説明

エレベータ着床装置

【課題】従来技術においては、更なる適正な乗りかごの着床検出が望まれている。
【解決手段】実施形態のエレベータ着床装置は、検出装置と、制御装置とを備える。検出装置は、昇降路又は当該昇降路を昇降する乗りかごの一方の相互に離間した位置に設けられる複数の非接触式の検出器が、前記昇降路又は前記乗りかごの他方に前記複数の検出器とそれぞれ対応して設けられる複数の被検出体を検出する。これにより、検出装置は、前記乗りかごが予め定められた着床位置に着床したことを検出する。制御装置は、前記複数の検出器のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、前記乗りかごの通常の運転制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ着床装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの停止階となる各階の所定の着床位置にエレベータの乗りかごが着床したことを検出するエレベータ着床装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−143109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、更なる適正な乗りかごの着床検出が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ着床装置は、検出装置と、制御装置とを備える。検出装置は、昇降路又は当該昇降路を昇降する乗りかごの一方の相互に離間した位置に設けられる複数の非接触式の検出器が、前記昇降路又は前記乗りかごの他方に前記複数の検出器とそれぞれ対応して設けられる複数の被検出体を検出する。これにより、検出装置は、前記乗りかごが予め定められた着床位置に着床したことを検出する。制御装置は、前記複数の検出器のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、前記乗りかごの通常の運転制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的平面図である。
【図2】図2は、図1に示す囲い線A、Bの部分平面図である。
【図3】図3は、実施形態に係るエレベータ着床装置の制御の一例を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、実施形態2に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的側面図である。
【図5】図5は、実施形態3に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的平面図である。
【図6】図6は、図5に示す囲い線Cの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的平面図、図2は、図1に示す囲い線A、Bの部分平面図、図3は、実施形態に係るエレベータ着床装置の制御の一例を説明するフローチャートである。
【0008】
本実施形態のエレベータ着床装置1は、図1に示すように、エレベータ2に適用され、乗りかご4がエレベータ停止階となる各階の所定の着床位置に着床したことを検出するものである。
【0009】
エレベータ2は、このエレベータ着床装置1と共に、建造物の鉛直方向に沿って設けられる昇降路3と、昇降路3を昇降可能な乗りかご4と、乗りかご4が着床可能な乗り場5と、昇降路3内で乗りかご4を昇降させる昇降駆動部6と、乗りかご4及び乗り場5の扉を開閉する扉装置7と、エレベータ2の各部を制御する制御装置8とを備える。例えば、昇降駆動部6は、電動機などが駆動してメインロープを巻き上げる巻上機、あるいは、油圧式駆動装置などが駆動することで乗りかご4を昇降移動させる。エレベータ2は、昇降駆動部6が駆動することで、乗りかご4が昇降路3内を鉛直方向上下に昇降し、この乗りかご4を任意の目的階の乗り場5に移動させる。
【0010】
ここで、昇降路3は、乗りかご4が昇降(走行)する空間部にガイドレール9が設けられている。ガイドレール9は、昇降路3内に、乗りかご4の昇降方向に沿って延在して設けられるレール状の部材であり、乗りかご4の昇降を案内するものである。ガイドレール9は、奥行き方向に対して乗り場5の三方枠の戸袋後方(奥側)に設けられる。ガイドレール9は、昇降路3内に幅方向に沿って一対で設けられる。一対のガイドレール9は、幅方向に対して乗りかご4を挟んで対向して平行に設けられる。各ガイドレール9は、昇降路3内において奥行き方向の中央部付近に設けられる。
