説明

エレベータ操作盤

【課題】操作性を向上することができるエレベータ操作盤を提供することを目的とする。
【解決手段】側壁11aとかご床11bと天井11cとを含んで構成されるエレベータ10の乗りかご11内に設けられ外面2aに利用者が操作する操作面3が設けられる操作面設置構造物2を備え、操作面設置構造物2は、かご床11bあるいは天井11cにおいて側壁11aから離れた設置位置に設けられ、操作面3が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられることを特徴とする。したがって、操作性を向上することができるエレベータ操作盤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が種々の操作を行うエレベータ操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者が種々の操作を行う従来のエレベータ操作盤として、例えば、特許文献1には、かご停止階登録やドア開閉のためのスイッチ類とこれらのスイッチ類のための制御配線とを透明電極および透明導電性フィルムによって透明なシート状に形成し、乗りかごの側壁に貫設した展望窓の透明ガラス板の表面に装着した展望エレベータのかご内操作盤が開示されている。これにより、この展望エレベータのかご内操作盤は、かご内操作盤自体が透明であり、展望窓の透明ガラス板の表面に装着するものであるから、この操作盤に向かい合って搭乗した乗客の視界を妨げることがなく、水平方向の360度全体にわたって外界の景色の展望を可能とする。なお、操作盤と共にかご内に設けられる従来の表示装置として、例えば、特許文献2にエレベータの位置表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−193229号公報
【特許文献2】特開2006−264870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載されている展望エレベータのかご内操作盤では、例えば、かご内の側壁に設けられた操作盤の前に利用者が位置した際に、他の利用者が操作盤を操作しづらくなるおそれがあったため、さらなる操作性の向上が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、操作性を向上することができるエレベータ操作盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるエレベータ操作盤は、側壁とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ外面に利用者が操作する操作面が設けられる操作面設置構造物を備え、前記操作面設置構造物は、前記かご床あるいは前記天井において前記側壁から離れた設置位置に設けられ、前記操作面が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられることを特徴とする。
【0007】
また、上記エレベータ操作盤では、前記操作面設置構造物は、外面に前記乗りかごの運行に関する情報を表示可能な表示面が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられてもよい。
【0008】
また、上記エレベータ操作盤は、前記かご床、前記天井あるいは前記側壁のいずれかに凹部状の空間部として設けられ前記操作面設置構造物を収納可能な収納部と、前記操作面設置構造物を前記収納部外の前記設置位置と前記収納部内の収納位置とに移動可能な移動部と、前記移動部を制御可能な制御部とを備えてもよい。
【0009】
また、上記エレベータ操作盤は、車椅子を検知可能な車椅子検知部を備え、前記制御部は、前記車椅子検知部が前記車椅子を検知した場合に、前記移動部を制御し前記操作面設置構造物を前記収納位置に移動してもよい。
【0010】
また、上記エレベータ操作盤は、前記操作面設置構造物の移動方向の障害物を検知可能な障害物検知部を備え、前記制御部は、前記障害物検知部が前記障害物を検知した場合に、前記移動部を制御し前記操作面設置構造物の移動を禁止してもよい。
【0011】
また、上記エレベータ操作盤は、前記操作面に操作を行った前記利用者の位置を検知可能な操作位置検知部と、前記乗りかご内の混雑状態を検知可能な混雑状態検知部と、前記操作位置検知部が検知した前記利用者の位置と前記混雑状態検知部が検知した前記混雑状態とに基づいて乗降の補助の案内を行う案内部とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエレベータ操作盤によれば、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るエレベータの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る乗りかごの水平方向に沿った模式的断面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る操作面設置構造物の乗りかご操作装置を含む部分の水平方向に沿った模式的断面図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る操作面設置構造物の乗りかご表示装置を含む部分の水平方向に沿った模式的断面図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の他の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図8】図8は、実施形態2に係るエレベータの概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施形態2に係るエレベータ操作盤の通常モードにおける移動制御を説明するフローチャートである。
