エンコーダ
【課題】走査ユニットに対し基準尺がモアレ回転した時のインクリメンタル信号に対する基準パルス信号のずれをなくす。
【解決手段】基準尺は測定方向に平行に2つのインクリメンタル目盛トラックを有し、インクリメンタル目盛トラック間の基準位置に少なくとも1つの基準マークを具備する基準マークトラックを有する。走査ユニットは、走査線束が1つのインクリメンタル信号走査フィールドに少なくとも1回印加される。別態様は、測定方向に平行に延びる2つの基準マークトラックがそれぞれ少なくとも1つの基準位置に基準マークを有し、基準マークが1つの軸に対して鏡面対称に測定方向に構成され、基準マークトラック間にインクリメンタル目盛トラックを配置する。走査ユニットは、走査線束が1つの基準パルス信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加され、走査線束が2つのインクリメンタル信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。
【解決手段】基準尺は測定方向に平行に2つのインクリメンタル目盛トラックを有し、インクリメンタル目盛トラック間の基準位置に少なくとも1つの基準マークを具備する基準マークトラックを有する。走査ユニットは、走査線束が1つのインクリメンタル信号走査フィールドに少なくとも1回印加される。別態様は、測定方向に平行に延びる2つの基準マークトラックがそれぞれ少なくとも1つの基準位置に基準マークを有し、基準マークが1つの軸に対して鏡面対称に測定方向に構成され、基準マークトラック間にインクリメンタル目盛トラックを配置する。走査ユニットは、走査線束が1つの基準パルス信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加され、走査線束が2つのインクリメンタル信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のエンコーダは、互いに相対的に動く2つの物体の相対変位に関する周期的なインクリメンタル信号のほかに、いわゆる基準パルス信号も提供する。この基準パルス信号を介して、測定区間に添った所定の基準位置において、互いに相対的に動く2つの物体の位置に関する厳密な絶対的な関係を得ることができる。次に、この種の所定の絶対位置に対して、通例明らかに分解能が高いインクリメンタル測定を、以下のように関連付けることができる。
【0003】
基準パルス信号を生成するために、走査ユニットが走査する基準尺上にある基準マークに関する幾つかの構成方法が、現在既に知られている。
【0004】
通常の構成態様では、1つまたは複数の基準マークが、走査されるインクリメンタル目盛トラックに対して側方に隣接して配置される。これは、例えば、特許文献1に記載されている。しかし、この種の構成の問題点として明らかになっていることは、走査ユニットと基準尺とが基準尺平面に対して垂直な軸を中心に好ましくない回転(「モアレ回転」)を生じた場合に、インクリメンタル信号に対して、生成された基準パルス信号の位置がずれてしまうことである。その結果、位置測定に誤差が生じる。
【0005】
従って、例えば特許文献2に記されているように、2つのインクリメンタル目盛トラックを、基準尺の基準マークの両側に隣接して配置する構成方法も既に提案されている。この2つのインクリメンタル目盛トラックは、互いに対して目盛周期1つ分ずらして配置されており、その結果、それぞれ別個の走査手段によってこの2つのインクリメンタル目盛トラックを個別に走査することで、90°位相がずれた2つのインクリメンタル信号を生成することができる。確かに、この構成態様によって、モアレ回転に関連する誤差を最小限にすることが実現できるが、インクリメンタル目盛トラックの、この提案された走査方法が、特に高分解能の位置測定に最適であると明らかになっているわけではない。例えば、この解決策は、インクリメンタル目盛トラックを個別に走査するので、比較的コストが大きくなる。さらに、2つのインクリメンタル目盛トラックの一方が汚損されている場合、誤測定が生じる恐れがある。
【0006】
さらに、特許文献3によって、高分解能のエンコーダが知られている。この装置では、インクリメンタル目盛トラックの側方に隣接して、基準マークが、測定方向に沿って互いに反対向きにチャープされた目盛構造として配置されている。同様の基準尺側の構成態様は、特許文献4または特許文献5によっても知られている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第194611号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第303008号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19748802号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19921309号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第4021010号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、高分解能のインクリメンタル信号を生成すること、および、少なくとも1つの基準位置において基準パルス信号を生成することに適しており、かつ、基準尺および走査ユニットのモアレ回転による影響をできる限り小さくするエンコーダを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する第1のエンコーダによって解決される。
【0009】
第1のエンコーダの有利な実施形態は、請求項1の従属請求項に記載されている方法によって得られる。
【0010】
さらに、この課題は、請求項16に記載の特徴を有する第2のエンコーダによって解決される。
【0011】
第2のエンコーダの有利な実施形態は、請求項16の従属請求項に記載されている方法によって得られる。
【0012】
インクリメンタル信号と少なくとも1つの基準位置における基準パルス信号とを生成するための、本発明に係る第1のエンコーダは、走査ユニットとそれに相対して少なくとも1つの測定方向に可動な基準尺とを含む。基準尺は、測定方向に平行に延びる、周期的な目盛を具備する2つのインクリメンタル目盛トラックを含み、この2つのインクリメンタル目盛トラックの間に基準マークトラックが配置されている。基準マークトラックは、少なくとも1つの基準位置に基準マークを有する。走査ユニットは、基準パルス信号を生成するための第1の走査手段と、インクリメンタル信号を生成するための第2の走査手段とを含み、その際、インクリメンタル信号を生成するために、インクリメンタル目盛のそれぞれに対して、走査線束が、1つのインクリメンタル信号走査フィールドに少なくとも1回印加される。
【0013】
第1のエンコーダの本発明に係る構成は、基準尺および走査ユニットのモアレ回転が万一生じた場合にも、位置計測の際に誤差が生じないことを保証する。生成される基準パルス信号を所望のインクリメンタル信号周期に正確に割り当てることが、常に保証されている。これは、インクリメンタル目盛トラックと基準マークトラックとが、等しい、いわば中立なモアレ軸を共有するからであり、この軸を中心に基準尺と走査ユニットとが回転したとしても、誤測定を引き起こすことがない。
【0014】
本発明に係る解決法のもう1つの効果は、基準尺および走査ユニットの強いモアレ回転が生じた場合にも、比較的安定したインクリメンタル信号振幅が得られることだと言える。これは、特にインクリメンタル信号をさらに処理する場合、例えば、インクリメンタル信号を補間する場合に重要である。
【0015】
好ましくは、本発明に係る第1のエンコーダは、複数の構造要素を具備する基準マークを有しており、該構造要素が、基準尺面において測定方向に対して垂直方向である対称軸に対して、鏡面対称であるように配置されている。
【0016】
基準マークの構造要素は、有利には、基準尺面において測定方向に対して垂直方向に延びる対称軸(Sx)に対して、鏡面対称であるように配置されている。
【0017】
基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段を介して、基準尺上の基準マークに対して、1つの基準パルス走査フィールドに好ましくは1回印加が行われる。
【0018】
その際、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心と、基準パルス走査フィールドの中心とが、例えば、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における直線上に位置している。
【0019】
あるいはまた、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心が、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における直線上に位置しており、基準パルス走査フィールドの中心が、この直線に対して測定方向にずらして基準尺上に配置されている。
【0020】
好ましくは、基準マークは、基準位置において、
−基準尺平面において測定方向に対して垂直に第1の横周期性でもって周期的に配置されている少なくとも1組の第1の構造要素と、
−基準尺平面において測定方向に対して垂直に第2の横周期性でもって周期的に配置されている少なくとも1組の第2の構造要素とを有し、その際、第1および第2の横周期性が互いに異なっており、
−これらの構造要素が回折構造要素として構成されており、測定方向には、光学的に所定の焦点距離を有するシリンダレンズと同様の働きをし、測定方向に対して垂直方向には、第1または第2の横周期性を有する走査格子と同様の働きをし、
−これらの構造要素が、測定方向に、反射基準尺から焦点距離fだけ離れた位置に虚焦点または実焦点を持つ。
【0021】
有利には、基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段は、
−少なくとも1つの結像光学系と、絞り面に配置された少なくとも2つの絞り構造とを含む複数の光学素子、および
−少なくとも2つの基準パルス検出素子
を有する。
【0022】
その際、走査ユニットにおける結像光学系の寸法は、構造要素の像側焦点面の結像が絞り面に生じるように決定されている。その際、2つの絞り構造のアパーチャの配置構成が、基準マークの構造要素の配置に合わせて調整されている。
【0023】
有利には、走査ユニットにはさらに走査板が含まれており、この走査板上に絞り構造と結像光学系とが配置されている。
【0024】
また、例えば、インクリメンタル信号を生成するための、走査ユニット内の第2の走査手段は、
−複数の走査格子、少なくとも1つの結合格子と少なくとも2つの反射素子とを含む複数の光学素子を有し、該反射素子によって、第1のインクリメンタル走査フィールドから来る線束が後方反射され、さらに、
−複数のインクリメンタル信号検出素子を有する。
【0025】
その際、走査ユニットは走査板を含み、この走査板上に走査格子、結合格子および反射素子が配置されている。
【0026】
好ましくは、走査ユニットにはさらに光源が付設されており、この光源が、第1および第2の走査手段にインクリメンタル目盛と基準マークとを走査するための光を供給し、また、走査ユニットは分割格子を含み、この分割格子が、光源から来る線束を、基準パルス信号を生成する第1の走査手段用の第1の部分線束と、インクリメンタル信号を生成する第2の走査手段用の第2の部分線束とに分割する。
【0027】
その際、分割格子は、反射基準尺上の基準マークに対する収束照射が生じるように構成されている。
【0028】
分割格子は、基準尺側を向いた、走査板の面上に配置されている。
【0029】
次に、インクリメンタル信号と少なくとも1つの基準位置における基準パルス信号とを生成するための、本発明に係る第2のエンコーダは、走査ユニットとそれに相対して少なくとも1つの測定方向に可動な基準尺とを含む。基準尺は、測定方向に平行に延びる2つのインクリメンタル目盛トラックを含む。この2つのインクリメンタル目盛トラックは、それぞれ少なくとも1つの基準位置に基準マークを有し、これらは、測定方向に対称軸に対して対称に構成されている。基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛を有するインクリメンタル目盛トラックが配置されている。走査ユニットは、基準パルス信号を生成するための第1の走査手段を含み、その際、基準パルス信号を生成するために、基準マークの各基準マークトラックに対して、走査線束が、1つの基準パルス信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。さらに、インクリメンタル信号を生成するために走査ユニットには第2の走査手段が設けられており、その際、インクリメンタル信号を生成するために、インクリメンタル目盛に対して、走査線束が、2つのインクリメンタル信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。
【0030】
第2のエンコーダの本発明に係る構成は、第1の測定装置がそうであるように、インクリメンタル信号の幅と等しい幅を有する基準パルス信号が生成できることを保証する。従って、本発明に係るこれらの位置測定信号の信頼性が向上している。
【0031】
本発明に係る第2のエンコーダでは、基準マークが、好ましくは、基準尺面において測定方向に対して垂直方向である対称軸に対して、鏡面対称であるように構成されている。
【0032】
その際、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心は、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における第1の直線上に位置しており、さらに、基準パルス走査フィールドの中心は、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における第2の直線上に位置している。その際、両直線は、測定方向に互いにずらして基準尺上に配置されている。
【0033】
有利には、本発明に係る第2のエンコーダでは、基準マークがそれぞれシリンダレンズとして基準尺上に構成されており、このシリンダレンズが横周期性を持つことで、回折次数が1次の両方の光は、照射走査線束から空間的に分離されて、走査ユニット内の走査板に当たる。
【0034】
本発明に係る第2のエンコーダでは、基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段が、好ましくは複数の光学素子を有し、その光学素子の中には、複数の走査格子と反射素子とが含まれている。この反射素子によって、第1の基準マークトラックの第1の基準パルス走査フィールドから来る線束が、第2の基準マークトラックの第2の基準パルスフィールド内へ反射される。さらに、第1の走査手段は、1つまたは複数の基準パルス検出素子を含む。
【0035】
その際、走査ユニットは走査板を含み、この走査板の、基準尺側を向いた面上に、複数の回折走査格子が配置されており、走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されており、このダハプリズムは、反射素子として複数の鏡面を有する。
【0036】
本発明に係る第2のエンコーダでは、インクリメンタル信号を生成するための、走査ユニット内の第2の走査手段が、好ましくは複数の光学素子を有し、その光学素子の中には、複数の走査格子、オプションとしての結合格子、および少なくとも2つの反射素子が含まれている。さらに、この第2の走査手段は、複数のインクリメンタル信号検出素子を含む。
【0037】
その際、反射素子によって、好ましくは、第1のインクリメンタル信号走査フィールドから来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド内へ後方反射される。
【0038】
本発明に係る第2のエンコーダでは、さらに、好ましくは、走査ユニットが走査板を含む。走査板の、基準尺側を向いた面上に、複数の回折走査格子およびオプションとしての結合格子が配置されており、さらに、走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されている。このダハプリズムは、反射素子として複数の鏡面を有する。
【0039】
その際、有利には、走査ユニットにさらに光源が付設されており、この光源が、第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛と基準マークとを走査するための光を供給する。
【0040】
本発明のその他の詳細および効果については、本発明に係るエンコーダの実施例について図を参照しながら説明する中で明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1から図8bを参照しながら、以下において、本発明に係る第1のエンコーダと、特に、同装置を用いた、基準パルス信号RIの生成とについて説明する。
【0042】
図1aと図1bは、本発明に係る第1のエンコーダにおける基準パルス信号の生成のための部分走査光路をそれぞれ非常に図式化して示した図である。図1cは、このエンコーダにおいてインクリメンタル信号を生成するための部分走査光路を簡略的に示す。
【0043】
図1aから図1cおよびそれに代わる実施形態についてのそれ以降の類似した図において、基準パルス信号の生成のための部分走査光路がそれぞれ実線で示されており、一方、インクリメンタル信号を生成するための部分走査光路が破線で示されている。
【0044】
図示された、本発明に係る第1の光学エンコーダは、反射基準尺30として構成された基準尺と、それに相対して少なくとも1つの測定方向xに可動な走査ユニット10とを含む。反射基準尺30と走査ユニット10は、2つの互いに相対的に動く物体、例えば機械部品につながれている。このエンコーダを介して、相対的に動く両物体の位置に関する位置信号が生成され、(図示されていない)制御ユニットに送られる。制御ユニットは、この位置データを公知の方法で制御のために利用する。その際、本発明に係るエンコーダは、直線変位にも回転変位にも対応して構成可能である。
【0045】
図示された、本発明に係る第1のエンコーダは、後に述べるように、周期的なインクリメンタル信号INCA,INCBのほかに、測定区間に沿った少なくとも1つの既知の基準位置XREFにおいて基準パルス信号RIを供給する。次に、このように設定された既知の絶対位置に対して、明らかに分解能が高いインクリメンタル測定を、以下のように通常の方法で関連付けることができる。
【0046】
そのために、走査ユニット10は、基準パルス信号RIを生成するための第1の走査手段と、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための第2の走査手段とを含む。
