説明

エスカレータシステム

【課題】加圧ローラの弾性体部の亀裂や脱落を速やかに検知して、移動手摺表面の損傷を防止できるエスカレータシステムを提供することである。
【解決手段】エスカレータシステム10は、加圧ローラ18の弾性体部20の亀裂等を検出する検出部21と、加圧ローラ18に供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータ22とを備え、制御部28は、取得された検査データと検査基準とを比較検討することにより、所定の亀裂等の有無を判定し、亀裂レベルを解析する診断モジュール31と、解析されたレベルに応じて緊急度を判定する緊急度判定モジュール32と、判定された緊急度に応じて警告の方法を選択し、選択された警告を行う警告モジュール33とを有する。さらに、判定された緊急度に応じてエスカレータ12の運転を停止させ、加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる第1運転規制モジュール34を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータシステムに係り、特に移動手摺表面の損傷を防止できるエスカレータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータの移動手摺駆動装置は、エスカレータのトラス部分に設置されており、移動手摺を挟んで、その裏面側に駆動ローラ、表面側に加圧ローラを備えている。一般的に、1つの移動手摺駆動装置は、それぞれのローラ2個を連結したものが移動手摺の片面側に2つずつ、合計8個のローラを含んで構成されている。エスカレータには、その長さ等によっても多少増減するが、2個ないし3個の移動手摺駆動装置が設置されている。
【0003】
駆動ローラは、エスカレータ駆動ユニットの動力を移動手摺に伝えるローラである。従って、エスカレータの移動手摺は、駆動ローラが回転することによって動かされるが、手摺には大きな負荷がかかるため、加圧ローラが不可欠である。移動手摺は、加圧ローラによって加圧されて、駆動ローラとともに強力な力で挟持されている。
【0004】
加圧ローラは、移動手摺の表面側に設けられるため、金属製のローラの周りにウレタン等の硬質ゴムが巻かれた弾性体部を有しており、移動手摺の表面に傷が付かないように配慮されている。しかし、加圧ローラは、上記のように強力な力で移動手摺に押し付けられているため、弾性体部に亀裂が入り、その一部が脱落することがある。弾性体部が脱落すると、加圧ローラの金属部分が移動手摺の表面に接触して、移動手摺の表面に損傷を与えることになる。また、移動手摺表面の損傷としては、加圧ローラの弾性体部の脱落に起因するものだけでなく、エスカレータの停止時の加圧による圧痕が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、加圧ローラによる圧痕を防止するために、駆動ローラに対する手摺の滑り量を検出する滑り量検出手段と、滑り量の検出手段の出力に基づいて挟持力を調整する挟持力調整手段とを備えた手摺駆動装置が開示されている。この装置は、手摺に負荷がかからない状態においては、挟持力を弱くして手摺表面に圧痕が発生することを防止している。挟持力の調整手段として、加圧バネ及び楔体から構成される挟持力調整器を使用しており、挟持力調整器は、楔体とこの楔体を進退動させるモータを有している。加圧バネは、この楔体に支持体を介して接続されていて、楔体の移動により加圧バネの縮み量が増減される仕組みである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−217401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置は、加圧ローラの弾性体部が脱落した場合には対処することができない。弾性体部が脱落すると加圧面積が減少するので滑り量が大きくなると想定されるので、加圧ローラはより強力に移動手摺の表面に押し付けられて、さらに移動手摺の表面を傷つけることになる。なお、特許文献1の装置は、滑り量の検出手段を設ける必要があり制御系も複雑となるため、システムが高価になるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、特に加圧ローラの弾性体部の亀裂や脱落を速やかに検知して、移動手摺表面の損傷を防止できるエスカレータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエスカレータシステムは、移動手摺を移動させる駆動ローラと、ローラ基材の周囲に弾性体部を有し移動手摺に対して圧力を印加して駆動ローラとともに移動手摺を挟持する加圧ローラと、を備える移動手摺駆動装置を有するエスカレータシステムであって、加圧ローラの弾性体部の亀裂又は脱落を検出する検出部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、システムの作動を統一的に制御する制御部を備え、制御部は、検出部に加圧ローラの弾性体部の亀裂又は脱落を検査させて検査データを取得させる手段と、取得された検査データから所定の亀裂又は脱落の有無を判定すると共に、亀裂又は脱落のレベルを解析する手段と、解析されたレベルに応じて緊急度を判定する手段と、判定された緊急度に応じて警告の方法を選択し、選択された警告を行う手段と、を有することが好ましい。
