説明

エポキシブタノール中間体の製造方法

式(I)(式中、Halがフルオロ又はクロロであり、R及びRが、互いに独立して、水素又はHalである)で表される化合物の製造方法を開示し;この方法において、式(II)で表される化合物を、対応するアルキル、フルオロアルキル又はアリールスルホン酸エステルに変換し、極性非求核性溶媒中の適切なクラウンエステル存在下で、−10〜50℃の温度でアルカリ金属亜硝酸塩と反応して、式(I)で表される化合物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、(1R,2R)−4−[2−[2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル]−チアゾール−4−イル]−ベンゾニトリル又は、特に、(1R,2R)−4−[2−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル]−チアゾール−4−イル]−ベンゾニトリル(BAL4815)等のアゾール系抗真菌化合物の合成において有用である(2R,3R)−3−(ハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール誘導体の製造方法、並びに、前述の方法を用いたかかるアゾール系抗真菌化合物の製造方法に関する。
【0002】
(2R,3R)−3−(ハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール誘導体の調製方法は、当技術分野において公知である。公知の方法は、通常、かなり高価であるR−乳酸又はD−(−)−乳酸から開始する。例えば、米国特許出願2003/0236419 A1は、(2R,3R)−3−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの製造方法を開示しており、ここでは、D−メチル乳酸塩は、(2R)−2’,4’−ジフルオロ2−ヒドロキシ−プロピオフェノンに変換され、次いで、これをトリメチルオキソスルホニウムブロミド/水素化ナトリウムと反応させることにより、(2R,3R)−3−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールと対応する(2R,3S)−化合物の12:1混合物が得られる。同様の反応が、(2R,3R)−3−(2’,5’−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの製造方法に関して国際公開公報99/45008に記載されている。
【0003】
一方、国際公開公報9952840 A1は、(2R,3R)−3−(2’,4’−ジハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール誘導体のための基本的な出発物質として、R−乳酸の代わりに、十分安価であるS−乳酸(L−(+)−乳酸)の使用を開示する。しかしながら、前記炭素原子での所望のR−配置を達成するために、前記方法の工程中に、ブタノール骨格の炭素原子2の配置を変化させる必要がある。このことは、周知の光延(Mitsunobu)反応を介して、国際公開公報9952840 A1にしたがって達成され、ここで、中間体(2S,3R)−3−(2’,4’−ジハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール誘導体を、p−ニトロ安息香酸と、トリフェニルホスフィン及びジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)の存在下で反応させて、(2R,3R)−3−(2’,4’−ジハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノール p−ニトロ安息香酸エステルが得て、次いで、これを鹸化して、対応するブタノール誘導体にする。
【0004】
しかしながら、前記光延反応工程は、いくつかの欠点を有し、特に、技術的スケールに適用される場合にそうである。前記反応工程は、所望の(2R,3R)誘導体の不満足な収率しか提供せず、許容し得ない量の廃棄物を生成し、そして前記反応工程は、仮にそれを用いるとしても、生成物の精製を伴う多くの問題がより大きなスケールで生じるためにスケールを大きくすることは困難なだけである。
【0005】
特に、(2R,3R)−3−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの製造との関連で国際公開公報9952840 A1に開示されている、伝統的光延条件を個々の2’,5’−ジフルオロ類似物に適用した場合、わずか約50%の不満足な収率しか得ることができない。さらに、観察されるエナンチオマー過剰率はわずか約90%であり、したがって、逆変換は完全には達成されない。
【0006】
しかしながら、(2R,3R)−3−(ハロゲノフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの製造において、光延工程の特定の選択肢の代わりのものを使用することにより、十分優れた収率が提供され、前記反応工程に関連する欠点を有しないことが見出された。
【0007】
したがって、本発明の第1の主題は、式(I):
【0008】
【化20】

【0009】
(式中、
Halは、フルオロ又はクロロを表し、
及びRは、互いに独立して、水素又はHalの意味の一つを表す)で表される化合物の製造方法であって;
この方法において、式(II):
【0010】
【化21】