【0047】
まず、第1の走査手段による基準パルス信号RIの生成について、そのために想定される部分走査光路を使って説明する。
【0048】
反射基準尺30として構成された基準尺は、周期的なインクリメンタル目盛33.1,33.2を具備する、測定方向xに延びる1つまたは複数のインクリメンタル目盛トラックのほかに、所定の基準位置XREFに少なくとも1つの基準マーク31を具備する基準マークトラックを含む。原則的に、当然ながら、複数の基準マークを異なった基準位置に、例えば、いわば間隔がコード化された基準マークなどの形で配置することが考えられる。
【0049】
図2aに示された反射基準尺30の部分平面図から見て取れるように、この態様では、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するために、2つの平行な同一のインクリメンタル目盛33.1,33.2が支持体32上に配置されている。両インクリメタル目盛33.1,33.2は、それぞれ測定方向xに目盛周期TPINCで配置された、異なる光学特性を有する線分状の目盛領域からなる。例えば、反射基準尺30は、異なった入射光位相格子であり、反射された線束に対して異なった位相シフト作用を有する部分領域が交互に組み合わされている。可能な1つの実施形態では、TPINCが0.5μmに選定される。目盛領域は、測定方向xに対して垂直である反射基準尺30の平面に、すなわち記載された方向y(以降、線分方向とも呼ぶ)に延びている。
【0050】
またもちろん、本発明に係る第1のエンコーダを、基準尺が透過基準尺として設けられた構成にすることも可能であることを、ここに指摘しておく。この基準尺では、例えば、異なった透過特性を有する目盛領域が交互に配置されている。
【0051】
基準位置XREFにおいて、インクリメンタル目盛33.1,33.2の両トラックの間に、基準マーク31が基準マークトラックに配置されている。基準マークは、インクリメンタル目盛33.1,33.2と同じように、異なった反射特性を有する部分領域あるいは構造要素31.1,31.2が所定の配置を得ることによって構成されている。本発明に係る第1のエンコーダの本例に対する、基準マークの好ましい構成について、以下でさらに詳細に説明する。
【0052】
本例では、走査ユニット10の側面に、光源14、例えばレーザダイオード、および、コリメート光学系16、基準パルス信号生成用の複数の基準パルス検出素子15.1,15.2、インクリメンタル信号生成用の複数のインクリメンタル信号検出素子20.1,20.2,20.3(図1c)、ならびにその他のさまざまな光学素子が配置されている。その際、基準パルス信号RIおよびインクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための、このさまざまな光学素子は、走査ユニット10における走査板11上に配置されており、これらについても以下で詳細に説明する。
【0053】
その際、基準パルス信号RIを生成するための前記第1の走査手段には、走査ユニット10内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニットに付設された構成部品が含まれる。その中には、少なくとも結合光学系12、および、絞り面に配置された、それぞれ複数のアパーチャを有する絞り構造13.1,13.2が含まれている。さらに、基準パルス検出素子15.1,15.2も第1の走査手段に含めることができる。
【0054】
光源14、コリメート光学系16およびさまざまな検出素子15.1,15.2,20.1,20.2,20.3は、走査ユニット10内あるいはそれに対応する走査ユニットハウジング内に必ずしも位置する必要はないことを、ここで指摘しておく。従って、本発明のその他の態様では、原則として、これらの構成部品を公知の方法で光導波路を介して走査ユニット10に付設すること、および、これらのさまざまな素子を立体的に別個に走査ユニット10の外部に配置することも可能であろう。
【0055】
コリメート光学系16を通過して平行になった線束は、分割格子19によって、基準パルス信号RIを生成するための走査光路(図1aから図1cにおける実線で示された輪郭線)と、インクリメタル信号INCA,INCBを生成するための走査光路(図1aから図1cにおける破線で示された輪郭線)とに分割される。図1bから看取できるように、これが意味することは、基準パルス信号の生成のために分割された部分線束が、反射基準尺30における両インクリメタル目盛33.1,33.2の間に位置する領域へ偏向されるということである。分割格子19の格子定数は、走査ユニット10と反射基準尺30との間の距離が標準走査距離である場合に、厳密に両インクリメタル目盛33.1,33.2の間の中央に位置する領域が照射されるように選定されるのが好ましい。この領域から、走査ユニット10の方向に後方反射が生じる。走査ユニット10において、後方反射された部分線束は、走査板11の下面に配置されている結像光学系12に当たる。結像光学系12は、さまざまな形状で走査板11上に構成することができ、例えば、個別のフレネルレンズとして構成することも可能である。あるいは、複数の単レンズからなるレンズアレイとして結像光学系12を構成することも可能である。これについては、以下の説明の中でさらに詳細に述べる。
【0056】
両インクリメンタル目盛33.1,33,2の間に基準マーク31を配置することは、本発明の重要な効果として、反射基準尺30および走査ユニット10がz軸を中心にもし回転(モアレ回転)した場合にも、インクリメンタル信号INCA,INCBに対する基準パルス信号RIの相対位置が(ひずみを生じる)変化を生じないという効果を生じる。しかも、これは、当該の装置としては比較的わずかなスペースで実現可能である。
【0057】
結像光学系12の寸法は、光学上、その像側の焦点面が、走査板11の上面あるいはそこに位置する絞り面と重なり合うように選定さている。この面には、それぞれ複数のアパーチャを有する2つの絞り構造13.1,13.2が配置されている。絞り構造13.1,13.2の背後には、2つの基準パルス信号検出素子15.1,15.2が、走査ユニット10内に配置されており、この基準パルス信号検出素子が、アパーチャを透過した光を検出する働きをし、従ってまた、基準パルス信号RIを生成するために用いられる信号S1,S2を検出する働きをする。物体側では、結像光学系12によって結像される焦点が、中立回転中心と反射基準尺30の表面との間の、半分の距離の高さに位置している。すなわち、結像光学系12は、物体側では、システムに依存する中立回転中心の位置から生じる平面あるいは点に合わせて調整されている。その際、中立回転中心と定められているのは、走査ユニット10または反射基準尺30が傾斜する際に中心となり得る点であり、しかも、その際、位置測定に誤差が生じることのない点である。すなわち、基準パルス信号RIまたはインクリメンタル信号INCA,INCBの生成の際に誤差が生じることのない中心点である。この場合、中立回転中心は、システムの条件に応じて、異なった面、および基準尺平面、さらに基準尺平面の下方または上方に位置することも可能である。
【0058】
基準パルス信号RIを生成するために重要なことは、反射基準尺30の側面上における基準マーク31の構成の選定である。基準尺の適切な構成によって、基準位置XREFにおいて基準パルス信号RIを確実に検出することが可能となる。基準マーク31の詳細な説明として、特に図2aが参考となる。図2aは、反射基準尺30の基準位置XREFの部分を示す平面図である。
【0059】
基準マーク31は、基準位置XREFの領域において、2つのインクリメンタル目盛33.1,33.2の間に第1組の構造要素31.1と第2組の構造要素31.2とを所定の幾何学的配置で有する。両組の構造要素31.1,31.2は、反射基準尺30の平面において測定方向xに対して垂直方向に、すなわち記載された線分方向yに、第1の横周期性T1あるいは第2の横周期性T2でもって周期的に配置されている。その際、第1および第2の構造要素31.1,31.2の両組の横周期性T1,T2は、図2aからも分かるように、互いに異なっており、例えば、T1を2.4μm、T2を2.0μmに選定することが可能である。
【0060】
図2aに示された、本発明に係る第1のエンコーダの例では、基準マーク31が、全部で、別個の4組の第1の構造要素31.1、および別個の4組の第2の構造要素31.2を含んでおり、これらは、測定方向xに互いに平行に隣接して配置されている。従って、測定方向xには、全部で8組の構造要素31.1,31.2が配置されている。それぞれ4組の第1の構造要素31.1と第2の構造要素31.2は、測定方向xに、対称軸Sに対して鏡面対称に配置されている。対称軸Sは、反射基準尺30の平面において、測定方向xに対して垂直方向を向いている。対称軸Sは、本例では、精確に基準位置XREFにあり、異なった横周期性T1,T2を有する構造要素31.1,31.2は、対称軸Sに対して鏡面対称に向かい合っている。
【0061】
図2aにおける基準マーク31の部分拡大図から分かるように、各構造要素31.1,31.2は、本例では、横方向yに平行に延びる2本の境界直線と、縦方向xに平行に延びる湾曲した境界線とからなる断面形状を有している。選定されたこの断面形状から、後にさらに詳細に説明する、これらの要素の光学的作用が生じる。第1および第2の構造要素31.1,31.2を伴う組が異なっている主要な点は、個々の構造要素31.1,31.2が方向yに周期的に配置される際の横周期性T1,T2の相違である。
【0062】
次に、基準パルス信号RIを生成するために用いられる、走査ユニット10の分割格子19から来る部分線束が、第1組および第2組の構造要素31.1,31.2を具備する基準マーク31の領域に当たると、部分線束は、組によって横周期性T1およびT2が異なっているために、y−z平面におけるy方向にも違ったように偏向される。その際、各偏向角は、公知の方法で、各横周期性T1,T2と直接関連している。基準マーク31から後方反射された部分線束は、走査ユニット10内の結像光学系12を介して、絞り面に結像される。そこに配置されている2つの絞り構造13.1,13.2は、それぞれ複数のアパーチャの幾何学的配置が、基準マーク31の第1組および第2組の構造要素31.1,31.2の幾何学配置に合わせて調整されている。すなわち、第1の絞り構造13.1のアパーチャは、第1組の構造要素31.1の配置に合わせて調整されており、第2の絞り構造13.2のアパーチャは、第2組の構造要素31.2の配置に合わせて調整されている。これは、図2aと図3bを比較すると分かる。すなわち、図2aに示された例では、第1の構造要素31.1が4組設けられており、それらには、それに合わせて調整された第1の絞り構造13.1が、4つのアパーチャを有して付設されている。同様に、第2の絞り構造要素31.2の4組に、それに合わせて調整された、第2の絞り構造13.2の4つのアパーチャが付設されている。もちろん、アパーチャの数および構造要素の組数は、別の数であってもよい。アパーチャの位置を選定する際、当然、結像光学系12によって生じる結像スケールmも考慮しなければならない。
【0063】
この種の調整を行うことによって、基準位置XREFに隣接する領域において、絞り構造13.1,13.2の背後に配置された2つの基準パルス検出素子15.1,15.2が、それによって検出された信号S1,S2の信号最大値を検出することが可能となる。
【0064】
上述したように、また、結像光学系は、複数の単レンズを含むレンズアレイとしても構成可能である。これにより、構造要素の、線分方向yに長い組を絞り面に結像することができる。これは、検出される信号の信号強度の点で効果をもたらす。この場合、構造要素組の各部分配列は、各単レンズによって結像される。この態様でも、構造要素31.1.31・2の各組に、絞り構造13.1,13.2のアパーチャが、所定どおりに付設されている。アパーチャの位置は、この場合も、結像スケールmを有する結像光学系12を介した、構造要素31.1,31.2の組の結像に基づいて、調整されて決められる。
【0065】
図2bも、本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺30の基準位置XREF領域を示す平面図である。図2aに示された図に加えて、図2bでは、2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2が2つのインクリメンタル目盛33.1,33.2に描かれており、このフィールドに対して、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための走査線束がそれぞれ1回印加される。さらに、図2bから、基準マークの領域に基準パルス信号走査フィールド51が見て取れる。このフィールドに対して、基準パルス信号RIを生成するために、走査線束が第1の走査手段によって1回印加される。
【0066】
図2bから分かるように、この例では、2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2の中心と基準パルス信号走査フィールド51の中心は、測定方向xに対して垂直方向の、基準尺平面における直線Gy上に位置している。反射基準尺30におけるこれらの各走査フィールド51,53.1,53.2の位置は、第1および第2の走査手段をそれらに対応して配置することによって、適切に調整される。
【0067】
2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2の間に基準パルス走査フィールド51が配置されているので、もし基準尺30および走査ユニット10のモアレ回転が生じた場合にも、システムの所望の安定性が実現できる。
【0068】
これにわずかな変更を加えられ、各走査フィールド51’、53.1’、53.2’の位置が異なった態様が、図2cに示されている。ここでも、第1および第2の走査手段の配置は、反射基準尺30’における2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1’、53.2’の中心が、測定方向xに対して垂直方向の、基準尺平面における直線Gy’上に位置するように構成されている。しかし、基準パルス信号走査フィールド51’の中心は、測定方向xにずらして配置されている。この態様では、基準尺および走査ユニット10がz軸を中心にモアレ回転した場合に、基準パルス信号RIの位置が、モアレ角の影響を比較的受けず済むことができる。さらに、この態様では、走査フィールドの位置がずれているので、インクリメンタル目盛トラックに対する望ましくないノイズのクロストークを最小限にすることが可能である。
【0069】
基準位置XREFを中心とする領域において基準パルス検出素子15.1,15.2に印加される信号S1,S2が、図4aに示されている。これらの信号S1,S2から、どのように最終的に所定の基準パルス信号RIが生成できるかを、以下の説明においてさらに詳細に述べる。
【0070】
次に、第2の走査手段によるインクリメンタル信号INCA,INCBの生成については、特に図2および図1aと1bに示されている。これらには、インクリメンタル信号生成のための部分走査光路が、それぞれ破線で示されている。
【0071】
そこでは、光源14から放出されたインクリメンタル信号生成用の線束は、偏向されることなく分割格子19を通過した後、反射基準尺32上のインクリメンタル目盛33.2に達する。そこから、x−z平面において分割された部分線束が、走査ユニット10の方向へ後方反射され、そこで、走査板11の下面に配置された走査格子18.3,18.4を通過する(図1a)。これらの走査格子は、部分線束をy方向へ偏向させ、その結果、部分線束は、走査板11の上面にある2つの反射素子17.1,17.2に当たる(図1b)。反射素子17.1,17.2から、両部分線束の後方反射が、走査板11の下面の更なる走査格子18.1,18.2の方向へ生じる。これらの走査格子は、部分線束を、反射基準尺30上にある第2のインクリメンタル目盛33.1の方向へ、再び偏向して返す(図2)。インクリメンタル目盛33.1から、もう1度、部分線束の後方反射が走査ユニット10の方向へ生じる。そこで、この2つの後方反射された部分線束は、走査板11の下面にある結合格子18.5へ達する。結合格子18.5から、最終的に3組の干渉する部分線束が、背後に配置された3つのインクリメンタル信号検出素子20.1,20.2,20.3の方向へ伝播する。インクリメンタル信号検出素子は、それぞれ120°ずつ位相がずれた3つの周期信号を検出する働きをし、その周期信号は、位相のずれに応じて変調される。これらの信号は、最終的に、公知の方法で、(図示されていない)背後に配置された電子装置を介して、位相が90°ずれた2つのインクリメンタル信号INCA,INCBに変換される。また、インクリメンタル走査との関連については、本出願人の独国特許出願公開102006042743.2号明細書を参照のこと。
【0072】
この場合にも、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための前記の第2の走査手段に、走査ユニット10内のさまざまな光学素子または走査ユニット10に付設された構成部品が含まれている。その中には、少なくとも複数の走査格子18.1から18.4、少なくとも1つの結合格子18.5、および少なくとも2つの反射素子17.1,17.2が含まれている。さらに、インクリメンタル検出素子20.1,20.2,20.3を、第2の走査手段に含めることができる。
【0073】
走査板11の上面および下面における基準パルス信号RI生成用およびインクリメンタル信号INCA,INCB生成用のこれらのさまざまな光学素子の配置が、図3aおよび図3bに示されている。
【0074】
既に上述したように、基準位置XREFの領域において、基準パルス検出素子15.1,15.2を介して信号S1,S2が生成される。この信号は図4aに示されている。しかし、幅が約15μmの信号S1,S2では、基準パルス信号RIにはまだ十分狭くはなく、特に、信号周期が例えば0.5μmの、前述の高分解能のインクリメンタル信号INCA,INCBを利用する場合には十分に狭くはない。その際、原則として、基準位置XREF領域における幅が、生成されたインクリメンタル信号INCA,INCBの幅に等しい基準パルス信号RIを出力側で利用できるようにすることが望ましい。これにより、本例では、図5に示された回路構成によって信号S1,S2の更なる処理が行われることが想定されている。この処理については、以下で説明する。
【0075】
