エレクトロフュージョン継手
【課題】信頼性の高いシール性能を発揮することができるエレクトロフュージョン継手を提供する。
【解決手段】エレクトロフュージョン継手10は、円筒状をなす架橋ポリエチレン樹脂製の継手本体11の内周部に、内部に電熱線15が巻回された未架橋ポリエチレン樹脂製の電熱層14を形成し、継手本体11の外周部に電熱線15の両端部が接続される一対の端子21を備え、かつ端子21を保持する保持筒20が未架橋ポリエチレン樹脂で構成されている。そして、継手本体11内に外周部が未架橋ポリエチレン樹脂で形成された樹脂パイプ16を差し込み、電熱線15に通電して電熱層14と樹脂パイプ16とを熱融着した後、端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20を加熱溶融して電熱線15の両端部を封止するようになっている。
【解決手段】エレクトロフュージョン継手10は、円筒状をなす架橋ポリエチレン樹脂製の継手本体11の内周部に、内部に電熱線15が巻回された未架橋ポリエチレン樹脂製の電熱層14を形成し、継手本体11の外周部に電熱線15の両端部が接続される一対の端子21を備え、かつ端子21を保持する保持筒20が未架橋ポリエチレン樹脂で構成されている。そして、継手本体11内に外周部が未架橋ポリエチレン樹脂で形成された樹脂パイプ16を差し込み、電熱線15に通電して電熱層14と樹脂パイプ16とを熱融着した後、端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20を加熱溶融して電熱線15の両端部を封止するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水系や給湯系の配管システムに用いられ、信頼性の高いシール性能を発揮することができるエレクトロフュージョン継手(電気融着継手)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給水系や給湯系の配管システムに用いられ、樹脂パイプの接合強度に優れた継手としてエレクトロフュージョン継手が知られている。例えば、継手本体と、該継手本体内の電熱融解接合部と、該電熱融解接合部の内側に、表層が非架橋熱可塑性樹脂からなる樹脂パイプを挿入する空間とを備える樹脂パイプ継手が提案されている(特許文献1を参照)。そして、継手本体は2箇所以上の開口部からパイプを挿入する管状体と、該管状体の内面に接合されリング状部分を有する基部と、該基部から内方へ突出するストッパとを備え、前記管状体は環状凹部を有し、前記電熱融解接合部は非架橋性熱可塑性樹脂により被覆された樹脂被覆線による螺旋巻回コイルのボビン状中空体から構成されている。
【0003】
また、架橋熱可塑性樹脂により形成された中空管本体と、非架橋熱可塑性樹脂層に覆われた電熱線からなる発熱体とを有し、該発熱体は中空管本体の内周面側にあって被接合体に接する第一螺旋状部及び第二螺旋状部並びにこれらを結ぶ連結部を備えるエレクトロフュージョン継手が提案されている(特許文献2を参照)。そして、前記連結部には中空管本体を成形する際に中子と協働して発熱体を中空管本体肉厚内部に留める位置決め手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−116182号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【特許文献2】特開2006−153260号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び2に記載されている継手においては、電熱線の端子が継手本体に埋設された支持筒又は継手本体に突設された支持筒に挿通支持された状態で継手本体から突出形成されている。電熱線や端子は金属製である一方、支持筒は樹脂製であることから、端子と支持筒との間は完全には密着しておらず、わずかな隙間が生じている。このため、継手にパイプを接続して水を流通させたとき、その水圧により水が電熱線を伝って染み出し、端子と支持筒との隙間を通り継手外へ漏れ出すおそれがあった。従って、これらのエレクトロフュージョン継手は、シール性能の信頼性が低いという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、信頼性の高いシール性能を発揮することができるエレクトロフュージョン継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のエレクトロフュージョン継手は、筒状をなす架橋樹脂製の継手本体の内周部には、内部に電熱線が巻回された未架橋樹脂製の電熱層を形成し、継手本体の外周部には前記電熱線の両端部が接続される一対の端子を備えると共に、該端子を保持する保持筒を未架橋樹脂で構成されている。そして、前記継手本体内に少なくとも外周部が未架橋樹脂で形成された樹脂パイプを差し込み、電熱線に通電して電熱層と樹脂パイプとを熱融着した後、前記端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1に係る発明において、前記保持筒はその基端部が継手本体内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線の両端部が封止されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項3に係る発明において、前記架橋ポリオレフィン樹脂は架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂は未架橋ポリエチレン樹脂であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記樹脂パイプは、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層が積層されている2層構造のものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
