説明

エアバッグ装置

【課題】車両に設置するインフレータの数を削減しつつ、必要なエアバッグのみを膨張展開させることが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるエアバッグ装置200の構成は、車両100内の前座席(運転席102、助手席104)の近傍に設けられる複数のエアバッグ(運転席用エアバッグ212等)と、車両内前方に配置されるインストルメントパネル108の内側に設けられ、複数のエアバッグに接続されるインパネクロスメンバ230と、複数のエアバッグとインパネクロスメンバとの接続部分各々に設けられる複数の開放弁242等と、を備え、インパネクロスメンバは、ガスを加圧した状態で密閉するタンク構造を有し、開放弁の少なくとも1つが開状態となることにより、インパネクロスメンバに密閉されていたガスが複数のエアバッグの少なくとも1つに供給されることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の前座席近傍に設けられ、車両の衝突時等に膨張展開することにより、乗員や歩行者を衝撃から保護するエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される安全装置として、衝突時の衝撃から乗員を保護するエアバッグ装置が提案されている。エアバッグ装置には、車両への設置場所や機能に応じて様々な種類がある。例えば、運転席のハンドルや助手席のグローブボックスから出てくるフロントエアバッグ装置、乗員の足元から出現するニーエアバッグ装置、ルーフサイドから下方へカーテン状に展開するカーテンエアバッグ装置、ドアから上方へ展開するサイドエアバッグ装置等が挙げられる。一方、歩行者保護を目的としたエアバッグ装置も提案されている。その構成は、車両走行中に接近してくる歩行者をセンサで検知し、衝突の直前に車体の外側にエアバッグを展開させ、フロントガラスやピラー等に衝突する歩行者を衝撃から保護するというものである。
【0003】
上記のエアバッグ装置は、いずれも各エアバッグ装置に設けられたインフレータから供給されるガスによって膨張展開する。したがって、車両に搭載されるエアバッグ装置の数が増すにつれて、インフレータの数も増すこととなり、コストの増大、および車両重量の増加を招く一因となっていた。
【0004】
上記の問題を解決するために、例えば、特許文献1には、インフレータと、インフレータから供給されるガスにより膨張展開する第1エアバッグと、第2エアバッグと、第1エアバッグに供給されたガスを第2エアバッグに導く連通手段とを備えるエアバッグ装置が開示されている。これによれば、1つのインフレータにより第1エアバッグおよび第2エアバッグの両方を膨張展開させることが可能である。したがって、車両に設置するインフレータの数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−109813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のエアバッグ装置では、例えば第1エアバッグのみを膨張展開させればよい場合であっても、連通手段を通じて供給されるガスによって第2エアバッグまでもが膨張展開してしまう。ガス供給源(インフレータ)は1つであるから、不要なエアバッグまでもが膨張展開してしまうと、真に展開が必要なエアバッグの展開が遅延しかねないという問題点を有する。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、車両に設置するインフレータの数を削減しつつ、必要なエアバッグのみを膨張展開させることが可能なエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかるエアバッグ装置の代表的な構成は、車両内の前座席の近傍に設けられる複数のエアバッグと、車両内前方に配置されるインストルメントパネルの内側に設けられ、複数のエアバッグに接続されるインパネクロスメンバと、複数のエアバッグとインパネクロスメンバとの接続部分各々に設けられる複数の開放弁と、を備え、インパネクロスメンバは、ガスを加圧した状態で密閉するタンク構造を有し、開放弁の少なくとも1つが開状態となることにより、インパネクロスメンバに密閉されていたガスが複数のエアバッグの少なくとも1つに供給されることを特徴する。
【0009】
上記構成によれば、車両内の前座席の近傍に設けられる複数のエアバッグを、インパネクロスメンバ内に密閉されたガスを用いて膨張展開させることが可能となる。このため、複数のエアバッグ各々にインフレータを設ける必要がなく、車両内に設置するインフレータの数を削減することが可能となる。そして、複数のエアバッグとインパネクロスメンバの接続部分各々に複数の開放弁が設けられていることで、必要なエアバッグの接続部分に設けられている開放弁のみを開状態とし、そのエアバッグのみを膨張展開させることができる。したがって、不要なエアバッグの膨張展開を防ぎ、必要なエアバッグの展開遅延を回避することが可能となる。
【0010】
上記の開放弁はマイクロガスジェネレータを有し、マイクロガスジェネレータが起爆することにより、開放弁が開状態となるとよい。かかる構成により、開放弁を確実に開状態とすることが可能となる。またマイクロガスジェネレータは安価且つ軽量であるため、複数のエアバッグ各々にインフレータを設けた場合と比較し、車両の軽量化およびコストの削減を図れる。
【0011】
