説明

エレベータのドア装置

【課題】ドアパネルの開閉不良を防止できるエレベータのドア装置を提供する。
【解決手段】ドアパネル20を開閉駆動するための複数のドアモータと、複数のドアモータの各々に接続された駆動車に巻き掛けられ、ドアモータからの駆動力をドアパネル20に伝達する無端状の歯付きベルト26と、複数のドアモータの回転速度に応じたパルス信号を個別に出力する複数のパルスエンコーダと、複数のドアモータに通電される電流を個別に検出し、電流信号を出力する複数の電流検出部と、パルス信号および電流信号に基づいて、複数のドアモータの動作を制御するドア制御回路41と、パルス信号および電流信号の少なくとも一方に基づいて、ドアモータ、歯付きベルト26、パルスエンコーダおよび電流検出部のうちの少なくとも1つの異常状態を検出する異常状態検出部70とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のドアモータを用いてドアパネルを開閉駆動するエレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、巻上機が昇降路内に配置される機械室レスエレベータが普及するに従い、昇降路内におけるエレベータ機器の省スペース化が必要となっている。そのため、ドア装置においても、その上下方向の大きさや厚みを小さくすることにより、さらなる省スペース化を実現することが求められている。
【0003】
そこで、従来のエレベータのかごドア装置は、減速機構を用いず、永久磁石形のドアモータを駆動車に直結するとともに、ドアモータの全体がドアフレームの上端部よりも下方に配置されるように、ドアフレームの水平部の下部にドアモータを固定している(例えば、特許文献1参照)。
この構成により、かごドア装置の高さ寸法を小さくできるとともに、かご全体の高さ寸法に影響が及ぶのを防止することができる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、ドアフレームの水平部の下部において確保できるスペースが限られているので、ドアパネルの重量が重くなった場合や、ドアパネルの高速開閉が求められる場合には、大きな駆動力が必要となり、それを実現するためにドアモータが大きくなる。
そのため、ドアモータがドアフレームの下部に入りきらず、上記の各場合に対応することができないという問題点があった。
【0005】
上記の問題点を解決するために、従来のエレベータのドア装置は、ドアパネルが連結された無端状の環状体が巻き掛けられた駆動車を、複数のドアモータで駆動している(例えば、特許文献2参照)。
この構成により、1つのドアモータにかかる負荷を小さくし、1つ1つのドアモータを小型化することにより、1箇所あたりに必要なドアモータの設置スペースを縮小するとともに、ドアモータの設置スペースを分散することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−187681号公報
【特許文献2】特開2004−75314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の従来のエレベータのドア装置では、ドアモータが複数設けられているので、例えば1つのドアモータに動作遅れが生じた場合に、他のドアモータに対して逆方向のトルクが発生し、環状体に大きな負荷がかかる場合がある。
環状体に大きな負荷がかかると、例えば環状体に緩みが生じたり、環状体に設けられた歯が欠けたりする恐れがあり、この状態を放置すると、環状体の破断等が生じて、ドアパネルを開閉することができなくなるという問題点があった。
また、ドアモータが複数設けられていること、および複数のドアモータの各々に対応して複数の回転検出手段および電流検出手段を設ける必要があることから、ドアモータ、回転検出手段、または電流検出手段に異常が発生する頻度が高くなるという問題点もあった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、環状体等の異常状態を検出し、ドアパネルの開閉不良を防止することができるエレベータのドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るエレベータのドア装置は、ドアパネルを開閉駆動するための複数のドアモータと、複数のドアモータの各々に接続された駆動車に巻き掛けられ、ドアモータからの駆動力をドアパネルに伝達する無端状の環状体と、複数のドアモータの回転速度に応じたパルス信号を個別に出力する複数の回転検出手段と、複数のドアモータに通電される電流を個別に検出し、電流信号を出力する複数の電流検出手段と、パルス信号および電流信号に基づいて、複数のドアモータの動作を制御するドア制御手段と、パルス信号および電流信号の少なくとも一方に基づいて、ドアモータ、環状体、回転検出手段および電流検出手段のうちの少なくとも1つの異常状態を検出する異常状態検出手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明のエレベータのドア装置によれば、異常状態検出手段は、パルス信号および電流信号の少なくとも一方に基づいて、ドアモータ、環状体、回転検出手段および電流検出手段のうちの少なくとも1つの異常状態を検出する。
そのため、ドアパネルの開閉不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置を示す構成図である。
図1において、ドアパネル20の上部には、断面L字状の桁21が設けられている。桁21は、鉛直方向に延びる鉛直部21aと、鉛直部21aの上端部から水平に延びる水平部21bとを有している。水平部21bの下側には、互いに所定の間隔をおいて、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24(第1モータ〜第8モータ)が取り付けられている。
【0013】
第1ドアモータ22の出力軸には、第1ドアモータ22によって直接駆動される第1駆動車23が接続されている。また、第2ドアモータ24の出力軸には、第2ドアモータ24によって直接駆動される第2駆動車25が接続されている。
