説明

エリスロポエチン受容体に結合する新規ペプチド

【課題】エリスロポエチン受容体(EPO-R)のアゴニストであるペプチド化合物の提供。
【解決手段】に関する。本発明はまた、そのようなペプチド化合物を用いた、不十分なまたは障害のある赤血球細胞産生に伴う疾患を治療するための治療方法に関する。本発明のペプチド化合物を含有する医薬組成物もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2003年5月12日に出願された米国仮出願第60/470,245号に優先権を主張する。この優先権出願の内容はその全体が本開示に参照して取り込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、エリスロポエチン受容体(EPO-R)のアゴニストであるペプチド化合物に関する。本発明はまた、そのようなペプチド化合物を用いた、不十分なまたは障害のある赤血球細胞産生に伴う疾患を治療するための治療方法に関する。本発明のペプチド化合物を含有する医薬組成物もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
エリスロポエチン(EPO)は、165アミノ酸を有する糖タンパク質ホルモンであり、分子量約34キロダルトン(kD)、そして24、38、83および126番目のアミノ酸に好ましいグリコシル化部位を有する。エリスロポエチンは最初、23アミノ酸のシグナルペプチドをもつ前駆体タンパク質として産生される。EPOは3つの型:α、βおよびアシアロを生ずる。α型およびβ型はその糖質成分にわずかに違いがあるが、同一の有効性、生物活性および分子量を有している。アシアロ型は末端の糖質(シアル酸)が除去されたα型またはβ型である。EPOをコードするDNA配列は報告されている[Linの米国特許第4,703,008号]。
【0004】
EPOは赤血球前駆細胞の体細胞分裂と分化を促進し、その結果赤血球の産生を確実にする。EPOは低酸素状態が優勢になると腎臓で産生される。赤血球前駆細胞のEPO誘導性分化の間に、グロビン合成が誘導され;ヘム複合体の合成が刺激され;フェリチン受容体の数が増加する。これらの変化により細胞はより鉄を持つようになり、成熟赤血球において酸素を結合する機能ヘモグロビンを合成する。それゆえ、赤血球とそのヘモグロビンは酸素を体に供給する点で鍵となる役割を果たしている。これらの変化はEPOが赤血球前駆細胞の細胞表面上の適当な受容体と相互作用することにより始まる[例えば、GraberとKrantz(1978)Ann. Rev. Med. 29:51-66参照]。
【0005】
EPOは、存在する多くの赤血球から組織が十分な酸化を受けるような健康状態に体があるときは、非常に低い濃度で血漿中に存在する。この通常の低濃度は、通常老化により失われる赤血球細胞の交換を刺激するのに十分である。
【0006】
血液循環におけるEPOの量は、血液循環の血液細胞による酸素の移送が減少した場合の低酸素状態の条件下において増加する。低酸素状態は例えば、出血による実質的な失血、放射線の過剰曝露による赤血球細胞の破壊、高所または長期の無意識、もしくは各種の貧血による酸素の取り込みの減少により引き起こされる。そのような低酸素ストレスに応答して、量の上昇したEPOが赤血球前駆細胞の増殖を刺激することにより、赤血球細胞の産生を増加する。血液循環中の赤血球数が通常の組織酸素要求に必要な量よりも大きくなると、血液循環中のEPO量は減少する。
【0007】
EPOは赤血球形成過程において必須であるので、このホルモンは低赤血球細胞産生または赤血球細胞産生欠乏により特徴づけされる血液の疾患の診断および治療の両者に対して、潜在的に有用な用途を有する。最近の研究から、β-サラセミア[Vedovatoら、(1984)Acta. Haematol. 71: 211-213];嚢胞性線維症[Vichinskyら、(1984) J. Pediatric 105: 15-21];妊娠および生理不順[Cotesら、(193)Brit. J. Ostet. Gyneacol. 90: 304-311];未熟児の初期貧血[Hagaら、(1983)Acta Pediatr. Scand. 72: 827-831];脊髄損傷[Claus-Walkerら、(1984)Arch. Phys. Med. Rehabil. 65: 370-374];宇宙飛行[Dunnら、(1984)Eur. J. Appl. Physiol. 52: 178-182];急性失血[Millerら、(1982)Brit. J. Haematol. 52: 545-590];老化[Udupaら、(1984)J. Lab. Clin. Med. 103: 574-580および581-588、さらにLipschitzら、(1983) Blood 63: 502-509];異常赤血球生成に伴う腫瘍性疾患状態[Dainiakら、(1983)Cancer 5: 1101-1106およびSchwartzら、(1983)Otolaryngol. 109: 269-272];および腎不全[Eschbachら、(1987)N. Eng. J. Med. 316: 73-78]を含む各種の疾患の状態、障害および血液の不規則性の状態に対するEPOの治療効果について予測するための基礎が提供されている。
【0008】
精製、均一化したEPOの特性が調べられている[Hewickの米国特許第4,677,195号]。EPOをコードするDNA配列が精製、クローニングされ、天然のEPOと同一の生化学的および免疫学的性質を有する組換えポリペプチドを生産するために発現された。天然のEPOと同一のオリゴ糖を有する組換えEPO分子もまた産生されている[Sasakiら、(1987)J. Biol. Chem. 262: 12059-12076]。
【0009】
EPOの生物学的効果は、部分的に、細胞膜結合受容体との相互作用が介在していると思われる。マウス脾臓から単離された未成熟赤血球細胞を用いた初期の研究から、EPO結合細胞表面タンパク質はおよその分子量85,000ダルトンと100,000ダルトンのそれぞれを有する二つのポリペプチドを含有することが示唆された[Sawyerら、(1987)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3690-3694]。EPO結合部位の数は、細胞表面当り平均800〜1000と算出された。これらの結合部位のうち、およそ300はEPOに約90 pM(ピコモーラー)のKdで結合し、残りはEPOに約570 pMの親和性の減少した状態で結合した[Sawyerら、(1987)J. Biol. Chem. 262: 5554-5562]。別の研究から、フレンド(Friend)白血病ウイルスの貧血株(FVA)を接種したマウスから調製したEPO応答性脾臓赤芽球は、合計約400の、それぞれのKd値がおよそ100 pMと800 pMの高親和性および低親和性のEPO結合部位を有することが示唆された[Landschulzら、(1989)Blood 73: 1476-1486]。
【0010】
続く研究から、二つの型のEPO受容体(EPO-R)は、単一の遺伝子によりコードされていることが示された。この遺伝子がクローニングされた[例えば、Jonesら、(1990)Blood 76, 31-35;Noguchiら、(1991)Blood 78: 2548-2556;Maoucheら、(1991)Blood 78: 2557-2563]。例えば、マウスおよびヒトのEPO-Rタンパク質のDNA配列およびコードされるペプチド配列は、D'AndreaらのPCT公開番号 WO 90/08822に記載されている。現在のモデルは、EPOがEPO-Rに結合した結果、二つのEPO-R分子のダイマー化と活性化を生じ、続いてシグナル伝達の過程を生じることを示唆する[例えば、Watowichら、(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 2140-2144]。
【0011】
EPO-Rのクローニングした遺伝子が入手できることから、この重要な受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの探索が容易となる。組換え受容体タンパク質を利用することにより、各種のランダムおよび半ランダムなペプチド多様性産生システムにおける受容体-リガンド相互作用の研究がなされる。これらのシステムには、「プラスミド上のペプチド」システム[上記米国特許第6,270,170に記載];「ファージ上のペプチド」システム[米国特許第5,432,018号およびCwirlaら、(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378-6382];「暗号化合成ライブラリー」(ESL)システム[1992年9月16日出願の米国特許出願第946,239号];および「大規模固定化ポリマー合成」システム[米国特許第5,143,854号;PCT公開番号第90/15070号;Fodorら、(1991)Science 251: 767-773;DowerとFodor(1991)Ann. Rep. Med. Chem. 26: 271-180;および米国特許第5,424,186号]が含まれる。
【0012】
最低限ある程度EPO-Rに相互作用するペプチドが同定され、例えば、Wrightonらの米国特許第5,773,569号;第5,830,851号;および第5,986,047号;WrightonらのPCT公開 WO 96/40749;JohnsonとZivinの米国特許第5,767,078号およびPCT公開 96/40772;BaluのPCT公開 WO01/38342;およびSmith-Swintoskyらの WO01/91780に記載されている。特に、EPO-Rに結合し、EPO依存性の細胞増殖を刺激する、ペプチドモチーフを含むペプチドのグループが同定された。さらに、モチーフを含む、これまでに同定されたペプチドはインビトロで、EPO依存性細胞増殖を、約20ナノモーラー(nM)から約250 nMのEC50値で刺激する。それゆえ、20 nM〜250 nMのペプチド濃度が、EPOにより刺激される最大細胞増殖の50%を刺激するために必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
EPO-Rアゴニストの非常に大きな可能性を考えると、この受容体により仲介される重要な生物学的活性の研究、および疾患の治療について、より一層の効力および活性をもつペプチドEPO-Rアゴニストの同定をする必要性が残されている。本発明はそのような化合物を提供する。
【0014】
この項および明細書全体における引用文献の引用および/または議論は単に、本発明の記載を明らかにするために提供されるものであって、そのような文献が本発明の「従来技術」であることを承認したものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の要約
本発明は、劇的に効力と活性を増強するEPO-Rアゴニストペプチドを提供する。これらのアゴニストは、コアのアミノ酸配列 LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)を含有する、長さ17〜約40アミノ酸のモノマーペプチドのアゴニストを含み、ここで、それぞれのアミノ酸は標準の一文字略記で表され、X0はメチオニン(M)またはホモセリンメチルエーテル(Hsm)、およびX1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)または2-ナフチルアラニン(2-nal)であり;ならびに、二つのペプチドモノマーを含有するダイマーペプチドのアゴニストを含み、それぞれのモノマーペプチドは長さ17〜約40アミノ酸であり、コアのアミノ酸配列LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)を含有し、それぞれのアミノ酸は標準の一文字略記で表され、X0はメチオニン(M)またはホモセリンメチルエーテル(Hsm)、およびX1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)または2-ナフチルアラニン(2-nal)である。これらの新規ペプチドアゴニストの効力はさらに、一つまたはそれ以上の修飾(アセチル化、分子内ジスルフィド結合形成および、一つまたはそれ以上のポリエチレングリコール(PEG)部分の共有結合を含む)により増強される。発明はさらに、そのようなペプチドアゴニストを含有する医薬組成物およびそのようなペプチドアゴニストを用いる、各種病状の治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
定義
ペプチド類のアミノ酸残基は以下のように略記する:フェニルアラニンはPheまたはF;ロイシンはLeuまたはL;イソロイシンはIleまたはI;メチオニンはMetまたはM;バリンはValまたはV;セリンはSerまたはS;プロリンはProまたはP;スレオニンはThrまたはT;アラニンはAlaまたはA;チロシンはTyrまたはY;ヒスチジンはHisまたはH;グルタミンはGlnまたはQ;アスパラギンはAsnまたはN;リジンはLysまたはK;アスパラギン酸はAspまたはD;グルタミン酸はGluまたはE;システインはCysまたはC;トリプトファンはTrpまたはW;アルギニンはArgまたはR;およびグリシンはGlyまたはG。ペプチド類の非通常アミノ酸は以下のように略記する:1-ナフチルアラニンは1-nalまたはNp;2-ナフチルアラニンは2-nal;N-メチルグリシン(サルコシンとしても知られる)はMeGまたはSc;ホモセリンメチルエーテルはHsm;およびアセチル化グリシン(N-アセチルグリシン)はAcG。
【0017】
ここで用いられるように、用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、アミド結合によりαアミノ酸が互いに連結しているアミノ酸モノマーのポリマーをいう。ポリペプチドはそれゆえ、長さにして少なくとも二つのアミノ酸残基、および通常はそれより長いものである。一般に、用語「ペプチド」は長さにして、ほんの数個のアミノ酸残基であるポリペプチドをいう。本発明の新規EPO-Rアゴニストのペプチド類は、好ましくは長さ約50アミノ酸以下である。それらは、より好ましくは、長さ約17〜約40アミノ酸残基である。ペプチドと対照的に、ポリペプチドはいくつでもアミノ酸残基を含有することができる。それゆえ、用語ポリペプチドにはペプチドならびにより長いアミノ酸配列が含まれる。
【0018】
ここで用いられるように、語句「薬学的に許容される」は、ヒトに投与した際に「一般に安全とされている」、例えば、生理学的に許容され、アレルギー反応または類似の有害反応、例えば胃の異常、めまい等を生じない分子全体および組成物をいう。好ましくは、ここで用いられているように、用語「薬学的に許容される」は、動物、特にヒトへの使用のために連邦政府または州政府の監督官庁により認可され、あるいは米国薬局方または他の一般的に認識される薬局方に掲載されることを意味する。用語「キャリア」は化合物と共に投与される希釈剤、助剤、賦形剤またはビヒクルをさす。そのような薬学的キャリアは、水、およびピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等の石油、動物、植物または合成由来の油を含む油類などの滅菌した液体である。水または水溶液、食塩溶液およびブドウ糖溶液およびグリセロール溶液がキャリアとして好ましく、特に注射溶液として用いられる。適当な薬学的キャリアは、E.W. Martinの「レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。
【0019】
ここで用いられているように、用語「アゴニスト」は、その相補的な生物学的活性のある受容体に結合し、その受容体を活性化し、生物学的応答を引き起こす、または受容体の元から有する生物学的活性を促進するような生物学的活性リガンドをいう。
【0020】
EPO−Rアゴニストである新規ペプチド
本発明はEPO-Rのアゴニストであり、劇的に効力および活性を増強するペプチドに関する。これらのペプチドアゴニストは好ましくは、長さ17〜約40アミノ酸であり、コアのアミノ酸配列 LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)を含有する。ここで、それぞれのアミノ酸は標準の一文字略記で表され、X0はメチオニン(M)またはホモセリンメチルエーテル(Hsm)、およびX1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)または2-ナフチルアラニン(2-nal)である。
【0021】
本発明のペプチドはモノマー、ダイマーまたは他のマルチマーであってよい。本発明のペプチドマルチマーは、トリマー、テトラマー、ペンタマーまたは他の高次構造であってよい。さらに、そのようなダイマーおよび他のマルチマーはヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーであってよい。本発明のペプチドモノマーは分解産物(例えば、メチオニンまたは脱アミド化グルタミンの酸化産物、アルガニンおよびC-末端アミド)であってよい。そのような分解産物は本発明で用いることができ、それゆえ本発明の部分と考えられる。好ましい態様において、本発明のヘテロマルチマーは、全てがEPO-Rアゴニストペプチドである複数のペプチドを含有する。高度に好ましい態様では、本発明のマルチマーはホモマルチマーであり、すなわち同一のアミノ酸配列の複数EPO-Rアゴニストペプチドを含有する。
【0022】
したがって、本発明はまた、劇的に効力および活性を増強する、EPO-Rのダイマーペプチドアゴニストに関する。好ましい態様では、本発明のダイマーは共にEPO-Rアゴニストペプチドである二つのペプチドを含有する。これらの好ましいダイマーペプチドアゴニストは、二つのモノマーペプチドを含有し、それぞれのペプチドモノマーは長さ17〜約40アミノ酸であり、コアのアミノ酸配列 LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)を含有する。ここで、それぞれのアミノ酸は標準の一文字略記で表され、X0はメチオニン(M)またはホモセリンメチルエーテル(Hsm)、およびX1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)または2-ナフチルアラニン(2-nal)である。特に好ましい態様では、本発明のダイマーは同一のアミノ酸配列をもつ二つのEPO-Rアゴニストペプチドを含有する。
【0023】
本発明のいくつかの態様によれば、二つまたはそれ以上の、および好ましくは2〜6個のアミノ酸残基(これらは独立に、20個の遺伝学的にコードされるL-アミノ酸または立体異性体のD-アミノ酸のいずれかから選択される)は、上述のコア配列のいずれかの末端、または両方の末端に結合される。例えば、配列GGは、しばしば、コア配列のいずれかの末端または両末端に付加される。
【0024】
20個の通常のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、a,a-2基置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸および他の非通常アミノ酸もまた、本発明の化合物の適当な成分である。非通常アミノ酸の例としては、限定はされないが、β-アラニン、3-ピリジルアラニン、4-ヒドロキシプロリン、O-ホスホセリン、N-メチルグリシン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、ノルロイシンおよび他の類似アミノ酸、ならびにイミノ酸が含まれる。
【0025】
アミノ末端の修飾、カルボキシ末端の修飾、一つまたはそれ以上の天然に存在する遺伝コードされるアミノ酸の非通常アミノ酸との置換、一つまたはそれ以上のアミノ酸残基の側鎖の修飾、ペプチドのリン酸化等を含む他の修飾も可能である。好ましいアミノ末端の修飾(例えば、酢酸またはハロゲン置換酢酸を用いたもの)はアセチル化である。好ましい態様では、N-末端グリシンはN-アセチルグリシン(AcG)にアセチル化される。好ましい態様では、C-末端グリシンはN-メチルグリシン(MeG、サルコシンとしても知られる)である。
【0026】
本発明の好ましいペプチドモノマーには、限定されないが、
LYACHMGPITWVCQPLR(配列番号:2);
LYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:3);
LYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:4);
GGLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:5);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:6);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:7);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:8);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:9);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:10);
GGLYACHMGPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:11);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:12);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:13);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:14);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:15);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:16);
LYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(配列番号:17);
LYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:18);
LYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:19);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:20);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:21);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:22);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:23);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:24);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:25);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:26);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:27);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:28);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:29);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:30);および
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:31)
が含まれる。
【0027】
好ましい態様では、本発明のペプチドモノマーはコア配列の二つのシステイン残基間に分子内ジスルフィド結合を含む。そのようなモノマーは以下のように模式的に表される:
【化4】

