説明

エポキシ樹脂材料及び多層基板

【課題】硬化後の硬化物の熱による寸法変化を小さくすることができ、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性を高めることができるエポキシ樹脂材料、並びに該エポキシ樹脂材料を用いた多層基板を提供する。
【解決手段】本発明に係るエポキシ樹脂材料は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する。該硬化剤は、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤である。本発明に係る多層基板11は、回路基板12と、回路基板12の回路が形成された表面12a上に配置された硬化物層13〜16とを備える。硬化物層13〜16は、上記エポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、多層基板において絶縁層を形成するために用いることができるエポキシ樹脂材料に関し、より詳細には、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有するエポキシ樹脂材料、並びに該エポキシ樹脂材料を用いた多層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。
【0003】
上記樹脂組成物の一例として、下記の特許文献1には、下記式(101)で表されるシアネートエステル樹脂と、エポキシ樹脂と、高分子樹脂と、硬化触媒と、無機充填材とを含む樹脂組成物が開示されている。ここでは、熱硬化後に形成される絶縁層の熱膨張率が低く、また絶縁層表面が低粗度でありながら、十分な密着強度を有するめっき導体層を形成可能であることが記載されている。
【0004】
【化1】

【0005】
上記式(101)中、nは平均値として1〜6の数を示し、Xはグリシジル基又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、炭化水素基/グリシジル基の比率は0.05〜2.0である。
【0006】
下記の特許文献2には、エポキシ樹脂と、シアネートエステル樹脂と、グアニジン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体と、金属系硬化触媒と、無機充填材とを含む樹脂組成物が開示されている。ここでは、絶縁層が低熱膨張率であり、絶縁層表面に低粗度で均一な粗化面を形成でき、該粗化面に形成される導体層の密着性を良好にできることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008/044766A1
【特許文献2】特開2010−90237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多層プリント配線板の絶縁層には、該絶縁層に積層される他の絶縁層又は回路などと剥離が生じ難いことが強く求められる。このため、上記絶縁層では、熱により寸法が大きく変化しないことが望まれる。すなわち、上記絶縁層の線膨張率が低いことが望ましい。
【0009】
また、近年、パッケージの高密度化に伴い、該パッケージに用いられている基板がそりやすくなっている。このため、基板のそりを小さくする要求が非常に高まっている。基板のそりを十分に抑制するためには、基板上に積層される上記絶縁層の線膨張率を低くする必要がある。
【0010】
特許文献1〜2に記載のように、シアネートエステル樹脂を用いた場合には、上記絶縁層の熱による寸法変化を比較的小さくすることができ、上記絶縁層の線膨張率を比較的低くすることができる。しかしながら、近年、硬化物の熱による寸法変化をより一層小さくし、上記絶縁層の線膨張率をより一層高くすることが求められている。
【0011】
さらに、金属層が部分的に上面に設けられている回路基板などの部材上に、特許文献1〜2に記載のような従来の樹脂組成物を用いて絶縁層を形成して、更に該絶縁層の表面を粗化処理した場合に、該絶縁層の粗化処理された表面の粗度にむらが生じることがある。すなわち、金属層が設けられている部分に位置する絶縁層と金属層が設けられていない部分に位置する絶縁層とで、粗度が異なることがある。粗度にむらがあると、該絶縁層上に他の金属層を形成した場合に、該絶縁層と該他の金属層との接着強度が部分的に低くなるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、硬化後の硬化物の熱による寸法変化を小さくすることができ、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性を高めることができるエポキシ樹脂材料、並びに該エポキシ樹脂材料を用いた多層基板を提供することである。
【0013】
本発明の限定的な目的は、保存安定性を高めることができるエポキシ樹脂材料、並びに該エポキシ樹脂材料を用いた多層基板を提供することである。
【0014】
本発明のさらに限定的な目的は、硬化物の粗化処理された表面の算術平均粗さRaを200nm以下にすることができるエポキシ樹脂材料、並びに該エポキシ樹脂材料を用いた多層基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の広い局面によれば、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有し、該硬化剤が、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤である、エポキシ樹脂材料が提供される。
【0016】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のある特定の局面では、該エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記シアネート硬化剤の含有量は5重量%以上、30重量%以下である。
【0017】
本発明に係るエポキシ樹脂材料の他の特定の局面では、上記シアネート硬化剤全体100重量%中、上記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、上記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との合計の含有量が1重量%以上、70重量%以下である。
【0018】
本発明に係るエポキシ樹脂材料の別の特定の局面では、無機充填材がさらに含有される。
【0019】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに別の特定の局面では、該エポキシ樹脂材料中の全固形分100重量%中、上記無機充填材の含有量は40重量%以上、80重量%以下である。
【0020】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに別の特定の局面では、上記無機充填材はシリカである。
【0021】
本発明に係るエポキシ樹脂材料の他の特定の局面では、熱可塑性樹脂がさらに含有される。
