説明

ウォッシャ装置

【課題】ホースの部品点数と組み付け工数を削減して低コスト化を図るウォッシャ装置を提供する。
【解決手段】ウォッシャ液Wを貯蔵するタンク11と、タンク内のウォッシャ液を外部へ供給するポンプ13と、ポンプから供給されたウォッシャ液を噴射させる2つのウォッシャノズル20,20′を備えたウォッシャ装置10において、一方のウォッシャノズル20のノズルハウジング21に、流入路Gと該流入路から弁室Rを介してウォッシャ液をノズルハウジングの液体噴射口21a及び他方のウォッシャノズル20′に供給する液体供給流路25及び流出路Sを形成し、流入路と液体供給流路及び流出路を弁室内に収納された逆止弁30で開閉自在にし、ポンプ13と一方のウォッシャノズル20の流入路Gをホース14で接続し、一方のウォッシャノズル20の流出路Sと他方のウォッシャノズル20′の流入路G′をホース15で接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車用のウォッシャ液(洗浄液)をフロントウインドシールドガラス等の洗浄面に噴射させるウォッシャ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のウォッシャ装置として、図4及び図5に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このウォッシャ装置1は、図4に示すように、ウォッシャ液(洗浄液)Wを貯蔵するタンク2と、このタンク2にホース3を介して接続され、該タンク2内のウォッシャ液Wをノズル側(外部)へ供給するポンプPと、このポンプPにホース3Aを介して接続され、該ポンプPから供給されたウォッシャ液Wを2つに分配するウォッシャ液分配ジョイント5と、このウォッシャ液分配ジョイント5の一対の流出管6B,6Cにホース3B,3Cを介して接続され、該ウォッシャ液分配ジョイント5から分配されたウォッシャ液Wを図示しないフロントウインドシールドガラス等の洗浄面に噴射させる左右一対のウォッシャノズル4L,4Rとを備えている。
【0004】
また、図5に示すように、ウォッシャ液分配ジョイント5は、ポンプPから供給されるウォッシャ液Wをホース3Aを介して導入する流入管6Aと該流入管6Aから弁室Qを介してウォッシャ液Wを2つに分配して左右一対のウォッシャノズル4L,4Rに供給する一対の流出管6B,6Cをそれぞれ一体形成したT字形のジョイント本体6と、弁室Q内に収納され、流入管6Aの連通口6aと一対の流出管6B,6Cの各連通口6b,6cを開閉する逆止弁7と、この逆止弁7を流入管6Aの連通口6aと各流出管6B,6Cの連通口6b,6cをそれぞれ閉塞する方向に付勢する圧縮コイルスプリング8と、この圧縮コイルスプリング8を押さえると共に弁室Qの上面開口部を密閉する蓋体9とを備えている。
【0005】
【特許文献1】実開平4−52134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のウォッシャ装置1では、ポンプPとウォッシャ液分配ジョイント5のジョイント本体6の流入管6Aをホース3Aで接続し、かつ、ジョイント本体6の一対の流出管6B,6Cと左右一対のウォッシャノズル4L,4Rをホース3B,3Cでそれぞれ接続しなければならなかったため、部品点数及び組み付け工数が多くなり、コスト高になった。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ホースの部品点数及び組み付け工数を削減して低コスト化を図ることができるウォッシャ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ウォッシャ液を貯蔵するタンクと、このタンク内のウォッシャ液を外部へ供給するポンプと、このポンプから供給された前記ウォッシャ液を洗浄面に噴射させる液体噴射口を形成した2つのウォッシャノズルとを備えたウォッシャ装置において、前記一方のウォッシャノズルのノズルハウジングには、前記ウォッシャ液を導入する流入路と該流入路から弁室を介して前記ウォッシャ液を2つに分配して前記液体噴射口に前記ウォッシャ液を供給する液体供給流路及び流出路をそれぞれ形成し、これら流入路と液体供給流路及び流出路を前記弁室内に収納された逆止弁で開閉自在にし、かつ前記ポンプと前記一方のウォッシャノズルの流入路をホースで接続すると共に、前記一方のウォッシャノズルの流出路と前記他方のウォッシャノズルの流入路をホースで接続したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のウォッシャ装置であって、前記一方のウォッシャノズルの前記弁室を、弁座部を有した略円筒状の弁ケースと該弁ケースの下面開口部を覆う蓋体とで密閉形成し、この略円筒状の弁ケースの弁座部に前記流入路と液体供給流路を連通させる連通口を形成すると共に、前記流入路と前記流出路を連通させる連通口を形成し、これら流入路と液体供給流路の連通口と前記流入路と流出路の連通口を前記逆止弁の弁体で閉塞・開放自在にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、一方のウォッシャノズルのノズルハウジングに他方のウォッシャノズルにウォッシャ液を供給する流出路を形成したことにより、従来のものに比べて、ホースの部品点数及び組み付け工数を削減してその組み付け作業性を向上させることができ、低コスト化を図ることができる。