この例では、基準パルス信号検出素子15.1,15.2における信号S1,S2は、まず、電流電圧変換器21.1,21.2に送られる。次に、下流側に配置された加算器および減算器22,23を介して、和信号S1+S2および差信号S1−S2が形成される。この和信号S1+S2および差信号S1−S2は、図4bの基準位置XREFの領域に示されている。次に、和信号S1+S2は、第1の比較器24.1に送られ、この比較器のもう一方の入力部には基準信号またはトリガ閾値TR1が印加される。差信号S1−S2は、第2および第3の比較器24.2,24.3に送られ、これらの比較器の入力部には、トリガ閾値TR3およびTR2が基準信号として印加されている。図4bでは、和信号S1+S2および差信号S1−S2について、さまざまなトリガ閾値の位置が示されている。次に、第1の比較器24.1の出力信号は、第1のANDゲート25.1に送られる。このANDゲートの第2の入力部には、第2のANDゲート25.2の出力信号が印加される。この第2のANDゲートには、第2および第3の比較器24.2,24.3の出力信号が印加されている。トリガ閾値TR1,TR2,TR3が図のように選択され、図のように結線されている場合、すなわち、これらによって生じる論理ANDゲートを介した場合、ANDゲート25.1の出力部に所望の基準パルス信号RIが生成され、この基準パルス信号は、生成されたインクリメンタル信号INCA,INCBの幅bINCと等しい0.5μmの幅bRIを有する。これが図4cに示されている。
【0076】
では次に、反射基準尺30の面上にある基準マーク31の有利な構成について、さらに詳細に説明する。以下で説明する方策によって、特に、基準パルス信号RI生成の際の中立回転中心の位置を、インクリメンタル信号生成の際の中立回転中心に適合できることが保証される。これは、走査ユニット10および反射基準尺30が傾斜した場合に誤測定を避けるための重要な方策である。
【0077】
このために、既に上述した、基準マーク31の構造要素31.1,31.2を回折光学素子あるいは回折構造要素として構成し、この構造要素が、測定方向xに光学的に所定の焦点fを有するシリンダレンズのように作用し、従って、測定方向xに虚焦点または実焦点を、反射基準尺から焦点距離fだけ離れた位置に有することが想定されている。y−z平面において、構造要素31.1,31.2は、光学的作用として、横周期性T1またはT2を有する格子として働く作用を持つ。
【0078】
好ましくは、システム上の条件により、インクリメンタル信号走査の中立回転中心が反射基準尺30の上方または下方に位置するとき、これらの構造要素31.1,31.2の、選定された焦点距離fは、インクリメンタル信号走査の中立回転中心から反射基準尺30までの距離の半分に等しい。このようにして、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置を、インクリメタル信号生成の中立回転中心に適合させることが可能である。従って、走査ユニット10および反射基準尺30が傾斜した場合にも、この方法以外でなら生じる位置測定時の誤差を避けることができる。
【0079】
さらに、走査ユニット10における結像光学系12を物体側で構造要素31.1,31.2の焦点面の位置に適合させることが想定されている。この焦点面は、結像光学系12を介して、絞り構造13.1,13.2が配置されている絞り面に結像される。これらの要件は、結像光学系12の位相関数によって、下記式1で表すことができる。
【0080】
【数1】
(式1)
ただし、
λ0 = 用いられる光源の波長
x = 測定方向の座標
a1 = 基準尺平面と結像光学系との間の距離
a2 = 結像光学系と絞り面との間の距離
n = 走査板の屈折率
f = 基準マークの構造要素の焦点距離
【0081】
ここで言う位相関数とは、結像光学系12の幾何学的形状を等高線状に示したものである。
【0082】
結像光学系12による結像スケールは、下記式2で示されるように選定されるのが好ましい。
【0083】
【数2】
(式2)
ただし、
a1 = 基準尺平面と結像光学系と間の距離
a2 = 結像光学系と絞り面との間の距離
n = 走査板の屈折率
f = 基準マークの構造要素の焦点距離
【0084】
図6aには、中立回転中心Nが、走査条件により、明らかに基準尺平面の下方に位置する場合が図式的に示されている。基準マーク31の構造要素31.1,31.2の焦点距離fは、明らかなように、反射基準尺30から中立回転中心Nまでの距離の半分に等しくなるように選定され、その焦点距離の位置に合わせて結像光学系12が調整される。
【0085】
これに対して、図6bは、中立回転中心Nが明らかに基準尺平面の上方に位置する場合を図式的に示している。この場合も同様に、基準マーク31の構造要素31.1,31.2の焦点距離fは、明らかなように、反射基準尺30から中立回転中心Nまでの距離の半分に等しくなるように選定され、また、その焦点距離の位置に合わせて結像光学系12が調整される。
【0086】
図6bに示された状況の場合、反射基準尺30がy方向の軸を中心に角度αだけ傾斜したとき(図6cを参照)、結像光学系12の焦点は移動し、2fα分だけ直線的に接近する。これは、インクリメンタル信号の変位量に一致する。すなわち、基準パルス信号の生成とインクリメンタル信号の生成とは、傾斜による影響を同等に受ける。
【0087】
従って、基準マークの、説明してきたこの構成では、第1のエンコーダにおいて、基準パルス信号生成の中立回転中心は、インクリメンタル信号生成の中立回転中心に一致させることができる。そのとき、両信号は、本発明に係る方策を用いることで、反射基準尺が測定ユニットに対して傾斜した場合にも、それによる同等の影響を受ける。所定の光学的作用を有する構造要素を用いた上述の解決策は、特にインクリメタル信号生成の中立回転中心が、走査条件によって明らかに基準尺平面から離れた位置に来る場合に、特に有利に、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置を適合させることを可能にする。
【0088】
然るべき走査原理を用いる場合、さらに、インクリメンタル信号生成の中立回転中心が、基準尺平面の比較的近くに隣り合う位置になるようにすることが可能である。この場合、有利であることが明らかなことは、構造要素の各組を、上述の光学的なシリンダレンズ特性を持つように構成するのではなく、これらの構造要素の断面形状を四角形に構成することである。一方に所定の光学的作用を有する上述の構造要素を備えた組と、もう一方にその種の光学的作用を伴わない構造要素を備えた組とからなる混成配置によって、基準パルス信号生成の中立回転中心を基準尺平面のすぐ近くに移動させることができる。
【0089】
図7a、図7bおよび図8aと図8bを参照しながら、以下で、本発明に係る第1のエンコーダの1つの態様を説明する。この態様は、前述の例とわずかに異なっている。図7aおよび図7bは、前述の例と同じように、本発明に係る第1のエンコーダのこの態様における部分走査光路を示す。図8aおよび図8bは、走査板の下面および上面の平面図である。以下においては、主に、前述の例と異なる構成部品あるいはそれらの機能のみを説明する。
【0090】
これらの図では、実線で示された部分走査光路は、基準パルス信号を生成する働きをする走査光路を表し、破線で示された部分走査光路は、インクリメタル信号を生成するための走査光路を表している。
【0091】
最初の例と異なり、まず、反射基準尺330の基準マーク331に対して収束照射が行われることが想定されている。基準マーク331に対する収束照射が、明らかに有している効果は、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置が、反射基準尺330と走査ユニット310との間の走査距離にほとんど影響されないことである。図7bには、この収束照射光路が、分割格子319と基準マーク331との間に示されている。インクリメンタル信号生成の中立回転中心の位置が走査距離に影響されないことは、そのためにインクリメンタル目盛333.1,333.2を選択的に走査することによって保証されている。
【0092】
基準マーク331に対するこの種の収束照射を保証するために、本発明に係る第1のエンコーダの、図示された態様では、分割格子319が、走査ユニット310内に結像レンズとして、湾曲した格子線を有する回折分光器の形に構成される。これは、図8aにおける走査板311の下面の平面図にも示されている。
【0093】
本発明に係るエンコーダのこの態様では、分割格子319が結像レンズとして構成されている結果、また、走査光路も変わる。そこで重要なことは、走査格子319と絞り構造313.1,313.2とを走査板311上に相対的に精確に位置決めしておくことによって、発生する基準パルス信号の位置が、走査光路が変わった場合にも、変化しないようにすることができることである。これらの構成部品を、製造時に精確に位置決めすることが技術上より簡単に実現できるように、この態様では、絞り構造313.1,313.2と分割格子319とを、前記の例と異なり、走査板311の同じ面上に配置することが想定されている。図8aは、走査板311の下面を示し、結像光学系312.1,312.2の構成部品に対してy方向に隣接して、それぞれ絞り構造313.1,313.2が配置されている。
【0094】
これに代えて、また、絞り構造と分割格子とを走査板の上面に配置することも可能であろう。
【0095】
本態様において、絞り構造313.1,313.2を走査板311の下面に配置できるように、走査光路には、上記の例とは異なり、さらに反射素子321.1,321.2が走査板311上面に配置されている。これは、例えば図8bに示されている。これは、走査光路に関して、次のような結果をもたらす。すなわち、図7bから分かるように、基準マーク331から走査ユニット310の方向に反射された部分線束が、まず、(本例では2つの構成部品からなる)結像光学系312.1,312.2から、追加された反射素子321.1,321.2を介して、走査板311の下面の絞り構造313.1,313.2の平面に投影される。図8bに示された走査板311の上面図には、反射素子321.1,321.2が見て取れる。次に、走査板311の下面にある絞り構造313.1,313.2から、基準パルス信号を生成するための検出素子315.1,315.2の方向へ後方反射が生じる。このような光路であるので、本態様では、絞り構造313.1,313.2は、当然、透光性/非透光性の構造としてではなく、反射性/非反射性の構造として構成されている。
【0096】
前記の例に対してわずかな変更が加えられた、基準パルス信号を生成するためのこの走査光路は、最後にもう1つの変化を伴う。それは、図7bから分かるように、結像光学系312.1あるいは312.2によって、結像を行う光学的作用のほかに、さらに、それぞれy方向の、横向きの偏向作用が生じる必要があることである。これが保証されるのは、結像光学系312.1,312.2が、それぞれ回折格子レンズ構造として構成されるときである。これが、図8aの走査板311の下面図に図式的に示されている。
【0097】
上述のこれらの変更点を除けば、本発明に係る第1のエンコーダのこの態様では、基準パルス信号およびインクリメンタル信号の生成は、前記例と同様に行われる。
【0098】
図9a、9b、10および11を参照しながら、最後に、本発明に係る第2のエンコーダについて説明する。
【0099】
図9aおよび図9bも、非常に図式的な形で、本発明に係る第2のエンコーダにおけるインクリメンタル信号および基準パルス信号を生成するための部分走査光路を示した、それぞれ別方向からの正面図である。
【0100】
図9aおよび図9bには、基準パルス信号生成のための部分走査光路がそれぞれ実線で描かれており、一方、インクリメンタル信号生成のための部分走査光路が破線で示されている。
【0101】
本発明に係る第2のエンコーダも、走査ユニット410を含み、この走査ユニットが、反射基準尺430として構成された基準尺に相対して、少なくとも測定方向xに可動に配置されている。
【0102】
反射基準尺430は、本発明に係る前記の第1のエンコーダと異なり、測定方向xに平行に延びる2つの基準マークトラックを持ち、これらの基準マークトラックは、それぞれ少なくとも1つの基準位置XREFに基準マーク431.1,431.2を有している。この場合、基準マーク431.1,431.2は、図10に示された、測定方向xに沿って延びる対称軸SXに対して対称に構成されている。これらの基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛433を有するインクリメンタル目盛トラックが配置されている。
【0103】
走査ユニット410は、基準位置XREFに基準パルス信号RIを生成するための第1の走査手段を含む。この第1の走査手段あるいはそれに対応する走査光路によって、基準パルス信号RIを生成するために、基準マークトラックにおける基準マーク431.1,431.2に対して、走査線束が、1つの基準パルス走査フィールド451.1,451.2にそれぞれ少なくとも1回印加されることが保証される。図10には、対応する基準パルス走査フィールド451.1,451.2が、基準マークトラックに描き込まれている。
【0104】
さらに、走査ユニット410の面上には、第2の走査手段が設けられており、この第2の走査手段が、周期的なインクリメンタル信号INCA,INCBを生成する働きをする。第2の走査手段は、適当な走査光路によって、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するために、インクリメンタル目盛433の2つのインクリメタル信号走査フィールド453.1,453.2に対して、それぞれ少なくとも1回印加が行われることを保証する。これも、同様に図10に示されている。
【0105】
インクリメンタル目盛433の両側に隣接して配置された基準マーク431.1,431.2は、それぞれシリンダレンズとして構成されており、これらは、既に上述したように、対称軸Sxに対して鏡面対称に設けられている。対称軸Sxは、基準尺平面において測定方向xに対して平行に延びている。さらに、有利なことが明らかであるのは、基準マーク431.1,431.2も、基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びるもう1つの対称軸Syに対して、鏡面対称に設けられる場合である。
【0106】
そこでまず、本発明に係る第2のエンコーダにおける基準パルス信号RIの生成と、第1の走査手段によって得られる走査光路とについて説明する。この走査光路は、図9aと図9bに実線で示されている。
【0107】
ここでは、(図示されていない)光源から放出された平行な線束SRIは、まず、反射基準尺430上の第1の基準マーク431.2に達する。そこでは、入射線束が回折し、回折次数+/−1の反射光に分割され、反射光は走査ユニット410の方向へ伝播する。後方反射され、回折された線束を入射線束から十分に空間的に分離するために、あるいは、それらをx−z平面に十分に分割するために、シリンダレンズとして構成された基準マーク431.1は、横周期性TRI1を有する。
【0108】
走査ユニット410へ向かって後方反射され、発散する部分線束はそれぞれ、走査ユニット410内において、走査板411の下面に配置された回折走査格子418.1,418.2に達する。走査格子418.1,418.2は、入射する部分線束を再び平行にし、これらの線束を走査板平面に対して偏向する。その際、その偏向は、これらの線束の光軸が、走査板411の通過後、走査板平面に対して垂直方向になるように行われる。次に、これらの部分線束は、背後に配置されたダハプリズムの鏡面に達し、この鏡面が反射素子413.1,413.2として機能し、部分線束を2つの更なる回折走査格子418.3,418.4の方向へ偏向する。これらの更なる回折走査格子も走査板411の下面に配置されている。この2つの走査格子418.3,418.4を介して、2つの部分線束は、再び偏向されて、基準尺430上にある第2の基準マーク431.2の方向へ収束しながら伝播する。横周期性TRI2を有するシリンダレンズとして構成された第2の基準マーク431.2の領域で、これらの部分線束は干渉し合い、そこから再び走査ユニット410の方向へ後方反射され、そこで、部分線束は、複数の基準パルス検出素子に達する。図では、これらの基準パルス検出素子のうち基準パルス検出素子415だけが示されている。基準マーク431.1,431.2を通過する場合、基準パルス検出素子415で、基準パルス信号RIが生じる。
【0109】
基準パルス信号RIを生成するための前記第1の走査手段には、本発明に係るこのエンコーダの場合にも、走査ユニット410内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニット410に付設された構成部品が含まれている。これには、例えば、走査格子418.1から418.4および反射素子413.1,413.2、ならびに基準パルス信号検出素子415を含めることができるであろう。
【0110】
次に、以下において、インクリメンタル信号INCA,INCBの生成について、図9a、9b、10および11を参照しながら説明する。これらの信号は、本発明に係る第2のエンコーダでは、第2の走査手段を用いて生成される。それに対応する走査光路は、図9aと図9bに破線で示されている。
【0111】
(図示されていない)光源から放出された平行な線束SINCは、反射基準尺430のインクリメンタル目盛453へ、まず1回目として、第1のインクリメンタル信号走査フィールド453.1に達する。その際、ただ1つの共通の光源を用いて、第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛433と基準マーク431.1,431.2とを走査するための光を供給することが好ましいことをここに指摘しておく。原則として、もちろん、2つの別個の光源を用いることも可能である。第1のインクリメンタル信号走査フィールド453.1では、入射線束は回折し、回折次数+/−1の反射光に分割され、反射光は走査ユニット410の方向へ伝播する。走査板411の下面にある走査格子418.5,418.6を通過する際、部分線束は再び偏向される。その際、その偏向は、部分線速が、それに続いて走査板平面に対して垂直方向に、背後に配置されたダハプリズムの鏡面の方向に伝播するように行われる。ダハプリズムの鏡面は、反射素子413.1,413.2として機能する。この反射素子413.1,413.2によって、部分線束は、2つの更なる走査格子418.7,418.8の方向へ再び後方反射される。これらの更なる走査格子も走査板411の下面に配置されている。これらの走査格子418.7,418.8を通過した後、部分線束は、インクリメンタル目盛433へ、2回目として第2のインクリメンタル信号走査フィールド453.2に達し、そこで干渉し合う。最後に、第2のインクリメンタル走査フィールド453.2から、複数の部分線束が、走査ユニット410の方向に後方反射される(これは図示されていない)。そこで、これらの部分線束は、複数のインクリメンタル信号検出素子に達する。
【0112】
インクリメンタル信号検出素子では、基準尺と走査ユニット410とが相対運動した場合に、位相がずれた周期的なインクリメンタル信号が生じる。それから、これらのインクリメンタル信号は、公知の方法で、位相差が90°である1組のインクリメタル信号INCA,INCBに変換することができる。