【0011】
ここで、乗りかご4の昇降方向とは、典型的には鉛直方向である。奥行き方向とは、鉛直方向と直交する乗りかご4の奥行き方向、さらに言えば、乗り場5に対して接近・離間する方向であり、典型的には、乗り場5側が奥行き方向手前側、乗り場5から離間する側が奥行き方向奥側となる。幅方向とは、鉛直方向、奥行き方向と直交する乗りかご4の幅方向である。
【0012】
制御装置8は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。
【0013】
制御装置8は、種々のセンサ、検出器や昇降駆動部6、扉装置7等のエレベータ2の各部と電気的に接続され各部を制御する。制御装置8は、例えば、乗りかご4内や乗り場5に設けられる呼び登録装置等の操作盤への利用者からの操作入力に応じて、昇降駆動部6の駆動を制御し、乗りかご4を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。また、制御装置8は、扉装置7の駆動を制御し、乗りかご4及び乗り場5の扉の開閉を行う。また、制御装置8は、種々の通信装置等を介して管理センタ10等に接続されており、相互に信号、指令、情報等の授受を行うことができる。
【0014】
上記のように構成されるエレベータ2は、乗り場5の利用者により乗り場操作盤を利用した乗り場呼びが行われた場合や、乗りかご4内に乗り込んだ利用者によりかご操作盤を利用したかご呼びが行われた場合に、制御装置8がこれらの呼びを登録する。そして、エレベータ2は、制御装置8が乗りかご4の移動方向(昇降方向)や呼びの位置に基づいて昇降駆動部6を駆動制御し、乗りかご4を目的階床へと移動させる。エレベータ2は、乗りかご4が目的階床に着床し、エレベータ着床装置1によって乗りかご4が各階の乗り場5の所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、制御装置8が扉装置7を開閉制御し、乗りかご4の扉及び乗り場5の扉を同期して開放する。これにより、乗り場5で待機している利用者は乗りかご4内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご4内の利用者は乗り場5に降りることが可能となる。
【0015】
ところで、本実施形態のエレベータ着床装置1は、例えば、検出装置11の検出器を相互に離間した位置に複数個設けると共に、これら複数の検出器の動作状態に応じて乗りかご4の着床検出を行うことで、乗りかご4の適正な運転を実現している。
【0016】
具体的には、エレベータ着床装置1は、検出装置11と、上述の制御装置8とを含んで構成される。制御装置8は、エレベータ2の全体を制御するものであると共にここではエレベータ着床装置1の制御装置としても兼用される。なおこれに限らず、エレベータ着床装置1の制御装置は、制御装置8とは別個に構成され、制御装置8と電気的に接続され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成としてもよい。
【0017】
検出装置11は、複数の検出器としての第1センサ12及び第2センサ13と、複数の被検出体としての第1被検出体14及び第2被検出体15とを含んで構成される。検出装置11は、第1センサ12、第2センサ13が第1被検出体14、第2被検出体15を検出することで、乗りかご4が予め定められた着床位置に着床したことを検出する。
【0018】
第1センサ12及び第2センサ13は、昇降路3又は乗りかご4の一方の相互に離間した位置に設けられ、第1被検出体14及び第2被検出体15は、昇降路3又は乗りかご4の他方に第1センサ12及び第2センサ13とそれぞれ対応して設けられる。本実施形態の検出装置11は、第1センサ12及び第2センサ13が乗りかご4に設けられ、第1被検出体14及び第2被検出体15が昇降路3に設けられる。
【0019】
第1センサ12、第2センサ13は、例えば、光学センサ、超音波センサ、赤外線センサ等の非接触式の検出器である。ここでは、第1センサ12、第2センサ13は、反射型の光学センサである。第1センサ12は、所定の方向に向けて投光した光の第1被検出体14からの反射光を受光して乗りかご4の着床を検出する。第2センサ13は、所定の方向に向けて投光した光の第2被検出体15からの反射光を受光して乗りかご4の着床を検出する。第1センサ12、第2センサ13は、それぞれ、投光部16が投光し、第1被検出体14、第2被検出体15にて反射した光を、受光部17が受光することで、第1被検出体14、第2被検出体15を検出し、この結果、乗りかご4の所定の着床位置への着床を検出する。
