エアバッグ装置
【課題】エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることが可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーター29と、を備える構成である。インフレーター29が、それぞれ、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部36と第2ガス供給部48とを備えている。第1ガス供給部36が、第2ガス供給部48の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部48のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されている。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーター29と、を備える構成である。インフレーター29が、それぞれ、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部36と第2ガス供給部48とを備えている。第1ガス供給部36が、第2ガス供給部48の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部48のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置に使用されるインフレーターとしては、加圧ガスを内蔵させたガス発生室を備える構成とされて、スクイブの点火時に、ガス発生室を閉塞するシール部材を破って、先端側に配設される1つのガス噴出孔から膨張用ガスを噴出させる構成のハイブリッドタイプのものがあった。このインフレーターではガス発生室からの膨張用ガスの噴出後に、スクイブの周囲に配置されるガス発生剤を燃焼させて膨張用ガスを発生させ、エアバッグの内圧を長時間維持させる構成であった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−81050公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のインフレーターを使用したエアバッグでは、エアバッグの内圧を長時間維持可能であるものの、インフレーターが、作動初期に、1つのガス噴出孔から膨張用ガスを急激に噴出させる構成であることから、エアバッグの膨張初期の内圧が高くなり、保護する乗員等にダメージを与える虞れがあった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1番目のエアバッグ装置は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
インフレーターが、それぞれ、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部と第2ガス供給部とを備える構成とされ、
第1ガス供給部が、第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の第1番目のエアバッグ装置では、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターの第1ガス供給部が、第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定され、さらに、先行して作動する場合、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、本発明の第1番目のエアバッグ装置では、第1ガス供給部から先行して膨張用ガスを供給する場合、第1ガス供給部から、緩やかに、膨張用ガスが供給されてエアバッグが展開し、その後、第1ガス供給部よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部から膨張用ガスを供給されてエアバッグが膨張することから、エアバッグが迅速に膨張することとなる。そのため、本発明のエアバッグ装置では、インフレーターの作動初期において、エアバッグ内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグの膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0007】
したがって、本発明の第1番目のエアバッグ装置では、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0008】
また、本発明の第1番目のエアバッグ装置において、制御装置を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続させて、衝突予測センサからの信号を入力した際に、第1ガス供給部が作動され、衝突検知センサからの信号を入力した際に、第2ガス供給部が作動されるような構成としてもよい。
【0009】
上記構成のエアバッグ装置では、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部から供給された膨張用ガスが、緩やかにエアバッグ内に流入して、エアバッグを折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、その後、車両の衝突検知時に、エアバッグが、第1ガス供給部よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部から供給される膨張用ガスを内部に流入させて、大きく膨張することとなる。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、衝突検知前から第1ガス供給部から供給される膨張用ガスを内部に流入させる構成であることから、衝突検知後に膨張用ガスを流入させてエアバッグを展開膨張させる場合と比較して、衝突検知後からエアバッグの膨張完了時までに急激に内圧が上昇することを抑えることができて、衝突検知後からエアバッグの膨張完了前までの間に、乗員等を保護する場合、乗員等に必要以上の押圧力を与えず、逆に、既にある程度の内圧を維持していることから、乗員等を、クッション性を良好として、円滑に保護することができる。勿論、上記構成のエアバッグ装置においても、エアバッグを、衝突検知後に展開膨張させる場合と同等に、衝突検知後に膨張を完了させ、かつ、その膨張状態を維持することができる。
【0010】
また、本発明のエアバッグ装置において、第1ガス供給部及び第2ガス供給部を、略同時に、作動可能な構成とすれば、衝突予測センサによる車両の衝突前における衝突回避不能を検知できなかった場合にも、車両の衝突検知後に、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを略同時に作動させれば、エアバッグを迅速に膨張させることができる。
【0011】
さらに、上記構成のエアバッグ装置において、具体的には、インフレーターを、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスを充填させたガス発生室を備える構成とし、
第1ガス供給部を、ガス発生室に連通される第1ガス流路と、第1ガス流路を開閉可能に構成される弁機構と、から構成し、
第2ガス供給部を、ガス発生室に連結されるとともに閉塞部材によりガス発生室と区画される第2ガス流路と、第2ガス流路内に配置されて点火時にガスを発生可能とされるスクイブと、を備える構成とするとともに、スクイブを点火させて第2ガス流路内の内圧を上昇させ、閉塞部材を、第2ガス流路を開口可能に開口動作させる構成としてもよい。
【0012】
エアバッグ装置を上記構成とすれば、インフレーターを、1つのガス発生室から構成することができて、インフレーターを簡便な構成とすることができる。
【0013】
勿論、インフレーターを、1つのガス発生室でなく、区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室を備える構成とし、
第1ガス供給部を、第1ガス発生室に配設させ、第2ガス供給部を、第2ガス発生室に配設させて、
第1ガス供給部及び第2ガス供給部を、それぞれ、独立して作動可能な構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の第2番目のエアバッグ装置として、
折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
インフレーターが、
区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室と、
第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、それぞれ配設されて、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部及び第2ガス供給部と、
を、備える構成とされ、
第1ガス発生室及び第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独でエアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させて構成され、
第1ガス供給部及び第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされ、
第1ガス供給部が、作動時、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部の作動時におけるエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定させるように、構成されたものを使用してもよい。
【0015】
本発明の第2番目のエアバッグ装置においても、第1ガス供給部は、作動時、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定されていることから、エアバッグの膨張初期に第1供給部だけを作動させれば、第1ガス供給部から、緩やかに、膨張用ガスが供給されてエアバッグが展開しつつ、膨張することとなる。そのため、上記構成のエアバッグ装置においても、インフレーターの作動初期において、エアバッグ内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグの膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0016】
したがって、本発明の第2番目のエアバッグ装置においても、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0017】
特に、本発明の第2番目のエアバッグ装置では、インフレーターの第1ガス発生室及び第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独でエアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させた構成とされ、第1ガス発生室に配設される第1ガス供給部と、第2ガス発生室に配設される第2ガス供給部と、は、それぞれ、独立して作動可能とされていることから、乗員の体格や着座位置等に応じて、第1ガス供給部の作動と第2ガス供給部の作動とを調整することにより、インフレーターからの膨張用ガスの供給量を変更することができて、膨張を完了させたエアバッグにより、乗員を的確に保護することができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第2番目のエアバッグ装置において、制御装置を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続させて、衝突予測センサからの信号を入力した際に、第1ガス供給部のみを作動させ、衝突予測センサからの信号を入力させない状態で衝突検知センサからの信号を入力した際に、第2ガス供給部のみを作動させるように、構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜3に、本発明の第1実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置M1を示す。
【0020】
なお、実施形態における前後・上下・左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図2の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である左右を左右方向として、前後・上下・左右方向を示すものである。
【0021】
エアバッグ装置M1は、図2及び3に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置M1とステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0022】
ステアリングホイール本体1は、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0023】
エアバッグ装置M1は、図2,3に示すように、折り畳まれたエアバッグ24と、エアバッグ24内に配置される補助バッグ26に膨張用ガスを供給するマイクロガスジェネレータ10と、エアバッグ24のバッグ本体25に膨張用ガスを供給するインフレーター29と、エアバッグ24とインフレーター29とマイクロガスジェネレータ10とを収納して保持するケースとしてのバッグホルダ6と、エアバッグカバーとしてのパッド16と、を備えて構成されている。マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29との作動は、制御装置59により制御される。
【0024】
制御装置59は、図11に示すように、車両の被衝突物との衝突を予測可能なミリ波レーダ等からなる衝突予測センサ60と、車両の実際の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる衝突検知センサ61等と、に電気的に接続されて、これらのセンサ60,61からの電気信号を入力させて、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29とを作動させる構成である。
【0025】
バッグホルダ6は、図2,3に示すように、溶接やかしめ等を利用して数枚の板金を結合させて形成され、略長方形板状の底壁部7と、底壁部7の外周縁から上方に延びて上端側を開口させた筒状の側壁部8と、を備えて構成されている。底壁部7には、図4に示すように、インフレーター29のディフューザー56に形成されるボルト56cを挿通可能な取付孔7aが、形成されている。また、底壁部7の所定箇所には、補助バッグ26内に膨張用ガスを供給可能なように、マイクロガスジェネレータ10が固定されている。なお、バッグホルダ6は、側壁部8の図示しない部位で、パッド16の側壁部20を、リベット等を利用して、保持している。また、バッグホルダ6の側壁部8の四隅付近には、図1に示すように、外方へ突出する連結片部9が、突設されている。これらの連結片部9には、ボルト13を利用して、下面側に、ホーンスイッチ11が取り付けられている。
【0026】
各ホーンスイッチ11は、左右のそれぞれの前後一対が、相互に、下端側で、前後方向に延びる連結板14で保持されている。各連結板14は、それぞれ、前後端の下面側を、ステアリングホイール本体1における左右の片側ずつでの前後二つのスポーク部Sの部位の芯金2で、支持されている。また、各連結板14は、それぞれ、前後方向の中央部位で、スポーク部Sの部位の芯金2間を連結するステアリングホイール本体1の図示しない取付座に取り付けられ、この取付座への取り付けにより、バッグホルダ6に保持されたインフレーター29、エアバッグ24、及び、パッド16が、ステアリングホイール本体1に固定されることとなる。なお、各ホーンスイッチ11は、各連結片部9の上面側にパッド16の押圧リブ21を当接させており、各ホーンスイッチ11のコイルばね12の付勢力に抗して、パッド16を押し下げれば、所定の接点相互が接触して、ホーンを作動させることとなる。