【0028】
本発明はまた、これらのペプチドモノマーの結合体を提供する。それゆえ、好ましい態様によれば、本発明のモノマーペプチドはダイマー化またはオリゴマー化され、それによりEPO-Rアゴニスト活性を増強する。
【0029】
一態様において、本発明のペプチドモノマーはビオチン/ストレプトアビジン系を用いてオリゴマー化できる。ペプチドモノマーのビオチン化類似体は標準技術により合成することができる。例えば、ペプチドモノマーをC-末端ビオチン化できる。これらのビオチン化モノマーをストレプトアビジンとのインキュベーション[例えば、4:1のモル比で、室温で、リン酸緩衝液化食塩水(PBS)またはHEPES緩衝液化RPMI培地(Invitrogen)中で、1時間]により、オリゴマー化する。この態様の変法として、ビオチン化ペプチドモノマーは、多くの市販の抗ビオチン抗体のいずれか一つ[例えば、Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc.(ワシントンDC)のヤギ抗ビオチンIgG]とインキュベートすることにより、オリゴマー化することができる。
【0030】
好ましい態様では、本発明のペプチドモノマーは少なくとも一つのリンカー部分と共有結合することによりダイマー化する。リンカー(Lk)部分は好ましくは、必要ではないが、任意に一つまたは二つの-NH-結合を末端にもち、一つまたはそれ以上の可能な炭素原子で低級アルキル置換基と任意に置換するC1-12結合部分である。好ましくは、リンカーLkは-NH-R-NH-を含有し、ここで、Rはカルボキシル基またはアミノ基などの官能基と置換した、別の分子部分(例えば、固体支持体の表面に存在し得るもの)に結合できる低級(C1-6)アルキレンである。最も好ましくは、リンカーはリジン残基またはリジンのアミド(カルボキシル基がアミド部分-CONH2に変換されているリジン残基)である。好ましい態様において、リンカーは二つのペプチドモノマーのC-末端を、それぞれのモノマーのC-末端アミノ酸に同時に結合することにより、架橋する。
【0031】
例えば、C-末端リンカーLkがリジンアミドである場合、ダイマーは構造的に式I(Formula I)に示すように表され、式II(Formula II)に示されるように要約される:
【化5】

式Iおよび式IIにおいて、N2はリジンのε-アミノ基の窒素原子を表し、N1はリジンのα-アミノ基の窒素原子を表す。ダイマー構造は、リジンのαおよびε-アミノ基の両者に結合するペプチドを示すために[ペプチド]2Lys-アミドと、リジンのαおよびε-アミノ基の両者に結合するN-末端がアセチル化されたペプチドを示すために[Ac-ペプチド]2Lys-アミドと、それぞれのペプチドが分子内ジスルフィドループを含む、リジンのαおよびε-アミノ基の両者に結合するN-末端がアセチル化されたペプチドを示すために[Ac-ペプチド、ジスルフィド]2Lys-アミドと、それぞれのペプチドが分子内ジスルフィドループおよびC-末端のリジンとPEG部分との間に共有結合を形成するスペーサー分子を含む、リジンのαおよびε-アミノ基の両者に結合するN-末端がアセチル化されたペプチドを示すために[Ac-ペプチド、ジスルフィド]2Lys-スペーサー-PEGと、あるいは、リジンのεアミンがイミノ二酢酸の二つのカルボキシル基のそれぞれに結合し、Boc-β-アラニンがアミド結合を介してイミノ二酢酸の窒素原子に共有結合しているような、C-末端リジンアミド残基をもつN-末端がアセチル化されたペプチドのホモダイマーを示すために[Ac-ペプチド-Lys*-NH2]2-イミノ二酢酸-N-(Boc-βAla)と記載することができる。
【0032】
さらなる態様において、ポリエチレングリコール(PEG)は二つのペプチドモノマーをダイマー化するリンカーLkとして機能する:例えば、単一のPEG部分はペプチドダイマーの両方のペプチド鎖のN-末端に同時に結合する。
【0033】
また別のさらなる態様において、リンカー(Lk)部分は好ましくは、必要ではないが、二つのカルボン酸を含み、任意で一つまたはそれ以上の得られる原子で、一つまたはそれ以上のPEG分子と結合できるアミンなどの付加的な官能基と置換されている分子である。そのような分子は次のように表すことができる:
【化6】

ここで、nは0〜10の整数、mは1〜10の整数、XはO、S、N(CH2)pNR1、NCO(CH2)pNR1およびCHNR1から選択され、R1はH、Boc、Cbz等から選択され、pは1〜10の整数である。
【0034】
好ましい態様では、ペプチドのそれぞれの一つのアミノ基は、リンカーLkとアミド結合を形成する。特に好ましい態様では、リンカーLkに結合するペプチドのアミノ基はリジン残基のε-アミンまたはN-末端残基のアルファアミン、または任意のスペーサー分子のアミノ基である。特に好ましい態様では、nおよびmの両者は1(one)で、XはNCO(CH2)pNR1であり、pは2(two)およびR1はBocである。このような好ましいリンカーを含むダイマーのEPOペプチドは構造的には式III(Formula III)で示したように表すことができる。
【化7】

任意に、Boc基は、適当な活性化水溶性ポリマー類、例えばmPEG-パラ-ニトロフェニルカーボネート(mPEG-NPC)、mPEG-スクシンイミジルプロピオネート(mPEG-SPA)およびN-ヒドロキシスクシンイミド-PEG(NHS-PEG)などのPEG類と共有結合を形成することができる反応性のアミン基を遊離させるために除去することができる(米国特許第5,672,662号参照)。そのような好ましいリンカーを含むダイマーのEPOペプチドは構造的に式IV(Formula IV)で示されるように表すことができる。
【化8】

【0035】
一般に、必要とは限らないが、ペプチドダイマーはまた、ペプチドモノマーのシステイン残基の間に一つまたはそれ以上の分子内ジスルフィド結合を含む。好ましくは、二つのモノマーは少なくとも一つのジスルフィド結合を含む。最も好ましくは、ペプチドダイマーの両方のモノマーは分子内ジスルフィド結合を含み、その結果それぞれのモノマーが環状基を含む。
【0036】
ペプチドモノマーまたはペプチドダイマーはさらに、一つまたはそれ以上のスペーサー部分を含む。そのようなスペーサー部分は、ペプチドダイマーのモノマーを連結するリンカーLk部分に結合する。例えば、そのようなスペーサー部分は、ペプチドモノマーまたはペプチドダイマーに結合できる。好ましくは、そのようなスペーサー部分は、リジンリンカーのカルボニル炭素を介して、またはイミノ二酢酸リンカーの窒素原子を介して、ペプチドダイマーと結合できる。例えば、そのようなスペーサーは、結合する水溶性ポリマー部分または保護基とのペプチドダイマーのリンカーと接続する。別の例では、そのようなスペーサーは、結合する水溶性ポリマー部分に結合するペプチドモノマーと連結し得る。
【0037】
一態様では、スペーサー部分は任意に-NH-結合またはカルボキシル(-COOH)基を末端にもち、任意に一つまたはそれ以上の得られる炭素原子で低級アルキル置換基と置換されているC1-12連結部分である。一態様では、スペーサーはR-COOHであり、Rは、別の分子部分と結合可能な、カルボキシル基やアミノ基などの官能基と任意に置換されている低級(C1-6)アルキレンである。例えば、スペーサーはグリシン(G)残基またはアミノヘキサン酸である。好ましい態様では、アミノヘキサン酸は6-アミノヘキサン酸(Ahx)である。例えば、スペーサーである6-アミノヘキサン酸(Ahx)がペプチドのN-末端に結合している場合、ペプチドの末端アミン基は、標準的なアミドカプリングにより、Ahxのカルボキシル基と結合することができる。別の例では、AhxがペプチドのC-末端に結合している場合、Ahxのアミンは、標準アミンカプリングにより末端アミノ酸のカルボキシル基と結合することができる。そのような構造のペプチドは式V(Formula V)で示されるように図示され、式VI(Formula VI)として要約される。
【化9】

【0038】
他の態様では、スペーサーは、-NH-R-NH-であり、Rは、別の分子部分に結合可能な、カルボキシル基やアミノ基などの官能基と置換された低級(C1-6)アルキレンである。例えば、スペーサーはリジン(K)残基またはリジンのアミド(K-NH2、カルボキシル基がアミド部分-CONH2に置換されているリジン残基)である。
【0039】
好ましい態様では、スペーサー部分は次の構造を有する:
【化10】

ここで、α、β、γ、δおよびεはそれぞれが整数であり、その数値は独立に選択される。好ましい態様では、α、βおよびεはそれぞれが整数であり、その数値は独立に1〜約6から選択され、δはゼロまたは1、γはゼロ〜約10であり、但しγが1以上のときは、βは2、およびYはNHまたはCOから選択される。特に好ましい態様では、α、βおよびεはそれぞれ2に等しく、γおよびδの両者は1に等しく、YはNHである。例えば、そのようなスペーサーを含むペプチドダイマーは式VII(Formula VII)に模式的に示され、ここではリンカーはリジンであり、スペーサーはリンカーとBoc保護基に結合している。
【化11】

別の特に好ましい態様では、γとδはゼロであり、αとεは共に5に等しく、YはCOである。
【0040】
特に好ましい態様では、リンカー+スペーサー部分は式VIII(Formula VIII)または式IX(Formula IX)で示される構造を有する。
【化12】

【0041】
本発明のペプチドモノマー、ダイマーまたはマルチマーはさらに、一つまたはそれ以上の水溶性ポリマー部分を含有する。好ましくは、これらのポリマーは本発明のペプチド化合物に共有結合する。好ましくは、最終製剤の治療用途に対して、ポリマーは薬学的に許容できるものである。当業者はポリマー-ペプチド結合体が治療に用いることができるか、および、もしそうならば所望の用量、循環時間、タンパク質分解に対する耐性などnお考慮、ならびにその他の考慮に基づいて、目的のポリマーを選択できるであろう。水溶性ポリマーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸のコポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールのホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドのコポリマーおよびポリオキシエチレンポリオールである。好ましい水溶性ポリマーはPEGである。
【0042】
ポリマーはいかなる分子量であってもよく、分枝していても、いなくてもよい。本発明の使用に好ましいPEGは、10キロダルトン(kD)以上、より好ましくは約20〜60kDの分子量を有する直鎖状の、分枝のないPEGを含有する。さらにより好ましくは、直鎖状の、分枝のないPEG部分は約20〜40kDの分子量を有し、特に好ましくは20kDのPEGである。任意のPEG標品において、分子量は、典型的には個々の分子間で変化することが理解されている。ある分子は規定された分子量よりも重く、またあるものは軽い。PEG分子の分子量を表すために、そのようなばらつきを一般に、用語「約」で表す。
【0043】
結合するポリマー分子の数は変化する;例えば1、2、3またはそれ以上の水溶性ポリマーを本発明のEPO-Rアゴニストペプチドに結合させることができる。複数結合したポリマーは同一または異なる化学部分(例えば、異なる分子量のPEG)を有してもよい。それゆえ、好ましい態様では、本発明は二つまたはそれ以上のPEG部分が結合するEPO-Rアゴニストペプチドを意図する。好ましくは、両方のPEG部分が直鎖状で分枝のないPEGであり、それぞれ約10〜約60kDの分子量を有する。より好ましくは、それぞれの直鎖状で分枝のないPEG部分は約20〜40kD、さらにより好ましくは約20〜30kDの分子量を有し、それぞれの直鎖状PEG部分は約20kDの分子量が特に好ましい。しかし、PEGの他の分子量もそのような態様において考慮される。例えば、本発明は二つまたはそれ以上の直鎖状で分枝のないPEG部分が結合し、そのうちの少なくとも一つまたは両方が分子量約20〜40kDまたは約20〜30kDを有するEPO-Rアゴニストペプチドを意図し、包含する。他の態様において、本発明は、二つまたはそれ以上の直鎖状で分枝のないPEG部分が結合し、そのうちの少なくとも一つが分子量約40〜60kDを有する。
【0044】
一態様において、PEGは二つのペプチドモノマーをダイマー化するリンカーとして機能する。一態様では、PEGはペプチドモノマーまたはダイマーの少なくとも一方の末端(N-末端またはC-末端)に結合する。別の態様では、PEGはペプチドモノマーまたはダイマーのスペーサー部分に結合する。好ましい態様では、PEGはペプチドダイマーのリンカー部分に結合する。高度に好ましい態様では、PEGはスペーサー部分に結合し、前記スペーサー部分はペプチドダイマーのモノマーを連結するリンカーLkに結合する。特に好ましい態様では、PEGはスペーサー部分に結合し、前記スペーサー部分はリジンリンカーのカルボニル炭素またはリジンアミドリンカーのアミド窒素を介してペプチドダイマーに結合する。
【0045】
本発明の好ましいペプチドダイマーには、以下のものが含まれるが、これに限定されない:
【表1】





