説明

エアロゾルを用いた無機材料パターンの形成方法

【課題】無機材料、特に難エッチング性材料においても微細な無機材料パターンを簡易で生産性が高く、低コストで形成できる方法を提供する。
【解決手段】無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)、及び前記エアロゾルをノズルから噴射し所定のパターンを有する被膜を介して基板に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)を含む無機材料パターンの形成方法であって、前記所定のパターンを有する被膜が、基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、次いで該レジスト膜に活性エネルギー線を直接又はマスクを介して照射し、さらに現像処理して形成された所定のパターンを有するレジスト膜であることを特徴とする無機材料パターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾルを用いた無機材料パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機材料を薄膜及び所定の形状に加工した無機材料パターンは、例えば、プリント配線板の配線、太陽電池用の電極、携帯電話等の液晶ディスプレイの電極、フラットパネルディスプレイの電極、薄膜コンデンサの誘電体層、無機EL素子の誘電体層等の用途に用いられている。上記無機材料パターンのうち、例えば配線や電極として使用される導電材料パターンを形成する方法としては、ドライエッチングやウェットエッチング等のプロセスが利用されている。ウェットエッチングによる導電材料パターン形成の一般的なプロセスは、導電被膜を有する基材上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜へマスクを介しまたは直接に一定のパターンを有する紫外線を照射しその後現像することでレジストパターンを形成する工程、導電被膜を溶解するエッチング工程、レジスト膜を剥離する工程からなる。しかし上記プロセスは、加工精度の点や難エッチング性導電材料パターンを形成する点において課題がある。
【0003】
一方最近、セラミックスなどの脆性材料の成膜方法としてエアロゾルデポジション法(AD法)が開発され注目されている。この方法は、脆性材料の微粒子をガスと混合してエアロゾル化し、ノズルを通して高速で基板に噴射して被膜を形成する方法である。特許文献1には、セラミックなどの超微粒子材料をノズルを通して基材上に噴射し堆積させて微細形状の造形物を形成する際に、基材から所定距離だけ離した位置に所定の開口パターンを有するマスクを配置し、開口を通過した超微粒子を基材上に堆積せしめることを特徴とする微細造形方法に関する発明が開示されている。しかしながら、基材とマスクが所定距離だけ離れているため、マスクの開口を通過した微粒子材料は基材の水平方向に対して広がりながら基材上に堆積することから、微細な無機材料パターンを形成する場合には、十分に満足する方法ではない。
【0004】
また、特許文献2には、エアロゾルデポジション法による複合構造物形成方法において、基材の表面に開口を有するマスクを密着させ、当該開口から露出する基材表面のみに脆性材料構造物を形成するとともに、前記マスクの材料としてエアロゾルデポジション法による被膜形成がなされないものを選定したことを特徴とする複合構造物の形成方法に関する発明が開示されている。該発明は、マスクを基材に密着させることでマスク開口に忠実な形状の構造物を形成することができる。しかしながら、微細な無機材料パターンを形成する場合には、微細な開口を有するマスクをあらかじめ作成する必要がある点、及び該マスクを精度よく基材に密着させる必要がある点から、十分に満足する方法ではない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−202171号公報
【特許文献2】特開2004−91854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無機材料、特に難エッチング性材料においても微細な無機材料パターンが形成でき、かつ簡易で生産性が高く、低コストで無機材料パターンが形成できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)、及び前記エアロゾルをノズルから噴射し所定のパターンを有する被膜を介して基板に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)を含む無機材料パターンの形成方法であって、前記所定のパターンを有する被膜が、基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、次いで該レジスト膜に活性エネルギー線を直接又はマスクを介して照射し、さらに現像処理して形成された所定のパターンを有するレジスト膜であることを特徴とする無機材料パターンの形成方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の形成方法によれば、無機材料、特に難エッチング性材料においても微細な無機材料パターンが形成でき、かつ簡易で生産性が高く、低コストで無機材料パターンが形成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の無機材料パターンの形成方法は、無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)、及び前記エアロゾルをノズルから噴射し所定のパターンを有する被膜を介して基板に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)を含む無機材料パターンの形成方法であって、前記所定のパターンを有する被膜が、基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、次いで該レジスト膜に活性エネルギー線を直接又はマスクを介して照射し、さらに現像処理して形成された所定のパターンを有するレジスト膜であることを特徴とする無機材料パターンの形成方法である。
【0010】
本発明の所定のパターンを有するレジスト膜は、基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、次いで該レジスト膜に活性エネルギー線を直接又はマスクを介して照射し、さらに現像処理することにより形成される。
【0011】
上記工程に使用するレジスト組成物は特に限定されるものではなく、例えばネガ型レジスト組成物、ポジ型レジスト組成物等のレジスト組成物を使用することができる。
【0012】
本発明に用いる前記ネガ型レジスト組成物としては、活性エネルギー線照射によりネガ型レジスト組成物からなるレジスト膜が、照射部は硬化若しくは極性の変化等により該照射部が現像液に対して実質的に不溶ないし難溶となるものであって、照射しない部分は前記現像液に対して可溶となるものであれば、特に限定することなく使用することができる。また、ネガ型レジスト組成物は有機溶剤型ネガ型レジスト組成物であってもよく、水性ネガ型レジスト組成物であってもよい。
【0013】
