説明

エスシタロプラムの製造方法

本発明は、新規中間体、およびエスシタロプラムの製造のための新規方法にそれを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規中間体、およびエスシタロプラムの製造のための新規方法にそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シタロプラムは数年来上市されている公知の抗うつ薬である。
【0003】
これは、選択的な中枢作用性のセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン;5-HT)再取り込み阻害剤であり、従って抗うつ作用を有する。
【0004】
シタロプラムは特許文献1(特許文献2に対応する)において最初に開示された。この特許文献は、適当な溶剤中でシアン化第一銅を用いる反応および5-ブロモ-フタランのアルキル化によって、対応する5-ブロモ誘導体からシタロプラムを製造する方法の概要を示している。
【0005】
特許文献3(特許文献4)には、エスシタロプラム(シタロプラムのS-エナンチオマー)の製造に関して2つの方法が記載されている。両方の方法とも、以下の式
【0006】
【化1】

【0007】
を有するラセミ体ジオールを出発物質として使用している。第一の方法においては、式(XI)のジオールを鏡像異性的に純粋な酸誘導体、例えば(+)または(-)-α-メトキシ-α-トリフルオロメチル-フェニルアセチルクロリドと反応させることにより、ジアステレオマーエステルの混合物を形成させ、これをHPLCまたは分別晶出(fractional crystallization)により分離し、正しい立体化学を有するエステルをエナンチオ選択的にエスシタロプラムに変換する。第二の方法においては、鏡像異性的に純粋な酸、例えば(+)-ジ-p-トルオイル酒石酸を用いて、式(XI)のジオールを立体選択的結晶化により各エナンチオマーに分離し、式(XI)のジオールのS-エナンチオマーをエナンチオ選択的にエスシタロプラムに変換する。
【0008】
式VIII
【0009】
【化2】

【0010】
で表される化合物エスシタロプラムは、抗うつ薬として開発されてきた。従って、エスシタロプラムの改善された製造方法が必要とされている。
【0011】
今回、エスシタロプラムの製造に関して以下の利点を有する新しい方法が見出された:反応段階が大きな規模に適しており、高い収量が得られ、そして幅広い出発物質を利用することができる。
【特許文献1】独国特許第2,657,013号明細書
【特許文献2】米国特許第4,136,193号明細書
【特許文献3】米国特許第4,943,590号明細書
【特許文献4】欧州特許第347 066号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、エスシタロプラムを製造するための新規でありかつ商業的に興味深い方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明の目的の1つは、式VI
【0014】
【化3】

【0015】
で表され、式中、R1が慣用の方法によってニトリル基に変換できる官能基から選択される化合物を製造する方法であって、
式V
【0016】
【化4】

【0017】
で表され、式中、R1が上記に定義される化合物を、場合によりルイス酸の存在下でおよび場合により適当な溶剤中で場合により加熱することによって反応させることにより、前記の式VIの化合物を製造することを含む、前記の製造方法。
【0018】
本発明の別の目的は、エスシタロプラムを製造する方法に関する。
【0019】
本発明の別の目的は、式VI
【0020】
【化5】

【0021】
で表される化合物に関する。
【0022】
本発明の別の目的は、式V
【0023】
【化6】

【0024】
で表される化合物に関する。
【0025】
本発明の別の目的は、式IV
【0026】
【化7】

【0027】
で表される化合物に関する。
【0028】
本発明の別の目的は、式III
【0029】
【化8】

【0030】
で表される化合物に関する。
【0031】
本発明の別の目的は、式II
【0032】
【化9】

【0033】
で表される化合物に関する。
【0034】
本発明の別の目的は、式I
【0035】
【化10】

【0036】
で表される化合物に関する。
【0037】
本発明の別の目的は、エスシタロプラムの製造方法において、式I、II、III、IV、VまたはVIのうちの1種またはそれ以上の化合物を使用する方法に関する。
【0038】
本発明の別の目的は、本発明の方法のうちの1種またはそれ以上を含む方法によって製造されたエスシタロプラムを含む医薬調合物に関する。
【0039】
<発明の詳細な説明>
本発明の特定の実施態様において、式VIの化合物は、式VIaまたはVIb
【0040】
【化11】

