エレベータのセキュリティシステム
【課題】各利用者が元々所持している種々のカードに何ら手を加えることなく、カードの固有IDで利用階を登録し、登録階以外の階への移動を制限するセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】書き替え消去不可能な固有IDが記憶されカードの各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブル41と、エレベータの各階の乗場及びかご内にカードリーダ18,10とを設け、カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を利用条件テーブル41から読出す。そして、読出された利用可能な階を指定した乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付禁止を解除する。
【解決手段】書き替え消去不可能な固有IDが記憶されカードの各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブル41と、エレベータの各階の乗場及びかご内にカードリーダ18,10とを設け、カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を利用条件テーブル41から読出す。そして、読出された利用可能な階を指定した乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付禁止を解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建屋に組込まれたエレベータのセキュリティシステムに係わり、特に、エレベータの各利用者が個々に所持する種々のカードを利用したエレベータのセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社や各種団体や研究所が入居しているビル等の建屋においては、業務の内容が外部に漏れることを防止する目的や不審者の侵入を防止する目的で、建屋全体に対して、厳重なセキュリティ対策(防犯上の安全対策)を講じている。外部から建屋に入ることは勿論のこと、建屋内においても、たとえ同一会社の社員であったとしても、各階を自由に移動できないようにしている。一つの建屋に複数の会社が階毎に入居している場合はなおさらである。したがって、建屋の各階を結ぶ交通機関としてのエレベータに対しても厳重なセキュリティ対策(防犯上の安全対策)を講じる必要がある。
【0003】
特許文献1に記載された「エレベータの登録装置」においては、エレベータの乗場にアンテナを取付ると共にエレベータのかご内にもアンテナを取付け、行き先階情報が記憶されているタグを携帯した利用者が近づくと、アンテナでタグに記憶されている行先情報を読取り、この読取った行先階に対する呼びの登録をエレベータ制御装置に対して自動的に実施する。したがって、タグを携帯した利用者は、エレベータの乗場で乗場呼びボタンを操作する必要なく、さらに、エレベータのかごに乗り込んだ後においても、かご内の行先階を指定するかご呼びボタンを操作する必要はない。
【特許文献1】特開2005―255320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された「エレベータの登録装置」の技術をエレベータのセキュリティ対策に応用しようとしても次のような課題が生じる。
【0005】
すなわち、建屋に出入りする各利用者が所持するタグに行き先階情報を記憶しているので、各利用者はそれぞれエレベータ専用のタグが必要である。また、利用者が、このタグを利用したセキュリティ対策を実施している2カ所の建屋を利用する場合においては、各建屋毎に専用のタグを所持している必要がある。そして、各タグを建屋毎に使い分ける必要があり、非常に煩わしい。
【0006】
また、複数の建屋でタグを共通化して使用するためには、その都度、セキュリティシステムの開発メーカーとのすり合わせを行いタグの記憶領域に、各建屋毎の行き先階の領域を確保する必要があった。また、タグにおける使用する記憶領域が重複する場合は、ソフトウエアの修正を行うなどの特殊対応が必要であった。
【0007】
また、タグの記憶部内のユーザ領域(システムの開発メーカーで書換え可能な領域)に行き先階情報を記憶するため、不用意にタグ内のデータ(行き先階)が書換えられる可能性があり、例えば、悪意をもって、このタグを複製することも可能であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされてものであり、各利用者が携帯する種々の目的で使用される各種のカードを何ら手を加えることなくそのまま利用でき、エレベータの利用者はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要なく、さらに、セキュリティレベルをより一層向上できるエレベータのセキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明のエレベータのセキュリティシステムにおいては、エレベータの各階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作及びかご内のかご呼び登録装置におけるかご呼び操作に応じてかごを移動制御するエレベータ制御部に対して、通常状態時には乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付を禁止させる呼び操作受付禁止制御手段と、製造時に設定され、使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能な固有IDが記憶された同一規格の複数のカードと、各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブルと、エレベータの各階の乗場及びかご内に設けられ、利用者によるカードの接触操作又はかざし操作にて当該カードに記憶された固有IDを読取る複数のカードリーダと、この各カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を利用条件テーブルから読出す階読出手段と、この階読出手段で読出された利用可能な階を指定した乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付禁止の解除をエレベータ制御部に対して指示する受付禁止解除手段とを備えている。
【0010】
このように構成されたエレベータのセキュリティシステムにおいては、利用条件テーブルには、各利用者が携帯する各カードに記憶された各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する。したがって、利用条件テーブルに固有IDおよび利用可能な階が記憶されたカードを携帯した利用者は、利用条件テーブルに自己カードの固有IDに対して設定された階に行くことができる。
【0011】
利用者の利用階は、利用者が所持するカードでなくて、エレベータ側の利用条件テーブルに記憶されているので、建屋のセキュリティが低下することはない。
【0012】
また、別の発明においては、エレベータの各階の乗場に設けられたカードリーダで読取られた固有IDが利用条件テーブルに記憶されているとき、固有IDを読取ったカードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作受付禁止を無条件で解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する無条件禁止解除手段を備えている。
【0013】
これは、利用者が誤って利用階以外にかごから降車した場合に、再びかごを乗場呼び登録装置で呼び出すことができなくなるため、建物内に閉じ込められるという状況が発生することを未然に防止できる。
【0014】
また、別の発明においては、各カードリーダの動作状態を監視する監視手段と、この監視手段がかご内のカードリーダの異常を検出したとき、かご内に設けられたかご呼び登録装置におけるかご呼び登録操作受付禁止を全て解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する第1の故障対策手段と、監視手段が各階の乗場に設けられた各カードリーダの異常を検出したとき、当該カードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び登録操作受付禁止を解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する第2の故障対策手段とを備えている。