第1駆動車23および第2駆動車25には、無端状の歯付きベルト26(環状体)が規定の張力で巻き掛けられている。
【0014】
すなわち、第1ドアモータ22と第2ドアモータ24とは、第1駆動車23、歯付きベルト26および第2駆動車25を介して連結されている。第1ドアモータ22および第2ドアモータ24は、第1駆動車23および第2駆動車25をそれぞれ回転させることにより、歯付きベルト26を循環させる。
【0015】
鉛直部21aの下部には、ガイドレール27が固定されている。ガイドレール27には、複数のガイドローラ28とドアハンガ29とによって、ドアパネル20が吊り下げられている。ドアハンガ29の上部には、吊り手30の一端が固定されている。吊り手30の他端は、歯付きベルト26の循環によって2枚のドアパネル20が互いに逆方向に変位されるように、歯付きベルト26に固定されている。
【0016】
なお、ドアパネル20が全閉状態にある場合には、2枚のドアパネル20の対向する先端どうしが互いに当接する位置でドアパネル20が停止している。また、ドアパネル20が全開状態にある場合には、ドアハンガ29が桁21に設けられたドアストッパ31と当接する位置でドアパネル20が停止している。
【0017】
第1ドアモータ22および第2ドアモータ24は、通常のドアパネル20の開閉駆動時には、同じ方向に回転する。戸開方向にドアパネル20を駆動させたい場合には、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24を、図1において軸に対して左回転させる。また、戸閉方向にドアパネル20を駆動させたい場合には、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24を軸に対して右回転させる。
これにより、ドア装置は、モータ2つ分のトルクでドアパネル20を開閉駆動する。
【0018】
第1ドアモータ22および第2ドアモータ24の出力軸には、その回転速度に応じたパルス信号をそれぞれ出力する第1パルスエンコーダ32(回転検出手段、以下、「第1エンコーダ32」と略称する)および第2パルスエンコーダ33(回転検出手段、以下、「第2エンコーダ33」と略称する)が取り付けられている。
第1エンコーダ32および第2エンコーダ33の出力は、ドアパネル20の開閉駆動を制御する後述するドア制御回路(ドア制御手段)に入力される。
【0019】
なお、これ以下の実施の形態では、図1に示したように、同一の歯付きベルト26内に第1ドアモータ22および第2ドアモータ24が配置されている構成を例として説明する。しかしながら、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24と歯付きベルト26との構成は、これに限定されない。例えば図2に示すように、第1ドアモータ22の第1駆動車23、および第2ドアモータ24の第2駆動車25に巻き掛けられた互いに異なる歯付きベルト26の間に、駆動力を伝達するための動力伝達軸34を配置した構成であってもよい。また、同じく軸を介して3個以上のドアモータを配置した構成であってもよい。さらに、環状体の例として歯付きベルト26を用いて説明するが、チェーンやロープ等であってもよい。
【0020】
図3は、この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置のドア制御回路41を周辺機器とともに示すブロック図である。
図3において、ドア制御回路41には、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33からパルス信号が入力される。また、ドア制御回路41には、第1ドアモータ22に通電される電流を検出する第1電流検出器35(電流検出手段)、および第2ドアモータ24に通電される電流を検出する第2電流検出器36(電流検出手段)から、電流信号がそれぞれ入力される。
【0021】
ドア制御回路41は、パルス信号および電流信号に基づいて、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24の動作を制御するためのPWM信号をそれぞれ生成し、第1モータ駆動部37および第2モータ駆動部38に出力する。
第1モータ駆動部37および第2モータ駆動部38は、PWM信号に基づいて、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対する駆動信号をそれぞれ生成して出力し、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24を駆動する。
【0022】
ドア制御回路41は、パルスカウントユニット41a、CPU41b、ROM41c、RAM41d、第1PWMユニット41eおよび第2PWMユニット41fを含んでいる。ここで、CPU41b、ROM41cおよびRAM41dを合わせたものを制御処理部42と称する。
パルスカウントユニット41aは、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33からのパルス信号をそれぞれカウントして、第1カウント値および第2カウント値を出力する。CPU41bは、ROM41cおよびRAM41dに格納された情報に基づいて演算処理を実行し、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対する電流指令値を算出する。
【0023】
ROM41cには、ドアプログラムや各種データ等が格納されている。RAM41dには、パルス信号および電流信号、処理データや学習したデータ等が記憶される。
第1PWMユニット41eおよび第2PWMユニット41fは、CPU41bで算出された電流指令値に応じて、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24の動作を制御するためのPWM信号をそれぞれ生成する。
【0024】
図4は、図3のドア制御回路41の制御処理部42を周辺機器とともに示す機能ブロック図である。なお、図3に示したパルスカウントユニット41a、第1PWMユニット41e、第2PWMユニット41f、第1モータ駆動部37および第2モータ駆動部38は、図示を省略する。
