説明

エンコーダホイール、ロータリエンコーダ、及び回転方向検出方法

【課題】本発明は、磁気式であっても、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサで回転方向を検出することのできるエンコーダホイール、ロータリエンコーダ、及び回転方向検出方法を提供する。
【解決手段】回転体の回転を検出するための磁気センサを備えて前記回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダのエンコーダホイール10において、前記磁気センサが対向したときに、高い電圧の前記パルスが出力されるアクティブ部1と、前記パルスが出力されないインアクティブ部2とが円周方向にそれぞれ複数配列された磁気パターンを有し、前記アクティブ部1の各々は、前記円周方向に略同幅に形成され、前記インアクティブ部2は、前記円周方向に幅の異なる第1インアクティブ部3、及び第2の幅で形成された第2インアクティブ部4を含み、回転方向により、前記アクティブ部1が前記磁気センサと対向するタイミングが異なるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのセンサにより、回転体の回転方向を検出することのできるエンコーダホイール、ロータリエンコーダ、及び回転方向検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体の回転を検出するためのセンサを備えて回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダ、このロータリエンコーダに搭載されて回転体とともに回転するエンコーダホイール、及びこれらを用いた回転方向検出方法が知られている。また、このような回転方向検出方法では通常2つのセンサを用いているが、1つのセンサのみで回転方向を検出することのできる回転方向検出方法が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
この種の回転方向検出方法では、エンコーダホイールに形成されて、ロータリエンコーダからパルスを出力するタイミングを決めるアクティブ部が、少なくとも2種類の異なる大きさで複数形成されている。これにより、エンコーダホイールの回転方向に応じて出力されるパルス信号の波形を回転方向に応じて異ならせることにより、回転体の回転方向を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−50771号公報
【特許文献2】特開2003−98187号公報
【特許文献3】特許4253373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2種類以上の異なる大きさのアクティブ部を有した構成を磁気式のロータリエンコーダに適用しようとすると、エンコーダホイールにはアクティブ部の大きさに合わせて異なる大きさのマグネットが用いられることになる。これにより、マグネットの大きさによる磁束の違いよって、磁気センサ素子から出力されるパルスの電圧が異なってしまう。このため、小さなアクティブ部に対応する低い電圧のパルスと、大きなアクティブ部に対応する高い電圧のパルスとが形成され、アクティブ部を判定するための閾値を低い電圧に設定する必要がある。閾値電圧をあまりに低く設定してしまうと、ノイズによる影響を受けやすくなり、実用には向かなくなる。また、小さなアクティブ部を十分な電圧が得られるような大きさにすると、大きなアクティブ部はさらに大きくなる。これにより、エンコーダホイールの円周に設けられるアクティブ部の数は少なくなり、エンコーダホイール及びロータリエンコーダの本来の目的である速度検出の精度が低下する。
【0006】
上述の理由により、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサのみを用いて回転方向を検出することのできる磁気式のロータリエンコーダを実現することは困難であった。
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、磁気式であっても、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサで回転方向を検出することのできるエンコーダホイール、ロータリエンコーダ、及び回転方向検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転体の回転を検出するための磁気センサを備えて前記回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダに搭載され、前記回転体とともに回転するエンコーダホイールにおいて、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されるアクティブ部と、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されないインアクティブ部とが円周方向にそれぞれ複数配列された磁気パターンを有し、前記アクティブ部の各々は、前記円周方向に略同幅に形成され、前記インアクティブ部は、前記円周方向に第1の幅で形成された第1インアクティブ部、及び前記第1の幅と異なる第2の幅で形成された第2インアクティブ部を含み、回転したときに、前記磁気パターンは、前記アクティブ部が前記磁気センサと対向するタイミングが回転方向に応じて異なることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記第1インアクティブ部は、前記第2インアクティブ部よりも幅が広くてもよい。前記第2インアクティブ部は、前記アクティブ部と前記円周方向に略同幅に形成されていてもよい。連続して配列された4つの前記第1インアクティブ部の隣り合う前記第1インアクティブ部同士の間には、それぞれ異なるパターンで前記アクティブ部が配列されていてもよい。前記第1インアクティブ部の幅は、前記第2インアクティブ部の幅の略2倍に形成されていてもよい。前記インアクティブ部は、前記第1の幅よりも小さく、かつ、前記第2の幅よりも大きな第3の幅で形成された第3インアクティブ部をさらに含み、前記第3インアクティブ部は、連続して配列された2つの前記第1インアクティブ部の間に配置され、前記第3インアクティブ部と前記第1インアクティブ部の各々との間には、前記アクティブ部がそれぞれ異なるパターンで配列されていてもよい。
【0009】
また、本発明は、上記エンコーダホイールを備えたロータリエンコーダであってもよい。
【0010】