当該車両用エアバッグ装置は、インパネクロスメンバに接続されるインフレータを更に備え、開放弁の少なくとも1つが開状態となるのと同時またはそれ以後に、インフレータがガスを発生させるとよい。
【0012】
例えば、複数のエアバッグ装置を同時に展開させる必要がある場合等、エアバッグを膨張展開させるために要するガスが、インパネクロスメンバ内に密閉されたガスのみでは賄えないという事態が懸念される。そこで、上記構成のようにインフレータを備えることにより、インフレータにより発生したガスで、膨張展開に要するガスの不足分を補うことができ、複数のエアバッグを確実に膨張展開させることが可能となる。
【0013】
当該車両用エアバッグ装置は、インパネクロスメンバに接続されインパネクロスメンバ内のガス圧を調節するガス圧調節装置を更に備えるとよい。
【0014】
ガス(気体)は、気温等の影響による体積の増減により、インパネクロスメンバ内における圧力が変化してしまう。これにより、エアバッグの膨張展開に支障が生じる可能性がある。そこで、上記構成のようにガス圧調節装置を備えることで、インパネクロスメンバ内におけるガスの圧力を調整し所定の値に維持することができ、圧力変化によるエアバッグの膨張展開への影響を排除することが可能となる。
【0015】
上記のガス圧調節装置はコンプレッサとしてよい。これにより、インパネクロスメンバ内のガスの圧力を容易且つ確実に所定の値に維持保持することが可能となる。
【0016】
上記のガス圧調節装置は、ばね力によって押圧されるピストンとしてもよい。これにより、ガス圧調整装置を安価且つ簡易な構成としつつ、インパネクロスメンバ内のガスの圧力を好適に維持すること可能となる。
【0017】
上記のガス圧調節装置は、インパネクロスメンバに気体を供給する気体供給手段と、気体供給手段からの気体をインパネクロスメンバに流通させる流通路と、流通路の開閉を制御する電磁弁と、を有してもよく、インパネクロスメンバ内のガス圧が所定の値より低下すると電磁弁が開状態となり、気体供給手段からの気体が流通路を通過してインパネクロスメンバに供給されるとよい。
【0018】
上記構成によれば、インパネクロスメンバ内のガス圧が所定の値より低くなると、流通路を通じて気体供給手段からインパネクロスメンバに気体が供給される。これにより、上述したようにインパネクロスメンバ内のガス圧を調整し所定の値に維持することができる。
【0019】
上記の気体供給手段は、空気ばね用コンプレッサまたはエアコンディショナ装置用コンプレッサとしてよい。かかる構成のように、既に車両に設けられている装置を気体供給手段として用いることで、新たに気体供給手段を用いることによるコストの増大を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両に設置するインフレータの数を削減しつつ、必要なエアバッグのみを膨張展開させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態にかかるエアバッグ装置の車両における設置位置を例示する図である。
【図2】第1実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。
【図3】第1実施形態にかかる開放弁の詳細を例示する図である。
【図4】第2実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。
【図5】第2実施形態にかかる開放弁の詳細を例示する図である。
【図6】第3実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。
【図7】第3実施形態にかかる開放弁の詳細を例示する図である。
【図8】第4実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるエアバッグ装置の車両における設置位置を例示する図である。図2は、第1実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。図1および図2に例示するように、第1実施形態にかかるエアバッグ装置200は、複数のエアバッグと、インパネクロスメンバ230と、複数の開放弁とを備える。
【0024】
複数のエアバッグは、車両100内の前座席である運転席102および助手席104の近傍に設けられ、それぞれインパネクロスメンバ230に接続される。かかる複数のエアバッグは、運転席用エアバッグ212と、助手席用エアバッグ214と、運転席用ニーエアバッグ216と、助手席用ニーエアバッグ218と、運転席側カーテンエアバッグ220と、助手席側カーテンエアバッグ222と、歩行者用エアバッグ224とを含む。
【0025】
運転席用エアバッグ212は、ステアリングホイール106の略中央部に設置され、膨張展開することにより運転席乗員の上半身を保護する。助手席用エアバッグ214は、インストルメントパネル108に設けられるグローブボックス110の上部に設置され、膨張展開することにより助手席乗員の上半身を保護する。運転席用ニーエアバッグ216は、インストルメントパネル108の下部に設置され、膨張展開することにより運転席乗員の膝部を保護する。助手席用ニーエアバッグ218は、グローブボックス110の下部に設置され、膨張展開することにより助手席乗員の膝部を保護する。
【0026】
