説明

ウインドウワイパーのワイパーブレードを被覆するための減摩塗料

ゴム材料を被覆するため、特にウインドウワイパーのワイパーブレードのための、樹脂成分(A)および充填剤成分(B)を含有する減摩塗料であって、樹脂成分(A)はポリアクリレートおよび/またはポリエステルを含有しており、かつ充填剤成分(B)は少なくとも部分的にグラファイトから形成されている減摩塗料を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載されているとおりの減摩塗料、減摩塗料をベースとする被覆を有する、ウインドウワイパーのワイパーブレード、ならびにワイパーブレードを製造する方法に関する。
【0002】
従来技術
ウインドウワイパーのワイパーブレードは一般に、エラストマーからなる異形材を基に製造されており、このことによってワイパーブレードと、払拭されるガラス表面との間の最適な接触が、その表面の輪郭とは無関係に保証されている。このために、ワイパーブレードはワイパーゴム異形材を備えており、これはたとえば天然ゴム、クロロプレン、シリコーンゴムまたはポリウレタンゴムを基に製造されている。しかしゴム材料は、払拭されるガラス表面と接触する際に高い摩擦係数を示すので、ガラス表面の汚れを払拭するために必要とされる水平移動のためには高いエネルギーが消費される。さらにこの場合に大きな作動音がする。
【0003】
ワイパー用異形材の摩擦係数を低減するために、たとえばUS6,730,360からは、エラストマー異形材のための表面被覆の使用が公知であり、これは、ポリウレタンとシロキサン以外に、ポリアミド粉末、ポリエチレン粉末またはポリアミド溶液を含有する減摩塗料を施与することによって行われる。減摩塗料中に含有されているこれらの潤滑剤は、硬質粒子のタイプに分類され、構成上は被覆から突出し、このことによってワイパーゴムと汚れを払拭されるガラス表面との間のスペーサーとして作用する。このことはワイパー品質の低減という否定的な効果と結びついており、これはたとえば縞模様の形成において現れる。さらに該粒子は被覆マトリックスへの付着性が低いため、ワイパーゴムの使用の間に表面から容易にはく離しうる。
【0004】
発明の開示
本発明の課題は、ゴム材料を被覆するための減摩塗料ならびに該減摩塗料を含むワイパーブレードを製造する方法を提供することであり、このことによって、低い摩擦値と同時に良好な拭き跡(Wischbild)を示すワイパーブレードのためのワイパーゴムの製造が可能になる。
【0005】
本発明の根底に存在する課題は、独立請求項の特徴を有するゴム材料、減摩塗料をベースとする表面被覆を含むウインドウワイパーのワイパーブレードを被覆するための減摩塗料によって、ならびにその製造方法によって解決される。
【0006】
本発明による減摩塗料によってワイパーゴム異形材の被覆が可能になり、該異形材は極めて耐摩耗性であり、実質的にクリアな拭き跡を示す。このようにして作られた被覆は、軟質の粒子から形成される充填剤成分、たとえばグラファイトを潤滑剤として、ならびに適切に硬化する結合剤成分を含有する複合材構造を形成している。比較的軟質の潤滑剤粒子は、得られるワイパーゴムの高いワイピング品質(Wischqualitaet)をもたらし、かつ使用される硬質の結合剤成分は、ワイパーゴムの表面上での潤滑剤粒子の強固な結合を、低い摩擦係数および高い耐摩耗性という肯定的な副作用と共にもたらす。
【0007】
さらに本発明によるワイパーブレードは、自動車の疎水性フロントガラスの汚れを払拭するためにも適切である。その撥水効果に基づいて、水分が作用する際に潤滑剤のような働きをする水の膜はその表面上に形成されない。その限りでワイパーブレードは、このような疎水性ガラス表面をワイピングする際に、乾燥した表面上における場合に匹敵する特性を示す。このため、疎水性のフロントガラスの汚れを払拭する場合には、優れた潤滑特性が、高い耐摩耗性と満足のゆく拭き跡と共に可能となる被覆が前提となっている。このようなワイパーゴムの被覆をグラファイトまたは二硫化モリブデンをベースとして製造する場合には、これらは、払拭されるガラス表面上でのワイパーブレードの摩擦係数の低下につながる。
【0008】
ただし潤滑剤としてのグラファイトの効率は、ワイパーゴムの表面被覆中でのその濃度に著しく依存する。そのため、グラファイト粒子は、その柔らかさ、および表面被覆中で通常必要とされる高い濃度、ひいては表面被覆へのその結合性の低さに基づいて、すぐに侵食される傾向があり、このことによってワイパーゴム異形材の耐摩耗性が低下する。十分に低い摩擦係数を達成するために、グラファイトはしばしば、被覆中での臨界的な顔料体積濃度を超えて添加され、このため、被覆への潤滑剤の結合性が低いことに基づいて高い摩耗につながる。