【0022】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに他の特定の局面では、エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量が1重量%以上、30重量%以下である。
【0023】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに他の特定の局面では、上記熱可塑性樹脂はフェノキシ樹脂である。
【0024】
本発明に係るエポキシ樹脂材料の別の特定の局面では、硬化促進剤が含有されないか又は含有され、硬化促進剤が含有される場合には、該エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記硬化促進剤の含有量が1重量%以下である。
【0025】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに別の特定の局面では、該エポキシ樹脂材料は、フィルム状に成形されたBステージフィルムである。
【0026】
本発明に係るエポキシ樹脂材料のさらに別の特定の局面では、該エポキシ樹脂材料は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられるエポキシ樹脂材料である。
【0027】
本発明に係る多層基板は、回路基板と、該回路基板の表面上に配置された硬化物層とを備えており、該硬化物層が、本発明に従って構成されたエポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有し、該硬化剤が、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤であるので、硬化後の硬化物の熱による寸法変化を小さくすることができ、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るエポキシ樹脂材料を用いた多層基板を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図2】図2は、エポキシ樹脂材料を用いた硬化物層の表面における粗度を説明するための模式的な部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0031】
(エポキシ樹脂材料)
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する。該硬化剤は、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤である。上記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体は、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートエステル樹脂である。上記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートは、重合により該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートエステル樹脂を与える化合物である。
【0032】
上記組成の採用により、硬化後の硬化物の熱による寸法変化を小さくすることができ、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性を高めることができる。例えば、図2に示すように、金属層2が部分的に上面1aに設けられている回路基板1上に、エポキシ樹脂材料を用いて硬化物層3を形成して、更に硬化物層3の表面3aを粗化処理した場合に、硬化物層3の粗化処理された表面3aの粗度にむらを生じ難くすることができる。すなわち、金属層2が設けられている部分に位置する硬化物層3Aと、金属層2が設けられていない部分に位置する硬化物層3Bとで、表面3aの粗度の均一性を高めることができる。特に金属層2が銅層である場合に、上記粗度の均一性を高める効果がより一層高くなる。これは、銅層などの金属層2が触媒として作用するために、金属層2上では硬化物層3を形成する際の硬化速度が速くなることなどの影響が考えられる。
【0033】
粗化処理された表面3aの粗度の均一性が高いと、硬化物層3の粗化処理された表面3aに金属層を形成した場合に、硬化物層3と金属層との接着強度が部分的に低くなるのを抑制できる。さらに、硬化物層3の粗化処理された表面3aの粗度が均一であると、該粗化処理された表面3aにめっき処理により他の金属層を形成した場合に、必要に応じてエッチングにより部分的に他の金属層を効果的に除去することもできる。
【0034】
また、本発明によれば、硬化物層3の粗化処理された表面3a全体を、算術平均粗さRaが200nm以下である均一な粗度を有する表面にすることが容易である。
【0035】
さらに、上記組成の採用により、エポキシ樹脂材料の常温(24℃)での保存安定性も高くなる。特定の上記シアネート硬化剤の使用は、エポキシ樹脂材料の常温での保存安定性の向上に大きく寄与する。さらに、本発明のエポキシ樹脂材料では、硬化促進剤を用いなくてもよく、また硬化促進剤を用いる場合でも、該硬化促進剤の使用量を少なくすることができることからも、保存安定性をかなり高めることが可能である。なお、硬化促進剤の使用量が多いほど、エポキシ樹脂材料の保存安定性が低くなる傾向がある。また、良好なBステージフィルムを得るためには、硬化促進剤を用いることが好ましい。
【0036】
粗化処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくし、該表面の粗度の均一性をより一層高める観点からは、本発明に係るエポキシ樹脂材料は、無機充填材を含有することが好ましい。また、エポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂材料において、シリカなどの無機充填材を多く配合することにより、硬化物の熱による寸法変化をより一層小さくすることができ、すなわち線膨張率を低くすることができる。また、無機充填材を用いることにより、硬化物の粗化処理された表面により一層微細な孔を形成できる結果、該硬化物の粗化処理された表面上に設けられた金属層のピール強度をより一層高めることができる。
【0037】
また、本発明に係るエポキシ樹脂材料の使用により、例えば、図2に示す金属層2が設けられている部分に位置する硬化物層3Aと、金属層2が設けられていない部分に位置する硬化物層3Bとで、無機充填材の存在状態を均一にすることができる。
【0038】
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、フェノキシ樹脂を含有することがより好ましい。
【0039】
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、ペースト状であってもよく、フィルム状であってもよい。本発明に係るエポキシ樹脂材料は、樹脂組成物であってもよく、該樹脂組成物がフィルム状に成形されたBステージフィルムであってもよい。
【0040】