【図10】図10は、実施形態2に係るエレベータ操作盤の車椅子対応モードにおける移動制御を説明するフローチャートである。
【図11】図11は、実施形態2に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の他の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図12】図12は、実施形態3に係るエレベータの概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の案内制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るエレベータ操作盤の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の概略構成例を示す模式的構成図、図2は、実施形態1に係るエレベータの概略構成を示すブロック図、図3は、実施形態1に係る乗りかごの水平方向に沿った模式的断面図、図4は、実施形態1に係る操作面設置構造物の乗りかご操作装置を含む部分の水平方向に沿った模式的断面図、図5は、実施形態1に係る操作面設置構造物の乗りかご表示装置を含む部分の水平方向に沿った模式的断面図、図6は、実施形態1に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の他の概略構成例を示す模式的構成図である。
【0016】
本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1に示すように、エレベータ10の乗りかご11内に設けられ、この乗りかご11内の利用者が種々の操作を行うものである。
【0017】
ここで、エレベータ操作盤1が適用されるエレベータ10は、図2に示すように、乗りかご11と、乗り場12と、昇降駆動部13と、エレベータ制御装置14とを含んで構成される。乗りかご11は、乗りかご表示装置15や乗りかご操作装置16などが設けられ、乗り場12は、乗り場表示装置17や乗り場操作装置18などが設けられる。
【0018】
エレベータ10は、乗りかご11が昇降路内を昇降することで任意の目的階の乗り場12に移動することができるものである。
【0019】
乗りかご11は、利用者が乗ったり荷物を乗せたりするための構造物である。乗りかご11は、メインロープが接続され昇降路内に配置される。乗りかご11は、昇降駆動部13(図2参照)が駆動することで昇降路内を昇降移動することができる。
【0020】
乗り場12は、利用者が乗りかご11に対して乗降したり、荷物を乗りかご11に対して積み下ろしたりするための場所である。
【0021】
昇降駆動部13は、例えば、電動機などが駆動することでメインロープを巻き上げる巻上機や油圧式駆動装置などにより構成され、エレベータ制御装置14によりその駆動が制御される。
【0022】
エレベータ制御装置14は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。エレベータ制御装置14は、エレベータ10の各部と電気的に接続され各部を制御するものである。
【0023】
乗りかご表示装置15、乗り場表示装置17は、利用者に対して乗りかご11の運転方向、現在階などの種々の運行情報を表示可能なものである。乗りかご表示装置15は、乗りかご11内に設けられ、乗り場表示装置17は、乗り場12に設けられる。乗りかご表示装置15、乗り場表示装置17は、例えば、種々の画像表示装置により構成され、エレベータ制御装置14の制御により画面表示内容を変更可能である。
【0024】
乗りかご操作装置16、乗り場操作装置18は、利用者による操作入力に応じていわゆる呼び登録をするものである。乗りかご操作装置16は、乗りかご11内に設けられ、乗り場操作装置18は、乗り場12に設けられる。
【0025】
乗りかご操作装置16は、行先階の数字などが表記された複数の押しボタンあるいはタッチパネルなどを含んで構成される。乗りかご操作装置16は、乗りかご11内の利用者の操作が入力され、この操作入力に応じて乗りかご呼び登録を行う。乗りかご操作装置16による乗りかご呼び登録とは、利用者の目的の行先階の登録(行先階登録)である。乗り場操作装置18は、乗りかご11を現在の乗り場の階床に呼ぶためのアップ呼び登録とダウン呼び登録とに応じた鉛直方向上側に向かう矢印(↑)、鉛直方向下側に向かう矢印(↓)がなど表記された複数の押しボタンあるいはタッチパネルなどを含んで構成される。乗り場操作装置18は、乗り場12の利用者の操作が入力され、この操作入力に応じて乗り場呼び登録を行う。乗り場操作装置18による乗り場呼び登録とは、乗りかご11を現在の乗り場12の階床に呼ぶための登録(かご呼び登録)である。乗りかご操作装置16、乗り場操作装置18は、利用者の操作入力に応じて乗りかご11の呼び登録信号をエレベータ制御装置14に送信する。
【0026】
エレベータ制御装置14は、乗りかご操作装置16から受信した乗りかご呼び登録信号に応じてこの乗りかご呼び登録信号に対応する階床を行先階として記憶部に登録する(乗りかご呼び登録処理)。また、エレベータ制御装置14は、乗り場操作装置18から受信した乗り場呼び登録信号に応じてこの乗り場呼び登録信号に対応する階床を乗りかご11を停止させる階床として記憶部に登録する(乗り場呼び登録処理)。そして、エレベータ制御装置14は、登録した呼び登録に応じて昇降駆動部13の駆動を制御し、乗りかご11を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。このとき、エレベータ制御装置14は、乗りかご表示装置15、乗り場表示装置17の表示情報等を運転状態に応じて適宜制御する。
【0027】
