エアバッグ及びエアバッグ装置
【課題】エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができるようにすることを目的とする。
【解決手段】エアバッグ30は、車両の乗員席である助手席16の前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能に構成される。エアバッグ30は、メインバッグ部分32とサブバッグ部分40と連結部分44とを備える。メインバッグ部分32は、ガス供給口と助手席16側に面する部分に設けられた開口周縁部35eとを有し、助手席16に向けて袋状に膨張展開可能に構成される。サブバッグ部分40は、袋状に形成され、開口周縁部35eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられる。連結部分44は、サブバッグ部分40を、開口周縁部35eとは反対側の部分でメインバッグ部分32に連結する。
【解決手段】エアバッグ30は、車両の乗員席である助手席16の前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能に構成される。エアバッグ30は、メインバッグ部分32とサブバッグ部分40と連結部分44とを備える。メインバッグ部分32は、ガス供給口と助手席16側に面する部分に設けられた開口周縁部35eとを有し、助手席16に向けて袋状に膨張展開可能に構成される。サブバッグ部分40は、袋状に形成され、開口周縁部35eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられる。連結部分44は、サブバッグ部分40を、開口周縁部35eとは反対側の部分でメインバッグ部分32に連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両に搭載され、インフレータで発生したガスにより膨張展開するエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアバッグとして、次の3つのタイプのものがある。
【0003】
1つ目のタイプでは、特許文献1のように、エアバッグがドーナツ状に膨張展開するように構成されている。
【0004】
2つ目のタイプでは、特許文献2のように、エアバッグ内部に設けられたテザーベルトによってエアバッグの乗員側の壁部が内部に引張られることによって凹部が形成されるようになっている。
【0005】
3つ目のタイプでは、特許文献3、4のように、エアバッグが左右2つの袋状部分を有し、この2つの袋状部分間に上下方向に沿って凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−199961号公報
【特許文献2】特開2005−247118号公報
【特許文献3】特開2004−244005号公報
【特許文献4】特開2007−320503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記1つ目のタイプでは、中央の孔が空いた部分では衝撃の吸収効果が小さく、主としてその周囲部分で衝撃を受止める必要がある。
【0008】
また、2つ目のタイプでは、テザーベルトで引張るだけでは十分な深さの凹部を形成することは難しい。このため、インフレータの出力、エアバッグの容量等を調整して、凹部での反力が大きくなり過ぎないように調整する必要がある。
【0009】
また、3つ目のタイプでは、衝撃吸収効果の小さい凹部が上下方向に沿って広い範囲に形成されてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1の態様は、車両の乗員席前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能なエアバッグであって、ガス供給口と前記乗員席側に面する部分に設けられた開口周縁部とを有し、前記乗員席に向けて袋状に膨張展開可能なメインバッグ部分と、袋状に形成され、前記開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられたサブバッグ部分と、前記サブバッグ部分を、前記開口周縁部の反対側の位置で前記メインバッグ部分に連結する連結部分とを備える。
【0012】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグであって、前記開口周縁部は、前記乗員席に着席した乗員の頭部を受止める位置に設けられている。
【0013】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るエアバッグであって、前記連結部分は、前記サブバッグ部分の先端部を前記メインバッグ部分の内面から離れた位置に配設した状態で、前記サブバッグ部分を前記メインバッグ部分に連結する。
【0014】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有する。
【0015】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、前記連結部分は、袋状に形成され、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられている。
【0016】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、前記連結部分は、袋状に形成されると共に、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられ、さらに、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、前記サブバッグ部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線と、前記連結部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線同士が接合されている。
【0017】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係るエアバッグと、前記エアバッグに、前記ガス供給口を通じてガスを供給可能なインフレータとを備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様に係るエアバッグによると、メインバッグ部分のうち開口周縁部の周りの部分で衝撃吸収効果の高い部分を構成することができる。また、サブバッグ部分の大きさ及び連結部分による連結態様等を調整することで、開口周縁部に設けられたサブバッグ部分において適度な衝撃吸収効果を有する部分を構成することができる。これにより、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【0019】
第2の態様によると、頭部を開口周縁部に設けられたサブバッグ部分で受止めることができ、頭部に対する反力を抑制できる。
【0020】
第3の態様によると、サブバッグ部分の先端部がメインバッグ部分の内部から離れているので、サブバッグ部分の先端部がメインバッグ部分のうち乗員席の反対側の部分に達し難く、サブバッグ部分において効果的に衝撃吸収できる。
【0021】
第4の態様によると、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状に形成されているため、サブバッグ部分において徐々に衝撃吸収し易い。
【0022】
第5の態様によると、エアバッグのうち乗員席とは反対側の部分に連結部分用開口周縁部及び袋状の連結部分が形成されているため、乗員の上からエアバッグが被さったとしても、頭部とメインバッグ部分との直接的な接触が抑制される。
【0023】
第6の態様によると、サブバッグ部分と連結部分の母線同士が接合されているため、メインバッグ部分の膨張展開状態においてサブバッグ部分と連結部分との展開態様が安定する。これにより、サブバッグ部分による衝撃吸収動作が安定する。
【0024】
第7の態様に係るエアバッグ装置によると、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るエアバッグ装置を示す概略側面図である。
【図2】実施形態に係るエアバッグ装置を示す概略側面図である。
【図3】図2のIII−III線におけるエアバッグの膨張展開形状を示す図である。
【図4】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図5】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図6】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図7】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図8】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図9】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図10】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図11】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図12】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図13】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図14】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図15】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図16】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図17】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図18】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図19】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図20】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図21】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図22】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図23】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図24】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図25】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図26】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図27】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図28】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図29】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係るエアバッグ及びエアバッグ装置について説明する。