説明

ウイルス感染を処置するためのdsRNA

本発明はホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(PI4K)、特にヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)またはヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)の遺伝子発現を標的とする二本鎖リボ核酸(dsRNA)ならびにプラス鎖RNAウイルス、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)による感染を処置するためのその使用に関する。それぞれのdsRNAは30ヌクレオチド長未満、一般的に19−25ヌクレオチド長であり、そして実質的にPIK4CBまたはPIK4CA標的mRNAの少なくとも一部に相補的である核酸配列を有するアンチセンス鎖を含む。複数のこのようなdsRNAは治療利益を提供するために使用され得る。本発明は、また、dsRNAを薬学的に許容される担体と共に含み、そして送達モダリティー、例えば、完全にカプセル化されたリポソームまたは脂質複合体を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明はヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、特にヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB;NM_002651)および/またはヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼアルファポリペプチド(PIK4CA;NM_002650)を標的とする二本鎖リボ核酸(dsRNA)ならびにプラス鎖RNAウイルス、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染が介在する病理過程を処置するためのその使用(RNA干渉を介する)に関する。
【背景技術】
【0002】
RNA依存性RNAポリメラーゼプラス鎖RNAウイルスは、多数の異なるサブファミリーからの大型スーパーファミリーのウイルスを構成する。これらのウイルスは、軽度の表現型から重度の衰弱性疾患の範囲である病状を引き起こす植物および動物分野両方にわたる。プラス鎖RNAウイルスポリメラーゼスーパーグループの組成物は下記のとおりである。I.ピコルナ−(HAV、ポリオ、コクサッキー)、ノダ−、コモ−、ネポ−、ポティ−、ビモ−、ソベモウイルスおよびルテオウイルス(黄化、黄萎および葉巻ウイルス)。II.カーモ−、トンブス−、ダイアンソウイルス、ペスチウイルス、トガ−、エコー−、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、フラビウイルス。III.トバモ−、トブラ−、ホルデイ−、トリコーナ−、アルファ、ルビ−、フロウイルス、E型肝炎ウイルス、ポテクス−、カーラ−、ティモウイルスおよびリンゴクロロティックリーフスポットウイルス。プラス鎖RNAウイルスのゲノムはこの種間のウイルスに保存されているモチーフを含むウイルスタンパク質のみであるRNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。この種のウイルスが系統発生的に重要な多様性を含むため、この保存は重要であり、ウイルスが細胞に感染し、安定な複製を維持する多数の方法が予測される。多数の差異に加えて、この種の全てのウイルスはRNA依存性プラス鎖RNA転写の基本的な一工程に依存している。この段階がウイルスライフサイクルに必須であるため、このウイルスはRNA依存性RNAポリメラーゼ活性を開始および維持するために多数の宿主タンパク質を使用する。宿主因子の相互作用なしで、該ウイルスは生存することはできない。したがって、ウイルス感染を抑制するための可能な治療的介入はウイルス宿主相互作用をブロックすることである。ウイルスにとって必須であるが宿主にとって必須でない宿主因子を扱うことができるとき、ウイルス感染をブロックする能力を得ることができる。標的宿主タンパク質は、HIV、HCV、天然痘ウイルスなどのウイルス感染および複製を妨害するために有効なアプローチであることがすでに証明されている。
【0003】
プラス鎖RNAウイルスの重要な点はヒトの健康および生存への影響である。いくつかのプラス鎖RNAウイルスはヒトに感染し、多くの場合、衰弱性疾患および/または死亡となる。ヒトの健康に特に重荷であるいくつかのウイルスはデング熱ウイルス(出血熱)、HCV(慢性肝臓疾患、肝不全、線維症および癌)およびHEV(劇症肝不全)である。これらのウイルスにより引き起こされる肝臓および血液疾患は世界中で数百万人もの死を引き起こし、肝臓関連の病気の医療産業に数十億ドルかけられている。ウイルス感染を抑制するための治療を発見する重要性は顕著であり、世界中のヒトの健康を改善する。
【0004】
HCVおよび他のプラス鎖RNAウイルス(上記)により引き起こされる感染の有効な処置に対する満たされていない要求それ自体が残っている。
【0005】
本明細書は、また、二本鎖RNA分子(dsRNA)に関する。dsRNAはRNA干渉(RNAi)として知られている高度に保存された調節機構における遺伝子発現をブロックすることが示されている。WO99/32619(Fire et al.)はシー・エレガンスの遺伝子発現を抑制するための少なくとも25ヌクレオチド長のdsRNAの使用を記載している。dsRNAは、また、植物(例えば、WO99/53050、Waterhouse et al.;およびWO99/61631、Heifetz et al., 参照)、ショウジョウバエ(例えば、Yang, D., et al., Curr. Biol. (2000) 10:1191-1200、参照)および哺乳動物(WO00/44895、Limmer;およびDE10100586.5、Kreutzer et al., 参照)を含む他の生物の標的RNAを分解することが示されている。この自然メカニズムが、現在、遺伝子の異常なまたは不要な調節により引き起こされる障害を処置するための新規クラスの医薬の開発の焦点となっている。
【0006】
PCT出願WO2003016572、WO2003070750およびWO2005028650はHCV感染により引き起こされる疾患を処置するための核酸ベースRNAi医薬を開発するためのこれまでの試みを記載している。PCT出願WO2006074346はRNAi医薬を使用してRSV感染を処置するためのこれまでの試みを記載している。
【0007】
RNAiの分野における飛躍的な進歩およびウイルス感染が介在する病理過程の処置における進歩にもかかわらず、ウイルス感染の進行を抑制することができ、ウイルス感染と関連する疾患を処置することができる薬物の必要性が残っている。本発明はこのニーズに合い、さらに他の利益を提供する化合物、組成物および方法を記載している。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明はヒト宿主因子ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB;NM_002651)、および/または細胞のホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA;NM_002650)の濃度または活性を減少することにより、プラス鎖RNAウイルス(例えば、HCV、HPV、デング熱ウイルスおよびポリオウイルス)(このようなウイルスは、例えば、肝臓で複製する)による感染を処置するための組成物および方法を提供する。
【0009】
プラス鎖RNAウイルスの増殖がそれらの増殖のために必要であるヒト宿主細胞遺伝子PIK4CBおよび/またはPIK4CAの発現をサイレンス化するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)を使用することにより抑制され得ることを本出願は記載している。
【0010】
本発明は特に:
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(PI4K)濃度または活性の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)であって、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPI4KをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PI4K遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PI4K遺伝子の発現を阻害する、dsRNAを含む複数の態様を提供する。このようなdsRNAは化学修飾を有し得、他の部分に結合し得る。加えて、このようなdsRNAは医薬組成物を提供し得る。
【0011】
具体化された方法は、細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)遺伝子またはホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CA)遺伝子の発現を阻害するための方法であって:
(a)細胞に二本鎖リボ核酸(dsRNA)を導入し、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CBまたはPIK4CAをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満である;そして、
(b)工程(a)で製造される細胞をPIK4CB遺伝子(または選択されるときPIK4CA)のmRNA転写の分解を達するために十分な時間維持し、それにより細胞におけるPIK4CB(または選択されるときPIK4CA)の発現または活性を抑制する、
ことを含む方法である。
【0012】
あるいは、本発明は本発明のdsRNAを処置を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程を処置するための方法を包含する。プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択され得る。
【0013】
別の態様は細胞におけるPIK4CBまたはPIK4CAの発現を阻害するためのベクター;およびこのようなベクターを含む細胞を含む。
【0014】
別の態様は治療有効量の本発明のdsRNAを含む医薬組成物を処置を必要とする患者に投与することを含むHCV感染を処置するための方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】HCV構築物の構造。A.完全なHCVゲノム。B.クローンA(サブゲノムレプリコン)細胞のために使用されるサブゲノムHCVレプリコン。構造タンパク質は5’UTRの下流をネオマイシン耐性遺伝子およびホタルルシフェラーゼレポーターで置換されている。C.クローンAr(サブゲノムレプリコンを欠く細胞)細胞のために使用されるHCVタンパク質を除去したレポーター構築物。
【図2】siRNAヒットの表現型確認。再分析された大規模キノームsiRNAスクリーンからのヒット。A.個々の二本鎖PIK4CA1−PIK4CA4(列1−4)、PIK4CA Smart Pool(列5)、個々の二本鎖PIK4CB1−PIK4CB4(列6−9)またはPIK4CB Smart Pool(列10)のdsRNA試験結果。結果はGAPDH(対照;列11)と比較して測定し、アッセイはクローンA細胞を使用してウェルあたり25nMのdsRNAを使用して実施する;Bright−Glo活性はトランスフェクション72時間後に測定する。GAPDHを標的とするdsRNA(列11)は陰性対照として、pGL2を標的とするdsRNA(列12)は陽性対照として使用した。
【図3】PIK4CAおよびPIK4CBのRTPCR。Huh7レプリコン細胞は72時間でsiRNAでトランスフェクトされ、mRNAを単離し、RTPCRをTaqmanにより分析した。結果はGAPDHトランスフェクト細胞に対して標準化した。A.PIK4CAsiRNAのトランスフェクション、PIK4CAプライマーを使用するTaq man RTPCR。B.PIK4CAsiRNAのトランスフェクション、PIK4CBプライマーを使用するTaq man RTPCR。C.PIK4CBsiRNAのトランスフェクション、PIK4CBプライマーを使用するTaq manRTPCR。D.PIK4CBsiRNAのトランスフェクション、PIK4CAプライマーを使用するTaq man RTPCR。GOI=興味ある遺伝子。PIK4CAsp=PIK4CA Smart Pool;PIK4CBsp=PIK4CB Smart Pool。
【図4】A)PIK4CAを標的とする示されているsiRNA(25nM)による処理後のPIK4CA(明色の棒)またはPIK4CB(暗色の棒)のmRNA発現。B)PIK4CBを標的とする示されているsiRNA(25nM)による処理後のPIK4CA(明色の棒)またはPIK4CB(暗色の棒)のmRNA発現。
【図5】PI4KAsiRNA(列1−列3は表2;PI4KA1;PIK4A2およびPIK4A3各々に対応する);またはPI4KBsiRNA(列4−列6は表1;PI4KB1;PIK4B2およびPIK4B3各々に対応する)の処置後のPI4KB、NS3またはアクチン(示されている)のタンパク質発現レベルを証明するウエスタンブロット法結果。GAPDHsiRNA処理は対照として示される。
【図6−1】PIK4CAおよびPIK4CBを標的とするshRNA配列。A)CloneA細胞の示されているshRNA構築物での処理の結果。明色の棒はルシフェラーゼ活性を示し;暗色の棒は細胞生存を示す。すべての結果は対照GAPDH標的細胞と比較する:B)PI4KA発現における示されているshRNAでの処理の効果(GFP標準);C)PI4KB発現における示されているshRNAでの処理の効果(GFP標準);
【図6−2】D)PI4KAを標的とするshRNA(列1−列5はshA1−shA5にそれぞれ対応する);またはPI4KBを標的とするshRNA(列6−列10はshB1−shB5にそれぞれ対応する)での処理後のPI4KB、NS3またはアクチン(示されている)のタンパク質発現レベルを証明するウエスタンブロット法結果。GFPshRNA処理は対照として示され、すべての結果は示されているshRNAでの処理96時間後にとる;E)shRNA形質導入の3週間後のタンパク質発現におけるshA2およびshB1の効果を測定するウエスタンブロット法(GFP対照)。
【図7】HCV複製の阻害(生ウイルス)。示されているsiRNAによる処置におけるHCV複製の用量依存性。HCV感染前、細胞をPIK4CAまたはPIK4CBのいずれかに対する示されているsiRNAで処理する。A)25nM(灰色の棒);1.5nM(白色の棒);0.1nM(暗色の棒)。結果はGAPDHsiRNA処理でHCV複製を標準化させる。ウミシイタケsiRNAは陽性対照である。B)感染細胞における標的mRNAの発現。
【図8】HCV複製の阻害(生ウイルス)。示されているsiRNAによる処置におけるHCV複製の用量依存性。HCV感染後、細胞をPIK4CAまたはPIK4CBのいずれかに対する示されているsiRNAで処理する。A)示されているsiRNA(25nM)での処置の24時間後のウイルス複製における効果。暗色の棒−ウイルスルシフェラーゼ(活性);明色の棒−細胞生存。結果はGAPDHsiRNA処理でHCV複製を標準化させる。ウミシイタケsiRNAは陽性対照である。B)示されているsiRNAでの処理後のHCV複製の時間依存性。暗色(1番目)棒−24時間;明色(2番目)棒−48時間;白色(3番目)棒−72時間;灰色(4番目)棒−96時間。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明はこのようなウイルスが複製する細胞におけるヒト宿主因子ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB;NM_002651)、および/またはホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA;NM_002650)のレベルを減少させることにより、プラス鎖RNAウイルス(例えば、HCV、HPV、デング熱ウイルスおよびポリオ)による感染と関連する疾患の処置の問題に対する解決策を提供する。プラス鎖RNAウイルスの増殖がこれらの増殖のために必要であるヒト宿主細胞遺伝子PIK4CBおよび/またはPIK4CAの発現をサイレンス化するために二本鎖リボ核酸(dsRNA)を使用することにより抑制することができることを本出願に記載している。
【0017】
加えて、これらのdsRNAの選択された化学修飾が驚くべきことに毒性の低下、免疫原性の低下、薬理学的応答の改善および他の利益を提供する非常に好ましい態様であることを初めて本出願に記載している。
【0018】
本発明は二本鎖リボ核酸(dsRNA)ならびにdsRNAを使用して細胞または哺乳動物におけるプラス鎖RNAウイルスの増殖を抑制するための組成物、医薬組成物および方法を提供する。本発明は、また、dsRNAを使用してプラス鎖RNAウイルスの感染により引き起こされる哺乳動物における病的状態および疾患を処置するための組成物および方法を提供する。
【0019】
本発明のdsRNAは30ヌクレオチド長未満、一般的に19−24ヌクレオチド長である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、実質的にヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータサブユニットポリペプチド(PIK4CB;NM_002651、および/またはヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチドPIK4CA;NM_002650)の遺伝子産物(前駆体mRNAまたは成熟mRNA)転写物の少なくとも一部に相補的である。これらのdsRNAの使用は哺乳動物におけるプラス鎖RNA感染の複製および/または維持と関連する遺伝子のmRNAの標的分解または不活性化を可能にする。細胞ベースおよび動物アッセイを使用して、本発明者らは、非常に低用量のこれらのdsRNAが特異的にかつ効果的にRNAiを介在し、複製および感染の有意な阻害ができることを証明した。したがって、これらのdsRNAを含む本発明の方法および組成物はプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程を処置するために有用である。