【0011】
で表される化合物を、対応するアルキル、フルオロアルキル又はアリールスルホン酸エステルに変換し、次いで、これを、極性非求核性溶媒中、−10℃〜50℃にて、適切なクラウンエステルの存在下、アルカリ金属亜硝酸塩と反応させることにより、式(I)で表される化合物を得る、方法である。
【0012】
適切なアルキル又はアリールスルホン酸エステルとしては、例えば、p−トルエンスルホン酸エステル、メチルスルホン酸エステル、特に、トリフルオロメチルスルホン酸エステルが挙げられる。式(II)で表される化合物の対応するアルキル又はアリールスルホン酸エステルへの変換は、例えば、式(II)で表される化合物を、アルキル又はアリールスルホン酸ハロゲン化物、例えば、塩化物、又は好ましくは無水物と、例えば、ピリジンのような塩基の存在下、好ましくは、−10℃〜50℃の間、より好ましくは−10℃〜10℃の間、例えば、0℃にて、例えば、塩化メチレンのような非極性溶媒中で反応させることによる、それ自体が公知である方法で達成することができる。アルキル又はアリールスルホン酸誘導体、例えば、それぞれのハロゲン化物又は無水物、特に、トリフルオロメチルスルホン酸無水物と、式(II)で表される化合物との比率は、好ましくは、1:1〜3:1、より好ましくは、1.5:1〜2.5:1である。塩基、例えば、ピリジンは、アルキル又はアリールスルホン酸誘導体とほぼ同量で使用される。好適な反応時間は、約15分〜数時間、例えば、10時間、好ましくは、1〜3時間の範囲である。
【0013】
反応生成物の任意の精製及び/又は溶媒の除去後、式(II)で表される化合物のアルキル、フルオロアルキル又はアリールスルホン酸エステルを、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン又はホルムアミド等の極性非求核性溶媒中に溶解し、次いで、過剰量のアルカリ金属亜硝酸塩、例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム亜硝酸塩と、触媒として適切なクラウンエーテルの存在下で反応させる。
【0014】
好ましくは、2〜10倍過剰量のアルカリ金属亜硝酸塩を使用し、より好ましくは4〜6倍過剰量を使用する。適切なクラウンエーテルは、主としてどのアルカリ金属亜硝酸塩を適用するのかに応じて、当業者によって容易に選択されることができ、例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテルが挙げられる。18−クラウン−6−エーテルが、特に亜硝酸カリウムと使用する場合に好ましい。上記したように、クラウンエーテルは、触媒量で、例えば、アルカリ金属亜硝酸塩のモル量の1000分の1〜10分の1の範囲の量で使用される。反応は、好ましくは、約10〜30℃、より好ましくは約15〜25℃、例えば、室温にて実施する。
【0015】
反応完了後、得られた混合物を、好ましくは水酸化ナトリウム希釈水溶液で、好ましくは約1時間の間処理する。次いで、この化合物を好ましくは、適当な溶媒又は溶媒混合物で抽出する。使用する溶媒としては、例えば、酢酸エチル、直鎖状又は分枝鎖状C5−8アルカン、酢酸メチル、特に好ましいのが酢酸エチルであり、酢酸プロピル、並びに、そのアルキル基が1〜5個の炭素原子を含む対称性又は非対称性ジアルキルエーテルが挙げられる。抽出及び適当な洗浄(食塩水による)後、化合物(I)は、必要とされるさらなる精製を行わずに、直接そのまま使用することができる。
【0016】
本発明の方法の特に好ましい実施態様としては、したがって、式(II)で表される化合物をトリフルオロメチルスルホン酸エステルに変換し、次いでさらに処理する、上記方法が挙げられる。さらに好ましいのは、アルカリ金属亜硝酸塩がナトリウム又は、より好ましくは、カリウム亜硝酸塩である、本発明の方法であり、同様に、亜硝酸カリウムが使用される場合に、クラウンエステルは18−クラウン−6−エステルであり、亜硝酸ナトリウムが使用される場合に、15−クラウン−5−エーテルである、本発明の方法である。上記方法のさらに好ましい実施態様において、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン又はホルムアミド、特にDMFが、あるいは前記溶媒の適切な混合物が、極性非求核性溶媒として使用される。
【0017】
さらに好ましい実施態様は、式(I)で表される化合物の製造のための本発明の方法であり、ここでHalがフルオロを表し、R及びRの一方が水素を表し、もう一方がフルオロを表し、特に、Rがフルオロを表し、Rが水素を表す場合である。例えば、(2R,3R)−3−(2’,5’−ジフルオロフェニル)−3,4−エポキシ−2−ブタノールを製造する場合、約80%以上の収率を本発明の方法により達成することができ、その他のジアステレオ異性体は検出されないのに対して、標準的な光延反応の収率はすでに上記したように約50%にすぎない。
【0018】
式(II)で表される化合物は、通常、以下の反応スキーム1にしたがって得ることができる:
【0019】
【化22】