上記のように構成されるエレベータ10では、例えば、利用者は、現在階より上へ移動したければ、乗り場操作装置18を操作してアップ呼び登録を行い、下へ移動したければ乗り場操作装置18を操作してダウン呼び登録を行う。そして、利用者は、乗りかご11が現在階の乗り場12に着床した後、乗りかご11に乗り、乗りかご操作装置16を操作して行先階を選択し登録することで、乗りかご11を目的階に移動させることができる。
【0028】
ところで、本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1に示すように、乗りかご操作装置16が設けられる操作面設置構造物2を所定の設置位置に設けることで、操作性の向上を図っている。
【0029】
ここで、乗りかご11は、図1に示すように、側壁11aとかご床11bと天井11cとを含んで構成される。乗りかご11は、水平方向を区画する側壁11aと、鉛直方向下側を区画するかご床11bと、鉛直方向上側を区画する天井11cとにより囲まれた概略箱状であり、四方を囲む側壁11aのうちの一面に出入口19aを有し、この出入口19aを開閉可能な扉装置19が設けられている。
【0030】
例えば、扉装置19の横の戸袋19bなどを含む乗りかご11の側壁11aに利用者が種々の操作を行うための操作盤が設けられる場合、この側壁11aに設けられた操作盤の前に利用者が位置した際に、他の利用者が操作盤を操作しづらくなるおそれがあったため、さらなる操作性の向上が望まれている。
【0031】
そこで、本実施形態のエレベータ操作盤1は、操作面設置構造物2を側壁11aから離れた所定の設置位置に設け、この操作面設置構造物2の外面2aに利用者が操作する乗りかご操作装置16の操作面3を設けることで、操作性の向上を図っている。
【0032】
具体的には、本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1に示すように、上述の乗りかご操作装置16と、この乗りかご操作装置16が設けられる操作面設置構造物2とを含んで構成される。本実施形態のエレベータ操作盤1は、さらに、上述の乗りかご表示装置15も含んで構成され、この乗りかご表示装置15も操作面設置構造物2に設けられる。
【0033】
操作面設置構造物2は、外面2aが水平方向に沿って多方向を向いた構造物であり、ここでは、いわゆる全方向型の形状をなす構造物である。本実施形態の操作面設置構造物2は、鉛直方向に沿った円柱状(あるいは円筒状)の形状をなす構造物である。
【0034】
操作面設置構造物2は、かご床11bあるいは天井11cに設けられる。ここでは、操作面設置構造物2は、鉛直方向に沿ってかご床11bから天井11cまで延在して設けられる。すなわち、操作面設置構造物2は、鉛直方向下側端部がかご床11bに固定され、鉛直方向上側端部が天井11cに固定される。
【0035】
そして、操作面設置構造物2は、図1、図3に示すように、かご床11b、天井11cにおいて側壁11aから離れた設置位置に設けられる。すなわち、操作面設置構造物2は、水平方向に対して乗りかご11内の側壁11aから離れた中央部付近の設置位置に設置される。
【0036】
そして、操作面設置構造物2は、外面(外周面)2aに多方向に向けられた乗りかご操作装置16の操作面3が設けられる。また、操作面設置構造物2は、外面2aに多方向に向けられた乗りかご表示装置15の表示面4が設けられる。ここでは、操作面3と表示面4とは、操作面設置構造物2の外面2aにおいて、鉛直方向下側に操作面3、鉛直方向上側に表示面4が設けられる。
【0037】
本実施形態の操作面設置構造物2は、図1、図4に例示するように、操作面3が水平方向に沿って複数の異なる方向、少なくとも2方向以上を向いて設けられる。乗りかご操作装置16は、行先階の数字などが表記された複数の押しボタンが操作面設置構造物2に埋め込まれて配置されることで、操作面設置構造物2の外面2aに利用者が種々の操作を行う操作面3を構成する。そして、本実施形態の操作面設置構造物2は、乗りかご操作装置16の複数の押しボタンが一組となって1つの操作面3をなし、複数の押しボタンが一組となって構成された操作面3が複数個設けられ、この複数の操作面3がそれぞれ複数の異なる方向を向いて設けられる。図4の例示では、操作面設置構造物2は、4つの乗りかご操作装置16が埋め込まれて配置され、別個に形成される4つの操作面3が水平方向に沿って4つの異なる方向を向いて設けられる。つまり、この操作面設置構造物2は、外面2aの周方向に沿って等間隔で4つの操作面3が設けられる。
【0038】
なお、このエレベータ操作盤1は、乗りかご操作装置16を液晶表示装置などの画像表示装置と、この画像表示装置に重ね合わせて設けられる感圧式あるいは静電式のタッチパネルとによって構成する場合、1つの乗りかご操作装置16で複数の異なる方向をむく操作面3を構成することも可能である。すなわちこの場合、エレベータ操作盤1は、例えば、画像表示装置に重ね合わせるタッチパネルを操作面設置構造物2の外面2aに沿って湾曲した形状で設けることで、複数の異なる方向をむく操作面3を1つの乗りかご操作装置16で構成することができる。
【0039】
同様に、本実施形態の操作面設置構造物2は、図1、図5に例示するように、表示面4が水平方向に沿って複数の異なる方向、少なくとも2方向以上を向いて設けられる。乗りかご表示装置15は、操作面設置構造物2に埋め込まれて配置されることで、操作面設置構造物2の外面2aに種々の情報を表示する表示面4を構成する。図5の例示では、操作面設置構造物2は、4つの乗りかご表示装置15が埋め込まれて配置され、別個に形成される4つの表示面4が水平方向に沿って4つの異なる方向を向いて設けられる。つまり、この操作面設置構造物2は、外面2aの周方向に沿って等間隔で4つの表示面4が設けられる。
【0040】