【0020】
ヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータサブユニットポリペプチド(PIK4CB;NM_002651;ときどきPI4KB;PIK4B;pi4K92;PI4Kベータ;PI4K−BETA;PI4KIIIベータとも呼ばれる)およびヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA;NM_002650;ときどきPI4KA;PIK4A;pi4K230;FLJ16556;およびPI4K−ALPHAとも呼ばれる)はホスファチジルイノシトール4−キナーゼである。あるいはホスファチジルイノシトール4−キナーゼは文献においてPI4K、PI4−キナーゼまたはPIK4として知られている。この明細書では特に選択の指示がない限りこのような用語を互換的に使用する。哺乳動物細胞には4個のPI4K酵素があり、これらは2つの種類に分類される。第1は酵母菌からヒトで保存されている、PIK4CAおよびPIK4CBを含むIII型PI4Kである。酵母菌オルソログStt4pおよびPik1pはそれぞれ両方とも非オーバーラップ機能を有する必須の遺伝子である。II型PI4K、PI4KIIαおよびPI4KIIβはIII型酵素と異なり、また、非必須の遺伝子である酵母菌ホモログLSB6を有する。PIK4CBはゴルジに局在する非常に特徴付けられた哺乳動物遺伝子であり、低分子量GTPaseADP−リボシル化因子(ARF)との複合体で機能し、ゴルジから細胞膜分泌へを調節すると考えられている。クラスIIαおよびβ酵素は、また、ゴルジ/トランス−ゴルジ輸送に関与することが示されている。III型αアイソフォームは細胞膜およびERで役割を果たすが、ゴルジでは役割を果たさないようである。
【0021】
加えて、PI4Kは細胞内局在によってそれぞれの区画で独特の機能の酵素である。PIK4CBはPtdIns4PおよびPtdIns4,5P2プールの産生に関与し、スフィンゴミエリン合成を引き起こすERからゴルジへのセラミドの調節された輸送はAP−1機構のドッキングを可能にするPI(4)P−リッチドメインを維持することによりゴルジの構造的完全性に関与する。PIK4CBの崩壊はゴルジ複合体の構造の変化を引き起こし、極性細胞の分泌欠損を引き起こし、細胞膜へのタンパク質輸送を抑制する。
【0022】
クラスIIおよびIIIのPI4Kαおよびβ酵素はいくつかの調節ホスホイノシチドの前駆体であるPtdlns4−ホスフェートを産生する。これらのホスホイノシチドは、組織的なシグナル伝達複合体に調節タンパク質を導入することにより、種々の細胞内シグナル伝達および輸送過程を調節する。PtdInsからのPtdIns4−ホスフェート[PtdIns4P]の産生、PtdIns(4,5)P2およびPtdIns(3,4,5)P3の形成が最初の工程。PtdIns(4,5)P2はホスホリパーゼC(PLC)酵素の主な基質であり、Ca2+シグナル伝達に関与するイノシトール1,4,5−トリスリン酸[Ins(1,4,5)P3]およびジアシルグリセロール(DAG)を生じる。PtdIns(4,5)P2は、また、いくつかの型のイオンチャネルおよび酵素、例えば、ホスホリパーゼD(PLD)を調節し、膜とアクチン細胞骨格3および5を結合するタンパク質と相互作用する。クラスIのPtdIns3−キナーゼによりPtdIns(4,5)P2から産生されるPtdIns(3,4,5)P3は、種々の過程、例えば、セリン/スレオニンキナーゼAktを介する細胞代謝および抗アポトーシス経路を調節し、チロシンキナーゼ、例えば、低分子量GTP結合タンパク質に関するBtkおよびグアニン交換因子も調節する。これらのシグナル伝達ホスホイノシチドの産生はこれらの合成酵素の活性およびこれらの前駆体の供給の両方に依存しており、したがって、PtdIns4−キナーゼは細胞調節の役割を有する。
【0023】
複製をヒトPIK4CBまたはPIK4CAに依存しているプラス鎖RNAウイルスは下記のものを含むと考えられている:I.ピコルナ−(HAV、ポリオ、コクサッキー)、ノダ−、コモ−、ネポ−、ポティ−、ビモ−、ソベモウイルスおよびルテオウイルス(黄化、黄萎および葉巻ウイルス)。II.カーモ−、トンブス−、ダイアンソウイルス、ペスチウイルス、トガ−、エコー−、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、フラビウイルス。III.トバモ−、トブラ−、ホルデイ−、トリコーナ−、アルファ、ルビ−、フロウイルス、E型肝炎ウイルス、ポテクス−、カーラ−、ティモウイルスおよびリンゴクロロティックリーフスポットウイルス。
【0024】
下記詳細な説明はdsRNAの製造方法および使用方法およびプラス鎖RNAウイルスの発現を抑制するためのdsRNAを含む組成物、ならびにプラス鎖RNAウイルス感染により引き起こされる疾患および障害、例えば、肝臓疾患、肝不全、線維症、癌、肺疾患およびその合併症(さらに下記のもの)を処置するための組成物および方法を記載している。本発明の医薬組成物は30ヌクレオチド長未満、一般的に19−24ヌクレオチド長であり、実質的にPIK4CBおよび/またはPIK4CAのRNA転写の少なくとも一部に相補的である相補性領域を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAを薬学的に許容される担体と共に含む。本発明の態様は組合せ、医薬における所望によりPIK4CBおよび/またはPIK4CARNA転写の異なるセグメントを標的とする1つ以上のdsRNAの使用である。
【0025】
したがって、本発明の1つの局面は本発明のdsRNAを薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物、PIK4CBおよび/またはPIK4CAの発現を抑制する組成物を使用する方法ならびにプラス鎖RNAウイルス感染により引き起こされる疾患を処置するための医薬組成物を使用する方法を提供する。
【0026】
定義
便宜上、明細書、実施例および特許請求の範囲で使用する特定の用語およびフレーズの意味を以下に提供する。本明細書の他の部の用語の使用とこのセクションで提供される定義に明らかな違いがあるとき、このセクションの定義を優先する。
【0027】
“G”、“C”、“A”および“U”はそれぞれ一般的に塩基としてグアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルを含むヌクレオチドを意味する。しかしながら、“リボヌクレオチド”または“ヌクレオチド”なる用語は、また、以下の詳細のとおり修飾ヌクレオチドまたは代替置換部分を意味することができると理解すべきである。当業者は、グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルがこのような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対特性を実質的に変化することなく他の部分により置換され得ることをよく知っている。例えば、塩基としてイノシンを含むヌクレオチドはアデニン、シトシンまたはウラシルを含むヌクレオチドと対を形成し得るが、それに限定はされない。したがって、ウラシル、グアニンまたはアデニンを含むヌクレオチドは、本発明の核酸配列を、例えば、イノシンを含むヌクレオチドにより置換され得る。このような置換部分を含む配列は本発明の態様である。
【0028】
本明細書で使用する“標的配列”は一次転写産物のRNAプロセッシング産物であるmRNAを含む、PIK4CBの転写中に形成されるmRNA分子の核酸配列の隣接部分を意味する。
【0029】
本明細書で使用する“配列を含む鎖”なる用語は標準ヌクレオチド命名を使用して称される配列により表されるヌクレオチド鎖を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0030】
他に記載のない限り、本明細書で使用する“相補的”なる用語は、第2の核酸配列との関連で第1の核酸配列を表すために使用するとき、当業者により理解されているとおり、第1の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが特定の条件下で第2の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を意味する。このような条件は、例えば、ストリンジェント条件であり得、ここで、ストリンジェント条件は:400mMのNaCl、40mMのPIPES pH6.4、1mMのEDTA、50℃または70℃、12−16時間、次に洗浄を含み得る。他の条件、例えば、生物内部で起こり得るような生理学的に適切な条件が利用できる。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な適用にしたがって、2個の配列の相補性の試験のためにもっとも適当な一連の条件を決定することができる。
【0031】
これは、第1および第2の核酸配列の全長にわたって、第1の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと第2の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの塩基対を含む。このような配列は本明細書において互いに“完全に相補的”と表すことができる。しかしながら、本明細書において第1の配列が第2の配列に対して“実質的に相補的”と表されるとき、2個の配列が完全に相補的であるか、または、1個以上であるが一般的に最高で4、3または2個のミスマッチ塩基対をハイブリダイゼーションで形成し得、それらの最終的な適用に最も適当な条件下でハイブリダイズする能力を保持している。しかしながら、2個のオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションで1個以上の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されたとき、このようなオーバーハングは相補性の決定に関してミスマッチと見なしてはならない。例えば、長いオリゴヌクレオチドは短いオリゴヌクレオチドに完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含む、一方にオリゴヌクレオチド21ヌクレオチド長および他方にオリゴヌクレオチド23ヌクレオチド長を含むdsRNAは、本発明の目的のために、なお“完全に相補的”と見なされ得る。
【0032】
本明細書で使用する“相補的”配列は、また、それらがハイブリダイズする能力に対する上記必要条件を満たす限り、非ワトソン−クリック塩基対および/または非天然および改変されたヌクレオチドから形成された塩基対を含むか、またはこれらから完全に形成され得る。
【0033】
本明細書において“相補的”、“完全に相補的”および“実質的に相補的”なる用語は、これらの使用において理解されるとき、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖間またはdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列間の塩基マッチングに対して使用され得る。
【0034】
本明細書で使用する“実質的に”メッセンジャーRNA(mRNA)“の少なくとも一部に相補的である”ポリヌクレオチドは実質的に興味ある(例えば、PIK4CBまたはPIK4CA)mRNAの隣接部分に相補的であるポリヌクレオチドを意味する。例えば、配列が実質的にPIK4CBをコードするmRNAの連続した部分に相補的であるとき、ポリヌクレオチドはPIK4CBmRNAの少なくとも一部に相補的である。配列が実質的にPIK4CAをコードするmRNAの連続した部分に相補的であるとき、同様にポリヌクレオチドはPIK4CAmRNAの少なくとも一部に相補的である。
【0035】
本明細書で使用する“二本鎖RNA”または“dsRNA”なる用語は2個の逆平行かつ上記定義の実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を意味する。二本鎖構造を形成する2個の鎖は1個の大型RNA分子の異なる部分であり得るか、または、それらは別々のRNA分子であり得る。別々のRNA分子であるとき、このようなdsRNAはしばしばsiRNA(“短干渉性RNA”)として文献に言及されている。2個の鎖が1個の大型分子の一部であり、したがって二本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端からそれぞれの他の鎖の5’末端のヌクレオチドの連続した鎖により結合しているとき、結合しているRNA鎖は“ヘアピンループ”、“ショートヘアピンRNA”または“shRNA”として称される。2個の鎖が二本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端からそれぞれの他方の鎖の5’末端のヌクレオチドの連続した鎖以外の中央で共有結合しているとき、結合している構造は“リンカー”と称される。RNA鎖は同じか、または異なっているヌクレオチドの数を有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最短の鎖におけるヌクレオチドの数から二本鎖に存在するすべてのオーバーハングの数を引いた数である。二本鎖構造に加えて、dsRNAは1個以上のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。加えて、本明細書で使用するとき、“dsRNA”は、複数のヌクレオチドでの実質的な修飾および本明細書に記載されているか、または当分野で既知のすべての型の修飾を含む、リボヌクレオチドへの化学修飾、ヌクレオシド間結合、末端基、キャップおよび結合分子を含み得る。siRNA型分子で使用されるとき、すべてのこのような修飾は本明細書および特許請求の範囲の目的のために“dsRNA”により包含される。
【0036】
本明細書で使用する“ヌクレオチドオーバーハング”は、dsRNAの一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を逸脱するとき(逆もまた同様)、dsRNAの二本鎖構造から突き出ている非対合ヌクレオチドを意味する。“平滑”または“平滑末端”はdsRNAの末端に非対合ヌクレオチドが存在しない、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングではないことを意味する。“平滑末端化した”dsRNAは全長にわたって二本鎖である、すなわち、分子の末端のいずれかでヌクレオチドオーバーハングではないdsRNAである。明確にするために、siRNAの3’末端または5’末端に結合する化学キャップまたは非ヌクレオチド化学分子はsiRNAがオーバーハングを有するか、または平滑末端であるかどうかの決定に考慮されない。
【0037】
“アンチセンス鎖”なる用語は実質的に標的配列に相補的である領域を含むdsRNA鎖を意味する。この鎖は、また、“ガイド”配列として既知であり、開裂のために正確なmRNAに複合体をガイドするために機能的RISC複合体で使用される。本明細書で使用する、“相補性領域”なる用語は実質的に配列、例えば、本明細書に定義の標的配列に相補的であるアンチセンス鎖の領域を意味する。相補性領域が標的配列に完全に相補的でないとき、存在するときミスマッチは末端領域および一般的に、例えば、5’および/または3’末端の6、5、4、3または2個のヌクレオチド以内の末端領域において特に許容される。RNA化合物に関するため、“アンチセンス”のこの使用は、核酸治療の関連分野ではあるがアンチセンスDNA化合物とは異なっている。
【0038】
本明細書で使用する“センス鎖”なる用語は実質的にアンチセンス鎖の領域に相補的である領域を含むdsRNA鎖を意味する。この鎖は、また、標的配列と同じヌクレオチド配列を含むため、“抗ガイド”配列として既知であり、したがって特異的にガイド配列に結合する。
【0039】
dsRNAに関するとき“細胞に導入”は、当業者により理解されるとおり、細胞への容易な取り込みまたは吸収を意味する。dsRNAの吸収または取り込みは自発的拡散または能動細胞過程を介して、または補助剤または補助装置により起こすことができる。この用語の意味はインビトロでの細胞に限定されず;dsRNAは、また、生きている生物の部分である“細胞に導入”され得る。このような例において、細胞への導入は生物への送達を含む。例えば、インビボでの送達のためにdsRNAを組織部位に注射するか、または全身に投与することができる。インビトロでの細胞への導入は当分野で既知の方法、例えば、エレクトロポレーションおよびリポフェクションを含む。
【0040】
PIK4CBまたはPIK4CAに言及する限り、“サイレンス”および“の発現を抑制”なる用語は、本明細書において、正常(未処理)細胞と比較して転写されるか、または得られるmRNAの量の減少により示されるような、PIK4CBまたはPIK4CAを標的とするdsRNAで処理された細胞におけるPIK4CBまたはPIK4CAの発現の少なくとも部分的な抑制を意味する。この測定は、このように処理されていない第1の細胞または細胞群(対照細胞)と実質的に同一である第2の細胞または細胞群と比較して、処理された細胞(PIK4CBまたはPIK4CAの発現を抑制するように処置された第1の細胞または細胞群から単離され得る)におけるmRNAレベルを比較することにより測定し得る。阻害の程度は、通常、下記式で表される。
【数1】

