説明

エポキシシラン、その製造プロセス、およびそれを含有する硬化性組成物

少なくとも一つのエポキシ基と、少なくとも一つの加水分解性シリル基と、そして一つもしくはそれ以上の結合であって、酸素、硫黄、および窒素からなる群より選択され、少なくとも一つのヘテロ原子が窒素であり、結合においてエポキシ基と加水分解性シリル基の両方が同じ窒素ヘテロ原子へと直接もしくは間接に結合するような結合が存在しない、ヘテロ原子へと結合するカルボニル基を含有する結合とを含有する、エポキシシランが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエポキシシラン、その製造、エポキシシランを含有する硬化性組成物、およびエポキシシランの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのような既知のエポキシシランは、とりわけ、接着促進剤、コーティング剤、および架橋剤としての用途が見られる。多くのこれらもしくは他のエポキシシランの使用は、より高い接着強度、よりすぐれた環境耐性、およびより制御可能な硬化時間から利益を受ける立場にある。エポキシおよび加水分解性シリル基の反応性ならびに硬化性エポキシシランの極性を独立して制御することは、これらの所望の最終使用の性能を得るのに重要だと信じられてきた。既知のエポキシシラン化合物はしばしば、基体への所望の反応性もしくは接着性を持たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ、制御可能な反応性と既知のエポキシランよりも良い接着性能を持つエポキシシランへの必要性が存在する。数多くのエポキシシラン化合物が知られている一方、これまでに、エポキシとシリル官能性の両方を持ち、そして、酸素、硫黄、および窒素かななる群より選択され、そのうちの一つが窒素である、ヘテロ原子へと結合するカルボニル結合を少なくとも一つ含有するエポキシシランはいっさい見られない。そのようなカルボニル結合を少なくとも一つ持つエポキシシランを提供することが、一つもしくはそれ以上の上述のような性能の改善とういう結果をもたらすことがここで見出された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、エポキシシランは、少なくとも一つのエポキシ基と、少なくとも一つの加水分解性シリル基と、ならびに、酸素、硫黄、および窒素からなる群より選択され、そのうちの一つが窒素であり、結合においてエポキシ基と加水分解性シリル基の両方が同じ窒素ヘテロ原子へと直接にもしくは間接に結合するような結合が存在しないようなヘテロ原子へと結合する、カルボニル基とを含有する一つもしくはそれ以上の結合とを含有して提供される。
【0005】
さらに、本発明によると、ここでのエポキシシラン製造のためにいくつもの合成プロセスが提供される。
【0006】
本発明のエポキシシランにおける一つもしくはそれ以上の上述の結合の存在は、エポキシと加水分解性シリル基の反応性を制御し、エポキシシランの例えば、接着促進剤、コーティング媒介物、および架橋剤としての用途のための付随する利益を伴うと信じられている。これらの結合が、エポキシシランのエポキシと加水分解性シリル基の比較的近い近傍にあるとき、それらはそれらの基の反応性を高める。この上昇する反応性以外でも、上述のカルボニル基−ヘテロ原子結合の一つもしくはそれ以上の存在は、エポキシシランがこれら化合物の分子設計においてかなりのフレキシブル性をもたらし、結果として特定の用途のためのそれらの機能的性質へのより大きい制御性をもたらすために、構造の範囲を大幅に広げる。
【0007】
用語「エポキシ」はここれで用いられるとき、
エポキシ環、
【化1】

もしくは、エピスルフィド環
【化2】

を少なくとも一つ含有する化合物を含むと理解されるべきである。用語「エポキシシラン」は、少なくとも一つのエポキシ環および/もしくはエピスルフィド環と、少なくとも一つの加水分解性シリル基と、ならびに、酸素、硫黄、および窒素からなる群より選択され、そのうち少なくとも一つが窒素であり、結合においてエポキシ環および/もしくはエピスルフィド環と加水分解性シリル基との両方が同じ窒素ヘテロ原子へと直接もしくは間接的に結合するような結合が存在しないようなヘテロ原子へと結合する、カルボニル基を含有する一つもしくはそれ以上の結合とを有する化合物を含むと理解されるべきである。上述の結合は、構造
【化3】


【化4】

、および
【化5】

を含み、その一つもしくはそれ以上は本発明によるエポキシシラン中に存在し得る。
【0008】
ここで用いられるとき、本発明のエポキシシランに関連して、「結合においてエポキシ基と加水分解性シリル基とが同じ窒素ヘテロ原子へと直接もしくは間接に結合する」という表現は、加水分解性シリル基とエポキシ基とが、任意選択で、酸素、硫黄、もしくは窒素のヘテロ原子を含有するヒドロカルビル基を介して結合中の異なるヘテロ原子へと結合し、それゆえ、加水分解性シリル基とエポキシ基が結合中のカルボニル基によって互いに分離されることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のエポキシシランは、酸素、硫黄、および窒素からなる群より選択され、そのうちの一つが窒素であり、結合においてエポキシ基と加水分解性シリル基の両方が同じ窒素ヘテロ原子へと直接にもしくは間接に結合するような結合が存在しないようなヘテロ原子へと結合しているカルボニル基を含有している結合を一つもしくはそれ以上有している架橋基を介してともに結合している、少なくとも一つのエポキシおよび/もしくはエピスルフィド基と少なくとも一つの加水分解性シリル基とを有する。
【0010】
エポキシおよびエピスルフィド官能基は、アルコキシド、カルボキシレート、メルカプチド、カルバニオンなどの非限定的例を含む求核試薬;金属イオン、無水物、酸などの非限定的例を含む求電子試薬;炭素ラジカル、酸素ラジカル、スルフリルラジカルなどの非限定的例を含むフリーラジカルのような多くの種類の有機官能基と反応できる。エポキシおよびエピスルフィド反応性の広範囲さは、それらの基を多くの種類の硬化化学、グラフ化学、および重合化学へと関与できるようにする。
【0011】
加水分解性シリル基は湿気と反応してそれら自身と縮合しシロキサンを生成するシラノールを生成し、表面の酸化物および表面のヒドロキシルと反応してケイ素−酸素−金属結合もしくはケイ素−酸素−金属結合を生成する。加水分解性シリルの加水分解および縮合化学はこれらの化合物を、樹脂とポリマーを架橋するため、または有機樹脂およびポリマーを無機表面へと結合するために好適なようにする。
【0012】
上で指摘したとおり、上述の型のカルボニル含有結合は、エポキシシランのエポキシと加水分解性シリル基と比較的近い近傍にあり、これらの基の反応性を増大させる望ましい効果を持つ。そのような反応性の増加以外にも、上述のカルボニル基−ヘテロ原子結合の一つもしくはそれ以上の存在は、高度に変化する構造と性能のエポキシシラン合成のための大きな自由度とフレキシブル性を提供する。これらの結合は有極性であるため、ここでのエポキシシランは極性溶媒でのより優れた溶解性を示し、それゆえ、それらの使用の幅を広げると同時に表面への接着性を向上させる。
【0013】
本発明のエポキシシランは接着剤、コーティング剤、封止剤、埋め込み用樹脂、表面改質、充填剤成分、鋳物用中子、ガラス繊維陶砂および仕上げ剤、処理済鉱物および他の用途での使用によく適していて、そこでは、特に金属基体に対して高い接着性能を持つ、耐久性のある、高強度で、溶媒耐性のコーティングに対する必要性がある。
【0014】
ここで述べられるすべての範囲はそれらの間のすべてのサブ範囲(subranges)を含むことは理解されたい。群の構成物の列挙のすべては、群の任意の二つもしくはそれ以上の構成物の組み合わせをさらに含有し得ることもまた理解されたい。
【0015】
一実施態様において、本発明のエポキシシランは一般式(1):
【化6】