ネガ型レジスト組成物としては、例えば、重合性不飽和基を有する樹脂及び光重合開始剤を含有するネガ型レジスト組成物;重合性不飽和基を有しないカルボキシ基含有アクリル樹脂、エチレン性不飽和化合物及び光重合開始剤を含有するネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
【0014】
重合性不飽和基を有する樹脂及び光重合開始剤を含有するレジスト組成物について、その一例を詳細に説明する。
【0015】
重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えば、重合性不飽和基を有するアクリル樹脂;エポキシ(メタ)アクリレートと多塩基性カルボン酸又はその無水物との反応物である重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂等が挙げられる。ここで、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、「メタクリレート」と「アクリレート」の両方を意味するものとする。
【0016】
上記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の重合性不飽和基は、光重合開始剤の存在下、活性エネルギー線照射により重合しうる基であり、具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイル基〔CH=CR−CO−(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す)〕、シンナモイル基、アリル基、アジド基、シンナミリデン基等が挙げられる。
【0017】
重合性不飽和基を有するアクリル樹脂は、一般に1,000〜100,000、好ましくは3,000〜80,000の範囲内の数平均分子量を有することができ、そのガラス転移温度(Tg)は−20℃〜100℃が好ましく、特に−10〜90℃の範囲内であればレジスト膜のタック性及び光硬化性確保の点で好ましい。
【0018】
ここで、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0019】
また、本発明において、ガラス転移温度(℃)は、示差走査熱量計「DSC−220U」(セイコーインスツルメント社製)を用いて測定される値である。試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、10℃/分の昇温速度で−20℃〜+200℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点をガラス転移温度とする。
【0020】
重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂が挙げられる。この樹脂は、例えば、高酸価アクリル樹脂にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させることにより製造することができる。その際使用される高酸価アクリル樹脂は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−エチレン性不飽和酸を必須成分とし、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類;スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のその他の重合性不飽和単量体を共重合させることにより得られる。
【0021】
α,β−エチレン性不飽和酸は、高酸価アクリル樹脂の酸価が一般に10〜650(mgKOH/g)、好ましくは20〜500(mgKOH/g)の範囲になるような量で使用することができる。また、高酸価アクリル樹脂の数平均分子量及びガラス転移温度(Tg)は、該高酸価アクリル樹脂にエポキシ基含有不飽和化合物が付加されて得られる樹脂が前記した数平均分子量及びTgを有するように適宜調整される。
【0022】
ここで、本明細書において、酸価(mgKOH/g)は、樹脂固形分1gに含まれる酸基の量を水酸化カリウムに換算したときの水酸化カリウムのmg数で表したものである。水酸化カリウムの分子量は56.1とする。
【0023】
酸価の測定は、JIS K−5601−2−1(1999)に準拠して行う。試料をトルエン/エタノール=2/1体積比の混合溶剤で溶解し、フェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウム溶液で滴定し、下記式により算出する。
酸価(mgKOH/g)=56.1×V×C/m
V:滴定量(ml)、C:滴定液の濃度(mol/l)、m:試料の固形分重量(g)
【0024】
一方、上記高酸価アクリル樹脂に付加せしめられるエポキシ基含有不飽和化合物としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0025】
前記した高酸価アクリル樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との付加反応は、それ自体既知の方法に従い、例えば、テトラエチルアンモニウムブロマイド等の触媒を用いて80〜120℃で1〜7時間反応させることによって容易に行うことができる。
【0026】
エポキシ(メタ)アクリレートと多塩基性カルボン酸又はその無水物との反応物である重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物を(メタ)アクリル酸と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートと多塩基性カルボン酸又はその無水物との反応物である重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂が挙げられる。
【0027】
エポキシ樹脂とエピハロヒドリンの反応物(以下、「反応物(a)」と略すことがある)は、例えば、エポキシ樹脂の水酸基とエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを、アルカリ金属水酸化物存在下においてジメチルスルホキシド又は4級アンモニウム塩を使用して反応させることにより得ることができる。
【0028】
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、及びこれらエポキシ樹脂の芳香族環に結合した水素原子の一部若しくは全部をハロゲン原子若しくはアルキル基で置換したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0029】
エポキシ(メタ)アクリレートは、反応物(a)と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得ることができる。
【0030】
反応物(a)と(メタ)アクリル酸の反応において、(メタ)アクリル酸の配合量は、特に限定されるものではなく、例えば反応物(a)のエポキシ基1当量に対して(メタ)アクリル酸のカルボキシ基が0.8〜1.5当量となるようにするのが好ましい。
【0031】
反応時に希釈剤として、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ソルベントナフサ等の溶剤類を使用することができる。
【0032】