さらに、本発明は、回転体の回転を検出する磁気センサを備えて前記回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダであって、前記回転体とともに回転し、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されるアクティブ部と、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されないインアクティブ部とが円周方向にそれぞれ複数配列された磁気パターンを有し、前記アクティブ部の各々は、前記円周方向に略同幅に形成され、前記インアクティブ部は、前記円周方向に第1の幅で形成された第1インアクティブ部、及び前記第1の幅と異なる第2の幅で形成された第2インアクティブ部を含み、回転したときに、前記磁気パターンは、前記アクティブ部が前記磁気センサと対向するタイミングが回転方向に応じて異なるエンコーダホイールを備えた、ロータリエンコーダの回転方向検出方法において、前記ロータリエンコーダから出力された前記パルスに基づくパルス信号を取得するステップと、取得した前記パルス信号から、前記第1インアクティブ部に対応する第1インアクティブ範囲、及び前記第2インアクティブ部に対応する第2インアクティブ範囲からなるインアクティブ範囲を検出するステップと、検出した前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップと、前記インアクティブ範囲の前記配列パターンに基づいて前記回転体の回転方向を判断するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この場合において、前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップは、前記インアクティブ範囲の各々の長さ判断した後に、前記第1インアクティブ範囲の順番を判断してもよい。前記回転体の回転方向を判断するステップは、前記インアクティブ範囲の前記配列パターンに基づいて、前記アクティブ部に対応するアクティブ範囲の配列パターンを判断し、前記アクティブ範囲の配列パターンに基づいて前記回転体の回転方向を判断してもよい。前記アクティブ範囲の配列パターンは、隣り合う前記第1インアクティブ範囲間の前記アクティブ範囲の個数に基づいて判断してもよい。前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップは、前記インアクティブ範囲の長さの平均値を算出し、検出した前記インアクティブ範囲の各々が前記平均値よりも長いか否かを判断することにより、前記インアクティブ範囲の各々の長さ判断してもよい。前記インアクティブ範囲を検出するステップは、6つの前記インアクティブ範囲を検出してもよい。前記インアクティブ部は、前記第1の幅よりも小さく、かつ、前記第2の幅よりも大きな第3の幅で形成された第3インアクティブ部をさらに含み、前記インアクティブ範囲を検出するステップは、3つの前記インアクティブ範囲を検出し、前記インアクティブ範囲の配列パターンを検出するステップは、検出した前記インアクティブ範囲の各々の長さを判断し、前記アクティブ部に対応するアクティブ範囲と前記第1インアクティブ範囲との順番を判断してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、磁気式であっても、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサで回転方向を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係るロータリエンコーダに搭載されるエンコーダホイールを示す模式図である。
【図2】エンコーダホイールが半回転したときのパルス信号の波形を示す図である。
【図3】ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。
【図4】回転方向検出処理を示すフローチャートである。
【図5】回転方向検出処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係るロータリエンコーダに搭載されるエンコーダホイールを示す模式図である。
【図7】エンコーダホイールが半回転したときのパルス信号の波形を示す図である。
【図8】ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。
【図9】回転方向検出処理を示すフローチャートである。
【図10】回転方向検出処理を示すフローチャートである。
【図11】ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るロータリエンコーダに搭載されるエンコーダホイールを示す模式図である。
ロータリエンコーダは、回転体の回転を検出するための図示せぬ磁気センサを備え、回転体の回転に対応したパルスを出力するようになっている。本実施形態では、ロータリエンコーダは、自動車に車載され、回転体は例えばプロペラシャフトとともに回転し、回転体の回転に対応したパルスを電子制御ユニットであるECUに出力するようになっている。なお、本実施形態では、ロータリエンコーダが例えばプロペラシャフトの回転速度や回転方向を検出することにより、ECUは、自動車が走行する速度や前進及び後進を判断することができるようになっている。
【0015】
エンコーダホイール10は、回転体とともに回転するようになっている。このエンコーダホイール10は、磁気センサが対向したときにロータリエンコーダから高いパルスが出力されるアクティブ部1と、磁気センサが対向したときにロータリエンコーダから高いパルスが出力されないインアクティブ部2とが円周方向にそれぞれ複数配列されるように磁気がパターン化された磁気パターンを有している。なお、本実施形態に係るエンコーダホイール10は、アクティブ部1が磁気センサに向かって突出するように形成され、磁気センサとの距離に応じてパルス電圧が変化するように設けられている。
【0016】
アクティブ部1の各々は、エンコーダホイール10の回転方向に沿った円周方向に略同幅に形成されている。これにより、アクティブ部1の各々は、磁気センサにより検出される磁気の大きさが略同じになっている。
【0017】
インアクティブ部2は、エンコーダホイール10の円周方向に第1の幅で形成された第1インアクティブ部3と、第1の幅よりも円周方向に幅の広い第2の幅で形成された第2インアクティブ部4とを含んでいる。第1インアクティブ部3の幅は、円周方向に第2インアクティブ部4の幅の略2倍に形成されている。なお、本実施形態では、第2インアクティブ部4は、アクティブ部1と円周方向に略同幅に形成されている。