ペプチドモノマーおよびダイマーを含む、本発明のさらに他のペプチドは以下のとおりである:
【表2】



【0046】
本発明のペプチドの配列はそれだけで、またはペプチド鎖のN-末端および/またはC-末端の拡張部分と連結して存在することができる。そのような拡張部分は天然に存在しない配列を任意に持つ、またはもたずに天然にコードされるペプチド配列であってもよく;拡張部分には全ての付加、欠失、点突然変異、または他の配列修飾、あるいは当業者が望むような組み合わせが含まれる。例えば、限定はされないが、天然に存在する配列は全長または部分長であり、側鎖の結合を介して炭水化物、PEG、他のポリマー等の結合部位を提供するためのアミノ酸の置換を含む。変法では、アミノ酸置換はヒト免疫系に適合できる配列のヒト化をもたらす。非-免疫グロブリンスペーサー配列をもつ、またはもたない、本発明のEPO-R活性化配列に隣接する、または近接する免疫グロブリン配列を含む、全ての型の融合タンパク質が提供される。態様の一つの型は、重鎖および/または軽鎖の可変(V)領域にEPO-R活性化配列を有する免疫グロブリン鎖である。
【0047】
本発明のペプチド化合物の調製
ペプチド合成
本発明のペプチドは、当業者に既知の古典的な方法により調製することができる。これらの標準的な方法としては、排他的固相合成、部分的固相合成法、断片縮合、古典的な溶液法、および組換えDNA技術をあげることができる[例えば、Merrifield J. Am. Chem. Soc. 1963 85: 2149参照]。
【0048】
一態様において、ペプチドダイマーのペプチドモノマーは、個々に合成され、合成に続いてダイマー化される。好ましい態様では、ダイマーのペプチドモノマーは同一のアミノ酸配列を有している。
【0049】
特に好ましい態様では、ダイマーのペプチドモノマーは、ペプチド合成の開始部位として機能できる二つの官能基および、(例えば、固体支持体の表面に存在するような)他の分子部分に結合できる第三の官能基(例えば、カルボキシル基またはアミノ基)を有するリンカーLk部分にそのC-末端を介して結合している。この場合、二つのペプチドモノマーは、固相合成法の変法で、リンカーLk部分の2つの反応性窒素基上に直接合成される。そのような合成は連続的であっても、同時であっても良い。
【0050】
リンカー上へのダイマーのペプチド鎖の連続合成が行われる場合、リンカー分子上の二つのアミン官能基は、二つの異なる直角に除去できるアミン保護基で保護される。好ましい態様で、保護されるジアミンは保護リジンである。保護リンカーはリンカーの第三の官能基を介して固体支持体に結合される。第一のアミン保護基は除去され、ダイマーの第一ペプチドが第一の脱保護されたアミン部分上に合成される。その後、第二のアミン保護基が除去され、ダイマーの第二ペプチドが第二の脱保護されたアミン部分に合成される。例えば、リンカーの第一のアミノ基はAllocで保護され、第二のものはFmocで保護され得る。この場合、Fmoc基(Alloc基ではない)は、穏和な塩基[例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)中、20% ピペリジン]で処理することにより除去され、第一ペプチド鎖が合成される。その後、Alloc基が適当な試薬[例えば、Pd (PPh3)/4-メチルモルホリンとクロロホルム]を用いて除去され、第二のペプチド鎖が合成される。この方法は二つのペプチド鎖の配列が同一または異なる場合のダイマー生成のために用いることができる。システインの異なるチオール保護基を(以下に述べるように)対照のジスルフィド結合形成に用いる場合、この方法は、ダイマーのペプチド鎖の最終的なアミノ酸配列が同一である場合でさえ用いられなければならないことに注意すべきである。
【0051】
リンカー上へのダイマーのペプチド鎖の同時合成が実施される場合、リンカー分子の二つのアミン官能基は、同一の除去可能なアミン保護基を用いて保護される。好ましい態様では、保護されるジアミンは保護リジンである。保護されたリンカーは、リンカーの第三の官能基を介して固体支持体に結合される。この場合、リンカー分子の二つの保護された官能基は同時に脱保護され、二つのペプチド鎖が、脱保護されたアミン上に同時に合成される。この方法を用いて、ダイマーのペプチド鎖の配列が同一になり、システイン残基のチオール保護基が全て同一であることに注意すべきである。
【0052】
ペプチド合成の好ましい方法は固相合成である。固相ペプチド合成法は当業者には周知である[例えば、スチュワート(Stewart)の「固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Syntheses)」(フリーマン・アンド・カンパニー:サンフランシスコ)1969;ノバビオケム社(米国サンディエゴ)の2002/2003 一般カタログ;グッドマンの「ペプチドおよびペプチド擬似体の合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)」(Houben-Weyl, Stuttgart)2002を参照]。固相合成において、合成は、典型的にはα-アミノ保護樹脂を用いて、ペプチドのC-末端の端から開始される。適当な開始材料を、例えば必要なα-アミノ酸をクロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂等に結合することにより調製できる。そのような一つのクロロメチル化樹脂は、商品名BIO-BEADS SX-1としてバイオラド・ラボラトリーズ(カリフォルニア州リッチモンド)から販売されている。ヒドロキシメチル樹脂の調製については、記載されている[Bodonszlcyら、(1966)Chem. Ind.(ロンドン)38: 1597]。ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂は記載され[PiettaとMarshall、(1970)Chem. Commun. 650]、塩酸型がベックマン・インストルメンツ社(カリフォルニア州パロアルト)から市販されている。例えば、α-アミノ基が保護されたアミノ酸を、Gisin (1973) Helv. Chim. Acta 56 : 1467に記載の方法に従って、重炭酸セシウム触媒を用いてクロロメチル化樹脂に連結することができる。
【0053】
最初のカプリング後、α-アミノ保護基は、例えば、有機溶媒中のトリフルオロ酢酸(TFA)または塩酸(HCI)溶液を用いて、室温で除去される。その後、α-アミノ基の保護されたアミノ酸は、支持体に結合して伸長していくペプチド鎖に連続して連結される。α-アミノ保護基は、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基[例えば、ベンジルオキシカルボイル(Cbz)および置換Cbz]、脂肪族ウレタン保護基[例えばt-ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル]、およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリフェニルメチル)、フルオロエニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、および1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル(Dde)を含むペプチドの段階的合成技術において有益であることが知られている基である。
【0054】
側鎖保護基(典型的には、エーテル、エステル、トリチル、PMC等)は、カプリングの間完全に残っており、アミノ末端の保護基の脱保護の間、またはカプリングの間離れない。側鎖保護基は、最終のペプチドの合成完了時に、および標的ペプチドを変化させない反応条件下で、除去可能でなければならない。Tyrの側鎖保護基には、テトラヒドロピラニル、tert-ブチル、トリチル、ベンジル、Cbz、Z-Br-Cbz、および2,5-ジクロロベンジルが含まれる。Aspの側鎖保護基には、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、メチル、エチル、およびシクロヘキシルが含まれる。ThrとSerの側鎖保護基としては、アセチル、ベンゾイル、トリチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、およびCbzをあげることができる。Argの側鎖保護基は、ニトロ、トシル(Tos)、Cbz、アダマンチルオキシカルボニルメシトイルスルホニル(Mts)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、4-メトキシ-2,3,6-トリメチル-ベンゼンスルホニル(Mtr)、またはBocを含む。Lysの側鎖保護基はCbz、2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-Cl-Cbz)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(2-Br-Cbz)、Tos、またはBocを含む。
【0055】
α-アミノ保護基の除去後、残っている保護アミノ酸は、望む順に段階的に連結される。それぞれの保護アミノ酸は、一般に、溶液中、例えば塩化メチレン(CH2Cl2)、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはこれらの混合物中において、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3 テトラメチルウロニウムへキサフルオロリン酸(HBTU)またはジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)などの適切なカルボキシル基活性剤を用いて、約3倍過剰で反応させる。
【0056】
所望のアミノ酸配列が完成した後、所望のペプチドはトリフルオロ酢酸(TFA)またはフッ化水素(HF)などの試薬を用いた処理により、樹脂支持体から脱離され、樹脂からペプチドを切断するだけでなく全ての残存する側鎖の保護基も切断する。クロロメチル化された樹脂が使われるときは、フッ化水素により、遊離のペプチド酸が形成される。ベンズヒドリルアミン樹脂が使われるときは、フッ化水素処理により、遊離のペプチドアミドが直接生じる。あるいは、クロロメチル化された樹脂を使用するときは、側鎖の保護ペプチドを、所望の側鎖の保護アミドを与えるアンモニアを用いた、または側鎖の保護されたアルキルアミドもしくはジアルキルアミドを与えるアルキルアミンを用いた、ペプチド樹脂の処理によって脱離させることができる。側鎖保護は、次に、遊離のアミド、アルキルアミド、またはジアルキルアミドを生ずるフッ化水素を用いた処理による通常の方法で除去される。本発明のエステルを調製する際に、ペプチド酸を調製するために使われた樹脂を使用し、側鎖の保護されたペプチドを塩基と適切なアルコール(例えばメタノール)を用いて切断する。その後、側鎖保護基が、フッ化水素による通常の方法での処理により除去され、所望のエステルが得られる。
【0057】
これらの手順はまた、20個の天然に存在する、遺伝コードされたアミノ酸以外のアミノ酸が、本発明の化合物のいずれかの1、2またはそれ以上の位置で置換されるペプチドを合成するために用いることができる。本発明のペプチドに置換できる合成アミノ酸は、制限されないが、N-メチル、L-ヒドロキシプロピル、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニル、L-δ-ヒドロキシリジルおよびD-δ-メチルアラニルなどのδアミノ酸、L-α-メチルアラニル、βアミノ酸、およびイソキノリルを含む。D-アミノ酸および天然に存在しない合成アミノ酸はまた、本発明のペプチドに組み入れられる。
【0058】
ペプチド修飾
本発明のペプチド化合物のアミノ末端および/またはカルボキシ末端を修飾して本発明の別の化合物を製造することもできる。アミノ末端の修飾には、メチル化(例えば、--NHCH3、または--N(CH3)2)、アセチル化(例えば、酢酸、またはα-クロロ酢酸、α-ブロモ酢酸もしくはα-ヨード酢酸などのそのハロゲン化誘導体を用いたもの)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基の付加、またはRCOO-により定義されるカルボキシレート官能基またはR-SO2-により定義されるスルホニル官能基を含む保護基を用いたアミノ末端の保護が含まれる。ここでRはアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリル等、および類似の基から選択される。また、デスアミノ酸(desamino acid)をN-末端に取り込み(その結果、N-末端アミノ基がなくなる)、プロテアーゼ感受性を減少、またはペプチド化合物のコンホメーションを制限できる。好ましい態様では、N-末端はアセチル化される。特に好ましい態様では、N-末端グリシンはアセチル化され、N-アセチルグリシン(AcG)が得られる。
【0059】
カルボキシ末端の修飾としては、遊離酸のカルボキシアミド基への置換またはカルボキシ末端におけるラクタム環の形成により構造的制限を導入することが含まれる。また、本発明のペプチドを環状化する、またはペプチドの末端にデスアミノ残基またはデスカルボキシル(descarboxy)残基を取り込むことができ、その結果、末端のアミノ基またはカルボキシル基がなくなり、プロテアーゼ感受性が減少、またはペプチドのコンホメーションが制限される。本発明の化合物のC-末端官能基には、アミド基、アミド低級アルキル基、アミドジ(低級アルキル)基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、およびそれらの低級エステル誘導体、ならびにそれらの薬学的に許容される塩類が含まれる。
【0060】
天然に存在する20個の遺伝コードされるアミノ酸(または立体異性のD-アミノ酸)の側鎖を他の側鎖、例えば、アルキル、低級アルキル、4-、5-、6-または7-員環アルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびそれらの低級エステル誘導体、および4-、5-、6-または7-員複素環に置換することができる。特に、プロリン残基の環のサイズが5員から4、6または7員に変化したプロリン類縁体を用いることもできる。環状基は飽和であっても、不飽和であってもよく、不飽和ならば、芳香族であっても、非芳香族であってもよい。複素環基は好ましくは、一つまたはそれ以上の窒素、酸素および/または硫黄のヘテロ原子を含む。そのような基の例としては、フラザニル基、フリル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、モルホリニル基(例えば、モルホリノ基)、オキサゾリル基、ピペラジニル基(例えば、1-ピペラジニル基)、ピペリジル基(1-ピペリジル基、ピペリジノ基)、ピラニル基、ピラジニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリル基、ピリダジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基(例えば、1-ピロリジニル基)、ピロリニル基、ピロリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チエニル基、チオモルホリニル基(例えば、チオモルホリノ)およびチアゾリル基をあげることができる。これらの複素環基は飽和であっても、不飽和であってもよい。基が置換される場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、または飽和もしくは不飽和フェニル基でよい。
ペプチドは、リン酸化および他の方法[例えばHruby, et al.(1990) Biochem J, 268: 249-262に記載]によって容易に改変することもできる。
【0061】
本発明のペプチド化合物はまた、類似の生物学的活性を有する非ペプチド化合物の構造モデルとして機能する。当業者は、リードペプチド化合物と同様または類似の所望の生物活性を有するが、溶解性、安定性ならびに加水分解およびタンパク質分解に対しての感受性について、リードよりも良い活性を有する化合物を構築するための各種技術が得られることを認識する[MorganとGainor(1989)Ann. Rep. Med. Chem. 24:243-252参照]。これらの技術には、ペプチドのバックボーンをホスホネート、アミデート、カルバメート、スルホンアミド、2級アミンおよびN-メチルアミノ酸からなるバックボーンに置換することが含まれる。
【0062】
ジスルフィド結合の形成
本発明の化合物は、1またはそれ以上の分子内ジスルフィド結合を含有し得る。一態様において、ペプチドモノマーまたはダイマーは少なくとも一つの分子内ジスルフィド結合を含有する。好ましい態様では、ペプチドダイマーは二つの分子内ジスルフィド結合を含有する。
【0063】
そのようなジスルフィド結合はペプチドコア配列のシステイン残基の酸化により形成される。一態様において、システインの結合形成の調節は、所望の異性体の形成を最適化するのに有効な型と濃度の酸化剤を選択することにより行われる。例えば、二つの分子内ジスルフィド結合(それぞれのペプチド鎖に一つ)を形成するペプチドダイマーの酸化は、酸化剤がDMSOであるときに、優先的に行われる(分子内ジスルフィド結合の形成全体で)。
【0064】
好ましい態様において、システイン結合の形成は、ペプチド合成時のチオール保護基の選択的使用により調節される。例えば、二つの分子内ジスルフィド結合を有するダイマーが望まれる場合、第一のモノマーペプチド鎖は、第一のチオール保護基[例えば、トリチル基(Trt)、アリルオキシカルボニル基(Alloc)および1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル(Dde)等]で保護されたコア配列の二つのシステイン残基と共に合成され、その後、第二のモノマーペプチドが、第一のチオール保護基とは異なる第二のチオール保護基[例えば、アセトアミドメチル(Acm)、t-ブチル(tBu)等]で保護されたコア配列の二つのシステイン残基と共に合成される。その後、第一のチオール保護基が除去され、第一のモノマーの二硫化環状物が生じ、次に第二のチオール保護基が除去され、第二のモノマーの二硫化環状物が生じる。
【0065】
本発明の他の態様は、硫黄の一つがCH2基または硫黄の他のisotereで置換されているこれらのジスルフィド誘導体の類縁体を提供する。これらの類縁体は本発明の化合物から調製でき、ここでそれぞれのコア配列は少なくとも一つのCまたはホモシステイン残基および第二のC残基の代わりにα-アミノ-γ-酪酸を、当業者に既知の方法を用いて、分子内または分子間置換により含んでいる[例えば、Barkerら(1992)J. Med. Chem. 35: 2040-2048およびOrら(1991)J. Org. Chem. 56: 3146-3149参照]。当業者は容易に、この置換もまたα-アミノ-γ-酪酸とホモシステインの他の同族体を用いて生じさせることができることを理解できるであろう。
【0066】
前記の環状化の戦略に加え、他の非ジスルフィドペプチド環状化戦略を採用することができる。そのような環状化の変法には、例えば、アミド環状化戦略、ならびにチオ-エーテル結合の形成を含む方法があげられる。それゆえ、本発明の化合物は、分子内アミド結合または分子内チオ-エーテル結合をもつ環状化形態で存在することができる。例えば、コア配列の一つのシステイン残基がリジンに置換され、第二のシステインがグルタミン酸に置換されているようなペプチドを合成することができる。その後、環状化モノマーが、これら二つの残基の側鎖間のアミド結合により形成される。あるいは、コア配列の一つのシステインがリジンに置換されたペプチドを合成できる。その後、環状化モノマーは、リジン残基の側鎖とコア配列の第二のシステイン残基との間のチオ-エーテル結合により形成され得る。こうして、ジスルフィド環状化戦略に加えて、アミド環状化戦略とチオエーテル環状化戦略を共に、本発明の化合物を環状化するために容易に用いることができる。あるいは、ペプチドのアミノ末端を、α-置換された酢酸でキャップすることができる。ここで、α-置換基はα-ハロ酢酸、例えばα-クロロ酢酸、α-ブロモ酢酸またはα-ヨード酢酸などの離脱基である。
【0067】
リンカーの付加
ペプチドダイマーがリンカーLk部分によりダイマー化している態様において、前記リンカーはペプチド合成の間にペプチドに取り込まれる。例えば、リンカーLk部分が、ペプチド合成のための開始部位として作用できる二つの官能基と、他の分子部分に結合できる第三の官能基(例えば、カルボキシル基またはアミノ基)を含む場合、リンカーは固体支持体に結合する。その後、二つのペプチドモノマーは、固相合成法の変法で、リンカーLk部分の二つの反応性窒素基に直接合成される。
【0068】
ペプチドダイマーがリンカーLk部分によりダイマー化している別の態様において、前記リンカーは、ペプチド合成後に、ペプチドの二つのペプチドモノマーに結合することができる。そのような結合体は、当該分野で十分確立された方法により達成することができる。一態様において、リンカーは、合成されたペプチドモノマーの標的官能基への結合に適している少なくとも二つの官能基を含む。例えば、二つの遊離アミン基をもつリンカーは二つのペプチドモノマーのそれぞれのC-末端カルボキシル基と反応し得る。別の例では、予め活性化されているか、適当なカプリング試薬の存在下で二つのカルボキシル基を含むリンカーは、二つのペプチドモノマーのそれぞれのN-末端もしくは側鎖のアミン基、またはC-末端リジンアミドと反応し得る。
【0069】
スペーサーの付加
ペプチド化合物がスペーサー部分を含む態様において、前記スペーサーはペプチド合成の間にペプチドに取り込まれる。例えば、スペーサーが、遊離アミノ基と別の分子部分へ結合できる第二の官能基(例えば、カルボキシル基またはアミノ基)を含む場合、スペーサーは固体支持体に結合される。その後、ペプチドは標準的な固相法により、スペーサーの遊離アミノ基上に直接合成される。
【0070】
好ましい態様において、二つの官能基を含むスペーサーは、最初に第一の官能基を介して固体支持体に結合される。次に、ペプチド合成の開始部位として機能できる二つの官能基および他の分子部分に結合できる第三の官能基(例えば、カルボキシル基またはアミノ基)を有するリンカーLk部分は、スペーサーの第二の官能基とリンカーの第三の官能基を介してスペーサーに結合する。その後、二つのペプチドモノマーは、リンカーLk部分の二つの反応性窒素基上に、固相合成技術の変法で直接合成される。例えば、遊離のアミン基を持つ固体支持体と結合したスペーサーは、リンカーの遊離のカルボキシル基を介してリジンリンカーと反応する。
【0071】
ペプチド化合物がスペーサー部分を含む別の態様では、前記スペーサーはペプチド合成後にペプチドに結合される。そのような結合体を当分野で十分確立した方法により達成することができる。一態様において、リンカーは、合成されたペプチドの標的官能基に結合させるのに適している少なくとも一つの官能基を含む。例えば、遊離アミン基を有するスペーサーはペプチドのC-末端カルボキシル基と反応できる。別の例では、遊離のカルボキシル基をもつリンカーは、ペプチドのN末端のまたはリジン残基の遊離のアミン基と反応できる。またさらに別の例では、遊離スルフィドリル基を含むスペーサーは、酸化によりペプチドのシステイン残基と結合し、ジスルフィド結合を形成する。
【0072】
水溶性ポリマーの結合
近年、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)が、治療および診断上重要なペプチドの共有結合による改変に用いられてきている。そのようなポリマーの結合は、生物学的活性を高め、血液循環時間を延長し、免疫原性を減少し、水溶性を増加し、プロテアーゼ消化への耐性を高めると考えられている。例えば、治療用タンパク質、例えばインターロイキン類(Knaufら、(1988) J. Biol. Chem.、263;15,064;Tsutsumiら、(1995) J. Controlled Release、33;447)、インターフェロン類(Kitaら、(1990) Drug Des. Delivery、6:157)、カタラーゼ(Abuchowskiら、(1977) J. Biol. Chem.、252: 582)、スーパーオキシド ディスムターゼ(Beauchampら、(1983) Anal. Biochem.、131:25)、およびアデノシンデアミナーゼ(Chenら、(1981) Biochim. Biophy. Acta、660:293)へのPEGの共有結合は、生体内での半減期を延長し、および/またはその免疫原性および抗原性を減少させることが報告されている。
【0073】
本発明のペプチド化合物はさらに、一つまたはそれ以上の水溶性ポリマー部分を含有し得る。好ましくは、これらのポリマーはペプチド化合物に共有結合している。水溶性ポリマーは例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸のコポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールのホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドのコポリマー、およびポリオキシエチレン化ポリオールである。好ましい水溶性ポリマーはPEGである。
【0074】
本発明のペプチド、ペプチドダイマーおよび他のペプチド系分子は、水溶性ポリマーを該分子の受容体結合部(例えば、ペプチド+スペーサー)につなげる各種化学構造のいずれかを用いて、水溶性ポリマー(例えばPEG)に結合することができる。典型的な態様は、水溶性ポリマーが受容体結合部に共有結合するために、単一の結合接合部を用いるが、別の態様では、異なる種の水溶性ポリマーが、別の結合接合部(スペーサーとの、および/またはスペーサーまたは両方のペプチド鎖との共有結合接合部を含む)で、受容体結合部に結合するような、さらなる変種を含む複数の結合接合部が用いられる。いくつかの態様では、ダイマーまたは高次マルチマーは異なる種のペプチド鎖(すなわち、ヘテロダイマーまたは他のヘテロマルチマー)を含有する。一例であって、これに限られないが、ダイマーはPEG結合接合部を有する第一のペプチド鎖と、PEG結合接合部を欠くか、第一のペプチド鎖とは異なる結合化学構造を用いる第二のペプチド鎖を含有し、いくつかの変法では、スペーサーはPEG結合接合部を含むか、またはこれを欠き、前記スペーサーは、PEG化されていれば、第一および/または第二のペプチド鎖のものとは異なる結合化学構造を利用することができる。さらなる態様は、受容体結合部のスペーサー部分に結合するPEG、および分子のペプチド部分のアミノ酸の一つの側鎖に結合する異なる水溶性ポリマー(例えば、炭水化物)を利用する。
【0075】
多種のポリエチレングリコール(PEG)類を、受容体結合部(ペプチド+スペーサー)のPEG化に用いることができる。実質的に、適切な任意の反応性PEG試薬を用いることができる。好ましい態様では、反応性PEG試薬は、受容体結合部への接合によりカルバメート結合またはアミド結合を形成する。適当な反応性PEG類には、NOF社(〒150-6019 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー)の薬物送達システムカタログ(2003)およびネクター・セラピューティクス(35806 アラバマ州ハンツビル ディスカバリードライブ490)の分子工学技術カタログ(2003)で市販されているものが含まれるが、これらに限定されない。例えば、限定されないが、次のPEG試薬を、各種態様でしばしば好ましく用いられる:mPEG2-NHS、mPEG2-ALD、マルチアームPEG、mPEG(MAL)2、mPEG2(MAL)、mPEG-NH2、mPEG-SPA、mPEG-SBA、mPEG-チオエステル、mPEG-ダブルエステル、mPEG-BTC、mPEG-ButyrALD、mPEG-ACET、ヘテロ官能基PEG類(NH2-PEG-COOH、Boc-PEG-NHS、Fmoc-PEG-NHS、NHS-PEG-VS、NHS-PEG-MAL)、PEGアクリレート類(ACRL-PEG-NHS)、PEG-リン脂質(例えば、mPEG-DSPE)、当業者により選択された化学物質により活性化されたグリセリン系PEGのGLシリーズを含むサンブライト(SUNBRITE)シリーズのマルチアームPEG、SUNBRITE活性化PEG(限定はされないが、カルボキシル-PEG、p-NP-PEG、トレシル-PEG、アルデヒドPEG、アセタール-PEG、アミノ-PEG、チオール-PEG、マレイミド-PEG、ヒドロキシル-PEG-アミン、アミノ-PEG-COOH、ヒドロキシル-PEG-アルデヒド、カルボン酸無水物型PEG、機能化PEG-リン脂質および他の類似および/または特定の応用と使用について当業者により選択された適切な反応性PEG類を含む)。