運転席側カーテンエアバッグ220は、フロント側ピラー112(Aピラーとも称される。)に沿って設置され、側突時などに膨張展開することにより運転席乗員の上半身を保護する。助手席側カーテンエアバッグ222は、図1には図示されていないが、運転席側カーテンエアバッグ220と左右対称に設置され、側突時などに膨張展開することにより助手席乗員の上半身を保護する。歩行者用エアバッグ224は、車両100の前方に設置され、膨張展開することにより歩行者を保護する。
【0027】
上述した複数のエアバッグは、インパネクロスメンバ230からのガスの流路となる流路部を各々備える。詳細には、運転席用エアバッグ212は流路部212aを、助手席用エアバッグ214は流路部214aを、運転席用ニーエアバッグ216は流路部216aを、助手席用ニーエアバッグ218は流路部218aを備える。また、運転席側カーテンエアバッグ220は流路部220aを、助手席側カーテンエアバッグ222は流路部222aを、歩行者用エアバッグ224は流路部224aを備える。
【0028】
すなわち、複数のエアバッグは、各々に設けられた流路部を介してインパネクロスメンバ230に接続されている。このような構成により、車両100内の運転席102および助手席104の近傍に設けられる複数のエアバッグを、各々にインフレータを設けることなく、インパネクロスメンバ230内に密閉されたガスを用いて膨張展開させることができる。したがって、車両100内に設置するインフレータの数を削減し、コストを削減すること可能となる。
【0029】
なお、本実施形態においては、複数のエアバッグとして上述したエアバッグを例示したがこれに限定するものではなく、更に、運転席102または助手席104近傍、インパネクロスメンバ230近傍に設置される他のエアバッグをも複数のエアバッグに含めることができる。また、例えば、ブレーキ用マスターシリンダやシート用エアクッション(図示せず)等、正圧力が必要な装置をインパネクロスメンバ230に接続してもよい。
【0030】
インパネクロスメンバ230は、車両100内前方に配置されるインストルメントパネル(インパネ)108の内側に設けられる補強部材であり、上述した複数のエアバッグが接続されている。本実施形態において、インパネクロスメンバ230は、中空材からなり、その内部に複数のエアバッグを膨張展開させるためのガスを加圧した状態で密閉するタンク構造を有する。詳細には、本実施形態にかかるインパネクロスメンバ230として、例えば外径φ40〜80mm、板厚が1.2〜1.6mmの中空材、または異径材の組合せで長さが1400mm前後、内容積は3〜6Lのものを好適に用いることができる。
【0031】
ここで、上記のインパネクロスメンバ230として、外径φ55mm、板厚1.4mm、内容積5Lの中空材を用いると仮定する。このとき、JIS B8266により、インパネクロスメンバ230内に密閉されるガスを7MPaまで加圧することができる。一方、一般的に最も内容積が大きい助手席用エアバッグの内容積を80Lと仮定する。すると、乗員を受け止めるためのインパネクロスメンバ内圧は温度条件を、例えば常温である20℃〜23℃で一定とすれば0.65MPaとなり、問題ないと判断できる。
【0032】
複数の開放弁は、複数のエアバッグとインパネクロスメンバ230との接続部分各々に設けられ、インパネクロスメンバ230の密閉状態を維持する。そして、エアバッグの膨張展開時に、少なくとも1つの開放弁が開状態となることにより、エアバッグとインパネクロスメンバ230とが連通され、インパネクロスメンバ230に密閉されていたガスが複数のエアバッグの少なくとも1つに供給される。
【0033】
複数の開放弁は、開放弁242、244、246、248、250、252および254を含む。開放弁242、244、246、248、250、252および254は、それぞれ、流路部212a、214a、216a、218a、220a、222aおよび224aの、インパネクロスメンバ230から複数のエアバッグへの接続部分近傍に設けられる。
【0034】
上記構成によれば、膨張展開を必要とするエアバッグの接続部分に設けられている開放弁のみを開状態とすれば、そのエアバッグのみを膨張展開させることができる。例えば、開放弁242を開状態とすれば、インパネクロスメンバ230に密閉されていたガスが運転席用エアバッグ212に供給され、これが膨張展開する。したがって、不要なエアバッグの膨張展開を防ぎ、真に必要なエアバッグの膨張展開の遅延を回避することが可能となる。
【0035】
図3は、第1実施形態にかかる開放弁242の詳細を例示する図である。図3(a)は、開放弁242の構造を例示する図であり、図3(b)は開放弁242の動作前の状態を例示する図であり、図3(c)は開放弁242の動作後の状態を例示する図である。なお、第1実施形態にかかるエアバッグ装置は複数(7つ)の開放弁を備えるが、これらはすべて同一の構造であるため、図3では開放弁242を代表として例示する。
【0036】
図3(a)に例示するように、開放弁242は、マイクロガスジェネレータ262(以下、MGG262と称する)と、キャップ264と、シール材266とから構成される。このように、開放弁242に安価且つ軽量なMGG262を用いることより、従来のように複数のエアバッグ各々にインフレータを設けた場合と比較し、車両100の軽量化およびコストの削減を図ることが可能となる。またMGGは出力が小さいため、インフレータを設けた場合よりも作動音を小さくすることができる。
【0037】