【0015】
このような構成においては、カードリーダが故障した場合に、利用者が全く移動できなくなる自体が防止できる。
【0016】
また、別の発明においては、第1の故障対策手段に対する実行可否を予め選択設定する選択設定手段を備えている。これは、より厳格なセキュリティが要求される場合においては、カードリーダが故障した場合においては、故障の修理が終了まで待つことになる。
【0017】
また、別の発明においては、カードリーダにて読取られた固有IDに対して利用条件テーブル内に登録指示が記憶されていた場合には、エレベータ制御部の動作モードを登録モードに移行する登録モード移行指示手段と、この登録モード期間中にカードリーダにて読取られた新規カードの固有IDに対してかご呼び登録装置におけるかご呼び操作で指定された行き先階を、新規カードの所持者の利用可能な階として、読取られた固有IDとともに利用条件テーブルに書込む新規カード登録手段とを備えている。
【0018】
このように構成されたエレベータのセキュリティシステムにおいては、新規に建屋のエレベータを利用開始するにあたって、カードの固有ID及び利用階を簡単に利用条件テーブルに登録可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、各利用者が元々携帯している種々の目的で使用される各種のカードを何ら手を加えることなく利用でき、エレベータの利用者はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要なく、さらに、セキュリティレベルをより一層向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係わるエレベータのセキュリティシステムが組込まれたエレベータシステム全体を示す模式図である。
【0022】
ビル等の建屋1内に設けられた昇降路2の上側の機械室3内に巻上機4、この巻上機4に組込まれたモータを駆動制御する駆動部5が設けられている。巻上機4に掛けられたメインロープ6の一方端にかご7が吊り下げられ、他方端に釣り合い錘8が吊り下げられている。かご7内には、図2(b)に示すように、ドア11の近接位置にかご呼び登録装置9及びカードリーダ10が取付けられている。
【0023】
このかご呼び登録装置9には、図2(c)に示すように、複数の行き先階ボタン12と開ボタン13aと閉ボタン13bとが設けられている。各行き先階ボタン12内には当該行き先階が呼び登録されると、ボタン全体を点灯させるLEDが内蔵されている。さらに、行き先階ボタン12には、該当階に対する行き先階ボタン12の操作受付ランプ14が取付けられている。
【0024】
この操作受付ランプ14が消灯状態時には、このかご7に乗り込んだ利用者15による当該行き先階ボタン12操作は受付けられなく、利用者15は当該行き先階ボタン12の階へ行くことはできない。操作受付ランプ14が点灯状態時には、このかご7に乗り込んだ利用者15による当該行き先階ボタン12操作は受付けられ、利用者15は当該行き先階ボタン12の階へ行くことが可能である。
【0025】
一方、建屋1の各階のエレベータホールには、図2(a)に示すように、ドア16の近接位置に乗場呼び登録装置17及びカードリーダ18が取付られている。
【0026】
かご呼び登録装置9及び各階の乗場呼び登録装置17は信号線を介して前記機械室3内に設けられたコンピュータからなるエレベータ制御部19に接続されている。エレベータ制御部19は、かご呼び登録装置9及び各乗場呼び登録装置17で登録された呼びに基づいて、駆動部5を介して巻上機4を回転駆動することによって、かご7を昇降路2内で前記呼びが指定する目的階へ移動制御する。
【0027】
さらに、かご7内に設けられたカードリーダ10及び各階に設けられた各カードリーダ18はそれぞれ信号線20a、20bを介して、機械室3内に向けられたコンピュータからなるセキュリティ制御部21に接続されている。
【0028】
このセキュリティ制御部21は、通常状態においては、エレベータ制御部19に対して、各乗場呼び登録装置17における利用者15による乗場呼び操作、及びかご7内のかご呼び登録装置9におけるかご呼び操作の受付を禁止している。したがって、通常状態時においては、カード22を所持しない利用者15はこのエレベータを利用することができない。
【0029】
次に、この建屋1のエレベータを利用する各利用者15が所持し、各利用者15がエレベータを利用する時に、各カードリーダ10、18に接触、又は「かざす」カード22を図3を用いて説明する。このカード22は各利用者15が携帯する種々の目的で使用される各種のICカードであり、図3(a)に示すように、アンテナ23、通信部24、制御部(CPU)25、読み書き回路26、記憶部27、電源回路28で構成されている。
【0030】
このカード22には、例えばPC(パーソナル・コンピュータ)等のMACアドレスのように、製造会社が製造出荷に設定したユニークな固有ID29が、図3(b)に示すように、記憶部27内に設定されている。この固有ID29はたとえ異なる製造会社によって製造されたカード22であっても同一の固有ID29が設定されることはない。そして、このカード22は、電子マネーや、交通機関における乗車料金チャージ式のプリペイド式の乗車券カードや、各種の量販店が発行するポイントカード等である。このカード22の記憶部27の主記憶領域には頻繁に書き換えられる可変データが記憶されるが、固有ID29は、上述した各使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能に設定されている。
【0031】
図4は、各カードリーダ10、18の概略構成図である。このカードリーダ10、18内には、セキュリティ制御部21との間で各種情報の授受を行う通信部30、制御部(CPU)31、アンテナ32を介してカード22に固有ID29の送信要求を送信し、カード22から送信されてきた固有ID29を読取る固有ID読取部33、セキュリティ制御部21からの目的階に対する利用可否結果をカード22の所持者である利用者15に知らせるLED34、ブザー35、及び電源回路36が設けられている。
【0032】
制御部(CPU)31内には、アプリケーション・プログラム上に形成された、読取った固有ID29をセキュリティ制御部21へ送信する固有ID送信部31aが設けられている。また、利用可能出力部31bは、セキュリティ制御部21から受信した利用可能結果に基づいてLED34を「緑」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピ」音で駆動する。一方、利用不可出力部31cは、セキュリティ制御部21から受信した利用不可能結果に基づいてLED34を「赤」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピピピ」音で駆動する。さらに、動作確認応答部30dは、セキュリティ制御部21から受信した動作確認信号に応答して応答信号を返信する。
【0033】
このようなカード22とカードリーダ10、18において、利用者15がカード22をカードリーダ10、18のアンテナ32に接触させるか或いはかざすと、カードリーダ10,18から固有ID29の送信要求がカード22へ送信される。固有ID29の送信要求を受信したカード22の制御部25は記憶部27から固有ID29を読取り、カードリーダ10,18へ返信する。カード22から固有ID29を受信したカードリーダ10,18の固有ID送信部31aは、この固有ID29を通信部30及び信号線20a、20bを介して、セキュリティ制御部21へ送信する。
【0034】
図5は、コンピュータからなるセキュリティ制御部21の概略構成を示すブロック図である。かご7内のカードリーダ10と信号線20aを介して各種の情報交換を実施する通信IF(インターフェース)37,各乗場に設けられた各カードリーダ18と信号線20bを介して各種の情報交換を実施する通信IF(インターフェース)38、エレベータ制御部19に各種指令を送出する通信IF(インターフェース)39が設けられている。
【0035】
また、HDD等の記憶装置40内には、利用条件テーブル41、入力バッファ42等が形成されている。利用条件テーブル41内には、図6に示すように、各利用者15が所持する各種のカード22に記憶された固有ID29毎に、当該カード22を所持する利用者22が利用可能である利用階が登録されている。
【0036】
例えば、[0A00017]の固有ID29の利用者15に対しては、建屋1の基準階である1階と目的階である4階が設定さている。また、[0A00040]の固有ID29の利用者15には1階と目的階である3階と5階が設定さている。
