説明

エストロゲン受容体β媒介性病状の治療のためのダイオウ(Rheumpalmatum)由来のアントラキノンおよび類似体

ダイオウ(Rheum palmatum)由来の組成物を提供する。また、特定の細胞において、特にヒトにおいてアポトーシスを誘導するための前記エキスの使用方法を提供する。また、アポトーシスの選択的誘導のための医薬の調製のためのダイオウエキスの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エストロゲン受容体β媒介性病状の治療のためのダイオウ(Rheum palmatum)由来のアントラキノンおよびその類似体に関する。
【0002】
(関連出願の参照)
本出願は、2008年6月6日に出願された米国特許仮出願第61/059,686号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)の恩典を主張する。
【背景技術】
【0003】
ホルモン補充療法(HRT)は、さまざまな病状、例えば、骨粗鬆症、閉経後女性における心血管疾患リスクの増大、ならびに更年期症状(例えば、のぼせ、性欲減退および鬱)などを治療するために好成績で使用されている。しかしながら、エストラジオール(E)を用いたHRTでは、単独またはプロゲスチンとの組合せのいずれの場合も、望ましくない効果がもたらされることがあり得る。実際、最近、予備試験結果によりHRTが35%高い乳癌リスクと関連していることが示された時点で、女性の健康イニシアチブ(Women’s Health Initiative)(WHI)の研究が急遽停止された。
【0004】
乳癌は、タモキシフェンなどの、いわゆる選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)を使用することにより治療または予防され得る(タモキシフェンの承認前は、閉経前女性の乳癌治療には、多くの場合、エストロゲンの癌刺激効果を低減させるために卵巣除去が含められた)。タモキシフェンは、閉経前女性の乳腺組織において、エストロゲンの癌誘導性効果を選択的にブロックするようである。別のSERMであるラロキシフェンは、エストロゲン置換療法剤の代替薬として、骨粗鬆症の治療に承認されている。骨組織におけるエストロゲン様効果の選択的誘導に加え、ラロキシフェンの長期投与は、ラロキシフェン評価の多面的アウトカム(Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation)(MORE)試験において、乳癌の割合の低減と関連していることも示された。
【0005】
タモキシフェンおよびラロキシフェンなどのSERMは、乳房においてエストロゲンの癌誘導効果の選択的低減をもたらすが、リスクがないことはない。例えば、タモキシフェン療法およびラロキシフェン療法はともに、顔面潮紅の発生率の増大と関連しており、タモキシフェン療法は、子宮(子宮内膜)癌のリスクを増大させることが示されている。
【0006】
骨粗鬆症、冠状動脈性心臓病および更年期症状の治療においてエストロゲン補充療法が好成績であり、乳癌および骨粗鬆症の治療において、タモキシフェンおよびラロキシフェンなどのSERMが好成績であるにもかかわらず、依然として、エストロゲン様特性を有する組成物の必要性が存在している。また、薬物化合物の製造コストの増大を考慮すると、天然供給源から得られ得るさらなるエストロゲン様組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者により、ダイオウ(Rheum palmatum)(特にその根茎)エキス由来の化合物(1種類または複数種)を含む組成物がERβ−阻害性効果を有することが測定された。特に、ダイオウエキス由来のアントラキノンまたはその類似体を含む組成物は、ERα陰性癌性細胞においてアポトーシスを選択的に誘導するが、ERα陽性細胞は、該エキスの細胞傷害性効果に対して抵抗性である。したがって、本明細書に記載のエキス、すなわちダイオウエキス、およびかかるエキスを含む組成物は、ERα陰性の細胞過剰増殖を特徴とする疾患状態(ERα陰性の癌など)ならびに良性の過形成性障害(BPHおよび再狭窄など)の治療に有用な選択的(selective selective)エストロゲン様薬剤である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載の一部の実施形態は、式Iまたは6:
【化1】

(式I中、Rは、HまたはOHである;およびRは、C〜Cアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである;
および式6中、オクタヒドロキシアントラキノンである)
【化2】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含み、式Iまたは6の少なくとも1種類の単離精製された化合物は、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレートされるのに充分な量で含まれる医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、少なくとも1種類の化合物は、式II:
【化3】

(式中、(1)RはOHであり、RはCHである;(2)RはHであり、RはCHOHである;(3)RはHであり、RはCHである、のいずれかである)
の化合物1、2および/または3、ならびに式(6):
【化4】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の化合物から選択される。
【0009】
一部の実施形態において、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む。一部の実施形態では、該組成物はライン(rhein)とフラングリンAの一方または両方を実質的に含まず、一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの両方を含まない。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(3)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は、医薬の製造における使用のためのものである。一部の実施形態では、該医薬は選択的エストロゲン受容体β−アゴニスト効果を有するものである。一部の実施形態では、該医薬は選択的エストロゲン受容体β−アゴニスト効果を有するものである。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、少なくとも1つの更年期症状の治療または予防;骨粗鬆症の治療または予防;子宮癌の治療または予防;乳癌の治療または予防;頚部癌の治療または予防;卵巣癌の治療または予防;および心血管疾患の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの効果である。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、のぼせ、不眠、膣乾燥、性欲減退、尿失禁および鬱の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの更年期症状の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は骨粗鬆症の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、のぼせの治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は子宮癌または乳癌の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの増大を含まない。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの低下を含む。一部の実施形態において、医薬の調製のための本明細書に記載の組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物を、少なくとも1種類のさらなる薬学的に許容され得る成分と合わせることを含み、該さらなる成分は活性または不活性である、医薬の単位投薬形態の調製方法を提供する。
【0010】
本明細書に記載の一部の実施形態は、被検体に、式Iまたは6:
【化5】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、C〜Cアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである;
および式6中、化合物6は式を有する)
【化6】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含む組成物のエストロゲン様有効量を投与することを含み、該投与量は、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレート(例えば、作動)されるのに充分である、エストロゲン様効果の誘発方法を提供する。一部の実施形態において、該組成物は、式II:
【化7】

(式中、(1)RはOHであり、RはCHである;(2)RはHであり、RはCHOHである;(3)RはHであり、RはCHである、のいずれかである)の化合物1〜3、または
化合物6:
【化8】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

から選択される少なくとも1種類の化合物を含む。
【0011】
一部の実施形態において、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む。一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの一方または両方を実質的に含まず、一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの両方を含まない。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(3)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、少なくとも1つの更年期症状の治療または予防;骨粗鬆症の治療または予防;子宮癌の治療または予防;乳癌の治療または予防;頚部癌の治療または予防;卵巣癌の治療または予防;および心血管疾患の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの効果である。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、のぼせ、不眠、膣乾燥、性欲減退、尿失禁および鬱の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの更年期症状の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は骨粗鬆症の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、のぼせの治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は子宮癌または乳癌の治療または予防を含む。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの増大を含まない。一部の実施形態では、エストロゲン様効果は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの低下を含む。
【0012】
本明細書に記載の一部の実施形態は、該遺伝子に作動可能に連結させたエストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体を有する細胞に、前記遺伝子を活性化させるのに充分な量の組成物を投与することを含み、該組成物は式Iまたは6:
【化9】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、C〜Cアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである;
および式6中、化合物6は式を有する):
【化10】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含み、該投与量は、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレート(例えば、作動)されるのに充分である、エストロゲン応答エレメントの制御下にある遺伝子の活性化方法を提供する。一部の実施形態において、該組成物は、式II:
【化11】

(式中、(1)RはOHであり、RはCHである;(2)RはHであり、RはCHOHである;(3)RはHであり、RはCHである、のいずれかである)
の化合物1〜3または化合物6:
【化12】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

から選択される少なくとも1種類の化合物を含む。
【0013】
一部の実施形態において、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む。一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの一方または両方を実質的に含まず、一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの両方を含まない。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(3)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)を含む。一部の実施形態において、遺伝子に作動可能に連結されたエストロゲン応答エレメントおよびエストロゲン受容体を有する細胞は、インビトロである。一部の実施形態では、該細胞はインビボである。一部の実施形態では、該細胞は、ERα+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態では、該細胞は、ERβ+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態では、該細胞は、ERα/ERβ+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態では、エストロゲン応答エレメントを、形質転換細胞において発現させる。一部の実施形態では、エストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体を、形質転換細胞において発現させる。一部の実施形態では、エストロゲン応答エレメントを該細胞において異種発現させる。一部の実施形態では、エストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体を該細胞において異種発現させる。一部の実施形態において、該細胞は、ERE制御型遺伝子で形質転換させたU937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞からなる群より選択される。一部の実施形態において、該細胞はERαを発現するものである。一部の実施形態において、該細胞はERβを発現するものである。一部の実施形態において、ERE制御型遺伝子はERE−tk−Lucである。
【0014】
本明細書に記載の一部の実施形態は、さらに、TNF応答エレメントの制御下にある遺伝子とエストロゲン受容体を含む細胞に、前記TNF RE制御型遺伝子を抑制するのに有効な量の本明細書に記載の組成物を投与することを含み、前記組成物が、式Iまたは6:
【化13】

(式I中、Rは、HまたはOHである;
およびRは、C〜Cアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである)
および式6中、化合物6は式を有する):
【化14】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含み、該投与量が、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレート(例えば、作動)されるのに充分である、TNF RE制御型遺伝子の発現の抑制方法を提供する。一部の実施形態において、該組成物は、式II:
【化15】

(式中、(1)RはOHであり、RはCHである;(2)RはHであり、RはCHOHである;(3)RはHであり、RはCHである、のいずれかである)
の化合物1〜3および/または化合物6:
【化16】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