【0018】
連続して配列された4つの第1インアクティブ部3の隣り合う第1インアクティブ部3同士の間には、それぞれ異なるパターンでアクティブ部1が配列され、それぞれ1つのアクティブ部1を有する郡、2つのアクティブ部1を有する郡、及び3つのアクティブ部1を有する郡を形成している。エンコーダホイール10は、3つの郡により1つの周期パターンを形成している。図1においては、図中12時の位置近傍の隣り合う第1インアクティブ部3同士の間には、1つのアクティブ部1を有する郡が形成されており、エンコーダホイール10が正回転すると、2つのアクティブ部1を有する群、3つのアクティブ部1を有する群が図中12時の位置を順次通過するように磁気パターンが形成されている。なお、エンコーダホイール10が逆回転すると、3つのアクティブ部1を有する群、2つのアクティブ部1を有する群、1つのアクティブ部1を有する群が図中12時の位置を順次通過するようになっている。アクティブ部1とインアクティブ部2とで形成された磁気パターンは、エンコーダホイール10が回転したときに、アクティブ部1またはインアクティブ部2が磁気センサと対向するタイミングがエンコーダホイール10の回転方向に応じて異なるように形成されている。なお、本実施形態では、エンコーダホイール10が一周する際には、後半の磁気パターンが前半の磁気パターンと同じになるように形成されている。
【0019】
図2は、エンコーダホイールが半回転したときのパルス信号の波形を示す図である。また、図3は、ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。図2において、図2aは、正回転したときのパルス信号の波形を示し、図2bは、逆回転したときのパルス信号の波形をそれぞれ示している。また、図3において、図3aは、正回転したときの判断の様子を示し、図3bは、逆回転したときの判断の様子を示している。なお、図2では、パルス信号の波形において、インアクティブ部2に対応する範囲を、センサを通過した順にLow1、Low2、Low3、Low4、Low5、Low6としている。
【0020】
エンコーダホイール10が正回転すると、上述したように、アクティブ部1を1つ有する郡、アクティブ部1を2つ有する郡、アクティブ部1を3つ有する郡の順に磁気センサを通過するため、ロータリエンコーダは、図2aに示すような波形のパルス信号をECUに出力する。これにより、ECUは、基準m1とLow1との間にアクティブ部1に対応する1つのパルスの山(アクティブ範囲)を有するパルス郡、Low1とLow3との間にアクティブ部1に対応する2つのパルスの山を有するパルス郡、Low3とLow6との間にアクティブ部1に対応する3つのパルスの山を有するパルス郡があることを判断することができる。このため、ECUは、図3aに示すように、各郡のアクティブ部1に対応するパルスが、1つ、2つ、3つと変化したことから、エンコーダホイール10が正回転していると判断することができる。
【0021】
一方、エンコーダホイール10が逆回転すると、上述したように、アクティブ部1を3つ有する郡、アクティブ部1を2つ有する郡、アクティブ部1を1つ有する郡の順に磁気センサを通過するため、ロータリエンコーダは、図2bに示すような波形のパルス信号をECUに出力する。これにより、ECUは、基準n1とLow3との間にアクティブ部1に対応する3つのパルスの山を有するパルス郡、Low3とLow5との間にアクティブ部1に対応する2つのパルスの山を有するパルス郡、Low5とLow6との間にアクティブ部1に対応する1つのパルスの山を有するパルス郡があることを判断することができる。このため、ECUは、図3bに示すように、各郡のアクティブ部1のパルスが、3つ、2つ、1つと変化したことから、エンコーダホイール10が逆回転していると判断することができる。
【0022】
図4は、回転方向検出処理を示すフローチャートである。なお、図4では、図2に示すパルス信号の波形を取得したときの処理について説明している。
本実施形態における回転方向検出処理を実行する際には、先ず、ECUは、図4に示すように、ロータリエンコーダから出力されたパルスに基づくパルス信号の波形から、6つのインアクティブ部2に対応する6つのLowパルス(インアクティブ範囲)を検出する(ステップS1)。このとき、ECUは、パルス信号の波形から、連続する6つのLowパルスの長さを記憶部に順次記憶する。
【0023】
次に、ECUは、ステップS1で検出した6つのLowパルスの、長さの平均値を算出する(ステップS2)。平均値は、例えば、回転速度が一定の正回転の波形では、(Low1+Low2+Low3+Low4+Low5+Low6)/6=(2+1+2+1+1+2)/6=1.5となり、回転速度が一定の逆回転の波形では、(Low1+Low2+Low3+Low4+Low5+Low6)/6=(1+1+2+1+2+2)/6=1.5となる。
【0024】
次に、ECUは、ステップS1で記憶した6つのLowパルスの長さが、それぞれステップS2で算出した平均値よりも長いか否かを1つずつ判断する(ステップS3)。これにより、エンコーダホイール10の回転速度が変化した場合であっても、検出した6つのLowパルスの各々について平均値よりも長いか短いかを判断することにより、各Lowパルスが第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルス(第1インアクティブ範囲)であるのか、第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルス(第2インアクティブ範囲)であるのかを判断することができる。
【0025】
ステップS3において、平均値と比較したLowパルスが平均値よりも長いと判断すると(ステップS3:Yes)、ECUは、この長いと判断されたLowパルスの順番(インアクティブ範囲の配列パターン)を記憶する(ステップS4)。このとき、例えば、正回転の場合、第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルスの順番はLow1、Lo3、Low6であると記憶され、第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルスの順番はLow2、Low4、Low5であることがわかる。一方、逆回転の場合、第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルスの順番はLow3、Low5、Low6であると記憶され、第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルスの順番はLow1、Low2、Low4であることがわかる。