【0037】
なお、[0A00014]の固有ID29のカード22は、このビル(建屋1)の管理者が所持するカードであり、このカードの[0A00014]の固有ID29に対して「登録」が設定されている。すなわち、この管理者が所持するカード22は、このビル(建屋1)の管理者が、利用条件テーブル41に対する、固有ID29及び利用階の新規設定、設定内容の変更、削除を実行する床に時に使用する。具体的には、図5に示すように、アプリケーション・プログラム上に形成された利用条件登録部43における新規設定部44、更新部45、削除部46がこれらの処理を実行する。
【0038】
また、セキュリティ制御部21内に設けられた固有ID入力部47は通信IF37、38を介して入力された各カードリーダ10、18で読取った固有ID29を登録判定部48へ送付する。登録判定部48は入力された固有ID29が図6の利用条件テーブル41に登録されているか否かを判定する。利用条件テーブル41に登録されていない場合は、利用不可応答部49が、通信IF37、38を介して、この固有ID29を読取ったカードリーダ10、18へ利用不可能結果を送出する。
【0039】
その結果、前述したように、カードリーダ10、18は、LED34を「赤」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピピピ」音で駆動して、利用者15に対して、このカード22は使用できないことを報知する。
【0040】
一方、入力された固有ID29が利用条件テーブル41に登録されていた場合には、利用可能応答部50が、通信IF37、38を介して、この固有ID29を読取ったカードリーダ10、18へ利用可能結果を送出する。
【0041】
その結果、前述したように、カードリーダ10、19は、LED34を「緑」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピ」音で駆動して、利用者15に対して、目的階へ行くことが可能であることを報知する。
【0042】
さらに、入力された固有ID29が利用条件テーブル41に登録されていた場合には、操作受付指示部51が、利用条件テーブル41における当該固有ID29に対して設定された利用階を指定した呼び操作の受付禁止解除の指令を、エレベータ制御部19へ送出する。
【0043】
エレベータ制御部19は、当該固有IDを読取ったカードリーダ10、19に隣接するかご呼び登録装置9又は乗場呼び登録装置17における利用条件テーブル41に記憶された利用階を指定された呼び操作禁止の解除を行う。かご呼び登録装置9においては、図2(c)に示す、呼び操作禁止を解除された行き先階ボタン12の操作受付ランプ14が点灯状態になる。したがって、利用者15は操作受付ランプ14が点灯している行き先階ボタン12を押すことにより、目的階へ行くことができる。
【0044】
かご内カードリーダ動作監視部52は、かご7内のカードリーダ10に対して一定周期で確認信号を送信して、カードリーダ10からの無応答回数が無回答カウンタ54で限界回数に達すると、セキュリティ解除フラグ53が設定されていた場合は、かご呼び登録装置9に対する呼び登録操作禁止の解除指示を通信IF39を介してエレベータ制御部19へ送出する。
【0045】
また、各階のカードリーダ18に対してそれぞれ設けられた、乗場カードリーダ動作監視部55は、該当階のカードリーダ18に対して一定周期で確認信号を送信して、カードリーダ18からの無応答回数が無回答カウンタ56で限界回数に達すると、該当階の乗場呼び登録装置17に対する呼び登録操作禁止の解除指示を通信IF39を介してエレベータ制御部19へ送出する。
【0046】
このように、各カードリーダ10、18が異常の場合は、異常が生じたカードリーダ10、18に対応するかご呼び登録装置9、乗場呼び登録装置17に対する呼び登録操作禁止を解除して、利用者15は無条件でエレベータを利用可能にしている。
【0047】
なお、より厳格なセキュリティが要求される場合においては、セキュリティ解除フラグ52を解除しておくことにより、カードリーダ10が故障した場合においては、利用者15は故障の修理が終了まで待つことになる。
【0048】
このように構成されたセキュリティ制御部21は図7に示す流れ図に従ってセキュリティ管理処理を実施する。
【0049】
通信IF37、38を介して、各カードリーダ10、18から読取ったカード22の固有ID29が固有ID入力部47へ入力されると(ステップS1)、登録判定部48が利用条件テーブル41を検索して(S2)、この利用条件テーブル41に当該固有ID29が登録されていないと(S3)、利用不可応答部49が、当該固有ID29を読み取ったカードリーダ10、18へ利用不可能結果を送出する(S4)。
【0050】
この利用条件テーブル41に当該固有ID29が登録されていた場合で(S3)、かつ、この固有ID29を乗場に設置されたカードリーダ18が読取った場合には(S5)、利用可能応答部50が、当該固有ID29を読取ったカードリーダ18へ利用可能結果を送出する(S6)。さらに、操作受付指示部51が、当該階の乗場呼び登録装置17の操作受付禁止を解除する指令をエレベータ制御部19へ送出して、利用者15の乗場呼び登録装置18の操作を可能とする(S7)。したがって、利用者15は該当階の乗場でかご7に乗り込むことが可能となる。
【0051】
なお、この場合、入力した固有ID29の利用条件テーブル41に記憶されている利用階と、この固有ID29を読取ったカードリーダ18の設置階とが一致しなくとも、読取ったカードリーダ18の設置階の乗場呼び登録装置17の呼び登録操作を可能としている。これは、前述したように、利用者15が誤って利用階以外に降車した場合に、再びかごを乗場呼び登録装置17で呼び出すことができなくなるため、建物1内に閉じ込められるという状況が発生することを未然に防止するためである。
【0052】
入力した固有ID29をかご7内のカードリーダ10が読取った場合(S8)、この固有ID29に対して「登録」指定でなく、利用階が設定されていた場合には(S9)、利用可能応答部50が、当該固有ID29を読取ったカードリーダ10へ利用可能結果を送出する(S10)。そして、利用条件テーブル41における当該固有ID29に対して設定された利用階を指定した呼び操作の受付禁止解除の指令を、エレベータ制御部19へ送出して、かご7内のかご呼び登録装置9の当該利用階の行き先ボタン12を操作可能とする(S12)。その結果、かご7内に乗り込んだ利用者15は、かご呼び登録装置9の行き先ボタン12を押して目的階へ行くことができる。
【0053】
入力した固有ID29をかご7内のカードリーダ10が読取った場合(S8)、かつ、この固有ID29に対して「登録」指定の場合は(S9)、利用条件登録部43が起動して、ビル(建屋1)の管理者による利用条件テーブル41に対する、図8に示す、登録(新規設定、変更、削除)処理を実行する(S13)。
【0054】
図8において、利用条件テーブル41に対する、登録(新規設定、変更、削除)処理が開始されると、自己の動作モード及びエレベータ制御部19の動作モードを「登録モード」に移行する(Q1)。この状態で、同一カードリーダ10から、別途、固有ID29が入力すると(Q2)、この入力された固有ID29を一旦入力バッファ42へ格納する(Q3)。
【0055】
そして、かご呼び登録装置9の行き先階ボタン12が押されると(Q4)、この行き先階ボタン12の階を入力バッファ42へ書込む(Q5)。そして、1個又は複数の階(利用階)が入力バッファ42に書き込まれ、所定時間(Δt)経過後に(G6)、開ボタン13aが押されると(Q7)、新規設定部44が起動する。新規設定部44は入力バッファ42に書込まれた固有ID29と各階(利用階)との組合せを図6に示す利用条件テーブル41の新規領域に設定する(Q8)。
【0056】
また、前記開ボタン13aの代わりに閉ボタン13bが押されると(Q9)、更新部45が起動する。更新部45は、図6に示す利用条件テーブル41における入力バッファ42に書込まれた固有ID29に対応する各利用階を、入力バッファ42に書込まれた各階(利用階)に書き換える(更新)する(Q10)。
【0057】
さらに、例えば開ボタン13aと特定階の行き先階ボタン12との組合せボタン操作が入力された場合は(Q11)、削除部46が起動する。削除部46は、図6に示す利用条件テーブル41における入力バッファ42に書込まれた固有ID29、及びこの固有ID29に対応する各利用階を削除する(Q12)。
【0058】
利用条件テーブル41に対する登録(新規設定、変更、削除)処理が終了すると、前述した登録モードを解除して(Q13)、図7のセキュリティ管理処理動作に戻る。
【0059】
