説明

エレベータ装置及び巻上機

【課題】本発明の目的は、制動装置のブレーキドラム制動面の油汚損防止性能を向上したエレベータ装置及び巻上機を提供することである。
【解決手段】本発明にかかるエレベータ装置1及び巻上機7は、昇降路2内を昇降する乗りかご3と、主ロープ5と、シーブ6を駆動して乗りかご3を昇降させる巻上機7とを備え、巻上機7はブレーキドラム15が設けられ、ブレーキドラム15の周面にブレーキシュー16を圧接させて乗りかご3の昇降に制動をかける制動装置14を有し、回転体20が回転した際に、遠心力より飛散する油がブレーキドラム15側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構をブレーキドラム15の取付けボス端面に備えると共に、回転体20の外周及びブレーキドラム15のボス27端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受けへと導く油付着防止カバー28,29,30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ装置及び巻上機に係り、特にエレベータ装置及び巻上機の制動装置への油汚損防止構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機の回転を減速機で減速し、減速機の出力軸に取り付けられたシーブを回転させてエレベータを昇降させるエレベータ装置の巻上機では、減速機に潤滑油などの油が貯留されて歯車を潤滑していた。そのため、これらの油は軸を伝わって漏れ出さないようにオイルシールなどで油漏れを防止していたが、長期間の使用で接触部分が摩耗するなどして油が漏れ出すことがあった。このようなエレベータ用巻上機の軸を伝わって漏出する油を回収する技術として仕切り板を設ける構造が知られていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−021829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献によれば、漏れ出た油を油受けに回収する仕切り板があるので、軸から漏出した油を風の影響を受け難くしながら油受けに導くことができるものであった。しかし軸に付着した油が、軸が回転する遠心力によって周囲に飛散したり、軸に設けられた回転物に付着して、それが回転した時に遠心力によって飛散したりすることに対して考慮されていなかった。
【0005】
また近年、エレベータ装置や巻上機の制動装置に対して油が付着して制動力が低下し、それに起因して発生が懸念される不具合に対して非常に関心が高まっており、制動装置への油の付着を可能な限り防止する技術が望まれていた。このような要望はギヤード巻上機だけでなく、モータの出力軸に減速機を介さずにシーブを設けた巻上機等でも同様に望まれるものであった。
【0006】
本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、油が付着することにより制動装置の制動能力低下を防ぐために、制動装置のブレーキドラム制動面の油汚損防止性能を向上したエレベータ装置及び巻上機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明にかかるエレベータ装置は、昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを吊持する主ロープと、前記主ロープが巻き掛けられたシーブを駆動して前記乗りかごを昇降させる巻上機とを備え、前記巻上機には前記乗りかごが昇降する際に回転する回転体にブレーキドラムが設けられ、前記ブレーキドラムの周面にブレーキシューを圧接させて前記乗りかごの昇降に制動をかける制動装置を有するエレベータ装置において、前記回転体が回転した際に、遠心力により飛散する前記回転体に付着した油が前記回転体の軸心方向に対して前記ブレーキドラム側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構を前記ブレーキドラムの取付けボス端面に備えると共に、前記回転体の外周及び前記ブレーキドラムの前記ボス端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受けへと導く油付着防止カバーとを備えている。
【0008】