【0020】
第1センサ12、第2センサ13は、図1、図2に示すように、幅方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。第1センサ12、第2センサ13は、少なくとも乗りかご4の幅方向の一方側と他方側とに設けられる。第1センサ12、第2センサ13は、典型的には、共に乗りかご4の鉛直方向床部のかご扉敷居18に支持部材等を介して設けられる。かご扉敷居18は、第1センサ12、第2センサ13を乗りかご4に固定するための乗りかご4側の固定部である。かご扉敷居18は、乗りかご4の鉛直方向床部において乗り場5側の一辺に設けられ、乗りかご4の扉が位置する部分である。
【0021】
第1センサ12は、かご扉敷居18の幅方向の一方側の端部に設けられ、第2センサ13は、かご扉敷居18の幅方向の他方側の端部に設けられる。ここでは、第1センサ12は、乗り場5から乗りかご4を見た場合のかご扉敷居18の左側端部に設けられ、第2センサ13は、乗り場5から乗りかご4を見た場合のかご扉敷居18の右側端部に設けられる。第1センサ12、第2センサ13は、例えば、投光部16が投光する光、受光部17が受光する光の光軸方向が幅方向に沿うような位置関係で設けられる。
【0022】
第1被検出体14、第2被検出体15は、それぞれ、昇降路3における第1センサ12、第2センサ13に対応する位置に設けられる。第1被検出体14、第2被検出体15は、例えば、鏡面を持つ金属板、鍍金等のように高い効率で光を反射する材料、部材等により構成される反射部20を含んで構成される。
【0023】
第1被検出体14、第2被検出体15は、図1、図2に示すように、第1センサ12、第2センサ13に対応して、幅方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。すなわち、第1被検出体14、第2被検出体15は、少なくとも乗りかご4の幅方向の一方側と他方側とに設けられる。第1被検出体14、第2被検出体15は、典型的には、共に乗り場5の鉛直方向床部の乗り場扉敷居19に支持部材等を介して設けられる。乗り場扉敷居19は、第1被検出体14、第2被検出体15を昇降路3の各乗り場5近傍に固定するための乗り場5側の固定部である。乗り場扉敷居19は、乗り場5の鉛直方向床部において乗りかご4側の一辺に設けられ、乗り場5の扉が位置する部分である。第1被検出体14、第2被検出体15は、各階の乗り場5に対応して各階に1組ずつ設けられる。
【0024】
第1被検出体14は、乗り場扉敷居19の幅方向の一方側の端部に設けられ、第2被検出体15は、乗り場扉敷居19の幅方向の他方側の端部に設けられる。ここでは、第1被検出体14は、乗り場5から乗りかご4を見た場合の乗り場扉敷居19の左側端部に設けられ、第2被検出体15は、乗り場5から乗りかご4を見た場合の乗り場扉敷居19の右側端部に設けられる。第1被検出体14、第2被検出体15は、それぞれ幅方向に対して各反射部20が第1センサ12、第2センサ13の各投光部16、各受光部17と対向するような位置関係で設けられる。
【0025】
検出装置11は、乗りかご4が各階の適正な着床位置にある場合に、第1センサ12、第2センサ13が当該各階に対応した第1被検出体14、第2被検出体15を検出する位置関係となるように、第1センサ12、第2センサ13と第1被検出体14、第2被検出体15とが位置決めされている。ここで、乗りかご4の適正な着床位置とは、典型的には、かご扉敷居18と乗り場扉敷居19との鉛直方向の位置が同等となり面一になる位置である。
【0026】
検出装置11は、乗りかご4が適正な着床位置にある場合に、第1被検出体14、第2被検出体15の各反射部20と第1センサ12、第2センサ13の各投光部16、各受光部17とが幅方向に沿って対向するような位置関係で設けられる。つまり、第1被検出体14、第2被検出体15は、乗りかご4が適正な着床位置にある場合に、各反射部20がそれぞれ第1センサ12、第2センサ13の各投光部16から投光された光を各受光部17に向けて反射する。
【0027】
したがって、検出装置11は、第1センサ12、第2センサ13が第1被検出体14、第2被検出体15を検出することで、乗りかご4が予め定められた着床位置に着床したことを検出することができる。制御装置8は、第1センサ12、第2センサ13と第1被検出体14、第2被検出体15とが互いに相対すると、各投光部16が投光し各反射部20にて反射した光を各受光部17が受光することに応じて、かご扉敷居18、乗り場扉敷居19が互いに面一となる位置に乗りかご4を停止、位置決めするように昇降駆動部6を動作させる。つまり、制御装置8は、検出装置11の着床検出の検出結果に応じて昇降駆動部6の駆動を制御することで、かご扉敷居18と乗り場扉敷居19とが面一になる適正な着床位置に乗りかご4を着床させることができる。
