説明

エアバッグインフレータの封止方法、シリコーン系粘着テープ及びエアバッグインフレータ

【課題】インフレータの作動時に経験する高温に暴露された際に、粘着剤由来の可燃性ガスによって膨張ガスが引火性混合物となることのないような粘着テープを用いてインフレータガス噴出口を封止する方法を提供する。
【解決手段】金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含み、該粘着剤組成物がシリコーン系粘着剤と、該シリコーン系粘着剤中に分散した水酸化アルミニウムを含む粘着テープをエアバッグインフレータのガス噴出口に貼り付け、該ガス噴出口を封止する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアバッグインフレータの封止方法、それに用いるシリコーン系粘着テープ及びエアバッグインフレータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両が衝突した際に、搭乗者が負傷又は死亡することを防ぐために、インフレータによって発生した膨張ガスによりバッグを急速に膨張させる自動車用エアバッグシステムが開発されている。インフレータの作動時に発生するガスを排出させるガス噴出口は、通常使用の際には、接着テープなどによって封止されている。しかし、衝突時に、インフレータ内でガス発生剤が燃焼することでガスを発生する際にインフレータは高温に暴露される。このため、インフレータのガス噴出口を封止するための接着テープは高い耐熱性が要求されている。また、接着テープは、通常、有機物質を含有しているので、高温への暴露時に、可燃性物質を発生することがある。ある環境においては、可燃性物質が膨張ガス中に混入すると、ガスが引火性となることがある。このため、接着テープには、高温への暴露時にも引火性を抑制することができる耐引火性が要求されることがある。
【0003】
特許文献1(特開平4−306151号公報)は、シリコーン系粘着剤を金属基材上に有する粘着テープをインフレータ内部で使用することを開示している。又、同時に、インフレーターは、時々、異常に高い温度に曝されることが、記載されている。
【0004】
一方、特許文献2(特開平10−217899号公報)及び特許文献3(特開2002−225671号公報)は、金属基材上にゴム系又はアクリル系粘着剤層を有する粘着テープをインフレータに使用することを記載している。特許文献3では、粘着剤に有機・無機添加剤を加えて、粘着剤自体の耐熱強度や内圧を調整することを記載しているが、これは、粘着剤が分解した際に発生する可燃ガスへの引火性を考慮したものではない。
【0005】
特許文献4(特開2003−105295号公報)は、電気部品用の難燃性粘着テープを開示している。具体的には、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、不織布、布又は紙などの基材上に、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を配合したゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤を配置している。
【0006】
特許文献5(特開平8−134394号公報)は、ゴムコート布用コーティング組成物として、シリコーン、ウレタン、クロロプレンなどのゴムコーティング被膜のべたつき、ブロッキングを防止する目的で、水酸化アルミニウムなどの粉体を添加することを記載している。
【0007】
特許文献6(特開2004−322890号公報)は、エアバッグ目止め材料用のシリコーンゴム組成物として、シリコーンゴムに水酸化アルミニウム粉末を含有したものを記載しているが、水酸化アルミニウムの添加目的は目止め剤の強度を上げることである。
【0008】
特許文献7(特開2000−230162号公報)はアクリル系粘着剤にポリ燐酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、膨張黒鉛などの難燃剤を配合した粘着剤組成物を開示している。これらの難燃剤によるラジカルトラップ又はチャーの形成によって酸素や熱の伝達を遮断する。
【特許文献1】特開平4−306151号公報
【特許文献2】特開平10−217899号公報
【特許文献3】特開2002−225671号公報
【特許文献4】特開2003−105295号公報
【特許文献5】特開平8−134394号公報
【特許文献6】特開2004−322890号公報
【特許文献7】特開2000−230162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記引例に開示されたもの、方法は、次なる点で、改善を必要とする。
1)粘着剤を構成するポリマー成分の多くは、可燃性有機物質へと分解可能であり、インフレータ作動時には高温に暴露されることにより、膨張ガスとともに、粘着テープ由来の可燃性有機物質が噴出することから、耐引火性が充分でない。すなわち、これら、粘着剤を構成するポリマー成分は、粘着剤が分解した際に発生する可燃性ガスへの引火性を考慮したものとなっていない。