また、反応を促進させるために触媒として、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、トリフェニルフォスフィン等を使用することが好ましい。
【0033】
次に、前記エポキシ(メタ)アクリレートと多塩基性カルボン酸又はその無水物とを反応させることにより重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂を得ることができる。多塩基性カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘッド酸等及びこれらの酸の無水物等が挙げられる。前記反応は前記エポキシ(メタ)アクリレート中の水酸基1モルに対して、前記の多塩基性カルボン酸又はその無水物を、好ましくは0.05〜1.00モル反応させる。反応温度は特に限定されないが、好ましくは60〜150℃の範囲、さらに好ましくは80〜100℃の範囲である。重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂の酸価(mgKOH/g)は30〜150の範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜120の範囲である。これら範囲は、光硬化性、レジスト膜のパターン形成性の点で意義がある。
【0034】
ネガ型レジスト組成物に用いる光重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収してラジカルを発生する開始剤であれば特に限定されることなく使用できる。光重合開始剤としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α′−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2′−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α′−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0035】
上記光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−184、同261、同369、同500、同651、同907、同CGI−1700(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、ダロキュア(Darocur)−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(メルクジャパン社製、商品名)、カヤキュア(KAYACURE)−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(日本化薬社製、商品名)、ビキュア(VICURE)−10、同55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(TRIGONAL)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、同ITX、同EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕等を挙げることができる。光重合開始剤としては、光硬化性確保、現像性等の点からアセトフェノン類が好ましい。
【0036】
光重合開始剤の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、重合性不飽和基を有する樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは1〜10重量部の範囲である。この範囲の下限値は、光硬化性確保の点で意義があり、上限値はレジスト膜のパターン形成性及びコストの点で意義がある。
【0037】
また、前記ネガ型レジスト組成物には、エチレン性不飽和化合物を含有することができる。エチレン性不飽和化合物は、その化学構造中にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個以上含有する化合物であって、かつ前記重合性不飽和基を有する樹脂以外のエチレン性不飽和化合物であり、重合開始剤存在下での活性エネルギー線照射により重合することで、照射部分のアルカリ現像液に対する不溶化等をもたらす機能を有するような化合物が挙げられる。
【0038】
1官能のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
2官能以上の多官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
これらのエチレン性不飽和化合物は、単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0041】
エチレン性不飽和化合物は、光硬化性確保の点から、2官能以上の多官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
【0042】
エチレン性不飽和化合物の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、重合性不飽和基を有する樹脂100重量部に対して、0.5〜50重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは1〜40重量部の範囲である。この範囲の下限値は、光硬化性確保の点で意義があり、上限値はレジスト膜のタック性の点で意義がある。
【0043】
また、前記ネガ型レジスト組成物には、基板への密着性向上を目的にシランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤は、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロ基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基含有シランカップリング剤を用いることが、基板に対する密着性を保持しつつ剥離液に対する剥離性が優れる点、光硬化性確保の点から好ましい。
【0044】
シランカップリング剤の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、重合性不飽和基を有する樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.05〜20重量部の範囲、特に好ましくは0.1〜15重量部の範囲である。これら範囲の下限値は、基板に対する密着性向上の点で意義があり、上限値は剥離性の点で意義がある。また、含有量が上限値を越える場合、レジスト膜の作成後から活性エネルギー線照射までの時間が長いと、得られるレジストパターンの線幅が太くなったり、照射部と未照射部の境界部のシャープさがなくなるため、好ましくない。
【0045】
また、前記ネガ型レジスト組成物は、ハレーションの防止を目的に光吸収剤を配合することができる。ハレーションとは、レジスト膜が形成された基板を透過した照射光がステージで反射してレジスト膜のパターン形成性を阻害する現象である。光吸収剤としては、例えば、400nm以上の波長を吸収する光吸収剤が挙げられる。400nm以上の波長を吸収する光吸収剤としては、例えばモノアゾ系化合物等が挙げられる。また、モノアゾ系化合物としては例えば下記一般式(I)で表される化合物等が挙げられる。