のものであり、
ここで、
の各々は独立して、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有するアルキル基であり;
の各々は独立して、水素、または1から12個の炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素および/もしくは硫黄原子を含有するヒドロカルビル基であって、そして、一価のアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基;二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、アラルキレン基であって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環と共有結合し、そしてRの同じかもしくは別の炭素原子が、RもしくはRの炭素原子と共有結合し脂環式構造を形成するもの;そして多価のヒドロカルビルであって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素原子に共有結合し、そしてRの同じおよび/もしくは別の炭素原子が、RもしくはRの炭素原子と少なくとも2つの共有結合を形成するか、またはRおよびRの両方と少なくとも一つの共有結合をし、二環もしくは多環の脂肪族構造を形成するものからなる群より選択される;
の各々は、独立して水素、または1から12個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有するヒドロカルビル基であって、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基;二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、およびアラルキレン基であって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素元素へと共有結合し、そしてRの同じかもしくは別の炭素原子がRもしくはRの炭素原子へと共有結合し、脂環式構造を形成するもの;そして、多価のヒドロカルビルであって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環へと共有結合し、そしてRの同じおよび/もしくは別の炭素原子がRもしくはRと少なくとも二つの共有結合もしくはRもしくはRの両方と少なくとも一つと共有結合を形成し、二環式のもしくは多環式の脂肪族構造を形成するものからなる群より選択される;
の各々は、独立して、12個までの炭素原子、任意選択で、少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する二価もしくは多価のヒドロカルビル基であって、二価のアルキレン、アラルキレン、アレニル、アリーレン、およびアラルキレン基;そして多価のヒドロカルビル基であって、Rの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素原子と共有結合し、そしてRの同じもしくは別の炭素原子は、カルボニル基と結合する窒素、酸素、もしくは硫黄ヘテロ原子と結合を形成し、そして、Rの同じもしくは別の炭素原子はRもしくはRの炭素原子と少なくとも一つの共有結合を形成し、二環式のもしくは多環式の脂肪族構造もしくは2から12個の炭素原子、および酸素もしくは窒素より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有するヘテロカルビル基を形成するものからなる群より選択される;
の各々は、独立して、24個までの炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する二価のもしくは多価のヒドロカルビル基であって、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基の少なくとも一つの水素の置換によって誘導されるもの;または、二価もしくは多価の有機ポリマー基であり;
の各々は、12個までの炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する、二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、およびアラルキレン基であり;
の各々は、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる群より独立して選択され、ここでRは、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、水素以外のRは、独立して1から18個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有し;
およびXの各々は、R、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−からなる群より独立して選択され、ここでそれぞれのRは、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、水素以外のRは1から18個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する;
の各々は、二価の酸素(−O−)もしくは硫黄(−S−)から独立して選択され;
の各々は、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは構造−NR−〔式中、Rは独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のRは1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素から独立して選択され、ただしAが酸素もしくは硫黄のとき、下のAは−NR10−であるという条件である;
の各々は、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR10−〔式中、それぞれのR10は独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR10は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、Aが−NR−であるという条件である;
の各々は、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR11−〔式中、それぞれのR11は独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR11は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、下のAが−NR12−であるという条件である;
の各々は、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR12−〔式中、R12は、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR12は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、Aが−NR11−であるという条件である;そして
下付き文字m、n、x、y、およびzは独立して整数であり、ここでmが1から6であり、nが1から6であり、xが1から6であり、yが0もしくは1であり、そしてzが0もしくは1であり、ただしy+zが1と等しいかもしくは1より大きいという条件である。
【0016】
ここで用いられるとき、「アルキル」は、直鎖、分岐、および環状のアルキル基を含有し;「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する任意の直鎖、分岐、および環状のアルケニル基であって、ここで置換の位置が炭素炭素二重結合もしくは基内のどこかのいずれでもあり得るものを含有し;「アリール」は、そこから一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素を含有し;「アラルキル」は、その中で一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されるような)アリール置換基によって置換されている、上述のアルキル基の任意のものを含有するがそれらには限定されない;「アレニル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が、同じ数の同類および/もしくは異なった(ここで定義されたような)アルキル置換基によって置換されている上述のアリール基の任意のものを含む。
【0017】
アルキルの具体例はメチル、エチル、プロピルおよびイソブチルを含むがそれらには限定されない。アルケニルの具体例はビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノボルネン、およびエチリデンノルボルネニルを含むがそれらには限定されない。アリールの具体例は、フェニル、およびナフタレニルを含むがそれらには限定されない。アラルキルの具体例は、ベンジルおよびフェネチルを含むがそれらには限定されない。アレニルの具体例は、トリルおよびキシリルを含むがそれらには限定されない。
【0018】
式(1)によって記載されるエポキシシランと関連してここで用いられる時、「環状アルキル」および「環状アルケニル」はまた、二環式の、三環式の、およびより高次の環状構造をも含み、ならびに、上述の環状構造はまた、アルキル、および/もしくはアルケニル基によって置換される。それらの構造の代表例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含むがそれらに限定されない。
【0019】
他の実施態様において、本発明のエポキシシランは式(1)のものであり、ここでR、R、R、R、A 、A、A、およびAは上述の意味を持ち;Rは、詳細には1から12個の炭素原子、より詳細には2から6個の炭素原子、そしてもっとも詳細には3個の炭素原子の炭化水素であり;Rは、詳細には1から12の炭素原子、より詳細には2から6個の炭素原子、そしてもっとも詳細には3個の炭素原子の炭化水素であり;Aは、詳細には酸素もしくは硫黄であり、そしてより詳細には酸素であり;XはORであり、ここでRは、詳細には水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、l−プロペニル、フェニル、トリル、およびベンジル、より詳細には水素、メチル、およびエチルからなる群より独立して選択される;XおよびXはRもしくはORであり、ここでそれぞれのRは、詳細には水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、l−プロピル、フェニル、トリル、およびベンジル、そしてより詳細には水素、メチル、およびエチルからなる群より独立して選択され;mは詳細には1から4、そしてより詳細には1であり;nは詳細には1から4、そしてより詳細には1であり;xは1であり;yは詳細には0もしくは1、そしてより詳細には0であり;zは1である。さらに他の実施態様において、mは2から4であり、nは詳細には1から4であり、そしてより詳細には2である。
【0020】
さらに他の実施態様において、Rは、ポリエステル、酸化ポリアルケニレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、フェノール、ポリスルフィド、およびスチレン、酢酸ビニル、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリラート、アクリロニトリル、塩化アリル、アリルアルコール、アルケン、ジエンなどのホモポリマーならびにコポリマーより選択される二価のもしくは多価の有機ポリマー基である。
【0021】
単一のエポキシ基と単一の加水分解性基を含有する本発明のエポキシシランは、カップリング剤、接着促進剤、有機ポリマーのシリル化剤として特に有用である。
【0022】
二つもしくはそれ以上のエポキシ官能基および一つもしくはそれ以上の加水分解性シリル基を含有する本発明のエポキシシランは、コーティンク剤の媒介物、埋め込み用樹脂、複合樹脂などにおいて、特に有用である。二つもしくはそれ以上のエポキシ官能基および一つもしくはそれ以上の加水分解性シリル基を持つ本発明のエポキシシランは二重硬化樹脂を作り出す。これらのエポキシシランは、他の樹脂、特に他のエポキシ樹脂と混合され、硬化樹脂の架橋密度、脆弱性、および強度を制御出来る。これらのエポキシシランを樹脂もしくは樹脂添加物として用いるのに必要な、通常用いられる硬化剤および他の条件は、例えば、H.LeeおよびK. Nevilleの”Handbook of Epoxy Resins”, McGraw−Hill Book Company、ニューヨーク(1967)に記載されている。
【0023】
エピスルフィド基を含有する本発明のエポキシシランは、硫黄硬化型エラストマーもしくはポリスルフィドポリマー系のための添加剤および結合剤として有用である。エピスルフィドは、硬化反応において、硫黄もしくはメルカプタン基とより容易に反応する。
【0024】
本発明のエポキシシランがポリマー成分である時、それらは、樹脂として、および耐衝撃性改質および軟化剤としての樹脂系、特にエポキシ樹脂への添加剤として有用である。
【0025】
本発明による特に有用なエポキシシランは、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;3−トリメトキシシリルプロピルカルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルノナデシルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]オキシラニルエチルエステル;カルバミン酸1,1−ジメチルエチル3−[[[[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]オキシラニルフェニルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−3−フェニル−2−プロペニルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン−9−イルエステル;[3−(エトキシジメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(ジエトキシメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,3,5−ベンゼントリイルトリス(メチレン)エステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,3,5−ベンゼントリイルトリス(メチレン)エステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸オキシラニルフェニルメチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,1−ジメチルエチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル1,1−ジエチルエチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される非限定的な例である。
【0026】
本発明による特に有用な、二つもしくはそれ以上のエポキシ官能基と少なくとも一つの加水分解性シリル基とを含有しているエポキシシランは、(3,4−ビス−オキリラニルメトキシカルボニルアミノ−フェニル)−カルバミン酸2−(ジメトキシ−メチル−シラニル)エチルエステル;[3−(ジエトキシ−メチル−シラニル)−プロピル]−カルバミン酸3−オキシラニルメチルカルバモイルオキシ−2−オキシラニルメチルカルバモイルオキシメチル−プロピル−エステル;[3−(トリエトキシラニル)−プロピル]−カルバミン酸2−オキシラニルメトキシ−1−オキシラニルメトキシメチル−エチルエステル;(3−トリエトキシシラニル−プロピル)−カルバミン酸3−オキシラニルメトキシ−2−オキシラニルメトキシメチル−2−(3−トリメトキシシラニル−プロピルカルバモイルオキシメチル)−プロピルエステル;(2−{2−[2−(2−オキシラニルメトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−3−[(3−トリエトキシシラニル−プロピルカルバモイル)−メトキシ]−プロポキシ}−エチル)−カルバミン酸オキシラニルメチルエステルなどからなる群より選択される非限定的例である。
【0027】
本発明のエポキシシランは以下に記載のものを含むいくつかの合成プロセスのいずれによって作製出来る。
【0028】
合成プロセス1: エポキシシランを提供するための、エポキシアルコールとイソシアナトシランとの反応。
本発明のエポキシシランを提供するため、エポキシアルコールを、例えば無水条件下、準大気温度、大気温度、もしくは高温度、減圧下、大気圧もしくは高圧、ならびに溶媒および/もしくは触媒の存在下または非存在下のような適切な条件において、イソシアナトシランと反応させる。無水条件は、加水分解性シリル基の未成熟での加水分解を防ぐための、詳細には乾燥した大気下、より詳細には窒素発生装置内のような不活性の大気下を含む。エポキシシランを作製するのに用いられる典型的な温度は、約0℃から約150℃、より詳細には約25℃から約100℃、そしてもっとも詳細には約60℃から約90℃という非限定的な範囲を含む。エポキシシランを作製するのに用いられる典型的な気圧は、約0.00013バール(0.1mmHg)から約10バール、より詳細には約0.013バール(10mmHg)から約2バール、そしてもっとも詳細には約0.78バール(600mmHg)から約1バールの非限定的な範囲を含む。エポキシシランの作製に用いられる典型的な溶媒は、エーテル、エステル、ケトン、塩素化炭化水素、および炭化水素のような非プロトン性溶媒である。有用な溶媒の非限定的な代表例は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルアセテート、クロロフォルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどである。反応を促進するために用いられる触媒はまた、アルコールとイソシアネートとの反応を促進するのに典型的に用いられるものである。これらの触媒は、遷移金属塩、二酢酸ジブチルスズおよびジブチルスズジラウレートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、オクチル酸スズおよび酢酸スズのようなカルボン酸スズ塩、酸化第一スズ、ビスマス塩、第三級アミンの非限定的な例を含む。
【0029】
一実施態様において、エポキシアルコール反応物は、一般式(2):
【化7】