上記のように構成されるエレベータ操作盤1は、利用者が操作面設置構造物2の周囲の多方向から操作面3を操作することができる。すなわち、例えば、エレベータ操作盤1の前に利用者が位置した場合であっても、他の利用者は、他の方向から容易に操作面3を操作することができる。また、エレベータ操作盤1は、利用者が操作面設置構造物2の周囲の多方向から表示面4を視認することができる。
【0041】
また、エレベータ操作盤1は、例えば、側壁11aの一部又は全部が透明部材により構成され外界の景色を展望できる展望式のエレベータ10の乗りかご11に適用された場合には、側壁11aに操作盤を設けなくてもよいことから、外界に対して水平方向の360度全体にわたって良好な視界を確保することができる。例えば、操作盤自体を透明な素材で作成することで視界を妨げない構造とすることも可能であるが、この場合であっても操作盤の全体で完全な透過性を得ることは難しいが、本実施形態のエレベータ操作盤1であれば、確実に良好な視界を確保することができる。
【0042】
以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤1によれば、側壁11aとかご床11bと天井11cとを含んで構成されるエレベータ10の乗りかご11内に設けられ外面2aに利用者が操作する操作面3が設けられる操作面設置構造物2を備え、操作面設置構造物2は、かご床11bあるいは天井11cにおいて側壁11aから離れた設置位置に設けられ、操作面3が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられる。したがって、エレベータ操作盤1は、利用者が操作面設置構造物2の周囲の多方向から操作面3を操作することができることから、操作性を向上させることができる。
【0043】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤1によれば、操作面設置構造物2は、外面2aに乗りかご11の運行に関する情報を表示可能な表示面4が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられる。したがって、エレベータ操作盤1は、利用者が操作面設置構造物2の周囲の多方向から表示面4を視認することができるため、乗りかご11の運転方向、現在階などの種々の運行情報を確実に利用者に伝えることができる。これにより、利用者は、正しい運行情報のもと適切に操作面3を操作することができる。
【0044】
なお、以上の説明では、操作面設置構造物2は、外面2aに乗りかご操作装置16の操作面3と、乗りかご表示装置15の表示面4が設けられるものとして説明したが、例えば、扉装置19を開閉するための扉開閉ボタン、緊急に呼び出しを行うための緊急呼び出しボタン等の操作面を含んで構成されてもよい。
【0045】
また、以上の説明では、操作面設置構造物2は、円柱状(あるいは円筒状)の形状をなす構造物であるものとして説明したが、例えば、多角柱、球体、円錐などの形状をなす構造物であってもよい。
【0046】
また、以上の説明では、操作面設置構造物2は、外面2aに操作面3と共に表示面4が設けられものとして説明したが、これに限らず、少なくとも外面2aに操作面3が設けられていればよい。すなわち、例えば図6に例示するように、エレベータ操作盤1Aは、外面2Aaに乗りかご操作装置16の操作面3が設けられた操作面設置構造物2Aと、操作面設置構造物2とは別体に構成され外面5Aaに乗りかご表示装置15の表示面4が設けられた表示面設置構造物5Aとを含んで構成されてもよい。
【0047】
図6の例示では、操作面設置構造物2Aと表示面設置構造物5Aとは、ともに概略球状に形成される。そして、操作面設置構造物2Aは、かご床11bにおいて側壁11aから離れた設置位置、すなわち、水平方向に対して乗りかご11内の側壁11aから離れた中央部付近の設置位置に設置される。表示面設置構造物5Aは、天井11cにおいて側壁11aから離れた設置位置、すなわち、水平方向に対して乗りかご11内の側壁11aから離れた中央部付近の設置位置に設置される。この場合であっても、エレベータ操作盤1Aは、利用者が操作面設置構造物2Aの周囲の多方向から操作面3を操作することができることから、操作性を向上させることができる。
【0048】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の概略構成例を示す模式的構成図、図8は、実施形態2に係るエレベータの概略構成を示すブロック図、図9は、実施形態2に係るエレベータ操作盤の通常モードにおける移動制御を説明するフローチャート、図10は、実施形態2に係るエレベータ操作盤の車椅子対応モードにおける移動制御を説明するフローチャート、図11は、実施形態2に係る乗りかご及びエレベータ操作盤の他の概略構成例を示す模式的構成図である。実施形態2に係るエレベータ操作盤は、状況に応じて操作面設置構造物を収納部に収納可能な点で実施形態1に係るエレベータ操作盤とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
【0049】
図7、図8に示す本実施形態のエレベータ操作盤201は、操作面設置構造物202と共に、収納部206と、移動部としての移動装置207と、制御部としてのエレベータ制御装置14を含んで構成される。
【0050】
本実施形態の操作面設置構造物202は、鉛直方向に沿った円柱状(あるいは円筒状)の形状をなす構造物であり、基本的には、鉛直方向下側端部がかご床11bにおいて側壁11aから離れた設置位置に設けられる。操作面設置構造物202は、外面202a(外周面)において、鉛直方向上側に水平方向に沿って複数の異なる方向を向いた操作面3、鉛直方向下側に水平方向に沿って複数の異なる方向を向いた表示面4が設けられる。
【0051】
収納部206は、かご床11b、天井11cあるいは側壁11aのいずれかに設けられ、操作面設置構造物202を収納可能なものである。本実施形態の収納部206は、操作面設置構造物202の鉛直方向下側端部が設けられるかご床11bに凹部状の空間部として設けられる。
