説明

エレクトロルミネセンスのための新規材料、およびそれらの使用

本発明は、構造単位L=X、および三重項状態から光を放射する構造単位を含む有機半導体に関する。本発明の材料は、有機発光ダイオードにおける使用に関して、従来技術による同様の材料と比較して、より優れた溶解性を有し、且つより容易に合成的に入手できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、有機電子部品において使用する新規材料および材料混合物、およびそれらに基づくディスプレイにおけるその使用を記載する。
【0002】
約12年間、幅広い基礎研究が、ポリマー(有機)発光ダイオード(PLED)に基づくディスプレイおよび照明要素の商業化に関して進行している。この開発は、WO 90/13148 に開示された基礎開発により始まった。(フィリップ、N.V.社製の髭剃り器における)比較的小さいディスプレイの形態の最初の製品を、近頃では市場で入手することができる。しかしながら、これらのディスプレイを、現在市場を支配する液晶ディスプレイ(LCD)の真の競合物とするか、またはこれらをしのぐためには、かなりの改善が未だに必要である。
【0003】
とりわけ、「小分子」ディスプレイの分野において、数年前に浮上した開発は、三重項状態から光を放射することができる、つまり、蛍光ではなく、リン光を示す材料の使用である(M.A.バルドー(Baldo)等、Appl. Phys. Lett. 1999. 75, 4-6 )。理論考察は、エネルギーおよびパワー効率における最大で4倍までの上昇が、このタイプの三重項エミッタを用いると可能であることを示す。しかしながら、この開発が成功するかどうかは、OLEDにこれらの利点を導入することができる、対応するデバイス構成物を発見することができるかということに強く依存する。ここでも述べられる実際的な適用のための必須条件は、特に、三重項状態への効率的なエネルギー遷移(その結果として、効率的な発光)、長い駆動寿命、並びに低い使用電圧および駆動電圧である。これらを達成するために、三重項エミッタの性質に加えて、マトリックス材の性質も、非常に重要である。とりわけカルバゾール化合物が、長く、この目的のために検討され、初期の良好な結果を示したが、デバイスの効率および寿命の双方に関する優れた結果が、近年、ケト化合物およびイミン化合物に基づく新規マトリックス材料(未公開特許出願 DE 10317556.3)、またはホスフィンオキシド、スルホンおよびスルホオキシドに基づく新規マトリックス材料(未公開特許出願 DE 10330761.3 )により達成されている。
【0004】
蒸着できる三重項エミッタの上記の利点を、ポリマーアプリケーションにも利用する試みが、近年、ますますなされている。つまり、小分子OLEDの利点と、ポリマーOLED(=PLED)の利点とを組み合わせた、いわゆる複合デバイス構造が考えられ、これは、三重項エミッタを、ポリマー中に混合することにより形成される。他方、三重項エミッタを、ポリマーに共有結合させることもできる。双方の方法とも、化合物を溶液から処理することができ、および低分子量化合物に基づくデバイスについて必要である高価で複雑な蒸着プロセスを必要としないという利点を有する。(例えば、高解像度印刷プロセスを用いての)溶液からの適用は、長期的には、今日では一般的な真空蒸着プロセスに対して、とりわけ、拡張性、構造化能力(structurability)、コーティング効率および経済に関して、かなりの利点を有し得る。ここでもまた、適切なマトリックス材料が必要であり、これは、三重項エミッタへの効率的なエネルギー遷移を可能にし、それと共に、長寿命と低い駆動電圧を有するものである。
【0005】
WO 04/070772 は、三重項エミッタと、ある種のカルバゾール含有共役ポリマーの配合物およびコポリマーを記載し、これは、効率的な発光と低減された駆動電圧をもたらす。さらなる改善が、未公開特許出願 DE 10328627.6 に記載される、ある種の架橋されたカルバゾール単位を導入することにより達成されている。
【0006】
しかしながら、上記した刊行物および特許出願に挙げられる進歩にもかかわらず、溶液から処理することができる三重項エミッタの領域において、対応する材料の改善についてのかなりの可能性がなお存在する。改善についての重要な要求は、さらに、とりわけ以下の分野におけるものであると考えられる。
【0007】
(1)エレクトロルミネセンス要素の効率を、蒸着により得られるデバイスのレベルに至らせるために、従来技術と比較してより有意により一層上昇させる必要がある。
(2)エレクトロルミネセンス要素の寿命は、従来技術と比較して有意に延長されるべきである。
(3)直近の従来技術である、上記の架橋されたカルバゾール単位を含むポリマーおよび配合物の溶解性は、なお不満足である。例えば、そこに記載される高い割合の架橋されたカルバゾール単位は、これらが不溶性ポリマーを生じるために、共重合させることができない。しかしながら、適用するには、溶解性のポリマーが必要である。
(4)上記したカルバゾール単位は、アプリケーションにおける非常に良好な結果を既に示しているが、しかしながら、制限された溶解性の他に、これらの単位のさらなる不都合は、いくつかの場合において、これらの化合物への非常に複雑な化学的なアクセスである。そのデバイス性質が、これらの化合物に匹敵するかより優れ、且つ合成がより容易である化合物およびモノマーを得ることが、ここでは望まれている。
(5)従来技術によるポリマーおよび混合物は、高い酸素感受性を示す。つまり、これらは、注意深く酸素を除きながらでないと処理することができない。感受性の低い物質が、ここでは明らかに有利であろう。
【0008】
従って、この分野における改善に対する大きな要求が存在し続けることは明らかである。
【0009】
驚くべきことに、三重項エミッタと組み合わせた、ある種の構造単位を含むポリマーおよび混合物は、従来技術による混合物またはポリマーと比較して、有意な改善を与えることが見出された。これらのポリマーおよび混合物は、標準的な反応によって、化学的に容易に得ることができるか、またはいくつかの場合においては、市販すらされており、そして一般的に、容易に溶解するポリマーをもたらす。加えて、これらは、比較的低い酸素感受性を示し、これは、その調製および処理を大いに簡素化する。従って、これらは、本特許出願の主題である。
【0010】
WO 03/099901 は、それ自体が本発明に従うコポリマーの偶然の開示を含み、このコポリマーは、エステル基(あるいは、カルボニル基、スルホン基、スルホキシド基またはホスフィンオキシド基)を含有するポリマー骨格、および共重合されたイリジウム錯体および白金錯体を含む。従って、このタイプのポリマー骨格と三重項エミッタの組み合わせを、本発明から除外する。
【0011】
US 03/022908 および US 03/224208 は、それ自体が本発明に従う配合物、共有結合された三重項エミッタを含むポリマー、および電荷輸送ポリマーの偶然の開示を含み、ここで、述べられる2つの(トリアリールアミンを基とする)電荷輸送ポリマーは、さらに、ケト基またはスルホン基を有する。この組み合わせの詳細な利点は、述べられていない。これらの配合物を、本発明から除外する。
【0012】
本発明は、有機半導体に関し、これは、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1つの構造単位L=X
(式中、以下が、用いられる記号にあてはまる。すなわち、
Lは、出現毎に同一であるか異なり、(R)(R)C、(R)P、(R)As、(R)Sb、(R)Bi、(R)(R)(R)P、(R)(R)(R)As、(R)(R)(R)Sb、(R)(R)(R)Bi、(R)(R)S、(R)(R)Se、(R)(R)Te、(R)(R)S(=O)、(R)(R)Se(=O)または(R)(R)Te(=O)であり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、SeまたはN−Rであって、但し、Lが、S、SeまたはTeを表わす場合には、Xは、SまたはSeでなく、
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、N(R、1〜40のC原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基(これは、Rにより置換されていてもよく、または置換されない)(ここで、1以上の非隣接のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、−O−、−S−、−NR−または−CONR−により置き換えられてもよく、および1以上の水素原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられてもよい)、または1〜40のC原子を有する芳香族環構造若しくはヘテロ芳香族環構造(これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよい)であり、ここで、2以上の置換基R、Rおよび/またはR基は、互いに単環若しくは多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、1つの構造単位上の全ての置換基R〜Rが、HまたはFであってはならず、R〜R基は、さらに任意に、ポリマーへの結合を有してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜22のC原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、さらに、1以上の非隣接のC原子は、−RC=C−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、1〜40のC原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはOH、またはN(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、RまたはCN、B(RまたはSi(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20のC原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である)、
(C)少なくとも1つの三重項エミッタ
を含む(但し、第1のポリマーが、共有結合された三重項エミッタを含み、他方が、TPD単位、およびジフェニルスルホンエーテル単位またはジフェニルケトンエーテル単位を含むコポリマーである2つのポリマーの混合物を除き、さらに、一方において、共有結合された三重項エミッタを含み、他方では、式(a)の単位を含むポリマーを本発明から除く)有機半導体に関する
【化3】