図1及び図2はインストルメントパネル10に組込まれたエアバッグ装置20を示す概略側面図である。図1はエアバッグ30が膨張展開する前の状態を示しており、図2はエアバッグ30が膨張展開した状態を示している。また、図3は図2のIII−III線におけるエアバッグ30の膨張展開形状を示す図である。以下の説明において、説明の便宜上、前後方向、上下方向及び左右方向とは、本エアバッグ装置20が組込まれる車両を基準とした方向をいう。
【0027】
このエアバッグ装置20は、助手席16前方にあるインストルメントパネル10の上面部分内に組込まれている。インストルメントパネル10の前側部分から後方斜め上方に向けてフロントウインドウ12が設けられている。本エアバッグ装置20は、車両衝突時等に助手席16の乗員P前方に膨張展開することにより、車両の前方に移動しようとする乗員Pを受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。もっとも、エアバッグ装置20は、助手席以外の他の乗員席の前方部分に組込まれていてもよい。
【0028】
このエアバッグ装置20は、インフレータ22(図1参照)、エアバッグ30とを備えている。
【0029】
エアバッグ30は、シート状部材により袋状の部材に形成されている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳んだ状態でインストルメントパネル10内に収容されている。また、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22からのガス供給によって、インストルメントパネル10外に突出膨張して、車室内側である助手席16の乗員P側に向けて袋状に膨張展開するようになっている。
【0030】
なお、上記インストルメントパネル10のうちエアバッグ30が配設される領域部分には、当該領域部分を開口させるべく、割れ容易なティアラインが形成されている。そして、エアバッグ30の膨張展開力を受けて、当該インストルメントパネル10のケースの上面部分が前記ティアラインで割れて、エアバッグ30をインストルメントパネル10の外方に向けて膨張展開させるための開口が形成されるようになっている。
【0031】
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、点火装置によりガス発生剤を点火、燃焼させることでガスを発生可能に構成されている。このインフレータ22は、ガス供給口32h(図4参照)を介してエアバッグ30内にガスを導入可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。そして、車両の衝撃検知部等からの点火命令信号等を受けて前記点火装置によりガス発生剤を点火燃焼させ、これにより発生したガスが、上記ガス供給口32hを通じてエアバッグ30内に導入されて、エアバッグ30が膨張展開するようになっている。
【0032】
エアバッグ30についてより詳細に説明する。図4〜図6は、エアバッグ30の膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【0033】
図2〜図6に示すように、エアバッグ30は、布或は樹脂シート等のシート状部材によって形成されており、メインバッグ部分32と、サブバッグ部分40と、連結部分44とを備えている。メインバッグ部分32は、最も大きく膨張展開して本エアバッグ30の最外周を構成する部分であり、サブバッグ部分40はメインバッグ部分32内で展開する部分であり、連結部分44は上記サブバッグ部分40をメインバッグ部分32内に連結する部分である。
【0034】
すなわち、メインバッグ部分32は、インストルメントパネル10から助手席16に向けて袋状に膨張展開可能に形成されている。ここでは、メインバッグ部分32は、大袋部33と、大袋部33の前方上部に設けられた小袋部34とを備えている。大袋部33は、インストルメントパネル10と助手席16との間で大きく膨張展開可能に構成されている。小袋部34は、大袋部33とインフレータ22との間で、インストルメントパネル10の上方空間で膨張展開可能に構成されており、その下部にインフレータ22からのガスが供給されるガス供給口32hが形成されている。そして、インフレータ22からのガスは、ガス供給口32hから小袋部34を通って大袋部33に導かれ、これにより、大袋部33がインストルメントパネル10と助手席16との間で大きく膨張展開できるようになっている。
【0035】
メインバッグ部分32のうち助手席16側に面する部分(即ち、後部)には、開口周縁部35eが形成されている。つまり、主としてメインバッグ部分32を観察すると、その助手席16側に面する部分に開口が形成され、この開口を囲むように開口周縁部35eが形成されている。本実施形態では、開口周縁部35eは、助手席16に着席した乗員Pの頭部を受止める位置に形成されている。つまり、メインバッグ部分32が完全に膨張展開した状態で、開口周縁部35eが助手席16に着席した乗員Pの頭部の前方或は頭部のやや下方位置に配設されるようになっている。エアバッグ30が膨張展開した状態では、開口周縁部35eはおおよそ円環状を呈する。
【0036】
また、ここでは、メインバッグ部分32のうち上記開口周縁部35eと対向する位置に連結部分用開口周縁部36eが形成されている。つまり、主としてメインバッグ部分32を観察すると、メインバッグ部分32の内部空間を介して上記開口周縁部35eと対向する位置(つまり、反対側の位置)に、連結部分用開口周縁部36eが形成されている。ここでは、エアバッグ30が膨張展開した状態では、連結部分用開口周縁部36eは、インストルメントパネル10のうち助手席16を向く部分の外側位置に配設されるようになる。エアバッグ30が膨張展開した状態では、連結部分用開口周縁部36eもおおよそ円環状を呈する。
【0037】
サブバッグ部分40は、袋状に形成されており、上記開口周縁部35eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられている。より具体的には、サブバッグ部分40は、その先端側(車両前方側)に向けて徐々に細くなる袋状部分を有している。ここでは、エアバッグ30の膨張展開状態で、サブバッグ部分40が全体として、開口周縁部35eを底部とする円錐袋状をなすように形成されている。従って、メインバッグ部分32を外側から観察すると、メインバッグ部分32のうち助手席16側に面する部分に、奥側(車両前方側)に向けて徐々に細くなる穴が形成されていることになる。もっとも、サブバッグ部分40がそのような形状を有していることは必須ではなく、サブバッグ部分40の一部分が先端側に向けて徐々に細くなる形状部分を有していてもよく、また、サブバッグ部分40が筒状形状を呈していてもよい。
【0038】
連結部分44は、上記サブバッグ部分40を、開口周縁部35eとは反対側の位置でメインバッグ部分32に連結するように構成されている。
【0039】
ここでは、連結部分44は、袋状に形成されており、連結部分用開口周縁部36eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられている。より具体的には、連結部分44は、その先端側(車両後方側)に向けて徐々に細くなる袋状部分を有している。ここでは、エアバッグ30の膨張展開状態で、連結部分44が全体として、連結部分用開口周縁部36eを底部とする円錐袋状をなすように形成されている。従って、メインバッグ部分32の外側から観察すると、メインバッグ部分32のうち助手席16の反対側の部分に、奥側(車両後方側)に向けて徐々に細くなる穴が形成されていることになる。
【0040】
もっとも、連結部分44がそのような形状を有していることは必須ではなく、連結部分44の一部分がその先端側に向けて徐々に細くなる形状部分を有していてもよく、また、連結部分44が筒状形状を呈していてもよい。
【0041】
さらには、連結部分が袋状をなしていることも必須ではなく、連結部分は帯状であってもよい。この場合には、メインバッグ部分32に連結部分用開口周縁部36eを形成せずに、当該連結部分の一端部をメインバッグ部分32のうち上記開口周縁部35eと対向する位置に一体化或は縫合等により連結した構成としてもよい。
【0042】
上記連結部分44は、次のようにしてサブバッグ部分40と連結されることで、当該サブバッグ部分40を開口周縁部35eとは反対側の位置でメインバッグ部分32に連結している。
【0043】
すなわち、上記サブバッグ部分40のうち円錐袋状をなす部分(ここでは全体)の母線と、連結部分44のうち円錐袋状をなす部分(ここでは全体)の母線とが、縫合等によって接合されている。これにより、サブバッグ部分40と連結部分44とが連結され、この連結構成によってサブバッグ部分40がメインバッグ部分32内に連結されている。ここでは、上記態様にてサブバッグ部分40と連結部分44とが連結されているため、サブバッグ部分40の先端部(車両前方側の部分)は、開口周縁部35eの反対側(つまり、連結部分用開口周縁部36e部分)でメインバッグ部分32の内面に達し、連結部分44の先端部(車両後方側の部分)は連結部分用開口周縁部36eの反対側(つまり、開口周縁部35e部分)でメインバッグ部分32の内面に達している。もっとも、サブバッグ部分40の形状、連結部分44の形状、それらの連結態様は、上記例に限られない。これらの各変形例については後に図とともに説明する。