【0020】
式(VI)で表される化合物は、例えば、Halが、フルオロ、又はクロロ、より好ましくはフルオロを表し、R及びRが、互いに独立して、水素又はフルオロ、又はクロロ、より好ましくはフルオロを表し、Xがヨード又は好ましくはブロモである式(V)で表される化合物を、マグネシウムと、THFのような適切な有機溶媒中で、式(V)で表される化合物のマグネシウム臭化物、すなわち、XがMgBrを表す前記化合物に対するそれ自体公知の方法で反応させることにより製造することができる。この化合物を次いで、PrGが、例えば、ベンジル、トリチル、メトキシメチル、1−エトキシ−エトキシル、メトキシエトキシメチル、SiMe、SiEt、SiMetBu、SiPhMe、COMe、COEt、COiPr、COBu、COsecBu、COtBu、又は、特に、2−テトラヒドロピラニル等のヒドロキシル保護基を表し、Rがメチル又はエチルを表し、Rがメチル、エチル又はメトキシ(Weinrebアミド)を表すか、又はR及びRが、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素又は酸素から選択される0個又は1個又は2個のいずれかのさらなるヘテロ原子を有する4員〜6員の例えば、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペラジン又は、特に、モルホリン残基のような複素環基を表す式(III)で表される化合物とさらに反応させる。式(III)で表される好ましい化合物は、(2S)−1−モルホリン−4−イル−2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オンである(これは、例えば、Chem.Pharm.Bull.41,1035,1993に記載されるようにして得ることができる)。反応は好ましくは、−10℃〜室温、すなわち、20℃〜25℃の間の温度にて、約1〜10時間、好ましくは3〜8時間にわたり実行する。この反応のための好ましい溶媒はTHFである。
【0021】
式(VI)で表される化合物は、例えば、式(VI)で表される化合物を、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミドと、好ましくは、式(VI)で表される化合物1モルあたり1〜2モル当量で、THF、ジアルキルエーテル、ジオキサン、DMF又はDMSOのような適切な溶媒中において反応させることにより、式(VII)で表される化合物に変換することができる。適切な反応温度は、約−70℃〜50℃の範囲である。反応時間は、通常、1〜24時間、好ましくは1〜15時間の間である。
【0022】
式(VII−a)で表される化合物は、式(VII)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物1モルあたり約0.1〜1モルのピリジン−p−トルエンスルホネートと、溶媒としてアルコール、好ましくは、メタノール、エタノール又はプロパノール中、約1〜24時間、好ましくは1〜10時間、0〜60℃の範囲の温度、好ましくは30℃にて反応させることにより得ることができる。
【0023】
式(II)で表される化合物は、周知のシャープレスエポキシ化経路、すなわち、式(VII−a)で表される化合物を、式(VII−a)で表される化合物1モルあたり約1〜5モルのt−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)と、式(VII−a)で表される化合物1モルあたり約0.1〜1、好ましくは約0.5モルのチタン(IV)イソプロポキシド(TIPO)及び0.1〜1、好ましくは0.3モルのジアルキル L(+)−酒石酸塩、好ましくはL(+)−ジエチル酒石酸塩の存在下で反応させることによって、式(VII−a)で表される化合物からエナンチオマー選択的に得ることができる。前記反応のための好ましい溶媒としては、クロロホルム及び特にメチレンクロリドが挙げられ、それに対して、モレキュラーシーブ粉末(約3〜4オングストローム)を添加する。適切な反応温度は、−30〜室温(20〜25℃)、好ましくは約−25〜約10℃の範囲であり、適切な反応時間は、5〜20時間、例えば、8〜15時間の範囲である。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、式(IV−a):
【0025】
【化23】