【0041】
で表される化合物あるいは式VIaおよびVIbの任意の混合物である(R1は上記に定義される)。
【0042】
本発明の別の実施態様において、R1は、慣用の方法によってニトリル基に変換できる官能基、例えばカルボン酸誘導体、好ましくはエステル類(-COOR2(R2はC1-6-アルキル、場合により置換されるアリールまたは場合により置換されるヘテロアリールから選択される))、アミド類、好ましくは(-COONHR3(R3は水素およびC1-6-アルキルから選択される))、オキサゾリン類、カルバルデヒド誘導体、好ましくは(-CHO)またはその誘導体、好ましくはジオキソラン類、アセタール類またはアミナール類、およびハロゲン、好ましくはCl、BrまたはIから選択される。
【0043】
本発明のさらに別の実施態様において、R1は1,3-ジオキソラン-2-イルである。
【0044】
本発明の特定の実施態様において、上記式VIの化合物の製造方法におけるルイス酸は、BF3.Et2Oまたは無水ZnCl2、TiCl4、AlCl3、SnCl4等から選択される。
【0045】
本発明の特定の実施態様において、上記式VIの化合物の製造方法における溶剤は、CH2Cl2、CHCl3、トルエン等から選択される。
【0046】
本発明の特定の実施態様において、式Vの化合物は、式IV
【0047】
【化12】

【0048】
で表される化合物をアリル化剤と反応させることにより製造される。
【0049】
本発明の別の実施態様において、上記式Vの化合物の製造方法におけるアリル化剤は、臭化アリルまたは塩化アリルから選択される。
【0050】
本発明の特定の実施態様において、式IVの化合物は、式III
【0051】
【化13】

【0052】
で表される化合物の分割により製造される。
【0053】
本発明の特定の実施態様において、上記式IVの化合物の製造方法における分割は、古典的分割、酵素的分割またはキラルクロマトグラフィー、例えば擬似移動床による分割から選択される。
【0054】
本発明の特定の実施態様において、式IIIの化合物は、式II
【0055】
【化14】

【0056】
で表される化合物をジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドと反応させることにより製造される。
【0057】
本発明の特定の実施態様において、式IIの化合物は、式I
【0058】
【化15】

【0059】
で表される化合物を、適当な溶剤中で、酸化剤と反応させることにより製造される。
【0060】
本発明の別の実施態様において、上記式IIの化合物の製造方法における酸化剤は、二酸化マンガンである。
【0061】
本発明のさらに別の実施態様において、上記式IIの化合物の製造方法における溶剤は、ジクロロメタンである。
【0062】
本発明の特定の実施態様において、式Iの化合物は、式IX
【0063】
【化16】

【0064】
で表される化合物および式X
【0065】
【化17】

【0066】
で表される化合物を、適当な溶剤中で、強塩基の存在下で反応させることにより製造される。
【0067】
本発明の別の実施態様において、上記式Iの化合物の製造方法における強塩基は有機金属試薬である。
【0068】
本発明の別の実施態様において、上記式Iの化合物の製造方法における強塩基は、LDA、LHMDS、メチルリチウム、ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウムまたはシクロヘキシルリチウムから選択される。
【0069】
本発明のさらに別の実施態様において、上記式Iの化合物の製造方法における溶剤はTHFである。
【0070】
本発明の特定の実施態様においては、式VIの化合物を酸性条件下で反応させることにより、式VII
【0071】
【化18】

【0072】
で表される化合物を製造する。
【0073】
本発明の別の実施態様において、上記式VIIの化合物の製造方法における酸性条件は、ルイス酸、有機酸または無機酸、またはこれらの混合物から選択される酸により作り出される。
【0074】
本発明の特定の実施態様においては、式VIIの化合物のR1をニトリル基に変換することにより、式VIII
【0075】
【化19】

【0076】
で表される化合物エスシタロプラムを製造する。
【0077】
本発明の特定の実施態様においては、式VIIIの化合物を場合によりさらに精製し、そして場合により薬学的に許容される形態に変換する。
【0078】
本発明の特定の実施態様において、式VIの化合物は、S-{3-[7-[1,3]ジオキソラン-2-イル-2-(4-フルオロ-フェニル)-3,10-ジオキサ-トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ-8-エン-2-イル]-プロピル}-ジメチル-アミンである。
【0079】
本発明の特定の実施態様において、式Vの化合物は、S-[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミンである。
【0080】
本発明の特定の実施態様において、式IVの化合物は、S-4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オールである。
【0081】
本発明の特定の実施態様において、式IIIの化合物は、4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オールである。
【0082】
本発明の特定の実施態様において、式IIの化合物は、(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノンである。
【0083】
本発明の特定の実施態様において、式Iの化合物は、(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノールである。
【0084】
本発明の特定の実施態様において、エスシタロプラムは段階a)〜i)のうちの1つまたはそれ以上を含む方法により製造される
a)式IX
【0085】
【化20】

【0086】
で表される化合物および式X
【0087】
【化21】

【0088】
で表される化合物を、適当な溶剤中において強塩基の存在下で反応させることにより、式Iの化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
b)式I
【0089】
【化22】

【0090】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を、適当な溶剤中において酸化剤と反応させることにより、式II
【0091】
【化23】

【0092】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
c)式II
【0093】
【化24】

【0094】
で表される化合物(R1は上記に定義される)をジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドと反応させることにより、式III
【0095】
【化25】