【0044】
上記のようなメインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44は、適宜シート状部材を縫合等によって接合することによって形成することができる。メインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44は、別々のシート状部材を縫合することによって形成されていてもよい、共通するシート状部材が縫合されることによって形成されてもよい。そのようなメインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44を有するエアバッグ30の一製造例について、以下に説明する。
【0045】
まず、図7に示すように、一対の基布50、第1小基布60及び第2小基布70を準備する。
【0046】
一対の基布50、第1小基布60及び第2小基布70は、それぞれ布或は樹脂シート等のシート状部材を切断等することにより所定形状に形成された部材である。基布50は、エアバッグ30の右半部或は左半部を構成可能に構成されている。ここでは、基布50は、メインパネル部分52と、サブパネル部分54と、連結パネル部分56とを有する一枚のシート状部材として構成されている。メインパネル部分52は、上記メインバッグ部分32を構成する部分であり、ここでは、メインバッグ部分32の大袋部33の右半部或は左半部を展開した形状に形成されている。また、サブパネル部分54は、サブバッグ部分40を構成する部分であり、ここでは、サブバッグ部分40の右半部或は左半部を展開した形状(ここでは三角形状)に形成されている。このサブパネル部分54は、上記メインバッグ部分32の外周の一部から外方に延出するように設けられている。また、連結パネル部分56は、連結部分44を構成する部分であり、ここでは、連結部分44の右半部或は左半部を展開した形状(ここでは四角形状)に形成されている。この連結パネル部分56は、上記メインバッグ部分32の外周であって上記サブパネル部分54の反対側の部分から外方に延出するように設けられている。
【0047】
第1小基布60及び第2小基布70は、上記メインバッグ部分32のうち小袋部34を構成する部分である。ここでは、第1小基布60は、小袋部34の上部を展開した形状に形成され、第2小基布70は小袋部34の下部を展開した形状に形成されている。
【0048】
そして、図8に示すように、一対の基布50間に、第1小基布60及び第2小基布70を配設し、第1小基布60及び第2小基布70を半分に折る。
【0049】
この後、図9に示すように、第1小基布60及び第2小基布70を、一対の基布50に配設してそれぞれ一対の基布50に縫合する。なお、図9〜17において、縫合ラインを太い点線で示している。すると、図10に示すように、第1小基布60及び第2小基布70が一対の基布50間に折込まれた状態で、当該一対の基布50に対して一体化される。
【0050】
この後、図11に示すように、一対の基布50の周縁部の一部、即ち、メインパネル部分52の周縁部の一部分同士、サブパネル部分54の周縁部同士、連結パネル部分56の周縁部同士を縫合する。これにより、袋状のサブパネル部分54及び袋状の連結パネル部分56が形成される。
【0051】
続いて、図12において、メインパネル部分52の周縁部のうち内側に凹んでいる部分同士を縫合する。そして、図13に示すように、第1小基布60及び第2小基布70を、一対の基布50間から外方に引出す。この後、図14に示すように、第1小基布60と第2小基布70を近づけてそれらの周縁部の一部分同士を縫合すると共に、一対の基布50の周縁部のうち、第1小基布60と第2小基布70との接近によって接触した部分同士を縫合する。そして、図15に示すように、第1小基布60及び第2小基布70の周縁部のうちの残部同士を縫合する。これにより、袋状のメインバッグ部分32が形成される。
【0052】
次に、図16及び図17に示すように、サブバッグ部分40と連結部分44とを連結する。ここでは、サブバッグ部分40の母線と連結部分44の母線とを縫合等によって接合する。そして、ガス供給口32h等を通じてメインバッグ部分32を反転させると、エアバッグ30が完成する。
【0053】
上記のように構成されたエアバッグ30の動作について説明する。
【0054】
まず、図18に示すように、乗員Pが助手席16に正常状態で着座し、かつ、シートベルトを着用している場合を想定する。なお、乗員Pが助手席16に正常状態で着座している状態とは、乗員Pが、その背部をシートバックに接触させた状態で着座している状態をいう。
【0055】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30が膨張展開する。膨張展開したエアバッグ30は、乗員Pの頭と対向する開口周縁部35eでは凹んでいる。また、エアバッグ30のうち開口周縁部35e周りでは、大きく膨張している。
【0056】
この際、車両の急減速によって、乗員Pを車両前方に動かす力が作用する。もっとも、乗員Pは、シートベルトによって主として腰部を中心として拘束されている。結果、乗員Pの頭部、肩部及び胸部が腰部を中心として前方斜め下方に移動しようとする。
【0057】
すると、乗員Pの頭部は、サブバッグ部分40内に入り込みつつ、エアバッグ30によって衝撃を受止められる。サブバッグ部分40は、一種の袋として形成されているため、そのサブバッグ部分40形状に応じて衝撃吸収がなされる。つまり、本実施形態のように、サブバッグ部分40の形状を先端側に向けて徐々に小さくなる形状とすることで、頭部の衝撃を徐々に受止めることができる。また、サブバッグ部分40の長さ(つまり、メインバッグ部分32の外側からみた穴の深さ)を適宜調整することで、乗員Pの頭部を最終的に受止める位置を適宜調整することができる。
【0058】
なお、頭部はサブバッグ部分40内に入り込むため、反り返りも抑制される。
【0059】
また、サブバッグ部分40の周り(つまり、開口周縁部35eの周り)では、エアバッグ30は大きく膨張展開しある程度硬くなっている。このため、肩部及び胸部等については、サブバッグ部分40の周りの衝撃吸収効果が高い部分で衝撃を吸収することができる。
【0060】
また、図19に示すように、乗員Pが助手席16に正常状態で着座し、かつ、シートベルトを着用していない場合を想定する。
【0061】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30は上記と同様に膨張展開する。
【0062】
また、乗員Pは、上記とは異なりシートベルトによる拘束が無いため、乗員Pは着座姿勢そのままで前方に移動しようとする。つまり、図18に示す場合とは異なり、頭部はそのまま前方に移動しようとする。
【0063】
この場合でも、乗員Pの頭部は、サブバッグ部分40内に入り込みつつ、エアバッグ30によって衝撃を受止められる。サブバッグ部分40は、一種の袋として形成されているため、上記と同様に、そのサブバッグ部分40形状に応じた衝撃吸収を期待できる。
【0064】
また、上記と同様に、肩部及び胸部等については、サブバッグ部分40の周りの衝撃吸収効果が高い部分で衝撃を吸収することができる。
【0065】
また、図20に示すように、乗員Pが非正規姿勢(OOP(Out Of Position))である場合、即ち、乗員Pが頭部をインストルメントパネル10上に近づけて配設している場合を想定する。
【0066】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30が膨張展開する。膨張展開したエアバッグ30は、インフレータ22からのガス噴射によりインストルメントパネル10の上方に膨張展開してフロントウインドウ12に当った後、インストルメントパネル10上に下降しつつ助手席16側に向けて膨張展開する。
【0067】
この際、エアバッグ30のうち、インストルメントパネル10上における乗員Pの頭部に対応する位置には、連結部分用開口周縁部36eが形成され凹んでいる。このため、インストルメントパネル10上の頭部は、連結部分44による凹部内に入り込むこととなり、エアバッグ30のうち大きく膨張展開した比較的硬い部分と非正規姿勢である乗員Pの頭部との直接的な接触が抑制される。
【0068】
以上のように構成されたエアバッグ30によると、メインバッグ部分32のうち開口周縁部35e周りの部分では、比較的大きく膨張展開させることで、衝撃吸収効果の高い部分を構成することができる。そして、この部分で、肩部及び胸部等をしっかりと受止めて衝撃吸収することができる。一方、開口周縁部35eでは、サブバッグ部分40によってメインバッグ部分32の表面から凹む袋状部分が形成されている。このため、この部分では、開口周縁部35e周りの部分よりもソフトに頭部を受止めて衝撃吸収することができる。そして、サブバッグ部分40による衝撃吸収の態様は、サブバッグ部分40の形状(開口の大きさ、開口の狭まり方等)、連結部分44による連結態様(サブバッグ部分40の先端部の位置等)等を設定することによって適宜設定することができる。つまり、サブバッグ部分40によって適度な衝撃吸収効果を有する部分を構成することができる。これにより、エアバッグ30において、衝撃吸収効果の高い部分と適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【0069】
なお、サブバッグ部分140の形状設定、サブバッグ部分140と連結部分144との連結態様の変更による衝撃吸収態様の設定例については後の変形例で説明する。
【0070】
しかも、メインバッグ部分32に形成された開口周縁部35eから袋状のサブバッグ部分40をメインバッグ部分32内に向けて延設しているため、メインバッグ部分32のうち開口周縁部35e周りの部分と、サブバッグ部分40との境界部分の曲面(図3の矢符A参照)を比較的小さくすることができる。換言すれば、サブバッグ部分40の入口をなるべく小さくすることができ、適度な衝撃吸収効果を有する部分をより局所的に設けることができる。これにより、乗員Pが車両前方に移動しようとするなるべく早期状態から、膨張展開するエアバッグ30に乗員Pを当接させることができ、乗員Pの初期拘束に有利となる。
【0071】
また、開口周縁部35eは、助手席16に着座した乗員Pの頭部を受止める位置に設けられているため、頭部を開口周縁部35eに設けられたサブバッグ部分40で受止めることができ、頭部に対する反力を抑制できる。
