説明

インフレーションフィルムの製造装置及びインフレーションフィルムの製造方法

【課題】極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを所望の大きさで製造することが可能なインフレーションフィルムの製造装置を提供する。
【解決手段】インフレーションフィルムの製造装置10は、環状ダイ12と、入口側フィルタ14と、出口側フィルタ16とを備える。環状ダイ12は、環状流路12cと、ガス導入流路12dと、ガス排出流路12eとを有する。環状流路12cは、その出口から円筒状の溶融樹脂R(バブルB)を排出する。ガス導入流路12dは、バブルB内にガスを導入するためのものである。ガス導入流路12dは、その出口が環状流路12cの出口の内側に位置しており、その入口が環状流路12cの出口の外側に位置している。出口側フィルタ16は、ガス導入流路12dの出口側に設けられており、ガス導入流路12dと連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の熱可塑性樹脂成型品、特に、インフレーションフィルムを成型するための製造装置及びインフレーションフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インフレーション成形により熱可塑性樹脂のインフレーションフィルムを製造する場合は、インフレーション成形用の環状ダイから溶融させた熱可塑性樹脂を上方に円筒状に排出させ、この円筒状の熱可塑性樹脂(バブル)内に空気等を吹き込んでバブルを膨張させると共に、外側から冷却用の空気をバブルに吹き付けてバブルを冷却する。そして、冷却により固化したバブルを少なくとも1対の安定板により偏平に折りたたんだ後、少なくとも1対の引取ロールで引き取り、更に巻取機で巻き取る。
【0003】
ここで、このようにして筒状体として成形された熱可塑性樹脂を、チリやホコリ等の微塵埃(パーティクル)の付着を忌避する電子部品、医療医薬品、食品等を包装するための包装袋として用いるためには、筒状体とされた熱可塑性樹脂の内面が清浄(クリーン)である必要がある。
【0004】
そのため、従来、フィルタを通した後の圧縮ガスを、環状ダイ及び筒状体とされた熱可塑性樹脂内に導入するようにしたインフレーションフィルムの製造装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
また、従来、環状ダイの環状流路から排出されることで筒状体とされた熱可塑性樹脂の内面及び外面にクリーンエアを吹付ける吹付部と、環状ダイの環状流路から排出されることで筒状体とされた熱可塑性樹脂の内面近傍及び外面近傍におけるガス等を吸引する吸引部とを備えるインフレーションフィルムの製造装置が知られている(例えば、下記特許文献2参照)
【特許文献1】特開2001−335042号公報
【特許文献2】特開2002−067146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたようなインフレーションフィルムの製造装置では、フィルタによって圧縮ガスを清浄(クリーン)にしても、そのガスが、環状ダイのガス流路を通ることでパーティクルによって再び汚染されてしまっていた。そのため、筒状体とされた熱可塑性樹脂(バブル)の内面が十分にクリーンであるとはいえなかった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載されたようなインフレーションフィルムの製造装置では、吹付部及び吸引部を設ける必要があったため、吹付部及び吸引部の大きさに応じて、製造されるインフレーションフィルムの大きさが制限されてしまっていた。そのため、インフレーションフィルムの大きさにバリエーションを持たせようとすると多数の装置が必要となり、所望の大きさのインフレーションフィルムを製造することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを所望の大きさで製造することが可能なインフレーションフィルムの製造装置及びインフレーションフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るインフレーションフィルムの製造装置は、溶融した熱可塑性樹脂を筒状に排出する環状流路、及び、環状流路における熱可塑性樹脂の排出側で且つ環状流路よりも内側に出口が位置しており、環状流路から排出されることにより筒状体とされた熱可塑性樹脂内にガスを導入するためのガス導入流路を有する環状ダイと、ガス導入流路の出口側に設けられ、ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを備える。
【0010】