から選択される少なくとも1種類の化合物を含む。
【0015】
一部の実施形態において、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む。一部の実施形態では、該組成物は、(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む。一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの一方または両方を実質的に含まず、一部の実施形態では、該組成物はラインとフラングリンAの両方を含まない。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(6)の両方を含む。一部の実施形態では、該組成物は(3)と(6)の両方を含む。。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)と(6)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(1)と(2)と(3)を含む。一部の実施形態では、該組成物は(2)と(3)を含む。一部の実施形態において、TNF RE制御型遺伝子はTNF−αである。一部の実施形態において、TNF RE制御型遺伝子がTNF RE−Lucである。一部の実施形態において、該細胞はインビトロである。一部の実施形態では、該細胞はインビボである。一部の実施形態では、該細胞は、ER+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態では、該細胞は、ERα+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態では、該細胞は、ERβ+乳腺組織内に存在するものである。一部の実施形態において、TNF応答エレメントは該細胞において内生的に発現される。一部の実施形態では、TNF応答エレメントとエストロゲン受容体が該細胞において内生的に発現される。一部の実施形態では、TNF応答エレメントを該細胞において異種発現させる。一部の実施形態では、TNF応答エレメントとエストロゲン受容体を該細胞において異種発現させる。一部の実施形態において、該細胞はエストロゲン受容体遺伝子を含み、TNF応答エレメント制御型遺伝子で形質転換され、U937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞からなる群より選択される。一部の実施形態において、エストロゲン受容体遺伝子はERα発現遺伝子である。一部の実施形態では、エストロゲン受容体遺伝子はERβ発現遺伝子である。
【0016】
本明細書に記載の一部の実施形態は、(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;(g)酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;(i)該抽出基材を、溶出溶媒(A)〜(D):(A)水性酢酸アンモニウム、(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリルの連続アリコートで連続溶出させること;(j)(D)の溶出液を収集し、該収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;(k)該シリカゲルを、ヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに(1)エモジン含有画分を該シリカゲルから収集することを含む、ダイオウからのエモジンの単離方法を提供する。一部の実施形態において、以下:(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;(iv)(h)の固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;(v)(j)のシリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物が約8:2:0.1の比率である、の1つ以上を適用する。
【0017】
本明細書に記載の一部の実施形態は、(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;(g)酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;(i)該抽出基材を、抽出溶媒(A)〜(D):(A)水性酢酸アンモニウム、(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリルの連続アリコートで溶出させること;(j)(D)の溶出液を収集し、収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;(k)該シリカゲルを、約8:2:0.1の比率のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに(l)アロエエモジン含有画分をシリカゲルから収集することを含む、ダイオウからのアロエエモジンの単離方法を提供する。一部の実施形態において、以下:(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;(iv)(h)の固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;(v)(j)のシリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物が約8:2:0.1の比率である、の1つ以上を適用する。
【0018】
本明細書に記載の一部の実施形態は、(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;(g)酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;(i)該抽出基材を、抽出溶媒(A)〜(D):(A)水性酢酸アンモニウム、(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリルの連続アリコートで溶出させること;(j)(D)の溶出液を収集し、収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;(k)該シリカゲルを、約8:2:0.1の比率のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに(l)該シリカゲルからクリソファノール含有画分を収集することを含む、ダイオウからのクリソファノールの単離方法を提供する。一部の実施形態において、以下:(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;(iv)(h)の固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;(v)(j)のシリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物が約8:2:0.1の比率である、の1つ以上を適用する。
【0019】
本明細書に記載の一部の実施形態は、(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;(g)酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;(h)該酢酸エチルを固相抽出カートリッジに適用すること;(i)該抽出カートリッジを、(A)水性酢酸アンモニウム、(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリルの連続アリコートで溶出させること;(j)(C)の溶出液を収集し、収集した溶出液を分離基材樹脂に適用し、低級アルコール(エタノールまたはメタノールなど)で溶出させ、オクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集すること;(l)収集した画分を逆相分離基材に適用し、約5:5〜約7:3の比率の酢酸アンモニウムとアセトニトリルの混合物で分画すること;(m)オクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集し、得られた画分をシリカゲルに適用すること;(n)展開させたシリカゲルからオクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集することを含む、ダイオウからのオクタヒドロキシアントラキノンの単離方法を提供する。一部の実施形態において、以下:(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;(iii)(h)の固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;(iv)(j)のシリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または(v)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物が約8:2:0.1の比率である、の1つ以上を適用する。
【0020】
文献の引用
本明細書において挙げた刊行物および特許出願はすべて、引用により、個々の各刊行物および特許出願が、引用により組み込まれて、あたかも具体的に個々に示されているのと同程度に本明細書に組み込まれる。
【0021】
本発明の新規な特徴は、特に、添付の特許請求の範囲に示したものである。本発明の原理を用いた例示的実施形態を示した以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点のより良好な理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アントラキノン、エモジン(1)、アロエエモジン(2)、クリソファノール(3)、ライン(4)、フラングリンA(5)、およびオクタヒドロキシアントラキノン(6)のオーバーレイしたクロマトグラムを示す。
【図2】エモジン(1)がERβに対して選択的アゴニスト効果を有するが、ERαに対してはないことを示す。
【図3】オクタヒドロキシアントラキノン(6)のERβ選択的エストロゲン様効果を示す。化合物6は、ERαに対する効果はない。
【図4】対照(ビヒクル)およびエストラジオール(E)と比較した場合の、子宮増殖に対するオクタヒドロキシアントラキノン(6)の効果を示す。対照と比較すると、エストラジオールは子宮増殖を刺激するが、6は子宮増殖を阻害する。
【図5A】腎よう移植片の写真を示す。この写真は、ヌードマウスにおける腫瘍形成に対するオクタヒドロキシアントラキノン(6)の効果を示す。対照=A、オクタヒドロキシアントラキノン(6)=B、エストラジオール=C。図に示されるように、オクタヒドロキシアントラキノンは、対照と比較すると、マウス腎よう移植片において腫瘍の増殖を抑制するが、Eは腫瘍の増殖を刺激する。
【図5B】この実験の結果をグラフで示したものである。28日後のMCF−7腫瘍の重量は、腎よう異種移植片を有するエストラジオール処置ヌードマウスにおいて、対照またはオクタヒドロキシアントラキノン(「octa」)処置マウスよりもずっと多かった。
【図6】エモジンの存在下でのERE−tk−lucのERβ−活性化を、ERE−tk−lucのERα−活性化と比較するグラフである。
【図7】ERβの存在下でのTNF−REのエモジンTNF−α活性化を、ERβの存在下でのTNF−REのエモジンTNF−α活性化と比較するグラフである。
【図8】エモジン+対照、エモジン+ラロキシフェン、エモジン+タモキシフェンおよびエモジン+エストラジオールの存在下でのERE−tk−lucのERβ−活性化を示す。図に示されるように、エモジン単独およびエモジン+エストラジオールは、ERE−tk−lucの発現を、それぞれ、約4倍および6倍刺激するが、エモジンとラロキシフェンまたはタモキシフェンいずれかの存在下での活性化は、実際には抑制される。
【図9】ERβおよびERαのエモジン結合曲線を示す。
【図10】アロエエモジンの存在下でのERE−tk−lucのERβ−活性化を、ERE−tk−lucのERα−活性化と比較するグラフである。
【図11】ERβの存在下でのTNF−REのアロエエモジンTNF−α活性化を、ERβの存在下でのTNF−REのアロエエモジンTNF−α活性化と比較するグラフである。
【図12】アロエエモジン+対照、アロエエモジン+ラロキシフェン、アロエエモジン+タモキシフェンおよびアロエエモジン+エストラジオールの存在下でのERE−tk−lucのERβ−活性化を示す。図に示されるように、アロエエモジン単独およびエモジン+エストラジオールは、ERE−tk−lucの発現を、それぞれ、約4倍および6倍刺激するが、エモジンとラロキシフェンまたはタモキシフェンいずれかの存在下での活性化は、実際には抑制される。
【図13】ERβとERαのアロエエモジン結合曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において、式Iまたは6:
【化17】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、C〜Cアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである;
および式6中、化合物6は式を有する):
【化18】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の特定の化合物を含む医薬組成物を開示する。
【0024】
式Iまたは6の1種類以上の化合物を含むかかる組成物は、ERβ選択的エストロゲン様効果を含むことを見出した。かかるエストロゲン様効果は、エストロゲン受容体β(ERβ)媒介性の疾患または病状、例えば、1つ以上の更年期症状、エストロゲン受容体媒介性の癌(例えば、乳癌、子宮癌、卵巣癌、膣癌、外陰部の癌、ファローピウス管の癌、子宮内膜の癌腫および/または骨粗鬆症などの予防または治療を包含する。したがって、一部の実施形態では、本明細書において、患者に、化合物1、2、3およびまたは6の1種類以上、2種類以上、3種類以上、または4種類全てを含む組成物のエストロゲン様有効量を投与することを含む、患者の治療方法を提示する。一部の実施形態において、該方法は、少なくとも化合物1と6、少なくとも化合物2と6、少なくとも化合物3と6、少なくとも化合物1と2と6、少なくとも化合物1と3と6、少なくとも化合物1と2と3と6、少なくとも化合物1と3、少なくとも化合物1と2、少なくとも化合物1と2および3、少なくとも化合物2と3と6または化合物1と2と3と6の4種類全てを含む組成物を投与することを含む。本明細書で用いる場合、化合物1はエモジン(RがOHであり、RがCHである式Iの化合物)であり、化合物2はアロエエモジン(RがHであり、RがCHOHである式Iの化合物)であり、化合物3はクリソファノール(RがHであり、RがCHである)であり、化合物6はオクタヒドロキシアントラキノンである。
【0025】
また、本明細書において、式1、2、3および6の化合物を、ダイオウから、特にダイオウの根茎から単離する新規な方法を記載する。
【0026】
化合物1、2、3および6の推定標的および作用様式
乳房の新生物は、女性において診断される最も一般的な癌である。2000年では、新たに184,000例の乳癌が診断され、45,000名の女性が乳癌で死亡している。乳癌の原因は、おそらく多因子性であるが、エストロゲンが乳癌を促進させることを示す有力な臨床的、疫学的および生物学的研究がある:(a)ホルモン補充療法(HRT)は、51例の研究のメタアナリシスによると、乳癌のリスクが35%高いことと関連している;(b)乳癌は、乳房細胞においてERに結合し、エストロゲンの作用と拮抗するタモキシフェンまたはラロキシフェンにより予防することができる;(c)乳癌を有する閉経前女性において両側卵巣摘出すると、生存の増大がもたらされる;(d)エストロゲンに対する曝露が長いほど(早い初経または遅い閉経では、それぞれ、相対リスク=1.3および1.5〜2.0)、乳癌の発生率が高い;(e)エストロゲンによりER陽性乳癌細胞の増殖が増大する;ならびに(f)エストロゲンにより、増殖促進遺伝子(サイクリンD1、c−mycおよびc−fosなど)の生成が増大する。
【0027】
乳腺腫瘍のほぼ60〜70%はエストロゲン受容体を含む。ここ数十年の間、乳腺腫瘍は、ERの存在について解析されてきた。ER+腫瘍のほぼ70%は、抗エストロゲン療法に応答性である。この観察結果により、ER+腫瘍はER陰性腫瘍よりも良好な予後を有するという考えがもたらされた。しかしながら、ERβの発見により、この解釈は複雑となり、いくつかの難解な臨床上の疑問が生じた。腫瘍がER+であるかどうかを調べる現行の方法は、ERαのみが検出される抗体を使用するものであるため、ERαとERβの役割を理解することは非常に重要である。したがって、乳腺腫瘍内のERの臨床転帰に対する効果を調べるほとんどの研究は、ERαの状態しか反映していない。しかしながら、いくつかの最近の研究により、ヒト乳腺腫瘍においてERβ mRNAの存在が検出された。ERβに対する特異的で感度のよい抗体がないため、ほとんどの研究ではERβの測定をRT−PCRに依存していた。Dotzlawらにより、RT−PCRによって乳腺腫瘍生検材料中にERβが最初に検出された。彼らにより、乳腺腫瘍の70%がERβを発現し、90%がERαを発現することが見出された。さらに、彼らにより、いくつかのER陰性細胞株もまたERβ mRNAを発現することが示された。このような所見は、ERβが乳腺腫瘍において高度に発現されていること、および多くの腫瘍でたいていERαとERβの両方が共発現されていることを示唆する。実際、一部のER−腫瘍はERβを含む。また、Dotzlawらにより、ERβ mRNAは、ER+/PR−(PRはプロゲスチン受容体である)腫瘍において、ER+/PR+腫瘍と比べて有意に低いことが示された。この著者により、この観察結果は、ER+/PR+の方がタモキシフェンに対して応答し易いため、ERβ発現が予後不良と関連していることを示すことが示唆された。他の研究では、ERβの存在によって予後不良がもたらされることが示唆されている。Speirsらにより、ほとんどの乳腺腫瘍がERβ mRNAを単独またはERα mRNAとの組合せで発現していることが見出された。ERαとERβの両方のmRNAを発現している腫瘍は、陽性リンパ節と関連しており、腫瘍の悪性度が高いと特性評価される傾向にあった。さらに、ERβ発現の増大は、発癌化学物質で処理したMCF−10F細胞において起こり、これは、ERβの発現が乳癌の開始と進行の一因であり得ることを示唆する。最近、Jensenらにより、免疫組織化学検査(IHC)によって、29例の浸潤性乳腺腫瘍においてERβの発現が解析された。彼らにより、ERβ発現が、細胞増殖の特異的マーカーであるKi67とサイクリンAの上昇と関連していることが見出された。さらに、これらの増殖マーカーの最も高い発現はERα+/ERβ+腫瘍に存在した。ERα−/ERβ+である症例の数は非常に少ない(n=7)が、該著者により、ERβが乳腺腫瘍における細胞増殖を媒介することが示唆された。また、Speirsらにより、ERβ mRNAがタモキシフェン抵抗性腫瘍において、タモキシフェン感受性腫瘍と比べて有意に上昇していることが報告された。
【0028】
対照的に、別の研究では、ERβの存在により良好な予後がもたらされることが示されている。Iwaoらにより、乳腺腫瘍が前浸潤性から浸潤性の腫瘍へと進行するにつれて、ERα mRNAは上方調節され、ERβ mRNAは下方調節されることが示された。凍結腫瘍切片のIHCを用いて、Jarvinenらにより、ERβ発現は、無腋窩節状態、低悪性度、および低S期画分と関連していることが見出された。また、Omotoらによる研究により、ERβを含む腫瘍での方が無疾患生存率が高かったため、ERβ陽性腫瘍はERβ陰性腫瘍よりも良好な予後と相関していることが見出された。また、ERβ発現では、プロゲステロン受容体の存在および乳腺腫瘍の充分な分化との強い関連性が示された。また、ERβのレベルが正常乳腺組織において最も高いこと、およびこのレベルは、腫瘍が前癌性から癌性の病変へと進行するにつれて低下することが報告されている。このような研究は、ERβが腫瘍抑制因子としての機能を果たしているのかもしれないこと、およびERβの減少によって乳房での発癌が促進されることを示す。Mannらによる研究では、癌細胞の10%より多くのERβの発現が、タモキシフェンで治療された女性の良好な生存と関連していることが示された。このような研究を総合すると、ERβの存在により良好な予後がもたらされることが示される。RT−PCRおよびIHCデータは、アデノウイルス媒介性ERβ発現によって、ER陰性細胞株であるMDA−MB−231の増殖のリガンド非依存性阻害がもたらされることが示された報告と整合する。
【0029】
この結果は、乳癌の病因および予後におけるERβの役割が不明確であることを示す。いくつかの理由によって、これらの研究間の明白な矛盾が説明され得る。第1に、ERβ mRNAとERβタンパク質間の相関性が不充分であるかもしれないことである。この考えは、リガンド結合アッセイによって検出可能なERをもたない一部のER陰性細胞株におけるERβ mRNAの存在と整合する。第2に、IHC試験において、特異性および感度に関する特性評価が不充分であった種々の市販のERβ抗体が使用されたことである。第3に、結論のほとんどが、数例の乳癌症例に基づいたものであったことである。乳癌におけるERαとERβの役割を明確にするためには、明らかに、より多くの研究が必要である。
【0030】
乳癌における補助療法剤および予防的化学療法剤としてのSERMの役割:エストロゲンは乳癌細胞の増殖を促進させるため、乳腺腫瘍に対するエストロゲンのこの効果をブロックするために、いくつかの治療的アプローチが実施されている。このようなストラテジー、例えば、卵巣切除、抗エストロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体またはアロマターゼ阻害薬は、エストロゲン産生の低減またはエストロゲンの作用のブロックのいずれかによって奏功する。これらのストラテジーはすべて、ERαとERβの両方の作用を非選択的にブロックする。乳腺腫瘍を予防および治療するために臨床的に使用されている最も一般的なアプローチは、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、タモキシフェンおよびラロキシフェンである。
【0031】
タモキシフェンは、非ステロイド系のトリフェニルエチレン誘導体であり、乳房などの一部の組織ではアンタゴニスト作用を示すが、子宮内膜および骨などの別の一部の組織ではアゴニスト作用を有するため、基本型のSERMである。タモキシフェンは、エストロゲン受容体陽性乳癌を有する女性において乳腺腫瘍の再発を低下させるための補助療法剤としての臨床的有効性が広く研究されている。5年間のタモキシフェン療法により、再発リスクは42%低下し、乳癌による死亡率は22%低下し、続発性の対側性原発乳腺腫瘍が低下する。ほぼER陽性乳腺腫瘍の3分の2はタモキシフェンに応答するが、ER陰性腫瘍を有する女性が補助的タモキシフェンの恩恵を受けることを示す証拠は非常に少ない。ごく最近、米国乳癌予防治験(BCPT)により、タモキシフェンは、乳癌のリスクが高いとみなされる女性において、浸潤性の原発乳癌のリスクを49%低下させることが示された。この研究は、タモキシフェンが、乳癌の病歴を有する女性に有効な第一の補助療法剤であり、乳癌発症リスクが高い女性に有効な予防的化学療法剤であることを示す。
【0032】
ラロキシフェンは、ベンゾチオフェン類型のSERMの一構成員であり、最近、骨粗鬆症の予防および治療に対して承認された。ラロキシフェンは、乳癌の女性に対する補助療法剤としての有効性については評価されていない。しかしながら、ラロキシフェンの多面的アウトカム(MORE)試験では、乳癌予防に対するラロキシフェンの効果が評価された。MORE治験は、骨粗鬆症を有する7705名の閉経後女性の無作為化プラセボ対照3年試験であった。このMORE治験では、40ヶ月のメジアン追跡後、ラロキシフェン処置群の5129名の女性のうち13例に乳癌がみられたのに対し、プラセボを受けた2576名の女性では27例にみられた(RR=0.24)。タモキシフェンと同様、ラロキシフェンは、エストロゲン受容体陽性腫瘍の発生率の低下には有効であるが、エストロゲン受容体陰性腫瘍ではそうでない。ラロキシフェンは、検出可能なレベルの血清エストラジオールを有する閉経後女性において乳癌のみを予防することを示す最近の研究により、乳癌の促進におけるエストロゲンの役割に関するさらなる証拠が得られている。
【0033】
エストロゲン受容体の構造:SERMがER陽性腫瘍においてのみ奏功するという事実は、SERMが乳房に対して保護効果を発揮するためには、エストロゲン受容体と相互作用することが必要であることを示す。既知のエストロゲン受容体にはERαとERβの2種類があり、これらはステロイド核受容体スーパーファミリーの構成員である。ERαは1986年に最初にクローニングされたが、驚いたことに、第2のERが約10年後に発見され、ERβと命名された。ERαは、595個のアミノ酸を含み、一方、ERβは530個のアミノ酸を含む。どちらの受容体も、3つの相違するドメインで構成されたモジュラータンパク質である。アミノ末端ドメイン(A/Bドメイン)は、最も保存されていない領域であり、ERαとERβ間に示される相同性はわずか15%である。このドメインは、エストラジオールの非存在下で遺伝子転写を活性化することができる活性化機能(AF−1)を有する。ERの中央領域は2つのジンクフィンガーモチーフを含み、該モチーフは、標的遺伝子のプロモーター内に存在する3つのヌクレオチドによって分断されたパリンドローム逆位反復配列に結合する。ERαおよびERβのDNA結合ドメイン(DBD)は、事実上同一であり、95%の相同性を示す。カルボキシ末端ドメインは、いくつかの不可欠な機能を実行するリガンド結合ドメイン(LBD)を含む。LBDは、エストロゲン様化合物が結合する大型疎水性ポケットおよびERの二量体化に関与する領域を構成する領域を含む。また、LBDは、補助調節タンパク質と相互作用する第2の活性化機能(AF−2)も含む。AF−2は、エストロゲンの活性化と遺伝子転写の抑制の両方に必要とされる。ERαおよびERβのLBDの相同性はわずか約55%である。ERαとERβのLBDのアミノ酸組成の顕著な違いは、転写における役割が相違するERがもたらされるように進化したものであり得る。これにより、ERαとERβが異なる遺伝子の活性を調節し、異なる生理学的効果が誘発されることが可能となり得る。この考えは、ERαおよびERβのノックアウトマウスの研究によって裏付けられている。例えば、ERαノックアウトマウスは、始原的(primitive)乳房および子宮の発達を有するが、ERβノックアウトマウスでは正常な乳腺および子宮が発達する。この観察結果は、これらの組織の発達にはERαのみが必要とされることを示す。さらに、本発明者らは、遺伝子の活性化では、ERαがERβよりも有効であるが、遺伝子転写の抑制では、ERβがERαよりも有効であることを見出した。
【0034】
エストロゲンの作用機序
エストロゲンは、複数の機構によって遺伝子転写を活性化および/または抑制し得る。遺伝子転写の活性化には、特性評価された2つの経路、古典的ERE(エストロゲン応答エレメント)経路とAP−1経路がある。エストロゲンが遺伝子の転写を調節するのに必要な不可欠な成分は、:ER(ERα および/またはERβ)、標的遺伝子内のプロモーターエレメント、および補助調節タンパク質の少なくとも3つである。ERに対するエストラジオールの結合により、コンホメーションの変化が生じ、これにより、転写経路を開始させるいくつかの重要な工程がもたらされる。第1に、EとERの相互作用により、ERからのシャペロンタンパク質の解離がもたらされる。これにより、ERの二量体化表面とDNA結合ドメインが露出する。シャペロンタンパク質の喪失により、ERは、標的遺伝子のプロモーター領域内のEREと二量体化および結合することが可能になる。
【0035】
第2に、Eの結合によってERのLBDのヘリックス12が移動し、ERのAF−2機能を構成する表面がもたらされる。AF−2は、ERのヘリックス3、5および12で構成された保存された疎水性ポケットからなり、ERの該ヘリックスは、一緒になって、p160クラスのコアクチベータタンパク質(コアクチベータ)(ステロイド受容体コアクチベータ−1(SRC−1)またはグルココルチコイド受容体相互作用タンパク質1(GRIP 1)など)に対する結合表面を構成する。コアクチベータ(「補助調節因子としても知られる))は、AF−2のヘリックスに囲まれた疎水性裂溝内に突出するLXXLLで構成されたいくつかの反復アミノ酸モチーフを含む。コアクチベータは、ヒストンアセチラーゼ活性を有する。遺伝子の活性化は、ERとコアクチベータタンパク質がEREにおいて複合体を形成し、これにより、DNAに結合されたヒストンタンパク質のアセチル化が引き起こされた後に起こると考えられる。このヒストンのアセチル化によってクロマチン構造が変化し、それにより、ER/補助調節因子複合体によって、EREと、標的遺伝子のTATAボックス領域で合成された基礎転写タンパク質との間に架橋が形成され、遺伝子の転写が開始され得る。
【0036】
ERE経路に対するSERMの効果:エストロゲンとは異なり、SERMはERE経路を活性化しない。代わりに、SERMは、ERE経路に対するエストロゲンの効果を競合的にブロックする。エストロゲンと同様、SERMは、ERαとERβに高親和性で結合し、シャペロンタンパク質の解離、ERの二量体化およびEREに対するERの結合を引き起こす。したがって、SERMのアンタゴニスト作用は、プロモーター領域に対するERの結合に遠位の工程で生じる。SERMのアンタゴニスト作用の分子機構は、ERαおよびERβのLBDの結晶化によって明確になった。ER LBDの構造から、E、タモキシフェンおよびラロキシフェンは同じ結合ポケットに結合することが明白である。しかしながら、タモキシフェンとラロキシフェンはバルキーな側鎖を含むが、Eには存在しない。ERのx線構造により、このSERMのバルキーな側鎖によってLBDの動きが障害され、そのために機能性AF−2表面の形成が妨げられることが明らかになった。注目すべきことに、SERMがERαに結合すると、ヘリックス12内の配列(LXXML)(これは、LXXLLモチーフと類似している)がAF−2表面の疎水性裂溝と相互作用し、コアクチベータ認識部位を閉塞させる。したがって、エストロゲンとは異なり、SERMは、機能性AF−2表面をもたらさない。これにより、コアクチベータの結合が妨げられる。コアクチベータタンパク質はSERMの存在下でAF−2表面に結合しないため、活性化経路は急激に停止される。コアクチベータが漸増するのではなく、SERMがリガンド結合したERによって、コリプレッサ(N−CoRなど)が漸増される。
【0037】
これらの研究により、SERMのアンタゴニスト特性は、少なくとも3つの要素によるものであることが示された。第1に、SERMは、エストロゲンと同じ結合ポケットに結合し、そのERに対する結合を競合的にブロックすることである。第2に、SERMは、ERが、ERE経路の転写活性化に必要とされるコアクチベータタンパク質と相互作用することを妨げることである。第3に、SERMは、遺伝子の転写活性化を妨げるコリプレッサを漸増させることである。このようなSERMの作用により、たいていの場合、ラロキシフェンとタモキシフェンが、どのようにして乳房細胞においてアンタゴニストとして作用し、乳癌の発生を抑止するのかが説明される。
【0038】
また、SERMはEよりも、AP−1エレメントを有する遺伝子の活性化において有効である。実際、Eは、AP−1エレメントのSERM媒介性活性化のアンタゴニストである。SERMは、AP−1経路を活性化させることにより、骨および子宮内膜などの組織ではアゴニスト作用を示すことが前提とされている。興味深いことに、SERMは、ERβの存在下でのAP−1経路の活性化においてより強力であり、これは、SERMが、ERβを多く含む組織において、より効率的にAP−1経路を誘発することを示す。エストロゲンは、SERMと比較すると、AP−1経路の活性化においてずっと弱いため、エストロゲン媒介性乳房発癌におけるAP−1経路の役割は不明である。しかしながら、AP−1経路は、乳腺腫瘍のタモキシフェンに対する抵抗性に関与しているかもしれないことが示唆されている。
【0039】
本発明の態様により、ERE−tkLucの活性化では、ERβはERαよりも弱い;TNF−RE−tkLucの抑制では、ERβはERαよりも有効である;およびERβは、ERE−tkLucのERα媒介性転写活性化を阻害することを示す研究を行なった。実験の詳細は、本明細書において後述する実施例のセクションに論考する。
【0040】
本発明は、本明細書に記載のような、式Iまたは6の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含む組成物を提供する。特に、該組成物は、式1、2、3および/または6の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含む。一部の実施形態において、該組成物は、式1、2、3および/または6の化合物の2種類以上、3種類以上、または4種類全てを含む。一部の実施形態では、該組成物は1と2を含み、一部の実施形態では、該組成物は1と3を含み、一部の実施形態では、該組成物は1と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は1と2と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は1と3と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は2と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は3と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は2と3と6を含み、一部の実施形態では、該組成物は1と2と3と6を含む。一部の実施形態では、該組成物は1と6を含む。一部の実施形態において、該組成物は、1〜3の3種類全てと6を含有するダイオウ根茎のエキスである。また、ダイオウの根茎のエキスからの化合物1、2、3および/または6の単離方法を提供する。
【0041】
タデ科(Polygonaceae)のダイオウ属の種はまた、ルバーブ、中国ルバーブ、東インドルバーブ、スィートラウンドリーブドドッグ、パイプラント(pieplant)またはダーハン(da huang)という種々の名称で呼ばれている。タデ科のダイオウ属は多年生の低木である。これは、非常に幅広の葉と、細長い、しばしば赤みを帯びた柄(葉柄)を有する。空中部分は大きく、約1.5〜2mの高さであり、頑丈である。根茎および根は頑丈であり、茎は中空で、縦溝があり、小毛短毛を有するか、または節には硬尖面がある。根出葉柄は円柱形であり、ほぼ葉身と同じ長さであり、密に乳頭状嚢で覆われている(papilliferous);葉身は大きく、その幅(40〜60cm)とほぼ同じ長さであり、軸の反対側は密に毛で覆われており、軸側には縦溝があり乳頭状嚢で覆われており、5つの基部葉脈を有し、基部は丸葉、掌状に羽状分裂葉に分かれ、葉先端はとがっているか、すなわち鋭形であり、茎部の葉は上部ほど小さい。葉鞘は大きく(15cmまで)、硬尖面の外側である。円錐花序は大きく;枝は輻合であり、密に毛で覆われている。小花梗は2〜2.5mmであり、下方の中央で一緒になっている。花は小さい。花被片は6つで赤紫色であり、稀に黄白色もあり、外側の3枚は楕円形から円形であり、より小さく、1〜1.5mmである。雄蘂は花被から突出していない。子房は偏菱形から卵型;形状はわずかに下曲性;柱頭は膨張。果実は長い楕円形から長楕円形、8〜9×7〜7.5mmで、両端は微凹形;翼果(wing)はおよそ2.5mm幅で、辺縁部付近まで縦脈を有する。
【0042】
ダイオウエキス
ダイオウエキスは、まず、ダイオウの根茎を含む植物部分を適当な抽出媒体と、適当な時間、根茎からERβ選択的エストロゲン様主成分の効率的な抽出が行われるのに適当な条件下で接触させることにより得られる。抽出媒体は、適当な液体溶媒、例えば水性低級アルコール、特に水性メタノールであるが、水性エタノール(または水性エタノールとメタノールの混合物)も可能である。根茎は、抽出溶媒と植物体間の接触表面積を大きくするために、すり潰すか、あるいは粉砕され得る。抽出は、室温または約50℃までの高温で、約1時間〜約72時間の時間で行なわれ得る。次いで、植物体を抽出媒体から分離すると、有機物質の中でも、とりわけ1〜3と6の混合物を含有するエキスが得られ得る。
【0043】
第1段階の分離
アルコール(例えば、メタノール)を一部または完全に水性抽出媒体から除去すると水性濃縮液が形成され得、次いで、これは、固相抽出カラムまたはカートリッジ(例えば、逆相抽出カートリッジ)に負荷され得る。次いで、エキスの分配が、溶出溶媒の連続アリコートを用いた溶出により行なわれ得る。この連続アリコートは、極性から無極性まで多岐にわたる。一部の実施形態において、適当な極性溶媒は水性酢酸アンモニウム(1〜100mM)であり、適当な無極性溶媒はアセトニトリルである。これらの溶媒の混合物を、中間極性の溶出溶媒として調製してもよい。一部の実施形態において、活性化合物を固相から溶出させるための適当な系は、以下:(A)100%水性酢酸アンモニウム;(B)75%水性酢酸アンモニウム、25%アセトニトリル;(C)50%水性酢酸アンモニウム;50%アセトニトリル;(D)25%水性酢酸アンモニウム;75%アセトニトリル;(D)100%アセトニトリル(パーセンテージ(%)はすべて、容量/容量基準である)のような連続溶出溶媒を含むものである。選択的ERβエストロゲン様活性を有する分配画分は保存され得、かかる活性のないものは廃棄され得る。前述の水性酢酸アンモニウム溶液において、酢酸アンモニウムの濃度は、適当な範囲、例えば、約1〜約100mM、約2〜約50mM、約5〜約20mMまたは約10mMであり得る。また、特に規模が拡大された環境では、溶出溶媒を、100%水性酢酸アンモニウムから100%アセトニトリルまでの線形勾配として泳動させることも可能である。また、他の適当な極性溶媒および無極性溶媒を、本明細書に示したものの代わりに適当な条件下で使用され得る。
【0044】
オクタヒドロキシアントラキノン(6)の最終段階の分離
上記に特定した系では、オクタヒドロキシアントラキノン含有画分が画分(C)に得られる。この画分は、Sephadex LH−20基材(例えば、カートリッジまたはカラム内)に上に負荷され、メタノールまたは他の低級アルコールまたは低級アルコールの混合物で溶出され得る。オクタヒドロキシアントラキノンを含有する溶出された溶媒は、次いで、適当な逆相分離基材に適用され、適当な移動相を用いて分配され得る。分離基材は、適当な容量の適当な支持体内または支持体上(薄層プレート、カートリッジまたはカラム)に存在させ得る。適当な移動相は、所望の生成物6を基材上の他の物質から分離するのに適した極性であるのがよい。一部の実施形態において、基材はTLCプレート上のRP18であり得、移動相は、水性酢酸アンモニウムとアセトニトリルの混合物(例えば、10mMの酢酸アンモニウム:アセトニトリルが6:4の混合物)であり得る。一部のかかる実施形態において、5つの個々の分配画分が識別可能であり、そのうち第2画分に6が含まれる。次いで、6を含む分配画分は、適当な支持体(カラム、カートリッジ、TLCプレート)上の順相基材(シリカゲル基材など)に適用され、適当な溶媒を用いて分配され得る。一部の実施形態において、固定相は、TLCプレート上のシリカゲルであり、展開溶媒は、適当な比率のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸(例えば、約8:2:0.1のヘキサン:EtOAc:TFA)である。6を含む分配画分は、慣用的な方法によって取得し、基材から分離する。6の実体は、HPLC、H NMR、13C NMRおよび/または質量分析などの方法の1つまたはその組み合わせによる既知の標準物質との比較によって、以下の実施例のセクションにより詳細に記載のようにして確認され得る。
【0045】
エモジン(1)、アロエエモジン(2)およびクリソファノール(3)の単離
上記に特定した系において、エモジン(1)、アロエエモジン(2)およびクリソファノール(3)を含む混合物は、画分(D)として溶出される。この混合物は、適当な支持体(例えば、TLCプレート、カートリッジまたはカラム)上の順相分離基材(シリカなど)に適用され、適当な移動相(極性と無極性の混合特性を有する溶媒など)を用いて分配され得る。一部の実施形態において、該混合物は、シリカゲルカラムに適用され、ヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の溶液(例えば、ヘキサン、EtOAcおよびTFAが8:2:0.1の混合物)を用いて溶出される。クリソファノール(3)、エモジン(1)およびアロエエモジン(2)を含む個々の画分が得られ得る。溶出の進行は、例えば、適当な移動相を用いた逆相TLCによってモニタリングされ得る。一部の実施形態において、TLCの移動相は、酢酸アンモニウム(10mM)とアセトニトリルが1:1の混合物である。分離された化合物1、2および3の実体は、HPLC、H NMR、13C NMRおよび/または質量分析などの方法の1つまたはその組み合わせによる既知の標準物質との比較によって、以下の実施例のセクションにより詳細に記載のようにして確認され得る。
【0046】
したがって、上記のエキスは、少なくとも、1種類以上の植物由来化合物1〜3と6(フィトケミカル)を、任意選択で適当な溶媒溶解させた状態で含む。一部または完全にエバポレートしたエキスは、適当な希釈剤(例えば、酢酸エチル、水および/またはエタノール)添加して再構成エキスを形成することにより再構成され得る。
【0047】
一部の実施形態において、植物エキスを含む組成物としては、純粋なエキスを含むもの、または分配されたエキス(例えば、1種類以上のエストロゲン様活性化合物を富化させたエキス)を含むもの、およびかかるエキスと1種類以上のさらなる成分の組合せを含むものが挙げられる。一部の実施形態において、該組成物には、さまざまな物理形態もの(例えば、固形、半固形、液状、コロイド状など)が包含される。該組成物が医薬用途を意図したものである場合、該さらなる成分は、薬学的に許容され得るものである。本発明による組成物が、生体に指向されるものでないアッセイまたは他の用途における使用を意図したものである場合、該さらなる成分(1種類または複数種)は、薬学的に許容され得るものであっても、そうでないものであってもよい。
【0048】
一部の実施形態において、純粋なエキスは1種類以上の有機溶媒と合わされ得る。かかる有機溶媒は種々の極性のものであり得る。一部の実施形態において、適当な溶媒としては、酢酸エチル(ethyl ethyl)、アセトニトリル、ヘキサン、(C〜C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、ならびに他の溶媒(例えば、薬学的に許容され得るもの、およびヒトでの消費に対して一般に安全と認められるもの(GRAS)が挙げられる。
【0049】
一部の実施形態において、該組成物は、純粋なエキスを含むもの、またはエキスと1種類以上のさらなる溶媒の組合せを含むものである。一部の実施形態において、エキスには、分配されたエキスまたはさらに精製されたエキスが包含される。分配または精製は、種々の分離手法(例えば、クロマトグラフィー)を用いて行なわれ得る。一部の実施形態において、エキスは、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーまたは排除クロマトグラフィーの手段によって得て、エキス中の活性薬剤をさらに濃縮した精製エキスまたは分配エキスである。一部の実施形態において、精製エキスまたは分配エキスは、1回以上の工程の液体クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など)によって得られるものである。一部の実施形態において、高速液体クロマトグラフィーは、分取規模の高速液体クロマトグラフィーである。一部の実施形態において、HPLCは、逆相またはイオン交換クロマトグラフィーである。また、他の分離手段を用いてエキスを精製または分配してもよく、分液漏斗または他の二相もしくは多相分離機構での分離が挙げられる。一部の実施形態において、精製エキスまたは分配エキスを1種類以上のさらなる活性または不活性な成分(例えば、溶媒、希釈剤など)と合わせてもよい。一部の実施形態において、適当な溶媒としては、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン、(C〜C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、ならびに他の溶媒(例えば、薬学的に許容され得るもの、およびヒトでの消費に対して一般に安全と認められるもの(GRAS)が挙げられ得る。
【0050】
好適なさらなる成分としては溶媒が挙げられる。溶媒は、薬学的に許容され得る溶媒と非薬学的に許容され得る溶媒に細分され得る。これに関連して、薬学的に許容され得る溶媒の一例として注射用水(WFI)が挙げられることは理解されよう。注射用水は、予め選択されたpHまたはpH範囲、例えば約2〜約8、より具体的には約4.0〜約7.5、より特別には約4.9〜約7.2にpH調整および/または緩衝され得る。
【0051】
薬学的に許容され得る溶媒には、さらに、1種類以上の薬学的に許容され得る酸、塩基、塩または他の化合物(例えば、担体、賦形剤など)が包含され得る。薬学的に許容され得る酸としては、HCl、HSOPO、安息香酸などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩基としては、NaOH、KOH、NaHCOなどが挙げられる。薬学的に許容され得る塩としては、NaCl、NaBr、KClなどが挙げられる。酸および塩基は、薬学的に許容され得る溶液を特定の予め選択されたpHに、特に約2〜8の範囲のpH、より特別には約5.0〜約7.2の範囲に緩衝するのに適切な割合で添加され得る。
【0052】
本発明による植物エキスは、エストロゲン応答エレメント(ERE)の制御下にある遺伝子のエストロゲン様活性化をもたらすものである。したがって、一部の細胞では、本発明の植物エキスはエストロゲン様特性を有する。すなわち、EREとER(ERα、ERβまたは両方)を含む細胞を本発明の植物エキスと接触させると、EREの制御下にある遺伝子の刺激をもたらす。インビトロ細胞系では、本発明のエストロゲン様植物エキスによるERE媒介性活性化により、EREに作動可能に連結させた遺伝子の発現がもたらされる。特定の実施形態では、ERと、最小限のチミジンキナーゼプロモーターとルシフェラーゼ遺伝子に連結させたEREとのエストロゲン様相互作用により、ルシフェラーゼ発現の増強がもたらされる。したがって、本発明の植物エキスは、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼなど)に作動可能に連結させたERE含有プロモーターを有するERα+細胞株、ERβ+細胞株および/またはERα+/ERβ+細胞株を同定するために使用され得る。また、本発明の植物エキスは、アッセイ試薬(例えば、ER+細胞株においてエストロゲン様効果を有する化合物を同定するための標準物質)として使用され得る。
【0053】
かかるアッセイ法の一例では、本発明の植物エキスを、まず、既知の活性または濃度で調製する。本発明の植物エキスの定量は、容器の風袋を計り(tare)、容器内に既知の容量の植物エキスを測り入れ、植物エキスをエバポレーションまたは凍結乾燥によって濃縮させて残渣を得、容器+植物エキスの質量を得ることにより簡便に行なわれる。容器+植物エキスと風袋質量の質量差は、植物エキスの乾燥質量である。植物エキスの単位容量あたりの植物エキスの乾燥質量の比率は、単位容量あたりの濃度である。植物エキスは、濃度を特定するための前述の定量方法の結果を用いて、その最初の形態で使用してもよい。また、水または別の適当な溶媒系の添加によって既知濃度の植物エキス溶液を形成することにより、残渣を再構成してもよい。
【0054】
植物エキスの濃度がわかったら、標準曲線を作成する。一般的には、ER+細胞を植物エキスと接触させ、エストロゲン様活性に関するシグナルを記録する。特に、ER+細胞は、EREの制御下にあるレポーター遺伝子を有する。このER+細胞を本発明の植物エキスと接触させると、植物エキスの添加量に比例するレポーターシグナルが生成する。この工程は、同じ植物エキス濃度、異なる植物エキス濃度または両方の多数の試料を用いて行なってもよい。一例として、9例の試料:第1濃度の最初の3例、第1濃度より半対数(half log)大きい濃度の次の3例、および第1濃度より全対数(whole log)大きい濃度の次の3例が試験され得る。次いで、レポーターシグナルを観察して記録し、得られたデータ点(レポーターシグナル強度に対する植物エキス濃度)を、慣用的な曲線フィット法(例えば、最小2乗法)によって標準曲線にフィットさせる。