2)具体的には、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤にあっては、高温で可燃性物質を多量に発生するので、インフレータの膨張ガスの耐引火性を充分に確保することは困難である。
3)また、シリコーン系粘着剤にあっては、ゴム系、アクリル系粘着剤に比較すると、可燃性物質の発生が抑制されるが、それでも、300℃を超える高温で可燃性物質を発生し、耐引火性を充分に確保することは困難である。
一方、エアバッグに対する安全基準として、2004年度に、SAE/USCAR−24規格が制定され、封止口が高温に暴露された場合に、これらの基準を満たす封止テープが求められつつある。
したがって、ある態様において、本開示はインフレータの作動時に経験する高温に暴露された際に、粘着剤由来の可燃性ガスが混入して膨張ガスが引火性となることのないような粘着テープを用いてインフレータガス噴出口を封止する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は以下のとおりの態様を提供する。
(1)
金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含み、該粘着剤組成物がシリコーン系粘着剤と、該シリコーン系粘着剤中に分散した水酸化アルミニウムを含む粘着テープをエアバッグインフレータのガス噴出口に貼り付け、該ガス噴出口を封止する方法。
(2)
前記シリコーン系粘着剤組成物は、水酸化アルミニウム以外の少なくとも1種の追加の金属水酸化物をさらに含む、上記(1)に記載の方法。
(3)
前記追加の金属水酸化物は、水酸化マグネシウムを含む、上記(2)に記載の方法。
(4)
水酸化アルミニウムの重量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計重量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)
金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含む粘着テープであって、該粘着剤組成物がシリコーン系粘着剤と、該シリコーン系粘着剤中に分散した水酸化アルミニウムを含む、エアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
(6)
前記シリコーン系粘着剤組成物は、水酸化アルミニウム以外の少なくとも1種の追加の金属水酸化物をさらに含む、上記(5)に記載の粘着テープ。
(7)
前記追加の金属水酸化物は、水酸化マグネシウムを含む、上記(6)に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
(8)
水酸化アルミニウムの質量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計質量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
(9)
前記金属基材はアルミニウムであり、水酸化アルミニウムの質量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計質量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、上記(5)〜(8)のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
(10)
前記金属基材の厚さは20〜100μmであり、前記シリコーン系粘着剤の厚さは10〜100μmである、上記(5)〜(9)のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
(11)上記(5)〜(10)のいずれか1項に記載の粘着テープを用いて、ガス噴出口を封止した、エアバッグインフレータ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアバッグインフレータ封止用粘着テープでは、インフレータ作動時に可燃性物質が発生するが、水酸化アルミニウムの吸熱反応に起因した作用、水蒸気ガスを含む雰囲気の形成、さらに、粘着剤中の相対可燃物質量の低下等により、インフレータの膨張ガスを可燃性物質で引火性にすることを抑制せしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本開示の態様をその好適な実施形態に基づいて説明するが、本開示はその具体的実施形態に限定されることはないことが理解されるべきである。
本開示の粘着テープは、エアバッグ用インフレータの作動時に発生したガスを排出するガス噴出口をシールするために貼り付けられる。粘着テープは、主にインフレータ内部への湿気の侵入を防止することができる。以下において、インフレータの図面を参照しながら本開示について説明する。
