説明

エレベータ制御装置

【課題】一般の利用者に対しても使い勝手の良い個人情報の保護に充分に配慮したエレベータ制御装置を提供する。
【解決手段】エレベータ制御装置3は、特定利用者に関する所定情報を記録した記録領域をそれぞれ有する複数のICタグ1を発行するタグ発給部40と、個別ICタグ1の記録領域に記録された所定情報を読み取る無線通信部2と、無線通信部2により読み取られた所定情報の内容に従って呼び制御信号20bに基づいてエレベータの運行を制御する運行制御部31と、ICタグ1の発行を受けた特定利用者がICタグ1を不要とするときにICタグ1を回収するタグ回収部50と、運行制御部31により呼び制御信号が生成される際に所定情報の内容を反映させると共にタグ発給部40で発行されたICタグ1がタグ回収部50により回収されるまでの間のICタグ1の移動を管理するタグ管理部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ制御装置に関し、特に、エレベータの近傍における利用者の認識と所定の処理操作を集積回路(IC―Integrated Circuit)タグを用いて行なうエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や身体障害者などの特定のエレベータ利用者が簡単にエレベータを利用することができるように、特定のエレベータ利用者の身体や車いす等にICタグを取り付けておいて、ICタグの発信を感知する呼び出し感知手段をエレベータホールやかご内に設けて認識させることによりエレベータを管理するエレベータ管理システムが特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載されたエレベータ管理システムは、身体障害者がエレベータホールに来ると、エレベータホールに設置された呼び出し感知手段が身体障害者のICタグの発信を感知してその階床における身体障害者の呼びを発生させ、更にエレベータのかごが到着するとその戸を開放し、身体障害者がエレベータのかご内に搭乗したことを乗りかご側の呼び出し感知手段が感知してかごの戸を閉鎖する。このようにして、腕などが不自由な重度の障害者であっても、一人でエレベータを利用することができ、また、障害者が優先的に搭乗することのできるエレベータ管理システムを提供している。
【0003】
また、特許文献2には、無線通信を利用した無線ID(RF identification)タグ・携帯電話・PDA(Personal Digital Assistant―携帯情報端末―)などの個人情報端末を用いて建物の出入り口や建物内のドアやエレベータの乗り場近傍などで個人情報端末を携帯した人がその場所を通過したという情報を事前に入手して、その入手した情報を用いて該当する人がエレベータの乗り場に到着するまでの間に、事前に最適運行の解析を行なうことにより、利用者の待ち時間を短縮する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2003−48671号公報
【特許文献2】特開2003−226473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のエレベータ管理システムによれば、ICタグや個人情報端末を携帯した特定の利用者に限り、サービスの向上が図られており、一般の利用者に対するサービスの向上には寄与していないという問題がある。また、エレベータ管理システムが利用者個人のICタグや個人情報端末に対してアクセスするために、個人情報保護の観点からは好ましくないという問題もある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、一般の利用者に対してもICタグカードを容易に発行することにより使い勝手の良い個人情報の保護に配慮したエレベータ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の第1構成に係るエレベータ制御装置は、特定利用者に関する所定情報を記録した記録領域をそれぞれ有するICタグを発行するタグ発給部と、前記タグ発給部より発行された前記ICタグのそれぞれとの間で双方向無線通信を行なうことにより個別ICタグの前記記録領域に記録された前記所定情報を読み取る無線通信部と、前記無線通信部により読み取られた前記所定情報の内容に従ってエレベータへの呼び制御信号を生成すると共に前記呼び制御信号に基づいてエレベータの運行を制御する運行制御部と、前記ICタグの発行を受けた前記特定利用者が該ICタグを不要とするときに該ICタグを回収するタグ回収部と、前記運行制御部により前記呼び制御信号が生成される際に前記所定情報の内容を反映させると共に前記タグ発給部で発行された前記ICタグが前記タグ回収部により回収されるまでの間の前記ICタグの移動を管理するタグ管理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記無線通信部は前記エレベータが設置された建物内に設けられ、前記建物内の前記特定利用者の移動は前記無線通信部からの読み取り信号により前記タグ管理部へ伝送されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記無線通信部