【0096】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
d)式III
【0097】
【化26】

【0098】
で表される化合物(R1は上記に定義される)の分割により、式IV
【0099】
【化27】

【0100】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
e)式IV
【0101】
【化28】

【0102】
で表される化合物(R1は上記に定義される)をアリル化剤と反応させることにより、式V
【0103】
【化29】

【0104】
で表される化合物を製造すること;
f)式V
【0105】
【化30】

【0106】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を、場合によりルイス酸の存在下でおよび場合により適当な溶剤中で場合により加熱することによって反応させることにより、式VI
【0107】
【化31】

【0108】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
g)式VI
【0109】
【化32】

【0110】
で表される化合物を酸性条件下で反応させることにより、式VII
【0111】
【化33】

【0112】
で表される化合物(R1は上記に定義される)を製造すること;
h)式VIIの化合物のR1をニトリル基に変換することにより、式VIII
【0113】
【化34】

【0114】
で表される化合物エスシタロプラムを製造すること;および
i)場合によりさらに、式VIIIの化合物を精製することおよび/または場合により薬学的に許容される形態に変換すること。
【0115】
本発明において使用される場合に「加熱」という語句は、反応混合物の温度を上昇させることができる任意の方法、好ましくは慣用の方法、例えば慣用の加熱、マイクロ波または超音波を表す。
【0116】
式Vの化合物の製造方法における「アリル化剤」という語句は、アリルカチオン源またはその同等物、例えば臭化アリルおよび塩化アリルを表す。
【0117】
式IVの化合物の製造方法における「分割」という語句は、古典的な分割、酵素的分割またはキラルクロマトグラフィー、例えば擬似移動床による分割のような方法を表す。
【0118】
式Iの化合物の製造方法における「強塩基」という語句は、フランのα位を脱プロトン化できる塩基、例えばLHMDSまたはブチルリチウムを表す。
【0119】
式IIの化合物の製造方法における「酸化剤」という語句は、第二級アルコールを対応のケトンに酸化できる試薬、例えば二酸化マンガンを表す。
【0120】
「C1-6-アルキル」という語句は、1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を表し、メチル、エチル、プロパ-1-イル、プロパ-2-イル、2-メチル-プロパ-1-イル、2-メチル-プロパ-2-イル、2,2-ジメチル-プロパ-1-イル、ブタ-1-イル、ブタ-2-イル、3-メチル-ブタ-1-イル、3-メチル-ブタ-2-イル、ペンタ-1-イル、ペンタ-2-イル、ペンタ-3-イル、ヘキサ-1-イル、ヘキサ-2-イルおよびヘキサ-3-イルを含むが、これらに限定はされない。
【0121】
「場合により置換されるアリール」という語句は、5〜10個の炭素原子の単環式または二環式の芳香族系を表し、例えばアミノ、ハロゲン、シアノおよびC1-6-アルキルからなる群から独立して選択される0、1、2、3もしくは4個の置換基で場合により置換することができるフェニルおよびナフチルを含むがこれらに限定はされない。
【0122】
「場合により置換されるヘテロアリール」という語句は、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9個の炭素原子または1、2、3もしくは4個のヘテロ原子(N、SまたはOから独立して選択される)から選択される5〜10個の原子の単環式または二環式の複素環式芳香族系を表し、例えばハロゲン、シアノ、アミノおよびC1-6-アルキルからなる群から独立して選択される0、1、2、3もしくは4個の置換基で場合により置換することができるピリジン、ピロール、ピリミジン、キノリン、インドール、チオフェン、フラン、イミダゾール(例えば、3H-イミダゾールおよび1H-イミダゾール)、トリアゾール(例えば[1,2,3]トリアゾールおよび[1,2,4]トリアゾール)、テトラゾール(例えば2H-テトラゾールおよびオキサゾール)を含むがこれらに限定はされない。
【0123】
式VIIIの化合物の「薬学的に許容される形態」という語句は、医薬調合物に製剤化することができる前記化合物の任意の形態、例えば、その薬学的に許容される塩、例えばシュウ酸塩、HBrもしくはHCl、または遊離塩基を表す。
【0124】
R1は当業者に公知の任意の方法に従ってニトリル基に変換することができる。
【0125】
R1がハロゲン、特にブロモまたはクロロである場合には、ニトリルへの変換は米国特許第4,136,193号明細書、国際公開第00/13648号パンフレット、国際公開第00/11926号パンフレットおよび国際公開第01/02383号パンフレットに記載されるように行うことができる。
【0126】
米国特許第4,136,193号明細書では、ブロモ基のニトリル基への変換はCuCNを用いる反応により行われる。
【0127】
R1がカルバルデヒド、特に-CHOである場合には、ニトリルへの変換は国際公開第99/30548号パンフレットに記載されるように行うことができる。
【0128】
古典的な分割は、米国特許第4,943,590号明細書(欧州特許第347 066号明細書に対応する)に記載されるように実施することができる。
【0129】
キラルクロマトグラフィーは、国際公開第03006449号パンフレットに記載されるように実施することができる。
【0130】
酵素的分割は、国際公開第2004014821号パンフレットに記載されるように実施することができる。
【実施例】
【0131】
1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、それぞれ300および75 MHzで操作するBruker製AV300スペクトロメーター、ならびにそれぞれ500 MHzおよび125 MHzで操作するBruker製AV500スペクトロメーターを用いて記録した。多重度はs(シングレット(singlet))、bs (ブロードなシングレット(broad singlet))、d (ダブレット(doublet))、dd (ダブルダブレット(double doublet))、t (トリプレット(triplet))等として表す。共鳴周波数は、参照としてTMS(0 ppm)を用いてδ ppmで表す。
【0132】
HPLC分析は異なるシステムで行った。
【0133】
「HPLC (Lichrosorb RP8)」に関しては、Lichrosorb RP8カラム(5 x 250 mm)を装着したシステムを使用した。溶離液はpH=3(リン酸トリエチルアンモニウム)で緩衝したH2O:CH3CNの50:50混合物であり、流速は1.00 mL/分であった。
【0134】
「HPLC (Chiralcel OD)」に関しては、Chiralcel ODカラム(5 x 250 mm)を装着したシステムを使用した。パッキング組成:10μmシリカゲルにコーティングされたセルローストリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)。溶離液は以下の混合物であった:ヘプタン(98.4%)、エタノール(1.5%)、ジエチルアミン(0.1%)。流速は1.00 mL/分であった。
【0135】
「HPLC (Chirpak AD)」に関しては、Chiralpak ADカラム(5 x 250 mm)を装着したシステムを使用した。パッキング組成:10μmシリカゲルにコーティングされたアミローストリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)。溶離液は以下の混合物であった:ヘプタン(90%)、エタノール(10%)、ジエチルアミン(0.1%)。流速は1.00 mL/分であった。
【0136】
全ての化学物質はAldrich社またはFluka社から購入し、精製せずに使用した。特定の場合には、「Perrin, D.D.; Armarego, W.L.F. “Purification of laboratory chemicals”, Pergamon Press, Oxford, 1988」に記載の方法を用いて化学物質を精製した。
【0137】
<実施例1>
(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノール (1)
【0138】
【化35】