すなわち、本発明のエレクトロフュージョン継手においては、電熱層と樹脂パイプとが熱融着された後、端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されている。このため、電熱線の両端部は保持筒の熱融着部で被覆され、シールされる。従って、エレクトロフュージョン継手は、信頼性の高いシール性能(水密性能)を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態におけるエレクトロフュージョン継手を示す縦断面図。
【図2】(a)は継手本体を形成する円筒体の外周面に螺旋溝を刻設した状態を示す正面図、(b)は円筒体を示す側面図。
【図3】一対の円筒体の外周に電熱線を巻き付けた状態を示す正面図。
【図4】図3の状態から電熱線の両端部に端子を取付けた状態を示す正面図。
【図5】図4の状態から両端子に保持筒を装着してコイルセットを調製する状態を示す正面図。
【図6】図5の状態のコイルセットを金型内に配置した状態を示す断面図。
【図7】エレクトロフュージョン継手の両端に樹脂パイプを差し込む状態を示す断面図。
【図8】エレクトロフュージョン継手の両端に樹脂パイプを差し込んで熱融着する状態を示す断面図。
【図9】図8の状態から、保持筒に取着された端子を引き抜く状態を示す断面図。
【図10】図9の状態から保持筒に加熱した加熱用こてを当てて熱融着する状態を示す断面図。
【図11】図10の状態から保持筒の熱融着が完了し、樹脂パイプがエレクトロフュージョン継手に接続された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態につき、図面に従って詳細に説明する。
図1に示すように、エレクトロフュージョン継手10を構成する継手本体11は架橋ポリエチレン樹脂により円筒状に形成され、該継手本体11の内周部には、軸線方向中央部に内周側へ突出する環状ストッパ12が設けられると共に、その両側には一対の環状収容部13が凹設されている。一方、一対の円筒状をなす電熱層14は未架橋ポリエチレン樹脂により形成され、内部にニクロム線等の導電性金属で構成された電熱線15が巻回された状態で埋め込まれている。一対の電熱層14中に埋設された電熱線15は直列的に接続され、通電されるようになっている。これら一対の電熱層14は、前記両環状収容部13に収容され、両電熱層14の内側にそれぞれ樹脂パイプ16が差し込まれる差込空間17が形成されている。
【0015】
図7に示すように、樹脂パイプ16は、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層18の外周に、未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層19が積層された2層構造を有している。この内層18が耐熱性、耐クリープ特性(一定荷重下において時間とともに歪が増加するのを抑制する特性)等の特性を発現し、外層19が電熱層14との熱融着を可能とするように構成されている。
【0016】
図1に示すように、継手本体11の外周部には、拡径された脚部20aを有する円筒状の保持筒20がその基端部を継手本体11内に埋設され、先端部を露出した状態で立設されている。この保持筒20には軸線方向に延びる貫通孔22が形成され、その基端側に前記電熱線15の端部が挿入される一方、円柱状をなす端子21が貫通孔22の先端開口部から挿入され、その端子21の基端部が電熱線15の端部に接続されている。端子21は銅等の導電性金属により形成されている。前記電熱線15は両端子21を介して図示しない制御装置(コントローラ)に接続され、通電時における電流量、通電時間等の条件が記憶され、必要量の電流が通電されるようになっている。そして、継手本体11の差込空間17に樹脂パイプ16を差し込み、端子21を介して電熱線15に通電して電熱層14と樹脂パイプ16の外層19とを熱融着させ、両端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20の露出部分を加熱溶融して形成される熱融着部34(図11参照)で電熱線15の両端部を封止するようになっている。
【0017】
次に、上記のように構成されたエレクトロフュージョン継手10の製造方法について説明する。
図2(a)及び(b)に示すように、電熱層14を形成する円筒体23は未架橋ポリエチレン樹脂で形成され、その外周面には電熱線15を巻き付けるための螺旋溝24が刻設されている。円筒体23の厚さや螺旋溝24の深さ等は、電熱層14と樹脂パイプ16の外層19との熱融着が最適となるような条件に設定される。斯かる円筒体23が一対用意される。続いて、図3に示すように、一対の円筒体23を所定間隔をおいて対向配置し、その状態で一方の円筒体23の外周に刻まれた螺旋溝24に電熱線15を巻回し、電熱線15のコイル25を作製する。一方の円筒体23に巻回された電熱線15の端部を他方の円筒体23の螺旋溝24に導いて連続的に巻き付け、電熱線15のコイル25を作製する。なお、電熱線15は未架橋ポリエチレン樹脂で被覆された被覆電熱線であってもよい。