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記タグ管理部による前記特定利用者の前記建物内全体の移動を管理可能とするために前記特定利用者の移動が許可される建物内の領域と時間以外の場所と時間に前記ICタグを検知したときに警報を発する警報手段が各無線通信部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記所定情報として前記特定利用者の属性情報を入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記属性情報を前記ICタグの記録領域に記録する属性情報処理部と、前記属性情報処理部で処理された前記属性情報を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記属性情報が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第5構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記所定情報として前記特定利用者の利用形態を入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記利用形態を前記ICタグの記録領域に記録する利用形態処理部と、前記利用形態処理部で処理された前記利用形態を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用形態が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に前記所定情報として前記特定利用者の利用時間帯を入力する入力手段を備え、前記入力手段より入力された前記利用時間帯を前記ICタグの記録領域に記録する利用時間帯処理部と、前記利用時間帯処理部で処理された前記利用時間帯を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用時間帯が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第7構成に係るエレベータ制御装置は、上記第1構成に記載のものにおいて、前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に前記所定情報として前記特定利用者の利用階床を入力する入力手段を備え、前記入力手段より入力された前記利用階床を前記ICタグの記録領域に記録する利用階床処理部と、前記利用階床処理部で処理された前記利用階床を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用階床が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、一般の利用者に対してもICタグを容易に発行することにより、使い勝手の良い、個人情報の保護に配慮した、エレベータ制御システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るエレベータ制御装置の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
本発明に係るエレベータ制御装置の第1実施形態について、図1ないし図3を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、第1実施形態のエレベータ制御装置3は、カード状またはネームプレート状に形成されたICタグ1は、タグ発給部40から発行されて、タグ回収部50により回収される。具体的なICタグ1はタグ1a,1b,1c,1dを含み、タグ発給部40は個々の発給部4a,5a,6a,7a,8a,8b,8c,8dを含み、タグ回収部50は個々の回収部4b,5b,6b,7b,8e,8f,8g,8hを含んでいる。
【0016】
また、ICタグ1aないし1dは、無線通信部2との間で双方向通信することによって記録領域に記録された所定情報が読み取られる。所定情報の具体例は、後述する第2ないし第5実施形態に例示されているように、利用者の属性に関する情報、特定利用者の利用形態に関する情報、特定利用者の利用時間帯に関する情報、特定利用者の利用階床に関する情報などが含まれる。要するに、エレベータが設置された建物との間に一定の利用関係が認められれば、ICタグ1が発行される。したがって、エレベータが設置された建物との間に一定の利用関係が全く認められない、完全な部外者に対してエレベータを全く利用できないように設定することにより、エレベータの利用のし易さに加えて建物内のセキュリティの確保にも資することができる。
【0017】
また、タグ発給部40は、特定利用者に関する所定情報を記録した記録領域をそれぞれ有する複数のICタグ1a〜1dを発行し、無線通信部2は、タグ発給部より発行された複数のICタグのそれぞれとの間で双方向無線通信を行なうことにより個別ICタグ1a〜1dの記録領域に記録された所定情報を読み取っており、運行制御部31は、無線通信部2により読み取られた所定情報の内容に従ってエレベータへの呼び制御信号を生成すると共に前記呼び制御信号に基づいてエレベータの運行を制御する。
【0018】