【0139】
アルゴン雰囲気において、マグネティックバーを装備した1Lの乾燥した二口丸底フラスコにおいて、n-ブチルリチウム(2.5 Mヘキサン溶液、144 mL、0.36 mol、1当量)を、よく撹拌した乾燥ジイソプロピルアミン(47.1 mL、0.36 mol、1当量)の乾燥テトラヒドロフラン(THF)(300 mL)溶液に、-20℃で40分にわたって添加した。該混合物を20分間撹拌し、-78℃に冷却し、2-フラン-2-イル-[1,3]ジオキソラン(50 g、0.36 mol、1当量)の乾燥THF(100 mL)溶液を滴加した。全操作の間、反応温度を-78℃に維持し、撹拌を30分間継続した。その後、4-フルオロ-ベンズアルデヒド(45.5 g、0.36 mol、1当量)の乾燥THF(100 mL)溶液をこの温度で滴加し、撹拌を1時間継続した。温度を室温に16時間にわたって上昇させた。該混合物を減圧下で濃縮し、エーテル(600 mL)に溶解し、水(3 x 300 mL)およびブライン(2 x 200 mL)で洗浄した。有機相を回収し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、そして濃縮することにより、黄色の油状物を得た。エーテル/n-ヘキサンからの結晶化により、(1)(92 g、97 %)を白色の固体として得た。
1H (300 MHz, CDCl3) (δ ppm): 7.42 (dd, JHH=5.3 Hz, JHF=8.8 Hz, 2H), 7.07 (t, JHH=8.8 Hz, JHF=8.8 Hz, 2H), 6.37 (d, JHH=3.2 Hz, 1H), 6.02 (d, JHH=3.2 Hz, 1H), 5.89 (s, 1H), 5.79 (d, JHH=4.0 Hz, 1H), 4.12-3.96 (m, 4H), 2.71 (d, JHH=4.0 Hz, 1H)。
13C (75 MHz, CDCl3) (δ ppm): 162 (d, 1JCF=246 Hz), 157, 151, 136 (d, 4JCF=3 Hz), 128 (d, 3JCF=8 Hz), 115 (d, 2JCF=21 Hz), 109, 108, 98, 69, 65。
HPLC (Lichrosorb RP8): r.t.=4.39分。
【0140】
<実施例2>
(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノン (2)
【0141】
【化36】