【0013】
(式中、
ArおよびArはそれぞれ独立に、四価の芳香族炭化水素基または四価の複素環基を示し、
単位XおよびXの一方は、C(=O)またはC(R)(R)を示し、他方は、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、Si(R)(R)、N(R)、B(R)、P(R)またはP(=O)(R)を示し、ここで、式(a)におけるR、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、
Mは、式(b)、式(c)または式(d)により示される基を示し、
式(b)は−Y−Y−であり、式中、YおよびYは、それぞれ独立に、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R)(R10)、Si(R11)(R12)、N(R13)、B(R14)、P(R15)またはP(=O)(R16)を示し、ここで、式(b)におけるR、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、Yが、C(R)(R10)でなく、またはSi(R11)(R12)でない場合には、YおよびYは同一ではなく、
式(c)は−Y=Y−であり、式中、YおよびYは、それぞれ独立に、N、B、P、C(R17)またはSi(R18)を示し、式(c)におけるR17およびR1基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、
式(d)は、−Y−であり、式中、Yは、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R19)(R20)、Si(R21)(R22)、N(R23)、B(R24)、P(R25)またはP(=O)(R26)であり、ここで、式(d)におけるR19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR26基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、またはシアノ基を示し、
は、−CR36=CR37−または−C≡C−を示し、R36およびR37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、一価の複素環基またはシアノ基を示し、dは、0または1を示す)。
【0014】
本明細書中で用いられる記号「=」は、ルイス表記法による二重結合を表わす。
【0015】
上記した好ましい構造単位L=Xは、式(1)〜(5)から選択される。
【化4】