以下、本発明に係るエポキシ樹脂材料に含まれているエポキシ樹脂及び硬化剤、並びに本発明に係るエポキシ樹脂材料に用いることができる無機充填材及び熱可塑性樹脂などの各成分の詳細を説明する。
【0041】
[エポキシ樹脂]
上記エポキシ樹脂材料に含まれているエポキシ樹脂は特に限定されない。該エポキシ樹脂として、従来公知のエポキシ樹脂を使用可能である。該エポキシ樹脂は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。エポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0043】
粗化処理又はデスミア処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくする観点からは、上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。
【0044】
上記エポキシ樹脂の重量平均分子量は1000以下であることが好ましい。この場合には、エポキシ樹脂材料における無機充填材の含有量を多くすることができる。さらに、無機充填材の含有量が多くても、流動性が高いエポキシ樹脂材料である樹脂組成物を得ることができる。一方で、重量平均分子量が1000以下であるエポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂との併用により、エポキシ樹脂材料であるBステージフィルムの溶融粘度の低下を抑制できる。このため、Bステージフィルムを基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
【0045】
上記エポキシ樹脂材料に含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)100重量%中、上記エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記エポキシ樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の粗化処理された表面上に設けられた金属層のピール強度がより一層良好になる。「全樹脂成分X」とは、エポキシ樹脂と上記シアネート硬化剤と必要に応じて配合される他の樹脂成分との総和をいう。上記全樹脂成分Xには、無機充填材は含まれない。
【0046】
[硬化剤]
上記エポキシ樹脂材料に含まれている硬化剤は、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤(以下、シアネート硬化剤Aと記載することがある)である。該シアネート硬化剤Aの使用は、硬化後の硬化物の熱による寸法変化を小さくし、かつ硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性を高めるために大きく寄与する。シアネート硬化剤Aには、エポキシ樹脂材料中の全てのシアネート硬化剤が含まれる。シアネート硬化剤Aは、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートのみを含んでいてもよく、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体のみを含んでいてもよく、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との双方を含んでいてもよい。
【0047】
上記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートは、下記式(1)で表されるテトラメチルビスフェノールF型ジシアネートであることが好ましい。なお、下記式(1)において、ベンゼン環に結合している4つのメチル基の結合部位は特に限定されない。
【0048】
【化2】

【0049】
合成の簡便性の観点から、上記式(1)で表されるテトラメチルビスフェノールF型ジシアネートは、下記式(1A)で表されるテトラメチルビスフェノールF型ジシアネートであることが好ましい。
【0050】
【化3】

【0051】
上記シアネート硬化剤Aを用いれば、ベンゼン環にメチル基が4個結合しているので、硬化過程で生じたトリアジン環の周辺に立体障害が存在し、平面線形性が低下する。このため、硬化物の硬化性が良好になる。また、上記シアネート硬化剤AはビスフェノールF型骨格を有し、該ビスフェノールF型骨格は柔軟性が高い。従って、硬化物の柔軟性も高くなる結果、硬化物の粗化処理された表面上に設けられた金属層のピール強度が良好になる。
【0052】
さらに、上記シアネート硬化剤Aは、ビスフェノールF型骨格を有するので、硬化性が比較的高く、エポキシ樹脂材料の硬化を速やかに進行させることに寄与する。従って、本発明に係るエポキシ樹脂材料では、硬化促進剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。上記シアネート硬化剤Aの使用により、エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記硬化促進剤の含有量が0重量%以上、1重量%以下であっても、エポキシ樹脂材料の硬化を速やかに進行させることができる。硬化促進剤を用いないか又は硬化促進剤の使用量を少なくすることで、エポキシ樹脂材料の保存安定性をより一層高めることができる。
【0053】
一方で、従来、ベンゼン環にメチル基が結合していないビスフェノールA型ジシアネートエステル樹脂が硬化剤として知られている。この硬化剤を用いた場合には、硬化過程で生じるトリアジン環が平面線形状であるので、スタック構造をとりやすく、結晶性がよく、一般には硬化性がさほどよくない。このため、ベンゼン環にメチル基が結合していないビスフェノールA型ジシアネートエステル樹脂を用いた場合には、硬化物の粗化処理された表面に粗化むらが生じやすい傾向がある。
【0054】
また、従来、一般に、銅回路などの金属層が上面に部分的に設けられた回路基板上に、エポキシ樹脂材料を用いて硬化物層(絶縁層)を形成した場合には、金属層がある部分に設けられた硬化物層と、金属層がない部分に設けられた硬化物層とで、硬化度が異なる傾向がある。これに対して、特定の上記シアネート硬化剤Aを含む本発明に係るエポキシ樹脂材料の使用により、金属層がある部分に設けられた硬化物層と、金属層がない部分に設けられた硬化物層とで、硬化度の差異が生じ難くなる。この結果、粗化処理された硬化物層の粗度の均一性を高めることができる。例えば、硬化物の粗化処理された表面全体を、算術平均粗さRaが200μm以下である均一な粗度を有する表面にすることが容易になる。
【0055】
上記全樹脂成分X100重量%中、上記シアネート硬化剤Aの含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記シアネート硬化剤Aの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、硬化物の熱による寸法変化をより一層抑制できる。
【0056】