【0027】
エアバッグカバーとしてのパッド16は、オレフィン系・スチレン系等の熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図2,3に示すように、ボス部Bの上部側においてバッグホルダ6の開口6aを覆うように配置される天井壁部17と、天井壁部17の外周縁から下方に延びる略四角筒形状の側壁部20と、側壁部20の外周側で天井壁部17から下方に突出する押圧リブ21と、を備えて構成されている。天井壁部17における側壁部20の内側部位は、折り畳まれたエアバッグ24を覆う部位として構成され、その部位には、エアバッグ24の膨張時に開く複数の扉部19が、周囲に破断予定部18を設けて、配設されている。扉部19は、図1に示すように、前後方向に沿って2枚並設されており、実施形態の場合、内部に膨張用ガスを流入させた補助バッグ26に押圧されて、周囲の略H字形状の破断予定部18を破断させて、前後に開く構成とされている。側壁部20は、バッグホルダ6の側壁部8にリベット止めされている。押圧リブ21は、略円筒状として、バッグホルダ6の各連結片部9の上面側に当接されるように、配設されている。
【0028】
エアバッグ24は、図9〜11に示すように、膨張完了時にステアリングホイールW全体の上面側を覆うように配置されるバッグ本体25と、バッグ本体25内に配置される補助バッグ26と、を備える構成とされている。補助バッグ26は、バッグ本体25とは別体として、バッグ本体25内に配置されるもので、バッグホルダ6に固定されるマイクロガスジェネレータ10から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な袋状とされて、膨張時に、バッグホルダ6内に充満されて、扉部19を押し開き可能とするように、構成されている。バッグ本体25は、インフレーター29から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な袋状とされ、膨張完了時の形状を、図11に示すように、ステアリングホイールWの上面側全体を覆い可能な略円板状とされている。
【0029】
マイクロガスジェネレータ10は、制御装置59と電気的に接続されるもので、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、制御装置59からの作動信号を受けて、補助バッグ26内に膨張用ガスを流出させる構成とされている。
【0030】
インフレーター29は、図4に示すように、シリンダタイプとされるもので、略円柱状のインフレーター本体30と、インフレーター本体30の外周側に配置される略円筒状のディフューザー56と、から構成されている。
【0031】
インフレーター本体30は、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスG0を充填させたガス発生室31と、それぞれバッグ本体25内に膨張用ガスG1,G2を供給可能とされる第1ガス供給部36及び第2ガス供給部48の2つのガス供給部と、を備える構成とされている。第1ガス供給部36及び第2ガス供給部48は、ガス発生室31の軸方向の両端側に、配設されている。
【0032】
ガス発生室31は、図5に示すように、略円筒形の周壁部32と、周壁部32の軸方向側の両端を塞ぐように配置される略円形の区画壁部33,34と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガスG0として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。また、ガス発生室31の区画壁部33,34には、それぞれ、第1ガス供給部36,第2ガス供給部48に連通可能に貫通される開口33a,34aが、形成されている。第2ガス供給部48側に配設される開口34aは、閉塞部材としてのシール部材35により、ガス発生室31の内側から、閉塞されている。そして、第1実施形態の場合、膨張用ガスの供給量を多くできるように、第2ガス供給部48に連通される開口34aは、第1ガス供給部36に連通される開口33aよりも開口面積を大きくして、構成されている。
【0033】
第1ガス供給部36は、ガス発生室31に連通される第1ガス流路37と、第1ガス流路37を開閉可能に構成される電磁弁41と、から構成されている。第1ガス流路37は、ガス発生室31の周壁部32から延びるように周壁部32と一体的に構成される円筒形の周壁部38と、周壁部38の先端側を部分的に開口させるように開口部39aを備えた端側壁部39と、から構成されている。端側壁部39の開口部39aは、インフレーター本体30の軸方向側において、区画壁部33の開口33aと一致する位置に、形成されている。
【0034】
電磁弁41は、図5,6に示すように、第1ガス流路37内に配置されるもので、ソレノイド42と、先端側に弁本体44を備えたプランジャ43と、弁本体44とソレノイド42との間に配置されて弁本体44を閉じ方向側に付勢するコイルばね45と、を備える構成とされている。プランジャ43は、先端側に、弁本体44を備える構成とされ、弁本体44には、インフレーター本体30の軸方向に沿って貫通して形成される貫通孔44aが、形成されている。弁本体44は、ソレノイド42の非通電時には、図6に示すように、コイルばね45により閉じ方向側に付勢されて、区画壁部33の開口33aを閉塞し、ソレノイド42の通電時に、図7に示すごとく、貫通孔44aを開口33a及び開口部39aに連通させるように、ソレノイド42側に移動して、開弁されることとなる。ソレノイド42は、制御装置59と電気的に接続されており、第2ガス供給部48の後述するスクイブ52の作動に先行して作動可能に設定されている。第1実施形態の場合、具体的には、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、ソレノイド42が、制御装置59からの作動信号を受けて、通電され、弁本体44を開弁させることとなる。そして、弁本体44が開弁されれば、ガス発生室31内の加圧ガスG0が、貫通孔44a及び開口33aに連通された開口部39aから、膨張用ガスG1として、バッグ本体25内に供給されることとなる。
【0035】
第2ガス供給部48は、図5に示すように、第2ガス流路49と、第2ガス流路49内に配置されるスクイブ52と、から構成されている。第2ガス流路49は、ガス発生室31の周壁部32から延びるように周壁部32と一体的に構成される円筒形の周壁部50と、周壁部50の先端側を閉塞する端側壁部51と、から構成され、周壁部50には、軸回り方向に沿って複数の開口50aが、形成されている。各開口50aは、膨張用ガスを透過するシール部材55により、内側から塞がれている。
【0036】
スクイブ52は、端側壁部51の略中央付近に固定されており、図示しないリード線に結線されて、制御装置59と電気的に接続されている。そして、スクイブ52は、制御装置59からの作動信号を受けて点火され、ガスを発生可能に、構成されている。また、第1実施形態の場合、周壁部32の内周側に、金網からなる円筒状のフィルタ54が配設され、フィルタ54の内周側には、スクイブ52の点火時に燃焼して、膨張用ガスを発生可能なガス発生剤53が収容されている。なお、フィルタ54は、ガス発生剤53が燃焼して発生した膨張用ガスのスラグ捕集と冷却のために、配置されている。第1実施形態の場合、スクイブ52は、制御装置59が、衝突検知センサ61からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、制御装置59からの作動信号を受けて、点火されることとなる。そして、スクイブ52が点火されて、ガス発生剤53が燃焼してガスが発生し、第2ガス流路49内の内圧が上昇すると、この内圧の上昇に伴って、図8に示すように、ガス発生室31の区画壁部34に形成されている開口34aを塞いでいる閉塞部材としてのシール部材35が破れて開口し、開口34aから、ガス発生室31内の加圧ガスG0が第2ガス流路49内に流入し、加圧ガスG0と、第2ガス流路49内においてガス発生剤53の燃焼により発生したガスと、が、周壁部50に形成される開口50aから、膨張用ガスG2として、バッグ本体25内に供給されることとなる。
【0037】
そして、第1実施形態のインフレーター本体30では、第1ガス供給部36は、第2ガス供給部48の作動に先行して、独立して作動する際のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量を、第2ガス供給部48のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さくして、設定されている。具体的には、第2ガス供給部48は、ガス発生室31に連通する開口34aを、ガス発生室31から第1ガス供給部36に連通される開口33aよりも、開口面積を大きくして構成して、ガス発生室31内の加圧ガスG0の供給量を、第1ガス供給部36より多量とされるとともに、さらに、加圧ガスG0に、第2ガス流路49内においてガス発生剤53の燃焼により発生したガスを加えて、膨張用ガスG2として、供給する構成としている。そのため、第1実施形態では、第2ガス供給部48は、バッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量を、第1ガス供給部36のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量よりも、大きく設定されることとなり、その結果、第1ガス供給部の単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量は、第2ガス供給部48のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さくして、設定されることとなる。
【0038】
ディフューザー56は、図4に示すように、インフレーター本体30を覆い可能な略円筒状の板金製の保持筒部56aと、保持筒部56aから突出する複数(実施形態では2本)のボルト56cと、を備えて構成されている。保持筒部56aは、インフレーター本体30から供給される膨張用ガスG1,G2を、バッグ本体25内に流出させる複数のガス流出口56bを、車両搭載状態の上面側に、開口させて構成されている。そして、インフレーター29は、ディフューザー56のボルト56cを、バッグ本体25を介してバッグホルダ6の底壁部7から突出させ、ナット57止めすることにより、バッグホルダ6に取り付けられている。
【0039】
第1実施形態のエアバッグ装置M1は、以下のようにして車両に搭載することができる。まず、インフレーター29を収納させた状態で折り畳まれたエアバッグ24とマイクロガスジェネレータ10とをバッグホルダ6に取り付け、その後、パッド16をバッグホルダ6に被せ、パッド16の側壁部20を、バッグホルダ6の側壁部8に、リベット止めする。そして、バッグホルダ6の左右両側における前後の連結片部9,9に、ボルト13を利用して、連結板14とともにホーンスイッチ11を取り付ければ、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。そして、この組み立てたエアバッグ装置M1を、車両に取り付け済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に対し、連結させれば、ステアリングホイール本体1に取り付けることができて、ステアリングホイールWの組み立てが完了することとなる。なお、エアバッグ装置M1の車両への搭載時には、制御装置59から延びる作動信号入力用のリード線を、インフレーター29のソレノイド42及びスクイブ52と、マイクロガスジェネレータ10と、に、接続させておく。
【0040】
エアバッグ装置M1の車両への搭載後、走行中の車両が衝突すれば、制御装置59が、インフレーター29及びマイクロガスジェネレータ10に作動信号を出力することとなって、エアバッグ24が膨張し、パッド16の扉部19,19を前後両側に開かせて、バッグ本体25が、ステアリングホイールWの上面側を覆うように、膨張を完了することとなる(図11参照)。
【0041】
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ24のバッグ本体25に膨張用ガスを供給するインフレーター29の第1ガス供給部36を開口させる電磁弁41のソレノイド42が、第2ガス供給部48を開口させるスクイブ52の作動に先行して作動可能に設定され、さらに、先行して作動する場合、第1ガス供給部36のエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量は、第2ガス供給部48のエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第1ガス供給部36から先行して膨張用ガスG1を供給する場合、第1ガス供給部36から、緩やかに、膨張用ガスG1が供給されてバッグ本体25が展開し、その後、第1ガス供給部36よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部48から膨張用ガスG2を供給されてバッグ本体25が膨張することから、エアバッグ24が迅速に膨張することとなる。そのため、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター29の作動初期において、エアバッグ24内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグ24の膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0042】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ24における膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0043】
特に、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、制御装置59を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサ60と、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサ61と、に電気的に接続させて、衝突予測センサ60からの信号を入力した際に、インフレーター29の第1ガス供給部36が作動され、衝突検知センサ61からの信号を入力した際に、第2ガス供給部48が作動されるような構成である。そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29の第1ガス供給部36を構成する電磁弁41のソレノイド42に作動信号が入力されることとなる。そして、マイクロガスジェネレータ10から吐出される膨張用ガスを流入させて補助バッグ26が膨張して、図9に示すように、パッド16の扉部19,19を押し開き、パッド16が開いて形成されたバッグホルダ6の開口6aから、バッグ本体25が、図10に示すように、第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1を内部に流入させつつ、展開することとなる。そして、制御装置59が、衝突検知センサ61からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、第2ガス供給部48のスクイブ52に作動信号が入力されて、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスG2が、バッグ本体25内に流入し、バッグ本体25が、図11に示すごとく、膨張を完了させることとなる。
【0044】
すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部36から供給された膨張用ガスG1が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、その後、車両の衝突検知時に、バッグ本体25が、第1ガス供給部36よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスG2を内部に流入させて、大きく膨張することとなる。換言すれば、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、衝突検知前から第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1をエアバッグ24の内部に流入させる構成であることから、図12のグラフ図に示すごとく、衝突回避不能検知時から衝突検知まで、第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1によりエアバッグ24の内圧が緩やかに上昇することとなって、従来のインフレーターにより、衝突検知後に膨張用ガスを流入させてエアバッグを展開膨張させる場合と比較して、衝突検知後からエアバッグ24の膨張完了時までに急激に内圧が上昇することを抑えることができる。そのため、衝突検知後からエアバッグ24の膨張完了前までの間に、乗員としての運転者を保護する場合、運転者に必要以上の押圧力を与えず、逆に、既にある程度の内圧を維持していることから、運転者を、クッション性を良好として、円滑に保護することができる。勿論、第1実施形態のエアバッグ装置M1においても、エアバッグ24を、衝突検知後に展開膨張させる場合と同等に、衝突検知後に膨張を完了させ、かつ、その膨張状態を維持することができる。
【0045】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1において、衝突予測センサ60による車両の衝突前における衝突回避不能を検知できず、制御装置59が、衝突検知センサ61により車両の衝突を検知した場合には、第1ガス供給部36のソレノイド42と第2ガス供給部48を、略同時に、作動させる構成としてもよく、この場合には、車両の衝突前における衝突回避不能を検知できなかった場合にも、車両の衝突検知後に、バッグ本体25を迅速に膨張させることができる。
【0046】
なお、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第2ガス供給部48の第2ガス流路49内に、スクイブ52の点火時に燃焼して膨張用ガスを発生可能なガス発生剤53を収容させている構成であることから、スクイブ52から発生するガスに加えて、ガス発生剤53が燃焼してガスが発生することとなり、第2ガス流路49の内圧を迅速に上昇させることができて、シール部材35を迅速に破ることができる。また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、ガス発生剤53が燃焼して発生する膨張用ガスにより、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスの供給物質量が増大されることとなって、バッグ本体25を一層迅速に膨張させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、第2ガス流路49内にガス発生剤53を収容させず、スクイブから発生するガスのみにより、シール部材を破断させる構成としてもよい。
【0047】
なお、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第2ガス流路49内に発生させたガスの内圧により、シール部材35を破る構成であるが、例えば、シール部材を、別途配設させたアクチュエータにより駆動可能なピンを利用して破るような構成としてもよい。
【0048】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター本体30が、1つのガス発生室31と、ガス発生室31に連通可能とされる第1ガス供給部36と第2ガス供給部48との2つのガス供給部と、を備える構成であることから、インフレーターを簡便な構成とすることができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態のエアバッグ装置M2について説明する。第2実施形態のエアバッグ装置M2は、図13,14に示すごとく、第1実施形態のエアバッグ装置M1と同様に、ステアリングホイールWに搭載されるもので、インフレーター64以外は、前述のエアバッグ装置M1と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター64との作動は、制御装置94により制御される。
【0050】
制御装置94は、図13に示すように、座席SEに着座した乗員(運転者)MDの体格や、ステアリングホイールWと乗員MDとの距離を検知可能な乗員検知センサとしての位置検知センサ95、乗員MDの重量を検知可能な乗員検知センサとしての重量センサ96、車両の被衝突物との衝突を予測可能なミリ波レーダ等からなる衝突予測センサ97、及び、車両の実際の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる衝突検知センサ98等と、電気的に接続され、これらのセンサ95,96,97,98からの電気信号を入力させて、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター64とを作動させる構成である。
【0051】
インフレーター64は、前述のエアバッグ装置M1におけるインフレーター29と同様に、シリンダタイプとされるもので、略円柱状のインフレーター本体65と、インフレーター本体65の外周側に配置される略円筒状のディフューザー56と、から構成されている。ディフューザー56は、前述のエアバッグ装置M1のインフレーター29に使用されるディフューザー56と同様の構成であり、同一の図符号を付して説明を省略する。
【0052】
インフレーター本体65は、図15に示すように、軸方向に沿って配置される区画壁68により区画されるとともに、それぞれ、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスG3,G4を充填させた第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67と、第1ガス発生室66,第2ガス発生室67の先端側に配設されるガス流出路部76と、ガス流出路部76において各第1ガス発生室66,第2ガス発生室67に対応した位置に配置される第1ガス供給部82及び第2ガス供給部91と、を備えている。
【0053】
第1ガス発生室66は、図15に示すように、略円筒形の周壁部69と、周壁部69の領域を2分割するように周壁部69の軸方向に沿って配設される区画壁68と、周壁部69の両端側を塞ぐように配置される略円形の蓋部70,71と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガス(ガス素材)G3として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。第2ガス発生室67も、第1ガス発生室66と同様に、周壁部69と、区画壁68と、蓋部70,71と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガス(ガス素材)G4として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。実施形態の場合、第1ガス発生室66に充填される加圧ガスG3と、第2ガス発生室67に充填される加圧ガスG4と、は、それぞれ、単独でエアバッグ24の膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスG5,G6を発生可能な量に、設定されており、具体的には、第1ガス発生室66と第2ガス発生室67とには、それぞれ、2molずつの加圧ガス(ガス素材)G3,G4が、充填されている。
【0054】
先端側となるガス流出路部76側に配置されている蓋部70には、第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67を、それぞれ、ガス流出路部76側に連通可能に略円形に開口した開口70a,70bが、形成されている。実施形態の場合、開口70a,70bは、開口面積を略同一として、構成されている。また、各開口70a,70bの周縁には、破裂板73,74が、固着され、各開口70a,70bは、それぞれ、破裂板73,74により、閉塞されている。第1ガス発生室66側の開口70aを塞ぐ破裂板73は、第1ガス供給部82の後述するニードル83が第1ガス発生室66内に進入するように移動してきた際に、破れるように構成され、それ以外には、第1ガス発生室66内に貯留させた加圧ガスG3を流出させないように、開口70aを閉塞している。第2ガス発生室67側の開口70bを塞ぐ破裂板74は、第2ガス供給部91の後述するスクイブ92の作動時に破れるように構成され、それ以外には、第2ガス発生室67内に貯留させた加圧ガスG4を流出させないように、開口70bを閉塞している。
【0055】
ガス流出路部76は、蓋部70を覆うように構成されるもので、周壁部69から連続的に延びるように構成される周壁77と、周壁77を塞ぐとともに第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを保持する保持部78と、から構成され、保持部78において、蓋部70に形成される各開口70a,70bに対向した位置に、それぞれ、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを配設させた構成とされている。実施形態のインフレーター64では、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とは、それぞれ、制御装置94からの作動信号を受けて、独立して作動可能に、構成されている。また、周壁77には、軸回り方向に沿って、多数のガス吐出穴77aが形成されており、第1ガス供給部82,第2ガス供給部91の作動時に、開口70a,70bから流出した膨張用ガスG5,G6は、周壁77と保持部78とに囲まれた流出路79を経て、ガス吐出穴77aから、エアバッグ24内に、吐出されることとなる(図17〜19参照)。
【0056】
第1ガス供給部82は、開口70aを塞ぐ破裂板73と対向するように配置されるニードル83と、ニードル83を駆動させる駆動機構84と、を備えて構成されている。駆動機構84は、コイル86、固定鉄心87、及び、可動鉄心88を備えて、コイル86への通電時に、可動鉄心88を、インフレーター64の元部側に位置した固定鉄心87に吸着させるように移動させる電磁ソレノイド85から、構成されている。電磁ソレノイド85は、図示しないリード線により、制御装置94と電気的に接続され、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされるもので、第2ガス供給部91の後述するスクイブ92の作動に先行して、作動可能に設定されている。実施形態の場合、具体的には、制御装置94が、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、電磁ソレノイド85は、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされている。なお、符号89の部材は、電磁ソレノイド85への通電停止時に、ニードル83とともに可動鉄心88を作動前の位置に復帰させるためのばねである。
【0057】
ニードル83は、可動鉄心88に保持されて、開口70aの開口面に直交する方向に沿って移動する構成であり、電磁ソレノイド85の作動時、図16に示すように、破裂板73に当たり、さらに破裂板73を破って第1ガス発生室66内に進入するように、構成されている。
【0058】
第2ガス供給部91は、開口70bを塞ぐ破裂板74と対向するように配置されるスクイブ92から、構成されている。スクイブ92は、図示しないリード線により、制御装置94と電気的に接続されて、制御装置94からの作動信号を受けて作動するもので、作動時に少量の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスの圧力により、破裂板74を破裂させる構成である。具体的には、スクイブ92は、制御装置94が衝突検知センサ98からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされている。
【0059】
第2実施形態のインフレーター64では、第1ガス発生室66に形成される開口70aと、第2ガス発生室67に形成される開口70bと、は、開口面積を略同一とするように構成されているが、第1ガス供給部82では、電磁ソレノイド85の作動時に、ニードル83が、図16のBに示すように、開口70a内に進入するようにして破裂板73を破るとともに、破裂板73を破った後、図16のCに示すように、ばね89の復元力を利用して、作動前の位置に復帰される構成である。なお、図16のCは、ばね89の復元途中の状態を示す図であり、ばね89が完全に復元した際には、ニードル83は、図16のAに示す位置に、復帰されることとなる。そのため、第1ガス発生室66に形成される開口70aでは、スクイブ92により瞬時に破裂板74を破って開口される開口70bと比較して、作動信号を受けてからニードル83により破裂板73を破るのに時間がかかるとともに、破裂板73が破れて形成された開口70aの実質的な開口面積が、膨張用ガスG5の吐出開始初期において、ニードル83の断面積分、開口70bよりも小さく設定されることとなる(図16のC参照)。そのため、第1ガス供給部82は、エアバッグ24の膨張初期において、バッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG5の供給物質量を、第2ガス供給部91のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG6の供給物質量よりも、小さく設定されることとなる。
【0060】
第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24に膨張用ガスを供給するインフレーター64の第1ガス供給部82は、作動時、エアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG5の供給物質量を、第2ガス供給部91の作動時におけるエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG6の供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24の膨張初期に第1ガス供給部82だけを作動させれば、第1ガス供給部82から、緩やかに、膨張用ガスG5が供給されてバッグ本体25が展開しつつ、膨張することとなる。そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、インフレーター64の作動初期において、エアバッグ24内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグ24の膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0061】
したがって、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24における膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0062】
特に、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、インフレーター本体65が、区画壁68により区画された第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67を備える構成とされ、第1ガス発生室66に配設される第1ガス供給部82と、第2ガス発生室67に配設される第2ガス供給部91と、は、それぞれ、独立して作動するように構成されている。そして、第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67は、それぞれ、内部に、単独でバッグ本体25(エアバッグ24)の膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスG5,G6を発生可能なガス素材としての加圧ガスG3,G4を充填させた構成とされている。