【0113】
従って、インクリメタル信号INCA,INCBを生成するための第2の走査手段として、本発明に係る第2のエンコーダでも、走査ユニット410内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニット410に付設された構成部品が機能する。これには、例えば、走査格子418.5から418.8および反射素子413.1,413.2、ならびに基準パルス信号検出素子が含まれる。
【0114】
従って、第2の走査手段によって、中央に配置されたインクリメンタル目盛433に対して、走査に用いられる線束が、両インクリメンタル走査フィールド453.1,453.2に対して、それぞれ1回印加されることが保証される。
【0115】
特に図10から明らかなように、図の例では、両インクリメンタル信号走査フィールド453.1,453.2の中心は、基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びる第1の直線Gy1上に位置している。両基準パルス信号走査フィールド451.1,451.2の中心は、同様に基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びる第2の直線Gy2上に位置しており、この直線Gy2は、図の実施例では、上述した対称軸線Syと一致している。両直線Gy1およびGy2は、測定方向xに互いに対してずらして配置されている。こうして走査フィールドがずらして配置されていることによって、インクリメンタル目盛に対する信号クロストークを上述のように抑制することが実現され、また、小型の構造が可能となる。
【0116】
本発明に係る第1および第2のエンコーダについて、前記2例以外に、本発明の枠内において、その他の構成方法が可能であることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1a】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第1の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図1b】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第2の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図1c】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第3の正面図であり、インクリメンタル信号の生成を示す。
【図2a】本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークの部分拡大図を含む。
【図2b】本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図2c】本発明に係る第1のエンコーダの変化形態の反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図3a】本発明に係る第1のエンコーダの走査板下面を示す平面図である。
【図3b】本発明に係る第1のエンコーダの走査板上面を示す平面図である。
【図4a】本発明に係る第1のエンコーダを用いて基準パルス信号を生成する際に生じる信号を表す。
【図4b】図4aに記載の信号からなる和信号と差信号を示し、基準パルス信号の生成に用いられるトリガ閾値を含む。
【図4c】基準位置に生じる基準パルス信号を示し、インクリメンタル信号も共に示されている。
【図5】さまざまな信号を処理すること、および図4aから4cに示された基準パルス信号を生成することに適した回路構成の概略図である。
【図6a】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図6b】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図6c】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図7a】本発明に係る第1のエンコーダの1つの態様における部分走査光路についての第1の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図7b】本発明に係る第1のエンコーダの、図7aに示された態様の部分走査光路についての第2の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図8a】本発明に係る第1のエンコーダの前記態様の走査板下面を示す平面図である。
【図8b】本発明に係る第1のエンコーダの前記態様の走査板上面を示す平面図である。
【図9a】本発明に係る第2のエンコーダの部分走査光路についての第1の正面図であり、信号の生成を示す。
【図9b】本発明に係る第2のエンコーダの部分走査光路についての第2の正面図であり、信号の生成を示す。
【図10】本発明に係る第2のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図11】本発明に係る第2のエンコーダの走査板下面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0118】
10 走査ユニット
11 走査板
12 結像光学系
13 絞り構造
14 光源
19 分割格子
30 基準尺
31 基準マーク
33 インクリメンタル目盛
51 基準パルス走査フィールド
53 インクリメンタル信号走査フィールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のエンコーダは、互いに相対的に動く2つの物体の相対変位に関する周期的なインクリメンタル信号のほかに、いわゆる基準パルス信号も提供する。この基準パルス信号を介して、測定区間に添った所定の基準位置において、互いに相対的に動く2つの物体の位置に関する厳密な絶対的な関係を得ることができる。次に、この種の所定の絶対位置に対して、通例明らかに分解能が高いインクリメンタル測定を、以下のように関連付けることができる。
【0003】
基準パルス信号を生成するために、走査ユニットが走査する基準尺上にある基準マークに関する幾つかの構成方法が、現在既に知られている。
【0004】
通常の構成態様では、1つまたは複数の基準マークが、走査されるインクリメンタル目盛トラックに対して側方に隣接して配置される。これは、例えば、特許文献1に記載されている。しかし、この種の構成の問題点として明らかになっていることは、走査ユニットと基準尺とが基準尺平面に対して垂直な軸を中心に好ましくない回転(「モアレ回転」)を生じた場合に、インクリメンタル信号に対して、生成された基準パルス信号の位置がずれてしまうことである。その結果、位置測定に誤差が生じる。
【0005】
従って、例えば特許文献2に記されているように、2つのインクリメンタル目盛トラックを、基準尺の基準マークの両側に隣接して配置する構成方法も既に提案されている。この2つのインクリメンタル目盛トラックは、互いに対して目盛周期1つ分ずらして配置されており、その結果、それぞれ別個の走査手段によってこの2つのインクリメンタル目盛トラックを個別に走査することで、90°位相がずれた2つのインクリメンタル信号を生成することができる。確かに、この構成態様によって、モアレ回転に関連する誤差を最小限にすることが実現できるが、インクリメンタル目盛トラックの、この提案された走査方法が、特に高分解能の位置測定に最適であると明らかになっているわけではない。例えば、この解決策は、インクリメンタル目盛トラックを個別に走査するので、比較的コストが大きくなる。さらに、2つのインクリメンタル目盛トラックの一方が汚損されている場合、誤測定が生じる恐れがある。
【0006】
さらに、特許文献3によって、高分解能のエンコーダが知られている。この装置では、インクリメンタル目盛トラックの側方に隣接して、基準マークが、測定方向に沿って互いに反対向きにチャープされた目盛構造として配置されている。同様の基準尺側の構成態様は、特許文献4または特許文献5によっても知られている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第194611号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第303008号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19748802号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19921309号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第4021010号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、高分解能のインクリメンタル信号を生成すること、および、少なくとも1つの基準位置において基準パルス信号を生成することに適しており、かつ、基準尺および走査ユニットのモアレ回転による影響をできる限り小さくするエンコーダを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する第1のエンコーダによって解決される。
【0009】
第1のエンコーダの有利な実施形態は、請求項1の従属請求項に記載されている方法によって得られる。
【0010】
さらに、この課題は、請求項16に記載の特徴を有する第2のエンコーダによって解決される。
【0011】
第2のエンコーダの有利な実施形態は、請求項16の従属請求項に記載されている方法によって得られる。
【0012】
インクリメンタル信号と少なくとも1つの基準位置における基準パルス信号とを生成するための、本発明に係る第1のエンコーダは、走査ユニットとそれに相対して少なくとも1つの測定方向に可動な基準尺とを含む。基準尺は、測定方向に平行に延びる、周期的な目盛を具備する2つのインクリメンタル目盛トラックを含み、この2つのインクリメンタル目盛トラックの間に基準マークトラックが配置されている。基準マークトラックは、少なくとも1つの基準位置に基準マークを有する。走査ユニットは、基準パルス信号を生成するための第1の走査手段と、インクリメンタル信号を生成するための第2の走査手段とを含み、その際、インクリメンタル信号を生成するために、インクリメンタル目盛のそれぞれに対して、走査線束が、1つのインクリメンタル信号走査フィールドに少なくとも1回印加される。
【0013】
第1のエンコーダの本発明に係る構成は、基準尺および走査ユニットのモアレ回転が万一生じた場合にも、位置計測の際に誤差が生じないことを保証する。生成される基準パルス信号を所望のインクリメンタル信号周期に正確に割り当てることが、常に保証されている。これは、インクリメンタル目盛トラックと基準マークトラックとが、等しい、いわば中立なモアレ軸を共有するからであり、この軸を中心に基準尺と走査ユニットとが回転したとしても、誤測定を引き起こすことがない。
【0014】
本発明に係る解決法のもう1つの効果は、基準尺および走査ユニットの強いモアレ回転が生じた場合にも、比較的安定したインクリメンタル信号振幅が得られることだと言える。これは、特にインクリメンタル信号をさらに処理する場合、例えば、インクリメンタル信号を補間する場合に重要である。
【0015】
好ましくは、本発明に係る第1のエンコーダは、複数の構造要素を具備する基準マークを有しており、該構造要素が、基準尺面において測定方向に対して垂直方向である対称軸に対して、鏡面対称であるように配置されている。
【0016】
基準マークの構造要素は、有利には、基準尺面において測定方向に対して垂直方向に延びる対称軸(Sx)に対して、鏡面対称であるように配置されている。
【0017】
基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段を介して、基準尺上の基準マークに対して、1つの基準パルス走査フィールドに好ましくは1回印加が行われる。
【0018】
その際、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心と、基準パルス走査フィールドの中心とが、例えば、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における直線上に位置している。
【0019】
あるいはまた、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心が、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における直線上に位置しており、基準パルス走査フィールドの中心が、この直線に対して測定方向にずらして基準尺上に配置されている。
【0020】
好ましくは、基準マークは、基準位置において、
−基準尺平面において測定方向に対して垂直に第1の横周期性でもって周期的に配置されている少なくとも1組の第1の構造要素と、
−基準尺平面において測定方向に対して垂直に第2の横周期性でもって周期的に配置されている少なくとも1組の第2の構造要素とを有し、その際、第1および第2の横周期性が互いに異なっており、
−これらの構造要素が回折構造要素として構成されており、測定方向には、光学的に所定の焦点距離を有するシリンダレンズと同様の働きをし、測定方向に対して垂直方向には、第1または第2の横周期性を有する走査格子と同様の働きをし、
−これらの構造要素が、測定方向に、反射基準尺から焦点距離fだけ離れた位置に虚焦点または実焦点を持つ。
【0021】
有利には、基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段は、
−少なくとも1つの結像光学系と、絞り面に配置された少なくとも2つの絞り構造とを含む複数の光学素子、および
−少なくとも2つの基準パルス検出素子
を有する。
【0022】
その際、走査ユニットにおける結像光学系の寸法は、構造要素の像側焦点面の結像が絞り面に生じるように決定されている。その際、2つの絞り構造のアパーチャの配置構成が、基準マークの構造要素の配置に合わせて調整されている。
【0023】
有利には、走査ユニットにはさらに走査板が含まれており、この走査板上に絞り構造と結像光学系とが配置されている。
【0024】
また、例えば、インクリメンタル信号を生成するための、走査ユニット内の第2の走査手段は、
−複数の走査格子、少なくとも1つの結合格子と少なくとも2つの反射素子とを含む複数の光学素子を有し、該反射素子によって、第1のインクリメンタル走査フィールドから来る線束が後方反射され、さらに、
−複数のインクリメンタル信号検出素子を有する。
【0025】
その際、走査ユニットは走査板を含み、この走査板上に走査格子、結合格子および反射素子が配置されている。
【0026】
好ましくは、走査ユニットにはさらに光源が付設されており、この光源が、第1および第2の走査手段にインクリメンタル目盛と基準マークとを走査するための光を供給し、また、走査ユニットは分割格子を含み、この分割格子が、光源から来る線束を、基準パルス信号を生成する第1の走査手段用の第1の部分線束と、インクリメンタル信号を生成する第2の走査手段用の第2の部分線束とに分割する。
【0027】
その際、分割格子は、反射基準尺上の基準マークに対する収束照射が生じるように構成されている。
【0028】
分割格子は、基準尺側を向いた、走査板の面上に配置されている。
【0029】
次に、インクリメンタル信号と少なくとも1つの基準位置における基準パルス信号とを生成するための、本発明に係る第2のエンコーダは、走査ユニットとそれに相対して少なくとも1つの測定方向に可動な基準尺とを含む。基準尺は、測定方向に平行に延びる2つのインクリメンタル目盛トラックを含む。この2つのインクリメンタル目盛トラックは、それぞれ少なくとも1つの基準位置に基準マークを有し、これらは、測定方向に対称軸に対して対称に構成されている。基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛を有するインクリメンタル目盛トラックが配置されている。走査ユニットは、基準パルス信号を生成するための第1の走査手段を含み、その際、基準パルス信号を生成するために、基準マークの各基準マークトラックに対して、走査線束が、1つの基準パルス信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。さらに、インクリメンタル信号を生成するために走査ユニットには第2の走査手段が設けられており、その際、インクリメンタル信号を生成するために、インクリメンタル目盛に対して、走査線束が、2つのインクリメンタル信号走査フィールドにそれぞれ少なくとも1回印加される。
【0030】
第2のエンコーダの本発明に係る構成は、第1の測定装置がそうであるように、インクリメンタル信号の幅と等しい幅を有する基準パルス信号が生成できることを保証する。従って、本発明に係るこれらの位置測定信号の信頼性が向上している。
【0031】
本発明に係る第2のエンコーダでは、基準マークが、好ましくは、基準尺面において測定方向に対して垂直方向である対称軸に対して、鏡面対称であるように構成されている。
【0032】
その際、2つのインクリメンタル信号走査フィールドの中心は、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における第1の直線上に位置しており、さらに、基準パルス走査フィールドの中心は、測定方向に対して垂直方向の、基準尺平面における第2の直線上に位置している。その際、両直線は、測定方向に互いにずらして基準尺上に配置されている。
【0033】
有利には、本発明に係る第2のエンコーダでは、基準マークがそれぞれシリンダレンズとして基準尺上に構成されており、このシリンダレンズが横周期性を持つことで、回折次数が1次の両方の光は、照射走査線束から空間的に分離されて、走査ユニット内の走査板に当たる。
【0034】
本発明に係る第2のエンコーダでは、基準パルス信号を生成するための、走査ユニット内の第1の走査手段が、好ましくは複数の光学素子を有し、その光学素子の中には、複数の走査格子と反射素子とが含まれている。この反射素子によって、第1の基準マークトラックの第1の基準パルス走査フィールドから来る線束が、第2の基準マークトラックの第2の基準パルスフィールド内へ反射される。さらに、第1の走査手段は、1つまたは複数の基準パルス検出素子を含む。
【0035】
その際、走査ユニットは走査板を含み、この走査板の、基準尺側を向いた面上に、複数の回折走査格子が配置されており、走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されており、このダハプリズムは、反射素子として複数の鏡面を有する。
【0036】