【0011】
また、加圧ローラと接続され加圧ローラに供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータを備え、制御部は、さらに、判定された緊急度が所定の緊急度よりも高い場合には、エスカレータの運転を停止させると共に、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させる手段を有することが好ましい。
【0012】
本発明に係るエスカレータシステムは、移動手摺を移動させる駆動ローラと、ローラ基材の周囲に弾性体部を有し移動手摺に対して圧力を印加して駆動ローラとともに移動手摺を挟持する加圧ローラと、を備える移動手摺駆動装置を有するエスカレータシステムであって、加圧ローラと接続され、加圧ローラに供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータと、制御部と、を備え、制御部は、エスカレータの運転の停止と連動して、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させる手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、圧力調整アクチュエータは、シリンダケースの内部に、移動手摺の表面に直交する方向に沿って配置された上部電磁石及び下部電磁石を有し、上部電磁石は下部電磁石よりも移動手摺に近い位置に設けられて移動手摺の表面に直交する方向に沿って移動するピストン構造から構成され、端部がそれぞれ加圧ローラと上部電磁石とに接続されるアームを有し、上部電磁石と下部電磁石との間に発生する反発力及び吸引力を利用して加圧ローラに供給する圧力を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエスカレータシステムによれば、加圧ローラの弾性体部の亀裂又は脱落を検出する検出部を備えるので、点検業務の負担を軽減できるとともに、加圧ローラの弾性体部の状態を常時監視することができる。従って、加圧ローラの弾性体部の亀裂や脱落を速やかに検出して、移動手摺表面の損傷を防止することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明において、制御部は、取得された検査データから亀裂又は脱落のレベルを解析して緊急度を判定し、その緊急度に応じた警告を行うので、警告の種類に応じて点検業務を行うことが可能となる。即ち、緊急を要する警告がなされた場合には早急に点検を行うことができる。従って、点検業務の負担をさらに軽減できるとともに、点検によるエスカレータの運転停止回数が減少して利用者にとっても便利である。
【0016】
請求項3に記載の発明において、加圧ローラに供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータを備え、制御部は、判定された緊急度に応じてエスカレータの運転を停止させると共に、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させるので、弾性体部に大きな亀裂が発生するなど緊急度を要する場合にも、移動手摺の損傷を防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明において、制御部は、エスカレータの運転の停止と連動して、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させるので、簡便なシステムによって、エスカレータの運転の停止時における移動手摺の圧痕を防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明において、圧力調整アクチュエータは、一端が加圧ローラに接続されるアームと、アームの他端に設置される上部電磁石と、上部電磁石を挟んで加圧ローラとは反対となる側に設けられる下部電磁石とを有するので、加圧ローラに供給する圧力の調整を迅速かつ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、エスカレータシステム10が適用される移動手摺駆動装置11及びエスカレータ12を示す模式図であり、トラス13の壁面を取り去った状態を示している。図2は、エスカレータシステム10の構成を示す模式図である。
【0020】
エスカレータ12は、図示しない移動ステップがステップチェーンに連結され、上部に配置したエスカレータ駆動ユニット14(以下、駆動ユニット14と称する)から駆動チェーンを介して上部鎖歯車15に動力を伝達し、上部鎖歯車15と図示しない下部鎖歯車の間で移動ステップを回転させる仕組みになっている。また、上部鎖歯車15からの動力は移動手摺駆動装置11にも伝達され、移動手摺16を移動ステップと同一の方向に同一の速度で移動させている。エスカレータ12には、その長さ等によっても多少増減するが、2個ないし3個の移動手摺駆動装置11が設置されている。
【0021】
