ウェットペイント過剰スプレー分離のための装置および工程
本発明は、過剰スプレー粒子を含む排気流(120)から、ウェットペイント過剰スプレーを分離する装置に関する。過剰スプレー粒子は、塗装装置(100)の塗布領域(108)にあり、排気流(120)に流入し、装置(126)は、排気流(120)の少なくとも一部から過剰スプレーを分離するように使用される少なくとも1つの分離装置(168)を備える。本発明は、ウェットペイント過剰スプレーが装置の壁に付着することを防止する、装置を提供することを目的とする。本発明に従い、装置は、塗布領域(108)の下で複数のセクション(136、138)に分割され、少なくとも1つの分離装置(168)がセクションの1つ(138)に設けられる。また装置は、排気流(120)の流路の範囲を形成していて且つ少なくとも1つのフローガイド要素(132)上に配置される、壁上の空気カーテンを生成するように使用される、少なくとも1つの空気カーテン生成装置(200)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットペイント過剰スプレーを、過剰スプレー粒子を含む排気流から分離する装置に関し、過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリの塗布領域に入る排気流に入り込み、装置は、排気流の少なくとも一部から、過剰スプレーを分離する少なくとも1つの分離装置を備える。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、例えば、特許文献DE 42 11 465 C2により知られており、加工品の塗装、特に、車体のスプレー塗装用のアセンブリにおいて使用され、アセンブリの塗布領域を通して空気流が生成され、塗布領域から過剰のウェットペイントが排出される。
【発明の開示】
【0003】
本発明の基盤を形成する目的は、上記のタイプの装置を提供することであって、装置の壁表面が、ウェットペイント過剰スプレーにより目詰まりすることが防止される。
【0004】
この目的は、本発明により、請求項1の序文の特徴を有する装置により達成され、請求項1によれば、本装置は、少なくとも1つのフローガイド要素により複数のセクションに分割されていて且つ塗布領域の下に配置された、フローチャンバを備え、セクションの1つには少なくとも1つの分離装置が設けられ、本装置は、排気流の流路の範囲を定め且つ少なくとも1つのフローガイド要素上に配置される、壁表面の空気カーテンを生成するための少なくとも1つの空気カーテン生成装置を備える。
【0005】
本発明による解決策は、生成された空気カーテンによりウェットペイント過剰スプレーを含む排気流は、空気カーテンにより保護された壁表面に進むことが防止され、排気流からのウェットペイント過剰スプレーが、この壁表面に付着することが防止されるという概念に基づいている。
【0006】
このようにして、特に、ウェットペイント過剰スプレーを含む排気流に晒された表面を、ウェットペイント過剰スプレーが付着することから永続的に防止できる。
【0007】
1つ以上の空気カーテン生成装置により排気流全体に供給される空気量は、好ましくは、塗布領域から発する排気量の約10%から30%に相当する。
【0008】
冷却された空気は、塗布領域から発する排気よりも密度が高く、そのため、保護すべき壁表面に向かって下降するので、空気カーテン生成装置に供給される空気が冷却されると特に好ましい。
【0009】
例えば、新鮮空気を、空気カーテン生成装置により供給することができる。
【0010】
または、清浄化(又は、清掃)された排気を、空気カーテン生成装置より供給するようにもできる。
【0011】
本発明の好適な構成においては、空気カーテンにより保護される壁表面は、ほぼ水平方向を向く。
【0012】
空気カーテンに保護される壁表面は、特に、塗布領域から分離装置への排気流の流路において、横方向に収縮部の範囲を定めるフローガイド表面であってよい。
【0013】
この場合、空気カーテンの中心流れ方向は収縮部方向に向かい、それにより、過剰スプレー粒子が空気カーテンを通して、収縮部方向に向かい、その収縮部を通過して分離装置に向かうようにすると好ましい。
【0014】
特に、フローガイド表面により範囲を定められた収縮部は、閉鎖装置により少なくとも部分的には閉鎖可能であるようにすることができる。
【0015】
分離装置は、特に、再生可能表面フィルタ、つまりフィルタを具備することができ、その上に、排気流により運ばれたウェットペイント過剰スプレーが堆積し、それは、好ましくは装置のルーチン操作の間に、その上に堆積したペイント剰スプレーを除去するために清浄化(又は、清掃)できる。
【0016】
再生可能表面フィルタの清掃(清浄化)を促進するために、再生可能表面フィルタは、フィルタ表面の目詰まりを防止するプリコート材料を具備するバリア層を有することができる。このバリア層は、表面フィルタの清掃後に、プリコーティング操作により再び新しくでき、清掃操作の間の中間プリコーティング操作により強化できる。
【0017】
本発明による装置の好適な構成は、少なくとも1つの閉鎖装置を具備し、それにより、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、間欠的で少なくとも部分的に閉じることができる。
【0018】
清掃およびプリコーティング操作中に、塗布領域から分離装置へ輸送されたウェットペイント過剰スプレーの量および、これらの操作中に分離装置の領域から塗布領域へ進むプリコート材料の量もまた、前記清掃操作および/または前記プリコーティング操作の間に、塗布領域と分離装置の間の排気流の流路を少なくとも部分的に閉じることにより少なくとも減少される。
【0019】
更に、閉鎖装置はまた、塗布領域において塗装対象の汚染を防止するために、故障の場合にも操作できる。
【0020】
塗布領域から分離装置への排気流の流路は、清掃操作および/またはプリコーティング操作の間に少なくとも部分的には閉じられるので、この流路が、閉鎖フェーズ以外は、比較的大きな流動可能断面を有するように構成できる。特に、塗布領域から分離装置への排気流の流路において、特別狭い収縮部に高流速(約2m/s超)を提供する必要はない。
【0021】
本発明の好適な構成においては、閉鎖装置は少なくとも1つの閉鎖要素と移動装置を具備し、それにより、閉鎖要素は、排気流の流路に入り込むように移動可能で、閉位置になり、また排気流の流路から出て、開位置になる。
【0022】
閉鎖要素は、例えば、実質的に気密性を有するように構成できる。
【0023】
この場合、好ましくは、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、清掃および/またはプリコーティング操作の間に、部分的にのみ閉じられ、それにより、少なくとも1つのギャップが常に残り、そこを通して排気流(閉鎖フェーズにおいて削減されている)は、塗布領域から分離装置へ進行できるようにできる。それにも拘わらず、この構成では、塗布領域から分離装置へ輸送される過剰スプレーの量、または、分離装置から塗布領域へ輸送されるプリコート材料の量は、閉鎖部分を通過する排気流の減少により、相当に減少される。
【0024】
特に、閉鎖要素は、シート状金属プレートを具備できる。
【0025】
この場合、閉鎖要素は、好ましくは、閉鎖要素を閉位置にできるように構成され、その位置において、閉鎖要素が開位置にあるときに排気流が流れる断面の、最大約80%を覆う。
【0026】
更に、動作不良の場合に、閉鎖要素を更に閉位置にでき、その位置において、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、閉鎖要素により完全に閉じられるようにできる。
【0027】
気密性閉鎖要素の代替として、閉鎖要素が透気性を有し、透気性フィルタ要素を具備するようにすることもできる。
【0028】
フィルタ要素は、閉鎖要素が閉位置のときに、フィルタ要素を通過する空気流から、ウェットペイント過剰スプレーとプリコート材料を濾過により取り出し、それにより、ウェットペイント過剰スプレーとプリコート材料はいずれも、これが閉位置のときは閉鎖要素を通過できない。
【0029】
透気性閉鎖要素が使用されるときは、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、好ましくは、閉位置にある閉鎖要素により完全に閉じられる。
【0030】
本発明の好適な構成においては、閉鎖要素は支持構造を具備し、その上にフィルタ要素が保持されようにする。
【0031】
特に、フィルタ要素が、支持構造の締付け装置により保持されるようにすることができる。このようにして、ウェットペイント過剰スプレーを含むフィルタ要素および/またはプリコート材料を、支持構造から容易に取り外し、新しいフィルタ要素と交換できる。
【0032】
空気が閉鎖要素を通過できるようにするために、支持構造がハニカム構成のように配置された空気通路を有するようにすることができる。
【0033】
特に安定な閉鎖要素は、支持構造を金属材料から形成すれば得られる。
【0034】
閉鎖要素を開位置から閉位置へ移動し、そしてまた開位置に戻すための移動手段は、好ましくは、閉鎖要素を誘導するための少なくとも1つのガイドレールを具備する。
【0035】
更に、移動装置は、例えば、電気式、油(水)圧式、または空圧式の閉鎖要素用駆動機構を具備できる。
【0036】
移動装置の特別な構成においては、移動装置は、特に、チェーンまたは歯付きベルトである循環式輸送要素を具備するようにする。
【0037】
閉鎖要素が、閉位置のときに、オペレータによりアクセス可能に構成されていると、特に好ましい。この場合、アクセス可能な閉鎖要素は、塗布領域を通して塗装対象を輸送する輸送装置の保守および/または修理作業を行うための開始点として特に機能できる。この場合は、底部に塗装キャビンの範囲を通常は定める通路格子は省略できる。
【0038】
塗装対象が塗布領域を通して輸送装置により輸送されるときに、好ましくは、閉位置にある閉鎖装置の上側と、塗装対象の下側の間の垂直方向の間隔は、最大で約2mに達するようにし、それにより、輸送装置は、閉鎖要素上に立っているオペレータにより容易にアクセスできる。
【0039】
閉鎖要素をその閉位置に、特に安定した方法で保持するために、好ましくは、装置は閉鎖要素がそれに対して閉位置に支持される支持要素を備えるようにする。
【0040】
そのような支持要素は、装置のフローチャンバにおいて、閉鎖要素が支持される上部エッジに対して特に、垂直仕切り壁として構成できる。
【0041】
閉鎖要素を、ウェットペイント過剰スプレーによる、または閉鎖フェーズ以外のときのプリコート材料による汚染から守るために、好ましくは、閉鎖要素は、その開位置においては、装置のフローガイド要素の下方に配置される。
【0042】
本発明による装置は、好ましくは、少なくとも1つの再生可能表面フィルタを具備する。
【0043】
再生可能表面フィルタおよび/または、排気流の流路の境界壁に、ウェットペイント過剰スプレーが付着することを防止するバリア層を提供するために、好ましくは、装置は、プリコート材料を、閉鎖装置の排気流の下流に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段を備える。
【0044】
この場合、プリコート材料の排気流内への吐出は、好ましくは、閉鎖装置が、排気流の流路を少なくとも部分的に閉じたときに起こり、それにより、閉鎖装置はプリコート材料が、塗装アセンブリの塗布領域へ入り込むことを防止する。
【0045】
本発明による装置の特別な構成においては、閉鎖装置から分離装置への排気流の流路は、少なくとも1つの収縮された領域を有するようにする。収縮された領域における排気流の増大した流速は、実際にはプリコート材料は、閉鎖装置への排気流の流れ方向に対して、収縮され領域の下流に位置する排気流の流路のセクションから出ることはできないことを意味する。従って、清掃(清浄化)およびプリコーティング操作は、塗布領域から分離装置への排気流の流路が、これらの操作の間は、少なくとも部分的には閉じられていない状態で、収縮された領域の下流に位置する流路のセクションにおいて実行できる。この場合は逆に、閉鎖装置と収縮された領域の間に位置する排気流の流路のセクションにおいてプリコーティング操作が実行されるときには、塗布領域から分離装置への排気流の流路が、閉鎖装置により少なくとも部分的に閉じられていれば十分である。
【0046】
排気流の中心流れ方向は、好ましくは、収縮された領域を通過する間は、実質的に水平に向けられている。
【0047】
装置は好ましくは、プリコート材料を収縮された領域の下流の排気流内に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段を具備する。既に述べたように、閉鎖装置は、そのようなプリコート供給手段が操作されている間は、閉鎖位置に移動される必要はない。
【0048】
装置の好適な構成においては、装置は、使用されたプリコート材料に対する少なくとも1つの受入容器を具備するように形成される。使用されたプリコート材料をそのような受入容器に収集することにより、使用されたプリコート材料、つまり、ウェットペイント過剰スプレーと混合されたプリコート材料は、フィルタ要素または排気流の流路の境界壁のプリコート用に再使用するために供給できる。
【0049】
そのような受入容器は、好ましくは、分離装置の下方および/または閉鎖装置の下方に配置される。
【0050】
受入容器は、特にプリコート格納容器に、使用されたプリコート材料を受入容器からそのようなプリコート格納容器に移送できるプリコート排出ダクトにより接続できる。
【0051】
少なくとも1つのプリコート格納容器は、プリコート材料を排気流内に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段に接続できる。
【0052】
プリコート格納容器は、ウェットペイント無しの、またはウェットペイントを含むプリコート材料をプリコート供給手段に選択的に吐出できる。
【0053】
受入容器に収集された使用済プリコート材料は、装置が、受入容器に収納されるプリコート材料を受入容器から排気流の流路内に輸送できる少なくとも1つの圧縮空気ノズルを具備していれば、特に簡単な方法で再使用のために供給できる。
【0054】
塗装アセンブリの特別な省エネ操作は、装置が、ウェットペイント過剰スプレーを分離した排気流が、塗布領域に対して少なくとも部分的に再び供給される循環空気回路を有していれば可能になる。
【0055】
請求項39は、対象物、特には車体の塗装アセンブリであって、少なくとも1つの塗装キャビンと、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための、本発明による少なくとも1つの装置とを具備するアセンブリに言及している。
【0056】
本発明の基盤を形成する更なる目的は、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離する方法を提供することであり、ここにおいて、過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリの塗布領域における排気流に流入するので、装置の壁表面の、ウェットペイント過剰スプレーによる目詰まりが防止される。
【0057】
この目的は、下記の方法ステップ(手順)を含む方法により達成される。
塗布領域の下方に配置されていて且つ少なくとも1つのフローガイド要素により複数のセクションに分割されたフローチャンバのセクションに配置された分離装置により、過剰スプレーを少なくとも排気流の一部から分離するステップと、
排気流の流路の範囲を定め、少なくとも1つのフローガイド要素上に配置される、壁表面において空気カーテンを生成するステップ。
【0058】
本発明の更なる特徴と利点は、下記の説明と、例としての実施の形態の例示の主題である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
すべての図において、同一な要素または等価な機能を有する要素には同じ参照番号が付けられている。
【0060】
図1から図10に示されているアセンブリは、全体として参照番号100が与えられているが、車体102にスプレー塗装するためのものであり、純粋に図示のためだけに表現されており、それにより車体102を、全体として参照番号110が与えられている塗装キャビンの塗布領域108を通って、輸送方向106に移動可能な輸送装置104を具備している。
【0061】
輸送装置104は、例えば、逆転旋回式コンベヤまたは逆転モノレールコンベヤとして構成できる。
【0062】
特に、輸送装置104は、図1、3および4から最も良く分かるように、2つの部分から構成でき、輸送方向106において平行に延伸し、輸送方向106に直交する水平方向においてお互いに間隔をおく2つのコンベヤストランド104aと104bを具備することができる。
【0063】
塗布領域108は、塗装キャビン110の内部にあり、輸送装置104の両側において、それぞれのキャビン壁114により、塗装キャビン110の縦方向に対応する、輸送方向106に直交に延びるその水平横方向においてその範囲が定められている。
【0064】
例えば、塗装ロボットの形式のスプレー塗装装置116(図1から図4を参照)が、塗装キャビン110内の輸送装置104の両側に配置される。
【0065】
塗布領域108の上方から下方に向けて、実質的に垂直方向に通過する空気流は、図1において矢印119により示されているが、図10において模式的に図示された循環空気回路118により生成される。