【0016】
(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、SeまたはN−Rであり、但し、Xは、式(4)および(5)については、SまたはSeであってはならず、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、P、As、SbまたはBiであり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、S、SeまたはTeであり、
〜Rは、上記したものと同じ意味を有する)。
【0017】
本発明による有機半導体は、好ましくは、アモルファス化合物またはアモルファス混合物の形態である。
【0018】
本発明の目的上、芳香族環構造またはヘテロ芳香族環構造とは、芳香族基またはヘテロ芳香族基のみを必ずしも有するのではなく、複数の芳香族基またはヘテロ芳香族基が、例えば、sp混成のC、NまたはO原子のような、短い、非芳香族単位(H以外の<10%の原子、好ましくは、H以外の<5%の原子)により中断されていてもよいということを意味すると解釈される。つまり、例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン等のような系もまた、本出願の目的上、芳香族環系を意味すると解釈される。
【0019】
本発明の目的上、有機半導体は、低分子量の、オリゴマーの、樹枝状のもしくはポリマーの有機化合物、または有機金属化合物であり、これは、固体として、または層として、半導体性質を有し、すなわち、ここでは、伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップが、1.0〜3.5eVである。有機半導体という語は、純粋な成分、または2以上の成分の混合物であって、この少なくとも1つの成分が半導体性質を有している混合物のいずれかに適用される。しかしながら、混合物の使用の場合には、成分のそれぞれが半導体性質を有するということは必要ではない。例えば、ポリスチレンのような電子的に不活性な化合物も、半導体化合物と共に用いることができる。
【0020】
本発明の好ましい態様において、有機半導体は、混合物の形態である。本発明のさらに好ましい態様において、有機半導体は、コポリマーの形態である。
【0021】
本発明の目的上、三重項エミッタとは、三重項状態から光を放射する、すなわち、エレクトロルミネセンスにおいて蛍光の代わりにリン光を示す化合物を意味すると解釈され、好ましくは、有機金属三重項エミッタである。この化合物は、原則として、低分子量のもの、オリゴマーのもの、樹枝状のもの、またはポリマーのものであり得る。特定の理論に結び付けられることを望まないが、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt元素を含む全ての発光化合物を、本特許出願の目的上、三重項エミッタと呼ぶ。
【0022】
本発明による有機半導体については、単位L=X若しくは式(1)〜(5)の単位、および/または三重項エミッタが、ポリマーに混合されるか、またはポリマーに共有結合する種々の態様が存在する。
【0023】
本発明の1つの態様は、混合物BLEND1に関し、これは、
(A)5〜99.9重量%の少なくとも1つのポリマーPOLY1:POLY1は、1〜100モル%、好ましくは5〜80モル%、特に好ましくは10〜50モル%の1以上の繰り返し単位MONO1を含み、ここで、MONO1は、少なくとも1つの構造単位L=X、または式(1)〜(5)の構造単位を含む、および
(B)0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは1〜50重量%、とりわけ2〜25重量%の1以上の三重項エミッタ(TRIP1)
を含む。
【0024】
記載から明らかであるが、構造単位L=X、または式(1)〜(5)の構造単位を含む繰り返し単位MONO1は、1を超えるこのような単位を含んでもよいことを、ここに明示的に示しておく。
【0025】
BLEND1の態様において、三重項エミッタ(TRIP1)は、ポリマーPOLY1と共有結合せずに混合される。構造単位L=X、または式(1)〜(5)の構造単位を含む繰り返し単位MONO1は、ポリマーに共有結合する。ここで、結合は、原則としていずれかの所望の位置で起こり、すなわち、これらの単位は、式(1)〜(5)におけるR〜Rの1以上の位置を介して、または任意に、R、Rおよび/若しくはRを介して取り込まれ得る。これらの構造単位は、結合に依存して、ポリマーの主鎖または側鎖に取り込まれる。
【0026】
本発明のさらなる態様は、混合物BLEND2に関し、これは、
(A)0.5〜99重量%の少なくとも1つのポリマーPOLY2;POLY2は、共有結合した0.5〜100モル%の1以上の三重項エミッタ(TRIP2)を含む、および
(B)少なくとも1つの構造単位L=X、または式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含み、ガラス様の層を形成することができ、好ましくは、室温にて、70℃を超えるガラス転移温度を有する1〜99.5重量%の少なくとも1つの化合物COMP1
を含む。
【0027】
BLEND2の記載から明らかであるが、構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の構造単位を含む化合物COMP1は、1を超えるこれらの単位を含んでよいことを明示的に指摘しておく。
【0028】
ここでは、三重項エミッタTRIP2は、ポリマーPOLY2の主鎖中および/または側鎖中に取り込まれ得る。
【0029】
本発明のさらなる側面は、混合物BLEND3に関し、これは、
(A)0.5〜98.9重量%の少なくとも1つのポリマーPOLY3、
(B)少なくとも1つの構造単位L=X、または式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含み、ガラス様の層を形成することができ、好ましくは、室温にて、70℃を超えるガラス転移温度を有する、1〜99重量%の少なくとも1つの化合物COMP1、および
(C)0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは1〜50重量%、とりわけ2〜25重量%の1以上の三重項エミッタ(TRIP1)
を含む。
【0030】
本発明のさらなる側面は、混合物BLEND4に関し、これは、
(A)0.5〜99重量%の少なくとも1つのポリマーPOLY3、および
(B)1〜99.5重量%の化合物TRIP3;TRIP3は、1以上の三重項エミッタに共有結合した、少なくとも1つの構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位を含み、ここで、少なくとも1つのX基は、遊離形態であり、すなわち、金属原子に配位しておらず、このことは、その原子Xが、金属原子に配位している(例えば、アセチルアセトネート配位子等)さらなる構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の構造単位が存在することを除外しない
を含む。
【0031】
本発明は、さらに、ポリマーPOLY4に関し、これは、
(A)少なくとも1つの構造単位L=Xを含む、1〜99.9モル%、好ましくは5〜80モル%、特に好ましくは10〜50モル%の1以上の繰り返し単位MONO1(式中、記号L、X、R、R、R、R、RおよびRは、上記したものと同じ意味を有する)、および
(B)0.1〜95モル%、好ましくは0.5〜50モル%、特に好ましくは1〜25モル%の1以上の三重項エミッタTRIP2
を含む。
【0032】
BLEND1〜BLEND4およびPOLY4における三重項エミッタの割合は、上記したものと比べて有意により低くてもよい。未公開特許出願 DE 10343606.5 中に記載されているが、低い割合の三重項エミッタが、とりわけ白色発光の生成については好ましい。
【0033】
ポリマーPOLY1〜POLY4は、共役しているか、部分的に共役しているか、交差共役しているか、または共役していない。
【0034】
本発明の目的上、共役ポリマーは、その主鎖が、主に、sp混成(または、sp混成)炭素原子(これは、対応するヘテロ原子により置き換えられてもよい)を含み、およびその単位が、互いに共役しているポリマーである。最も単純な場合には、これは、主鎖における二重結合と単結合の交互の存在を意味する。共役の中断をもたらす、(さらなる補足を必要とせずに)自然に生じる欠陥が、「共役ポリマー」という語を損なわないということを主に意味する。さらに、本明細書中における共役とは、同様に、アリールアミン単位、アリールホスフィン単位および/またはある種の複素環(すなわち、N、O、SまたはP原子を介して共役)、および/または金属錯体(例えば、TRIP2について記載した単位)(金属原子を介して共役)が、主鎖中に位置する場合も意味する。
【0035】
本発明の目的上、部分的共役ポリマーは、主鎖中に、非共役部位により中断される比較的長い共役部位を含むか、主鎖において非共役であるポリマーの側鎖中に、比較的長い共役部位を含むポリマーである。
【0036】
本発明の目的上、交差共役ポリマーは、2つの共役部位は、互いに共役しないが、これらの部位のそれぞれは、第3の単位と共役している。これは、例えば、2つの共役部位が、ケト基、スルホキシド基、スルホン基またはホスフィンオキシド基を介して直接結合している場合であるか、また、例えば、置換または無置換アルケン基を介して、2つの共役部位がジェミナル結合している場合、または例えば、メタ−フェニレン基を介して、2つの共役部位が結合している場合である。
【0037】
対照的に、例えば、単純なアルキレン鎖、(チオ)エーテル架橋、エステル結合、アミド結合またはイミド結合は、非共役部位として明らかに定義される。
【0038】
本ポリマーは、好ましくは共役しているか、部分的に共役しているか、または交差共役している。
【0039】
(POLY1〜POLY4における)単位MONO1、および(POLY2〜POLY4における)三重項エミッタTRIP2に加えて、ポリマーPOLY1〜POLY4は、種々のさらなる構造要素を含んでいてもよい。これらは、例えば、ポリマー骨格を形成することができる構造単位であるか、または電荷注入性若しくは電荷輸送性に影響を与える構造単位であり得る。
【0040】
このような単位は、例えば、WO 03/020790 および未公開特許出願 DE 10337346.2 中に詳細に記載されている。この記載を、本明細書の一部として本願に援用する。
【0041】
交差共役ポリマーPOLY1およびPOLY4に適するクラスの化合物は、芳香族ポリケトンおよび芳香族ポリスルホンであり、これらのそれぞれは、より高い溶解性を目的として置換されていてもよい。これらのクラスの化合物の総覧は、「総合ポリマー科学(Comprehensive Polymer Science)」、第5巻、29章、483〜497(G.アレン(Allen)編集)、および同書、33章、561〜591(F.パロディ(Parodi)編集)において、P.A.スタニランド(Staniland)により与えられる。