図1に示すように、移動手摺駆動装置11は、エスカレータ12のトラス13に設置されており利用者からは見えないようになっている。移動手摺駆動装置11は、2種類のローラによって移動手摺16を移動させる装置であり、移動手摺16を挟んで、その裏面側に駆動ローラ17、表面側に加圧ローラ18を備えている。一般的に、1つの移動手摺駆動装置11は、それぞれのローラ2個を連結したものが移動手摺16の片面側に2つずつ、合計8個のローラを含んで構成されている。
【0022】
駆動ローラ17は、駆動ユニット14の動力を移動手摺16に伝えるローラである。上述のように、駆動ユニット14は、移動ステップの駆動源でもあり、移動手摺16と移動ステップとの運転は連動している。移動手摺16は、駆動ローラ17が回転することによって移動させられるが、移動手摺16は多くの利用者がそれを持つことによって大きな負荷がかかるため、加圧ローラ18が不可欠となる。移動手摺16は、加圧ローラ18によって加圧されて、駆動ローラ17とともに強力な力で挟持されている。
【0023】
加圧ローラ18は、移動手摺16の表面側に設けられるため、金属製のローラ基材19の周りに弾性体部20を備えている。弾性体部20は、硬質ウレタン等の硬質ゴムから構成されており、ローラ基材19が移動手摺16の表面に直接触れて損傷を与えることを防止する機能を有している。加圧ローラ18は、強力な力で移動手摺16に押し付けられているので、弾性体部20はその圧力に耐え得る硬質ゴムが使用されている。弾性体部20を構成する硬質ゴムは、磨耗する前にその表面に亀裂が発生し、さらに使用を継続するとその亀裂が拡大して、やがては一部が加圧ローラ18から脱落することになる。なお、亀裂とは線状の損傷であり、脱落とは欠損を意味しているが、以下において、エスカレータシステム10の構成上その差異が明確である必要がない場合には両者を同様の損傷として説明する。
【0024】
加圧ローラ18を移動手摺16の表面に押し付ける装置、即ち加圧ローラ18に圧力を供給する装置としては、一般的なエスカレータと同様に、コイルばねや板ばねを使用することができる。しかし、エスカレータシステム10は、緊急を要する弾性体部20の亀裂や脱落にも対応するために、加圧ローラ18に供給する圧力を調整することができる圧力調整アクチュエータ22を使用することが好ましい。なお、圧力調整アクチュエータ22については後述する。
【0025】
図1及び図2に示すように、エスカレータシステム10は、加圧ローラ18の弾性体部20の亀裂又は脱落を検出する検出部21を備えている。エスカレータシステム10は、弾性体部20の亀裂や脱落を速やかに検出して、移動手摺16表面の損傷を防止することを目的とするシステムである。検出部21は、弾性体部20の亀裂や脱落を速やかに検出する機能を有するセンサであって、エスカレータシステム10の主要構成要素である。
【0026】
検出部21は、弾性体部20の亀裂及び脱落を検出し、トラス13に設置できる装置であれば、種々の検出方式のセンサを使用することができる。検出部21に適用できるセンサとしては、変位センサや画像センサなどが挙げられる。
【0027】
変位センサとは、測定対象がある位置から移動したときの微小移動量(変位量)を測定するセンサであり、その変位量を検出することで測定対象の寸法などを測定できるセンサである。従って、弾性体部20の亀裂及び脱落を検知することも可能である。その変位量を測定する方式として、光、磁界及び音波を利用した非接触式と、ダイヤルゲージや差動トランスの接触式とに大別される。検出部21に適用できる方式としては、測定対象が硬質ゴムから構成される弾性体部20であり、弾性体部20は回転体である加圧ローラ18に装着されているので、非接触式が好ましく、さらに好ましくは光を利用した光学式である。
【0028】
光学式変位センサとしては、反射光の入射角度の変位を測定する変位センサを使用することができる。この変位センサは、三角測量を応用した方式で、発光素子と光位置検出素子の組み合わせで構成されている。発光素子には、通常、半導体レーザが使用され、半導体レーザの光は投光レンズによって集光され、測定対象である弾性体部20に照射される。弾性体部20から拡散反射された光線の一部は受光レンズを通して光位置検出素子に入射する。弾性体部20に亀裂が発生すると、光位置検出素子に入射する光の入射角度が変位するため、この変位量を測定して、弾性体部20の亀裂及び脱落を検出することができる。
【0029】
画像センサとは、CCDカメラでとらえた測定対象の画像をデジタル信号に変換し、種々の演算処理を行なうことで、測定対象の寸法などを測定することができるセンサである。従って、弾性体部20の亀裂や脱落を検出することも可能である。CCDカメラ等のカメラは、測定対象の像をレンズ系により撮像面(CCD)に集束し、これを電気信号として取り出す一種の光電変換装置である。CCDに結像した測定対象のパターンは、測定対象の各部分の明るさ(入射光量)に応じた電荷量として蓄積される。故に、弾性体部20に亀裂が発生すると、その入射光量が変化するため、弾性体部20の亀裂及び脱落を検出することができる。
【0030】