【0046】
【化1】

(ここで、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表し、R2は5個以上の炭素原子を有するアルキル基を表し、R3は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Bはニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、塩素、臭素、フェニル基又はフェノキシ基を有していてもよいベンゼン環を表す。)
さらに、一般式(I)で表される化合物としては、例えば下記化学式(II)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【化2】

【0048】
光吸収剤としては、レジスト組成物への溶解性及びハレーション防止性能の点から、上記一般式(I)で表される化合物が好ましく、さらに好ましくは上記一般式(II)で表される化合物である。
【0049】
光吸収剤の具体例としては、ORASOL YELLOW 4GN(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、OIL COLORS YELLOW 3G SOLVENT YELLOW 16 (オリエント化学社製、商品名)、OIL COLORS YELLOW GGS SOLVENT YELLOW 56 (同左)、OIL COLORS YELLOW 105(同左)、OIL COLORS YELLOW 129 SOLVENT YELLOW 29 (同左)、NEPTUN YELLOW 075 (BASF社製、商品名)などが挙げられる。
【0050】
光吸収剤の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、重合性不飽和基を有する樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.1〜7重量部、特に好ましくは0.8〜7重量部の範囲である。
【0051】
また、前記ネガ型レジスト組成物は上記した以外に、飽和樹脂を使用することができる。該飽和樹脂としては、ネガ型レジスト組成物の現像液に対する溶解性を調整するために使用することができる。このものとしては、例えば、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂、合成ゴム、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂等が包含される。これらの樹脂は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0052】
また、前記ネガ型レジスト組成物は上記した以外に、光増感剤を使用することもできる。光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3ー置換クマリン系、クマリン系、3.4ー置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系等の色素が挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。ボレート系光増感色素としては、例えば、特開平5−241338号公報、特開平7−5685号公報及び特開平7−225474号公報等に記載のものが挙げられる。
【0053】
また、ネガ型レジスト組成物が、有機溶剤型ネガ型レジスト組成物の場合には、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。上記有機溶剤は粘度調整等の目的で使用することがきる。この有機溶剤としては、前記成分を溶解できる有機溶剤であれば特に限定されることなく使用できる。具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;エチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
【0054】
本発明に用いるポジ型レジスト組成物としては、活性エネルギー線照射によりポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜が、照射部は極性の変化若しくは化学結合の分解等により現像液に対して可溶となるものであって、照射しない部分は現像液に対して実質的に不溶ないし難溶となるものであれば、特に限定することなく使用することができる。また、ポジ型レジスト組成物は有機溶剤型ポジ型レジスト組成物であってもよく、水性ポジ型レジスト組成物であってもよい。
【0055】
ポジ型レジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤及び樹脂を含有するレジスト組成物が挙げられる。光酸発生剤は化学結合を介して樹脂に結合しているものであってもよい。
【0056】
ポジ型レジスト組成物としては、具体的には例えば、ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜への加熱によりアルカリ性現像液や酸性現像液に対して実質的に不溶ないし難溶の架橋被膜を形成し、更に活性エネルギー線照射により酸基を発生する光酸発生剤により化学結合が切断されて照射部がアルカリ性現像液や酸性現像液等の現像液に対して可溶となるメカニズムを利用したポジ型レジスト組成物が挙げられる。また、イオン形成基を有するアクリル樹脂等の基体樹脂にキノンジアジドスルホン酸類をスルホン酸エステル結合を介して結合させた樹脂を主成分とする組成物、即ち活性エネルギー線照射によりキノンジアジド基が光分解してケテンを経由してインデンカルボン酸を形成する反応を利用したナフトキノンジアジド系レジスト組成物も挙げられる。
【0057】
レジスト膜への加熱により不溶の架橋被膜を形成し、更に活性エネルギー線照射により化学結合が切断されて照射部が現像液に対して可溶となるメカニズムを利用したポジ型レジスト組成物としては、例えば、カルボキシ基とヒドロキシフェニル基を含有するアクリル樹脂、一分子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含有する化合物、及び光酸発生剤を含有するポジ型レジスト組成物が挙げられる。また、特開平6−295064号公報、特開平6−308733号公報、特開平6−313134号公報、特開平6−313135号公報、特開平6−313136号公報等に記載されたものも使用することができる。
【0058】
また、イオン形成基を有する基体樹脂にキノンジアジドスルホン酸類をスルホン酸エステル結合を介して結合させた樹脂を主成分とする組成物としては、特開昭61−206293号公報、特開平7−133449号公報等に記載されたものを使用することができる。
【0059】