【0076】
ポリマーはいずれの分子量でもよく、分枝があってもなくてもよい。本発明に使用されるPEGは、直鎖状で分枝のないPEGを含有し、約20キロダルトン(20K)〜約40Kの分子量を有する(用語「約」はPEGの調製品において、ある分子は記載の分子量よりも大きく、ある分子は記載の分子量よりも小さいことを示す)。最も好ましくは、PEGは約30K〜約40Kの分子量を有する。所望の治療のためのプロファイル(例えば、所望の徐放時間;もしあれば、生物学的活性に対する効果;取り扱いの容易さ;抗原性の程度または欠如;および治療ペプチドに対する他の既知のPEGの効果等)を考慮して、他のポリマーサイズを選択することができる。
【0077】
結合するポリマー分子は変えることができる;例えば、1、2、3、それ以上の水溶性ポリマーを本発明のEPO-Rアゴニストペプチドに結合し得る。結合した複数のポリマーは、同一または異なる化学部分であってよい(例えば、異なる分子量のPEG)。いくつかの場合では、ポリマー結合の程度(ペプチドに結合したポリマー部分の数、および/またはポリマーが結合したペプチドの総数)は、結合反応におけるポリマー分子のペプチド分子に対する比率、ならびに、反応混合物中のそれぞれの合計濃度に影響を受ける。一般に、(過剰でない未反応のペプチドおよび/またはポリマー部分に提供される反応効率という点からの)最適ポリマー対ペプチド比は、所望のポリマー結合の程度(例えば、モノ-、ジ-、トリ-等)、選択したポリマーの分子量、ポリマーが分枝しているか否か、特定の結合方法のための実験条件などの因子により決定される。
【0078】
好ましい態様において、共有結合した水溶性ポリマーはPEGである。例示の目的で、PEGの共有結合(PEG化)の方法の例を以下に記載する。これらの例示記載は限定を意図するものではない。当業者は、広範囲の水溶性ポリマーを共有結合する各種の方法が当該分野では十分に確立していることを理解するであろう。したがって、当分野において既知の多くの結合方法のいずれかにより当該分野で既知の多くの水溶性ポリマーのいずれかを結合したペプチド化合物は、本発明に包含される。
【0079】
一態様において、PEGは二つのペプチドモノマーをダイマー化するリンカーとして機能する。一態様では、PEGはペプチドモノマーまたはダイマーの少なくとも一端(N-末端またはC-末端)に結合する。別の態様では、PEGはペプチドモノマーまたはダイマーのスペーサー部分に結合する。好ましい態様では、PEGはペプチドダイマーのリンカー部分に結合する。高度に好ましい態様では、PEGはスペーサー部分に結合し、前記スペーサー部分はペプチドダイマーのモノマーを連結するリンカーLk部分に結合する。最も好ましくは、PEGはスペーサー部分に結合し、前記スペーサー部分はリジンリンカーのカルボニル炭素、またはリジンアミドリンカーのアミド窒素を介してペプチドダイマーに結合する。
【0080】
当業者に入手可能な多くのPEG結合方法がある[例えば、Goodsonら(1990)Bio/Technology 8: 343(部位特異的突然変異誘発後のグリコシル化部位におけるインターロイキン-2のPEG化);EP 0 401 384(PEGとG-CSFとのカプリング);Malikら(1992)Exp. Hematol. 20: 1028-1035(トレシルクロリドを用いたGM-CSFのPEG化);PCT公開番号WO 90/12874(システイン特異的mPEG誘導体を用いて組換え導入したシステイン残基を含むエリスロポエチンのPEG化);米国特許第5,757,078号(EPOペプチドのPEG化);および米国特許第6,077,939号(ペプチドのN-末端α-炭素のPEG化)を参照]。
【0081】
例えば、PEGは反応基を介してアミノ酸残基に共有結合することができる。反応基は活性化PEG分子が結合し得る基である(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)。例えば、N-末端アミノ酸残基とリジン(K)残基は遊離のアミノ基を有し;そしてC-末端アミノ酸残基は遊離のカルボキシル基を有する。スルフィドリル基(例えば、システイン残基上に見出されるもの)もまた、PEG結合のための反応基として用いることができる。加えて、ポリペプチドのC-末端に特異的に活性基(例えば、ヒドラジド基、アルデヒド基および芳香族アミノ基)を導入するための酵素介助法が記載されている[Schwarzら(1990)Methods Enzymol.184: 160;Roseら(1991)Bioconjugate Chem. 2: 154;Gaertnerら(1994)J. Biol. Chem. 269: 7224]。
【0082】
例えば、PEG分子は、異なる反応部分を有するメトキシ化PEG(「mPEG」)を用いてアミノ基に結合させることができる。そのようなポリマーには、mPEG-スクシンイミジルスクシネート、mPEG-スクシンイミジルカーボネート、mPEG-イミデート、mPEG-4-ニトロフェニルカーボネート、およびmPEG-塩化シアヌルが含まれる。
【0083】
PEGの結合が非特異的であり、特異的なPEG結合を含むペプチドが望まれる場合、目的のPEG化化合物はPEG化化合物の混合物から精製し得る。例えば、N-末端PEG化ペプチドが所望されるならば、N-末端PEG化型はランダムにPEG化されたペプチドの集団から精製(すなわち、この部分を他のモノPEG化部分から分離)することができる。
【0084】
好ましい態様において、PEGは部位特異的にペプチドに結合する。成長ホルモン放出因子の強いアナログのN-末端、側鎖およびC-末端の部位特異的PEG化は、固相合成により実施されている[Felixら、(1995)Int. J. Peptide Protein Res. 46: 253]。別の部位特異的な方法には、N-末端スレオニンの過ヨウ素酸ナトリウム酸化により生ずるN-末端の反応性アルデヒド基を介した部位特異的方法で、リポソーム表面に植えつけたPEG鎖の先端にペプチドを結合する方法をあげることができる [Zalipskyら(1995)Bioconj. Chem. 6: 705]。しかし、この方法はN-末端にセリン残基またはスレオニン残基を有するポリペプチドに限定される。ヒドラゾン、還元ヒドラゾン、オキシム、または還元オキシム結合を介した、ペプチドのN末端PEG化のための他の部位特異的方法は、Weiらへの米国特許第6,077,939号に記載されている。
【0085】
一方法において、選択的N-末端PEG化は、特定のタンパク質の誘導体化について利用可能な異なる型の主要なアミノ基(リジン対N-末端)の示差的反応性を利用する還元アルキル化によって達成され得る。適切な反応条件下で、PEGを含むカルボニル基はペプチドのN-末端に選択的に結合する。例えば、ペプチドのリジン残基のε-アミノ基とN-末端のα-アミノ基との間のpKaの違いを生かすpHで反応を行うことにより、タンパク質のN-末端を選択的にPEG化することができる。そのような選択的結合により、他の反応基(例えば、リジン側鎖のアミノ基)を有意に修飾することなく、PEG化が主としてタンパク質のN-末端で起きる。還元アルキル化を用いて、PEGはタンパク質をカプリングするために単一の反応性アルデヒドを有するべきである(例えば、PEGプロピオンアルデヒドが用いられる)。
【0086】
部位特異的突然変異誘発は、部位特異的ポリマー結合をペプチドにさせるために用いられるさらなるアプローチである。この方法により、ペプチドのアミノ酸配列は、適当な反応基をペプチド内の目的の位置へ取り込むようにデザインされる。例えば、WO 90/12874は、システイン残基の挿入、またはシステイン残基への他の残基の置換により修飾されたタンパク質の部位特異的PEG化を記載している。この公報はまた、EPOに組換え的に導入されたシステイン残基を用いてシステイン特異的mPEG誘導体を反応させることによるmPEG-エリスロポエチン(「mPEG-EPO」)の調製を記載している。
【0087】
PEGがスペーサー部分またはリンカー部分に結合する場合、類似した結合方法を用いることができる。この場合、リンカーまたはスペーサーは反応基を含み、適当な相補的な反応基を含む活性化PEG分子が、共有結合を生じるために用いられる。好ましい態様において、リンカーまたはスペーサーの反応基は末端アミノ基を含み(すなわち、リンカーまたはスペーサーの末端に位置し)、これは適当に活性化されたPEG分子と反応して、アミドまたはカルバメートなどの安定な共有結合を形成する。適当な活性化PEG類としては、限定はされないが、mPEG-パラ-ニトロフェニルカーボネート(mPEG-NPC)、mPEG-スクシンイミジルカーボネート(mPEG-SC)、およびmPEG-スクシンイミジルプロピオネート(mPEG-SPA)をあげることができる。他の好ましい態様において、リンカーまたはスペーサーの反応基は、適当な反応条件下でアミン含有PEG分子と共有結合を形成するために、活性化能を有するカルボキシル基を含む。適当なPEG分子にはmPEG-NH2が含まれ、適当な反応条件にはカルボジイミド媒介アミド形成等が含まれる。
【0088】
EPO-Rアゴニスト活性アッセイ
インビトロ機能アッセイ
インビトロ競合結合アッセイは、試験ペプチドのEPO-Rへの結合に対するEPOとの競合能を定量する。例えば(例えば、米国特許第5,773,569号に記載されているように)、ヒトEPO-Rの細胞外ドメイン(EPO結合タンパク質、EBP)は、大腸菌で組換えにより製造し、組換えタンパク質を固体支持体、例えばミクロタイターディッシュまたは合成ビーズに結合させることができる[例えば、ピアスケミカル社(イリノイ州ロックフォード)のスルホリンクビーズ(Sulfolink beads)]。その後、固定化EBPを標識組換えEPOと、または標識組換えEPOおよび試験ペプチドとインキュベートする。試験ペプチドの連続希釈液をそのような実験に用いる。試験ペプチドを添加しないアッセイの点をEBPへのEPOの全結合と定義する。試験ペプチドを含む反応について、結合EPO量を定量し、対照(合計=100%)の結合に対する割合として表す。これらの値をペプチド濃度に対してプロットする。IC50値は、EPOのEBPに対する結合を50%に減少する(すなわち、EPO結合の50%阻害)試験ペプチド濃度として定義される。
【0089】
別のインビトロ競合結合アッセイは、二つのビーズ:EPO結合ビーズとEPO-R結合ビーズとの近接作用として生じる光シグナルを測定する。ビーズの近接は、EPOのEPO-Rへの結合により生じる。EPO-Rへの結合に対してEPOに競合する試験ペプチドは、この結合を阻害し、発光の減少を引き起こす。発光の50%減少をもたらす試験ペプチド濃度をIC50値として定義する。
【0090】
本発明のペプチドはEPO-Rへの結合に対してEPOに非常に効率的に競合する。この増強した機能は、実質的により低いペプチド濃度でのEPOの結合を阻害する能力により表される(すなわち、非常に低いIC50値を有する)。
【0091】
EPO受容体に特異的に結合する、本発明のモノマーおよびダイマーペプチドEPO-Rアゴニストの生物学的活性および効力は、インビトロで細胞ベースの機能アッセイを用いて測定することができる。
【0092】
一つのアッセイは、ヒトEPO-Rを発現し、さらにfosプロモーターで駆動するルシフェラーゼ レポーター遺伝子構築物でトランスフェクトしたマウスの前B細胞株に基づくものである。EPOまたは他のEPO-Rアゴニストに曝されると、そのような細胞は応答してルシフェラーゼを合成する。ルシフェラーゼはその基質であるルシフェリンの添加により発光を生ずる。それゆえ、そのような細胞におけるEPO-R活性化のレベルはルシフェラーゼ活性の測定により定量できる。試験ペプチドの活性は、試験ペプチドの連続希釈液を細胞に添加し、次に4時間インキュベートすることにより測定される。インキュベーション後、ルシフェリン基質を細胞に加え、発光を測定する。最大発光の半分が得られた試験ペプチド濃度をEC50として記録する。
【0093】
本発明のペプチドは、本アッセイにおいて、EPO-Rシグナル伝達に依存したルシフェラーゼ発現を促進するための劇的に増強した能力を示す。この増強した機能は、実質的により低いペプチド濃度での最大ルシフェラーゼ活性の半分を得る能力により表される(すなわち、非常に低いEC50値を有する)。このアッセイは、本発明のEPO-Rアゴニストペプチドの効力と活性を評価するのに好ましい方法である。
【0094】
別のアッセイをFDC-P1/ER細胞を用いて実施できる[Dexterら、(1980)J. Exp. Med. 152: 1036-1047]。この細胞は、EPO-Rが安定的にトランスフェクトされた、十分に特性が調べられた、非形質転換の、マウス骨髄由来の細胞株である。これらの細胞はEPO依存性の増殖を示す。
【0095】
一つのそのようなアッセイにおいて、必要な成長因子(例えば、米国特許第5,773,569号に記載)存在下で、定常密度の半分まで細胞を成育させる。次に細胞をPBSで洗浄し、成長因子不含の完全培地中に16-24時間飢餓状態に置く。細胞の生存率を測定した(例えば、トリパンブルー染色による)後に、ストック溶液(成長因子を含まない完全培地)で、50 μLあたり約105個の細胞に調製する。試験されるペプチドEPO-Rアゴニスト化合物(典型的には、ファージ結合もしくは他の結合または固定化ペプチドとは反対に、遊離の、液相ペプチド)の連続希釈液を、ウェルあたり最終容量50 μLで、96ウェル組織培養プレートに調製する。細胞(50 μL)をそれぞれのウェルに添加し、細胞を24-48時間培養する。この時点で、陰性対照は死滅期または静止期である。次に、細胞増殖を当業者に既知の方法、例えば、細胞増殖の指標としてH3-チミジンの取り込みを測定する、MTTアッセイ[Mosmann (1983) J. Immunol. Methods 65: 55-63参照]により、測定する。ペプチドはEPO-R発現細胞株と親の非発現細胞株の両方で評価される。最大の細胞増殖の2分の1となるのに必要な試験ペプチド濃度をEC50として記録する。
【0096】
本発明のペプチドは、このアッセイにおいて、EPO依存性の細胞増殖を促進するための劇的に増強した能力を示す。この増強された機能は、ペプチドの実質的により低い濃度において、最大細胞増殖刺激活性の半分を示す能力により表されている(すなわち、非常に低いEC50値を有する)。このアッセイは、本発明のEPO-Rアゴニストペプチドの効力と活性を評価するための好ましい方法である。
【0097】
別のアッセイでは、細胞は、EPOを補完した培地中で定常期まで増殖させ、回収し、次にEPO不含の培地でさらに18時間培養する。細胞を同一の細胞密度の三つの群に分ける:一群は因子を加えない群(陰性対照)、一群はEPOを加えた群(陽性対照)、および試験ペプチドを加える実験群である。培養した細胞を各種の時間点で回収し、固定し、DNA結合性蛍光染料(例えば、プロピジウムアイオダイドまたはヘキストダイ、両者ともSigmaから入手可能)で染色する。蛍光を例えばFACSスキャンフローサイトメーターを用いて測定する。細胞周期のそれぞれの相にある細胞の割合を、例えばCellFITソフトウェアのSOBRモデル(べクトンディキンソン)を用いて決定する。EPOまたは活性ペプチドで処理した細胞は、陰性対照群に比べ(DNA含量の増加の指標として蛍光の増加を測定すると)、細胞の多くの割合がS期を示すであろう。
【0098】
類似のアッセイを、FDCP-1細胞株[例えば、Dexter et al. (1980) J. Exp. Med. 152: 1036-1047参照]、またはTF-1細胞株[Kitamura, et al. (1989) Blood 73: 375-380]を用いて実施することができる。FDCP-1は、WEHI-3ならし培地(IL-3を含む培地、ATCC番号TIB-68)を補完すると、増殖できるが分化しない、成長因子依存性マウス多能性始原造血前駆細胞株である。そのような実験のために、FDCP-1細胞株をヒトまたはマウスEPO-Rでトランスフェクトし、EPO存在下で増殖できるが分化しない、それぞれFDCP-1-hEPO-R細胞株またはFDCP-1-mEPO-R細胞株を作出する。EPO依存性細胞株であるTF-1もまた、細胞増殖に対するペプチドEPO-Rアゴニストの効果を測定するために用いることができる。
【0099】
また別のアッセイにおいて、Krystal(1983)Exp. Hematol 11: 649-660に記述した、脾臓細胞へのH3-チミジン取り込みに基づくミクロアッセイのため手順を、EPOアゴニストとして機能する本発明の化合物の能力を確かめるために用いることができる。簡単にいうと、B6C3F1マウスにフェニルヒドラジン(60 mg/kg)を2日間毎日注射する。3日目に、脾臓細胞を摘出し、24時間までの増殖能を、MTTアッセイを用いて確かめる。
【0100】
エリスロポエチン応答細胞株におけるEPOのEPO-Rへの結合は、Shc、vav、およびJAK2キナーゼを含む、受容体と多くの細胞内タンパク質の両方にチロシンリン酸化を引き起こす。従って、別のインビトロアッセイは、EPO-Rおよび下流の細胞内シグナル伝達タンパク質のチロシンリン酸化を引き起こす本発明のペプチドの能力を測定する。上述の結合および増殖アッセイにより同定されるとおり、活性ペプチドは、エリスロポエチン応答細胞におけるEPOのリン酸化パターンと同一のパターンを引き出す。このアッセイのため、FDC-P1/ER細胞[Dexter, et al. (1980) J Exp Med 152: 1036-47]をEPO補完培地中で維持し、定常期まで増殖させる。これらの細胞をその後、24時間EPO不含の培地で培養する。一定数のそのような細胞をその後、約10分間37℃で、試験ペプチドとともにインキュベートする。EPOを用いた細胞の対照試料もまたそれぞれのアッセイで実施される。処理細胞を次に遠心分離によって回収し、SDS溶解バッファに再懸濁し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかける。ゲル中の電気泳動されたタンパク質をニトロセルロースに移し、ブロット上のホスホチロシンを含むタンパク質を標準的な免疫学技術により視覚化する。例えば、ブロットを抗ホスホチロシン抗体(例えば、アップステート・バイオテクノロジー社のマウス抗ホスホチロシンIgG)でプローブし、洗浄し、次いで、2次抗体[例えば、Kirkegaard & Perry Laboratories(ワシントンDC)のペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG]を用いてプローブする。その後、ホスホチロシンを含むタンパク質を比色法、化学発光法、または蛍光アッセイを含む標準的技術により視覚化する。例えば、化学発光アッセイは、アマシャムのECLウェスタンブロッティングシステムを用いて実施することができる。
【0101】
本発明のペプチドの活性を評価するために用いることができる細胞ベースの別のインビトロアッセイは、マウス骨髄またはヒト末梢血細胞を用いたコロニーアッセイを含む。マウス骨髄はマウス大腿部から得、一方、ヒト末梢血の試料は、健康なドナーから得ることができる。末梢血の場合、単核細胞を最初に、例えばフィコール-ハイパック勾配[ステム・セル・テクノロジー社(バンクーバー、カナダ)]を用いた遠心分離により、血液から分離する。このアッセイのために、有核細胞の計数を行い、元の試料中における有核細胞の数と濃度を確立する。一定数の細胞を製造者の指示[ステム・セル・テクノロジー社(バンクーバー、カナダ)]に従って、メチルセルロース上に播く。実験群を試験ペプチドで処理し、陽性対照群はEPOで処理し、陰性対照群は処理を施さない。各群の増殖したコロニーの数を、一定期間のインキュベーション、一般に10日および18日の後に、記録する。活性ペプチドはコロニー形成を促進するであろう。
【0102】
本発明の化合物の活性を示すために用いることができる他のインビトロ生物学的アッセイは、Greenbergerら(1983)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 2931- 2935(EPO依存の造血前駆細胞株);QuelleとWojchowski(1991)J. Biol. Chem. 266: 609-614(B6SUt.EP細胞におけるタンパク質チロシンリン酸化);Dusanter-Fourtら(1992)J. Biol. Chem. 287: 10670-10678(ヒトEPO応答性細胞におけるEPO受容体のチロシンリン酸化);Quelleら(1992)J. Biol. Chem. 267: 17055-17060(FDC-ER細胞におけるサイトゾルタンパク質、pp100のチロシンリン酸化);Worthingtonら(1987)Exp. Hematol. 15: 85-92(ヘモグロビンの比色分析);KaihoとMiuno(1985)Anal. Biochem. 149: 117-120(2,7-ジアミノフルオレンをもつヘモグロビンの検出);Patelら(1992)J. Biol. Chem. 267: 21300-21302(c-mybの発現);Witthuhnら(1993)Cell 74: 227-236(JAK2の会合とチロシンリン酸化);Leonardら(1993)Blood 82: 1071-1079(GATA転写因子の発現);およびAndoら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 9571-9575(D2とD3のサイクリングによるG1移行の調節)に記載されている。
【0103】
ミクロフィジオメーター(microphysiometer)として知られる、モレキュラー・デバイス社によって設計された機器は、各種受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの効果を測定するために首尾よく使うことができることが報告されている。この装置のための基礎は、受容体活性化に応答した細胞外培地の酸性化速度の変化の測定である。
【0104】
インビボ機能アッセイ
試験ペプチドの効力を評価するために用いることができる一つのインビボ機能アッセイは、真性赤血球増加症で、超低酸素症のマウスのバイオアッセイである。このアッセイのために、マウスは数日間、交互に起こる調節サイクルを受ける。このサイクルにおいて、マウスは低圧条件と雰囲気圧条件の間を交互に繰り返される。その後、マウスを、試験試料の投与の2-3日前に雰囲気圧に維持される。試験ペプチド試料または陽性対照マウスではEPO標品を馴化マウスに皮下注射する。放射標識した鉄(例えばFe59)を2日後に投与し、放射標識した鉄の投与後2日間、血液をサンプリングする。次に、ヘマトクリットと放射活性測定を、各血液試料について標準技術により決定する。活性のある試験ペプチドを注射したマウスの血液試料は、試験ペプチドまたはEPOで処理されなかったマウスよりも高い放射活性を示すであろう(赤血球ヘモグロビンによるFe59の結合ため)。
【0105】
試験ペプチドの効力を評価するために用いることができる別のインビボ機能アッセイは、網状赤血球アッセイである。このアッセイのために、正常な未処置のマウスに、EPOまたは試験ペプチドのどちらかを連続3日皮下注射する。3日目に、マウスにまた鉄デキストランを腹腔内注射する。5日目に、血液試料をマウスから回収する。血中の網状赤血球の割合(%)を、チアゾールオレンジ染色とフローサイトメトリー分析(reticカウントプログラム)によって決定する。さらに、ヘマトクリットを手動で測定する。修正された網状赤血球の割合は、以下の式を用いて決定される:
%RETIC(修正)= %RETIC(測定) X (Hematocrit個体/Hematocrit正常)
活性のある試験化合物は、試験ペプチドまたはEPOで処理されなかったマウスに比べ、増加した%RETIC(修正)値を示すであろう。
【0106】
本発明のEPO-Rアゴニストペプチドの用途
本発明のペプチド化合物は、EPOの生産、およびEPO-RへのEPOの結合に影響し、あるいは影響されると考えられる多くの因子(例えば、EPO/EPO-Rシグナル伝達/受容体活性化のメカニズム)の評価を含む、EPOの生物学的役割を理解するためのツールとして、インビトロで有益である。本ペプチドはまた、EPO-Rに結合する他の化合物の開発において有益である。その理由は、本化合物が、その開発を容易にする重要な構造活性相関情報を提供するからである。
【0107】
さらに、本発明のペプチドは、そのEPO-Rへの結合能に基づいて、生細胞上;固定化細胞;体液中;組織ホモジネート中;精製された天然の生体物質中;などのEPO-Rを検出するための試薬として用いることができる。例えば、そのようなペプチドを標識することにより、それらの表面上のEPO-Rを有する細胞を同定することができる。さらに、EPO-Rへの結合能に基づいて、本発明のペプチドはin situ染色、FACS(蛍光活性化セルソーティング)分析、ウェスタンブロッティング、ELISA(固相酵素免疫測定法)などに用いることができる。さらに、EPO-Rへの結合能に基づいて、本発明のペプチドを、受容体の精製または細胞表面上(または透過型細胞の中)にEPO-Rを発現する細胞を精製するのに用いることができる。
【0108】
本発明のペプチドはまた、様々の医学研究および診断目的のために市販の試薬として利用することができる。そのような用途には、限定はされないが、(1) 各種機能アッセイにおける候補EPO-Rアゴニストの活性を定量するための較正標準としての使用;(2) ランダム・ペプチドスクリーニングにおけるブロッキング試薬としての使用、すなわちEPO-Rペプチドリガンドの新規ファミリーを捜す際に、ペプチドは、本発明のEPOペプチドの回復を妨げるために用いることができる;(3) EPO-Rとの共結晶化における使用、すなわち、EPO-Rに結合した本発明のペプチドの結晶が形成され、X線結晶解析によって受容体/ペプチド構造の決定を可能にする;(4) グロビン合成およびヘム複合体合成を誘導し、分化を開始することにより、フェリチン受容体数を増加する、赤血球前駆細胞の能力を測定するための使用;(5) FDCP-1-mEPO-R細胞株およびTF-1細胞株などのEPO依存性細胞株の増殖および生育を維持するための使用;および(6) EPO-Rが好ましくは活性化され、そのような活性化が既知の量のEPO-Rアゴニストに対して便利に較正できるような他の研究および診断用途、等が含まれる。
【0109】
本発明のまた別の局面において、治療方法および医薬の製造方法が提供される。本発明のペプチド化合物は、インビボでEPO-RへのEPOの結合をシミュレートするために、ヒトを含む温血動物に投与される。従って、本発明は、EPOの欠乏に関連した疾患の治療のための方法を包含し、該方法は、EPO-Rを刺激するのに十分な量の発明のペプチドを投与し、インビボでEPOの欠乏と関連した症状を軽減することを含む。例えば、本発明のペプチドは、腎不全、および/または末期腎不全/透析の治療;AIDSに伴う貧血;慢性炎症性疾患(例えば、リウマチ性関節炎および慢性腸炎症)と自己免疫疾患に伴う貧血;および、手術前に患者の赤血球数を高めるための使用ができる。本発明のペプチドの投与により治療され得る他の疾患状態、障害および血液学的不順は以下を含む:ベータサラセミア;嚢胞性繊維症;妊娠と生理不順;未熟児の早期貧血;脊髄の損傷;宇宙旅行;急性の失血;老化;および、異常な赤血球生成に付随する各種腫瘍。