タグ回収部50は、ICタグ1a〜1dの発行を受けた特定利用者が該ICタグ1を不要とするときに該ICタグを基板ごと回収する。タグ管理部30は、運行制御部31により呼び制御信号が生成される際に所定情報の内容を反映させると共にタグ発給部40で発行されたICタグ1がタグ回収部50により回収されるまでの間のICタグ1a〜1dの移動を管理している。
【0019】
なお、無線通信部2は、エレベータ乗り場およびかご内の操作盤内に設置されている。また、無線通信部2は、エレベータが設置された建物内の複数箇所に設けられていても良い。また、利用者の移動が許可される建物内の領域以外の場所で、あるいは、移動が許可される時間以外の時間に、ICタグ1を検知したときに警報を発する警報手段32を各無線通信部2が備えていても良い。これは、ICタグ管理部30による利用者の建物内全体の移動の管理を可能にするためである。
【0020】
次に、第1実施形態に係るエレベータ制御装置の具体的な配置について、図2および図3を用いて説明する。図2には、建物内の特定の階床の配置が示されている。図2において、事務所4,5,6,7は、通路8に沿って並んでおり、事務所5および6の間には、2機のエレベータ9と、トイレ10および階段11が配置されている。事務所4内にはタグ発給部4aとタグ回収部4bが設けられ、事務所5内にはタグ発給部5aとタグ回収部5bが設けられ、事務所6内にはタグ発給部6aとタグ回収部6bが設けられ、事務所7内にはタグ発給部7aとタグ回収部7bが設けられている。また、通路8にもタグ発給部8a,8b,8c,8dとタグ回収部8e,8f,8g,8hが設けられている。
【0021】
このようにタグ発給部とタグ回収部とは、1つの階床でも随所に設けられているので、エレベータを利用することを望む利用者は何れのタグ発給部からでもICタグの発行を受けることができ、また、利用する必要がなくなった場合には、いつでもタグ回収部に返却することができる。
【0022】
図3は、エレベータの乗りかご16とその利用者12、18とを上から見た平面図であり、ICタグの使用方法を示している。図3において、利用者12はエレベータ9の乗り場ホール13Aでかご16が到着するのを待っている。利用者12の肩、袖口、胸などの身体の一部にはICタグ12aが貼付されている。利用者12はホール13Aの乗り場操作盤13の前に立つと、操作盤13は双方向通信手段2を内蔵しているので、双方向通信手段2を介してかご16側の操作盤17の双方向通信手段2に呼びを掛けて、エレベータ9のかご16を呼び寄せる。かご16内でも、利用者18の身体の一部(肩、袖口、胸)にICタグ18aが貼付されており、かご16内の操作盤17を介してICタグ18aの情報が読み取られて操作盤17の双方向通信手段2を介してタグ管理部30との間で利用者の行き先階や利用可能時間等の管理情報が管理されて運行制御部31を介してエレベータ9を管理している。
【0023】
このように建物内の随所に設けられたICタグ1用の発給部40と回収部50とにより利用者12,18は容易にICタグ1の発行を受けることができる。また、利用者12,18の肩や袖口にICタグ12a,18aを貼付して建物内を移動することにより、建物内の利用者にとってエレベータの呼び情報を容易に発信することができる。さらに、建物およびエレベータ利用者へのサービスを向上させることができる。また、一対の回収部50と発給部40は建物内の随所に設けられているので、ICタグの回収も容易に行なうことができ、さらに、ICタグ1は回収部50により回収されてしまうと、ICタグ1の情報記録部に記録された特定情報も完全に廃棄されるため、情報に関するセキュリティを確実に守ることができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に図4および図5を参照しながら第2実施形態に係るエレベータ制御装置について説明する。第2実施形態の構成を示す図4において、タグ発給部40(4a,5a,6a,7a,8a,8b,8c,8d)の詳細構成は、前面に所定情報の入力手段としての操作部19とICタグを実際に発行する発券部22が設けられており、タグ発給部40の内側には、内部制御部20と、利用者の所定情報としての属性情報を情報処理する属性情報処理部21とを備えている。すなわち、この第2実施形態のエレベータ制御装置において、タグ発給部40は、エレベータ9が設置された建物内の複数箇所に設けられると共に所定情報として特定利用者の属性情報を入力する特定情報入力手段としての操作部19を備えており、タグ管理部30は操作部19より入力された特定利用者の属性情報の階床に関する情報を操作信号19aとして内部制御部20に送信し、内部制御部20は、この操作信号19aを運行制御部31に供給し、運行制御部31は、操作信号19aに基づいて呼び制御信号20bを生成してタグ管理部30に出力している。
【0025】
次に、図5のフローチャートも参照しながら、第2実施形態における発行処理動作について説明する。ステップS1で処理動作がスタートすると、ステップS2で利用者は特定情報入力手段としての操作部19を介して利用者の属性を自ら入力する。まず、ステップS3において、この建物内のエレベータを利用することができる利用者属性を有するか否かを入力するように求められ、利用者属性がないと操作ないしは入力した場合は、ステップS4へ進んで、一般の呼びのICカードを発行すると共に一般の呼び用の呼び制御信号20bが出力される。