【0026】
(式中、PrGはヒドロキシル保護基を表す)で表される化合物の製造方法であって、
この方法において、1,4−ジフルオロベンゼンを、塩基存在下、式(III−a):
【0027】
【化24】

【0028】
(式中、
PrGは、式(IV−a)中と同じ意味を有し、
は、メチル又はエチルを表し、且つ
は、メチル、エチル若しくはメトキシを表すか、又は、
及びRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素又は酸素から選択される0個又は1個又は2個のいずれかのさらなるヘテロ原子を有する4員〜6員の複素環基を表す)で表される化合物と反応させる、上記方法にも関する。
【0029】
PrG、R及びRは、すでに上記したものと同じ意味を有し、最も好ましくは、PrGは、テトラヒドロピラン−2イル残基を表し、R及びRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン−4−イル基を表す。
【0030】
前記反応において使用するための適切な塩基としては、アミド塩基のような強塩基、例えば、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、ナトリウムヘキサメチルジシラザン(NaHMDS)又はカリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS)、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)、ブチルリチウム(BuLi)、又はナトリウム tert−ブチレート(KOtBu)等並びにそれらの混合物を挙げることができ、最も好ましい塩基はLDAである。
【0031】
溶媒として適切なのは、通常、例えば、THF又はジオキサンのような非プロトン性の不活性溶媒である。
【0032】
式(III)で表される化合物は、好ましくは、前記方法の間で、比較的低温にて添加され、反応温度は、好ましくは、−78℃〜15℃の範囲である。特に適切な反応温度は約10℃である。
【0033】
上記方法は、以下の反応スキーム1−aの式(II−b)で表される(2S,3R)−3−(2’,5’−ジフルオロ)−3,4−エポキシ−2−ブタノールの製造のために特に適切であり、そして、1,4−ジフルオロベンゼンから開始することが可能になり、上記したグリニャール経路を用いた場合にはそうであったように、事前に1−ブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンに変換する必要はない。
【0034】
【化25】

【0035】
この反応は、出発物質として1,3−ジフルオロベンゼンを使用することはできず、なぜならば、この化合物を用いた場合、アルキル化は、量的にほとんど2位、すなわち2つのフルオロ置換基の間で行われるからである。
【0036】
(1R,2R)−4−[2−[2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル]−チアゾール−4−イル]−ベンゾニトリル又は、特に、(1R,2R)−4−[2−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−プロピル]−チアゾール−4−イル]−ベンゾニトリル等のアゾール系抗真菌化合物の合成のためには、式(I)で表される中間体はさらに処理されなければならない。
【0037】
本発明の方法の特別の実施態様において、請求項1の方法で得られる式(I)で表される化合物はしたがって、塩基存在下、1,2,4−トリアゾールと反応させることにより、式(VIII):
【0038】
【化26】


(式中、Hal、R及びRは、式(I)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得て、次いで、前記化合物を、式(IX):
【0039】
【化27】


(式中、Hal、R及びRは、式(I)中と同じ意味を有する)で表される化合物に変換する。
【0040】
この反応は、例えば、国際公開公報99/45008に記載されている。式(I)で表される化合物は、例えば、2〜5倍過剰量の1,2,4−トリアゾールと、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、無水のDMF又はDMSOのような好適な溶媒中、50〜100℃の間の温度にて、約1〜12時間、好ましくは、2〜5時間反応させる。得られる式(VIII)で表される化合物は、場合により精製し、次いで、例えば、メチレンクロリドのような好適な溶媒中、メチルスルホニウムクロリドと、ピリジン又はトリメチルアミンのような有機塩基の存在下、0.5〜5時間、−10〜10℃の温度にて、例えば、約0℃にて反応させる。次いで、NaOH又はNaOMeのような塩基を添加し、エポキシ環形成を実行し、エポキシ生成物を好ましくは精製する。
【0041】
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、式(IX)で表される化合物をさらに、式(X):
【0042】
【化28】

【0043】
(式中、Hal、R及びRは、式(IX)中と同じ意味を有する)で表される化合物に変換し、次いで、式(X)で表される前記化合物を、ジチオリン酸O,O−ジエチルエステル又は硫化アンモニウムと反応させることにより、式(XI):
【0044】
【化29】