【0055】
候補化合物のエストロゲン様効果を評価するため、候補化合物を、EREの制御下にあるレポーター遺伝子を有するE+細胞と接触させる。レポーター遺伝子のシグナルを観察し、標準曲線と比較して候補化合物の相対エストロゲン様効果を定量する。
【0056】
前述の方法に使用されるER+細胞株は、天然でERを発現する細胞株、例えば、ヒト由来ER+乳房細胞癌腫細胞株であり得る。一部の実施形態において、ER+組織は、ヒト不死化細胞株、例えば、骨髄または乳房の不死化細胞株である。例示的な細胞株としては、ヒト単球、骨芽細胞、悪性乳房癌腫および乳房上皮不死化細胞株が挙げられる。挙げられ得る具体的な細胞株の一例には、U937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞株がある。他のER+細胞株(不死化細胞株を含む)もまた、使用され得る。あるいはまた、ER+細胞株は、天然でERを発現しない細胞株(ER発現ベクターで形質転換した細菌細胞株など)であってもよい。
【0057】
ER+細胞株は、レポーター遺伝子を制御するEREを含むプロモーターを有するベクターで形質転換する。例えば、該ベクターは、ERE、最小限のチミジンキナーゼプロモーター(tk)およびルシフェラーゼ遺伝子(Luc)を含むウイルスベクターであり得る。例示的なERE−tk−Luk構築物を配列番号:1に示す。ここで、EREはヌクレオチド1−で示され、tkはヌクレオチドnn−で示され、Lukはヌクレオチドmm−で示される。この構築物を標的細胞で、既知の方法によってトランスフェクトし、ER−ERE−tk−Luk系の発現を、例えば、既知量のEの存在下で推定ER+細胞に対して前述のアッセイを行なうことにより確認する。ER+細胞の成功裡の形質転換の他の確認方法としては、既知のER抗体を用いた免疫染色が挙げられる。
【0058】
ERE含有プロモーターは、ERE配列とプロモーター配列を含むDNAである。プロモーター配列は、当該技術分野で認知されたプロモーター配列、例えば、最小限のチミジンキナーゼ(tk)プロモーター配列である(配列番号:1,ヌクレオチドnn−参照)。他のERE含有プロモーターも可能であり、本発明の範囲に含まれる。EREとプロモーター配列は、一緒に作動してレポーター遺伝子の発現を制御する。本明細書に記載のように、エストロゲン様化合物(例えば、植物エキスまたはE)はERに結合してER二量体をもたらし、AF−2表面を形成する。次いで、ER二量体はEREに結合し、該プロモーターの制御下にある該遺伝子を活性化させる。一部の実施形態において、EREは、該プロモーターのすぐ上流(5’側)に存在し、直接ライゲートされている。一例として、ERE−tkプロモーター構築物を配列番号:1,ヌクレオチド1−nn−1に示す。
【0059】
レポーター遺伝子は、発現されると、検出可能なシグナルをもたらす遺伝子である。ルシフェラーゼ遺伝子は、単一の試薬ルシフェリンの存在下で検出可能な光シグナルを生成するタンパク質ルシフェラーゼをもたらすため、好適なレポーター遺伝子である。特に、ルシフェラーゼ遺伝子のcDNAが発現させると、62kDaの酵素タンパク質ルシフェラーゼが生成される。ルシフェラーゼ酵素は、Mg2+と酸素の存在下でルシフェリンとATPの反応を触媒し、オキシルシフェリン、AMP、ピロリン酸塩(PPi)の形成の光の放射をもたらす。放射される光は黄緑色(560nm)であり、標準的な光量測定器を用いて容易に検出され得る。ATP、OおよびMg2+は既に細胞内に存在しているため、検出可能なシグナルの生成に必要なことは、このレポーター遺伝子に試薬ルシフェリンを添加することだけであり、本発明のアッセイにおける使用に特によく適している。当該技術分野において利用可能であると記載され得る他のレポーター遺伝子としては、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)およびβ−グルクロニダーゼ(GUS)が挙げられる。
【0060】
本発明の一部のアッセイ法では、標準植物エキスを、1種類以上のエストロゲン様化合物(SERMなど)との比較によって、さらに特性評価することが有用である。かかるアッセイ法は、本質的に、該方法の適切な部分において、標準エストロゲン様化合物および/またはSERMを植物エキスで適正に置き換えることにより、上記のようにして行なわれる。
【0061】
また、本発明による植物エキスは、TNF RE媒介性経路によって遺伝子発現を抑制するものである。一部の場合において、本発明の植物エキスは遺伝子発現をインビトロで、特に、TNF REの制御下にあるレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、Luc)を有する細胞において抑制するものである。一部の場合において、本発明の植物エキスは、単球およびマクロファージによって主に産生されるサイトカインであるTNF−αの発現を抑制するものである。このサイトカインは、種々の組織の滑膜細胞およびマクロファージに見られ、関節リウマチ(RA)に大きく関与している。また、TNF−αは、他の炎症性疾患においても発現され、また、細菌由来の内毒素に対する応答としても発現される。TNF RE抑制型経路によるTNF発現の抑制因子として、本発明の植物エキスは、高レベルのTNFと関連している炎症性障害の治療において重要である。
【0062】
本発明の一部の実施形態では、ERαとERβの一方または両方ならびにTNF REの制御下にあるレポーター遺伝子発現する細胞株を調製する。TNF REは、一般的にレポーター遺伝子の上流(5’側)に存在し、シグナル検出は、本明細書において先に記載のようにして行なう。TNF REの制御下にあるレポーター遺伝子(本件ではルシフェラーゼ遺伝子)を有するDNAの配列を配列番号:2に示す。ヌクレオチド1−はTNF REに相当し、一方、ヌクレオチドnn−はルシフェラーゼ遺伝子に相当する。
【0063】
前述の細胞、TNF RE含有細胞系は、さらに、1コピー以上のER遺伝子、すなわち、ERα、ERβまたは両方を含む。前述の方法に使用されるER+細胞株は、天然でERを発現する細胞株、例えば、ヒト由来ER+乳房細胞癌腫細胞株であり得る。一部の実施形態において、ER+組織は、ヒト不死化細胞株、例えば、骨髄または乳房の不死化細胞株である。例示的な細胞株としては、ヒト単球、骨芽細胞、悪性乳房癌腫および乳房上皮不死化細胞株が挙げられる。挙げられ得る具体的な細胞株の一例には、U937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞株がある。他のER+細胞株(不死化細胞株を含む)もまた、使用され得る。あるいはまた、ER+細胞株は、天然でERを発現しない細胞株(ER発現ベクターで形質転換した細菌細胞株など)であってもよい。
【0064】
所定量のルシフェリンの存在下、およびエストロゲン様化合物(例えば、Eまたは本発明の植物エキス)の非存在下において、該細胞系は黄色光(560nm)を、「対照強度」または「ベースライン強度」と称される強度で放射する。560nmの光放射は、光学密度単位(O.D.560nm)で簡便に定量される。エストロゲン様化合物、例えば、Eまたは本発明の植物エキスの1つを添加すると、560nmの光放射の強度は、対照と比べて減衰される。注目すべきことに、タモキシフェンまたはラロキシフェンなどのSERMの存在下では、ルシフェラーゼ発現は増大し、560nmの光放射の強度も増大する。したがって、本発明の植物エキスは、遺伝子発現のエストロゲン様TNF RE制御型抑制を誘導し得るものである。
【0065】
TNF RE含有細胞系は、本発明によるアッセイ法において使用され得る。本発明のアッセイ法において、ルシフェラーゼ活性の減衰(すなわち、560nmの光の放射の低減)は、エストロゲン様活性の増大と相関しており、一方、ルシフェラーゼ活性の賦活(すなわち、560nmにおける放射の増大)は、抗エストロゲン様活性と相関している。標準曲線は、既知量の本発明の植物エキスを用いて、本明細書に記載のようにして作成され得る。他の既知のエストロゲン様または抗エストロゲン様標準物質(Eなど)あるいはいくつかの他の既知のエストロゲン様化合物および/または抗エストロゲン様SERM(タモキシフェンもしくはラロキシフェン)を使用することにより、かかる標準曲線を、さらに増強してもよい。
【0066】
次いで、形質転換E+細胞株由来の細胞を、本明細書に記載のようにして候補化合物に曝露し、ルシフェラーゼシグナルを観察し、シグナルを事前に作成した標準曲線(1つまたは複数)と比較する。対照(ベースライン)と比べてルシフェラーゼ活性の増大を引き起こす化合物は、抗エストロゲン様SERMと特性評価され、一方、対照と比べてルシフェラーゼ活性の低下を引き起こす化合物は、エストロゲン様に分類される。次いで、エストロゲン様または抗エストロゲン様効果が、ルシフェラーゼ発現の低下または増大の程度を、本発明の植物エキスによってもたらされる低下と比較することにより、任意選択で、それぞれ、E、タモキシフェンおよび/またはラロキシフェンによってもたらされるシグナルの低下または増大と比較することにより定量され得る。
【0067】
また、本発明の植物エキス組成物は、E−ERとEREの相互作用と拮抗するものである。特に、タデ科のダイオウ属のエキスは、ERβとERαの直接相互作用によるEによるERE−tk−Lucの活性化と拮抗することが示されている。ERE制御型遺伝子のE−ER活性化のアンタゴニストとして、本発明の植物エキス組成物は、タモキシフェンと効果が類似しているとみなされ、乳癌および子宮癌に対して予防的、待機的および/または抗増殖性の活性を有する。
【0068】
本発明は、インビボでの本発明の組成物のエストロゲン様使用法を提供する。一般に、該インビボ法は、被検体に、該被検体においてエストロゲン様効果がもたらされるのに充分な量の該植物エキスを投与することを含む。該インビボ法は、エストロゲン様ERE制御型遺伝子の活性化、TNF RE制御型遺伝子の抑制(例えば、TNF−α抑制)、または両方をもたらすものである。したがって、該インビボ法は、インビボで種々の陽性表現型効果をもたらすものである。
【0069】
被検体は哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、サル、チンパンジー、イヌ、ネコまたはヒツジなどであり得、一般的には雌である。また、被検体はヒトであり得、特に女性である。一部の実施形態において、被検体は、閉経後または卵巣摘出後の女性であって、エストロゲン療法を必要とする女性である。かかる場合において、被検体は、更年期症状、例えば、のぼせ、不眠、膣乾燥、性欲減退、尿失禁および鬱などを罹患している被検体であり得る。他のかかる場合では、被検体は、骨粗鬆症になりやすい、または骨粗鬆症に罹患している被検体であり得る。好適なインビボ法としては、エストロゲン補充療法に応答性である医療適応症の治療および/または予防が挙げられる。
【0070】
本発明による組成物の投与は、一般に使用されている投与経路によるものであるが、該経路によって、1種類以上の該植物エキスが標的組織に対して利用可能であるものとする。挙げられ得る投与経路の一例には、経口、経鼻、口腔内、経直腸、経膣および/または経表面(経皮)がある。あるいはまた、投与は、同所性(orthotopic)、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射によるものであってもよい。かかる組成物は、通常、薬学的に許容され得る組成物として投与され得る(上記)。
【0071】
疾患、障害、症候群、病状または症状の治療(およびその文法的語尾変化形、例えば、治療する(treat,to treat,treating)、治療される(treated)など)としては、臨床医が、かかる治療を受ける被検体を特定するため、および本発明の組成物を該被検体に投与するために採用され得る措置が挙げられる。したがって、治療は、本発明のエストロゲン様植物エキスを被検体に投与することにより、おそらく回復、緩和、改善、解消、治癒されるであろう疾患、症候群、病状または症状の診断を包含する。また、治療は、疾患、障害、症候群、病状または症状の回復、緩和、改善、解消または治癒の同時存在を包含する。一部の実施形態において、治療は、疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の発病の防止もしくは遅延(すなわち、予防)、疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の進行の防止もしくは遅延、および/または疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の重症度の低減を含意する。新生物増殖の場合は特に、治療は、新生物増殖の緩和ならびに逆転、停止また遅延を包含する。これに関連して、治療はまた、寛解(完全寛解および一部寛解を含む)も包含する。更年期症状の場合、治療は、種々の症状の予防および緩和を包含する。
【0072】
疾患、障害、症候群、病状または症状の予防(およびその文法的語尾変化形)としては、疾患、障害、症候群、病状または症状を発症するリスクのある被検体を特定し、該被検体に、おそらく前記疾患、障害、症候群、病状または症状の発病が回避または遅延されるであろう充分な量の本発明の植物エキスを投与することが挙げられる。一部の場合において、予防は、臨床医が、医療ケアの適格基準を適用してホルモン補充療法の必要があると考える閉経後女性を特定し、本発明の植物エキスを該女性に投与し、それにより1つ以上の更年期症状をブロックまたは遅延することを包含する。一部の実施形態において、骨粗鬆症の予防は、臨床医が、医療ケアの適格基準を適用して、骨粗鬆症を発症するリスクがあると考える閉経後女性を特定し、本発明の植物エキスを該女性に投与し、それにより骨量減少の発生をブロックまたは遅延することを包含する。
【0073】
緩和は、疾患、障害、症候群、病状または症状の発生の重症度、数および/または頻度の低減を包含する。更年期症状の緩和としては、のぼせ、不眠、失禁、鬱などの頻度および/または重症度の低減が挙げられる。
【0074】
骨粗鬆症の治療としては、骨量減少のリスクのある人(閉経後女性など)を特定し、本発明の植物エキスを該女性に投与し、それにより、骨量減少の重症度を低減、発生を遅延もしくは予防することが挙げられる。一部の実施形態において、骨粗鬆症の治療には骨量の増量も含まれ得る。
【0075】
さらに、本発明は、タデ科のダイオウ属(Rheum palmatum L)の本発明のエキスの作製方法を提供する。詳しくは、本発明は、本発明のエストロゲン様植物エキスの作製方法を提供する。該方法は、タデ科のダイオウ属の種の植物から所与の量の植物体を得ること、任意選択で、該植物体を細かく砕くこと、前記植物体を抽出媒体と接触させること、および該植物体を抽出媒体から分離することを含む。
【0076】
一部の実施形態において、該植物種は、タデ科の種々の品種のダイオウ属のタデ科のダイオウ属の種の植物のものである。
【0077】
植物体(plant matter)は、タデ科のダイオウ属の種の少なくとも1つの植物の任意の一部分(1つまたは複数)を意味する。植物体としては、完全体の植物または該植物の任意の一部分(1つまたは複数)、例えば、根、樹皮、樹木、葉、花(もしくは花の萼片、花弁、雄蕊、雌蕊など)、果実、種子および/または前述のものの任意の一部分もしくは混合物が挙げられる。植物体は、切ったばかりのもの、乾燥させたもの(フリーズドライを含む)、凍結したものなどであり得る。また、植物体は完全体であってもよく、小部分に分離したものであってもよい。例えば、葉は切り刻まれたり、千切りされたり、すり潰されたりされ得る。根は切り刻まれたり、すり潰されされ得る。果実は切り刻まれたり、スライスされたり、ブレンドされたりされ得る。種子は切り刻まれたり、すり潰されたりされ得る。茎は千切りされたり、切り刻まれたり、すり潰されたりされ得る。本発明の特別な実施形態では、使用される植物部分は、タデ科のダイオウ属の葉である。
【0078】
本発明の植物エキス組成物は、タデ科のダイオウ属の少なくとも1種類のエキスを含む。「エキス」は、植物部分を抽出溶媒と、該植物由来の1種類以上の化合物が該植物体から抽出溶媒中に分配されるのに適した条件下で接触させた場合の結果としての溶液、濃縮液または残渣である。次いで、該溶液を任意選択で濃縮すると、濃縮液または残渣が形成される。
【0079】
本発明に好適な抽出媒体としては、水およびエチルアルコールが挙げられる。具体的には、水が抽出溶媒である場合、精製水が好適である。精製水としては、蒸留水、脱イオン水、注射用水、限外濾過水、および他の形態の精製水が挙げられる。使用されるエチルアルコールは、本発明の一部の実施形態では、穀物エタノール、特に、非変性エタノール(例えば、純粋な穀物エタノール、任意選択で、いくらかの水分、例えば、約10%までの水分を含有する)である。一部の実施形態において、抽出溶媒は水、エタノールまたはその混合物である。濃縮液または残渣は、抽出溶液を減少(例えば、エバポレートまたは凍結乾燥)させることにより調製され得る。最初の抽出溶媒であれ、濃縮還元液であれ、残渣形態であれ、これらの各調製物は、本発明の解釈上、「エキス」とみなされる。
【0080】
本発明による植物エキスの作製方法は、任意選択で、表面積−体積比を増大させると同時に、抽出プロセス効率を増大させるために、最初に植物体を細かく砕くことを含む。植物体を細かく砕く方法としては、すり潰す、切り刻む、ブレンドする、千切りする、粉砕する、磨砕するなどが挙げられる。
【0081】
次いで、抽出媒体(溶媒)を植物体と、1種類以上のフィトケミカル、特にエストロゲン様フィトケミカルが植物体から抽出媒体中に分配されるのに適した条件下で接触させる。かかる条件としては、一部の場合において、室温より上の温度までの抽出媒体の加熱、攪拌、接触時間などが挙げられる。例示的な抽出温度は、約50℃から抽出溶媒の沸点までである。水が抽出溶媒である場合、抽出温度は、一般的に室温から約100℃であり、約50℃〜約80℃の温度が特に好適であり、約75℃の温度が特別に好適である。抽出溶媒がエタノールの場合、抽出温度は、一般的にほぼ室温から約78.5℃であり、約50℃〜約78℃の温度が特に好適であり、約75℃の温度が特別に好適である。当業者には、一方において抽出効率と、他方においてフィトケミカルの化合物安定性との間に適正な均衡がもたらされるべきであることが認識されよう。
【0082】
抽出媒体と植物体を合わせたら、これらを任意選択で、植物体から抽出媒体中へのエストロゲン様化合物の効率的な交換を確実にするために攪拌し、有用な量のフィトケミカル化合物が植物体から抽出媒体中に抽出されるのに充分な時間、接触させたままにする。かかる時間の経過後(例えば約5分〜約10時間、より特別には約10分〜約5時間、特に約30分〜約2時間)、フィトケミカル化合物を含有する抽出媒体を植物体から分離する。かかる分離は、当該技術分野で認知された方法によって、例えば、濾過、デカンテーションなどによって行なわれる。
【0083】
本発明による組成物は、本発明の植物エキスを含むもの、または本発明の植物エキスを含む本発明の組成物である。かかる実施形態において、本発明の組成物は、任意選択で、1種類以上のさらなる成分を含む。かかるさらなる成分は不活性であっても活性であってもよい。不活性成分としては、溶媒、賦形剤および他の担体が挙げられる。活性成分としては、活性医薬成分(API)、例えば、本発明の植物エキスとの組合せで相乗活性を示すものが挙げられる。
【0084】
ダイオウエキス
一部の実施形態において、植物種は、種々の品種のダイオウの植物種ダイオウである。
【0085】
植物体は、種ダイオウ由来の少なくとも1つの植物の任意の一部分(1つまたは複数)、特に棘状突起(トゲ)を意味する。一般に、植物体には、完全体の植物の他の部分または該植物の任意の一部分(1つもしくは複数)、例えば、根、樹皮、木、葉、花(もしくは花の萼片、花弁、雄蕊、雌蕊など)、果実、種子および/または前述のものの任意の一部分もしくは混合物も含まれ得るが、本発明において好ましい実施形態では、本明細書に記載のエキスおよび前記エキスを含む医薬組成物の調製に使用される植物部分は、ダイオウの棘状突起(別名トゲ)である。植物体は、切ったばかりのもの、乾燥させたもの(フリーズドライを含む)、凍結したものなどであり得る。また、植物体は完全体であってもよく、小部分に分離したものであってもよい。例えば、葉は切り刻まれたり、千切りされたり、すり潰されたりされ得る。根は切り刻まれたり、すり潰され得る。果実は切り刻まれたり、スライスされたり、ブレンドされたりされ得る。種子は切り刻まれたり、すり潰されたりされ得る。茎は千切りされたり、切り刻まれたり、すり潰されたりされ得る。本発明の特別な実施形態では、使用される植物部分は、ダイオウの棘状突起(トゲ)である。
【0086】
本発明の植物エキス組成物は、ダイオウの少なくとも1種類のエキスを含む。「エキス」は、植物部分を抽出溶媒と、該植物由来の1種類以上の化合物が該植物体から抽出溶媒中に分配されるのに適した条件下で接触させた場合の結果としての溶液、濃縮液または残渣である。次いで、該溶液を任意選択で濃縮すると、濃縮液または残渣が形成される。
【0087】
本発明に好適な抽出媒体としては、水およびエチルアルコールが挙げられる。具体的には、水が抽出溶媒である場合、精製水が好適である。精製水としては、蒸留水、脱イオン水、注射用水、限外濾過水、および他の形態の精製水が挙げられる。使用されるエチルアルコールは、本発明の一部の実施形態では、穀物エタノール、特に、非変性エタノール(例えば、純粋な穀物エタノール、任意選択で、いくらかの水分、例えば、約10%までの水分を含有する)である。一部の実施形態において、抽出溶媒は水、エタノールまたはその混合物である。濃縮液または残渣は、抽出溶液を減少(例えば、エバポレートまたは凍結乾燥)させることにより調製され得る。最初の抽出溶媒であれ、濃縮還元液であれ、残渣形態であれ、これらの各調製物は、本発明の解釈上、「エキス」とみなされる。
【0088】
本発明による植物エキスの作製方法は、任意選択で、表面積−体積比を増大させると同時に、抽出プロセス効率を増大させるために、最初に植物体を細かく砕くことを含む。植物体を細かく砕く方法としては、すり潰す、切り刻む、ブレンドする、千切りする、粉砕する、磨砕するなどが挙げられる。
【0089】
次いで、抽出媒体(溶媒)を植物体と、1種類以上のフィトケミカル、特に、選択的エストロゲン様フィトケミカルが植物体から抽出媒体中に分配されるのに適した条件下で接触させる。かかる条件としては、一部の場合において、室温より上の温度までの抽出媒体の加熱、攪拌、接触時間などが挙げられる。例示的な抽出温度は、約50℃から抽出溶媒の沸点までである。水が抽出溶媒である場合、抽出温度は、一般的に室温から約100℃であり、約50℃〜約80℃の温度が特に好適であり、約75℃の温度が特別に好適である。抽出溶媒がエタノールの場合、抽出温度は、一般的にほぼ室温から約78.5℃であり、約50℃〜約78℃の温度が特に好適であり、約75℃の温度が特別に好適である。当業者には、一方において抽出効率と、他方においてフィトケミカルの化合物安定性との間に適正な均衡がもたらされるべきことが認識されよう。
【0090】
抽出媒体と植物体を合わせたら、これらを任意選択で、植物体から抽出媒体中への選択的エストロゲン様化合物の効率的な交換を確実にするために攪拌し、有用な量のフィトケミカル化合物が植物体から抽出媒体中に抽出されるのに充分な時間、接触させたままにする。かかる時間の経過後(例えば約5分〜約10時間、より特別には約10分〜約5時間、特に約30分〜約2時間)、フィトケミカル化合物を含有する抽出媒体を植物体から分離する。かかる分離は、当該技術分野で認知された方法によって、例えば、濾過、デカンテーションなどによって行なわれる。
【0091】
本発明による組成物は、本明細書に記載の植物エキスを含むもの、または本明細書に記載の植物エキスを含む本発明の組成物である。かかる実施形態において、本明細書に記載の組成物は、任意選択で、1種類以上のさらなる成分を含む。かかるさらなる成分は不活性であっても活性であってもよい。不活性成分としては、溶媒、賦形剤および他の担体が挙げられる。活性成分としては、活性医薬成分(API)、例えば、本明細書に記載の植物エキスとの組合せで相乗活性を示すものが挙げられる。
【0092】
本明細書に開示した一部の実施形態では、分類学上の種ダイオウのエキスを含む医薬組成物を提供する。「エキス」は、一部において、抽出媒体(溶媒)を植物体と、1種類以上の化学物質化合物が該植物体から抽出媒体中に誘導され、抽出溶液が形成されるのに適した条件下で接触させることにより調製される物質の組成物である。次いで、抽出溶液を植物体から分離し、任意選択で、希釈または濃縮すると(例えば、エバポレーション、昇華もしくは凍結乾燥によって)、エキスが形成される。
【0093】
種ダイオウは、中位の速度で12mまで生長する落葉樹である。花は両性であり、雄性器官と雌性器官の両方を有し、昆虫によって授粉する。これは、窒素固定を行なうものもあり得る。この植物は、軽質(砂質)、中質(ロウム)および重質(粘土)土壌を好み、水はけのよい土壌を必要とする。この植物は、酸性、中性および塩基性(アルカリ性)土壌を好む。この植物は、日陰では生長することができない。この植物は、乾燥または湿潤土壌を必要とし、干ばつに耐え得る。この植物は、大気汚染にも耐え得る。樹木は、少しの樹冠を有し、晩春に葉をつけ、初秋に落葉する。
【0094】
特定の実施形態では、棘状突起を樹木から採取し、採取後、短時間以内に抽出媒体と接触させる。抽出媒体は、適当な液体溶媒、例えば、酢酸エチル、水またはエタノールである。抽出媒体は、一部の場合では、酢酸エチル、水、エタノールまたは別の比較的極性の液体溶媒である。一部の場合において、抽出媒体は希釈されるか、または濃縮されるかのいずれかである。抽出媒体を充分に濃縮してもよく、その場合、エキスは、残渣の形態(残渣エキス)となる。したがって、エキスは、少なくとも1種類以上の植物由来化合物(フィトケミカル)を含み(任意選択で溶媒中に溶解)、これを、抽出媒体と植物または植物の一部分との1回以上の接触工程によって抽出媒体中に誘導させる。濃縮エキスまたは残渣エキスは、適当な希釈剤、例えば、酢酸エチル、水および/またはエタノールを添加して再構成エキスを形成することにより再構成され得る。
【0095】
一部の実施形態において、植物エキスを含む組成物としては、純粋なエキスを含むもの、または分配されたエキス(例えば、1種類以上の選択的エストロゲン様活性化合物を富化させたエキス)を含むもの、およびかかるエキスと1種類以上のさらなる成分の組合せを含むものが挙げられる。一部の実施形態において、該組成物には、さまざまな物理形態もの(例えば、固形、半固形、液状、コロイド状など)が包含される。該組成物が医薬用途を意図したものである場合、該さらなる成分は、薬学的に許容され得るものである。本発明による組成物が、生体に指向されるものでないアッセイまたは他の用途における使用を意図したものである場合、該さらなる成分(1種類または複数種)は、薬学的に許容され得るものであっても、そうでないものであってもよい。
【0096】
一部の実施形態において、純粋なエキスは1種類以上の有機溶媒と合わされ得る。かかる有機溶媒は種々の極性のものであり得る。一部の実施形態において、適当な溶媒としては、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン、(C〜C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、ならびに他の溶媒(例えば、薬学的に許容され得るもの、およびヒトでの消費に対して一般に安全と認められるもの(GRAS)が挙げられる。
【0097】
一部の実施形態において、該組成物は、純粋なエキスを含むもの、またはエキスと1種類以上のさらなる溶媒の組合せを含むものである。一部の実施形態において、エキスには、分配されたエキスまたはさらに精製されたエキスが包含される。分配または精製は、種々の分離手法(例えば、クロマトグラフィー)を用いて行なわれ得る。一部の実施形態において、エキスは、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーまたは排除クロマトグラフィーの手段によって得て、エキス中の活性薬剤をさらに濃縮した精製エキスまたは分配エキスである。一部の実施形態において、精製エキスまたは分配エキスは、1回以上の工程の液体クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など)によって得られるものである。一部の実施形態において、高速液体クロマトグラフィーは、分取規模の高速液体クロマトグラフィーである。一部の実施形態において、HPLCは、逆相またはイオン交換クロマトグラフィーである。また、他の分離手段を用いてエキスを精製または分配してもよく、分液漏斗または他の二相もしくは多相分離機構での分離が挙げられる。一部の実施形態において、精製エキスまたは分配エキスを1種類以上のさらなる活性または不活性な成分(例えば、溶媒、希釈剤など)と合わせてもよい。一部の実施形態において、適当な溶媒としては、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン、(C〜C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、ならびに他の溶媒(例えば、薬学的に許容され得るもの、およびヒトでの消費に対して一般に安全と認められるもの(GRAS)が挙げられ得る。
【0098】
好適なさらなる成分としては溶媒が挙げられる。溶媒は、薬学的に許容され得る溶媒と非薬学的に許容され得る溶媒に細分され得る。これに関連して、薬学的に許容され得る溶媒の一例として注射用水(WFI)が挙げられることは理解されよう。注射用水は、予め選択されたpHまたはpH範囲、例えば約2〜約8、より具体的には約4.0〜約7.5、より特別には約4.9〜約7.2にpH調整および/または緩衝され得る。
【0099】
薬学的に許容され得る溶媒には、さらに、1種類以上の薬学的に許容され得る酸、塩基、塩または他の化合物(例えば、担体、賦形剤など)が包含され得る。薬学的に許容され得る酸としては、HCl、HSOPO、安息香酸などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩基としては、NaOH、KOH、NaHCOなどが挙げられる。薬学的に許容され得る塩としては、NaCl、NaBr、KClなどが挙げられる。酸および塩基は、薬学的に許容され得る溶液を特定の予め選択されたpHに、特に約2〜8の範囲のpH、より特別には約5.0〜約7.2の範囲に緩衝するのに適切な割合で添加され得る。
【0100】
医薬組成物
ダイオウエキスは、上記のようにして、溶液状または乾燥形態のいずれかに調製され得る。溶液形態では、ダイオウエキスは、フレーバーティーまたはノンフレーバーティーの形態で投与され得る。一部の実施形態では、エキスの苦味を弱めるために、いくらかのフレーバー(例えば、甘味料)が望ましい場合があり得る。また、該溶液は、乾燥エキスからお茶またはエリキシルの形態に調製され得る。この場合も、甘味料などのフレーバーが望ましい場合があり得る。該医薬組成物の患者の許容性を改善するため、味覚マスキング剤を使用してもよい。
【0101】
乾燥エキスは、経口利用可能な形態、例えば、カプセル剤、錠剤、キャプレット剤などとして製剤化され得る。カプセル剤は、適当な量の乾燥エキスを1つ以上のゼラチンカプセルシェルに測り入れ、カプセル剤(1つまたは複数)を作製することにより調製され得る。錠剤およびキャプレット剤は、乾燥エキスを1種類以上の結合剤および任意選択で1種類以上の崩壊剤と合わせることにより調製され得る。錠剤、キャプレット剤、カプセル剤などは、例えば、胃の不調を抑制するために腸溶コーティングでコーティングしてもよい。
【0102】
乾燥エキスまたは濃縮エキス溶液のいずれかを、1種類以上のゲル化剤と合わせ、ゲルカプセル内に挿入してもよい。あるいはまた、乾燥エキスまたは濃縮エキス溶液を、ゲル化剤と、任意選択で食用ゲルとしての経口投与用の1種類以上のフレーバー剤と合わせてもよく、フレーバーなしの形態を、経直腸坐剤ゲルまたはゲルカプセル剤として投与してもよい。
【0103】
該エキスの単位用量は、投薬形態内に含まれる乾燥エキスの相当量によって特性評価される。例えば、一部の実施形態において、単位投薬量は、1mg〜約10gの乾燥エキス、またはその同等量を含むものであり得る。一部の実施形態では、単位用量は、約1mg〜約10mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約1000mg(1g)、約1mg〜約10000mg(10g)の乾燥エキス、またはその同等量を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約10mg〜約100mg、約10mg〜約1000mgまたは約10mg〜約10000mgの乾燥エキスまたはその同等量を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約100mg〜約5000、約100mg〜約2500mg、約100mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約100〜約1000、約100〜約800mgの乾燥エキス、またはその同等量を含む。乾燥ダイオウエキスの同等量は、乾燥ダイオウエキスと同じ量の選択的エストロゲン様活性(active)を含む乾燥状態、液状、ゲル状または他の混合物状態のダイオウの量である。したがって、0.090mg/mLの乾燥ダイオウエキスを含む30mLのお茶は、15mgの乾燥ダイオウと同等の単位用量であり、各々100mgの乾燥ダイオウエキス、結合剤、充填剤、崩壊剤を含む錠剤は、100mgの乾燥エキスそのままと同等である。
【0104】
治療方法
選択的ダイオウを有する(possess)本明細書に記載のダイオウエキスを含む組成物は、エストロゲン受容体陰性(ER陰性)癌細胞(ER陰性の乳癌および前立腺癌細胞など)において選択的エストロゲン様活性(actively)を有する。したがって、該組成物は、細胞の過剰増殖を特徴とする種々の疾患状態、例えば、生物体、器官、組織または細胞株における正常な選択的エストロゲン様プロセスの不全によって引き起こされる疾患状態の治療において活性を有することが予測される。とりわけ、本明細書に記載の組成物で治療可能であることが想定される疾患状態は癌であり、限定されないが、骨の癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎の癌、肛門部の癌、膀胱癌、内分泌系の癌、食道癌、頭部もしくは頸部の癌、腎臓もしくは尿管の癌、副甲状腺の癌、陰茎の癌、小腸の癌、甲状腺癌、尿道の癌、頚部の癌腫、子宮内膜の癌腫、ファローピウス管癌腫、腎盂の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、慢性もしくは急性白血病、結腸癌、皮膚もしくは眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵臓癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫(例えば、軟組織の)、皮膚癌、脊椎軸(spinal axis)の腫瘍、胃癌または子宮癌が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、とりわけ、乳房、肺、結腸、脳、前立腺、胃、膵臓、卵巣、皮膚(黒色腫)、内分泌、子宮、精巣および膀胱の癌などの充実性腫瘍から選択される1種類以上の癌と診断された患者に投与される。
【0105】
一部の実施形態において、本明細書に記載のダイオウエキスを含む組成物は、良性の増殖性疾患(良性の前立腺肥大など)、乾癬または再狭窄(例えば、植込みステントの)を治療するのに有効である。
【0106】
一部の実施形態において、本明細書に記載のダイオウエキスを含む1種類以上の組成物を、異常な細胞増殖(例えば、癌、充実性腫瘍、良性の過剰増殖性疾患など)の治療に有用な別の薬剤と組み合わせてもよい。かかるさらなる薬剤は、とりわけ、有糸分裂阻害薬、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質、増殖因子阻害薬、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生物学的応答修飾物質、抗体、細胞傷害剤、抗ホルモン、および抗アンドロゲンから選択され得る。
【0107】
ダイオウエキスを含む組成物の有効用量は、本明細書に記載のような多細胞生物における治療効果がもたらされるのに有効な量である。一部の実施形態において、有効用量は、生物体において過剰増殖性細胞の1つ以上の集団においてアポトーシスが誘導されるのに充分な量である。一部の実施形態において、有効用量は、生物体において過剰増殖性細胞疾患(癌など)の1つ以上の症状の軽減がもたらされるのに充分な量である。一部の実施形態において、有効用量は、過剰増殖性細胞疾患の進行が有意に低下する、前記過剰増殖性細胞疾患の一部または完全な寛解がもたらされる、前記過剰増殖性細胞疾患の再発、拡延または悪性増殖の一部または完全な予防がもたらされるのに充分な量である。一部の実施形態では、該用量は治療レジメン(regime)の好成績に重要であり得る。ダイオウエキスは、おおむね無毒性であるとみなされているため、有効用量は、乾燥エキス約1mg〜約10g/患者/日(または溶液中もしくは他の薬学的に許容され得る形態(以下に、より詳細に論考する)におけるその同等量)で異なり得る。一部の実施形態において、有効用量は約1mg〜約10mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約1000mg(1g)、約1mg〜約10000mg(10g)/患者/日である。一部の実施形態では、有効用量は約10mg〜約100mg、約10mg〜約1000mgまたは約10mg〜約10000mg/患者/日である。一部の実施形態では、有効用量は約100mg〜約5000、約100mg〜約2500mg、約100mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約100〜約1000、約100〜約800mg/患者/日である。一部の実施形態において、治療日数は非治療日数とともに変更され得る。例えば、治療は、第1日目に上記の有効用量で開始され、該有効用量の投与が第3、5、7(または8)、9、11、13日目などに繰り返され得る。治療は、1日1回を1週間通して施した後、治療を1週間中断し、その後、少なくともさらに1週間治療が施され得る。また、ダイオウエキスでの治療を別の抗癌治療と交互に行なってもよく、別の抗癌治療と組み合わせて癌治療の複合効果を利用してもよい。
【0108】
さらなる癌治療としては、限定されないが、充実性腫瘍の全部または一部の外科的切除、放射線治療、補助的化学療法、抗炎症薬、鎮痛薬などが挙げられ得る。
【0109】
疾患、障害、症候群、病状または症状の治療(およびその文法的語尾変化形、例えば、治療する(treat,to treat,treating)、治療される(treated)など)としては、臨床医が、かかる治療を受ける被検体を特定するため、および本発明の組成物を該被検体に投与するために採用され得る措置が挙げられる。したがって、治療は、本発明の選択的エストロゲン様植物エキスを被検体に投与することにより、おそらく回復、緩和、改善、解消、治癒されるであろう疾患、症候群、病状または症状の診断を包含する。また、治療は、疾患、障害、症候群、病状または症状の回復、緩和、改善、解消または治癒の同時存在を包含する。一部の実施形態において、治療は、疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の発病の防止もしくは遅延(すなわち、予防)、疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の進行の防止もしくは遅延、および/または疾患、障害、症候群、病状もしくは症状の重症度の低減を含意する。新生物増殖の場合は特に、治療は、新生物増殖の緩和ならびに逆転、停止また遅延を包含する。これに関連して、治療はまた、寛解(完全寛解および一部寛解を含む)も包含する。更年期症状の場合、治療は、種々の症状の予防および緩和を包含する。
【0110】
疾患、障害、症候群、病状または症状の予防(およびその文法的語尾変化形)としては、疾患、障害、症候群、病状または症状を発症するリスクのある被検体を特定し、該被検体に、おそらく前記疾患、障害、症候群、病状または症状の発病が回避または遅延されるであろう充分な量の本明細書に記載の植物エキスを投与することが挙げられる。一部の場合において、予防は、臨床医が、医療ケアの適格基準を適用してホルモン補充療法の必要があると考える閉経後女性を特定し、本発明の植物エキスを該女性に投与し、それにより1つ以上の更年期症状をブロックまたは遅延することを包含する。一部の実施形態において、骨粗鬆症の予防は、臨床医が、医療ケアの適格基準を適用して、骨粗鬆症を発症するリスクがあると考える閉経後女性を特定し、本発明の植物エキスを該女性に投与し、それにより骨量減少の発生をブロックまたは遅延することを包含する。
【0111】
緩和は、疾患、障害、症候群、病状または症状の発生の重症度、数および/または頻度の低減を包含する。更年期症状の緩和としては、のぼせ、不眠、失禁、鬱などの頻度および/または重症度の低減が挙げられる。
【0112】
ダイオウエキスの投与
本発明による組成物の投与は、一般に使用されている投与経路によるものであるが、該経路によって、1種類以上の該植物エキスが標的組織に対して利用可能であるものとする。挙げられ得る投与経路の一例には、経口、経鼻、口腔内、経直腸、経膣および/または経表面(経皮)がある。あるいはまた、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射によるものであってもよい。かかる組成物は、通常、薬学的に許容され得る組成物として投与され得る(上記)。
【実施例】
【0113】
本発明は、以下の例示的な非限定的実施例を参照すると、より充分に認識され得よう。
【実施例1】
【0114】
実施例1:ダイオウから単離される化合物の単離およびインビトロ試験
ダイオウ(タデ科)の根茎を活性誘導的単離に供すると、一連のアントラキノン1〜3および6が単離された。これらの単離されたアントラキノンと、購入した2種類(4、5)のアントラキノンを、ERα活性およびERβ活性について、一過性トランスフェクションアッセイを使用し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に連結させたエストロゲン応答エレメント(ERE−tkLuc)を有するヒトU2OS骨細胞株において試験した。
【0115】
以前に、マウスにおいて、エストロゲンの増殖促進効果はERαによって媒介されるが、他方の既知のエストロゲン受容体ERβは乳癌腫瘍を抑制することが示された(Paruthiyil Sら、Cancer Res.2004,64,423−8)。この研究に促されて、本発明者らは、漢方薬草由来のERβ選択的化合物を研究した。
【0116】
ダイオウ(タデ科)の根および根茎は、その薬効性が、200AD頃の最初の体系的な中国薬局方において認められた。それ以来、これらは、便秘、腹痛や胃痛および膨満感ならびに月経困難症などの障害のための下剤として使用されてきた。また、これらは、腫脹および膿瘍を解消するための解熱薬および抗炎症薬として使用されてきた。また、これらは血餅を除去したり、利尿を促進したりすると言われている。
【0117】
以下の実験は、アントラキノン1および6のエストロゲン様活性を示す。
【0118】
材料および方法
一般的な実験手順。H、13C NMRスペクトルを、ピドリジン(pydridine)−d5において、Bruker AV−500MHz分光計を用いて測定した。Shimadzu LC−10AT分離システム(Shimadzu SPD−10AV UV−Vis検出器を備える、Beckman(Fullerton,CA)Ultrasphere ODSカラム(250×10mm,5μm)を使用)を、HPLC分析に使用した。単離された化合物の分子量は、カリフォルニア大学バークリー校の質量分析施設において、ThermoFinniganエレクトロスプレーLCQ質量分析計を用いてポジティブモードおよびネガティブモードで測定された。逆相TLC分析は、RP−18 F254(Merck,Darmstadt,Germany)プレートにて行なった。順相カラムクロマトグラフィーでは、シリカゲル200〜400メッシュ,60Å,Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)を使用した。Prepsep,C18固相抽出カルテージ(cartage)を、Fisher Scientific(Pittsburgh,PA)から購入した。クリソファノール、エモジン、ライン(rhen)は、Sigma Chemical Company(St.Louis,MO)から購入した。アロエエモジンとフラングリンAは、ChromaDex(Santa Ana,CA)から購入した。
【0119】
植物材料。細かくすり潰されたダイオウ(Da Huang)の根茎を、Shen Nong Herbs,1600 Shattuck Ave.,Berkeley,CA 94703から購入した。
【0120】
抽出および単離。細かくすり潰されたダイオウの根茎(30g)を、8:2のMeOH−HOを用いて1時間、8時間および一晩抽出した。これらのMeOHエキスを、およそ100mLまで真空濃縮させ、HO中に再懸濁させ、逐次ヘキサンとEtOAcで分配した。
【0121】
EtOAc分配液(200mg)を、固相抽出カートリッジ(5g)に適用し、A=10mMの酢酸アンモニウムとB=MeCNの混合物(A−Bは、1:0、75:25、1:1、25:75、および0:1)で溶出させ、5つの画分A〜Eを得た。画分C(250mg)を、Sephadex LH−20(200×2.5cm)にてクロマトグラフィー処理し、MeOHを用いて溶出させた。5つの併合画分A1〜E1を、RP18 TLC分析(6:4の10mMの酢酸アンモニウム−MeCN)によって得た。画分B1を、シリカゲルTLC(20×20cm)(8:2:0.1のヘキサン:EtOAc:TFAを用いて展開)にてクロマトグラフィー処理し、オクタヒドロキシアントラキノン(6)(10mg,Rf= 0.29)を得た。画分D(A−B 25:75)を、シリカゲル(45×2.0cm)にてクロマトグラフィー処理し、8:2:0.1のヘキサン:EtOAc:TFAを用いて溶出させ、クリソファノール(3)(5mg)、エモジン(1)(10.3mg)、およびアロエエモジン(2)(12mg)を得た。カラムクロマトグラフィーは、逆相TLC(1:1の10mMの酢酸アンモニウム−MeCN)によってモニタリングした。
【0122】
エモジン(1):黄橙色粉末;ポジティブESIMS m/z 271 [M+H]+。Hおよび13C NMRデータは、以前に公表されたデータと整合する。この同定は、さらに、HデータおよびHPLC分析と、購入した標準物質(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)の比較によって裏付けられた。
【0123】
アロエエモジン(2):黄橙色粉末;ネガティブESIMS m/z 269 [M−H]−。Hおよび13C NMRデータは、以前に公表されたデータと整合する。この同定は、さらに、HデータおよびHPLC分析と、購入した標準物質(ChromaDex Santa Ana,CA)の比較によって裏付けられた。
【0124】
クリソファノール(3):黄橙色粉末;ネガティブESIMS m/z 253 [M−H]−。Hおよび13C NMRデータは、以前に公表されたデータと整合する。この同定は、さらに、HデータおよびHPLC分析と、購入した標準物質(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)の比較によって裏付けられた。
【0125】
オクタヒドロキシアントラキノン(6):淡黄色粉末;ネガティブESIMS m/z 335 [M−H]−。データは、以前に公表された値と整合する。
【0126】
HPLC分析。以下の溶媒系、10mMの酢酸アンモニウム(A)およびアセトニトリル(B)を使用し、最初の条件を90%A、10%Bとした。最初の条件を4分間保持し、次いで線形勾配を開始し、34分目まで行ない、最終溶媒混合物は0%A、100%Bとした。カラムを39分目まで100%Bに保持し、次いで、40分目に最初の条件(90%A、10%B)に戻した。カラムを10分間、再度平衡化させた後、次のインジェクションを行なった。流速は、全HPLC実験で1mL/分とした。複合クロマトグラムを図1に示す。
【0127】
ERα活性およびERβ活性について試験したアントラキノン
【化19】