【0041】
あるいは、阻害の程度は、機能的に遺伝子転写と関連しているパラメーター、例えば、ポリペプチドの量または特定の表現型を示す細胞数、例えば、特異的にPIK4CBまたはPIK4CAと関連するキナーゼ活性または感染の感受性の減少の点で得ることができる。原則として、遺伝子サイレンシングは、構造的にまたは遺伝子工学的のいずれかにより、および適当なアッセイにより、興味ある遺伝子を発現するすべての細胞において測定することができる。しかしながら、参考として与えられるdsRNAがPIK4CBまたはPIK4CAの発現をどの程度抑制するかどうか、したがって本発明により包含されるかどうかを決定するために必要であるとき、下記実施例で提供されるアッセイはこのような参考のために使用される。
【0042】
例えば、場合によっては、PIK4CBまたはPIK4CA遺伝子の発現は本発明の二本鎖RNAの投与により少なくとも約20%、25%、35%または50%抑制される。いくつかの態様において、PIK4CBまたはPIK4CA遺伝子は本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与により少なくとも約60%、70%または80%抑制される。いくつかの態様において、PIK4CBまたはPIK4CA遺伝子は本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与により少なくとも約85%、90%または95%抑制される。図2の結果はPIK4CB(またはPIK4CA)を標的とする試験したそれぞれのdsRNAがHCVレプリコンアッセイにおいて発現産物の相対レベルを10%から90%減少させるために有効であることを証明する。図3の結果はPIK4CB(またはPIK4CA)を標的とする試験したそれぞれのdsRNAが細胞のPIK4CB(またはPIK4CA)mRNAレベルを10%から90%減少させるために有効であることを証明する。
【0043】
本明細書で使用するプラス鎖RNAウイルス感染の内容において、“処置”、“処置する”などの用語はプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程の軽減または緩和を意味する。このような記載はプラス鎖RNAウイルス感染の防止または予防およびプラス鎖RNAウイルス感染により引き起こされる症状または病状の軽減のための本発明の治療剤の使用を含む。本発明の内容において、それが下記の他の状態(プラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程以外)のいずれかに関する場合、“処置”、“処置する”などの用語はこのような状態と関連する少なくとも1種の症状を除去または緩和するか、またはこのような状態の進行を遅延または逆転することを意味する。
【0044】
本明細書で使用する“治療有効量”および“予防有効量”なるフレーズはプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程またはプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程の明白な症状の処置、予防または管理における治療利益を提供する量を意味する。治療有効である特定の量は通常の医師により容易に決定することができ、当分野で既知の因子、例えば、プラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程の型、患者の履歴および年齢、プラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程の段階および他の抗病理学的薬物の投与に依存して変化し得る。
【0045】
本明細書で使用する“医薬組成物”は薬理学的に有効量のdsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用する“薬理学的に有効量”、“治療有効量”または単に“有効量”は意図される薬理学的、治療的または予防的結果を得るために有効なdsRNAの量を意味する。例えば、与えられた臨床的処理が、疾患または障害と関連する測定可能なパラメーターにおいて少なくとも25%減少であるとき有効であると考慮されるとき、疾患または障害の処置のための薬物の治療有効量はパラメーターの少なくとも25%減少を引き起こすために必要な量である。
【0046】
“薬学的に許容される担体”なる用語は治療剤の投与のための担体を意味する。このような担体は塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。該用語は特に細胞培養培地を考慮しない。経口投与用薬物のための薬学的に許容される担体は薬学的に許容される賦形剤、例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、平滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤を含むが、これらに限定されない。適当な不活性希釈剤は炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウムおよびラクトースを含み、コーンデンプンおよびアルギン酸は適当な崩壊剤である。結合剤はデンプンおよびゼラチンを含み得、存在するとき平滑剤は一般的にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。所望により、錠剤は胃腸管での吸収を遅延させるために、物質、例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルで被覆してもよい。
【0047】
本明細書で使用する“形質転換細胞”はdsRNA分子を発現し得るベクターを導入した細胞である。
【0048】
二本鎖リボ核酸(dsRNA)
1つの態様において、本発明は、細胞または哺乳動物におけるPIK4CBおよび/またはPIK4CAの発現を阻害し、それによりプラス鎖RNAウイルス複製または増殖を抑制する二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子であって、ここで、PIK4CBまたはPIK4CAの発現において形成されるmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含むアンチセンス鎖を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満、一般的に19−24ヌクレオチド長であり、そして、該PIK4CBまたはPIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBまたはPIK4CA遺伝子の発現を少なくとも10%、25%または40%抑制するdsRNAを提供する。
【0049】
dsRNAは二本鎖構造を形成するためにハイブリダイズするために十分に相補的である2個のRNA鎖を含む。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は実質的にPIK4CBまたはPIK4CA遺伝子の遺伝子産物の配列から生じる標的配列に相補的、一般的にこれに完全に相補的である相補性領域を含み、他方の鎖(センス鎖)は適当な条件下で混合したとき、2個の鎖がハイブリダイズし、二本鎖構造を形成するようなアンチセンス鎖に相補的である領域を含む。一般的に、二本鎖構造は15から30塩基対長、より一般的には18から25塩基対長、さらにより一般的には19から24塩基対長、より一般的には19から21塩基対長である。同様に、標的配列に対する相補性領域は15から30ヌクレオチド長、より一般的には18から25ヌクレオチド長、さらにより一般的には19から24ヌクレオチド長、より一般的には19から21ヌクレオチド長である。本発明のdsRNAは平滑末端であるか(例えば、いずれかの鎖におけるそれぞれのヌクレオチドが他方の鎖における塩基対に対して適当なヌクレオチドを有するとき)、または、一般的に3’末端において1個以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングをさらに含み得る。dsRNAは以下に記載のような当分野で既知の標準方法、例えば、Biosearch, Applied Biosystems, Incから販売されている自動DNA合成装置の使用により合成することができる。
【0050】
特定の態様において、dsRNAはPIK4CBを標的とするための表1のセンス配列から選択される鎖および表1のアンチセンス配列からなる群から選択される第2の配列を含む。PIK4CB標的配列の他の場所、例えば、表1で同定される薬物が標的とするわずかに上流または下流を標的とする別の薬物は、表1に記載されている配列およびNCBI受入番号:NM_002651で見いだせる隣接mRNAまたはゲノム配列を使用して容易に同定することができる。
【0051】
特定の態様において、dsRNAはPIK4CAを標的とするための表2のセンス配列から選択される鎖および第2のアンチセンス配列からなる群から選択される第2の配列を含む。PIK4CA標的配列の他の場所、例えば、表2で同定される薬物が標的とするわずかに上流または下流を標的とする別の薬物は、表2に記載されている配列およびNCBI受入番号:NM_002650で見いだせる隣接mRNAまたはゲノム配列を使用して容易に同定することができる。
【0052】
さらなる態様において、dsRNAは表1または表2から提供される二本鎖配列から選択される少なくとも1個の二本鎖配列を含む。他の態様において、治療剤は表1および/または表2から選択される2個以上の二本鎖配列を含み得る。一般的に、それぞれのdsRNAは2個のオリゴヌクレオチド鎖を含み、ここで、第1のオリゴヌクレオチドは表のセンス鎖として記載されており、そして第2のオリゴヌクレオチドは同じ表のアンチセンス鎖として記載されている。それぞれの表はそれぞれの好ましいdsRNAに対する二本鎖名を提供する。ヌクレオチド塩基は標準ヌクレオチド表記を使用して示されている。
【0053】
表1−PIK4CBを標的とする二本鎖siRNA(dsRNA)
【表1】