【0009】
本発明のその他の有利な実施態様は、従属請求項から明らかである。
【0010】
たとえば、減摩塗料の樹脂成分として、ヒドロキシル基変性されたポリエステルおよび/またはポリアクリレートを使用することが有利である。樹脂成分を硬化させるためにメラミン−ホルムアルデヒド架橋剤および/またはイソシアネート架橋剤を使用する場合、充填剤成分としてのグラファイトと共にポリマーマトリックスが生じ、これはグラファイトの高い体積画分にもかかわらず、潤滑剤粒子として機能する充填剤成分の、被覆マトリックスへの十分な結合を可能にするためには十分の硬度を有する。
【0011】
本発明の特に有利な実施態様によれば、前記の被覆されたゴム材料を含むワイパーブレードの製造は、まず、ワイパーゴムを二重異形材(Doppelprofil)の形で製造し、かつ減摩塗料で被覆することによって行う。引き続きまず、ワイパーゴム異形材を個別の部材に分割し、かつ最後に減摩塗料の架橋を行う。このようにして、切断端部によって境界付けられ、後に払拭されるガラス板に対向する範囲を形成する切断面の範囲では減摩塗料によって被覆されていないワイパーゴム異形材が得られる。
【0012】
該ワイパーゴム異形材は運転中に、ワイパー運動に基づいて、減摩塗料により被覆されている切断端部によりガラス面上をスライドする傾向があるが、ワイパー運動の転向点において全面においてその被覆されていない切断面によってガラス板上に存在し、ワイパーゴム異形材が対向運動する際に、減摩塗料によって被覆された切断端部とガラス板とが接触する。
【0013】
これは有利なことである。というのも、ワイパー運動の間には単にワイパーゴム異形材の、減摩塗料によって被覆された区分のみが、払拭されるガラス板と接触し、その際、ワイパーゴム異形材は、低い摩擦係数と、良好な拭き跡を示すからである。転向点では、ワイパーゴム異形材はその被覆されていない切断面で、クリーニングすべきガラス板と接触し、その際、被覆されていないゴム材料の高い摩擦係数に基づいて、顕著な音を生じることなく迅速な反転プロセスにつながり、ワイパーゴム異形材の迅速な、対向するワイパー運動がもたらされる。
【0014】
実施例
本発明は、ゴム材料、たとえば自動車のウインドウワイパーのためのワイパーブレードのワイパーゴムを被覆するための減摩塗料に関する。このようなワイパーゴムは、ゴム成分としてたとえば天然ゴム(NR)、ポリクロロプレン(CR)、EPDM、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、ポリスチレンブタジエン(SBR)、ポリアクリロニトリルブタジエン(NBR)、ポリアクリロニトリルブタジエンとPVCとの混合物、または前記のゴム材料相互の混合物を含有しているゴム材料からなるマトリックスを含む。
【0015】
このようなワイパーゴムの物理的特性、たとえば摩擦係数および耐摩耗性を改善するために、ゴム材料は、充填剤成分Bとしての軟質の乾燥潤滑剤と、硬化した状態で比較的硬質な結合剤成分Aを含有する減摩塗料によって被覆される。充填剤成分Bとして、たとえばグラファイトが使用される。これは減摩塗料中に3〜20質量%、有利には5〜15質量%の割合で、特に減摩塗料中に7〜10質量%含有されている。
【0016】
さらに減摩塗料は、たとえばポリアクリレートおよび/またはポリエステルにより形成されているか、またはこれらを含有する樹脂成分Aを含有する。有利には樹脂成分Aとして、ヒドロキシル基変性ポリマーを使用する。ヒドロキシル基による変性度は、たとえば0.5〜20質量%、有利には1〜15質量%、特に2〜10質量%であり、その際、百分率の記載はそのつどポリマー100gあたりのヒドロキシ官能基の量に対するものである。
【0017】
硬化した減摩塗料中の結合剤成分Aの割合は、たとえば1〜30質量%、有利には1.5〜20質量%、特に1.7〜9質量%である。
【0018】
結合剤成分Aを硬化するために、減摩塗料にはさらに、たとえば硬化剤成分Cを添加する。硬化剤成分Cはたとえばイソシアネートまたはメラミン/ホルムアルデヒド樹脂をベースとする硬化剤であってよい。その際に、硬化剤成分Cの割合は、硬化した減摩塗料中で、たとえば0.2〜20質量%、有利には0.5〜15質量%、特に1.5〜9質量%である。
【0019】