【0045】
(式中、Hal、R及びRは、式(X)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得て、これを、2−ブロモ−4’−シアノ−アセトフェノンと反応させて、式(XII):
【0046】
【化30】

【0047】
(式中、Hal、R及びRは、式(XI)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得る。
【0048】
上記反応工程のための適切なパラメーターについては、例えば、国際公開公報第99/45008号により詳細に記載されている。式(X)で表される化合物を、ジチオリン酸O,O−ジエチルエステル及び水又はジチオリン酸O,O−ジエチルエステル、水及びイソプロパノールと、例えば、90℃〜150℃の間の温度にて、4〜8時間反応させることにより、式(XI)で表される化合物が得られ、次いで、前記化合物を、2−ブロモ−4’−シアノアセトフェノンと、室温〜約80℃の間の温度にて、アセトニトリル、エタノール又はメタノール中で、例えば、2〜24時間反応させることにより、式(XII)で表される化合物が得られる。所望であれば、公知の手順による塩形成を続けてもよい。エタノール等の薬学的に許容しうる溶媒と共に水和物又は溶媒和物も、例えば、結晶化中に得ることができる。
【0049】
本発明の好ましい特定の態様は、式(XII−a):
【0050】
【化31】

【0051】
で表される化合物又は、その薬学的に許容しうる塩、水和物又は溶媒和物の製造における本発明の方法の使用である。
【0052】
実施例1
(2S)−1−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オン
1,4−ジフルオロベンゼン(1.8g、15.8mmol)及び(2S)−1−モルホリン−4−イル−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オン(3g、10.5mmol)を、乾燥THF(15ml)中に溶解した。混合物を0℃に冷却し、次いでリチウムジイソプロピルアミン(2M THF/ヘプタン溶液、7.9ml、15.8mmol)を20分間かけて滴下した。混合物をさらに2時間、0℃にて攪拌した。次いで、飽和塩化アンモニウム溶液を用いて、反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 50:1〜30:1)。HPLC純度96.2%の、1.31gの黄色結晶物質(収率44.8%)を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2
1(S)−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−メチル−アリルオキシ]−テトラヒドロ−ピラン
メチルトリフェニルホスホニウムヨージド(11.1g、27.7mmol)を、乾燥THF(100ml)中に懸濁した。反応混合物を氷浴中で冷却した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(1M THF溶液、30ml)を、20℃以下の温度を維持するような速度で添加した。反応混合物を15℃で3時間攪拌し、次いで、−78℃で冷却した。次いで、(2S)−1−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オン(5.0g、15.7mmol、THF(20ml)溶液中)を、−70℃以下の温度を維持するような速度で、先の混合物に添加した。混合物をこの温度において5分間攪拌し、次いで10℃にて17時間攪拌した。
【0055】
次いで、酢酸エチル(5ml)及びヘキサン(350ml)を添加した。懸濁液を15分間攪拌した(トリフェニルホスフィンオキシドの沈殿)。固体を濾過した。濾過で得られた個体をヘキサン(60ml)で洗浄した。濾液を1:1の水:メタノール混合物で2回洗浄(2×100ml)し、塩水(100ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。HPLC純度99.9%、eeが99.2%の、3.45gの無色の油(収率69%)を得た。
【0056】
【表2】

【0057】
実施例3
2(S)−3−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ブト−3−エン−2−オール
1(S)−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−メチル−アリルオキシ]−テトラヒドロ−ピラン(5.79g、20.4mmol))をメタノール(40ml)中に溶解した。ピリジニウムトルエンスルフォナート(2.61g、10.4mmol)を添加し、混合物を35℃にて12時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を酢酸エチル(40ml)中に溶かし固体を濾過により除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 200:1〜50:1)。HPLC純度96.2%、eeが99.2%の、3.45gの黄色の油(収率81.4%)を得た。
【0058】
【表3】