上記シアネート硬化剤Aの全体100重量%中、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との合計の含有量aは、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、好ましくは70重量%以下である。上記含有量aが上記下限以上であると、硬化物の粗化処理された表面の粗度の均一性がより一層高くなる。上記含有量aが上記上限以下であると、硬化後の硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。
【0057】
[無機充填材]
上記エポキシ樹脂材料は、無機充填材を含むことが好ましい。該無機充填材は特に限定されない。該無機充填材として、従来公知の無機充填材を使用可能である。上記無機充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。粗化処理された硬化物の表面の表面粗さを小さくし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の線膨張率をより一層低くすることができ、かつ粗化処理された硬化物の表面の表面粗さを効果的に小さくすることができる。シリカの形状は略球状であることが好ましい。
【0059】
上記無機充填材の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒子径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒子径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定できる。
【0060】
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤により表面処理されていることがより好ましい。これにより、粗化処理された硬化物の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつ硬化物により良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を付与することができる。
【0061】
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
【0062】
上記無機充填材の含有量は特に限定されない。上記エポキシ樹脂材料に含まれている全固形分(以下、全固形分Yと略記することがある)100重量%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。「全固形分Y」とは、エポキシ樹脂と硬化剤と無機充填材と必要に応じて配合される固形分との総和をいう。「固形分」とは、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。
【0063】
上記全固形分Y中の上記無機充填材の含有量が50重量%以上である場合に、硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。
【0064】
[熱可塑性樹脂]
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂の使用により、エポキシ樹脂材料の回路の凹凸への追従性を高めることができ、粗化処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度をより一層均一にすることができる。
【0065】
上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。硬化物の耐熱性を高くし、またエポキシ樹脂及びシアネート硬化剤Aとの相溶性を良好にする観点からは、上記熱可塑性樹脂はフェノキシ樹脂であることが好ましい。
【0066】
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、及びナフタレン骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0067】
樹脂組成物の硬化物の表面を粗化処理した後に、金属層を形成するためにめっき処理した場合に、硬化物と金属層との接着強度を高めることができるので、上記フェノキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有することが好ましく、ビフェノール骨格を有することがより好ましい。
【0068】
上記フェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、東都化成社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」、「YX8100BH30」、「YL7600DMAcH25」及び「YL7213BH30」などが挙げられる。
【0069】
上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、好ましくは100000以下である。
【0070】
上記熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されない。上記全樹脂成分X100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱による寸法変化に対する悪影響が小さくなる。また、上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、エポキシ樹脂材料の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。なお、上記全樹脂成分Xには、上記熱可塑性樹脂が含まれる。
【0071】
[他の成分及びエポキシ樹脂材料の詳細]
上記エポキシ樹脂材料は、必要に応じて硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。エポキシ樹脂材料を速やかに硬化させることで、硬化物中での無機充填材の分散状態が良好になり、硬化物の熱による寸法変化が良好になったり、硬化物の粗化処理された表面の均一性を高めることができる。但し、本発明に係るエポキシ材料では、硬化促進剤を用いなくても速やかに硬化させることが可能である。該硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0072】
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
【0073】
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0074】
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0075】
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0076】
上記有機金属塩としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
【0077】
硬化物の絶縁信頼性を高める観点からは、上記硬化促進剤は、イミダゾール化合物であることが特に好ましい。