図1はエアバッグ用インフレータの1態様の斜視図であり、図2はその断面図である。インフレータ10はインフレータボディ1、点火器4、伝火薬5、貫通口6、ガス発生剤7、フィルター8、ガス噴出口2及び封止用粘着テープ3を含む。インフレータ10は自動車の衝突時に、センサ(図示しない)からの信号により点火器4が作動し、伝火薬5に着火される。その後、貫通口6を介して伝達された火でガス発生剤が燃焼して膨張ガスを発生する。この膨張ガス中の固形分を除去するとともに、ガスを冷却するために、膨張ガスはフィルター8を通過し、最終的にガス噴出口2から噴出し、エアバッグを膨張させる。通常使用の際に、インフレータ10の内部に湿気が侵入しないように、ガス噴出口2は封止用粘着テープ3によって封止されている。図面中、この粘着テープ3はインフレータボディ1の内壁に貼り付けられている。このような場合、インフレータ10の作動時には、膨張ガスの圧力によってテープ2が破壊され、ガスが噴出するようになっている。また、封止用粘着テープ3はインフレータボディ1の外壁に貼り付けられてもよい。この場合には、粘着テープの接着力に抗して膨張ガスの圧力がかかり、粘着テープ3が吹き飛ばされるようになっている。
【0013】
膨張ガスは、通常、ガス発生剤から発生される、窒素などの不活性ガスからなり、引火性がない。しかし、膨張ガスはガス発生剤の反応によって非常に高温になり、封止用粘着テープも高温に暴露される。封止用粘着テープを構成する有機物質が熱分解反応によって可燃性物質を発生し、それら膨張ガスに混入して、ガスを引火性にすることが問題になっている。ガス発生剤は典型的には約350℃以上の温度で点火し、燃焼する。本開示の封止用粘着テープでは、このような高温に暴露された際にも引火性ガスを発生させない。
【0014】
一般に、本開示の粘着テープは、金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含む。粘着テープの幅は、充分なシールを行うためにガス噴出口の孔直径の2〜10倍程度であることが好ましい。基材は、金属なのでインフレータ作動時に高温に暴露されても、引火性ガスを発生しない。ある態様において、金属基材はアルミニウム、ステンレス、銅であることができ、ある態様ではアルミニウムの基材が好ましい。金属基材の厚さは、通常、20〜1300μmであり、より好ましくは20〜100μmである。金属基材は、薄すぎると、容易に、破断してしまい、インフレータの圧の調整に供するのに適さず、又、厚すぎると、膨張ガスによる圧力で破壊できなくなり、インフレータ内部の圧力が上昇して、インフレータが破壊してしまうことがあるからである。
【0015】
シリコーン系粘着剤は、通常のシリコーン系粘着剤であり、レジンとガムとの混合物からなるガム部分は350℃以上の高温で可燃性ガスに分解されるが、レジン部分の多くがシリカへと酸化されて燃焼しにくい。このため、十分な量のレジン分、たとえば、質量基準で35〜75%の量でレジン分を含むシリコーン系粘着剤が好ましいことがある。このような粘着剤であれば、全体としては引火性の分解ガスの発生量を低く抑制することができる。発生される可燃性ガスとしては、たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサンなどの低分子環式シロキサン化合物が挙げられる。シリコーン系粘着剤の熱分解によって発生するガスの引火性は水酸化アルミニウムを含む金属水酸化物の作用によって抑制される。
【0016】
上述のとおり、本開示の粘着テープのシリコーン系粘着剤中には、水酸化アルミニウムが含まれる。水酸化アルミニウムは、約350℃以上の高温の膨張ガスに暴露されたときに、下記に示すとおりの分解反応を起こし、可燃性ガスの着火を抑制するように作用する。
2Al(OH)3 → Al23・H2O + 2H2O (1)
2Al(OH)3 → Al23 + 3H2O (2)
Al23・H2O → Al23 + H2O (3)
上述の反応において、吸熱ピークは(1)が250℃であり、(2)が330℃であり、(3)が550℃である。吸熱量は(2)が最も大きい。
上記の反応により、吸熱するとともに、水分子を生ずることになる。
【0017】
このように、水酸化アルミニウムの熱分解吸熱反応温度は、膨張ガスの温度と、シリコーン系粘着剤由来の可燃性ガスの発生温度とほぼ一致していることから、膨張ガスの引火性を抑制するのに特に好適である。しかし、水酸化アルミニウム以外の分解時に水分子を生ずる1種以上の追加の金属水酸化物を含むこともできる。水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0018】
シリコーン系粘着剤中に添加される水酸化アルミニウムの量、又は、他の金属水酸化物を添加する場合には、水酸化アルミニウムと他の追加の金属水酸化物の合計量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である。水酸化アルミニウムを含む金属水酸化物の量が少なすぎると、引火性を充分に抑制することができず、一方、多すぎると、粘着性能が低下してしまう。
上記範囲で、水酸化アルミ二ウムの量を、増加させれば、その増加とともに、引火性成分の割合を減ずることができ、引火性を抑制する効果を生じ得る。
【0019】
