説明

インピーダンス分光法により電気システムを特性化するための方法

本発明は、インピーダンス分光法による、電気システムのより正確な特性化のための方法に関する。該方法とは、周波数の主たる組(A)を走査するように、正弦波摂動のシーケンスを含む入力信号を該電気システムに適用すること、該適用された摂動それぞれに対する該入力信号に応答して該電気システムの出力信号を計測すること及び、該適用された摂動それぞれに対する該電気システム特有のインピーダンス量を推定することであり、主たる組(A)から得られる、複数の副次的な組(A,…,An)の周波数を順々に走査するように摂動のシーケンスが適用され、該複数のそれぞれの副次的な組は少なくとも1つの同一の複数の他の副次的な組と組み合わされること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気システムの一般的な分野に関し、より具体的には、インピーダンス分光法により該電気システムを特性化する方法に関する。
【0002】
電気システムは、燃料電池、電解槽、一次電池又は充電池、あるいはそれ以外のタイプの電気システムのような電気化学デバイスであってもよい。
【背景技術】
【0003】
インピーダンス分光法は、多くの技術分野で使用される特性化技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】フーケ他『モデルベースの交流インピーダンスを用いたPEM燃料電池健康状態モニタリング』電力ジャーナル159巻905〜913頁,2006年(Fouquet et al,(2006) “Model based PEM fuel cell state-of-health monitoring via ac impedance measurements" Journal of Power Sources, 159, 905-913)
【0005】
実例として、インピーダンス分光法は、例えば金属片の腐食率を推定する腐食、電着、又は、燃料電池のような電気化学デバイスの健康状態判定などの分野で使用される。
【0006】
燃料電池のような電気化学デバイスの例の場合には、インピーダンス分光法技術は、非特許文献1に記載されたように、燃料電池の膨れや液漏れの検出に利用可能である。
【0007】
図1に示すように、分極点の周囲に正弦波摂動のシーケンスを有する電流が、セル1に印加される(図2)。電流は、該摂動が重ね合わされた直流を送電する能動負荷2によって印加される。その周波数は、インピーダンス解析装置3によって制御される。摂動は低い振幅を有し、広い周波数帯域を走査する。
【0008】
これらの摂動に対する応答電圧が、セルの端子で計測される。インピーダンス解析器3は、実数部の関数としてのインピーダンスの虚数部のナイキスト平面における変化をもたらす。
【0009】
摂動は従来的には、高い周波数から低い周波数へ向かって、周波数が対数的に間隙を介した状態で、広い周波数帯域を走査するように適用される。周波数帯域は、数ミリヘルツ(mHz)から数十キロヘルツ(kHz)に至る。
【0010】
従って、高い周波数の部分は極めて迅速に走査される一方、低い周波数にとっては計測時間は無視できないものとなる。例えば、周波数分解能100で10kHzから500Hzへと進むには1秒で足りる一方、1Hz未満の周波数を計測するには数分は必要である。
【0011】
実験データの活用は、摂動すなわち分極電流の平均値を適用する時間の間、セルが安定していること、及び、電圧レスポンスが一定であることを必要とする。
【0012】
しかしながらこの仮説は、特に電気システムが劣化している時あるいは一時障害の時には検証され得ない。一例として、PEMタイプの燃料電池における液漏れ及び膨れはセルを不安定にし、インピーダンス計測が利用できなくなる。
【0013】
現在のインピーダンス分光法技術は、周波数帯域の走査中に、電気システムの安定条件の変化を直接に確認できないという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、インピーダンス分光法による、電気システムのより正確な特性化方法を提案することにある。本発明の付随する目的は、周波数帯域の走査中に、該システムの安定性を容易かつ迅速に確認することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これを受けて本発明は、次のステップを含む電気システムの特性化の方法に関する。
−入力信号を、該電気システムの分極点の周囲に、正弦波電流又は電圧摂動のシーケンスを含み、各摂動は周波数の主たる組に属する異なる周波数を有する該電気システムに適用するステップ、
−該適用された摂動それぞれに対する該入力信号に応答する、該電気システムの出力信号を計測するステップ、
−該適用された摂動のそれぞれに対する、該電気システムのインピーダンスのサイズ特性を推定し、インピーダンスのサイズ特性の一連の推定が電気システムを特徴付けるステップ。
【0016】
本発明によれば、該シーケンスの摂動は、進路変更ごと(ターンバイターン)に走査するように適用され、周波数の複数の副次的な組が主たる組から生じ、副次的な組それぞれが同一の複数の他の副次的な組の、少なくとも一つと組み合わされる。
【0017】
従って、周波数の副次的な組が組み合わされるという事実は、2つの検討中の副次的な組の間に、それらが互いに隣接しているかどうかに関係なく、重複領域を形成するに等しい。
【0018】
副次的な組の組み合わせは、周波数の走査において行ったり来たりすることに相当する。また、主たる組において周波数を走査している間、高い周波数を要請することは、急速な物理現象を検出することを可能にする。同様にまた、低い周波数の要請は、長い時間をかけて識別可能な物理現象を検出することを可能にする。従って、測定の間を通じて、緩慢なあるいは急速な物理的現象を識別することが可能であり、このことは電気システムの特性化をより正確にする。
【0019】