【0028】
この制御装置8は、典型的には、複数の検出器、すなわち第1センサ12、第2センサ13が全て正常である場合に、乗りかご4の通常の運転制御を行う。ここで、乗りかご4の通常の運転制御とは、典型的には、上述したように、利用者からの操作入力に応じて昇降駆動部6の駆動を制御し、乗りかご4を呼び登録に応じた指定の目的階の乗り場5に移動させ目的階床に着床させる運転制御である。
【0029】
なお、制御装置8は、種々の手法により第1センサ12、第2センサ13がそれぞれ正常であるか異常であるかを判定すればよい。制御装置8は、例えば、昇降駆動部6の現在の動作状態等と第1センサ12、第2センサ13からの検出信号の大小関係とに応じて第1センサ12、第2センサ13が正常であるか異常であるかを判定することができる。制御装置8は、例えば、昇降駆動部6の巻上機の回転角等に基づいて乗りかご4の現在位置を推定し、これに応じて乗りかご4が所定の着床位置にあると推定できるときに第1センサ12、第2センサ13からの各検出信号の大きさが予め設定される正常値以上である場合には第1センサ12、第2センサ13が正常であると判定でき、正常値より小さい場合には第1センサ12、第2センサ13が異常であると判定できる。
【0030】
また、制御装置8は、乗りかご4の現在位置を推定しなくとも、例えば、第1センサ12、第2センサ13からの検出信号のうちの一方の検出信号の大きさが正常値以上であるにもかかわらず、他方の検出信号の大きさが正常値より小さい、あるいは、信号自体が受信されない場合には、第1センサ12と第2センサ13とのうちの一方が正常であり他方が異常であると判定することもできる。
【0031】
そして、制御装置8は、複数の検出器、すなわち、第1センサ12、第2センサ13のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合にも、乗りかご4の通常の運転制御を行う。ここでは、制御装置8は、第1センサ12、第2センサ13のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、少なくとも1つ以上の検出器が異常である旨の通報制御を行った上で、乗りかご4の通常の運転制御を継続する。
【0032】
制御装置8は、通報制御として、管理センタ10に対して第1センサ12、第2センサ13のうちの1つが異常であることを遠隔通報し、例えば、作業員に対して次回のメンテナンス時に異常と判定された検出器の交換や清掃を行うように促す。この間、例えば、作業員が異常と判定された検出器を交換、清掃するまでは、検出装置11は、第1センサ12、第2センサ13のうちの正常である方の1つで本来の機能として動作する。制御装置8は、第1センサ12、第2センサ13のうちの正常である方の検出信号に基づいて、乗りかご4を適正な着床位置に着床させるなどして、通常の運転制御を継続する。
【0033】
そして、制御装置8は、複数の検出器、すなわち、第1センサ12、第2センサ13が全て異常である場合に通常の運転制御を停止し、このエレベータ2におけるサービスを一旦停止する。この場合、制御装置8は、例えば、警報制御として、管理センタ10に対して第1センサ12、第2センサ13の全てが異常である旨の警報を発し、例えば、作業員に対して異常と判定された検出器の交換や清掃をすぐに行うように促す。
【0034】
次に、図3のフローチャートを参照してエレベータ着床装置1の制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
【0035】
まず、制御装置8は、第1センサ12、第2センサ13からの検出信号等に基づいて第1センサ12が正常であるか否かを判定する(ST1)。
【0036】
制御装置8は、第1センサ12が正常であると判定した場合(ST1:Yes)、第1センサ12、第2センサ13からの検出信号等に基づいて第2センサ13が正常であるか否かを判定する(ST2)。
【0037】
制御装置8は、第2センサ13が正常であると判定した場合(ST2:Yes)、乗りかご4の通常の運転制御を行って(ST3)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0038】