さらに、流入路と液体供給流路及び流出路を弁室内に収納された逆止弁で開閉自在にしたことにより、ウォッシャノズルの1つ逆止弁で2つのウォッシャノズルに供給されたウォッシャ液の逆流を簡便な構造で防止することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、一方のウォッシャノズルの弁室を、弁座部を有した略円筒状の弁ケースと該弁ケースの下面開口部を覆う蓋体とで密閉形成し、この略円筒状の弁ケースの弁座部に前記流入路と液体供給流路を連通させる連通口を形成すると共に、前記流入路と前記流出路を連通させる連通口を形成し、これら流入路と液体供給流路の連通口と前記流入路と流出路の連通口を前記逆止弁の弁体で閉塞・開放自在にしたことで、一方のウォッシャノズルに簡便な構成でウォッシャ液の分配機能と逆止弁を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態のウォッシャ装置を示す構成図、図2は同ウォッシャ装置に用いられるウォッシャ液分配機能を有したウォッシャノズルの逆止弁の閉状態を示す断面図、図3は同ウォッシャノズルの逆止弁の開状態を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、ウォッシャ装置10は、ウォッシャ液(洗浄液)Wを貯蔵するタンク11と、このタンク11内のウォッシャ液Wをホース12を介してノズル側(外部)へ供給するポンプ13と、このポンプ13から供給されたウォッシャ液Wを図示しないフロントウインドシールドガラス等の洗浄面に噴射させる2つのウォッシャノズル20,20′とを備えている。このポンプ13側に位置する一方のウォッシャノズル20は、ポンプ13から供給されたウォッシャ液Wを該一方のウォッシャノズル20のノズルハウジング21の液体噴射口21aと他方のウォッシャノズル20′の2つに分配するウォッシャ液分配機能を有している。そして、このウォッシャ液分配機能を有した一方のウォッシャノズル20に、ホース14,15を介してポンプ13と他方のウォッシャノズル20′とが直列に接続されている。
【0015】
図1〜図3に示すように、一方のウォッシャノズル20は、ポンプ13から供給されるウォッシャ液Wを導入する流入路Gになる略円筒状の流入管22と、この流入管22から弁室Rになる略円筒状の弁ケース23及び蓋体24を介してウォッシャ液Wを2つに分配して液体噴射口21aに供給する液体供給流路25及び他方のウォッシャノズル(外部)20′にそれぞれ供給する流出路Sになる略円筒状の流出管26をそれぞれ形成した合成樹脂製のノズルハウジング21と、弁室R内に収納され、流入路Gと液体供給流路25及び流出路Sを開閉する逆止弁30と、この逆止弁30を流入路Gと液体供給流路25及び流出路Sを閉塞する方向に付勢する圧縮コイルスプリング(弾性体)33とを備えている。
【0016】
図2及び図3に示すように、弁室Rは、弁座部23aを有した略円筒状の弁ケース23と、この弁ケース23の下面開口部23bを覆う合成樹脂製で略円形皿状の蓋体24とで密閉された空間になるように形成されている。また、弁ケース23の弁座部23aの上側には、流入路Gを形成する流入管22と流出路Sを形成する流出管26とを円筒状の仕切壁27を介して一直線状に延びるように一体突出形成してある。
【0017】
さらに、弁ケース23の弁座部23aには、流入管22の流入路Gと液体供給流路25を連通させる円形状の連通口25aと、流入管22の流入路Gと流出管26の流出路Sを連通させるC字状の連通口26aをそれぞれ形成してある。これら流入管22の流入路Gと液体供給流路25との円形状の連通口25aと、流入管22の流入路Gと流出管26の流出路SとのC字状の連通口26aとは、後述する逆止弁30の弁体32で閉塞・開放されるようになっている。尚、蓋体24は弁ケース23の下面開口部23bに一体形成されたフック部23cに係合凹部24cを係止させることにより固定されている。
【0018】
また、図1〜図3に示すように、各ウォッシャノズル20,20′の流入管22,22′の導入口22b,22b′の端部には、ホース係止用の係止段部22c,22c′を形成してある。さらに、一方のウォッシャノズル20の流出管26の吐出口26bの端部には、ホース係止用の係止段部26cを形成してある。そして、ポンプ13と一方のウォッシャノズル20の流入管22はホース14で接続され、また、一方のウォッシャノズル20の流出管26と他方のウォッシャノズル20′の流入管22′はホース15で接続されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、逆止弁30は、合成樹脂製で厚肉円筒状の本体31と、この本体31の上側大径部31aに嵌め込まれて弁ケース23の下端と蓋体24との間に係止された円筒状の蛇腹部32aを有したゴム製の弁体32とで構成されている。そして、本体31の下面に円環溝状に形成された凹部31bと蓋体24の上面に円環状に形成された凹部24bとの間に圧縮コイルスプリング33を介在してある。
【0020】
さらに、図1に示すように、他方のウォッシャノズル20′は、一方のウォッシャノズル20の流出管26からホース15を介して供給されるウォッシャ液Wを導入する流入路Gになる略円筒状の流入管22′と、この流入管22′の端部から略直角に折れ曲がって液体噴射口21a′へ連通する液体供給流路25とをそれぞれ形成した合成樹脂製のノズルハウジング21′とを備えている。