減摩塗料の硬化後に、得られたゴム材料の被覆中の結合剤成分Aの割合は、たとえば5〜50質量%、有利には10〜45質量%および特に20〜45質量%であり、充填剤成分Bの割合は、たとえば30〜80質量%、有利には35〜70質量%、および特に35〜65質量%であり、かつ硬化剤成分Cの割合は、たとえば0.5〜45質量%、有利には4〜40質量%および特に7〜38質量%である。
【0020】
ウインドウワイパーのワイパーブレードのためのワイパーゴム異形材の製造は、まずワイパーゴム異形材を二重ストランド(Doppelstrang)の形で押出成形するか、射出成形によって製造することによって行う。減摩塗料で被覆する前に、場合により異形材表面のハロゲン化、特に塩素化を実施することができる。これは、ゴム表面の付加的な硬化もしくは化学的な変性を行うことができ、このことにより減摩塗料の塗布により形成された被覆の付着性を改善することができるという利点を有する。その後、二重異形材を、前記の減摩塗料で被覆し、かつ引き続き二重ストランドを長さ方向に2つの個々の異形材ストランドに分割し、これらをふたたび個々のワイパーゴム異形材を製造するために分割することができる。最後に減摩塗料の架橋を行う。
【0021】
例1
結合剤成分Aとして、ヒドロキシル基官能化ポリアクリレートと、充填剤成分Bとしてグラファイトと、硬化剤成分Cとして、メチルイミノメラミンアミノプラスト硬化剤(たとえばCytec社のCymel327)、ならびに慣用の加工助剤を含有する水性減摩塗料溶液を、エラストマー異形材の表面上に塗布する。この場合、減摩塗料は以下の組成を有している:
結合剤成分A 9質量部
充填剤成分B 10質量部
硬化剤成分C 2.8質量部
ポリアクリレート増粘剤 0.2質量部
ブチルグリコール 14質量部
脱イオン水 50.5質量部。
【0022】
結合剤成分Aは、3.3%のヒドロキシル基含有率を有する。ワイパーゴムを製造するために、減摩塗料を、塩化ゴム、たとえばCRからなる二重ストランドのワイパーゴム異形材上に塗布する。溶剤を除去するための乾燥工程の後に、ワイパーゴム二重異形材を長さ方向に2つの個々の異形材に分割する。個々の異形材を約150℃の温度で5〜20分間硬化させ、その際、約4μmの膜厚と、以下の組成を有する被覆が生じる:
結合剤成分A 41.3質量%、
充填剤成分B 45.7質量%、
硬化剤成分C 13.0質量%。
【0023】
このようにして、45.7:54.3の結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率が生じ、このことによりワイパーゴムの良好な減摩特性が得られる。被覆へのグラファイト粒子の強力な結合によって、優れた耐摩耗性が生じる。
【0024】
例1に記載の減摩塗料により被覆したゴム材料の摩擦係数を測定するために、親水性のガラス表面上および疎水性のガラス表面上で測定を実施する。たとえば濡れた親水性ガラス表面上での摩擦係数は、30cm/secのワイパー速度の場合、測定の開始時には0.48であり、かつ1時間のワイパー運動の後では0.40である。濡れた疎水性ガラス表面上では、30cm/secのワイパー速度の場合、ワイパー運動の開始時には0.37であり、かつ1時間後には0.35である。特に負荷のかかるワイパーリップの外側のコーナー部を顕微鏡で観察したところ、機械的な損傷は生じていないことが判明した。拭き跡はクリアである。
【0025】
例2
例1における場合と同様の比較可能な減摩塗料を使用するが、充填剤成分Bとして、グラファイトの水性分散液を使用する。減摩塗料により被覆したワイパーゴムの製造は、例1に記載されているとおりに行う。得られた、約4μmの膜厚を有する被覆は以下の組成を有する:
結合剤成分A 41.2質量%、
充填剤成分B 45.8質量%、
硬化剤成分C 13.0質量%。
【0026】
従って、結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率が、54.2/45.8の被覆が得られる。例1と同様の比較可能な物理的特性が、クリアな拭き跡と共に生じる。
【0027】
例3
結合剤成分Aとしての、ヒドロキシル基含有率2.0%を有するヒドロキシル基により官能化されたポリアクリレートと、充填剤成分Bとして天然グラファイトと、ヘキサメチルジイソシアネートを基とする脂肪族ポリイソシアネートをベースとする硬化剤成分C、ならびに慣用の加工助剤を含有する非水性減摩塗料溶液を、エラストマー異形材の表面のために塗布する。この場合、減摩塗料は以下の組成を有する:
結合剤成分A 5.5質量部、
充填剤成分B 8.3質量部、
硬化剤成分C 2.25質量部、
促進剤 1.0質量部、
キシレン 29.2質量部、
メトキシプロピルアセテート 20.8質量部、
N−ブチルアセテート 29.7質量部。
【0028】