また本発明にかかる巻上機は、昇降路内を昇降する乗りかごを吊持する主ロープが巻き掛けられたシーブを駆動して前記乗りかごを昇降させ、前記乗りかごが昇降する際に回転する回転体にブレーキドラムが設けられ、前記ブレーキドラムの周面にブレーキシューを圧接させて前記乗りかごの昇降に制動をかける制動装置を有する巻上機において、前記回転体が回転した際に、遠心力により飛散する前記回転体に付着した油が前記回転体の軸心方向に対して前記ブレーキドラム側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構を前記ブレーキドラムの取付けボス端面に備えると共に、前記回転体の外周及び前記ブレーキドラムの前記ボス端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受けへと導く油付着防止カバーとを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制動装置のブレーキドラム制動面の油汚損防止性能を向上し、油が付着することにより制動装置の制動能力低下を防止できるエレベータ装置及び巻上機を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例におけるエレベータ装置の概要を示す概要断面図である。
【図2】本発明の実施例における巻上機の概要を示す側面図である。
【図3】図1に示すA−A直線における巻上機の要部断面図である。
【図4】本発明の実施例における油付着防止カバーの概要形状を示す正面図である。
【図5】図3における丸Bで囲んだ範囲の拡大図である。
【図6】軸を伝わってブレーキドラムに到達した油の飛散の様子を示す断面図である。
【図7】ドラム方向油飛散防止機構の他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いながら本発明の実施例について詳しく説明する。
【0012】
図1は本実施例のエレベータ装置の概要を示す正面図である。同図に示すエレベータ装置1は、昇降路2内を昇降する乗りかご3及び釣合いおもり4と、乗りかご3及び釣合いおもり4を吊持する主ロープ5と、主ロープ5が巻き掛けられたシーブ6を駆動して乗りかご3及び釣合いおもり4を昇降させる巻上機7とを備えている。本実施例では、巻上機7は昇降路2の上部に設けられた機械室8内に設置されている。そして、乗りかご3に一端が固定された主ロープ5は、機械室8の底部に穿設された穴9を通って昇降路2から機械室8に入り、シーブ6に巻き掛けられ、その後そらせ車10を介して機械室8の底部に穿設された穴11を通って再び昇降路2に戻り、他端が釣合いおもり4に固定されている。このような構成により巻上機がシーブ6を駆動すると乗りかご3と釣合いおもり4は互いに反対に昇降される。
【0013】
図2は本実施例の巻上機の概要を示す側面図である。同図に示すように本実施例における巻上機7はシーブ6を回転させる駆動力を発生させる電動機12と電動機12で発生した駆動力を減速してシーブ6を回転させるギヤケース13と、制動装置14から構成されている。
【0014】
制動装置14は、円筒形状でその外周面が制動面となるブレーキドラム15と、ブレーキドラム15の外周面に圧接するブレーキシュー16と、ブレーキシュー16が取付けられたブレーキアーム17と、ブレーキアーム17を動作させてブレーキドラム15へのブレーキシュー16の接触と隔離を行う電磁石18とから構成されている。
【0015】
図1に示すようにブレーキアーム17はばね19によりブレーキシュー16をブレーキドラム15の外周面に圧接させるように押圧力を受けており、ばね19のばね力に抗して電磁石18がブレーキアーム17をブレーキシュー16が離れる方向に動作させることでブレーキドラム15の制動が解除され、電磁石18への通電が切断されるとばね19の押圧力でブレーキシュー16がブレーキドラム15に圧接され、ブレーキドラム15が回転することをブレーキシュー16との摺動による摩擦力で制動する。
【0016】
図3は図1に示すA−A直線における巻上機7の要部断面図である。同図に示すように、ブレーキドラム15は乗りかご3が昇降する際に回転する回転体である第1ピニオン軸20に設けられている。本実施例では第1ピニオン軸20は電動機12の回転軸であり、減速機の入力軸となっている。このような第1ピニオン軸20にブレーキドラム15を設けて制動力をかける構成により第1ピニオン軸20の回転から減速されて回転するシーブ6は、より確実に制動されると共に効率よく制動力をかけることができる。
【0017】
ギヤケース13内のギヤ,ピニオン,軸受はギヤ油により潤滑されており、このギヤ油の軸受部からブレーキドラム15側への油漏れを防止するため、オイルシール21を設けている。ギヤケース13内の油はギヤの回転に伴いギヤケース13内で飛散し、軸受22に大量の油が付着することが考えられるが、第1ピニオン軸20の軸受22近傍に反軸受22方向に傾斜する傾斜面が設けられたガード23を設けることにより、軸受22へ飛散油が直接付着しない構造としている。軸受22下部には溝24を設けており、軸受22と軸受カバー25の間の油がギヤケース13側に逃げる構造となっており、軸受22と軸受カバー25の間に蓄積された余剰油はギヤケース13側に排出されブレーキドラム15の外周面である制動面側への漏れを防ぐ構造となっている。