本発明に係るインフレーションフィルムの製造装置では、ガス導入流路の出口側に設けられ、ガス導入流路と連通する出口側フィルタを備えている。そのため、環状ダイが有するガス導入流路内に存在するパーティクルによって熱可塑性樹脂(バブル)内に導入されるガスが汚染されたとしても、出口側フィルタによって当該ガスが清浄(クリーン)になる。その結果、極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。また、本発明に係るインフレーションフィルムの製造装置では、インフレーションフィルムの清浄度を高めるために、上記特許文献2に記載されたインフレーションフィルムの製造装置のような吹付部及び吸引部を必要としていない。そのため、インフレーションフィルムの大きさが制限されることがないので、インフレーションフィルムを所望の大きさで形成することが可能となる。
【0011】
好ましくは、環状ダイは、環状流路における熱可塑性樹脂の排出側で且つ環状流路よりも内側に入口が位置しており、環状流路から排出されることにより筒状体とされた熱可塑性樹脂内のガスを排出するためのガス排出流路を更に有する。このようにすると、筒状体とされた熱可塑性樹脂(バブル)内において清浄(クリーン)なガスが循環するようになるので、より清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0012】
好ましくは、ガス導入流路の入口側に設けられ、ガス導入流路と連通する入口側フィルタを更に備える。このようにすると、筒状体とされた熱可塑性樹脂(バブル)内に導入されるガスが、入口側フィルタ及び出口側フィルタの2つのフィルタを通過することとなるので、より清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0013】
一方、本発明に係るインフレーションフィルムの製造方法は、環状ダイの環状流路から、溶融した熱可塑性樹脂を筒状に排出する熱可塑性樹脂排出工程と、環状流路から排出されることにより筒状体とされた熱可塑性樹脂内に、環状ダイのガス導入流路と、ガス導入流路の出口側に設けられ、ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを通じてガスを導入するガス導入工程とを備える。
【0014】
本発明に係るインフレーションフィルムの製造方法では、ガス導入工程において、環状ダイのガス導入流路と、ガス導入流路の出口側に設けられ、ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを通じて、筒状体とされた熱可塑性樹脂内にガスを導入している。そのため、環状ダイが有するガス導入流路内に存在するパーティクルによって熱可塑性樹脂(バブル)内に導入されるガスが汚染されたとしても、出口側フィルタによって当該ガスが清浄(クリーン)になる。その結果、極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。また、本発明に係るインフレーションフィルムの製造装置では、インフレーションフィルムの清浄度を高めるために、上記特許文献2に記載されたインフレーションフィルムの製造装置のような吹付部及び吸引部を必要としていない。そのため、インフレーションフィルムの大きさが制限されることがないので、インフレーションフィルムを所望の大きさで形成することが可能となる。
【0015】
好ましくは、環状流路から排出されることにより筒状体とされた熱可塑性樹脂内から、ガス排出流路を通じてガスを排出するガス排出工程を更に備える。このようにすると、筒状体とされた熱可塑性樹脂(バブル)内において清浄(クリーン)なガスが循環するようになるので、より清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0016】
好ましくは、ガス導入工程において、環状流路から排出されることにより筒状体とされた熱可塑性樹脂内に、ガス導入流路の入口側に設けられ、ガス導入流路と連通する入口側フィルタと、環状ダイのガス導入流路と、ガス導入流路の出口側に設けられ、ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを通じてガスを導入する。このようにすると、筒状体とされた熱可塑性樹脂(バブル)内に導入されるガスが、入口側フィルタ及び出口側フィルタの2つのフィルタを通過することとなるので、より清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを所望の大きさで製造することが可能なインフレーションフィルムの製造装置及びインフレーションフィルムの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るインフレーションフィルムの製造装置10の好適な実施形態について、図1を参照して説明する。なお、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図面の上方向及び下方向に対応したものである。