また、水酸化アルミニウムの純度は高いほうがより良好な効果が得られる。いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、この改良は高純度、たとえば99.7%以上の純度の水酸化アルミニウムの分解温度がジメチルシロキサンの分解温度(350℃)に近くなることによりもたらされるものと信じられる。このような水酸化アルミニウムの例はBW103(日本軽金属工業株式会社製)である。
【0020】
水酸化アルミニウムの粒度は限定されないが、粘着剤中で粒子の均一な分散が一般に望まれる。一般には、粒子の直径は0.2〜100μmである。
【0021】
シリコーン系粘着剤層の厚さは、限定されないが、通常、10〜100μmである。これより薄いと、粘着性能が充分に得られないことがあり、一方、厚すぎると、膨張ガス発生時の高温で可燃性ガスを発生する量が多くなってしまうからである。
【0022】
粘着テープは充分なシール特性が得られるようにJIS Z0237(2000年度版)によって測定して5N/25mm以上であるように調節することが望ましい。また、本開示の粘着テープは、以下の試験において、燃焼時間が60秒未満という測定値が得られる。この燃焼時間は、従来使用テープと比較して3分の1以下に短縮されたものである。
燃焼時間は以下の通りに測定できる。蓋に4.2mmφの穴を開けた直径40mm、高さ13mmの蓋付きスチール缶に試験粘着剤50g入れてバーナーにて加熱する。穴から噴出する分解揮発物に対して点火し、揮発物が燃焼し続けている時間を測定する。炎が消えた場合には、再度点火し、時間を加算する。
【0023】
本開示の封止用粘着テープは、いかなるタイプのエアバッグ用インフレータにも使用することができる。たとえば、インフレータは、ガス発生剤の反応により生じるガスを用いたパイロインフレータのほか、ガス発生剤によるガスと、高圧容器内に貯蔵したガスとの両方を用いるハイブリッドインフレータであってよい。
【実施例】
【0024】
以下において、本開示を実施例を用いてさらに説明する。
実施例1
シリコーン系粘着剤(信越化学株式会社製シリコーン系粘着剤KR−3700(99.5質量部)に、白金触媒として、信越化学株式会社製CATPL-50(0.5質量部)を、添加したもの)100質量部に対して120質量部の水酸化アルミニウム(高純度タイプ:99.8%純度、BW103(日本軽金属工業株式会社製))を添加して粘着剤試料を作製した。この試料を用いて下記の燃焼試験を行なった。また、250μm厚さのアルミニウム基材上に粘着剤試料を塗布して55μm厚さの粘着剤層を形成し、幅x長さ100mmx100mmの粘着テープ試料を製造した。この粘着テープを用いてJIS Z0237(2000年度版)によって粘着力を測定した。また、JIS Z0237によって保持力を測定したが、錘を1kgとし、測定時間限度を1000分とした。
【0025】
燃焼試験
蓋に4.2mmφの穴を開けた直径40mm、高さ13mmの蓋付きスチール缶に試験粘着剤50g入れてバーナーにて加熱する。穴から噴出する分解揮発物に対して点火し、揮発物が燃焼し続けている時間を測定する。炎が消えた場合には、再度点火し、時間を加算する。缶の温度は熱電対で測定して400℃以上であった。
ここに、当該燃焼試験法は、エアバッグに対する安全基準としてSAE/USCAR−24を、念頭にいれ、考案されたものであり、当該燃焼試験法で、少なくとも、30秒以下のものは、より厳しいSAE/USCAR−24規格の安全基準を満たすものであることが確認されている。
【0026】
実施例2
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムは高純度タイプのものでなく、未処理のもの(日本軽金属株式会社製 製品番号 B103)を用いた。
【0027】
実施例3
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムの量を、粘着剤100質量部あたり100質量部とした。
【0028】
実施例4
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムの量を、粘着剤100質量部あたり50質量部とした。
【0029】
実施例5
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムの量を、粘着剤100質量部あたり25質量部とした。
【0030】
実施例6
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムのほか、水酸化マグネシウムを添加した。水酸化アルミニウムの量を、粘着剤100質量部あたり25質量部とし、水酸化マグネシウムの量を、粘着剤100質量部あたり25質量部とした。
【0031】
比較例1
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムの代わりに、水酸化マグネシウムを添加した。水酸化マグネシウムの量を、粘着剤100質量部あたり100質量部とした。
【0032】
比較例2
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムの代わりに、従来から難燃剤として使用されているポリ燐酸アンモニウムを添加した。ポリ燐酸アンモニウムの量を、粘着剤100質量部あたり50質量部とした。