MGG262は、ケース262a内にイニシエータ262bと火薬(図3(b)中の黒点)とを収容している。これにより、起爆装置であるイニシエータ262bにより火薬に着火し、その爆裂によりケース262aを開裂させることが可能となる。ケース262aにはアルミ製材料を好適に用いることができる。アルミ製材料は、延性が高いため、開裂した際に流路部212aの形状に沿って変形しやすい。したがって、流路部212aの壁面に密着した状態となり、破片の飛散を防止できる。なお、本実施形態においてはケース262aを円柱状としたが、かかる形状に限定するものではなく、ケースの形状は略四角柱状等、他の形状であっても構わない。
【0038】
また、本実施形態においてはケース262a内に火薬が収容されているが、これに限定するものではなく、火薬を収容しない構成としてもよい。これは、イニシエータ262bは、定格電流において動作時の実力値が1ms以下であるためである。1ms以下の動作時間であれば、実用上は問題ない範囲であり、イニシエータ262bのみでもケース262aの必要部位を開裂させる能力がある。ただし、MGG262の動作時間を限りなく最小化するためには、本実施形態のようにケース262a内に火薬を収容することが好ましい。
【0039】
キャップ264は、外面が螺刻された円柱状の部材である。これにより、流路部212aに設けられた挿入孔212bにキャップ264を螺嵌することで、開放弁242を流路部212aに容易に固定することができる。シール材266は、本実施形態ではOリングを用いる。これにより、インパネクロスメンバ230とエアバッグ(本実施形態においては運転席用エアバッグ212)とにおける開放弁242動作前のガスの流通を確実に遮断することができる。なお、本実施形態ではシール材266は開放弁242に設けられるものとしたが、これに限定するものではなく、流路部212aに設けられるものとしてもよい。
【0040】
開放弁242を組み立てる際には、上述したMGG262のケースの外側にシール材266を取り付け、MGG262の下方にキャップ264を取り付ける。このように部品数を最小限とすることで、コストの削減および構造の簡易化を図ることができる。そして、組み立てた開放弁242を挿入孔212bに挿入し、キャップ264を回転させながら挿入孔212bに螺嵌することで、開放弁242が流路部212aに固定される。このような構成により、開放弁242の組立作業および取付作業を容易に行うことが可能となる。
【0041】
開放弁242の組立および取付を行うと、開放弁242および流路部212aは図3(b)に例示する状態となり、MGG262のケース262aに取り付けられたシール材266が、流路部212aの内面から立設した壁面に設けられた溝部212cに嵌合する。これにより、流路部212aの流路入口212dと流路出口212eとが遮断される。換言すれば、インパネクロスメンバ230側(高圧側)の空間と、運転席用エアバッグ212側(大気圧側)の空間とが遮断される。したがって、開放弁242動作前、すなわちエアバッグ膨張展開前におけるインパネクロスメンバ230からのガスの漏洩を好適に防ぐことができる。
【0042】
そして、エアバッグを膨張展開させる際には、上述したようにイニシエータ262bによりケース262a内の火薬に着火して(MGG262が起爆して)、ケース262aが開裂する。これにより、開放弁242および流路部212aは、図3(c)に例示する状態となる。このとき、開裂により、ケース262aの流路入口212d近傍部分は流路入口212dに密着した状態となり、ケース262aの流路出口212e近傍部分は流路出口212eに密着した状態となり、図中の矢印に例示するようにガスの流路が形成される。すなわち、開放弁242が開状態となる。これにより、インパネクロスメンバ230に密閉されていたガスが流路部212a(流路)を流通して運転席用エアバッグ212に流れ込み、運転席用エアバッグ212が膨張展開する。
【0043】
以上、説明したように、第1実施形態にかかるエアバッグ装置200によれば、車両100内の前座席の近傍に設けられる複数のエアバッグ各々にインフレータを設けずとも、かかる複数のエアバッグを、インパネクロスメンバ230内に密閉されたガスを用いて膨張展開させることが可能となる。したがって、インフレータに要するコストを削減し、且つ車両100を軽量化することができる。また複数のエアバッグとインパネクロスメンバ230との接続部分近傍に、それぞれ開放弁を設けることで、必要とするエアバッグの接続部分近傍に設けられている開放弁のみを開状態とし、かかるエアバッグのみを膨張展開させることができる。これにより、不要なエアバッグの膨張展開を防ぎ、必要なエアバッグの展開遅延を回避することが可能となる。
【0044】
なお、上述した開放弁は、流路部と一体構造としてもよいし、開放弁の両端にフランジ部を設け、シール材を用いてネジ固定するなどにより独立した構成部品として形成してもよい。
【0045】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。第2実施形態にかかるエアバッグ装置は、開放弁の設置方向と、インフレータを備える点において、第1実施形態にかかるエアバッグ装置200と異なる。なお、第1実施形態と機能および構成が同様の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図4に例示するように、第2実施形態にかかるエアバッグ装置300は、複数のエアバッグと、インパネクロスメンバ230と、複数の開放弁と、インフレータ360とを備える。
【0047】