試験体として、例1と同様のワイパーゴム異形材を使用した。上記の減摩塗料により被覆した後で、まず溶剤を蒸発させるための乾燥工程もしくはゲル化工程を行い、その後、二重異形材を2つの個別の異形材に分割する。これらを130℃で約30分間硬化させ、その際、以下の組成を有する、厚さ4μmの硬化した被覆が生じる:
結合剤成分A 34.3質量%、
充填剤成分B 51.7質量%、
硬化剤成分C 14.0質量%。
【0029】
従って、51.7/48.3の結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率が、優れた物理的特性と、クリアな拭き跡と共に生じる。
【0030】
例4
結合剤成分Aとして、2.0%のヒドロキシル基含有率を有するヒドロキシル基により官能化されたポリアクリレートと、充填剤成分Bとして天然グラファイトと、硬化剤成分Cとしてヘキサメチルジイソシアネートの形の脂肪族ポリイソシアネートとを含有し、以下の組成を有する減摩塗料を使用する:
結合剤成分A 6.6質量部、
充填剤成分B 15.0質量部、
硬化剤成分C 1.7質量部、
促進剤(溶液として) 1.1質量部、
キシレン 22.5質量部、
メトキシプロピルアセテート 22.5質量部
N−ブチルアセテート 25.7質量部。
【0031】
減摩塗料を、例3に記載した塗布法によりワイパーゴム試験体上に塗布する。厚さ4μmで、以下の組成を有するワイパーゴム成形体が得られる:
結合剤成分A 28.4質量%、
充填剤成分 64.3質量%、
硬化剤成分C 7.3質量%。
【0032】
従って、64.3対35.7の結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率が、良好な物理的特性と、クリアな拭き跡と共に生じる。
【0033】
例5
結合剤成分Aとして、4.5%の平均ヒドロキシル基含有率を有する、ヒドロキシル基により官能化されたポリエステルと、充填剤成分Bとして天然グラファイトと、硬化剤成分Cとしてイソシアネートをベースとする硬化剤とを含有する減摩塗料を使用する。以下の組成を有する減摩塗料が生じる:
結合剤成分A 6.6質量部、
充填剤成分B 18.0質量部、
硬化剤成分C 3.7質量部、
促進剤(溶液として) 1.1質量部、
キシレン 22.0質量部、
メトキシプロピルアセテート 22.0質量部、
N−ブチルアセテート 25.9質量部。
【0034】
例3に記載の製造方法により、減摩塗料被覆を備えた、例1と同様のワイパーゴム試験体を使用する。以下の組成を有する、厚さ4μmの被覆が生じる:
結合剤成分A 23.3質量%、
充填剤成分B 63.6質量%、
硬化剤成分C 13.1質量%。
【0035】
結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率は、63.6/36.4である。優れた物理学的特性と、クリアな拭き跡が生じる。
【0036】
例6
結合剤成分Aとして、結合剤成分A1としてのヒドロキシル基官能化ポリアクリレートおよび結合剤成分A2としてのヒドロキシル基官能化ポリエステル/ポリウレタンをコポリマーまたは混合物の形で含有する混合物、ならびに充填剤成分Bとして、充填剤成分B1としてのグラファイトおよび充填剤成分B2としてのポリエチレンワックスの混合物、および硬化剤成分Cとして、メチルイミノメラミンアミノプラスト硬化剤(たとえばCytec社のCymel 303)、ならびに慣用の加工助剤を含有する水性の減摩塗料組成物を、エラストマー異形材の表面上に塗布する。この場合、減摩塗料は、以下の組成を有している:
結合剤成分A1 3.7質量部、
結合剤成分A2 1.0質量部、
充填剤成分B1 9.0質量部、
充填剤成分B2 2.8質量部、
硬化剤成分C 9.8質量部、
ポリアクリレート増粘剤 0.2質量部、
ブチルグリコール 14.0質量部、
脱イオン水 56.4質量部。
【0037】
結合剤成分A1は、3.9質量%のヒドロキシル基含有率を有し、かつ結合剤成分A2は、2.5質量%のヒドロキシル基含有率を有する。
【0038】
ワイパーゴムを製造するために、減摩塗料を、塩化ゴム、たとえばCRからなる二重ストランドのワイパーゴム異形材上に塗布する。溶剤を除去するための乾燥工程の後で、ワイパーゴム二重異形材を、10〜20分間の時間にわたって、約150℃の温度に加熱し、その際、約3μmの膜厚と、以下の組成を有する化学的に架橋した被覆が生じる:
結合剤成分A1 14.1質量%、
結合剤成分 A2 3.8質量%、
充填剤成分B1 34.2質量%、
充填剤成分B2 10.7質量%、
硬化剤成分C 37.2質量%。