に合致し、
ここで、R、R、R、R、R、A、A、およびAは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、xは1、yは0、mは1、およびnは1である。
【0030】
有用な式(2)のエポキシアルコール反応物は、R、R、およびRが水素であり、Rが1から12個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有するヒドロカルビル基であり、それぞれのA、A、およびAは酸素もしくは硫黄であるもので、たとえばグリシドール、3,4−エポキシブタン−1−オール、および1,2−エポキシ−3−メルカプトプロパンなど;R、R、および/もしくはRがともに結合し、およびエポキシド環と結合し、参照によりそのすべての内容をここに組み入れる、米国特許第6,268,403号に開示されるような脂環式エポキシアルコールを形成するもの;そして、参照によりそのすべてをここに組み入れる米国特許第3,622,597号に開示されるようなヒドロキシルもしくはメルカプト基含有エピスルフィド(チイレンもしくはアルキレンスルフィドとしても知られる)を含む。
【0031】
有用な脂環式エポキシアルコールの具体例は:
【化8】

である。
【0032】
有用なエピスルフィド環を持つエポキシアルコールの具体例は、2,3−エピスルフィド−1−プロパノール、3,4−エピスルフィド−1−ブタノール、4,5−エピスルフィド−1−ペンタノール、4,5−エピスルフィド−2−ペンタノール、5,6−エピスルフィド−1−ヘキサノール、および5,6−エピスルフィド−2−ヘキサノールである。
【0033】
他の実施態様において、有用なエポキシアルコール反応物は一般式(3):
【化9】

のうちの一つであり、
ここで、
、R、R、R、R、A、A、A、m、およびnは上述の意味を持ち、それぞれのAは酸素もしくは硫黄であり、mは1であり、nは1から6であり、xは2から6であり、yは0であり、そしてn は1から6である。
【0034】
式(3)のエポキシアルコールは
式(4):
13(AH)m+n (4)
〔式中、R13は、約2から34個の炭化水素、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄を含有する二価のもしくは多価の炭化水素基であり、Aは酸素もしくは硫黄、ならびにmおよびnは上述の意味を持つ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール、ポリエーテルジオールなどである〕の多価アルコールをエピハロヒドリン、特にエピクロロヒドリンもしくはエピブロモヒドリンと反応させることにより容易に得られ、ここで、科学量論、反応手順、および反応条件は所望のエポキシアルコールの産生に好ましい様なものである。例えば、2モルのエピクロロヒドリンは、以下の化学反応式によって2つの一級ヒドロキシル基のグリセロールと反応し、以下の様な2つのエポキシ基と一つのヒドロキシ基とを含有するエポキシアルコール(5)を提供する:
【化10】

【0035】
同様に、ペンタエリトリトールの1モル当たり2もしくは3モルのエピクロロヒドリンの比率は、エポキシアルコール(6)および/もしくは(7)をそれぞれ提供する:
【化11】

【0036】
一実施態様において、合成プロセス1において採用されるイソシアナトシラン反応物は、一般式(8):
O=C=N−R−SiX (8)
と合致し、
ここで、R、X、Xはそれぞれ上述の意味を持つ。
【0037】
ここで用いられ得る具体的なイソシアナトシラン(8)は、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリメトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリエトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリエトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリエトキシシランなどを含む。
【0038】
合成プロセス1から生じるエポキシシランは一般式(1):
【化12】

で表され、
ここでR、R、R、R、R、R、A、A、A、X、X、X、およびnは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、そしてAは−NH−であり、mは1であり、xは1から6であり、yは0であり、そしてzは1である。
【0039】
合成プロセス1によって得る事の出来るエポキシシランのいくつかの例は:
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

である。
【0040】
合成プロセス2:エポキシイソシアナート中間体を提供するための、エポキシアルコールとポリイソシアナートとの反応と、後に続くエポキシシランを提供するための、エポキシイソシアナート中間体と二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとの反応。
最初のステップにおいて、エポキシアルコールをポリイソシアナートと、例えば無水条件下、準大気温度、大気温度、もしくは高温度、減圧下、大気圧もしくは高圧、ならびに溶媒および/もしくは触媒の存在下または非存在下のような適切な条件において反応させ、エポキシイソシアナートを提供し、それをその後、第二ステップにおいて、二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランと反応させ、少なくとも一つのウレタン結合を有するエポキシシランを提供する。
【0041】
一実施態様において、合成プロセス2の第一ステップにおいて採用されるエポキシアルコールは上記の一般式(2)および/もしくは(3)の一つもしくはそれ以上であり得る。
【0042】
ポリイソシアナートは、芳香族、脂肪族、もしくは脂環式のポリイソシアナートのいずれでもあり得、たとえば、それらのポリイソシアナートから作製されるイソシアナート末端ポレポリマーを含むジイソシアナートもしくはトリイソシアナートである。
【0043】
一実施態様において、ポリイソシアナート反応物(イソシアナート末端プレポリマーを含む)は、一般式(9):
(O=C=N)m+n (9)
によって表され、
、mおよびnは上述の意味を持つ。
【0044】
好適な芳香族ポリイソシアナートの例はトルエンジイソシアナート(TDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、およびジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートと2,4’−イソマーとの混合物またはそれらとより高い官能性のオリゴマーとの混合物(いわゆる粗製MDI)の純粋なイソマーの形状のものまたはいくつかのイソマーの混合物の形状のものであるイソマーの任意の物である。好適な脂環式ポリイソシアナートの例は、上述の芳香族ジイソシアナートの水素化産物で、例えば4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、m−もしくはn−テトラメチルキシリレンジイソシアナート(m−TMXDI、p−TMXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI、1,6−ジイソシアナート−2,2,4−トリメチルヘキサンおよび1,6−ジイソシアナート−2,4,4−トリメチルヘキサンのイソマーの混合物として市販されている)、およびダイマー脂肪酸ジイソシアナートのようなものである。
【0045】
上述のポリイソシアナートのうち、異なる反応性のイソシアナート基を有するもの、例えばTDI、IPDI、およびTMDIは、それらが、反応性イソシアナート基をよりゆっくりとインタクトなままにしておく傾向にあり、そのためフリーのイソシアナート基をまったく持っていないエポキシ化合物の産生を最小限にするため好ましい。しかしながら、そのようなエポキシ化合物が産生する限りは、それらのエポキシ官能性が接着促進剤、コーティング剤の媒介物、架橋剤などとしての用途のための第2ステップのエポキシシランの有用性にもまた寄与するため、それらをエポキシイソシアナート中間体から分離する必要は無い。
【0046】
ポリイソシアナート(9)の有機R基は、上述のイソシアナート末端プレポリマーの場合のように、通常ポリマーであり得る。そのようなポリマーは、過剰なモルのポリイソシアナート、典型的にはMDIもしくはIPDIのようなジイソシアナートを、ポリオール、たとえば、C−Cジオール付加のエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドのようなポリエーテルジオール、ポリテトラメチレンジオール、C−Cジオール開始剤とガンマブチロラクトンもしくはイプシロンカプロラクトンのようなラクトンとの反応に由来するポリエステルジオール、ジヒドロキシル末端水素化ポリブタジエンのようなジヒドロキシル末端炭化水素などのようなポリオールと反応させることによって典型的には作製される。
【0047】
合成プロセス2の第一ステップのための好適な反応条件は、第1ステップのエポキシイソシアナート中間体および第2ステップのエポキシシラン産物の加水分解性シリル基の未成熟での加水分解を防ぐための無水条件を含み、詳細には乾燥した大気下、より詳細には窒素発生装置内のような不活性の大気下を含む。エポキシイソシアネート中間体を作製するのに用いられる典型的な温度は、約0℃から約150℃、より詳細には約25℃から約100℃、そしてもっとも詳細には約60℃から約90℃という非限定的な範囲を含む。エポキシイソシアネート中間体を作製するのに用いられる典型的な気圧は、約0.00013バール(0.1mmHg)から約10バール、より詳細には約0.013バール(10mmHg)から約2バール、そしてもっとも詳細には約0.78バール(600mmHg)から約1バールの非限定的な範囲を含む。エポキシイソシアネート中間体の作製に用いられる典型的な溶媒は、エーテル、エステル、ケトン、アミド、塩素化炭化水素、および炭化水素のような非プロトン性溶媒である。有用な溶媒の非限定的な代表例は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルアセテート、クロロフォルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどである。反応を促進するために用いられる触媒はまた、アルコールとイソシアネートとの反応を促進するのに典型的に用いられるものである。これらの触媒は、遷移金属塩、二酢酸ジブチルスズおよびジブチルスズジラウレートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、オクチル酸スズおよび酢酸スズのようなカルボン酸スズ塩、酸化第一スズ、ビスマス塩、第三級アミンの非限定的な例を含む。
【0048】
一般式(2)および/もしくは(3)のエポキシアルコールとポリイソシアナートもしくはイソシアナート末端プレポリマー(9)との反応は一般式(10):
【化17】

でそれぞれ表されるエポキシイソシアナート中間体を提供し、
ここでR、R、R、R、R、A、mおよびnは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、Aは−NH−であり、Xは1から6であり、そしてyは1である。
【0049】
一実施態様において、エポキシアルコール(2)と、ジイソシアナートもしくはジオールから誘導されるイソシアナート末端プレポリマー(一般式(9)に相当し、ここで m+nは2である)との反応は、エポキシイソシアナート中間体(10)を提供し、ここでR、R、R、R、R、およびAは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、Aは−NH−であり、mは1であり、nは1であり、xは1であり、yは1である。
【0050】
他の実施態様において、エポキシアルコール(3)とジイソシアナートもしくはイソシアナートプレポリマーとの反応はエポキシイソシアナート中間体(10):
【化18】