本発明に係る第2のエンコーダでは、インクリメンタル信号を生成するための、走査ユニット内の第2の走査手段が、好ましくは複数の光学素子を有し、その光学素子の中には、複数の走査格子、オプションとしての結合格子、および少なくとも2つの反射素子が含まれている。さらに、この第2の走査手段は、複数のインクリメンタル信号検出素子を含む。
【0037】
その際、反射素子によって、好ましくは、第1のインクリメンタル信号走査フィールドから来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド内へ後方反射される。
【0038】
本発明に係る第2のエンコーダでは、さらに、好ましくは、走査ユニットが走査板を含む。走査板の、基準尺側を向いた面上に、複数の回折走査格子およびオプションとしての結合格子が配置されており、さらに、走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されている。このダハプリズムは、反射素子として複数の鏡面を有する。
【0039】
その際、有利には、走査ユニットにさらに光源が付設されており、この光源が、第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛と基準マークとを走査するための光を供給する。
【0040】
本発明のその他の詳細および効果については、本発明に係るエンコーダの実施例について図を参照しながら説明する中で明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1から図8bを参照しながら、以下において、本発明に係る第1のエンコーダと、特に、同装置を用いた、基準パルス信号RIの生成とについて説明する。
【0042】
図1aと図1bは、本発明に係る第1のエンコーダにおける基準パルス信号の生成のための部分走査光路をそれぞれ非常に図式化して示した図である。図1cは、このエンコーダにおいてインクリメンタル信号を生成するための部分走査光路を簡略的に示す。
【0043】
図1aから図1cおよびそれに代わる実施形態についてのそれ以降の類似した図において、基準パルス信号の生成のための部分走査光路がそれぞれ実線で示されており、一方、インクリメンタル信号を生成するための部分走査光路が破線で示されている。
【0044】
図示された、本発明に係る第1の光学エンコーダは、反射基準尺30として構成された基準尺と、それに相対して少なくとも1つの測定方向xに可動な走査ユニット10とを含む。反射基準尺30と走査ユニット10は、2つの互いに相対的に動く物体、例えば機械部品につながれている。このエンコーダを介して、相対的に動く両物体の位置に関する位置信号が生成され、(図示されていない)制御ユニットに送られる。制御ユニットは、この位置データを公知の方法で制御のために利用する。その際、本発明に係るエンコーダは、直線変位にも回転変位にも対応して構成可能である。
【0045】
図示された、本発明に係る第1のエンコーダは、後に述べるように、周期的なインクリメンタル信号INCA,INCBのほかに、測定区間に沿った少なくとも1つの既知の基準位置XREFにおいて基準パルス信号RIを供給する。次に、このように設定された既知の絶対位置に対して、明らかに分解能が高いインクリメンタル測定を、以下のように通常の方法で関連付けることができる。
【0046】
そのために、走査ユニット10は、基準パルス信号RIを生成するための第1の走査手段と、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための第2の走査手段とを含む。
【0047】
まず、第1の走査手段による基準パルス信号RIの生成について、そのために想定される部分走査光路を使って説明する。
【0048】
反射基準尺30として構成された基準尺は、周期的なインクリメンタル目盛33.1,33.2を具備する、測定方向xに延びる1つまたは複数のインクリメンタル目盛トラックのほかに、所定の基準位置XREFに少なくとも1つの基準マーク31を具備する基準マークトラックを含む。原則的に、当然ながら、複数の基準マークを異なった基準位置に、例えば、いわば間隔がコード化された基準マークなどの形で配置することが考えられる。
【0049】
図2aに示された反射基準尺30の部分平面図から見て取れるように、この態様では、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するために、2つの平行な同一のインクリメンタル目盛33.1,33.2が支持体32上に配置されている。両インクリメタル目盛33.1,33.2は、それぞれ測定方向xに目盛周期TPINCで配置された、異なる光学特性を有する線分状の目盛領域からなる。例えば、反射基準尺30は、異なった入射光位相格子であり、反射された線束に対して異なった位相シフト作用を有する部分領域が交互に組み合わされている。可能な1つの実施形態では、TPINCが0.5μmに選定される。目盛領域は、測定方向xに対して垂直である反射基準尺30の平面に、すなわち記載された方向y(以降、線分方向とも呼ぶ)に延びている。
【0050】
またもちろん、本発明に係る第1のエンコーダを、基準尺が透過基準尺として設けられた構成にすることも可能であることを、ここに指摘しておく。この基準尺では、例えば、異なった透過特性を有する目盛領域が交互に配置されている。
【0051】
基準位置XREFにおいて、インクリメンタル目盛33.1,33.2の両トラックの間に、基準マーク31が基準マークトラックに配置されている。基準マークは、インクリメンタル目盛33.1,33.2と同じように、異なった反射特性を有する部分領域あるいは構造要素31.1,31.2が所定の配置を得ることによって構成されている。本発明に係る第1のエンコーダの本例に対する、基準マークの好ましい構成について、以下でさらに詳細に説明する。
【0052】
本例では、走査ユニット10の側面に、光源14、例えばレーザダイオード、および、コリメート光学系16、基準パルス信号生成用の複数の基準パルス検出素子15.1,15.2、インクリメンタル信号生成用の複数のインクリメンタル信号検出素子20.1,20.2,20.3(図1c)、ならびにその他のさまざまな光学素子が配置されている。その際、基準パルス信号RIおよびインクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための、このさまざまな光学素子は、走査ユニット10における走査板11上に配置されており、これらについても以下で詳細に説明する。
【0053】
その際、基準パルス信号RIを生成するための前記第1の走査手段には、走査ユニット10内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニットに付設された構成部品が含まれる。その中には、少なくとも結合光学系12、および、絞り面に配置された、それぞれ複数のアパーチャを有する絞り構造13.1,13.2が含まれている。さらに、基準パルス検出素子15.1,15.2も第1の走査手段に含めることができる。
【0054】
光源14、コリメート光学系16およびさまざまな検出素子15.1,15.2,20.1,20.2,20.3は、走査ユニット10内あるいはそれに対応する走査ユニットハウジング内に必ずしも位置する必要はないことを、ここで指摘しておく。従って、本発明のその他の態様では、原則として、これらの構成部品を公知の方法で光導波路を介して走査ユニット10に付設すること、および、これらのさまざまな素子を立体的に別個に走査ユニット10の外部に配置することも可能であろう。
【0055】
コリメート光学系16を通過して平行になった線束は、分割格子19によって、基準パルス信号RIを生成するための走査光路(図1aから図1cにおける実線で示された輪郭線)と、インクリメタル信号INCA,INCBを生成するための走査光路(図1aから図1cにおける破線で示された輪郭線)とに分割される。図1bから看取できるように、これが意味することは、基準パルス信号の生成のために分割された部分線束が、反射基準尺30における両インクリメタル目盛33.1,33.2の間に位置する領域へ偏向されるということである。分割格子19の格子定数は、走査ユニット10と反射基準尺30との間の距離が標準走査距離である場合に、厳密に両インクリメタル目盛33.1,33.2の間の中央に位置する領域が照射されるように選定されるのが好ましい。この領域から、走査ユニット10の方向に後方反射が生じる。走査ユニット10において、後方反射された部分線束は、走査板11の下面に配置されている結像光学系12に当たる。結像光学系12は、さまざまな形状で走査板11上に構成することができ、例えば、個別のフレネルレンズとして構成することも可能である。あるいは、複数の単レンズからなるレンズアレイとして結像光学系12を構成することも可能である。これについては、以下の説明の中でさらに詳細に述べる。
【0056】
両インクリメンタル目盛33.1,33,2の間に基準マーク31を配置することは、本発明の重要な効果として、反射基準尺30および走査ユニット10がz軸を中心にもし回転(モアレ回転)した場合にも、インクリメンタル信号INCA,INCBに対する基準パルス信号RIの相対位置が(ひずみを生じる)変化を生じないという効果を生じる。しかも、これは、当該の装置としては比較的わずかなスペースで実現可能である。
【0057】
結像光学系12の寸法は、光学上、その像側の焦点面が、走査板11の上面あるいはそこに位置する絞り面と重なり合うように選定さている。この面には、それぞれ複数のアパーチャを有する2つの絞り構造13.1,13.2が配置されている。絞り構造13.1,13.2の背後には、2つの基準パルス信号検出素子15.1,15.2が、走査ユニット10内に配置されており、この基準パルス信号検出素子が、アパーチャを透過した光を検出する働きをし、従ってまた、基準パルス信号RIを生成するために用いられる信号S1,S2を検出する働きをする。物体側では、結像光学系12によって結像される焦点が、中立回転中心と反射基準尺30の表面との間の、半分の距離の高さに位置している。すなわち、結像光学系12は、物体側では、システムに依存する中立回転中心の位置から生じる平面あるいは点に合わせて調整されている。その際、中立回転中心と定められているのは、走査ユニット10または反射基準尺30が傾斜する際に中心となり得る点であり、しかも、その際、位置測定に誤差が生じることのない点である。すなわち、基準パルス信号RIまたはインクリメンタル信号INCA,INCBの生成の際に誤差が生じることのない中心点である。この場合、中立回転中心は、システムの条件に応じて、異なった面、および基準尺平面、さらに基準尺平面の下方または上方に位置することも可能である。
【0058】
基準パルス信号RIを生成するために重要なことは、反射基準尺30の側面上における基準マーク31の構成の選定である。基準尺の適切な構成によって、基準位置XREFにおいて基準パルス信号RIを確実に検出することが可能となる。基準マーク31の詳細な説明として、特に図2aが参考となる。図2aは、反射基準尺30の基準位置XREFの部分を示す平面図である。
【0059】
基準マーク31は、基準位置XREFの領域において、2つのインクリメンタル目盛33.1,33.2の間に第1組の構造要素31.1と第2組の構造要素31.2とを所定の幾何学的配置で有する。両組の構造要素31.1,31.2は、反射基準尺30の平面において測定方向xに対して垂直方向に、すなわち記載された線分方向yに、第1の横周期性T1あるいは第2の横周期性T2でもって周期的に配置されている。その際、第1および第2の構造要素31.1,31.2の両組の横周期性T1,T2は、図2aからも分かるように、互いに異なっており、例えば、T1を2.4μm、T2を2.0μmに選定することが可能である。
【0060】
図2aに示された、本発明に係る第1のエンコーダの例では、基準マーク31が、全部で、別個の4組の第1の構造要素31.1、および別個の4組の第2の構造要素31.2を含んでおり、これらは、測定方向xに互いに平行に隣接して配置されている。従って、測定方向xには、全部で8組の構造要素31.1,31.2が配置されている。それぞれ4組の第1の構造要素31.1と第2の構造要素31.2は、測定方向xに、対称軸Sに対して鏡面対称に配置されている。対称軸Sは、反射基準尺30の平面において、測定方向xに対して垂直方向を向いている。対称軸Sは、本例では、精確に基準位置XREFにあり、異なった横周期性T1,T2を有する構造要素31.1,31.2は、対称軸Sに対して鏡面対称に向かい合っている。
【0061】
図2aにおける基準マーク31の部分拡大図から分かるように、各構造要素31.1,31.2は、本例では、横方向yに平行に延びる2本の境界直線と、縦方向xに平行に延びる湾曲した境界線とからなる断面形状を有している。選定されたこの断面形状から、後にさらに詳細に説明する、これらの要素の光学的作用が生じる。第1および第2の構造要素31.1,31.2を伴う組が異なっている主要な点は、個々の構造要素31.1,31.2が方向yに周期的に配置される際の横周期性T1,T2の相違である。
【0062】
次に、基準パルス信号RIを生成するために用いられる、走査ユニット10の分割格子19から来る部分線束が、第1組および第2組の構造要素31.1,31.2を具備する基準マーク31の領域に当たると、部分線束は、組によって横周期性T1およびT2が異なっているために、y−z平面におけるy方向にも違ったように偏向される。その際、各偏向角は、公知の方法で、各横周期性T1,T2と直接関連している。基準マーク31から後方反射された部分線束は、走査ユニット10内の結像光学系12を介して、絞り面に結像される。そこに配置されている2つの絞り構造13.1,13.2は、それぞれ複数のアパーチャの幾何学的配置が、基準マーク31の第1組および第2組の構造要素31.1,31.2の幾何学配置に合わせて調整されている。すなわち、第1の絞り構造13.1のアパーチャは、第1組の構造要素31.1の配置に合わせて調整されており、第2の絞り構造13.2のアパーチャは、第2組の構造要素31.2の配置に合わせて調整されている。これは、図2aと図3bを比較すると分かる。すなわち、図2aに示された例では、第1の構造要素31.1が4組設けられており、それらには、それに合わせて調整された第1の絞り構造13.1が、4つのアパーチャを有して付設されている。同様に、第2の絞り構造要素31.2の4組に、それに合わせて調整された、第2の絞り構造13.2の4つのアパーチャが付設されている。もちろん、アパーチャの数および構造要素の組数は、別の数であってもよい。アパーチャの位置を選定する際、当然、結像光学系12によって生じる結像スケールmも考慮しなければならない。
【0063】
この種の調整を行うことによって、基準位置XREFに隣接する領域において、絞り構造13.1,13.2の背後に配置された2つの基準パルス検出素子15.1,15.2が、それによって検出された信号S1,S2の信号最大値を検出することが可能となる。
【0064】
上述したように、また、結像光学系は、複数の単レンズを含むレンズアレイとしても構成可能である。これにより、構造要素の、線分方向yに長い組を絞り面に結像することができる。これは、検出される信号の信号強度の点で効果をもたらす。この場合、構造要素組の各部分配列は、各単レンズによって結像される。この態様でも、構造要素31.1.31・2の各組に、絞り構造13.1,13.2のアパーチャが、所定どおりに付設されている。アパーチャの位置は、この場合も、結像スケールmを有する結像光学系12を介した、構造要素31.1,31.2の組の結像に基づいて、調整されて決められる。
【0065】
図2bも、本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺30の基準位置XREF領域を示す平面図である。図2aに示された図に加えて、図2bでは、2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2が2つのインクリメンタル目盛33.1,33.2に描かれており、このフィールドに対して、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための走査線束がそれぞれ1回印加される。さらに、図2bから、基準マークの領域に基準パルス信号走査フィールド51が見て取れる。このフィールドに対して、基準パルス信号RIを生成するために、走査線束が第1の走査手段によって1回印加される。
【0066】
図2bから分かるように、この例では、2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2の中心と基準パルス信号走査フィールド51の中心は、測定方向xに対して垂直方向の、基準尺平面における直線Gy上に位置している。反射基準尺30におけるこれらの各走査フィールド51,53.1,53.2の位置は、第1および第2の走査手段をそれらに対応して配置することによって、適切に調整される。
【0067】
2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1,53.2の間に基準パルス走査フィールド51が配置されているので、もし基準尺30および走査ユニット10のモアレ回転が生じた場合にも、システムの所望の安定性が実現できる。
【0068】
これにわずかな変更を加えられ、各走査フィールド51’、53.1’、53.2’の位置が異なった態様が、図2cに示されている。ここでも、第1および第2の走査手段の配置は、反射基準尺30’における2つのインクリメンタル信号走査フィールド53.1’、53.2’の中心が、測定方向xに対して垂直方向の、基準尺平面における直線Gy’上に位置するように構成されている。しかし、基準パルス信号走査フィールド51’の中心は、測定方向xにずらして配置されている。この態様では、基準尺および走査ユニット10がz軸を中心にモアレ回転した場合に、基準パルス信号RIの位置が、モアレ角の影響を比較的受けず済むことができる。さらに、この態様では、走査フィールドの位置がずれているので、インクリメンタル目盛トラックに対する望ましくないノイズのクロストークを最小限にすることが可能である。
【0069】
基準位置XREFを中心とする領域において基準パルス検出素子15.1,15.2に印加される信号S1,S2が、図4aに示されている。これらの信号S1,S2から、どのように最終的に所定の基準パルス信号RIが生成できるかを、以下の説明においてさらに詳細に述べる。
【0070】
次に、第2の走査手段によるインクリメンタル信号INCA,INCBの生成については、特に図2および図1aと1bに示されている。これらには、インクリメンタル信号生成のための部分走査光路が、それぞれ破線で示されている。
【0071】