【0072】
また、サブバッグ部分40は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状に形成された部分を有するため、頭部等がサブバッグ部分40内に入り込むと、衝撃が徐々に吸収される。このため、車両衝突による衝撃をよりソフトに受止めることができる。
【0073】
また、連結部分44の袋状部分に形成されているため、膨張展開するエアバッグ30が、非正規姿勢の乗員Pの頭等の上から被さったとしても、エアバッグ30のうちメインバッグ部分32と頭部との直接的な接触が抑制される。
【0074】
また、サブバッグ部分40の母線と連結部分44の母線とが接合されているため、膨張展開するメインバッグ部分32内でのサブバッグ部分40の展開形状、連結部分44の展開形状が安定する。特に、開口周縁部35eから凹むサブバッグ部分40の形状が安定する。これにより、サブバッグ部分40とその内部に入り込む頭部の動作が安定し、サブバッグ部分40による衝撃吸収動作が安定する。
【0075】
なお、上記サブバッグ部分40の形状、サブバッグ部分40と連結部分44との連結構成は上記例に限られず、種々の変形例を考えることができる。
【0076】
例えば、図21に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Bの長さ寸法(開口周縁部35eからの深さ寸法)が、エアバッグ30の膨張展開状態において、エアバッグ30のうち開口周縁部35eの反対側部分に達し無い程度に設定されていてもよい。また、連結部分44に相当する連結部分44Bの先端部(車両前方側の部分)と上記サブバッグ部分40Bの先端部(車両後方側の部分)とが縫合等によって接合されていてよい。換言すれば、連結部分44Bは、サブバッグ部分40Bの先端部をメインバッグ部分32の内面から離れた位置に配設した状態で、サブバッグ部分40Bをメインバッグ部分32に連結する構成とされている。
【0077】
この変形例によると、サブバッグ部分40Bの先端部がメインバッグ部分32の反対側に達していないため、頭部がサブバッグ部分40B内に奥深く入り込んだとしても、メインバッグ部分32Bの前記反対側部分に達する前にサブバッグ部分40Bの底(先端部)に当ることになる。このため、頭部等がエアバッグ30を介して反対側の部材に当る状況(底付きとも呼ばれる)を抑制でき、サブバッグ部分40Bにおいて効果的に衝撃吸収できる。このように、メインバッグ部分32が膨張展開した状態で、サブバッグ部分40Bの長さ(深さ)を調整することで、サブバッグ部分40B内に頭部等が入り込む際に、最終的に当該頭部等を受止める位置を調整することができ、これによって、サブバッグ部分40Bによる衝撃吸収特性を調整することができる。
【0078】
また、図22に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Cがより大きく開口する形状であってもよい。このように、サブバッグ部分40Cの開口形状が変ると、サブバッグ部分40C内に入り込んだ頭部等の衝撃吸収特性が変る。例えば、サブバッグ部分40のように、その開口形状が小さければ、頭部等がサブバッグ部分40内に入り込んでいく初期段階で抵抗となるので、早期に衝撃吸収することができる。また、サブバッグ部分40Cのようにその開口形状が大きければ、頭部等がサブバッグ部分40C内に入り込んでいく初期段階ではあまり抵抗とならないので、後期段階で衝撃吸収効果が高くなる。このため、サブバッグ部分の開口形状を適宜設定することで、その内部に入り込む頭部の衝撃吸収特性を調整することができる。
【0079】
また、図23に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Dと連結部分44に相当する連結部分44Dとが、上記実施形態と比較して上下逆の位置関係で連結されていてもよい。
【0080】
また、図24に示すように、連結部分44に相当する連結部分44Eが帯状に形成されていてもよい。この場合、当該連結部分44Eの一端部がメインバッグ部分32に一体的又は縫合等により連結されると共に、連結部分44Eの他端部がサブバッグ部分40に対応するサブバッグ部分40Eの先端部に一体的又は縫合等により連結されているとよい。
【0081】
また、例えば、図25に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分132において、乗員Pの胸部に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部135eが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分140は、胸部に対応する開口周縁部135eからメインバッグ部分132内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分144が、上記実施形態と同様態様で、サブバッグ部分140に連結されている。この変形例では、胸部を比較的ソフトに受止めることができる。
【0082】
また、図26に示すように、サブバッグ部分140に相当するサブバッグ部分140Bと、連結部分144に相当する連結部分144Bとが,図25に示す例と比べて、上下逆の関係で連結されていてもよい。
【0083】
さらに、図27に示すように、連結部分144に相当する連結部分144Cが帯状に形成されていてもよい。この場合、当該連結部分144Cの一端部がメインバッグ部分132に一体的又は縫合等により連結されると共に、連結部分144Cの他端部がサブバッグ部分140に対応するサブバッグ部分140Cの先端部に一体的又は縫合等により連結されているとよい。
【0084】
また、図28に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分132Dにおいて、乗員Pの胸部及びその下方に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部135Deが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分140Dは、胸部及びその下方に対応する開口周縁部135Deからメインバッグ部分132D内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分144D(ここでは帯状に形成されている)が、メインバッグ部分132D及びサブバッグ部分140Dに連結されている。ここでは、連結部分144Dは、メインバッグ部分132の上方部分に連結されている。このように、サブバッグ部分の連結先となる箇所は、メインバッグ部分の前部である必要はない。
【0085】
また、例えば、図29に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分232において、乗員Pの頭部及び胸部に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部235eが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分240は、胸部に対応する開口周縁部235eからメインバッグ部分232内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分244が、上記実施形態と同様態様で、サブバッグ部分240に連結されている。この変形例では、頭部及び胸部を比較的ソフトに受止めることができる。
【0086】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0087】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0088】
10 インストルメントパネル
16 助手席
20 エアバッグ装置
22 インフレータ
30 エアバッグ
32、32B、132、132D、232 メインバッグ部分
32h ガス供給口
35e、135e、135De、235e 開口周縁部
40、40B、40C、40D、40E、140、140B、140C、140D、240 サブバッグ部分
44、44B、44D、44E、144、144B、144C、144D、244 連結部分
50 基布
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両に搭載され、インフレータで発生したガスにより膨張展開するエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアバッグとして、次の3つのタイプのものがある。
【0003】
1つ目のタイプでは、特許文献1のように、エアバッグがドーナツ状に膨張展開するように構成されている。
【0004】
2つ目のタイプでは、特許文献2のように、エアバッグ内部に設けられたテザーベルトによってエアバッグの乗員側の壁部が内部に引張られることによって凹部が形成されるようになっている。
【0005】
3つ目のタイプでは、特許文献3、4のように、エアバッグが左右2つの袋状部分を有し、この2つの袋状部分間に上下方向に沿って凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−199961号公報
【特許文献2】特開2005−247118号公報
【特許文献3】特開2004−244005号公報
【特許文献4】特開2007−320503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記1つ目のタイプでは、中央の孔が空いた部分では衝撃の吸収効果が小さく、主としてその周囲部分で衝撃を受止める必要がある。
【0008】
また、2つ目のタイプでは、テザーベルトで引張るだけでは十分な深さの凹部を形成することは難しい。このため、インフレータの出力、エアバッグの容量等を調整して、凹部での反力が大きくなり過ぎないように調整する必要がある。
【0009】
また、3つ目のタイプでは、衝撃吸収効果の小さい凹部が上下方向に沿って広い範囲に形成されてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1の態様は、車両の乗員席前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能なエアバッグであって、ガス供給口と前記乗員席側に面する部分に設けられた開口周縁部とを有し、前記乗員席に向けて袋状に膨張展開可能なメインバッグ部分と、袋状に形成され、前記開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられたサブバッグ部分と、前記サブバッグ部分を、前記開口周縁部の反対側の位置で前記メインバッグ部分に連結する連結部分とを備える。