【0066】
空気流は、塗布領域108における過剰スプレー粒子の形式のペイント過剰スプレーを取り込む。
【0067】
この場合、「粒子」という用語は、固体と液体の両者の粒子、特に小滴を含む。
【0068】
ウェットペイントがアセンブリ100において塗装に使用されるときは、ウェットペイント過剰スプレーはペイント小滴から構成される。
【0069】
過剰スプレー粒子のほとんどは、約1μmから約100μmの範囲の最大寸法を有する。
【0070】
矢印120で示される排気流は、塗装キャビン110から下方に向けて出て、全体として参照番号126が与えられている、塗布領域108の下方に配置されている、ウェットペイント過剰スプレーを排気流120から分離する装置に入り込む。
【0071】
装置126は、実質的に立方体のフローチャンバ128を具備し、フローチャンバ128は、輸送方向106において塗装キャビン110の全体の長さを超えて延伸し、塗装キャビン110の横方向のキャビン壁114と実質的に整列している垂直側壁130により、塗装キャビン110の横方向112における範囲が定められており、それにより、フローチャンバ128は、実質的に塗装キャビン110と同じ水平方向の断面積を有し、塗装キャビン110の床空間の垂直突起内に実質的に完全に配置されている。
【0072】
フローチャンバ128は、この例としての実施の形態においては実質的に水平に配向しているフローバッフルプレート134として構成されているフローガイド要素132により上部セクション136と下部セクション138に分割されている。
【0073】
フローチャンバ128の上部セクション136と下部セクション138は、収縮部140によりお互いに接続され、収縮部140は、フローガイド要素132の対向する自由エッジの間の空隙の形態であり、フローチャンバ128を通る排気流の流路において狭部を形成する。
【0074】
この場合の収縮部140の水平方向断面積は、収縮部140のレベルにおけるフローチャンバ128の水平方向断面積の約35%から約50%になる。
【0075】
収縮部140の範囲における排気流120の流速は、約0.6m/sから約2m/sになる。
【0076】
フローチャンバ128の下部セクション138は、輸送方向106に平行な垂直仕切り壁142により、左側サブセクション138aと右側サブセクション138bに分割される。
【0077】
輸送方向106に延伸するプリコーティング(前塗装)ランス(突起)の形態のプリコート供給手段144がそれぞれ、収縮部側のフローガイド要素132のそれぞれのエッジに統合される。
【0078】
各プリコーティングランスは、例えば、約30mmの直径を有し、複数の噴霧器ノズルが設けられ、噴霧器ノズルは、プリコーティングランスの縦方向に、約50mmから約100mmの間隔で配置され、約3mmから約15mmの範囲の孔サイズを有する。
【0079】
プリコーティングランスのこれらの噴霧器ノズルは、間隔をおいて、スプレー霧の形態のプリコート材料を排気流120に排出する。
【0080】
プリコート供給手段144はそれぞれ、1つまたは2つ以上プリコート供給ダクト146によりプリコート格納容器148に接続され、プリコート格納容器148には、プリコート材料が流動可能状態で格納されている。
【0081】
原理的に、ウェットペイント過剰スプレーの液体成分を吸収できる材料であれば如何なる材料でも、プリコート材料として使用できる。
【0082】
特に、ライム、ロックミール、アルミニウムシリケート、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、粉状ペイントなどが、例えば、プリコート材料として考えられる。
【0083】
プリコート材料は複数のプリコート粒子から構成され、例えば、約10μmから約100μmの範囲の平均直径を有している。
【0084】
プリコート格納容器148の1つの構造が図8に詳細に示されている。
【0085】
プリコート格納容器148の内部には、格納室150が位置しており、格納室150は漏斗のように下に向かって細くなっていて、圧縮空気室154上に配置された流動可能プリコート材料の流体床152を含んでいる。
【0086】
プリコート材料は、図9にその詳細を示すインジェクタ156により、プリコート格納容器148の格納室150から外に運ばれる。
【0087】
インジェクタ156は、T字形断面形状を有しており、圧縮空気接続部158、プリコート供給ダクト146用接続部160、および、格納室150の流体床152へ突出しているランスジェット部162を有している。
【0088】
プリコート材料を輸送するために、例えば、約5バールの圧力の圧縮空気が、インジェクタ156を通り、その圧縮空気接続部158からプリコート供給ダクト146用接続部160に向けて流される。この圧縮空気流は、図9において矢印164により示されている。
【0089】
この圧縮空気流は吸引効果をもたらし、その結果として、流体化されたプリコート材料が流体床152から、ランスジェット162を通してインジェクタ156内に吸引され、接続部160を通過してプリコート供給ダクト146へ入る。
【0090】
インジェクタ156を通るプリコート材料の流れは、図9の矢印166で示されている。
【0091】
ウェットペイント過剰スプレーを排気流120から分離するそれぞれの分離装置168は、収縮部140の両側のフローチャンバ128の下部セクション138のサブセクション138a、138bに設けられている。分離装置168はそれぞれ複数の再生可能表面フィルタ170を具備し、再生可能表面フィルタ170は、フローチャンバ128の2つの対向する垂直側壁130上に配置され、輸送方向106においてお互いに等間隔で配置され、フィルタ要素172を有して、フローチャンバ128の下部セクション138に突出している(特に図1、2、および4を参照)。
【0092】
各再生可能表面フィルタ170は、空洞ベース体を具備し、その上に、例えば、ほぼ平板形のフィルタ要素172が保持されている。
【0093】
フィルタ要素172は、例えば、焼結ポリエチレンから製造されるプレートとして構成することができ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のメンブレン(膜)がその外面上に設けられる。
【0094】
PTFEコーティングは、表面フィルタ170の濾過度を増大するように(つまり、その透過度を減少するように)、そして更に、排気流120から堆積したウェットペイント過剰スプレーの永続的接着を防止するように機能する。
【0095】
フィルタ要素172のベース材料と、そのPTFEコーティングの両者は多孔性であり、排気は孔を通過してそれぞれのフィルタ要素172の内部に入り込むことができる。
【0096】
フィルタ表面の目詰まりを防止するために、これらには排気流に排出されたプリコート材料のバリア層が設けられる。
【0097】
装置126の操作中に、このバリア層はフィルタ表面上で、排気流120に排出されたプリコート材料の堆積により形成され、接着する湿性のない過剰スプレーの結果としての、表面上の目詰まりを防止する。
【0098】
排気流120からのプリコート材料もまた、フローチャンバ128の下部セクション138の境界壁上に堆積し、そこにおいて、ウェットペイント過剰スプレーが接着することを防止する。
【0099】
排気流120は、再生可能表面フィルタ170のフィルタ要素172のフィルタ表面上を通過し、運ばれてきたプリコート材料とウェットペイント過剰スプレーの両者はフィルタ表面に堆積し、多孔性フィルタ表面を通過して、それぞれの表面フィルタ170のベース体174の内部の空洞に接続されているフィルタ要素172の内部に入り込む。
【0100】
清浄化された排気流120はこのようにベース体174を通過してそれぞれの排気管176に入り込み、排気管176はそれぞれの再生可能表面フィルタ170から、フローチャンバ128の垂直側壁130の隣で横方向に延び、輸送方向106に平行に延びている排気ダクト178につながっている。
【0101】
図10の模式表現から分かるように、ウェットペイント過剰スプレーを清浄化された排気は2つの排気ダクト178から外に出て、排気収集ダクト180を通り、再循環ファン182に到達し、そこから、清浄化された排気は冷却バッテリ184と供給ダクト186を介して、塗布領域108の上方に配置された空気室188、いわゆる空間に供給される。
【0102】
空気室188から、清浄化された排気はフィルタカバー190を介して、塗布領域108に戻る。
【0103】
排気弁194により完全に、または部分的に閉鎖可能な排気ダクト192は、供給ダクト186から分岐している。
【0104】
排気弁194と排気ダクト192を通過する清浄化された排気流の一部は、外界に排出される(例えば、排気管を介して)。
【0105】
外界に排出された排気流のこの部分は新鮮空気と置換されて、新鮮空気供給ダクト198を介して吸気口システム196に供給される。
【0106】
吸気口システム196からの新鮮空気は、それぞれの吸気口ダクト202により吸気口システム196へ接続されている2つの空気カーテン生成装置200によりフローチャンバ128に供給される。
【0107】
図1により最も良く分かるように、各空気カーテン生成装置200は、輸送方向に延伸し、吸気口システム196から吸気口ダクト202を介して吸気が供給され、空隙206を介してフローチャンバ128の上部セクション136に開口しているそれぞれの吸気口室204を具備しており、この空隙206は輸送方向に延伸し、例えば、約15cmから約50cmの範囲の、垂直方向の延伸部を有している。
【0108】
吸気口室204の空隙206は、フローガイド要素132の1つの少し上方にそれぞれ配置されており、それにより、フローガイド要素132に沿ってほぼ水平方向の吸気口室204から、フローガイド要素132の上側のフローチャンバ128への吸気の流入の結果として空気カーテンが形成され、空気カーテンは、空気カーテン生成装置200から、フローガイド要素132の間の収縮部140へ導かれ、それにより、ウェットペイント過剰スプレーを含む排気流120が塗布領域108から出てフローガイド要素132の上側に行くことが防止され、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーが、フローガイド要素132の上側に堆積することが防止される。
【0109】
フローガイド要素132において、空気カーテン生成装置200により生成された横方向の空気カーテン構成における空気の中心流れ方向は、図1において矢印208により図示されている。
【0110】
横方向の空気カーテン構成における空気の流れは、フローガイド要素132間の収縮部140に向けて導かれるので、フローガイド要素132の上側に堆積した如何なる過剰スプレー粒子も収縮部140に向けて移動され、そこで排気流120に乗せられてフローチャンバの下部セクション138に入り込む。
【0111】
空気カーテン生成装置200の1つにより、それぞれフローチャンバ128の内部に供給される単位時間当たりの空気量は、塗布領域108からの排気流120に含まれる単位時間当たりの空気量の約5%から約15%になる。
【0112】
吸気口システム196は冷却バッテリ(図示せず)を具備し、それにより空気カーテン生成装置200に供給される空気は冷却されて、塗布領域108から流出する排気流120よりも冷たくなり、空気カーテン生成装置200により供給された空気がフローチャンバ128において降下、つまり、保護されるフローガイド要素132の表面に向かうことになる。
【0113】
この冷却された吸気は更に、フローチャンバ128の下部セクション138と、排気ダクト178と、排気収集ダクト180を通って流れるときに、この冷却された吸気は塗布領域108からの排気流120と混合し、それにより、供給ダクト186を介して塗布領域108に再び供給される清浄化された排気の温暖化が、再循環ファン182により部分的に補償されることになる。
【0114】
空気カーテン生成装置200により供給された空気の結果としてのこの補償は、冷却バッテリ184による再循環ファン182から流出する空気の冷却により補完される。
【0115】
従って、塗布領域108を通って導かれた空気の大部分が、塗布領域108と、フローチャンバ128と、排気ダクト178と、排気収集ダクト180と、再循環ファン182と、供給ダクト186と、塗布領域108上方の空気室188を具備する再循環空気回路118に導かれ、再循環空気回路に導かれた空気の定常的な加熱は、空気カーテン生成装置200による新鮮空気の供給により、また、冷却バッテリ184による冷却により防止される。
【0116】
排気収集ダクト180と、供給ダクト186における平均空気流速は、約6m/sから約12m/sの範囲にある。
【0117】
再生可能表面フィルタ170によるウェットペイント過剰スプレーの排気流からの分離は乾式、つまり、清浄流体による洗浄なしで行われるので、再循環空気ダクト118に導かれた空気は、ウェットペイント過剰スプレーの分離の間に湿気を含むことはなく、それにより、再循環空気回路118に導かれた空気の湿気を除去するための如何なる装置も必要としない。
【0118】
更に、洗浄に使用された清浄流体からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置も必要としない。
【0119】
再生可能表面フィルタ170は、そのウェットペイント過剰スプレーの負荷があるレベルに達すると、特別な時間間隔で圧縮空気パルスにより清浄化される。
【0120】
清浄化(清掃)は、例えば、8時間稼動シフト毎に1回から6回、約1時間から8時間毎に行うことができる(表面フィルタ170における圧力損失の増大に依存する)。
【0121】
必要な圧縮空気パルスは、それぞれの再生可能表面フィルタ170のベース体174上に配置され、それぞれのベース体174の内部を通り且つ脈動ユニット210からフィルタ要素172の内部につながっている、圧縮空気パイプに圧縮空気パルスを供給できる脈動ユニット210により生成される。
【0122】
フィルタ要素172の内部から、圧縮空気パルスは、多孔性フィルタ表面を通過してフィルタ要素172の外部領域に入り、そこにおいて、フィルタ表面上に形成されたプリコート材料のバリア層と、その上に堆積したウェットペイント過剰スプレーはフィルタ表面から引き離され、それにより、フィルタ表面は、その清浄化された初期の状態に戻る。
【0123】
脈動ユニット210に格納される圧縮空気は、圧縮空気供給ダクト(図示せず)により、オンサイト圧縮空気供給ネットワークから補充される。
【0124】
清浄後、プリコート材料を、プリコート供給手段144により排気流120に加えることにより、新しいバリア層がフィルタ表面上に生成され、バリア層は、100%ペイント無しプリコート材料またはウェットペイント含有プリコート材料から構成できる。
【0125】
再生可能表面フィルタ170のフィルタ表面から清掃されたウェットペイントを含む材料は、上方に向いている開口部214がフローチャンバ128の水平方向断面全体をほぼ覆うように、フローチャンバ128の下部セクション138に複数配置されているプリコート受入容器212に入り込む。このようにして、清浄化により表面フィルタ170から除去されたすべての材料は、表面フィルタ170に到達前に排気流120から既に分離されたプリコートと過剰スプレー材料と共に、プリコート受入容器212に入り込む。
【0126】
各プリコート受入容器212は、漏斗形で下に向かって細くなる上側部216と、またほぼ立方体の下側部218を具備する。
【0127】
プリコート受入容器212の上側部216の側壁は、漏斗形でお互いに向って傾いており、お互いに漏斗の角度約50°から約70°で取り囲んでいる。
【0128】
上部開口部214に接近して、プリコート受入容器212の各上側部216には、上側部216を横切る圧縮空気ランス220が設けられ、そのランスにより、プリコート受入容器212の上側部216に位置する材料を、圧縮空気パルスに晒すことができ、その結果、渦巻状になる。
【0129】
渦巻状になった材料は、開口部214を通して上昇でき、例えば、再生可能表面フィルタ170のフィルタ表面上、または垂直仕切り壁142上に堆積することができ、この表面または壁を、プリコート材料によるコーティングによる、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーの付着から保護する。
【0130】
プリコート受入容器212の下側部218から、そこに含まれている材料、つまり、プリコート材料とウェットペイント過剰スプレーの混合物は、それぞれ吸引管222を介して輸送でき、プリコート吸引ポンプ223が配置されているプリコート格納容器148の1つの内部に入り、上述のように、そこからプリコート供給ダクト146を通って、プリコート材料としての再使用のために供給される。
【0131】
ウェットペイントを含むプリコート材料をプリコート供給ダクト146に供給するプリコート格納容器148に加えて、装置126はまた、プリコート受入容器212には接続されていないが、プリコート供給ダクト146にウェットペイント無しのプリコート材料を選択的に供給するために、ウェットペイント無しのプリコート材料で満たされているプリコート格納容器を更に具備することができる。
【0132】
表面フィルタ170と垂直仕切り壁142のこの中間プリコーティングは、例えば、約15分から約1時間の間隔で行うことができる。
【0133】