【0042】
ポリマーPOLY1〜POLY4が、非共役ポリマーである場合、原則として、ポリマーであれば、いずれもの所望のクラスの化合物が、この目的に適するが、配合物として処理される場合には、ポリマーは、他の配合成分が溶解する溶媒または溶媒混合物において十分な溶解性を有し、従って、全ての成分を、溶液から一緒に処理することができる。共有結合した、単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位を含む非共役ポリマーPOLY1およびPOLY4の例は、最も広い意味では、ポリカルボン酸誘導体であり、例えば、主鎖ポリエステル、側鎖ポリエステル、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリアクリレート、ポリ(ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリカルボン酸無水物、ポリアミド、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリペプチド、ポリアラミド、ポリベンズアミド、ポリイミド、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(エステル−イミド)、ポリ(エーテル−イミド)等、および例えば、ポリカーボネート、ポリ(エステル−コ−カーボネート(ester-co-carbonate))、ポリ(イソシアヌレート)、ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタンのようなポリマーである。ここでは、カルボニル基と結合される、少なくとも1つの芳香族基を有するポリマーが好ましく、2つの芳香族基を有するポリマーが特に好ましい。挙げることができる主鎖ポリエステルの例は、例えば、ポリ(テレフタレート)である。ここで挙げることができる側鎖ポリエステルの例は、例えば、ポリ(アクリレート)、とりわけ、ポリ(フェニルアクリレート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ビニルエステル)、またはポリ(ビニルアセテート)である。共有結合された単位L=Xを含む、さらなる非共役ポリマーは、例えば、側鎖ポリホスフィンオキシド、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンアミド、ポリスルホンイミド等である。さらに、例えば、置換または無置換ポリ(ビニルケトン)が適しており、好ましくは、芳香族ポリビニルケトン、または置換若しくは無置換ポリ(ビニルベンゾフェノン)、またはポリ(4−ベンゾイル−α−メチルスチレン)のような他のポリスチレン類似ケトン(polystyrene-analogous ketone)が適する。ポリニトリル、ポリイソニトリルのようなポリカルバゼン(polycarbazene)もまた、適している。
【0043】
共有結合された単位L=Xまたは三重項エミッタのどちらも含まない、適切な非共役ポリマーPOLY3の例は、例えば、最も広い意味でポリエチレンまたはポリスチレンから誘導されるポリマーであり、また例えば、PVK(ポリビニルカルバゾール)またはそれらの誘導体のような電子的に活性な非共役ポリマーである。
【0044】
ポリマーPOLY1、POLY2およびPOLY3は、ホモポリマーであり得る、すなわち、これらは、単一のモノマー構造のみを含有するが、一般的にはコポリマーである。ポリマーPOLY4は、常にコポリマーである。コポリマーは、ランダム構造、交互構造またはブロック様構造を有するか、あるいは、これらの構造の複数を交互に有する。同様に、ポリマーは、直線構造または樹枝状構造を有し得る。複数の異なる構造要素を用いることにより、例えば、溶解性、固体状態形態等の性質を調節することができる。
【0045】
ポリマーPOLY1〜POLY4は、1以上のモノマーを重合することにより調製される。特に、共役ポリマーまたは交差共役ポリマーの合成については、C−C結合を生じる(スズキカップリング、ヤマモトカップリング、スティル(STILLE)カップリング)、またはC−N結合を生じる(ハルトビヒ−ブークウォルド(HARTWIG-BUCHWALD)カップリング)いくつかのタイプがうまくいくことがわかった。重合を、これらの方法により行う方法、およびポリマーを、反応媒体から分離し精製する方法は、例えば、WO 03/048225 および WO 04/022626 中に記載されている。
【0046】
部分的共役ポリマーまたは非共役ポリマーの合成もまた、これらの方法により、完全に共役していない対応するモノマーを用いて行うことができる。しかしながら、部分的共役ポリマーまたは非共役ポリマーについては、ポリマー化学では一般的によく知られる他の合成方法、例えば、重縮合(これは、例えば、エステル結合またはアミド結合を生じる)、カチオン性重合、アニオン性重合またはラジカル重合(これは、例えば、アルケンの反応を介して進行し、最も広い意味で、ポリエチレン誘導体(これは、側鎖に、結合された発色団を含む)を生じる)もまた、適している。
【0047】
以下が、式(1)〜(5)の好ましい構造ユニットに当てはまる。すなわち、
Xは、O、SまたはN−Rを表わし、
Yは、PまたはAsを表わし、
Zは、SまたはSeを表わし、
〜Rは、上記した通りであり、ここで、式(1)〜(5)の各構造単位上の置換基R〜Rの少なくとも1つは、1〜40のC原子を有する芳香族環構造またはヘテロ芳香族環構造(これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよく、または置換されない)を示す。
【0048】
以下が、式(1)〜(5)の特に好ましい構造に当てはまる。すなわち、
Xは、O、またはN−Rを表わし、特に好ましくは、Oを表わし、
Yは、Pを表わし、
Zは、Sを表わし、
〜Rは、上記した通りであり、ここで、式(1)〜(5)の各構造単位上の全ての置換基R〜Rは、1〜40のC原子を有する芳香族環構造またはヘテロ芳香族環構造(これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよく、または置換されない)を示す。
【0049】
置換基R〜Rは、非常に特に好ましくは、少なくとも1つのビフェニル系構造が、式(1)〜(5)の単位に直接結合する環構造またはヘテロ環構造を含み、例えば、フルオレンまたはスピロビフルオレンを、このような構造として考慮にいれることを意図する。
【0050】
式(1)〜(5)の好ましい構造単位であると判明した構造単位は、そのR〜R基が、平面構造を有さない構造単位である。この場合には、とりわけ、置換基R〜Rの少なくとも1つが、sp混成炭素原子(または、これに相当するものとして、シリコン、ゲルマニウム、窒素等)を含み、これは、結果として、ほぼ四面体(窒素の場合には、ピラミッド形)形状を有する。
【0051】
従って、好ましい構造単位は、置換基R〜Rの少なくとも1つが、少なくとも1つのsp混成炭素原子を含有する式(1)〜(5)の単位である。
【0052】
平面からの明らかなずれを達成するために、sp混成炭素原子が、二級炭素原子、三級炭素原子または四級炭素原子であることが好ましく、三級炭素原子または四級炭素原子が特に好ましく、四級炭素原子が非常に特に好ましい。二級炭素原子、三級炭素原子または四級炭素原子は、それぞれ、2個、3個または4個の水素でない置換基を有する炭素原子を意味するものである。
【0053】
〜R基の少なくとも1つの中に、9,9’−スピロビフルオレン誘導体、9,9’−二置換フルオレン誘導体、6,6−および/若しくは12,12−二置換若しくは四置換インデノフルオレン誘導体、トリプチセン誘導体(好ましくは、9位および/または10位を介して結合する)、またはテトラアリールメタン誘導体を含む式(1)〜(5)の構造単位が、特に好ましい。
【0054】
9,9’−スピロビフルオレン誘導体、および同時に式(1)〜(5)の1以上の構造単位を含有するポリマーは、新規であり、従って、同様に、本発明の主題である。
【0055】
式(1)〜(5)の構造単位を含む、特に好ましい繰り返し単位MONO1または化合物COMP1の例は、式(6)〜(148)の置換または無置換の構造であり、ここで、破線単結合は、ポリマー(POLY1)中での可能性のある結合、または分子伸長のための結合(COMP1)を示し、Phは、置換または無置換のフェニル基を表わし、アルキルは、直鎖の、分枝のまたは環状のアルキル鎖(これは、置換されていてもよく、または置換されない)(ここで、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)を表わす。式(6)〜(148)のこれらの構造単位は、好ましくは、化合物TRIP3の構成要素であり、これは、三重項エミッタと、式(1)〜(5)の単位の組み合わせを表わす。より明快にするために、可能性のある置換基Rは一般的には示されない。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【0056】
記載から明らかであるが、式(6)〜(148)の構造単位は、非対称に置換されていてもよく、すなわち、異なる置換基Rが、1つの単位上に存在していてよく、またはこれらは、異なる位置で結合されてもよいことを、ここに明示的に再び示しておく。
【0057】
繰り返し単位MONO1は、POLY1およびPOLY4の、電子対を共有する要素である。(ポリマーにおける全ての繰り返し単位に基づいて)5〜100モル%の範囲にある、これら繰り返し単位の割合が、ここでは良好な結果を得ることが見出された。5〜100モル%の割合の繰り返し単位MONO1が、POLY1については好ましい。10〜80モル%の割合の繰り返し単位MONO1が、特に好ましく、10〜50モル%の割合の繰り返し単位MONO1が、非常に特に好ましい。
【0058】
化合物COMP1は、BLEND2およびBLEND3の混合成分である。混合物中、5〜99重量%の範囲のこれらの化合物の割合が、ここでは、良好な結果を得ることが見出された。従って、5〜99重量%の割合の化合物COMP1が、BLEND2およびBLEND3には好ましい。10〜80重量%の割合のCOMP1が特に好ましく、10〜50重量%の割合のCOMP1が非常に特に好ましい。
【0059】