【0012】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグであって、前記開口周縁部は、前記乗員席に着席した乗員の頭部を受止める位置に設けられている。
【0013】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るエアバッグであって、前記連結部分は、前記サブバッグ部分の先端部を前記メインバッグ部分の内面から離れた位置に配設した状態で、前記サブバッグ部分を前記メインバッグ部分に連結する。
【0014】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有する。
【0015】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、前記連結部分は、袋状に形成され、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられている。
【0016】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るエアバッグであって、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、前記連結部分は、袋状に形成されると共に、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられ、さらに、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、前記サブバッグ部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線と、前記連結部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線同士が接合されている。
【0017】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係るエアバッグと、前記エアバッグに、前記ガス供給口を通じてガスを供給可能なインフレータとを備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様に係るエアバッグによると、メインバッグ部分のうち開口周縁部の周りの部分で衝撃吸収効果の高い部分を構成することができる。また、サブバッグ部分の大きさ及び連結部分による連結態様等を調整することで、開口周縁部に設けられたサブバッグ部分において適度な衝撃吸収効果を有する部分を構成することができる。これにより、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【0019】
第2の態様によると、頭部を開口周縁部に設けられたサブバッグ部分で受止めることができ、頭部に対する反力を抑制できる。
【0020】
第3の態様によると、サブバッグ部分の先端部がメインバッグ部分の内部から離れているので、サブバッグ部分の先端部がメインバッグ部分のうち乗員席の反対側の部分に達し難く、サブバッグ部分において効果的に衝撃吸収できる。
【0021】
第4の態様によると、前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状に形成されているため、サブバッグ部分において徐々に衝撃吸収し易い。
【0022】
第5の態様によると、エアバッグのうち乗員席とは反対側の部分に連結部分用開口周縁部及び袋状の連結部分が形成されているため、乗員の上からエアバッグが被さったとしても、頭部とメインバッグ部分との直接的な接触が抑制される。
【0023】
第6の態様によると、サブバッグ部分と連結部分の母線同士が接合されているため、メインバッグ部分の膨張展開状態においてサブバッグ部分と連結部分との展開態様が安定する。これにより、サブバッグ部分による衝撃吸収動作が安定する。
【0024】
第7の態様に係るエアバッグ装置によると、エアバッグにおいて、衝撃吸収効果の高い部分と、適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るエアバッグ装置を示す概略側面図である。
【図2】実施形態に係るエアバッグ装置を示す概略側面図である。
【図3】図2のIII−III線におけるエアバッグの膨張展開形状を示す図である。
【図4】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図5】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図6】エアバッグの膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【図7】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図8】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図9】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図10】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図11】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図12】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図13】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図14】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図15】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図16】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図17】エアバッグの製作手順を示す説明図である。
【図18】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図19】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図20】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図21】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図22】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図23】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図24】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図25】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図26】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図27】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図28】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【図29】エアバッグの変形例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係るエアバッグ及びエアバッグ装置について説明する。図1及び図2はインストルメントパネル10に組込まれたエアバッグ装置20を示す概略側面図である。図1はエアバッグ30が膨張展開する前の状態を示しており、図2はエアバッグ30が膨張展開した状態を示している。また、図3は図2のIII−III線におけるエアバッグ30の膨張展開形状を示す図である。以下の説明において、説明の便宜上、前後方向、上下方向及び左右方向とは、本エアバッグ装置20が組込まれる車両を基準とした方向をいう。
【0027】
このエアバッグ装置20は、助手席16前方にあるインストルメントパネル10の上面部分内に組込まれている。インストルメントパネル10の前側部分から後方斜め上方に向けてフロントウインドウ12が設けられている。本エアバッグ装置20は、車両衝突時等に助手席16の乗員P前方に膨張展開することにより、車両の前方に移動しようとする乗員Pを受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。もっとも、エアバッグ装置20は、助手席以外の他の乗員席の前方部分に組込まれていてもよい。
【0028】
このエアバッグ装置20は、インフレータ22(図1参照)、エアバッグ30とを備えている。
【0029】
エアバッグ30は、シート状部材により袋状の部材に形成されている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳んだ状態でインストルメントパネル10内に収容されている。また、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22からのガス供給によって、インストルメントパネル10外に突出膨張して、車室内側である助手席16の乗員P側に向けて袋状に膨張展開するようになっている。
【0030】
なお、上記インストルメントパネル10のうちエアバッグ30が配設される領域部分には、当該領域部分を開口させるべく、割れ容易なティアラインが形成されている。そして、エアバッグ30の膨張展開力を受けて、当該インストルメントパネル10のケースの上面部分が前記ティアラインで割れて、エアバッグ30をインストルメントパネル10の外方に向けて膨張展開させるための開口が形成されるようになっている。
【0031】