弾性体部20に発生する亀裂は、通常、移動手摺16に圧接する圧接面23に発生し易い。従って、検出部21によって監視される弾性体部20の位置は、この圧接面23であることが好ましい。検出部21の設置場所は、図1に示すように、弾性体部20の圧接面23に近接し、レーザ光等の検出光が周辺機器等によって遮断されない位置である。なお、図2に示すように、コスト低減等の観点から、複数の小型センサヘッド21hを備えた検出部21を使用することが好ましい。この場合、光ファイバー等によって検出部21からセンサヘッド21hにレーザ光等を供給して、センサヘッド21hから光ファイバー等を通って反射光等が検出部21に導入される。
【0031】
検出部21として使用する光学式変位センサや画像センサの検出感度は極めて高く、数μm程度の亀裂であっても検出することが可能である。但し、測定スポットが小さくなる場合があり、必要に応じてセンサヘッド21hを弾性体部20の圧接面23上にて走査させることが好ましい。これらセンサのサンプリング時間は、数十ミリ秒以下と極めて速く加圧ローラ18が回転している場合でも問題なく測定することができる。
【0032】
図1及び図2に示すように、エスカレータシステム10は、圧力調整アクチュエータ22を備えていることが好ましい。圧力調整アクチュエータ22とは、加圧ローラ18に圧力を供給すると共に、その供給する圧力を調整する機能を有する装置である。弾性体部20は、通常、圧接面23に亀裂が発生して、やがては一部が加圧ローラ18から脱落するが、検出部21によって監視していない弾性体部20の側面或いは内部に亀裂が発生する可能性がある。その場合には、亀裂が検出されることなく脱落が発生するおそれがある。圧力調整アクチュエータ22によれば、検出部21がこのような脱落を検出した場合或いは後述する緊急度の高い亀裂を検出した場合に、加圧ローラに供給する圧力を解除して、加圧ローラ18のローラ基材19が移動手摺16の表面に接触することを防止することができる。ここで、圧力を解除するとは、移動手摺16の表面に損傷を及ぼさない程度に圧力を低下させる場合と圧力を停止する場合とを含む。
【0033】
圧力調整アクチュエータ22は、加圧ローラ18に供給する圧力を調整し、トラス13に設置できる装置であれば、種々の方式の装置を使用することができる。圧力調整アクチュエータ22に適用できる装置としては、油圧シリンダ、エアシリンダ及び磁気シリンダなどが挙げられる。これらのうち、コンパクトで圧力の調整を迅速かつ容易に行うことができる等の観点から、磁気シリンダを適用することが好ましい。
【0034】
図3は、圧力調整アクチュエータ22として、磁気シリンダを適用した様子を示す図である。磁気シリンダとは、磁石の反発力及び吸引力を利用して圧力を供給・調整する装置である。磁石としては、供給する電流の向きと電流量を変化させることにより、迅速かつ容易に反発力及び吸引力を制御することができる電磁石が使用される。図3に示すように、磁気シリンダは、アーム25を一端に有する上部電磁石26と、上部電磁石26の下部に設けられた下部電磁石27とを有し、この2つの電磁石がシリンダケース24に挿入されて構成されている。アーム25は、上部端を2つの加圧ローラ18を連結する部材と、下部端を上部電磁石26とそれぞれ接合され、2つの磁石による反発力及び吸引力を加圧ローラ18に伝達する機能を有する。なお、アーム25を加圧ローラ18に直接接合することもできる。
【0035】
磁気シリンダの圧力調整機構は、上記のように、供給する電流の向きと電流量を変化させることにより反発力及び吸引力を制御することである。図3において、上部電磁石26及び下部電磁石27は、上下方向に対する磁界の向きが逆になっており、両磁石間に反発力が働いている状態である。この反発力は、アーム25によって加圧ローラ18に伝達される。一方、図3の状態において、上部電磁石26に供給する電流の向きを変更すると、上部電磁石26及び下部電磁石27は、上下方向に対する磁界の向きが同一となり、両磁石間に吸引力が働いて加圧ローラ18に供給される圧力は停止される。このように、磁気シリンダによれば、電流の向きを変更することにより、容易に加圧ローラ18に対する圧力の供給及び圧力の停止を行うことができる。また、電流量を増減させることで、その圧力を任意に調整することが可能となる。
【0036】
加圧ローラ18に接続されたアーム25は、弾性体部20に亀裂又は脱落が発生すると、シリンダケース24から上部に突き出る部分が長くなる。このようなアーム25の変化を利用して、特に弾性体部20の脱落を検出することができる。具体的には、以下のようにして検出することができる。まず、図4に示すように、シリンダケース24内の上部に作動棒36を、アーム25の下部にアーム25の外周から突出したフランジ37を、それぞれ設ける。この作動棒36とフランジ37とは、弾性体部20の脱落がない状態においては接触しない位置関係となっている。一方、弾性体部20が脱落した場合には、アーム25は、移動手摺16の方向、即ち上部に向かうので、アーム25に設けられたフランジ37が作動棒36に接触することになる。作動棒36及びフランジ37には、リード線38がそれぞれ接続されており、両者が接触したときの電気信号を検知することにより、弾性体部20の脱落を検出することができる。このようにアーム25の変化を利用すれば、シンプルで安価な装置によって簡便に弾性体部20に脱落等を検出することが可能となる。従って、図4に示す磁気シリンダの一部を加工した上記のような装置は、検出部21として利用することができる。
【0037】