これらの中間プリコーティング操作の間、または洗浄操作および後続する表面フィルタ170のプリコーティング間に、プリコート材料が収縮部140を通って塗布領域108に入ることを防止するために、またはウェットペイント過剰スプレーが収縮部140を通って表面フィルタ170に到達することを防止するために、収縮部140は、その1つが詳細に図5から図7に示されている2つの閉鎖装置224により、これらの操作の間は閉鎖される。
【0134】
左側閉鎖装置224a(図1では閉じている)は、収縮部140の左側セクション140aを閉じるために機能し、左側フローガイド要素132aの右側エッジにより範囲の一方が定められ(又は、区切られ)、他方は垂直仕切り壁142の上部エッジにより定められ(又は、区切られ)ている。
【0135】
右側閉鎖装置224b(図1では開いている)は、収縮部140の右側セクション140bを閉じるために機能し、右側フローガイド要素132bの左側エッジにより範囲の一方が定められ、他方は垂直仕切り壁142の上側部により定められている。
【0136】
各閉鎖装置224は、金属材料で作成された支持構造228と、締付け作用により支持構造228上に保持されたフィルタ要素230を有する閉鎖要素226をそれぞれ具備している。
【0137】
図5と6から最も良く分かるように、支持構造228は、ハニカム構成で配置されている空気路234のパターンが設けられた、ほぼ平坦なプレート232を具備する。
【0138】
プレート232は、特に、亜鉛メッキ鋼材料または特殊鋼材料から形成できる
【0139】
プレート232の材料厚さは、例えば、約4mmになる。
【0140】
横方向112における空気路234の長さは、例えば、約40mmになる。輸送方向106における空気路234の長さは、例えば、約80mmになる。
【0141】
ほぼ四角形の空気路234は、横方向112の複数の連続列に配置され、1つの列の空気路234は、2つの隣接する列の空気路234に関してオフセットされる。例えば、輸送方向106における空気路234の長さの約半分だけオフセットされる。
【0142】
プレート232内の空気路234は、その間に位置していて且つ横方向112または輸送方向106に延伸し且つそれぞれが、例えば、約8mmの幅を有する、ウェブ236によりお互いから分離されている。
【0143】
その横方向のエッジ上において、プレート232には、それぞれのエッジ領域240が設けられており、エッジ領域240は、空気路が設けられず、例えば、約30mmの幅を有している。
【0144】
フィルタマットの形状を有するフィルタ要素230はプレート232上に位置し、プレート232のウェブ236上で、およびプレート232のエッジ領域240上で支持される。
【0145】
フィルタ要素230は、例えば、グラスファイバマットとして構成でき、透気性があり、例えば、約50mmから約100mmの厚さを有する。
【0146】
フィルタ要素230の単位面積当たりの重さは、例えば、約220g/m2から約350g/m2に達する。
【0147】
適切なフィルタ要素230は、例えば、「Farbnebelabscheider (Paint Mist Arrestor) Typ PS50」または「Farbnebelabscheider (Paint Mist Arrestor) Type PS100」という名称で、69465 Weinheim, ドイツ(Gearmany)の Freudenberg Vliesstoffe KGから販売されている。
【0148】
透気性フィルタ要素230と、空気路234を有するプレート232は、閉鎖要素226を通して空気を通過させるが、空気により運ばれるプリコート材料、またはそれにより運ばれるウェットペイント過剰スプレーはフィルタ要素230により阻止され、そのため、プリコート材料もウェットペイント過剰スプレーも閉鎖要素226を通過できない。
【0149】
締付け作用により、フィルタ要素230を支持構造228に固定するために、閉鎖要素226は、アングル付きフレームプロフィール244上に配置された複数の締付け手段242を具備し、それぞれがプレート232とフィルタ要素230上に係合する垂直脚246と水平脚256を有しており、プレート232のエッジに沿って延伸している。
【0150】
これらの締付け手段242のそれぞれは、水平脚250および垂直脚252を有するアングル要素248を具備し、水平脚250は、プレート232のエッジ領域240に固定され、垂直脚252には、垂直細長孔が設けられている(図6における表現からは明らかではない)。
【0151】
複数の、例えば、2つの締付けネジ254が、フレームプロフィール244上の孔にねじ込まれ、この垂直細長孔に係合し、それにより、フレームプロフィール244は、アングル要素248の垂直脚252に関しての垂直方向に変位可能であり、締付けネジ254を締付けることにより、所望の位置において締付けることができる。
【0152】
フレームプロフィール244が、アングル要素248に関して下部の締付け位置で締付けられると、フレームプロフィール244の水平脚256は、フィルタ要素230のエッジ領域上に圧力を加え、それにより、フィルタ要素230は、フレームプロフィール244と、支持構造228のプレート232の間に堅く締付けられる。
【0153】
支持構造228へのフィルタ要素230の締付けは、ある一定の操作期間の後に、フィルタ要素230を新しいフィルタ要素230と交換するために解除できる。
【0154】
図7に示される移動装置258により、上記の閉鎖要素226は、閉鎖要素226がフローガイド要素132の下方に配置される開位置(図7において破線で示されている)から、閉鎖要素226が収縮部140の関連するセクション140aを閉じる閉位置(図7において実線で示されている)まで移動できる。
【0155】
移動装置258は、駆動歯車262を駆動して回転運動をさせ得る電動モーター260と、駆動歯車262の周りに配置された歯付きベルト266と、戻り歯車264(および、おそらく、図示していない別の戻り歯車)とを具備する。歯付きベルト266の上側走行部280には、2つの受入プレート268が、歯付きベルトの長手方向にお互いに間隔を置いて固定され、その上に、閉鎖要素226のフレームプロフィール244から輸送方向に突出しているほぼ円筒形のジャーナル270が配置され、その水平軸の周りを回転する。
【0156】
歯付きベルト266は、ガイドレール272のコース(経路)を辿りガイドレール272は、閉鎖要素226が開位置において横方向に誘導される下部セクション274と、閉鎖要素226が閉位置において横方向に誘導される上部セクション276と、水平に関して傾斜し、上部セクション276を下部セクション274に接続する中央セクション278を有している。
【0157】
閉鎖要素226が開位置(図7において破線で示されている)に位置しているときは、閉鎖要素226は、この開位置から閉位置(図7において実線で示されている)に、駆動歯車262を時計回りに回転させる電動モーター260により移動でき、それにより、歯付きベルト266の上側走行部280は、その上に固定された受入プレート268と共に右側に移動し、受入プレート268上で回転するように、ジャーナル270により保持された閉鎖要素226は、受入プレート268により右側に引っ張られる。この場合、閉鎖要素226はガイドレール272上で誘導され、それにより、閉鎖運動を伴って、閉鎖要素226は、ガイドレール272の中央セクション278を閉位置に到達するまで、ガイドレール272の上部セクション276に移動し、その閉位置において、閉鎖要素226は収縮部140のセクション140aを完全に覆い、それにより、その後部エッジがフローガイド要素132の前部エッジに接し、その前方エッジが垂直仕切り壁142の上側に位置し、それにより、閉鎖要素226は閉位置において垂直仕切り壁142により底部に支持される。
【0158】
金属製支持構造228と、ガイドレール272上の閉鎖要素226の案内部と、垂直仕切り壁142は、閉鎖要素226が閉位置にあるときに、例えば、輸送装置104の保守または修理作業を行うためにオペレータがアクセスできるような機械的強度を有している。
【0159】
この目的のために、一方の、閉位置にある閉鎖要素226の上側と、輸送装置104により輸送される車体102の下側エッジの間の間隔は、約1.5mから約2mになる。
【0160】
閉鎖要素226は閉位置においてアクセスできるので、塗装キャビン110の塗布領域108の底部への範囲を定める通常の通路格子を別に設ける必要はない。
【0161】
既に述べたように、排気流120は、閉位置にある閉鎖要素226を流れ続けることができる。しかし、閉鎖要素226は、閉鎖されていない収縮部140よりも明らかに高い流動抵抗を構成するので、閉鎖要素226を通過する体積流量は、収縮部140の閉鎖されていないセクション140aを通過する体積流量よりもかなり小さい。
【0162】
フローチャンバ128の下部セクション138から来るプリコート材料またはウェットペイント過剰スプレーは、閉鎖フェーズの間に、閉鎖要素226のフィルタ要素230により濾過されるので、塗布領域108内には入り込めない。
【0163】
フローチャンバ128の上部セクション136から来るウェットペイント過剰スプレーは、閉鎖フェーズの間に、閉鎖要素226のフィルタ要素230により濾過されるので、表面フィルタ170の表面には到達できない。
【0164】
従って、閉鎖フェーズの間は、再生可能表面フィルタ170はプリコート材料なしで清掃(又は、清浄化)でき、清掃により除去されたウェットペイント過剰スプレーは、フローチャンバ128の下部セクション138から上方へ通過でき、またはウェットペイント過剰スプレーは、フローチャンバ128の上部セクション136から下方に通過できる。
【0165】
更に、閉鎖要素226はまた、表面フィルタ170および/または、フローチャンバ128の下部セクション138の範囲定める壁が、プリコート供給手段144によりプリコート材料で、および/または圧縮空気ランス220により渦巻状の、プリコート受入容器からのプリコート材料によりコーティングされる場合は、閉鎖位置にすることができる。同様に、そのようなプリコーティングフェーズの間は、プリコート材料は、フローチャンバ128の下部セクション138から出て、閉鎖位置にある閉鎖要素226を通過して、塗布領域108内部に向けて上方に移動することはできない。
【0166】
清浄化フェーズまたはプリコーティングフェーズが終了した後は、閉鎖要素226は、電動モーター260により反時計回り方向に駆動された駆動歯車262により開位置に戻され、その結果として、そこに固定されている受入プレート268を有する歯付きベルト266の上側走行部280は左側に移動され、閉鎖要素226を開位置に引っ張る(図7において破線で示されている)。
【0167】
収縮部140の左側セクション140aと、収縮部140の右側セクション140bに対する2つの閉鎖装置224は、同時に、または時間間隔を置いて作動できる。
【0168】
前者の場合は、収縮部140の両者のセクション140a、140bは同時に閉じられて、フローチャンバ128の下部セクション138の2つのサブセクション138a、138bにおいて、同時に清掃(又は、清浄化)またはプリコーティング操作を行う。
【0169】
後者の場合は、収縮部140のセクション140a、140bは異なる時刻に閉じられて、フローチャンバ128の下部セクション138の2つのサブセクション138a、138bにおいて、時間間隔を置いて洗浄またはプリコーティング操作を行う。
【0170】
フィルタ要素230を有する透気性閉鎖要素226の代わりに、完全に閉じる、気密性の閉鎖要素も使用できる。
【0171】
そのような気密性閉鎖要素は、例えば、空気路がない完全に閉じた金属プレートを具備できる。
【0172】
この場合、収縮部140のそれぞれのセクション140a、140bは、閉鎖要素226により完全には閉じられない。この場合は、気密性閉鎖要素は閉位置に設定されるが、その閉位置では、閉じられる収縮部140のそれぞれのセクション140a、140bを完全には閉じずに、例えば、約500mmから約700mmの幅で開いている空隙を、収縮部140を通過する排気流120の通路のために残す。
【0173】
この場合、収縮部が狭くなっているので、収縮部140を通って上方に通過するプリコート材料の量と、収縮部140を通って下方に通過するウェットペイント過剰スプレーの量は、収縮部140のセクション140aまたは140bが部分的に閉じることにより相当に減少する。
【0174】
閉鎖装置224の閉鎖時間は、清掃および新しいプリコーティング操作の場合は、例えば、約2分から約6分であり、間欠的なプリコーティング操作の場合は、例えば、約1分から約2分である。
【0175】
図11に示されている車体102塗装のためのアセンブリ100の第2実施の形態は、上記の第1実施の形態とは、排気を再循環空気回路118から除去し、外界に排出する排気ダクト192が、再循環ファン182の下流に配置された供給ダクト186からではなく、再循環ファン182の上流に配置された排気収集ダクト180から分岐している点のみが異なる。
【0176】
更に、この実施の形態において、排気弁194の代わりに、排気ファン282が排気ダクト192内に設けられる。
【0177】
この構成には、上部から塗布領域108とフローチャンバ128を通って下方に垂直に導かれる空気流は、再循環ファン182が故障しても、吸気口システム196と排気ファン282により維持できるという利点がある。塗布領域108を通るそのような垂直空気流を維持することにより、粒子がフローチャンバ128から塗布領域108に上昇して、そこに位置する車体102を汚染することが防止される。
【0178】
これ以外の、図11に示されている第2実施の形態の構造と機能は、図1から図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0179】
図12に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第3実施の形態は、上記の第1実施の形態とは、空気カーテン生成装置200には吸気口システム196から来る新鮮空気は供給されず、その代わり、再循環ファン回路118から分岐した、清浄化された排気が供給される点のみが異なっている。
【0180】
この目的のために、空気カーテン生成装置200は、それぞれの分岐ダクト284により、この背後で接続されている再循環ファン182と冷却バッテリ184から、塗布領域108の上方の空気室188へつながる、供給ダクト186に接続されている。
【0181】
制御弁286は分岐ダクト284内に配置され、制御弁288もまた分岐ダクト284の分岐の下流の供給ダクト186内に配置され、それにより、再循環空気流は、必要に応じて空気カーテン生成装置200の間で分割され、一方、空気流は、空気室188と塗布領域108を通過する。
【0182】
制御弁286、288は好ましくは、単位時間当たりに空気カーテン生成装置200を通過する空気の量が、塗布領域108を通過する空気量の約5%から約15%になるように調整される。
【0183】
本実施の形態においては、排気弁194を有する排気ダクト192を介して、再循環空気回路118から除去された排気量は、制御弁288の下流の供給ダクト186に開口している供給ダクト290を介して、再循環空気回路118に供給されている吸気口システム196から来る新鮮空気により置換される。
【0184】
本発明実施の形態は、追加的な排気ファンを必要としない。
【0185】
これ以外の、図12に示されている第3実施の形態の構造と機能は、図1から図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0186】
図13に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第4実施の形態は、上記の第3実施の形態とは、排気を再循環空気回路118から外界へ排出する排気ダクト192には、排気弁194の代わりに排気ファン282が設けられている点が異なる。
【0187】
この結果として、塗布領域108を通って垂直に下方に導かれる空気流を、再循環ファン182が故障しても、吸気口システム196と排気ファン282により維持することが可能である。この緊急時運転の結果、粒子、特にプリコート材料およびウェットペイント過剰スプレーの粒子が、再循環ファン182が故障中であっても、フローチャンバ128から出て、上昇して塗布領域108に入り込むことが防止される。
【0188】
これ以外の、図13に示されている第4実施の形態の構造と機能は、図12に示された第3実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0189】
図14から図17に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第5実施の形態は、収縮部140を通過後、排気流120は分離装置168の再生可能表面フィルタ170へ直接流れ込むことはできず、表面フィルタ170のフィルタ要素172は、カバー292により、排気流120が直接流入することから保護される点が、上記の第1実施の形態とは異なる。
【0190】
本実施の形態においては、排気流120は、まずそのようなカバー292の垂直側壁294に沿って下方に流れなければならず、それにより、カバー292の下側エッジと、プリコート受入容器212の上側エッジの間の狭い領域296をほぼ水平方向に、再生可能表面フィルタ170のフィルタ要素172まで通過することができるようになる。