【0059】
実施例4
1(R)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール
L−(+)−酒石酸ジエチル(7.9g、38.2mmol)を、−30℃にて乾燥塩化メチレン(250ml)中に溶解し、モレキュラーシーブ4Aを添加した(8g)。チタンテトライソプロポキシド(TIPO)(10.8g、36.5mmol)を混合物へ加えた。混合物を30℃にて1時間攪拌した。次いで、乾燥塩化メチレン(50ml)中に溶解した2(S)−3−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ブト−3−エン−2−オール(7g、33.2mmol)をゆっくりと添加した。混合物を30℃にて1時間攪拌した。次いで、Tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)(デカン中の5.5M溶液、13.2ml、73.1mmol)を−25℃にて滴下した。混合物を−25℃にて12時間攪拌した。反応混合物を10℃に加温し、硫酸鉄(18g)及び酒石酸(18g)の水(300ml)溶液を添加した。混合物を10℃にて30分間攪拌した。相を分離し、水相を、塩化メチレン(3×250ml)を用いて3回抽出した。あわせた有機相に対し、1M 水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を添加し、混合物を1時間攪拌した。相を分離し、水相を、塩化メチレン(2×250ml)を用いて2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 20:1)。HPLC純度82%の、6.55gの黄色の油(収率82%)を得た。
【0060】
【表4】

【0061】
実施例5
1(S)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール
1(R)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール(500mg、2.34mmol;HPLC純度93%)を、乾燥塩化メチレン(25ml)中に溶解した。乾燥ピリジン(0.38ml;4.67mmol)を添加し、反応混合物を0℃に冷却した。次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.88ml、5.14mmol)を滴下した。反応混合物を0℃にて15分間攪拌した。次いで、5滴の5%硫酸水溶液(5ml)を添加し、相を分離した。水相を酢酸エチルにて3回抽出した(3×20ml)。合わせた有機相をまず2M塩酸水溶液(20ml)、飽和重炭酸塩(20ml)、及び最後に塩水(20ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗油(0.766g)を続く変換のために使用した。
【0062】
【表5】

【0063】
先に調製したトリフラート(766mg、2.31mmol)を、DMF(20ml、使用前に蒸留した)中に溶解した。亜硝酸カリウム(981mg、11.5mmol)及び18クラウン6(37mg、0.41mmol)を添加し、混合物を18℃にて半時間攪拌した。反応混合物をエタノール(5ml)で希釈した。水酸化ナトリウム(138mg、3.46mmol)及び水(5ml)を添加した。混合物を18℃にて1時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチルを用いて3回抽出した(3×20ml)。あわせた有機相をまず塩水(10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 20:1)。305mgの淡色黄色油(収率65%)を得た。
【0064】
【表6】

【0065】
実施例6
(2R,3R)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル−ブタン−2,3−ジオール
1,2,4−トリアゾール(274mg、3.89mmol)をDMSO(3ml)中に溶解する。水素化ナトリウム(124mg、パラフィン中の60%懸濁液、3.24mmol)を添加し、反応混合物を70℃にて1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、DMSO(2ml)中に溶解した1(S)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール(275mg、1.3mmol)を10分間にわたりゆっくりと添加した。次いで反応混合物を70℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発した。残留物を酢酸エチル(10ml)及び水(5ml)中に溶かした。相を分離した。水相を酢酸エチルにて3回抽出した(3×5ml)。合わせた有機相を水で2回洗浄した(2×5ml)。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を酢酸エチル(16ml)中に溶解した。シュウ酸(164mg、1.3mmol)を添加し、溶液を30分間攪拌した。混合物を0℃にて一晩保存した。結晶性の(2R,3R)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ブタン−2,3−ジオールオキサラートを濾過した。結晶をヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥した。所望の化合物を、白色粉末(337mg)として得た;収率66.7%、95%を上回る光学純度(NMRにおいてその他の異性体は見られない)。
【0066】
【表7】

【0067】
実施例7
(2(R),3(S))−1−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−オキシラニルメチル]−1H−[1,2,4]トリアゾール
(2R,3R)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル−ブタン−2,3−ジオール(324mg、1.20mmol)を塩化メチレン(13ml)中に溶解した。トリエチルアミン(0.59ml、4.2mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化メチレン(4ml)中に溶解したメタンスルフォニルクロリド(0.21ml、2.72mmol)を添加した。反応混合物を0℃にて4時間攪拌した。次いで、6M水酸化ナトリウム溶液(0.98ml)を添加した。反応混合物を室温にて一晩攪拌した。溶媒を蒸発した。残留物を酢酸エチル(15ml)及び水(8ml)中に溶かした。相を分離した。水相を酢酸エチルにて3回抽出した(3×10ml)。合わせた有機相を水で2回洗浄した(2×5ml)。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。粗化合物をクロマトグラフィーにかけ(溶離液:酢酸エチル/石油エーテル:1:2)、所望の化合物を白色結晶(116mg)として得た;収率38.5%。HPLC純度:99.5%、ee:99.99%。
【0068】
【表8】