作動棒36及びフランジ37の接触による信号を、制御部28が認識できるように、作動棒36及びフランジ37のリード線などが制御部28に接続されていることが好ましい。制御部28と接続されることにより、図4に示す磁気シリンダを検出部21として、後述する亀裂レベルや緊急度を判定することが可能となる。
【0038】
図2に示すように、エスカレータシステム10は、制御部28を備えている。制御部28は、エスカレータシステム10の各構成要素の作動を統一的に制御する機能を有する装置である。統一的に制御される各構成要素とは、検出部21、圧力調整アクチュエータ22及び駆動ユニット14等の装置であり、制御部28によって、これらの装置は指令を受けて所定の操作を行うことになる。従って、制御部28は、これらの装置と接続されており、トラス13に設けられることが好ましい。なお、制御部28は、エスカレータ12の管理点検業務を行っている管理部門50に対して後述する警告情報等の通信を行うために、通信回線等に接続されている。
【0039】
制御部28は、検出部21を所定の間隔で起動して、弾性体部20の亀裂等の検査を行わせ、検査データを取得する点検モジュール29を備えている。具体的には、点検モジュール29は、予め登録された所定の検査時間を認識してその時間に検出部21を起動し、弾性体部20の測定(検査)を行わせ、得られた検査データを後述する記憶装置に記憶させる機能を有する。この検査データには、亀裂等の位置、長さ・幅・深さ等のサイズなどの情報が含まれている。この検査データは、管理部門50に送信して解析することもできるが、制御部28は、取得された検査データを自動解析する解析モジュール30を備えていることが好ましい。この自動解析モジュール30を備えることによって、点検業務の負担をさらに軽減することができる。
【0040】
自動解析モジュール30は、簡素化したシステムとして、検査データから弾性体部20の亀裂等の有無のみを判定し、亀裂等が確認された場合にその旨を通知する機能とすることもできる。しかし、さらなる点検業務の効率化やシステムの改良等を目的として、自動解析モジュール30としては、取得された検査データから所定の亀裂等の有無を判定すると共に、検査データと予め登録された検査基準とを比較検討して亀裂等のレベル(以下、亀裂レベルとする)を解析する診断モジュール31を含むことが好ましい。さらに、自動解析モジュール30は、亀裂レベルに応じて緊急度を判定する緊急度判定モジュール32を含むことが好ましい。
【0041】
上記の診断モジュール31による所定の亀裂等の有無の判定は、検査データと、予め測定して登録されている弾性体部20のリファレンスデータと、さらに予め登録された検査基準とに基いて行われる。具体的には、診断モジュール31は、記憶装置から検査データと、リファレンスデータと、検査基準とを読み出して、まず、検査データとリファレンスデータとを照合しデータ間の相違(変位)を認識して、その相違点を検査基準と照合して所定の亀裂等であるか否かを判定する機能を有する。ここで検査データのうち使用される情報としては、専ら亀裂等のサイズの情報である。検査基準とは、亀裂等の有無の判定基準であって、過去のメンテナンスデータや後述する点検業務の新たな指標作り等に活用することを目的に設定されたパラメータ等である。従って、検査データに検査基準よりも大きなサイズの亀裂等が含まれる場合には、亀裂等有りと判定される。
【0042】
亀裂等有りと判定された場合には、その亀裂レベルが解析される。亀裂レベルの解析においては、検査データの亀裂等のサイズ情報だけでなく、位置や形状の情報も考慮することが好ましい。例えば、亀裂のサイズは大きいが、その位置が弾性体部20の端部であり大きな脱落には至らない場合がある。このような場合には、亀裂等の位置情報を考慮することで、後述する緊急度に反映させることができる。
【0043】
亀裂レベルとしては、多くの分類を設定することができる。この亀裂レベルの値は、緊急度を判定するだけでなく、点検業務の新たな指標作り、システムや弾性体部20等の部材の開発などにとって有用なデータとなるように設定されることが好ましい。従って、亀裂レベルと後述する緊急度との利用目的が異なる場合があるので、亀裂レベルは緊急度とパラレルな関係である必要はなく、亀裂レベルは後述する緊急度の数よりも多く設定される。
【0044】
解析された亀裂レベルに応じて緊急度判定モジュール32によって緊急度が判定される。緊急度は、専ら後述する警告を行うための指標であり、警告の種類に応じてその数が設定され、緊急度の数は警告の種類よりも多く設定されることが好ましい。具体的には、緊急度判定モジュール32は、亀裂レベルを認識する機能を有し、認識した亀裂レベルに応じて予め登録された緊急度を選択する機能を有する。なお、予め登録された警告の種類は、過去のメンテナンスデータ等を考慮して決定される。このように緊急度の数を設定すれば、例えば、後述する表示警告に緊急度を付すことができ、さらなる点検業務の負担軽減を図ることができる。
【0045】