【0039】
このようにして、44.9/55.1の結合剤A1およびA2ならびに硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率(B1+B2)/(A1+A2+C)が生じる。ワイパーゴム二重異形材を長さ方向に切断することによって、2つの個々の異形材に分割する。被覆にグラファイト粒子が強固に結合していることにより、顕著な耐摩耗性が生じる。
【0040】
例6に記載の減摩塗料により被覆したゴム材料の摩擦係数を測定するために、疎水性のガラス表面上で測定を実施する。たとえば濡れた疎水性のガラス表面上の摩擦係数は、30cm/secのワイパー速度の場合、ワイパー運動の開始時には0.41であり、かつ1時間後には0.58である。特に負荷のかかるワイパーのリップの外側のコーナー部を顕微鏡で観察したところ、機械的な損傷は存在していないことが判明した。拭き跡はクリアである。
【0041】
例7
結合剤成分Aとして、結合剤成分A1としてのヒドロキシル基官能化ポリアクリレートおよび結合剤成分A2としてのコポリマーまたは混合物の形のヒドロキシル基官能化ポリエステル/ポリウレタンを含有する混合物と、充填剤成分Bとして、充填剤成分B1としてのグラファイトおよび充填剤成分B2としてのポリエチレンワックスの混合物と、硬化剤成分Cとして、メチルイミノメラミンアミノプラスト硬化剤(たとえばCytec社のCymel 303)、ならびに慣用の加工助剤を含有する水性の減摩塗料組成物を、エラストマー異形材の表面上に塗布する。この場合、減摩塗料は、以下の組成を有している:
結合剤成分A1 3.7質量部、
結合剤成分A2 1.0質量部、
充填剤成分B1 9.0質量部、
充填剤成分B2 2.8質量部、
硬化剤成分C 1.6質量部、
ポリアクリレート増粘剤 0.2質量部、
ブチルグリコール 14.0質量部、
脱イオン水 56.4質量部。
【0042】
結合剤成分A1は、3.9質量%のヒドロキシル基含有率を有する。結合剤成分A2は、2.5質量%のヒドロキシル基含有率を有する。ワイパーゴムを製造するために、減摩塗料を、塩化ゴム、たとえばCRからなる二重ストランドワイパーゴム異形材上に塗布する。溶剤を除去するための乾燥工程の後で、ワイパーゴム二重異形材を、10〜20分の時間にわたって約150℃に加熱し、その際、膜厚約3μmおよび以下の組成を有する化学的に架橋した被覆が生じる:
結合剤成分A1 20.4質量%、
結合剤成分A2 5.5質量%、
充填剤成分B1 49.8質量%、
充填剤成分B2 15.5質量%、
硬化剤成分C 8.8質量%。
【0043】
このようにして、65.3/34.7の結合剤A1およびA2ならびに硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率(B1+B2)/(A1+A2+C)が生じる。
【0044】
ワイパーゴム二重異形材を長さ方向に切断することにより、2つの個々の異形材に分割する。グラファイト粒子が被覆に強く結合していることによって、優れた耐摩耗性が生じる。
【0045】
例8
結合剤成分Aとして、コポリマーまたは混合物の形でヒドロキシル基官能化ポリエステル/ポリウレタン、ならびに充填剤成分Bとして、グラファイト、および硬化剤成分Cとして、メチルイミノメラミンアミノプラスト硬化剤(たとえばCytec社のCymel303)、ならびに慣用の加工助剤を含有する水性減摩塗料組成物を、エラストマー異形材の表面上に塗布する。この場合、減摩塗料は以下の組成を有する:
結合剤成分A 1.3質量部、
充填剤成分B 13.6質量部、
硬化剤成分C 5.9質量部、
ポリアクリレート増粘剤 0.1質量部、
ブチルグリコール 2.0質量部、
脱イオン水 51.8質量部。
【0046】
結合剤成分Aは、3.9質量%のヒドロキシル基含有率を有する。ワイパーゴムを製造するために、減摩塗料を、塩化ゴム、たとえばCRからなる二重ストランドワイパーゴム異形材上に塗布する。溶剤を除去するための乾燥工程の後で、ワイパーゴム二重異形材を、10〜20分の時間にわたり約150℃の温度に加熱し、その際、約3μmの膜厚と、以下の組成を有する化学的に架橋した被覆が生じる:
結合剤成分A 6.3質量%、
充填剤成分B 65.4質量%、
硬化剤成分C 28.3質量%。
【0047】