【0033】
比較例3
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、水酸化アルミニウムを添加しなかった。
【0034】
比較例4
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、シリコーン系粘着剤の代わりにアクリル系粘着剤を用いた。
【0035】
比較例5
実施例1と同様に試料を製造し、試験したが、シリコーン系粘着剤の代わりにアクリル系粘着剤を用いた。また、水酸化アルミニウムを未処理のもの(日本軽金属株式会社製 製品番号 B103)とし、その量を、粘着剤100質量部あたり100質量部とした。
【0036】
上記の試験の結果を下記の表1に示す。
本結果によれば、従来相当品(比較例3,4)のものが、燃焼時間が、200秒程度であったものが、本開示にかかるものは、いずれも、60秒以下と、従来品に比べ、その時間は、3分の1以下となりうることが確認される。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】エアバッグ用インフレータの1態様の斜視図である。
【図2】図1に示すエアバッグ用インフレータの断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 インフレータ
1 インフレータボディ
2 ガス噴出口
3 封止用粘着テープ
4 点火器
5 伝火薬
6 貫通口
7 ガス発生剤
8 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含み、該粘着剤組成物がシリコーン系粘着剤と、該シリコーン系粘着剤中に分散した水酸化アルミニウムを含む粘着テープをエアバッグインフレータのガス噴出口に貼り付け、該ガス噴出口を封止する方法。
【請求項2】
前記シリコーン系粘着剤組成物は、水酸化アルミニウム以外の少なくとも1種の追加の金属水酸化物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加の金属水酸化物は、水酸化マグネシウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水酸化アルミニウムの重量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計重量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
金属基材、及び、該金属基材上のシリコーン系粘着剤組成物の層を含む粘着テープであって、該粘着剤組成物がシリコーン系粘着剤と、該シリコーン系粘着剤中に分散した水酸化アルミニウムを含む、エアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項6】
前記シリコーン系粘着剤組成物は、水酸化アルミニウム以外の少なくとも1種の追加の金属水酸化物をさらに含む、請求項5に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項7】
前記追加の金属水酸化物は、水酸化マグネシウムを含む、請求項6に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項8】
水酸化アルミニウムの質量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計質量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項9】
前記金属基材はアルミニウムであり、水酸化アルミニウムの質量、又は、水酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウム以外の追加の金属水酸化物との合計質量は、シリコーン系粘着剤100質量部あたりに10〜150質量部の量である、請求項5〜8のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項10】
前記金属基材の厚さは20〜100μmであり、前記シリコーン系粘着剤の厚さは10〜100μmである、請求項5〜9のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープ。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれか1項に記載のエアバッグインフレータ封止用粘着テープを用いてガス噴出口を封止した、エアバッグインフレータ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−24127(P2009−24127A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190881(P2007−190881)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】