【0026】
次に、ECUは、ステップS1において記憶した6つのLowパルス全てについて平均値との比較が終了したか否かを判断する(ステップS5)。
一方、ステップS3において、平均値と比較したLowパルスが平均値よりも長くないと判断すると(ステップS3:No)、ECUは、ステップS5の処理に移行する。
【0027】
ステップS5において、6つのLowパルス全てについて平均値との比較が終了していないと判断すると(ステップS5:No)、ECUは、ステップS3から一連の処理を繰り返す。
【0028】
一方、ステップS5において、6つのLowパルス全てについて平均値との比較が終了したと判断すると(ステップS5:Yes)、ECUは、長いLowパルスの順番から、パルス郡の順番(アクティブ範囲の配列パターン)を判断する(ステップS6)。
【0029】
次に、ECUは、回転体の回転方向が正回転であるか否かを判断する(ステップS7)。このとき、ECUは、例えば、正回転の場合には、Low1とLow3との間には、アクティブ部1に対応する2つのパルスの山を有するパルス郡があり、Low3とLow6との間には、アクティブ部1に対応する3つのパルスの山を有するパルス郡があり、これらの判断結果からLow1の前に、アクティブ部1に対応する1つのパルスの山を有するパルス郡があると判断する。これにより、ステップS7において、ECUは、パルス郡の順番は、1つのパルスの山を有するパルス郡、2つのパルスの山を有するパルス郡、3つのパルスの山を有するパルス郡の順であることから正回転であると判断し(ステップS7:Yes)、正回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS8)、一連の処理を終了する。
【0030】
一方、ECUは、例えば、逆回転の場合には、Low3とLow5との間には、アクティブ部1に対応する2つのパルスの山を有するパルス郡があり、Low5とLow6との間には、アクティブ部1に対応する1つのパルスの山を有するパルス郡があり、これらの判断結果からLow3の前に、アクティブ部1に対応する3つのパルスの山を有するパルス郡があると判断する。これにより、ステップS7において、ECUは、パルス郡の順番は、3つのパルスの山を有するパルス郡、2つのパルスの山を有するパルス郡、1つのパルスの山を有するパルス郡の順であることから正回転ではないので(ステップS7:No)、逆回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS9)、一連の処理を終了する。
【0031】
以上の処理により、ECUは、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサのみを用いてエンコーダホイール10の回転方向を検出することができる。
本実施形態では、エンコーダホイール10が、エンコーダホイール10の円周方向に略同幅に形成された複数のアクティブ部1と、円周方向に異なる幅で形成された第1インアクティブ部3と、第2インアクティブ部4とを有しており、磁気センサで検出される磁気パターンが回転方向に応じて異なるように形成されている。これにより、アクティブ部1の大きさを一定に保つことにより、アクティブ部1に対応するパルスの電圧が一定となり、アクティブ部1を検出する閾値電圧を一定に保つことができるため、磁気式であってもパルスの検出が容易に、また確実にできる。また、アクティブ部1の大きさをエンコーダホイール上で一定に保ちつつ、適切に調節することにより、既存の磁気式センサと組み合わせることができる。さらに、自動車用途を考える場合、エンコーダホイール及びロータリエンコーダは速度検出を第一の目的としているため、速度検出の精度を損なうような実施形態は望ましくない。本実施形態では、アクティブ部1の数を既存のエンコーダホイールのアクティブ部の数と同じにしつつ、インアクティブ部2の大きさを適切に調節することができる。これにより、速度検出の精度を保ちつつ、既存の自動車用磁気センサと組み合わせが容易で、かつ回転方向検出が可能なエンコーダホイールを提供することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、アクティブ部1に対応するパルスの個数のみに基づいてエンコーダホイール10の回転を検出しているため、磁気センサや磁石の大きさを変えたことにより磁束が変わってしまっても、エンコーダホイール10の回転を検出することができる。
【0033】
さらにまた、本実施形態では、ECUは、パルス信号の波形におけるインアクティブ部2に対応する範囲であるLow1乃至Low6の長さの平均値を算出し、検出したLow1乃至Low6の各々が算出した平均値よりも長いか否かを判断することにより、Low1乃至Low6の各々の長さ判断している。これにより、ECUは、エンコーダホイール10の回転速度が変わっても、Low1乃至Low6がそれぞれ第1インアクティブ部3に対応するのか第2インアクティブ部4に対応するのかを確実に判断することができる。
【0034】
また、本実施形態では、エンコーダホイール10は、図1に示すように、30区画に区切られており、回転方向を判断するために検出する必要のある範囲、すなわち、3つのパルス郡の合計が15区画で構成され、この15区画中にアクティブ部1を6つも有している。これにより、各区画に用いられるマグネットの大きさを小さくすることなく、一周当りのアクティブ部1の個数を多くすることができるため、特に回転速度が低いときの回転速度の検出精度を高くすることができる。
【0035】
[2]第2実施形態
次に、第2実施形態のECUによる回転方向検出処理について図5を参照して説明する。図5は、回転方向検出処理を示すフローチャートである。本実施形態におけるフローチャートは、ステップS12、ステップS13、及びステップS17後段の処理が、図4に示す第1実施形態のフローチャートと異なっている。すなわち、図5に示すように、本実施形態におけるステップS11、ステップS14乃至ステップS17までの処理は第1実施形態におけるステップS1、ステップS4乃至ステップS7までの処理と同一である。
【0036】
以下、第1実施形態と異なっているステップS12、ステップS13、及びステップS17後段の処理について説明する。