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、点火装置によりガス発生剤を点火、燃焼させることでガスを発生可能に構成されている。このインフレータ22は、ガス供給口32h(図4参照)を介してエアバッグ30内にガスを導入可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。そして、車両の衝撃検知部等からの点火命令信号等を受けて前記点火装置によりガス発生剤を点火燃焼させ、これにより発生したガスが、上記ガス供給口32hを通じてエアバッグ30内に導入されて、エアバッグ30が膨張展開するようになっている。
【0032】
エアバッグ30についてより詳細に説明する。図4〜図6は、エアバッグ30の膨張形状を多面体によって模式的に表した斜視図である。
【0033】
図2〜図6に示すように、エアバッグ30は、布或は樹脂シート等のシート状部材によって形成されており、メインバッグ部分32と、サブバッグ部分40と、連結部分44とを備えている。メインバッグ部分32は、最も大きく膨張展開して本エアバッグ30の最外周を構成する部分であり、サブバッグ部分40はメインバッグ部分32内で展開する部分であり、連結部分44は上記サブバッグ部分40をメインバッグ部分32内に連結する部分である。
【0034】
すなわち、メインバッグ部分32は、インストルメントパネル10から助手席16に向けて袋状に膨張展開可能に形成されている。ここでは、メインバッグ部分32は、大袋部33と、大袋部33の前方上部に設けられた小袋部34とを備えている。大袋部33は、インストルメントパネル10と助手席16との間で大きく膨張展開可能に構成されている。小袋部34は、大袋部33とインフレータ22との間で、インストルメントパネル10の上方空間で膨張展開可能に構成されており、その下部にインフレータ22からのガスが供給されるガス供給口32hが形成されている。そして、インフレータ22からのガスは、ガス供給口32hから小袋部34を通って大袋部33に導かれ、これにより、大袋部33がインストルメントパネル10と助手席16との間で大きく膨張展開できるようになっている。
【0035】
メインバッグ部分32のうち助手席16側に面する部分(即ち、後部)には、開口周縁部35eが形成されている。つまり、主としてメインバッグ部分32を観察すると、その助手席16側に面する部分に開口が形成され、この開口を囲むように開口周縁部35eが形成されている。本実施形態では、開口周縁部35eは、助手席16に着席した乗員Pの頭部を受止める位置に形成されている。つまり、メインバッグ部分32が完全に膨張展開した状態で、開口周縁部35eが助手席16に着席した乗員Pの頭部の前方或は頭部のやや下方位置に配設されるようになっている。エアバッグ30が膨張展開した状態では、開口周縁部35eはおおよそ円環状を呈する。
【0036】
また、ここでは、メインバッグ部分32のうち上記開口周縁部35eと対向する位置に連結部分用開口周縁部36eが形成されている。つまり、主としてメインバッグ部分32を観察すると、メインバッグ部分32の内部空間を介して上記開口周縁部35eと対向する位置(つまり、反対側の位置)に、連結部分用開口周縁部36eが形成されている。ここでは、エアバッグ30が膨張展開した状態では、連結部分用開口周縁部36eは、インストルメントパネル10のうち助手席16を向く部分の外側位置に配設されるようになる。エアバッグ30が膨張展開した状態では、連結部分用開口周縁部36eもおおよそ円環状を呈する。
【0037】
サブバッグ部分40は、袋状に形成されており、上記開口周縁部35eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられている。より具体的には、サブバッグ部分40は、その先端側(車両前方側)に向けて徐々に細くなる袋状部分を有している。ここでは、エアバッグ30の膨張展開状態で、サブバッグ部分40が全体として、開口周縁部35eを底部とする円錐袋状をなすように形成されている。従って、メインバッグ部分32を外側から観察すると、メインバッグ部分32のうち助手席16側に面する部分に、奥側(車両前方側)に向けて徐々に細くなる穴が形成されていることになる。もっとも、サブバッグ部分40がそのような形状を有していることは必須ではなく、サブバッグ部分40の一部分が先端側に向けて徐々に細くなる形状部分を有していてもよく、また、サブバッグ部分40が筒状形状を呈していてもよい。
【0038】
連結部分44は、上記サブバッグ部分40を、開口周縁部35eとは反対側の位置でメインバッグ部分32に連結するように構成されている。
【0039】
ここでは、連結部分44は、袋状に形成されており、連結部分用開口周縁部36eからメインバッグ部分32内に向けて延出するように設けられている。より具体的には、連結部分44は、その先端側(車両後方側)に向けて徐々に細くなる袋状部分を有している。ここでは、エアバッグ30の膨張展開状態で、連結部分44が全体として、連結部分用開口周縁部36eを底部とする円錐袋状をなすように形成されている。従って、メインバッグ部分32の外側から観察すると、メインバッグ部分32のうち助手席16の反対側の部分に、奥側(車両後方側)に向けて徐々に細くなる穴が形成されていることになる。
【0040】
もっとも、連結部分44がそのような形状を有していることは必須ではなく、連結部分44の一部分がその先端側に向けて徐々に細くなる形状部分を有していてもよく、また、連結部分44が筒状形状を呈していてもよい。
【0041】
さらには、連結部分が袋状をなしていることも必須ではなく、連結部分は帯状であってもよい。この場合には、メインバッグ部分32に連結部分用開口周縁部36eを形成せずに、当該連結部分の一端部をメインバッグ部分32のうち上記開口周縁部35eと対向する位置に一体化或は縫合等により連結した構成としてもよい。
【0042】
上記連結部分44は、次のようにしてサブバッグ部分40と連結されることで、当該サブバッグ部分40を開口周縁部35eとは反対側の位置でメインバッグ部分32に連結している。
【0043】
すなわち、上記サブバッグ部分40のうち円錐袋状をなす部分(ここでは全体)の母線と、連結部分44のうち円錐袋状をなす部分(ここでは全体)の母線とが、縫合等によって接合されている。これにより、サブバッグ部分40と連結部分44とが連結され、この連結構成によってサブバッグ部分40がメインバッグ部分32内に連結されている。ここでは、上記態様にてサブバッグ部分40と連結部分44とが連結されているため、サブバッグ部分40の先端部(車両前方側の部分)は、開口周縁部35eの反対側(つまり、連結部分用開口周縁部36e部分)でメインバッグ部分32の内面に達し、連結部分44の先端部(車両後方側の部分)は連結部分用開口周縁部36eの反対側(つまり、開口周縁部35e部分)でメインバッグ部分32の内面に達している。もっとも、サブバッグ部分40の形状、連結部分44の形状、それらの連結態様は、上記例に限られない。これらの各変形例については後に図とともに説明する。
【0044】
上記のようなメインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44は、適宜シート状部材を縫合等によって接合することによって形成することができる。メインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44は、別々のシート状部材を縫合することによって形成されていてもよい、共通するシート状部材が縫合されることによって形成されてもよい。そのようなメインバッグ部分32、サブバッグ部分40、連結部分44を有するエアバッグ30の一製造例について、以下に説明する。
【0045】
まず、図7に示すように、一対の基布50、第1小基布60及び第2小基布70を準備する。
【0046】
一対の基布50、第1小基布60及び第2小基布70は、それぞれ布或は樹脂シート等のシート状部材を切断等することにより所定形状に形成された部材である。基布50は、エアバッグ30の右半部或は左半部を構成可能に構成されている。ここでは、基布50は、メインパネル部分52と、サブパネル部分54と、連結パネル部分56とを有する一枚のシート状部材として構成されている。メインパネル部分52は、上記メインバッグ部分32を構成する部分であり、ここでは、メインバッグ部分32の大袋部33の右半部或は左半部を展開した形状に形成されている。また、サブパネル部分54は、サブバッグ部分40を構成する部分であり、ここでは、サブバッグ部分40の右半部或は左半部を展開した形状(ここでは三角形状)に形成されている。このサブパネル部分54は、上記メインバッグ部分32の外周の一部から外方に延出するように設けられている。また、連結パネル部分56は、連結部分44を構成する部分であり、ここでは、連結部分44の右半部或は左半部を展開した形状(ここでは四角形状)に形成されている。この連結パネル部分56は、上記メインバッグ部分32の外周であって上記サブパネル部分54の反対側の部分から外方に延出するように設けられている。
【0047】
第1小基布60及び第2小基布70は、上記メインバッグ部分32のうち小袋部34を構成する部分である。ここでは、第1小基布60は、小袋部34の上部を展開した形状に形成され、第2小基布70は小袋部34の下部を展開した形状に形成されている。
【0048】
そして、図8に示すように、一対の基布50間に、第1小基布60及び第2小基布70を配設し、第1小基布60及び第2小基布70を半分に折る。
【0049】
この後、図9に示すように、第1小基布60及び第2小基布70を、一対の基布50に配設してそれぞれ一対の基布50に縫合する。なお、図9〜17において、縫合ラインを太い点線で示している。すると、図10に示すように、第1小基布60及び第2小基布70が一対の基布50間に折込まれた状態で、当該一対の基布50に対して一体化される。
【0050】
この後、図11に示すように、一対の基布50の周縁部の一部、即ち、メインパネル部分52の周縁部の一部分同士、サブパネル部分54の周縁部同士、連結パネル部分56の周縁部同士を縫合する。これにより、袋状のサブパネル部分54及び袋状の連結パネル部分56が形成される。
【0051】
続いて、図12において、メインパネル部分52の周縁部のうち内側に凹んでいる部分同士を縫合する。そして、図13に示すように、第1小基布60及び第2小基布70を、一対の基布50間から外方に引出す。この後、図14に示すように、第1小基布60と第2小基布70を近づけてそれらの周縁部の一部分同士を縫合すると共に、一対の基布50の周縁部のうち、第1小基布60と第2小基布70との接近によって接触した部分同士を縫合する。そして、図15に示すように、第1小基布60及び第2小基布70の周縁部のうちの残部同士を縫合する。これにより、袋状のメインバッグ部分32が形成される。