【0052】
移動装置207は、操作面設置構造物202を移動可能なものであり、例えば、不図示の移動アクチュエータと、この移動アクチュエータを作動させるモータなどの駆動装置208とを含んで構成される。移動装置207は、駆動装置208が駆動し不図示の移動アクチュエータが作動することで、操作面設置構造物202を収納部206外の設置位置と収納部206内の収納位置とに移動可能である。ここでは、操作面設置構造物202は、例えば、鉛直方向に沿って伸縮可能な構成となっており、収納部206内に収納される際には、表示面4が設けられている部分が操作面3が設けられている部分の内側に収容され鉛直方向の長さが縮小されつつ、全体が収納部206内に収納される。
【0053】
操作面設置構造物202は、収納部206外の設置位置では、操作面3、表示面4が乗りかご11の内部空間に露出し、これにより、利用者が表示面4の表示内容を視認したり操作面3を操作したりすることができる。一方、操作面設置構造物202は、収納部206内の収納位置では、全体が収納部206内に格納され、これにより、乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保することができる。
【0054】
エレベータ制御装置14は、移動装置207の駆動装置208に電気的に接続され、この移動装置207の駆動装置208の駆動を制御可能である。エレベータ制御装置14は、エレベータ10の運転状態に応じて適宜駆動装置208の駆動を制御することで、操作面設置構造物202を設置位置と収納位置とに移動させることができる。なお、本実施形態のエレベータ操作盤201は、制御部をエレベータ制御装置14により兼用するものとして説明するが、これに限らず、このエレベータ制御装置14とは別個に操作盤移動制御装置を備え、これらを互いに接続するようにしてもよい。
【0055】
エレベータ制御装置14は、例えば、車椅子に乗った利用者が乗りかご11に乗車する場合や大きな荷物や担架、ストレッチャー(搬送用のベッド)などを乗せる場合など、乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保する必要がある場合に、移動装置207の駆動装置208の駆動を制御し操作面設置構造物202を収納位置に移動させる。
【0056】
本実施形態のエレベータ操作盤201は、一例として、車椅子検知部としての車椅子検知装置210を備える。車椅子検知装置210は、乗り場12に設けられ種々の公知の手法により車椅子を検知可能なものである。車椅子検知装置210は、検知した車椅子検知信号をエレベータ制御装置14に送信する。車椅子検知装置210は、例えば、乗り場12に乗りかご内構造物移動ボタンを設置したり、車椅子用の乗り場操作装置18(乗り場呼び登録装置)と連動させたりすることで実現することができる。また、車椅子検知装置210は、この他、乗り場12のフロアに車椅子利用者を検知するための圧力センサや多光軸センサを設けることで実現することもできるし、あるいは、乗り場12を撮像する監視カメラなどの撮像装置とこの監視カメラが撮像した乗り場12の画像データを解析する画像解析装置とによって実現することもできる。
【0057】
エレベータ制御装置14は、車椅子検知装置210が車椅子を検知した場合に、車椅子検知装置210からの車椅子検知信号に応じて移動装置207の駆動装置208に移動信号を送信し、移動装置207の駆動装置208の駆動を制御し操作面設置構造物202を収納位置に移動させる。これにより、エレベータ操作盤201は、車椅子に乗った利用者に対応して乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保することができる。
【0058】
また、エレベータ操作盤201は、障害物検知部としての障害物検知装置211を備える。障害物検知装置211は、乗りかご11内に設けられ種々の公知の手法により操作面設置構造物202の移動方向の障害物を検知可能なものである。障害物検知装置211は、検知した障害物検知信号をエレベータ制御装置14に送信する。障害物検知装置211は、例えば、機械式(接触式)のセフティ機構や多光軸センサなどを用いた光学式(非接触式)のセフティ機構などにより実現することができる。
【0059】
エレベータ制御装置14は、障害物検知装置211が障害物を検知した場合に、障害物検知装置211からの障害物検知信号に応じて移動装置207の駆動装置208に移動禁止信号を送信し、移動装置207の駆動装置208の駆動を制御し操作面設置構造物202の移動を禁止する。これにより、エレベータ操作盤201は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物があった場合には適正に操作面設置構造物202の移動を禁止することができる。
【0060】
次に、図9、図10のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータ操作盤201の移動制御の一例を説明する。
【0061】
エレベータ制御装置14は、図9に示す通常モード、すなわち、操作面設置構造物202が設置位置にある際のモードでは、まず、車椅子検知装置210から受信する車椅子検知信号に基づいて、車椅子を検知しているか否かを判定する(S100)。
【0062】
エレベータ制御装置14は、車椅子を検知していないと判定した場合(S100:No)、車椅子を検知していると判定するまでこのS100の処理を繰り返し実行する。
【0063】
エレベータ制御装置14は、車椅子を検知していると判定した場合(S100:Yes)、障害物検知装置211から受信する障害物検知信号に基づいて、操作面設置構造物202の移動方向、すなわち、操作面設置構造物202の収納位置側に障害物があるか否かを判定する(S102)。