【0019】
インフレーションフィルムの製造装置10は、環状ダイ12と、入口側フィルタ14と、出口側フィルタ16、配管18,20,22とを備える。
【0020】
環状ダイ12は、開口部12aと、複数(例えば6つ)の螺旋状流路12bと、環状流路12cとを有している。開口部12aは、環状ダイ12の下部に配置されており、図示しない押出機と接続されている。ここで、押出機は、投入された熱可塑性樹脂を加熱して溶融すると共に、その溶融樹脂Rをスクリュー(図示せず)によって押し出すものである。
【0021】
複数の螺旋状流路12bは、いずれも開口部12aと連通しており、上方に向けて螺旋状に延びている。環状流路12cは、その流路を構成している空間が円筒状を呈している。環状流路12cは、複数の螺旋状流路12bと連通している。
【0022】
そのため、押出機から押し出された溶融樹脂Rは、各螺旋状流路12bをそれぞれ上方に向けて流動し、環状流路12cの下端において合流した後、環状流路12cを上方に向けて流動する。そして、溶融樹脂Rが環状流路12cの上端(出口)から筒状に排出されると、排出された円筒状の熱可塑性樹脂(バブル)Bが図示しない巻取機に巻き取られ、インフレーションフィルムとして成形されることとなる。
【0023】
また、環状ダイ12は、ガス導入流路12dと、ガス排出流路12eとを有している。ガス導入流路12dは、環状ダイ12の下部側面に入口が位置しており、環状ダイ12の上面中央部分に出口が位置している。ガス導入流路12dは、入口から環状ダイ12の中央に向けて水平に延びた後、出口に向けて上方に延びている。そのため、ガス導入流路12dは、環状流路12cの出口よりも内側に出口が位置しており、環状流路12cの出口よりもの外側に入口が位置している。
【0024】
ガス排出流路12eは、環状ダイ12の上面中央部分に入口が位置しており、環状ダイ12の下部側面に出口が位置している。ガス排出流路12eは、入口から下方に向けて延びた後、入口に向けて水平に延びている。そのため、ガス排出流路12eは、環状流路12cの出口よりも内側に入口が位置しており、環状流路12cの出口よりも外側に出口が位置している。
【0025】
入口側フィルタ14は、配管18と連通するように配管18に接続されている。この配管18の一端は、ガス導入流路12dの入口と接続されている。そのため、入口側フィルタ14は、ガス導入流路12dの入口側に設けられており、ガス導入流路12dと連通している。なお、配管18の他端は、空気等のガスをガス導入流路12dに供給するボンベ等のガス供給手段(図示せず)と接続されている。
【0026】
出口側フィルタ16は、配管20と連通するように配管20に接続されている。この配管20の一端は、ガス導入流路12dの出口と接続されている。そのため、出口側フィルタ16は、ガス導入流路12dの出口側に設けられており、ガス導入流路12dと連通している。従って、ガス供給手段によって供給されるガスは、入口側フィルタ14、ガス導入流路12d及び出口側フィルタ16を通って、バブルB内に導入されることとなる。
【0027】
出口側フィルタ16は、高温(例えば150℃〜160℃程度)となる環状ダイ12(環状流路12c)の出口近傍に設けられるため、耐熱性を有していると好ましい。
【0028】
ここで、入口側フィルタ14及び出口側フィルタ16内には、例えば、SUSによって構成されたメッシュ状部によって保持されたヘパフィルタがそれぞれ配設されている。これにより、入口側フィルタ14及び出口側フィルタ16は、粒径が例えば0.3μm程度以上のパーティクル(粒子)を捕集することができるようになっている。
【0029】
配管22は、その一端がガス排出流路12eの出口と接続されており、その他端がポンプ等の吸引手段(図示せず)と接続されている。そのため、バブルB内のガスは、ガス排出流路12e及び配管22を通って、吸引手段によりバブルB内から排出されることとなる。
【0030】
続いて、以上の構成を有するインフレーションフィルムの製造装置10を用いてインフレーションフィルムを製造する方法について説明する。
【0031】
本実施形態に係る成形装置においては、種々の熱可塑性樹脂をインフレーション成形することができ、例えば、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0032】
まず、上述のような熱可塑性樹脂を押出機(図示せず)で溶融し環状ダイ12の環状流路12cの出口から筒状に押し出してバブルBを形成する。このとき、ガス供給手段(図示せず)を駆動して、入口側フィルタ14、ガス導入流路12d及び出口側フィルタ16を通ったガス(空気)をバブルB内に吹込み、バブルBを膨張させる。