図4において、制御処理部42は、第1ドア制御部50と、第2ドア制御部60と、異常状態検出部70(異常状態検出手段)とを有している。
【0025】
第1ドア制御部50は、速度指令発生部51、速度演算部52、減算器53、速度コントロール部54、トルク演算部55、減算器56および電流コントロール部57を含んでいる。
速度指令発生部51は、ROM41cにあらかじめ記憶されたドアパネル20の速度パターンに基づいて、または異常状態検出部70からの動作指令に基づいて、速度指令値を出力する。速度演算部52は、第1エンコーダ32からパルスカウントユニット41aを介して入力された第1カウント値に基づいて、第1ドアモータ22の回転速度を算出する。減算器53は、速度指令発生部51からの速度指令値と、速度演算部52からの回転速度との速度差を出力する。
【0026】
速度コントロール部54は、減算器53からの速度差に基づいて、第1ドアモータ22が出力すべきトルクを算出し、トルク指令値を出力する。トルク演算部55は、第1エンコーダ32からのパルス信号と第1電流検出器35からの電流信号とに基づいて、第1ドアモータが発生しているトルク値を算出する。
減算器56は、速度コントロール部54からのトルク指令値と、トルク演算部55からのトルク値とのトルク差を出力する。電流コントロール部57は、減算器56からのトルク差に基づいて、第1ドアモータ22に通電すべき電流を算出し、電流指令値を出力する。
【0027】
また、第2ドア制御部60は、速度指令発生部61、速度演算部62、減算器63、速度コントロール部64、トルク演算部65、減算器66および電流コントロール部67を含んでいる。第2ドア制御部60の各ブロックは、第1ドア制御部50の各ブロックと同様の機能を有している。
これにより、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24はトルク制御され、ドアパネル20の開閉駆動が実現される。
【0028】
異常状態検出部70は、第1エンコーダ32からパルスカウントユニット41aを介して入力された第1カウント値、および第2エンコーダ33からパルスカウントユニット41aを介して入力された第2カウント値に基づいて、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
異常状態検出部70は、エレベータ保守時、または乗客がエレベータを使用しない深夜等に、自動または手動により異常状態の検出処理を実行する。
【0029】
具体的には、異常状態検出部70は、まず、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対して互いに逆方向のトルクを発生させるために、速度指令発生部51、61に動作指令を出力する。すなわち、異常状態検出部70は、図5(a)に示すように、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して右回転させる。
このとき、歯付きベルト26の下側は、左右に引っ張られる。
【0030】
ここで、通常のドアパネル20の開閉駆動時に、第1ドアモータ22または第2ドアモータ24の動作遅れによって互いに逆方向のトルクが発生した場合には、歯付きベルト26に大きな負荷がかかり、例えば張力の低下によって歯付きベルト26に緩みが生じる。
歯付きベルト26に緩みが生じている場合には、歯付きベルト26を左右に引っ張った際に、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24の出力軸に接続された第1駆動車23および第2駆動車25が、歯付きベルト26に対して空転する。
【0031】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第1カウント値および第2カウント値を互いに加算する。異常状態検出部70は、この加算値が所定加算値よりも大きい場合に、第1駆動車23および第2駆動車25が、歯付きベルト26に対して空転しているとして、歯付きベルト26の異常状態を検出する。なお、所定加算値は、歯付きベルト26の長さ等によって設定される。
また、異常状態検出部70は、歯付きベルト26の異常状態を検出すると、異常状態を図示しない表示装置(報知手段)に表示する。
【0032】
また、異常状態検出部70は、図5(b)に示すように、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して左回転させる。
このとき、歯付きベルト26の上側は、左右に引っ張られる。
異常状態検出部70は、上記と同様にパルスカウントユニット41aからの第1カウント値および第2カウント値を互いに加算し、この加算値が所定加算値よりも大きい場合に、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
【0033】
以下、図1〜5とともに、図6のフローチャートを参照しながら、異常状態検出部70による異常状態の検出処理について詳細に説明する。
まず、異常状態検出部70は、ドアパネル20が全開状態にあるか否かを判定する(ステップS1)。
ステップS1において、ドアパネル20が全開状態にある(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して右回転させる(ステップS2)。
【0034】
ここで、第1ドアモータ22のトルクは、第2ドアモータ24のトルクよりも大きな値とする。すなわち、第1ドアモータ22のトルクを大きくすることにより、ドアハンガ29をドアストッパ31と当接させて、ドアパネル20の全開状態を保持する。
このとき、歯付きベルト26には、第2ドアモータ24のトルクのみがかかる。第2ドアモータ24のトルクは、歯付きベルト26の異常状態を検出するための所定トルク、例えば、歯付きベルト26を第1駆動車23および第2駆動車25に巻き掛ける際の前述した規定の張力に応じたトルクとする。