これまでの従来技術で開示された解決策のように、主たる組の周波数を単調に走査する場合には、このような正確さは得られないことに留意すべきである。実際、高い周波数が走査された時点で、中・低周波数を要請することもまた、急速な物理現象の検出を可能にすることができない。逆に、低い周波数が走査された後で高い周波数が要請された場合は、ゆっくりした物理現象を識別することはできなくなる。
【0020】
最初の副次的な組の少なくとも一つの周波数は、最初の副次的な組が組み合わされた第二の副次的な組の、2つの連続する周波数の間に位置することが望ましい。
【0021】
該複数の副次的な組それぞれは、同一の複数の他の副次的な組全てと組み合わされることが望ましい。
【0022】
該摂動のシーケンスは、副次的な組それぞれの周波数を単調に又はランダムに走査するように適用される。
【0023】
該摂動のシーケンスは、該複数の該周波数の副次的な組、あらかじめ決まった順番で順位付けされている副次的な組を、単調に又はランダムに走査するように適用される。
【0024】
副次的な組は、各副次的な組の最高周波数の昇順、又は降順によっても順序付けられ得る。あるいは、副次的な組の順序は各副次的な組の最低周波数に依存することもできる。
【0025】
本発明による方法は、以下のようなステップを含むことが望ましい。
−一方では、複数の副次的な組のうち最初の副次的な組の最初の周波数に対するインピーダンスのサイズ特性の推定と、もう一方では、その間に最初の周波数が位置する同一の複数の第二の副次的な組の、2つの連続した周波数に対する該サイズ特性の推定を同一の最初の周波数に対して補間することによって得られる数値と、の間の差異を算出するステップ、
−算出された差異が所定の閾値差異を超えた場合に、電気システムの不安定性を検出するステップ。
【発明の効果】
【0026】
従って、本発明による方法は、主たる組の周波数帯域の走査中に、容易かつ迅速に電気システムの安定性を確認することを可能にする。
【0027】
重複領域に位置するインピーダンスの数値における不連続が、考慮中の電気システムの、算出された差異が閾値偏差を超えるときに検出された不安定性を直接に示す。従って電気システムの安定性は容易かつ迅速に確認できる。
【0028】
該電気システムは、例えば電解槽や燃料電池のようないかなる電気化学装置でもよい。
【0029】
また、本発明は、以下を含む電気システムの制御方法に関する。
−インピーダンスのサイズ特性の一連の推定により電気システムを特徴化するために、前述した特徴のいずれかによる特性化法を行い、
−電気システムのインピーダンスのサイズ特性の該推定の少なくとも一つと、少なくとも一つの該サイズの基準値との間の差異を計測し、
−計測された差異が所定の閾値差異を超えた場合には、電気システムにコマンドを適用する。
【0030】
本発明の他の利点及び特徴は、以下の非限定的な詳述で示される。
【0031】
以下、非限定的な例として、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】電源及びインピーダンス解析器に接続された燃料電池の概略図である。
【図2】分極点周囲での摂動の電流の図1における燃料電池への印加を表すグラフである。
【図3A】電気システムが安定の場合の、適用された摂動の関数としてのインピーダンスの変化を示すグラフである。
【図3B】電気システムが不安定の場合の、適用された摂動の関数としてのインピーダンスの変化を示すグラフである。
【図4】摂動のシーケンスによって走査された周波数の組み合わせの例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明では、電気システムは、プロトン交換膜タイプの燃料電池である。
【0034】
しかし、この電気システムは燃料電池に限定されず、電解槽、一次電池又は充電池、他のタイプの電気化学装置、また電気エネルギーを受け取り又は供給することのできるいかなる電気システムでもあり得る。
【0035】
燃料電池は、能動負荷又は静電変換機など、アプリケーションのインターフェースとして電流を与えることが可能な電力装置に接続される。能動負荷は、少なくとも検討された一連の周波数をカバーする帯域幅を有している。
【0036】
セルはインピーダンス解析装置に接続される。これは商用のインピーダンス解析器でもよく、電流及び/又は電圧の発生及び取得に対して同期カードを有するコンピュータは取り付けられていてもいなくてもよい。
【0037】
正弦波電流摂動のシーケンスは、分極点周辺で燃料電池に適用される。
【0038】
分極点は、摂動のシーケンスの全適用長に亘って一定であることが望ましい。
【0039】
各摂動は、いかなる過渡状態も減衰する複数の期間、ひいてはインピーダンスを算出するための複数の期間を含むことが望ましい。
【0040】
各摂動は、摂動のシーケンスが主たる周波数組A = {f1,f2,…,fN}を走査するように、種々の周波数を有する。より正確には、摂動のシーケンスは、組Aの各周波数に対する少なくとも一つの摂動を含む。
【0041】
主たる周波数組Aの範囲は、数ミリヘルツから数十キロヘルツに至り、また、走査されるN個の周波数、例えば100個前後の周波数を含む。
【0042】
摂動の振幅は、セルの応答が線形のままであるように、十分に小さい。そのためには、振幅は、考慮中の動作点での電流値の実質的に10%未満であり、また該%値に近いことが望ましい。
【0043】
インピーダンス解析装置は、主たる組Aの周波数それぞれに対してセルの複素インピーダンスをもたらす。その場合、インピーダンスの虚数部の変化を、実数部の関数として、ナイキスト平面にトレースすることが可能である。
【0044】
入力信号がセルの端子での電圧である場合、インピーダンス解析装置は、セルの複素インピーダンスではなく、複素アドミタンスを推定することに留意されたい。しかしながら、インピーダンスはアドミタンスから容易に推定可能である。
【0045】
本発明によれば、前記主たる組Aの周波数は、複数の周波数の副次的な組A1,…,Anを形成できるように分配される。
【0046】
周波数の副次的な組(Ai)i=1…nは、主たる組Aから抽出される、又は結果として生じる周波数のセットを表す。