本実施形態では、図5に示すように、ECUは、ステップS12において、ステップS11で検出した6つのLowパルスの、長さの中間値を算出している。また、ステップS13において、ECUは、ステップS11で記憶した6つのLowパルスの長さが、それぞれステップS12で算出した中間値よりも長いか否かを1つずつ判断している。ここで、中間値は、短いLowパルスの数をN、長いLowパルスの数をN、短いLowパルスの長さをS、長いLowパルスの長さをLとすると、
中間値={N×S+N×L×(N/N)}/{N+N×(N/N)}
という数式によって算出される。
【0037】
また、ECUは、ステップS17において、回転体の回転方向が正回転でないと判断した後に(ステップS17:No)、回転体の回転方向が逆回転であるか否かを判断している(ステップS19)。
【0038】
ステップS19において、回転体の回転方向が逆回転あると判断すると(ステップS19:Yes)、ECUは、回転体の回転方向が逆回転あることを記憶部に記憶し(ステップS20)、一連の処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS19において、回転体の回転方向が逆回転でないと判断すると(ステップS19:No)、ECUは、回転体の回転方向が判別不能である旨を記憶部に記憶し(ステップS21)、一連の処理を終了する。
【0040】
本実施形態では、長いLowパルスであるか否かを判断するのに中間値を用いている。これにより、例えば、エンコーダホイールにおいて各パルス郡に含まれる山の数を4つ、5つ、6つ、・・・と増やしていくことによって、平均値が1に近づいてしまい、ステップS11で検出したLowパルスを平均値と比較し難くなったとしても、より確実に長いLowパルスであるか否かを判断することができる。また、平均値が1に近づくと、測定誤差に対する対策を施しても、ノイズやその他の外的要因によって、正しくパルスが測定できなくなってしまうといった問題を解消することができる。さらに、短いLowパルスを長いLowパルスであると誤った判断をし難くなるため、エンコーダホイール10の回転速度が加速している場合に、測定開始直後の短いLowパルスの長さと、測定終了間近の長いLowパルスの長さとが同じ位になるほど速度が上がると、Lowパルスの長短の判別ができなくなってしまうといった問題を解消することができる。
【0041】
また、本実施形態では、正回転でないと判断した後に、逆回転であるか否かをさらに判断している。これにより、正回転でも逆回転でもないと判断したときに、判別不能であると判断して誤検出であることを検出することができる。
【0042】
[3]第3実施形態
次に、第3実施形態に係るロータリエンコーダに搭載されるエンコーダホイール、及び、ECUによる回転方向検出処理について説明する。
図6は、第2実施形態に係るロータリエンコーダに搭載されるエンコーダホイールを示す模式図である。
以下、第1実施形態と異なっている構成について説明する。
【0043】
本実施形態に係るエンコーダホイール20は、図6に示すように、第1インアクティブ部3が、エンコーダホイール20の円周方向に、アクティブ部1及び第2インアクティブ部4の3倍の幅で形成されている。
【0044】
インアクティブ部2は、エンコーダホイール20の円周方向に、第1インアクティブ部3の2/3倍の幅を有するとともに、第2インアクティブ部4の2倍の幅を有する第3インアクティブ部5をさらに含んでいる。この第3インアクティブ部5は、連続して配列された2つの第1インアクティブ部3の間に配置され、第3インアクティブ部5と第1インアクティブ部3の各々との間には、アクティブ部1がそれぞれ異なるパターンで配列されている。すなわち、一方は、1つのアクティブ部1が配列されており、他方は、1つの第2インアクティブ部4を挟んで2つのアクティブ部2が配列されている。
【0045】
図7は、エンコーダホイールが半回転したときのパルス信号の波形を示す図である。また、図8は、ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。図7において、図7aは、正回転したときのパルス信号の波形を示し、図7bは、逆回転したときのパルス信号の波形をそれぞれ示している。また、図8において、図8aは、正回転したときの判断の様子を示し、図8bは、逆回転したときの判断の様子を示している。なお、図7では、パルス信号の波形において、インアクティブ部2に対応する範囲を、センサを通過した順にLow1、Low2、Low3としている。
【0046】
エンコーダホイール20が正回転すると、上述したように、中間の長さを有する第3インアクティブ部5、短い第2インアクティブ部4、長い第1インアクティブ部3の順に磁気センサを通過するため、ロータリエンコーダは、図7aに示すような波形のパルス信号をECUに出力する。これにより、ECUは、基準p1から、第3インアクティブ部5に対応する中間の長さのLowパルス(第3インアクティブ範囲)、短い第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルス(第2インアクティブ範囲)、長い第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルス(第1インアクティブ範囲)の順であることを判断することができる。ここで、長い第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルスは、パルス信号の波形を、アクティブ部1を1つ有する郡とアクティブ部1を2つ有する郡とを有する一連のパターンで区切っている。また、中間の長さのLowパルスは、アクティブ部1を1つ有する郡とアクティブ部1を2つ有する郡とに区切っている。そして、短い第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルスは、アクティブ部1を2つ有する郡において2つのアクティブ部1を各々区切っている。このため、ECUは、図8aに示すように、パルス信号の波形が、アクティブ部1を1つ有する郡、アクティブ部1を2つ有する郡、長いLowパルスの順に変化したことから、エンコーダホイール20が正回転していると判断することができる。
【0047】
一方、エンコーダホイール20が逆回転すると、上述したように、短い第2インアクティブ部4、中間の長さを有する第3インアクティブ部5、長い第1インアクティブ部3の順に磁気センサを通過するため、ロータリエンコーダは、図7bに示すような波形のパルス信号をECUに出力する。これにより、ECUは、基準q1から、短い第2インアクティブ部4に対応する短いLowパルス、第3インアクティブ部5に対応する中間の長さのLowパルス、長い第1インアクティブ部3に対応する長いLowパルスの順であることを判断することができる。このため、ECUは、図8bに示すように、パルス信号の波形が、アクティブ部1を2つ有する郡、アクティブ部1を1つ有する郡、長いLowパルスの順に変化したことから、エンコーダホイール20が逆回転していると判断することができる。