【0128】
結果および考察
ダイオウの根茎から同定されたアントラキノン1〜6は、エストロゲン様活性を示した。この活性は、ERE tkLucの活性化によって示されるように、エストロゲン受容体βに選択的であった(図2,エモジン;図3,オクタヒドロキシアントラキノン)。この活性は、該化合物が、ERβを有するERE tkLucを活性化したため、エストロゲン受容体βに選択的であった。エモジン(1)は、オクタヒドロキシアントラキノン(6)よりも大きな活性化を示した。図2、3を比較のこと。
【0129】
乳癌腫瘍形成および子宮増殖に対する6の効果をインビボで試験した。移植時点で40〜50日齢のCD−1/雌ヌードマウスを選択した。各マウスには、腎臓1つあたり2つの移植片を植えて合計4つの移植片とし、移植片1つあたり25μLのコラーゲン中にMCF−7乳癌細胞を含めた。化合物6を、200μLの6を充填したAlzet Osmoticポンプにて皮下に28日間送達した。各化合物の最終用量は、陽性対照エストラジオールでは360μg/200μL、およびオクタヒドロキシアントラキノン(6)では2mg/200μLとした。28日間の治療終了時、すべての移植片および子宮を単離し、写真を撮影し、重量を計り、ホルマリン中に固定した。対照と比較すると、6は、乳癌腫瘍形成を増大させず(図4)、子宮増殖も増大させない(図5A,5B)。
【0130】
結論
女性の健康イニシアチブの結果以来、ホルモン療法の治験により、更年期女性に対する多くの有意な健康上のリスクが示されており、したがって、更年期症状の治療のための、より安全なエストロゲンが必要である。任意の新たなエストロゲンの臨床応用の前には、乳癌および子宮癌の促進のリスクの可能性に関する安全性情報を得ておくべきである。本試験において、本発明者らは、ダイオウから単離された物質がエストロゲン受容体β選択的活性を有し、この単離された化合物は、インビボで、乳癌腫瘍形成のリスクを増大させず、子宮増殖も増大させないことを示す。これは、エストロゲン受容体β選択的化合物の、更年期症状の治療のための潜在的エストロゲンとしての潜在的有益性を示す本発明者らの以前の研究を確認するものである。
【実施例2】
【0131】
実施例2:エモジンおよびアロエエモジンの存在下におけるER媒介性活性化および抑制
材料および方法:試薬。フェノールレッド無含有ダルベッコ改変イーグル/F−12 クーン改変培地を、Sigma社から入手した。BiobreneをApplied Biosystemsから購入した。U937細胞株は、American Type Culture Collectionから入手した。ヒト組換えTNF−αはR & D Systemsから入手した。
【0132】
プラスミドの構築。ヒトTNF−α遺伝子由来のPstIからAhaIIまでの断片(−1044から+93まで)pLTを、ルシフェラーゼcDNAの上流にクローニングした。特殊制限部位ApaI(−125欠失の場合)およびStyI(−82欠失の場合)を使用することにより、5’欠失体を構築した。−125から−82まで[TNF−応答性エレメント(TNF−RE)]に由来する3コピーのヒトTNF−αプロモーター断片、またはカエルビテロゲニンA2遺伝子(vitA2−ERE,5’−TCAGGTCACAGTGACCTGA−3’)に由来する1コピーのEREを、ルシフェラーゼに連結させた−32から+45までの単純ヘルペスチミジンキナーゼ(TK)プロモーターの上流にライゲートした(それぞれ、TNF−RE tkLuc、およびERE TKLuc)。ERβ変異型は、QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いて、変異を含むオリゴヌクレオチドを使用することにより作出した。Sequenaseキット(Amersham Pharmacia)を用いて変異型を配列決定し、変異の存在を確認した。
【0133】
細胞の培養、トランスフェクション、およびルシフェラーゼアッセイ − U937(ヒト単球)、U20S(ヒト骨肉腫)、MDA−MB−435(ヒト転移性乳癌)、およびMCF−7(ヒト乳癌)細胞を、カリフォルニア大学(サンフランシスコ)の細胞培養施設から取得した。U937細胞は、前述のようにして維持したが、U2OS、MDA−MB−435、およびMCF−7細胞は、フェノールレッド無含有ダルベッコ改変イーグル培地/5%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、50単位/mlペニシリンおよび50μg/mlストレプトマイシンを含有するF−12培地中で維持し、継代培養した。実験では、3μgのレポータープラスミドおよび1μgのERαまたはERβ発現ベクターを使用し、前述のようにして、細胞を収集し、キュベットに移し、次いで、Bio−Rad遺伝子パルサーを用いてエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後、細胞を培地中に再懸濁させ、12ウェルマルチプレート内に1ml/皿で平板培養した。細胞を、E、ゲニステイン、ダイゼインまたはビオカニンA(Sigma−Aldrich)で3時間処理した後、5ng/mlのTNF−α(R & D Systems)に37℃で24時間曝露した。細胞を200μLの1×溶解バッファーで可溶化させ、ルシフェラーゼ活性を、市販のキット(Promega)を用いて測定した。ルシフェラーゼ活性の最大の半量の誘導(EC50)または阻害(IC50)をもたらすのに必要とされるホルモンの濃度を、Prism曲線フィッティングプログラム(Graph Pad Software,バージョン2.0b)により計算した。増殖試験では、親MCF−7細胞を0.1nMのEの存在下、1細胞/ウェルでサブクローニングし、最も増殖の速いクローンを実験に選択した。この細胞は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって示されるように、ERαを排他的に発現した。この細胞を、3%ストリッピング処理済ウシ胎仔血清を含有する組織培養培地中に、25,000細胞/35mmプレートの密度で、二連で平板培養した。平板培養の1日後、細胞を漸増濃度のエモジンまたはアロエエモジンで処理した。培地を1日おきに交換し、エモジンまたはアロエエモジンを培地に添加した。8日後、コールターカウンターを用いて細胞を計数した。図面に示した実験はすべて少なくとも3回行ない、データは実験間で類似していた。
【0134】
エモジン(BNER 1109)およびアロエエモジン(BNER 1110)は、上記の実施例1に記載のようにして調製した。
【0135】
結果:U2OS骨細胞における選択的エストロゲン受容体モジュレート活性は、ルシフェラーゼアッセイを用いて測定した。U20S骨肉腫細胞を、最小限のチミジンキナーゼ(tk)プロモーターの上流の古典的ERE(ERE−tk−Luc)と、ヒトERαまたはERβの発現ベクターでコトランスフェクトした。エモジンおよびアロエエモジンは、ERβの存在下では、トランスフェクトされたERE−tk−Luc遺伝子を活性化したが、ERαの存在下では有意ではなかった(図6,10)。エモジンおよびアロエエモジンは、どちらも、ERβの存在によってルシフェラーゼの発現を刺激し、ERβの存在下で、ERE−tk−ルシフェラーゼ転写物の発現を刺激する。この効果は、該エキスと選択的ERβアンタゴニストであるラロキシフェンおよびタモキシフェンとの共投与によって減衰される。図8,12。この結果は、エモジンとアロエエモジンが各々、ERβと直接相互作用することにより、ERE−tk−Lucを活性化することを示す。
【0136】
転写の抑制に対するエモジンおよびアロエエモジンの効果を調べるため、TNF−αプロモーターの−125から−82までの領域(TNF−α−応答性エレメント(TNF−RE))を使用した。その理由は、この領域がTNF−αの活性化およびEの抑制を媒介しているためである。Eは、トランスフェクトされたERαまたはU2OS細胞にあるERαのいずれかで、最小限のtkプロモーター(TNF−RE tkLuc)の上流でTNF−REのTNF−α活性化の顕著な抑制をもたらす(データ表示せず)。Eは、ERβに対してはTNF−α活性を無効にし得る(100%抑制)が、ERαに対してはそうでない(73.3%抑制)。エモジンは、ERβの存在下では、TNF−REのTNF−α活性化の抑制をもたらしたが、ERαでは、そうではなかった(図7)。対照的に、アロエエモジンは、ERβとERαどちらの存在下でもTNF−REのTNF−α活性化の抑制をもたらした。(図11)。この結果は、エモジンおよびアロエエモジンが、ERβおよび/またはERαと直接相互作用することにより、TNF RE−tk−LucによってTNF−α活性化を抑制することを示す。
【0137】
興味深いことに、エモジンのERβ結合曲線は、ERα結合曲線と非常に類似している(図9)。アロエエモジンのERβ結合曲線とERα結合曲線との比較でも、同じことが言える(図13)。
【実施例3】
【0138】
実施例3:非盲検漸増用量投与試験
以下のプロトコルは、式II:
【化20】