【0033】
そして、吸引手段(図示せず)を駆動し、バブルB内のガスを、ガス排出流路12eを通じて吸引し、環状ダイ12の外に排出する。ここで、ガス供給手段によってバブルB内に導入するガスの量と、吸引手段によってバブルB内から吸引するガスの量とが略同一となるように、ガス供給手段及び吸引手段を制御すると好ましい。このようにすると、バブルB内のガスの量を一定に保つことができる。
【0034】
以上のような本実施形態においては、インフレーションフィルムの製造装置10が、ガス導入流路12dの出口側に設けられ、ガス導入流路12dと連通する出口側フィルタ16を備えている。そのため、環状ダイ12が有するガス導入流路12d内に存在するパーティクルによってバブルB内に導入されるガスが汚染されたとしても、出口側フィルタ16によって当該ガスが清浄(クリーン)になる。その結果、極めて清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態においては、インフレーションフィルムの清浄度を高めるために、従来のインフレーションフィルムの製造装置のような吹付部及び吸引部を必要としていない。そのため、インフレーションフィルムの大きさが制限されることがないので、インフレーションフィルムを所望の大きさで形成することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態においては、環状ダイ12がガス排出流路12eを有し、ガス排出流路12eの入口が環状流路12cの出口側で且つ環状流路12cの出口の内側に位置しており、ガス排出流路12eの出口が環状流路12c出口の外側に位置している。そのため、バブルB内において清浄(クリーン)なガスが循環するようになるので、より清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態においては、インフレーションフィルムの製造装置10が、ガス導入流路12dの入口側に設けられ、ガス導入流路12dと連通する入口側フィルタ14を更に備えている。そのため、バブルB内に導入されるガスが、入口側フィルタ14及び出口側フィルタ16の2つのフィルタを通過することとなるので、より一層清浄度が高いインフレーションフィルムを製造することが可能となる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、インフレーションフィルムの製造装置10は、入口側フィルタ14を備えていなくてもよい。
【0039】
また、環状ダイ12は、ガス排出流路12eを有していなくてもよい。このとき、インフレーションフィルムを製造する際には、ガス供給手段によって所定量のガスをバブルB内に導入してバブルBを膨張させた後、ガス供給手段の駆動を停止することで、ガス供給手段によるバブルB内へのガスの導入を停止するようにする。
【0040】
また、本実施形態では出口側フィルタ16が耐熱性を有していたが、入口側フィルタ14については耐熱性の有無を特に問わない。
【0041】
また、本実施形態では上方向(反重力方向)へフィルムを押出成形する場合についてのみ説明したが、本発明に係る装置を用いて下方向(重力方向)へフィルムを押出成形してもよい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例1,2及び比較例1,2並びに図1及び図2に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
本実施形態に係るインフレーションフィルムの製造装置10、すなわち、環状ダイ12と、入口側フィルタ14と、出口側フィルタ16とを備えるインフレーションフィルムの製造装置10を用意した。そして、ガス供給手段(図示せず)を駆動して、入口側フィルタ14、ガス導入流路12d及び出口側フィルタ16にガスを供給した。このとき、配管20の先端に取り付けられたパーティクルカウンタによって、配管20から吹き出されるガスに含まれる、粒径が0.3μm以上のパーティクルの数を測定した。
【0044】
(実施例2)
入口側フィルタ14を備えていないこと以外は実施例1と同様にしてパーティクルの数を測定した。
【0045】
(比較例1)
出口側フィルタ16を備えていないこと以外は実施例1と同様にしてパーティクルの数を測定した。
【0046】
(比較例2)
入口側フィルタ14及び出口側フィルタ16を備えていないこと以外は実施例1と同様にしてパーティクルの数を測定した。
【0047】
(測定結果)
実施例1においてパーティクルの数を3回測定したところ、いずれの回の測定でもパーティクルの数は0個であった。そのため、実施例1においては、平均したときのパーティクルの数も0個であった。
【0048】