【0026】
ステップS3で利用者属性があるものとされた場合には、ステップS5でVIP属性があるか否かを入力し、VIP属性があると入力されたときにはステップS6でVIP呼びのICカードが発行されてVIP呼び信号が出力される。ステップS5でVIP特性がないものとされた場合、ステップS7へ進み、身体障害者の属性があるか否かを入力し、身体障害者属性があるものと入力された場合はステップSTで身体障害者呼びのICカードが発行されて身体障害者呼び信号が出力される。ステップS7で身体障害者属性が入力されなかったときには、ステップS9へ進んでペット同伴者属性すなわちペットを連れている利用者であるか否かを入力する。
【0027】
ペットを連れていたためにステップS9でペット同伴者属性ありと入力したときには、ステップS10へ進んでペット同伴者呼びのICカードを発行してペット同伴者呼び信号を出力し、ステップS9でペット同伴者属性がないものと入力された場合には、ステップS11で処理動作を終了する。ステップS3,S5,S7,S9の各入力ステップにおいてそれぞれの利用者属性を入力して、VIP属性、身障者属性、ペット同伴属性等の属性を有していない場合には最初にステップS3で一般の呼びのICカードを発行して一般の呼び信号を出力するようにすれば、その後のステップS5,S7,S9等の煩雑な入力動作は不要となる。
【0028】
以上のようにして、利用者属性を入力されたICタグを発行された利用者は、その利用者属性のICタグを身体の一部分例えば肩などに貼付して操作盤13,17の前に立つだけで、ICタグから何れかの属性呼びの信号が無線通信部2に発信され、無線通信部2から運行制御部31へ利用者属性情報が送られ、運行制御部31はその利用者に特有の利用者属性を発信するICタグからの情報に基づいて、エレベータの運行を管理する。ICタグに利用者属性が設定されている場合には、以上のようにして、ICタグの発行操作やエレベータの運行の管理が行なわれる。
【0029】
[第3実施形態]
次に、図6および図7を参照しながら第3実施形態に係るエレベータ制御装置について説明する。第3実施形態は、第1実施形態におけるICタグ1の記録領域に記録される所定情報として、利用者のその建物内における利用形態をICタグの記録領域に記録するものである。利用形態というのは、その建物内でその利用者がエレベータをどのように利用するかという利用目的をいう。具体的には、その建物の最上階に有料展望室が設けられている場合に、その展望室まで直行して周囲の景観の展望を希望する利用者であるとか、エレベータが設置された建物の高層部に事務所に勤務したり訪問したりする利用者であるとか、エレベータを含む建物内の設備の保守作業に従事する利用者である。
【0030】
タグ発給部40(4a,5a,…,7a,8a,8b,〜8d)は、図2と同様にエレベータ9が設置された建物内の複数箇所に設けられると共に、図7に示すように所定情報として特定利用者利用形態を入力する入力手段としての操作部19と、操作部19より入力された利用形態をICタグの記録領域に記録する利用形態処理部23と、利用形態処理部23で処理された利用形態を含む呼び信号20bを図1に示すタグ管理部31へ送ると共にICタグの発行を指示する内部制御部20と、内部制御部20の制御に基づいてその建物内での利用形態が書き込まれたICタグを発行する発券部22と、を備えている。
【0031】
以上の構成を有する第3実施形態のエレベータ制御装置は、図6のフローチャートに示す処理動作を経てICタグを発行している。図6において、図5と同一符号を付した処理ステップは第2実施形態と同一または相当の処理動作である。ステップS1、S2で処理動作がスタートして利用者によるICタグ発給部40への操作が行なわれる。まず、ステップS12でその利用者に利用形態があるのか否かを入力させ、その利用者がエレベータまたは建物に対して特定の利用形態を有していないものと入力した場合、ステップS13に進んで、一般の呼びのICカードを発行して、図7の内部制御部20は一般の呼び信号を呼び信号20bとして出力する。
【0032】
ステップS12で利用者が利用形態を有しているものと操作部19を介して入力した場合、ステップS14で複数設定されている利用形態のうち展望台までの直行運転の利用形態があるか否かを入力させ、利用者が展望台までの利用形態があるものと入力すると、ステップS15に進んで、展望台の呼びのICカードを発券部22より発行すると共に内部制御部20は呼び信号20bとして展望台の呼び信号をタグ管理部31に出力する。ステップS14で利用形態の内容として展望台までの直通運転が入力されなかった場合、ステップS16へ進んで、高層階利用者の専用運転の利用形態があるかを入力させる。ステップS16で高層階利用者の専用運転であると入力された場合、ステップST17へ進んで高層階呼びのICカードが発券部22から発行されると共に内部制御部20から高層階呼び信号が呼び信号20bとしてタグ管理部31へ出力される。
【0033】