制御部28は、緊急度判定モジュール32によって判定された緊急度に応じて警告の方法を選択し、選択された警告を行う警告モジュール33を有している。警告としては、例えば、緊急度が低いときに選択される表示警告と、緊急度が高いときに選択される音声警告と、緊急度が極めて高いときに選択される運転規制警告などが挙げられる。ここで、表示警告とは、管理部門50の監視モニタや制御部28に設けた警告灯に弾性体部20の亀裂等が発生した情報を表示するものである。音声警告とは、管理部門50に弾性体部20の亀裂等が発生した情報を音声にて発報するものである。運転規制警告は、後述する第1運転規制モジュール34によってエスカレータ12の運転が停止される際に発報されるものであり、音声にて行われることが好ましい。これらの警告は、管理部門50にて発報され、運転規制警告は、エスカレータ12においても発報されることが好ましい。具体的には、警告モジュール33は、緊急度を認識する機能を有し、認識した緊急度に応じて予め登録された警告の種類を選択する機能を有する。なお、予め登録された警告の種類は、過去のメンテナンスデータ等を考慮して決定される。従って、この警告及び警告に付された緊急度に基いて、点検作業を行うことができる。
【0046】
さらに、制御部28は、緊急度判定モジュール32によって判定された緊急度に応じてエスカレータ12の運転を停止させ、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除する第1運転規制モジュール34を有することが好ましい。具体的には、第1運転規制モジュール34は、緊急度を認識する機能を有し、極めて高い緊急度の信号を認識した場合に、運転規制警告を行うとともに、駆動ユニット14の駆動を停止させてエスカレータ12の運転を停止し、駆動ユニット14が停止すると、その停止信号を認識して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる機能を有する。なお、上記のように、制御部28は駆動ユニット14に接続されている。従って、この第1運転規制モジュール34によって、緊急度の高い亀裂等が発生した場合にも移動手摺16の表面の損傷を防止することができる。
【0047】
また、制御部28は、エスカレータ12の運転の停止と連動して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除する第2運転規制モジュール35を有することが好ましい。具体的には、第2運転規制モジュール35は、駆動ユニット14が停止すると、その停止信号を認識して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる機能を有する。さらに、第2運転規制モジュール35は、駆動ユニット14が駆動すると、その駆動信号を認識して圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に対して圧力を供給させる機能を有することが好ましい。さらに好ましくは、対人センサやエスカレータ12の駆動制御装置から駆動ユニット14に送られる駆動信号を駆動ユニット14よりも先に認識して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に対して圧力を供給させる機能を有することが好ましい。この駆動信号を駆動ユニット14よりも先に認識するために、制御部28は、対人センサやエスカレータ12の駆動制御装置と接続され、駆動信号は制御部28を介して駆動ユニット14に送られるように設定することが好ましい。この第2運転規制モジュール35によって、エスカレータ12の運転が停止した場合にも移動手摺16の表面の圧痕を防止することができる。
【0048】
制御部28は、CPUと、上記の各モジュールの機能を実行する際に使用される制御パラメータ(点検間隔、検査基準及び警告など)等の入力に用いられる入力装置と、入力した制御パラメータ、制御プログラム、検査データ及び亀裂レベルなどを記憶する記録装置と、入出力ポートなどを備える装置であって、専用の制御装置或いはコンピュータによって構成することができる。各モジュールの機能は、ソフトウェアを実行することで実現でき、具体的には、記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することにより実現できる。従って、上述の各モジュールは、制御プログラムに備えられていることが好ましい。なお、入力装置など一部の装置を管理部門50等のエスカレータ12の外部に設置することもできる。
【0049】
上記構成のエレベータシステム10の作用、特に制御部28の機能について、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。図5は、エスカレータシステム10の制御手順を示すフローチャートで、各手順は制御プログラムの各処理手順に対応する。
【0050】
まず初めに、制御部28は、検出部21に対して、弾性体部20の亀裂等の検査を行う指令を与える(S9)。そして、この指令を受けた検査部21は、弾性体部20の亀裂等の検査を行う(S10)。即ち、検出部21は、検査基準と共に予め登録された所定の間隔で制御部28によって起動され、検査を行って検査データを取得する。上述のように、検査データには、亀裂等の位置の情報、長さ・幅・深さ等のサイズの情報などが含まれている。なお、所定の間隔は、閑散時等の不定期間隔及び1日毎や1週間毎等の定期間隔など任意に設定することができる。この手順は、制御部28の点検モジュール29の機能によって実行される。以上のように、自動で弾性体部20の点検を行うことができるので、点検業務の負担を軽減できるとともに、加圧ローラ18の弾性体部20の状態を常時監視することができる。従って、加圧ローラ18の弾性体部20の亀裂等を速やかに検出して、移動手摺16表面の損傷を防止することができる。