【0018】
また、オイルシール21が著しく損傷している場合にはオイルシール21から油が漏れることが考えられるが、万一このような異常な状態となった場合においては、油は軸受カバー25の外側面を伝わり、ギヤケース13下部に設けた油受け26に漏れ油が導かれ、漏れた油の拡散を防止する構造としている。
【0019】
さらに本実施例では第1ピニオン軸20の外周及びブレーキドラム15のボス27端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受け26へと導く油付着防止カバー28,29,30を備えている。
【0020】
図4は油付着防止カバー28,29,30の概要形状を示す正面図である。油付着防止カバー28,29は円筒を半分に割った形状で上下に分割されるように構成されている。また図3,図4からわかるように油付着防止カバー28,29は第1ピニオン軸20の外周及びブレーキドラム15のボス27端面を覆う飛散防止面31,33と、飛散防止面31,33からボス27方向に立ち上げられた立上面32,34を有していて、立上面32,34は飛散防止面31,33のブレーキドラム15側端部に位置している。
【0021】
そして、油付着防止カバー28,29の飛散防止面31,33の反ブレーキドラム15側端部は飛散防止面31,33に垂直な平板状に形成されていて、この平板部分を軸受カバー25にネジ止め固定されている。さらに油付着防止カバー29の下端に油付着防止カバー30がネジ止めされて固定されている。このような構造により、第1ピニオン軸20の外周及びブレーキドラム15のボス27端面から飛散する油は油付着防止カバー28,29の飛散防止面31,33で受け取られ、外部に油が飛散するのが防止される。
【0022】
また、飛散防止面31,33からはボス27方向に立ち上げられた立上面32,34が存在するため、飛散防止面31,33で受けた油が飛散された勢いで飛散防止面31,33のブレーキドラム15側端部から飛び出すことが防止される。なお、立上面32,34端部とボス27との間はわずかな隙間を設けてボス27と油付着防止カバーの間で摩擦が起こらない構造となっている。
【0023】
なお、本実施例では油付着防止カバー28,29の飛散防止面31,33を水平に設けているが、飛散防止面31,33で受けた油を軸受カバー25方向に導くように傾斜させてもよい。このようにすることでブレーキドラム15方向へのより確実な油漏れが防止できる。
【0024】
図5は図3における丸Bで囲んだ部分の拡大図である。同図に示すように、油付着防止カバー29の飛散防止面33下部の反ブレーキドラム15側端部には、排油口35が設けられている。そして排油口35下部のブレーキドラム15側には断面L字状の油隔離部である油付着防止カバー30が設けられており、排油口35を抜けた油をブレーキドラム15から隔離すると共に、下端部がブレーキドラム15の外周部に向かって油受け26上に延在している。
【0025】
油付着防止カバー30は排油口35のブレーキドラム15側端部よりもさらにブレーキドラム15側に取付ける構造となっている。このような構成により油付着防止カバー30のブレーキドラム15に対向する面には油がつかなくなり、反ブレーキドラム15側の面に油が着き、油受け26に油を導く構造となるため、ブレーキドラム15の制動面への油の付着をより確実に防止できる。
【0026】
また排油口35端部となる飛散防止面33下部の反ブレーキドラム15側端部は、下方に向かって傾斜させていて、油付着防止カバー28,29で受け止めた油を下方に排油しやすくしている。この排油口35から排油された油は、油付着防止カバー29の平板部分と油付着防止カバー30に囲まれた空間を下方に向かって滴下するか、油付着防止カバー29の平板部分を伝わってその後滴下するか、もしくは油付着防止カバー30の反ブレーキドラム15側の面を伝わって油受け26に滴下することとなる。このように軸受22上下部に油付着防止カバー28,29及び、油付着防止カバー29の下部に油付着防止カバー30を設置し、ギヤケース13に設けた油受け26に漏れ油を導くことにより、漏れた油の拡散を防止する構造としている。
【0027】
オイルシール21から出る油は第1ピニオン軸20周りに徐々に蓄積されるが、ブレーキドラム15のボス27端部まで達する程の油が蓄積されると付着力に対し重力と遠心力の慣性合力が大きくなり、油は飛散することになる。そこで、軸受上下部に油付着防止カバー28,29を設けることで、飛散する油を受けることができる。受けた油は、油付着防止カバー29に設けられた排油口35より、油付着防止カバー29の下部壁面又は、ギヤケース13壁面を伝導し、油受け26に溜まる。
【0028】