制御装置8は、ST1にて第1センサ12が異常であると判定した場合(ST1:No)、第1センサ12、第2センサ13からの検出信号等に基づいて第2センサ13が正常であるか否かを判定する(ST4)。
【0039】
制御装置8は、ST2にて第2センサ13が異常であると判定した場合(ST2:No)、ST4にて第2センサ13が正常であると判定した場合(ST4:Yes)、管理センタ10に対して第1センサ12、第2センサ13のうちの1つが異常であることを通報した上で(ST5)、ST3に移行し乗りかご4の通常の運転制御を行う(ST3)。
【0040】
制御装置8は、ST4にて第2センサ13が異常であると判定した場合(ST4:No)、乗りかご4の通常の運転制御を停止(サービス停止)する(ST6)。
【0041】
そして、制御装置8は、管理センタ10に対して第1センサ12、第2センサ13の全てが異常である旨の警報を発し(ST7)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0042】
上記のように構成されるエレベータ着床装置1は、昇降路3又はこの昇降路3を昇降する乗りかご4の一方の相互に離間した位置に設けられる複数の非接触式の検出器としての第1センサ12、第2センサ13が、昇降路3又は乗りかご4の他方に第1センサ12、第2センサ13とそれぞれ対応して設けられる複数の被検出体としての第1被検出体14、第2被検出体15を検出することで、乗りかご4が予め定められた着床位置に着床したことを検出する検出装置11と、第1センサ12、第2センサ13のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、乗りかご4の通常の運転制御を行う制御装置8とを備える。
【0043】
したがって、エレベータ着床装置1は、第1センサ12、第2センサ13がこれに応じて設けられる第1被検出体14、第2被検出体15を検出して乗りかご4の着床を検出することで、仮に1つの被検出体や検出器に埃が付着したり、変形が生じたりして異常が発生し、例えば、1つの受光部17が適正に反射光を受光できなくなった場合であっても、他の被検出体、検出器で確実に乗りかご4の着床を検出することができる。そして、エレベータ着床装置1は、第1センサ12、第2センサ13が互いに離間した位置に設けられることから、第1センサ12と第2センサ13、第1被検出体14と第2被検出体15との周辺環境を異ならせることができるので、複数の検出器が全て同時期に異常になってしまう可能性を低減することができ、よって、長期間にわたって、確実に乗りかご4の着床を検出することができる。
【0044】
さらに、本実施形態のエレベータ着床装置1は、第1センサ12、第2センサ13が乗りかご4の幅方向の一方側と他方側とに設けられることから、第1センサ12と第2センサ13との構成、第1被検出体14と第2被検出体15との構成をほぼ同様の構成とすることができ、共通の部材、部品として構成でき、この結果、効率的に製造することができ、製造コストを抑制することができる。また、エレベータ着床装置1は、検出装置11を構成する第1センサ12、第2センサ13、第1被検出体14、第2被検出体15がかご扉敷居18、乗り場扉敷居19に設けられることから、メンテナンス時には乗り場5から直接それぞれの調整、清掃を行うことができ、これにより、メンテナンス時の作業負荷を軽減することができる。
【0045】
そして、エレベータ着床装置1は、第1センサ12、第2センサ13のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合には、制御装置8が乗りかご4の通常の運転制御を停止せずに継続することから、メンテナンス、保守、点検作業等の回数を抑制し、作業員による検出装置11の調整や保守、点検作業等を軽減した上で、適正に乗りかご4の着床を検出することができる。
【0046】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的側面図である。実施形態2に係るエレベータ着床装置は、検出器、被検出体の位置が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、主要な構成については適宜図1を参照する(以下で説明する実施形態も同様である。)。
【0047】
図4に示す本実施形態のエレベータ着床装置201は、検出装置11と、制御装置8とを含んで構成され、検出装置11は、複数の検出器としての第1センサ12及び第2センサ213と、複数の被検出体としての第1被検出体14及び第2被検出体215とを含んで構成される。
【0048】