【0142】
冷却器およびマグネティックバーを装備した1Lの二口丸底フラスコにおいて、ジクロロメタン(DCM)(300 mL)における第一級アルコール(1)(176 g、0.7 mol)および二酸化マンガン(IV)(148 g、1.4 mol、2当量)の混合物を一晩加熱還流した。その後、該混合物を冷却し、セライト層を通してろ過し、減圧下で濃縮することにより、黄色の油状物を得た。メタノールからの結晶化により、ケトン(2)を白色の固体(182.1 g、99 %)として得た。
1H (300 MHz, CDCl3) (δ ppm): 8.00 (dd, JHH=8.8 Hz, JHF=5.5 Hz, 2H), 7.21 (d, JHH=3.5 Hz, 1H), 7.18 (t, JHH=8.8 Hz, JHF=8.8 Hz, 2H), 6.63 (d, JHH=3.5 Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.19-3.98 (m, 4H)。
13C (75 MHz, CDCl3) (δ ppm): 181, 166 (d, 1JCF=254 Hz), 156, 153, 133 (d, 4JCF=3 Hz), 132 (d, 3JCF=9 Hz), 121, 116 (d, 2JCF=22 Hz), 111, 98, 66 (2C)。
HPLC (Lichrosorb RP8): r.t.=5.96分。
【0143】
<実施例3>
4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オール (3)
【0144】
【化37】

【0145】
マグネティックバーおよび冷却器を装備した1Lの丸底フラスコにおいて、3-(ジメチルアミノ)プロピル-1-クロリド塩酸塩(DMPC.HCl)(260 g、1.65 mol)および水性NaOH溶液(240 g、30 % w/v、1.8mol、1.1当量)の混合物を45〜50℃で2時間加熱した。 その後、該混合物をエーテルで抽出し(3 x 400 mL)、回収した有機相を乾燥し(固体のNaOH)、ろ過した。大気圧下でのエーテルの蒸留により、DMPCが無色の油状物(160 g、80 %)として得られる。
【0146】
アルゴン雰囲気において、マグネティックバー、温度計および冷却器を装備し、乾燥した三口丸底フラスコにおいて、DMPC(140 g、1.14mol、3当量)のTHF(350 mL)溶液を、マグネシウムターニング(magnesium turnings)混合物(27.36 g、1.14 mol、3当量)の乾燥THF(150 mL)溶液に1時間にわたって滴加した。該混合物をマグネシウムが消費されるまで加熱還流し、その後、氷浴を用いて0℃に冷却した。ケトン2(100 g、0.38 mol、1当量)の乾燥THF(150 mL)溶液を2時間にわたって添加し、温度を室温に上昇させた。16時間後に、飽和水性塩化アンモニア溶液(300 mL)を添加し、該混合物をエーテルで抽出した(3 x 400 mL)。有機層を回収し、水(3 x 400 mL)、ブライン(2 x 400 mL)で洗浄し、その後乾燥し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮することにより、黄色の油状物を得た。n-ヘプタンからの結晶化により、アルコール(3)(129.4 g、98 %)を白色固体として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) (δ ppm): 7.54 (dd, JHH=8.6 Hz, JHF=5.5 Hz, 2H), 7.00 (t, JHH=8.6 Hz, JHF=8.6 Hz, 2H), 6.34 (d, JHH=3.3 Hz, 1H), 6.18 (d, JHH=3.3 Hz, 1H), 5.92 (s, 1H), 4.13-3.95 (m, 4H), 2.57-2.45 (m, 1H), 2.36-2.20 (m, 3H), 2.17 (s, 6H), 1.58-1.46 (m, 2H)。
13C (75 MHz, CDCl3) (δ ppm): 162 (d, 1JCF=244 Hz), 161, 150, 142 (d, 4JCF=3 Hz), 128 (d, 3JCF=8 Hz), 115 (d, 2JCF=21 Hz), 109, 107, 98, 74, 65, 60, 45, 42, 23。
HPLC (Lichrosorb RP8): r.t.=2.495分。
HPLC (Chiralcel OD): r.t.=13.95分。およびr.t.=24.99分。
【0147】
<実施例4>
S-4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オール (5)
R-4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オール (4)
【0148】
【化38】

【0149】
2種のエナンチオマーを得るためのラセミ混合物の分離を、キラルクロマトグラフィー(擬似移動床)を用いて実施した。
HPLC (Chiralcel OD): r.t.=14.03分。R-アルコール (4)に関して(99.55%)
HPLC (Chiralcel OD): r.t.=25.89分。S-アルコール (5)に関して(98.33%)。
【0150】
<実施例5>
S-[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミン (6)
R-[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミン (9)
[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミン (6,9)
【0151】
【化39】