【0191】
フィルタ要素172に面する各カバー292の下側エッジの内部には、追加的な下側プリコート供給手段298がそれぞれ配置され、フィルタ要素172に、プリコート材料の保護層を提供するように機能する。
【0192】
本実施の形態においては、フローガイド要素132に統合されたプリコート供給手段144は、単に、フローチャンバ128の下側セクション138の横方向境界壁を、プリコート材料でコーティングし、これらの表面に、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーが付着することから保護するように機能するに過ぎない。
【0193】
各カバー292の水平カバー壁300はそれぞれ、関連するフローガイド要素132と、閉位置にある閉鎖要素226の下方、および関連するそれぞれのフィルタ要素172の上方にそれぞれ配置され、上方から排気流120が、フィルタ要素172に直接流入することが防止される。
【0194】
一方のカバー292と、他方のプリコート受入容器212の開口部214の間の狭い領域296は、約150mmから約200mmの範囲の垂直方向の広がりを有している。
【0195】
狭い領域296を通る排気流120の平均流速は、最大約10m/sの範囲にある。この速い流速の結果として、実際には、プリコート材料が、排気流120の主要な流れの方向に逆らって、カバー292の内部から出て、上方に通過することはできない。従って、カバー292に囲まれた内部においては、表面フィルタ170の清浄化操作と新しいプリコーティング操作を、この目的のために閉鎖手段224により閉じなければならない収縮部140を有しない下側プリコート供給手段298により短い時間間隔(例えば、5分毎)で行うことができる。
【0196】
表面フィルタモジュールが、例えば、10個のフィルタ要素を具備し、そのフィルタ要素の1つを5分毎に清浄化するならば、各フィルタ要素は、約50分毎に清浄化される。
【0197】
更に、本第5実施の形態において、フィルタ要素172は、特に、カバー292により、ウェットペイント過剰スプレーの目詰まりから特に良好に保護される。
【0198】
本発明実施の形態においては、収縮部140のセクション140a、140bは、単に閉じられて(同時または時間をおいて)、フローチャンバ128の下側セクション139において、フローチャンバ128の下側セクション138の横方向境界壁のプリコーティング操作を、上側プリコート供給手段144により実施し、および/または、圧縮空気ランス220により、プリコート受入容器212からのプリコート材料を渦巻状にすることにより実施するが、これらの操作の間に、プリコート材料をフローチャンバ129の下側セクション138から出て塗布領域108に流入させず、またはウェットペイント過剰スプレーを塗布領域108から出てフローチャンバ128の下側セクション138に流入させない。
【0199】
これ以外の、図14から図17に示されている第5実施の形態の構造と機能は、図1刈ら図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1は、その下部に配置された、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置を有する塗装キャビンの第1実施の形態の模式垂直断面図であり、過剰スプレーを排気流から分離するための2つの分離装置と、分離装置の上方に配置された、排気流の流路の間欠的な閉鎖のための2つの閉鎖装置と、水平方向のフローガイド表面上に横方向の空気カーテンを生成するための2つの空気カーテン生成装置を含む。
【図2】図2は、図1のアセンブリの模式側面図である。
【図3】図3は、図1と図2のアセンブリの上方からの模式平面図である。
【図4】図4は、図1から図3のアセンブリの模式透視表現である。
【図5】図5は、図1から図3のアセンブリの閉鎖装置の閉鎖要素の支持構造の上方からの模式平面図である。
【図6】図6は、図1から図4のアセンブリの閉鎖装置の閉鎖要素の模式垂直断面図である。
【図7】図7は、図1から図4のアセンブリの閉鎖装置の模式側面図である。
【図8】図8は、プリコート格納容器の垂直断面の模式図である。
【図9】図9は、プリコート材料のインジェクタの模式断面図である。
【図10】図10は、図1から図4のアセンブリの循環空気回路の模式表現であり、新鮮空気が空気カーテン生成装置に供給され、排気は排気弁を介して循環空気回路から排出される。
【図11】図11は、代替としての循環空気回路の模式表現であり、排気は、排気ファンにより循環空気回路から排出される。
【図12】図12は、循環空気回路の模式表現であり、冷却された排気は空気カーテン生成装置に供給され、更に排気は排気弁を介して循環回路から排出される。
【図13】図13は、代替としての循環空気回路の模式表現であり、排気は排気ファンにより循環空気回路から排出される。
【図14】図14は、その下方に配置された、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置を有する塗装キャビンの第2実施の形態の垂直断面における模式図であり、過剰スプレーを排気流から分離するための2つの分離装置と、排気流の流路を間欠的に閉鎖るための2つの閉鎖手段と、2つのフローガイド表面に沿う、横方向の空気カーテン構成を生成するための2つの空気カーテン生成装置と、分離装置用のそれぞれのカバーであって、それぞれの閉鎖装置と、それぞれの分離装置の間の排気流の流路において、収縮された領域を生成するカバーを含む。
【図15】図15は、図14のアセンブリの模式側面図である。
【図16】図16は、図14と図15のアセンブリの上方からの模式平面図である。
【図17】図17は、図14から図16のアセンブリの模式透視表現である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットペイント過剰スプレーを、過剰スプレー粒子を含む排気流から分離する装置に関し、過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリの塗布領域に入る排気流に入り込み、装置は、排気流の少なくとも一部から、過剰スプレーを分離する少なくとも1つの分離装置を備える。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、例えば、特許文献DE 42 11 465 C2により知られており、加工品の塗装、特に、車体のスプレー塗装用のアセンブリにおいて使用され、アセンブリの塗布領域を通して空気流が生成され、塗布領域から過剰のウェットペイントが排出される。
【発明の開示】
【0003】
本発明の基盤を形成する目的は、上記のタイプの装置を提供することであって、装置の壁表面が、ウェットペイント過剰スプレーにより目詰まりすることが防止される。
【0004】
この目的は、本発明により、請求項1の序文の特徴を有する装置により達成され、請求項1によれば、本装置は、少なくとも1つのフローガイド要素により複数のセクションに分割されていて且つ塗布領域の下に配置された、フローチャンバを備え、セクションの1つには少なくとも1つの分離装置が設けられ、本装置は、排気流の流路の範囲を定め且つ少なくとも1つのフローガイド要素上に配置される、壁表面の空気カーテンを生成するための少なくとも1つの空気カーテン生成装置を備える。
【0005】
本発明による解決策は、生成された空気カーテンによりウェットペイント過剰スプレーを含む排気流は、空気カーテンにより保護された壁表面に進むことが防止され、排気流からのウェットペイント過剰スプレーが、この壁表面に付着することが防止されるという概念に基づいている。
【0006】
このようにして、特に、ウェットペイント過剰スプレーを含む排気流に晒された表面を、ウェットペイント過剰スプレーが付着することから永続的に防止できる。
【0007】
1つ以上の空気カーテン生成装置により排気流全体に供給される空気量は、好ましくは、塗布領域から発する排気量の約10%から30%に相当する。
【0008】
冷却された空気は、塗布領域から発する排気よりも密度が高く、そのため、保護すべき壁表面に向かって下降するので、空気カーテン生成装置に供給される空気が冷却されると特に好ましい。
【0009】
例えば、新鮮空気を、空気カーテン生成装置により供給することができる。
【0010】
または、清浄化(又は、清掃)された排気を、空気カーテン生成装置より供給するようにもできる。
【0011】
本発明の好適な構成においては、空気カーテンにより保護される壁表面は、ほぼ水平方向を向く。
【0012】
空気カーテンに保護される壁表面は、特に、塗布領域から分離装置への排気流の流路において、横方向に収縮部の範囲を定めるフローガイド表面であってよい。
【0013】
この場合、空気カーテンの中心流れ方向は収縮部方向に向かい、それにより、過剰スプレー粒子が空気カーテンを通して、収縮部方向に向かい、その収縮部を通過して分離装置に向かうようにすると好ましい。
【0014】
特に、フローガイド表面により範囲を定められた収縮部は、閉鎖装置により少なくとも部分的には閉鎖可能であるようにすることができる。
【0015】
分離装置は、特に、再生可能表面フィルタ、つまりフィルタを具備することができ、その上に、排気流により運ばれたウェットペイント過剰スプレーが堆積し、それは、好ましくは装置のルーチン操作の間に、その上に堆積したペイント剰スプレーを除去するために清浄化(又は、清掃)できる。
【0016】
再生可能表面フィルタの清掃(清浄化)を促進するために、再生可能表面フィルタは、フィルタ表面の目詰まりを防止するプリコート材料を具備するバリア層を有することができる。このバリア層は、表面フィルタの清掃後に、プリコーティング操作により再び新しくでき、清掃操作の間の中間プリコーティング操作により強化できる。
【0017】
本発明による装置の好適な構成は、少なくとも1つの閉鎖装置を具備し、それにより、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、間欠的で少なくとも部分的に閉じることができる。
【0018】
清掃およびプリコーティング操作中に、塗布領域から分離装置へ輸送されたウェットペイント過剰スプレーの量および、これらの操作中に分離装置の領域から塗布領域へ進むプリコート材料の量もまた、前記清掃操作および/または前記プリコーティング操作の間に、塗布領域と分離装置の間の排気流の流路を少なくとも部分的に閉じることにより少なくとも減少される。
【0019】
更に、閉鎖装置はまた、塗布領域において塗装対象の汚染を防止するために、故障の場合にも操作できる。
【0020】
塗布領域から分離装置への排気流の流路は、清掃操作および/またはプリコーティング操作の間に少なくとも部分的には閉じられるので、この流路が、閉鎖フェーズ以外は、比較的大きな流動可能断面を有するように構成できる。特に、塗布領域から分離装置への排気流の流路において、特別狭い収縮部に高流速(約2m/s超)を提供する必要はない。
【0021】
本発明の好適な構成においては、閉鎖装置は少なくとも1つの閉鎖要素と移動装置を具備し、それにより、閉鎖要素は、排気流の流路に入り込むように移動可能で、閉位置になり、また排気流の流路から出て、開位置になる。
【0022】
閉鎖要素は、例えば、実質的に気密性を有するように構成できる。
【0023】
この場合、好ましくは、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、清掃および/またはプリコーティング操作の間に、部分的にのみ閉じられ、それにより、少なくとも1つのギャップが常に残り、そこを通して排気流(閉鎖フェーズにおいて削減されている)は、塗布領域から分離装置へ進行できるようにできる。それにも拘わらず、この構成では、塗布領域から分離装置へ輸送される過剰スプレーの量、または、分離装置から塗布領域へ輸送されるプリコート材料の量は、閉鎖部分を通過する排気流の減少により、相当に減少される。
【0024】
特に、閉鎖要素は、シート状金属プレートを具備できる。
【0025】
この場合、閉鎖要素は、好ましくは、閉鎖要素を閉位置にできるように構成され、その位置において、閉鎖要素が開位置にあるときに排気流が流れる断面の、最大約80%を覆う。
【0026】
更に、動作不良の場合に、閉鎖要素を更に閉位置にでき、その位置において、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、閉鎖要素により完全に閉じられるようにできる。
【0027】
気密性閉鎖要素の代替として、閉鎖要素が透気性を有し、透気性フィルタ要素を具備するようにすることもできる。
【0028】
フィルタ要素は、閉鎖要素が閉位置のときに、フィルタ要素を通過する空気流から、ウェットペイント過剰スプレーとプリコート材料を濾過により取り出し、それにより、ウェットペイント過剰スプレーとプリコート材料はいずれも、これが閉位置のときは閉鎖要素を通過できない。
【0029】
透気性閉鎖要素が使用されるときは、塗布領域から分離装置への排気流の流路は、好ましくは、閉位置にある閉鎖要素により完全に閉じられる。
【0030】
本発明の好適な構成においては、閉鎖要素は支持構造を具備し、その上にフィルタ要素が保持されようにする。
【0031】
特に、フィルタ要素が、支持構造の締付け装置により保持されるようにすることができる。このようにして、ウェットペイント過剰スプレーを含むフィルタ要素および/またはプリコート材料を、支持構造から容易に取り外し、新しいフィルタ要素と交換できる。
【0032】
空気が閉鎖要素を通過できるようにするために、支持構造がハニカム構成のように配置された空気通路を有するようにすることができる。
【0033】
特に安定な閉鎖要素は、支持構造を金属材料から形成すれば得られる。
【0034】
閉鎖要素を開位置から閉位置へ移動し、そしてまた開位置に戻すための移動手段は、好ましくは、閉鎖要素を誘導するための少なくとも1つのガイドレールを具備する。
【0035】
更に、移動装置は、例えば、電気式、油(水)圧式、または空圧式の閉鎖要素用駆動機構を具備できる。
【0036】
移動装置の特別な構成においては、移動装置は、特に、チェーンまたは歯付きベルトである循環式輸送要素を具備するようにする。
【0037】
閉鎖要素が、閉位置のときに、オペレータによりアクセス可能に構成されていると、特に好ましい。この場合、アクセス可能な閉鎖要素は、塗布領域を通して塗装対象を輸送する輸送装置の保守および/または修理作業を行うための開始点として特に機能できる。この場合は、底部に塗装キャビンの範囲を通常は定める通路格子は省略できる。
【0038】
塗装対象が塗布領域を通して輸送装置により輸送されるときに、好ましくは、閉位置にある閉鎖装置の上側と、塗装対象の下側の間の垂直方向の間隔は、最大で約2mに達するようにし、それにより、輸送装置は、閉鎖要素上に立っているオペレータにより容易にアクセスできる。
【0039】
閉鎖要素をその閉位置に、特に安定した方法で保持するために、好ましくは、装置は閉鎖要素がそれに対して閉位置に支持される支持要素を備えるようにする。
【0040】
そのような支持要素は、装置のフローチャンバにおいて、閉鎖要素が支持される上部エッジに対して特に、垂直仕切り壁として構成できる。
【0041】
閉鎖要素を、ウェットペイント過剰スプレーによる、または閉鎖フェーズ以外のときのプリコート材料による汚染から守るために、好ましくは、閉鎖要素は、その開位置においては、装置のフローガイド要素の下方に配置される。
【0042】
本発明による装置は、好ましくは、少なくとも1つの再生可能表面フィルタを具備する。
【0043】
再生可能表面フィルタおよび/または、排気流の流路の境界壁に、ウェットペイント過剰スプレーが付着することを防止するバリア層を提供するために、好ましくは、装置は、プリコート材料を、閉鎖装置の排気流の下流に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段を備える。
【0044】
この場合、プリコート材料の排気流内への吐出は、好ましくは、閉鎖装置が、排気流の流路を少なくとも部分的に閉じたときに起こり、それにより、閉鎖装置はプリコート材料が、塗装アセンブリの塗布領域へ入り込むことを防止する。
【0045】
本発明による装置の特別な構成においては、閉鎖装置から分離装置への排気流の流路は、少なくとも1つの収縮された領域を有するようにする。収縮された領域における排気流の増大した流速は、実際にはプリコート材料は、閉鎖装置への排気流の流れ方向に対して、収縮され領域の下流に位置する排気流の流路のセクションから出ることはできないことを意味する。従って、清掃(清浄化)およびプリコーティング操作は、塗布領域から分離装置への排気流の流路が、これらの操作の間は、少なくとも部分的には閉じられていない状態で、収縮された領域の下流に位置する流路のセクションにおいて実行できる。この場合は逆に、閉鎖装置と収縮された領域の間に位置する排気流の流路のセクションにおいてプリコーティング操作が実行されるときには、塗布領域から分離装置への排気流の流路が、閉鎖装置により少なくとも部分的に閉じられていれば十分である。
【0046】
排気流の中心流れ方向は、好ましくは、収縮された領域を通過する間は、実質的に水平に向けられている。
【0047】
装置は好ましくは、プリコート材料を収縮された領域の下流の排気流内に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段を具備する。既に述べたように、閉鎖装置は、そのようなプリコート供給手段が操作されている間は、閉鎖位置に移動される必要はない。