このように、ビル(建屋1)の管理者は、新規に建屋1のエレベータの利用開始にあたって、このビルの各利用者15の立ち会いのもとで、各利用者15が既に所持している、カード22をかご7内のカードリーダ10に接触又はかざした後、利用階の行き先階ボタン12を押すのみの簡単な操作で、利用条件テーブル41に固有ID29及び利用階を登録可能である。
【0060】
また、図5のかご内カードリーダ動作監視部52は図9に示す流れ図に従って、かご7内のカードリーダ10の故障に対する監視処理を実施する。
【0061】
例えば、5秒等の一定時間ΔT0経過する毎(R1)に、通信IF37を介して、かご7内のカードリーダ10へ動作の確認信号を送信する(R2)。カードリーダ10から許容時間Δt1(Δt1<ΔT0)内に(R5)、応答信号を受信すると(R3)、無回答カウンタ54のカウント値nを「0」にクリアして(R4)、R1へ戻る。
【0062】
カードリーダ10から許容時間Δt1を経過しても(R5)、応答信号を受信しない場合は、無回答カウンタ54のカウント値nを更新する(n=n+1)(R6)。更新後のカウント値nが限界数NEに達していない場合は(R7)、R1へ戻る。更新後のカウント値nが限界数NEに達した場合は(R7)、カードリーダ10は故障していると判断する。
【0063】
そして、セキュリティ解除フラグ53が「1」に設定されていれば(R8)、かご呼び登録装置9の全部の行き先階ボタン12を操作の可能状態とする(R9)。そして、異常発生情報を例えばビルの管理室へ送信する(R10)。したがって、カードリーダ10が故障した場合は、利用者15は全ての階に行くことが可能である。また、セキュリティ解除フラグ53が「0」に解除されていた場合には(R8)、何もしなくて、故障復旧を待つ。
【0064】
さらに、図5の乗場カードリーダ動作監視部55は、図10に示す流れ図に従って、各階のカードリーダ18の故障に対する監視処理を実施する。
【0065】
例えば、5秒等の一定時間ΔT0経過する毎(U1)に、通信IF38を介して、乗場カードリーダ18へ動作の確認信号を送信する(U2)。カードリーダ18から許容時間Δt1(Δt1<ΔT0)内に(U5)、応答信号を受信すると(U3)、無回答カウンタ56のカウント値nを「0」にクリアして(U4)、U1へ戻る。
【0066】
カードリーダ18から許容時間Δt1を経過しても(U5)、応答信号を受信しない場合は、無回答カウンタ56のカウント値nを更新する(n=n+1)(U6)。更新後のカウント値nが限界数NEに達していない場合は(U7)、U1へ戻る。更新後のカウント値nが限界数NEに達した場合は(U7)、カードリーダ18は故障していると判断する。そして、該当階の乗場呼び登録装置17の操作を無条件で可能状態とする(U8)。そして、異常発生情報を例えばビルの管理室へ送信する(U9)。したがって、カードリーダ18が故障した場合は、利用者15はカード22がなくても乗場からかご7に乗り込むことが可能となる。
【0067】
したがって、このように構成された実施形態のエレベータのセキュリティシステムにおいては、各利用者15が携帯する種々の目的で使用される各種のカード22を何ら手を加えることなくそのままこのセキュリティシステムに利用できる。よって、エレベータの利用者15はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要ない。
【0068】
さらに、利用者15の所持するカード22には、利用階の情報は記憶されていないので、セキュリティレベルをより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係わるエレベータのセキュリティシステムが組込まれたエレベータシステム全体を示す模式図
【図2】同エレベータシステムの各階の乗場及びかご内を示す模式図
【図3】同実施形態のセキュリティシステムで使用されるカードを示す図
【図4】同実施形態のセキュリティシステムに組込まれたカードリーダの概略構成を示す図
【図5】同実施形態のセキュリティシステムに組込まれたセキュリティ制御部の概略構成を示すブロック図
【図6】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部内に形成された利用条件テーブルの記憶内容を示す図
【図7】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行うセキュリティ管理処理動作を示す流れ図
【図8】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行う利用条件テーブルに対する登録処理動作を示す流れ図
【図9】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行うかご内カードリーダの動作監視処理動作を示す流れ図
【図10】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行う乗場カードリーダ動作監視処理動作を示す流れ図
【符号の説明】
【0070】
1…建屋、2…昇降路、7…かご、9…かご呼び登録装置、10,18…カードリーダ、12…行き先階ボタン、13a…開ボタン、13b…閉ボタン、14…操作受付ランプ、15…利用者、17…乗場呼び登録装置、19…エレベータ制御部、21…セキュリティ制御部、22…カード、25,31…制御部、27…記憶部、29…固有ID、37,38,39…通信IF、41…利用条件テーブル、43…利用条件登録部、47…固有ID入力部、48…登録判定部、49…利用不可応答部、50…利用可能応答部、51…操作受付指示部、52…かご内カードリーダ動作監視部、53…セキュリティ解除フラグ、54,56…無回答カウンタ、55…乗場カードリーダ動作監視部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建屋に組込まれたエレベータのセキュリティシステムに係わり、特に、エレベータの各利用者が個々に所持する種々のカードを利用したエレベータのセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社や各種団体や研究所が入居しているビル等の建屋においては、業務の内容が外部に漏れることを防止する目的や不審者の侵入を防止する目的で、建屋全体に対して、厳重なセキュリティ対策(防犯上の安全対策)を講じている。外部から建屋に入ることは勿論のこと、建屋内においても、たとえ同一会社の社員であったとしても、各階を自由に移動できないようにしている。一つの建屋に複数の会社が階毎に入居している場合はなおさらである。したがって、建屋の各階を結ぶ交通機関としてのエレベータに対しても厳重なセキュリティ対策(防犯上の安全対策)を講じる必要がある。
【0003】
特許文献1に記載された「エレベータの登録装置」においては、エレベータの乗場にアンテナを取付ると共にエレベータのかご内にもアンテナを取付け、行き先階情報が記憶されているタグを携帯した利用者が近づくと、アンテナでタグに記憶されている行先情報を読取り、この読取った行先階に対する呼びの登録をエレベータ制御装置に対して自動的に実施する。したがって、タグを携帯した利用者は、エレベータの乗場で乗場呼びボタンを操作する必要なく、さらに、エレベータのかごに乗り込んだ後においても、かご内の行先階を指定するかご呼びボタンを操作する必要はない。
【特許文献1】特開2005―255320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された「エレベータの登録装置」の技術をエレベータのセキュリティ対策に応用しようとしても次のような課題が生じる。
【0005】
すなわち、建屋に出入りする各利用者が所持するタグに行き先階情報を記憶しているので、各利用者はそれぞれエレベータ専用のタグが必要である。また、利用者が、このタグを利用したセキュリティ対策を実施している2カ所の建屋を利用する場合においては、各建屋毎に専用のタグを所持している必要がある。そして、各タグを建屋毎に使い分ける必要があり、非常に煩わしい。
【0006】
また、複数の建屋でタグを共通化して使用するためには、その都度、セキュリティシステムの開発メーカーとのすり合わせを行いタグの記憶領域に、各建屋毎の行き先階の領域を確保する必要があった。また、タグにおける使用する記憶領域が重複する場合は、ソフトウエアの修正を行うなどの特殊対応が必要であった。
【0007】