【0048】
図9は、回転方向検出処理を示すフローチャートである。なお、図9では、図7に示すパルス信号の波形を取得したときの処理について説明している。
本実施形態における回転方向検出処理を実行する際には、先ず、ECUは、図9に示すように、ロータリエンコーダから出力されたパルスに基づくパルス信号の波形から、3つのインアクティブ部2に対応する3つのLowパルス(インアクティブ範囲)を検出する(ステップS31)。このとき、ECUは、パルス信号の波形から、連続する3つのLowパルスの長さを記憶部に順次記憶する。
【0049】
次に、ECUは、ステップS31で検出した3つのLowパルスにおいて、Low1がLow2よりも長いか否かを判断する(ステップS32)。
ステップS32において、Low1がLow2よりも長いと判断すると(ステップS32:Yes)、ECUは、Low1がLow3よりも長いか否かを判断する(ステップS33)。
【0050】
一方、ステップS32において、Low1がLow2よりも長くないと判断すると(ステップS32:No)、ECUは、Low2がLow3よりも長いか否かを判断する(ステップS34)。
【0051】
ステップS33において、Low1がLow3よりも長いと判断すると(ステップS33:Yes)、ECUは、Low2がLow3よりも長いか否かを判断する(ステップS35)。
【0052】
一方、ステップS33において、Low1がLow3よりも長くないと判断すると(ステップS33:No)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low3>Low1>Low2の順番であると判断する(ステップS36)。
【0053】
ステップS35において、Low2がLow3よりも長いと判断すると(ステップS35:Yes)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low1>Low2>Low3の順番であると判断する(ステップS37)。
【0054】
一方、ステップS35において、Low2がLow3よりも長くないと判断すると(ステップS35:No)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low1>Low3>Low2の順番であると判断する(ステップS38)。
【0055】
ステップS34において、Low2がLow3よりも長いと判断すると(ステップS34:Yes)、ECUは、Low1がLow3よりも長いか否かを判断する(ステップS39)。
【0056】
一方、ステップS34において、Low2がLow3よりも長くないと判断すると(ステップS34:No)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low3>Low2>Low1の順番であると判断する(ステップS40)。
【0057】
ステップS39において、Low1がLow3よりも長いと判断すると(ステップS39:Yes)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low2>Low1>Low3の順番であると判断する(ステップS41)。
【0058】
一方、ステップS39において、Low1がLow3よりも長くないと判断すると(ステップS39:No)、ECUは、Lowパルスの長さが、Low2>Low3>Low1の順番であると判断する(ステップS42)。
【0059】
ステップS36乃至S38、及びS40乃至S42において、Lowパルスの長さの順番を判断すると、ECUは、Lowパルスの長さの順番から、パルス郡(アクティブ範囲の配列パターン)と長いLowパルスとの順番(インアクティブ部の配列パターン)を判断する(ステップS43)。
【0060】
ステップS43において、パルス郡と長いLowパルスとの順番を判断すると、ECUは、回転体の回転方向が正回転であるか否かを判断する(ステップS44)。ここで、ECUは、パルス郡と長いLowパルスとの順番が、アクティブ部1に対応する1つのパルス山を有するパルス郡、アクティブ部1に対応する2つのパルス山を有するパルス郡、長いLowパルスの順番のときには、回転体の回転方向が正回転であると判断し(ステップS44:Yes)、正回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS45)、一連の処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS44において、ECUは、パルス郡及び長いLowパルスの順番が、アクティブ部1に対応する2つのパルス山を有するパルス郡、アクティブ部1に対応する1つのパルス山を有するパルス郡、長いLowパルスの順番のときには、回転体の回転方向が正回転ではないと判断し(ステップS44:No)、回転体の回転方向が逆回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS46)、一連の処理を終了する。
以上の処理により、ECUは、速度検出の精度を保ったまま、1つのセンサのみを用いてエンコーダホイール20の回転方向を検出することができる。
【0062】
本実施形態では、エンコーダホイール20が、エンコーダホイール20の円周方向に略同幅に形成された複数のアクティブ部1と、円周方向に異なる幅で形成された第1インアクティブ部3と、第2インアクティブ部4と、第3インアクティブ部5とを有しており、磁気センサで検出される磁気パターンが回転方向に応じて異なるように形成されている。これにより、アクティブ部1の大きさを一定に保つことにより、アクティブ部1に対応するパルスの電圧が一定となり、アクティブ部1を検出する閾値電圧を一定に保つことができるため、磁気式であってもパルスの検出が容易に、また確実にできる。また、アクティブ部1の大きさをエンコーダホイール上で一定に保ちつつ、適切に調節することにより、既存の磁気式センサと組み合わせることができる。さらに、自動車用途を考える場合、エンコーダホイール及びロータリエンコーダは速度検出を第一の目的としているため、速度検出の精度を損なうような実施形態は望ましくない。本実施形態では、アクティブ部1の数を既存のエンコーダホイールのアクティブ部の数と同じにしつつ、インアクティブ部2の大きさを適切に調節することができる。これにより、速度検出の精度を保ちつつ、既存の自動車用磁気センサと組み合わせが容易で、かつ回転方向検出が可能なエンコーダホイールを提供することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、アクティブ部1に対応するパルスの個数のみに基づいてエンコーダホイール20の回転を検出しているため、磁気センサや磁石の大きさを変えたことにより磁束が変わってしまっても、エンコーダホイール20の回転を検出することができる。