【0078】
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。エポキシ樹脂材料を効率的に硬化させる観点からは、上記全樹脂成分X100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は0重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。なお、上記全樹脂成分Xには、上記硬化促進剤が含まれる。
【0079】
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、エポキシ樹脂材料には、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及び上述した樹脂以外の他の樹脂等を添加してもよい。
【0080】
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
【0081】
上記他の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0082】
(Bステージフィルムであるエポキシ樹脂材料)
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、樹脂組成物であってもよく、該樹脂組成物がフィルム状に成形されたBステージフィルムであってもよい。
【0083】
上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、樹脂組成物を有機溶剤等の溶剤に溶解又は分散させた後、キャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化を進めることができるので、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
【0084】
上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば90〜200℃で10〜180分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムを得ることができる。
【0085】
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。
【0086】
上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある半硬化物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
【0087】
上記樹脂組成物は、基材と、該基材の一方の表面に積層されたBステージフィルムとを備える積層フィルムを形成するために好適に用いることができる。積層フィルムのBステージフィルムが、上記樹脂組成物により形成される。
【0088】
上記積層フィルムの上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、銅箔及びアルミニウム箔などの金属箔等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
【0089】
上記エポキシ樹脂材料を回路の絶縁層として用いる場合、エポキシ樹脂材料により形成された層の厚さは、回路を形成する導体層の厚さ以上であることが好ましい。上記エポキシ樹脂材料により形成された層の厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
【0090】
(プリント配線板)
上記エポキシ樹脂材料は、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
【0091】
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂組成物により形成されたBステージフィルムを用いて、該Bステージフィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
【0092】
上記Bステージフィルムに対して、片面又は両面に金属箔を積層できる。上記Bステージフィルムと金属箔とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記Bステージフィルムを金属箔に積層できる。
【0093】
(銅張り積層板及び多層基板)
上記エポキシ樹脂材料は、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層されたBステージフィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板のBステージフィルムが、本発明に係るエポキシ樹脂材料により形成される。
【0094】
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、エポキシ樹脂材料を硬化させた硬化物層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
【0095】
また、本発明に係るエポキシ樹脂材料は、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された硬化物層とを備える回路基板が挙げられる。この多層基板の硬化物層が、上記エポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成される。上記硬化物層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記硬化物層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
【0096】
上記多層基板では、上記硬化物層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理又はデスミア処理されていることが好ましく、粗化処理されていることがより好ましい。
【0097】
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記硬化物層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
【0098】
また、上記多層基板は、上記硬化物層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
【0099】
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された硬化物層と、該硬化物層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える回路基板が挙げられる。上記硬化物層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層されたBステージフィルムとを備える銅張り積層板を用いて、上記Bステージフィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