【表2】

【表3】

【0054】
表2−PIK4CAを標的とする二本鎖siRNA(dsRNA)
【表4】

【表5】

【表6】

【0055】
20から23塩基対、特に21塩基対の二本鎖構造を含むdsRNAが、RNA干渉の誘導において特に有効であると認められていることを、当業者はよく知っている(Elbashir et al., EMBO 2001, 20:6877-6888)。しかしながら、そのほかに、より短いまたはより長いdsRNAが同様に有効であり得ることが見いだされている。上記の態様において、表1または表2で提供されるオリゴ核酸配列の性質のため、本発明のdsRNAは最小21nt長の少なくとも一本鎖を含むことができる。表1または表2の配列の1つから一方または両方の末端のほんの数ヌクレオチドを引いたものを含むより短いdsRNAが上記dsRNAと比較して同様に有効であり得ることはかなり期待することができる。したがって、表1または表2の配列の1つから少なくとも15、16、17、18、19、20またはそれ以上の隣接ヌクレオチドの部分的な配列を含み、そして完全配列を含むdsRNAと、FACSアッセイまたは本明細書に記載されている他のアッセイにおいてPIK4CBまたはPIK4CA遺伝子の発現を抑制する能力において最高で5、10、15、20、25または30%阻害するdsRNAは、本発明に考慮される。表1または表2で提供される標的配列内を開裂するさらなるdsRNAは提供される参照配列および標的配列を使用して容易に製造することができる。
【0056】
加えて、表1または表2で提供されるRNAi薬物はRNAiに基づく開裂に特に感受性であるPIK4CBまたはPIK4CAmRNAの有用な部位を同定する。本発明は、さらに本発明の薬物の1個により標的とされる配列内を標的にするRNAi薬物それ自体を含む。第2のRNAi薬物が第1のRNAi薬物のアンチセンス鎖に相補的であるmRNA内のいずれかのメッセージを開裂するとき、本明細書で使用するとき、第2のRNAi薬物は第1のRNAi薬物の配列内を標的とする薬物である。このような第2の薬物は、一般的に標的遺伝子の選択された配列に対する隣接領域から取られたさらなる核酸配列と結合した表1または表2で提供される配列の1個からの少なくとも15個の隣接ヌクレオチドからなる。例えば、PIK4CB遺伝子の次の6個のヌクレオチドと結合した配列番号5の最後の15個のヌクレオチドは、表1で提供される配列の1個に基づく21個のヌクレオチドの一本鎖薬物を示す。この一本鎖に基づいて、相補的センス鎖は容易に製造することができる。それは、元の配列番号5二本鎖と同じ感受性領域で標的mRNAを開裂させる。同じことが表2で提供される配列に基づくPIK4CAに対しても扱うことができる。
【0057】
本発明のdsRNAは標的配列に1個以上のミスマッチを含むことができる。好ましい態様において、本発明のdsRNAは最大3個のミスマッチを含む。dsRNAのアンチセンス鎖が標的配列にミスマッチを含むとき、ミスマッチの領域が相補性領域の中央に位置しないことが好ましい。dsRNAのアンチセンス鎖が標的配列にミスマッチを含むとき、ミスマッチがいずれかの末端から5個のヌクレオチド、例えば、相補性領域の5’または3’末端のいずれかの5、4、3、2または1個のヌクレオチドに限定されていることが好ましい。例えば、PIK4CB標的遺伝子の領域に相補的である23個のヌクレオチドのdsRNA鎖に関して、dsRNAは一般的に中央の13個のヌクレオチド内に何らかのミスマッチを含まない。本発明内に記載されている方法は標的配列にミスマッチを含むdsRNAが細胞におけるPIK4CBの発現の減少に有効であるかどうかを決定するために使用することができる。とりわけPIK4CBの特定の相補性領域がヒトにおいて多型配列変異を有することが既知であるとき、PIK4CBの発現の抑制におけるミスマッチを有するdsRNAの効力の研究は重要である。同じ分析がPIK4CAを標的とするdsRNAに対して使用することができる。
【0058】
1つの態様において、少なくとも1個のdsRNAの末端は1から4個、一般的に1または2個のヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。少なくとも1個のヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは平滑末端対照物よりも予想外により優れた阻害特性を有する。さらに、1個だけのヌクレオチドオーバーハングの存在は全体的な安定性に影響せずdsRNAの干渉活性を強化する。1個だけのオーバーハングを有するdsRNAは、インビボで、ならびに種々の細胞、細胞培養培地、血液および血清において特に安定かつ有効であることが証明されている。一般的に、一本鎖オーバーハングはアンチセンス鎖の3’末端、あるいは、センス鎖の3’末端に位置する。dsRNAは、また、一般的にアンチセンス鎖の5’末端に位置する平滑末端を有し得る。このようなdsRNAは改善された安定性および阻害活性を有し、したがって、低用量、すなわち、5mg/kg受容体の体重/日未満で投与することができる。一般的に、dsRNAのアンチセンス鎖は3’末端でヌクレオチドオーバーハングを有する。他の態様において、オーバーハングにおける1個以上のヌクレオチドはヌクレオシドチオホスフェートで置換されている。
【0059】
表1および表2において、RNA鎖のマッチペアは3’末端に2個のチミジンDNAヌクレオチドを有することを示している。siRNAに対する安定性または他の所望の特性を与える傾向にある一般的に使用されるモチーフであるため、このT−Tモチーフを例示する。したがって、T−Tは本発明の適当な態様である。それにもかかわらず、所望により修飾されたヌクレオシド間結合、化学修飾または保護キャップを有するヌクレオチドの他の配置がsiRNA鎖の3’末端に使用され得ることは当業者によく知られている。当業者は、mRNAの標的配列が同じ配列を維持しているため、このような修飾が改善された機能的に同等の分子となるが、変化したオーバーハングヌクレオチドは好都合に他の薬理学的応答に影響し得ることを知っている。
【0060】
さらに他の態様において、dsRNAは安定性を高めるか、または他の治療利益を提供するために化学的に修飾されている。本発明の核酸は当分野で確立されている方法、例えば、“Current protocols in nucleic acid chemistry”, Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USA(これは出典明示により本明細書に包含させる)に記載されているものにより合成および/または修飾され得る。化学修飾は2’修飾、オリゴヌクレオチドの糖または塩基の他の部位の修飾、非天然塩基のオリゴヌクレオチド鎖への導入、リガンドまたは化学部分への共有結合およびヌクレオチド間ホスフェート結合の他の結合、例えば、チオホスフェートでの置換を含み得るが、これらに限定されない。2個以上のこのような修飾が使用され得る。
【0061】
2個の別々のdsRNA鎖の化学結合は種々のよく知られた技術のいずれかにより、例えば、共有、イオンまたは水素結合;疎水性相互作用、ファンデルワールスまたはスタッキング相互作用を導入することにより;金属イオン配位の手段またはプリン類似体の使用を介する手段により達成され得る。一般的に、dsRNAを修飾するために使用することができる化学基はメチレンブルー;二官能基、一般的にビス−(2−クロロエチル)アミン;N−アセチル−N’−(p−グリオキサルベンゾイル)シスタミン;4−チオウラシル;およびソラーレンを含むが、これらに限定されない。1つの態様において、リンカーはヘキサ−エチレングリコールリンカーである。この場合、dsRNAは固相合成により生産され、ヘキサ−エチレングリコールリンカーは標準方法にしたがって組み込まれる(例えば、Williams, D.J., and K.B. Hall, Biochem. (1996) 35:14665-14670)。特定の態様において、アンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端はヘキサエチレングリコールリンカーにより化学的に結合している。他の態様において、dsRNAの少なくとも1個のヌクレオチドはホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート基を含む。dsRNA末端の化学結合は一般的にトリプルヘリックス結合により形成される。表1および表2はこれらの技術にしたがって修飾され得るdsRNA配列の例を提供する。
【0062】
さらに他の態様において、2個の一本鎖の一方または両方のヌクレオチドは細胞酵素、例えば、限定はしないが特定のヌクレアーゼの分解活性を防止または抑制するために修飾され得る。核酸に対する細胞酵素の分解活性を抑制するための技術は、2’−アミノ修飾、2’−アミノ糖修飾、2’−F糖修飾、2’−F修飾、2’−アルキル糖修飾、非荷電骨格修飾、モルホリノ修飾、2’−O−メチル修飾およびホスホロアミダートを含むことが当分野で既知であるが、これらに限定されない(例えば、Wagner, Nat. Med. (1995) 1:1116-8、参照)。したがって、dsRNAのヌクレオチドの少なくとも1個の2’−ヒドロキシル基は化学基、一般的に2’−アミノまたは2’−メチル基により置換されている。また、少なくとも1個のヌクレオチドはロックされたヌクレオチドを形成するために修飾され得る。このようなロックされたヌクレオチドは、リボースの2’−酸素とリボースの4’−炭素を結合するメチレン架橋を含む。ロックされたヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドはKoshkin, A.A., et al., Tetrahedron (1998), 54: 3607-3630)およびObika, S. et al., Tetrahedron Lett. (1998), 39: 5401-5404)に記載されている。オリゴヌクレオチドへのロックされたヌクレオチドの導入は相補的配列に対する親和力を改善し、融点が数度上がる(Braasch, D.A. and D.R. Corey, Chem. Biol. (2001), 8:1-7)。
【0063】
dsRNAにリガンドが結合すると、その細胞吸収ならびに特定の組織への標的化または特定の型の細胞による取り込みを強化することができる。場合によっては、疎水性リガンドが細胞膜の直接の透過を容易にするためにdsRNAに結合している。あるいは、dsRNAに結合しているリガンドは受容体介在エンドサイトーシスの基質である。これらのアプローチはアンチセンスオリゴヌクレオチドならびにdsRNA薬物の細胞透過性を促進するために使用されている。例えば、コレステロールは種々のアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合しており、それらの非結合類似物と比較して実質的により活性である化合物となる。M. Manoharan Antisense & Nucleic Acid Drug Development 2002, 12, 103、参照。オリゴヌクレオチドに結合している他の親油性化合物は、1−ピレン酪酸、1,3−ビス−O−(ヘキサデシル)グリセロールおよびメントールを含む。受容体介在エンドサイトーシスに関するリガンドの1つの例は葉酸である。葉酸は葉酸受容体介在エンドサイトーシスにより細胞に入る。葉酸を有するdsRNA化合物は葉酸受容体介在エンドサイトーシスを介して細胞に効果的に輸送される。Liおよび共同物は、オリゴヌクレオチドの3’末端への葉酸の結合がオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを8倍に増加したことを報告している。Li, S.; Deshmukh, H. M.; Huang, L. Pharm. Res. 1998, 15, 1540。オリゴヌクレオチドに結合している他のリガンドはポリエチレングリコール、炭水化物クラスター、架橋剤、ポルフィリン複合体および送達ペプチドを含む。
【0064】
場合によっては、カチオンリガンドのオリゴヌクレオチドへの結合はヌクレアーゼに対する耐性を改善する。カチオンリガンドの代表的な例はプロピルアンモニウムおよびジメチルプロピルアンモニウムである。興味深いことに、カチオンリガンドがオリゴヌクレオチド中に散在しているとき、アンチセンスオリゴヌクレオチドはmRNAに対するそれらの高い結合親和力を維持することが報告された。M. Manoharan Antisense & Nucleic Acid Drug Development 2002, 12, 103、参照かつ本明細書に引用する。
【0065】
リガンド結合した本発明のdsRNAは、dsRNAへの結合分子の結合から誘導されるような、ペンダント(pendant)反応機能性を有するdsRNAの使用により合成され得る。この反応性オリゴヌクレオチドは市販のリガンド、種々の何らかの保護基を有する合成されたリガンドまたはそれに結合する結合部分を有するリガンドと直接反応し得る。いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、適当にリガンドと結合しており、さらに固体支持材に結合していてもよいヌクレオシドモノマーの使用によりリガンド結合のdsRNAの合成を容易にする。所望により固体支持材に結合しているこのようなリガンド−ヌクレオシド複合体は、選択された血清結合リガンドとヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの5’位に位置する結合部分の反応を介して、本発明の方法のいくつかの好ましい態様にしたがって製造される。場合によっては、dsRNAの3’末端に結合しているアラルキルリガンドを有するdsRNAは、最初にモノマー構成要素を多孔性ガラス支持体に長鎖アミノアルキル基を介して共有結合させることにより製造される。次に、ヌクレオチドは標準固相合成技術を介して固体支持体に結合したモノマー構成要素に結合している。モノマー構成要素はヌクレオシドまたは固相合成に適合する他の有機化合物であり得る。
【0066】
本発明の複合体で使用されるdsRNAは固相合成のよく知られている技術を介して都合良くかつ日常的に製造され得る。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA)を含むいくつかのメーカーにより販売されている。当分野で既知のこのような合成のための任意の他の方法がさらに、またはあるいは使用され得る。他のオリゴヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体を製造するための同様の技術を使用することも知られている。
【0067】
特定の修飾されたオリゴヌクレオチドの合成に関する技術が下記米国特許で見出すことができる:米国特許第5,138,045および5,218,105号、ポリアミン結合オリゴヌクレオチド;米国特許第5,212,295号、キラルリン結合を有するオリゴヌクレオチドの製造のためのモノマー;米国特許第5,378,825および5,541,307号、修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチド;米国特許第5,386,023号、骨格修飾オリゴヌクレオチドおよび還元カップリングを介するその製造;米国特許第5,457,191号、3−デアザプリン環系に基づく修飾された核酸塩基およびその合成方法;米国特許第5,459,255号、N−2置換プリンに基づく修飾された核酸塩基;米国特許第5,521,302号、キラルリン結合を有するオリゴヌクレオチドを製造方法;米国特許第5,539,082号、ペプチド核酸;米国特許第5,554,746号、β−ラクタム骨格を有するオリゴヌクレオチド;米国特許第5,571,902号、オリゴヌクレオチドの合成のための方法および物質;米国特許第5,578,718号、アルキルチオ基を有するヌクレオシド、ここで、このような基はヌクレオシドの種々の任意の位置で結合している他の部分にリンカーとして使用され得る;米国特許第5,587,361および5,599,797号、キラル高純度のホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチド;米国特許第5,506,351号、2’−O−アルキルグアノシンおよび2,6−ジアミノプリン化合物を含む関連化合物の製造方法;米国特許第5,587,469号、N−2置換プリンを有するオリゴヌクレオチド;米国特許第5,587,470号、3−デアザプリンを有するオリゴヌクレオチド;米国特許第5,223,168号および米国特許第5,608,046号、結合4’−デスメチルヌクレオシド類似物;米国特許第5,602,240および5,610,289号、骨格修飾オリゴヌクレオチド類似物;米国特許第6,262,241および5,459,255号、とりわけ、2’−フルオロ−オリゴヌクレオチドの合成方法。他の好ましい修飾はUS6670486、PCT出願番号WO2003082255およびWO2005021749に示されている。
【0068】
本発明の配列特異的結合ヌクレオシドを有するリガンド結合dsRNAおよびリガンド分子において、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは標準ヌクレオチドもしくはヌクレオシド前駆体、または、すでに結合部分を有するヌクレオチドもしくはヌクレオシド結合前駆体、すでにリガンド分子を有するリガンド−ヌクレオチドもしくはヌクレオシド複合体前駆体、または、構成要素を有する非ヌクレオシドリガンドを使用して適当なDNA合成装置で構築され得る。
【0069】
すでに結合部分を有するヌクレオチド結合前駆体を使用して、配列特異的結合ヌクレオシドの合成が一般的に完了するとき、次にリガンド分子は結合部分と反応させ、リガンド結合オリゴヌクレオチドを形成する。種々の分子、例えば、ステロイド、ビタミン、脂質およびレポーター分子を有するオリゴヌクレオチド複合体はすでに記載されている(Manoharan et al., PCT出願WO93/07883、参照)。好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドまたは結合ヌクレオシドは、市販されており、オリゴヌクレオチド合成において日常的に使用される標準ホスホラミダイトおよび非標準ホスホラミダイトに加えて、リガンド−ヌクレオシド複合体からのホスホラミダイトを使用する自動合成装置により合成される。
【0070】
オリゴヌクレオチドのヌクレオシドにおける2’−O−メチル、2’−O−エチル、2’−O−プロピル、2’−O−アリル、2’−O−アミノアルキル、2’−O−メトキシエトキシまたは2’−デオキシ−2’−フルオロ基の混入はオリゴヌクレオチドの治療特性の増強、例えば、ハイブリダイゼーション速度の増進を提供し得る。さらに、ホスホロチオエート骨格を含むオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ安定性を増強した。したがって、本発明の機能性結合ヌクレオシドはホスホロチオエート骨格または2’−O−メチル、2’−O−エチル、2’−O−プロピル、2’−O−アミノアルキル、2’−O−アリル、2’−O−メトキシエトキシもしくは2’−デオキシ−2’−フルオロ基のいずれか、または両方を含むものに拡大することができる。当分野で既知のいくつかのオリゴヌクレオチド修飾の要約した表が、例えば、PCT出願WO200370918で見出せる。
【0071】
いくつかの態様において、5’末端にアミノ基を有する本発明の機能性ヌクレオシド配列はDNA合成装置を使用して製造され、次に選択されたリガンドの活性エステル誘導体と反応させる。活性エステル誘導体は当業者によく知られている。代表的な活性エステルはN−ヒドロスクシンイミドエステル、テトラフルオロフェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステルおよびペンタクロロフェノールエステルを含む。アミノ基および活性エステルの反応で選択されたリガンドが結合基を介して5’位に結合しているオリゴヌクレオチドを生じる。5’末端のアミノ基は5’−Amino−Modifier C6薬物を使用して製造することができる。1つの態様において、リガンド分子は、リンカーを直接または間接的に介して5’−ヒドロキシ基と結合しているリガンド−ヌクレオシドホスホラミダイトの使用により5’位でオリゴヌクレオチドに結合し得る。このようなリガンド−ヌクレオシドホスホラミダイトは一般的に5’末端にリガンドを有するリガンド結合オリゴヌクレオチドを提供するための自動合成方法の最後に使用する。
【0072】
修飾されたヌクレオシド間結合または骨格の例は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィナート、3’−アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステルおよび通常3’−5’結合を有するボラノホスフェート、2’−5’結合のこれらの類似物および反転させた極性を有するものを含み、ここで、ヌクレオシド単位の隣接ペアは3’−5’と5’−3’または2’−5’と5’−2’が関連している。種々の塩、混合塩および遊離酸形態も含まれる。
【0073】
上記リン原子含有結合の製造に関する代表的な米国特許は、米国特許第3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;5,625,050;および5,697,248号を含むが、これらに限定されない(これらそれぞれは出典明示により本明細書に包含させる)。
【0074】
そこにリン原子を含まない修飾されたヌクレオシド間結合または骨格(すなわち、オリゴヌクレオシド)の例は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキル糖間結合または1個以上の短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環式糖間結合により形成される骨格である。これらはモルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部から離れて形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;および混合N、O、SおよびCH成分を含む他のものを有するものを含む。表1および表2に示すとおり、dT−dTペアはdsRNAのいずれかの(または両方の)鎖の3’末端に加えられ得る。これらの置換で加えられたdT−dTペアは通常、標的配列に相補的ではない。ホスホロチオエート(硫黄)ヌクレオシド間結合を含み得るこれらのdT−dTペアは安定性を強化するために加えられる。
【0075】
上記オリゴヌクレオシドの製造に関する代表的な米国特許は、米国特許第5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;および5,677,439を含むが、これらに限定されない(これらそれぞれは出典明示により本明細書に包含させる)。
【0076】
場合によっては、オリゴヌクレオチドは非リガンド基により修飾され得る。多くの非リガンド分子は活性、オリゴヌクレオチドの細胞分布または細胞取り込みを増強するためにオリゴヌクレオチドに結合しており、このような結合を行うための方法は科学文献から得られる。このような非リガンド部分は脂質部分、例えば、コレステロール(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10:111; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleosides, 1995, 14:969)またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229)またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923)を含む。このようなオリゴヌクレオチド結合の製造を教示する代表的な米国特許は上記されている。典型的な結合プロトコールは配列の1個以上の位置にアミノリンカーを有するオリゴヌクレオチドの合成を含む。次にアミノ基を適当なカップリング剤または活性化剤を使用して結合する分子と反応させる。結合反応は、まだ固体支持体に結合しているオリゴヌクレオチドまたは溶液相におけるオリゴヌクレオチドの下記開裂のいずれかで実施され得る。HPLCによるオリゴヌクレオチド複合体の精製により一般的に純粋な複合体を得る。このような部分がプラス鎖RNAウイルス(例えば、HCV)感染の原発部位である標的肝臓細胞を増加することができるため、コレステロール複合体の使用は特に好ましい。
【0077】
本明細書はPIK4CB発現をサイレンスし、したがってプラス鎖RNAウイルス増殖を防止し、関連障害を処置するために有用であるdsRNAの種々の態様を記載している。特定の治療剤の設計は種々の形態を取ることができるが、特定の機能特性はdsRNAの好ましい組合せをdsRNAの他の組合せと区別する。特に、当業者によりすべて測定可能な特性、例えば、良い血清安定性、高力価、引き起こされる免疫応答がないおよび良い薬物様行動は、好ましい本発明のdsRNAを同定するために試験される。場合によっては、すべてこれらの機能面が好ましいdsRNA組合せに存在するとは限らない。しかし、当業者は好ましい本発明の化合物を選択するためにこれらの変化および他のものを最適化することができる。
【0078】
本発明者は有意に改善された薬理学的、免疫学的および究極的な治療利益を提供する傾向にある化学修飾の型を知っている。これらの型を選択される標的配列にかかわらずsiRNAを改良するために観察する。表3は表1または表2に示されている二本鎖dsRNAを使用するために好ましい化学修飾の型を示す。これらの型は相互排他的ではない。
表3−siRNAの好ましい化学修飾
【表7】