【0152】
窒素雰囲気下において、マグネティックスターラー、冷却器を装備した二口丸底フラスコにおいて、水素化カリウム(3.60 g、31.5 mmol、3当量、鉱油における約35重量%の分散体)を乾燥n-ヘキサンで3回洗浄し、その後に乾燥THF(20 mL)を添加した。S-アルコール(5)(3.63 g、10.4 mmol)の乾燥THF(25 mL)溶液を滴加し、得られた混合物を2時間加熱還流した。その後、混合物を室温に冷却した。撹拌を停止し、混合物を静置した。過剰量の水素化カリウムを傾瀉により除去した。アルコラートのTHF溶液を、マグネティックスターラーおよび冷却器を装備し、よく乾燥した新しい三口丸底フラスコに移し、18-クラウン-6 (1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン)(2.77 g、10.4 mmol、1当量)を添加し、そして該混合物を20分間加熱還流した。その後、反応液を室温に冷却し、臭化アリル(1.09 mL、12.47 mmol、1.2当量)を少量ずつ添加した(10分毎に0.2当量)。反応の進行はHPLCで確認した。その後、混合物をエーテル(100 mL)で希釈し、水(3 x 50 mL)およびブライン(2 x 30 mL)で洗浄した。その後、有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮することにより、S-アリル誘導体(6)(3.75 g、HPLCにより93 %)を赤色の油状物として得た。生成物をさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0153】
同一の方法を用いて、R-誘導体(9)および[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミンのラセミ混合物を、R-アルコール(4)(HPLCにより91%の収量)から、およびラセミアルコール(3)(HPLCにより92%の収量)からそれぞれ合成した。
1H (500 MHz, CDCl3) (δ ppm): 7.33 (dd, JHH=8.9 Hz, JHF=5.4 Hz, 2H), 7.00 (t, JHH=8.9 Hz, JHF=8.9 Hz, 2H), 6.38 (d, JHH=2.35 Hz, 1H), 6.29 (d, JHH=2.35 Hz, 1H), 5.90-5.80 (m, 2H), 4.1-3.8 (AB SYSTEM, 2H), 4.1-3.8 (m, 4H), 1.41 (d, JHH=2.83 Hz, 2H), 2.40-2.30 (m, 1H), 2.20-2.12 (m, 2H), 2.13-2.02 (m, 7H), 1.45-1.37 (m, 1H), 1.20-1.11 (m, 1H)。
13C (125 MHz, CDCl3) (δ ppm): 161 (d, 1JCF=255 Hz), 156, 150, 137 (d, 4JCF=3 Hz), 134, 128 (d, 3JCF=8 Hz), 115, 114 (d, 2JCF=21 Hz), 109, 108, 97, 78, 64 (2C), 63, 59, 45, 34, 20。
HPLC (Lichrosorb RP8): r.t.=2.62分。
【0154】
<実施例6>
S-{3-[7-[1,3]ジオキソラン-2-イル-2-(4-フルオロ-フェニル)-3,10-ジオキサ-トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ-8-エン-2-イル]-プロピル}-ジメチル-アミン (7)
R-{3-[7-[1,3]ジオキソラン-2-イル-2-(4-フルオロ-フェニル)-3,10-ジオキサ-トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ-8-エン-2-イル]-プロピル}-ジメチル-アミン (10)
{3-[7-[1,3]ジオキソラン-2-イル-2-(4-フルオロ-フェニル)-3,10-ジオキサ-トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ-8-エン-2-イル]-プロピル}-ジメチル-アミン (7,10)
【0155】
【化40】

【0156】
マグネティックバーおよび冷却器を装備した二口丸底フラスコにおいて、S-O-アリル誘導体(6)(3.75 g、9.6 mmol)のトルエン(15 mL)溶液を85〜95℃で一晩加熱した。該溶液を減圧下で濃縮することにより、(7)の2つのexo生成物を赤色の油状物として得た(3.7 g、99 %)。
【0157】
Diels Alder生成物をさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0158】
S-誘導体(7)を含むトルエン溶液はまた、さらに精製することなく次の段階に使用することができる。
【0159】
Diels Alder反応をまた、R-誘導体(9)に関しておよびラセミ混合物に関して行うことにより、(10)(収率99%)およびラセミ混合物(9)、(10)(収率99%)を得た。
1H (500 MHz, CDCl3) (δ ppm): 7.44 (dd, JHH=8.9 Hz, JHF=5.2 Hz, 2H), 7.28 (dd, JHH=8.9 Hz, JHF=5.2 Hz, 2H), 7.05 (t, JHH=8.9 Hz, JHF=8.9 Hz, 2H), 6.92 (t, JHH=8.9 Hz, JHF=8.9 Hz, 2H), 6.70 (d, JHH=5.6 Hz, 1H), 6.46 (d, JHH=5.6 Hz, 1H), 6.29 (d, JHH=5.6 Hz, 1H), 5.96 (d, JHH=5.6 Hz, 1H), 5.25 (s, 1H), 5.12 (s, 1H), 4.42 (t, JHH=8.5 Hz, JHH=8.5 Hz, 1H), 4.29 (t, JHH=8.5 Hz, JHH=8.5 Hz, 1H), 4.10-3.80 (m, 8H), 3.72 (dd, JHH=8.5 Hz, JHH=9.9 Hz, 1H), 3.62 (dd, JHH=8.0 Hz, JHH=9.9 Hz, 1H), 2.49 (dddd, JHH=9.4 Hz, JHH=8.0 Hz, JHH=7.5 Hz, JHH=3.3 Hz, 1H), 2.30-1.93 (m, 22H), 1.91-1.82 (m, 1H), 1.80-1.71 (m, 2H), 1.67-1.36 (m, 4H)。
13C (125 MHz, CDCl3) (δ ppm): 162 (d, 1JCF=245 Hz), 161 (d, 1JCF=244 Hz), 139 (d, 4JCF=3 Hz), 137 (d, 4JCF=3 Hz), 137, 136, 135, 134, 129 (d, 3JCF=8 Hz, 2C), 128 (d, 3JCF=8 Hz, 2C), 115 (d, 2JCF=22 Hz, 2C), 114 (d, 2JCF=22 Hz, 2C),103 (2C), 102 (2C), 92 (2C), 85, 84, 73, 72, 66 (4C), 60 (2C), 47 (1C), 46 (4C), 45, 39, 33, 32, 31, 23, 22。
【0160】
<実施例7>
S-1-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン-5-カルバルデヒド(8a)
R-1-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン-5-カルバルデヒド(11)
1-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン-5-カルバルデヒド(8a,11)
【0161】
【化41】