【0100】
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の硬化物層とを備える回路基板が挙げられる。上記複数層の硬化物層の内の少なくとも1層がが、上記エポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成される。上記多層基板は、上記エポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成されている上記硬化物層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
【0101】
図1に本発明の一実施形態に係るエポキシ樹脂材料を用いた多層基板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0102】
図1に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の硬化物層13〜16が積層されている。硬化物層13〜16は、絶縁層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の硬化物層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する硬化物層16以外の硬化物層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と硬化物層13の間、及び積層された硬化物層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
【0103】
多層基板11では、硬化物層13〜16が、本発明に係るエポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成されている。本実施形態では、硬化物層13〜16の表面が粗化処理又はデスミア処理されているので、硬化物層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層17と下方の金属層17との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
【0104】
(粗化処理及び膨潤処理)
本発明に係るエポキシ樹脂材料は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
【0105】
本発明に係るエポキシ樹脂材料を予備硬化させることにより得られた予備硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、予備硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、予備硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、予備硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
【0106】
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、予備硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、予備硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との粗化接着強度が低くなる傾向がある。
【0107】
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0108】
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0109】
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
【0110】
粗化処理された硬化物の表面の算術平均粗さRaは、50nm以上、350nm以下、更に好ましくは200nm以下である。この場合には、硬化物と金属層又は配線との接着強度を高くすることができ、更に硬化物層の表面により一層微細な配線を形成することができる。
【0111】
(デスミア処理)
また、本発明に係るエポキシ樹脂材料を予備硬化させることにより得られた予備硬化物又は硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
【0112】
上記スミアを除去するために、硬化物層の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
【0113】
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0114】
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物又は硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
【0115】
本発明に係るエポキシ樹脂材料の使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さを十分に小さくすることができる。
【0116】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0117】
実施例及び比較例では、以下に示す材料を用いた。
【0118】
(エポキシ樹脂)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850」) ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)
【0119】
(シアネート硬化剤)
シアネート硬化剤1(テトラメチルビスフェノールF型ジシアネート含有シアネートエステル樹脂、上記式(1A)で表されるテトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを10重量%と、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体59重量%とを含む、ロンザジャパン社製「BA−3000S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む)
シアネート硬化剤2(ロンザジャパン社製「BA−230S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む)
【0120】
(硬化促進剤)
イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業社製「2P4MZ」)
【0121】
(熱可塑性樹脂)
フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954BH30」、固形分30重量%とメチルエチルケトン35重量%とシクロヘキサノン35重量%とを含む)
【0122】