s=ホスホロチオエート結合
dT=デオキシリボチミジン
2’OMe=RNAの2’−O−メチル修飾
Py=ピリミジンヌクレオチド
Chol=コレステロール。“exo”は3’末端結合を意味する;“endo”は内部ヌクレオシドへの結合を意味する。
uAまたはcA=UAまたはCA RNA配列を示し、UまたはCは示された修飾を受ける。同じことをuGおよびuUに適用する。
【0079】
RNAi薬物をコードするベクター
本発明のdsRNAは、また、インビボで組換えウイルスベクターから細胞内に発現することができる。本発明の組換えウイルスベクターは本発明のdsRNAをコードする配列およびdsRNA配列を発現するための任意の適当なプロモーターを含む。適当なプロモーターは、例えば、U6またはH1 RNA pol III プロモーター配列およびサイトメガロ・ウイルスプロモーターを含む。他の適当なプロモーターの選択は当業者ができる。本発明の組換えウイルスベクターは、また、特定の組織または特定の細胞内環境においてdsRNAの発現のための誘導可能なまたは調節可能なプロモーターを含むことができる。インビボで本発明のdsRNAを細胞に送達するための組換えウイルスベクターの使用は以下により詳細に記載している。
【0080】
本発明のdsRNAは2個の別々の相補的RNA分子または2個の相補的領域を有する単一のRNA分子のいずれかとして組換えウイルスベクターから発現され得る。
【0081】
発現させるdsRNA分子をコードする配列を受け入れることができるすべてのウイルスベクターは、例えば、アデノウイルス(AV);アデノ随伴ウイルス(AAV);レトロウイルス(例えば、レンチウイルス(LV)、ラブドウイルス、マウス白血病ウイルス);ヘルペスウイルスなど由来のベクターを使用することができる。ウイルスベクターの親和性は他のウイルスのエンベロープタンパク質または他の表面抗原を有するベクターを偽型化(pseudotyping)することにより、または、必要に応じて異なるウイルスカプシドタンパク質と置き換えることにより修飾することができる。
【0082】
例えば、本発明のレンチウイルスベクターは水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質で偽型化(pseudotyped)することができる。本発明のAAVベクターは、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するためのベクターを設計することにより異なる細胞を標的とさせることができる。例えば、血清型2ゲノムで血清型2カプシドを発現するAAVベクターはAAV2/2と称する。AAV2/2ベクターのこの血清型2カプシド遺伝子は血清型5カプシド遺伝子により置き換え、AAV2/5ベクターを製造できる。異なるカプシドタンパク質血清型を発現するAAVベクターを構築するための技術は当業者に既知である;例えば、Rabinowitz J E et al. (2002), J Virol 76:791-801(これらの全体の記載を出典明示により本明細書に包含させる)、参照。
【0083】
本発明で使用するために適当な組換えウイルスベクターの選択、dsRNAを発現するための核酸配列をベクターに挿入するための方法およびウイルスベクターを興味ある細胞へ送達するための方法は当業者に既知である。例えば、Dornburg R (1995), Gene Therap. 2: 301-310;Eglitis M A (1988), Biotechniques 6: 608-614;Miller A D (1990), Hum Gene Therap. 1:5-14; Anderson W F (1998), Nature 392: 25-30;およびRubinson D A et al., Nat. Genet. 33: 401-406(これらの全体の記載を出典明示により本明細書に包含させる)、参照。
【0084】
好ましいウイルスベクターはAVおよびAAV由来のものである。特に好ましい態様において、本発明のdsRNAは、例えば、U6もしくはH1 RNAプロモーターまたはサイトメガロ・ウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを含む組換えAAVベクターから2つの別々の相補的一本鎖RNA分子として発現する。
【0085】
本発明のdsRNAを発現するための適当なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法およびベクターを標的細胞へ送達するための方法はXia H et al. (2002), Nat. Biotech. 20: 1006-1010に記載されている。
【0086】
本発明のdsRNAを発現するための適当なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法およびベクターを標的細胞へ送達するための方法はSamulski R et al. (1987), J. Virol. 61: 3096-3101;Fisher K J et al. (1996), J. Virol, 70: 520-532;Samulski R et al. (1989), J. Virol. 63:3822-3826;米国特許第5,252,479号;米国特許第5,139,941号;国際特許出願WO94/13788;および国際特許出願WO93/24641(これらの全体の記載を出典明示により本明細書に包含させる)に記載されている。
【0087】
dsRNAを含む医薬組成物
1つの態様において、本発明は本明細書に記載されているdsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。他の態様において、本発明はdsRNAおよび他の活性成分の組合せを含む。dsRNAおよび活性成分の組合せを含む医薬組成物はプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程と関連する疾患または障害を処置するために有用である。
【0088】
本発明の医薬組成物はPIK4CBまたはPIK4CA遺伝子の発現または活性を抑制するために十分な用量で投与される。本発明のdsRNAを含む組成物が驚くべきことに低用量で投与することができることを本発明者は決定した。5mgのdsRNA/キログラム受容体の体重/日の用量がPIK4CBまたはPIK4CA遺伝子を阻止または抑制するために十分である。
【0089】
一般的に、組合せにおけるそれぞれのdsRNAの適当な用量は0.01から5.0ミリグラム/キログラム受容体の体重/日の範囲、一般的に1マイクログラムから1mg/キログラム体重/日の範囲である。医薬組成物は1日1回で投与されるか、またはdsRNAは放出制御製剤によって持続注入または送達を使用して1日以上にわたって適当な間隔で2、3またはそれ以上の分割用量で投与され得る。その場合、それぞれの分割用量を含むdsRNAは全1日用量を達成するために対応してより少なくしなければならない。投与単位は、また、例えば、数日間にわたってdsRNAの持続放出を提供する慣用の持続放出製剤を使用して、数日間にわたって送達するために合成することができる。この態様において、投与単位は対応する複数の1日用量を含む。
【0090】
疾患または障害の重症度、これまでの治療、対象の一般的な健康状態および/または年齢、および他の疾患の存在、これらに限定されないがこれらを含む、特定の因子が対象を有効に処置するために必要である用量および時間(timing)に影響し得ることを当業者は理解している。さらに、治療有効量の組成物での対象の処理は1回の処理または一連の処理を含むことができる。本発明に包含される個々のdsRNAの有効量およびインビボでの半減期の評価は、慣用の方法を使用して、または本明細書の他のところに記載されているとおりの適当な動物モデルを使用するインビボ試験に基づいて行うことができる。
【0091】
種々の理由のため、2個以上のdsRNAの組合せでプラス鎖RNAウイルス感染を処置することが望ましいかもしれないことを、発明者は認識している。一方のdsRNAが本発明のdsRNAから選択され、他方のdsRNAがプラス鎖RNAウイルスそれ自体を標的とする既知のdsRNAから選択される。HCVまたはHPVまたは他のプラス鎖RNAウイルスを標的とするdsRNAは先行技術の文献から確認することができる。dsRNAの1個以上の型を含む本発明の医薬組成物は本明細書に記載されている個々のdsRNAの用量を含むことが予期される。
【0092】
dsRNAの組合せは単一の投与形態の医薬組成物と一緒に提供され得る。あるいは、組合せdsRNAは別々の投与形態で提供され得、この場合、それらは同じ時または異なる時で恐らく異なる手段により投与され得る。したがって、本発明は本発明のdsRNAの所望の組合せを含む医薬組成物を考慮し;また、組合せレジメンの一部として提供されることを意図する単一のdsRNAの医薬組成物を考慮する。後記の場合、組合せ治療発明は、それにより、組成物の内容よりむしろ投与方法である。
【0093】
マウス遺伝の利点は種々のヒト疾患、例えば、HCV感染が介在する病理過程の試験のための多くのマウスモデルが生産されていることである。このようなモデルはインビボでdsRNAを試験するため、ならびに治療有効量および好ましいdsRNAの組合せを決定するために使用される。
【0094】
すべての方法は本発明のdsRNAをHCVに感染した細胞を含む哺乳動物に投与するために使用することができる。例えば、投与は局所(例えば、膣内、経皮など);経口;または非経口(例えば、皮下、心室内、筋肉内もしくは腹腔内注射または静脈内点滴により)であり得る。投与は(例えば、注射により)迅速であるか、または(例えば、ゆっくりな注入によりまたは持続放出製剤の投与により)長時間で行うことができる。
【0095】
局所投与のために、dsRNAは組成物、例えば、滅菌および非滅菌水溶液、一般的な溶媒、例えば、アルコールの非水溶液または液体または固体油性溶液中で製剤化することができる。このような溶液は、また、バッファー、希釈剤および他の適当な添加剤を含むことができる。局所投与のための組成物は経皮貼布、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴、坐剤、スプレー、液体および粉末の形態で製剤化することができる。ゲルおよびクリームは当分野で既知のポリマーおよび透過剤を使用して製剤化することができる。
【0096】
非経口、くも膜下または脳室内投与のために、dsRNA分子は組成物、例えば、滅菌水溶液中で(バッファー、希釈剤および他の適当な添加剤(例えば、浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体)も含むことができる)製剤化することができる。
【0097】
加えて、本発明のdsRNA分子は非ウイルス方法、例えば、米国特許第6,271,359号に記載されている、例えば、生物的または非生物的方法を使用して、プラス鎖RNAウイルス感染細胞を含む哺乳動物に投与することができる。非生物的送達は、(1)リポソームに本明細書で提供されるdsRNA酸分子を負荷するか;(2)核酸−脂質または核酸−リポソーム複合体と形成するためにdsRNA分子を脂質またはリポソームと複合体化するか;または(3)ポリマー、ナノ粒子またはナノエマルジョンによる治療送達系を提供することを含むが、これらに限定されない種々の方法により達成することができる。これらの技術は他の状況で一般的に当分野でよく知られている。簡潔な記載を以下にする。
【0098】
リポソームまたは脂質複合体はインビトロで細胞をトランスフェクトするために一般的に使用される陽イオン性および中性脂質から構成され得る。陽イオン性脂質は負に帯電した核酸と複合体化し(例えば、電荷関連)、リポソームを形成することができる。カチオン性リポソームの例はリポフェクチン、リポフェクタミン、リポフェクターセおよびDOTAPを含むが、これらに限定されない。リポソームを形成するための方法は当分野でよく知られている。リポソーム組成物は、例えば、ホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミンから形成することができる。リポフェクチン.RTM.(Invitrogen/Life Technologies, Carlsbad, Calif.)およびエフェクテン.TM.(Qiagen, Valencia, Calif.)を含む多数の親油性剤は市販されている。加えて、全身送達方法は市販の陽イオン性脂質、例えば、DDABまたはDOTAPを使用して最適化することができ、これらそれぞれは中性脂質、例えば、DOPEまたはコレステロールと混合することができる。いくつかの場合、リポソーム、例えば、Templeton et al. (Nature Biotechnology, 15: 647-652 (1997))により記載されているものを使用することができる。いくつかの態様において、投与形態はリポソーム、例えば、Morrissey et al. Nat Biotechnol. 2005 Aug;23(8):1002-7. Epub 2005 Jul 24に記載されているSNALPで完全にカプセル化されている。Wheeler, J.J. et al. 1999. Gene Ther. 6, 271-281も参照。他の態様において、ポリカチオン、例えば、ポリエチレンイミンはインビボおよびエキソビボ送達を達成するために使用することができる(Boletta et al., J. Am Soc. Nephrol. 7: 1728 (1996))。核酸を送達するためのリポソームの使用に関するさらなる情報は米国特許第6,271,359号、PCT出願WO96/40964およびMorrissey, D. et al. 2005. Nat Biotechnol. 23(8):1002-7において見出すことができる。
【0099】
生物的送達はウイルスベクターの使用を含むが、これらに限定されない種々の方法により達成することができる。例えば、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスおよびヘルペスウイルスベクター)はdsRNA分子を皮膚細胞および生存細胞に送達するために使用することができる。標準分子生物学技術は、本明細書で提供される1個以上のdsRNAを、核酸を細胞に送達するためにこれまでに開発された異なる多数のウイルスベクターの1つに導入するために使用することができる。これらの得られるウイルスベクターは、例えば、感染により1個以上のdsRNAを細胞に送達するために使用することができる。
【0100】
本発明のdsRNAは薬学的に許容される担体または希釈剤中で製剤することができる。“薬学的に許容される担体”(本明細書において“賦形剤”とも称される)は薬学的に許容される溶媒、懸濁剤または他のすべての薬理学的に不活性なビヒクルである。薬学的に許容される担体は液体または固体であり得、所望の容量、一貫性および他の適切な輸送および化学的特性を提供するように考慮して投与の計画された方法で選択され得る。典型的な薬学的に許容される担体は、例として:水;塩溶液;結合剤(例えば、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトースおよび他の糖、ゼラチンまたは硫酸カルシウム);滑剤(例えば、デンプン、ポリエチレングリコールまたは酢酸ナトリウム);崩壊剤(例えば、デンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含むが、これらに限定されない。
【0101】
加えて、PIK4CB遺伝子発現を標的とするdsRNAは分子(小分子治療剤を含む)、分子構築物、または核酸の混合物と混合された、カプセル化された、結合した、または他の関連したdsRNAを含む組成物に製剤化することができる。例えば、本発明の1個以上のdsRNA薬物を含む組成物は他の治療剤、例えば、抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤およびコルチコステロイド)および抗ウイルス剤(例えば、リビビリン、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビル)を含むことができる。
【0102】
このような化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%が死ぬ量)およびED50(集団の50%が治療有効な量)を決定するために、細胞培養または実験動物を標準医薬処理することにより決定することができる。毒性と治療効果の用量比は治療指数であり、それは比LD50/ED50として示すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0103】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータからヒトにおける使用において種々の用量の製剤で使用することができる。本発明の組成物の用量は一般的にほんのわずかな毒性であるか、または毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内である。該用量は使用される投与形態および利用できる投与経路に依存する範囲内で変化し得る。本発明の方法で使用される任意の化合物に対して、治療有効量は最初に細胞培養アッセイから概算することができる。用量は細胞培養において決定されるとおりのIC50(すなわち、症状の阻害の最大半量を達成する試験化合物の濃度)を含む化合物、または、適当なとき、標的配列のポリペプチド産物(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)の循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルで調整され得る。このような情報はヒトにおいて有効な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0104】
上記単回、または複数回投与に加えて、本発明のdsRNAはHCV感染が介在する病理過程の処置において有効であると既知の他の薬物と組み合わせて投与することができる。いずれにせよ、投与する医師は当分野で有効であると既知の、または本明細書に記載されている標準測定を使用して観察された結果に基づいてdsRNA投与の量および時間を調節することができる。
【0105】
dsRNAの組合せは、好ましい単一のdsRNAの同定に使用される同じ方法を使用して、インビトロおよびインビボで試験することができる。このような組合せは単にバイオインフォマティクス理論に基づいて選択することができる。あるいは、このような組合せは単一のdsRNA薬物に対して本明細書に記載されているものにしたがうインビトロまたはインビボ評価に基づいて選択され得る。dsRNAの組合せを試験するための好ましいアッセイは下記実施例に記載のアッセイである。
【0106】
プラス鎖RNAウイルス感染により引き起こされる疾患を処置するための方法
本明細書に記載されている方法および組成物は、臨床または無症状感染の結果であり得るプラス鎖RNAウイルス感染(例えば、HCV)により引き起こされる疾患および状態を処置するために使用することができる。
【0107】
全体像として、プラス鎖RNAウイルスによる感染を処置する方法はホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(PI4K)の活性を選択的に抑制する化合物を必要とする患者に投与することを含む。このような化合物は前記のものをコードする小分子、dsRNA、DNAアンチセンスDNA、リボザイムまたはDNAベクターから選択することができる。肝臓のPIK4CBおよび/またはPIK4CAに選択的である小分子薬物はプラス鎖RNAウイルスによる感染の処置における治療目的のために非常に関心がある。
【0108】
このような疾患および状態は、本明細書においてときどき“プラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程”と呼ばれる。HCV感染の主な肝臓病学的結果は肝硬変症および出血、肝不全および肝細胞癌腫を含むその合併症である。線維症は肝臓構造を変形させ、微小循環および肝臓機能を妨害する細胞外マトリックス成分の沈着を引き起こす慢性炎症の結果である。肝硬変症が進行し、線維性組織が構築されるため、重度の壊死性炎症活性が起こり、脂肪症が始まる。脂肪症は糖尿病、タンパク質栄養不良、高血圧、細胞毒素(cell toxins)、肥満および無酸素症を含む肝外病状を引き起こす。線維症および脂肪症が重症化するため、肝臓が最終的に機能しなくなり、肝臓移植を必要とする。
【0109】
本明細書において、“処置する方法”または“処置方法”は、示される疾患、障害または状態を処置、予防、それらに対して防止する、またはそれらの1種以上の有意な症状を(目標または対象レベルで)減少させる方法を意味することを意図する。
【0110】
他に定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は本発明に属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および物質は本発明の実施または試験において使用することができるが、適当な方法および物質は以下のとおりである。本明細書に記載のすべての刊行物、特許出願、特許および他の文献はそれらの内容を出典明示により包含させる。不一致の場合、定義を含む本明細書がコントロールする。加えて、物質、方法および実施例は説明のためであり、限定を意図しない。
【実施例】
【0111】
実施例
実施例1:dsRNA合成
試薬の源
試薬源が具体的に本明細書に挙げられていないとき、このような試薬は分子生物学の試薬の何らかの提供源から分子生物学の適用のための標準の質/純度で得ることができる。
【0112】
siRNA合成
一本鎖RNAをExpedite8909合成装置(Applied Biosystems, Applera Deutschland GmbH, Darmstadt, Germany)および固体支持体として制御化多孔性ガラス(CPG, 500Å, Proligo Biochemie GmbH, Hamburg, Germany)を使用することにより1μmoleの規模での固相合成により製造した。RNAおよび2’−O−メチルヌクレオチドを含むRNAはそれぞれ対応するホスホラミダイトおよび2’−O−メチルホスホラミダイトを使用して固相合成により製造した(Proligo Biochemie GmbH, Hamburg, Germany)。これらの構成要素は、例えば、Current protocols in nucleic acid chemistry, Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USAに記載されている標準ヌクレオシドホスホラミダイト化学を使用してオリゴリボヌクレオチド鎖の配列内の選択された部位に組み込まれた。ホスホロチオエート結合はヨウ素酸化剤溶液をアセトニトリル(1%)中のビューケージ試薬の溶液(Chruachem Ltd, Glasgow, UK)で置き換えることにより導入した。さらなる補助的試薬はMallinckrodt Baker(Griesheim, Germany)から得た。
【0113】
陰イオン交換HPLCによる粗オリゴリボヌクレオチドの脱保護および精製は確立されている方法にしたがって実施した。収率および濃度は分光光度計(DU 640B, Beckman Coulter GmbH, Unterschleibheim, Germany)を使用して260nmの波長でのそれぞれのRNAの溶液のUV吸収により測定した。二本鎖RNAはアニーリングバッファー(20mMのリン酸ナトリウム、pH6.8;100mMの塩化ナトリウム)中で相補鎖の等モル溶液を混合し、3分85−90℃で水浴で加熱し、3−4時間室温に冷却することにより製造した。アニール化RNA溶液は使用するまで−20℃で保存した。
【0114】
3’−コレステロール−結合siRNA(本明細書において−Chol−3’として称する)の合成のために、適当に修飾された固体支持体をRNA合成のために使用した。修飾された固体支持体を下記のとおりに製造した:
ジエチル−2−アザブタン−1,4−ジカルボキシレート AA
【化1】

水酸化ナトリウムの4.7Mの水溶液(50mL)を水(50mL)中のグリシンエチル塩酸塩(32.19g、0.23モル)の撹拌した氷冷溶液に加えた。次に、アクリル酸エチル(23.1g、0.23モル)を加え、混合物を反応完了がTLCにより確認されるまで室温で撹拌した。19時間後、溶液をジクロロメタン(3×100mL)で分配した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を蒸留し、AAを得た(28.8g、61%)。
【0115】
3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル−アミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステル AB
【化2】