さらに好ましい態様は、BLEND1中に化合物COMP1を混合することにより生成する混合物BLEND5であり、ここでは、構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位は、ポリマーに共有結合してもおり、またここに混合されてもいる。これらの単位が、ポリマーに共有結合しているか、またはここに混合されているかに関係なく、これらの式の構造単位の合計で5〜99モル%の割合が、良好な結果を得ることが、ここに見出された。合計で5〜99モル%の割合の、構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位がここでは好ましい。合計で10〜80モル%の割合の構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位が特に好ましく、合計で10〜50モル%の割合の式(1)〜(5)の構造単位が、非常に特に好ましい。
【0060】
さらに好ましい態様は、BLEND4中に化合物COMP1を混合することにより生成する混合物BLEND6であり、構造単位L=Xはまたは式(1)〜(5)の単位は、ここでは、三重項エミッタに共有結合してもおり、またここに混合されてもいる。ここでもまた、これらの単位が、三重項エミッタに共有結合しているか、またはここに混合されているかに関係なく、合計で5〜99モル%の割合のこれらの構造単位が、良好な結果を得ることが、ここに見出された。合計で5〜99モル%の割合の構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位がここでは好ましい。合計で10〜80モル%の割合の構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位が特に好ましく、合計で10〜50モル%の割合の構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の構造単位が、非常に特に好ましい。
【0061】
さらに好ましい態様は、POLY4中に、化合物COMP1および/または三重項エミッタTRIP1を混合することにより生成する混合物BLEND7である。
【0062】
BLEND1およびBLEND3中に混合された三重項エミッタTRIP1、またはPOLY2(=BLEND2)中に共重合された三重項エミッタTRIP2、またはBLEND4中に混合された三重項エミッタTRIP3は、室温で三重項状態から光を放射することができる、すなわち、蛍光の代わりにリン光を示す、いずれかの所望の有機物質の、有機金属物質の、または無機物質のクラスから選択され、これらは、まず第1に、とりわけ、重原子、すなわち、36を超える原子番号を有する元素の周期表からの原子を含む化合物である。上記の条件を満たすd遷移金属およびf遷移金属を含む化合物が、この目的に特に適する。8〜10族からの元素(すなわち、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含有する、対応する構造単位が、ここでは非常に特に好ましい。トリスオルトメタル化金属錯体に基づく三重項エミッタが、特に好ましい。
【0063】
三重項エミッタTRIP1およびTRIP3は、低分子量化合物、オリゴマー化合物、樹枝状化合物またはポリマー化合物であり得る。これらは、いくつかの場合において、混合物成分として処理される(BLEND1、BLEND3またはBLEND4)ので、溶液からの処理を可能にするために、適切な溶媒(例えば、トルエン、キシレン、アニソール、THF、メチルアニソール、メチルナフタレン、またはこれらの溶媒の混合物)への十分な溶解性が必要である。ここでの適切な低分子量構造単位は、例えば、特許出願 WO 02/068435、WO 02/081488、EP 1239526 および WO 04/026886 に記載されている種々の錯体である。とりわけ、WO 02/068435 に記載されているハロゲン化錯体が、TRIP3についての出発化合物として適しており、これは、ハロゲン官能性は、式(1)〜(5)の構造単位を有する錯体の容易な誘導体化を可能にするためである。TRIP1およびTRIP3についての適切な樹枝状構造は、例えば、WO 99/21935、WO 01/059030 および WO 02/066552 に記載されている錯体である。
【0064】
三重項エミッタTRIP2は、POLY2(BLEND2)のポリマー鎖中に共有結合して取り込まれる。POLY2中へのTRIP2の取り込みを容易にするために、重合性官能基が、TRIP2に存在する必要がある。例えば、スズキ重合反応またはヤマモト重合反応におけるモノマーとして用いることができる、対応する臭素化錯体の例は、WO 02/068435 および 未公開特許出願 DE 10350606.3 中に記載されている。
【0065】
本発明による混合物BLEND1は、三重項エミッタTRIP1を、ポリマーPOLY1と混合することにより得られる。
【0066】
本発明による混合物BLEND2は、構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の構造単位を含む化合物COMP1を、ポリマーPOLY2と混合することにより得られる。
【0067】
本発明による混合物BLEND3は、構造単位L=Xまたは式(1)〜(5)の構造単位を含む化合物COMP1および三重項エミッタTRIP1を、ポリマーPOLY3と混合することにより得られる。
【0068】
本発明による混合物BLEND4は、単位TRIP3を、ポリマーPOLY3と混合することにより得られる。
【0069】
BLEND1〜BLEND7中に、さらなる共役、部分的共役、交差共役、若しくは非共役のポリマー化合物、オリゴマー化合物、樹枝状化合物、またはさらなる低分子量化合物を混合することも、さらにまた好ましいであろう。さらなる成分の追加は、いくつかの用途については適切であると分かるであろう。例えば、電子的に活性な物質の追加は、対応する配合物における、正孔若しくは電子注入、正孔若しくは電子輸送、または電荷平衡を調節することができる。加える成分は、一重項−三重項遷移を容易にすることもできる。しかしながら、電子的に不活性な化合物の追加も、例えば、溶液の粘度または形成されるフィルムの形態を制御するためには有用である。本発明は、同様に、このようにして得られる配合物に関する。
【0070】
BLEND1〜BLEND7は、以下の通りに調製する。配合物の個々の成分を、適切な混合比で混合し、適切な溶媒に溶解させる。適切な溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、キシレン、メチルアニソール、メチルナフタレン、クロロベンゼン、環状エーテル(例えば、ジオキサン、THF、メチルジオキサン)、アミド(例えば、NMP、DMF)、またはこれらの溶媒の混合物である。あるいは、配合物の成分を、個々に溶解させてもよい。この場合においては、配合物の溶液は、個々の溶液を、適切な混合比で混ぜ合わせることにより得られる。ここでの溶解プロセスは、好ましくは、不活性雰囲気中、および任意に高温で行われる。一般的には配合物を(再沈殿により)固体として単離するのではなく、溶液から直接的にさらに処理する。しかしながら、本発明は、また、再び沈殿した配合物にも関する。
【0071】
個々の成分の適切な比は、例えば、合計で1〜99.5モル%、好ましくは5〜99モル%、特に好ましくは10〜80モル%、とりわけ10〜50モル%の単位L=Xまたは式(1)〜(5)の単位(POLY1中のMONO1、またはCOMP1)、および0.1〜95モル%、好ましくは0.5〜80モル%、特に好ましくは1〜50モル%、とりわけ2〜25モル%のTRIP1、TRIP2およびTRIP3を含む混合物であり、ここで、データは、存在する全ての単位(配合成分またはポリマー中の繰り返し単位)に基づく。これは、成分が、ポリマーに共有結合されているか、または混合されているかどうかとは無関係である。
【0072】
本発明による有機半導体、すなわち、本発明による混合物BLEND1〜BLEND7およびポリマーPOLY4は、とりわけ、上記の従来技術に対して以下の驚くべき利点を有する。
【0073】
・有機溶媒中での溶解性は、従来技術によるポリマーおよび混合物の溶解性と比べて一様に優れる。このより優れた溶解性は、例えば、直近の従来技術として述べた架橋されたカルバゾール単位に対する利点を提供する。何故なら、そこでの最大限の割合のカルバゾールでは、しばしば、乏しい溶解度が測定されているが、いくつかの場合においては、高いカルバゾールの割合が、デバイス性質のさらなる改善には所望され得るためである。
・配合成分およびモノマーの双方としての、式(1)〜(5)の単位の化学的な取得可能性は、問題がない。いくつかの場合において、これらの配合物成分およびモノマーは、市販されている。このことは、例えば、合成および精製がかなり複雑である架橋されたカルバゾール単位(DE 10328627.6 )に対する、格別な利点である。
・本発明による混合物およびポリマーは、従来技術による混合物およびポリマーと比べて、高い酸素に対する安定度を示す。このことは、これらの化合物および混合物の調製、並びにその処理を簡素化し、これは、かなりの実用的な利点を意味する。
・三重項エミッタの発光効率は、従来技術によるポリマーおよび混合物と比べて、本発明による有機半導体において、より向上する。
・本発明によるデバイスの寿命は、従来技術によるデバイスと比べてより優れる。
【0074】
本発明による有機半導体、すなわち、混合物BLEND1〜BLEND7およびポリマーPOLY4を、PLEDにおいて、とりわけ、エレクトロルミネセンス材料(発光材料)として用いることができる。PLEDは、通常、一般的なプロセスを用いて作製され、これは、個々のケースに応じて、それ相応に変更される。このタイプのプロセスは、例えば、WO 04/037887 に詳細に記載される。
【0075】
従って、本発明は、本発明による有機半導体、すなわち、本発明による混合物BLEND1〜BLEND7および本発明によるポリマーPOLY4の、エレクトロルミネセンス材料としてのPLEDにおける使用に関する。
【0076】
本発明は、同様に、1以上の層を有するPLEDに関し、ここで、これらの層の少なくとも1つは、1以上の本発明による有機半導体、すなわち、1以上の本発明による混合物BLEND1〜BLEND7または本発明によるポリマーPOLY4を含む。
【0077】
本明細書および以下の例は、本発明の有機半導体、すなわち、本発明による混合物BLEND1〜BLEND7またはポリマーPOLY4の、PLEDおよび対応するディスプレイに関する使用に向けられる。この記載の制限にも関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、本発明によるポリマーまたは配合物を、他の電子デバイス、例えば、いくつかの用途を挙げるのみであるが、有機太陽電池(O−SC)、非線形光学素子、または有機レーザダイオード(O−laser)においてさらに用いることができるであろう。本発明は、これらにも関する。
【0078】
本発明は、以下の例によりより詳細に説明されるが、これらにより制限されることを望まない。
【0079】