(無機充填材)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HND」、平均粒子径0.5μm、固形分70重量%とシクロヘキサノン30重量%とを含む)
【0123】
(実施例1)
シアネート硬化剤1(ロンザジャパン社製「BA−3000S」)4.2重量部と、シアネート硬化剤2(ロンザジャパン社製「BA−230S」)3.0重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850」)8.6重量部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)7.1重量部と、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954BH30」)12.6重量部と、シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HND」)64.1重量部と、イミダゾール化合物(四国化成社製「2P4MZ」)0.4重量部とを混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、ワニスを得た。
【0124】
塗工機を用いて、PETフィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上にワニスを塗工した。100℃のギアオーブン内で10分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmであり、溶剤の残量が1.0重量%以上、1.5重量%以下であるシート状の成形体を得た。
【0125】
(実施例2〜5及び比較例1〜2)
使用した材料の種類及び配合量(重量部)を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、溶剤の残量が1.0重量%以上、1.5重量%以下であるシート状の成形体を作製した。
【0126】
(評価)
(a)積層体の作製
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(日立化成社製「E−679F」、厚み0.6mm)の両面を、メック社製「CZ8101」にてエッチング処理し、エッチング処理された積層板を得た。次に、真空ラミネータ(名機製作所社製、MVLP−500)により、得られたシート状の成形体を積層板の両面にラミネートした。真空ラミネートは真空20秒、70℃、0.5MPaの条件、プレスは加圧115℃、1.0MPa、40秒の条件にて行った。なお、後述の真空ラミネートの際にも、同様の条件によりラミネートした。その後、PETフィルムを剥離して、170℃で60分間シート状の成形体を予備硬化(半硬化)させ、半硬化状態の予備硬化物を有する積層体A−1を得た。
【0127】
また粗化むらを検証するために、ガラスエポキシ基板(利昌工業社製「CS−3665」)の両面に、得られたシート状の成形体を真空ラミネート(上述の条件)した。その後、PETフィルムを剥離して、170℃で60分間シート状の成形体を予備硬化(半硬化)させ、半硬化状態の予備硬化物を有する積層体A−2を得た。
【0128】
(b)膨潤処理
得られた積層体A−1を、60℃の膨潤液(スウェリングディップセキュリガントP、アトテックジャパン社製)に入れて、15分間揺動した。その後、純水で洗浄した。積層体A−2についても同様の処理を行った。
【0129】
(c)過マンガン酸塩処理(粗化処理)
膨潤処理された積層体A−1を80℃の過マンガン酸カリウム(コンセントレートコンパクトCP、アトテックジャパン社製)粗化水溶液に入れて、25分間揺動した。その後、25℃の洗浄液(リダクションセキュリガントP、アトテックジャパン社製)により2分間洗浄し、純水でさらに洗浄した。予備硬化物の表面が粗化処理された積層体B−1を得た。膨潤処理された積層体A−2についても同様の処理を行い、表面が粗化処理された積層体B−2を得た。得られた積層体B−1、積層体B−2について、粗化処理された表面の算術平均粗さRaを測定した。
【0130】
(d)めっき処理
得られた積層体B−1について、無電解銅めっき及び電解銅めっき処理を以下の手順で行った。
【0131】
得られた積層体B−1の表面を、55℃のアルカリクリーナ(クリーナーセキュリガント902)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、粗化処理された予備硬化物を23℃のプリディップ液(プリディップネオガントB)で2分間処理した。次に40℃のアクチベーター液(アクチベーターネオガント834)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。その後、30℃の還元液(リデューサーネオガントWA)により5分間処理した。
【0132】
次に、上記予備硬化物を化学銅液(ベーシックプリントガントMSK−DK、カッパープリントガントMSK、スタビライザープリントガントMSK)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を1Lとし、予備硬化物を揺動させながら実施した。
【0133】
次に、無電解めっき処理された予備硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電気銅めっきとして硫酸銅(リデューサーCu)を用いて、0.6A/cm2の電流を流した。銅めっき処理後、190℃で90分間加熱して予備硬化物を硬化させ、銅めっき層が形成された積層体C−1を得た。積層体B−2についても同様の処理を行い、銅めっき層が形成された積層体C−2を得た。得られた積層体C−1、積層体C−2について、銅めっき層のピール強度を測定した。
【0134】
<熱線膨張率の評価>
得られたシート状の成形体をPETフィルム上で、170℃で30分間硬化させ、更に190℃で90分硬化させ、硬化体を得た。得られた硬化体を、3mm×25mmの大きさに裁断した。線膨張率計(セイコーインスツルメンツ社製「TMA/SS120C」)を用いて、引張り荷重3.3×10−2N、昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化体の25〜150℃における平均線膨張率を測定した。熱線膨張率を下記の判定基準で判定した。
【0135】
[熱線膨張率の判定基準]
○:平均線膨張率が30ppm/℃以下
△:平均線膨張率が30ppm/℃を超え、40ppm/℃以下
×:平均線膨張率が40ppm/℃を超える
【0136】
<算術平均粗さRaの測定>
非接触式の表面粗さ計(商品名「WYKO」、ビーコ社製)を用いて、上記積層体B−1及び積層体B−2について、粗化処理された表面の算術平均粗さRaを測定した。算術平均粗さRaはJIS B 0601−1994に従った。
【0137】
[算術平均粗さRaの判定基準]
○:算術平均粗さRaが200nm以下
△:算術平均粗さRaが200nmを超え、300nm以下
×:算術平均粗さRaが300nmを超える
【0138】
<粗面(粗度)の均一性>