【0069】
実施例8
1(S)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール
DEAD(870mg、2mmol)及びp−ニトロ安息香酸(337mg、2mmol)を乾燥THF(3ml)中に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。次いで、1(R)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール(100mg;0.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(524mg、2mmol)を乾燥THF(10ml)中に溶解したものを、10℃以下の温度を維持するような速度で、滴下した。次いで混合物を、20℃にて20時間反応させ、反応終了した。溶媒の半分を減圧下で除去した。反応混合物を、ジエチルエーテル(80ml)を用いて希釈し、飽和塩化アンモニウム溶液を用いて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール(25ml)中に溶解し、炭酸カリウム(450mg)を用いて処理した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(30ml)にて希釈した。反応混合物を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。あわせた有機相を水(2×30ml)及び塩水(2×30ml)を用いて洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。粗残留物をクロマトグラフィーにより精製した(石油エーテル/酢酸エチル 20:1)。53mg(収率:53%)の所望の1(S)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノールを、無色油状物質として得た。HPLC純度は76%であった。
【0070】
反応におけるエナンチオ特異性を調べるために、少量の部分をトリアゾロ-ジオール誘導体へと変換した。
【0071】
実施例9
(2R,3R)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル−ブタン−2,3−ジオール
1,2,4−トリアゾール(7mg、0.1mmol)をDMF(0.5ml)中に溶解した。水素化ナトリウム(4.4mg、60%飽和パラフィン懸濁液、0.1mmol)を添加し、反応混合物を70℃へと1時間加熱した。反応混合物を室温へと冷却し、1(S)−[2(S)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−オキシラニル]−エタノール(5mg、0.025mmol、実施例8より)DMF(0.5ml)溶液をゆっくりと添加した。反応混合物を次いで70℃へと3時間加熱した。溶媒を蒸発した。残留物を、酢酸エチル(5ml)及び水(3ml)に溶かした。相を分離した。水相を、酢酸エチル(3×5ml)を用いて3回抽出した。合わせた有機相を水で2回洗浄した(2×5ml)。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除き、溶媒を減圧下で除去した。5mgの(2R,3R)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル−ブタン−2,3−ジオールを、淡黄色の油として得た。この化合物をキラルHPLCにより分析した。ジアステレオマーの過剰量は、94%であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
Halは、フルオロ又はクロロを表し、
及びRは、互いに独立して、水素又はHalの意味の一つを表す)で表される化合物の製造方法であって、この方法において、式(II):
【化2】


で表される化合物を、対応するアルキル、フルオロアルキル又はアリールスルホン酸エステルに変換し、次いで、これを、極性非求核性溶媒中の適切なクラウンエステルの存在下、−10〜50℃の温度で、アルカリ金属亜硝酸塩と反応させて、式(I)で表される化合物を得る、方法。
【請求項2】
前記アルキル又はアリールスルホン酸エステルが、トリフルオロメチルスルホン酸エステルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アルカリ金属亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
クラウンエステルが、亜硝酸カリウムを使用する場合には、18−クラウン−6エステルであり、亜硝酸ナトリウムを使用する場合には、15−クラウン−3−エーテルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
アルカリ金属亜硝酸塩が亜硝酸カリウムである、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ホルムアミド及びそれらの混合物から選択される溶媒が、極性非求核性溶媒として使用される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
式(I)において、Halがフルオロを表し、R及びRの一方が水素を表し、もう一方がフルオロを表す、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
がフルオロを表し、Rが水素を表す、請求項7記載の方法。
【請求項9】
式(II)で表される化合物が、塩基存在下、1,4−ジフルオロベンゼンと式(III):
【化3】