【0052】
次に、図16及び図17に示すように、サブバッグ部分40と連結部分44とを連結する。ここでは、サブバッグ部分40の母線と連結部分44の母線とを縫合等によって接合する。そして、ガス供給口32h等を通じてメインバッグ部分32を反転させると、エアバッグ30が完成する。
【0053】
上記のように構成されたエアバッグ30の動作について説明する。
【0054】
まず、図18に示すように、乗員Pが助手席16に正常状態で着座し、かつ、シートベルトを着用している場合を想定する。なお、乗員Pが助手席16に正常状態で着座している状態とは、乗員Pが、その背部をシートバックに接触させた状態で着座している状態をいう。
【0055】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30が膨張展開する。膨張展開したエアバッグ30は、乗員Pの頭と対向する開口周縁部35eでは凹んでいる。また、エアバッグ30のうち開口周縁部35e周りでは、大きく膨張している。
【0056】
この際、車両の急減速によって、乗員Pを車両前方に動かす力が作用する。もっとも、乗員Pは、シートベルトによって主として腰部を中心として拘束されている。結果、乗員Pの頭部、肩部及び胸部が腰部を中心として前方斜め下方に移動しようとする。
【0057】
すると、乗員Pの頭部は、サブバッグ部分40内に入り込みつつ、エアバッグ30によって衝撃を受止められる。サブバッグ部分40は、一種の袋として形成されているため、そのサブバッグ部分40形状に応じて衝撃吸収がなされる。つまり、本実施形態のように、サブバッグ部分40の形状を先端側に向けて徐々に小さくなる形状とすることで、頭部の衝撃を徐々に受止めることができる。また、サブバッグ部分40の長さ(つまり、メインバッグ部分32の外側からみた穴の深さ)を適宜調整することで、乗員Pの頭部を最終的に受止める位置を適宜調整することができる。
【0058】
なお、頭部はサブバッグ部分40内に入り込むため、反り返りも抑制される。
【0059】
また、サブバッグ部分40の周り(つまり、開口周縁部35eの周り)では、エアバッグ30は大きく膨張展開しある程度硬くなっている。このため、肩部及び胸部等については、サブバッグ部分40の周りの衝撃吸収効果が高い部分で衝撃を吸収することができる。
【0060】
また、図19に示すように、乗員Pが助手席16に正常状態で着座し、かつ、シートベルトを着用していない場合を想定する。
【0061】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30は上記と同様に膨張展開する。
【0062】
また、乗員Pは、上記とは異なりシートベルトによる拘束が無いため、乗員Pは着座姿勢そのままで前方に移動しようとする。つまり、図18に示す場合とは異なり、頭部はそのまま前方に移動しようとする。
【0063】
この場合でも、乗員Pの頭部は、サブバッグ部分40内に入り込みつつ、エアバッグ30によって衝撃を受止められる。サブバッグ部分40は、一種の袋として形成されているため、上記と同様に、そのサブバッグ部分40形状に応じた衝撃吸収を期待できる。
【0064】
また、上記と同様に、肩部及び胸部等については、サブバッグ部分40の周りの衝撃吸収効果が高い部分で衝撃を吸収することができる。
【0065】
また、図20に示すように、乗員Pが非正規姿勢(OOP(Out Of Position))である場合、即ち、乗員Pが頭部をインストルメントパネル10上に近づけて配設している場合を想定する。
【0066】
この状態で、車両が衝突等すると、エアバッグ30が膨張展開する。膨張展開したエアバッグ30は、インフレータ22からのガス噴射によりインストルメントパネル10の上方に膨張展開してフロントウインドウ12に当った後、インストルメントパネル10上に下降しつつ助手席16側に向けて膨張展開する。
【0067】
この際、エアバッグ30のうち、インストルメントパネル10上における乗員Pの頭部に対応する位置には、連結部分用開口周縁部36eが形成され凹んでいる。このため、インストルメントパネル10上の頭部は、連結部分44による凹部内に入り込むこととなり、エアバッグ30のうち大きく膨張展開した比較的硬い部分と非正規姿勢である乗員Pの頭部との直接的な接触が抑制される。
【0068】
以上のように構成されたエアバッグ30によると、メインバッグ部分32のうち開口周縁部35e周りの部分では、比較的大きく膨張展開させることで、衝撃吸収効果の高い部分を構成することができる。そして、この部分で、肩部及び胸部等をしっかりと受止めて衝撃吸収することができる。一方、開口周縁部35eでは、サブバッグ部分40によってメインバッグ部分32の表面から凹む袋状部分が形成されている。このため、この部分では、開口周縁部35e周りの部分よりもソフトに頭部を受止めて衝撃吸収することができる。そして、サブバッグ部分40による衝撃吸収の態様は、サブバッグ部分40の形状(開口の大きさ、開口の狭まり方等)、連結部分44による連結態様(サブバッグ部分40の先端部の位置等)等を設定することによって適宜設定することができる。つまり、サブバッグ部分40によって適度な衝撃吸収効果を有する部分を構成することができる。これにより、エアバッグ30において、衝撃吸収効果の高い部分と適度な衝撃吸収効果を有する部分とを混在させることができ、かつ、適度な衝撃吸収効果を有する部分を局所的に設けることができる。
【0069】
なお、サブバッグ部分140の形状設定、サブバッグ部分140と連結部分144との連結態様の変更による衝撃吸収態様の設定例については後の変形例で説明する。
【0070】
しかも、メインバッグ部分32に形成された開口周縁部35eから袋状のサブバッグ部分40をメインバッグ部分32内に向けて延設しているため、メインバッグ部分32のうち開口周縁部35e周りの部分と、サブバッグ部分40との境界部分の曲面(図3の矢符A参照)を比較的小さくすることができる。換言すれば、サブバッグ部分40の入口をなるべく小さくすることができ、適度な衝撃吸収効果を有する部分をより局所的に設けることができる。これにより、乗員Pが車両前方に移動しようとするなるべく早期状態から、膨張展開するエアバッグ30に乗員Pを当接させることができ、乗員Pの初期拘束に有利となる。
【0071】
また、開口周縁部35eは、助手席16に着座した乗員Pの頭部を受止める位置に設けられているため、頭部を開口周縁部35eに設けられたサブバッグ部分40で受止めることができ、頭部に対する反力を抑制できる。
【0072】
また、サブバッグ部分40は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状に形成された部分を有するため、頭部等がサブバッグ部分40内に入り込むと、衝撃が徐々に吸収される。このため、車両衝突による衝撃をよりソフトに受止めることができる。
【0073】
また、連結部分44の袋状部分に形成されているため、膨張展開するエアバッグ30が、非正規姿勢の乗員Pの頭等の上から被さったとしても、エアバッグ30のうちメインバッグ部分32と頭部との直接的な接触が抑制される。
【0074】
また、サブバッグ部分40の母線と連結部分44の母線とが接合されているため、膨張展開するメインバッグ部分32内でのサブバッグ部分40の展開形状、連結部分44の展開形状が安定する。特に、開口周縁部35eから凹むサブバッグ部分40の形状が安定する。これにより、サブバッグ部分40とその内部に入り込む頭部の動作が安定し、サブバッグ部分40による衝撃吸収動作が安定する。
【0075】
なお、上記サブバッグ部分40の形状、サブバッグ部分40と連結部分44との連結構成は上記例に限られず、種々の変形例を考えることができる。
【0076】
例えば、図21に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Bの長さ寸法(開口周縁部35eからの深さ寸法)が、エアバッグ30の膨張展開状態において、エアバッグ30のうち開口周縁部35eの反対側部分に達し無い程度に設定されていてもよい。また、連結部分44に相当する連結部分44Bの先端部(車両前方側の部分)と上記サブバッグ部分40Bの先端部(車両後方側の部分)とが縫合等によって接合されていてよい。換言すれば、連結部分44Bは、サブバッグ部分40Bの先端部をメインバッグ部分32の内面から離れた位置に配設した状態で、サブバッグ部分40Bをメインバッグ部分32に連結する構成とされている。
【0077】
この変形例によると、サブバッグ部分40Bの先端部がメインバッグ部分32の反対側に達していないため、頭部がサブバッグ部分40B内に奥深く入り込んだとしても、メインバッグ部分32Bの前記反対側部分に達する前にサブバッグ部分40Bの底(先端部)に当ることになる。このため、頭部等がエアバッグ30を介して反対側の部材に当る状況(底付きとも呼ばれる)を抑制でき、サブバッグ部分40Bにおいて効果的に衝撃吸収できる。このように、メインバッグ部分32が膨張展開した状態で、サブバッグ部分40Bの長さ(深さ)を調整することで、サブバッグ部分40B内に頭部等が入り込む際に、最終的に当該頭部等を受止める位置を調整することができ、これによって、サブバッグ部分40Bによる衝撃吸収特性を調整することができる。
【0078】
また、図22に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Cがより大きく開口する形状であってもよい。このように、サブバッグ部分40Cの開口形状が変ると、サブバッグ部分40C内に入り込んだ頭部等の衝撃吸収特性が変る。例えば、サブバッグ部分40のように、その開口形状が小さければ、頭部等がサブバッグ部分40内に入り込んでいく初期段階で抵抗となるので、早期に衝撃吸収することができる。また、サブバッグ部分40Cのようにその開口形状が大きければ、頭部等がサブバッグ部分40C内に入り込んでいく初期段階ではあまり抵抗とならないので、後期段階で衝撃吸収効果が高くなる。このため、サブバッグ部分の開口形状を適宜設定することで、その内部に入り込む頭部の衝撃吸収特性を調整することができる。
【0079】
また、図23に示すように、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分40Dと連結部分44に相当する連結部分44Dとが、上記実施形態と比較して上下逆の位置関係で連結されていてもよい。
【0080】