【0048】
装置の好適な構成においては、装置は、使用されたプリコート材料に対する少なくとも1つの受入容器を具備するように形成される。使用されたプリコート材料をそのような受入容器に収集することにより、使用されたプリコート材料、つまり、ウェットペイント過剰スプレーと混合されたプリコート材料は、フィルタ要素または排気流の流路の境界壁のプリコート用に再使用するために供給できる。
【0049】
そのような受入容器は、好ましくは、分離装置の下方および/または閉鎖装置の下方に配置される。
【0050】
受入容器は、特にプリコート格納容器に、使用されたプリコート材料を受入容器からそのようなプリコート格納容器に移送できるプリコート排出ダクトにより接続できる。
【0051】
少なくとも1つのプリコート格納容器は、プリコート材料を排気流内に吐出する少なくとも1つのプリコート供給手段に接続できる。
【0052】
プリコート格納容器は、ウェットペイント無しの、またはウェットペイントを含むプリコート材料をプリコート供給手段に選択的に吐出できる。
【0053】
受入容器に収集された使用済プリコート材料は、装置が、受入容器に収納されるプリコート材料を受入容器から排気流の流路内に輸送できる少なくとも1つの圧縮空気ノズルを具備していれば、特に簡単な方法で再使用のために供給できる。
【0054】
塗装アセンブリの特別な省エネ操作は、装置が、ウェットペイント過剰スプレーを分離した排気流が、塗布領域に対して少なくとも部分的に再び供給される循環空気回路を有していれば可能になる。
【0055】
請求項39は、対象物、特には車体の塗装アセンブリであって、少なくとも1つの塗装キャビンと、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための、本発明による少なくとも1つの装置とを具備するアセンブリに言及している。
【0056】
本発明の基盤を形成する更なる目的は、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離する方法を提供することであり、ここにおいて、過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリの塗布領域における排気流に流入するので、装置の壁表面の、ウェットペイント過剰スプレーによる目詰まりが防止される。
【0057】
この目的は、下記の方法ステップ(手順)を含む方法により達成される。
塗布領域の下方に配置されていて且つ少なくとも1つのフローガイド要素により複数のセクションに分割されたフローチャンバのセクションに配置された分離装置により、過剰スプレーを少なくとも排気流の一部から分離するステップと、
排気流の流路の範囲を定め、少なくとも1つのフローガイド要素上に配置される、壁表面において空気カーテンを生成するステップ。
【0058】
本発明の更なる特徴と利点は、下記の説明と、例としての実施の形態の例示の主題である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
すべての図において、同一な要素または等価な機能を有する要素には同じ参照番号が付けられている。
【0060】
図1から図10に示されているアセンブリは、全体として参照番号100が与えられているが、車体102にスプレー塗装するためのものであり、純粋に図示のためだけに表現されており、それにより車体102を、全体として参照番号110が与えられている塗装キャビンの塗布領域108を通って、輸送方向106に移動可能な輸送装置104を具備している。
【0061】
輸送装置104は、例えば、逆転旋回式コンベヤまたは逆転モノレールコンベヤとして構成できる。
【0062】
特に、輸送装置104は、図1、3および4から最も良く分かるように、2つの部分から構成でき、輸送方向106において平行に延伸し、輸送方向106に直交する水平方向においてお互いに間隔をおく2つのコンベヤストランド104aと104bを具備することができる。
【0063】
塗布領域108は、塗装キャビン110の内部にあり、輸送装置104の両側において、それぞれのキャビン壁114により、塗装キャビン110の縦方向に対応する、輸送方向106に直交に延びるその水平横方向においてその範囲が定められている。
【0064】
例えば、塗装ロボットの形式のスプレー塗装装置116(図1から図4を参照)が、塗装キャビン110内の輸送装置104の両側に配置される。
【0065】
塗布領域108の上方から下方に向けて、実質的に垂直方向に通過する空気流は、図1において矢印119により示されているが、図10において模式的に図示された循環空気回路118により生成される。
【0066】
空気流は、塗布領域108における過剰スプレー粒子の形式のペイント過剰スプレーを取り込む。
【0067】
この場合、「粒子」という用語は、固体と液体の両者の粒子、特に小滴を含む。
【0068】
ウェットペイントがアセンブリ100において塗装に使用されるときは、ウェットペイント過剰スプレーはペイント小滴から構成される。
【0069】
過剰スプレー粒子のほとんどは、約1μmから約100μmの範囲の最大寸法を有する。
【0070】
矢印120で示される排気流は、塗装キャビン110から下方に向けて出て、全体として参照番号126が与えられている、塗布領域108の下方に配置されている、ウェットペイント過剰スプレーを排気流120から分離する装置に入り込む。
【0071】
装置126は、実質的に立方体のフローチャンバ128を具備し、フローチャンバ128は、輸送方向106において塗装キャビン110の全体の長さを超えて延伸し、塗装キャビン110の横方向のキャビン壁114と実質的に整列している垂直側壁130により、塗装キャビン110の横方向112における範囲が定められており、それにより、フローチャンバ128は、実質的に塗装キャビン110と同じ水平方向の断面積を有し、塗装キャビン110の床空間の垂直突起内に実質的に完全に配置されている。
【0072】
フローチャンバ128は、この例としての実施の形態においては実質的に水平に配向しているフローバッフルプレート134として構成されているフローガイド要素132により上部セクション136と下部セクション138に分割されている。
【0073】
フローチャンバ128の上部セクション136と下部セクション138は、収縮部140によりお互いに接続され、収縮部140は、フローガイド要素132の対向する自由エッジの間の空隙の形態であり、フローチャンバ128を通る排気流の流路において狭部を形成する。
【0074】
この場合の収縮部140の水平方向断面積は、収縮部140のレベルにおけるフローチャンバ128の水平方向断面積の約35%から約50%になる。
【0075】
収縮部140の範囲における排気流120の流速は、約0.6m/sから約2m/sになる。
【0076】
フローチャンバ128の下部セクション138は、輸送方向106に平行な垂直仕切り壁142により、左側サブセクション138aと右側サブセクション138bに分割される。
【0077】
輸送方向106に延伸するプリコーティング(前塗装)ランス(突起)の形態のプリコート供給手段144がそれぞれ、収縮部側のフローガイド要素132のそれぞれのエッジに統合される。
【0078】
各プリコーティングランスは、例えば、約30mmの直径を有し、複数の噴霧器ノズルが設けられ、噴霧器ノズルは、プリコーティングランスの縦方向に、約50mmから約100mmの間隔で配置され、約3mmから約15mmの範囲の孔サイズを有する。
【0079】
プリコーティングランスのこれらの噴霧器ノズルは、間隔をおいて、スプレー霧の形態のプリコート材料を排気流120に排出する。
【0080】
プリコート供給手段144はそれぞれ、1つまたは2つ以上プリコート供給ダクト146によりプリコート格納容器148に接続され、プリコート格納容器148には、プリコート材料が流動可能状態で格納されている。
【0081】
原理的に、ウェットペイント過剰スプレーの液体成分を吸収できる材料であれば如何なる材料でも、プリコート材料として使用できる。
【0082】
特に、ライム、ロックミール、アルミニウムシリケート、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、粉状ペイントなどが、例えば、プリコート材料として考えられる。
【0083】
プリコート材料は複数のプリコート粒子から構成され、例えば、約10μmから約100μmの範囲の平均直径を有している。
【0084】
プリコート格納容器148の1つの構造が図8に詳細に示されている。
【0085】
プリコート格納容器148の内部には、格納室150が位置しており、格納室150は漏斗のように下に向かって細くなっていて、圧縮空気室154上に配置された流動可能プリコート材料の流体床152を含んでいる。
【0086】
プリコート材料は、図9にその詳細を示すインジェクタ156により、プリコート格納容器148の格納室150から外に運ばれる。
【0087】
インジェクタ156は、T字形断面形状を有しており、圧縮空気接続部158、プリコート供給ダクト146用接続部160、および、格納室150の流体床152へ突出しているランスジェット部162を有している。
【0088】
プリコート材料を輸送するために、例えば、約5バールの圧力の圧縮空気が、インジェクタ156を通り、その圧縮空気接続部158からプリコート供給ダクト146用接続部160に向けて流される。この圧縮空気流は、図9において矢印164により示されている。
【0089】
この圧縮空気流は吸引効果をもたらし、その結果として、流体化されたプリコート材料が流体床152から、ランスジェット162を通してインジェクタ156内に吸引され、接続部160を通過してプリコート供給ダクト146へ入る。
【0090】
インジェクタ156を通るプリコート材料の流れは、図9の矢印166で示されている。
【0091】
ウェットペイント過剰スプレーを排気流120から分離するそれぞれの分離装置168は、収縮部140の両側のフローチャンバ128の下部セクション138のサブセクション138a、138bに設けられている。分離装置168はそれぞれ複数の再生可能表面フィルタ170を具備し、再生可能表面フィルタ170は、フローチャンバ128の2つの対向する垂直側壁130上に配置され、輸送方向106においてお互いに等間隔で配置され、フィルタ要素172を有して、フローチャンバ128の下部セクション138に突出している(特に図1、2、および4を参照)。
【0092】
各再生可能表面フィルタ170は、空洞ベース体を具備し、その上に、例えば、ほぼ平板形のフィルタ要素172が保持されている。
【0093】
フィルタ要素172は、例えば、焼結ポリエチレンから製造されるプレートとして構成することができ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のメンブレン(膜)がその外面上に設けられる。
【0094】
PTFEコーティングは、表面フィルタ170の濾過度を増大するように(つまり、その透過度を減少するように)、そして更に、排気流120から堆積したウェットペイント過剰スプレーの永続的接着を防止するように機能する。
【0095】
フィルタ要素172のベース材料と、そのPTFEコーティングの両者は多孔性であり、排気は孔を通過してそれぞれのフィルタ要素172の内部に入り込むことができる。
【0096】
フィルタ表面の目詰まりを防止するために、これらには排気流に排出されたプリコート材料のバリア層が設けられる。
【0097】
装置126の操作中に、このバリア層はフィルタ表面上で、排気流120に排出されたプリコート材料の堆積により形成され、接着する湿性のない過剰スプレーの結果としての、表面上の目詰まりを防止する。
【0098】
排気流120からのプリコート材料もまた、フローチャンバ128の下部セクション138の境界壁上に堆積し、そこにおいて、ウェットペイント過剰スプレーが接着することを防止する。
【0099】
排気流120は、再生可能表面フィルタ170のフィルタ要素172のフィルタ表面上を通過し、運ばれてきたプリコート材料とウェットペイント過剰スプレーの両者はフィルタ表面に堆積し、多孔性フィルタ表面を通過して、それぞれの表面フィルタ170のベース体174の内部の空洞に接続されているフィルタ要素172の内部に入り込む。
【0100】
清浄化された排気流120はこのようにベース体174を通過してそれぞれの排気管176に入り込み、排気管176はそれぞれの再生可能表面フィルタ170から、フローチャンバ128の垂直側壁130の隣で横方向に延び、輸送方向106に平行に延びている排気ダクト178につながっている。
【0101】
図10の模式表現から分かるように、ウェットペイント過剰スプレーを清浄化された排気は2つの排気ダクト178から外に出て、排気収集ダクト180を通り、再循環ファン182に到達し、そこから、清浄化された排気は冷却バッテリ184と供給ダクト186を介して、塗布領域108の上方に配置された空気室188、いわゆる空間に供給される。
【0102】
空気室188から、清浄化された排気はフィルタカバー190を介して、塗布領域108に戻る。
【0103】
排気弁194により完全に、または部分的に閉鎖可能な排気ダクト192は、供給ダクト186から分岐している。
【0104】
排気弁194と排気ダクト192を通過する清浄化された排気流の一部は、外界に排出される(例えば、排気管を介して)。
【0105】
外界に排出された排気流のこの部分は新鮮空気と置換されて、新鮮空気供給ダクト198を介して吸気口システム196に供給される。
【0106】
吸気口システム196からの新鮮空気は、それぞれの吸気口ダクト202により吸気口システム196へ接続されている2つの空気カーテン生成装置200によりフローチャンバ128に供給される。
【0107】
図1により最も良く分かるように、各空気カーテン生成装置200は、輸送方向に延伸し、吸気口システム196から吸気口ダクト202を介して吸気が供給され、空隙206を介してフローチャンバ128の上部セクション136に開口しているそれぞれの吸気口室204を具備しており、この空隙206は輸送方向に延伸し、例えば、約15cmから約50cmの範囲の、垂直方向の延伸部を有している。
【0108】
吸気口室204の空隙206は、フローガイド要素132の1つの少し上方にそれぞれ配置されており、それにより、フローガイド要素132に沿ってほぼ水平方向の吸気口室204から、フローガイド要素132の上側のフローチャンバ128への吸気の流入の結果として空気カーテンが形成され、空気カーテンは、空気カーテン生成装置200から、フローガイド要素132の間の収縮部140へ導かれ、それにより、ウェットペイント過剰スプレーを含む排気流120が塗布領域108から出てフローガイド要素132の上側に行くことが防止され、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーが、フローガイド要素132の上側に堆積することが防止される。
【0109】
フローガイド要素132において、空気カーテン生成装置200により生成された横方向の空気カーテン構成における空気の中心流れ方向は、図1において矢印208により図示されている。
【0110】
横方向の空気カーテン構成における空気の流れは、フローガイド要素132間の収縮部140に向けて導かれるので、フローガイド要素132の上側に堆積した如何なる過剰スプレー粒子も収縮部140に向けて移動され、そこで排気流120に乗せられてフローチャンバの下部セクション138に入り込む。
【0111】
空気カーテン生成装置200の1つにより、それぞれフローチャンバ128の内部に供給される単位時間当たりの空気量は、塗布領域108からの排気流120に含まれる単位時間当たりの空気量の約5%から約15%になる。
【0112】
吸気口システム196は冷却バッテリ(図示せず)を具備し、それにより空気カーテン生成装置200に供給される空気は冷却されて、塗布領域108から流出する排気流120よりも冷たくなり、空気カーテン生成装置200により供給された空気がフローチャンバ128において降下、つまり、保護されるフローガイド要素132の表面に向かうことになる。
【0113】
この冷却された吸気は更に、フローチャンバ128の下部セクション138と、排気ダクト178と、排気収集ダクト180を通って流れるときに、この冷却された吸気は塗布領域108からの排気流120と混合し、それにより、供給ダクト186を介して塗布領域108に再び供給される清浄化された排気の温暖化が、再循環ファン182により部分的に補償されることになる。
【0114】
空気カーテン生成装置200により供給された空気の結果としてのこの補償は、冷却バッテリ184による再循環ファン182から流出する空気の冷却により補完される。
【0115】
従って、塗布領域108を通って導かれた空気の大部分が、塗布領域108と、フローチャンバ128と、排気ダクト178と、排気収集ダクト180と、再循環ファン182と、供給ダクト186と、塗布領域108上方の空気室188を具備する再循環空気回路118に導かれ、再循環空気回路に導かれた空気の定常的な加熱は、空気カーテン生成装置200による新鮮空気の供給により、また、冷却バッテリ184による冷却により防止される。
【0116】
排気収集ダクト180と、供給ダクト186における平均空気流速は、約6m/sから約12m/sの範囲にある。
【0117】