を提供し、ここでR、R、R、R、R、およびAは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、Aは−NH−であり、mは1であり、nは1であり、xは2から6であり、そしてyは1である。
【0051】
合成プロセス2の第1ステップによって作製されるいくつかのエポキシイソシアナート中間体は:
【化19】

【化20】

である。

【0052】
第2ステップ:エポキシシランを提供するための、エポキシイソシアナート中間体と二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとの反応。
合成プロセス2の第2ステップにおいて、本発明による一つもしくはそれ以上のエポキシシランを提供するため、第1ステップからのエポキシイソシアナート中間体、たとえばエポキシイソシアナート(10)を、二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランと、無水条件で減圧、大気圧、もしくは高気圧下で、準大気温度、大気温度、もしくは高温下で、溶媒の存在下もしくは非存在下で反応させる。
【0053】
一実施態様において、合成プロセス2の第2ステップにおいて採用される加水分解性シラン反応物は一般式(11):
HA−R−SiX (11)
によって表され、
ここで、R、X、X、およびXは上述の意味を持ち、Aは硫黄もしくは−N(R12)−であって、ここでR12はアルキル、アレニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−RSiX基であり、ここでそれぞれのR12は独立して1から18個の炭素原子を含有する。
【0054】
式(11)の有用な二級アミノアルコキシシラン反応物は、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノブチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメトキシジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−メチルアミノブチルエチルジエトキシシラン、N−メチルアミノブチルジエチルエトキシシラン、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)ブチル]アミン、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)イソブチル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)ブチル]アミンなどを含む。
【0055】
式(11)の有用なメルカプトアルコキシシラン反応物は、ガンマ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ガンマメルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、ベータ−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、ベータ−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、ベータ−メルカプトエチルトリエトキシシランなどを含む。
【0056】
一般的に、エポキシ−イソシアナート中間体(10)と加水分解性シラン(11)との反応は、一つもしくはそれ以上の本発明のエポキシシランを提供するように実施され、ここで実質的のすべてのこれら中間体のフリーの−NCO基が、尿素結合(アルコキシシラン(11)が一つもしくはそれ以上の二級アミノアルコキシシランのとき)、チオカルバメート結合(アルコキシシラン(11)が一つもしくはそれ以上のメルカプトアルコキシシランのとき)、または尿素およびチオカルバメート結合の混合物(二級アミノアルコキシシランとメルカプトアルコキシシランの混合物が用いられるとき)へと転換される。合成プロセス2の第2ステップによる好適な反応条件は、例えば無水条件下、準大気温度、大気温度、もしくは高温度、減圧下、大気圧もしくは高圧、ならびに溶媒および/もしくは触媒の存在下または非存在下を含む。二級アミノシランとエポキシイソシアネート中間体との反応は、第1のステップのエポキシ−イソシアネート中間体の作製に用いられる触媒が第2のステップにおける反応速度をまた上昇させるが、典型的には触媒を必要としない。このように、メルカプトシランとエポキシ−イソシアネート中間体との反応は通常は触媒の使用により便益を得る。典型的には、塩基および金属塩またはそれらの錯体が用いられ、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、およびピリジンのような第三級アミン、酸化カリウムおよび酸化第一スズのような金属酸化物、カリウムアルコキシド、チタンテトラエトキシド、およびチタンテトライソプロポキシドのような金属アルコキシド、ならびにジブチルスズジラウレート、二酢酸ジブチルスズ、酢酸スズ、酢酸ビスマス、酢酸ジルコニウムのような金属カルボキシラートなどの非限定的例を含む。二級アミノシランもしくはメルカプトしランと容易に反応しない非プロトン触媒を用いる事が出来、それは非限定的例として、炭化水素、エーテル、エステルを含む。これらの溶媒の代表例は、トルエン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどを含む。
【0057】
合成プロセス2から生じるエポキシシランはそれぞれ一般式(1)によって表され、
【化21】

ここで、R、R、R、R、R、R、およびAは上述の意味を持ち、Aは酸素もしくは硫黄であり、AおよびAの各々は−NH−であり、Aは硫黄もしくは−NR12−であり、ここでR12は、1から18個の炭素原子を含有する、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキルもしくは−R−SiX基であり、Xは1から6であり、yは1であり、zは1であり、mは1から6であり、nは1から6である。
【0058】
合成プロセス2によって得られるエポキシシランのいくつかの例は:
【化22】

【化23】

である。
【0059】
合成プロセス3:イソシアナトシランを提供するための、ポリイソシアナートとアミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとの反応と、後に続くエポキシシランを提供するための、イソシアナトシランとエポキシアルコールとの反応。
合成プロセス3は、合成プロセス2の変形であると考えることが出来る。反応物は同一であるが、反応の順序は異なる。反応プロセス3によると、ポリイソシアナートを第1のステップにおいて、アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランと、上述のような条件と同様の条件で反応させ中間体のイソシアナトシランを提供し、それをそのあと第2のステップにおいてエポキシアルコールと反応させ、本発明によるエポキシシランを提供する。
【0060】
第1のステップ:イソシアナトシラン中間体を提供するための、ポリイソシアナートとアミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとの反応
一実施態様において、一般式(9)のポリイソシアナートを、一般式(11)のアミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランと反応させ、一般式(12):
【化24】

〔式中、RおよびRは上述の意味を持ち、Aは−NR−であり、Rは水素であり、Aは硫黄もしくは−NR−であり、ここでR12は1から18個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−RSiX基であり、mは1から6であり、nは1から6であり、そしてzは1である〕のイソシアナトシラン中間体を提供する。
【0061】
フリーのイソシアネートを持つ産物の産生を最小化するようにわずかに異なった反応性のイソシアネート基を持つポリイソシアネートを用いる、合成プロセス3の第1のステップにおけるように、同じ結果を達成するために合成プロセス3の第一のステップにおいて、一つもしくはそれ以上のそのようなポリイソシアネート、例えばTDI、IPDIおよびもしくはTMDIを用いることもまた有利であろう。
【0062】
イソシアナトシラン中間体(12)のいくつかの例は:
【化25】

である。
【0063】
第2のステップ:エポキシシランを提供するための、イソシアナトシラン中間体とエポキシアルコールとの反応。
合成プロセス3の第1のステップからのイソシアナトシラン中間体(12)をたとえば、一般式(2)および/もしくは(3)のエポキシアルコールと、本発明によるエポキシシランを提供するために上述した条件下で反応させる。
【0064】
合成プロセス2のエポキシ−イソシアネート中間体(10)と合成プロセス3のイソシアナトシラン中間体(12)とが同じポリイソシアネート(9)から作製されるとき、そのイソシアネート官能性は活性水素含有種に対する反応性において実質的に同等であり、それらのプロセスのそれぞれの第2のステップに用いられる反応物、すなわち、合成プロセス2における加水分解性シラン(11)ならびに合成プロセス3にけるエポキシアルコール(2)および/もしくは(3)に依存し、結果生ずるエポキシシランは同一であろう。しかしながら、注目すべき事は、上述の中間体が、イソシアネート基が反応性において有意に異なるポリイソシアネート、例えばIPDIから作製された場合、それぞれのプロセスの第2ステップに用いられた反応物によって、合成プロセス3は、合成プロセス2から生じるエポキシシランの幾何異性体を生じるであろうことである。
【0065】
合成プロセス3によって作製できるエポキシシランのいくつかの例は:
【化26】

である。
【0066】
第1のステップ:エチレン性不飽和エポキシ中間体を提供するためのエポキシアルコールとエチレン性不飽和イソシアネートとの反応
合成プロセス4によると、エポキシアルコール(2)および/もしくは(3)を、エチレン性不飽和イソシアネート(13):
【化27】

と反応させ、
ここでRは上述の意味を持ち、Aは−NH−、Aは酸素もしくは−NR12−で、ここでR12は、1から18個の炭素原子を含有するアルキル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−RSiX基であり、R13は1から10個の炭素原子のアルキレン、アレニレン、アリーレン、もしくはアラルキレンであり、R14は1から8個の炭素原子のアルキル、アレニル、アリール、アラルキル基であり、ただし、R13とR14の炭素原子の合計は12と等しいかもしくはそれより小さいという条件であり、これはエチレン性不飽和エポキシ中間体(14):
【化28】