ステップS16で高層階利用がないものと入力された場合には、ステップS18へ進んで、保守作業者の専用運転であるか否かが入力され、保守作業者の専用運転であるものと入力された場合には、ステップS19へ進んで、保守専用呼びのICカードが発券部22より発行されると共に内部制御部20より保守専用呼び信号が呼び信号20bとしてタグ管理部31に出力されてエレベータは保守運転に切り換えられる。ステップS18で保守作業者の保守専用運転であるとの入力がなかった場合、ステップS11で処理動作は終了する。
【0034】
第3実施形態は、近年、都市型複合施設としてその建設が進められている大型で高層のいわゆるタワービル内での利用者の便宜を図る場合に好適であり、上層階に展望施設や来客者用のラウンジ等が設けられている建物においては、一般の利用者と高層階利用者との利用形態によりICタグの発行条件を変更しておくことにより、不慣れな外来者に対しても適切なサービスを提供することができることになる。また、高層階用の高速エレベータ等においては保守点検作業も重要な要素であるので、保守作業専用運転用のICタグを発行することは意義がある。
【0035】
[第4実施形態]
次に、図8および図9を参照しながら第4実施形態に係るエレベータ制御装置について説明する。第4実施形態は、エレベータの利用に関してその利用時間帯に関する利用制限を所定情報としてICタグの記録領域に記録することにより、そのICタグを装着している利用者に対してエレベータの利用時間帯を制限することができるものである。通常の利用者が昼間の勤務時間に事務所内で勤務しているような建物への訪問者に発行したり、オートドアロックシステム等を採用する住居用建物に設置されたエレベータを利用する来訪者に発行したりして、外来者の訪問先への出入りに便宜を図るためのものである。
【0036】
図8に示すように、タグ発給部20は、エレベータ9が設置された建物内の複数箇所に設けられる(図2参照)と共に所定情報として特定利用者の利用時間帯を入力する入力手段としての操作部19を備え、この操作部19より入力された利用時間帯をICタグ1の記録領域に記録する(利用)時間帯処理部24と、利用時間帯処理部24で処理された利用時間帯をタグ管理部31(図1参照)へ送ると共にICタグの発行を指示する内部制御部20と、内部制御部20の制御に基づいて利用時間帯が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部22と、を備えている。
【0037】
この第4実施形態に係るエレベータ制御装置への利用時間帯の操作入力について図9のフローチャートを参照しながら説明する。図9において、ステップS1のスタートとステップS2の利用者の発券機40への操作部19への操作入力およびステップS11のエンドについては第2および第3実施形態と同じである。利用者の操作部19への入力の際にステップS21において時間帯の指定がない場合には指定がないものと入力すると、ステップS22で一般の呼びのICカードが発券部22から発行されると共に内部制御部20は一般の呼び信号20bをタグ管理部31へ出力する。
【0038】
ステップS21で時間帯の指定があるものと入力された場合には、ステップS23へと進んで、防犯時間帯の指定があるか否かを入力する。ステップS23で防犯時間帯の指定があるものと入力された場合、ステップS24へ進んで、防犯呼びのICカードが発券部22より発行されると共に、呼び信号20bとして防犯呼び信号が内部制御部20からタグ管理部31へと出力される。
【0039】
[第5実施形態]
この発明は、利用者に関する所定情報としてその建物内の利用者の訪問先のある階床を指定してICタグを発行するようにしても良い。第5実施形態によりエレベータ制御装置は、タグ発給部がエレベータの設置された建物内の複数箇所に設けられる構成は第1ないし第4実施形態と同じであるが、所定情報として特定利用者の利用階床を入力する入力手段を備えている。この入力手段より利用の可能な階床を入力させてその入力された利用階床をICタグの記録領域に記録させる利用階床処理部を設けると共に、利用階床処理部で処理された利用階床をタグ管理部31へ送りICタグの発行を指示する内部制御部が設けられている。この内部制御部の制御に基づいて、発券部により利用階床が書き込まれたICタグを発行する。
【0040】
以上の構成を備える第5実施形態のエレベータ制御装置によれば、利用者がタグ発給部40の入力手段として、例えば図4,図7,図8のような操作部19を操作して、図5,図6,図9のフローチャートと同様の操作手順により、利用階床を入力する。特定階床の利用制限がない場合には、一般の呼びのICカードを発行して、一般の呼び信号を出力する。また、特定の訪問先を指定した場合にその訪問先の事務所が存在する階床のみを停止するような特定階床制限付きの呼びのICカードを発行して、その制限付きの呼びをタグ管理部に送信するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態に係るエレベータ制御装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態のエレベータ制御装置の建物内配置を示す説明図。
【図3】第1実施形態のエレベータ制御装置と利用者を示す平面図。
【図4】第2実施形態の制御装置のタグ発給部の構成を示すブロック図。
【図5】第2実施形態のエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャート。