再生可能表面フィルタ170によるウェットペイント過剰スプレーの排気流からの分離は乾式、つまり、清浄流体による洗浄なしで行われるので、再循環空気ダクト118に導かれた空気は、ウェットペイント過剰スプレーの分離の間に湿気を含むことはなく、それにより、再循環空気回路118に導かれた空気の湿気を除去するための如何なる装置も必要としない。
【0118】
更に、洗浄に使用された清浄流体からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置も必要としない。
【0119】
再生可能表面フィルタ170は、そのウェットペイント過剰スプレーの負荷があるレベルに達すると、特別な時間間隔で圧縮空気パルスにより清浄化される。
【0120】
清浄化(清掃)は、例えば、8時間稼動シフト毎に1回から6回、約1時間から8時間毎に行うことができる(表面フィルタ170における圧力損失の増大に依存する)。
【0121】
必要な圧縮空気パルスは、それぞれの再生可能表面フィルタ170のベース体174上に配置され、それぞれのベース体174の内部を通り且つ脈動ユニット210からフィルタ要素172の内部につながっている、圧縮空気パイプに圧縮空気パルスを供給できる脈動ユニット210により生成される。
【0122】
フィルタ要素172の内部から、圧縮空気パルスは、多孔性フィルタ表面を通過してフィルタ要素172の外部領域に入り、そこにおいて、フィルタ表面上に形成されたプリコート材料のバリア層と、その上に堆積したウェットペイント過剰スプレーはフィルタ表面から引き離され、それにより、フィルタ表面は、その清浄化された初期の状態に戻る。
【0123】
脈動ユニット210に格納される圧縮空気は、圧縮空気供給ダクト(図示せず)により、オンサイト圧縮空気供給ネットワークから補充される。
【0124】
清浄後、プリコート材料を、プリコート供給手段144により排気流120に加えることにより、新しいバリア層がフィルタ表面上に生成され、バリア層は、100%ペイント無しプリコート材料またはウェットペイント含有プリコート材料から構成できる。
【0125】
再生可能表面フィルタ170のフィルタ表面から清掃されたウェットペイントを含む材料は、上方に向いている開口部214がフローチャンバ128の水平方向断面全体をほぼ覆うように、フローチャンバ128の下部セクション138に複数配置されているプリコート受入容器212に入り込む。このようにして、清浄化により表面フィルタ170から除去されたすべての材料は、表面フィルタ170に到達前に排気流120から既に分離されたプリコートと過剰スプレー材料と共に、プリコート受入容器212に入り込む。
【0126】
各プリコート受入容器212は、漏斗形で下に向かって細くなる上側部216と、またほぼ立方体の下側部218を具備する。
【0127】
プリコート受入容器212の上側部216の側壁は、漏斗形でお互いに向って傾いており、お互いに漏斗の角度約50°から約70°で取り囲んでいる。
【0128】
上部開口部214に接近して、プリコート受入容器212の各上側部216には、上側部216を横切る圧縮空気ランス220が設けられ、そのランスにより、プリコート受入容器212の上側部216に位置する材料を、圧縮空気パルスに晒すことができ、その結果、渦巻状になる。
【0129】
渦巻状になった材料は、開口部214を通して上昇でき、例えば、再生可能表面フィルタ170のフィルタ表面上、または垂直仕切り壁142上に堆積することができ、この表面または壁を、プリコート材料によるコーティングによる、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーの付着から保護する。
【0130】
プリコート受入容器212の下側部218から、そこに含まれている材料、つまり、プリコート材料とウェットペイント過剰スプレーの混合物は、それぞれ吸引管222を介して輸送でき、プリコート吸引ポンプ223が配置されているプリコート格納容器148の1つの内部に入り、上述のように、そこからプリコート供給ダクト146を通って、プリコート材料としての再使用のために供給される。
【0131】
ウェットペイントを含むプリコート材料をプリコート供給ダクト146に供給するプリコート格納容器148に加えて、装置126はまた、プリコート受入容器212には接続されていないが、プリコート供給ダクト146にウェットペイント無しのプリコート材料を選択的に供給するために、ウェットペイント無しのプリコート材料で満たされているプリコート格納容器を更に具備することができる。
【0132】
表面フィルタ170と垂直仕切り壁142のこの中間プリコーティングは、例えば、約15分から約1時間の間隔で行うことができる。
【0133】
これらの中間プリコーティング操作の間、または洗浄操作および後続する表面フィルタ170のプリコーティング間に、プリコート材料が収縮部140を通って塗布領域108に入ることを防止するために、またはウェットペイント過剰スプレーが収縮部140を通って表面フィルタ170に到達することを防止するために、収縮部140は、その1つが詳細に図5から図7に示されている2つの閉鎖装置224により、これらの操作の間は閉鎖される。
【0134】
左側閉鎖装置224a(図1では閉じている)は、収縮部140の左側セクション140aを閉じるために機能し、左側フローガイド要素132aの右側エッジにより範囲の一方が定められ(又は、区切られ)、他方は垂直仕切り壁142の上部エッジにより定められ(又は、区切られ)ている。
【0135】
右側閉鎖装置224b(図1では開いている)は、収縮部140の右側セクション140bを閉じるために機能し、右側フローガイド要素132bの左側エッジにより範囲の一方が定められ、他方は垂直仕切り壁142の上側部により定められている。
【0136】
各閉鎖装置224は、金属材料で作成された支持構造228と、締付け作用により支持構造228上に保持されたフィルタ要素230を有する閉鎖要素226をそれぞれ具備している。
【0137】
図5と6から最も良く分かるように、支持構造228は、ハニカム構成で配置されている空気路234のパターンが設けられた、ほぼ平坦なプレート232を具備する。
【0138】
プレート232は、特に、亜鉛メッキ鋼材料または特殊鋼材料から形成できる
【0139】
プレート232の材料厚さは、例えば、約4mmになる。
【0140】
横方向112における空気路234の長さは、例えば、約40mmになる。輸送方向106における空気路234の長さは、例えば、約80mmになる。
【0141】
ほぼ四角形の空気路234は、横方向112の複数の連続列に配置され、1つの列の空気路234は、2つの隣接する列の空気路234に関してオフセットされる。例えば、輸送方向106における空気路234の長さの約半分だけオフセットされる。
【0142】
プレート232内の空気路234は、その間に位置していて且つ横方向112または輸送方向106に延伸し且つそれぞれが、例えば、約8mmの幅を有する、ウェブ236によりお互いから分離されている。
【0143】
その横方向のエッジ上において、プレート232には、それぞれのエッジ領域240が設けられており、エッジ領域240は、空気路が設けられず、例えば、約30mmの幅を有している。
【0144】
フィルタマットの形状を有するフィルタ要素230はプレート232上に位置し、プレート232のウェブ236上で、およびプレート232のエッジ領域240上で支持される。
【0145】
フィルタ要素230は、例えば、グラスファイバマットとして構成でき、透気性があり、例えば、約50mmから約100mmの厚さを有する。
【0146】
フィルタ要素230の単位面積当たりの重さは、例えば、約220g/m2から約350g/m2に達する。
【0147】
適切なフィルタ要素230は、例えば、「Farbnebelabscheider (Paint Mist Arrestor) Typ PS50」または「Farbnebelabscheider (Paint Mist Arrestor) Type PS100」という名称で、69465 Weinheim, ドイツ(Gearmany)の Freudenberg Vliesstoffe KGから販売されている。
【0148】
透気性フィルタ要素230と、空気路234を有するプレート232は、閉鎖要素226を通して空気を通過させるが、空気により運ばれるプリコート材料、またはそれにより運ばれるウェットペイント過剰スプレーはフィルタ要素230により阻止され、そのため、プリコート材料もウェットペイント過剰スプレーも閉鎖要素226を通過できない。
【0149】
締付け作用により、フィルタ要素230を支持構造228に固定するために、閉鎖要素226は、アングル付きフレームプロフィール244上に配置された複数の締付け手段242を具備し、それぞれがプレート232とフィルタ要素230上に係合する垂直脚246と水平脚256を有しており、プレート232のエッジに沿って延伸している。
【0150】
これらの締付け手段242のそれぞれは、水平脚250および垂直脚252を有するアングル要素248を具備し、水平脚250は、プレート232のエッジ領域240に固定され、垂直脚252には、垂直細長孔が設けられている(図6における表現からは明らかではない)。
【0151】
複数の、例えば、2つの締付けネジ254が、フレームプロフィール244上の孔にねじ込まれ、この垂直細長孔に係合し、それにより、フレームプロフィール244は、アングル要素248の垂直脚252に関しての垂直方向に変位可能であり、締付けネジ254を締付けることにより、所望の位置において締付けることができる。
【0152】
フレームプロフィール244が、アングル要素248に関して下部の締付け位置で締付けられると、フレームプロフィール244の水平脚256は、フィルタ要素230のエッジ領域上に圧力を加え、それにより、フィルタ要素230は、フレームプロフィール244と、支持構造228のプレート232の間に堅く締付けられる。
【0153】
支持構造228へのフィルタ要素230の締付けは、ある一定の操作期間の後に、フィルタ要素230を新しいフィルタ要素230と交換するために解除できる。
【0154】
図7に示される移動装置258により、上記の閉鎖要素226は、閉鎖要素226がフローガイド要素132の下方に配置される開位置(図7において破線で示されている)から、閉鎖要素226が収縮部140の関連するセクション140aを閉じる閉位置(図7において実線で示されている)まで移動できる。
【0155】
移動装置258は、駆動歯車262を駆動して回転運動をさせ得る電動モーター260と、駆動歯車262の周りに配置された歯付きベルト266と、戻り歯車264(および、おそらく、図示していない別の戻り歯車)とを具備する。歯付きベルト266の上側走行部280には、2つの受入プレート268が、歯付きベルトの長手方向にお互いに間隔を置いて固定され、その上に、閉鎖要素226のフレームプロフィール244から輸送方向に突出しているほぼ円筒形のジャーナル270が配置され、その水平軸の周りを回転する。
【0156】
歯付きベルト266は、ガイドレール272のコース(経路)を辿りガイドレール272は、閉鎖要素226が開位置において横方向に誘導される下部セクション274と、閉鎖要素226が閉位置において横方向に誘導される上部セクション276と、水平に関して傾斜し、上部セクション276を下部セクション274に接続する中央セクション278を有している。
【0157】
閉鎖要素226が開位置(図7において破線で示されている)に位置しているときは、閉鎖要素226は、この開位置から閉位置(図7において実線で示されている)に、駆動歯車262を時計回りに回転させる電動モーター260により移動でき、それにより、歯付きベルト266の上側走行部280は、その上に固定された受入プレート268と共に右側に移動し、受入プレート268上で回転するように、ジャーナル270により保持された閉鎖要素226は、受入プレート268により右側に引っ張られる。この場合、閉鎖要素226はガイドレール272上で誘導され、それにより、閉鎖運動を伴って、閉鎖要素226は、ガイドレール272の中央セクション278を閉位置に到達するまで、ガイドレール272の上部セクション276に移動し、その閉位置において、閉鎖要素226は収縮部140のセクション140aを完全に覆い、それにより、その後部エッジがフローガイド要素132の前部エッジに接し、その前方エッジが垂直仕切り壁142の上側に位置し、それにより、閉鎖要素226は閉位置において垂直仕切り壁142により底部に支持される。
【0158】
金属製支持構造228と、ガイドレール272上の閉鎖要素226の案内部と、垂直仕切り壁142は、閉鎖要素226が閉位置にあるときに、例えば、輸送装置104の保守または修理作業を行うためにオペレータがアクセスできるような機械的強度を有している。
【0159】
この目的のために、一方の、閉位置にある閉鎖要素226の上側と、輸送装置104により輸送される車体102の下側エッジの間の間隔は、約1.5mから約2mになる。
【0160】
閉鎖要素226は閉位置においてアクセスできるので、塗装キャビン110の塗布領域108の底部への範囲を定める通常の通路格子を別に設ける必要はない。
【0161】
既に述べたように、排気流120は、閉位置にある閉鎖要素226を流れ続けることができる。しかし、閉鎖要素226は、閉鎖されていない収縮部140よりも明らかに高い流動抵抗を構成するので、閉鎖要素226を通過する体積流量は、収縮部140の閉鎖されていないセクション140aを通過する体積流量よりもかなり小さい。
【0162】
フローチャンバ128の下部セクション138から来るプリコート材料またはウェットペイント過剰スプレーは、閉鎖フェーズの間に、閉鎖要素226のフィルタ要素230により濾過されるので、塗布領域108内には入り込めない。
【0163】
フローチャンバ128の上部セクション136から来るウェットペイント過剰スプレーは、閉鎖フェーズの間に、閉鎖要素226のフィルタ要素230により濾過されるので、表面フィルタ170の表面には到達できない。
【0164】
従って、閉鎖フェーズの間は、再生可能表面フィルタ170はプリコート材料なしで清掃(又は、清浄化)でき、清掃により除去されたウェットペイント過剰スプレーは、フローチャンバ128の下部セクション138から上方へ通過でき、またはウェットペイント過剰スプレーは、フローチャンバ128の上部セクション136から下方に通過できる。
【0165】
更に、閉鎖要素226はまた、表面フィルタ170および/または、フローチャンバ128の下部セクション138の範囲定める壁が、プリコート供給手段144によりプリコート材料で、および/または圧縮空気ランス220により渦巻状の、プリコート受入容器からのプリコート材料によりコーティングされる場合は、閉鎖位置にすることができる。同様に、そのようなプリコーティングフェーズの間は、プリコート材料は、フローチャンバ128の下部セクション138から出て、閉鎖位置にある閉鎖要素226を通過して、塗布領域108内部に向けて上方に移動することはできない。
【0166】
清浄化フェーズまたはプリコーティングフェーズが終了した後は、閉鎖要素226は、電動モーター260により反時計回り方向に駆動された駆動歯車262により開位置に戻され、その結果として、そこに固定されている受入プレート268を有する歯付きベルト266の上側走行部280は左側に移動され、閉鎖要素226を開位置に引っ張る(図7において破線で示されている)。
【0167】
収縮部140の左側セクション140aと、収縮部140の右側セクション140bに対する2つの閉鎖装置224は、同時に、または時間間隔を置いて作動できる。
【0168】
前者の場合は、収縮部140の両者のセクション140a、140bは同時に閉じられて、フローチャンバ128の下部セクション138の2つのサブセクション138a、138bにおいて、同時に清掃(又は、清浄化)またはプリコーティング操作を行う。
【0169】
後者の場合は、収縮部140のセクション140a、140bは異なる時刻に閉じられて、フローチャンバ128の下部セクション138の2つのサブセクション138a、138bにおいて、時間間隔を置いて洗浄またはプリコーティング操作を行う。
【0170】
フィルタ要素230を有する透気性閉鎖要素226の代わりに、完全に閉じる、気密性の閉鎖要素も使用できる。
【0171】
そのような気密性閉鎖要素は、例えば、空気路がない完全に閉じた金属プレートを具備できる。
【0172】
この場合、収縮部140のそれぞれのセクション140a、140bは、閉鎖要素226により完全には閉じられない。この場合は、気密性閉鎖要素は閉位置に設定されるが、その閉位置では、閉じられる収縮部140のそれぞれのセクション140a、140bを完全には閉じずに、例えば、約500mmから約700mmの幅で開いている空隙を、収縮部140を通過する排気流120の通路のために残す。
【0173】
この場合、収縮部が狭くなっているので、収縮部140を通って上方に通過するプリコート材料の量と、収縮部140を通って下方に通過するウェットペイント過剰スプレーの量は、収縮部140のセクション140aまたは140bが部分的に閉じることにより相当に減少する。
【0174】
閉鎖装置224の閉鎖時間は、清掃および新しいプリコーティング操作の場合は、例えば、約2分から約6分であり、間欠的なプリコーティング操作の場合は、例えば、約1分から約2分である。
【0175】