積層体B−1に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面と、積層体B−2に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面の上記算術平均粗さRaの測定結果から、粗度の均一性を下記の判定基準で判定した。
【0139】
[粗度の均一性の判定基準]
○:積層体B−1に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面と積層体B−2に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面とで、算術平均粗さRa(nm)の差の絶対値が50nm以下
△:積層体B−1に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面と積層体B−2に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面とで、算術平均粗さRa(nm)の差の絶対値が50nmを超え、100nm以下
×:積層体B−1に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面と積層体B−2に設けられている予備硬化物部分の粗化処理された表面とで、算術平均粗さRa(nm)の差の絶対値が100nmを超える
【0140】
<ピール強度の測定>
上記銅めっき層が形成された積層体C−1及び積層体C−2の銅めっき層の表面に10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(商品名「オートグラフ」、島津製作所社製)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、硬化物層上に設けられている銅めっき層と硬化物層との接着強度を測定し、得られた測定値をピール強度とした。
【0141】
[ピール強度の判定基準]
○:ピール強度が5.9N/cm以上
×:ピール強度が5.9N/cm未満
【0142】
<保存安定性の評価>
粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製「AR2000ex」)を用いて、得られたシート状の成形体の100℃における粘度η*を測定した。次に、シート状の成形体を24℃で48時間放置した。放置後のシート状の成形体の100℃における粘度η*を測定した。得られた粘度η*の測定値から、保存安定性を下記の判定基準で判定した。
【0143】
[保存安定性の判定基準]
○:放置前の成形体の粘度η*に対して、放置後の成形体の粘度η*の変化が10%以下
×:放置前の成形体の粘度η*に対して、放置後の成形体の粘度η*の変化が10%を超える
【0144】
結果を下記の表1に示す。
【0145】
【表1】

【符号の説明】
【0146】
1…回路基板
1a…上面
2…金属層
3…硬化物層
3A…金属層が設けられている部分に位置する硬化物層
3B…金属層が設けられていない部分に位置する硬化物層
3a…表面
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…硬化物層
17…金属層(配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有し、
前記硬化剤が、テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、該テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との内の少なくとも1種を含むシアネート硬化剤を含む、エポキシ樹脂材料。
【請求項2】
エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、前記シアネート硬化剤の含有量が5重量%以上、30重量%以下である、請求項1に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項3】
前記シアネート硬化剤全体100重量%中、前記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートと、前記テトラメチルビスフェノールF型ジシアネートを含む重合成分の重合体との合計の含有量が1重量%以上、70重量%以下である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項4】
無機充填材をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項5】
エポキシ樹脂材料中の全固形分100重量%中、前記無機充填材の含有量が40重量%以上、80重量%以下である、請求項4に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項6】
前記無機充填材がシリカである、請求項4又は5に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項7】
熱可塑性樹脂をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項8】
エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、前記熱可塑性樹脂の含有量が1重量%以上、30重量%以下である、請求項7に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である、請求項7又は8に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項10】
硬化促進剤を含有しないか又は含有し、
硬化促進剤が含有される場合には、エポキシ樹脂材料中の全樹脂成分の合計100重量%中、前記硬化促進剤の含有量が1重量%以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項11】
フィルム状に成形されたBステージフィルムである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項12】
粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられるエポキシ樹脂材料である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料。
【請求項13】
回路基板と、
前記回路基板の表面上に配置された硬化物層とを備え、
前記硬化物層が、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂材料を硬化させることにより形成されている、多層基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−153808(P2012−153808A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14372(P2011−14372)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】