また、タグの記憶部内のユーザ領域(システムの開発メーカーで書換え可能な領域)に行き先階情報を記憶するため、不用意にタグ内のデータ(行き先階)が書換えられる可能性があり、例えば、悪意をもって、このタグを複製することも可能であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされてものであり、各利用者が携帯する種々の目的で使用される各種のカードを何ら手を加えることなくそのまま利用でき、エレベータの利用者はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要なく、さらに、セキュリティレベルをより一層向上できるエレベータのセキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明のエレベータのセキュリティシステムにおいては、エレベータの各階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作及びかご内のかご呼び登録装置におけるかご呼び操作に応じてかごを移動制御するエレベータ制御部に対して、通常状態時には乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付を禁止させる呼び操作受付禁止制御手段と、製造時に設定され、使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能な固有IDが記憶された同一規格の複数のカードと、各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブルと、エレベータの各階の乗場及びかご内に設けられ、利用者によるカードの接触操作又はかざし操作にて当該カードに記憶された固有IDを読取る複数のカードリーダと、この各カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を利用条件テーブルから読出す階読出手段と、この階読出手段で読出された利用可能な階を指定した乗場呼び操作及びかご呼び操作の受付禁止の解除をエレベータ制御部に対して指示する受付禁止解除手段とを備えている。
【0010】
このように構成されたエレベータのセキュリティシステムにおいては、利用条件テーブルには、各利用者が携帯する各カードに記憶された各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する。したがって、利用条件テーブルに固有IDおよび利用可能な階が記憶されたカードを携帯した利用者は、利用条件テーブルに自己カードの固有IDに対して設定された階に行くことができる。
【0011】
利用者の利用階は、利用者が所持するカードでなくて、エレベータ側の利用条件テーブルに記憶されているので、建屋のセキュリティが低下することはない。
【0012】
また、別の発明においては、エレベータの各階の乗場に設けられたカードリーダで読取られた固有IDが利用条件テーブルに記憶されているとき、固有IDを読取ったカードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作受付禁止を無条件で解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する無条件禁止解除手段を備えている。
【0013】
これは、利用者が誤って利用階以外にかごから降車した場合に、再びかごを乗場呼び登録装置で呼び出すことができなくなるため、建物内に閉じ込められるという状況が発生することを未然に防止できる。
【0014】
また、別の発明においては、各カードリーダの動作状態を監視する監視手段と、この監視手段がかご内のカードリーダの異常を検出したとき、かご内に設けられたかご呼び登録装置におけるかご呼び登録操作受付禁止を全て解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する第1の故障対策手段と、監視手段が各階の乗場に設けられた各カードリーダの異常を検出したとき、当該カードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び登録操作受付禁止を解除する指令をエレベータ制御部に対して指示する第2の故障対策手段とを備えている。
【0015】
このような構成においては、カードリーダが故障した場合に、利用者が全く移動できなくなる自体が防止できる。
【0016】
また、別の発明においては、第1の故障対策手段に対する実行可否を予め選択設定する選択設定手段を備えている。これは、より厳格なセキュリティが要求される場合においては、カードリーダが故障した場合においては、故障の修理が終了まで待つことになる。
【0017】
また、別の発明においては、カードリーダにて読取られた固有IDに対して利用条件テーブル内に登録指示が記憶されていた場合には、エレベータ制御部の動作モードを登録モードに移行する登録モード移行指示手段と、この登録モード期間中にカードリーダにて読取られた新規カードの固有IDに対してかご呼び登録装置におけるかご呼び操作で指定された行き先階を、新規カードの所持者の利用可能な階として、読取られた固有IDとともに利用条件テーブルに書込む新規カード登録手段とを備えている。
【0018】
このように構成されたエレベータのセキュリティシステムにおいては、新規に建屋のエレベータを利用開始するにあたって、カードの固有ID及び利用階を簡単に利用条件テーブルに登録可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、各利用者が元々携帯している種々の目的で使用される各種のカードを何ら手を加えることなく利用でき、エレベータの利用者はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要なく、さらに、セキュリティレベルをより一層向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係わるエレベータのセキュリティシステムが組込まれたエレベータシステム全体を示す模式図である。
【0022】
ビル等の建屋1内に設けられた昇降路2の上側の機械室3内に巻上機4、この巻上機4に組込まれたモータを駆動制御する駆動部5が設けられている。巻上機4に掛けられたメインロープ6の一方端にかご7が吊り下げられ、他方端に釣り合い錘8が吊り下げられている。かご7内には、図2(b)に示すように、ドア11の近接位置にかご呼び登録装置9及びカードリーダ10が取付けられている。
【0023】
このかご呼び登録装置9には、図2(c)に示すように、複数の行き先階ボタン12と開ボタン13aと閉ボタン13bとが設けられている。各行き先階ボタン12内には当該行き先階が呼び登録されると、ボタン全体を点灯させるLEDが内蔵されている。さらに、行き先階ボタン12には、該当階に対する行き先階ボタン12の操作受付ランプ14が取付けられている。
【0024】
この操作受付ランプ14が消灯状態時には、このかご7に乗り込んだ利用者15による当該行き先階ボタン12操作は受付けられなく、利用者15は当該行き先階ボタン12の階へ行くことはできない。操作受付ランプ14が点灯状態時には、このかご7に乗り込んだ利用者15による当該行き先階ボタン12操作は受付けられ、利用者15は当該行き先階ボタン12の階へ行くことが可能である。
【0025】
一方、建屋1の各階のエレベータホールには、図2(a)に示すように、ドア16の近接位置に乗場呼び登録装置17及びカードリーダ18が取付られている。
【0026】
かご呼び登録装置9及び各階の乗場呼び登録装置17は信号線を介して前記機械室3内に設けられたコンピュータからなるエレベータ制御部19に接続されている。エレベータ制御部19は、かご呼び登録装置9及び各乗場呼び登録装置17で登録された呼びに基づいて、駆動部5を介して巻上機4を回転駆動することによって、かご7を昇降路2内で前記呼びが指定する目的階へ移動制御する。
【0027】
さらに、かご7内に設けられたカードリーダ10及び各階に設けられた各カードリーダ18はそれぞれ信号線20a、20bを介して、機械室3内に向けられたコンピュータからなるセキュリティ制御部21に接続されている。
【0028】
このセキュリティ制御部21は、通常状態においては、エレベータ制御部19に対して、各乗場呼び登録装置17における利用者15による乗場呼び操作、及びかご7内のかご呼び登録装置9におけるかご呼び操作の受付を禁止している。したがって、通常状態時においては、カード22を所持しない利用者15はこのエレベータを利用することができない。
【0029】
次に、この建屋1のエレベータを利用する各利用者15が所持し、各利用者15がエレベータを利用する時に、各カードリーダ10、18に接触、又は「かざす」カード22を図3を用いて説明する。このカード22は各利用者15が携帯する種々の目的で使用される各種のICカードであり、図3(a)に示すように、アンテナ23、通信部24、制御部(CPU)25、読み書き回路26、記憶部27、電源回路28で構成されている。