【0110】
他の態様において、本発明のペプチド化合物は、低赤血球または赤血球の欠乏により特徴付けされない疾患の治療、例えば輸血前の前処理に用いることができる。さらに、本発明の化合物の投与により、出血時間が減少し、それゆえ、出血が生じることが予想される、手術前の、あるいはその兆候のある患者への投与に用いることができる。さらに、本発明の化合物は巨核球の活性化に使用することができる。
【0111】
EPOは、コリン作動性中枢ニューロンに対する効果と同様、血管内皮細胞に対する細胞分裂効果および走化性効果を有することが示されているので[例えば、Amagnostouら(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 5978-5982、およびKonishiら(1993)Brain Res. 609: 29-35]、本発明の化合物はまた、各種血管疾患の治療用途、例えば、創傷治癒の促進、副冠状血管の成長の促進(心筋梗塞後に生じるようなもの)、外傷治療、および血管移植後の治療に用いることができる。本発明の化合物はまた、一般に、他の神経活性物質、例えば神経伝達物質と比較して、絶対的な低レベルのアセチルコリンまたは相対的に低レベルのアセチルコリンにより特徴付けられる、各種の神経疾患の治療用途に用いることができる。
【0112】
医薬組成物
本発明の別の局面では、上記EPO-Rアゴニストペプチド化合物の医薬組成物が提供される。そのような組成物の投与により軽減される、または調節される症状には上記のようなものがあげられる。そのような医薬組成物は、経口、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)または皮下注射)、経皮(受身的に、またはイオントフォレーゼもしくはエレクトロポレーションを用いた)、経粘膜(経鼻、経膣、経直腸または舌下)投与経路による、または生物侵食挿入を用いた投与のためのもので、それぞれの投与経路に適した剤形に製剤される。一般に、薬学的に許容されうる希釈剤、防腐剤、溶解剤、乳化剤、助剤および/またはキャリアとともに、本発明のEPO-Rアゴニストペプチドまたは誘導体産物の有効量を含有する医薬組成物が本発明に包含される。そのような組成物には、各種緩衝液内容物(例えば、Tris-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH、およびイオン強度の希釈剤;界面活性剤および溶解剤(例えば、Tween 20、Tween 80、Poysorbate 80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)および充填物質(例えば、ラクトース、マンニトール)等の添加剤;ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の重合化合物の微粒子調剤、またはリポソームへの物質の取り込みが含まれる。ヒアルロン酸もまた用いることができる。そのような組成物は、本タンパク質および誘導体の物理的状態、安定性、インビボの放出速度およびインビボのクリアランスに影響する。例えば、ここに参照して取り込まれる、レミントンの薬剤科学、第18版(1990、マック・パブリッシング・カンパニー、18042、ペンシルベニア州イーストン)、1435-1712ページを参照とする)。組成物は液体の形状で、あるいは乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)の形状で調製される。
【0113】
経口送達
ここでの使用を意図しているのは経口固体剤形であり、これは、ここに参照して取り込まれる、レミントンの薬剤科学、第18版(1990、マック・パブリッシング・カンパニー、18042、ペンシルベニア州イーストン)、第89章に記載されている。固体剤形には、錠剤、カプセル、丸薬、トローチまたはトローチ剤、カプセル、小球、粉末または顆粒が含まれる。リポソームによるカプセル封入またはタンパク質様体によるカプセル封入が本組成物を製剤するために用いられる(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されたタンパク質様ミクロスフェア)。リポソーム・カプセル封入体が用いられ、リポソームは各種ポリマーから誘導される(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療のために可能な固体剤形の記載は、ここに参照して取り込まれる、現代薬剤学(Modern Pharmaceutics)、G.S.BankerとC.T.Rhodes編、第10章(1979)のMarshall, K.によりなされている。一般に、製剤にはEPO-Rアゴニストペプチド(またはその化学修飾体)および、胃の環境から保護し、腸において生物活性物質を放出するために不活性成分を含有する。
【0114】
ここで使用を意図しているのはまた、経口投与のための液体剤形で、薬学的に許容される乳化剤、溶液、懸濁剤およびシロップを含み、不活性希釈剤;湿潤剤、乳化剤および懸濁剤等の助剤;ならびに甘味剤、着香料および香料を含む他の成分を含む。
【0115】
ペプチドは化学的に修飾され、その結果として、誘導体の経口送達が効果的となる。一般に、意図される化学修飾は、少なくとも一つの部分の成分分子自身への結合であり、前記部分は、(a) タンパク質分解の阻害;および(b) 胃または腸からの血流への取り込みを可能にする。成分または成分類の全体的な安定性の増加および体内の循環時間の増加も望まれる。上で議論したように、PEG化は薬剤用途のための好ましい化学修飾である。用いられる他の部分には、プロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレン、ポリ-1,3-ジオキソランおよびポリ-1,3,6-チオキソカンが含まれる[例えば、「薬剤としての酵素」HocenbergとRoberts編(ウィリー-インターサイエンス:ニューヨーク州ニューヨーク)367-383ページのAbuchowskiとDavis(1981)「溶解性ポリマー-酵素アダクト(Soluble Polymer-Enzyme Adducts)」;およびNewmarkら、(1982)J. Appl. Biochem. 4:185-189を参照する]。
【0116】
経口製剤については、放出場所は胃、小腸(十二指腸、空腸または回腸)または大腸である。当業者は、胃で溶けず、十二指腸または腸のどこかで物質を放出するような入手可能な製剤を有している。好ましくは、放出は、ペプチド(または誘導体)の保護、またはペプチド(または誘導体)の放出のいずれかにより、胃環境以外に、例えば腸において、胃環境の有害効果を避けるであろう。
【0117】
胃における十分な耐性を確実にするために、少なくともpH 5.0まで不浸透性のコーティングが必須である。腸溶性コーティングとして用いられるより一般的な不活性成分の例としては、セルロースアセテート・トリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・フタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニルアセテート・フタレート(PVAP)、Eudragit L30D、アクアテリック、セルロースアセテート・フタレート(CAP)、Eudragit L、Eudragit Sおよびシェラックがある。これらのコーティングは混合フィルムとして用いることができる。
【0118】
コーティングまたはコーティングの混合物はまた、錠剤に用いることができるが、胃に対して保護されない。これには糖衣または、錠剤を飲み込みやすくするコーティングが含まれる。カプセルは、乾いた治療剤(すなわち粉末)の送達のために、(ゼラチンのような)ハードシェルからなり、液体剤形には、ソフトゼラチンシェルが用いられる。カプセルのシェル材は厚いデンプンまたは他の食用紙である。丸薬、トローチ剤、成型錠剤または錠剤粉薬には、モイスト・マッシング法(moist massing technique)を用いることができる。
【0119】
ペプチド(または誘導体)を、粒子径約1 mmの顆粒または小球形状の細かい多微粒子として製剤に含むことができる。カプセル投与のための材料の製剤はまた、粉末状の、軽く圧縮したプラグ(plugs)として、または錠剤としてさえありうる。これらの治療剤は圧縮により調製される。
【0120】
着色剤および/または着香料もまた含まれる。例えば、ペプチド(または誘導体)は(例えば、リポソームまたはミクロスフェアのカプセル化により)製剤化され、その後さらに、食用の産物内、例えば着色剤と着香料を含む冷飲料に含有される。
【0121】
不活性物質を用いて、ペプチド(または誘導体)の容量を希釈または増加することができる。これらの希釈剤には、炭水化物、特にマンニトール、α-乳糖、無水乳糖、セルロース、ショ糖、修飾デキストランおよびデンプンが含まれる。カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む特定の無機塩類もまた充填剤として用いることができる。市販の希釈剤のいくつかは、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx 1500、EmcompressおよびAvicellである。
【0122】
錠剤分解物質は、固体剤形中に治療剤の製剤として含まれ得る。錠剤分解物質として用いられる物質は、これに限定されないが、デンプンに基づく市販の錠剤分解物質であるExplotabを含むデンプンである。デンプングリコレート・ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸カルボキシメチルセルロース、カイメンおよびベントナイトは全て用いることができる。錠剤分解物質はまた、不溶性の陽イオン交換樹脂であってもよい。粉末増粘剤が錠剤分解物質および結合剤として用いられ、寒天、カラヤ(Karaya)またはトラガカント等の増粘剤が含まれ得る。アルギン酸およびそのナトリウム塩もまた錠剤分解物質として有用である。
【0123】
結合剤は、ペプチド(または誘導体)剤を保持するとともに硬い錠剤を形成するために用いることができ、アカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチン等の天然産物由来の物質が含まれる。他のものとしては、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)がある。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を共にペプチド(または誘導体)を粒状化するためにアルコール溶液中で用いることができる。
【0124】
減摩剤をペプチド(または誘導体)の製剤に含めて、製剤工程の間の張り付きを防ぐことができる。潤滑剤はペプチド(または誘導体)とダイ壁との間の層として用いられ、これらには、限定はされないが、そのマグネシウム塩およびカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびロウが含まれ得る。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、各種分子量のポリエチレングリコール、カーボワックス(Carbowax)4000および6000等の可溶性潤滑剤もまた用いることができる。
【0125】
製剤中の薬剤の流動性を改善する流動促進剤は、圧縮の間の再配列を助けるために添加することができる。流動促進剤には、デンプン、タルク、発熱性シリカおよび水和ケイアルミン酸塩が含まれ得る。
【0126】
ペプチド(または誘導体)の水性環境への溶解を助けるために、界面活性剤を湿潤剤として添加し得る。界面活性剤には、陰イオン界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムが含まれ得る。陽イオン界面活性剤を用いてもよく、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトミウムが含まれる。界面活性剤として製剤中に含まれ得る潜在的な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴル400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート 40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独で、または異なる比の混合物として、タンパク質または誘導体の製剤中に存在している。
【0127】
ペプチド(または誘導体)の取り込みを潜在的に促進する添加剤は例えば、脂肪酸である、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸である。
【0128】
制御放出の経口製剤が望ましい。ペプチド(または誘導体)は、拡散または浸出機構のいずれかにより放出させる不活性マトリックス、例えば増粘剤に組み込むことができる。ゆっくり変化するマトリックスもまた製剤中に取り込んでもよい。いくつかの腸溶性もまた、遅延放出効果を有する。制御放出の別の形態はオロス・セラピューティック・システム(Oros Therapeutic System)(Alza社)に基づく方法によるものである、すなわち薬剤は、浸透圧効果のために単一の小孔を通って、水が入り、薬剤が押し出される半透膜中に封入される。
【0129】
他のコーティングは製剤に用いられる。これらにはコーティングパンに応用される各種の糖が含まれる。ペプチド(または誘導体)もまた、フィルムコートした錠剤に加えられ、この例で用いられる物質は二つの群に分けられる。第一は非腸溶性物質で、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ-エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース、カルボキシ-メチルセルロース・ナトリウム、プロビドンおよびポリエチレングリコールが含まれる。第二の群は通常フタル酸のエステルである腸溶性物質からなる。
【0130】
物質の混合は、最適フィルムコーティングを提供するのに使用し得る。フィルムコーティングはパンコーターまたは流動床で、あるいは圧縮コーティングにより行ってもよい。
【0131】
非経口送達
本発明による非経口投与のための製剤には、滅菌した水性または非水性の溶液類、懸濁剤または乳化剤が含まれる。非水性溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油およびコーン油、ゼラチン、およびエチルオレアート等の注射可能な有機エステルである。そのような剤形はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の助剤を含み得る。それらは例えば、細菌保持フィルターを通した濾過により、組成物に滅菌した剤を取り込むことにより、組成物を放射線照射することにより、あるいは組成物を加熱することにより滅菌できる。それらはまた、使用直前に滅菌水または他の滅菌した注射溶剤を用いて製造することができる。
【0132】
直腸または膣送達
直腸または膣投与のための組成物は好ましくは、有効成分に加え、カカオバターまたは坐剤ロウ等の賦形剤を含む坐剤である。経鼻または舌下投与のための組成物もまた、当業者に周知の標準的な賦形剤を用いて調製される。
【0133】
肺送達
EPO-Rアゴニストペプチド(またはその誘導体)の肺送達も本発明において意図される。ペプチド(または誘導体)は吸入の間に哺乳動物の肺に送達され、肺上皮層から血流へ行き来する[例えば、Adjeiら(1990)Pharmaceutical Research 7: 565-569 ; Adjeiら(1990)Int. J. Pharmaceutics 63: 135-144(酢酸ロイプロリド);Braquetら(1989)J. Cardiovascular Pharmacology 13(sup5): 143-146(エンドセリン-1); Hubbardら(1989)Annals of Internal Medicine, Vol.III, pp. 206-212(α1-アンチトリプシン);Smithら(1989)J. Clin. Invest. 84: 1145-1146(α-l-プロテイナーゼ); Osweinら(1990)「タンパク質のエアゾール化("Aerosolization of Proteins")」、肺薬剤送達に関するシンポジウムIIの紀要(Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II)コロラド州キーストーン(組換えヒト成長ホルモン);Debsら(1988)J. Immunol.140: 3482-3488(インターフェロン-γおよび腫瘍壊死因子α);およびPlatzらの米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を参照]。全身的効果のための肺への薬剤送達の方法および組成物については、Wongらの米国特許第5,451,569号に記載されている。
【0134】
治療薬の肺への送達のためにデザインされた様々な機械装置はこの発明の実施における使用のために意図され、限定はされないが、噴霧器、定量吸入器、および粉吸入器を含み、そのすべては当業者に熟知されている。本発明の実施に適している市販の装置のいくつかの特定の例としては、ウルトラベント噴霧器(Ultravent nebulizer)(Mallinckrodt Inc.、ミズーリ州セントルイス);Acorn II噴霧器(Marquest Medical Products、コロラド州エングルウッド);ベントリン(Ventolin)定量吸入器(Glaxo Inc.、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク);およびスピンへーラー粉吸入器(Spinhaler)(Fisons Corp.、マサチューセッツ州べドフォード)がある。
【0135】
そのような全ての装置は、ペプチド(または誘導体)の投与に適した製剤の使用が必要である。典型的には、それぞれの製剤は用いられる装置の型に特異的で、治療に有用な通常の希釈剤、助剤および/またはキャリアに加え、適当な推進剤物質の使用を含めることができる。また、リポソーム、ミクロカプセルまたはミクロスフェア、包接錯体または他の型のキャリアの使用も意図される。化学修飾ペプチドも、化学修飾の型または用いる装置の型に依存して、異なる製剤に調製することができる。
【0136】
ジェットまたは超音波、いずれの噴霧器の使用にも適している製剤は、典型的には、溶液mLあたり約0.1〜25 mgの生物学的活性のあるタンパク質の濃度で水に溶解したペプチド(または誘導体)を含有する。製剤はまた、緩衝液および単糖を(例えば、タンパク質の安定化および浸透圧調節のため)含めてもよい。噴霧器製剤はまた、エアゾール形成時に溶液が噴霧化することにより引き起こされるペプチド(または誘導体)の表面に誘導される凝集を減少する、または防止するために、界面活性剤を含むことができる。
【0137】
定量吸入装置の使用のための製剤は一般に、界面活性剤と共に推進剤に懸濁したペプチド(または誘導体)を含む微粉末を含有する。推進剤は、この目的に用いられる従来からの物質で、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはヒドロカーボン、またはそれらの組み合わせである。適した界面活性剤には、ソルビタン・トリオレアートおよびダイズレシチンが含まれる。オレイン酸もまた界面活性剤として有用である。
【0138】
粉吸入装置から投薬される製剤には、ペプチド(または誘導体)を含む微細乾燥粉末を含有し、装置からの粉末の投薬が容易になる量、例えば製剤重量の50〜90%で、乳糖、ソルビトール、ショ糖またはマンニトール等の充填剤を含めることができる。ペプチド(または誘導体)は、最も好都合には、末梢肺に最も効率よく送達するために、平均粒子径10 mm(またはミクロン)以下、最も好ましくは0.5〜5 mmの微粒子で調製される。
【0139】
経鼻送達
EPO-Rアゴニストペプチド(または誘導体)の経鼻送達もまた意図される。経鼻送達は、鼻への治療薬の投与後、肺への薬剤の堆積の必要なしに、ペプチドを直接血流に入れるものである。経鼻送達用製剤にはデキストランまたはシクロデキストランを用いた製剤が含まれる。
【0140】
用量
全てのペプチド化合物について、さらに研究するために、各種患者の各種症状の治療のための適切な用量レベルに関する情報が明らかとなり、当業者は、レシピエントの治療の状況、年齢、および一般的な健康を考慮し、適正な投与を確定できる。選択された用量は所望の治療効果、投与経路および所望の治療期間に依存する。一般的には、1日体重1 kg当り0.001〜10 mgの用量レベルが哺乳動物に投与される。一般的には、静脈内注射または輸液のため、用量を減らしてもよい。投薬の計画は循環半減期および用いられる製剤に依存して変化し得る。
【0141】
本発明のペプチド(またはその誘導体)を、一つまたはそれ以上のさらなる活性成分または医薬組成物とともに投与することができる。
【0142】
実施例
本発明を以下の実施例により記載する。しかし、これらの用途および明細書のいずれかの他の実施例は単なる例示であり、本発明または例示の範囲と意味を限定するものではない。同様に、本発明は明細書に記載されるいかなる特定の好ましい態様に限定されない。実際、発明の多くの修飾や改変は本明細書を読むことで当業者には明らかであり、その精神と範囲から離れることなくなされるものである。本発明はそれゆえ、請求項が与えられているのと等しい全範囲に限定されると同時に、添付の請求項によってのみ限定されるべきである。
【実施例1】
【0143】
EPO-Rアゴニストペプチドの合成
1. ペプチドモノマーの合成
本発明の各種ペプチドモノマーをメリフィールド固相合成法[StewartとYoung 「固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)」第2版(ピアスケミカル(Pierce Chemical)、イリノイ州ロックフォード) 1984]を用いて、アプライドバイオシステムズ 433A自動装置で合成した。用いた樹脂はPAL(ミリジェン/バイオサーチ)で、5-(4'-Fmoc-アミノメチル-3,5'-ジメトキシフェノキシ)吉草酸と架橋されるポリスチレンである。PAL樹脂の使用により、カルボキシル末端のアミドがペプチドの樹脂からの切断のために機能するようになる。アミノ酸上の1級アミン保護はFmocを用いて行い、側鎖の保護基はセリン、スレオニンおよび水酸化チロシンに対してはt-ブチル;グルタミンおよびアスパラギンのアミドに対してはトリチル;システインに対してはTrtまたはAcm;およびアルギニングアニジノ基に対してはPmc(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマンスルホネート)であった。それぞれのカプリングを1時間または2時間のいずれか、BOP(ベンゾトリアゾリル N-オキシトリスメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)およびHOBt(1-ヒドロキシベンズトリアゾール)を用いて実施した。
【0144】
アミド化したカルボキシ末端をもつペプチドの合成については、完全に構築されたペプチドを、90% トリフルオロ酢酸、5% エタンジチオールおよび5% 水の混合液を用いて、最初は4℃で徐々に室温まで1.5時間かけて上昇させることで切断を行った。脱保護産物を樹脂から濾過し、ジエチルエーテルで沈殿させた。乾燥後、産物をC18逆相高速液体クロマトグラフィにより、0.1% トリフルオロ酢酸中のアセトニトリル/水の濃度勾配で精製した。
【0145】
2. ペプチドダイマーの合成
本発明の各種ペプチドダイマーを固相法の変法で、リジンリンカー上で直接合成した。
二つのペプチド鎖の同時合成については、Fmoc-Lys-FmocをPAL樹脂(ミリジェン/バイオサーチ)に連結させ、それにより、最初のリジン残基が合成される二つの鎖のリンカーとして機能するようになる。Fmoc保護基を穏和な塩基(DMF中20% ピペリジン)で除去し、ペプチド鎖は、得られた遊離アミノ基を開始点として用いて合成した。ペプチド鎖合成は、上述の固相合成法を用いて行った。Trtを全てのシステイン残基を保護するために用いた。ダイマー脱保護、樹脂からの切断および精製に続き、システイン残基の酸化は、脱保護されたダイマーを100% DMSO中で2-3日、5℃〜25℃でインキュベートすることにより行った。この酸化反応から主として(>75%)二つの分子内ジスルフィド結合をもつダイマーが得られた。
【0146】
二つのペプチド鎖の連続合成については、Fmoc-Lys-AllocをPAL樹脂(ミリジェン/バイオサーチ)に結合させ、それにより、最初のリジン残基は、合成される二つの鎖のリンカーとして機能するようになる。Fmoc保護基を穏和な塩基(DMF中20% ピペリジン)で除去した。第一のペプチド鎖を、得られた遊離アミノ基を開始点として用いて合成した。ペプチド合成は上記の固相法を用いて実施した。第一鎖の二つのシステイン残基をTrtで保護した。第一のペプチド鎖の合成に続き、Alloc基を、支持体に結合したリジンリンカーからPd[P (C6H5)3]4、4-メチルモルホリンおよびクロロホルムを用いて除去した。次に、第二のペプチド鎖を、この第二の遊離アミノ基上に合成した。第二鎖の二つのシステイン残基はAcmで保護した。分子内ジスルフィド結合を、トリフルオロ酢酸を用いてTrt保護基を除去し、続いて20% DMSO中で一晩撹拌することによる酸化により第一ペプチド鎖に形成させた。続いて、Acm保護基を同時に除去し、ヨード、メタノールおよびトリフルオロ酢酸タリウム(thalium)を用いて脱保護したシステイン残基を酸化することにより、分子内ジスルフィド結合を第二のペプチド鎖に形成させた。
【0147】
3. スペーサーの結合
スペーサーがアミノ酸の場合(例えば、AF35462およびAF35464におけるそれぞれグリシンまたはリジン)、スペーサーを固相ペプチド合成の間にペプチドに取り込んだ。この場合、スペーサーのアミノ酸はPAL樹脂と結合させ、その遊離アミノ基は別のスペーサーアミノ酸の、またはリジンリンカーの結合の基礎として機能した。リジンリンカーの結合に続き、ダイマーペプチドが上記のように合成した。
【0148】
4. 典型的なペプチドダイマーの合成
これらの合成法の例示的な態様を以下に概説する。一例において、C-末端リジンアミドを介して結合するペプチドダイマーの合成について記載する。別の例では、C-末端リジンを介して結合し、連結リジンに結合するスペーサー分子を含むペプチドダイマーの合成を記載する。
【0149】
C-末端リジンアミドを介して結合するペプチドダイマーの合成
工程1−TentaGel-Rink-Lysの形成:TentaGel-Rink樹脂(Rapp Polymere社(ドイツ)の0.18 mml/g)をFmoc-Lys(Fmoc)-OHの活性化溶液(5等量のアミノ酸とDMFに0.5 Mで溶解した5等量のHATUから調製し、続いて10等量のDIEAを添加した)で処理し、緩やかに14時間振盪した。樹脂を洗浄(DMF、THF、DCM、MeOH)し、乾燥させて、保護樹脂を得た。残留するアミン基を、樹脂をDCM中10% 無水酢酸、20% ピリジンの溶液で20分間処理し、上記のように洗浄することにより、キャップした。Fmoc基を、DMF中30% ピペリデイン(piperideine)で20分間緩やかに振盪し、洗浄(DMF、THF、DCM、MeOH)および乾燥することにより除去した。
【化13】