Fmoc−6−アミノ−ヘキサン酸(9.12g、25.83mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、氷で冷却した。ジイソプロピルカルボジイミド(3.25g、3.99mL、25.83mmol)を0℃で溶液に加えた。次にジエチル−アザブタン−1,4−ジカルボキシレート(5g、24.6mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.305g、2.5mmol)を添加した。溶液を室温にし、さらに6時間撹拌した。反応の完了をTLCにより確認した。反応混合物を真空下濃縮し、酢酸エチルを沈殿ジイソプロピルウレアに加えた。懸濁液を濾過した。濾液を5%塩酸、5%重炭酸ナトリウムおよび水で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(50% EtOAC/ヘキサン)により精製し、11.87g(88%)のABを得た。
【0116】
3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル AC
【化3】

3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステル AB(11.5g、21.3mmol)を0℃でジメチルホルムアミド中の20%のピペリジンに溶解した。溶液を1時間撹拌を続けた。反応混合物を真空下濃縮し、水を残渣に加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。粗生成物をその塩酸塩への変換により精製した。
【0117】
3−({6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}エトキシカルボニルメチル−アミノ)−プロピオン酸エチルエステル AD
【化4】

3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル AC(4.7g、14.8mmol)の塩酸塩をジクロロメタンに取った。懸濁液を氷上で0℃に冷却した。懸濁液にジイソプロピルエチルアミン(3.87g、5.2mL、30mmol)を加えた。得られた溶液にクロロギ酸コレステリル(6.675g、14.8mmol)を加えた。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%塩酸で洗浄した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(10.3g、92%)。
【0118】
1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−4−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル AE
【化5】

カリウムt−ブトキシド(1.1g、9.8mmol)を30mLの乾燥トルエン中でスラリーにした。混合物を0℃に氷で冷却し、5g(6.6mmol)のジエステル ADを撹拌しながら20分以内にゆっくり加えた。温度は添加中、5℃以下を維持した。撹拌を30分0℃で続け、1mLの氷酢酸、次に即座に40mLの水中の4gのNaHPO・HOを加えた。得られた混合物をそれぞれ100mLのジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機抽出物をそれぞれ10mLのリン酸バッファーで2回洗浄し、乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を60mLのトルエンに溶解し、0℃に冷却し、50mLごとの冷pH9.5の炭酸バッファーで3回抽出した。水性抽出物をリン酸でpH3に調節し、40mLごとのクロロホルムで5回抽出し、これを合わせ、乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を25%酢酸エチル/ヘキサンを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.9gのb−ケトエステル(39%)を得た。
【0119】
[6−(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−6−オキソ−ヘキシル]−カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル AF
【化6】

テトラヒドロフラン(10mL)中のb−ケトエステル AE(1.5g、2.2mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.226g、6mmol)の混合物を還流しながら、メタノール(2mL)を1時間にわたって滴下した。撹拌を還流温度で1時間続けた。室温に冷却後、1NのHCl(12.5mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下濃縮し、生成物を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製した(10%のMeOH/CHCl)(89%)。
【0120】
(6−{3−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル}−6−オキソ−ヘキシル)−カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル AG
【化7】

ジオール AF(1.25g、1.994mmol)を真空下でピリジン(2×5mL)と蒸発することにより乾燥させた。無水ピリジン(10mL)および4,4’−ジメトキシトリチルクロライド(0.724g、2.13mmol)を撹拌しながら加えた。反応を室温で一晩行った。反応をメタノールの添加によりクエンチした。反応混合物を真空下濃縮し、残渣にジクロロメタン(50mL)を加えた。有機層を1Mの重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残ったピリジンをトルエンで蒸発させることにより除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(2%のMeOH/クロロホルム、5%のMeOH/CHCl中でRf=0.5)(1.75g、95%)。
【0121】
コハク酸モノ−(4−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1Hシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−ピロリジン−3−イル)エステル AH
【化8】

化合物 AG(1.0g、1.05mmol)をコハク酸無水物(0.150g、1.5mmol)およびDMAP(0.073g、0.6mmol)と混合し、真空下で40℃で一晩乾燥させた。混合物を無水ジクロロエタン(3mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.318g、0.440mL、3.15mmol)を加え、溶液を室温でアルゴン雰囲気下で16時間撹拌した。次にジクロロメタン(40mL)で希釈し、氷冷クエン酸水溶液(5wt%、30mL)および水(2×20mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥濃縮した。残渣を次の工程のためにそのまま使用した。
【0122】
コレステロール誘導体化CPG AI
【化9】

