説明

インペラホイール

【課題】
【解決手段】本発明は、液体を圧送するポンプ内にて使用される遠心型又は半軸型のインペラホイール12であって、インペラは、1つ又は幾つかのベーン18を配置され、ベーンは各側部にてカバー円板12、16に取り付けられ、いわゆるクローズドインペラホイールを形成する上記インペラホイールにおいて、ベーンの前縁40は、インペラのカバー円板16の1つの入口開口部42にて後方に掃引されることを特徴とする、インペラホイール12に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプインペラ、より正確には、汚染物質を保持する流体を圧送する遠心型又は半軸(half axial)ポンプのポンプインペラに関する。
【背景技術】
【0002】
文献には、上述したこの目的のための多数の型式のポンプ及びポンプインペラが存在するが、それらの全てには、ある不利益な点がある。特に、これは、摩耗、詰まり及び低効率の問題点に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
汚水は多数の異なる型式の汚染物質を保持しており、その量及び組成は、季節及び水が排出される区域の型式に依存する。都市において、プラスチック材料、衛生物品、繊維等が一般的である一方、工業地区では、摩耗粒子を発生させるであろう。経験上、最も問題になるのは、ベーンの前縁に付着し、インペラハブの回りに巻き付くぼろ屑及び同様のものであることが分かっている。かかる状況の結果、頻繁な間隔にて修理が必要となり、従って効率が低下する。
【0004】
農業及びパルプ産業において、藁、草、葉及びその他の型式の有機材料を取り扱う異なる型式の特殊なポンプが使用されている。この目的のため、ベーンの前縁は後方に掃引し、汚染物質が端縁に付着せずに周縁に向けて外方に供給されるようにする。
【0005】
材料を切断し且つ流れをより容易にするため、異なる型式の分離手段がしばしば使用される。その例は、SE−435 952号、SE−375 831号及び米国特許明細書4,347,035号に示されている。
【0006】
文献において、特に、オープンインペラホイールの前縁の掃引に関して、ポンプインペラの設計が極めて大まかに記載されている。オープンインペラホイールに対する前縁の掃引を規定する試みは、例えば、欧州特許明細書0916851号及び欧州特許明細書0916852号に記載されている。
【0007】
例えば、鉱山にて、高揚程が要求される圧送の間、クローズドポンプインペラがしばしば使用される。すなわち、これら型式のインペラは、オープン型インペラと比較してポンプにおける軸方向荷重を減少させるから、上側円板及び下側円板という2つのカバー円板と、中間ベーンとを有するかかるポンプが使用されている。他方、クローズドインペラは、貫通部が小さく、このことは、詰まる危険性が大きいことを意味する。
【0008】
クローズドインペラホイールに関して、これらインペラホイールは、全体として、流れ方向に見たとき、ほぼ直線状であるよう中央入口に配置された前縁を有する設計とされている。使用中、特に、液体がかなり多量の磨耗性汚染物質を保持するとき、ベーンの前縁は顕著に摩耗することが判明している。更に、ぼろ屑、プラスチック袋及びその他の細長い物体のような汚染物質が前縁に付着する危険性があり、これによりポンプの掃除が必要となる。
【0009】
本発明の目的は、上述した問題点、特に、クローズドインペラホイールと関係した問題点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴である、本発明の主形態に従って解決される。本発明の好ましい実施の形態は、独立請求項を形成する。
本発明の主形態に従い、本発明は、液体を圧送するポンプ内にて使用される遠心型又は半軸型のインペラホイールであって、インペラは、1つ又は幾つかのベーンを配置され、ベーンは各側部にてカバー円板に取り付けられ、いわゆるクローズドインペラホイールを形成する上記インペラホイールにおいて、ベーンの前縁はインペラのカバー円板の1つの入口開口部にて後方に掃引(sweep)される上記のインペラホイールであることを特徴とする。
【0011】
本発明の更なる形態に従い、前縁はポンプの中央入口開口部内に配置された切断手段と協働することを特徴とする。
好ましくは、前縁は、入口開口部から多少外方に突き出すようにし、また、切断手段は、ポンプの中央入口開口部と、インペラの前縁との間の空隙の少なくとも1つの狭小部分を構成し、これにより作動中、前縁がこれらの部分を掃引するとき、その間にて切断動作が実現されるようにする。
【0012】
ベーンの前縁が顕著に後方に掃引されるよう該前縁を設計することにより、これら端縁の摩耗は劇的に減少することが判明した。この設計は、材料が端縁に付着する危険性も減少させることになる。かかる材料は、周縁に向けて供給される。
【0013】
それでもインペラの入口開口部にて端縁に付着し勝ちとなる材料は、切断手段により切断される。1つの好ましい実施の形態において、ベーンの前縁は、ポンプハウジングの入口開口部の2つの狭小な部分と協働する。
【0014】
ポンプの機能及び材料を周縁に向けて輸送することに関して優れた性能を得るため、掃引角度αは40ないし60°の範囲にあり、前縁の掃引は、全体として対数ら旋の曲率に従うようにすることができる。
【0015】
全てのインペラホイールにて、改良された性能及び摩耗抵抗性が得られ、メンテナンス及び修理の間の作動サイクルが長くなる。
本発明による上記及びその他の形態及び有利な効果は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【0016】