このようにして、65.4/34.6の結合剤Aおよび硬化剤Cの割合の合計に対する充填剤割合の比率が生じる。ワイパーゴム二重異形材を長さ方向に切断することにより2つの個々の異形材に分割する。グラファイト粒子が被覆に強く結合していることによって、優れた耐摩耗性が生じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム材料、特にウインドウワイパーのワイパーブレードを被覆するための、結合剤成分(A)および充填剤成分(B)を含有する減摩塗料において、結合剤成分(A)は、ポリアクリレートおよび/またはポリエステルを含有しており、かつ充填剤成分(B)は、少なくとも部分的にグラファイトから形成されていることを特徴とする、ゴム材料を被覆するための減摩塗料。
【請求項2】
前記ポリアクリレートおよび/または前記ポリエステルが、ヒドロキシル基変性されていることを特徴とする、請求項1記載の減摩塗料。
【請求項3】
前記ポリアクリレートが、2〜10%までヒドロキシル基変性されていることを特徴とする、請求項2記載の減摩塗料。
【請求項4】
前記ポリエステルが、ポリウレタンとの混合物またはコポリマーを形成することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の減摩塗料。
【請求項5】
グラファイトが3〜20質量%の割合で減摩塗料中に含有されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の減摩塗料。
【請求項6】
さらに硬化剤成分(C)が含有されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の減摩塗料。
【請求項7】
前記硬化剤成分(C)が、メラミン−ホルムアルデヒド硬化剤および/またはポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項6記載の減摩塗料。
【請求項8】
硬化剤成分が、0.2〜20質量%の割合で減摩塗料中に含有されていることを特徴とする、請求項6または7記載の減摩塗料。
【請求項9】
ウインドウワイパーのワイパーブレードであって、ゴム材料からなり、表面が被覆されているゴム異形材を備えたワイパーブレードにおいて、該被覆が、請求項1から8までのいずれか1項記載の減摩塗料をベースとして製造されていることを特徴とする、ウインドウワイパーのワイパーブレード。
【請求項10】
前記被覆が、1〜7μmの膜厚を有していることを特徴とする、請求項9記載のワイパーブレード。
【請求項11】
前記被覆が硬化した状態で、充填剤成分(B)を、結合剤成分(A)および硬化剤成分(C)の割合の合計に対して、40/60〜66/34の比率で含有していることを特徴とする、請求項9または10記載のワイパーブレード。
【請求項12】
前記被覆が硬化した状態で、結合剤成分(A)を、5〜50質量%の割合で含有していることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項13】
前記被覆が硬化した状態で、充填剤成分(B)を、30〜80質量%の割合で含有していることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項14】
前記被覆が硬化した状態で、硬化剤成分(C)を、0.5〜38質量%の割合で含有していることを特徴とする、請求項9から13までのいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項15】
請求項9から14までのいずれか1項記載のワイパーブレードの製造方法において、まずワイパーゴム異形材を二重異形材として製造し、かつ減摩塗料で被覆し、引き続き該ワイパーゴム異形材を個別の部材に分割し、最後に減摩塗料の架橋を実施することを特徴とする、請求項9から14までのいずれか1項記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項16】
減摩塗料として、請求項1から8までのいずれか1項記載の減摩塗料を使用することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ワイパーゴム異形材を前記減摩塗料で被覆する前に、表面をハロゲン化することを特徴とする、請求項15または16記載の方法。

【公表番号】特表2010−540706(P2010−540706A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526257(P2010−526257)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062572
【国際公開番号】WO2009/043743
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】