また、図24に示すように、連結部分44に相当する連結部分44Eが帯状に形成されていてもよい。この場合、当該連結部分44Eの一端部がメインバッグ部分32に一体的又は縫合等により連結されると共に、連結部分44Eの他端部がサブバッグ部分40に対応するサブバッグ部分40Eの先端部に一体的又は縫合等により連結されているとよい。
【0081】
また、例えば、図25に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分132において、乗員Pの胸部に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部135eが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分140は、胸部に対応する開口周縁部135eからメインバッグ部分132内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分144が、上記実施形態と同様態様で、サブバッグ部分140に連結されている。この変形例では、胸部を比較的ソフトに受止めることができる。
【0082】
また、図26に示すように、サブバッグ部分140に相当するサブバッグ部分140Bと、連結部分144に相当する連結部分144Bとが,図25に示す例と比べて、上下逆の関係で連結されていてもよい。
【0083】
さらに、図27に示すように、連結部分144に相当する連結部分144Cが帯状に形成されていてもよい。この場合、当該連結部分144Cの一端部がメインバッグ部分132に一体的又は縫合等により連結されると共に、連結部分144Cの他端部がサブバッグ部分140に対応するサブバッグ部分140Cの先端部に一体的又は縫合等により連結されているとよい。
【0084】
また、図28に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分132Dにおいて、乗員Pの胸部及びその下方に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部135Deが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分140Dは、胸部及びその下方に対応する開口周縁部135Deからメインバッグ部分132D内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分144D(ここでは帯状に形成されている)が、メインバッグ部分132D及びサブバッグ部分140Dに連結されている。ここでは、連結部分144Dは、メインバッグ部分132の上方部分に連結されている。このように、サブバッグ部分の連結先となる箇所は、メインバッグ部分の前部である必要はない。
【0085】
また、例えば、図29に示すように、メインバッグ部分32に相当するメインバッグ部分232において、乗員Pの頭部及び胸部に対応する位置に開口周縁部35eに相当する開口周縁部235eが形成されていてもよい。この場合、サブバッグ部分40に相当するサブバッグ部分240は、胸部に対応する開口周縁部235eからメインバッグ部分232内に向けて延出される。そして、連結部分44に相当する連結部分244が、上記実施形態と同様態様で、サブバッグ部分240に連結されている。この変形例では、頭部及び胸部を比較的ソフトに受止めることができる。
【0086】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0087】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0088】
10 インストルメントパネル
16 助手席
20 エアバッグ装置
22 インフレータ
30 エアバッグ
32、32B、132、132D、232 メインバッグ部分
32h ガス供給口
35e、135e、135De、235e 開口周縁部
40、40B、40C、40D、40E、140、140B、140C、140D、240 サブバッグ部分
44、44B、44D、44E、144、144B、144C、144D、244 連結部分
50 基布
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員席前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能なエアバッグであって、
ガス供給口と前記乗員席側に面する部分に設けられた開口周縁部とを有し、前記乗員席に向けて袋状に膨張展開可能なメインバッグ部分と、
袋状に形成され、前記開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられたサブバッグ部分と、
前記サブバッグ部分を、前記開口周縁部の反対側の位置で前記メインバッグ部分に連結する連結部分と、
を備えるエアバッグ。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグであって、
前記開口周縁部は、前記乗員席に着席した乗員の頭部を受止める位置に設けられている、エアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアバッグであって、
前記連結部分は、前記サブバッグ部分の先端部を前記メインバッグ部分の内面から離れた位置に配設した状態で、前記サブバッグ部分を前記メインバッグ部分に連結する、エアバッグ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有する、エアバッグ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、
前記連結部分は、袋状に形成され、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられている、エアバッグ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、
前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、
前記連結部分は、袋状に形成されると共に、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられ、さらに、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、
前記サブバッグ部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線と、前記連結部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線同士が接合されている、エアバッグ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエアバッグと、
前記エアバッグに、前記ガス供給口を通じてガスを供給可能なインフレータと、
を備えるエアバッグ装置。
【請求項1】
車両の乗員席前方部分に折畳んだ状態で収容され、ガス供給により膨張展開可能なエアバッグであって、
ガス供給口と前記乗員席側に面する部分に設けられた開口周縁部とを有し、前記乗員席に向けて袋状に膨張展開可能なメインバッグ部分と、
袋状に形成され、前記開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられたサブバッグ部分と、
前記サブバッグ部分を、前記開口周縁部の反対側の位置で前記メインバッグ部分に連結する連結部分と、
を備えるエアバッグ。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグであって、
前記開口周縁部は、前記乗員席に着席した乗員の頭部を受止める位置に設けられている、エアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアバッグであって、
前記連結部分は、前記サブバッグ部分の先端部を前記メインバッグ部分の内面から離れた位置に配設した状態で、前記サブバッグ部分を前記メインバッグ部分に連結する、エアバッグ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有する、エアバッグ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、
前記連結部分は、袋状に形成され、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられている、エアバッグ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエアバッグであって、
前記サブバッグ部分は、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、
前記メインバッグ部分のうち前記開口周縁部と対向する位置に連結部分用開口周縁部が形成され、
前記連結部分は、袋状に形成されると共に、前記連結部分用開口周縁部から前記メインバッグ部分内に向けて延出するように設けられ、さらに、その先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分を有し、
前記サブバッグ部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線と、前記連結部分のうちその先端側に向けて徐々に細くなる袋状部分の母線同士が接合されている、エアバッグ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエアバッグと、
前記エアバッグに、前記ガス供給口を通じてガスを供給可能なインフレータと、
を備えるエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図4】
【図6】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図4】
【図6】
【公開番号】特開2013−6507(P2013−6507A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140318(P2011−140318)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
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