【0018】
次いで、図4に示すように、電熱線15の両端に円柱状の端子21を、溶接又はかしめによって取着する。引き続き、図5に示すように、両端子21に対して未架橋ポリエチレン樹脂で形成された保持筒20をその脚部20aが下に位置するようにして圧入し、両端子21の基端部が保持筒20内の軸線方向ほぼ中央部に位置するようにセットする。このようにして、一対の円筒体23に電熱線15を連続的に巻き付けたコイルセット26を調製する。
【0019】
図6に示すように、得られたコイルセット26を金型27内に配置する。すなわち、金型27内にはコイルセット26に対応する形状を有するキャビティ28が形成され、そのキャビティ28内に前記コイルセット26を配置した後、円柱状をなす一対のスライドピン29を挿入する。なお、一対の保持筒20及び端子21は金型27内の溝30に挿入、固定される。その状態で、キャビティ28の成形空間31にゲート32から、有機過酸化物等の架橋剤を添加した未架橋ポリエチレン樹脂の溶融物を射出する。斯かる射出成形により、電熱層14の外周に継手本体11用の未架橋の本体筒部が形成される。この本体筒部は電熱層14及び保持筒20と同一の未架橋ポリエチレン樹脂で形成されていることから、良好に接合されて全体が一体化される。
【0020】
その後、金型27を冷却し、一対のスライドピン29を順に外方へスライドさせて引き抜き、金型27を型開きする。そして、金型27内の成形品を取り出し、スチーム中へ投入して成形品を加熱する。この加熱により、ゲート32から射出した架橋剤入りの未架橋ポリエチレン樹脂を架橋させる。このようにして、図1に示すようなエレクトロフュージョン継手10を得ることができる。
【0021】
なお、樹脂パイプ16は押出成形法により成形される。すなわち、架橋剤を添加した未架橋ポリエチレン樹脂を内層18とし、架橋剤が添加されていない未架橋ポリエチレン樹脂を外層19とし、押出成形機を用いて押出成形することによりパイプが得られる。該パイプはその内層18と外層19とが共に未架橋ポリエチレン樹脂であることから、互いに溶融して一体化される。得られたパイプ内に熱湯を通すことにより、内層18のみが架橋剤によって架橋し、架橋ポリエチレン樹脂となる。
【0022】
次に、得られたエレクトロフュージョン継手10の使用方法について説明する。
さて、エレクトロフュージョン継手10の両側に樹脂パイプ16を接続する場合には、図7に示すように、継手本体11の両側の差込空間17に内層18が架橋ポリエチレン樹脂、外層19が未架橋ポリエチレン樹脂で形成された樹脂パイプ16をそれぞれ差し込む。樹脂パイプ16の差し込みを続けると、図8に示すように、両樹脂パイプ16の先端部は継手本体11内の環状ストッパ12に当接する。このとき、両樹脂パイプ16の未架橋ポリエチレン樹脂で形成されている外層19の外周面は、継手本体11の電熱層14の内周面に接触する。また、両樹脂パイプ16の内周面と継手本体11の環状ストッパ12の内周面とが面一になっており、水の流通抵抗が発生しないようになっている。
【0023】
その状態で、電熱線15に制御装置で予め設定された電流量及び通電時間に基づいて通電することにより電熱線15が発熱し、電熱層14を形成する未架橋ポリエチレン樹脂と樹脂パイプの外層19を形成する未架橋ポリエチレン樹脂とが溶け合い、接合される。電熱層14と樹脂パイプ16の外層19との熱融着は外気温、電熱層14と外層19との密着状態等によって変化するため、制御装置で電流量や通電時間などを変化させることにより、調整することができる。通電終了後には、接合部が冷却するまで放置する。
【0024】
冷却後、図9に示すように、両端子21をペンチなどで引っ張ると、保持筒20内で端子21の基端部が電熱線15の端部から引き離され、引き離された両端子21は保持筒20内から引き抜かれる。このとき、端子21と保持筒20の内周面とは接着されていないため、端子21を保持筒20内から容易に引き抜くことができる。
【0025】
両端子21が保持筒20内から引き抜かれた後、図10に示すように、保持筒20の先端部に加熱用治具として、未架橋ポリエチレン樹脂が溶融する温度に加熱された円錐状をなす加熱用こて33を宛がい、押し付ける。このような操作により保持筒20の先端部を溶融させて円錐状の熱融着部34を形成し、保持筒20の貫通孔22の開口部を塞ぐことができる。この場合、保持筒20は未架橋ポリエチレン樹脂で形成されているため、その先端部が容易に溶融し、溶融した円錐状の熱融着部34で貫通孔22の開口部を簡単に塞ぐことができる。
【0026】
このようにして、図11に示すように、エレクトロフュージョン継手10の両側に樹脂パイプ16を接続することができると共に、保持筒20を封止することができる。その結果、樹脂パイプ16の端部と継手本体11との隙間から電熱線15を伝って染み出す水は電熱線15の端部で保持筒20の熱融着部34により密封、遮断され、外部へ漏れ出すおそれはない。
【0027】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のエレクトロフュージョン継手10では、その電熱層14と樹脂パイプ16の外層19とが熱融着された後、端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20を加熱溶融して電熱線15の両端部を封止するように構成されている。このため、電熱線15の両端部は保持筒20の熱融着部34で被覆され、シールされる。従って、エレクトロフュージョン継手10は、信頼性の高いシール性能を発揮することができる。