【0150】
工程2−TentaGel-Rink-Lys(ペプチド)2の形成:工程1の樹脂を、HBTU/HOBt活性化とピペリジンを用いたFmoc除去からなるFmoc-アミノ酸カプリングの繰り返しサイクルにかけて、両方のペプチド鎖を同時に構築した。これは、アプライドバイオシステムズ社から入手可能なABI 433自動ペプチド合成機上で、都合よく実施した。最後のFmoc除去の後、末端のアミン基をDMF中の無水酢酸(10等量)とDIEA(20等量)により、20分間アシル化し、上記のように洗浄した。
【化14】

【0151】
工程3−樹脂の切断:上記の樹脂をTFA(82.5%)、フェノール(5%)、エタンジチオール(2.5%)、水(5%)およびチオアニソール(5%)の溶液に3時間室温で懸濁する。TFA(95%)、水(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(2.5%)などの別の切断カクテルを用いることもできる。TFA溶液を5℃に冷却し、Et2Oに注いでペプチドを沈殿させる。濾過と減圧下での乾燥により目的のペプチドが得られた。C18カラムを用いた分取HPLCによる精製で純粋なペプチドが得られる。
【化15】

【0152】
C-末端リジンアミドを介して結合し、スペーサー分子を含むペプチドダイマーの合成
工程1−Cbz-TAPの合成:市販のジアミン(アルドリッチ・ケミカル社の「TAP」)(10 g、67.47 mmol)を無水DCM(100 ml)に含む溶液を0℃に冷却した。ベンジルクロロホルメート(4.82 ml、33.7 mmol)の無水DCM(50 ml)溶液をゆっくりと滴下ロートにより、6-7時間をかけて、反応混合液の温度をずっと0℃に維持しながら添加し、その後室温(〜25℃)に暖めた。さらに16時間後、DCMを真空除去し、残渣を3N HClとエーテルに分配した。水層を集め50%NaOH水溶液を用いてpH 8-9に中和し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水Na2SO4で乾燥し、真空濃縮し、モノ-Cbz-TAPの粗産物(5 g、約50%の収量)を得た。この化合物をさらに精製することなしに次の反応に使用した。
【化16】

【0153】
工程2−Cbz-TAP-Bocの合成:激しく撹拌しているCbz-TAP(5 g、17.7 mmol)のヘキサン(25 ml)懸濁液に、Boc2O(3.86 g、17.7 mmol)を添加し、RT(室温)で一晩撹拌を続けた。反応液をDCM(25 ml)で希釈し、10%クエン酸水溶液(2X)、水(2X)およびブラインで洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮した。粗産物(収量5 g)を直接次の反応に用いた。
【化17】

【0154】
工程3−Boc-TAPの合成:前の反応の粗産物をメタノール(25 ml)に溶解し、5% Pd存在下、炭素(5% w/w)で、膨張圧の元で、16時間水素化した。混合液を濾過し、メタノールで洗浄し、その濾液を真空下で濃縮し、粗H-TAP-Boc産物(収量 3.7 g)を得た。工程1-3の後の全体収量は約44%(用いたCbz-Clの量に基づく計算)であった。
【化18】

【0155】
工程4−TentaGel-リンカーの合成:TentaGelブロミド(2.5 g、0.48 mmol/g、ラップ・ポリマー(Rapp Polymere)社、ドイツから入手)、フェノール系リンカー(5等量)およびK2CO3(5等量)を20 mLのDMF中で70℃まで14時間加熱した。室温まで冷却後、樹脂を洗浄し(0.1 N HCl、水、ACN、DMF、MeOH)、あめ色の樹脂になるまで乾燥させた。
【化19】

【0156】
工程5−TentaGel-リンカー-TAP(Boc)の合成:上記の樹脂2.5 gとH-TAP-Boc(1.5 g、5等量)および氷酢酸(34 μl、5等量)をMeOH-THFが1:1の混合液中で合わせ、一晩振盪した。シアンホウ化水素ナトリウム(5等量)1 MのTHF水溶液を混合液に添加し、さらに7時間振盪した。樹脂を濾過、洗浄(DMF、THF、0.1 N 塩酸、水、MeOH)し、乾燥させた。少量の樹脂をDCM中のBz-ClとDIEAを用いてベンゾイル化し、70% TFA-DCMを用いて切断し、LCMSおよびHPLCでチェックした。
【化20】

【0157】
工程6−TentaGel-リンカー-TAP-Lysの合成:上記の樹脂を、Fmoc-Lys(Fmoc)-OH(5等量のアミノ酸と、0.5 M でDMFに溶解し続いて10等量のDIEAを添加した、5等量のHATUとから調製)の活性化溶液で処理し、緩やかに14時間振盪した。樹脂を洗浄(DMF、THF、DCM、MeOH)し、保護樹脂が得られるまで乾燥させた。残留アミン基は、樹脂を10%無水酢酸、DCM中20%ピリジンの溶液で20分間処理し、上述のように洗浄することによりキャップした。Fmoc基は、樹脂をDMF中30%ピペリジンで20分間緩やかに振盪し、続いて洗浄(DMF、THF、DCM、MeOH)および乾燥することにより除去した。
【化21】