コハク酸エステル AH(0.254g、0.242mmol)をジクロロメタン/アセトニトリル(3:2、3mL)の混合物に溶解した。その溶液にアセトニトリル(1.25mL)中のDMAP(0.0296g、0.242mmol)、アセトニトリル/ジクロロエタン(3:1、1.25mL)中の2,2’−ジチオ−ビス(5−ニトロピリジン)(0.075g、0.242mmol)を連続して加えた。得られた溶液にアセトニトリル(0.6mL)中のトリフェニルホスフィン(0.064g、0.242mmol)を加えた。反応混合物が明橙色になった。溶液をwrist−action shakerを使用して簡単に撹拌した(5分)。長鎖アルキルアミン−CPG(LCAA−CPG)(1.5g、61mM)を加えた。懸濁液を2時間撹拌した。CPGを焼結式漏斗を介して濾過し、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびエーテルで連続して洗浄した。未反応アミノ基を酢酸無水物/ピリジンを使用してマスクした。CPGの達成された負荷をUV測定を取ることにより測定した(37mM/g)。
【0123】
5’−12−ドデカン酸ビスデシルアミド基(本明細書で“5’−C32−”と称される)または5’−コレステリル誘導体基(本明細書で“5’−Chol−”と称される)を有するsiRNAの合成を、コレステリル誘導体のために酸化工程が核酸オリゴマーの5’末端にホスホロチオエート結合を挿入するためにBeaucage試薬を使用して行うことを除いて、WO2004/065601に記載されているとおりに行った。
【0124】
実施例2:dsRNA発現ベクター
本発明の他の局面において、PIK4CB発現活性またはPIK4CA発現活性を調節するdsRNA分子はDNAまたはRNAベクターへ挿入された転写単位から発現する(例えば、Couture, A, et al., TIG. (1996), 12:5-10; Skillern, A., et al., 国際PCT出願WO00/22113、Conrad、国際PCT出願00/22114およびConrad、米国特許第6,054,299号、参照)。これらの導入遺伝子は、宿主ゲノムに組み込まれる導入遺伝子を組み込め受け継がれる、直線構築物、環状プラスミドまたはウイルスベクターに導入することができる。導入遺伝子は、また、それを染色体外プラスミドとして受け継ぐことができるように構築することができる(Gassmann, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:1292)。
【0125】
dsRNAの個々の鎖は2個の別々の発現ベクターのプロモーターにより転写され、標的細胞に共トランスフェクトされ得る。あるいはdsRNAのそれぞれの個々の鎖は両方とも同じ発現プラスミドに位置するプロモーターにより転写され得る。好ましい態様において、dsRNAはdsRNAがステムループ構造を有するようなリンカーポリ核酸配列によって結合される逆方向反復として発現する。
【0126】
組換えdsRNA発現ベクターは一般的にDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。dsRNA発現ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(概説のため、Muzyczka, et al., Curr. Topics Micro. Immunol. (1992) 158:97-129)、参照);アデノウイルス(例えば、Berkner, et al., BioTechniques (1998) 6:616), Rosenfeld et al. (1991, Science 252:431-434)およびRosenfeld et al. (1992), Cell 68:143-155)、参照);またはアルファ・ウイルスならびに当分野で既知の他のものに基づいて構築することができるが、これらに限定されない。レトロウイルスはインビトロおよび/またはインビボで種々の遺伝子を上皮細胞を含む多数の異なる細胞型に導入するために使用されている(例えば、Eglitis, et al., Science (1985) 230:1395-1398; Danos and Mulligan, Proc. NatI. Acad. Sci. USA (1998) 85:6460-6464; Wilson et al., 1988, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 85:3014-3018; Armentano et al., 1990, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 87:61416145; Huber et al., 1991, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 88:8039-8043; Ferry et al., 1991, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 88:8377-8381; Chowdhury et al., 1991, Science 254:1802-1805; van Beusechem. et al., 1992, Proc. Nad. Acad. Sci. USA 89:7640-19 ; Kay et al., 1992, Human Gene Therapy 3:641-647; Dai et al., 1992, Proc. Natl.Acad. Sci. USA 89:10892-10895; Hwu et al., 1993, J. Immunol. 150:4104-4115;米国特許第4,868,116号;米国特許第4,980,286号;PCT出願WO89/07136;PCT出願WO89/02468;PCT出願WO89/05345;およびPCT出願WO92/07573、参照)。細胞のゲノムに挿入された遺伝子を形質導入し、発現することができる組換えレトロウイルスベクターは組換えレトロウイルスゲノムを適当なパッケージング細胞系、例えば、PA317およびPsi−CRIPにトランスフェクトすることにより製造することができる(Comette et al., 1991, Human Gene Therapy 2:5-10; Cone et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6349)。組換えアデノウイルスベクターは感受性の宿主(例えば、ラット、ハムスター、イヌおよびチンパンジー)の種々の細胞および組織に感染させるために使用することができ(Hsu et al., 1992, J. Infectious Disease, 166:769)、また、感染のために分裂に活発な細胞を必要としない利点を有する。
【0127】
本発明のDNAプラスミドまたはウイルスベクターのいずれかのdsRNA発現を駆動するプロモーターは、真核RNAポリメラーゼI(例えば、リボソームRNAプロモーター)、RNAポリメラーゼII(例えば、CMV早期プロモーターまたはアクチンプロモーターまたはU1snRNAプロモーター)または一般的にRNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、U6snRNAまたは7SK RNAプロモーター)または原核プロモーター、例えば、T7プロモーターであり得るが、ただし、発現プラスミドが、また、T7プロモーターからの転写のために必要であるT7 RNAポリメラーゼをコードする。プロモーターは、また、膵臓に導入遺伝子発現を指示することができる(例えば、膵臓のインスリン調節配列(Bucchini et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:2511-2515)、参照)。
【0128】
加えて、導入遺伝子の発現は、例えば、誘導可能な調節配列および発現系、例えば、特定の生理学的レギュレーター、例えば、循環グルコース濃度またはホルモンに感受性である調節配列を使用することにより、正確に制御することができる(Docherty et al., 1994, FASEB J. 8:20-24)。細胞または哺乳動物における導入遺伝子発現の制御のために適当なこのような誘導可能な発現系は、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量化の化学誘導物質およびイソプロピル−ベータ−D1−チオガラクトピラノシド(EPTG)による調節を含む。当業者はdsRNA導入遺伝子の意図する使用に基づいて適当な調節/プロモーター配列を選択することができる。
【0129】
一般的に、dsRNA分子を発現することができる組換えベクターは本明細書に記載されているとおりに送達され、標的細胞で維持する。あるいは、ウイルスベクターはdsRNA分子の短寿命物発現を提供するために使用することができる。このようなベクターは必要なとき繰り返し投与することができる。発現すると、dsRNAは標的RNAに結合し、その機能または発現を調節する。dsRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内または筋肉内投与により、患者から外植された標的細胞に投与し、次に患者へ再導入することにより、または所望の標的細胞に導入することができる任意の他の手段により、全身的にすることができる。
【0130】
dsRNA発現DNAプラスミドは一般的に陽イオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)または非陽イオン性脂質ベース担体(例えば、Transit−TKOTM)との複合体として標的細胞にトランスフェクトされる。1週間以上にわたってPIK4CB遺伝子の異なる領域を標的とするdsRNA介在ノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションは、また、本発明に考慮される。本発明のベクターの宿主細胞への成功した導入は種々の既知の方法を使用してモニタリングすることができる。例えば、短寿命物トランスフェクションはレポーター、例えば、蛍光マーカー、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)で示すことができる。エキソビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、特異的環境因子(例えば、抗生物質および薬物)耐性、例えば、ハイグロマイシンB耐性を有するトランスフェクト細胞を提供するマーカーを使用して保証することができる。
【0131】
PIK4CBおよびPIK4CA特異的dsRNA分子は、また、ベクターに挿入し、ヒト患者に対して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許5,328,470、参照)または定位注射(例えば、Chen et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057、参照)により対象に送達することができる。遺伝子治療ベクターの医薬は許容される希釈剤中の遺伝子治療ベクターを含むことができ、また、遺伝子送達ビヒクルが組み込まれている持続放出マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターから無傷で製造することができるとき、医薬は遺伝子送達系を生じる1個以上の細胞を含むことができる。
【0132】
実施例3:HCV感染に対して必須の宿主標的としてのPIK4CBおよびPIK4CAの同定
大規模トランスフェクションベースsiRNA送達系はPI4KCBおよびPI4KCA標的を同定するために使用した。この系はこれまでに記載されている(Borawski J, Lindeman A, Buxton F, Labow M, Gaither LA. Optimization procedure for small interfering RNA transfection in a 384 well format. J Biomol Screen. 2007 Jun;12(4):546-59. Epub 2007 Apr 13)(出典明示により本明細書に包含させる)。
【0133】
簡単な場合、該系はHCV複製に必須の宿主タンパク質を同定するために設計されたHCVサブゲノムレプリコン系を使用した。Huh7サブゲノムレプリコン細胞系(Lohmann, V., et. al. (1999) Science. 285:110により記載されている)をキノーム(すなわちヒトゲノムの既知のキナーゼ(Dharmacon (Boulder CO))siRNAライブラリーを使用してスクリーニングした。HCVサブゲノムレプリコン系は、構造タンパク質を欠いている修飾されたHCVゲノムで安定に形質転換されたヒト肝細胞癌細胞(Huh7)を使用して、インビトロおよびインビボで試験するためにHCV複製を可能にする。HCVサブゲノムレプリコンはネオマイシン選択マーカー下でシスにおいてルシフェラーゼレポーターを有する非構造タンパク質を含む。この構築物はインビトロでHCVレプリコンRNAレベルおよびレプリコン活性の安定な測定のために設計された。この試験の目的はHuh7細胞のサブゲノムHCVレプリコンを抑制する新規宿主タンパク質を同定するためのツールとしてsiRNAスクリーニング技術を使用するためであった。
【0134】
この目的のために、キノームを標的とする779個のsiRNA smart poolのセットをスクリーニングし、HCVレプリコンの新規レギュレーターが発見され、立証された(Smart poolは混合物を細胞に加える前に等モル濃度の4個の個々のsiRNAを混合することを言う)。PIK4CB(ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド)またはPIK4CA((ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド)に対するsiRNAが高力価でウイルスレプリコンからルシフェラーゼの蓄積を抑制することを確認した。これらのデータはこの細胞タンパク質がHCV複製の阻害のための薬物標的として使用することができることを確認させる。
【0135】
Huh7サブゲノムレプリコン細胞系(本明細書でクローンA細胞とも称する)の構築物はHCVゲノムに基づく。全長HCVゲノムは図1Aで説明される。9.6kbのゲノムは4個の構造タンパク質および6個の非構造タンパク質を有するプラス鎖一本鎖RNAウイルスである。レプリコンの特徴は効果的なレプリコン活性のために必要である5’および3’UTRである。このウイルスはインビトロで複製することができ、感染性ウイルスを作るが、特別な育成および設備が必要である(Thomson BJ, Finch RG. Hepatitis C virus infection. Clin Microbiol Infect. 2005 Feb;11(2):86-94.)。したがって、感染性ウイルスは感染粒子を作る傾向がなくインビトロで複製することができる最小ウイルスゲノムを作るために変化した。構築物を図1Bに示す、クローンA細胞を作るために使用されるHCVサブゲノムレプリコン(Lohmann V, Korner F, Koch J, Herian U, Theilmann L, Bartenschlager R. Relication of subgenomic hepatitis virus RNAs in a hepatoma cell line. Science. 1999 Jul 2;285(5424):110-3)。このウイルスをヒト肝細胞においてインビトロでHCVレプリコン活性を獲得するために高度に最適化した。感染ウイルス粒子を作ることはできないが、細胞質で自己複製することができ、細胞培養試験ならびにハイスループット・スクリーニングに分析することができる。構造タンパク質を、レプリコン活性を測定するために、ネオマイシン耐性遺伝子およびホタルルシフェラーゼレポーターと置き換えた。クローンAr構築物はサブゲノムウイルスとして同じ骨格を構成するが、構造タンパク質が除去されている(図1C)。siRNAがルシフェラーゼ活性または発現を非特異的に抑制することができるとき、この細胞系を試験するために使用した。
【0136】
779個の系統発生的に関連するキナーゼに指示されるsiRNAsmart poolをクローンA(HCVサブゲノムレプリコン)細胞にトランスフェクトした。pGL2ルシフェラーゼに対して指向するsiRNA二本鎖をルシフェラーゼ活性を抑制する陽性対照として使用した。細胞を72時間でトランスフェクトし、ルシフェラーゼ活性をBright−Gloルシフェラーゼアッセイを使用して測定した(Borawski J, Lindeman A, Buxton F, Labow M, Gaither LA. Optimization procedure for small interfering RNA transfection in a 384-well format. J Biomol Screen. 2007 Jun;12(4):546-59. Epub 2007 Apr 13)。
【0137】
いくつかのsiRNAがPIK4CB(NM_002651)およびPIK4CA(NM_002650)を標的とするこれらのプールを含むルシフェラーゼ活性の強力な阻害剤であることを見出した。
【0138】
実施例4:PIK4CBおよびPIK4CAsiRNA活性の確認および測定
スクリーニングからのsiRNAヒットの確認を、複数の非依存性遺伝子特異的siRNAならびに表現型が活性なsiRNAとmRNAノックダウンの効率の相関関係の分析を含む、一連の工程で達成した。siRNAヒットの特異性を確認するために最初に、複数の配列非依存性siRNAがルシフェラーゼ活性を抑制する能力があり、細胞生存に影響する能力がないことを試験した。siRNAヒットを、また、siRNAがレプリコンタンパク質を特異的に標的とし、レプリコン非依存性方法でルシフェラーゼ活性(または発現)を抑制しないことを確認するため、クローンAr(図1cのとおり構造タンパク質を欠いているがクローンAと同様に)細胞において試験した。
【0139】
次の工程は表現型およびRTPCR確認であった。PIK4CBに対する4個の非依存性siRNAおよびPIK4CAに対する4個の非依存性siRNAをレプリコン活性をノックダウンする能力、細胞生存の効果および標的遺伝子mRNAレベルをノックダウンする能力について分析した。
この実施例において使用されるsiRNAは表1および表2に示した。
【0140】
図2はクローンAアッセイにおけるPIK4CBおよびPIK4CAを標的とするdsRNAの結果を示す。個々の二本鎖PIK4CA1−PIK4CA4(カラム1−4)、PIK4CA Smart Pool(カラム5)、個々の二本鎖PIK4CB1−PIK4CB4(カラム6−9)またはPIK4CB Smart Pool(カラム10)のdsRNAの試験結果。細胞を72時間でトランスフェクトし、ルシフェラーゼ活性をBright−Gloルシフェラーゼアッセイを使用して測定した(Borawski J, Lindeman A, Buxton F, Labow M, Gaither LA. Optimization procedure for small interfering RNA transfection in a 384-well format. J Biomol Screen. 2007 Jun;12(4):546-59. Epub 2007 Apr 13)。結果はGAPDH(対照;カラム11)と相対的に測定され、アッセイをクローンA細胞を使用してウェルあたり25nMのdsRNAを使用して実施し;Bright−Glo活性をトランスフェクション72時間後に測定する。GAPDHを標的とするdsRNA(カラム11)は陰性対照として使用し、pGL2を標的とするdsRNA(カラム12)は陽性対照として使用した。
【0141】
図2の結果は、GAPDHと比較して、PIK4CBまたはPIK4CAに指示するdsRNAがクローンA細胞におけるHCVレプリコンの発現(ルシフェラーゼ発現により測定)を少なくとも20%かつ約90%まで減少させることができることを示す。種々の中間体活性を同定する。さらなるデータによって、このアッセイのdsRNAが細胞生存を妨げず、クローンArアッセイにおいて細胞の有意な非特異的効果を示さないことが確認される(データは示していない)。
【0142】
図3Aおよび3Bによって、PIK4CA標的dsRNAはPIK4CAに対して特異的であるが、PIK4CBに対して特異的でないことが確認される;図3Cおよび3Dによって、PIK4CB標的dsRNAはPIK4CBに対して特異的であるが、PIK4CAに対して特異的でないことが確認される。
【0143】
図3の結果はReal−Time PCRを使用して作成した。この方法において、siRNAをトランスフェクトされた2個のウェルを一緒に貯め、mRNAをRNeasy96キットを使用して単離した(Qiagen #74182)。製造物はそれぞれ15分間で2回処理されたDNAse1であった。cDNAをHigh Capacity cDNA Archiveキットを使用して製造し(Applied Biosystems #4322171)、RNAをOligo dT25を使用して準備した(Sigma Genosys)。PCRバッファー(Roche #1699105)を下記のとおりMgCl2(Ambion #9530g)で補った;全量100μlに対して、10×バッファー 10μl、1MのMgCl2 0.55μl、50uMのoligo dT25、100mMのdNTP 4μl、RNasIn 20U/μl 1μl、Multiscribe 50U/μl 5μl、水 12.45μlおよびRNA 66μl。cDNAを社内で設計したプライマーであるPIK4CA(NM_002650)を使用して定量した。
Fwd:GCCCTGTCTGAAGTGAAGGT、配列番号:417
Reverse:CTTTTGCAGCACTCTGCATC、配列番号:418
1662で:1690でイントロン3006bpと交差する 1774で reversed:1690でイントロン3006bpと交差する;
PIK4CBはPIK4CB(NM_002651)に対して社内で設計されたプライマーを使用して製造した。
Fwd:ATGGACAAGGTGGTGCAGAT、配列番号:419
Reverse:CCTCAGTCATGCTCATGTGG、配列番号:420
2334から2452:2374でイントロン981bpと交差する;(Sigma Genosys) Syber green on an Applied Biosystems 7900HT(Applied Biosystems #4329001)を使用する。図3において、ラベル“sp”はSMARTpoolなる用語を意味する。それは混合物を細胞に加える前に等モル濃度の4個の個々のsiRNAを混合することを意味する。Smart Poolにおいて、4個の個々のsiRNAをより低い相対濃度(すなわち、50nM等モル濃度とはSMART pool中のそれぞれの個々のsiRNAに対して12.5nM濃度である)で加える。
【0144】
標的のさらなる確認をPIK4CA(NM_002650, Dharmacon #D-006776)およびPIK4CB(NM_002651, Dharmacon #D-006777)に対する3個の個々の二本鎖のさらなるセットを使用して達成した。siRNAは表1および表2で示されているものを使用した。
【0145】
それぞれのsiRNAを貯蔵濃度20μMにsiRNAバッファー(Dharmacon, #B-002000-UB-015)に再懸濁した。2.5μLのそれぞれの貯蔵溶液を250nMのワーキングスタンプ(working stamp)を作るために96ウェルPCRプレート(ABgene, #AB-1000)中の197.5μLのOpti−Memに希釈した。10μLのOpti−Memで希釈した0.20μLのDharmafect1トランスフェクション試薬(Dharmacon, #T2001-03)を96ウェル組織培養プレート(Costar, #3917)のそれぞれのウェルに加えた。10μLのそれぞれのsiRNAスタンプをDharmafect1を含む96ウェルプレートに加え、複合体を形成させるために20分インキュベートした。インキュベーション後、80μLのアッセイ培地中の6000個のHuh7 HCVサブゲノムレプリコン細胞をウェルごとに加えた。細胞を72時間インキュベートし、ルシフェラーゼ活性および細胞生存をアッセイした(図2であらかじめ記載したとおり)。
【0146】
図4において、それぞれのsiRNAを製造業者の指示に従ってTaqman遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems)を使用して確認した。siRNAを上記96ウェルフォーマット中のHuh7 HCVサブゲノムレプリコン細胞にトランスフェクトした。mRNAをRNeasy96 Kit(Qiagen, #74182)を使用して単離した。デュプリケートウェルのmRNAを一緒に貯め、cDNAをSprint Powerscript Preprimed 96 Plate Oligo(dt)(Clontech Laboratories, #639557)を使用して製造した。cDNAを384ウェルフォーマット中でApplied Biosystemsからの、PIK4CA(NM_002650, Applied Biosystems #Hs01021073_m1)PIK4CB(NM_002651, Applied Biosystems #Hs00356327_m1)のプレミックスTaqmanプローブおよびプライマーを使用して定量した。ウェルあたり4.8μLのcDNAを384ウェルPCRプレート(Applied Biosystems, #4309849)に加えた。0.6μLの興味ある遺伝子(GOI)に対するTaqmanプローブ、0.6μLのβ−アクチン対照プローブ(Applied Biosystems, #4310881E)および6μLの2× PCR Master Mix(Applied Biosystems, #4304437)をウェルごとにcDNAに加えた。反応はApplied Biosystems 7900HT Real Time PCRシステム(Applied Biosystems, #4329001)で実施した。
【0147】
図4Aにおいて、細胞をPI4KAsiRNAでトランスフェクトし、mRNAをPI4KAおよびPI4KBの両方のRTPCR Taq manプローブを使用して測定した。図4Bにおいて、細胞をPI4KBsiRNAでトランスフェクトし、mRNAをPI4KAおよびPI4KBの両方のRTPCR Taq manプローブを使用して測定した。図により証明されるとおり、siRNAはそれらの示す標的を特異的にノックダウンし、他のPI4KmRNA転写または対照(GAPDH)と交差反応および抑制しない。
【0148】
実施例5:宿主およびウイルスタンパク質発現の阻害
図5において、全細胞溶解物をsiRNAでトランスフェクトされたHuh7 HCVサブゲノムレプリコン細胞または未処理細胞単独から製造した。図5の結果のために使用したsiRNAを表1および表2のとおりに命名する。
【0149】
細胞を、10mlの溶解バッファーにつき1個のプロテアーゼカクテル阻害剤錠剤(Roche, #04693116001)を含む放射性免疫沈降法バッファー(RIPA)(Boston Bioproducts, #BP-115)に熔解した。溶解物を製造業者の指示に従ってBCAタンパク質アッセイ(Pierce Biotechnology, #23227)を使用して定量した。等量の溶解物を15%のTris−HCLゲル(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, #345-0019)に負荷し、1時間200Vを流す。ゲルをニトロセルロース膜(Bio-Rad Laboratories, #162-0232)に1時間100Vで移した。膜を5%のミルク(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, #162-0232)、TBS−0.1%のTween(Bio-Rad Laboratories, #170-6435, #161-0787)で1時間ブロックした。ブロットを、ブロッキングバッファーで1:1000に希釈した、PIK4CBに対するマウスモノクローナル抗体(BD Biosciences, #611817)またはHCVタンパク質NS3に対するマウスモノクローナル抗体(Virostat, #1828)および負荷対照としてβ−アクチンに対するマウスモノクローナル抗体(Sigma, St. Louis, MO, #A-5441)で1時間で調べた(PIK4CAに対する抗体は利用しなかった)。TBS−0.1%のTween(TBST)で3回連続希釈後、ブロッキングバッファーで1:5000に希釈したマウスIgGに対するHRP−結合二次抗体(Sigma, #A4416)を1時間で加えた。膜をTBSTで3回洗浄し、免疫反応性バンドをSuperSignal West Femto化学発光基質(Pierce, #34096)を使用して視覚化した。PI4KA抗体を利用しなかったため、PI4KBタンパク質のみが図5で検出された。
【0150】
図5の結果は、PI4KAsiRNAがPI4KBタンパク質レベルに対して効果がないが、PI4KBsiRNAはHuh7細胞におけるPI4KBタンパク質を除去することを示す。試験されたそれぞれのsiRNAは、また、対照と比較してNS3(ウイルス)タンパク質生産において測定可能な減少を示し、したがって、ウイルス複製能力に対して直接作用する。タンパク質ノックダウンと関連しているこれらのsiRNAを使用するmRNAレベルの減少を示すこれらのヒトタンパク質はHCV複製のために必要である。
【0151】
実施例6:ショートヘアピンRNA(shRNA)の使用の確認
図6において、PIK4CA(NM_002650)およびPIK4CB(NM_002651)を標的とするショートヘアピンRNA(shRNA)を5個の個々のSigma MISSIONTM shRNAとして整理した。CD3δ(NM_000732)、CD28(NM_006139)、CD29(NM_033666)およびGFP(U76561)を標的とするshRNAをHCV複製を抑制するための陰性対照として使用した(GFPデータのみ示す)。すべてのshRNA配列をヒトライブラリーMISSIONTM TRC−Hs 1.0.(Human)などで構築した(Moffat J. et al., A Lentivirus RNAi Library for Human and Mouse Genes Applied to an Arrayed Virus High-Content Screen. Cell, 124, 1283-1298. 2006.; Stewart, S.A., et al., Lentivirus-delivered stable gene silencing by RNAi in primary cells., RNA, 9, 493-501 (2003); Zufferey R, et al., Multiply attenuated lentiviral vector achieves efficient gene delivery in vivo., Nat. Biotechnol. 15, 871-85 (1997).; Zufferey R, et al., Self-inactivating lentivirus vector for safe and efficient in vivo gene delivery., J Virol., 72, 9873-80 (1998)。
【0152】
該shRNA配列は前記実験で報告されたsiRNAと異なる非依存性配列であった。表4は発現RNA鎖に対応するDNA配列を記載している。
表4
【表8】