例1:ポリマーのためのコモノマーの合成
共役ポリマーに用いられるコモノマーの合成は、WO 02/077060 およびそこに挙げられる文献、および未公開特許出願 DE 10337346.2 中に詳細に記載される。以下で用いるモノマーM1〜M5およびM8を、明瞭にするためにここに再び示す。
【化13】

【0080】
例2:4,4’−ジブロモベンゾフェノン(式(1)のモノマーM6)
4,4’−ジブロモベンゾフェノンを、フルカ(Fluka)社から98%の純度で入手し、エタノールからさらに再結晶することにより、99.7%の純度(HPLCによる)にまで精製した。
【0081】
例3:ビス(4−ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド(式(3)のモノマーM7)の合成
a)ビス(4−ブロモフェニル)フェニルホスフィンの合成
【化14】

【0082】
内部温度計、かくはん子および2つの滴下漏斗を備え、アルゴンを充填した、乾燥させた1000mlの4つ首フラスコ中で、33.9g(144mmol)のジブロモベンゼンを、300mlの乾燥THF中に溶解し、−70℃にまで冷却した。90ml(144mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)を、30分に渡り滴下して加え、この混合物を、この温度でさらに1時間攪拌した。続いて、60mlの乾燥THF中の12.9g(9.75ml、72mmol)のジクロロフェニルホスフィンを、この温度で滴下して加えた。この混合物を、終夜で室温にまで到達させた。20mlのメタノールを加え、このバッチを乾燥するまで蒸発させた。残渣を、ジクロロメタンに溶解させ、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。この化合物を、さらに精製することなく、以下の反応に用いた。
【0083】
b)ビス(4−ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド(モノマーM7)の合成
【化15】

【0084】
内部温度計、かくはん子、還流冷却器および滴下漏斗を備えた500mlの4つ首フラスコ中で、10.05g(24mmol)のビス(4−ブロモフェニル)フェニルホスフィンを、200mlの酢酸エチルに溶解し、5℃の内部温度にまで冷却した。17.5mlの水中の2.25ml(26.4mmol)のH(35%)の溶液を、30分に渡り滴下して加え、この混合物を、室温で、さらに12時間攪拌した。25mlの飽和亜硫酸ナトリウムを続いて加え、有機相を分離し、飽和亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。まず、精製を、シリカゲル上で、最初はヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶媒混合物を用いて、続いてヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶媒混合物を用いてカラムクロマトグラフィーにより行った。ヘプタン/トルエンからの再結晶によりさらに精製を行うと、99.7%の純度(HPLCによる)で、6.5gの生成物を与えた。H−NMR(500MHz,CDCl):[ppm]7.46−7.66(m)。31P−NMR(CDCl):[ppm]28.40。
【0085】
例4:2,7−ジブロモ−9−ケト−10−(2−エチルヘキシル)−10−メトキシジヒドロフェナントレン(式(1)のモノマーM9)の合成
a)2,7−ジブロモ−9−ケト−10−(2−エチルヘキシル)−10−ヒドロキシジヒドロフェナントレンの合成
【化16】

【0086】
4.6g(185mmol)のマグネシウムを、還流冷却器、かくはん子、内部温度計および滴下漏斗を備え、アルゴンを充填した500mlの4つ首フラスコ中に導入した。器具を加熱により乾燥し、ヨウ素の粒子を加え、続いて175mlの無水THF中の37.6ml(185mmol)のエチルヘキシルブロミドを滴下して加えた。この混合物を還流下で、マグネシウムが消費されるまで加熱した。室温にまで冷却した後、グリニア溶液を滴下漏斗中に移した。かくはん子、内部温度計、還流冷却器、および滴下漏斗を備え、アルゴンを充填した1000mlの4つ首フラスコ中の300mlのTHF中に、45g(123mmol)のジブロモフェナントレンキノンを0℃で懸濁させた。この懸濁液に、グリニア溶液を、内部温度が25℃を超えない速度で滴下して加えた。続いて、この混合物を室温で終夜攪拌した。200mlの飽和NHCl溶液を、このバッチに加えた。酢酸エチルを加え、この混合物を飽和NaCl溶液で2回抽出し、NaSOにて乾燥し、および溶媒を除去した。残渣を、250mlのヘキサン中で沸騰させ、緑色固体をろ別し、生成物を晶出した。収量は、39.3g(理論の67%)であった。H−NMR(CDCl):[ppm]=8.03(m,1H),7.91(m,1H),7.78(m,2H),7.62(m,1H),7.52(m,1H),3.91(s,DOと交換可能,1H),1.72(m,2H),1.33(m,1H),1.10(m,8H),0.81(m,3H),0.65(m,3H)。
【0087】
b)2,7−ジブロモ−9−ケト−10−(2−エチルヘキシル)−10−メトキシジヒドロフェナントレン(モノマーM9)の合成
【化17】

【0088】
30mlのDMSO中の3.3g(81.5mmol)のNaH(鉱物油中の60%分散)を、メカニカルスターラー、凝縮器、温度計および滴下漏斗を備えた、加熱により乾燥させた500mlの4つ首フラスコ中に導入した。60mlのDMSO中の21.6g(54.3mmol)の2,7−ジブロモ−9−ケト−10−(2−エチルヘキシル)−10−ヒドロキシジヒドロフェナントレンを、ゆっくりと滴下して加え、この混合物を室温で30分間攪拌した。続いて、氷で冷却しながら、5.1ml(81.5mmol)のヨウ化メチルを、1時間に渡り滴下して加えた。この混合物を、室温で2日間攪拌した後、5℃にまで冷却し、90mlの中濃度(semi-conc.)NHOHを滴下して加え、100mlのMeOHを滴下して加え、この混合物を、氷浴中で30分間攪拌し、この生成物を、吸引しながらろ過し、MeOHで洗浄して、真空乾燥器中で60℃で乾燥した。粗生成物を、メタノールから数回再結晶した。収量は、17.3g(理論の65%)であり、>99.8%の純度であった。H−NMR(CDCl):[ppm]=8.16(d,HH=2.3Hz,1H),7.78(m,4H),7.56(dd,HH=8.7Hz,HH=2.3Hz,2H),3.17(s,3H),1.71(m,2H),1.26(m,1H),1.06(m,8H),0.77(m,3H),0.59(m,3H)。
【0089】
例5:2,7−ジブロモ−9−ケト−10,10−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ジヒドロフェナントレン(式(1)のモノマーM10)の合成
【化18】

【0090】
電磁攪拌機、凝縮器を有する水分離機を備えた250mlの丸底フラスコ中の80mlのトルエン中に、200mgのパラ−トルエンスルホン酸および10g(15.8mmol)の2,7−ジブロモ−9,10−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシジヒドロフェナントレンを懸濁させ、水分離機上で3時間沸騰させた。沈殿を吸引しながらろ別し、メタノールで洗浄し、トルエンから2回再結晶して、減圧下で乾燥させた。収量は、6.3g(理論の65%)で、>99.9%の純度であった。H−NMR(CDCl):[ppm]=8.06(d,HH=2.0Hz,1H),7.80(d,HH=8.7Hz,1H),7.73(d,HH=8.7Hz,1H),7.68(dd,HH=8.4Hz,HH=2.0Hz,1H),7.55(dd,HH=8.3Hz,HH=2.0Hz,1H),7.26(m,4H),6.91(d,HH=2.0Hz,1H),6.83(m,4H),1.26(s,18H)。
【0091】
例6:成分V1およびV2の配合物(式(1)のCOMP1)
配合物成分V1として、以下のケトンを一例として用いた。この合成は、DE 10317556.3 に既に記載されている。
【化19】