【0035】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第1カウント値および第2カウント値を互いに加算して、歯付きベルト26に異常が発生しているか、すなわち歯付きベルト26の異常状態を検出したか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3において、異常状態を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS1に移行する。
【0036】
一方、ステップS3において、異常状態を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態を表示装置に表示し(ステップS4)、ステップS1に移行する。
歯付きベルト26の異常状態を表示装置に表示することにより、ベルト調整等の保守を行うことができる。
【0037】
一方、ステップS1において、ドアパネル20が全開状態にない(すなわち、No)と判定された場合には、異常状態検出部70は、ドアパネル20が全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5において、ドアパネル20が全閉状態にある(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して左回転させる(ステップS6)。
【0038】
ここで、第2ドアモータ24のトルクは、第1ドアモータ22のトルクのトルクよりも大きな値とする。すなわち、第2ドアモータ24のトルクを大きくすることにより、ドアパネル20どうしを互いに当接させて、ドアパネル20の全閉状態を保持する。
このとき、第1ドアモータ22のトルクは、例えば、前述した規定の張力に応じたトルクとする。
【0039】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第1カウント値および第2カウント値を互いに加算して、歯付きベルト26に異常が発生しているか、すなわち歯付きベルト26の異常状態を検出したか否かを判定する(ステップS7)。
ステップS7において、異常状態を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS1に移行する。
【0040】
一方、ステップS7において、異常状態を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態を表示装置に表示し(ステップS4)、ステップS1に移行する。
また一方、ステップS5において、ドアパネル20が全閉状態にない(すなわち、No)と判定された場合には、そのままステップS1に移行する。
【0041】
この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置によれば、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対して互いに逆方向のトルクを発生させる。また、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第1カウント値および第2カウント値を互いに加算し、この加算値が所定加算値よりも大きい場合に、歯付きベルト26の異常状態を検出する。また、異常状態検出部70は、歯付きベルト26の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
そのため、異常状態検出部70が歯付きベルト26の異常状態を検出した場合に、ベルト調整等の保守を速やかに行うことができ、ドアパネル20の開閉異常を防止することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態1では、ステップS2において、異常状態検出部70が、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して右回転させると説明した。
しかしながら、これに限定されず、ドアパネル20の全開状態において、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して左回転させてもよい。このとき、ドアパネル20の全開状態を保持するために、第2ドアモータ24のトルクは、第1ドアモータ22のトルクよりも大きな値とする。
この場合も、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0043】
また、上記実施の形態1では、ステップS6において、異常状態検出部70が、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して左回転させると説明した。
しかしながら、これに限定されず、ドアパネル20の全閉状態において、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24をある所定トルクで軸に対して右回転させてもよい。このとき、ドアパネル20の全閉状態を保持するために、第1ドアモータ22のトルクは、第2ドアモータ24のトルクよりも大きな値とする。
この場合も、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、ドアパネル20が全開状態、または全閉状態にある場合に、第1ドアモータ22または第2ドアモータ24の動作遅れによって互いに逆方向のトルクが発生させることにより、歯付きベルト26の緩みによる異常状態を検出した。
しかしながら、歯付きベルト26の一部のみが破損している場合には、この破損部分が第1駆動車23または第2駆動車25にかかっていないと、歯付きベルト26の異常状態を検出することができないという問題点があった。
【0045】
そこで、以下に、異常状態検出部70が、ドアパネル20の全開状態から全閉状態にわたって歯付きベルト26の異常状態を検出する処理について説明する。
なお、この発明の実施の形態2に係るエレベータのドア装置の構成は、以下に示す部分を除いて前述した実施の形態1の構成と同様のものとし、詳述を省略する。
【0046】
まず、パルスカウントユニット41aは、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33からのパルス信号をそれぞれカウントして、第3カウント値および第4カウント値を出力する。