そこでは、光源14から放出されたインクリメンタル信号生成用の線束は、偏向されることなく分割格子19を通過した後、反射基準尺32上のインクリメンタル目盛33.2に達する。そこから、x−z平面において分割された部分線束が、走査ユニット10の方向へ後方反射され、そこで、走査板11の下面に配置された走査格子18.3,18.4を通過する(図1a)。これらの走査格子は、部分線束をy方向へ偏向させ、その結果、部分線束は、走査板11の上面にある2つの反射素子17.1,17.2に当たる(図1b)。反射素子17.1,17.2から、両部分線束の後方反射が、走査板11の下面の更なる走査格子18.1,18.2の方向へ生じる。これらの走査格子は、部分線束を、反射基準尺30上にある第2のインクリメンタル目盛33.1の方向へ、再び偏向して返す(図2)。インクリメンタル目盛33.1から、もう1度、部分線束の後方反射が走査ユニット10の方向へ生じる。そこで、この2つの後方反射された部分線束は、走査板11の下面にある結合格子18.5へ達する。結合格子18.5から、最終的に3組の干渉する部分線束が、背後に配置された3つのインクリメンタル信号検出素子20.1,20.2,20.3の方向へ伝播する。インクリメンタル信号検出素子は、それぞれ120°ずつ位相がずれた3つの周期信号を検出する働きをし、その周期信号は、位相のずれに応じて変調される。これらの信号は、最終的に、公知の方法で、(図示されていない)背後に配置された電子装置を介して、位相が90°ずれた2つのインクリメンタル信号INCA,INCBに変換される。また、インクリメンタル走査との関連については、本出願人の独国特許出願公開102006042743.2号明細書を参照のこと。
【0072】
この場合にも、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するための前記の第2の走査手段に、走査ユニット10内のさまざまな光学素子または走査ユニット10に付設された構成部品が含まれている。その中には、少なくとも複数の走査格子18.1から18.4、少なくとも1つの結合格子18.5、および少なくとも2つの反射素子17.1,17.2が含まれている。さらに、インクリメンタル検出素子20.1,20.2,20.3を、第2の走査手段に含めることができる。
【0073】
走査板11の上面および下面における基準パルス信号RI生成用およびインクリメンタル信号INCA,INCB生成用のこれらのさまざまな光学素子の配置が、図3aおよび図3bに示されている。
【0074】
既に上述したように、基準位置XREFの領域において、基準パルス検出素子15.1,15.2を介して信号S1,S2が生成される。この信号は図4aに示されている。しかし、幅が約15μmの信号S1,S2では、基準パルス信号RIにはまだ十分狭くはなく、特に、信号周期が例えば0.5μmの、前述の高分解能のインクリメンタル信号INCA,INCBを利用する場合には十分に狭くはない。その際、原則として、基準位置XREF領域における幅が、生成されたインクリメンタル信号INCA,INCBの幅に等しい基準パルス信号RIを出力側で利用できるようにすることが望ましい。これにより、本例では、図5に示された回路構成によって信号S1,S2の更なる処理が行われることが想定されている。この処理については、以下で説明する。
【0075】
この例では、基準パルス信号検出素子15.1,15.2における信号S1,S2は、まず、電流電圧変換器21.1,21.2に送られる。次に、下流側に配置された加算器および減算器22,23を介して、和信号S1+S2および差信号S1−S2が形成される。この和信号S1+S2および差信号S1−S2は、図4bの基準位置XREFの領域に示されている。次に、和信号S1+S2は、第1の比較器24.1に送られ、この比較器のもう一方の入力部には基準信号またはトリガ閾値TR1が印加される。差信号S1−S2は、第2および第3の比較器24.2,24.3に送られ、これらの比較器の入力部には、トリガ閾値TR3およびTR2が基準信号として印加されている。図4bでは、和信号S1+S2および差信号S1−S2について、さまざまなトリガ閾値の位置が示されている。次に、第1の比較器24.1の出力信号は、第1のANDゲート25.1に送られる。このANDゲートの第2の入力部には、第2のANDゲート25.2の出力信号が印加される。この第2のANDゲートには、第2および第3の比較器24.2,24.3の出力信号が印加されている。トリガ閾値TR1,TR2,TR3が図のように選択され、図のように結線されている場合、すなわち、これらによって生じる論理ANDゲートを介した場合、ANDゲート25.1の出力部に所望の基準パルス信号RIが生成され、この基準パルス信号は、生成されたインクリメンタル信号INCA,INCBの幅bINCと等しい0.5μmの幅bRIを有する。これが図4cに示されている。
【0076】
では次に、反射基準尺30の面上にある基準マーク31の有利な構成について、さらに詳細に説明する。以下で説明する方策によって、特に、基準パルス信号RI生成の際の中立回転中心の位置を、インクリメンタル信号生成の際の中立回転中心に適合できることが保証される。これは、走査ユニット10および反射基準尺30が傾斜した場合に誤測定を避けるための重要な方策である。
【0077】
このために、既に上述した、基準マーク31の構造要素31.1,31.2を回折光学素子あるいは回折構造要素として構成し、この構造要素が、測定方向xに光学的に所定の焦点fを有するシリンダレンズのように作用し、従って、測定方向xに虚焦点または実焦点を、反射基準尺から焦点距離fだけ離れた位置に有することが想定されている。y−z平面において、構造要素31.1,31.2は、光学的作用として、横周期性T1またはT2を有する格子として働く作用を持つ。
【0078】
好ましくは、システム上の条件により、インクリメンタル信号走査の中立回転中心が反射基準尺30の上方または下方に位置するとき、これらの構造要素31.1,31.2の、選定された焦点距離fは、インクリメンタル信号走査の中立回転中心から反射基準尺30までの距離の半分に等しい。このようにして、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置を、インクリメタル信号生成の中立回転中心に適合させることが可能である。従って、走査ユニット10および反射基準尺30が傾斜した場合にも、この方法以外でなら生じる位置測定時の誤差を避けることができる。
【0079】
さらに、走査ユニット10における結像光学系12を物体側で構造要素31.1,31.2の焦点面の位置に適合させることが想定されている。この焦点面は、結像光学系12を介して、絞り構造13.1,13.2が配置されている絞り面に結像される。これらの要件は、結像光学系12の位相関数によって、下記式1で表すことができる。
【0080】
【数1】
(式1)
ただし、
λ0 = 用いられる光源の波長
x = 測定方向の座標
a1 = 基準尺平面と結像光学系との間の距離
a2 = 結像光学系と絞り面との間の距離
n = 走査板の屈折率
f = 基準マークの構造要素の焦点距離
【0081】
ここで言う位相関数とは、結像光学系12の幾何学的形状を等高線状に示したものである。
【0082】
結像光学系12による結像スケールは、下記式2で示されるように選定されるのが好ましい。
【0083】
【数2】
(式2)
ただし、
a1 = 基準尺平面と結像光学系と間の距離
a2 = 結像光学系と絞り面との間の距離
n = 走査板の屈折率
f = 基準マークの構造要素の焦点距離
【0084】
図6aには、中立回転中心Nが、走査条件により、明らかに基準尺平面の下方に位置する場合が図式的に示されている。基準マーク31の構造要素31.1,31.2の焦点距離fは、明らかなように、反射基準尺30から中立回転中心Nまでの距離の半分に等しくなるように選定され、その焦点距離の位置に合わせて結像光学系12が調整される。
【0085】
これに対して、図6bは、中立回転中心Nが明らかに基準尺平面の上方に位置する場合を図式的に示している。この場合も同様に、基準マーク31の構造要素31.1,31.2の焦点距離fは、明らかなように、反射基準尺30から中立回転中心Nまでの距離の半分に等しくなるように選定され、また、その焦点距離の位置に合わせて結像光学系12が調整される。
【0086】
図6bに示された状況の場合、反射基準尺30がy方向の軸を中心に角度αだけ傾斜したとき(図6cを参照)、結像光学系12の焦点は移動し、2fα分だけ直線的に接近する。これは、インクリメンタル信号の変位量に一致する。すなわち、基準パルス信号の生成とインクリメンタル信号の生成とは、傾斜による影響を同等に受ける。
【0087】
従って、基準マークの、説明してきたこの構成では、第1のエンコーダにおいて、基準パルス信号生成の中立回転中心は、インクリメンタル信号生成の中立回転中心に一致させることができる。そのとき、両信号は、本発明に係る方策を用いることで、反射基準尺が測定ユニットに対して傾斜した場合にも、それによる同等の影響を受ける。所定の光学的作用を有する構造要素を用いた上述の解決策は、特にインクリメタル信号生成の中立回転中心が、走査条件によって明らかに基準尺平面から離れた位置に来る場合に、特に有利に、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置を適合させることを可能にする。
【0088】
然るべき走査原理を用いる場合、さらに、インクリメンタル信号生成の中立回転中心が、基準尺平面の比較的近くに隣り合う位置になるようにすることが可能である。この場合、有利であることが明らかなことは、構造要素の各組を、上述の光学的なシリンダレンズ特性を持つように構成するのではなく、これらの構造要素の断面形状を四角形に構成することである。一方に所定の光学的作用を有する上述の構造要素を備えた組と、もう一方にその種の光学的作用を伴わない構造要素を備えた組とからなる混成配置によって、基準パルス信号生成の中立回転中心を基準尺平面のすぐ近くに移動させることができる。
【0089】
図7a、図7bおよび図8aと図8bを参照しながら、以下で、本発明に係る第1のエンコーダの1つの態様を説明する。この態様は、前述の例とわずかに異なっている。図7aおよび図7bは、前述の例と同じように、本発明に係る第1のエンコーダのこの態様における部分走査光路を示す。図8aおよび図8bは、走査板の下面および上面の平面図である。以下においては、主に、前述の例と異なる構成部品あるいはそれらの機能のみを説明する。
【0090】
これらの図では、実線で示された部分走査光路は、基準パルス信号を生成する働きをする走査光路を表し、破線で示された部分走査光路は、インクリメタル信号を生成するための走査光路を表している。
【0091】
最初の例と異なり、まず、反射基準尺330の基準マーク331に対して収束照射が行われることが想定されている。基準マーク331に対する収束照射が、明らかに有している効果は、基準パルス信号生成の中立回転中心の位置が、反射基準尺330と走査ユニット310との間の走査距離にほとんど影響されないことである。図7bには、この収束照射光路が、分割格子319と基準マーク331との間に示されている。インクリメンタル信号生成の中立回転中心の位置が走査距離に影響されないことは、そのためにインクリメンタル目盛333.1,333.2を選択的に走査することによって保証されている。
【0092】
基準マーク331に対するこの種の収束照射を保証するために、本発明に係る第1のエンコーダの、図示された態様では、分割格子319が、走査ユニット310内に結像レンズとして、湾曲した格子線を有する回折分光器の形に構成される。これは、図8aにおける走査板311の下面の平面図にも示されている。
【0093】
本発明に係るエンコーダのこの態様では、分割格子319が結像レンズとして構成されている結果、また、走査光路も変わる。そこで重要なことは、走査格子319と絞り構造313.1,313.2とを走査板311上に相対的に精確に位置決めしておくことによって、発生する基準パルス信号の位置が、走査光路が変わった場合にも、変化しないようにすることができることである。これらの構成部品を、製造時に精確に位置決めすることが技術上より簡単に実現できるように、この態様では、絞り構造313.1,313.2と分割格子319とを、前記の例と異なり、走査板311の同じ面上に配置することが想定されている。図8aは、走査板311の下面を示し、結像光学系312.1,312.2の構成部品に対してy方向に隣接して、それぞれ絞り構造313.1,313.2が配置されている。
【0094】
これに代えて、また、絞り構造と分割格子とを走査板の上面に配置することも可能であろう。
【0095】
本態様において、絞り構造313.1,313.2を走査板311の下面に配置できるように、走査光路には、上記の例とは異なり、さらに反射素子321.1,321.2が走査板311上面に配置されている。これは、例えば図8bに示されている。これは、走査光路に関して、次のような結果をもたらす。すなわち、図7bから分かるように、基準マーク331から走査ユニット310の方向に反射された部分線束が、まず、(本例では2つの構成部品からなる)結像光学系312.1,312.2から、追加された反射素子321.1,321.2を介して、走査板311の下面の絞り構造313.1,313.2の平面に投影される。図8bに示された走査板311の上面図には、反射素子321.1,321.2が見て取れる。次に、走査板311の下面にある絞り構造313.1,313.2から、基準パルス信号を生成するための検出素子315.1,315.2の方向へ後方反射が生じる。このような光路であるので、本態様では、絞り構造313.1,313.2は、当然、透光性/非透光性の構造としてではなく、反射性/非反射性の構造として構成されている。
【0096】
前記の例に対してわずかな変更が加えられた、基準パルス信号を生成するためのこの走査光路は、最後にもう1つの変化を伴う。それは、図7bから分かるように、結像光学系312.1あるいは312.2によって、結像を行う光学的作用のほかに、さらに、それぞれy方向の、横向きの偏向作用が生じる必要があることである。これが保証されるのは、結像光学系312.1,312.2が、それぞれ回折格子レンズ構造として構成されるときである。これが、図8aの走査板311の下面図に図式的に示されている。
【0097】
上述のこれらの変更点を除けば、本発明に係る第1のエンコーダのこの態様では、基準パルス信号およびインクリメンタル信号の生成は、前記例と同様に行われる。
【0098】
図9a、9b、10および11を参照しながら、最後に、本発明に係る第2のエンコーダについて説明する。
【0099】
図9aおよび図9bも、非常に図式的な形で、本発明に係る第2のエンコーダにおけるインクリメンタル信号および基準パルス信号を生成するための部分走査光路を示した、それぞれ別方向からの正面図である。
【0100】
図9aおよび図9bには、基準パルス信号生成のための部分走査光路がそれぞれ実線で描かれており、一方、インクリメンタル信号生成のための部分走査光路が破線で示されている。
【0101】
本発明に係る第2のエンコーダも、走査ユニット410を含み、この走査ユニットが、反射基準尺430として構成された基準尺に相対して、少なくとも測定方向xに可動に配置されている。
【0102】
反射基準尺430は、本発明に係る前記の第1のエンコーダと異なり、測定方向xに平行に延びる2つの基準マークトラックを持ち、これらの基準マークトラックは、それぞれ少なくとも1つの基準位置XREFに基準マーク431.1,431.2を有している。この場合、基準マーク431.1,431.2は、図10に示された、測定方向xに沿って延びる対称軸SXに対して対称に構成されている。これらの基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛433を有するインクリメンタル目盛トラックが配置されている。
【0103】
走査ユニット410は、基準位置XREFに基準パルス信号RIを生成するための第1の走査手段を含む。この第1の走査手段あるいはそれに対応する走査光路によって、基準パルス信号RIを生成するために、基準マークトラックにおける基準マーク431.1,431.2に対して、走査線束が、1つの基準パルス走査フィールド451.1,451.2にそれぞれ少なくとも1回印加されることが保証される。図10には、対応する基準パルス走査フィールド451.1,451.2が、基準マークトラックに描き込まれている。
【0104】
さらに、走査ユニット410の面上には、第2の走査手段が設けられており、この第2の走査手段が、周期的なインクリメンタル信号INCA,INCBを生成する働きをする。第2の走査手段は、適当な走査光路によって、インクリメンタル信号INCA,INCBを生成するために、インクリメンタル目盛433の2つのインクリメタル信号走査フィールド453.1,453.2に対して、それぞれ少なくとも1回印加が行われることを保証する。これも、同様に図10に示されている。
【0105】
インクリメンタル目盛433の両側に隣接して配置された基準マーク431.1,431.2は、それぞれシリンダレンズとして構成されており、これらは、既に上述したように、対称軸Sxに対して鏡面対称に設けられている。対称軸Sxは、基準尺平面において測定方向xに対して平行に延びている。さらに、有利なことが明らかであるのは、基準マーク431.1,431.2も、基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びるもう1つの対称軸Syに対して、鏡面対称に設けられる場合である。
【0106】
そこでまず、本発明に係る第2のエンコーダにおける基準パルス信号RIの生成と、第1の走査手段によって得られる走査光路とについて説明する。この走査光路は、図9aと図9bに実線で示されている。
【0107】
ここでは、(図示されていない)光源から放出された平行な線束SRIは、まず、反射基準尺430上の第1の基準マーク431.2に達する。そこでは、入射線束が回折し、回折次数+/−1の反射光に分割され、反射光は走査ユニット410の方向へ伝播する。後方反射され、回折された線束を入射線束から十分に空間的に分離するために、あるいは、それらをx−z平面に十分に分割するために、シリンダレンズとして構成された基準マーク431.1は、横周期性TRI1を有する。
【0108】
走査ユニット410へ向かって後方反射され、発散する部分線束はそれぞれ、走査ユニット410内において、走査板411の下面に配置された回折走査格子418.1,418.2に達する。走査格子418.1,418.2は、入射する部分線束を再び平行にし、これらの線束を走査板平面に対して偏向する。その際、その偏向は、これらの線束の光軸が、走査板411の通過後、走査板平面に対して垂直方向になるように行われる。次に、これらの部分線束は、背後に配置されたダハプリズムの鏡面に達し、この鏡面が反射素子413.1,413.2として機能し、部分線束を2つの更なる回折走査格子418.3,418.4の方向へ偏向する。これらの更なる回折走査格子も走査板411の下面に配置されている。この2つの走査格子418.3,418.4を介して、2つの部分線束は、再び偏向されて、基準尺430上にある第2の基準マーク431.2の方向へ収束しながら伝播する。横周期性TRI2を有するシリンダレンズとして構成された第2の基準マーク431.2の領域で、これらの部分線束は干渉し合い、そこから再び走査ユニット410の方向へ後方反射され、そこで、部分線束は、複数の基準パルス検出素子に達する。図では、これらの基準パルス検出素子のうち基準パルス検出素子415だけが示されている。基準マーク431.1,431.2を通過する場合、基準パルス検出素子415で、基準パルス信号RIが生じる。