【0028】
・ 保持筒20はその基端部が継手本体11内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線15の両端部が封止されるように構成されている。このため、保持筒20を継手本体11に強固に固定できると共に、保持筒20の露出部分の加熱溶融を容易かつ十分に行うことができる。
【0029】
・ 保持筒20はその基端部に拡径された脚部20aを備えていることから、保持筒20を継手本体11内に引き抜き不能に強固に固定することができると共に、端子21の支持を安定させることができる。
【0030】
・ 架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることにより、エレクトロフュージョン継手10の耐熱性や耐クリープ特性を向上させることができると共に、樹脂パイプ16との接続も容易かつ十分に行うことができる。特に、架橋ポリオレフィン樹脂が架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂が未架橋ポリエチレン樹脂であることにより、上記の効果を一層向上させることができる。
【0031】
・ 樹脂パイプ16は、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層18の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層19が積層されている2層構造のものであることにより、エレクトロフュージョン継手10の電熱層14との熱融着を円滑に行うことができる。
【0032】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
〇 継手本体11や樹脂パイプ16の内層18を形成する架橋樹脂として、架橋ポリブテン等の架橋ポリオレフィン樹脂を用いることができ、電熱層14、保持筒20や樹脂パイプ16の外層19を形成する未架橋樹脂として未架橋ポリブテン樹脂等の未架橋ポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0033】
○ 前記実施形態のエレクトロフュージョン継手10をL字状、くの字状等の形状に形成することができる。また、エレクトロフュージョン継手10として、1つの樹脂パイプ16を接続するタイプのもの、3つ以上の樹脂パイプ16を接続するタイプのもの等に具体化することもできる。
【0034】
〇 前記実施形態において、2つの円筒体23の間を接続する電熱線15は継手本体11内を1回又は複数回巻いて通すように構成することもできる。
〇 保持筒20の先端部を加熱溶融するための加熱用治具としては、四角錐状、六角錐状等の錐状又は円錐台状、四角錐台状、六角錐台状等の錐台状に形成されたものを使用することができる。この場合、保持筒20先端部の熱融着部34は錐状又は錐台状に形成される。
【0035】
〇 樹脂パイプ16として、全体が未架橋樹脂で形成されたものを使用することも可能である。
〇 エレクトロフュージョン継手10を、給水系配管や給湯系配管のほか、床暖房配管、ロードヒーティング用配管等の接続に使用することもできる。
【0036】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記保持筒を加熱溶融して形成される熱融着部は錐状又は錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、熱融着部を容易に形成することができると共に、保持筒の先端部を十分に封止することができる。
【0037】
・ 前記保持筒は、その基端部に拡径された脚部を備えていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、保持筒を継手本体内に引き抜き不能に強固に固定することができると共に、端子の支持を安定させることができる。
【符号の説明】
【0038】
10…エレクトロフュージョン継手、11…継手本体、14…電熱層、15…電熱線、16…樹脂パイプ、18…内層、19…外層、20…保持筒、21…端子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水系や給湯系の配管システムに用いられ、信頼性の高いシール性能を発揮することができるエレクトロフュージョン継手(電気融着継手)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給水系や給湯系の配管システムに用いられ、樹脂パイプの接合強度に優れた継手としてエレクトロフュージョン継手が知られている。例えば、継手本体と、該継手本体内の電熱融解接合部と、該電熱融解接合部の内側に、表層が非架橋熱可塑性樹脂からなる樹脂パイプを挿入する空間とを備える樹脂パイプ継手が提案されている(特許文献1を参照)。そして、継手本体は2箇所以上の開口部からパイプを挿入する管状体と、該管状体の内面に接合されリング状部分を有する基部と、該基部から内方へ突出するストッパとを備え、前記管状体は環状凹部を有し、前記電熱融解接合部は非架橋性熱可塑性樹脂により被覆された樹脂被覆線による螺旋巻回コイルのボビン状中空体から構成されている。
【0003】