【0092】
配合物成分V2として、以下のホスフィンオキシドを一例として用いた。この合成は、DE 10330761.3 に記載されている。
【化20】

【0093】
例7:配合物における使用のための構造単位TRIP1
一例としてここで用いられる化合物TRIP1は、トリス(フェニルピリジル)イリジウム(III)の誘導体である。これらの化合物の合成は、既に、WO 02/081488 および WO 04/026886 中に記載されている。明瞭にするために、ここで用いたイリジウム錯体を、重ねて以下に示す。
【化21】

【0094】
例8:さらなる配合物成分
さらなる配合物成分として、スピロトリアリールアミン誘導体amine1、およびスピロオキサジアゾール誘導体Ox1を使用した。これらの構造を以下に示す。
【化22】

【0095】
例9:共役ポリマーPOLY3の合成
式(1)〜(5)の単位を含まず、且つ化合物TRIP2を含まない共役ポリマーPOLY3の合成は、例えば、出願明細書 WO 02/077060、WO 03/020790 および WO 04/070772 中に既に記載されている。
【0096】
例10:ポリマーP1の合成
WO 03/048224 中に記載されるプロセスに従って、合成を行った。19mlのジオキサン、6mlのトルエンおよび12mlのHO中の、1.6013g(2mmol)のモノマーM1、0.8118g(1.2mmol)のモノマーM2、0.3035g(0.4mmol)のモノマーM5、0.1744g(0.4mmol)のモノマーM7、および2.03g(2.2当量)のリン酸カリウム水和物を用いた。0.45mgのPd(OAc)および3.65mgのP(o−トリル)を触媒として用いた。処理すると、58,000g/モルのM、および185,000g/モルのM(ポリスチレン標準を用いるTHF中でのGPC)の分子量を有する、1.57gのポリマーを与えた。
【0097】
例11:ポリマーP2の合成
WO 03/048224 中に記載されるプロセスに従って、合成を行った。19mlのジオキサン、6mlのトルエン、および12mlのHO中の1.2889g(2mmol)のモノマーM3、0.7951g(1.2mmol)のモノマーM4、0.3035g(0.4mmol)のモノマーM5、0.1360g(0.4mmol)のモノマーM6、および2.03g(2.2当量)のリン酸カリウム水和物を用いた。0.45mgのPd(OAc)および3.65mgのP(o−トリル)を触媒として用いた。処理すると、87,000g/モルのMおよび219,000g/モルのM(ポリスチレン標準を用いるTHF中でのGPC)の分子量を有する1.72gのポリマーを与えた。
【0098】
例12:非共役ポリマー(POLY1)P6およびP7
7.5のメルトフローインデックスを有するポリスチレンP6を、アルドリッチ社から商業的に購入した。ポリ(ビニルベンゾフェノン)P7の合成は、Helv. Chim. Acta 1999, 82, 338-346 に従って行った。
【0099】
例13:配合物の調製
混合物を、トルエン中に、所望する比率、および所望する濃度における配合物成分を溶解することにより調製した。溶解プロセスは、60℃、不活性雰囲気下で行った。混合物を単離する(固体成分の再沈殿)ことなく、この溶液を直接加工した。
【0100】
例14:ポリマー発光ダイオード(PLED)の製造
PLEDを製造することができる方法は、例えば、WO 04/037887 およびそこに挙げられる文献中に詳細に記載されている。本発明によるポリマーおよび配合物は、従来技術によるポリマーおよび配合物と比較して、より均質なフィルムを形成することが、ここに見出された。特定の理論に結び付けられることを望まないが、本発明者等は、これは、これらの化合物のより優れた溶解性に起因すると推測する。
【0101】
例15:合成し、用いたポリマーの概要
表1は、合成し、デバイス中で用いたいくつかのポリマーの組成の概要を与える。
【表1】

【0102】
例16:デバイス例
表2は、ポリマーおよび三重項エミッタ、任意にさらなる成分の種々の配合物の概要を与える。
【表2】

【0103】
表2:いくつかのデバイスの結果と、本発明による配合物
ポリマーまたはさらなる配合成分の割合は、三重項エミッタ以外の全ての成分の全組成に基づく
三重項エミッタの割合は、マトリックス、すなわち、ポリマーまたはポリマーと他の成分の混合物に基づく。
【0104】
CIE座標:Commission Internationale de I'Eclairage from 1931 の色度座標
記載した寿命は、いわゆるLT50値に基づき、すなわち、対応するPLEDが、初期の輝度の50%を有するのみになるまで経過した時間であり、この値は、100cd/mの初期輝度を用いて決定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1つの構造単位L=X、
(式中、用いられる記号には、以下が適用される。すなわち、
Lは、出現毎に同一であるか異なり、(R)(R)C、(R)P、(R)As、(R)Sb、(R)Bi、(R)(R)(R)P、(R)(R)(R)As、(R)(R)(R)Sb、(R)(R)(R)Bi、(R)(R)S、(R)(R)Se、(R)(R)Te、(R)(R)S(=O)、(R)(R)Se(=O)または(R)(R)Te(=O)であり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、SeまたはN−Rであって、但し、Lが、S、SeまたはTeを表わす場合には、Xは、SまたはSeでなく、
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、N(R、1〜40のC原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基(これは、Rにより置換されていてもよく、または置換されない)(ここで、1以上の非隣接のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、−O−、−S−、−NR−または−CONR−により置き換えられてもよく、および1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられてもよい)、または1〜40のC原子を有する芳香族環構造若しくはヘテロ芳香族環構造(これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよい)であり、ここで、2以上の置換基R、Rおよび/またはRは、互いに単環若しくは多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、1つの構造単位上の全ての置換基R〜Rが、HまたはFであってはならず、R〜R基は、さらに任意に、ポリマーへの結合を有してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜22のC原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、さらに、1以上の非隣接のC原子は、−RC=C−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、1〜40のC原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはOH、またはN(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、RまたはCN、B(RまたはSi(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20のC原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である)、
(C)少なくとも1つの三重項エミッタ
を含む有機半導体(但し、第1のポリマーが、共有結合された三重項エミッタを含み、他方が、TPD単位、およびジフェニルスルホンエーテル単位またはジフェニルケトンエーテル単位を含むコポリマーである2つのポリマーの混合物を除き、さらに、一方においては、共有結合された三重項エミッタを含み、他方では、式(a)の単位を含むポリマーを、本発明から除く)。
【化1】

(式中、
ArおよびArはそれぞれ独立に、四価の芳香族炭化水素基または四価の複素環基を示し、
単位XおよびXの一方は、C(=O)またはC(R)(R)を示し、他方は、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、Si(R)(R)、N(R)、B(R)、P(R)またはP(=O)(R)を示し、ここで、式(a)におけるR、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、
Mは、式(b)、式(c)または式(d)により示される基を示し、
式(b)は−Y−Y−であり、式中、YおよびYは、それぞれ独立に、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R)(R10)、Si(R11)(R12)、N(R13)、B(R14)、P(R15)またはP(=O)(R16)を示し、ここで、式(b)におけるR、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、ここで、Yが、C(R)(R10)でなく、またはSi(R11)(R12)でない場合には、YおよびYは同一ではなく、
式(c)は−Y=Y−であり、式中、YおよびYは、それぞれ独立に、N、B、P、C(R17)またはSi(R18)を示し、式(c)におけるR17およびR18基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を示し、
式(d)は、−Y−であり、式中、Yは、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R19)(R20)、Si(R21)(R22)、N(R23)、B(R24)、P(R25)またはP(=O)(R26)であり、ここで、式(d)におけるR19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR26基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミン基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、一価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、またはシアノ基を示し、
は、−CR36=CR37−または−C≡C−を示し、R36およびR37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、一価の複素環基またはシアノ基を示し、dは、0または1を示す)
【請求項2】
前記構造単位L=Xが、式(1)〜(5)から選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体。
【化2】