【0064】
さらにまた、本実施形態では、ロータリエンコーダから出力されるパルス信号の波形のパターンをシンプルにすることができる。
【0065】
[4]第4実施形態
次に、第4実施形態のECUによる回転方向検出処理について説明する。図10は、回転方向検出処理を示すフローチャートである。また、図11は、ECUがエンコーダホイールの回転方向を判断するときの様子を示す模式図である。図11において、図11aは、正回転したときの判断の様子を示し、図11bは、逆回転したときの判断の様子を示している。
【0066】
本実施形態におけるフローチャートは、図10に示すように、ステップS63以降の処理が、図9に示す第3実施形態のフローチャートと異なっている。すなわち、図10に示すように、本実施形態におけるステップS51乃至ステップS62までの処理は第3実施形態におけるステップS31乃至ステップS42までの処理と同一である。
【0067】
以下、第3実施形態と異なっているステップS63以降の処理について説明する。
本実施形態では、図10に示すように、ステップS56乃至S58、及びS60乃至S62において、Lowパルスの長さの順番を判断すると、Lowパルスの長さの順番から直接、回転体の回転方向が正回転であるか否かを判断している(ステップS63)。すなわち、ECUは、図11aに示すように、Lowパルスの長さが、中間の長さのLowパルス、短いLowパルス、長いLowパルスの順に変化したときに正回転であると判断し、図11bに示すように、Lowパルスの長さが、短いLowパルス、中間の長さのLowパルス、長いLowパルスの順に変化したときに逆回転であると判断する。ECUは、Lowパルスの長さの順番毎に、正回転であるか逆回転であるかを対応させたテーブルを格納しており、このテーブルを参照することにより、Lowパルスの長さの順番が正回転に対応している場合に、回転体の回転方向が正回転であると判断し(ステップS63:Yes)、正回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS64)、一連の処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS63において、Lowパルスの長さの順番が正回転に対応していない場合に、ECUは、回転体の回転方向が正回転でないと判断し(ステップS63:No)、回転体の回転方向が逆回転であるか否かを判断している(ステップS65)。このとき、ECUは、ステップS63と同様にテーブルを参照することにより、Lowパルスの長さの順番が逆回転に対応しているか否かを判断している。
【0069】
ステップS65において、回転体の回転方向が逆回転であると判断すると(ステップS65:Yes)、ECUは、逆回転である旨を記憶部に記憶し(ステップS66)、一連の処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS65において、回転体の回転方向が逆回転でないと判断すると(ステップS65:No)、ECUは、判別不能である旨を記憶部に記憶し(ステップS67)、一連の処理を終了する。
【0071】
本実施形態では、ECUは、Lowパルスの長さの順番から直接、回転体の回転方向が正回転であるか否かを判断している。これにより、回転体の回転方向の判断を簡略化することができる。
【0072】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記第1及び第2実施形態では、アクティブ部1のパルスが、正回転時に1つのパルス郡、2つのパルス郡、3つのパルス郡の順番になるように、また、上記第3実施形態では、1つのパルス郡、2つのパルス郡の順番になるようにエンコーダホイール10の磁気パターンを形成しているが、これに限定されることはない。正回転と逆回転とでパルス信号のパターンが異なれば、エンコーダホイールはその他の磁気パターンを有していても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、エンコーダホイール10の円形に形成された正面部分に磁気パターンを形成されているが、これに限定されることはない。磁気センサがエンコーダホイールの回転を検出することができれば、例えば、エンコーダホイールの外周に沿って形成された側面部分に磁気パターンが形成されていてもよい。
さらに、上記実施形態では、エンコーダホイール10は、アクティブ部1が磁気センサに向かって突出するように形成され、磁気センサとの距離に応じてパルス電圧が変化するように設けられているが、これに限定されることはない。アクティブ部とインアクティブ部との区別がつけば、例えば、磁気センサとの距離が一定となる面においてアクティブ部とインアクティブ部との磁束が異なるようにしたエンコーダホイールを用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 アクティブ部
2 インアクティブ部
3 第1インアクティブ部
4 第2インアクティブ部
5 第3インアクティブ部
10 エンコーダホイール
20 エンコーダホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を検出するための磁気センサを備えて前記回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダに搭載され、前記回転体とともに回転するエンコーダホイールにおいて、
前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されるアクティブ部と、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されないインアクティブ部とが円周方向にそれぞれ複数配列された磁気パターンを有し、
前記アクティブ部の各々は、前記円周方向に略同幅に形成され、
前記インアクティブ部は、前記円周方向に第1の幅で形成された第1インアクティブ部、及び前記第1の幅と異なる第2の幅で形成された第2インアクティブ部を含み、