また、架橋熱可塑性樹脂により形成された中空管本体と、非架橋熱可塑性樹脂層に覆われた電熱線からなる発熱体とを有し、該発熱体は中空管本体の内周面側にあって被接合体に接する第一螺旋状部及び第二螺旋状部並びにこれらを結ぶ連結部を備えるエレクトロフュージョン継手が提案されている(特許文献2を参照)。そして、前記連結部には中空管本体を成形する際に中子と協働して発熱体を中空管本体肉厚内部に留める位置決め手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−116182号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【特許文献2】特開2006−153260号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び2に記載されている継手においては、電熱線の端子が継手本体に埋設された支持筒又は継手本体に突設された支持筒に挿通支持された状態で継手本体から突出形成されている。電熱線や端子は金属製である一方、支持筒は樹脂製であることから、端子と支持筒との間は完全には密着しておらず、わずかな隙間が生じている。このため、継手にパイプを接続して水を流通させたとき、その水圧により水が電熱線を伝って染み出し、端子と支持筒との隙間を通り継手外へ漏れ出すおそれがあった。従って、これらのエレクトロフュージョン継手は、シール性能の信頼性が低いという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、信頼性の高いシール性能を発揮することができるエレクトロフュージョン継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のエレクトロフュージョン継手は、筒状をなす架橋樹脂製の継手本体の内周部には、内部に電熱線が巻回された未架橋樹脂製の電熱層を形成し、継手本体の外周部には前記電熱線の両端部が接続される一対の端子を備えると共に、該端子を保持する保持筒を未架橋樹脂で構成されている。そして、前記継手本体内に少なくとも外周部が未架橋樹脂で形成された樹脂パイプを差し込み、電熱線に通電して電熱層と樹脂パイプとを熱融着した後、前記端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1に係る発明において、前記保持筒はその基端部が継手本体内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線の両端部が封止されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項3に係る発明において、前記架橋ポリオレフィン樹脂は架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂は未架橋ポリエチレン樹脂であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のエレクトロフュージョン継手は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記樹脂パイプは、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層が積層されている2層構造のものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
すなわち、本発明のエレクトロフュージョン継手においては、電熱層と樹脂パイプとが熱融着された後、端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されている。このため、電熱線の両端部は保持筒の熱融着部で被覆され、シールされる。従って、エレクトロフュージョン継手は、信頼性の高いシール性能(水密性能)を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態におけるエレクトロフュージョン継手を示す縦断面図。
【図2】(a)は継手本体を形成する円筒体の外周面に螺旋溝を刻設した状態を示す正面図、(b)は円筒体を示す側面図。
【図3】一対の円筒体の外周に電熱線を巻き付けた状態を示す正面図。
【図4】図3の状態から電熱線の両端部に端子を取付けた状態を示す正面図。
【図5】図4の状態から両端子に保持筒を装着してコイルセットを調製する状態を示す正面図。
【図6】図5の状態のコイルセットを金型内に配置した状態を示す断面図。
【図7】エレクトロフュージョン継手の両端に樹脂パイプを差し込む状態を示す断面図。
【図8】エレクトロフュージョン継手の両端に樹脂パイプを差し込んで熱融着する状態を示す断面図。
【図9】図8の状態から、保持筒に取着された端子を引き抜く状態を示す断面図。
【図10】図9の状態から保持筒に加熱した加熱用こてを当てて熱融着する状態を示す断面図。
【図11】図10の状態から保持筒の熱融着が完了し、樹脂パイプがエレクトロフュージョン継手に接続された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態につき、図面に従って詳細に説明する。
図1に示すように、エレクトロフュージョン継手10を構成する継手本体11は架橋ポリエチレン樹脂により円筒状に形成され、該継手本体11の内周部には、軸線方向中央部に内周側へ突出する環状ストッパ12が設けられると共に、その両側には一対の環状収容部13が凹設されている。一方、一対の円筒状をなす電熱層14は未架橋ポリエチレン樹脂により形成され、内部にニクロム線等の導電性金属で構成された電熱線15が巻回された状態で埋め込まれている。一対の電熱層14中に埋設された電熱線15は直列的に接続され、通電されるようになっている。これら一対の電熱層14は、前記両環状収容部13に収容され、両電熱層14の内側にそれぞれ樹脂パイプ16が差し込まれる差込空間17が形成されている。