【0158】
工程7−TentaGel-リンカー-TAP-Lys(ペプチド)の合成:上記の樹脂を、HBTU/HOBtを用いたFmoc-アミノ酸カプリングおよびピペリジンを用いたFmoc除去の繰り返しサイクルにかけ、両方のペプチド鎖を同時に構築した。この反応は、アプライドバイオシステム社から市販されているABI433自動ペプチド合成機で都合よく実施した。最後のFmoc除去後、末端のアミン基をDMF中の無水酢酸(10等量)とDIEA(20等量)を用いて、20分間アシル化し、続いて上記のように洗浄した。
【化22】

【0159】
工程8−樹脂の切断:上記の樹脂をTFA(82.5%)、フェノール(5%)、エタンジチオール(2.5%)、水(5%)およびチオアニソール(5%)の溶液に3時間室温で懸濁した。あるいは、TFA(95%)、水(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(2.5%)などの切断カクテルもまた用いることができる。TFA溶液を5℃まで冷却し、Et2Oに注いでペプチドを沈殿させた。減圧下での濾過と乾燥により、所望のペプチドを得た。C18カラムを用いた分取HPLCをかけた精製から、純粋なペプチドが得られた。
【化23】

【0160】
5. 分子内ジスルフィド結合を形成するためのペプチドの酸化
ペプチドダイマーを20% DMSO/水(1 mgの乾燥重量のペプチド/mL)に溶解し、室温で36時間放置した。反応混合物をC18 HPLCカラム(ウォーターズ デルタ-パック C18、粒子径15ミクロン、ポアサイズ300オングストローム、40 mm×200 mmの長さ)にロードし、40分にわたるACN/水/0.01% TFA中の5〜95% ACNの直線濃度勾配により、ペプチドを精製した。所望のペプチドを含む画分の凍結乾燥により、ふわふわした白色の固体産物を得た。例えば、AF35525の場合、この反応は模式的には以下のように表すことができる:
【化24】

【0161】
6. ペプチドのPEG化
本発明のペプチドのPEG化をいくつかの異なる方法を用いて行った。
末端-NH2基のPEG化:ペプチドダイマーを、1.5等量(moleをベースとする)の活性化PEG類(シェアウォーター・コーポレーション(米国)のPEG-SPA-NHS)と乾燥DMF中で混合し、透明な溶液を得た。5分後、10等量のDIEAを上記溶液に加えた。混合液を周囲温度で2時間撹拌し、C18逆相HPLCで精製した。PEG化ペプチドの構造をMALDI質量分析法により確認した。精製ペプチドはまた、以下に概略するように、陽イオン交換クロマトグラフィによる精製にかけた。例えば、AF35593の場合、スペーサー部分の末端-NH2基のモノPEG化は模式的に以下のように表すことができる:
【化25】

【0162】
ペプチドダイマーのN-末端のジPEG化:ペプチドダイマーを、2.5等量(moleをベースとする)の活性化PEG類(NOFコーポレーション(日本)のmPEG-NPC)とともに乾燥DMF中で混合し、透明な溶液を得る。5分後、4等量のDIEAを上記溶液に加える。混合液を周囲温度で14時間撹拌し、続いてC18逆相HPLCで精製した。精製ペプチドはまた、以下に概略するように、陽イオン交換クロマトグラフィによる精製にかけた。例えば、AF35083の場合、この反応は模式的に以下のように表すことができる:
【化26】

【0163】
N-末端のPEG化を介したペプチドのダイマー化:ペプチド(2.5等量)とPEG-(SPA-NHS)2(1等量、シェアウォーター社、米国)を0.25 Mで乾燥DMFに溶解し、透明な溶液を得た。5分後、10等量のDIEAを上記溶液に加える。混合液を周囲温度で2時間撹拌し、続いてC18逆相HPLCで精製する。精製ペプチドはまた、以下に概略するように、陽イオン交換クロマトグラフィによる精製にかける。例えば、AF33131の場合、この反応は模式的に以下のように表すことができる:
【化27】

【0164】
C-末端のPEG化を介したペプチドのダイマー化:ペプチド(2.5等量)とPEG-(SPA-NHS)2(1等量、シェアウォーター社、米国)を0.25 Mで乾燥DMFに溶解し、透明な溶液を得た。5分後、10等量のDIEAを上記溶液に加えある。混合液を周囲温度で2時間撹拌し、続いてC18逆相HPLCで精製する。精製ペプチドはまた、以下に概略するように、陽イオン交換クロマトグラフィによる精製にかける。例えば、この反応は模式的に以下のように表すことができる:
【化28】

【0165】
7. ペプチドのイオン交換精製
開始のダイマーペプチドの保持能に加え、上記ペプチド-PEG結合体を未反応の(または加水分解した)PEGから分離するために、いくつかの交換支持体についてその性能を調べた。イオン交換樹脂(2-3 g)を1 cmカラムに充填し、ナトリウム型への置換(溶出液がpH 14になるまでカラムに0.2 N NaOHを流した、およそ5カラム容)、続いて水素型への置換(溶出液が充填したときのpHになるまで0.1 N HClまたは0.1 M HOAcで溶出した、およそ5カラム容)およびpH 6になるまで25% ACN/水による洗浄を行った。結合前のペプチドまたはペプチド-PEG結合体のいずれかを25% ACN/水(10 mg/mL)に溶解し、そのpHをTFAで3より低く調整し、カラムに充填した。2-3カラム容の25% ACN/水で洗浄し、5 mL画分に集めた後、ペプチドを25% ACN/水中0.1 M NH4OAcで溶出することによりカラムから遊離させ、再度5 mL画分に集めた。HPLC分析により、画分が目的のペプチドを含むことが明らかとなった。蒸発光散乱検出器(ESLD)を用いた解析により、ペプチドがカラムに保持され、そしてNH4OAc溶液で溶出された(通常4〜10画分)場合、非結合PEGは夾雑物として検出されないことが示された。最初の洗浄緩衝液(通常最初の2画分)中にペプチドが溶出される場合、目的のPEG結合体および過剰のPEGの分離は観察されなかった。
【0166】
以下のカラムはペプチドおよびペプチド-PEG結合体の両者をうまく保持し、未結合ペプチドからペプチド-PEG結合体をうまく精製した:
【表3】

【実施例2】
【0167】
インビトロ活性アッセイ
本実施例は、本発明のEPO-Rアゴニストペプチドの活性および効力を評価するために有用な各種のインビトロアッセイを記載する。これらのアッセイの結果は、本発明の新規ペプチドがEPO-Rに結合し、EPO-Rシグナル伝達を活性化することを示している。その上、これらのアッセイの結果は、新規ペプチド組成物が、以前記載されたEPO擬似ペプチドに比べて、EPO-R結合親和性および生物学的活性において驚くべき増加を示すことを示すものである。
【0168】
EPO−Rアゴニストペプチドのモノマーおよびダイマーは、実施例1に提供される方法によって調製される。これらのペプチドモノマーおよびダイマーの効力は、レポーターアッセイ、増殖アッセイ、競合結合アッセイおよびC/BFU-eアッセイを含む、一連のインビトロ活性アッセイを用いて評価される。これらの四つのアッセイを以下にさらに詳細に記載する。
【0169】
これらのインビトロ活性アッセイの結果を表2(ペプチドモノマーに関する)および表3(ペプチドダイマーに関する)に要約する。これらの表はそれぞれの試験ペプチドの化合物の名称と構造、ならびにこれら4種のアッセイのそれぞれについての実験結果を提供する。これらの結果は、本発明の新規ペプチドの劇的に増強した効力を示している。
【0170】
1. レポーターアッセイ
このアッセイは、マウス前B細胞株由来レポーター細胞であるBaf3/EpoR/GCSFR fos/luxに基づくものである。このレポーター細胞株は、ヒトEPO受容体の細胞外部分からヒトGCSF受容体の細胞内部分までを含有するキメラ受容体を発現する。この細胞株にはさらに、fosプロモーターによって駆動するルシフェラーゼ・レポーター遺伝子構築物がトランスフェクトされる。エリスロポエチン試薬の添加によるキメラ受容体の活性化は、ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子の発現、およびそれゆえ、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンの添加により光の産生をもたらす。ゆえに、そのような細胞におけるEPO-R活性化のレベルをルシフェラーゼ活性の測定により定量することができる。
【0171】
Baf3/EpoR/GCSFR fos/lux細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS;ハイクローン(Hyclone))、10% WEHI-3上清(WEHI-3細胞の培養上清、ATCC #TIB-68)およびペニシリン/ストレプトマイシンを補完したDMEM/F12培地(Gibco)で培養される。アッセイのおよそ18時間前に、細胞を10% FBSおよび0.1% WEHI-3上清を補完したDMEM/F12培地に移すことにより、飢餓状態とする。アッセイ当日に、細胞を10% FBS(WEHI-3上清なし)を補完したDMEM/F12培地で洗浄し、その後、1x106細胞/mLで、既知濃度の試験ペプチドの存在下で、または陽性コントロールとしてEPO(R&Dシステムズ社、ミネソタ州ミネアポリス)と共に、10% FBS(WEHI-3上清なし)を補完したDMEM/F12培地中で培養する。試験ペプチドの連続希釈液を同時にこのアッセイで試験する。アッセイプレートを4時間、37℃で、5% CO2雰囲気中でインキュベートし、その後、ルシフェリン(Steady-Glo;プロメガ、ウィスコンシン州マディソン)を各ウェルに添加する。5分間のインキュベーションの後、発光をパッカード・トップカウント・ルミノメーター(パッカード・インストルメント社、イリノイ州ダウナーズグローブ)で測定する。光のカウントを試験ペプチドの濃度に対してプロットし、グラフパッド(Graph Pad)ソフトウェアを用いて解析する。最大発光の半分となった試験ペプチドの濃度をEC50として記録する[表2参照:レポーターEC50]。
【0172】
2. 増殖アッセイ
このアッセイは、ヒトEPO-Rを発現するようにトランスフェクトされた、マウス前B細胞株であるBaf3に基づくものである。得られた細胞株BaF3/Gal4/Elk/EPORの増殖は、EPO-R活性に依存する。細胞増殖の程度は、MTTを用いて定量する。ここで、MTTアッセイのシグナルは生細胞数に比例する。
【0173】
BaF3/Gal4/Elk/EPOR細胞をスピナーフラスコで、10% FBS(ハイクローン)および2% WEHI-3上清(ATCC #TIB-68)を補完したDMEM/F12培地(Gibco)を用いて培養する。培養した細胞をスピナーフラスコ中に、細胞密度1x106細胞/mlで、10% FBSおよび0.1%WEHI-3上清を補完したDMEM/F12培地の飢餓状態に一晩置いた。飢餓状態の細胞を二回ダルベッコのPBS(Gibco)で洗浄し、1x106細胞/mlで、10% FBS(WEHI-3上清なし)を補完したDMEM/F12培地に再懸濁した。細胞懸濁液の50 μLアリコート(〜50,000細胞)を次に96ウェルのアッセイプレートに三連で播いた。10% FBS(WEHI-3上清Iなし)を補完したDMEM/F12培地中の試験EPO擬似ペプチドの希釈系列の50μLアリコート、または50 μLのEPO(R&Dシステムズ社、ミネソタ州ミネアポリス)、またはAranesp(商標)(ダーベポエチン・アルファ、アムジェンから市販されるEPO-Rアゴニスト)を96ウェルのアッセイプレートに添加した(ウェルの最終容量は100 μL)。例えば、試験ペプチド(または対照のEPOペプチド)の終濃度が810 pM〜0.0045 pMの範囲にあるような12の異なる希釈数を試験することができる。次に、播かれた細胞を48時間37℃でインキュベートする。次に、10 μLのMTT(ロシュ・ダイアグノスティックス)をそれぞれの培養皿のウェルに添加し、4時間インキュベートする。10% SDS+0.01N HClを添加して反応を停止する。プレートを一晩37℃でインキュベートする。それぞれのウェルの波長595 nmの吸収を分光測光法で測定する。試験ペプチド濃度に対する吸収の測定値のプロットを作図し、EC50をグラフパッド・ソフトウェアを用いて計算する。最大吸収の半分の値となる試験ペプチドの濃度をEC50として記録する[表3参照:増殖EC50]。
【0174】
3. 競合結合アッセイ
競合結合の計算は、光シグナルが二つのビーズ:ビオチン化EPO-R結合ペプチドトレーサーを有するストレプトアビジンのドナービーズと、EPO-Rを結合するアクセプタービーズとの近接作用の結果として生ずるアッセイを用いてなされる。光は、非放射性エネルギー伝達により、一重項酸素が照明の際に第一のビーズから放出され、放出された一重項酸素と接触することで、第二のビーズが発光する間に生じる。これらのビーズのセットは市販されている(パッカード)。ビーズの近接はEPO-R結合ペプチドトレーサーのEPO-Rへの結合により生じる。EPO-Rへの結合に対して、EPO-R結合ペプチドトレーサーと競合する試験ペプチドは、この結合を阻害し、発光を減少させる。
【0175】
より詳細には、方法は以下のとおりである:4 μLの試験EPO-Rアゴニストペプチドの連続希釈または正もしくは負の対照を384ウェルプレートのウェルに添加する。その後、2 μL/ウェルの受容体/ビーズカクテルを添加する。受容体/ビーズカクテルは、15 μLの5 mg/ml ストレプトアビジン・ドナービーズ(パッカード)、15 μLの5 mg/ml モノクローナル抗体 abl79(この抗体は組換えEPO-Rに含まれるヒト胎盤アルカリホスファターゼタンパク質の部分を認識する)、プロテインAをコートしたアクセプタービーズ( プロテインAはabl79抗体に結合する;パッカード)、112.5 μLのa 1:6.6希釈の組換えEPO-R(abl79の標的エピトープを含むヒト胎盤アルカリホスファターゼタンパク質の部分との融合タンパク質として、チャイニーズハムスターの卵巣細胞で産生された)および 607.5 μLのAlphaquest緩衝液(40mM HEPES、pH 7.4;1 mM MgCl2;0.1% BSA、0.05% Tween 20)からなる。軽くたたいて混合する。2 μL/ウェルのビオチン化EPO-R結合ペプチドトレーサーであるAF33068を添加する(終濃度30 nM)。EPO-R結合ペプチド(表3「レポーターEC50(pM)」を参照)であるAF33068は実施例1に記載の方法に従って調製する。
【化29】

【0176】
混合するために1分間遠心する。パッカード・トップシールでプレートをシールし、フォイルで包む。室温で一晩インキュベートする。18時間後、AlphaQuestリーダー(パッカード)で発光を測定する。ペプチド濃度に対する発光をプロットし、グラフパッドまたはエクセルで解析する。
【0177】
試験ペプチドなしで観察された濃度と比較して、発光が50%減少する試験ペプチドの濃度がIC50として記録される[表2および3を参照: AQ IC50]。
【0178】
4. C/BFU-eアッセイ
EPO-Rのシグナル伝達は骨髄幹細胞の分化を赤血球細胞前駆体が増殖する方向へ刺激する。このアッセイは、初期ヒト骨髄多分化能幹細胞からの赤血球細胞前駆体の増殖と分化を刺激する試験ペプチドの能力を測定するものである。
【0179】
このアッセイのために、試験ペプチドの連続希釈液を10% FBS(ハイクローン)を補完したIMDM培地(Gibco)で調製する。これらの連続希釈液または正の対照EPOペプチドをメチルセルロースに添加し、最終容量を1.5 mLにする。メチルセルロースとペプチド混合液を完全に混合する。ヒト骨髄由来CD34+細胞(Poietics/Cambrex)のアリコート(100,000細胞/mL)を解凍する。解凍した細胞を50 mLチューブ中の1 mg/mlのDNAse(Stem Cells)0.1 mLに徐々に添加する。次に、40-50 mLのIMDM培地を徐々に細胞に添加する:培地は、最初の10 mLを50 mLチューブの管壁に沿って一滴ずつ加え、その後、残りの培地をゆっくり管壁に沿って加える。細胞をその後900 rpmで20分間遠心し、培地を注意して緩やかな吸引により除去する。細胞を1 mLのIMDM培地に再懸濁し、mLあたりの細胞密度を血球計スライド上で計測する(スライド上で10 μLの細胞懸濁液アリコート、細胞密度は、平均カウントX10,000細胞/ml)。細胞をIMDM培地で15,000細胞/mLの細胞密度まで希釈する。希釈した細胞100 μLをそれぞれの1.5 mLのメチルセルロース+ペプチド試料(アッセイ培地中の最終細胞濃度は1000細胞/mLである)に添加し、混合液をボルテックスする。混合液中の気泡を消失させ、先端の尖っていない針を用いて、1 mLを吸引する。それぞれの試料の0.25 mL吸引混合液を24ウェルプレート(ファルコン銘柄)の4ウェルのそれぞれに添加する。プレートした混合液を37℃、5% CO2条件下、湿潤インキュベーター中で14日間インキュベートする。位相差顕微鏡を用いて(対物5X-10X、最終倍率100X)、赤血球コロニーの存在を記録する。EPOの正対照で観察される結果と比較して、形成コロニー数が最大の90%での試験ペプチドの濃度をEC90として記録する[表3参照:C/BFU-e EC90]。
【0180】
5. 放射性リガンド競合結合アッセイ
別の手段として、放射性リガンド競合結合アッセイもまた、本発明のペプチドのIC50値を測定するのに用いることができる。このアッセイは125I-EPOのEPOrへの結合を測定する。アッセイは以下の例示プロトコールに従って実施し得る:
A. 材料
【表4】