また、異常状態検出部70は、第1エンコーダ32からパルスカウントユニット41aを介して入力された第3カウント値、および第2エンコーダ33からパルスカウントユニット41aを介して入力された第4カウント値に基づいて、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
【0047】
具体的には、異常状態検出部70は、まず、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対して互いに逆方向で、かつ絶対値の異なるトルクを発生させるために、速度指令発生部51、61に動作指令を出力する。すなわち、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して右回転させる。
【0048】
このとき、第1ドアモータ22と第2ドアモータ24とのトルク差により、ドアパネル20は、通常時よりも低い速度で戸開方向に駆動される。また、第1ドアモータ22のトルクの絶対値と第2ドアモータ24のトルクの絶対値とを加算したトルクが、歯付きベルト26に対する負荷となる。
【0049】
ここで、通常のドアパネル20の開閉駆動時に、第1ドアモータ22または第2ドアモータ24の動作遅れによって互いに逆方向のトルクが発生した場合には、歯付きベルト26に大きな負荷がかかり、例えば歯付きベルト26の歯が欠ける。
ドアパネル20の戸開方向への駆動によって、歯付きベルト26の歯欠け部分が第1駆動車23または第2駆動車25にかかった場合には、第1駆動車23または第2駆動車25が、歯付きベルト26に対して空転する。
【0050】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第3カウント値および第4カウント値の少なくとも一方が所定閾値を超えた場合に、第1駆動車23または第2駆動車25が、歯付きベルト26に対して空転しているとして、歯付きベルト26の異常状態を検出する。なお、所定閾値は、歯付きベルト26の長さ等によって設定される。
また、異常状態検出部70は、歯付きベルト26の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
【0051】
第1駆動車23が歯付きベルト26に対して空転した場合の例を図7(a)に示す。
図7(a)において、第1ドアモータ22の回転速度に対して、所定閾値が設定されている。ドアパネル20の戸開方向への駆動時に、歯付きベルト26の歯欠け部分によって第1駆動車23が空転した場合、第1ドアモータ22の回転速度、すなわち第3カウント値が所定閾値を一瞬超えている。異常状態検出部70は、このことを検出し、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
【0052】
また、第2駆動車25が歯付きベルト26に対して空転した場合の例を図7(b)に示す。
図7(b)において、第2ドアモータ24の回転速度に対して、所定閾値が設定されている。ここで、第2ドアモータ24は、第1ドアモータ22に対して逆方向のトルクを発生しているので、所定閾値は、負の値となる。ドアパネル20の戸開方向への駆動時に、歯付きベルト26の歯欠け部分によって第2駆動車25が空転した場合、第2ドアモータ24の回転速度、すなわち第4カウント値が所定閾値を一瞬超えている。異常状態検出部70は、このことを検出し、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
【0053】
また、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して左回転させる。
このとき、ドアパネル20は、通常時よりも低い速度で戸閉方向に駆動される。
異常状態検出部70は、上記と同様にパルスカウントユニット41aからの第3カウント値および第4カウント値の少なくとも一方が所定閾値を超えた場合に、歯付きベルト26の異常状態を検出する。
【0054】
以下、図1〜4、7とともに、図8のフローチャートを参照しながら、異常状態検出部70による異常状態の検出処理について詳細に説明する。
まず、異常状態検出部70は、ドアパネル20が全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS1において、ドアパネル20が全閉状態にある(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して右回転させる(ステップS12)。
【0055】
ここで、第1ドアモータ22のトルクが第2ドアモータ24のトルクよりも大きいので、ドアパネル20は、戸開方向に全閉状態から全開状態まで駆動される。
このとき、歯付きベルト26には、第1ドアモータ22のトルクの絶対値と第2ドアモータ24のトルクの絶対値とを加算したトルクがかかる。
このトルク加算値は、歯付きベルト26の異常状態を検出するための所定トルク、例えば、歯付きベルト26を第1駆動車23および第2駆動車25に巻き掛ける際の前述した規定の張力に応じたトルクとする。
【0056】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第3カウント値および第4カウント値に基づいて、歯付きベルト26に異常が発生しているか、すなわち歯付きベルト26の異常状態を検出したか否かを判定する(ステップS13)。
ステップS13において、異常状態を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS11に移行する。
【0057】
一方、ステップS13において、異常状態を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態を表示装置に表示し(ステップS14)、ステップS11に移行する。
歯付きベルト26の異常状態を表示装置に表示することにより、ベルト交換等の措置を行うことができる。
【0058】
一方、ステップS11において、ドアパネル20が全閉状態にない(すなわち、No)と判定された場合には、異常状態検出部70は、ドアパネル20が全開状態にあるか否かを判定する(ステップS15)。