【0030】
このカード22には、例えばPC(パーソナル・コンピュータ)等のMACアドレスのように、製造会社が製造出荷に設定したユニークな固有ID29が、図3(b)に示すように、記憶部27内に設定されている。この固有ID29はたとえ異なる製造会社によって製造されたカード22であっても同一の固有ID29が設定されることはない。そして、このカード22は、電子マネーや、交通機関における乗車料金チャージ式のプリペイド式の乗車券カードや、各種の量販店が発行するポイントカード等である。このカード22の記憶部27の主記憶領域には頻繁に書き換えられる可変データが記憶されるが、固有ID29は、上述した各使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能に設定されている。
【0031】
図4は、各カードリーダ10、18の概略構成図である。このカードリーダ10、18内には、セキュリティ制御部21との間で各種情報の授受を行う通信部30、制御部(CPU)31、アンテナ32を介してカード22に固有ID29の送信要求を送信し、カード22から送信されてきた固有ID29を読取る固有ID読取部33、セキュリティ制御部21からの目的階に対する利用可否結果をカード22の所持者である利用者15に知らせるLED34、ブザー35、及び電源回路36が設けられている。
【0032】
制御部(CPU)31内には、アプリケーション・プログラム上に形成された、読取った固有ID29をセキュリティ制御部21へ送信する固有ID送信部31aが設けられている。また、利用可能出力部31bは、セキュリティ制御部21から受信した利用可能結果に基づいてLED34を「緑」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピ」音で駆動する。一方、利用不可出力部31cは、セキュリティ制御部21から受信した利用不可能結果に基づいてLED34を「赤」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピピピ」音で駆動する。さらに、動作確認応答部30dは、セキュリティ制御部21から受信した動作確認信号に応答して応答信号を返信する。
【0033】
このようなカード22とカードリーダ10、18において、利用者15がカード22をカードリーダ10、18のアンテナ32に接触させるか或いはかざすと、カードリーダ10,18から固有ID29の送信要求がカード22へ送信される。固有ID29の送信要求を受信したカード22の制御部25は記憶部27から固有ID29を読取り、カードリーダ10,18へ返信する。カード22から固有ID29を受信したカードリーダ10,18の固有ID送信部31aは、この固有ID29を通信部30及び信号線20a、20bを介して、セキュリティ制御部21へ送信する。
【0034】
図5は、コンピュータからなるセキュリティ制御部21の概略構成を示すブロック図である。かご7内のカードリーダ10と信号線20aを介して各種の情報交換を実施する通信IF(インターフェース)37,各乗場に設けられた各カードリーダ18と信号線20bを介して各種の情報交換を実施する通信IF(インターフェース)38、エレベータ制御部19に各種指令を送出する通信IF(インターフェース)39が設けられている。
【0035】
また、HDD等の記憶装置40内には、利用条件テーブル41、入力バッファ42等が形成されている。利用条件テーブル41内には、図6に示すように、各利用者15が所持する各種のカード22に記憶された固有ID29毎に、当該カード22を所持する利用者22が利用可能である利用階が登録されている。
【0036】
例えば、[0A00017]の固有ID29の利用者15に対しては、建屋1の基準階である1階と目的階である4階が設定さている。また、[0A00040]の固有ID29の利用者15には1階と目的階である3階と5階が設定さている。
【0037】
なお、[0A00014]の固有ID29のカード22は、このビル(建屋1)の管理者が所持するカードであり、このカードの[0A00014]の固有ID29に対して「登録」が設定されている。すなわち、この管理者が所持するカード22は、このビル(建屋1)の管理者が、利用条件テーブル41に対する、固有ID29及び利用階の新規設定、設定内容の変更、削除を実行する床に時に使用する。具体的には、図5に示すように、アプリケーション・プログラム上に形成された利用条件登録部43における新規設定部44、更新部45、削除部46がこれらの処理を実行する。
【0038】
また、セキュリティ制御部21内に設けられた固有ID入力部47は通信IF37、38を介して入力された各カードリーダ10、18で読取った固有ID29を登録判定部48へ送付する。登録判定部48は入力された固有ID29が図6の利用条件テーブル41に登録されているか否かを判定する。利用条件テーブル41に登録されていない場合は、利用不可応答部49が、通信IF37、38を介して、この固有ID29を読取ったカードリーダ10、18へ利用不可能結果を送出する。
【0039】
その結果、前述したように、カードリーダ10、18は、LED34を「赤」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピピピ」音で駆動して、利用者15に対して、このカード22は使用できないことを報知する。
【0040】
一方、入力された固有ID29が利用条件テーブル41に登録されていた場合には、利用可能応答部50が、通信IF37、38を介して、この固有ID29を読取ったカードリーダ10、18へ利用可能結果を送出する。
【0041】
その結果、前述したように、カードリーダ10、19は、LED34を「緑」色に一定時間点灯し、ブザー35を「ピ」音で駆動して、利用者15に対して、目的階へ行くことが可能であることを報知する。
【0042】
さらに、入力された固有ID29が利用条件テーブル41に登録されていた場合には、操作受付指示部51が、利用条件テーブル41における当該固有ID29に対して設定された利用階を指定した呼び操作の受付禁止解除の指令を、エレベータ制御部19へ送出する。
【0043】
エレベータ制御部19は、当該固有IDを読取ったカードリーダ10、19に隣接するかご呼び登録装置9又は乗場呼び登録装置17における利用条件テーブル41に記憶された利用階を指定された呼び操作禁止の解除を行う。かご呼び登録装置9においては、図2(c)に示す、呼び操作禁止を解除された行き先階ボタン12の操作受付ランプ14が点灯状態になる。したがって、利用者15は操作受付ランプ14が点灯している行き先階ボタン12を押すことにより、目的階へ行くことができる。
【0044】
かご内カードリーダ動作監視部52は、かご7内のカードリーダ10に対して一定周期で確認信号を送信して、カードリーダ10からの無応答回数が無回答カウンタ54で限界回数に達すると、セキュリティ解除フラグ53が設定されていた場合は、かご呼び登録装置9に対する呼び登録操作禁止の解除指示を通信IF39を介してエレベータ制御部19へ送出する。
【0045】
また、各階のカードリーダ18に対してそれぞれ設けられた、乗場カードリーダ動作監視部55は、該当階のカードリーダ18に対して一定周期で確認信号を送信して、カードリーダ18からの無応答回数が無回答カウンタ56で限界回数に達すると、該当階の乗場呼び登録装置17に対する呼び登録操作禁止の解除指示を通信IF39を介してエレベータ制御部19へ送出する。
【0046】
このように、各カードリーダ10、18が異常の場合は、異常が生じたカードリーダ10、18に対応するかご呼び登録装置9、乗場呼び登録装置17に対する呼び登録操作禁止を解除して、利用者15は無条件でエレベータを利用可能にしている。
【0047】
なお、より厳格なセキュリティが要求される場合においては、セキュリティ解除フラグ52を解除しておくことにより、カードリーダ10が故障した場合においては、利用者15は故障の修理が終了まで待つことになる。
【0048】
このように構成されたセキュリティ制御部21は図7に示す流れ図に従ってセキュリティ管理処理を実施する。
【0049】
通信IF37、38を介して、各カードリーダ10、18から読取ったカード22の固有ID29が固有ID入力部47へ入力されると(ステップS1)、登録判定部48が利用条件テーブル41を検索して(S2)、この利用条件テーブル41に当該固有ID29が登録されていないと(S3)、利用不可応答部49が、当該固有ID29を読み取ったカードリーダ10、18へ利用不可能結果を送出する(S4)。