【0051】
取得された検査データと予め登録した検査基準とを比較検討して所定の亀裂等の有無を判定する(S11)。上述のように、検査データに検査基準よりも大きなサイズの亀裂等が含まれる場合には、亀裂等有りと判定される。一方、検査データに検査基準よりも大きなサイズの亀裂等が含まれない場合には、亀裂等無しと判定され、制御プロセスは終了する。
【0052】
亀裂等有りと判定された場合には、その亀裂レベルが解析される(S12)。上述のように、亀裂レベルの解析においては、検査データの亀裂等のサイズの情報だけでなく、位置や形状の情報も考慮することが好ましい。このレベル解析手順は、所謂データ解析やデータ整理の手順であり、点検業務の新たな指標作り、システムや弾性体部20等の部材の開発などにとって有用なデータとなるように設定することができる。さらには、亀裂レベルは、亀裂等が発生した原因の解明にも有用なデータとなることが好ましい。例えば、50μm以上の長さを有する亀裂から検査データを取得・記録し、50μm毎で分類して亀裂レベルを決定する一つの指標とする。さらに、弾性体部20の位置にA・B・C・・・等の番地を付けて、長さの指標と掛け合わせることで亀裂レベルを決定する。従って、亀裂の長さが、例えば、500μmと同一であっても、亀裂の位置がAとTのように異なれば、亀裂レベルは10と100のように全く異なることになる。なお、亀裂の幅や深さ、形状(長さと幅のアスペクト比等)などを亀裂レベルを決定する指標として掛け合わせることもできる。S11及びS12の手順は、制御部28の自動解析モジュール30の一つである診断モジュール31の機能によって実行される。
【0053】
次に、解析された亀裂レベルに応じて緊急度の判定を行う(S13)。亀裂レベルは、上述のように、検査の生データを点検業務の新たな指標作り等を目的として解析したデータであるため、S13において緊急度という概念を導入し、後述する警告を行う指標とすることが好ましい。緊急度の設定の観点は、移動手摺16の損傷を防止することであり、従って、警告の種類に応じてその数が決定される。この手順は、制御部28の自動解析モジュール30の一つである緊急度判定モジュール32の機能によって実行される。
【0054】
次に、判定された緊急度に応じて警告の方法を選択する(S14)。緊急度は、警告の種類よりも多く設定されているので、例えば、緊急度A〜Eの場合が表示警告、緊急度F〜Hの場合が音声警告、緊急度Iの場合が運転規制警告のように設定することができる。この場合、緊急度Iが極めて高い緊急度に場合に該当する。
【0055】
次に、上記のようにして選択された警告を行う(S15)。これらの警告は、管理部門50にて発報され、運転規制警告は、エスカレータ12においても発報される。なお、表示警告及び音声警告には、A〜Eなどの緊急度が付されて行われる。S14及びS15の手順は、制御部28の警告モジュール33の機能によって実行される。以上のように、警告の種類に応じて点検作業を行うことができるので、緊急を要する警告がなされた場合には早急に点検を行うことができる。従って、点検業務の負担をさらに軽減できるとともに、点検によるエスカレータ12の運転停止回数が減少して利用者にとっても便利である。
【0056】
さらに、判定された緊急度に応じてエスカレータ12の運転を停止させ、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる(S16)。具体的には、緊急度の信号を受けて、その緊急度が極めて高いと認識した場合、例えば、上記の緊急度Iの場合には、運転規制警告を行うとともに、駆動ユニット14の駆動を停止させてエスカレータ12の運転を停止し、駆動ユニット14が停止すると、その停止信号を認識して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる。この手順は、制御部28の第1運転制御モジュール34の機能によって実行される。従って、緊急度の高い亀裂等が発生した場合にも移動手摺16の表面の損傷を防止することができる。
【0057】
さらに、制御部28は、弾性体部20の亀裂等とは関係なく、エスカレータ12の運転の停止と連動して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に供給する圧力を解除させる図示しないプロセス(S20)を実行することが好ましい。さらに、S20では、駆動ユニット14が駆動すると、その駆動信号を認識して、圧力調整アクチュエータ22に加圧ローラ18に対して圧力を供給させる。なお、対人センサやエスカレータ12の駆動制御装置から駆動ユニット14に送られる駆動信号を駆動ユニット14よりも先に認識して、圧力を供給させることが好ましい。この手順は、第2運転規制モジュール35の機能によって実行される。従って、エスカレータ12が停止した場合にも移動手摺16の表面の圧痕を防止することができる。特に、対人センサによって運転と停止が頻繁に繰り返されるエスカレータ12等に有用である。
【0058】