【0063】
そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、乗員MD1,MD2の体格や着座位置等に応じて、インフレーター64から吐出される膨張用ガスG5,G6の供給量を変更することができる。具体的には、第2実施形態では、インフレーター64は、図20のグラフ図に示すごとく、I〜IVの4つのモードにより、インフレーター本体65のガス吐出穴77aから膨張用ガスを吐出させることができる。
【0064】
モードIは、図17に示すように、第1ガス供給部82のみを作動させるモードである。このモードIは、例えば、制御装置94が、位置検知センサ95や重量センサ96からの信号を入力させて、図13の一点鎖線に示すように、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1(MD)を検知した状態で、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した場合に、好適なモードである。モードIでインフレーター64を作動させれば、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部82の電磁ソレノイド85が作動して開口された開口70aから流出した膨張用ガスG5が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができることから、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1を、必要以上に押圧することを抑えて、膨張を完了させたエアバッグ24により、小柄乗員MD1をソフトに保護することができる。
【0065】
モードIIは、図18に示すように、第2ガス供給部91のみを作動させるモードである。このモードIIは、例えば、制御装置94が、衝突予測センサ97による車両の衝突前の衝突回避不能を検知できず、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1を検知した状態で、衝突検知センサ98により車両の衝突を検知した場合に、好適なモードである。モードIIでインフレーター64を作動させれば、第2ガス供給部91が作動されて、スクイブ92の作動により迅速に開口された開口70bから流出した膨張用ガスG6が、迅速にバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を膨張させることから、ステアリングホイールWに接近して小柄乗員MD1が着座していても、迅速に膨張を完了させたエアバッグ24により、小柄乗員MD1を的確に保護することができる。
【0066】
モードIIIは、図19に示すように、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを作動させるモードであり、具体的には、第1ガス供給部82の作動後に第2ガス供給部91を作動させるモードである。このモードIIIは、例えば、制御装置94が、位置検知センサ95や重量センサ96からの信号を入力させて、図13の二点鎖線に示すように、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2(MD)を検知した状態で、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した場合に、好適なモードである。モードIIIでインフレーター64を作動させれば、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部82の電磁ソレノイド85が作動して開口された開口70aから流出した膨張用ガスG5が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、かつ、バッグ本体25に余剰の膨張用ガスを排気する図示しないベントホールが形成されていても、第2ガス供給部91から供給された膨張用ガスG6により、膨張完了時のバッグ本体25の内圧を長時間保持することができる。そのため、大柄乗員MD2を、必要以上に押圧することを抑えることができ、かつ、エアバッグ24の膨張完了から所定時間経過後に、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2が、前進移動してきても、内圧を保持したエアバッグ24により、底付きを抑えて、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。
【0067】
モードIVは、図19に示すように、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを作動させるモードであり、具体的には、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを略同時に作動させるモードである。このモードIVは、例えば、制御装置94が、衝突予測センサ97による車両の衝突前の衝突回避不能を検知できず、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2を検知した状態で、衝突検知センサ98により車両の衝突を検知した場合に、好適なモードである。モードIVでインフレーター64を作動させれば、第2ガス供給部91が作動されてスクイブ92の作動により迅速に開口された開口70bから流出した膨張用ガスG6が、迅速にバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を膨張させるとともに、第1ガス供給部82から供給される膨張用ガスG5も、バッグ本体25内に流入することから、迅速に膨張を完了させたエアバッグ24により、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。また、エアバッグ24の膨張完了から所定時間経過後に、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2が、前進移動してきても、内圧を保持したエアバッグ24により、底付きを抑えて、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。
【0068】
そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、乗員MD1,MD2の体格や着座位置に応じて、インフレーター64から吐出される膨張用ガスの供給量を変更することができ、膨張を完了させたエアバッグ24により、乗員MD1,MD2を的確に保護することができる。
【0069】
なお、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、インフレーター本体65の各第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67に、それぞれ、単独でエアバッグ24(バッグ本体25)を膨張完了可能な2molずつの加圧ガスG3,G4を充填させている構成であるが、勿論、インフレーターとして、各第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、エアバッグ24の膨張完了に必要な物質量の半分である1molずつの加圧ガスを充填させ、エアバッグ24の展開膨張時に、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを両方作動させる構成のものを使用してもよい。このような構成のインフレーターは、第1実施形態のインフレーター29に近似した作動態様となる。
【0070】
なお、実施形態では、ステアリングホイール用のエアバッグ装置を例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、助手席用、頭部保護用、膝保護用、側突用、歩行者保護用等のエアバッグ装置に、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの部分平面図である。
【図2】第1実施形態のエアバッグ装置の概略断面図であり、図1のII−II部位に対応する図である。
【図3】第1実施形態のエアバッグ装置の概略断面図であり、図1のIII−III部位に対応する図である。
【図4】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの概略側面図である。
【図5】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーター本体の概略断面図である。
【図6】図5のインフレーター本体における第1ガス供給部付近を示す概略拡大断面図である。
【図7】図5のインフレーター本体における第1ガス供給部の電磁弁が作動した状態を示す概略拡大断面図である。
【図8】図5のインフレーター本体における第2ガス供給部付近を示すとともに、スクイブの点火時を示す概略拡大断面図である。
【図9】第1実施形態のエアバッグ装置の使用状態を示す図であって、エアバッグの膨張初期において、補助バッグが膨張してエアバッグカバーの扉部を押し開いた状態を示す概略断面図である。
【図10】第1実施形態のエアバッグ装置の使用状態を示す図であって、エアバッグの膨張初期において、補助バッグの膨張後に、バッグ本体が展開する状態を示す概略断面図である。
【図11】第1実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略側面図である。
【図12】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの膨張用ガス供給時における時間と内圧とを示すグラフ図である。
【図13】本発明の第2実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置を搭載した車両のステアリングホイール付近を示す概略図である。
【図14】第2実施形態のエアバッグ装置の概略断面図である。
【図15】第2実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーター本体の概略断面図である。
【図16】図15のインフレーター本体における第1ガス供給部の作動を順に説明する概略部分拡大断面図である。
【図17】図15のインフレーター本体において、第1ガス供給部のみを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図18】図15のインフレーター本体において、第2ガス供給部のみを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図19】図15のインフレーター本体において、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図20】第2実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの膨張用ガス供給時における時間と内圧とを示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0072】
24…エアバッグ、
25…バッグ本体、
29…インフレーター、
30…インフレーター本体、
31…ガス発生室、
36…第1ガス供給部、
37…第1ガス流路、
41…電磁弁、
48…第2ガス供給部、
49…第2ガス流路、
52…スクイブ、
59…制御装置、
64…インフレーター、
65…インフレーター本体、
66…第1ガス発生室、
67…第2ガス発生室、
82…第1ガス供給部、
91…第2ガス供給部、
94…制御装置、
G0,G3,G4…加圧ガス、
G1,G2,G5,G6…膨張用ガス、
M1,M2…ステアリングホイール用エアバッグ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置に使用されるインフレーターとしては、加圧ガスを内蔵させたガス発生室を備える構成とされて、スクイブの点火時に、ガス発生室を閉塞するシール部材を破って、先端側に配設される1つのガス噴出孔から膨張用ガスを噴出させる構成のハイブリッドタイプのものがあった。このインフレーターではガス発生室からの膨張用ガスの噴出後に、スクイブの周囲に配置されるガス発生剤を燃焼させて膨張用ガスを発生させ、エアバッグの内圧を長時間維持させる構成であった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−81050公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のインフレーターを使用したエアバッグでは、エアバッグの内圧を長時間維持可能であるものの、インフレーターが、作動初期に、1つのガス噴出孔から膨張用ガスを急激に噴出させる構成であることから、エアバッグの膨張初期の内圧が高くなり、保護する乗員等にダメージを与える虞れがあった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1番目のエアバッグ装置は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
インフレーターが、それぞれ、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部と第2ガス供給部とを備える構成とされ、
第1ガス供給部が、第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の第1番目のエアバッグ装置では、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターの第1ガス供給部が、第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定され、さらに、先行して作動する場合、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、本発明の第1番目のエアバッグ装置では、第1ガス供給部から先行して膨張用ガスを供給する場合、第1ガス供給部から、緩やかに、膨張用ガスが供給されてエアバッグが展開し、その後、第1ガス供給部よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部から膨張用ガスを供給されてエアバッグが膨張することから、エアバッグが迅速に膨張することとなる。そのため、本発明のエアバッグ装置では、インフレーターの作動初期において、エアバッグ内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグの膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0007】
したがって、本発明の第1番目のエアバッグ装置では、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0008】
また、本発明の第1番目のエアバッグ装置において、制御装置を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続させて、衝突予測センサからの信号を入力した際に、第1ガス供給部が作動され、衝突検知センサからの信号を入力した際に、第2ガス供給部が作動されるような構成としてもよい。
【0009】