ステップS15において、ドアパネル20が全開状態にある(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して左回転させる(ステップS16)。
【0059】
ここで、第1ドアモータ22のトルクが第2ドアモータ24のトルクよりも大きいので、ドアパネル20は、戸閉方向に全開状態から全閉状態まで駆動される。
このとき、第1ドアモータ22のトルクの絶対値と第2ドアモータ24のトルクの絶対値とを加算した加算トルクは、例えば、前述した規定の張力に応じたトルクとする。
【0060】
続いて、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第3カウント値および第4カウント値に基づいて、歯付きベルト26に異常が発生しているか、すなわち歯付きベルト26の異常状態を検出したか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、異常状態を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS11に移行する。
【0061】
一方、ステップS17において、異常状態を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常状態を表示装置に表示し(ステップS14)、ステップS11に移行する。
また一方、ステップS15において、ドアパネル20が全開状態にない(すなわち、No)と判定された場合には、そのままステップS11に移行する。
【0062】
この発明の実施の形態2に係るエレベータのドア装置によれば、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22および第2ドアモータ24に対して互いに逆方向で、かつ絶対値の異なるトルクを発生させて、ドアパネル20を、全開状態から全閉状態まで、または全閉状態から全開状態まで開閉駆動させる。また、異常状態検出部70は、ドアパネル20の開閉駆動中に、パルスカウントユニット41aからの第3カウント値および第4カウント値の少なくとも一方が所定閾値を超えた場合に、歯付きベルト26の異常状態を検出する。また、異常状態検出部70は、歯付きベルト26の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
そのため、異常状態検出部70が歯付きベルト26の異常状態を検出した場合に、ベルト交換等の措置を速やかに行うことができ、ドアパネル20の開閉異常を防止することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態2では、ステップS12において、異常状態検出部70が、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して右回転させると説明した。
しかしながら、これに限定されず、ドアパネル20の全閉状態において、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも大きなトルクで軸に対して左回転させてもよい。このとき、ドアパネル20は、戸開方向に駆動される。
この場合も、上記実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0064】
また、上記実施の形態2では、ステップS16において、異常状態検出部70が、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して右回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも小さなトルクで軸に対して左回転させると説明した。
しかしながら、これに限定されず、ドアパネル20の全開状態において、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22をある所定トルクで軸に対して左回転させ、第2ドアモータ24を第1ドアモータ22のトルクよりも大きなトルクで軸に対して右回転させてもよい。このとき、ドアパネル20は、戸閉方向に駆動される。
この場合も、上記実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0065】
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、異常状態検出部70は、歯付きベルト26の異常状態を検出したが、これに限定されず、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33の異常状態を検出してもよい。
そこで、以下に、異常状態検出部70が、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33の異常状態を検出する処理について説明する。
なお、この発明の実施の形態3に係るエレベータのドア装置の構成は、以下に示す部分を除いて前述した実施の形態1の構成と同様のものとし、詳述を省略する。
【0066】
まず、パルスカウントユニット41aは、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33からのパルス信号をそれぞれカウントして、第5カウント値および第6カウント値を出力する。
また、異常状態検出部70は、第1エンコーダ32からパルスカウントユニット41aを介して入力された第5カウント値、および第2エンコーダ33からパルスカウントユニット41aを介して入力された第6カウント値に基づいて、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33の異常状態を検出する。
【0067】
具体的には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22に対してトルクを発生させるとともに、第2ドアモータ24に対する電源を遮断するために、速度指令発生部51、61に動作指令を出力する。すなわち、異常状態検出部70は、ドアパネル20の戸開方向への駆動時、または戸開方向への駆動時に、第2ドアモータ24への電源を遮断し、第1ドアモータ22をある所定トルクで回転させて、第1ドアモータ22のみでドアパネル20を駆動させる。