第1センサ12、第2センサ213は、乗りかご4の昇降方向、すなわち、鉛直方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。第1センサ12、第2センサ213は、少なくとも乗りかご4の昇降方向の一方側と他方側とに設けられる。第1センサ12、第1被検出体14は、上述のエレベータ着床装置1(図1、図2)の第1センサ12、第1被検出体14と同様の構成、設置位置であるので説明を省略する。
【0049】
第2センサ213は、反射型の光学センサであり、典型的には、乗りかご4の鉛直方向天井部の梁部218に支持部材等を介して設けられる。梁部218は、第2センサ213を乗りかご4に固定するための乗りかご4側の固定部である。梁部218は、乗りかご4の鉛直方向天井部において天井を構成する梁状の部材である。第2センサ213は、梁部218の幅方向の一方側の端部に設けられる。第2センサ213は、幅方向に対して第1センサ12と同じ側、すなわち、乗り場5から乗りかご4を見た場合の梁部218の左側端部に設けられる。言い換えれば、第2センサ213は、第1センサ12の鉛直方向上側に設けられる。第2センサ213は、例えば、投光部16が投光する光、受光部17が受光する光の光軸方向が幅方向に沿うような位置関係で設けられる。
【0050】
第2被検出体215は、反射部20を含んで構成され、例えば、昇降路3における第2センサ213に対応する位置に設けられる。第1被検出体14、第2被検出体215は、第1センサ12、第2センサ213に対応して、昇降方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。すなわち、第1被検出体14、第2被検出体215は、少なくとも乗りかご4の昇降方向の一方側と他方側とに設けられる。第2被検出体215は、典型的には、第1被検出体14が設けられた乗り場扉敷居19の1つ上の階床の乗り場5の乗り場扉敷居19に支持部材等を介して設けられる。第2被検出体215は、幅方向に対して反射部20が第2センサ213の投光部16、受光部17と対向するような位置関係で設けられる。検出装置11は、乗りかご4が適正な着床位置にある場合に、第1センサ12、第2センサ213が第1被検出体14、第2被検出体215を検出する位置関係となるように、第1センサ12、第2センサ213と第1被検出体14、第2被検出体215とが位置決めされている。第1被検出体14、第2被検出体215は、各階の乗り場5に対応して各階に1組ずつ設けられる。
【0051】
上記のように構成されるエレベータ着床装置201は、複数の検出器、すなわち、第1センサ12、第2センサ213は、少なくとも乗りかご4の昇降方向の一方側と他方側とに設けられる。したがって、エレベータ着床装置201は、第1センサ12、第2センサ213が乗りかご4の昇降方向の鉛直方向上側と鉛直方向下側とに設けられることから、第1センサ12と第2センサ213とを乗りかご4の昇降方向に沿って離間した位置に設けることができる。これにより、エレベータ着床装置201は、第1センサ12と第2センサ213、第1被検出体14と第2被検出体215との周辺環境を異ならせることができるので、複数の検出器が全て同時期に異常になってしまう可能性を低減することができ、よって、長期間にわたって、確実に乗りかご4の着床を検出することができる。
【0052】
なお、検出装置11は、第1被検出体14を1つ下の階床の乗り場5に対応した第2被検出体215として兼用してもよく、言い換えれば、第2被検出体215を1つ上の階床の乗り場5に対応した第1被検出体14として兼用してもよい。この場合、例えば、エレベータ着床装置201は、このエレベータ着床装置201を構成する部品点数を削減することができ、製造コストを抑制することができる。
【0053】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係るエレベータ着床装置の概略構成例を示す模式的平面図、図6は、図5に示す囲い線Cの部分平面図である。実施形態3に係るエレベータ着床装置は、検出器、被検出体の位置が実施形態1とは異なる。
【0054】
図5、図6に示す本実施形態のエレベータ着床装置301は、検出装置11と、制御装置8とを含んで構成され、検出装置11は、複数の検出器としての第1センサ12及び第2センサ313と、複数の被検出体としての第1被検出体14及び第2被検出体315とを含んで構成される。
【0055】