(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、SeまたはN−Rであり、但し、Xは、式(4)および(5)については、SまたはSeであってはならず、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、P、As、SbまたはBiであり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、S、SeまたはTeであり、
〜Rは、請求項1において記載したものと同じ意味を有する)
【請求項3】
少なくとも0.5重量%の少なくとも1つの前記ポリマー、少なくとも1重量%の少なくとも1つの前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の構造単位、および少なくとも0.1重量%の少なくとも1つの前記三重項エミッタを含むことを特徴とする請求項1および/または請求項2に記載の有機半導体。
【請求項4】
(A)少なくとも1つの前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含む1〜100モル%の1以上の繰り返し単位(MONO1)を含む、5〜99重量%の少なくとも1つのポリマー(POLY1)、および
(B)0.1〜95重量%の1以上の三重項エミッタ(TRIP1)
を含む請求項1〜3の一項以上に記載の混合物(BLEND1)。
【請求項5】
(A)0.5〜99.5モル%の1以上の共有結合された三重項エミッタ(TRIP2)を含む、0.5〜99重量%の少なくとも1つのポリマー(POLY2)、および
(B)少なくとも1つの前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含み、且つ室温でガラス様の層を形成することができる、1〜99.5重量%の少なくとも1つの化合物(COMP1)
を含む請求項1〜3の一項以上に記載の混合物(BLEND2)。
【請求項6】
(A)0.5〜98.9重量%のいずれかの所望のポリマー(POLY3)、および
(B)少なくとも1つの前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含み、且つ室温でガラス様の層を形成することができる1〜99重量%の少なくとも1つの化合物(COMP1)、および
(C)0.1〜95重量%の1以上の三重項エミッタ(TRIP1)
を含む請求項1〜3の一項以上に記載の混合物(BLEND3)。
【請求項7】
(A)0.5〜99重量%のいずれかの所望の種類の少なくとも1つのポリマー(POLY3)、および
(B)1以上の三重項エミッタに共有結合した、少なくとも1つの前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の少なくとも1つの構造単位を含む1〜99.5重量%の化合物(TRIP3)(ここで、前記三重項エミッタと前記構造単位L=X間の結合は、2つの単位のいずれかの所望の位置で行われてよく、但し、(TRIP3)における少なくとも1つのX基は、遊離形態で存在せねばならず、金属原子には配位していない)
を含む請求項1〜3の一項以上に記載の混合物(BLEND4)。
【請求項8】
(A)少なくとも1つの構造単位L=X(ここで、記号L、X、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1において記載したものと同じ意味を有する)を含有する、1〜99.9モル%の1以上の繰り返し単位MONO1、
(B)0.1〜95モル%の1以上の三重項エミッタTRIP2
を含むポリマーPOLY4。
【請求項9】
前記ポリマー(POLY1〜POLY4)が、共役している、部分的に共役している、交差共役している、または共役していないことを特徴とする請求項1〜8の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項10】
前記ポリマーPOLY1〜POLY4が、さらなる構造要素を含むことを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項11】
前記式(1)〜(5)の記号について、以下、すなわち、
Xは、O、SまたはN−Rを表わし、
Yは、PまたはAsを表わし、
Zは、SまたはSeを表わし、
〜Rは、請求項1および2により定義され、ここで、前記式(1)〜(5)の各構造単位上の置換基R〜Rの少なくとも1つは、1〜40のC原子を有する芳香族環構造またはヘテロ芳香族環構造を示し、これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよく、または置換されない
が適用されることを特徴とする請求項1〜10の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項12】
前記式(1)〜(5)の記号について、以下、すなわち、
Xは、OまたはN−Rを表わし、
Yは、Pを表わし、
Zは、Sを表わし、
〜Rは、請求項1および2により定義され、ここで、前記式(1)〜(5)の各構造単位上の置換基R〜Rの全ては、1〜40のC原子を有する環構造またはヘテロ環構造を示し、これは、1以上の置換基Rにより置換されていてもよく、または置換されない
が適用されることを特徴とする請求項11に記載の有機半導体。
【請求項13】
少なくとも1つの前記R〜R基が、9,9’−スピロビフルオレンを含むことを特徴とする請求項1〜12の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項14】
前記構造要素L=Xまたは前記式(1)〜(5)の構造要素を含む前記繰り返し単位(MONO1)が、式(6)〜(148)(これらは置換されていてもよく、または置換されない)から選択されることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項15】
前記ポリマーが、芳香族ポリケトン、芳香族ポリホスフィンオキシドまたは芳香族ポリスルホン(それぞれは、より優れた溶解性のために、置換されていてもよい)、ポリカルボン酸誘導体、主鎖ポリエステル、側鎖ポリエステル、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリアクリレート、ポリ(ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリカルボン酸無水物、ポリアミド、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリペプチド、ポリアラミド、ポリベンズアミド、ポリイミド、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(エステル−イミド)、ポリ(エーテル−イミド)、ポリカーボネート、ポリ(エステル−コ−カーボネート(ester-co-carbonate))、ポリ(イソシアヌレート)、ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリ(テレフタレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニルアクリレート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルアセテート)、側鎖ポリホスフィンオキシド、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンアミド、ポリスルホンイミド、ポリ(ビニルケトン)、芳香族ポリビニルケトン、置換若しくは無置換ポリ(ビニルベンゾフェノン)、ポリスチレン類似ケトン(polystyrene-analogous ketone)、ポリカルバゼン(polycarbazene)、ポリニトリル、ポリイソニトリル、ポリスチレン、PVK(ポリビニルカルバゾール)、またはこれらの誘導体のクラスから選択されることを特徴とする請求項1〜14の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項16】
前記構造要素L=Xまたは前記式(1)〜(5)の構造要素を含む前記化合物(COMP1)が、式(6)〜(148)(これらは、置換されていてもよく、または置換されない)から選択されることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項17】
前記化合物(TRIP3)が、式(6)〜式(148)(これらは、置換されていてもよく、または置換されない)から選択される構造要素を含むことを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項18】
前記三重項エミッタが、36を超える原子番号を有する元素周期表からの原子を含有することを特徴とする請求項1〜17の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項19】
前記三重項エミッタが、d遷移金属またはf遷移金属を含有することを特徴とする請求項18に記載の有機半導体。
【請求項20】
前記三重項エミッタが、8〜10族の金属を含有することを特徴とする請求項19に記載の有機半導体。
【請求項21】
低分子量、オリゴマー、樹枝状またはポリマーであるさらなる分子を、前記有機半導体に混合することを特徴とする請求項1〜20の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項22】
前記構造単位L=Xまたは前記式(1)〜(5)の構造単位を含む化合物を、前記混合物にさらに混合することを特徴とする請求項21に記載の有機半導体。
【請求項23】
前記式(1)〜(5)の構造単位の全割合が、10〜50モル%であることを特徴とする請求項1〜22の一項以上に記載の有機半導体。
【請求項24】
前記式(1)〜(5)の構造単位の1以上、および9,9’−スピロビフルオレン単位を含むポリマー。
【請求項25】
有機発光ダイオード(PLED)、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザダイオード(O−laser)における、または非線形光学素子における請求項1〜23の一項以上に記載の有機半導体の使用。
【請求項26】
1以上の活性層を含み、ここで、これらの活性層の少なくとも1つが、請求項1〜23の一項以上に記載の有機半導体の1以上を含む電子部品。
【請求項27】
有機発光ダイオード、有機太陽電池、または有機レーザダイオードであることを特徴とする請求項26に記載の電子部品。

【公表番号】特表2007−517079(P2007−517079A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536042(P2006−536042)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011888
【国際公開番号】WO2005/040302
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】