さらに、油付着防止カバー30は、油受け26に油が滴下し、跳ねた場合にも、外周部に向かって油受け26上に延在する部分により制動面に油が付着しないような構造となっている。なお、油付着防止カバー30の油受け26上に延在し、ブレーキドラム15の外周部と対向するように配置された延在面は、その下側の面に油が付着した際に、その油が軸受カバー25方向、即ち反ブレーキドラム15方向に導かれるように傾斜させておいてもよい。このようにしておくとより確実に制動面への油の付着が防止される。
【0029】
また油受け26は、定期的に点検することにより油漏れが発見しやすいように目視可能な場所に設置しておくのがよく、また、油が溜まっている場合には除去できる構造とするのがよい。
【0030】
図6は軸を伝わってブレーキドラムに到達した油の飛散の様子を示す断面図である。同図(a)に示すように第1ピニオン軸120を伝わってブレーキドラム115に到達する油に対しては、ブレーキドラム115のボス127端面に面取りがあると、矢印で示した主な油の飛散経路137のように面取り部上を油が回り、軸心方向Cに対してドラム内面方向に油が飛散し、ドラム内面に付着した油は、ドラム内面を沿うような形態で制動面に至る可能性がある。このような場合も油付着防止カバー28,29があるのでブレーキドラム15の制動面に油が飛散されることは防止できるが、油が立上面32,34方向に向かう力が油に付与されるため好ましくない。
【0031】
そのため、本実施例では図6(b)に示すように、第1ピニオン軸20が回転した際に、遠心力により飛散する第1ピニオン軸20に付着した油が軸心方向Cに対してブレーキドラム15側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構をブレーキドラム15の第1ピニオン軸20への取付けボス27端面に備えている。本実施例のドラム方向油飛散防止機構としては、ブレーキドラム15のボス27端面の面取りをなくし、ボス部外周鉛直方向に油を飛散させることにより、制動面への油付着を防止している。
【0032】
このような構成によれば、第1ピニオン軸20を伝わりブレーキドラム15に到達する油を、矢印で示した主な油の飛散経路37のように面取りのないボス27端面より外周方向にはじくことができるため、制動面に油が付着することがなく、制動能力低下を防ぐ効果を有する上、制動装置14のブレーキドラム15の制動面への油汚損を防ぐという目的を、ブレーキドラム15のボス27端面の面取り加工をしないと言う1工程をなくすことで実現できるので簡単に適用することができる。また飛散防止面31,33で受ける油が立上面32,34の方向に向かおうとする力が作用しにくいため、油付着防止カバー28,29からブレーキドラム15側に油を漏れ難くすることができる。
【0033】
図7はドラム方向油飛散防止機構の他の実施例を示す断面図である。同図に示すように本実施例では、ブレーキドラム15のボス27端面に第1ピニオン軸20の軸心方向Cに対して、ブレーキドラム15とは反対側に向かう斜面を有する飛散防止板36を設ける構造となっている。
【0034】
このような構造によっても矢印で示した主な油の飛散経路37のようにボス27端面より外周方向にはじくことができるため、制動面に油が付着することがなく、制動能力低下を防ぐ効果を有する上、制動装置14のブレーキドラム15の制動面への油汚損を防ぐという目的を、ブレーキドラム15のボス27端面に飛散防止板36を設けることで実現できるので簡単に適用することができる。またボス27端部に通常の面取りを行ったブレーキドラム15であっても制動面への油の付着を防止できるという効果もある。さらに飛散防止面31,33で受ける油に反ブレーキドラム15方向へ向かおうとする力が付与されやすくなるため、油付着防止カバー28,29からよりブレーキドラム15側に油を漏れ難くすることができ、油を油受け26に導くことを促しやすくできる。
【0035】
なお、図7の実施例では飛散防止板36を設けたが、ブレーキドラム15のボス27端面に直接第1ピニオン軸20の軸心方向Cに対して、ブレーキドラム15とは反対側に向かう斜面を形成しても制動装置14のブレーキドラム15の制動面の油汚損を防ぐ効果を得ることができる。
【0036】
以上説明したように本実施例では巻上機7は電動機12の出力を減速機で減速してシーブ6を回転させる構造であると、減速機のギヤボックス13内に油が貯留されているためブレーキ制動面へのより効果的な油の付着防止を図ることが可能となるのでより有効である。しかし、このようなギヤード巻上機に限らず片持ち式の回転部に制動部が取付けられた巻上機や減速機を介さずに回転する巻上機などに適用することも可能である。
【0037】
このように、本発明の巻上機によれば制動装置のブレーキドラム制動面の油汚損防止性能を向上し、油が付着することにより制動装置の制動能力低下を防止できる。
【0038】