【0162】
マグネティックバーおよび冷却器を装備した丸底フラスコにおいて、酢酸(20 ml)および水性臭化水素酸(10 mL、48 % w/w)を、S-イソベンズフラン誘導体(7)(3.7 g、9.5 mmol)のトルエン(15 mL)溶液に添加した(5 mmolの基質、10 mLの酢酸、5 mLの48重量%臭化水素酸)。2相の混合物を室温で一晩撹拌した。該混合物を慎重に水性NaOH-氷混合物に加えた。その後、塩基性化水溶液を酢酸エチルで抽出し(3 x 100 mL)、回収した有機層を水(3 x 40 mL)、ブライン(2 x 40 mL)で洗浄し、その後乾燥し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮することにより、S-5-アルデヒド-イソベンゾフラン誘導体(8a)を赤色の油状物として得た(3.0 g、97 %)。シュウ酸を用いて沈殿させることによりシュウ酸塩を得た。
【0163】
(10)およびそのラセミ体からR-5-アルデヒド-イソベンゾフラン誘導体(11)(収率96%)およびラセミ5-アルデヒド-イソベンゾフラン誘導体(収率97%)を合成するために同一の方法を使用した。
【0164】
遊離塩基:
1H (300 MHz, CDCl3) (δ ppm): 10.00 (s, 1H), 7.81 (d, JHH=7.7 Hz), 7.73 (s, 1H), 7.49-7.43 (m, 3H), 7.00 (t, JHH=8.6 Hz, JHF=8.6 Hz, 2H), 5.25-5.15 (AB SYSTEM, 2H), 2.30-2.16 (m, 4H), 2.14 (s, 6H), 1.56-1.26 (m, 2H)。
13C (75 MHz, CDCl3) (δ ppm): 192, 162 (d, 1JCF=246 Hz), 151, 141, 140 (d, 4JCF=3 Hz), 137, 130, 127 (d, 3JCF=8 Hz), 123, 122, 115 (d, 2JCF=21 Hz), 91, 72, 60, 46 (2C), 39, 22。
【0165】
シュウ酸塩:
1H (500 MHz, CDCl3) (δ ppm): 10.00 (s, 1H), 7.83 (d, JHH=8.0 Hz), 7.73 (s, 1H), 7.48 (d, JHH=8.0 Hz), 7.44 (dd, JHH =8.5 Hz, JHF=5.2 Hz, 2H), 7.02 (t, JHH=8.5 Hz, JHF=8.5 Hz, 2H), 5.19 (AB SYSTEM, 2H), 3.13-3.00 (m, 2H), 2.73 (s, 6H), 2.37-2.11 (m, 2H), 1.81-1.57 (m, 2H)。
13C (125 MHz, CDCl3) (δ ppm): 192, 162, 161(d, 1JCF=256 Hz), 150, 140, 139 (d, 4JCF=3 Hz), 137, 131, 127 (d, 3JCF=8 Hz), 122 (2C), 116 (d, 2JCF=22 Hz), 90, 72, 58, 43 (2C), 38, 20。
HPLC (Lichrosorb RP8): r.t.=2.94分。
HPLC (Chirpak AD): r.t.=9.78分(S-誘導体(8a)のシュウ酸塩)
HPLC (Chirpak AD): r.t.=9.20分(R-誘導体(11)のシュウ酸塩)
HPLC(Chirpak AD): r.t.=9.21および9.76分(ラセミ混合物のシュウ酸塩)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式VI
【化1】