なお、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22への電源を遮断し、第2ドアモータ24をある所定トルクで回転させてもよい。
【0068】
このとき、第2ドアモータ24の出力軸に取り付けられた第2エンコーダ33は、第1ドアモータ22の出力軸に取り付けられた第1エンコーダ32とほぼ同様のパルス信号を出力する。第2エンコーダ33からパルスカウントユニット41aを介して入力された第6カウント値に基づいて、速度演算部52で算出された第2ドアモータ24の回転速度を図9に示す。
【0069】
図9において、第2エンコーダ33が正常に動作している場合には、第2ドアモータ24の回転速度は、上限閾値から下限閾値までの間の所定範囲内に収まっている。
ここで、故障等によって第2エンコーダ33の動作に異常が生じた場合には、第2ドアモータ24の回転速度が所定範囲から外れる。
【0070】
異常状態検出部70は、第2ドアモータ24の回転速度が所定範囲から外れた場合、すなわち、第2エンコーダ33からパルスカウントユニット41aを介して入力された第6カウント値が、所定カウント範囲から外れた場合に、第2エンコーダ33の異常状態を検出する。なお、所定カウント範囲は、ドアパネル20の速度パターン等に応じて設定される。
また、異常状態検出部70は、第2エンコーダ33の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
【0071】
この発明の実施の形態3に係るエレベータのドア装置によれば、異常状態検出部70は、ドアパネル20の戸開方向への駆動時、または戸開方向への駆動時に、第2ドアモータ24への電源を遮断し、第1ドアモータ22をある所定トルクで回転させて、第1ドアモータ22のみでドアパネル20を駆動させる。また、異常状態検出部70は、パルスカウントユニット41aからの第6カウント値が所定カウント範囲から外れた場合に、第2エンコーダ33の異常状態を検出する。また、異常状態検出部70は、第2エンコーダ33の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
そのため、異常状態検出部70が第2エンコーダ33の異常状態を検出した場合に、エンコーダの交換等の措置を速やかに行うことができ、ドアパネル20の開閉異常を防止することができる。
【0072】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、異常状態検出部70は、第1エンコーダ32および第2エンコーダ33の異常状態を検出したが、これに限定されず、第1ドアモータ22、第2ドアモータ24、第1電流検出器35および第2電流検出器36の異常状態を検出してもよい。
そこで、以下に、異常状態検出部70が、第1ドアモータ22、第2ドアモータ24、第1電流検出器35および第2電流検出器36の異常状態を検出する処理について説明する。
なお、この発明の実施の形態3に係るエレベータのドア装置の構成は、以下に示す部分を除いて前述した実施の形態1の構成と同様のものとし、詳述を省略する。
【0073】
異常状態検出部70は、第1電流検出器35および第2電流検出器36から入力される電流信号に基づいて、第1ドアモータ22、第2ドアモータ24、第1電流検出器35および第2電流検出器36の異常状態を検出する。
【0074】
具体的には、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22に対してトルクを発生させるとともに、第2ドアモータ24に対する電源を遮断するために、速度指令発生部51、61に動作指令を出力する。すなわち、異常状態検出部70は、ドアパネル20の戸開方向への駆動時、または戸開方向への駆動時に、第2ドアモータ24への電源を遮断し、第1ドアモータ22をある所定トルクで回転させて、第1ドアモータ22のみでドアパネル20を駆動させる。
なお、異常状態検出部70は、第1ドアモータ22への電源を遮断し、第2ドアモータ24をある所定トルクで回転させてもよい。
【0075】
このとき、第2ドアモータ24に通電される電流を検出する第2電流検出器36は、第1ドアモータ22に通電される電流を検出する第1電流検出器35とほぼ同様の電流信号を出力する。第2電流検出器36で検出された第2ドアモータ24に通電される電流を図10に示す。ここでは、第2ドアモータ24が3層PMモータである場合の、U相、V相、W相電流を示す。
【0076】
図10において、第2ドアモータ24および第2電流検出器36が正常に動作している場合には、第2ドアモータ24に通電される電流のピーク電流値は、上限閾値から下限閾値までの間の所定範囲内に収まっている。
ここで、第2ドアモータ24の磁石の減磁や、第2電流検出器36の故障等が発生した場合には、第2ドアモータ24に通電される電流が所定範囲から外れる。
【0077】
異常状態検出部70は、第2ドアモータ24に通電される電流が所定範囲から外れた場合、すなわち、第2電流検出器36からの電流信号のピーク電流値が所定電流範囲から外れた場合に、第2ドアモータ24または第2電流検出器36の異常状態を検出する。なお、所定電流範囲は、ドアパネル20の速度パターン等に応じて設定される。
また、異常状態検出部70は、第2ドアモータ24または第2電流検出器36の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
【0078】
この発明の実施の形態4に係るエレベータのドア装置によれば、異常状態検出部70は、ドアパネル20の戸開方向への駆動時、または戸開方向への駆動時に、第2ドアモータ24への電源を遮断し、第1ドアモータ22をある所定トルクで回転させて、第1ドアモータ22のみでドアパネル20を駆動させる。また、異常状態検出部70は、第2電流検出器36からの電流信号のピーク電流値が所定電流範囲から外れた場合に、第2ドアモータ24または第2電流検出器36の異常状態を検出する。また、異常状態検出部70は、第2ドアモータ24または第2電流検出器36の異常状態を検出すると、異常状態を表示装置に表示する。