第1センサ12、第2センサ313は、乗りかご4の奥行き方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。第1センサ12、第2センサ313は、少なくとも乗りかご4の奥行き方向の中央部と乗り場側とに設けられる。第1センサ12、第1被検出体14は、上述のエレベータ着床装置1(図1、図2)の第1センサ12、第1被検出体14と同様の構成、設置位置であるので説明を省略する。
【0056】
第2センサ313は、反射型の光学センサであり、典型的には、乗りかご4の鉛直方向床部の梁部に支持部材等を介して設けられる。梁部は、乗りかご4の鉛直方向床部において床を構成する梁状の部材である。第2センサ313は、乗りかご4の鉛直方向床部において、奥行き方向の中央部に設けられる。第2センサ313は、幅方向に対して第1センサ12と同じ側に設けられる。言い換えれば、第2センサ313は、第1センサ12の奥行き方向奥側に設けられる。第2センサ313は、例えば、投光部16が投光する光、受光部17が受光する光の光軸方向が幅方向に沿うような位置関係で設けられる。
【0057】
第2被検出体315は、反射部20を含んで構成され、例えば、昇降路3における第2センサ313に対応する位置に設けられる。第1被検出体14、第2被検出体315は、第1センサ12、第2センサ313に対応して、乗りかご4の奥行き方向に間隔をあけて設けられ、これにより、相互に離間した位置に設けられる。すなわち、第1被検出体14、第2被検出体315は、少なくとも乗りかご4の奥行き方向の中央部と乗り場側とに設けられる。そして、第1被検出体14、第2被検出体315は、少なくとも1つ、ここでは第2被検出体315が、昇降路3内に設けられ乗りかご4の昇降を案内するガイドレール9に支持部材等を介して設けられる。第2被検出体315は、幅方向に対して反射部20が第2センサ313の投光部16、受光部17と対向するような位置関係で設けられる。検出装置11は、乗りかご4が適正な着床位置にある場合に、第1センサ12、第2センサ313が第1被検出体14、第2被検出体315を検出する位置関係となるように、第1センサ12、第2センサ313と第1被検出体14、第2被検出体315とが位置決めされている。第1被検出体14、第2被検出体315は、各階の乗り場5に対応して各階に1組ずつ設けられる。
【0058】
上記のように構成されるエレベータ着床装置301は、複数の検出器、すなわち、第1センサ12、第2センサ313は、少なくとも乗りかご4の奥行き方向の中央部と乗り場側とに設けられ、複数の被検出体、すなわち、第1被検出体14、第2被検出体315は、少なくとも1つ、ここでは第2被検出体315が、昇降路3内に設けられ乗りかご4の昇降を案内するガイドレール9に設けられる。したがって、エレベータ着床装置301は、第1センサ12、第2センサ313が乗りかご4の奥行き方向の中央部と乗り場側とに設けられることから、第1センサ12と第2センサ313とを乗りかご4の奥行き方向に沿って離間した位置に設けることができる。これにより、エレベータ着床装置301は、第1センサ12と第2センサ313、第1被検出体14と第2被検出体315との周辺環境を異ならせることができるので、複数の検出器が全て同時期に異常になってしまう可能性を低減することができ、よって、長期間にわたって、確実に乗りかご4の着床を検出することができる。
【0059】
さらに、エレベータ着床装置301は、乗り場5からの埃等が比較的に到達しにくい位置、すなわち、乗り場5から奥行き側に離れた位置に第2センサ313が設けられることで、第2センサ313や第2被検出体315に埃等が付着することを抑制することができ、複数の検出器が全て同時期に異常になってしまう可能性をさらに低減することができる。また、エレベータ着床装置301は、第2被検出体315がガイドレール9に設けられ、第2センサ313がこのガイドレール9の近傍に設けられることから、例えば、第1センサ12、第1被検出体14と第2センサ313、第2被検出体315とに対して一緒にメンテナンス作業等を施すことができるので、メンテナンス時の作業負荷を軽減することができる。
【0060】
以上で説明した実施形態1、2、3に係るエレベータ着床装置1、201、301によれば、例えば、作業員による検出装置11の調整や保守、点検作業等を軽減した上で、適正に乗りかご4の着床を検出することができる。
【0061】
なお、以上で説明したエレベータ着床装置は、上述した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。例えば、複数の検出器は、乗りかごの幅方向の一方側でかつ乗りかごの昇降方向の一方側に1つが設けられ、乗りかごの幅方向の他方側でかつ乗りかごの昇降方向の他方側に他の1つが設けられる構成であってもよい。
【0062】