【0047】
副次的な組(Ai)i=1…nの和集合は、周波数の主たる組Aに一致する。


【0048】
副次的な組それぞれは、他の副次的な組と共通の周波数を含まないことが望ましい。


【0049】
周波数の副次的な組(Ai)i=1…nそれぞれは、Ni個の周波数の合計が主たる組AのN個の周波数に等しくなるようにNi個の周波数を含むことが望ましい。


【0050】
副次的な組Aiそれぞれは、周波数の範囲を有する。副次的な組Ai の範囲Giは、前記副次的な組の最高周波数と最低周波数との間に含まれるとみなされる、副次的な組の一連の周波数を意味する。従って、



また 、



である。
【0051】
前記複数の副次的な組の副次的な組Aiそれぞれは、該複数の少なくとも一つの他の副次的な組Ai’と組み合わされる。
【0052】
2つの副次的な組AiとAi’の組み合わせは、第二の副次的な組の連続する2つの周波数の間における、少なくとも一つの第一の副次的な組の周波数の存在を意味する。
【0053】
より正確には、以下のような、副次的な組AiとAi’の組み合わせが存在する。



及び



また、



又は、




【実施例1】
【0054】
本発明の実施例1において、副次的な組それぞれは、前記複数の副次的な組の全ての副次的な組と組み合わされる。
【0055】
副次的な組それぞれは、摂動のシーケンスにより同一の方向に単調に伝播され、高い周波数から低い周波数へと向かうのが望ましい。
【0056】
また、前記複数の周波数の副次的な組は、単調に伝播される。単調な順とは、複数の周波数の副次的な組が、指示順位に従って、副次的な組から隣接した副次的な組へと伝播することを意味する。前記副次的な組は、各副次的な組の最高周波数の降順に従って順位付けされることが望ましい。
【0057】
一例として、図3A及び3Bで示されるように、走査される周波数の主たる組Aは2Hzから10kHzであり、12個の周波数を含む。従って、組Aは、A = {10kHz, 5kHz, 2kHz, 1kHz, 500Hz, 200Hz, 100Hz, 50Hz, 20Hz, 10Hz, 5Hz, 2Hz}である。
【0058】
3つの副次的な組A1,A2,A3は、周波数の三分の一のデシメーションによって主たる組Aから形成される。
A1 = {10kHz, 1kHz, 100Hz, 10Hz}
A2 = {5kHz, 500Hz, 50Hz, 5Hz}
A3 = {2kHz, 200Hz, 20Hz, 2Hz}
【0059】
本実施例によれば、周波数の副次的な組それぞれは、他の副次的な組の2つの連続する周波数の間に含まれる少なくとも一つの周波数を有する。従って、2つの隣接した副次的な組の間だけでなく、3つの副次的な組それぞれの間の組み合わせが存在する。
【0060】
従って、前述した先行技術の従来の解決策のように、主たる組AのN個の周波数を連続的に走査するように摂動のシーケンスを適用する代わりに、摂動のシーケンスは三つの副次的な組をターンバイターンしながら伝播する。
【0061】
摂動のシーケンスは、副次的な組A1の周波数、続いて副次的な組A2の周波数等を介して連続的に伝播することが望ましい。
【0062】
従って、前記副次的な組の組み合わせによって、本方法は、測定中にシステムが安定しているか否かを直ちに知ることを可能にする。
【0063】
つまり、燃料電池が不安定な場合、副次的な組Aiの適用での前記副次的な組の周波数に対するインピーダンスの実験ポイントは、先行する副次的な組Ai-1に対して計測されたインピーダンスに対応するポイントに連続して存在しない。
【0064】
例えば、図3A及び3Bで示すように、副次的な組A1を走査する摂動の適用は、検討周波数:Z(10kHz), Z(1kHz), Z(100Hz)…に対して、インピーダンスZ(A1)の値を得ることを可能にする。
【0065】
副次的な組A2の周波数に対するインピーダンスZ(A2)の値は、セルが測定期間を通じて安定している場合、これらZ(A1)の値に連続して位置するべきである。図3A(安定したセル)に示すように、周波数の副次的な組それぞれに対するインピーダンスの値は、所与の曲線(実線)に沿って連続して位置する。
【0066】