(式中、
PrGは、ヒドロキシル保護基を表し、
は、メチル又はエチルを表し、且つ
は、メチル、エチル若しくはメトキシを表すか、又は、R及びRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素又は酸素から選択される0個又は1個又は2個のいずれかのさらなるヘテロ原子を有する4員〜6員の複素環基を表す)で表される化合物との反応で、式(IV):
【化4】


(式中、PrGは、式(III)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得ることを含む方法により得られる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
式(V):
【化5】


(式中、
Halは、フルオロ又はクロロを表し、
Xは、ヨード又はブロモを表し、
及びRは、互いに独立して、水素、フルオロ又はクロロを表す)で表される化合物を、まず初めに、マグネシウムと反応させ、次いで、得られた生成物を、式(III):
【化6】


(式中、
PrGは、ヒドロキシル保護基を表し、
は、メチル又はエチルを表し、且つ
は、メチル、エチル若しくはメトキシを表すか、又は、R及びRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素又は酸素から選択される0個又は1個又は2個のいずれかのさらなるヘテロ原子を有する4員〜6員の複素環基を表す)で表される化合物と反応させて、式(VI):
【化7】


(式中、
PrGは、式(III)中と同じ意味を有し、且つ
及びRは、式(V)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得る、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
及びRが、それらと結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン−4−イル残基を表す、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
式(VI):
【化8】


(式中、
Hal、R及びRは、請求項1に定義される意味の一つを有し、且つ
PrGは、ヒドロキシル保護基を有する)で表される化合物を、式(VII):
【化9】


(式中、
Hal、R及びRは、式(VI)中と同じ意味を有し、且つ
は、PrG又は水素を表す)で表される化合物に変換する工程段階を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
式(VII)で表される化合物が、Rがヒドロキシル保護基PrGを表す場合に、脱保護され、及び/又はシャープレスエポキシ化により、式(II):
【化10】


(式中、
Hal、R及びRは、式(VI)中と同じ意味を有する)で表される化合物に変換される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1で示される式(I)で表される化合物を、塩基存在下、1,2,4−トリアゾールと反応させることにより、式(VIII):
【化11】


(式中、Hal、R及びRは、式(I)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得て、次いで、この化合物を、式(IX):
【化12】


(式中、Hal、R及びRは、式(I)中と同じ意味を有する)で表される化合物に変換する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
式(IX)で表される化合物を、式(X):
【化13】


(式中、Hal、R及びRは、式(IX)中と同じ意味を有する)で表される化合物に変換し、式(X)で表される前記化合物を、ジチオリン酸O,O−ジエチルエステル又は硫化アンモニウムと反応させて、式(XI):
【化14】


(式中、Hal、R及びRは、式(X)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得て、式(XI)で表される前記化合物をさらに、2−ブロモ−4’−シアノ−アセトフェノンと反応させるて、式(XII):
【化15】


(式中、Hal、R及びRは、式(XI)中と同じ意味を有する)で表される化合物を得る、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
式(XII−a):
【化16】


で表される化合物の製造のための請求項15記載の方法。
【請求項17】
式(XII−a):
【化17】


で表される化合物、その薬学的に許容しうる塩、水和物又は溶媒和物の製造における、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項18】
式(IV−a):
【化18】


(式中、PrGはヒドロキシル保護基を表す)で表される化合物の製造方法であって、
1,4−ジフルオロベンゼンを、塩基存在下、式(III−a):
【化19】


(式中、
PrGは、式(IV−a)中と同じ意味を表し、
は、メチル又はエチルを表し、且つ
は、メチル、エチル若しくはメトキシを表すか、又は、R及びRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素又は酸素から選択される0個又は1個又は2個のいずれかのさらなるヘテロ原子を有する4員〜6員の複素環基を表す)で表される化合物と反応させる、方法。
【請求項19】
及びRが、それらと結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン−4−イル残基を表す、請求項18記載の方法。
【請求項20】
PrGが2−テトラヒドロピラニル残基を表す、請求項18又は19記載の方法。

【公表番号】特表2009−517413(P2009−517413A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542575(P2008−542575)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000671
【国際公開番号】WO2007/062542
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(501241380)バジリア ファルマスーチカ アーゲー (24)
【氏名又は名称原語表記】Basilea Pharmaceutica AG
【Fターム(参考)】