複数のエアバッグは、インパネクロスメンバ230からのガスの流路となる流路部312a、314a、316a、318a、320a、322a、324aを各々備える。これら流路部は、第1実施形態にかかる流路部と同様の配置および機能を有するが、開放弁近傍部分の構造が第1実施形態にかかる流路部と異なる。図5は、第2実施形態にかかる開放弁242の詳細を例示する図である。図5(a)は、開放弁242の構造を例示する図であり、図5(b)は開放弁242の動作前の状態を例示する図であり、図5(c)は開放弁242の動作後の状態を例示する図である。なお、第2実施形態にかかるエアバッグ装置は複数(7つ)の開放弁を備えるが、これらはすべて同一の構造であるため、図5では開放弁242の近傍部分を代表として例示する。
【0048】
第1実施形態と同様に組み立てられた開放弁242は、図5(a)に示すように、流路部312aの固定穴312bに、かかる固定穴312bの運転席用エアバッグ212側から挿入され、流路部312aと平行に設置される。そして、キャップ264を回転させながら、流路部312aに設けられた螺合部312cに螺嵌することで、開放弁242が流路部312aに固定される。したがって、第2実施形態においても開放弁242の組立作業および取付作業を容易に行うことが可能となる。
【0049】
開放弁242の組立および取付を行うと、開放弁242および流路部312aは図5(b)に例示する状態となり、MGG262のケース262aに取り付けられたシール材266が、流路部212aの内面から立設した壁面に設けられた溝部312fに嵌合する。これにより、流路部312aの流路入口312d(インパネクロスメンバ230側の空間)と流路出口312e(運転席用エアバッグ212側の空間)とが遮断される。このため、エアバッグ膨張展開前におけるインパネクロスメンバ230からのガスの漏洩を好適に防ぐことができる。
【0050】
なお、図示はされていないが、本実施形態において、流路出口312eは、流路部312a内に立設する螺合部312cの円周上に複数個の穴を設けることにより構成している。これにより、インパネクロスメンバ230からのガスの流通に必要な開口面積を確保することが可能となる。
【0051】
エアバッグ(運転席用エアバッグ212)を膨張展開させる際には、第1実施形態と同様に、イニシエータ262bによりMGG262が起爆して、ケース262aが開裂する。これにより、開放弁242および流路部212aは、図5(c)に例示する状態となり、ケース262aは、シール材266の左右において開裂し、流路部312a内側に密着した状態となる。すなわち、開放弁242が開状態となり、図中の矢印に例示するようにガスの流路が形成される。そして、インパネクロスメンバ230に密閉されていたガスが流路部312a(流路)を流通して運転席用エアバッグ212に流れ込み、かかるエアバッグが膨張展開する。
【0052】
また上述したように、第2実施形態にかかるエアバッグ装置300はインフレータ360を備える。インフレータ360は、インパネクロスメンバ230に接続され、かかるインパネクロスメンバ230に接続された複数の開放弁のうち少なくとも1つが開状態となるのと同時またはそれ以後に、ガスを発生させる。
【0053】
上記構成により、例えば、複数のエアバッグ装置を同時に展開させる場合等におけるガス不足が生じることを防止できる。すなわち、複数のエアバッグを膨張展開させるためのガスが、インパネクロスメンバ230内に密閉されたガスのみでは足りない場合に、インフレータ360からのガスにより不足分を補うことができる。したがって、複数のエアバッグを確実に膨張展開させることが可能となる。
【0054】
なお、容積の少ないエアバッグ装置を膨張展開させる場合、上記のようにインフレータ360からのガスが供給されるとガスの量が過剰になることが考えられるが、余分なガスは、排気口(図示せず)の大きさを調整することにより排除できるため問題はない。
【0055】
第2実施形態にかかるエアバッグ装置300のようにインフレータ360を備える場合、インパネクロスメンバ230内にガスを密閉せずに、インフレータ360からのガスを複数のエアバッグを膨張展開させるためのガス供給源としてもよい。この場合、インパネクロスメンバ230は、インフレータ360からのガスを複数のエアバッグに供給するための連結管として用いられることとなる。
【0056】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。第3実施形態にかかるエアバッグ装置は、開放弁の構造と、ガス圧調整装置を備える点において、第1実施形態にかかるエアバッグ装置200と異なる。なお、第1実施形態と機能および構成が同様の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図6に例示するように、第3実施形態にかかるエアバッグ装置400は、複数のエアバッグと、インパネクロスメンバ230と、複数の開放弁と、ガス圧調整装置470とを備える。
【0058】
複数の開放弁は、第1実施形態と同様に、複数のエアバッグとインパネクロスメンバ230との接続部分各々に設けられ、インパネクロスメンバの密閉状態を維持する。そして、エアバッグの膨張展開時に、少なくとも1つの開放弁が開状態となることにより、インパネクロスメンバ230に密閉されていたガスが複数のエアバッグの少なくとも1つに供給される。かかる複数の開放弁は、開放弁442、444、446、448、450、452および454とを含む。
【0059】