【0015】
図7に示すように、樹脂パイプ16は、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層18の外周に、未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層19が積層された2層構造を有している。この内層18が耐熱性、耐クリープ特性(一定荷重下において時間とともに歪が増加するのを抑制する特性)等の特性を発現し、外層19が電熱層14との熱融着を可能とするように構成されている。
【0016】
図1に示すように、継手本体11の外周部には、拡径された脚部20aを有する円筒状の保持筒20がその基端部を継手本体11内に埋設され、先端部を露出した状態で立設されている。この保持筒20には軸線方向に延びる貫通孔22が形成され、その基端側に前記電熱線15の端部が挿入される一方、円柱状をなす端子21が貫通孔22の先端開口部から挿入され、その端子21の基端部が電熱線15の端部に接続されている。端子21は銅等の導電性金属により形成されている。前記電熱線15は両端子21を介して図示しない制御装置(コントローラ)に接続され、通電時における電流量、通電時間等の条件が記憶され、必要量の電流が通電されるようになっている。そして、継手本体11の差込空間17に樹脂パイプ16を差し込み、端子21を介して電熱線15に通電して電熱層14と樹脂パイプ16の外層19とを熱融着させ、両端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20の露出部分を加熱溶融して形成される熱融着部34(図11参照)で電熱線15の両端部を封止するようになっている。
【0017】
次に、上記のように構成されたエレクトロフュージョン継手10の製造方法について説明する。
図2(a)及び(b)に示すように、電熱層14を形成する円筒体23は未架橋ポリエチレン樹脂で形成され、その外周面には電熱線15を巻き付けるための螺旋溝24が刻設されている。円筒体23の厚さや螺旋溝24の深さ等は、電熱層14と樹脂パイプ16の外層19との熱融着が最適となるような条件に設定される。斯かる円筒体23が一対用意される。続いて、図3に示すように、一対の円筒体23を所定間隔をおいて対向配置し、その状態で一方の円筒体23の外周に刻まれた螺旋溝24に電熱線15を巻回し、電熱線15のコイル25を作製する。一方の円筒体23に巻回された電熱線15の端部を他方の円筒体23の螺旋溝24に導いて連続的に巻き付け、電熱線15のコイル25を作製する。なお、電熱線15は未架橋ポリエチレン樹脂で被覆された被覆電熱線であってもよい。
【0018】
次いで、図4に示すように、電熱線15の両端に円柱状の端子21を、溶接又はかしめによって取着する。引き続き、図5に示すように、両端子21に対して未架橋ポリエチレン樹脂で形成された保持筒20をその脚部20aが下に位置するようにして圧入し、両端子21の基端部が保持筒20内の軸線方向ほぼ中央部に位置するようにセットする。このようにして、一対の円筒体23に電熱線15を連続的に巻き付けたコイルセット26を調製する。
【0019】
図6に示すように、得られたコイルセット26を金型27内に配置する。すなわち、金型27内にはコイルセット26に対応する形状を有するキャビティ28が形成され、そのキャビティ28内に前記コイルセット26を配置した後、円柱状をなす一対のスライドピン29を挿入する。なお、一対の保持筒20及び端子21は金型27内の溝30に挿入、固定される。その状態で、キャビティ28の成形空間31にゲート32から、有機過酸化物等の架橋剤を添加した未架橋ポリエチレン樹脂の溶融物を射出する。斯かる射出成形により、電熱層14の外周に継手本体11用の未架橋の本体筒部が形成される。この本体筒部は電熱層14及び保持筒20と同一の未架橋ポリエチレン樹脂で形成されていることから、良好に接合されて全体が一体化される。
【0020】
その後、金型27を冷却し、一対のスライドピン29を順に外方へスライドさせて引き抜き、金型27を型開きする。そして、金型27内の成形品を取り出し、スチーム中へ投入して成形品を加熱する。この加熱により、ゲート32から射出した架橋剤入りの未架橋ポリエチレン樹脂を架橋させる。このようにして、図1に示すようなエレクトロフュージョン継手10を得ることができる。
【0021】
なお、樹脂パイプ16は押出成形法により成形される。すなわち、架橋剤を添加した未架橋ポリエチレン樹脂を内層18とし、架橋剤が添加されていない未架橋ポリエチレン樹脂を外層19とし、押出成形機を用いて押出成形することによりパイプが得られる。該パイプはその内層18と外層19とが共に未架橋ポリエチレン樹脂であることから、互いに溶融して一体化される。得られたパイプ内に熱湯を通すことにより、内層18のみが架橋剤によって架橋し、架橋ポリエチレン樹脂となる。
【0022】
次に、得られたエレクトロフュージョン継手10の使用方法について説明する。
さて、エレクトロフュージョン継手10の両側に樹脂パイプ16を接続する場合には、図7に示すように、継手本体11の両側の差込空間17に内層18が架橋ポリエチレン樹脂、外層19が未架橋ポリエチレン樹脂で形成された樹脂パイプ16をそれぞれ差し込む。樹脂パイプ16の差し込みを続けると、図8に示すように、両樹脂パイプ16の先端部は継手本体11内の環状ストッパ12に当接する。このとき、両樹脂パイプ16の未架橋ポリエチレン樹脂で形成されている外層19の外周面は、継手本体11の電熱層14の内周面に接触する。また、両樹脂パイプ16の内周面と継手本体11の環状ストッパ12の内周面とが面一になっており、水の流通抵抗が発生しないようになっている。