【0050】
この利用条件テーブル41に当該固有ID29が登録されていた場合で(S3)、かつ、この固有ID29を乗場に設置されたカードリーダ18が読取った場合には(S5)、利用可能応答部50が、当該固有ID29を読取ったカードリーダ18へ利用可能結果を送出する(S6)。さらに、操作受付指示部51が、当該階の乗場呼び登録装置17の操作受付禁止を解除する指令をエレベータ制御部19へ送出して、利用者15の乗場呼び登録装置18の操作を可能とする(S7)。したがって、利用者15は該当階の乗場でかご7に乗り込むことが可能となる。
【0051】
なお、この場合、入力した固有ID29の利用条件テーブル41に記憶されている利用階と、この固有ID29を読取ったカードリーダ18の設置階とが一致しなくとも、読取ったカードリーダ18の設置階の乗場呼び登録装置17の呼び登録操作を可能としている。これは、前述したように、利用者15が誤って利用階以外に降車した場合に、再びかごを乗場呼び登録装置17で呼び出すことができなくなるため、建物1内に閉じ込められるという状況が発生することを未然に防止するためである。
【0052】
入力した固有ID29をかご7内のカードリーダ10が読取った場合(S8)、この固有ID29に対して「登録」指定でなく、利用階が設定されていた場合には(S9)、利用可能応答部50が、当該固有ID29を読取ったカードリーダ10へ利用可能結果を送出する(S10)。そして、利用条件テーブル41における当該固有ID29に対して設定された利用階を指定した呼び操作の受付禁止解除の指令を、エレベータ制御部19へ送出して、かご7内のかご呼び登録装置9の当該利用階の行き先ボタン12を操作可能とする(S12)。その結果、かご7内に乗り込んだ利用者15は、かご呼び登録装置9の行き先ボタン12を押して目的階へ行くことができる。
【0053】
入力した固有ID29をかご7内のカードリーダ10が読取った場合(S8)、かつ、この固有ID29に対して「登録」指定の場合は(S9)、利用条件登録部43が起動して、ビル(建屋1)の管理者による利用条件テーブル41に対する、図8に示す、登録(新規設定、変更、削除)処理を実行する(S13)。
【0054】
図8において、利用条件テーブル41に対する、登録(新規設定、変更、削除)処理が開始されると、自己の動作モード及びエレベータ制御部19の動作モードを「登録モード」に移行する(Q1)。この状態で、同一カードリーダ10から、別途、固有ID29が入力すると(Q2)、この入力された固有ID29を一旦入力バッファ42へ格納する(Q3)。
【0055】
そして、かご呼び登録装置9の行き先階ボタン12が押されると(Q4)、この行き先階ボタン12の階を入力バッファ42へ書込む(Q5)。そして、1個又は複数の階(利用階)が入力バッファ42に書き込まれ、所定時間(Δt)経過後に(G6)、開ボタン13aが押されると(Q7)、新規設定部44が起動する。新規設定部44は入力バッファ42に書込まれた固有ID29と各階(利用階)との組合せを図6に示す利用条件テーブル41の新規領域に設定する(Q8)。
【0056】
また、前記開ボタン13aの代わりに閉ボタン13bが押されると(Q9)、更新部45が起動する。更新部45は、図6に示す利用条件テーブル41における入力バッファ42に書込まれた固有ID29に対応する各利用階を、入力バッファ42に書込まれた各階(利用階)に書き換える(更新)する(Q10)。
【0057】
さらに、例えば開ボタン13aと特定階の行き先階ボタン12との組合せボタン操作が入力された場合は(Q11)、削除部46が起動する。削除部46は、図6に示す利用条件テーブル41における入力バッファ42に書込まれた固有ID29、及びこの固有ID29に対応する各利用階を削除する(Q12)。
【0058】
利用条件テーブル41に対する登録(新規設定、変更、削除)処理が終了すると、前述した登録モードを解除して(Q13)、図7のセキュリティ管理処理動作に戻る。
【0059】
このように、ビル(建屋1)の管理者は、新規に建屋1のエレベータの利用開始にあたって、このビルの各利用者15の立ち会いのもとで、各利用者15が既に所持している、カード22をかご7内のカードリーダ10に接触又はかざした後、利用階の行き先階ボタン12を押すのみの簡単な操作で、利用条件テーブル41に固有ID29及び利用階を登録可能である。
【0060】
また、図5のかご内カードリーダ動作監視部52は図9に示す流れ図に従って、かご7内のカードリーダ10の故障に対する監視処理を実施する。
【0061】
例えば、5秒等の一定時間ΔT0経過する毎(R1)に、通信IF37を介して、かご7内のカードリーダ10へ動作の確認信号を送信する(R2)。カードリーダ10から許容時間Δt1(Δt1<ΔT0)内に(R5)、応答信号を受信すると(R3)、無回答カウンタ54のカウント値nを「0」にクリアして(R4)、R1へ戻る。
【0062】
カードリーダ10から許容時間Δt1を経過しても(R5)、応答信号を受信しない場合は、無回答カウンタ54のカウント値nを更新する(n=n+1)(R6)。更新後のカウント値nが限界数NEに達していない場合は(R7)、R1へ戻る。更新後のカウント値nが限界数NEに達した場合は(R7)、カードリーダ10は故障していると判断する。
【0063】
そして、セキュリティ解除フラグ53が「1」に設定されていれば(R8)、かご呼び登録装置9の全部の行き先階ボタン12を操作の可能状態とする(R9)。そして、異常発生情報を例えばビルの管理室へ送信する(R10)。したがって、カードリーダ10が故障した場合は、利用者15は全ての階に行くことが可能である。また、セキュリティ解除フラグ53が「0」に解除されていた場合には(R8)、何もしなくて、故障復旧を待つ。
【0064】
さらに、図5の乗場カードリーダ動作監視部55は、図10に示す流れ図に従って、各階のカードリーダ18の故障に対する監視処理を実施する。
【0065】
例えば、5秒等の一定時間ΔT0経過する毎(U1)に、通信IF38を介して、乗場カードリーダ18へ動作の確認信号を送信する(U2)。カードリーダ18から許容時間Δt1(Δt1<ΔT0)内に(U5)、応答信号を受信すると(U3)、無回答カウンタ56のカウント値nを「0」にクリアして(U4)、U1へ戻る。
【0066】
カードリーダ18から許容時間Δt1を経過しても(U5)、応答信号を受信しない場合は、無回答カウンタ56のカウント値nを更新する(n=n+1)(U6)。更新後のカウント値nが限界数NEに達していない場合は(U7)、U1へ戻る。更新後のカウント値nが限界数NEに達した場合は(U7)、カードリーダ18は故障していると判断する。そして、該当階の乗場呼び登録装置17の操作を無条件で可能状態とする(U8)。そして、異常発生情報を例えばビルの管理室へ送信する(U9)。したがって、カードリーダ18が故障した場合は、利用者15はカード22がなくても乗場からかご7に乗り込むことが可能となる。
【0067】
したがって、このように構成された実施形態のエレベータのセキュリティシステムにおいては、各利用者15が携帯する種々の目的で使用される各種のカード22を何ら手を加えることなくそのままこのセキュリティシステムに利用できる。よって、エレベータの利用者15はエレベータセキュリティ専用のタグやカードを携帯する必要ない。
【0068】
さらに、利用者15の所持するカード22には、利用階の情報は記憶されていないので、セキュリティレベルをより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係わるエレベータのセキュリティシステムが組込まれたエレベータシステム全体を示す模式図
【図2】同エレベータシステムの各階の乗場及びかご内を示す模式図
【図3】同実施形態のセキュリティシステムで使用されるカードを示す図
【図4】同実施形態のセキュリティシステムに組込まれたカードリーダの概略構成を示す図
【図5】同実施形態のセキュリティシステムに組込まれたセキュリティ制御部の概略構成を示すブロック図
【図6】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部内に形成された利用条件テーブルの記憶内容を示す図
【図7】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行うセキュリティ管理処理動作を示す流れ図
【図8】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行う利用条件テーブルに対する登録処理動作を示す流れ図
【図9】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行うかご内カードリーダの動作監視処理動作を示す流れ図