(式中、(1)RはOHであり、RはCHである;(2)RはHであり、RはCHOHである;(3)RはHであり、RはCHである、のいずれかである)
の1種類以上の化合物を含む医薬組成物の最大耐用量を調べるために行なう。
【0139】
試験薬物は、式IIの1種類以上の化合物を含む医薬組成物を、1mg(第1週)、10mg(第2週)、100mg(第3週)または1000mg(第4週)含む(本明細書において以下、式IIの1種類以上の化合物を含む医薬組成物を「試験薬物」ということがある)。用量は、必要であれは、2つ以上のゼラチンカプセル剤に分割してもよい。年齢が18歳から60歳の正常な健常志願者に、1mg/日の試験薬物を第1週に、10mg/日の試験薬物を第2週に、100mg/日の試験薬物を第3週に、および1000mg/日の試験薬物を第4週に投与する。被検体を、有害事象(あれば)の出現についてモニタリングする。任意の時点で、被検体が使用中の用量に対して耐容性でないと思われる場合、担当医師はかかる不耐性を記録する。各被検体が耐容性である最大用量または、どの被検体も不耐性とならない場合は試験薬物1000mg/日を最大耐用量とみなす。
【実施例4】
【0140】
実施例4:非盲検漸増用量投与試験
以下のプロトコルは、化合物6(オクタヒドロキシアントラキノン):
【化21】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