上記構成のエアバッグ装置では、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部から供給された膨張用ガスが、緩やかにエアバッグ内に流入して、エアバッグを折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、その後、車両の衝突検知時に、エアバッグが、第1ガス供給部よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部から供給される膨張用ガスを内部に流入させて、大きく膨張することとなる。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、衝突検知前から第1ガス供給部から供給される膨張用ガスを内部に流入させる構成であることから、衝突検知後に膨張用ガスを流入させてエアバッグを展開膨張させる場合と比較して、衝突検知後からエアバッグの膨張完了時までに急激に内圧が上昇することを抑えることができて、衝突検知後からエアバッグの膨張完了前までの間に、乗員等を保護する場合、乗員等に必要以上の押圧力を与えず、逆に、既にある程度の内圧を維持していることから、乗員等を、クッション性を良好として、円滑に保護することができる。勿論、上記構成のエアバッグ装置においても、エアバッグを、衝突検知後に展開膨張させる場合と同等に、衝突検知後に膨張を完了させ、かつ、その膨張状態を維持することができる。
【0010】
また、本発明のエアバッグ装置において、第1ガス供給部及び第2ガス供給部を、略同時に、作動可能な構成とすれば、衝突予測センサによる車両の衝突前における衝突回避不能を検知できなかった場合にも、車両の衝突検知後に、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを略同時に作動させれば、エアバッグを迅速に膨張させることができる。
【0011】
さらに、上記構成のエアバッグ装置において、具体的には、インフレーターを、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスを充填させたガス発生室を備える構成とし、
第1ガス供給部を、ガス発生室に連通される第1ガス流路と、第1ガス流路を開閉可能に構成される弁機構と、から構成し、
第2ガス供給部を、ガス発生室に連結されるとともに閉塞部材によりガス発生室と区画される第2ガス流路と、第2ガス流路内に配置されて点火時にガスを発生可能とされるスクイブと、を備える構成とするとともに、スクイブを点火させて第2ガス流路内の内圧を上昇させ、閉塞部材を、第2ガス流路を開口可能に開口動作させる構成としてもよい。
【0012】
エアバッグ装置を上記構成とすれば、インフレーターを、1つのガス発生室から構成することができて、インフレーターを簡便な構成とすることができる。
【0013】
勿論、インフレーターを、1つのガス発生室でなく、区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室を備える構成とし、
第1ガス供給部を、第1ガス発生室に配設させ、第2ガス供給部を、第2ガス発生室に配設させて、
第1ガス供給部及び第2ガス供給部を、それぞれ、独立して作動可能な構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の第2番目のエアバッグ装置として、
折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
インフレーターが、
区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室と、
第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、それぞれ配設されて、エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部及び第2ガス供給部と、
を、備える構成とされ、
第1ガス発生室及び第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独でエアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させて構成され、
第1ガス供給部及び第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされ、
第1ガス供給部が、作動時、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部の作動時におけるエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定させるように、構成されたものを使用してもよい。
【0015】
本発明の第2番目のエアバッグ装置においても、第1ガス供給部は、作動時、エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、第2ガス供給部のエアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定されていることから、エアバッグの膨張初期に第1供給部だけを作動させれば、第1ガス供給部から、緩やかに、膨張用ガスが供給されてエアバッグが展開しつつ、膨張することとなる。そのため、上記構成のエアバッグ装置においても、インフレーターの作動初期において、エアバッグ内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグの膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0016】
したがって、本発明の第2番目のエアバッグ装置においても、エアバッグにおける膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0017】
特に、本発明の第2番目のエアバッグ装置では、インフレーターの第1ガス発生室及び第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独でエアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させた構成とされ、第1ガス発生室に配設される第1ガス供給部と、第2ガス発生室に配設される第2ガス供給部と、は、それぞれ、独立して作動可能とされていることから、乗員の体格や着座位置等に応じて、第1ガス供給部の作動と第2ガス供給部の作動とを調整することにより、インフレーターからの膨張用ガスの供給量を変更することができて、膨張を完了させたエアバッグにより、乗員を的確に保護することができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第2番目のエアバッグ装置において、制御装置を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続させて、衝突予測センサからの信号を入力した際に、第1ガス供給部のみを作動させ、衝突予測センサからの信号を入力させない状態で衝突検知センサからの信号を入力した際に、第2ガス供給部のみを作動させるように、構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜3に、本発明の第1実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置M1を示す。
【0020】
なお、実施形態における前後・上下・左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図2の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である左右を左右方向として、前後・上下・左右方向を示すものである。
【0021】
エアバッグ装置M1は、図2及び3に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置M1とステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0022】
ステアリングホイール本体1は、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0023】
エアバッグ装置M1は、図2,3に示すように、折り畳まれたエアバッグ24と、エアバッグ24内に配置される補助バッグ26に膨張用ガスを供給するマイクロガスジェネレータ10と、エアバッグ24のバッグ本体25に膨張用ガスを供給するインフレーター29と、エアバッグ24とインフレーター29とマイクロガスジェネレータ10とを収納して保持するケースとしてのバッグホルダ6と、エアバッグカバーとしてのパッド16と、を備えて構成されている。マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29との作動は、制御装置59により制御される。
【0024】
制御装置59は、図11に示すように、車両の被衝突物との衝突を予測可能なミリ波レーダ等からなる衝突予測センサ60と、車両の実際の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる衝突検知センサ61等と、に電気的に接続されて、これらのセンサ60,61からの電気信号を入力させて、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29とを作動させる構成である。
【0025】
バッグホルダ6は、図2,3に示すように、溶接やかしめ等を利用して数枚の板金を結合させて形成され、略長方形板状の底壁部7と、底壁部7の外周縁から上方に延びて上端側を開口させた筒状の側壁部8と、を備えて構成されている。底壁部7には、図4に示すように、インフレーター29のディフューザー56に形成されるボルト56cを挿通可能な取付孔7aが、形成されている。また、底壁部7の所定箇所には、補助バッグ26内に膨張用ガスを供給可能なように、マイクロガスジェネレータ10が固定されている。なお、バッグホルダ6は、側壁部8の図示しない部位で、パッド16の側壁部20を、リベット等を利用して、保持している。また、バッグホルダ6の側壁部8の四隅付近には、図1に示すように、外方へ突出する連結片部9が、突設されている。これらの連結片部9には、ボルト13を利用して、下面側に、ホーンスイッチ11が取り付けられている。
【0026】
各ホーンスイッチ11は、左右のそれぞれの前後一対が、相互に、下端側で、前後方向に延びる連結板14で保持されている。各連結板14は、それぞれ、前後端の下面側を、ステアリングホイール本体1における左右の片側ずつでの前後二つのスポーク部Sの部位の芯金2で、支持されている。また、各連結板14は、それぞれ、前後方向の中央部位で、スポーク部Sの部位の芯金2間を連結するステアリングホイール本体1の図示しない取付座に取り付けられ、この取付座への取り付けにより、バッグホルダ6に保持されたインフレーター29、エアバッグ24、及び、パッド16が、ステアリングホイール本体1に固定されることとなる。なお、各ホーンスイッチ11は、各連結片部9の上面側にパッド16の押圧リブ21を当接させており、各ホーンスイッチ11のコイルばね12の付勢力に抗して、パッド16を押し下げれば、所定の接点相互が接触して、ホーンを作動させることとなる。
【0027】
エアバッグカバーとしてのパッド16は、オレフィン系・スチレン系等の熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図2,3に示すように、ボス部Bの上部側においてバッグホルダ6の開口6aを覆うように配置される天井壁部17と、天井壁部17の外周縁から下方に延びる略四角筒形状の側壁部20と、側壁部20の外周側で天井壁部17から下方に突出する押圧リブ21と、を備えて構成されている。天井壁部17における側壁部20の内側部位は、折り畳まれたエアバッグ24を覆う部位として構成され、その部位には、エアバッグ24の膨張時に開く複数の扉部19が、周囲に破断予定部18を設けて、配設されている。扉部19は、図1に示すように、前後方向に沿って2枚並設されており、実施形態の場合、内部に膨張用ガスを流入させた補助バッグ26に押圧されて、周囲の略H字形状の破断予定部18を破断させて、前後に開く構成とされている。側壁部20は、バッグホルダ6の側壁部8にリベット止めされている。押圧リブ21は、略円筒状として、バッグホルダ6の各連結片部9の上面側に当接されるように、配設されている。
【0028】
エアバッグ24は、図9〜11に示すように、膨張完了時にステアリングホイールW全体の上面側を覆うように配置されるバッグ本体25と、バッグ本体25内に配置される補助バッグ26と、を備える構成とされている。補助バッグ26は、バッグ本体25とは別体として、バッグ本体25内に配置されるもので、バッグホルダ6に固定されるマイクロガスジェネレータ10から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な袋状とされて、膨張時に、バッグホルダ6内に充満されて、扉部19を押し開き可能とするように、構成されている。バッグ本体25は、インフレーター29から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な袋状とされ、膨張完了時の形状を、図11に示すように、ステアリングホイールWの上面側全体を覆い可能な略円板状とされている。
【0029】
マイクロガスジェネレータ10は、制御装置59と電気的に接続されるもので、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、制御装置59からの作動信号を受けて、補助バッグ26内に膨張用ガスを流出させる構成とされている。
【0030】
インフレーター29は、図4に示すように、シリンダタイプとされるもので、略円柱状のインフレーター本体30と、インフレーター本体30の外周側に配置される略円筒状のディフューザー56と、から構成されている。
【0031】
インフレーター本体30は、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスG0を充填させたガス発生室31と、それぞれバッグ本体25内に膨張用ガスG1,G2を供給可能とされる第1ガス供給部36及び第2ガス供給部48の2つのガス供給部と、を備える構成とされている。第1ガス供給部36及び第2ガス供給部48は、ガス発生室31の軸方向の両端側に、配設されている。
【0032】
ガス発生室31は、図5に示すように、略円筒形の周壁部32と、周壁部32の軸方向側の両端を塞ぐように配置される略円形の区画壁部33,34と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガスG0として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。また、ガス発生室31の区画壁部33,34には、それぞれ、第1ガス供給部36,第2ガス供給部48に連通可能に貫通される開口33a,34aが、形成されている。第2ガス供給部48側に配設される開口34aは、閉塞部材としてのシール部材35により、ガス発生室31の内側から、閉塞されている。そして、第1実施形態の場合、膨張用ガスの供給量を多くできるように、第2ガス供給部48に連通される開口34aは、第1ガス供給部36に連通される開口33aよりも開口面積を大きくして、構成されている。
【0033】
第1ガス供給部36は、ガス発生室31に連通される第1ガス流路37と、第1ガス流路37を開閉可能に構成される電磁弁41と、から構成されている。第1ガス流路37は、ガス発生室31の周壁部32から延びるように周壁部32と一体的に構成される円筒形の周壁部38と、周壁部38の先端側を部分的に開口させるように開口部39aを備えた端側壁部39と、から構成されている。端側壁部39の開口部39aは、インフレーター本体30の軸方向側において、区画壁部33の開口33aと一致する位置に、形成されている。
【0034】