【0153】
shRNAを試験するために、6000 Huh7 HCVサブゲノムレプリコン細胞を96ウェル組織培養プレートに置いた。次の日、培地を最終濃度8ug/mlのポリブレン(sigma H9268)および最終濃度10mMのヘペス(Invitrogen, # 15630080)を有するアッセイ培地を含む形質導入培地で置き換えた。1μLのshRNAウイルスをウェルごとに加え、細胞を2100rpmsで90分室温で遠心した。細胞を24時間インキュベートし、最終濃度2μg/mlのピューロマイシン(Sigma, #P9620)を加えることにより選択した。次に細胞を最低72時間インキュベートし、表現型をアッセイし、WesternおよびRT−PCRにより分析するか、または、長期ノックダウン試験のために増殖させた。図6Aにおいて、HCVレプリコン発現をルシフェラーゼ活性により測定し、GAPDHshRNA形質導入細胞で標準化する。RTPCRのためにPI4KA Taqman probe(図6B)またはPI4KB Taqman probe(図6C)を使用してshRNA形質導入後、PI4KAおよびPI4KBmRNAレベルをHuh7細胞で測定した。PI4KBタンパク質およびNS3タンパク質レベルを実施例5と同様のウエスタンブロット法を使用して測定した。タンパク質レベルをshRNA形質導入の96時間(図6D)および3週間(図6E)後、測定した。
【0154】
図6Aの結果は、PI4KAまたはPI4KBshRNAに指示するshRNAがルシフェラーゼ活性により測定され、GAPDHshRNA形質導入細胞で標準化されるとおり、HCVレプリコン活性を減少させることができることを示す。図6Bは処理後のPI4KAmRNAの相対レベルを示す。PI4KAに指示するshRNAは実質的なノックダウンを示すが、PI4KBを標的とするものの1個のみがPI4KAレベルに影響している(恐らく、高コピー数によるPI4KAとの低い交差反応)。図6Cは、PI4KAに指示するshRNAがPI4KBmRNAレベルに影響しないが、PI4KBを標的とするshRNAの多数が有意なPI4KBのノックダウンに影響することを示す。図6Dは、処理96時間後にPI4KAまたはPI4KBのいずれかに指示するshRNAはうまくNS3ウイルスタンパク質生産を低下させることを示す(そして、PI4KAshRNAはPI4KBタンパク質レベルを下方制御しない)。図6Eの結果はウイルスタンパク質生産のノックダウンが少なくとも3週間持続できることを示す。結論として、PI4KAmRNA減少と細胞のウイルス負荷を抑制することを示すNS3タンパク質レベル間に明らかな相関関係があった。PI4KBmRNAおよびタンパク質減少と細胞のウイルス負荷を抑制することを示すNS3タンパク質レベル間に明らかな相関関係があった。
【0155】
実施例7:生ウイルス感染前または感染後の処理
この実施例において、HCV複製の有効な阻害は、HCV感染前にPIK4CAまたはPIK4CBのいずれかに対するsiRNAで細胞を処理すること(図7)、またはHCV感染後に細胞を処理すること(図8)により達成される。この実施例は、また、mRNAノックダウンの用量依存性を証明する。
【0156】
この実験のために、PIK4CAおよびPIK4CBに対するsiRNA(表1および表2に設計されているとおり)を20μMの貯蔵濃度にsiRNAバッファー(Dharmacon、#B−002000−UB−015)に再懸濁した。3μLのそれぞれの貯蔵溶液を、300nMのワーキングスタンプを作るため、96ウェルPCRプレート(ABgene、#AB−1000)中で197μLのOpti−Memで希釈した。siRNAを10×ストックとしてOptimem(Invitrogen Cat # 51985-034)に希釈し、最終濃度25nM、1.5nMおよび0.1nMに完全細胞培養培地に加えた。10μLのOpti−Memで希釈した0.20μLのDharmafect1 トランスフェクション試薬(Dharmacon、#T2001−03)を96ウェル組織培養プレート(Costar、#3917)のそれぞれのウェルに加えた。10μLのそれぞれのsiRNAスタンプをDharmafect1を含む96ウェルプレートに加え、複合体を形成するために20分インキュベートした。インキュベーション後、100μLのアッセイ培地中の10000個のHuh7.5細胞をウェルごとに加えた。細胞を24時間インキュベートし、次にウミシイタケレポーターを含むJFH−1感染HCV遺伝子型2ウイルスで感染させた。ウミシイタケに対するsiRNAをウミシイタケルシフェラーゼを抑制する陽性対照として使用した。siRNAを生ウイルス感染前(図7A)またはウイルス感染後(図8A)にトランスフェクトして、siRNAがHCVウイルスの取り込みおよび複製の両方をブロックすることができることを証明した。ウイルス上清を、未処理細胞の再感染パーセントで測定するため、細胞から分泌された生ウイルスを測定するために経時変化で回収した(図8B)。Huh7細胞のmRNAのノックダウンパーセントをRTPCRにより測定した(図7B)。
【0157】
我々は最適のレプリコン駆動ルシフェラーゼ活性のために必要ないくつかの新規宿主因子を同定するHuh7 HCVレプリコンsiRNAスクリーンを使用した。このスクリーニングを本発見を確認するために使用した。このスクリーニングはウイルス複製を直接測定しないが、ルシフェラーゼ発現レベルがウイルスレプリコンのコピー数により直接決定されることと仮定する。図7および図8で説明される実験は、本明細書に記載されている活性なsiRNAが確かにウイルスRNA生産を減少させることを示す。
【0158】
smart pool キノームスクリーニングから、PIK4CBおよびPIK4CAがHCVおよび他のプラス鎖RNAウイルス複製のために必須の宿主因子として同定された。遺伝子を標的とする複数の非依存性siRNAは有意にルシフェラーゼレベルを減少させることができるが、レプリコン細胞の細胞生存に影響しない。ルシフェラーゼレベルを減少させるsiRNAは、また、それぞれの標的遺伝子のmRNAレベルを抑制した。したがって、我々は、この試験に使用したsiRNAが的確であり、標的細胞遺伝子の減少を介してHCV複製を有意に調節すると結論づけることができる。
【0159】
我々の発見を説明するための何らかの特定の作用メカニズムと関連があることは望ましくなく、これらの発見の有意性が数倍であることは明白である。PIK4酵素はERおよびゴルジ区画のPtdIns4Pの生産のために必要である。PtdIns4Pの生産はゴルジ完全性を維持し、ゴルジおよびER膜から小胞を出芽し、中間体Ins(4,5)Pを介して必須のシグナル伝達分子であるIns(1,4,5)Pの生産を調節するために必要である(Godi A, Pertile P, Meyers R, Marra P, Di Tulliog, Iurisci C, Luini A, Corda D, De Matteis MA. ARF mediates recruitment of PtdIns-4-OH kinase-beta and stimulates synthesis of PtdIns(4,5)P2 on the Golgi complex. Nat Cell Biol. 1999 Sep;1(5):280-7)。本発見に関して何らかの特異的作用メカニズムと関連があることは望ましくないが、PIK4酵素活性がHCV複製複合体の位置に基づいてHCV複製と関連がある可能性がある。複製複合体が無傷のゴルジおよびER膜を必要とするとき、PIK4酵素の崩壊およびPtdIns4P生産はコンピテント複製環境の形成をブロックするであろう。さらに、PIK4酵素は、ゴルジおよびER膜を介してセラミドおよびコレステロールの輸送を制御し、脂質ラフトの形成に役立つことが知られている(Toth B, Balla A, Ma H, Knight ZA, Shokat KM, Balla T. Phosphatidylinositol 4-kinase IIIbeta regulates the transport of ceramide between the endoplasmic reticulum and Golgi. J Biol Chem. 2006 Nov 24;281(47):36369-77)。HCV複製複合体が有効な活性のために脂質ラフトを必要とする可能性が高い。PIK4ノックダウンが、また、コレステロールおよびセラミド輸送を乱すとき、HCV複製の阻害とも関連する(Ridsdale A, Denis M, Gougeon PY, Ngsee JK, Presley JF, Zha X. Cholesterol is required for efficient endoplasmic reticulum-to-Golgi transport of secretory membrane proteins. Mol Biol Cell. 2006 Apr;17(4):1593-605)。最後に、多くのタンパク質がPIP(4,5)特異的PHドメインを含むことが確認され、このようなタンパク質の局在がPIK4酵素により調節されているようである。したがって、PIK4の役割は、また、複製部位への細胞またはウイルスタンパク質の再指向を含み得る。
【0160】
結論として、我々は、PIK4CBおよびPIK4CAがHCV複製のために必要であるヒト宿主因子酵素であり、そして、これらの遺伝子を標的とするdsRNAがHCVおよび他のプラス鎖ウイルス感染を処理するための適当な治療標的であることを確認した。
【0161】
当業者は、下記の特許請求の範囲の全範囲にわたって本発明が実施することが可能である、本明細書に具体的に記載しているものに加えて方法および組成物をよく知っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(PI4K)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)であって、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPI4KをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PI4K遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PI4K遺伝子の発現を阻害する、dsRNA。
【請求項2】
該第2の配列が実質的にヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)をコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である配列を含む、請求項1に記載のdsRNA。
【請求項3】
該第1の配列および該第2の配列が表1からなる群から選択される、請求項2に記載のdsRNA。
【請求項4】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項2に記載のdsRNA。
【請求項5】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項3に記載のdsRNA。
【請求項6】
該修飾ヌクレオチドが2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチドおよびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基と結合している末端ヌクレオチドの群から選択される、請求項4または5に記載のdsRNA。
【請求項7】
該修飾ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、ロックされたヌクレオチド、非塩基性(abasic)ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダートおよび非天然塩基を含むヌクレオチドの群から選択される、請求項4または5に記載のdsRNA。
【請求項8】
該第1の配列が表1からなる群から選択され、そして該第2の配列が表1からなる群から選択される、請求項4または5に記載のdsRNA。
【請求項9】
該アンチセンス鎖が実質的にヒトホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)をコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である配列を含む、請求項1に記載のdsRNA。
【請求項10】
該第1の配列および該第2の配列が表2からなる群から選択される、請求項9に記載のdsRNA。
【請求項11】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項9に記載のdsRNA。
【請求項12】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項10に記載のdsRNA。
【請求項13】
該修飾ヌクレオチドが2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチドおよびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基と結合している末端ヌクレオチドの群から選択される、請求項11または12に記載のdsRNA。
【請求項14】
該修飾ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、ロックされたヌクレオチド、非塩基性ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダートおよび非天然塩基を含むヌクレオチドの群から選択される、請求項11または12に記載のdsRNA。
【請求項15】
該第1の配列が表2からなる群から選択され、そして該第2の配列が表2からなる群から選択される、請求項11または12に記載のdsRNA。
【請求項16】
請求項1または9に記載のdsRNAを含む細胞。
【請求項17】
dsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む生物におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物であって、ここで、該dsRNAは互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPI4KCBをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PI4KCB遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBの発現を少なくとも10%阻害する医薬組成物。
【請求項18】
該dsRNAの該第1の配列が表1からなる群から選択され、そして該dsRNAの該第2の配列が表1からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
dsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む生物におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物であって、ここで、該dsRNAは互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CAをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CAの発現を少なくとも10%阻害する医薬組成物。
【請求項21】
該dsRNAの該第1の配列が表2からなる群から選択され、そして該dsRNAの該第2の配列が表2からなる群から選択される、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
該dsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項23】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)遺伝子の発現を阻害するための方法であって:
(a)細胞に二本鎖リボ核酸(dsRNA)を導入し、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CBをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PIK4CB遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBの発現を少なくとも40%阻害する;そして、
(b)工程(a)で製造される細胞をPIK4CB遺伝子のmRNA転写の分解を達するために十分な時間維持し、それにより細胞におけるPIK4CB遺伝子の発現を抑制する、
ことを含む方法。
【請求項24】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CA)遺伝子の発現を阻害するための方法であって:
(a)細胞に二本鎖リボ核酸(dsRNA)を導入し、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CAをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、該PIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CAの発現を少なくとも40%阻害する;そして、
(b)工程(a)で製造される細胞をPIK4CA遺伝子のmRNA転写の分解を達するために十分な時間維持し、それにより細胞におけるPIK4CA遺伝子の発現を抑制する、
ことを含む方法。
【請求項25】
治療または予防有効量のdsRNAを処置、予防または管理を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程を処置するための方法であって、ここで、該dsRNAは互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)をコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、PIK4CB遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBの発現を阻害する方法。
【請求項26】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
治療または予防有効量のdsRNAを処置、予防または管理を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルス感染が介在する病理過程を処置するための方法であって、ここで、該dsRNAは互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)をコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、ここで、該相補性領域は30ヌクレオチド長未満であり、そして、PIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CAの発現を阻害する方法。
【請求項28】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)遺伝子の発現を阻害するためのベクターであって、該ベクターはdsRNAの少なくとも一本鎖をコードする核酸配列と作動可能に結合している調節配列を含み、ここで、該dsRNAの鎖の1個は実質的にPIK4CBをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的であり、ここで、該dsRNAは30塩基対長未満であり、そして、PIK4CB遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBの発現を抑制するベクター。
【請求項30】
請求項29に記載のベクターを含む細胞。
【請求項31】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)遺伝子の発現を阻害するためのベクターであって、該ベクターはdsRNAの少なくとも一本鎖をコードする核酸配列と作動可能に結合している調節配列を含み、ここで、該dsRNAの鎖の1個は実質的にPIK4CAをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的であり、ここで、該dsRNAは30塩基対長未満であり、そして、PIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CAの発現を抑制するベクター。
【請求項32】
請求項31に記載のベクターを含む細胞。
【請求項33】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的ベータポリペプチド(PIK4CB)遺伝子の発現レベルを減少させるための二本鎖リボ核酸(dsRNA)であって、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CBをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、そして、PIK4CB遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CBの発現レベルを減少させる二本鎖リボ核酸(dsRNA)。
【請求項34】
該接触がPIK4CBの発現レベルを少なくとも40%減少させる、請求項33に記載のdsRNA。
【請求項35】
該接触をインビトロで30nM以下で行う、請求項33に記載のdsRNA。
【請求項36】
請求項33に記載のdsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む、生物におけるPIK4CBの発現レベルを減少させるための医薬組成物。
【請求項37】
治療有効量の請求項33に記載のdsRNAを処置を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルス感染を処置するための方法。
【請求項38】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
細胞におけるホスファチジルイノシトール4−キナーゼ、触媒的アルファポリペプチド(PIK4CA)遺伝子の発現レベルを減少させるための二本鎖リボ核酸(dsRNA)であって、ここで、互いに相補的である少なくとも2個の配列を含み、ここで、センス鎖は第1の配列を含み、そしてアンチセンス鎖は、実質的にPIK4CAをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である相補性領域を含む第2の配列を含み、そして、PIK4CA遺伝子を発現する細胞と接触すると、該PIK4CAの発現レベルを減少させる二本鎖リボ核酸(dsRNA)。
【請求項40】
該接触がPIK4CAの発現レベルを少なくとも40%減少させる、請求項39に記載のdsRNA。
【請求項41】
該接触をインビトロで30nM以下で行う、請求項39に記載のdsRNA。
【請求項42】
請求項39に記載のdsRNAおよび薬学的に許容される担体を含む、生物におけるPIK4CAの発現レベルを減少させるための医薬組成物。
【請求項43】
治療有効量の請求項39に記載のdsRNAを処置を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルス感染を処置するための方法。
【請求項44】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
表1に記載されているものから選択されるdsRNA。
【請求項46】
請求項45に記載のdsRNAを含む医薬組成物。
【請求項47】
表2に記載されているものから選択されるdsRNA。
【請求項48】
請求項47に記載のdsRNAを含む医薬組成物。
【請求項49】
複数のdsRNAを含む医薬組成物であって、ここで、少なくとも1個のdsRNAは表1に記載されているものから選択され、そして少なくとも1個のdsRNAは実質的にプラス鎖RNAウイルスをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である領域を有する核酸配列を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAから選択される医薬組成物。
【請求項50】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
それぞれのdsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項52】
複数のdsRNAを含む医薬組成物であって、ここで、少なくとも1個のdsRNAは表2に記載されているものから選択され、そして少なくとも1個のdsRNAは実質的にプラス鎖RNAウイルスをコードするmRNAの少なくとも一部に相補的である領域を有する核酸配列を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAから選択される医薬組成物。
【請求項53】
該プラス鎖RNAウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト・パピローマウイルス(HPV)およびデング熱ウイルスから選択される、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
それぞれのdsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項55】
a)表1および表2に記載されているものから選択される少なくとも1個のdsRNA;およびb)i)完全にカプセル化されたリポソーム;ii)脂質複合体;およびiii)ポリマーから選択される送達モダリティー(modality)を含む医薬組成物。
【請求項56】
それぞれのdsRNAが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
複数のdsRNA配列が表1および表2に記載の配列から選択されることをさらに含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項58】
治療有効量の請求項17、20または55に記載の医薬組成物を処置を必要とする患者に投与することを含むHCV感染を処置するための方法。
【請求項59】
ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(PI4K)の活性を選択的に抑制する化合物を処置を必要とする患者に投与することを含むプラス鎖RNAウイルスによる感染を処置するための方法。
【請求項60】
化合物が前記のものをコードするdsRNA、DNAアンチセンスDNA、リボザイムまたはDNAベクターから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
化合物がdsRNAである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
化合物が請求項2または請求項9に記載のdsRNAである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
化合物が配列番号1から配列番号416から選択される配列を有するdsRNAである、請求項62に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−532163(P2010−532163A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514005(P2010−514005)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058706
【国際公開番号】WO2009/004085
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】