そのため、異常状態検出部70が第2ドアモータ24または第2電流検出器36の異常状態を検出した場合に、ドアモータの交換や電流検出器の交換等の措置を速やかに行うことができ、ドアパネル20の開閉異常を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置における第1ドアモータおよび第2ドアモータと歯付きベルトとの構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータのドア装置のドア制御回路を周辺機器とともに示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るドア制御回路の演算処理部を周辺機器とともに示す機能ブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を説明するための説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を説明するための説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を説明するための説明図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る異常状態検出部による異常状態の検出処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0080】
20 ドアパネル、22 第1ドアモータ、23 第1駆動車、24 第2ドアモータ、25 第2駆動車、26 歯付きベルト(環状体)、32 第1エンコーダ(回転数検出手段)、33 第2エンコーダ(回転数検出手段)、35 第1電流検出器(電流検出手段)、36 第2電流検出器(電流検出手段)、41 ドア制御回路(ドア制御手段)、42 制御処理部、50 第1ドア制御部、51、61 速度指令発生部、52、62 速度演算部、53、56、63、66 減算器、54、64 速度コントロール部、55、65 トルク演算部、57、67 電流コントロール部、60 第2ドア制御部、70 異常状態検出部(異常状態検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルを開閉駆動するための複数のドアモータと、
前記複数のドアモータの各々に接続された駆動車に巻き掛けられ、ドアモータからの駆動力を前記ドアパネルに伝達する無端状の環状体と、
前記複数のドアモータの回転速度に応じたパルス信号を個別に出力する複数の回転検出手段と、
前記複数のドアモータに通電される電流を個別に検出し、電流信号を出力する複数の電流検出手段と、
前記パルス信号および前記電流信号に基づいて、前記複数のドアモータの動作を制御するドア制御手段と、
前記パルス信号および前記電流信号の少なくとも一方に基づいて、前記ドアモータ、前記環状体、回転検出手段および電流検出手段のうちの少なくとも1つの異常状態を検出する異常状態検出手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項2】
前記複数のドアモータは、前記環状体の両端に配置された第1モータおよび第2モータを含み、
前記異常状態検出手段は、
前記第1モータおよび前記第2モータに対して互いに逆方向のトルクを発生させるとともに、前記第1モータに対応する回転検出手段からのパルス信号をカウントした第1カウント値と、前記第2モータに対応する回転検出手段からのパルス信号をカウントした第2カウント値とを加算し、
この加算値が所定加算値よりも大きい場合に、前記環状体の異常状態を検出すること
を特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア装置。
【請求項3】
前記複数のドアモータは、前記環状体の両端に配置された第3モータおよび第4モータを含み、
前記異常状態検出手段は、
前記第3モータおよび前記第4モータに対して互いに逆方向で、かつ絶対値の異なるトルクを発生させて、前記ドアパネルを、全開状態から全閉状態まで、または全閉状態から全開状態まで開閉駆動させ、
前記ドアパネルの前記開閉駆動中に、前記第3モータに対応する回転検出手段からのパルス信号をカウントした第3カウント値、および前記第4モータに対応する回転検出手段からのパルス信号をカウントした第4カウント値の少なくとも一方が所定閾値を超えた場合に、前記環状体の異常状態を検出すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【請求項4】
前記複数のドアモータは、第5モータおよび第6モータを含み、
前記異常状態検出手段は、
前記第5モータに対してトルクを発生させるとともに、前記第6モータに対する電源を遮断し、
前記第6モータに対応する回転検出手段からのパルス信号をカウントした第6カウント値が所定カウント範囲から外れた場合に、前記第6モータに対応する回転検出手段の異常状態を検出すること
を特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のエレベータのドア装置。
【請求項5】
前記複数のドアモータは、第7モータおよび第8モータを含み、
前記異常状態検出手段は、
前記第7モータに対してトルクを発生させるとともに、前記第8モータに対する電源を遮断し、
前記第8モータに対応する電流検出手段からの電流信号のピーク電流値が所定電流範囲から外れた場合に、前記第8モータまたは前記第8モータに対応する電流検出手段の異常状態を検出すること
を特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータのドア装置。
【請求項6】
前記異常状態検出手段が、前記ドアモータ、前記環状体、前記回転検出手段および前記電流検出手段のうちの少なくとも1つの異常状態を検出した場合に、この異常状態を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のエレベータのドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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