で表され、式中、R1が慣用の方法によってニトリル基に変換できる官能基から選択される化合物を製造する方法であって、
式V
【化2】

で表され、R1が上記に定義される化合物を、場合によりルイス酸の存在下でおよび場合により適当な溶剤中で場合により加熱することによって反応させることにより、前記の式VIの化合物を製造することを含む、前記の製造方法。
【請求項2】
式VIの化合物が、式VIaまたはVIb
【化3】

で表される化合物あるいは式VIaおよびVIbの任意の混合物であり、R1が上記に定義される、請求項1または2のいずれか1つに記載の方法。
【請求項3】
R1が、慣用の方法によってニトリル基に変換できる官能基、例えばカルボン酸誘導体、好ましくはエステル類(-COOR2(R2はC1-6-アルキル、場合により置換されるアリールまたは場合により置換されるヘテロアリールから選択される))、アミド類、好ましくは(-COONHR3(R3は水素およびC1-6-アルキルから選択される))、オキサゾリン類、カルバルデヒド誘導体、好ましくは(-CHO)またはその誘導体、好ましくはジオキソラン類、アセタール類またはアミナール類、およびハロゲン、好ましくはCl、BrまたはIから選択される、請求項1または2のいずれか1つに記載の方法。
【請求項4】
R1が1,3-ジオキソラン-2-イルである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ルイス酸がBF3.Et2Oまたは無水ZnCl2、TiCl4、AlCl3、SnCl4等から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
溶剤がCH2Cl2、CHCl3またはトルエン等から選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
式Vの化合物が、式IV
【化4】

で表され、R1が上記に定義される化合物をアリル化剤と反応させることにより製造される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
アリル化剤が臭化アリルまたは塩化アリルから選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
式IVの化合物が、式III
【化5】

で表され、R1が上記に定義される化合物の分割によって製造される、請求項7または8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
分割が古典的分割、酵素的分割またはキラルクロマトグラフィー、例えば擬似移動床による分割から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式IIIの化合物が、式II
【化6】

で表され、R1が上記に定義される化合物をジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドと反応させることにより製造される、請求項9または10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
式IIの化合物が、式I
【化7】

で表され、R1が上記に定義される化合物を、適当な溶剤中で、酸化剤と反応させることにより製造される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
酸化剤が二酸化マンガンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
溶剤がジクロロメタンである、請求項12または13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
式Iの化合物が、式IX
【化8】

で表される化合物および式X
【化9】

で表される化合物を、適当な溶剤中で、強塩基の存在下で反応させることにより製造される、請求項12〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
強塩基が有機金属試薬である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
強塩基がLDA、LHMDS、メチルリチウム、ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウムまたはシクロヘキシルリチウムから選択される、請求項15または16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
溶剤がTHFである、請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
式VIの化合物を酸性条件下で反応させることにより、式VII
【化10】

で表され、R1が上記に定義される化合物を製造する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
酸性条件がルイス酸、有機酸または無機酸、またはこれらの混合物から選択される酸により作り出される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
式VIIの化合物のR1をニトリル基に変換することにより、式VIII
【化11】

で表される化合物エスシタロプラムを製造する、請求項19または20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
式VIIIの化合物を場合によりさらに精製し、そして場合により薬学的に許容される形態に変換する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法のうちの1つまたはそれ以上を含む、エスシタロプラムの製造方法。
【請求項24】
式VI
【化12】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項25】
化合物がS-{3-[7-[1,3]ジオキソラン-2-イル-2-(4-フルオロ-フェニル)-3,10-ジオキサ-トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ-8-エン-2-イル]-プロピル}-ジメチル-アミンである、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
式V
【化13】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項27】
化合物がS-[4-アリルオキシ-4-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-4-(4-フルオロ-フェニル)-ブチル]-ジメチル-アミンである、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
式IV
【化14】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項29】
化合物がS-4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オールである、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
式III
【化15】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項31】
化合物が4-ジメチルアミノ-1-(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-1-(4-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オールである、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
式II
【化16】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項33】
化合物が(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノンである、請求項32記載の化合物。
【請求項34】
式I
【化17】

で表され、R1が上記に定義される化合物。
【請求項35】
化合物が(5-[1,3]ジオキソラン-2-イル-フラン-2-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メタノールである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
エスシタロプラムの製造方法において、請求項24〜35のいずれか1つに記載の化合物のうちの1種またはそれ以上を使用する方法。
【請求項37】
請求項1〜23のいずれか1つに記載の方法のうちの1つまたはそれ以上を含む方法により製造されるエスシタロプラムを含む医薬調合物。

【公表番号】特表2009−515840(P2009−515840A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539252(P2008−539252)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/DK2006/050067
【国際公開番号】WO2007/054105
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】