【0064】
エレベータ制御装置14は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物があると判定した場合(S102:Yes)、移動装置207の駆動装置208に移動禁止信号を送信し、駆動装置208による操作面設置構造物202の移動を禁止し、障害物がないと判定されるまでこのS102の処理を繰り返し実行する。
【0065】
エレベータ制御装置14は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物がないと判定した場合(S102:No)、移動装置207の駆動装置208に移動信号を送信し、駆動装置208を起動して操作面設置構造物202を収納位置に移動させ(S104)、現在の制御周期を終了し、車椅子対応モードに移行する。
【0066】
エレベータ制御装置14は、図10に示す車椅子対応モード、すなわち、操作面設置構造物202が収納位置にある際のモードでは、まず、乗りかご操作装置16、乗り場操作装置18から受信する呼び登録信号や昇降駆動部13などの各部の駆動状態に基づいて、エレベータ10の現在の状態として待機状態を検知しているか否かを判定する(S200)。
【0067】
エレベータ制御装置14は、エレベータ10の現在の状態が待機状態でないと判定した場合(S200:No)、車椅子検知装置210から受信する車椅子検知信号に基づいて、乗りかご11内に車椅子が存在していないか否かを判定する(S206)。
【0068】
エレベータ制御装置14は、乗りかご11内に車椅子が存在していると判定した場合(S206:No)、S200に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0069】
エレベータ制御装置14は、S200にてエレベータ10の現在の状態が待機状態であると判定した場合(S200:Yes)、あるいは、S206にて乗りかご11内に車椅子が存在してないと判定した場合(S206:Yes)、障害物検知装置211から受信する障害物検知信号に基づいて、操作面設置構造物202の移動方向、すなわち、操作面設置構造物202の設置位置側に障害物があるか否かを判定する(S202)。
【0070】
エレベータ制御装置14は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物があると判定した場合(S202:Yes)、移動装置207の駆動装置208に移動禁止信号を送信し、駆動装置208による操作面設置構造物202の移動を禁止し、障害物がないと判定されるまでこのS202の処理を繰り返し実行する。
【0071】
エレベータ制御装置14は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物がないと判定した場合(S202:No)、移動装置207の駆動装置208に移動信号を送信し、駆動装置208を起動して操作面設置構造物202を設置位置に移動させ(S204)、現在の制御周期を終了し、通常モードに移行する。
【0072】
以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤201によれば、かご床11b、天井11cあるいは側壁11aのいずれかに凹部状の空間部として設けられ操作面設置構造物202を収納可能な収納部206と、操作面設置構造物202を収納部206外の設置位置と収納部206内の収納位置とに移動可能な移動装置207と、移動装置207を制御可能なエレベータ制御装置14とを備える。したがって、エレベータ操作盤201は、操作面設置構造物202を収納部206内の収納位置に移動させることで、必要に応じて乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保することができる。
【0073】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤201によれば、車椅子を検知可能な車椅子検知装置210を備え、エレベータ制御装置14は、車椅子検知装置210が車椅子を検知した場合に、移動装置207を制御し操作面設置構造物202を収納位置に移動する。したがって、エレベータ操作盤201は、車椅子に乗った利用者に対応して乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保することができる。
【0074】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤201によれば、操作面設置構造物202の移動方向の障害物を検知可能な障害物検知装置211を備え、エレベータ制御装置14は、障害物検知装置211が障害物を検知した場合に、移動装置207を制御し操作面設置構造物202の移動を禁止する。したがって、エレベータ操作盤201は、操作面設置構造物202の移動方向に障害物があった場合には適正に操作面設置構造物202の移動を禁止することができる。
【0075】
なお、以上の説明では、収納部206は、かご床11bに設けるものとして説明したが天井11cや側壁11aに設けてもよい。エレベータ操作盤201は、以上の説明のように収納部206がかご床11b、あるいは、天井11cに設けられる場合、例えば、このエレベータ操作盤201が展望式のエレベータ10の乗りかご11に適用された上で操作面設置構造物202が収納部206内の収納位置にある状態であっても、外界に対して水平方向の360度全体にわたって良好な視界を確保することができる。
【0076】