を提供するための第1のステップであり、
ここで、R、R、R、R、R、R、R13、およびR14は上述の意味を持ち、AおよびAは酸素であり、A3およびAは−NH−であり、Aは酸素もしくは−NR12−であり、ここでRは18個までの炭素原子のアルキル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−RSiX基であり、xは1から6であり、yは1であり、zは0もしくは1であり、mは1から6であり、nは1から6である。
【0067】
有用なエチレン性不飽和イソシアネート(13)のいくつかの具体例は、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、3−イソシアネート−2−メチル−プロペン、ビニルベンジルイソシアネート、3−イソシアネート−1−ブテン、3−イソシアネート−3−メチル−1−ブテン、4−イソシアネート−2−メチル−1−ブテン、4−イソシアネート−3,3−ジメチル−1−ブテン、4−イソシアネート−4−メチル−1−ペンテンおよび5−イソシアネート−1−ペンテンを含む。市販での入手可能性を考慮すると、好ましいイソシアネートはメタリルイソシアネートおよびアリルイソシアネートである。
【0068】
加水分解性シリル基の未成熟での加水分解を防ぐための無水条件は、乾燥した大気下、より詳細には窒素発生装置内のような不活性の大気下を含む。エポキシシランを作製するのに用いられる典型的な温度は、約0℃から約150℃、より詳細には約25℃から約100℃、そしてもっとも詳細には約60℃から約90℃という非限定的な範囲を含む。エポキシシランを作製するのに用いられる典型的な気圧は、約0.00013バール(0.1mmHg)から約10バール、より詳細には約0.013バール(10mmHg)から約2バール、そしてもっとも詳細には約0.78バール(600mmHg)から約1バールの非限定的な範囲を含む。エポキシシランの作製に用いられる典型的な溶媒は、エーテル、エステル、ケトン、塩素化炭化水素、および炭化水素のような非プロトン性溶媒である。有用な溶媒の非限定的な代表例は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルアセテート、クロロフォルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどである。反応を促進するために用いられる触媒はまた、アルコールとイソシアネートとの反応を促進するのに典型的に用いられるものである。これらの触媒は、遷移金属塩、二酢酸ジブチルスズおよびジブチルスズジラウレートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、オクチル酸スズおよび酢酸スズのようなカルボン酸スズ塩、酸化第一スズ、ビスマス塩、第三級アミンの非限定的な例を含む。
【0069】
第2のステップ:エポキシシランを提供するためのエチレン性不飽和エポキシ中間体とヒドリドアルコキシシランとの反応
合成プロセスの第2のステップにおいて、第1のステップからのエチレン性不飽和エポキシ中間体をヒドリドアルコキシシラン(15)によってヒドロシリル化し、一般式(1)のエポキシシランを提供する。多くのヒドロシリル化触媒は硫黄含有成分によって有毒化しているため、中間体(14)は硫黄原子が無いようにすべきである。炭素−炭素二重結合を含有する中間体のヒドロシルル化のための条件は、参照によりそのすべての内容をここに組み入れるB. Marciniec編集”Comprehensive Handbook of Hydrosilylation”、Pergamon Press、New York(1992)に記載されるように、当分野に既知である。
【0070】
有用なヒドリドアルコキシシラン(15)のいくつかの具体例は、ヒドリドトリメトキシシラン、ヒドリドトリエトキシシラン、ヒドリドメチルジメトキシシラン、ヒドリドメチルジエトキシシラン、ヒドリドジメチルメトキシシラン、ヒドリドジメチルエトキシシランなどを含む。
【0071】
エポキシシランの中で合成プロセス4により作製され得るのは:
【化29】

【化30】

である。
【0072】
合成プロセス5:エチレン性不飽和アルコキシシラン中間体を提供するための、ハロカルビルシランとシアネートとのエチレン性不飽和アルコールの存在下での反応
第1のステップにおいて、ハロカルビルシランは、シアネートと、第一のステップにおける末端エチレン性不飽和を有するアルコールの存在下で、有利には好適な触媒および/もしくは不活性の溶媒の存在下で、反応し、少なくとも一つのウレタン結合を含有するエチレン性不飽和加水分解性シラン中間体を提供し、この中間体は第2のステップにおいて、例えば、”Modern Synthetic Reactions”、第2版、H.O.House編集、W.a.Benjamin、 Inc. Menlo Park(1972)に記載される様な過酸の使用、例えば、K.A.Jorgensen ”Chemical Reviews”、89(3)、431(1989)に記載される様な遷移金属触媒エポキシ化のような、既知で汎用のエポキシ化手段へと供され、対応するエポキシシランを提供する(両方の文献の前内容は参照によりここに組み込まれる)。
【0073】
一実施態様において、ハロカルビルシランは一般式(15):
【化31】

の一つであり、
ここで、R、R、A、A、X、X、およびXは上述の意味を持ち、LはCl、Br、もしくはIであり、zは0であり、nは1から6、そして好ましくは1もしくは2である。
【0074】
有用なハロカルビルシラン(15)は、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、4−クロロブチルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、4−クロロブチルフェニルメチル−n−プロポキシシラン、3−イオドプロピルトリメトキシシラン、4−(2−クロロエチル)−1,7−ビス−(トリメトキシシリル)ヘプタンなどを含む。
【0075】
有用なシアネート反応物は一般式(16):
(M+W)(O=C=N (16)
のものを含み、
ここで、Mは金属、アンモニウム、もしくはホスホニウム基であり、wはMの原子価であり、詳細には1から4であり、より詳細には1もしくは2であり、もっとも詳細には1である。
【0076】
合成プロセス5の第1のステップにおいて用いられるシアネート(16)は、Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、もしくはホスホリウムであるものを含む。好ましいシアネートはシアン酸ナトリウムおよびシアン酸カリウムである。
【0077】
末端エチレン性不飽和を持つアルコールは一般式(17):
【化32】

のものの任意のものであってよく、
ここでR、R、R、およびRは上述の意味を持ち、xは1から6であり、そしてAは酸素である。
【0078】
好適なエチレン性不飽和アルコールは、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−ブテン−1−オール、8−オクテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ビニルフェノール、4−ビニルベンジルアルコール、3−ヒドロキシル−1,4−ペンタジエンなどを含む。
【0079】
エチレン性不飽和アルコキシシラン中間体(14)を提供するための第1のステップのハロヒドロカルビルシラン(15)、シアネート(16)およびエチレン性不飽和アルコール(17)の反応は、以下の化学反応式(18):
【化33】

によって進むと考えられ、
ここで、R、R、R、R、R、R、A、A、M、L、およびwは上述の意味を持ち、Aは酸素 であり、Aは−NH−であり、xは1から6であり、yは1であり、zは0であり、mは1から6であり、そしてnは1から6である。
【0080】
ステップ2:エポキシシランを提供するためのエチレン性不飽和アルコキシシラン中間体のエポキシ化
合成プロセス5の第1のステップで得られるエチレン性不飽和アルコキシシラン中間体は既知で汎用のエポキシ化条件においてエポキシ化され、本発明によるエポキシシランを提供する。それゆえ例えば、過酢酸、過安息香酸、クロロ過安息香酸のような過酸、または、t−ブチルヒドロペルオキシド存在下でのモリブデンIVペルオキソ化合物、バナジウム錯体、テトライソプロプロキシチタネート−タートレート錯体のような遷移金属触媒を伴い、0℃から約100℃の温度で、減圧、大気圧、もしくは高気圧下で、塩化メチレン、クロロフォルム、ヘキサン、酢酸エチルなどの有機溶媒の存在下もしくは非存在下で、そして、無水条件下での化学反応式(18)からのエチレン性不飽和アルコキシシランのエポキシ化は、一般式(1):
【化34】