【図6】第3実施形態のエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャート。
【図7】第3実施形態の制御装置のタグ発給部の構成を示すブロック図。
【図8】第4実施形態の制御装置のタグ発給部の構成を示すブロック図。
【図9】第4実施形態のエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0042】
1 ICタグ(カード)
2 無線通信部
3 エレベータ制御装置
9 エレベータ
30 タグ管理部
31 運行制御部
32 警報手段
40 タグ発給部
50 タグ回収部
19 所定情報入力手段(操作部)
20 内部制御部
21 属性情報処理部
22 発券部
23 利用形態処理部
24 時間帯処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定利用者に関する所定情報を記録した記録領域をそれぞれ有するICタグを発行するタグ発給部と、
前記タグ発給部より発行された前記ICタグのそれぞれとの間で双方向無線通信を行なうことにより個別ICタグの前記記録領域に記録された前記所定情報を読み取る無線通信部と、
前記無線通信部により読み取られた前記所定情報の内容に従ってエレベータへの呼び制御信号を生成すると共に前記呼び制御信号に基づいてエレベータの運行を制御する運行制御部と、
前記ICタグの発行を受けた前記特定利用者が該ICタグを不要とするときに該ICタグを回収するタグ回収部と、
前記運行制御部により前記呼び制御信号が生成される際に前記所定情報の内容を反映させると共に前記タグ発給部で発行された前記ICタグが前記タグ回収部により回収されるまでの間の前記ICタグの移動を管理するタグ管理部と、
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記無線通信部は前記エレベータが設置された建物内に設けられ、前記建物内の前記特定利用者の移動は前記無線通信部からの読み取り信号により前記タグ管理部へ伝送されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記無線通信部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記タグ管理部による前記特定利用者の前記建物内全体の移動を管理可能とするために前記特定利用者の移動が許可される建物内の領域と時間以外の場所と時間に前記ICタグを検知したときに警報を発する警報手段が各無線通信部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記所定情報として前記特定利用者の属性情報を入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記属性情報を前記ICタグの前記記録領域に記録する属性情報処理部と、前記属性情報処理部で処理された前記属性情報を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記属性情報が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に、前記所定情報として前記特定利用者の利用形態を入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記利用形態を前記ICタグの前記記録領域に記録する利用形態処理部と、前記利用形態処理部で処理された前記利用形態を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用形態が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に前記所定情報として前記特定利用者の利用時間帯を入力する入力手段を備え、前記入力手段より入力された前記利用時間帯を前記ICタグの前記記録領域に記録する利用時間帯処理部と、前記利用時間帯処理部で処理された前記利用時間帯を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用時間帯が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記タグ発給部は前記エレベータが設置された建物内に設けられると共に前記所定情報として前記特定利用者の利用階床を入力する入力手段を備え、前記入力手段より入力された前記利用階床を前記ICタグの前記記録領域に記録する利用階床処理部と、前記利用階床処理部で処理された前記利用階床を前記タグ管理部へ送ると共に前記ICタグの発行を指示する内部制御部と、前記内部制御部の制御に基づいて前記利用階床が書き込まれた前記ICタグを発行する発券部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−254044(P2007−254044A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77065(P2006−77065)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】