一方、例えば図11に例示するように、エレベータ操作盤201Aは、収納部206Aが側壁11aに設けられる場合、操作面設置構造物202Aが収納部206A内の収納位置にある状態であっても、利用者による操作がしやすく、例えば、利用者による操作の完了を待たずに操作面設置構造物202Aを収納部206A内の収納位置に移動させることができ、また例えば、操作面設置構造物202Aが収納位置にある際の補助用の操作盤を別個に設ける必要もない。
【0077】
図11に例示するエレベータ操作盤201Aは、四角柱状の形状をなし外面202Aaに操作面3や表示面4が設けられた操作面設置構造物202Aと、側壁11aに設けられる収納部206Aと、移動部としての移動装置207Aを含んで構成される。本実施形態の移動装置207Aは、例えば、不図示の移動アクチュエータと、この移動アクチュエータを作動させるモータなどの駆動装置208Aと、ガイドレール209Aとを含んで構成される。ガイドレール209Aは、かご床11bと天井11cとに一対で設けられており、操作面設置構造物202Aの設置位置から収納位置まで延設されている。各ガイドレール209Aは、それぞれ操作面設置構造物202Aの鉛直方向下側端部、鉛直方向上側端部の移動を案内するものである。移動装置207Aは、駆動装置208Aが駆動し不図示の移動アクチュエータが作動することで、操作面設置構造物202Aの鉛直方向端部を各ガイドレール209Aで案内しながら、この操作面設置構造物202Aを収納部206A外の設置位置と収納部206A内の収納位置とに移動可能である。
【0078】
この場合であってもエレベータ操作盤201Aは、操作面設置構造物202Aを収納部206A内の収納位置に移動させることで、必要に応じて乗りかご11内の中央部付近のスペースを広く確保することができる。なお、このエレベータ操作盤201Aでは、必要に応じて乗りかご11内の中央部付近のスペースを確保する場合、常に操作面設置構造物202Aを完全に収納部206A内の収納位置まで移動させる必要はない。エレベータ操作盤201Aは、例えば、操作面設置構造物202Aを設置位置から少しだけずらすことで、車椅子の入るスペースを確保するようにしてもよく、この場合、乗りかご11内の中央部付近のスペースを確保しつつ、外界に対して水平方向の360度全体にわたって良好な視界を確保することもできる。
【0079】
[実施形態3]
図12は、実施形態3に係るエレベータの概略構成を示すブロック図、図13は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の案内制御を説明するフローチャートである。実施形態3に係るエレベータ操作盤は、状況に応じて乗降の補助の案内を行う点で実施形態1に係るエレベータ操作盤とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
【0080】
図12、図13に示す本実施形態のエレベータ操作盤301は、操作面設置構造物2と共に、操作位置検知部としての操作位置検知装置312と、混雑状態検知部としての混雑状態検知装置313と、案内部としての案内装置314とを含んで構成される。
【0081】
操作位置検知装置312は、乗りかご11内に設けられ種々の公知の手法により操作面3に操作を行った利用者の位置を検知可能なものである。操作位置検知装置312は、検知した操作位置検知信号を案内装置314に送信する。操作位置検知装置312は、例えば、乗りかご操作装置16において利用者がどちら側から操作されたかという判定を行う演算回路、あるいは、圧力センサや多光軸センサなどを用いて利用者によって操作された座標を測定する構成などにより実現することができる。
【0082】
混雑状態検知装置313は、乗りかご11内に設けられ種々の公知の手法により乗りかご11内の混雑状態を検知可能なものである。混雑状態検知装置313は、検知した混雑検知信号を案内装置314に送信する。混雑状態検知装置313は、例えば、乗りかご操作装置16において多数の方向から操作されたという判定を行う演算回路、あるいは、圧力センサや多光軸センサなどを用いて乗りかご11内の利用者数を測定する構成などにより実現することができる。また、混雑状態検知装置313は、例えば、乗りかご11内を撮像する監視カメラなどの撮像装置とこの監視カメラが撮像した乗りかご11内の画像データを解析する画像解析装置とによって実現することもできる。
【0083】
案内装置314は、乗りかご11内に設けられ操作位置検知装置312から操作位置検知信号を、混雑状態検知装置313から混雑検知信号を受信し、操作位置検知装置312が検知した利用者の位置と、混雑状態検知装置313が検知した混雑状態とに基づいて乗降の補助の案内を行うものである。案内装置314は、例えば、音声を出力可能なスピーカ、音声案内に必要な種々の情報を記憶、選択すると共にこれらに応じてスピーカの駆動を制御可能な案内制御装置などを含んで構成される。また、案内装置314は、必要に応じて乗りかご表示装置15に案内表示信号を送信し、この乗りかご表示装置15に種々の案内情報を表示する。なお、案内装置314の案内制御装置は、例えば、エレベータ制御装置14によって兼用してもよい。また、エレベータ操作盤301は、スピーカなどにかえて、乗りかご表示装置15自体を案内部として兼用してもよい。
【0084】
次に、図13のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータ操作盤301の移動制御の一例を説明する。
【0085】
まず、操作位置検知装置312は、乗りかご操作装置16からの信号に基づいて操作面3に操作を行った利用者の位置を判定し、操作位置検知信号を案内装置314に送信する。案内装置314は、操作位置検知装置312から受信した操作位置検知信号に基づいて、利用者の操作位置が乗りかご11の奥側(操作面設置構造物2を基準として扉装置19とは反対側)か否かを判定する(S300)。
【0086】
案内装置314は、利用者の操作位置が乗りかご11の奥側でないと判定した場合(S300:No)、利用者の操作位置が乗りかご11の奥側であると判定するまでこのS300の処理を繰り返し実行する。