図11に示されている車体102塗装のためのアセンブリ100の第2実施の形態は、上記の第1実施の形態とは、排気を再循環空気回路118から除去し、外界に排出する排気ダクト192が、再循環ファン182の下流に配置された供給ダクト186からではなく、再循環ファン182の上流に配置された排気収集ダクト180から分岐している点のみが異なる。
【0176】
更に、この実施の形態において、排気弁194の代わりに、排気ファン282が排気ダクト192内に設けられる。
【0177】
この構成には、上部から塗布領域108とフローチャンバ128を通って下方に垂直に導かれる空気流は、再循環ファン182が故障しても、吸気口システム196と排気ファン282により維持できるという利点がある。塗布領域108を通るそのような垂直空気流を維持することにより、粒子がフローチャンバ128から塗布領域108に上昇して、そこに位置する車体102を汚染することが防止される。
【0178】
これ以外の、図11に示されている第2実施の形態の構造と機能は、図1から図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0179】
図12に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第3実施の形態は、上記の第1実施の形態とは、空気カーテン生成装置200には吸気口システム196から来る新鮮空気は供給されず、その代わり、再循環ファン回路118から分岐した、清浄化された排気が供給される点のみが異なっている。
【0180】
この目的のために、空気カーテン生成装置200は、それぞれの分岐ダクト284により、この背後で接続されている再循環ファン182と冷却バッテリ184から、塗布領域108の上方の空気室188へつながる、供給ダクト186に接続されている。
【0181】
制御弁286は分岐ダクト284内に配置され、制御弁288もまた分岐ダクト284の分岐の下流の供給ダクト186内に配置され、それにより、再循環空気流は、必要に応じて空気カーテン生成装置200の間で分割され、一方、空気流は、空気室188と塗布領域108を通過する。
【0182】
制御弁286、288は好ましくは、単位時間当たりに空気カーテン生成装置200を通過する空気の量が、塗布領域108を通過する空気量の約5%から約15%になるように調整される。
【0183】
本実施の形態においては、排気弁194を有する排気ダクト192を介して、再循環空気回路118から除去された排気量は、制御弁288の下流の供給ダクト186に開口している供給ダクト290を介して、再循環空気回路118に供給されている吸気口システム196から来る新鮮空気により置換される。
【0184】
本発明実施の形態は、追加的な排気ファンを必要としない。
【0185】
これ以外の、図12に示されている第3実施の形態の構造と機能は、図1から図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0186】
図13に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第4実施の形態は、上記の第3実施の形態とは、排気を再循環空気回路118から外界へ排出する排気ダクト192には、排気弁194の代わりに排気ファン282が設けられている点が異なる。
【0187】
この結果として、塗布領域108を通って垂直に下方に導かれる空気流を、再循環ファン182が故障しても、吸気口システム196と排気ファン282により維持することが可能である。この緊急時運転の結果、粒子、特にプリコート材料およびウェットペイント過剰スプレーの粒子が、再循環ファン182が故障中であっても、フローチャンバ128から出て、上昇して塗布領域108に入り込むことが防止される。
【0188】
これ以外の、図13に示されている第4実施の形態の構造と機能は、図12に示された第3実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【0189】
図14から図17に示されている、車体102塗装のためのアセンブリ100の第5実施の形態は、収縮部140を通過後、排気流120は分離装置168の再生可能表面フィルタ170へ直接流れ込むことはできず、表面フィルタ170のフィルタ要素172は、カバー292により、排気流120が直接流入することから保護される点が、上記の第1実施の形態とは異なる。
【0190】
本実施の形態においては、排気流120は、まずそのようなカバー292の垂直側壁294に沿って下方に流れなければならず、それにより、カバー292の下側エッジと、プリコート受入容器212の上側エッジの間の狭い領域296をほぼ水平方向に、再生可能表面フィルタ170のフィルタ要素172まで通過することができるようになる。
【0191】
フィルタ要素172に面する各カバー292の下側エッジの内部には、追加的な下側プリコート供給手段298がそれぞれ配置され、フィルタ要素172に、プリコート材料の保護層を提供するように機能する。
【0192】
本実施の形態においては、フローガイド要素132に統合されたプリコート供給手段144は、単に、フローチャンバ128の下側セクション138の横方向境界壁を、プリコート材料でコーティングし、これらの表面に、排気流120からのウェットペイント過剰スプレーが付着することから保護するように機能するに過ぎない。
【0193】
各カバー292の水平カバー壁300はそれぞれ、関連するフローガイド要素132と、閉位置にある閉鎖要素226の下方、および関連するそれぞれのフィルタ要素172の上方にそれぞれ配置され、上方から排気流120が、フィルタ要素172に直接流入することが防止される。
【0194】
一方のカバー292と、他方のプリコート受入容器212の開口部214の間の狭い領域296は、約150mmから約200mmの範囲の垂直方向の広がりを有している。
【0195】
狭い領域296を通る排気流120の平均流速は、最大約10m/sの範囲にある。この速い流速の結果として、実際には、プリコート材料が、排気流120の主要な流れの方向に逆らって、カバー292の内部から出て、上方に通過することはできない。従って、カバー292に囲まれた内部においては、表面フィルタ170の清浄化操作と新しいプリコーティング操作を、この目的のために閉鎖手段224により閉じなければならない収縮部140を有しない下側プリコート供給手段298により短い時間間隔(例えば、5分毎)で行うことができる。
【0196】
表面フィルタモジュールが、例えば、10個のフィルタ要素を具備し、そのフィルタ要素の1つを5分毎に清浄化するならば、各フィルタ要素は、約50分毎に清浄化される。
【0197】
更に、本第5実施の形態において、フィルタ要素172は、特に、カバー292により、ウェットペイント過剰スプレーの目詰まりから特に良好に保護される。
【0198】
本発明実施の形態においては、収縮部140のセクション140a、140bは、単に閉じられて(同時または時間をおいて)、フローチャンバ128の下側セクション139において、フローチャンバ128の下側セクション138の横方向境界壁のプリコーティング操作を、上側プリコート供給手段144により実施し、および/または、圧縮空気ランス220により、プリコート受入容器212からのプリコート材料を渦巻状にすることにより実施するが、これらの操作の間に、プリコート材料をフローチャンバ129の下側セクション138から出て塗布領域108に流入させず、またはウェットペイント過剰スプレーを塗布領域108から出てフローチャンバ128の下側セクション138に流入させない。
【0199】
これ以外の、図14から図17に示されている第5実施の形態の構造と機能は、図1刈ら図10に示された第1実施の形態と同じであり、それを前提に上記の記述を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1は、その下部に配置された、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置を有する塗装キャビンの第1実施の形態の模式垂直断面図であり、過剰スプレーを排気流から分離するための2つの分離装置と、分離装置の上方に配置された、排気流の流路の間欠的な閉鎖のための2つの閉鎖装置と、水平方向のフローガイド表面上に横方向の空気カーテンを生成するための2つの空気カーテン生成装置を含む。
【図2】図2は、図1のアセンブリの模式側面図である。
【図3】図3は、図1と図2のアセンブリの上方からの模式平面図である。
【図4】図4は、図1から図3のアセンブリの模式透視表現である。
【図5】図5は、図1から図3のアセンブリの閉鎖装置の閉鎖要素の支持構造の上方からの模式平面図である。
【図6】図6は、図1から図4のアセンブリの閉鎖装置の閉鎖要素の模式垂直断面図である。
【図7】図7は、図1から図4のアセンブリの閉鎖装置の模式側面図である。
【図8】図8は、プリコート格納容器の垂直断面の模式図である。
【図9】図9は、プリコート材料のインジェクタの模式断面図である。
【図10】図10は、図1から図4のアセンブリの循環空気回路の模式表現であり、新鮮空気が空気カーテン生成装置に供給され、排気は排気弁を介して循環空気回路から排出される。
【図11】図11は、代替としての循環空気回路の模式表現であり、排気は、排気ファンにより循環空気回路から排出される。
【図12】図12は、循環空気回路の模式表現であり、冷却された排気は空気カーテン生成装置に供給され、更に排気は排気弁を介して循環回路から排出される。
【図13】図13は、代替としての循環空気回路の模式表現であり、排気は排気ファンにより循環空気回路から排出される。
【図14】図14は、その下方に配置された、過剰スプレー粒子を含む排気流からウェットペイント過剰スプレーを分離するための装置を有する塗装キャビンの第2実施の形態の垂直断面における模式図であり、過剰スプレーを排気流から分離するための2つの分離装置と、排気流の流路を間欠的に閉鎖るための2つの閉鎖手段と、2つのフローガイド表面に沿う、横方向の空気カーテン構成を生成するための2つの空気カーテン生成装置と、分離装置用のそれぞれのカバーであって、それぞれの閉鎖装置と、それぞれの分離装置の間の排気流の流路において、収縮された領域を生成するカバーを含む。
【図15】図15は、図14のアセンブリの模式側面図である。
【図16】図16は、図14と図15のアセンブリの上方からの模式平面図である。
【図17】図17は、図14から図16のアセンブリの模式透視表現である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過剰スプレー粒子を含む排気流(120)から、ウェットペイント過剰スプレーを分離する装置であって、
前記過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリ(100)の塗布領域(108)において前記排気流(120)に流入し、
前記装置(126)は、前記排気流(120)の少なくとも一部から前記過剰スプレーを分離する少なくとも1つの分離装置(168)を備える、装置において、
前記装置(126)は、少なくとも1つのフローガイド要素(132)により複数のセクション(136、138)に分割され且つ前記塗布領域(108)の下方に配置されたフローチャンバ(128)を備え、少なくとも1つの分離装置(168)が前記セクションの1つ(138)に設けられることと、
前記装置(126)は、前記排気流(120)の流路の範囲を定め且つ前記少なくとも1つのフローガイド要素(132)上に配置される、壁表面上の空気カーテンを生成するための少なくとも1つの空気カーテン生成装置(200)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記塗布領域(108)から発した排気量の約10%から約30%に対応する空気量が、1つ以上の空気カーテン生成装置(200)により前記排気流(120)に供給されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空気カーテン生成装置(200)により供給される前記空気は、冷却されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
新鮮空気が、前記空気カーテン生成装置(200)により供給されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
清浄化された排気が、前記空気カーテン生成装置(200)により供給されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記空気カーテンにより保護される前記壁表面は、実質的に水平方向に向けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記空気カーテンにより保護される前記壁表面は、前記塗布領域(108)から前記分離装置(168)への前記排気流(120)の流路において収縮部(140)の横方向の範囲を定める、フローガイド表面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記空気カーテンの中心流れ方向は、前記収縮部(140)の方に向けられていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記収縮部(140)は、閉鎖装置(224)により少なくとも部分的には閉じることができることを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置(126)は、前記塗布領域(108)から前記分離装置(168)への前記排気流(120)の流路を間欠的で少なくとも部分的に閉じることができる、少なくとも1つの閉鎖装置(224)を具備することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記閉鎖装置(224)は、少なくとも1つの閉鎖要素(226)と、前記閉鎖要素(226)を前記排気流(120)の流路に入り込ませて閉位置にし、前記排気流(120)の流路から出して開位置にすることができる移動装置(258)を具備することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記閉鎖要素(226)は、実質的に気密性を有するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記閉鎖要素(226)は、シート状金属プレートを具備することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記閉鎖要素(226)は、閉位置にすることができ、その位置において、前記閉鎖要素(226)が前記開位置にあるときに前記排気流が流れる断面の最大約80%を覆うことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記閉鎖要素(226)は、透気性フィルタ要素(230)を具備することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記閉鎖要素(226)は、その上に前記フィルタ要素(230)が保持されている支持構造(228)を具備することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタ要素(230)は、締付け装置(242)により前記支持構造(228)上に保持されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記支持構造(228)は、ハニカム構成に配置された空気通路(234)を有することを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記支持構造(228)は金属材料から形成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記移動装置(258)は、前記閉鎖要素(226)を誘導するための少なくとも1つのガイドレール(272)を具備することを特徴とする請求項11から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記移動装置(258)は、前記閉鎖要素(226)用の電気式、油圧式または空圧式駆動機構(260)を具備することを特徴とする請求項11から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記移動装置(258)は、循環輸送要素、特にチェーンまたは歯付きベルト(226)を具備することを特徴とする請求項11から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記閉位置のときの前記閉鎖要素(226)は、オペレータによりアクセス可能であることを特徴とする請求項11から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記塗装対象(102)は、前記塗布領域(108)を輸送手段(104)により輸送され、前記閉位置のときの前記閉鎖要素(226)の上側と、前記塗装対象(102)の下側の間の垂直方向の間隔は、最大約2mになることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置(126)は、前記閉鎖要素(226)を前記閉位置において支持する支持要素(142)を具備することを特徴とする請求項11から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記開位置において、前記閉鎖要素(226)は、前記装置(126)のフローガイド要素(132)の下方に配置されていることを特徴とする請求項11から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記分離装置(168)は、少なくとも1つの再生可能表面フィルタ(170)を具備することを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記装置(126)は、プリコート材料を前記閉鎖装置(224)の下流の前記排気流(120)に吐出する、少なくとも1つのプリコート供給手段(144、298)を具備することを特徴とする請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記プリコート材料の、前記排気流(120)への吐出は、前記閉鎖装置(224)が前記排気流(120)の前記流路を少なくとも部分的閉じるときに起こることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記閉鎖装置(224)から前記分離装置(168)への、前記排気流(120)の前記流路は、少なくとも1つの収縮された領域(296)を有することを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記排気流(120)の前記中心流れ方向は、前記収縮された領域(296)を通過中は、実質的に水平方向に向けられていることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置(126)は、プリコート材料を、前記収縮された領域(296)の下流の前記排気流(120)に吐出する、少なくとも1つのプリコート供給手段(298)を具備することを特徴とする請求項30または31に記載の装置。