回転したときに、前記磁気パターンは、前記アクティブ部が前記磁気センサと対向するタイミングが回転方向に応じて異なることを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項2】
請求項1に記載のエンコーダホイールにおいて、
前記第1インアクティブ部は、前記第2インアクティブ部よりも幅が広いことを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエンコーダホイールにおいて、
前記第2インアクティブ部は、前記アクティブ部と前記円周方向に略同幅に形成されていることを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンコーダホイールにおいて、
連続して配列された4つの前記第1インアクティブ部の隣り合う前記第1インアクティブ部同士の間には、それぞれ異なるパターンで前記アクティブ部が配列されていることを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンコーダホイールにおいて、
前記第1インアクティブ部の幅は、前記第2インアクティブ部の幅の略2倍に形成されていることを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンコーダホイールにおいて、
前記インアクティブ部は、前記第1の幅よりも小さく、かつ、前記第2の幅よりも大きな第3の幅で形成された第3インアクティブ部をさらに含み、前記第3インアクティブ部は、連続して配列された2つの前記第1インアクティブ部の間に配置され、前記第3インアクティブ部と前記第1インアクティブ部の各々との間には、前記アクティブ部がそれぞれ異なるパターンで配列されていることを特徴とするエンコーダホイール。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンコーダホイールを備えたことを特長とするロータリエンコーダ。
【請求項8】
回転体の回転を検出する磁気センサを備えて前記回転体の回転に対応したパルスを出力するロータリエンコーダであって、前記回転体とともに回転し、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されるアクティブ部と、前記磁気センサが対向したときに高い電圧の前記パルスが出力されないインアクティブ部とが円周方向にそれぞれ複数配列された磁気パターンを有し、前記アクティブ部の各々は、前記円周方向に略同幅に形成され、前記インアクティブ部は、前記円周方向に第1の幅で形成された第1インアクティブ部、及び前記第1の幅と異なる第2の幅で形成された第2インアクティブ部を含み、回転したときに、前記磁気パターンは、前記アクティブ部が前記磁気センサと対向するタイミングが回転方向に応じて異なるエンコーダホイールを備えた、ロータリエンコーダの回転方向検出方法において、
前記ロータリエンコーダから出力された前記パルスに基づくパルス信号を取得するステップと、
取得した前記パルス信号から、前記第1インアクティブ部に対応する第1インアクティブ範囲、及び前記第2インアクティブ部に対応する第2インアクティブ範囲からなるインアクティブ範囲を検出するステップと、
検出した前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップと、
前記インアクティブ範囲の前記配列パターンに基づいて前記回転体の回転方向を判断するステップと、を備えたことを特徴とする回転方向検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の回転方向検出方法において、
前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップは、前記インアクティブ範囲の各々の長さ判断した後に、前記第1インアクティブ範囲の順番を判断することを特長とする回転方向検出方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の回転方向検出方法において、
前記回転体の回転方向を判断するステップは、前記インアクティブ範囲の前記配列パターンに基づいて、前記アクティブ部に対応するアクティブ範囲の配列パターンを判断し、前記アクティブ範囲の配列パターンに基づいて前記回転体の回転方向を判断することを特長とする回転方向検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の回転方向検出方法において、
前記アクティブ範囲の配列パターンは、隣り合う前記第1インアクティブ範囲間の前記アクティブ範囲の個数に基づいて判断することを特長とする回転方向検出方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の回転方向検出方法において、
前記インアクティブ範囲の配列パターンを判断するステップは、前記インアクティブ範囲の長さの平均値を算出し、検出した前記インアクティブ範囲の各々が前記平均値よりも長いか否かを判断することにより、前記インアクティブ範囲の各々の長さ判断することを特長とする回転方向検出方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項に記載の回転方向検出方法において、
前記インアクティブ範囲を検出するステップは、6つの前記インアクティブ範囲を検出することを特長とする回転方向検出方法。
【請求項14】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の回転方向検出方法において、
前記インアクティブ部は、前記第1の幅よりも小さく、かつ、前記第2の幅よりも大きな第3の幅で形成された第3インアクティブ部をさらに含み、
前記インアクティブ範囲を検出するステップは、3つの前記インアクティブ範囲を検出し、
前記インアクティブ範囲の配列パターンを検出するステップは、検出した前記インアクティブ範囲の各々の長さを判断し、前記アクティブ部に対応するアクティブ範囲と前記第1インアクティブ範囲との順番を判断することを特長とする回転方向検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−225689(P2012−225689A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91449(P2011−91449)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】