光酸発生剤は、活性エネルギー線照射により酸を発生する化合物であり、従来から公知のものを使用することができる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩等のオニウム塩類、鉄−アレン錯体類、ルテニウムアレン錯体類、シラノール−金属キレート錯体類、トリアジン化合物類、ジアジドナフトキノン化合物類、スルホン酸エステル類、スルホン酸イミドエステル類、ハロゲン系化合物類等を使用することができる。また、これら以外に、特開平7−146552号公報、特願平9−289218号に記載の光酸発生剤も使用することができる。光酸発生剤の含有量は特に限定されるものではない。例えば、樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.2〜20重量部の範囲である。
【0060】
また本発明に用いるポジ型レジスト組成物には、必要に応じて前記シランカップリング剤、光吸収剤、光増感剤等を配合することができる。
【0061】
本発明に用いる基板は、特に限定されるものではない。例えば、電気絶縁性のガラス基板、ガラス−エポキシ基板、プラスチック基板等が使用できる。プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル等のフィルム若しくは板等が挙げられる。
【0062】
基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により行うことができる。例えば、レジスト組成物を基板表面に塗布し、必要に応じて乾燥することにより基板表面にレジスト膜を形成させることができる。また、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のベースフィルム表面にレジスト組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することによりベースフィルム表面にレジスト層が形成されたドライフィルムを作成し、次いで該ドライフィルムを基板表面と該レジスト層が接するようにして加熱若しくは圧着等を行い、その後ベースフィルムを剥離することにより基板表面にレジスト膜を形成させることができる。
【0063】
基板表面にレジスト組成物を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。具体的には、例えば、ローラー、ロールコーター、スピンコーター、カーテンロールコーター、スリットコーター、スプレー、静電塗装、浸漬塗装、シルク印刷等により塗布することができる。
【0064】
次いで、必要に応じてセッティングした後、常温もしくは所定の乾燥条件で乾燥することにより基板表面にレジスト膜が形成される。
【0065】
上記工程により基板表面に形成されたレジスト膜に、直接又はマスクを介して活性エネルギー線が照射される。
【0066】
活性エネルギー線の光源は、従来から公知の光源を使用することができる。具体的には、例えば、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、タングステン灯等が挙げられる。
【0067】
活性エネルギー線としては、特に限定されるものではなく、例えば、紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線、可視光レーザー、紫外線レーザー等)並びに、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の3混線を含むもの等が挙げられる。
【0068】
活性エネルギー線の照射量は、特に限定されるものではない。レーザー光により直接に活性エネルギー線照射をする場合は、好ましくは1〜100J/m、さらに好ましくは10〜80J/mの範囲である。また、マスクを介して活性エネルギー線照射をする場合は、好ましくは100〜10000J/m、さらに好ましくは300〜7000J/mの範囲である。この範囲の下限値は感光性確保の点で意義がある。また上限値はレジスト膜のパターン形成性の点で意義がある。
【0069】
前記レジスト組成物が、光酸発生剤を含有するレジスト組成物である場合、活性エネルギー線照射後のレジスト膜は、必要に応じて加熱される。加熱条件は特に限定されるものではないが、通常、80〜140℃で1〜60分間行う。
【0070】
レジスト膜の膜厚は特に限定されるものではない。例えば、0.5〜20μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜10μmであり、特に好ましくは1〜5μmの範囲である。これら範囲の下限値はレジスト膜のパターン形成性の点及び後述のエアロゾルデポジション法に対する耐性で意義があり、上限値は無機材料パターンの形成性の点で意義がある。
【0071】
活性エネルギー線照射後のレジスト膜は現像処理される。
【0072】
現像処理は通常、現像液により行われる。現像液としては、アルカリ現像液、酸性現像液、溶剤系現像液等、特に限定されるものではなく、従来公知の現像液が使用できる。例えば、アルカリ現像液としては、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、メタ珪酸ソーダ、メタ珪酸カリ、炭酸ソーダ、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。また、酸性現像液としては、例えば、酢酸、蟻酸、ヒドロキシ酢酸等が挙げられる。現像液の濃度は、通常、0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%の範囲である。現像処理は、通常、20〜50℃の温度で通常20〜120秒間の範囲である。
【0073】
上記工程により、基板表面に所定のパターンを有するレジスト膜が形成される。
【0074】
続いて、本発明の無機材料パターンの形成方法は、上記で作成した所定のパターンを有するレジスト膜が基板表面に形成された基板に、無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)により形成したエアロゾルをノズルから噴射して、前記所定のパターンを有するレジスト膜を介して前記基板上にエアロゾルを衝突させ前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程を含む。
【0075】
上記工程のうち、無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)及び前記エアロゾルをノズルから噴射し所定のパターンを有するレジスト膜を介して基板上に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)は、いわゆるエアロゾルデポジション法に従い行うことができる。
【0076】
本発明に用いる無機材料微粒子は、特に限定されるものではなく、従来公知の無機材料微粒子を用いることができる。無機材料微粒子としては、具体的には例えば、金、銀、銅、クロム等の金属微粒子;酸化アルミニウム、酸化チタン等の非導電性金属酸化物微粒子;酸化スズ、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物微粒子;チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛等の誘電体微粒子が挙げられる。該微粒子は、例えば気相法や液相法、固相法といった従来公知の製造方法により製造したものを使用することができる。一般的な気相法としては、例えば、原料化合物を加熱して蒸発させ、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気ガス中で凝集させて微粒子を製造する蒸発凝縮法や、蒸気圧の高い金属塩化物、揮発性オキシ塩化物、金属アルコキシド、有機金属化合物等を原料化合物として使用し、高温で加熱分解させる気相反応法等が挙げられる。また液相法としては、例えば、金属塩水溶液又は金属アルコキシドから化学反応により固体粒子を析出させる化学沈殿法や、金属アルコキシドの加水分解と重縮合反応から微粒子を得るアルコキシド法、高温高圧の水熱条件を利用する水熱合成法等がある。また固相法としては、例えば、原料の金属酸化物微粒子を混合して分散した後、焼成を行い、さらに粉砕して微粒子を製造する方法等が挙げられる。