を含む医薬組成物の最大耐用量を調べるために行なう。
【0141】
試験薬物は、6を含む医薬組成物を、1mg(第1週)、10mg(第2週)、100mg(第3週)または1000mg(第4週)含む(本明細書において以下、6を含む医薬組成物を「試験薬物」ということがある)。用量は、必要であれは、2つ以上のゼラチンカプセル剤に分割してもよい。年齢が18歳から60歳の正常な健常志願者に、1mg/日の試験薬物を第1週に、10mg/日の試験薬物を第2週に、100mg/日の試験薬物を第3週に、および1000mg/日の試験薬物を第4週に投与する。被検体を、有害事象(あれば)の出現についてモニタリングする。任意の時点で、被検体が使用中の用量に対して耐容性でないと思われる場合、担当医師はかかる不耐性を記録する。各被検体が耐容性である最大用量または、どの被検体も不耐性とならない場合は試験薬物1000mg/日を最大耐用量とみなす。
【0142】
本発明を、一部の特定の実施形態および実施例に関して説明したが、当業者には、本発明の範囲内である他の実施形態も想定されることが認識されよう。
【0143】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において示し、記載したが、かかる実施形態は単なる一例として示したものであることは、当業者に自明であろう。本明細書において本発明を逸脱することなく、数多くの変形例、変更例および置換例が当業者に想起されよう。本発明の実施において、本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の択一例が使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、この特許請求の範囲の範囲に含まれる方法および構造ならびにおよびその均等物は特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは6:
【化1】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、C〜Cアルキル(メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、i−ブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである;または、式6中、オクタヒドロキシアントラキノン(式6)である):
【化2】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含み、式Iの化合物および/またはオクタヒドロキシアントラキノンの少なくとも1種類が、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレートされるのに充分な量で含まれる医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1種類の単離精製された式6の化合物と、少なくとも1種類の式I:
【化3】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、C〜Cアルキル(メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、i−ブチル、n−ブチル、s−ブチルもしくはt−ブチル)またはCHOHである、および式6中、オクタヒドロキシアントラキノン(式6)):
【化4】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の化合物とを含み、少なくとも1種類の式Iの化合物とオクタヒドロキシアントラキノン(6)が、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレートされるのに充分な総合量で含まれる医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1種類の式Iの化合物が化合物1、2および3から選択され、該化合物1、2および3が、式II:
【化5】