以上のように、エスカレータシステム10によれば、加圧ローラ18の弾性体部20の亀裂等を速やかに検出して、移動手摺16表面の損傷を防止することができる。さらに、検査データに基いて亀裂レベル解析するので、点検業務の新たな指標作りや亀裂等が発生した原因の解明に有用となるデータを提供できる。解析された亀裂レベルは、緊急度を判定するのに利用され、緊急度は警告を行う際の指標となる。従って、緊急を要する警告がなされた場合には早急に点検を行うことができ、点検業務の負荷をさらに軽減できるのみならず、点検によるエスカレータ12の運転停止回数が減少して利用者にとっても便利である。
【0059】
さらに、エスカレータシステム10は、圧力調整アクチュエータ22を備えているので、緊急度の高い亀裂等が発生した場合やエスカレータ12の運転の停止にも、移動手摺16の表面の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】エスカレータシステムが適用される移動手摺駆動装置及びエスカレータを示す模式図であり、トラスの壁面を取り去った状態を示している。
【図2】エスカレータシステムの構成を示す模式図である。
【図3】圧力調整アクチュエータとして、磁気シリンダを適用した様子を示す図である。
【図4】磁気シリンダを利用した検出部を示す図である。
【図5】エスカレータシステム10の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 エスカレータシステム、11 移動手摺駆動装置、12 エスカレータ、13 トラス、14 エスカレータ駆動ユニット、15 上部鎖歯車、16 移動手摺、17 駆動ローラ、18 加圧ローラ、19 ローラ基材、20 弾性体部、21 検出部、21h センサヘッド、22 圧力調整アクチュエータ、23 圧接面、24 シリンダケース、25 アーム、26 上部電磁石、27 下部電磁石、28 制御部、29 点検モジュール、30 自動解析モジュール、31 診断モジュール、32 緊急度判定モジュール、33 警告モジュール、34 第1運転規制モジュール、35 第2運転規制モジュール、36 作動棒、37 フランジ、38 リード線、50 管理部門。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手摺を移動させる駆動ローラと、ローラ基材の周囲に弾性体部を有し移動手摺に対して圧力を印加して駆動ローラとともに移動手摺を挟持する加圧ローラと、を備える移動手摺駆動装置を有するエスカレータシステムであって、
加圧ローラの弾性体部の亀裂又は脱落を検出する検出部を備えることを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータシステムであって、
システムの作動を統一的に制御する制御部を備え、
制御部は、
検出部に加圧ローラの弾性体部の亀裂又は脱落を検査させて検査データを取得させる手段と、
取得された検査データから所定の亀裂又は脱落の有無を判定すると共に、亀裂又は脱落のレベルを解析する手段と、
解析されたレベルに応じて緊急度を判定する手段と、
判定された緊急度に応じて警告の方法を選択し、選択された警告を行う手段と、
を有することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のエスカレータシステムであって、
加圧ローラと接続され加圧ローラに供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータを備え、
制御部は、
さらに、判定された緊急度が所定の緊急度よりも高い場合には、エスカレータの運転を停止させると共に、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させる手段を有することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項4】
移動手摺を移動させる駆動ローラと、ローラ基材の周囲に弾性体部を有し移動手摺に対して圧力を印加して駆動ローラとともに移動手摺を挟持する加圧ローラと、を備える移動手摺駆動装置を有するエスカレータシステムであって、
加圧ローラと接続され、加圧ローラに供給する圧力を調整する圧力調整アクチュエータと、
制御部と、
を備え、
制御部は、
エスカレータの運転の停止と連動して、圧力調整アクチュエータに、加圧ローラに供給する圧力を解除させる手段を有することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエスカレータシステムであって、
圧力調整アクチュエータは、
シリンダケースの内部に、移動手摺の表面に直交する方向に沿って配置された上部電磁石及び下部電磁石を有し、上部電磁石は下部電磁石よりも移動手摺に近い位置に設けられて移動手摺の表面に直交する方向に沿って移動するピストン構造から構成され、
端部がそれぞれ加圧ローラと上部電磁石とに接続されるアームを有し、上部電磁石と下部電磁石との間に発生する反発力及び吸引力を利用して加圧ローラに供給する圧力を調整することを特徴とするエスカレータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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