【0077】
前記無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)は、エアロゾルデポジション法において用いられている従来公知の方法により行うことができる。工程(I)の一態様を、図1を参照して以下に説明する。
【0078】
エアロゾルは、エアロゾル発生器3内で前記無機材料微粒子とキャリアガスを混合することにより形成される。本発明において、エアロゾルとは、キャリアガス中に無機材料微粒子を分散させたものである。
【0079】
エアロゾル発生器3は、前記無機材料微粒子を収容する容器を備えている。該容器は、通常キャリアガスを導入する導入部と、前記エアロゾルを導出する導出部を有している。またエアロゾル発生器3には、必要に応じて前記容器に振動を与える振動装置、電界を与える電界発生装置、熱を与える加熱装置等を付加することができる。
【0080】
キャリアガスは、形成した無機材料パターンの性能に影響を与えない範囲であれば特に限定することなく従来公知のキャリアガスを使用することができる。具体的には例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン及び乾燥空気等が挙げられる。また、これらキャリアガスは単独で又は2種以上混合して使用することができる。キャリアガスは通常、前記導入部に接続したガスボンベ1より前記容器に導入する。
【0081】
キャリアガスの流量は特に限定されるものではない。好ましくは6〜15L/分である。この範囲であれば、エアロゾルを安定的に形成することができる。
【0082】
無機材料微粒子とキャリアガスの混合は、前記容器に所定量の無機材料微粒子を入れ、そこへキャリアガスを導入することにより行うことができる。無機材料微粒子はキャリアガスにより巻き上げられ、容器内にエアロゾルを形成する。
【0083】
また、エアロゾルを形成する際に、前記容器に振動装置により振動を与える手段、電界発生装置により電界を与える手段、加熱装置により熱を与える手段等を適宜行うことにより、エアロゾルをより安定的に形成することができる。
【0084】
また、エアロゾルは、分級によりエアロゾル中の無機材料微粒子の粒径、粒度分布等を適宜調整することができる。このことにより、無機材料パターンの形成に有効な粒径若しくは粒径分布の無機材料微粒子をノズル5から噴射することができるため、緻密な無機材料パターンの形成が可能となる。分級は、従来公知の分級器によって行うことができる。分級器は、例えばエアロゾル発生器3の容器内、エアロゾル発生器3の導出部又は導出部からノズル5へエアロゾルを搬送する搬送管4等に設置することができる。
【0085】
また、エアロゾルは、解砕によりエアロゾル中の無機材料微粒子の凝集を解砕することができる。このことにより、無機材料パターンの形成に有効な無機材料微粒子のみをノズル5から噴射することができるため、緻密な無機材料パターンの形成が可能となる。解砕は、従来公知の解砕器によって行うことができる。解砕器は、例えばエアロゾル発生器3の容器内、エアロゾル発生器3の導出部又は導出部からノズルへエアロゾルを搬送する搬送管4等に設置することができる。
【0086】
前記工程(I)により形成したエアロゾルをノズル5から噴射して所定のパターンを有するレジスト膜を介して基板に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)は、エアロゾルデポジション法において用いられている従来公知の方法により行うことができる。例えば、工程(II)の一態様として以下の方法が挙げられる。
【0087】
前記工程(I)により形成したエアロゾルを、前記容器の導出部に接続した搬送管4を介して成膜室6内のノズル5へ搬送する。そして、ノズル5へ搬送したエアロゾルを、所定の噴射速度により噴射して所定のパターンを有するレジスト膜を介して基板7に衝突させ、この衝突により基板7上に所定膜厚の無機材料パターンを形成する。
【0088】
成膜室6の内部の圧力は、大気圧でもよくまた減圧状態であってもよい。得られる無機材料パターンの膜硬度の点、並びに連続生産が可能な点から、1,000〜50,000Paの減圧状態が好ましい。
【0089】
成膜室6内の温度は特に限定されるものではなく、例えば、約20℃程度で行うことができる。
【0090】
ノズル5は、特に限定されるものではなく従来公知のノズルを使用することができる。ノズル5は所定の噴射速度を容易に得ることができる点からラバルノズルが好ましい。
ノズル5の口径としては特に限定されるものではない。ノズル5の口径は、噴射速度の点から0.5〜1mmの範囲が好ましい。
【0091】
ノズル5は、成膜室内に1つであってもよく、また複数であってもよい。複数のノズル5を設置する場合は、1つのエアロゾル発生器でエアロゾルを形成させ、そのエアロゾルを複数のノズルから噴射させてもよく、または複数のエアロゾル発生器と複数のノズルを用い、複数のエアロゾル発生器でエアロゾルを形成させ、そのエアロゾルをそれぞれのエアロゾル発生器と1対1に対応したノズルから噴射させてもよい。成膜速度の点及び大面積の無機材料パターンを製造が容易となる点から、複数のノズルを設置し、複数のノズルからエアロゾルを噴射することが好ましい。
【0092】
噴射速度は、特に限定されるものではなく、エアロゾルの噴出量、ノズル形状、ノズルと基板の距離、ノズル及び/又は基板の走査速度、並びに形成膜厚等に応じて適宜選択することができる。好ましい噴射速度は100〜1,000m/秒の範囲であり、より好ましくは500〜700m/秒の範囲である。この範囲であれば、緻密な無機材料パターンを形成することができる。
【0093】
また、ノズル5と基板7の距離は特に限定されるものではない。好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは10〜20mmである。これら範囲は、エアロゾルの衝突速度の点、及び無機材料パターンの成形に関与しない跳ね返り粒子の悪影響を軽減する点で意義がある。
【0094】
エアロゾルをノズル5から噴射して基板7に衝突させる際のノズル5の噴射方向と基板7表面の角度は、特に限定されるものではない。ノズル5の噴射方向は、好ましくは基板7表面の垂直方向から0°〜10°の範囲であり、より好ましくは0°〜5°である。
【0095】
エアロゾルをノズル5から噴射して基板7に衝突させる際は、ノズル5と基板7は相対的に走査しながら行う。この場合、基板を固定しておきノズルを走査させてもよく、またはノズルを固定しておき基板を走査させてもよい。さらに基板とノズルを共に走査させてもよい。具体的には、基板とノズルを共に走査させる方法であって、基板を搬送装置上に設置し一定方向に移動させその移動方向に対して垂直方向にノズルを走査させる方法が、連続製造や大面積の製造に対応しやすい点で好ましい。