(式中、化合物(1)では、RがOHであり、RがCHである;化合物(2)では、RがHであり、RがCHOHである;および化合物(3)では、RがHであり、RがCHである);のものであり、式(6)の化合物が
【化6】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
(6)と、(1)、(2)および/または(3)のうちの2種類以上とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(6)と、(1)、(2)および/または(3)の3種類全てとを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が、ラインとフラングリンAの少なくとも一方を実質的に含まない、請求項1〜8いずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
該組成物が、ラインとフラングリンAの両方を実質的に含まない、請求項1〜8いずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
医薬の製造における使用のための請求項1〜10いずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
該医薬が選択的エストロゲン受容体β−アゴニスト効果を有するものである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの更年期症状の治療または予防;骨粗鬆症の治療または予防;子宮癌の治療または予防;乳癌の治療または予防;頚部癌の治療または予防;卵巣癌の治療または予防;および心血管疾患の治療または予防に充分なエストロゲン受容体β(ERβ)を作動するエストロゲン様効果を有するものである、請求項1〜12いずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
該エストロゲン様効果が、のぼせ、不眠、膣乾燥、性欲減退、尿失禁および鬱の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの更年期症状の治療または予防に充分である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該エストロゲン様効果が骨粗鬆症の治療または予防に充分である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
該エストロゲン様効果がのぼせの治療または予防に充分である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
該エストロゲン様効果が子宮癌または乳癌の治療または予防に充分である、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
該エストロゲン様効果が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの増大を含まない、請求項13〜17いずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
該エストロゲン様効果が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの低下を含む、請求項13〜17いずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
医薬の調製のための請求項1〜19いずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
請求項1〜19いずれか一項に記載の組成物を、少なくとも1種類のさらなる薬学的に許容され得る成分と合わせることを含み、該さらなる成分は活性または不活性である、医薬の単位投薬形態の調製方法。
【請求項22】
被検体に、式Iまたは6:
【化7】