電磁弁41は、図5,6に示すように、第1ガス流路37内に配置されるもので、ソレノイド42と、先端側に弁本体44を備えたプランジャ43と、弁本体44とソレノイド42との間に配置されて弁本体44を閉じ方向側に付勢するコイルばね45と、を備える構成とされている。プランジャ43は、先端側に、弁本体44を備える構成とされ、弁本体44には、インフレーター本体30の軸方向に沿って貫通して形成される貫通孔44aが、形成されている。弁本体44は、ソレノイド42の非通電時には、図6に示すように、コイルばね45により閉じ方向側に付勢されて、区画壁部33の開口33aを閉塞し、ソレノイド42の通電時に、図7に示すごとく、貫通孔44aを開口33a及び開口部39aに連通させるように、ソレノイド42側に移動して、開弁されることとなる。ソレノイド42は、制御装置59と電気的に接続されており、第2ガス供給部48の後述するスクイブ52の作動に先行して作動可能に設定されている。第1実施形態の場合、具体的には、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、ソレノイド42が、制御装置59からの作動信号を受けて、通電され、弁本体44を開弁させることとなる。そして、弁本体44が開弁されれば、ガス発生室31内の加圧ガスG0が、貫通孔44a及び開口33aに連通された開口部39aから、膨張用ガスG1として、バッグ本体25内に供給されることとなる。
【0035】
第2ガス供給部48は、図5に示すように、第2ガス流路49と、第2ガス流路49内に配置されるスクイブ52と、から構成されている。第2ガス流路49は、ガス発生室31の周壁部32から延びるように周壁部32と一体的に構成される円筒形の周壁部50と、周壁部50の先端側を閉塞する端側壁部51と、から構成され、周壁部50には、軸回り方向に沿って複数の開口50aが、形成されている。各開口50aは、膨張用ガスを透過するシール部材55により、内側から塞がれている。
【0036】
スクイブ52は、端側壁部51の略中央付近に固定されており、図示しないリード線に結線されて、制御装置59と電気的に接続されている。そして、スクイブ52は、制御装置59からの作動信号を受けて点火され、ガスを発生可能に、構成されている。また、第1実施形態の場合、周壁部32の内周側に、金網からなる円筒状のフィルタ54が配設され、フィルタ54の内周側には、スクイブ52の点火時に燃焼して、膨張用ガスを発生可能なガス発生剤53が収容されている。なお、フィルタ54は、ガス発生剤53が燃焼して発生した膨張用ガスのスラグ捕集と冷却のために、配置されている。第1実施形態の場合、スクイブ52は、制御装置59が、衝突検知センサ61からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、制御装置59からの作動信号を受けて、点火されることとなる。そして、スクイブ52が点火されて、ガス発生剤53が燃焼してガスが発生し、第2ガス流路49内の内圧が上昇すると、この内圧の上昇に伴って、図8に示すように、ガス発生室31の区画壁部34に形成されている開口34aを塞いでいる閉塞部材としてのシール部材35が破れて開口し、開口34aから、ガス発生室31内の加圧ガスG0が第2ガス流路49内に流入し、加圧ガスG0と、第2ガス流路49内においてガス発生剤53の燃焼により発生したガスと、が、周壁部50に形成される開口50aから、膨張用ガスG2として、バッグ本体25内に供給されることとなる。
【0037】
そして、第1実施形態のインフレーター本体30では、第1ガス供給部36は、第2ガス供給部48の作動に先行して、独立して作動する際のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量を、第2ガス供給部48のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さくして、設定されている。具体的には、第2ガス供給部48は、ガス発生室31に連通する開口34aを、ガス発生室31から第1ガス供給部36に連通される開口33aよりも、開口面積を大きくして構成して、ガス発生室31内の加圧ガスG0の供給量を、第1ガス供給部36より多量とされるとともに、さらに、加圧ガスG0に、第2ガス流路49内においてガス発生剤53の燃焼により発生したガスを加えて、膨張用ガスG2として、供給する構成としている。そのため、第1実施形態では、第2ガス供給部48は、バッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量を、第1ガス供給部36のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量よりも、大きく設定されることとなり、その結果、第1ガス供給部の単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量は、第2ガス供給部48のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さくして、設定されることとなる。
【0038】
ディフューザー56は、図4に示すように、インフレーター本体30を覆い可能な略円筒状の板金製の保持筒部56aと、保持筒部56aから突出する複数(実施形態では2本)のボルト56cと、を備えて構成されている。保持筒部56aは、インフレーター本体30から供給される膨張用ガスG1,G2を、バッグ本体25内に流出させる複数のガス流出口56bを、車両搭載状態の上面側に、開口させて構成されている。そして、インフレーター29は、ディフューザー56のボルト56cを、バッグ本体25を介してバッグホルダ6の底壁部7から突出させ、ナット57止めすることにより、バッグホルダ6に取り付けられている。
【0039】
第1実施形態のエアバッグ装置M1は、以下のようにして車両に搭載することができる。まず、インフレーター29を収納させた状態で折り畳まれたエアバッグ24とマイクロガスジェネレータ10とをバッグホルダ6に取り付け、その後、パッド16をバッグホルダ6に被せ、パッド16の側壁部20を、バッグホルダ6の側壁部8に、リベット止めする。そして、バッグホルダ6の左右両側における前後の連結片部9,9に、ボルト13を利用して、連結板14とともにホーンスイッチ11を取り付ければ、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。そして、この組み立てたエアバッグ装置M1を、車両に取り付け済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に対し、連結させれば、ステアリングホイール本体1に取り付けることができて、ステアリングホイールWの組み立てが完了することとなる。なお、エアバッグ装置M1の車両への搭載時には、制御装置59から延びる作動信号入力用のリード線を、インフレーター29のソレノイド42及びスクイブ52と、マイクロガスジェネレータ10と、に、接続させておく。
【0040】
エアバッグ装置M1の車両への搭載後、走行中の車両が衝突すれば、制御装置59が、インフレーター29及びマイクロガスジェネレータ10に作動信号を出力することとなって、エアバッグ24が膨張し、パッド16の扉部19,19を前後両側に開かせて、バッグ本体25が、ステアリングホイールWの上面側を覆うように、膨張を完了することとなる(図11参照)。
【0041】
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ24のバッグ本体25に膨張用ガスを供給するインフレーター29の第1ガス供給部36を開口させる電磁弁41のソレノイド42が、第2ガス供給部48を開口させるスクイブ52の作動に先行して作動可能に設定され、さらに、先行して作動する場合、第1ガス供給部36のエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG1の供給物質量は、第2ガス供給部48のエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG2の供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第1ガス供給部36から先行して膨張用ガスG1を供給する場合、第1ガス供給部36から、緩やかに、膨張用ガスG1が供給されてバッグ本体25が展開し、その後、第1ガス供給部36よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部48から膨張用ガスG2を供給されてバッグ本体25が膨張することから、エアバッグ24が迅速に膨張することとなる。そのため、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター29の作動初期において、エアバッグ24内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグ24の膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0042】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ24における膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0043】
特に、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、制御装置59を、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサ60と、車両の衝突を検知可能な衝突検知センサ61と、に電気的に接続させて、衝突予測センサ60からの信号を入力した際に、インフレーター29の第1ガス供給部36が作動され、衝突検知センサ61からの信号を入力した際に、第2ガス供給部48が作動されるような構成である。そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、制御装置59が、衝突予測センサ60からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター29の第1ガス供給部36を構成する電磁弁41のソレノイド42に作動信号が入力されることとなる。そして、マイクロガスジェネレータ10から吐出される膨張用ガスを流入させて補助バッグ26が膨張して、図9に示すように、パッド16の扉部19,19を押し開き、パッド16が開いて形成されたバッグホルダ6の開口6aから、バッグ本体25が、図10に示すように、第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1を内部に流入させつつ、展開することとなる。そして、制御装置59が、衝突検知センサ61からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、第2ガス供給部48のスクイブ52に作動信号が入力されて、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスG2が、バッグ本体25内に流入し、バッグ本体25が、図11に示すごとく、膨張を完了させることとなる。
【0044】
すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部36から供給された膨張用ガスG1が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、その後、車両の衝突検知時に、バッグ本体25が、第1ガス供給部36よりも単位時間当たりの供給物質量を大きくして、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスG2を内部に流入させて、大きく膨張することとなる。換言すれば、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、衝突検知前から第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1をエアバッグ24の内部に流入させる構成であることから、図12のグラフ図に示すごとく、衝突回避不能検知時から衝突検知まで、第1ガス供給部36から供給される膨張用ガスG1によりエアバッグ24の内圧が緩やかに上昇することとなって、従来のインフレーターにより、衝突検知後に膨張用ガスを流入させてエアバッグを展開膨張させる場合と比較して、衝突検知後からエアバッグ24の膨張完了時までに急激に内圧が上昇することを抑えることができる。そのため、衝突検知後からエアバッグ24の膨張完了前までの間に、乗員としての運転者を保護する場合、運転者に必要以上の押圧力を与えず、逆に、既にある程度の内圧を維持していることから、運転者を、クッション性を良好として、円滑に保護することができる。勿論、第1実施形態のエアバッグ装置M1においても、エアバッグ24を、衝突検知後に展開膨張させる場合と同等に、衝突検知後に膨張を完了させ、かつ、その膨張状態を維持することができる。
【0045】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1において、衝突予測センサ60による車両の衝突前における衝突回避不能を検知できず、制御装置59が、衝突検知センサ61により車両の衝突を検知した場合には、第1ガス供給部36のソレノイド42と第2ガス供給部48を、略同時に、作動させる構成としてもよく、この場合には、車両の衝突前における衝突回避不能を検知できなかった場合にも、車両の衝突検知後に、バッグ本体25を迅速に膨張させることができる。
【0046】
なお、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第2ガス供給部48の第2ガス流路49内に、スクイブ52の点火時に燃焼して膨張用ガスを発生可能なガス発生剤53を収容させている構成であることから、スクイブ52から発生するガスに加えて、ガス発生剤53が燃焼してガスが発生することとなり、第2ガス流路49の内圧を迅速に上昇させることができて、シール部材35を迅速に破ることができる。また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、ガス発生剤53が燃焼して発生する膨張用ガスにより、第2ガス供給部48から供給される膨張用ガスの供給物質量が増大されることとなって、バッグ本体25を一層迅速に膨張させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、第2ガス流路49内にガス発生剤53を収容させず、スクイブから発生するガスのみにより、シール部材を破断させる構成としてもよい。
【0047】
なお、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、第2ガス流路49内に発生させたガスの内圧により、シール部材35を破る構成であるが、例えば、シール部材を、別途配設させたアクチュエータにより駆動可能なピンを利用して破るような構成としてもよい。
【0048】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター本体30が、1つのガス発生室31と、ガス発生室31に連通可能とされる第1ガス供給部36と第2ガス供給部48との2つのガス供給部と、を備える構成であることから、インフレーターを簡便な構成とすることができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態のエアバッグ装置M2について説明する。第2実施形態のエアバッグ装置M2は、図13,14に示すごとく、第1実施形態のエアバッグ装置M1と同様に、ステアリングホイールWに搭載されるもので、インフレーター64以外は、前述のエアバッグ装置M1と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター64との作動は、制御装置94により制御される。
【0050】
制御装置94は、図13に示すように、座席SEに着座した乗員(運転者)MDの体格や、ステアリングホイールWと乗員MDとの距離を検知可能な乗員検知センサとしての位置検知センサ95、乗員MDの重量を検知可能な乗員検知センサとしての重量センサ96、車両の被衝突物との衝突を予測可能なミリ波レーダ等からなる衝突予測センサ97、及び、車両の実際の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる衝突検知センサ98等と、電気的に接続され、これらのセンサ95,96,97,98からの電気信号を入力させて、マイクロガスジェネレータ10とインフレーター64とを作動させる構成である。
【0051】