以上で説明した検出装置は、複数の検出器、複数の被検出体としてそれぞれ2つの検出器、被検出体を含んで構成されるものとして説明したが、それぞれ、3つ以上の検出器、被検出体を含んで構成されるものであってもよい。
【0063】
以上で説明した検出装置は、複数の非接触式の検出器が乗りかごに設けられ、複数の被検出体が昇降路に設けられるものとして説明したが、これに限らず、複数の非接触式の検出器が昇降路に設けられ、複数の被検出体が乗りかごに設けられてもよい。
【0064】
以上の説明では、検出器は、反射型の光学センサであるものとして説明したがこれに限らない。検出器は、例えば、所定の方向に向けて投光した光が被検出体で遮断された場合に被検出体を検出し、乗りかごの着床を検出する遮断型の光学センサであってもよい。この場合、被検出体は、検出器の投光部から検出器の受光部に向けて投光された光が当該受光部に到達しないように遮断する遮断部を有するとよい。
【0065】
また、検出器は、超音波センサ、赤外線センサ等の非接触式の検出器であってもよい。この場合、被検出体は、例えば、反射部を高い効率で超音波、赤外線を反射する材料、部材等により構成するとよい。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1、201、301 エレベータ着床装置
2 エレベータ
3 昇降路
4 乗りかご
5 乗り場
8 制御装置
9 ガイドレール
11 検出装置
12 第1センサ(検出器)
13、213、313 第2センサ(検出器)
14 第1被検出体(被検出体)
15、215、315 第2被検出体(被検出体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路又は当該昇降路を昇降する乗りかごの一方の相互に離間した位置に設けられる複数の非接触式の検出器が、前記昇降路又は前記乗りかごの他方に前記複数の検出器とそれぞれ対応して設けられる複数の被検出体を検出することで、前記乗りかごが予め定められた着床位置に着床したことを検出する検出装置と、
前記複数の検出器のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、前記乗りかごの通常の運転制御を行う制御装置とを備えることを特徴とする、
エレベータ着床装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の検出器のうち、少なくとも1つが異常で、かつ、少なくとも1つが正常である場合に、少なくとも1つ以上の前記検出器が異常である旨の通報制御を行った上で、前記通常の運転制御を継続する、
請求項1に記載のエレベータ着床装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の検出器が全て異常である場合に、前記通常の運転制御を停止する、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータ着床装置。
【請求項4】
前記複数の検出器は、少なくとも前記乗りかごの幅方向の一方側と他方側とに設けられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ着床装置。
【請求項5】
前記複数の検出器は、少なくとも前記乗りかごの昇降方向の一方側と他方側とに設けられる、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータ着床装置。
【請求項6】
前記複数の検出器は、少なくとも前記乗りかごの奥行き方向の中央部と乗り場側とに設けられ、
前記複数の被検出体は、少なくとも1つが、前記昇降路内に設けられ前記乗りかごの昇降を案内するガイドレールに設けられる、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエレベータ着床装置。
【請求項7】
前記検出器は、所定の方向に向けて投光した光の前記被検出体からの反射光を受光して前記乗りかごの着床を検出する、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のエレベータ着床装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−17154(P2012−17154A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153866(P2010−153866)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】