【0181】
B. 適切な受容体濃度の決定
ヒトIgG1のFc部分と融合した組換えEPOr細胞外ドメインの凍結乾燥品50 μgの1バイアルを1 mLのアッセイ緩衝液で再生する。アッセイに用いる受容体の正確な量を決定するために、この受容体標品の連続希釈液100 μLを200 μLで約20,000 cpmのヨード化組換えヒトエリスロポエチン(125I-EPO)とともに12x75 mmポリプロピレン試験管中で合わせる。チューブにフタをし、4℃で一晩LabQuakeロータリーシェーカー上で緩やかに混合する。
【0182】
翌日、プロテイン-Gセファロースの50%スラリー50 μLをそれぞれのチューブに添加する。その後、チューブを2時間4℃で、緩やかに混ぜながらインキュベートする。次にチューブを15分間、4000 RPM(3297 x G)で遠心し、プロテイン-Gセファロースを沈殿させる。上清を注意して除去、廃棄する。4℃にしたアッセイ緩衝液1 mLを用いて3回洗浄した後、沈殿をWallac Wizardガンマカウンターでカウントする。結果を解析し、最大結合値の50%に達するのに必要な希釈を計算した。
【0183】
C. ペプチドのIC50の決定
本発明のペプチドのIC50を決定するために、ペプチドの連続希釈液100 μLを100 μLの組換えエリスロポエチン受容体(100 pg/チューブ)とともに12x75 mmポリプロピレン試験管中で合わせる。その後、100 μLのヨード化組換えヒトエリスロポエチン(125I-EPO)をそれぞれのチューブに添加し、チューブにフタをして、4℃で一晩緩やかに混合した。
【0184】
翌日、結合した125I-EPOを上述のように定量する。結果を解析し、IC50値をグラフパッド・ソフトウェア社(カリフォルニア州サンディエゴ)のグラフパッド・プリズム バージョン4.0を用いて算出する。アッセイは試験されるそれぞれのペプチド(そのIC50がこの方法で測定される)について二回またはそれ以上、合計3連のIC50測定について繰り返される。
【0185】
6. 考察
本発明のペプチドモノマーについてのインビトロ レポーターアッセイの結果を、以前に開示された関連ペプチド配列の結果と直接比較した(表2のAF31552およびAF31748を参照):すなわち、
GGLYACHMGPMTVCQPLRG 配列番号:32および
GGLYACHMGPMT(1-nal)VCQPLRG 配列番号:33
【0186】
これらの結果は、新規ペプチドダイマーは、レポーターアッセイにおいて、以前開示されたペプチドモノマーの3〜7.5倍の効力であったので、本発明の新規ペプチドモノマーの劇的に改善された効力を示す。これらの新規ペプチドモノマーは、その後より一層の効力および活性を有する新規ペプチドダイマーを作製するために用いられた。
【0187】
【表5】

【0188】
【表6】







【実施例3】
【0189】
インビボ活性アッセイ
本実施例は、本発明のEPO-Rアゴニストペプチドの活性および効力を評価するのに有用な、各種のインビボアッセイを記載する。EPO-Rアゴニストペプチドモノマーおよびダイマーは実施例1に提供される方法に従って調製される。これらのペプチドモノマーおよびダイマーのインビボ活性は、真性赤血球増加症で超低酸素症のマウスのバイオアッセイおよび網状赤血球アッセイを含む一連のアッセイを用いて評価される。これら二つのアッセイについて、以下にさらに詳細に記載する。
【0190】
1. 真性赤血球増加症、超低酸素症マウスのバイオアッセイ
CotesとBangham(1961)Nature 191: 1065-1067に記載された方法を適合させた、真性赤血球増加症、超低酸素症マウスのバイオアッセイにおいて、試験ペプチドをインビボ活性について測定する。このアッセイは、試験ペプチドがEPO擬似体として機能できるか、すなわち、EPO-Rを活性化し、新しい赤血球細胞合成を誘導するかを試験するものである。赤血球合成は、合成した赤血球細胞のヘモグロビンへの放射標識した鉄の取り込みに基づいて定量できる。
【0191】
BDF1マウスを周囲条件に7-10日間馴化させる。体重を全ての動物について測定し、低体重の動物(<15グラム)は用いない。マウスを低気圧室で合計14日間、連続的な調節サイクルにかける。それぞれの24時間サイクルは、0.40±0.02%大気圧で18時間および周囲圧で6時間からなる。調節後、マウスを投与前さらに72時間、周囲圧に維持する。
【0192】
試験ペプチドまたは組換えヒトEPO標品をPBS+0.1% BSAビヒクル(PBS/BSA)で希釈する。ペプチドモノマーのストック溶液を最初にジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化する。陰性対照にはPBS/BSAだけを注射したマウスの一群と1%のDMSOを注射した一群が含まれる。それぞれの投与群は10匹のマウスを含む。適当な試料0.5 mLをマウスに皮下注射(首筋)する。
【0193】
試料注射の48時間後、マウスに約0.75 μキュリー/マウスの投与量で、0.2 mlのFe59(デュポン、NEN)を腹腔内注射で投与する。マウス体重をFe59投与24時間後に測定し、Fe59投与48時間後に犠牲にする。血液をそれぞれの動物から心臓穿刺により回収し、ヘマトクリット値を測定する(ヘパリンを抗凝固剤として用いた)。それぞれの血液試料(0.2 ml)について、パッカード・ガンマカウンターを用いてFe59取り込みを解析する。非応答マウス(すなわち、陰性対照群よりも低い放射活性の取り込みをするマウス)は適正なデータセットから除外する。ヘマトクリット値が陰性対照群の53%以下のマウスもまた除かれる。
【0194】
結果はそれぞれの実験投与の10匹の動物セットに由来する。血液試料中に取り込まれる放射活性の平均量[カウント/分(CPM)]は、それぞれの群から計算する。
【0195】
2. 網状赤血球アッセイ
正常なBDF1マウスに、EPO対照または試験ペプチドのいずれかを連続3日投与する(0.5 mL、皮下注射)。3日目に、マウスに鉄デキストラン(100 mg/ml)も投与する(0.1 mL、腹腔内注射)。5日目に、マウスをCO2によって麻酔し、心臓穿刺によって採血する。各血液試料の網状赤血球の割合(%)を、チアゾールオレンジ染色とフローサイトメーター分析(網状赤血球カウントプログラム)によって決定する。ヘマトクリット値は手動で決定する。網状赤血球の修正された割合は、次の式を使って決定する:
%RETIC(修正)= %RETIC(測定) X (Hematocrit個体/Hematocrit正常)
【0196】
3. 血液学的アッセイ
正常なCD1マウスに、EPO陽性対照、試験ペプチド、またはビヒクルを週4回静脈ボーラス注射により投与する。mg/kgで表される陽性対照と試験ペプチド投与の範囲は、製剤中の活性化合物濃度を変えることによって試験する。注射された容量は5 ml/kgである。ビヒクル対照群は12匹の動物であり、8匹の動物はそれぞれの残りの投与群である。毎日の生存能力と週1回の体重を記録する。
【0197】
投与マウスを絶食させ、その後吸入イソフルランで麻酔し、末端血液試料を1日目(ビヒクル対照マウス)および15日目と29日目(4匹のマウス/群/日)に、心臓または腹部大動脈穿刺により回収する。血液をVacutainer(登録商標)ブランドチューブに移す。好ましい抗凝固剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0198】
血液試料は、当分野に周知の自動臨床分析装置(例えば、コールター社製のもの)を用いて、赤血球合成、ならびにヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン(Hgb)および全赤血球数(RBC)のなどの生理機能を測定する最終段階のために評価する。
【0199】
このアッセイによる代表的なEPO-Rアゴニストペプチドのデータを表4に示す。結果は、15日目と29日目において、ビヒクルを注射した対照マウスと比較した、ヘマトクリット(Ht)の割合(%)の増加として示される。示したペプチド化合物を用量1 mg/kgで試験マウスに投与した。
【0200】
【表7】

【0201】
本発明は、明細書に記載された特定の実施態様による範囲に限定されない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、発明の各種の改変が前述の記載および後述の図面から当業者には明らかとなるであろう。そのような改変は添付クレームの範囲内にあることを意図している。
【0202】
さらに、全ての値が概算であり、記載のために提供されるものであることは理解されるべきである。
【0203】
特許、特許出願、および各種刊行物を含む多くの参考文献が本発明の記載に引用され、議論されている。そのような参考文献の引用および/または議論は、本発明の記載を単に明確にするだけのものであり、そのような参考文献のいずれかが本明細書に記載される発明の「先行文献」であることを承認しているわけではない。本明細書において引用され、議論された全ての参考文献はその全体を参照して、およびそれぞれの参考文献が個々に参照して取り込まれるかのような程度まで、取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ約17〜約40アミノ酸残基を含有し、アミノ酸配列:
LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)
を含有するペプチドであって、
X0はメチオニン(M)およびホモセリンメチルエーテル(Hsm)から選択される残基であり、X1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)および2-ナフチルアラニン(2-nal)から選択される残基であり、前記ペプチドはエリスロポエチン受容体(EPO-R)に結合し、活性化する、前記ペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドのN-末端がアセチル化している、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドが
LYACHMGPITWVCQPLR(配列番号:2);
LYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:3);
LYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:4);
GGLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:5);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:6);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:7);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:8);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:9);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:10);
GGLYACHMGPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:11);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:12);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:13);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:14);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:15);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:16);
LYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(配列番号:17);
LYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:18);
LYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:19);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:20);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:21);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:22);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:23);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:24);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:25);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:26);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:27);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:28);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:29);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:30);および
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:31)
から選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドがモノマーである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドがダイマーである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
前記ペプチドがホモダイマーである、請求項5に記載のペプチド。
【請求項7】
さらに前記ペプチドに共有結合した一つまたはそれ以上の水溶性ポリマーを含有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項7に記載のペプチド。
【請求項9】
前記PEGが、分子量約500〜約60,000ダルトンの直鎖状の分枝していない分子を含む、請求項8に記載のペプチド。
【請求項10】
前記PEGが約20,000ダルトン以下の分子量を有する、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
前記PEGが約20,000〜約60,000ダルトンの分子量を有する、請求項9に記載のペプチド。
【請求項12】
前記PEGが約20,000〜約40,000ダルトンの分子量を有する、請求項9に記載のペプチド。
【請求項13】
2個のPEG部分が前記ペプチドに共有結合しており、前記PEGのそれぞれは直鎖状の分枝していない分子を含有する、請求項9に記載のペプチド。
【請求項14】
前記PEGが約20,000〜約30,000ダルトンの分子量を有する、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
(a) 第一のペプチド鎖;
(b) 第二のペプチド鎖;および
(c) 前記第一と第二のペプチド鎖を連結するリンカー部分
を含有するペプチドダイマーであって、
前記第一のペプチド鎖および前記第二のペプチド鎖の少なくとも一つは長さ約17〜約40アミノ酸残基を含有し、アミノ酸配列:
LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)
を含有し、
X0はメチオニン(M)およびホモセリンメチルエーテル(Hsm)から選択される残基であり、X1はトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)および2-ナフチルアラニン(2-nal)から選択される残基であり、前記ペプチドダイマーはエリスロポエチン受容体(EPO-R)に結合し、活性化する、前記ペプチドダイマー。
【請求項16】
前記第一のペプチド鎖および前記第二のペプチド鎖の少なくとも一つが
LYACHMGPITWVCQPLR(配列番号:2);
LYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:3);
LYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:4);
GGLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:5);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:6);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:7);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:8);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:9);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:10);
GGLYACHMGPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:11);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:12);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:13);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:14);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:15);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:16);
LYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(配列番号:17);
LYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:18);
LYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:19);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:20);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:21);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:22);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:23);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:24);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:25);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:26);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:27);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:28);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:29);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:30);および
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:31)
から選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項15に記載のペプチドダイマー。
【請求項17】
前記リンカー部分が式:
【化1】

を含有し、ここでR3が低級(C1-6)アルキレンである、請求項15に記載のペプチドダイマー。
【請求項18】
前記リンカー部分がリジン残基である、請求項17に記載のペプチドダイマー。
【請求項19】
前記リンカー部分が式:
【化2】

を含有し、ここでnは0〜10の整数であり、mは1〜10の整数であり、XはO、S、N(CH2)pNR1、NCO(CH2)pNR1、およびCHNR1から選択され、R1はH、Boc、およびCbzから選択され、pは1〜10の整数である、請求項15に記載のペプチドダイマー。
【請求項20】
nおよびmがそれぞれ1であり、XがNCO(CH2)pNR1であり、pは2、およびR1はHである、請求項19に記載のペプチドダイマー。
【請求項21】
さらに水溶性ポリマーを含有する、請求項15に記載のペプチドダイマー。
【請求項22】
前記水溶性ポリマーがリンカー部分に共有結合している、請求項21に記載のペプチドダイマー。
【請求項23】
さらにスペーサー部分を含有する、請求項15に記載のペプチドダイマー。
【請求項24】
前記スペーサー部分が式:
【化3】

を含有し、α、βおよびεはその値がそれぞれ独立に1〜6から選択される整数であり、δは0または1、γは0〜10から選択される整数、およびYはNHまたはCOから選択され、γが1以上のときにβが2である、請求項23に記載のペプチドダイマー。
【請求項25】
α、βおよびεのそれぞれが2であり、γおよびδのそれぞれが1であり、YがNHである、請求項24に記載のペプチドダイマー。
【請求項26】
さらに一つまたはそれ以上の水溶性ポリマーを含有する、請求項23に記載のペプチドダイマー。
【請求項27】
前記水溶性ポリマーがスペーサー部分に共有結合している、請求項26に記載のペプチドダイマー。
【請求項28】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項21または26に記載のペプチドダイマー。
【請求項29】
前記PEGが分子量約500〜約60,000ダルトンを有する直鎖状の分枝のないPEGである、請求項28に記載のペプチドダイマー。
【請求項30】
前記PEGが約500〜約20,000ダルトン以下の分子量を有する、請求項29に記載のペプチドダイマー。
【請求項31】
前記PEGが分子量約20,000〜約60,000ダルトンを有する、請求項29に記載のペプチドダイマー。
【請求項32】
前記PEGが分子量約20,000〜約40,000ダルトンを有する、請求項31に記載のペプチドダイマー。
【請求項33】
2個のPEG部分が該ペプチドに共有結合し、前記PEGのそれぞれが直鎖状の分枝のない分子を含有する、請求項28に記載のペプチドダイマー。
【請求項34】
前記PEGのそれぞれが分子量約20,000〜約60,000ダルトンを有する、請求項33に記載のペプチドダイマー。
【請求項35】
患者を治療する方法であって、
長さ約17〜約40アミノ酸残基を含有し、アミノ酸配列:
LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)
を含有するペプチドであって、
X0がメチオニン(M)およびホモセリンメチルエーテル(Hsm)から選択される残基であり、X1がトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)および2-ナフチルアラニン(2-nal)から選択される残基であるペプチドの治療上有効量を、エリスロポエチンの欠乏または低赤血球細胞数もしくは赤血球数の障害により特徴付けられる疾患を有する患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
前記疾患が、末期腎不全または透析;AIDSに伴う貧血症、自己免疫疾患または悪性腫瘍;β-サラセミア;嚢胞性線維症;未熟児の初期貧血症;慢性炎症性疾患に伴う貧血症;脊髄損傷;急性失血;老化;および異常赤血球生成に伴う腫瘍性疾患状態からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ペプチドが
LYACHMGPITWVCQPLR(配列番号:2);
LYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:3);
LYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:4);
GGLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:5);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:6);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:7);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:8);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:9);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:10);
GGLYACHMGPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:11);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:12);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:13);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:14);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:15);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:16);
LYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(配列番号:17);
LYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:18);
LYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:19);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:20);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:21);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:22);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:23);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:24);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:25);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:26);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:27);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:28);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:29);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:30);および
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:31)
から選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ペプチドがモノマーである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ペプチドがダイマーである、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記ペプチドがホモダイマーである、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
一つまたはそれ以上の水溶性ポリマーが前記ペプチドに共有結合している、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記PEGが分子量約500〜約60,000ダルトンを有する直鎖状の分枝のないPEGである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記PEGが約500〜約20,000ダルトン以下の分子量を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記PEGが分子量約20,000〜約60,000ダルトンを有する、請求項43に記載のペプチドダイマー。
【請求項46】
前記PEGが分子量約20,000〜約40,000ダルトンを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
2個のPEG部分が該ペプチドに共有結合し、前記PEGのそれぞれが直鎖状の分枝のない分子を含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記PEGのそれぞれが分子量約20,000〜約30,000ダルトンを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(i) 長さ約17〜約40アミノ酸残基を含有し、アミノ酸配列:
LYACHX0GPITX1VCQPLR(配列番号:1)
を含有するペプチドであって、
X0がメチオニン(M)およびホモセリンメチルエーテル(Hsm)から選択される残基であり、X1がトリプトファン(W)、1-ナフチルアラニン(1-nal)および2-ナフチルアラニン(2-nal)から選択される残基であるペプチド;および
(ii) 薬学的に許容されうるキャリア、
を含有する医薬組成物。
【請求項50】
前記ペプチドが
LYACHMGPITWVCQPLR(配列番号:2);
LYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:3);
LYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:4);
GGLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:5);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:6);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:7);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(配列番号:8);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:9);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:10);
GGLYACHMGPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:11);
GGLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:12);
GGLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:13);
(AcG)GLYACHMGPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:14);
(AcG)GLYACHMGPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:15);
(AcG)GLYACHMGPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:16);
LYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(配列番号:17);
LYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(配列番号:18);
LYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(配列番号:19);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:20);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:21);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:22);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(配列番号:23);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(配列番号:24);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(配列番号:25);
GGLYACH(Hsm)GPITWVCQPLR(MeG)(配列番号:26);
GGLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:27);
GGLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLR(MeG)(配列番号:28);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPITWVCQPLRG(MeG)(配列番号:29);
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(1-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:30);および
(AcG)GLYACH(Hsm)GPIT(2-nal)VCQPLRG(MeG)(配列番号:31)
から選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記ペプチドがモノマーである、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記ペプチドがダイマーである、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記ペプチドがホモダイマーである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
一つまたはそれ以上の水溶性ポリマーが前記ペプチドに共有結合している、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記PEGが分子量約500〜約60,000ダルトンを有する直鎖状の分枝のないPEGである、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記PEGが約500〜約20,000ダルトン以下の分子量を有する、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記PEGが分子量約20,000〜約60,000ダルトンを有する、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記PEGが分子量約20,000〜約40,000ダルトンを有する、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
2個のPEG部分が該ペプチドに共有結合し、前記PEGのそれぞれが直鎖状の分枝のない分子を含有する、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記PEGのそれぞれが分子量約20,000〜30,000ダルトンを有する、請求項60に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2007−530439(P2007−530439A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532997(P2006−532997)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014886
【国際公開番号】WO2004/101611
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(503210245)アフィーマックス・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Affymax, Inc.
【Fターム(参考)】