インフレーター64は、前述のエアバッグ装置M1におけるインフレーター29と同様に、シリンダタイプとされるもので、略円柱状のインフレーター本体65と、インフレーター本体65の外周側に配置される略円筒状のディフューザー56と、から構成されている。ディフューザー56は、前述のエアバッグ装置M1のインフレーター29に使用されるディフューザー56と同様の構成であり、同一の図符号を付して説明を省略する。
【0052】
インフレーター本体65は、図15に示すように、軸方向に沿って配置される区画壁68により区画されるとともに、それぞれ、内部に膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスG3,G4を充填させた第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67と、第1ガス発生室66,第2ガス発生室67の先端側に配設されるガス流出路部76と、ガス流出路部76において各第1ガス発生室66,第2ガス発生室67に対応した位置に配置される第1ガス供給部82及び第2ガス供給部91と、を備えている。
【0053】
第1ガス発生室66は、図15に示すように、略円筒形の周壁部69と、周壁部69の領域を2分割するように周壁部69の軸方向に沿って配設される区画壁68と、周壁部69の両端側を塞ぐように配置される略円形の蓋部70,71と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガス(ガス素材)G3として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。第2ガス発生室67も、第1ガス発生室66と同様に、周壁部69と、区画壁68と、蓋部70,71と、に囲まれた部位から構成されるもので、内部に、加圧ガス(ガス素材)G4として、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等が充填されている。実施形態の場合、第1ガス発生室66に充填される加圧ガスG3と、第2ガス発生室67に充填される加圧ガスG4と、は、それぞれ、単独でエアバッグ24の膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスG5,G6を発生可能な量に、設定されており、具体的には、第1ガス発生室66と第2ガス発生室67とには、それぞれ、2molずつの加圧ガス(ガス素材)G3,G4が、充填されている。
【0054】
先端側となるガス流出路部76側に配置されている蓋部70には、第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67を、それぞれ、ガス流出路部76側に連通可能に略円形に開口した開口70a,70bが、形成されている。実施形態の場合、開口70a,70bは、開口面積を略同一として、構成されている。また、各開口70a,70bの周縁には、破裂板73,74が、固着され、各開口70a,70bは、それぞれ、破裂板73,74により、閉塞されている。第1ガス発生室66側の開口70aを塞ぐ破裂板73は、第1ガス供給部82の後述するニードル83が第1ガス発生室66内に進入するように移動してきた際に、破れるように構成され、それ以外には、第1ガス発生室66内に貯留させた加圧ガスG3を流出させないように、開口70aを閉塞している。第2ガス発生室67側の開口70bを塞ぐ破裂板74は、第2ガス供給部91の後述するスクイブ92の作動時に破れるように構成され、それ以外には、第2ガス発生室67内に貯留させた加圧ガスG4を流出させないように、開口70bを閉塞している。
【0055】
ガス流出路部76は、蓋部70を覆うように構成されるもので、周壁部69から連続的に延びるように構成される周壁77と、周壁77を塞ぐとともに第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを保持する保持部78と、から構成され、保持部78において、蓋部70に形成される各開口70a,70bに対向した位置に、それぞれ、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを配設させた構成とされている。実施形態のインフレーター64では、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とは、それぞれ、制御装置94からの作動信号を受けて、独立して作動可能に、構成されている。また、周壁77には、軸回り方向に沿って、多数のガス吐出穴77aが形成されており、第1ガス供給部82,第2ガス供給部91の作動時に、開口70a,70bから流出した膨張用ガスG5,G6は、周壁77と保持部78とに囲まれた流出路79を経て、ガス吐出穴77aから、エアバッグ24内に、吐出されることとなる(図17〜19参照)。
【0056】
第1ガス供給部82は、開口70aを塞ぐ破裂板73と対向するように配置されるニードル83と、ニードル83を駆動させる駆動機構84と、を備えて構成されている。駆動機構84は、コイル86、固定鉄心87、及び、可動鉄心88を備えて、コイル86への通電時に、可動鉄心88を、インフレーター64の元部側に位置した固定鉄心87に吸着させるように移動させる電磁ソレノイド85から、構成されている。電磁ソレノイド85は、図示しないリード線により、制御装置94と電気的に接続され、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされるもので、第2ガス供給部91の後述するスクイブ92の作動に先行して、作動可能に設定されている。実施形態の場合、具体的には、制御装置94が、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した際に、電磁ソレノイド85は、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされている。なお、符号89の部材は、電磁ソレノイド85への通電停止時に、ニードル83とともに可動鉄心88を作動前の位置に復帰させるためのばねである。
【0057】
ニードル83は、可動鉄心88に保持されて、開口70aの開口面に直交する方向に沿って移動する構成であり、電磁ソレノイド85の作動時、図16に示すように、破裂板73に当たり、さらに破裂板73を破って第1ガス発生室66内に進入するように、構成されている。
【0058】
第2ガス供給部91は、開口70bを塞ぐ破裂板74と対向するように配置されるスクイブ92から、構成されている。スクイブ92は、図示しないリード線により、制御装置94と電気的に接続されて、制御装置94からの作動信号を受けて作動するもので、作動時に少量の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスの圧力により、破裂板74を破裂させる構成である。具体的には、スクイブ92は、制御装置94が衝突検知センサ98からの信号を入力させて、車両の衝突を検知した際に、制御装置94からの作動信号を受けて作動する構成とされている。
【0059】
第2実施形態のインフレーター64では、第1ガス発生室66に形成される開口70aと、第2ガス発生室67に形成される開口70bと、は、開口面積を略同一とするように構成されているが、第1ガス供給部82では、電磁ソレノイド85の作動時に、ニードル83が、図16のBに示すように、開口70a内に進入するようにして破裂板73を破るとともに、破裂板73を破った後、図16のCに示すように、ばね89の復元力を利用して、作動前の位置に復帰される構成である。なお、図16のCは、ばね89の復元途中の状態を示す図であり、ばね89が完全に復元した際には、ニードル83は、図16のAに示す位置に、復帰されることとなる。そのため、第1ガス発生室66に形成される開口70aでは、スクイブ92により瞬時に破裂板74を破って開口される開口70bと比較して、作動信号を受けてからニードル83により破裂板73を破るのに時間がかかるとともに、破裂板73が破れて形成された開口70aの実質的な開口面積が、膨張用ガスG5の吐出開始初期において、ニードル83の断面積分、開口70bよりも小さく設定されることとなる(図16のC参照)。そのため、第1ガス供給部82は、エアバッグ24の膨張初期において、バッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG5の供給物質量を、第2ガス供給部91のバッグ本体25への単位時間当たりの膨張用ガスG6の供給物質量よりも、小さく設定されることとなる。
【0060】
第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24に膨張用ガスを供給するインフレーター64の第1ガス供給部82は、作動時、エアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG5の供給物質量を、第2ガス供給部91の作動時におけるエアバッグ24(バッグ本体25)への単位時間当たりの膨張用ガスG6の供給物質量よりも、小さく設定されている。すなわち、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24の膨張初期に第1ガス供給部82だけを作動させれば、第1ガス供給部82から、緩やかに、膨張用ガスG5が供給されてバッグ本体25が展開しつつ、膨張することとなる。そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、インフレーター64の作動初期において、エアバッグ24内に多量の膨張用ガスが急激に供給されることを抑えることができ、エアバッグ24の膨張初期の内圧が過度に上昇することを抑えることができる。
【0061】
したがって、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ24における膨張初期の内圧の過度の上昇を抑えることができる。
【0062】
特に、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、インフレーター本体65が、区画壁68により区画された第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67を備える構成とされ、第1ガス発生室66に配設される第1ガス供給部82と、第2ガス発生室67に配設される第2ガス供給部91と、は、それぞれ、独立して作動するように構成されている。そして、第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67は、それぞれ、内部に、単独でバッグ本体25(エアバッグ24)の膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスG5,G6を発生可能なガス素材としての加圧ガスG3,G4を充填させた構成とされている。
【0063】
そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、乗員MD1,MD2の体格や着座位置等に応じて、インフレーター64から吐出される膨張用ガスG5,G6の供給量を変更することができる。具体的には、第2実施形態では、インフレーター64は、図20のグラフ図に示すごとく、I〜IVの4つのモードにより、インフレーター本体65のガス吐出穴77aから膨張用ガスを吐出させることができる。
【0064】
モードIは、図17に示すように、第1ガス供給部82のみを作動させるモードである。このモードIは、例えば、制御装置94が、位置検知センサ95や重量センサ96からの信号を入力させて、図13の一点鎖線に示すように、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1(MD)を検知した状態で、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した場合に、好適なモードである。モードIでインフレーター64を作動させれば、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部82の電磁ソレノイド85が作動して開口された開口70aから流出した膨張用ガスG5が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができることから、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1を、必要以上に押圧することを抑えて、膨張を完了させたエアバッグ24により、小柄乗員MD1をソフトに保護することができる。
【0065】
モードIIは、図18に示すように、第2ガス供給部91のみを作動させるモードである。このモードIIは、例えば、制御装置94が、衝突予測センサ97による車両の衝突前の衝突回避不能を検知できず、ステアリングホイールWに接近して着座している小柄乗員MD1を検知した状態で、衝突検知センサ98により車両の衝突を検知した場合に、好適なモードである。モードIIでインフレーター64を作動させれば、第2ガス供給部91が作動されて、スクイブ92の作動により迅速に開口された開口70bから流出した膨張用ガスG6が、迅速にバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を膨張させることから、ステアリングホイールWに接近して小柄乗員MD1が着座していても、迅速に膨張を完了させたエアバッグ24により、小柄乗員MD1を的確に保護することができる。
【0066】
モードIIIは、図19に示すように、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを作動させるモードであり、具体的には、第1ガス供給部82の作動後に第2ガス供給部91を作動させるモードである。このモードIIIは、例えば、制御装置94が、位置検知センサ95や重量センサ96からの信号を入力させて、図13の二点鎖線に示すように、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2(MD)を検知した状態で、衝突予測センサ97からの信号を入力させて、車両の衝突前における衝突回避不能を検知した場合に、好適なモードである。モードIIIでインフレーター64を作動させれば、車両の衝突検知前に、第1ガス供給部82の電磁ソレノイド85が作動して開口された開口70aから流出した膨張用ガスG5が、緩やかにエアバッグ24のバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を折り畳み状態から展開させつつ、緩やかに膨張させることができ、かつ、バッグ本体25に余剰の膨張用ガスを排気する図示しないベントホールが形成されていても、第2ガス供給部91から供給された膨張用ガスG6により、膨張完了時のバッグ本体25の内圧を長時間保持することができる。そのため、大柄乗員MD2を、必要以上に押圧することを抑えることができ、かつ、エアバッグ24の膨張完了から所定時間経過後に、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2が、前進移動してきても、内圧を保持したエアバッグ24により、底付きを抑えて、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。
【0067】
モードIVは、図19に示すように、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを作動させるモードであり、具体的には、第1ガス供給部82と第2ガス供給部91とを略同時に作動させるモードである。このモードIVは、例えば、制御装置94が、衝突予測センサ97による車両の衝突前の衝突回避不能を検知できず、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2を検知した状態で、衝突検知センサ98により車両の衝突を検知した場合に、好適なモードである。モードIVでインフレーター64を作動させれば、第2ガス供給部91が作動されてスクイブ92の作動により迅速に開口された開口70bから流出した膨張用ガスG6が、迅速にバッグ本体25内に流入して、バッグ本体25を膨張させるとともに、第1ガス供給部82から供給される膨張用ガスG5も、バッグ本体25内に流入することから、迅速に膨張を完了させたエアバッグ24により、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。また、エアバッグ24の膨張完了から所定時間経過後に、ステアリングホイールWから離れて着座している大柄乗員MD2が、前進移動してきても、内圧を保持したエアバッグ24により、底付きを抑えて、大柄乗員MD2を的確に保護することができる。