実施例2においてパーティクルの数を3回測定したところ、1回目の測定では2個であり、2回目及び3回目の測定では共に0個であった。そのため、実施例2においては、平均したときのパーティクルの数は1個であった(小数第1位を繰り上げている)。
【0049】
比較例1においてパーティクルの数を3回測定したところ、1回目の測定では10個であり、2回目の測定では5個であり、3回目の測定では47個であった。そのため、比較例1においては、平均したときのパーティクルの数は21個であった(小数第1位を繰り上げている)。
【0050】
比較例2においてパーティクルの数を3回測定したところ、1回目の測定では32872個であり、2回目の測定では22791個であり、3回目の測定では33487個であった。そのため、比較例2においては、平均したときのパーティクルの数は29717個であった(小数第1位を繰り上げている)。
【0051】
以上より、インフレーションフィルムの製造装置10が出口側フィルタ16を備えることにより、バブルB内に導入されるガスの清浄度を極めて高くできることが確認された。また、インフレーションフィルムの製造装置10が、出口側フィルタ16に加え入口側フィルタ14を備えることで、バブルB内に導入されるガスの清浄度を一層高くできることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本実施形態に係るインフレーションフィルムの製造装置を示す断面図である。
【図2】図2は、実施例1,2及び比較例1,2の各実施条件及びそれらの測定結果を示す表である。
【符号の説明】
【0053】
10…インフレーションフィルムの製造装置、12…環状ダイ、12c…環状流路、12d…ガス導入流路、12e…ガス排出流路、14…入口側フィルタ、16…出口側フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融した熱可塑性樹脂を筒状に排出する環状流路、及び、前記環状流路における前記熱可塑性樹脂の排出側で且つ前記環状流路よりも内側に出口が位置していると共に前記環状流路よりも外側に入口が位置しており、前記環状流路から排出されることにより筒状体とされた前記熱可塑性樹脂内にガスを導入するためのガス導入流路を有する環状ダイと、
前記ガス導入流路の前記出口側に設けられ、前記ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを備えるインフレーションフィルムの製造装置。
【請求項2】
前記環状ダイは、前記環状流路における前記熱可塑性樹脂の排出側で且つ前記環状流路よりも内側に入口が位置していると共に前記環状流路よりも外側に出口が位置しており、前記環状流路から排出されることにより筒状体とされた前記熱可塑性樹脂内のガスを排出するためのガス排出流路を更に有する請求項1に記載されたインフレーションフィルムの製造装置。
【請求項3】
前記ガス導入流路の入口側に設けられ、前記ガス導入流路と連通する入口側フィルタを更に備える請求項1又は2に記載されたインフレーションフィルムの製造装置。
【請求項4】
環状ダイの環状流路から、溶融した熱可塑性樹脂を筒状に排出する熱可塑性樹脂排出工程と、
前記環状流路から排出されることにより筒状体とされた前記熱可塑性樹脂内に、前記環状ダイのガス導入流路と、前記ガス導入流路の出口側に設けられ、前記ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを通じてガスを導入するガス導入工程とを備えるインフレーションフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記環状流路から排出されることにより筒状体とされた前記熱可塑性樹脂内から、ガス排出流路を通じてガスを前記環状ダイの外に排出するガス排出工程を更に備える請求項4に記載されたインフレーションフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記ガス導入工程において、前記環状流路から排出されることにより筒状体とされた前記熱可塑性樹脂内に、前記ガス導入流路の入口側に設けられ、前記ガス導入流路と連通する入口側フィルタと、前記環状ダイのガス導入流路と、前記ガス導入流路の出口側に設けられ、前記ガス導入流路と連通する出口側フィルタとを通じてガスを導入する請求項4又は5に記載されたインフレーションフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−292099(P2009−292099A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149619(P2008−149619)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】