【0021】
以上実施形態のウォッシャ装置10によれば、一方のウォッシャノズル20は、ポンプ13から供給されるウォッシャ液Wを該一方のウォッシャノズル20のノズルハウジングの液体噴射口21aと他方のウォッシャノズル20′に分配するものであり、その使用時には、ポンプ13から一方のウォッシャノズル20の流入管22に導入されるウォッシャ液Wの圧力により圧縮コイルスプリング33の付勢力に抗して逆止弁30が流入管22と液体供給流路25との円形状の連通口25a、及び、流入管22と流出管26とのC字状の連通口26aを開く方向に移動する。これにより、図3に矢印で示すように、ウォッシャ液Wは、各連通口25a,26aを経て液体供給流路25と流出管26に分岐してそれぞれ流れ、各ウォッシャノズル20,20′の各液体噴射口21a,21a′からそれぞれ噴射される。
【0022】
また、非使用時(逆止弁30の作動停止時)には、図2に示すように、一方のウォッシャノズル20の圧縮コイルスプリング33の付勢力により逆止弁30の弁体32で流入管22と液体供給流路25との円形状の連通口25a、及び、流入管22と流出管26とのC字状の連通口26aを確実に閉塞させることができる。即ち、一方のウォッシャノズル20の1つの逆止弁30で2つのウォッシャノズル20,20′のウォッシャ液Wの逆流を確実に防止することができる。また、車両走行時やボンネット開閉時に、一方のウォッシャノズル20の流入管22内に溜まったウォッシャ液Wの洩れを確実に防止することができる。
【0023】
さらに、このウォッシャ装置10では、一方のウォッシャノズル20に該一方のウォッシャノズル20のノズルハウジング21の液体噴射口21aと他方のウォッシャノズル20′の2つにウォッシャ液Wを分配するウォッシャ液分配機能を持たせ、このウォッシャ液分配ジョイント機能を有した一方のウォッシャノズル20にホース14,15を介してポンプ13と他方のウォッシャノズル20′とを直列に接続したことにより、従来のものに比べて、ホースの部品点数及び組み付け工数を削減することができる。即ち、一方のウォッシャノズル20の流出管26と他方のウォッシャノズル20′の流入管22´とにホース15を配索するだけで済むため、ウォッシャ装置10の組み付け作業性を向上させることができると共に、全体の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のウォッシャ装置を示す構成図である。
【図2】上記ウォッシャ装置に用いられるウォッシャ液分配機能を有したウォッシャノズルの逆止弁の閉状態を示す断面図である。
【図3】上記ウォッシャノズルの逆止弁の開状態を示す断面図である。
【図4】従来のウォッシャ装置の概略構成図である。
【図5】上記従来のウォッシャ装置に用いられるウォッシャ液分配ジョイントの断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 ウォッシャ装置
11 タンク
13 ポンプ
14,15 ホース
20 一方のウォッシャノズル
20′ 他方のウォッシャノズル
21 ノズルハウジング
22 流入管(流入路)
23 弁ケース(弁室)
23a 弁座部
23b 下面開口部
24 蓋体
25 液体供給流路
26 流出管(流出路)
26a 連通口
30 逆止弁
32 弁体
33 圧縮コイルスプリング(弾性体)
G 流入路
R 弁室
S 流出路
W ウォッシャ液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャ液を貯蔵するタンクと、このタンク内のウォッシャ液を外部へ供給するポンプと、このポンプから供給された前記ウォッシャ液を洗浄面に噴射させる液体噴射口を形成した2つのウォッシャノズルとを備えたウォッシャ装置において、前記一方のウォッシャノズルのノズルハウジングには、前記ウォッシャ液を導入する流入路と該流入路から弁室を介して前記ウォッシャ液を2つに分配して前記液体噴射口に前記ウォッシャ液を供給する液体供給流路及び流出路をそれぞれ形成し、これら流入路と液体供給流路及び流出路を前記弁室内に収納された逆止弁で開閉自在にし、かつ前記ポンプと前記一方のウォッシャノズルの流入路をホースで接続すると共に、前記一方のウォッシャノズルの流出路と前記他方のウォッシャノズルの流入路をホースで接続したことを特徴とするウォッシャ装置。
【請求項2】
請求項1記載のウォッシャ装置であって、前記一方のウォッシャノズルの前記弁室を、弁座部を有した略円筒状の弁ケースと該弁ケースの下面開口部を覆う蓋体とで密閉形成し、この略円筒状の弁ケースの弁座部に前記流入路と液体供給流路を連通させる連通口を形成すると共に、前記流入路と前記流出路を連通させる連通口を形成し、これら流入路と液体供給流路の連通口と前記流入路と流出路の連通口を前記逆止弁の弁体で閉塞・開放自在にしたことを特徴とするウォッシャ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−80827(P2008−80827A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259590(P2006−259590)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】