開放弁442、444、446、448、450、452、454はそれぞれ、流路部212a、214a、216a、218a、220a、222a、224aの、各エアバッグとインパネクロスメンバ230との接続部分近傍に設けられる。これにより、第1実施形態と同様に、膨張展開を必要とするエアバッグの接続部分に設けられている開放弁のみを開状態し、そのエアバッグのみを膨張展開させることができる。
【0060】
図7は、第3実施形態にかかる開放弁442の詳細を例示する図である。図7(a)は、開放弁442の構造を例示する図であり、図7(b)は開放弁442の動作前の状態を例示する図であり、図7(c)は開放弁442の動作後の状態を例示する図である。なお、第3実施形態にかかるエアバッグ装置は複数(7つ)の開放弁を備えるが、これらはすべて同一の構造であるため、図7では開放弁442を代表として例示する。
【0061】
図7(a)に例示するように、開放弁442は、イニシエータ262bと、キャップ264と、内側キャップ462と、バースト板464と、シール材466とから構成される。MGG262の重量は、約10g以下であり、イニシエータ262bの重量は、約3g以下である。このため、上記構成によれば、車両100の更なる軽量化を図ることが可能となる。
【0062】
内側キャップ462は、イニシエータ262bを保持し、且つバースト板464およびシール材466を流路部212aから立設した壁面に付勢する。本実施形態では内側キャップ462の外径をキャップ264の外径よりも小さくしている。これにより、内側キャップがイニシエータ262bを好適に保持することが可能となる。しかし、これに限定するものではなく、内側キャップ462の外径は、キャップ264と同径であってもよい。
【0063】
また内側キャップ462は、高圧側をシール材などによりバースト板をシールして気密ができ、イニシエータを保持することができれば、如何なる形状であってもよい。例えば、バースト板464と内側キャップ462との間にシール材となるカラーなどを入れたり、内側キャップを下方向に延出したりすることで、イニシエータ262bを保持してよい。
【0064】
バースト板464は、内側キャップ462とシール材466の間に配置され、流路部212aにおけるインパネクロスメンバ230側の空間と運転席用エアバッグ212側の空間とを実質的に遮蔽する。シール材466は、起爆装置であるイニシエータの爆発するガス流方向に配設され、イニシエータに対し単独または一体的にシールしている。
【0065】
上記のシール材466は、環状に形成された部材(環状部材)を用いる。本実施形態の開放弁442のように、シール材466が、流路部212aから立設した壁面と内側キャップ462とで狭圧される場合、Oリングよりも平坦な環状部材を用いることにより、遮蔽(密閉)効果を高めることが可能となる。
【0066】
開放弁442を流路部212aに取り付ける際には、まず流路部212aの挿入孔212bにシール材466、バースト板464、内側キャップ462を順に挿入する。次に、キャップ264を下方に取り付けたイニシエータ262bを挿入孔212bに挿入し、キャップ264を回転させながら挿入孔212bに螺嵌する。これにより、開放弁442が組み立てられ流路部212aに固定される。したがって、本実施形態にかかる開放弁442においても、組立作業および取付作業を容易に行うことができる。
【0067】
開放弁442の組立および取付を行うと、開放弁442および流路部212aは図7(b)に例示する状態となり、バースト板464は、流路部212aから立設した壁面にシール材466を介して押し付けられた状態となる。これにより、インパネクロスメンバ230側(高圧側)の空間と、運転席用エアバッグ212側(大気圧側)の空間とが遮断される。したがって、エアバッグ膨張展開前におけるインパネクロスメンバ230からのガスの漏洩を好適に防ぐことができる。
【0068】
そして、エアバッグを膨張展開させる際には、イニシエータ262bの爆発により、内側キャップ462およびバースト板464が開裂する。すると、開放弁442および流路部212aは、図7(c)に例示する状態となり、図中の矢印に例示するようにガスの流路が形成される(開放弁442が開状態となる)。
【0069】
なお、図中において流路出口から大気側(各エアバッグ側)に開放されているため、イニシエータの爆発による高圧ガスが洩れて、バースト板が開裂しないことが懸念されるが、イニシエータの高圧ガスには指向性があり(高圧ガスの大部分が上方、すなわちバースト板側に流れる)、問題ないことを実験的に確認済である。
【0070】
また、図7では開放弁442を流路部212aに対して垂直に設置したが、これに限定するものではなく、第2実施形態のように流路部212aに対して水平に設置することも可能である。
【0071】
上述したように、第3実施形態にかかるエアバッグ装置400はガス圧調整装置470を備える(図6参照)。ガス圧調整装置470は、インパネクロスメンバ230に接続され、インパネクロスメンバ230内のガス圧を調節する。これにより、気温等の影響による気体の体積増減に起因するインパネクロスメンバ230内のガス圧の変化を防ぐことができる。したがって、インパネクロスメンバ230内のガス圧が常時所定の値に維持されるため、エアバッグの膨張展開に支障が生じることがない。
【0072】
本実施形態にかかるガス圧調整装置470は、仕切板472と、バネ474とを有する、所謂ばね力によって押圧されるピストンである。これにより、ガス圧調整装置470を安価且つ簡易な構成とし、且つインパネクロスメンバ230内のガスの圧力を好適に維持すること可能となる。