【0023】
その状態で、電熱線15に制御装置で予め設定された電流量及び通電時間に基づいて通電することにより電熱線15が発熱し、電熱層14を形成する未架橋ポリエチレン樹脂と樹脂パイプの外層19を形成する未架橋ポリエチレン樹脂とが溶け合い、接合される。電熱層14と樹脂パイプ16の外層19との熱融着は外気温、電熱層14と外層19との密着状態等によって変化するため、制御装置で電流量や通電時間などを変化させることにより、調整することができる。通電終了後には、接合部が冷却するまで放置する。
【0024】
冷却後、図9に示すように、両端子21をペンチなどで引っ張ると、保持筒20内で端子21の基端部が電熱線15の端部から引き離され、引き離された両端子21は保持筒20内から引き抜かれる。このとき、端子21と保持筒20の内周面とは接着されていないため、端子21を保持筒20内から容易に引き抜くことができる。
【0025】
両端子21が保持筒20内から引き抜かれた後、図10に示すように、保持筒20の先端部に加熱用治具として、未架橋ポリエチレン樹脂が溶融する温度に加熱された円錐状をなす加熱用こて33を宛がい、押し付ける。このような操作により保持筒20の先端部を溶融させて円錐状の熱融着部34を形成し、保持筒20の貫通孔22の開口部を塞ぐことができる。この場合、保持筒20は未架橋ポリエチレン樹脂で形成されているため、その先端部が容易に溶融し、溶融した円錐状の熱融着部34で貫通孔22の開口部を簡単に塞ぐことができる。
【0026】
このようにして、図11に示すように、エレクトロフュージョン継手10の両側に樹脂パイプ16を接続することができると共に、保持筒20を封止することができる。その結果、樹脂パイプ16の端部と継手本体11との隙間から電熱線15を伝って染み出す水は電熱線15の端部で保持筒20の熱融着部34により密封、遮断され、外部へ漏れ出すおそれはない。
【0027】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のエレクトロフュージョン継手10では、その電熱層14と樹脂パイプ16の外層19とが熱融着された後、端子21を電熱線15の両端部から外し、保持筒20を加熱溶融して電熱線15の両端部を封止するように構成されている。このため、電熱線15の両端部は保持筒20の熱融着部34で被覆され、シールされる。従って、エレクトロフュージョン継手10は、信頼性の高いシール性能を発揮することができる。
【0028】
・ 保持筒20はその基端部が継手本体11内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線15の両端部が封止されるように構成されている。このため、保持筒20を継手本体11に強固に固定できると共に、保持筒20の露出部分の加熱溶融を容易かつ十分に行うことができる。
【0029】
・ 保持筒20はその基端部に拡径された脚部20aを備えていることから、保持筒20を継手本体11内に引き抜き不能に強固に固定することができると共に、端子21の支持を安定させることができる。
【0030】
・ 架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることにより、エレクトロフュージョン継手10の耐熱性や耐クリープ特性を向上させることができると共に、樹脂パイプ16との接続も容易かつ十分に行うことができる。特に、架橋ポリオレフィン樹脂が架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂が未架橋ポリエチレン樹脂であることにより、上記の効果を一層向上させることができる。
【0031】
・ 樹脂パイプ16は、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層18の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層19が積層されている2層構造のものであることにより、エレクトロフュージョン継手10の電熱層14との熱融着を円滑に行うことができる。
【0032】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
〇 継手本体11や樹脂パイプ16の内層18を形成する架橋樹脂として、架橋ポリブテン等の架橋ポリオレフィン樹脂を用いることができ、電熱層14、保持筒20や樹脂パイプ16の外層19を形成する未架橋樹脂として未架橋ポリブテン樹脂等の未架橋ポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0033】
○ 前記実施形態のエレクトロフュージョン継手10をL字状、くの字状等の形状に形成することができる。また、エレクトロフュージョン継手10として、1つの樹脂パイプ16を接続するタイプのもの、3つ以上の樹脂パイプ16を接続するタイプのもの等に具体化することもできる。
【0034】
〇 前記実施形態において、2つの円筒体23の間を接続する電熱線15は継手本体11内を1回又は複数回巻いて通すように構成することもできる。