【0087】
案内装置314は、利用者の操作位置が乗りかご11の奥側であると判定した場合(S300:Yes)、混雑状態検知装置313から受信した混雑検知信号に基づいて、乗りかご11内が混雑しているか否か、例えば、乗りかご11内の利用者数が予め設定された所定人数以上であるか否かを判定する(S302)。
【0088】
案内装置314は、乗りかご11内が混雑していると判定した場合(S302:Yes)、スピーカや必要に応じて乗りかご表示装置15を起動し、乗降の補助の案内、例えば、乗りかご11の奥側に降りる利用者がいる旨の音声案内を実行し(S304)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。案内装置314は、乗りかご11内が混雑していないと判定した場合(S302:No)、S304を省略して、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0089】
以上で説明した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤301によれば、操作面3に操作を行った利用者の位置を検知可能な操作位置検知装置312と、乗りかご11内の混雑状態を検知可能な混雑状態検知装置313と、操作位置検知装置312が検知した利用者の位置と混雑状態検知装置313が検知した混雑状態とに基づいて乗降の補助の案内を行う案内装置314とを備える。したがって、エレベータ操作盤301は、例えば、乗りかご11内が混雑している際には、操作面設置構造物2の奥側に降りる利用者がいるなどの案内を行うことができるので、操作性の向上と乗降のしやすさの向上とを両立することができる。
【0090】
なお、上述した本発明の実施形態に係るエレベータ操作盤は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。エレベータ操作盤は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせて構成してもよい。また、例えば、以上で説明した障害物検知装置211、操作位置検知装置312、混雑状態検知装置313は、センサと検出結果の演算により装置を統合させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明に係るエレベータ操作盤は、操作性を向上することができるものであり、種々のエレベータ操作盤に用いて好適である。
【符号の説明】
【0092】
1、1A、201、201A、301 エレベータ操作盤
2、2A、202、202A 操作面設置構造物
2a、2Aa、202a、202Aa 外面
3 操作面
4 表示面
10 エレベータ
11 乗りかご
11a 側壁
11b かご床
11c 天井
14 エレベータ制御装置(制御部)
206、206A 収納部
207、207A 移動装置(移動部)
208、208A 駆動装置
209A ガイドレール
210 車椅子検知装置(車椅子検知部)
211 障害物検知装置(障害物検知部)
312 操作位置検知装置(操作位置検知部)
313 混雑状態検知装置(混雑状態検知部)
314 案内装置(案内部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ外面に利用者が操作する操作面が設けられる操作面設置構造物を備え、
前記操作面設置構造物は、前記かご床あるいは前記天井において前記側壁から離れた設置位置に設けられ、前記操作面が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられることを特徴とする、
エレベータ操作盤。
【請求項2】
前記操作面設置構造物は、外面に前記乗りかごの運行に関する情報を表示可能な表示面が水平方向に沿って複数の異なる方向を向いて設けられる、
請求項1に記載のエレベータ操作盤。
【請求項3】
前記かご床、前記天井あるいは前記側壁のいずれかに凹部状の空間部として設けられ前記操作面設置構造物を収納可能な収納部と、
前記操作面設置構造物を前記収納部外の前記設置位置と前記収納部内の収納位置とに移動可能な移動部と、
前記移動部を制御可能な制御部とを備える、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータ操作盤。
【請求項4】
車椅子を検知可能な車椅子検知部を備え、
前記制御部は、前記車椅子検知部が前記車椅子を検知した場合に、前記移動部を制御し前記操作面設置構造物を前記収納位置に移動する、
請求項3に記載のエレベータ操作盤。
【請求項5】
前記操作面設置構造物の移動方向の障害物を検知可能な障害物検知部を備え、
前記制御部は、前記障害物検知部が前記障害物を検知した場合に、前記移動部を制御し前記操作面設置構造物の移動を禁止する、
請求項3又は請求項4に記載のエレベータ操作盤。
【請求項6】
前記操作面に操作を行った前記利用者の位置を検知可能な操作位置検知部と、
前記乗りかご内の混雑状態を検知可能な混雑状態検知部と、
前記操作位置検知部が検知した前記利用者の位置と、前記混雑状態検知部が検知した前記混雑状態とに基づいて乗降の補助の案内を行う案内部とを備える、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエレベータ操作盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−63368(P2011−63368A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214656(P2009−214656)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】