【0109】
基準パルス信号RIを生成するための前記第1の走査手段には、本発明に係るこのエンコーダの場合にも、走査ユニット410内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニット410に付設された構成部品が含まれている。これには、例えば、走査格子418.1から418.4および反射素子413.1,413.2、ならびに基準パルス信号検出素子415を含めることができるであろう。
【0110】
次に、以下において、インクリメンタル信号INCA,INCBの生成について、図9a、9b、10および11を参照しながら説明する。これらの信号は、本発明に係る第2のエンコーダでは、第2の走査手段を用いて生成される。それに対応する走査光路は、図9aと図9bに破線で示されている。
【0111】
(図示されていない)光源から放出された平行な線束SINCは、反射基準尺430のインクリメンタル目盛453へ、まず1回目として、第1のインクリメンタル信号走査フィールド453.1に達する。その際、ただ1つの共通の光源を用いて、第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛433と基準マーク431.1,431.2とを走査するための光を供給することが好ましいことをここに指摘しておく。原則として、もちろん、2つの別個の光源を用いることも可能である。第1のインクリメンタル信号走査フィールド453.1では、入射線束は回折し、回折次数+/−1の反射光に分割され、反射光は走査ユニット410の方向へ伝播する。走査板411の下面にある走査格子418.5,418.6を通過する際、部分線束は再び偏向される。その際、その偏向は、部分線速が、それに続いて走査板平面に対して垂直方向に、背後に配置されたダハプリズムの鏡面の方向に伝播するように行われる。ダハプリズムの鏡面は、反射素子413.1,413.2として機能する。この反射素子413.1,413.2によって、部分線束は、2つの更なる走査格子418.7,418.8の方向へ再び後方反射される。これらの更なる走査格子も走査板411の下面に配置されている。これらの走査格子418.7,418.8を通過した後、部分線束は、インクリメンタル目盛433へ、2回目として第2のインクリメンタル信号走査フィールド453.2に達し、そこで干渉し合う。最後に、第2のインクリメンタル走査フィールド453.2から、複数の部分線束が、走査ユニット410の方向に後方反射される(これは図示されていない)。そこで、これらの部分線束は、複数のインクリメンタル信号検出素子に達する。
【0112】
インクリメンタル信号検出素子では、基準尺と走査ユニット410とが相対運動した場合に、位相がずれた周期的なインクリメンタル信号が生じる。それから、これらのインクリメンタル信号は、公知の方法で、位相差が90°である1組のインクリメタル信号INCA,INCBに変換することができる。
【0113】
従って、インクリメタル信号INCA,INCBを生成するための第2の走査手段として、本発明に係る第2のエンコーダでも、走査ユニット410内のさまざまな光学素子あるいは走査ユニット410に付設された構成部品が機能する。これには、例えば、走査格子418.5から418.8および反射素子413.1,413.2、ならびに基準パルス信号検出素子が含まれる。
【0114】
従って、第2の走査手段によって、中央に配置されたインクリメンタル目盛433に対して、走査に用いられる線束が、両インクリメンタル走査フィールド453.1,453.2に対して、それぞれ1回印加されることが保証される。
【0115】
特に図10から明らかなように、図の例では、両インクリメンタル信号走査フィールド453.1,453.2の中心は、基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びる第1の直線Gy1上に位置している。両基準パルス信号走査フィールド451.1,451.2の中心は、同様に基準尺平面において測定方向xに対して垂直方向に延びる第2の直線Gy2上に位置しており、この直線Gy2は、図の実施例では、上述した対称軸線Syと一致している。両直線Gy1およびGy2は、測定方向xに互いに対してずらして配置されている。こうして走査フィールドがずらして配置されていることによって、インクリメンタル目盛に対する信号クロストークを上述のように抑制することが実現され、また、小型の構造が可能となる。
【0116】
本発明に係る第1および第2のエンコーダについて、前記2例以外に、本発明の枠内において、その他の構成方法が可能であることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1a】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第1の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図1b】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第2の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図1c】本発明に係る第1のエンコーダの部分走査光路についての第3の正面図であり、インクリメンタル信号の生成を示す。
【図2a】本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークの部分拡大図を含む。
【図2b】本発明に係る第1のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図2c】本発明に係る第1のエンコーダの変化形態の反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図3a】本発明に係る第1のエンコーダの走査板下面を示す平面図である。
【図3b】本発明に係る第1のエンコーダの走査板上面を示す平面図である。
【図4a】本発明に係る第1のエンコーダを用いて基準パルス信号を生成する際に生じる信号を表す。
【図4b】図4aに記載の信号からなる和信号と差信号を示し、基準パルス信号の生成に用いられるトリガ閾値を含む。
【図4c】基準位置に生じる基準パルス信号を示し、インクリメンタル信号も共に示されている。
【図5】さまざまな信号を処理すること、および図4aから4cに示された基準パルス信号を生成することに適した回路構成の概略図である。
【図6a】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図6b】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図6c】図1bに類似した別図であり、中立回転中心が異なった位置にある、あるいは、反射基準尺が傾斜している。
【図7a】本発明に係る第1のエンコーダの1つの態様における部分走査光路についての第1の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図7b】本発明に係る第1のエンコーダの、図7aに示された態様の部分走査光路についての第2の正面図であり、基準パルス信号の生成を示す。
【図8a】本発明に係る第1のエンコーダの前記態様の走査板下面を示す平面図である。
【図8b】本発明に係る第1のエンコーダの前記態様の走査板上面を示す平面図である。
【図9a】本発明に係る第2のエンコーダの部分走査光路についての第1の正面図であり、信号の生成を示す。
【図9b】本発明に係る第2のエンコーダの部分走査光路についての第2の正面図であり、信号の生成を示す。
【図10】本発明に係る第2のエンコーダの反射基準尺を示す部分平面図であり、基準マークトラックとインクリメンタル目盛トラックとに走査フィールドが含まれている。
【図11】本発明に係る第2のエンコーダの走査板下面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0118】
10 走査ユニット
11 走査板
12 結像光学系
13 絞り構造
14 光源
19 分割格子
30 基準尺
31 基準マーク
33 インクリメンタル目盛
51 基準パルス走査フィールド
53 インクリメンタル信号走査フィールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)と少なくとも1つの基準位置(XREF)における基準パルス信号(RI)とを生成するためのエンコーダであって、走査ユニット(10;310)とそれに相対して少なくとも1つの測定方向(x)に可動な基準尺(30;30’;330)とからなり、
−該基準尺(30;330)が、周期的なインクリメンタル目盛(33.1;33.2;33.1’;33.2’;333.1;333.2)を具備する、測定方向(4)に平行に延びる2つのインクリメンタル目盛トラックを含み、該インクリメンタル目盛トラックの間に基準マークトラックが配置されており、該基準マークトラックが、少なくとも1つの基準位置(XREF)に基準マーク(31;31’;331)を有し、かつ、
−前記走査ユニット(10;310)が、
−基準パルス信号(RI)を生成するための第1の走査手段を含み、かつ、
−インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための第2の走査手段を含み、その際、インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するために、前記インクリメンタル目盛(33.1;33.2;33.1’;33.2’;333.1;333.2)のそれぞれに対して、走査線束が1つのインクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.2;53.1’;53.2’)に少なくとも1回印加されるエンコーダ。
【請求項2】
前記基準マーク(31;31’;331)が複数の構造要素(31.1,31.2)を有し、該構造要素が、基準尺平面において測定方向(x)対して垂直方向である対称軸(Sy)に対して、鏡面対称に配置されている請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
さらに、前記基準マーク(31;31’;331)の前記構造要素(31.1,31.2)が、基準尺平面において測定方向(x)に対して平行に延びる対称軸(Sx)に対して、鏡面対称に配置されている請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
基準パルス信号(RI)を生成するための、前記走査ユニット(10;310)内の前記第1の走査手段を介して、基準尺(30;30’;330)上の前記基準マーク(31;31’;331)に対して、1つの基準パルス走査フィールド(51;51’)に1回印加が行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.2;53.1’;53.2’)の中心と前記基準パルス走査フィールド(51;51’)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における直線(Gy)上に位置している請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(53.1’、53.2’)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における直線(Gy)上に位置し、かつ、前記基準パルス走査フィールド(51’)の中心が、該直線(Gy)に対して測定方向(x)にずらして基準尺(30’)上に配置されている請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項7】
前記基準マーク(31)が基準位置(XREF)において、
−少なくとも1組の第1の構造要素(31.1)を有し、該構造要素が、基準尺(30)の平面に、測定方向(x)に対して垂直方向に第1の横周期性(T1)でもって周期的に配置されており、かつ、
−少なくとも1組の第2の構造要素(31.2)を有し、該構造要素が、基準尺(30)の平面に、測定方向(x)に対して垂直方向に第2の横周期性(T2)でもって周期的に配置されており、その際、該第1の横周期性と第2の横周期性(T1,T2)が互いに異なっており、かつ、
−前記構造要素(31.1,31.2)が、回折構造要素として構成されており、該回折構造要素が、測定方向(x)において、光学的に所定の焦点距離を有する円柱レンズと同様の働きをし、測定方向(x)に対して垂直方向に、前記第1または第2の横周期性(T1,T2)を有する偏向格子と同様の働きをし、かつ、
−その際、前記構造要素(31.1,31.2)が、測定方向(x)に虚焦点または実焦点を反射基準尺(30)から焦点距離fだけ離れた位置に有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項8】
基準パルス信号(RI)を生成するための、走査ユニット(10;310)内の前記第1の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に少なくとも1つの結像光学系(12)と、絞り面に配置され、それぞれ複数のアパーチャを有する少なくとも2つの絞り構造(13.1,13.2)とが含まれており、かつ、
−少なくとも2つの基準パルス検出素子(15.2)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項9】
走査ユニット(10)内の前記結像光学系(12)の寸法が、該光学系を介して前記構造要素(31.1,31.2)の像側の焦平面の結像が絞り面に生じるように寸法決めされており、かつ、前記両絞り構造(13.1,13.2)のアパーチャの配置構成が、測定方向(x)に、基準マーク(31)の該構造要素(31.1,31.2)の配置に合わせて調整されている請求項8に記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記走査ユニット(10)が走査板(11)を含み、該走査板上に前記絞り構造(13.1,13.2)と前記結像光学系(12)とが配置されている請求項9に記載のエンコーダ。
【請求項11】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための、走査ユニット(10;310)内の前記第2の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中には、複数の走査格子(18.1から18.4;318.1から318.4)と少なくとも1つの結合格子(18.5)と少なくとも2つの反射素子(17.1,17.2;317.1,317.2)とが含まれており、該反射素子によって、第1のインクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.1’)から来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド(53.2;53.2’)内へ後方反射され、かつ、
−複数のインクリメンタル信号検出素子(20.1,20.2,20.3;321.1,321.2,321.3)を含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項12】
前記走査ユニット(10;310)が走査板(11;311)を含み、該走査板上に、前記走査格子(18.1から18.4;318.1から318.4)と前記結合格子(18.5)と前記反射素子(17.1,17.2;317.1,317.2)とが配置されている請求項11に記載のエンコーダ。
【請求項13】
−前記走査ユニット(10;310)にさらに光源(14;314)が付設されており、該光源が、前記第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛(33.1,33.2;331.1,331.2)と基準マーク(31;331)とを走査するための光を供給し、かつ、
−該走査ユニット(10;310)がさらに分割格子(19;319)を含み、該分割格子が、前記光源(14;314)から来る線束を、基準パルス信号生成のための前記第1走査手段用の第1の部分線束と、インクリメンタル信号生成のための前記第2走査手段用の第2の部分線束とに分割する請求項8又は11に記載のエンコーダ。
【請求項14】
前記分割格子(319)が、反射基準尺(330)上の前記基準マーク(331)に対する収束照射が生じるように構成されている請求項13に記載のエンコーダ。
【請求項15】
前記分割格子(19;319)が、基準尺(30;330)側を向いた、前記走査板(11;311)の面上に配置されている請求項10又は12又は13に記載のエンコーダ。
【請求項16】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)と少なくとも1つの基準位置(XREF)における基準パルス信号(RI)とを生成するためのエンコーダであって、走査ユニット(410)とそれに相対して少なくとも1つの測定方向(x)に可動な基準尺(430)とからなり、
−該基準尺(430)が、測定方向(x)に平行に延びる2つの基準マークトラックを含み、該基準マークトラックが、それぞれ少なくとも1つの基準位置(XREF)に基準マーク(431.1;431.2)を有し、該基準マークが対称軸(Sx)に対して対称に測定方向(x)に構成されており、また、前記基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛(433)を具備するインクリメンタル目盛トラックが配置されており、かつ、
−前記走査ユニットが、
−基準パルス信号(RI)を生成するための第1の走査手段を含み、その際、基準パルス信号(RI)を生成するために、前記基準マーク(431.1,431.2)の基準マークトラックに対して、走査線束が1つの基準パルス走査フィールド(451.1,451.2)に少なくとも1回印加され、かつ
−インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための第2の走査手段を含み、その際、インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するために、前記インクリメンタル目盛(433)に対して、走査線束が2つのインクリメンタル信号走査フィールド(453.1;453.2)にそれぞれ少なくとも1回印加されるエンコーダ。