また、本発明のエレベータ装置によれば、制動装置のブレーキドラム制動面の油汚損防止性能を向上し、油が付着することにより制動装置の制動能力低下を防止できるのに加え、油の飛散が防止されるので、油の飛散に起因する不具合の発生を抑え、また昇降路などが油で汚れてしまうことも防止でき、保守しやすく、長寿命化を図りやすいものとすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 エレベータ装置
2 昇降路
3 乗りかご
4 釣合いおもり
5 主ロープ
6 シーブ
7 巻上機
8 機械室
9,11 穴
10 そらせ車
12 電動機
13 ギヤケース
14 制動装置
15 ブレーキドラム
16 ブレーキシュー
17 ブレーキアーム
18 電磁石
19 ばね
20 第1ピニオン軸(回転体)
21 オイルシール
22 軸受
23 ガード
24 溝
25 軸受カバー
26 油受け
27 ボス
28,29,30 油付着防止カバー
31,33 飛散防止面
32,34 立上面
35 排油口
36 飛散防止板
37 油飛散経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを吊持する主ロープと、前記主ロープが巻き掛けられたシーブを駆動して前記乗りかごを昇降させる巻上機とを備え、前記巻上機には前記乗りかごが昇降する際に回転する回転体にブレーキドラムが設けられ、前記ブレーキドラムの周面にブレーキシューを圧接させて前記乗りかごの昇降に制動をかける制動装置を有するエレベータ装置において、
前記回転体が回転した際に、遠心力により飛散する前記回転体に付着した油が前記回転体の軸心方向に対して前記ブレーキドラム側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構を前記ブレーキドラムの取付けボス端面に備えると共に、前記回転体の外周及び前記ブレーキドラムの前記ボス端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受けへと導く油付着防止カバーとを備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記油付着防止カバーは、前記回転体の外周及び前記ブレーキドラムの前記ボス端面を覆う飛散防止面と、前記飛散防止面のブレーキドラム側端部に設けられた前記飛散防止面から前記ボス方向に立ち上げられた立上面を有すると共に、前記飛散防止面下部の反ブレーキドラム側端部に設けられた排油口と、前記排油口下部のブレーキドラム側に前記排油口を抜けた油から前記ブレーキドラムを隔離すると共に、下端部が前記ブレーキドラムの外周部に向かって前記油受け上に延在する断面L字状の油隔離部とを有することを特徴とするエレベータ装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ドラム方向油飛散防止機構が、前記ブレーキドラムのボス端面の面取りを行わない構造であることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項4】
請求項1において、前記ドラム方向油飛散防止機構が、前記ブレーキドラムのボス端面に前記回転体の軸心方向に対して前記ブレーキドラムとは反対側に向かう斜面を設ける構造であることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4において、前記巻上機は電動機の出力を減速機で減速して前記シーブを回転させる構造であることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項6】
昇降路内を昇降する乗りかごを吊持する主ロープが巻き掛けられたシーブを駆動して前記乗りかごを昇降させ、前記乗りかごが昇降する際に回転する回転体にブレーキドラムが設けられ、前記ブレーキドラムの周面にブレーキシューを圧接させて前記乗りかごの昇降に制動をかける制動装置を有する巻上機において、
前記回転体が回転した際に、遠心力により飛散する前記回転体に付着した油が前記回転体の軸心方向に対して前記ブレーキドラム側に向かうことを防止するドラム方向油飛散防止機構を前記ブレーキドラムの取付けボス端面に備えると共に、前記回転体の外周及び前記ブレーキドラムの前記ボス端面を覆い、飛散する油を受け、受けた油を油受けへと導く油付着防止カバーとを備えたことを特徴とする巻上機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−93669(P2011−93669A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249648(P2009−249648)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】