【図10】同実施形態のセキュリティシステムのセキュリティ制御部が行う乗場カードリーダ動作監視処理動作を示す流れ図
【符号の説明】
【0070】
1…建屋、2…昇降路、7…かご、9…かご呼び登録装置、10,18…カードリーダ、12…行き先階ボタン、13a…開ボタン、13b…閉ボタン、14…操作受付ランプ、15…利用者、17…乗場呼び登録装置、19…エレベータ制御部、21…セキュリティ制御部、22…カード、25,31…制御部、27…記憶部、29…固有ID、37,38,39…通信IF、41…利用条件テーブル、43…利用条件登録部、47…固有ID入力部、48…登録判定部、49…利用不可応答部、50…利用可能応答部、51…操作受付指示部、52…かご内カードリーダ動作監視部、53…セキュリティ解除フラグ、54,56…無回答カウンタ、55…乗場カードリーダ動作監視部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの各階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作及びかご内のかご呼び登録装置におけるかご呼び操作に応じて前記かごを移動制御するエレベータ制御部に対して、通常状態時には前記乗場呼び操作及び前記かご呼び操作の受付を禁止させる呼び操作受付禁止制御手段と、
製造時に設定され、使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能な固有IDが記憶された同一規格の複数のカードと、
前記各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブルと、
エレベータの各階の乗場及びかご内に設けられ、前記利用者による前記カードの接触操作又はかざし操作にて当該カードに記憶された前記固有IDを読取る複数のカードリーダと、
この各カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を前記利用条件テーブルから読出す階読出手段と、
この階読出手段で読出された利用可能な階を指定した前記乗場呼び操作及び前記かご呼び操作の受付禁止の解除を前記エレベータ制御部に対して指示する受付禁止解除手段と
を備えたことを特徴とするエレベータのセキュリティシステム。
【請求項2】
前記エレベータの各階の乗場に設けられたカードリーダで読取られた固有IDが前記利用条件テーブルに記憶されているとき、前記固有IDを読取ったカードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作受付禁止を無条件で解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する無条件禁止解除手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項3】
前記各カードリーダの動作状態を監視する監視手段と、
この監視手段がかご内のカードリーダの異常を検出したとき、前記かご内に設けられたかご呼び登録装置におけるかご呼び登録操作受付禁止を全て解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する第1の故障対策手段と、
前記監視手段が各階の乗場に設けられた各カードリーダの異常を検出したとき、当該カードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び登録操作受付禁止を解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する第2の故障対策手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項4】
前記第1の故障対策手段に対する実行可否を予め選択設定する選択設定手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項5】
前記カードリーダにて読取られた固有IDに対して前記利用条件テーブル内に登録指示が記憶されていた場合には、前記エレベータ制御部の動作モードを登録モードに移行する登録モード移行指示手段と、
この登録モード期間中に前記カードリーダにて読取られた新規カードの固有IDに対して前記かご呼び登録装置におけるかご呼び操作で指定された行き先階を、新規カードの所持者の利用可能な階として、前記読取られた固有IDとともに前記利用条件テーブルに書き込む新規カード登録手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項1】
エレベータの各階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作及びかご内のかご呼び登録装置におけるかご呼び操作に応じて前記かごを移動制御するエレベータ制御部に対して、通常状態時には前記乗場呼び操作及び前記かご呼び操作の受付を禁止させる呼び操作受付禁止制御手段と、
製造時に設定され、使用形態の如何にかかわらず書き替え消去不可能な固有IDが記憶された同一規格の複数のカードと、
前記各固有ID毎に当該固有IDのカードを所持する利用者が利用可能な階を記憶する利用条件テーブルと、
エレベータの各階の乗場及びかご内に設けられ、前記利用者による前記カードの接触操作又はかざし操作にて当該カードに記憶された前記固有IDを読取る複数のカードリーダと、
この各カードリーダで読取られた固有IDに対応する利用可能な階を前記利用条件テーブルから読出す階読出手段と、
この階読出手段で読出された利用可能な階を指定した前記乗場呼び操作及び前記かご呼び操作の受付禁止の解除を前記エレベータ制御部に対して指示する受付禁止解除手段と
を備えたことを特徴とするエレベータのセキュリティシステム。
【請求項2】
前記エレベータの各階の乗場に設けられたカードリーダで読取られた固有IDが前記利用条件テーブルに記憶されているとき、前記固有IDを読取ったカードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び操作受付禁止を無条件で解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する無条件禁止解除手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項3】
前記各カードリーダの動作状態を監視する監視手段と、
この監視手段がかご内のカードリーダの異常を検出したとき、前記かご内に設けられたかご呼び登録装置におけるかご呼び登録操作受付禁止を全て解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する第1の故障対策手段と、
前記監視手段が各階の乗場に設けられた各カードリーダの異常を検出したとき、当該カードリーダが設けられた階の乗場呼び登録装置における乗場呼び登録操作受付禁止を解除する指令を前記エレベータ制御部に対して指示する第2の故障対策手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項4】
前記第1の故障対策手段に対する実行可否を予め選択設定する選択設定手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のエレベータのセキュリティシステム。
【請求項5】
前記カードリーダにて読取られた固有IDに対して前記利用条件テーブル内に登録指示が記憶されていた場合には、前記エレベータ制御部の動作モードを登録モードに移行する登録モード移行指示手段と、
この登録モード期間中に前記カードリーダにて読取られた新規カードの固有IDに対して前記かご呼び登録装置におけるかご呼び操作で指定された行き先階を、新規カードの所持者の利用可能な階として、前記読取られた固有IDとともに前記利用条件テーブルに書き込む新規カード登録手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のエレベータのセキュリティシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−280117(P2008−280117A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124745(P2007−124745)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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