【0068】
そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、乗員MD1,MD2の体格や着座位置に応じて、インフレーター64から吐出される膨張用ガスの供給量を変更することができ、膨張を完了させたエアバッグ24により、乗員MD1,MD2を的確に保護することができる。
【0069】
なお、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、インフレーター本体65の各第1ガス発生室66及び第2ガス発生室67に、それぞれ、単独でエアバッグ24(バッグ本体25)を膨張完了可能な2molずつの加圧ガスG3,G4を充填させている構成であるが、勿論、インフレーターとして、各第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、エアバッグ24の膨張完了に必要な物質量の半分である1molずつの加圧ガスを充填させ、エアバッグ24の展開膨張時に、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを両方作動させる構成のものを使用してもよい。このような構成のインフレーターは、第1実施形態のインフレーター29に近似した作動態様となる。
【0070】
なお、実施形態では、ステアリングホイール用のエアバッグ装置を例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、助手席用、頭部保護用、膝保護用、側突用、歩行者保護用等のエアバッグ装置に、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの部分平面図である。
【図2】第1実施形態のエアバッグ装置の概略断面図であり、図1のII−II部位に対応する図である。
【図3】第1実施形態のエアバッグ装置の概略断面図であり、図1のIII−III部位に対応する図である。
【図4】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの概略側面図である。
【図5】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーター本体の概略断面図である。
【図6】図5のインフレーター本体における第1ガス供給部付近を示す概略拡大断面図である。
【図7】図5のインフレーター本体における第1ガス供給部の電磁弁が作動した状態を示す概略拡大断面図である。
【図8】図5のインフレーター本体における第2ガス供給部付近を示すとともに、スクイブの点火時を示す概略拡大断面図である。
【図9】第1実施形態のエアバッグ装置の使用状態を示す図であって、エアバッグの膨張初期において、補助バッグが膨張してエアバッグカバーの扉部を押し開いた状態を示す概略断面図である。
【図10】第1実施形態のエアバッグ装置の使用状態を示す図であって、エアバッグの膨張初期において、補助バッグの膨張後に、バッグ本体が展開する状態を示す概略断面図である。
【図11】第1実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略側面図である。
【図12】第1実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの膨張用ガス供給時における時間と内圧とを示すグラフ図である。
【図13】本発明の第2実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置を搭載した車両のステアリングホイール付近を示す概略図である。
【図14】第2実施形態のエアバッグ装置の概略断面図である。
【図15】第2実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーター本体の概略断面図である。
【図16】図15のインフレーター本体における第1ガス供給部の作動を順に説明する概略部分拡大断面図である。
【図17】図15のインフレーター本体において、第1ガス供給部のみを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図18】図15のインフレーター本体において、第2ガス供給部のみを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図19】図15のインフレーター本体において、第1ガス供給部と第2ガス供給部とを作動させた状態を示す概略部分断面図である。
【図20】第2実施形態のエアバッグ装置に使用されるインフレーターの膨張用ガス供給時における時間と内圧とを示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0072】
24…エアバッグ、
25…バッグ本体、
29…インフレーター、
30…インフレーター本体、
31…ガス発生室、
36…第1ガス供給部、
37…第1ガス流路、
41…電磁弁、
48…第2ガス供給部、
49…第2ガス流路、
52…スクイブ、
59…制御装置、
64…インフレーター、
65…インフレーター本体、
66…第1ガス発生室、
67…第2ガス発生室、
82…第1ガス供給部、
91…第2ガス供給部、
94…制御装置、
G0,G3,G4…加圧ガス、
G1,G2,G5,G6…膨張用ガス、
M1,M2…ステアリングホイール用エアバッグ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれて収納されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記インフレーターが、それぞれ、前記エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部と第2ガス供給部とを備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際の前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、前記第2ガス供給部の前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記制御装置が、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、前記車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続されて、前記衝突予測センサからの信号を入力した際に、前記第1ガス供給部を作動させ、前記衝突検知センサからの信号を入力した際に、前記第2ガス供給部を作動させるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、略同時に、作動可能に、構成されていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記インフレーターが、内部に前記膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスを充填させたガス発生室を備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記ガス発生室に連通される第1ガス流路と、該第1ガス流路を開閉可能に構成される弁機構と、から構成され、
前記第2ガス供給部が、前記ガス発生室に連結されるとともに閉塞部材により前記ガス発生室と区画される第2ガス流路と、該第2ガス流路内に配置されて点火時にガスを発生可能とされるスクイブと、を備える構成とされるとともに、該スクイブを点火させて前記第2ガス流路内の内圧を上昇させ、前記閉塞部材を、前記第2ガス流路を開口可能に開口動作させる構成とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記インフレーターが、区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室を備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記第1ガス発生室に配設され、前記第2ガス供給部が、前記第2ガス発生室に配設されて、
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
折り畳まれて収納されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記インフレーターが、
区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室と、
該第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、それぞれ配設されて、前記エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部及び第2ガス供給部と、
を、備える構成とされ、
前記第1ガス発生室及び前記第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独で前記エアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させて構成され、
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされ、
前記第1ガス供給部が、作動時、前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、前記第2ガス供給部の作動時における前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定させるように、構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項7】
前記制御装置が、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、前記車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続されて、前記衝突予測センサからの信号を入力した際に、前記第1ガス供給部のみを作動させ、前記衝突予測センサからの信号を入力させない状態で前記衝突検知センサからの信号を入力した際に、前記第2ガス供給部のみを作動させるように、構成されていることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
折り畳まれて収納されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記インフレーターが、それぞれ、前記エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部と第2ガス供給部とを備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記第2ガス供給部の作動に先行して作動可能に設定されるとともに、独立して作動する際の前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、前記第2ガス供給部の前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さくして、設定されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記制御装置が、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、前記車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続されて、前記衝突予測センサからの信号を入力した際に、前記第1ガス供給部を作動させ、前記衝突検知センサからの信号を入力した際に、前記第2ガス供給部を作動させるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、略同時に、作動可能に、構成されていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記インフレーターが、内部に前記膨張用ガスを圧縮させてなる加圧ガスを充填させたガス発生室を備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記ガス発生室に連通される第1ガス流路と、該第1ガス流路を開閉可能に構成される弁機構と、から構成され、
前記第2ガス供給部が、前記ガス発生室に連結されるとともに閉塞部材により前記ガス発生室と区画される第2ガス流路と、該第2ガス流路内に配置されて点火時にガスを発生可能とされるスクイブと、を備える構成とされるとともに、該スクイブを点火させて前記第2ガス流路内の内圧を上昇させ、前記閉塞部材を、前記第2ガス流路を開口可能に開口動作させる構成とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記インフレーターが、区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室を備える構成とされ、
前記第1ガス供給部が、前記第1ガス発生室に配設され、前記第2ガス供給部が、前記第2ガス発生室に配設されて、
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
折り畳まれて収納されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記インフレーターが、
区画壁により区画された第1ガス発生室及び第2ガス発生室と、
該第1ガス発生室及び第2ガス発生室に、それぞれ配設されて、前記エアバッグ内へ膨張用ガスを供給可能とされるとともに、制御装置により作動を制御される第1ガス供給部及び第2ガス供給部と、
を、備える構成とされ、
前記第1ガス発生室及び前記第2ガス発生室が、それぞれ、内部に、単独で前記エアバッグの膨張完了形状を維持可能な膨張用ガスを発生可能なガス素材を充填させて構成され、
前記第1ガス供給部及び前記第2ガス供給部が、それぞれ、独立して作動可能とされ、
前記第1ガス供給部が、作動時、前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量を、前記第2ガス供給部の作動時における前記エアバッグへの単位時間当たりの膨張用ガスの供給物質量よりも、小さく設定させるように、構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項7】
前記制御装置が、車両の衝突前における衝突回避不能を検知可能な衝突予測センサと、前記車両の衝突を検知可能な衝突検知センサと、に電気的に接続されて、前記衝突予測センサからの信号を入力した際に、前記第1ガス供給部のみを作動させ、前記衝突予測センサからの信号を入力させない状態で前記衝突検知センサからの信号を入力した際に、前記第2ガス供給部のみを作動させるように、構成されていることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−81098(P2008−81098A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137126(P2007−137126)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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