副次的な組A1とA2との間でセルが不安定になる場合、これら2つの副次的な組の範囲の間の重複領域において、Z(A1)とZ(A2)との間に不連続が出現する。図3Bはこの不連続を示している。Z(A2)の値は、Z(A1)の値(実線)と異なる曲線(破線)上に位置する。不連続は、副次的な組A2の最初に適用された周波数に対するZ(A2)の最初の値として現れる。
【0067】
検討中の重複領域における不連続は、容易に推定することが可能である。従って、第一の副次的な組A1の第一の周波数f1iは、2つの連続した周波数f2j及びf2j+1の間に位置する。従って第二の副次的な組A1とA2とは組み合わされる。
【0068】
次に、第二の副次的な組の2つの周波数に対応するインピーダンスZ(f2j)及びZ(f2j+1)から、第一の周波数Zint(f1i)のためのインピーダンスの値が算出される。この算出は、例えば線形補間、三次補間(三次スプラインによる)、又は多項補間により行われる。
【0069】
続いて、第一の周波数に対するインピーダンスの推定値Z(f1i)と補間により得られたインピーダンスの値Zint(f1i)との間の差異が算出される。
【0070】
最後に、算出された差異と、所定の閾値差異とが比較される。この差異が閾値差異を超える場合、それにより燃料電池の不安定性が推定される。
【0071】
従って、摂動のシーケンスは、測定期間を通じてシステムが安定しているか否かを直ちに知ることを可能にする。
【0072】
更に、また、ここでは各副次的な組の開始時において、高い周波数の要請は、測定中のいかなる急速な物理現象をも識別可能にする。
【0073】
勿論、この例は1つの例として提供されているにすぎない。副次的な組の数を減らしたり増やしたりすることは可能であり、従って各副次的な組において、周波数の数をそれぞれ減らしたり増やしたりすることもできる。
【0074】
例えば、400個の周波数を含む主たる組Aに対して、摂動のシーケンスは、それぞれ略20個の周波数を含む、周波数の副次的な組略20個を通じて伝播してもよい。
【実施例2】
【0075】
本発明の実施例2によれば、周波数の副次的な組Aiそれぞれは、隣接する副次的な組Ai-1及びAi+1とのみ組み合わされる。この相違を除いて、実施例2は依然として実施例1と同様である。
【0076】
一例として、次の主たる組A = {10kHz, 5kHz, 2kHz, 1kHz, 500Hz, 200Hz, 100Hz, 50Hz, 20Hz, 10Hz, 5Hz, 2Hz}に対して、副次的な組は、
A1 = {10kHz, 2kHz}
A2 = {5kHz, 500Hz}
A3 = {1kHz, 100Hz}
A4 = {200Hz, 20Hz}
A5 = {50Hz, 5Hz}
A6 = {10Hz, 2Hz}
であり得る。
【0077】
摂動のシーケンスは、本発明の実施例2の周波数の組み合わせの例を示す図4のように、副次的な組を、最大周波数の降順に従って、ターンバイターンしながら走査する。
【0078】
従って、摂動のシーケンスは、高い周波数から低い周波数へ向かって徐々に移動しながら、行ったりきたりする運動の連続を生じる。
【0079】
前述したように、セルが不安定の場合は、隣接する副次的な組の間の重複領域で、インピーダンスの値において不連続が現れる。
【0080】
この不連続は、例えば燃料電池の液漏れ又は膨れのような現れ始めた問題を診断し、燃料電池の制御コマンドにフィードバックすることに活用することが可能である。
【0081】
前述した種々の実施例のためには、各副次的な組Aiの周波数は、前記摂動のシーケンスにより、単調にではなくランダムに走査されてもよい。
【0082】
同様に、前記複数の周波数の副次的な組A1,…,Anは、該摂動のシーケンスにより、ランダムに伝播してもよい。
【0083】
組み合わせ分光法は、前述した実施例に関係なく、電池が安定している場合には、従来の分光法と同じ結果になるということに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気システムの特性化の方法であって、
シーケンスの摂動は、進路変更ごとに、主たる組(A)から生じる周波数の複数の副次的な組(A1,…,An)、同一の複数の副次的な組の、他の少なくとも一つと組み合わされた該複数の副次的な組それぞれを走査するように適用され、次のステップを含むことを特徴とする方法。
−入力信号を、該電気システムの分極点の周囲に正弦波電流又は電圧摂動のシーケンスを含み、各摂動は周波数の主たる組(A)に属する異なる周波数を有する該電気システムに適用するステップ、