【0073】
仕切板472は、ガス圧調整装置470内の空間を、インパネクロスメンバ230と連通されている空間470aと、インパネクロスメンバ230と連通されていない空間470bとに分割する。バネ474は、仕切板472に接続されており、インパネクロスメンバ230内のガス圧に応じて、ガス圧調整装置470内を、インパネクロスメンバ230に近接する方向、またはそれから離隔する方向に移動する。
【0074】
詳細には、気温の低下に伴ってインパネクロスメンバ230内に密閉されたガスの体積が減少すると、ガス圧が低下してしまう。すると、仕切板472は、ガス圧調整装置470内を図中の白抜き矢印方向(インパネクロスメンバ230に近接する方向)に移動し、ガス圧が上昇するよう調節される。一方、気温の上昇に伴ってインパネクロスメンバ230内に密閉されたガスの体積が膨張すると、ガス圧が上昇してしまう。すると、仕切板472は、ガス圧調整装置470内を図中の黒矢印方向(インパネクロスメンバ230から離隔する方向)に移動し、ガス圧が低下するよう調節される。このようにして、ガス圧調整装置470によりインパネクロスメンバ230内のガス圧が調整されるため、かかるガス圧を所定の値に維持することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、インパネクロスメンバ230に接続されたガス圧調整装置470内に仕切板472を設けたが、これに限定するものではない。例えば、インパネクロスメンバ230内に、その内部の空間を仕切るように仕切板472を設け、かかる空間を仕切板472が摺動する構成としてもよい。また本実施形態のガス圧調整装置470に替えて、コンプレッサ(図示せず)をインパネクロスメンバ230に接続してもよい。これにより、インパネクロスメンバ230内のガスの圧力を容易且つ確実に所定の値に維持保持することが可能となる。
【0076】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態にかかるエアバッグ装置の概略を例示する図である。第4実施形態にかかるエアバッグ装置は、ガス圧調整装置を備える点において第1実施形態にかかるエアバッグ装置200と異なる。なお、第1実施形態と機能および構成が同様の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
図8に例示するように、第4実施形態にかかるエアバッグ装置500は、複数のエアバッグと、インパネクロスメンバ230と、複数の開放弁と、ガス圧調整装置510とを備える。
【0078】
ガス圧調整装置510は、インパネクロスメンバ230に接続され、インパネクロスメンバ230内のガス圧を調節する。これにより、上述したガス圧調整装置470と同様の利点を得ることができる。本実施形態にかかるガス圧調整装置510は、気体供給手段512と、流通路514と、電磁弁516とから構成される。
【0079】
気体供給手段512は、インパネクロスメンバ230に気体を供給する装置である。かかる気体供給手段としては、車両に設けられている空気ばね用コンプレッサやエアコンディショナ装置用コンプレッサ(図示せず)を好適に用いることができる。このように既設の装置を気体供給手段512として用いれば、コストの増大を招くことない。また空気ばね用コンプレッサやエアコン用高圧はガス流量が少ないため、インパネクロスメンバ230に過剰量の気体を供給することがない。このため、インパネクロスメンバ230内のガス圧を好適に調整することが可能である。
【0080】
流通路514は、気体供給手段512からの気体をインパネクロスメンバ230に流通させる。電磁弁516は、流通路514上に設けられかかる流通路514の開閉を制御する。なお、本実施形態においては流通路514の開閉手段として電磁弁516を用いたが、これに限定されず、流通路514の開閉を制御可能な部材であれば、如何なるものを用いてもよい。
【0081】
上記構成によれば、インパネクロスメンバ230内のガス圧が所定の値より低下すると電磁弁516が開状態となり、気体供給手段512からの気体が流通路514を通過してインパネクロスメンバ230に供給される。したがって、インパネクロスメンバ230内のガス圧を調整し所定の値に維持することができる。
【0082】
なお、上述した第1実施形態から第4実施形態においては、複数のエアバッグとして車両前座席近傍に設けられているエアバッグを例示して説明したが、これに限定するものではなく、複数のエアバッグを車両後座席近傍に設けられているエアバッグとしてもよい。その場合、車両後方にはインパネクロスメンバに該当する部材は存在しないため、ガスを密閉可能な部材を車両後方に設ければよい。
【0083】
また第1実施形態から第3実施形態において、複数の種類の開放弁の構成を説明したが、いずれの開放弁をいずれのエアバッグ装置に搭載してもよい。同様に、ガス圧調整装置等も、いずれのエアバッグ装置にも適用可能である。
【0084】