本発明の以下の詳細な説明において、添付図面に関して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、ポンプを駆動する電気モータ(図示せず)と接続された駆動軸10を備えるポンプ内に取り付けられたクローズド型インペラホイールが示されている。軸の下端には、上側カバー円板14と、下側カバー円板16と、ベーン18と、後側ベーン19とを備える、ポンプインペラ12が取り付けられている。上述した構成要素は、底部壁22と、入口24と、出口26とを有するポンプハウジング20内に取り付けられている。ポンプインペラ12は、次のように取り付けられる、すなわち、ポンプハウジング内にて下側カバー円板16の周面とポンプハウジング20の内側壁との間に空隙28があり、また、下側円板と底部壁との間に空間29があり、また、下側カバー円板16の下面と底部壁22の上面との間に空隙30があるように取り付ける。
【0018】
遠心型ポンプの原理に従い、液体は、入口24を通って軸方向に吸引され、また、流れ矢印A、B、Cに従い、出口26を通ってポンプから出る。
本発明に従い、ベーン18は、前縁40が回転方向Rに対してインペラホイールの入口開口部42にて顕著に後方に掃引されるような設計とされている。掃引角度は、ハブから且つ外方に向けて増大させることができる。前縁の掃引は、対数ら旋により規定することができ、ここで、掃引角度αは、βが対数ら旋の角度であるとき、π/2−βである。好ましくは、掃引角度は40ないし60°の範囲にあるものとする。
【0019】
インペラの入口開口部にて、前縁は、インペラの回転軸線10に対し垂直な平面内に全体として配置される。この設計の有利な効果は、汚染物質は端縁に付着せずに周縁に向けて摺動することが確実とされる点である。インペラは、従来の設計ではなくこの形態を有するとき、前縁の摩耗が減少することが更に判明した。
【0020】
更に、前縁は、インペラの中央開口部から多少外方に突き出す、図1参照。下側カバー円板16の底面を超えて突き出すベーンの端縁部分44は、底部板22に配置されたハウジングの静止入口24の端縁部分46と協働するよう配置することができる。このように、円形の入口は、2つの対向して配置された直線状部分50を有するように配置され、これにより、ベーンと入口端縁部分との間の空隙は極めて小さくなる。ベーンの前縁に付着したぼろ屑、プラスチック袋及び同様のもののような細長い汚染物質はここで切断されよう。
【0021】
全体として、掃引され且つ多少突き出すと共に、底部板の開口部と協働するようにした前縁の設計は、汚染物質の付着の危険性を減少させ且つ、前縁の摩耗を減少させることになる。
【0022】
上述し且つ図面に示した実施の形態は、本発明の非限定的な一例として見なすべきであり、また、特許請求の範囲にて改変可能であることも理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に従ったポンプの軸方向断面図である。
【図2】2aは、本発明を構成するインペラホイールの上方から見た斜視図である。 2bは、図2aに相応する下方から見た図である。
【図3】図2のインペラホイールの下方から見た図である。
【図4】ポンプ内に取り付けられ且つ図1によるインペラホイールと協働する底部板の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を圧送するポンプ内にて使用される遠心型又は半軸型のインペラホイール(12)であって、インペラは、1つ又は幾つかのベーン(18)を配置され、ベーンは各側部にてカバー円板(14、16)に取り付けられていわゆるクローズドインペラホイールを形成する前記インペラホイール(12)において、ベーンの前縁(40)は、回転方向(R)に対して、インペラのカバー円板(16)の1つの入口開口部(42)にて後方に掃引され、前記前縁(40)は、入口開口部(42)にてインペラ(12)の回転軸線(10)に対して垂直な平面内に全体として配置されることを特徴とする、インペラホイール。
【請求項2】
請求項1に記載のインペラホイールにおいて、前縁(44)は、入口開口部(42)から多少外方に突き出し、ポンプの中央入口開口部内に配置された切断手段(50)と共に配置され且つ前記切断手段と協働することができる、インペラホイール。
【請求項3】
請求項2に記載のインペラホイールにおいて、切断手段は、ポンプの中央入口開口部と、インペラの前縁(40)との間の空隙の少なくとも1つの狭小部分を構成する、インペラホイール。
【請求項4】
請求項1ないし3何れか1つの項に記載のインペラホイールにおいて、前縁(40)は、全体として対数ら旋に相応して掃引される、インペラホイール。
【請求項5】
請求項4に記載のインペラホイールにおいて、前縁(40)の掃引角度(α)は、βが.対数ら旋の角度であるとして、π/2−βである、インペラホイール。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つの項に記載のインペラホイールにおいて、前縁(40)の掃引角度(α)は、40ないし60°の範囲にある、インペラホイール。
【請求項7】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載のインペラホイールを備えるポンプ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−520889(P2008−520889A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541908(P2007−541908)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055726
【国際公開番号】WO2006/053831
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(501274528)アイティーティー・マニュファクチュアリング・エンタープライゼズ・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】