−該適用された摂動それぞれに対する該入力信号に応答する、該電気システムの出力信号を計測するステップ、
−該適用された摂動と、該電気システムを特徴づけるインピーダンスのサイズ特性の該推定のセットとのそれぞれに対する該電気システムのインピーダンスのサイズ特性を推定するステップ。
【請求項2】
最初の副次的な組の少なくとも一つの周波数は、最初の副次的な組が組み合わされた第二の副次的な組の、2つの連続する周波数の間に位置することを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記複数の副次的な組それぞれは、同一の複数の他の副次的な組全てと組み合わされることを特徴とする、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項4】
前記摂動のシーケンスは、副次的な組(Ai)それぞれの周波数を単調に又はランダムに走査するように適用されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載された方法。
【請求項5】
前記摂動のシーケンスは、副次的な組(Ai)それぞれの周波数をランダムに走査するように適用されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載された方法。
【請求項6】
前記副次的な組が所定の順番に順位付けされ、前記摂動のシーケンスが、前記複数の各副次的な組(A1,…,An)を単調に走査するように適用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載された方法。
【請求項7】
前記副次的な組が所定の順番に順位付けされ、前記摂動のシーケンスが、前記複数の各副次的な組(A1,…,An)をランダムに走査するように適用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載された方法。
【請求項8】
本発明による方法は、以下のようなステップを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載された方法。
−一方では、複数の副次的な組のうち最初の副次的な組の最初の周波数に対するインピーダンスのサイズ特性の推定と、もう一方では、その間に最初の周波数が位置する、同じ複数の第二の副次的な組の、2つの連続した周波数に対する該サイズ特性の推定を、同一の最初の周波数に対して補間することによって得られる数値と、の間の差異を算出するステップ、
算出された差異が所定の閾値差異を超えた場合に、電気システムの不安定性を検出するステップ。
【請求項9】
前記電気システムは燃料電池であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載された方法。
【請求項10】
以下を含む電気システムの制御方法
−インピーダンスのサイズ特性の前記一連の推定により電気システムを特徴化するために、請求項1から9のいずれかに記載の特性化法を行い、
−該電気システムのインピーダンスのサイズ特性の該推定の少なくとも一つと、少なくとも一つの該サイズの基準値との間の差異を計測し、
−該計測された差異が所定の閾値差異を超えた場合には、該電気システムにコマンドを適用する。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−518797(P2012−518797A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551473(P2011−551473)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052175
【国際公開番号】WO2010/097354
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511205345)
【出願人】(506428713)アンスティテュ ナショナル ポリテクニーク ドゥ トゥールーズ (5)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)
【出願人】(511206445)
【Fターム(参考)】