のエポキシシランを提供し、
ここで、R、R、R、R、R、R、A、およびAは上述の意味を持ち、AおよびAは酸素であり、Aは−NH−であり、xは1から6であり、yは1であり、zは0であり、mは1から6であり、そしてnは1から6である。
【0081】
本発明のエポキシシランはここに記載されるものを含む様々な用途に有用である。
【0082】
ここでの一実施態様において、本発明によるエポキシシランを少なくとも一つ含有する、基体を処理する、もしくはコーティングするための硬化性組成物が提供される。
【0083】
上述の硬化性組成物に組み込まれるエポキシシランは、水への溶解性において、それへと完全に混和性であることからリットル当たり約600グラム(g/l)まで、好ましくは約400g/lまで、そしてより詳細には約300g/lまでの可溶性であることまでの範囲にある。
【0084】
基体は繊維、微粒子、シート状構造のような任意の有機もしくは無機の物質であり得、そして、無機鉱物、ケイ酸塩、シリカ、粘土、セラミック、カーボン、有機ポリマー、珪藻土、ゾルーゲル、金属およびそれらの組み合わせから成ってよい。
【0085】
ここでの具体的な一実施態様において、基体は鉱物充填剤であってもよく、たとえば、凝集体もしくは集塊の状態で、分離した粒子もしくは粒子の群として提供される。鉱物充填剤を、本発明のエポキシシランと反応しない他の充填剤と混合しても良い。これらの充填剤は、用いられるエポキシシランおよび/もしくポリマーを混合物、コーティング剤、接着剤、封止剤、ゴムなどにまで拡張し、用いられるエポキシシランもしくはポリマーをそれらの組成物を製造するよう強化する。好適な鉱物充填剤の非限定的ないくつかの代表例は、(焼成および/もしくは沈降)シリカ、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、およびアルミナのような金属酸化物、粘土および滑石を含むシリカ状の物質を含み、単独で用いられるかもしくは、たとえば、シリカとカーボンブラックとの組み合わせのように一つもしくはそれ以上の他の充填剤と用いられる。さらに具体的な実施態様において、充填剤は水和されていても、無水の形でもよい。例えば、参照により、その両方のすべての内容をここに組み入れる米国特許第5,116,886号および欧州特許第631982号に見られるように、ゴム組成物中でアルミナに使用することは公知である。
【0086】
他の実施態様において、本発明のエポキシシランは、たとえば多孔性もしくは高表面積充填剤のような、または、たとえば自由流動性能を維持したままで約75重量パーセントまでのエポキシシランを担持できる吸着容量を持つ有機ポリマーのような担体として機能する充填剤へと適用できる。吸着性シランはエポキシシランに対して実質的に不活性であり、ポリマー成分もしくはエラストマー組成物に対して添加されたときそこからエポキシシランを遊離させることができるであろう。これらの多孔性充填剤の吸着能は、典型的には特定の条件下で有機溶媒によって抽出されるエポキシシランの量を測定することによって決定される。好適な抽出手順は、参照によりそのすべての内容を個々に組み入れる、米国特許第6,005,027に記載される。好適な充填剤担体は多孔性の有機重合体、カーボンブラック、ケイソウ土およびシリカを含むが、この例に限定されず、それらは米国特許第6,005,027号に記載されるように、シリカの3502cm−2における赤外線吸光度の、105℃で測定された時と500℃で測定された時との差が1.3未満と比較的小さいことによって特徴づけられる。一実施態様において、担体に担持させることができるエポキシシランの量は、約0.1と約70重量パーセントの間であり、他の実施態様において、約10と約50パーセントの間である。
【0087】
他の好適な鉱物充填剤はエポキシシランが充填剤の表面と反応性であるものを含む。このタイプの充填剤は特に、沈降シリカ、粘度、シリカ含有鉱物、ガラス、雲母などを含む。これらの充填剤の表面は、特に充填剤が反応性表面シラノールを有しているときにエポキシシランと反応性である。ここでの表面反応性鉱物充填剤は、ハイブリッドの形態で提供されても良い。たとえばアルミナ、および他の金属酸化物のような金属ヒドロキシル表面官能性を有しているものをシリカ、シリケートなどを有しているものとの組み合わせた表面反応性鉱物充填剤の混合物を利用利用できる。
【0088】
一般的なタイプの二つもしくはそれ以上の充填剤の組み合わせをまた、ここで使用出来、たとえば本質的に不活性のタイプ、吸着タイプ、および表面反応性タイプの、二つもしくはそれ以上の充填剤である。
【0089】
金属基体はクロム酸塩、亜鉛、スズ、または任意のさび止めもしくは防止基体で処理したものまたはしていないものの、任意の金属を含む。金属の非限定的例は、冷延鋼板;亜鉛鋼;溶融亜鉛鋼;プライム鋼(prim);アルミニウム;そして、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、黄銅、および鉄、ならびにそれらの組み合わせからなる非限定的な群より選択される少なくとも一つによってコートされる鉄鋼からなる群より選択される、
【0090】
金属基体は、エポキシシランを含有する組成物によってコートする事が出来、組成物はそこで硬化され、任意選択で別のコーティングが硬化した組成物に塗布される。本発明の組成物の所望の基体への塗布は、ロール塗布、特にリバースロール(reverse roll)塗布、浸漬被覆、フラッドコート(flood coating)、スプレー噴射、ドローダウン(drawdown)法などのような既知で汎用の手段によって達成される。
【0091】
本発明のエポキシシランコーティング剤組成物は、たとえば、ポリエステル系塗料のような塗料、ゴム、接着剤などとして配合され得る。
【0092】
本発明の硬化性組成物はまた、水、アルコール、エステル、ケトン、炭水化物、エーテルなどのような一つもしくはそれ以上の溶媒;一つもしくはそれ以上の湿潤剤;エポキシ樹脂もしくはウレタン樹脂のような有機樹脂塗膜形成要素、ならびにビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびメチルトリプロピルシランのような他の加水分解性シラン化合物などを含有する接着促進組成物を含む。接着促進組成物は接着促進成分としてそこにエポキシシランを、たとえば、約0.1から約90重量パーセント、好ましくは約0.5から約15重量パーセント、そしてより好ましくは約0.75から約5重量パーセントの量で含有でき、前記重量パーセントは、接着促進組成物の全重量に基づく。
【0093】
他の実施態様において、ここでの硬化性組成物はまた、水、溶媒;ウレタン、エポキシ、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエーテルなどのような有機塗膜形成ポリマー、湿潤剤、帯電防止剤、ならびに他の加水分解性有機シラン化合物などを一つもしくはそれ以上含有する無機物質サイズ剤を含んでもよい。特定の実施態様において、無機物質サイズ剤は本発明のエポキシシランを、たとえば、約0.05から約25重量パーセント、好ましくは約0.1から約10重量パーセント、そしてより好ましくは約0.5から約5重量パーセントの量で含有でき、前記重量パーセントは、無機物質サイズ剤組成物の全重量に基づく。
【0094】
ここでの硬化性組成物のさらに他の実施態様において、組成物は、水、有機溶媒、ウレタン、エポキシ、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエーテルなどのような有機塗膜形成ポリマー、湿潤剤、帯電防止剤、ならびに他の加水分解性有機シラン化合物などを少なくとも一つ含有するカップリング剤であってよい。カップリング剤は本発明のエポキシシランを、たとえば、約0.05から約25重量パーセント、好ましくは約0.1から約10重量パーセント、そしてより好ましくは約0.5から約5重量パーセントの量で含有でき、前記重量パーセントは、カップリング剤の全重量に基づく。
【0095】
本発明の硬化性組成物はまた、水、アルコール、エステル、エーテル、ケトンなどのような少なくとも一つの溶媒;湿潤剤;酸化セリウムのような金属酸化物;界面活性剤;触媒および酸などを含有する化成被膜剤組成物として配合されて良い。特定の実施態様において、化成被膜剤組成物は本発明のエポキシシランを、たとえば、約0.01から約50重量パーセント、好ましくは約0.1から約30重量パーセント、そしてより好ましくは約0.5から約16重量パーセントの量で含有でき、前記重量パーセントは、無機物質サイズ剤組成物の全重量に基づく。
【0096】
本発明の組成物は、水、アルコール、エステル、エーテル、ケトンなどのような少なくとも一つの溶媒;
酸化物、アルキル、アルコキシド、カルボン酸、ケトンエステルなどのようなリガンドで囲まれた金属もしくは半金属からなるコロイドをさらに含有するゾル−ゲル組成物として提供されて良い。ゾル−ゲル組成物はここでのエポキシシランを、たとえば、約0.01から約50重量パーセント、好ましくは約0.1から約30重量パーセント、そしてより好ましくは約0.5から約20重量パーセントの量で組み込むことが出来、前記重量パーセントは、ゾル−ゲル組成物の全重量に基づく。
【0097】
本発明の硬化性組成物はまた、充填剤、可塑剤、有機ポリマー溶媒、抗酸化剤、紫外線安定剤、揺変剤、界面活性剤、触媒などを少なくとも一つ含有する封止剤組成物として配合されて良い。特定の実施態様において、封止剤組成物は本発明のエポキシシランを、たとえば、約0.1から約10重量パーセント、好ましくは約0.5から約5重量パーセント、そしてより好ましくは約5重量パーセントからの量で含有でき、前記重量パーセントは、封止剤組成物の全重量に基づく。
【0098】
本発明のエポキシシラン含有組成物は、たとえば、蒸留水および/もしくはナノピュア(nano pure)水などの任意の純度の水を含み得る。水の量は、本発明のエポキシシランの量および/もしくはタイプならびに、界面活性剤、触媒、共溶媒、有機酸などの組成物に存在する任意の追加の成分の量および/もしくはタイプに依存して大きく変化する。水の量はまた、エポキシシランの水性溶液の所望の表面張力、水性溶液の所望のpH、水性溶液の所望の安定性、ならびにエポキシシラン成分の所望の加水分解レベルに基づいて変化する。
【0099】
本発明のエポキシシラン組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸塩、アルキルサルフェートエステル塩、アルキルベンゼンスルホネート、リン酸アルキル、アラルキルサルフェートエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルホスフェートエステル、第4級アンモニウム塩、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウム塩、エトキシ化ノニルフェノール、ポリビニルアルコールなど、およびそれらの組み合わせのような少なくとも一つの界面活性剤をさらに含有できる。特定の実施態様は、たとえば、TritonX−100(Dow Chemical Company)およびSilwetL−77(Momentive Performance Materials Inc.)を含む。これらおよび他の界面活性剤の量は、本発明のエポキシシランの量および/もしくはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、ならびに、触媒、共溶媒、有機酸などの組成物に存在する任意の追加の成分の量および/もしくはタイプに応じて変化する。水の量はまた、水性溶液の所望の表面張力、溶液の所望のpH、溶液の所望の安定性、ならびにエポキシシラン成分の所望の加水分解レベルに基づいて変化する。ここでの一実施態様において、界面活性剤の量はエポキシシランの量より少ない。他の特定の実施態様において、界面活性剤の量は、たとえば約0.0001から約5重量パーセント、好ましくは約0.005から約2重量パーセント、そしてより好ましくは約0.02から約0.2重量パーセントの範囲であり得、前記重量パーセントは、エポキシシラン組成物の全重量に基づく。
【0100】
溶媒は、本発明の硬化性組成物のいずれにおいても、希釈剤、担体、安定剤、還流助剤、もしくは加熱剤として機能できる。一般に、任意の不活性の溶媒、すなわち組成物の硬化の反応に入ることなく、もしくは逆効果を与えないものが用いられ得る。一実施態様において、溶媒は、通常条件で液体であり、約150℃より低い沸点を持つものである。有用な溶媒の非限定的例は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ブタン、ジエチルエーテル、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、四塩化炭素、塩化メチレンなどのような芳香族、炭化水素、エーテル、非プロトン性溶媒、および塩化炭化水素溶媒、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0101】
本発明のエポキシシランを含有する水性組成物の安定性は一つもしくはそれ以上の溶媒をそこえへ添加することで上昇する。溶媒は、アルコール(例えばブチルアルコール)、グリコール(例えばプロピレングリコール)、エステルなど、およびそれらの組み合わせのような有機性であってよい。溶媒の量は、広い限定内で、用いられるエポキシシランの量および/もしくはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、ならびに、界面活性剤、触媒、有機酸などの追加の成分の量および/もしくはタイプに応じて変化し得る。任意の共溶媒の量はまた、水性溶液の所望の表面張力、水性溶液の所望のpH、水性溶液の所望の安定性、ならびに組み入れられたエポキシシラン成分の所望の加水分解レベルに基づいて変化し得る。ここでの一実施態様において、本発明のエポキシシランは加水分解するため、共溶媒の添加無しで水中の安定なエポキシシラン組成物を形成するのに十分な量でアルコールの量が決められる。そのようなアルコールの量は、エポキシシラン含有組成物の全重量の、約0.1から約50重量パーセント、有利には約0.1から約20重量パーセント、そしてさらに有利には約0.2から約6重量パーセントの範囲であり得る。
【0102】
ここでの硬化性組成物のpHを維持することは、そのエポキシシラン成分の加水分解とそれに続く濃縮の度合いを最小にし、水性媒体におけるその安定性を最大にするために有利である。pHを制御することで、本願による水系エポキシシラン組成物は、少なくとも約3ヶ月、好ましくは少なくとも約4ヶ月、より好ましくは少なくとも約5ヶ月の、そしてもっとも好ましくは約6ヶ月の水溶液中での安定性を持つことが出来る。組成物の水溶液中での安定性の改善および最適化は、一般的に、約2から約9の、好ましくは約3から約8の、より好ましくは約3から約7の、そしてもっとも好ましくは約3.5から約6.0の範囲にpHを調整することで達成される。ここでのエポキシシランの加水分解の程度の最小化は、酢酸、ギ酸、クエン酸、リン酸などのような有機酸、もしくはそれらの組み合わせの使用を通じて達成され得る。有機酸の量は、組成物に組み入れられるエポキシシランの量および/もしくはタイプ、水の量および/もしくはタイプ、ならびに、界面活性剤、触媒、溶媒などの追加の成分の量および/もしくはタイプに応じて変化し得ることは理解されよう。有機酸の量はまた、組成物の所望の表面張力、組成物の所望のpH、組成物の所望の安定性、ならびにエポキシシラン成分の所望の加水分解レベルに基づいて変化し得る。一般的に、ここでの硬化性組成物のpHを調整するのに用いられる有機酸の量は、約0.001から約2.0重量パーセント、好ましくは約0.01から約1.0重量パーセント、そしてより好ましくは約0.11から約0.2重量パーセントの範囲であり得、前記重量パーセントは組成物の全重量に基づく。
【0103】
本発明による硬化性組成物は、一つもしくはそれ以上の触媒を含有し、その例はジブチルスズジラウラート、二酢酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレアート、二酢酸ジラウリルスズ、二酢酸ジオクチルスズ、ジブチルスズ−ビス(4−アミノ安息香酸メチル)、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズ−ビス(6−アミノカプリル酸メチル)およびそれらの組み合わせを含む。触媒の量は、広い限定で組成物中のエポキシシランの量および/もしくはタイプ、ならびに水および/もしくは界面活性剤、溶媒、および有機酸などのそこに組み入れられる他の成分の量および/もしくはタイプに応じて変化し得る。触媒の量はまた、組成物の所望の表面張力、組成物の所望のpH、組成物の所望の安定性、ならびにエポキシシラン成分の所望の加水分解レベルに基づいて変化し得る。例えば、触媒の量は、約0.001から約1.0重量パーセント、好ましくは約0.001から約0.5重量パーセント、そしてより好ましくは約0.1から約0.2重量パーセントの範囲であり得、前記重量パーセントはエポキシシラン含有組成物の全重量に基づく。
【0104】
以下の実施例は本発明のさらなる例示である。
【実施例】
【0105】
実施例1
この実施例は、構造:
【化35】