(式I中、Rは、HまたはOHである;および
は、Rは、C〜CアルキルまたはCHOHである;
および式6中、化合物6は式を有する):
【化8】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の少なくとも1種類の単離精製された化合物を含む組成物のエストロゲン様有効量を投与することを含み、患者に投与される該量は、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレート(例えば、作動)されるのに充分である、エストロゲン様効果の誘発方法。
【請求項23】
被検体に、オクタヒドロキシアントラキノン(6)を含む化合物と、少なくとも1種類の単離精製された式I:
【化9】

(式中、Rは、HまたはOHである;および
〜CアルキルまたはCHOHである;
および、化合物6は式を有する):
【化10】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

の化合物とを含む組成物のエストロゲン様有効量を投与することを含み、該投与量は、多細胞生物においてエストロゲン受容体β(ERβ)がモジュレート(例えば、作動)されるのに充分である、エストロゲン様効果の誘発方法。
【請求項24】
少なくとも1種類の式Iの化合物が、式II:
【化11】

(式中、化合物(1)では、RがOHであり、RがCHである;化合物(2)では、RがHであり、RがCHOHである;および化合物(3)では、RがHであり、RがCHである)
の化合物1、2および3から選択され、式(6)の化合物が
【化12】

オクタヒドロキシアントラキノン(6)

である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該組成物が、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの2種類以上を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
該組成物が、(1)、(2)、(3)および/または(6)のうちの3種類以上を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
該組成物が、(1)、(2)、(3)および/または(6)の4種類全てを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
該組成物が、(6)と、(1)、(2)および/または(3)のうちの2種類以上とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
該組成物が、(6)と、(1)、(2)および/または(3)の3種類全てとを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
該組成物が、ラインおよびフラングリンAの少なくとも一方を実質的に含まない、請求項23〜29いずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
該組成物が、ラインとフラングリンAの両方を実質的に含まない、請求項22〜29いずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
該エストロゲン様効果が、少なくとも1つの更年期症状の治療または予防;骨粗鬆症の治療または予防;子宮癌の治療または予防;乳癌の治療または予防;頚部癌の治療または予防;卵巣癌の治療または予防;および心血管疾患の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの効果を含む、請求項22〜30いずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
該エストロゲン様効果が、のぼせ、不眠、膣乾燥、性欲減退、尿失禁および鬱の治療または予防からなる群より選択される少なくとも1つの更年期症状の治療または予防を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該エストロゲン様効果が骨粗鬆症の治療または予防を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
該エストロゲン様効果がのぼせの治療または予防を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
該エストロゲン様効果が子宮癌または乳癌の治療または予防を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
該エストロゲン様効果が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの増大を含まない、請求項22〜36いずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
該エストロゲン様効果が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮過形成、子宮腫瘍、頚部過形成、頚部腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、ファローピウス管過形成、ファローピウス管腫瘍のリスクの低下を含む、請求項22〜36いずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
該エストロゲン応答エレメントの制御下にある遺伝子の活性化方法であって、該遺伝子に作動可能に連結させたエストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体を有する細胞に、前記遺伝子を活性化させるのに充分な量の請求項1〜10いずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項40】
前記細胞がインビトロである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞がインビボである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞がERα+乳腺組織内に存在するものである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞がERβ+乳腺組織内に存在するものである、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞がERα/ERβ+乳腺組織内に存在するものである、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記エストロゲン応答エレメントを、形質転換細胞において発現させる、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
エストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体の両方を、形質転換細胞において発現させる、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記エストロゲン応答エレメントを該細胞において異種発現させる、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
エストロゲン応答エレメントとエストロゲン受容体の両方を該細胞において異種発現させる、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が、ERE制御型遺伝子で形質転換させたU937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
該細胞がERαを発現する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
該細胞がERβを発現する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
該ERE制御型遺伝子がERE−tk−Lucである、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
TNF応答エレメントの制御下にある遺伝子とエストロゲン受容体を含む細胞に、前記TNF RE制御型遺伝子を抑制するのに有効な量の請求項1〜10いずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、TNF RE制御型遺伝子の発現の抑制方法。
【請求項54】
該TNF RE制御型遺伝子がTNF−αである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該TNF RE制御型遺伝子がTNF RE−Lucである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞がインビトロである、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞がインビボである、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞がER+乳腺組織内に存在するものである、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞がERα+乳腺組織内に存在するものである、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞がERβ+乳腺組織内に存在するものである、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記TNF応答エレメントが該細胞において内生的に発現される、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
該TNF応答エレメントと該エストロゲン受容体の両方が該細胞において内生的に発現される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記TNF応答エレメントを該細胞において異種発現させる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
該TNF応答エレメントと該エストロゲン受容体の両方を該細胞において異種発現させる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞が、エストロゲン受容体遺伝子を含み、TNF応答エレメント制御型遺伝子で形質転換され、U937、U2OS、MDA−MB−435およびMCF−7細胞からなる群より選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項66】
該エストロゲン受容体遺伝子がERα発現遺伝子である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
該エストロゲン受容体遺伝子がERβ発現遺伝子である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;
(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;
(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;
(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;
(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、該ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;
(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;
(g)該酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;
(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;
(i)該抽出基材を、溶出溶媒(A)〜(D):
(A)水性酢酸アンモニウム、
(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;
(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および
(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル
の連続アリコートで連続溶出させること;
(j)(D)の溶出液を収集し、該収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;
(k)該シリカゲルを、ヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに
(1)エモジン含有画分を該シリカゲルから収集すること
を含む、ダイオウからのエモジンの単離方法。
【請求項69】
以下:
(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;
(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;
(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;
(iv)(h)の該固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;
(v)(j)の該シリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または
(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の該混合物が約8:2:0.1の比率である、
の1つ以上を適用する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;
(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;
(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;
(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;
(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、該ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;
(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;
(g)該酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;
(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;
(i)該抽出基材を、抽出溶媒(A)〜(D):
(A)水性酢酸アンモニウム、
(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;
(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および
(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル
の連続アリコートで溶出させること;
(j)(D)の溶出液を収集し、該収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;
(k)該シリカゲルを、約8:2:0.1の比率のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに
(1)アロエエモジン含有画分を該シリカゲルから収集すること
を含む、ダイオウからのアロエエモジンの単離方法。
【請求項71】
以下:
(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;
(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;
(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;
(iv)(h)の該固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;
(v)(j)の該シリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または
(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の該混合物が約8:2:0.1の比率である、
の1つ以上を適用する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;
(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;
(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;
(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;
(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、該ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;
(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;
(g)該酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;
(h)該酢酸エチルを固相抽出基材に適用すること;
(i)該抽出基材を、抽出溶媒(A)〜(D):
(A)水性酢酸アンモニウム、
(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;
(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および
(D)約1:2.5〜約1:4の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル
の連続アリコートで溶出させること;
(j)(D)の溶出液を収集し、該収集した溶出液をシリカゲルに適用すること;
(k)該シリカゲルを、約8:2:0.1の比率のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の混合物と接触させること;ならびに
(1)クリソファノール含有画分を該シリカゲルから収集すること、
を含む、ダイオウからのクリソファノールの単離方法。
【請求項73】
以下:
(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;
(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;
(iii)溶出溶媒(D)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:3(v/v)の比率で含むものである;
(iv)(h)の該固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;
(v)(j)の該シリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または
(vi)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の該混合物が約8:2:0.1の比率である、
の1つ以上を適用する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
(a)任意選択で全部または一部粉砕したダイオウの根茎を水性メタノールと接触させること;
(b)該根茎を該水性メタノールから分離し、水性メタノールエキスを形成すること;
(c)メタノールを該水性メタノールエキスからエバポレートさせ、濃縮液を形成すること;
(d)該濃縮液に水を添加し、水性スラリーを形成すること;
(e)該水性スラリーをヘキサンと接触させ、該ヘキサンを該水性スラリーから分離すること;
(f)該水性スラリーを酢酸エチルと接触させること;
(g)該酢酸エチルを該水性スラリーから分離すること;
(h)該酢酸エチルを固相抽出カートリッジに適用すること;
(i)該抽出カートリッジを、
(A)水性酢酸アンモニウム、
(B)約4:1〜約2.5:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル;および
(C)約0.9:1〜約1.1:1の比率の水性酢酸アンモニウムとアセトニトリル
の連続アリコートで溶出させること;
(j)(C)の溶出液を収集し、該収集した溶出液を分離基材樹脂に適用し、低級アルコール(エタノールまたはメタノールなど)で溶出させ、オクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集すること;
(1)収集した画分を逆相分離基材に適用し、約5:5〜約7:3の比率の酢酸アンモニウムとアセトニトリルの混合物で分画すること;
(m)オクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集し、該得られた画分をシリカゲルに適用すること;
(n)展開させたシリカゲルからオクタヒドロキシアントラキノン含有画分を収集すること
を含む、ダイオウからのオクタヒドロキシアントラキノンの単離方法。
【請求項75】
以下:
(i)溶出溶媒(B)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約3:1(v/v)の比率で含むものである;
(ii)溶出溶媒(C)が、約10mMの酢酸アンモニウム(水性)とアセトニトリルを約1:1(v/v)の比率で含むものである;
(iii)(h)の固相抽出基材がカラムまたはカートリッジ内の逆相抽出基材である;
(iv)(j)のシリカゲルがシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上のものである;および/または
(v)(k)のヘキサン、酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の該混合物が約8:2:0.1の比率である、
の1つ以上を適用する、請求項74に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−522822(P2011−522822A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512479(P2011−512479)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/003427
【国際公開番号】WO2009/148620
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(507200569)バイオノボ・インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】