更に、ステアリングホイールは左右に回転するため、運転席用エアバッグ212を回転させないまたは流通路の一部に回転しても連通させる機能を設置する必要がある。コストを考慮すれば、運転席用エアバッグ212のみは従来同様インフレータにより、膨張展開させても問題はない。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に例示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0086】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば本発明の実施形態にかかるエアバッグ装置は、すべて、前部座席(運転席、助手席)に適用されるものであったが、後部座席にも、無論、適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、車両内の前座席近傍に設けられ、車両の衝突時等に膨張展開することにより、乗員や歩行者を衝撃から保護するエアバッグ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
100…車両、102…運転席、104…助手席、106…ステアリングホイール、108…インストルメントパネル、110…グローブボックス、112…フロント側ピラー、200…エアバッグ装置、212…運転席用エアバッグ、212a・214a・216a・218a・220a・222a・224a…流路部、212b…挿入孔、212c…溝部、212d…流路入口、212e…流路出口、214…助手席用エアバッグ、216…運転席用ニーエアバッグ、218…助手席用ニーエアバッグ、220…運転席側カーテンエアバッグ、222…助手席側カーテンエアバッグ、224…歩行者用エアバッグ、230…インパネクロスメンバ、242・244・246・248・250・252・254…開放弁、262…MGG、262a…ケース、262b…イニシエータ、264…キャップ、266…シール材、300…エアバッグ装置、312a・314a・316a・318a・320a・324a…流路部、312b…固定穴、312c…螺合部、312d…流路入口、312e…流路出口、312f…溝部、360…インフレータ、400…エアバッグ装置、442・444・446・448・450・452・454…開放弁、462…内側キャップ、464…バースト板、466…シール材、470…ガス圧調整装置、472…仕切板、474…バネ、510…ガス圧調整装置、512…気体供給手段、514…流通路、516…電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の前座席の近傍に設けられる複数のエアバッグと、
前記車両内前方に配置されるインストルメントパネルの内側に設けられ、前記複数のエアバッグに接続されるインパネクロスメンバと、
前記複数のエアバッグと前記インパネクロスメンバとの接続部分各々に設けられる複数の開放弁と、
を備え、
前記インパネクロスメンバは、ガスを加圧した状態で密閉するタンク構造を有し、
前記開放弁の少なくとも1つが開状態となることにより、前記インパネクロスメンバに密閉されていたガスが前記複数のエアバッグの少なくとも1つに供給されることを特徴する車両用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記開放弁はマイクロガスジェネレータを有し、
前記マイクロガスジェネレータが起爆することにより、前記開放弁が開状態となることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記インパネクロスメンバに接続されるインフレータを更に備え、
前記開放弁の少なくとも1つが開状態となるのと同時またはそれ以後に、前記インフレータがガスを発生させることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項4】
前記インパネクロスメンバに接続され該インパネクロスメンバ内のガス圧を調節するガス圧調節装置を更に備えることを特徴する請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項5】
前記ガス圧調節装置はコンプレッサであることを特徴する請求項4に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項6】
前記ガス圧調節装置は、ばね力によって押圧されるピストンであることを特徴する請求項4に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項7】
前記ガス圧調節装置は、
前記インパネクロスメンバに気体を供給する気体供給手段と、
前記気体供給手段からの気体を前記インパネクロスメンバに流通させる流通路と、
前記流通路の開閉を制御する電磁弁と、
を有し、
前記インパネクロスメンバ内のガス圧が所定の値より低下すると前記電磁弁が開状態となり、前記気体供給手段からの気体が前記流通路を通過して該インパネクロスメンバに供給されることを特徴する請求項4に記載の車両用エアバッグ装置。
【請求項8】
前記気体供給手段は、空気ばね用コンプレッサまたはエアコンディショナ装置用コンプレッサであることを特徴とする請求項7に記載の車両用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98697(P2011−98697A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256256(P2009−256256)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(503358097)オートリブ ディベロップメント エービー (402)
【復代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
【Fターム(参考)】