を有する、3−トリメトキシシリルプロピリカリバミン酸オキシラニルメチルエステルの作製を説明する。
【0106】
グリシドール(7.4グラム、100ミリモル(mmol))を、攪拌しながらガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(107mmol)とジブチルスズジラウレート(0.0295グラム)の混合物へとゆっくりと添加した。混合物の温度は攪拌が継続している間、25分以上、53℃へと上昇した。反応混合物はそののち、2時間、室温で攪拌された。その後、赤外線試験は2300cm−1においてNCOのピークが存在しない事を示した。反応はそののち完了したとみなされた。13C NMR試験は所望の産物の同一性を確認した。
【0107】
実施例2
この実施例は、構造:
【化36】

を有する3−トリエトキシシリルプロピル−カルバミン酸オキシラニルメチルエステルの作製を説明する。
【0108】
グリシドール(7.4グラム、100mmol)を、攪拌しながらガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(100mmol)とジブチルスズジラウレート(0.0395グラム)の混合物へとゆっくりと添加した。反応混合物はそののち、2時間、室温で攪拌された。その後、赤外線試験は2300cm−1においてNCOのピークが存在しない事を示した。反応はそののち完了したとみなされた。13C NMR試験は所望の産物の同一性を確認した。
【0109】
実施例3
実施例1の3−トリメトキシシリルプロピルカルバミン酸オキシラニルメチルエステルは以下のように作製された:非イオン性界面活性剤(Triton X−100)− 50mg、シラン− 1g、蒸留水− 48.95gは一緒に混合された。テストパネルはACT Laboratoriesからの磨かれない冷延鋼板のカットで10.16センチメートル(4’’)×15.24センチメートル(6’’)×0.8128 ミリメートル(0.032)であった。パネルは標準的なアルカリ性クリーナでグリースが除去され(2分間、65℃)、蒸留水でリンスされ、そののち圧縮窒素で乾燥された。リン酸亜鉛浸漬化成処理(Henkel Bonderite 958)ののち、Parcolene 60でリンスされた10.16センチメートル(4’’)×15.24センチメートル(6’’)×0.8128 ミリメートル(0.032)の対照パネルはACT Laboratoriesより得られた。パネルAおよびBは処理組成物でコートされ、コーティングは塗装される前に120℃20分間硬化された。Sherwin Williamsからの下地無しのポリエステル系のこの塗装はドローダウン法により塗布された。乾燥フィルムの厚さはおおよそ30.48マイクロメートル(1.2ミル)であった。焼成条件は15分175℃であった。試験手順ASTM D1654で測定されたクリーページデータは、溝からの最小、最大、および平均距離としてミリメーター単位で記録され、下の表に示される。
【0110】
【表1】

【0111】
パネルAおよびBは、クロム封止のリン酸亜鉛冷延鋼板の対照と比較して同等のクリーページ性能を示した。クリーページは、塗料の接着を向上させ、いくつかの場合には、腐食反応を遅らせ、それによって下にある金属を腐食から防御する、前処理の能力の指標である。測定されるクリーページが低いほど、全体の系(化成被膜と塗料)が金属を保護する点において、より優れている。もし調査に同じ塗料が用いられた場合、特定の塗料および基体に伴う前処理の効果の順位が得られる。
【0112】
本発明はそれらの特定の実施態様に関連して詳細に記載されるが、本発明はそのような開示される実施態様に限定されないことは容易に理解されよう。本発明は、ここに記載されていないが本発明の精神と範囲と同一の変形、大体、置換、等価物の配置の任意の数のものを含むように改良出来る。従って、本発明は上述の記載によって限定されない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシシランであって、少なくとも一つのエポキシ基と、少なくとも一つの加水分解基と、そして一つもしくはそれ以上の結合であって、酸素、硫黄、および窒素からなる群より選択され、少なくとも一つのヘテロ原子が窒素であり、結合においてエポキシ基と加水分解性シリル基の両方が同じ窒素ヘテロ原子へと直接もしくは間接に結合するような結合が存在しない、ヘテロ原子へと結合するカルボニル基を含有する結合とを含有する、エポキシシラン。
【請求項2】
一般式(1):
【化37】