〇 保持筒20の先端部を加熱溶融するための加熱用治具としては、四角錐状、六角錐状等の錐状又は円錐台状、四角錐台状、六角錐台状等の錐台状に形成されたものを使用することができる。この場合、保持筒20先端部の熱融着部34は錐状又は錐台状に形成される。
【0035】
〇 樹脂パイプ16として、全体が未架橋樹脂で形成されたものを使用することも可能である。
〇 エレクトロフュージョン継手10を、給水系配管や給湯系配管のほか、床暖房配管、ロードヒーティング用配管等の接続に使用することもできる。
【0036】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記保持筒を加熱溶融して形成される熱融着部は錐状又は錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、熱融着部を容易に形成することができると共に、保持筒の先端部を十分に封止することができる。
【0037】
・ 前記保持筒は、その基端部に拡径された脚部を備えていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、保持筒を継手本体内に引き抜き不能に強固に固定することができると共に、端子の支持を安定させることができる。
【符号の説明】
【0038】
10…エレクトロフュージョン継手、11…継手本体、14…電熱層、15…電熱線、16…樹脂パイプ、18…内層、19…外層、20…保持筒、21…端子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす架橋樹脂製の継手本体の内周部には、内部に電熱線が巻回された未架橋樹脂製の電熱層を形成し、継手本体の外周部には前記電熱線の両端部が接続される一対の端子を備えると共に、該端子を保持する保持筒を未架橋樹脂で構成し、
前記継手本体内に少なくとも外周部が未架橋樹脂で形成された樹脂パイプを差し込み、電熱線に通電して電熱層と樹脂パイプとを熱融着した後、前記端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手。
【請求項2】
前記保持筒はその基端部が継手本体内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線の両端部が封止されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項3】
前記架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項4】
前記架橋ポリオレフィン樹脂は架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂は未架橋ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項5】
前記樹脂パイプは、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層が積層されている2層構造のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項1】
筒状をなす架橋樹脂製の継手本体の内周部には、内部に電熱線が巻回された未架橋樹脂製の電熱層を形成し、継手本体の外周部には前記電熱線の両端部が接続される一対の端子を備えると共に、該端子を保持する保持筒を未架橋樹脂で構成し、
前記継手本体内に少なくとも外周部が未架橋樹脂で形成された樹脂パイプを差し込み、電熱線に通電して電熱層と樹脂パイプとを熱融着した後、前記端子を電熱線の両端部から外し、保持筒を加熱溶融して電熱線の両端部を封止するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手。
【請求項2】
前記保持筒はその基端部が継手本体内に埋め込まれ、先端部が露出され、その露出部分が加熱溶融されて電熱線の両端部が封止されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項3】
前記架橋樹脂は架橋ポリオレフィン樹脂であり、未架橋樹脂は未架橋ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項4】
前記架橋ポリオレフィン樹脂は架橋ポリエチレン樹脂であり、未架橋ポリオレフィン樹脂は未架橋ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項5】
前記樹脂パイプは、架橋ポリエチレン樹脂で形成された内層の外周に未架橋ポリエチレン樹脂で形成された外層が積層されている2層構造のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロフュージョン継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−216512(P2010−216512A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61491(P2009−61491)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000128968)株式会社オンダ製作所 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000128968)株式会社オンダ製作所 (31)
【Fターム(参考)】
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