【請求項17】
さらに、前記基準マーク(431.1,431.2)が、基準尺平面において測定方向(x)に対して垂直方向である対称軸(Sy)に対して、鏡面対称に構成されている請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項18】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(453.1;453.2)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における第1の直線(Gy1)上に位置し、前記基準パルス走査フィールド(451.1,451.2)の中心が、基準尺平面における第2の直線(Gy2)上に位置しており、該両直線(Gy1、Gy2)が基準尺(430)上において測定方向(x)に互いにずれた位置に配置されている請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項19】
前記基準マーク(431.1,431.2)が、それぞれ円柱レンズとして基準尺(430)上に構成されており、該円柱レンズが横周期性を有し、その結果、両1次回折光が、照射走査線束から空間的に分離されて、走査ユニット(410)内の走査板(411)に当たる請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項20】
基準パルス信号(RI)を生成するための、走査ユニット(410)内の前記第1の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に、複数の走査格子(418.1から418.4)と反射素子(413.1,413.2)とが含まれており、該反射素子を介して、前記第1の基準マークトラックの第1の基準パルス走査フィールド(451.1)から来る線束が、前記第2の基準マークトラックの第2の基準パルス走査フィールド(451.2)内へ後方反射され、かつ、
−単数または複数の基準パルス検出素子(415)を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項21】
前記走査ユニット(410)が走査板(411)を含み、該走査板の、基準尺(430)側を向いた面上に複数の回折走査格子(418.1から418.4)が配置されており、該走査板の反対側の面上に再帰反射するダハプリズムが配置されており、該ダハプリズムが、反射素子(413.1,413.2)として複数の鏡面を有する請求項20に記載のエンコーダ。
【請求項22】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための、前記走査ユニット(410)内の第2の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に複数の走査格子(418.5から418.8)、およびオプションとしての結合格子、ならびに少なくとも2つの反射素子(413.1,413.2)が含まれており、かつ、
−複数のインクリメンタル検出素子を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項23】
前記反射素子(413.1,413.2)を介して、第1のインクリメンタル信号走査フィールド(453.1)から来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド(453.2)内へ後方反射される請求項22に記載の位置測定措置。
【請求項24】
前記走査ユニット(410)が走査板(411)を有し、該走査板の、基準尺(430)側を向いた面上に、複数の回折走査格子(418.5から418.8)およびオプションとしての結合格子が配置されており、かつ、該走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されており、該ダハプリズムが、反射素子(413.1,413.2)として複数の鏡面を有する請求項22に記載のエンコーダ。
【請求項25】
前記走査ユニット(410)にさらに光源(414)が付設されており、該光源が、前記第1および第2の走査手段に、前記インクリメンタル目盛(433)と前記基準マーク(431.1,431.2)とを走査するための光を供給する請求項20又は22に記載のエンコーダ。
【請求項1】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)と少なくとも1つの基準位置(XREF)における基準パルス信号(RI)とを生成するためのエンコーダであって、走査ユニット(10;310)とそれに相対して少なくとも1つの測定方向(x)に可動な基準尺(30;30’;330)とからなり、
−該基準尺(30;330)が、周期的なインクリメンタル目盛(33.1;33.2;33.1’;33.2’;333.1;333.2)を具備する、測定方向(4)に平行に延びる2つのインクリメンタル目盛トラックを含み、該インクリメンタル目盛トラックの間に基準マークトラックが配置されており、該基準マークトラックが、少なくとも1つの基準位置(XREF)に基準マーク(31;31’;331)を有し、かつ、
−前記走査ユニット(10;310)が、
−基準パルス信号(RI)を生成するための第1の走査手段を含み、かつ、
−インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための第2の走査手段を含み、その際、インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するために、前記インクリメンタル目盛(33.1;33.2;33.1’;33.2’;333.1;333.2)のそれぞれに対して、走査線束が1つのインクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.2;53.1’;53.2’)に少なくとも1回印加されるエンコーダ。
【請求項2】
前記基準マーク(31;31’;331)が複数の構造要素(31.1,31.2)を有し、該構造要素が、基準尺平面において測定方向(x)対して垂直方向である対称軸(Sy)に対して、鏡面対称に配置されている請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
さらに、前記基準マーク(31;31’;331)の前記構造要素(31.1,31.2)が、基準尺平面において測定方向(x)に対して平行に延びる対称軸(Sx)に対して、鏡面対称に配置されている請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
基準パルス信号(RI)を生成するための、前記走査ユニット(10;310)内の前記第1の走査手段を介して、基準尺(30;30’;330)上の前記基準マーク(31;31’;331)に対して、1つの基準パルス走査フィールド(51;51’)に1回印加が行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.2;53.1’;53.2’)の中心と前記基準パルス走査フィールド(51;51’)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における直線(Gy)上に位置している請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(53.1’、53.2’)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における直線(Gy)上に位置し、かつ、前記基準パルス走査フィールド(51’)の中心が、該直線(Gy)に対して測定方向(x)にずらして基準尺(30’)上に配置されている請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項7】
前記基準マーク(31)が基準位置(XREF)において、
−少なくとも1組の第1の構造要素(31.1)を有し、該構造要素が、基準尺(30)の平面に、測定方向(x)に対して垂直方向に第1の横周期性(T1)でもって周期的に配置されており、かつ、
−少なくとも1組の第2の構造要素(31.2)を有し、該構造要素が、基準尺(30)の平面に、測定方向(x)に対して垂直方向に第2の横周期性(T2)でもって周期的に配置されており、その際、該第1の横周期性と第2の横周期性(T1,T2)が互いに異なっており、かつ、
−前記構造要素(31.1,31.2)が、回折構造要素として構成されており、該回折構造要素が、測定方向(x)において、光学的に所定の焦点距離を有する円柱レンズと同様の働きをし、測定方向(x)に対して垂直方向に、前記第1または第2の横周期性(T1,T2)を有する偏向格子と同様の働きをし、かつ、
−その際、前記構造要素(31.1,31.2)が、測定方向(x)に虚焦点または実焦点を反射基準尺(30)から焦点距離fだけ離れた位置に有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項8】
基準パルス信号(RI)を生成するための、走査ユニット(10;310)内の前記第1の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に少なくとも1つの結像光学系(12)と、絞り面に配置され、それぞれ複数のアパーチャを有する少なくとも2つの絞り構造(13.1,13.2)とが含まれており、かつ、
−少なくとも2つの基準パルス検出素子(15.2)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項9】
走査ユニット(10)内の前記結像光学系(12)の寸法が、該光学系を介して前記構造要素(31.1,31.2)の像側の焦平面の結像が絞り面に生じるように寸法決めされており、かつ、前記両絞り構造(13.1,13.2)のアパーチャの配置構成が、測定方向(x)に、基準マーク(31)の該構造要素(31.1,31.2)の配置に合わせて調整されている請求項8に記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記走査ユニット(10)が走査板(11)を含み、該走査板上に前記絞り構造(13.1,13.2)と前記結像光学系(12)とが配置されている請求項9に記載のエンコーダ。
【請求項11】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための、走査ユニット(10;310)内の前記第2の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中には、複数の走査格子(18.1から18.4;318.1から318.4)と少なくとも1つの結合格子(18.5)と少なくとも2つの反射素子(17.1,17.2;317.1,317.2)とが含まれており、該反射素子によって、第1のインクリメンタル信号走査フィールド(53.1;53.1’)から来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド(53.2;53.2’)内へ後方反射され、かつ、
−複数のインクリメンタル信号検出素子(20.1,20.2,20.3;321.1,321.2,321.3)を含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項12】
前記走査ユニット(10;310)が走査板(11;311)を含み、該走査板上に、前記走査格子(18.1から18.4;318.1から318.4)と前記結合格子(18.5)と前記反射素子(17.1,17.2;317.1,317.2)とが配置されている請求項11に記載のエンコーダ。
【請求項13】
−前記走査ユニット(10;310)にさらに光源(14;314)が付設されており、該光源が、前記第1および第2の走査手段に、インクリメンタル目盛(33.1,33.2;331.1,331.2)と基準マーク(31;331)とを走査するための光を供給し、かつ、
−該走査ユニット(10;310)がさらに分割格子(19;319)を含み、該分割格子が、前記光源(14;314)から来る線束を、基準パルス信号生成のための前記第1走査手段用の第1の部分線束と、インクリメンタル信号生成のための前記第2走査手段用の第2の部分線束とに分割する請求項8又は11に記載のエンコーダ。
【請求項14】
前記分割格子(319)が、反射基準尺(330)上の前記基準マーク(331)に対する収束照射が生じるように構成されている請求項13に記載のエンコーダ。
【請求項15】
前記分割格子(19;319)が、基準尺(30;330)側を向いた、前記走査板(11;311)の面上に配置されている請求項10又は12又は13に記載のエンコーダ。
【請求項16】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)と少なくとも1つの基準位置(XREF)における基準パルス信号(RI)とを生成するためのエンコーダであって、走査ユニット(410)とそれに相対して少なくとも1つの測定方向(x)に可動な基準尺(430)とからなり、
−該基準尺(430)が、測定方向(x)に平行に延びる2つの基準マークトラックを含み、該基準マークトラックが、それぞれ少なくとも1つの基準位置(XREF)に基準マーク(431.1;431.2)を有し、該基準マークが対称軸(Sx)に対して対称に測定方向(x)に構成されており、また、前記基準マークトラックの間に、周期的なインクリメンタル目盛(433)を具備するインクリメンタル目盛トラックが配置されており、かつ、
−前記走査ユニットが、
−基準パルス信号(RI)を生成するための第1の走査手段を含み、その際、基準パルス信号(RI)を生成するために、前記基準マーク(431.1,431.2)の基準マークトラックに対して、走査線束が1つの基準パルス走査フィールド(451.1,451.2)に少なくとも1回印加され、かつ
−インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための第2の走査手段を含み、その際、インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するために、前記インクリメンタル目盛(433)に対して、走査線束が2つのインクリメンタル信号走査フィールド(453.1;453.2)にそれぞれ少なくとも1回印加されるエンコーダ。
【請求項17】
さらに、前記基準マーク(431.1,431.2)が、基準尺平面において測定方向(x)に対して垂直方向である対称軸(Sy)に対して、鏡面対称に構成されている請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項18】
前記両インクリメンタル信号走査フィールド(453.1;453.2)の中心が、測定方向(x)に対して垂直方向である、基準尺平面における第1の直線(Gy1)上に位置し、前記基準パルス走査フィールド(451.1,451.2)の中心が、基準尺平面における第2の直線(Gy2)上に位置しており、該両直線(Gy1、Gy2)が基準尺(430)上において測定方向(x)に互いにずれた位置に配置されている請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項19】
前記基準マーク(431.1,431.2)が、それぞれ円柱レンズとして基準尺(430)上に構成されており、該円柱レンズが横周期性を有し、その結果、両1次回折光が、照射走査線束から空間的に分離されて、走査ユニット(410)内の走査板(411)に当たる請求項16に記載のエンコーダ。
【請求項20】
基準パルス信号(RI)を生成するための、走査ユニット(410)内の前記第1の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に、複数の走査格子(418.1から418.4)と反射素子(413.1,413.2)とが含まれており、該反射素子を介して、前記第1の基準マークトラックの第1の基準パルス走査フィールド(451.1)から来る線束が、前記第2の基準マークトラックの第2の基準パルス走査フィールド(451.2)内へ後方反射され、かつ、
−単数または複数の基準パルス検出素子(415)を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項21】
前記走査ユニット(410)が走査板(411)を含み、該走査板の、基準尺(430)側を向いた面上に複数の回折走査格子(418.1から418.4)が配置されており、該走査板の反対側の面上に再帰反射するダハプリズムが配置されており、該ダハプリズムが、反射素子(413.1,413.2)として複数の鏡面を有する請求項20に記載のエンコーダ。
【請求項22】
インクリメンタル信号(INCA,INCB)を生成するための、前記走査ユニット(410)内の第2の走査手段が、
−複数の光学素子を含み、その中に複数の走査格子(418.5から418.8)、およびオプションとしての結合格子、ならびに少なくとも2つの反射素子(413.1,413.2)が含まれており、かつ、
−複数のインクリメンタル検出素子を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項23】
前記反射素子(413.1,413.2)を介して、第1のインクリメンタル信号走査フィールド(453.1)から来る線束が、第2のインクリメンタル信号走査フィールド(453.2)内へ後方反射される請求項22に記載の位置測定措置。
【請求項24】
前記走査ユニット(410)が走査板(411)を有し、該走査板の、基準尺(430)側を向いた面上に、複数の回折走査格子(418.5から418.8)およびオプションとしての結合格子が配置されており、かつ、該走査板の反対側の面上に、再帰反射するダハプリズムが配置されており、該ダハプリズムが、反射素子(413.1,413.2)として複数の鏡面を有する請求項22に記載のエンコーダ。
【請求項25】
前記走査ユニット(410)にさらに光源(414)が付設されており、該光源が、前記第1および第2の走査手段に、前記インクリメンタル目盛(433)と前記基準マーク(431.1,431.2)とを走査するための光を供給する請求項20又は22に記載のエンコーダ。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−129022(P2008−129022A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299739(P2007−299739)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
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