〔式中、
の各々が独立して、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有するアルキル基であり;
の各々が独立して、水素、または1から12個の炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素および/もしくは硫黄原子を含有するヒドロカルビル基であって、そして、一価のアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基;二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、アラルキレン基であって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素原子に共有結合し、そしてRの同じかもしくは別の炭素原子が、RもしくはRの炭素原子と共有結合し脂環式構造を形成するもの;そして多価のヒドロカルビルであって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素原子に共有結合し、そしてRの同じおよび/もしくは別の炭素原子が、RもしくはRの炭素原子と少なくとも2つの共有結合を形成するか、またはRおよびRの両方と少なくとも一つの共有結合をし、二環もしくは多環の脂肪族構造を形成するものからなる群より選択される;
の各々が、独立して水素、または1から12個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有するヒドロカルビル基であって、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基;二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、およびアラルキレン基であって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素元素へと共有結合し、そしてRの同じかもしくは別の炭素原子がRもしくはRの炭素原子へと共有結合し、脂環式構造を形成するもの;そして、多価のヒドロカルビルであって、ここでRの一つの炭素原子がエポキシ環へと共有結合し、そしてRの同じおよび/もしくは別の炭素原子がRもしくはRと少なくとも二つの共有結合またはRもしくはRの両方と少なくとも一つの共有結合を形成し、二環式のもしくは多環式の脂肪族構造を形成するものからなる群より選択される;
の各々が、独立して、12個までの炭素原子、任意選択で、少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する二価もしくは多価のヒドロカルビル基であって、二価のアルキレン、アラルキレン、アレニル、アリーレン、およびアラルキレン基;そして多価のヒドロカルビル基であって、Rの一つの炭素原子がエポキシ環の炭素原子と共有結合し、そしてRの同じもしくは別の炭素原子は、カルボニル基と結合する窒素、酸素、もしくは硫黄ヘテロ原子と結合を形成し、そして、Rの同じもしくは別の炭素原子はRもしくはRの炭素原子と少なくとも一つの共有結合を形成し、二環式のもしくは多環式の脂肪族構造もしくは2から12個の炭素原子、および酸素もしくは窒素より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有するヘテロカルビル基を形成するものからなる群より選択される;
の各々が、独立して、24個までの炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する二価のもしくは多価のヒドロカルビル基であって、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基の少なくとも一つの水素の置換によって誘導されるもの;または、二価もしくは多価の有機ポリマー基であり;
の各々が、12個までの炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する、二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレン、およびアラルキレン基であり;
の各々が、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる群より独立して選択され、ここでRは、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、水素以外のRは、独立して1から18個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有し;
およびXの各々が、R、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる群より独立して選択され、ここでそれぞれのRは、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、水素以外のRは1から18個の炭素原子、および任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する;
の各々が、二価の酸素(−O−)もしくは硫黄(−S−)から独立して選択され;
の各々が、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは構造−NR−〔式中、Rは独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のRは1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素から独立して選択され、ただしAが酸素もしくは硫黄のとき、下のAは−NR10−であるという条件である;
の各々が、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR10−〔式中、それぞれのR10は独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR10は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、Aが−NR−であるという条件である;
の各々が、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR11−〔式中、それぞれのR11は独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR11は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、下のAが−NR12−であるという条件である;
の各々が、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)、もしくは、構造−NR12−〔式中、R12は、水素、またはアルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、水素以外のR12は1から18個の炭素原子を独立して含有する〕の置換窒素より独立して選択され、ただし、Aが酸素もしくは硫黄の時、Aが−NR11−であるという条件である;そして
下付き文字m、n、x、y、およびzが独立して整数であり、ここでmが1から6であり、nが1から6であり、xが1から6であり、yが0もしくは1であり、そしてzが0もしくは1であり、ただしy+zが1と等しいかもしくは1より大きいという条件である〕
である、請求項1のエポキシシラン。
【請求項3】
が酸素もしくは硫黄であり、Aが−NH−であり、mが1であり、xが1から6であり、yが0であり、zが1である、請求項2に記載のエポキシシラン。
【請求項4】
が、24個までの炭素原子、ならびに任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子を含有する二価のもしくは多価のヒドロカルビル基であって、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、およびアラルキル基の少なくとも一つの水素の置換によって誘導される、請求項2に記載のエポキシシラン。
【請求項5】
が酸素もしくは硫黄であり、AおよびAのそれぞれが−NH−であり、Aが硫黄もしくは−NR12であり、ここでR12が、1から18個の炭素原子を含有する、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキル、もしくは−R−SiX基であり、xが1から6であり、yが1であり、zが1であり、mが1から6であり、そしてnが1から6である、請求項2に記載のエポキシシラン。
【請求項6】
およびAが酸素であり、Aが−NH−であり、xが1から6であり、yが1であり、zが0であり、mが1から6であり、そしてnが1から6である、請求項2に記載のエポキシシラン。
【請求項7】
、R、およびRのそれぞれが水素であり、R、R、およびRのそれぞれが同じかもしくは別の二価のヒドロカルビル基であり、AおよびAが酸素であり、Xが−ORであり、ここでRがアルキルであり、XおよびXのそれぞれが独立してRもしくは−ORであり、ここでRがアルキルであり、xが1であり、そしてnが1である、請求項3に記載のエポキシシラン。
【請求項8】
、R、およびRのそれぞれが同じかもしくは別の二価のアルキレン基であり、そしてRおよびRが独立してメチルもしくはエチルである、請求項7に記載のエポキシシラン。
【請求項9】
およびXのそれぞれが同じかもしくは別の−OR基である、請求項8に記載のエポキシシラン。
【請求項10】
、R、およびRのそれぞれが水素であり、R、R、およびRのそれぞれが同じかもしくは別の二価のヒドロカルビル基であり、AおよびAが酸素であり、Xが−ORであり、ここでRがアルキルであり、そしてXおよびXのそれぞれが独立してRもしくは−ORであり、ここでRがアルキルであり、xが1であり、mが1であり、そしてnが1である、請求項5に記載のエポキシシラン。
【請求項11】
、R、およびRのそれぞれが同一かもしくは別のアルキレン基であり、そしてRおよびRが独立してメチルもしくはエチルである、請求項10に記載のエポキシシラン。
【請求項12】
およびXのそれぞれが同一かもしくは別の−OR基である、請求項11に記載のエポキシシラン。
【請求項13】
、R、およびRのそれぞれが水素であり、R、R、およびRのそれぞれが同じかもしくは別の二価のヒドロカルビル基であり、Xが−ORであり、ここでRがアルキルであり、そしてXおよびXのそれぞれが独立してRもしくは−ORであり、ここでRがアルキルであり、xが1であり、mが1であり、そしてnが1である、請求項6に記載のエポキシシラン。
【請求項14】
、R、およびRのそれぞれが同一かもしくは別のアルキレン基であり、そしてRおよびRが独立してメチルもしくはエチルである、請求項13に記載のエポキシシラン。
【請求項15】
およびXのそれぞれが同一かもしくは別の−OR基である、請求項14に記載のエポキシシラン。
【請求項16】
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;3−トリメトキシシリルプロピルカルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルノナデシルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]オキシラニルエチルエステル;カルバミン酸1,1−ジメチルエチル3−[[[[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]オキシラニルフェニルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−3−フェニル−2−プロペニルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン−9−イルエステル;[3−(エトキシジメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(ジエトキシメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,3,5−ベンゼントリイルトリス(メチレン)エステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,3,5−ベンゼントリイルトリス(メチレン)エステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸オキシラニルフェニルメチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル−1,1−ジメチルエチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニル1,1−ジエチルエチルエステル;[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸オキシラニルエチルエステル;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項17】
(3,4−ビス−オキリラニルメトキシカルボニルアミノ−フェニル)−カルバミン酸2−(ジメトキシ−メチル−シラニル)エチルエステル;[3−(ジエトキシ−メチル−シラニル)−プロピル]−カルバミン酸3−オキシラニルメチルカルバモイルオキシ−2−オキシラニルメチルカルバモイルオキシメチル−プロピル−エステル;[3−(トリエトキシラニル)−プロピル]−カルバミン酸2−オキシラニルメトキシ−1−オキシラニルメトキシメチル−エチルエステル;(3−トリエトキシシラニル−プロピル)−カルバミン酸3−オキシラニルメトキシ−2−オキシラニルメトキシメチル−2−(3−トリメトキシシラニル−プロピルカルバモイルオキシメチル)−プロピルエステル;および(2−{2−[2−(2−オキシラニルメトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−3−[(3−トリエトキシシラニル−プロピルカルバモイル)−メトキシ]−プロポキシ}−エチル)−カルバミン酸オキシラニルメチルエステル;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項18】
硬化性組成物であって、請求項1に記載される少なくとも一つのエポキシシランと、充填剤、接着促進剤、水性溶媒、有機溶媒、湿潤剤、界面活性剤、有機樹脂塗膜形成要素、他のオルガノシラン、サイズ剤、揺変剤、帯電防止剤、紫外線安定剤、湿気除去剤、金属酸化物、触媒、酸性pH調節剤からなる群より選択される少なくとも一つの付加的な成分とを含有する、硬化性組成物。
【請求項19】
前記充填剤が、化学的不活性無機充填剤、表面反応性無機充填剤、吸着性無機充填剤、および吸着性有機充填剤から選択される少なくとも一つの微粒子物質である、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
コーティング剤、金属表面処理剤、化成被膜剤、ゾル−ゲル、接着剤、ゴム、ガラス繊維サイズ剤、埋め込み用樹脂として配合される、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
エポキシアルコールとイソシアネートとを反応させるステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項22】
エポキシアルコールとポリイソシアネートとを反応させてエポキシシアネートを提供し、そして前記エポキシシアネートと二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項23】
前記ポリイソシアネートが異なる反応性のイソシアネート基を持つ、請求項22に記載のエポキシシラン。
【請求項24】
前記ポリイソシアネートがTDI、IPDI、およびTMDIからなる群より選択される、少なくとも一つのジイソシアネートである、請求項23に記載のエポキシシラン。
【請求項25】
ポリイソシアネートとアミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとを反応させイソシアナトシランを提供し、そして前記イソシアナトシランとエポキシアルコールとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項26】
前記ポリイソシアネートが異なった反応性のイソシアネート基を持つ、請求項25に記載のエポキシシラン。
【請求項27】
前記ポリイソシアネートがTDI、IPDI、およびTMDIからなる群より選択される、少なくとも一つのジイソシアネートである、請求項26に記載のエポキシシラン。
【請求項28】
エポキシアルコールとエチレン性不飽和イソシアネートとを反応させエチレン性不飽和エポキシドを提供し、そして前記エチレン性不飽和エポキシドとヒドリドアルキルアルコキシシランとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項29】
ハロカルビルシランとシアネートとをエチレン性不飽和アルコールの存在下で反応させエチレン性不飽和アルコキシシランを提供し、そして前記エチレン性不飽和アルコキシシランをエポキシ化してエポキシシランを提供するステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項30】
ハロカルビルシランとシアネートとをエチレン性不飽和アルコールの存在下で反応させエチレン性不飽和アルコキシシランを提供し、そして前記エチレン性不飽和アルコキシシランをエポキシ化してエポキシシランを提供するステップを含有するプロセスによって作製される、請求項1に記載のエポキシシラン。
【請求項31】
エポキシアルコールとイソシアナトシランとを反応させることを含有する、請求項1のエポキシシランを作成するプロセス。
【請求項32】
エポキシアルコールとポリイソシアネートとを反応させてエポキシシアネートを提供し、そして前記エポキシシアネートと二級アミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有する、請求項1に記載のエポキシシランを作製するプロセス。
【請求項33】
前記ポリイソシアネートが異なった反応性のイソシアネート基を持つ、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記ポリイソシアネートがTDI、IPDI、およびTMDIからなる群より選択される、少なくとも一つのジイソシアネートである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
ポリイソシアネートとアミノアルコキシシランおよび/もしくはメルカプトアルコキシシランとを反応させイソシアナトシランを提供し、そして前記イソシアナトシランとエポキシアルコールとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有する、請求項1に記載のエポキシシランを作製するプロセス。
【請求項36】
前記ポリイソシアネートが異なった反応性のイソシアネート基を持つ、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記ポリイソシアネートがTDI、IPDI、およびTMDIからなる群より選択される、少なくとも一つのジイソシアネートである、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
エポキシアルコールとエチレン性不飽和イソシアネートとを反応させエチレン性不飽和エポキシドを提供し、そして前記エチレン性不飽和エポキシドとヒドリドアルキルアルコキシシランとを反応させエポキシシランを提供するステップを含有する請求項1に記載のエポキシシランを作製するプロセス。
【請求項39】
ハロカルビルシランとシアネートとをエチレン性不飽和アルコールの存在下で反応させエチレン性不飽和アルコキシシランを提供し、そして前記エチレン性不飽和アルコキシシランをエポキシ化してエポキシシランを提供するステップを含有する請求項1に記載のエポキシシランを作製するプロセス。



【公表番号】特表2010−520952(P2010−520952A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553587(P2009−553587)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/003049
【国際公開番号】WO2008/112150
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】