【請求項33】
前記装置(126)は、使用済プリコート材料用の少なくとも1つの受入容器(212)を具備することを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記受入容器(212)は、前記分離装置(168)の下方および/または前記閉鎖装置(224)の下方に配置されていることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記受入容器(212)は、プリコート排出ダクト(222)によりプリコート格納容器(148)に接続されていることを特徴とする請求項33または34に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1つのプリコート格納容器(148)は、プリコート材料を前記排気流(120)に吐出する少なくとも1つのプリコート供給装置(144、298)に接続されていることを特徴とする請求項1から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記装置(126)は、前記受入容器(212)に収納されているプリコート材料を、前記受入容器(212)から、前記排気流(120)の前記流路に輸送できる少なくとも1つの圧縮空気ノズル(220)を具備することを特徴とする請求項33から36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記装置(126)は、前記ウェットペイント過剰スプレーを分離した前記排気流(120)が、前記塗布領域(108)へ再び、少なくとも部分的には供給される、再循環空気回路(118)を有することを特徴とする請求項1から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
対象物、特には車体(102)の塗装用アセンブリであって、
少なくとも1つの塗装キャビン(110)と、請求項1から38のいずれか一項に記載の、過剰スプレー粒子を含む排気流(120)からウェットペイント過剰スプレーを分離する少なくとも1つの装置(126)と、を具備するアセンブリ。
【請求項40】
過剰スプレー粒子を含む排気流(120)からウェットペイント過剰スプレーを分離する方法であって、
前記過剰スプレー粒子が、塗装アセンブリ(100)の塗布領域(108)において前記排気流(120)に流入する方法において、この方法が、
前記過剰スプレーを、前記塗布領域(108)の下方に配置されていて且つ少なくとも1つのフローガイド要素(132)により複数のセクション(136、138)に分割されている、フローチャンバ(128)のセクション(138)に配置された分離装置(168)により、前記排気流(120)の少なくとも一部から分離するステップと、
前記排気流(120)の前記流路の範囲を定め、前記少なくとも1つのフローガイド要素(132)上に配置される、壁表面において空気カーテンを生成するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
過剰スプレー粒子を含む排気流(120)から、ウェットペイント過剰スプレーを分離する装置であって、
前記過剰スプレー粒子は、塗装アセンブリ(100)の塗布領域(108)において前記排気流(120)に流入し、
前記装置(126)は、前記排気流(120)の少なくとも一部から前記過剰スプレーを分離する少なくとも1つの分離装置(168)を備える、装置において、
前記装置(126)は、少なくとも1つのフローガイド要素(132)により複数のセクション(136、138)に分割され且つ前記塗布領域(108)の下方に配置されたフローチャンバ(128)を備え、少なくとも1つの分離装置(168)が前記セクションの1つ(138)に設けられることと、
前記装置(126)は、前記排気流(120)の流路の範囲を定め且つ前記少なくとも1つのフローガイド要素(132)上に配置される、壁表面上の空気カーテンを生成するための少なくとも1つの空気カーテン生成装置(200)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記塗布領域(108)から発した排気量の約10%から約30%に対応する空気量が、1つ以上の空気カーテン生成装置(200)により前記排気流(120)に供給されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空気カーテン生成装置(200)により供給される前記空気は、冷却されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
新鮮空気が、前記空気カーテン生成装置(200)により供給されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
清浄化された排気が、前記空気カーテン生成装置(200)により供給されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記空気カーテンにより保護される前記壁表面は、実質的に水平方向に向けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記空気カーテンにより保護される前記壁表面は、前記塗布領域(108)から前記分離装置(168)への前記排気流(120)の流路において収縮部(140)の横方向の範囲を定める、フローガイド表面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記空気カーテンの中心流れ方向は、前記収縮部(140)の方に向けられていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記収縮部(140)は、閉鎖装置(224)により少なくとも部分的には閉じることができることを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置(126)は、前記塗布領域(108)から前記分離装置(168)への前記排気流(120)の流路を間欠的で少なくとも部分的に閉じることができる、少なくとも1つの閉鎖装置(224)を具備することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記閉鎖装置(224)は、少なくとも1つの閉鎖要素(226)と、前記閉鎖要素(226)を前記排気流(120)の流路に入り込ませて閉位置にし、前記排気流(120)の流路から出して開位置にすることができる移動装置(258)を具備することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記閉鎖要素(226)は、実質的に気密性を有するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記閉鎖要素(226)は、シート状金属プレートを具備することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記閉鎖要素(226)は、閉位置にすることができ、その位置において、前記閉鎖要素(226)が前記開位置にあるときに前記排気流が流れる断面の最大約80%を覆うことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記閉鎖要素(226)は、透気性フィルタ要素(230)を具備することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記閉鎖要素(226)は、その上に前記フィルタ要素(230)が保持されている支持構造(228)を具備することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタ要素(230)は、締付け装置(242)により前記支持構造(228)上に保持されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記支持構造(228)は、ハニカム構成に配置された空気通路(234)を有することを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記支持構造(228)は金属材料から形成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記移動装置(258)は、前記閉鎖要素(226)を誘導するための少なくとも1つのガイドレール(272)を具備することを特徴とする請求項11から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記移動装置(258)は、前記閉鎖要素(226)用の電気式、油圧式または空圧式駆動機構(260)を具備することを特徴とする請求項11から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記移動装置(258)は、循環輸送要素、特にチェーンまたは歯付きベルト(226)を具備することを特徴とする請求項11から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記閉位置のときの前記閉鎖要素(226)は、オペレータによりアクセス可能であることを特徴とする請求項11から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記塗装対象(102)は、前記塗布領域(108)を輸送手段(104)により輸送され、前記閉位置のときの前記閉鎖要素(226)の上側と、前記塗装対象(102)の下側の間の垂直方向の間隔は、最大約2mになることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置(126)は、前記閉鎖要素(226)を前記閉位置において支持する支持要素(142)を具備することを特徴とする請求項11から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記開位置において、前記閉鎖要素(226)は、前記装置(126)のフローガイド要素(132)の下方に配置されていることを特徴とする請求項11から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記分離装置(168)は、少なくとも1つの再生可能表面フィルタ(170)を具備することを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記装置(126)は、プリコート材料を前記閉鎖装置(224)の下流の前記排気流(120)に吐出する、少なくとも1つのプリコート供給手段(144、298)を具備することを特徴とする請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記プリコート材料の、前記排気流(120)への吐出は、前記閉鎖装置(224)が前記排気流(120)の前記流路を少なくとも部分的閉じるときに起こることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記閉鎖装置(224)から前記分離装置(168)への、前記排気流(120)の前記流路は、少なくとも1つの収縮された領域(296)を有することを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記排気流(120)の前記中心流れ方向は、前記収縮された領域(296)を通過中は、実質的に水平方向に向けられていることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置(126)は、プリコート材料を、前記収縮された領域(296)の下流の前記排気流(120)に吐出する、少なくとも1つのプリコート供給手段(298)を具備することを特徴とする請求項30または31に記載の装置。
【請求項33】
前記装置(126)は、使用済プリコート材料用の少なくとも1つの受入容器(212)を具備することを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記受入容器(212)は、前記分離装置(168)の下方および/または前記閉鎖装置(224)の下方に配置されていることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記受入容器(212)は、プリコート排出ダクト(222)によりプリコート格納容器(148)に接続されていることを特徴とする請求項33または34に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1つのプリコート格納容器(148)は、プリコート材料を前記排気流(120)に吐出する少なくとも1つのプリコート供給装置(144、298)に接続されていることを特徴とする請求項1から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記装置(126)は、前記受入容器(212)に収納されているプリコート材料を、前記受入容器(212)から、前記排気流(120)の前記流路に輸送できる少なくとも1つの圧縮空気ノズル(220)を具備することを特徴とする請求項33から36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記装置(126)は、前記ウェットペイント過剰スプレーを分離した前記排気流(120)が、前記塗布領域(108)へ再び、少なくとも部分的には供給される、再循環空気回路(118)を有することを特徴とする請求項1から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
対象物、特には車体(102)の塗装用アセンブリであって、
少なくとも1つの塗装キャビン(110)と、請求項1から38のいずれか一項に記載の、過剰スプレー粒子を含む排気流(120)からウェットペイント過剰スプレーを分離する少なくとも1つの装置(126)と、を具備するアセンブリ。
【請求項40】
過剰スプレー粒子を含む排気流(120)からウェットペイント過剰スプレーを分離する方法であって、
前記過剰スプレー粒子が、塗装アセンブリ(100)の塗布領域(108)において前記排気流(120)に流入する方法において、この方法が、
前記過剰スプレーを、前記塗布領域(108)の下方に配置されていて且つ少なくとも1つのフローガイド要素(132)により複数のセクション(136、138)に分割されている、フローチャンバ(128)のセクション(138)に配置された分離装置(168)により、前記排気流(120)の少なくとも一部から分離するステップと、
前記排気流(120)の前記流路の範囲を定め、前記少なくとも1つのフローガイド要素(132)上に配置される、壁表面において空気カーテンを生成するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−509760(P2009−509760A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533921(P2008−533921)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009563
【国際公開番号】WO2007/039276
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009563
【国際公開番号】WO2007/039276
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】
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