【0096】
前記工程(II)により形成した無機材料パターンの膜厚は、特に限定されるものではなく、形成される無機材料パターンの用途に応じて適宜選択される。
【0097】
また、本発明の無機材料パターンの形成方法は、上記工程(II)の後にレジスト膜を剥離する工程(III)を含むこともできる。
【0098】
剥離工程(III)は、従来公知のレジスト膜の剥離工程を利用することができる。例えば、レジスト膜は、アルカリ水溶液、有機溶剤等の剥離液を用いて洗い流すことにより剥離させることができる。アルカリ水溶液は、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の水溶液を使用することができる。また、有機溶剤は、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の溶剤を使用することができる。上記剥離液を用いた剥離工程は、通常、20〜80℃の温度で0.5〜30分間浸漬することにより行われる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「重量部」及び「重量%」を示す。
【0100】
<製造例1(樹脂1の製造)>
スチレン60部、メチルアクリレート10部、アクリル酸30部及びアゾビスイソブチロニトリル3部からなる混合液を、窒素ガス雰囲気下において120℃に保持したエチレングリコールモノメチルエーテル90部中に3時間を要して滴下した。滴下後、1時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1部とエチレングリコールモノメチルエーテル10部からなる混合液を1時間要して滴下し、さらに5時間熟成させて高酸価アクリル樹脂(樹脂酸価約230mgKOH/g)溶液を得た。次に、この溶液にグリシジルメタクリレート35部、ハイドロキノン0.13部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6部を加えて空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(樹脂酸価約70mgKOH/g、重合性不飽和基濃度1.83モル/kg、Tg点45℃、数平均分子量約15,000)溶液(樹脂1)を得た。この樹脂溶液は固形分含有量が約57%であった。
【0101】
<製造例2(樹脂2の製造)>
エポキシ当量650(g/eq)のビスフェノールF型エポキシ樹脂371部をエピクロロヒドリン925部とジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた。その後、98.5%NaOH24.3部を添加して70℃で3時間反応を行った。次いで、未反応のエピクロロヒドリン及びジメチルスルホキシドを減圧留去し、さらに反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させた。その後、30%NaOH水溶液10部を添加して70℃で1時間反応を行った。反応終了後、水で洗浄し、次いでメチルイソブチルケトンを留去してエポキシ当量379(g/eq)の反応物365部を得た。
【0102】
上記反応物365部をアクリル酸66部とジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート232.1部に溶解させた後、メトキノン0.7部及びトリフェニルフォスフィン2.4部の存在下で反応を行った。酸価が1.0(mgKOH/g)以下になったことを確認し、無水マレイン酸95.3部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート51.5部を添加し反応を行った。酸価が100(mgKOH/g)になったところで反応を終了して、重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂溶液(樹脂2)を得た。この樹脂溶液の固形分含有量は約65%であった。
【0103】
<製造例3(樹脂3の製造)>
テトラヒドロフラン200部、p−ヒドロキシスチレン65部、n−ブチルアクリレート28部、アクリル酸11部及びアゾビスイソブチロニトリル3部の混合物を100℃で2時間反応させて得られた反応物を1500ccのトルエン溶剤中に注ぎ込み、反応物を沈殿、分離した後、沈殿物を60℃で乾燥して数平均分子量約5200、ヒドロキシフェニル基含有量4.6モル/Kgの樹脂(樹脂3)を得た。
【0104】
<製造例4(樹脂4の製造)>
テトラヒドロフラン200部、p−ヒドロキシスチレン65部、ジメチルアミノエチルメタクリレート18部、n−ブチルアクリレート17部及びアゾビスイソブチロニトリル3部の混合物を100℃で2時間反応させて得られた反応物を1500ccのトルエン溶剤中に注ぎ込み、反応物を沈殿、分離した後、沈殿物を60℃で乾燥して数平均分子量約5000、ヒドロキシフェニル基含有量4.6モル/Kgの樹脂(樹脂4)を得た。
【0105】
<製造例5(ネガ型レジスト組成物1の製造)>
製造例1で得た重合性不飽和基を有するアクリル樹脂溶液(樹脂1)175部(固形分量で100部)をメチルアミルケトン330部に溶解させた後、アロニックスM−210(商品名、東亞合成社製、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート)20部、シリコーンKBM−503(商品名、信越化学工業社製、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)1部、イルガキュア−369(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、光重合開始剤)5部、NEPTUN YELLOW 075[商品名、BASF社製、化学式(II)で表される光吸収剤]5部を加えて混合し、均一なネガ型レジスト組成物1を得た。
【0106】
<製造例6(ネガ型レジスト組成物2の製造)>
製造例2で得た重合性不飽和基を有するポリカルボン酸樹脂溶液(樹脂2)154部(固形分量で100部)をメチルアミルケトン330部に溶解させた後、アロニックスM−210 20部、シリコーンKBM−503 1部、イルガキュア−369 5部、NEPTUN YELLOW 075 5部を加えて混合し、均一なネガ型レジスト組成物2を得た。
【0107】
<製造例7(ポジ型レジスト組成物1の製造)>
製造例3で得た樹脂(樹脂3)100部にジビニルエーテル化合物(ビスフェノールA1モルと2−クロロエチルビニルエーテル2モルとの縮合物)60部、NAI−105(商品名、みどり化学社製、光酸発生剤)10部、NKX−1595(商品名、林原生物化学研究所社製、クマリン系光増感剤)1.5部及びジエチレングリコールジメチルエーテルを配合して混合攪拌し、均一なポジ型レジスト組成物1を得た。
【0108】
<製造例8(ポジ型レジスト組成物2の製造)>
製造例4で得た樹脂(樹脂4)100部にジビニルエーテル化合物(ビスフェノールA1モルと2−クロロエチルビニルエーテル2モルとの縮合物)60部、NAI−105 10部、NKX−1595 1.5部及びジエチレングリコールジメチルエーテルを配合して混合攪拌し、均一なポジ型レジスト組成物2を得た。
【0109】
<製造例9(所定のパターンを有するレジスト膜で被覆した基板1の作成)>
