、
前記インバータ部は、夫々、インバータ回路部に印加される前記平滑された直流電圧の大きさを検出する内部電圧センサと、
前記インバータ回路部から出力される出力電流を検出する電流センサと、
前記内部電圧センサによって検出された直流電圧をDCリンク電圧として供給されると共に前記電流センサによって検出された出力電流を供給される制御回路と
を備え、かつ、
当該制御回路が、当該インバータ部が出力すべき出力電圧に相当する目標波形信号を生成するよう構成されると共に、自インバータ部から出力される有効電力を演算して利用するよう構成され、
一方の前記インバータ部が、他方の前記インバータ部と、夫々の前記有効電力を比較して、より大きい値の有効電力をに対応した基準指令回転数を前記エンジン制御ユニットに指令する
ことを特徴とするインバータ発電機。
【請求項2】
エンジンと、当該エンジンの回転数を制御する機能を少なくとも有するエンジン制御ユニットと、前記エンジンによって回転駆動される交流発電機と、当該交流発電機の発電巻線に誘起された交流電圧が供給される少なくとも2台のインバータ部を有するインバータ部とを備え
当該夫々のインバータ部が、前記供給された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路部と、当該生成された直流電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧が印加されるインバータ回路部と、当該インバータ回路部によって生成された交番電圧を平滑して正弦波交流電圧を得る平滑フィルタ部を有してなり、
前記少なくとも2台のインバータ部に対応する夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を外部出力端として利用されると共に、夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を直列に接続して前記夫々のインバータ部の出力電圧の和が得られる外部出力端を備える、インバータ発電機において、
前記インバータ部は、夫々、インバータ回路部に印加される前記平滑された直流電圧の大きさを検出する内部電圧センサと、
前記インバータ回路部から出力される出力電流を検出する電流センサと、
前記内部電圧センサによって検出された直流電圧をDCリンク電圧として供給されると共に前記電流センサによって検出された出力電流を供給される制御回路と
を備え、かつ、
当該制御回路が、
当該インバータ部が出力すべき出力電圧に相当する目標波形信号を生成するよう構成されると共に、自インバータ部から出力される有効電力に基づいて演算される前記エンジンの指令回転数を前記エンジン制御ユニットに指令し、
前記エンジンの回転数との差が予め設定される範囲内にあるときに夫々のインバータ部の前記DCリンク電圧の値の低い値と予め設定されるDCリンク基準電圧値との差を演算して積分して補正回転数を算出して前記指令回転数を変更し、
前記エンジンの回転数と指令回転数との差が前記予め設定される範囲内にない時には前記指令回転数を変更せず、前記エンジン制御ユニットに指令する
ことを特徴とするインバータ発電機。
【請求項3】
エンジンと、当該エンジンの回転数を制御する機能を少なくとも有するエンジン制御ユニットと前記エンジンによって回転駆動される交流発電機と、当該交流発電機の発電巻線に誘起された交流電圧が供給される少なくとも2台のインバータ部を有するインバータ部と、ユーザが操作可能なパワーモード選択ユニットを備え
当該夫々のインバータ部が、前記供給された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路部と、当該生成された直流電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧が印加されるインバータ回路部と、当該インバータ回路部によって生成された交番電圧を平滑して正弦波交流電圧を得る平滑フィルタ部を有してなり、
前記少なくとも2台のインバータ部に対応する夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を外部出力端として利用されると共に、夫々の前記平滑フィルタ部の出力端を直列に接続して前記夫々のインバータ部の出力電圧の和が得られる外部出力端を備えるインバータ発電機において、
前記夫々のインバータ部に、当該インバータ部が出力すべき出力電圧に相当する目標波形信号を生成し、インバータ部から出力される有効電力を演算して前記エンジン制御ユニットに前記エンジンの回転数を指令する制御回路を備え、
当該制御回路は、前記パワーモード選択ユニットからの指示に基づいて前記エンジン回転数を変更可能に設定できる
ことを特徴とするインバータ発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−110028(P2010−110028A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276331(P2008−276331)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000253075)澤藤電機株式会社 (31)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】