透明なガラス基板(200mm×200mm×1.1mm)上に製造例5で製造したネガ型レジスト組成物1をスピンコーターにて塗布し、60℃にて1分乾燥して膜厚3μmのレジスト膜を作成した。次いで、レジスト膜が表面に形成されたガラス基板に、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の3混線を含むUVランプ(35気圧)の活性エネルギー線をライン&スペース(L/S)パターンが30μm/100μmのマスクを介して照射量500J/mで照射した。更に、25℃の0.25重量%炭酸ソーダ水溶液で30秒間現像を行い、30μm/100μmのライン&スペース(L/S)パターンを有するレジスト膜で被覆したガラス基板1(レジストパターン被覆ガラス基板1)を得た。
【0110】
<製造例10(所定のパターンを有するレジスト膜で被覆した基板2の作成)>
ネガ型レジスト組成物1をネガ型レジスト組成物2に変更した以外は製造例9と同様の方法により、30μm/100μmのL/Sパターンを有するレジスト膜で被覆したガラス基板2(レジストパターン被覆ガラス基板2)を得た。
【0111】
<製造例11(所定のパターンを有するレジスト膜で被覆した基板3の作成)>
透明なガラス基板(200mm×200mm×1.1mm)上に製造例7で製造したポジ型レジスト組成物1をスピンコーターにて塗布し、100℃にて20分乾燥して膜厚3μmのレジスト膜を作成した。次いで、レジスト膜が表面に形成されたガラス基板に、アルゴンレーザー(発振線488nm)をライン&スペース(L/S)パターンが30μm/100μmになるように照射量50J/mで直接に照射した。次いで、該ガラス基板を110℃にて20分加熱した。更に、25℃の0.25重量%炭酸ソーダ水溶液で30秒間現像を行い、30μm/100μmのL/Sパターンを有するレジスト膜で被覆したガラス基板3(レジストパターン被覆ガラス基板3)を得た。
【0112】
<製造例12(所定のパターンを有するレジスト膜で被覆した基板4の作成)>
透明なガラス基板(200mm×200mm×1.1mm)上に製造例8で製造したポジ型レジスト組成物2をスピンコーターにて塗布し、100℃にて20分乾燥して膜厚3μmのレジスト膜を作成した。次いで、レジスト膜が表面に形成されたガラス基板に、アルゴンレーザー(発振線488nm)をライン&スペース(L/S)パターンが30μm/100μmになるように照射量50J/mで直接照射した。次いで、該ガラス基板を110℃にて20分加熱した。更に、25℃の1%酢酸水溶液で30秒間現像を行い、30μm/100μmのL/Sパターンを有するレジスト膜で被覆したガラス基板4(レジストパターン被覆ガラス基板4)を得た。
【0113】
<実施例1(無機材料パターンの形成1)>
錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子をエアロゾル発生器内の収容容器に入れた。続いて、該容器を振動装置により振動させながら、キャリアガスとして窒素を10L/minの流量で導入部より該容器内に導入し、エアロゾルを発生させた。続いて、発生したエアロゾルを導出部より導出し10,000Paに減圧された20℃の成膜室内に設置したノズルから噴射し、成膜室内に設置した製造例9で作成した30μm/100μmのL/Sパターンを有するレジスト膜で被覆したガラス基板1に衝突させ該ガラス基板上に膜厚174nmのITO透明導電被膜パターンを形成させた。なお、使用したノズルは口径0.8mmのラバルノズルであり、ノズルとガラス基板の距離は15mm、ノズルの噴射方向とガラス基板表面の角度は基板表面の垂直方向から0°、噴射速度は600m/secであり、ノズルを固定した状態でステージを走査させながら成膜を行った。さらに、該ガラス基板1を50℃の5%水酸化ナトリウム水溶液に1分浸漬して、レジスト膜を剥離した。
【0114】
形成されたITO透明導電被膜パターンは、透明性があり、良好なパターン形状を有しており、かつ導電性も良好であった。
【0115】
<実施例2(無機材料パターンの形成2)>
ガラス基板1を製造例10で製造したレジストパターン被覆ガラス基板2に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ITO透明導電材料パターンを形成した。
【0116】
形成されたITO透明導電材料パターンは、透明性があり、良好なパターン形状を有しており、かつ導電性も良好であった。
【0117】
<実施例3(無機材料パターンの形成3)>
ガラス基板1を製造例11で製造したレジストパターン被覆ガラス基板3に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ITO透明導電材料パターンを形成した。
【0118】
形成されたITO透明導電材料パターンは、透明性があり、良好なパターン形状を有しており、かつ導電性も良好であった。
【0119】
<実施例4(無機材料パターンの形成4)>
ガラス基板1を製造例12で製造したレジストパターン被覆ガラス基板4に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ITO透明導電材料パターンを形成した。
【0120】
形成されたITO透明導電材料パターンは、透明性があり、良好なパターン形状を有しており、かつ導電性も良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】無機材料パターンの作成装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0122】
1:ガスボンベ
2:ガス搬送管
3:エアロゾル発生器
4:搬送管
5:ノズル
6:成膜室
7:基板
8:ステージ
9:真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機材料微粒子にキャリアガスを混合してエアロゾルを形成する工程(I)、及び前記エアロゾルをノズルから噴射し所定のパターンを有する被膜を介して基板に衝突させ基板上に前記無機材料微粒子からなる無機材料パターンを形成する工程(II)を含む無機材料パターンの形成方法であって、前記所定のパターンを有する被膜が、基板表面にレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、次いで該レジスト膜に活性エネルギー線を直接又はマスクを介して照射し、さらに現像処理して形成された所定のパターンを有するレジスト膜であることを特徴とする無機材料パターンの形成方法。
【請求項2】
前記工程(II)の後にレジスト膜を剥離する工程(III)を含む請求項1に記載の無機材料パターンの形成方法。
【請求項3】
レジスト組成物が、ネガ型レジスト組成物である請求項1又は2に記載の無機材料パターンの形成方法。
【請求項4】
レジスト組成物が、ポジ型レジスト組成物である請求項1又は2に記載の無機材料パターンの形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−302330(P2008−302330A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153481(P2007−153481)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】