説明

エンジン出力制御装置

ブルドーザに搭載されたエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、ブレードチルトシリンダの圧力が所定値以上の場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更する。従って、チルトシリンダへ油圧を供給することでブレードをチルトさせ、この状態で押土スピードを落とさずに作業を行う時には、出力カーブ変更手段は高出力カーブに変更してエンジンを駆動するが、その他の多くの場合には、低出力カーブに自動的に切り換えてエンジンの出力を抑え、これにより燃費の改善を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械などに使用されるディーゼルエンジンでは、エンジントルクカーブ(縦軸にエンジントルク、横軸にエンジン回転数)や、エンジン出力カーブ(縦軸にエンジン出力、横軸にエンジン回転数)が固定的に設定されており、これらのカーブ上の各出力点でのベストマッチングのトルクをメインの油圧ポンプが吸収するようにコントロールしたり、走行抵抗に見合うようにコントロールしたりしていた。
【0003】
ところが、比較的小さな稼働負荷で作業を行う場合のように、予め設定された出力よりも、実際の作業機駆動に必要な出力が小さくてよい状況では、設定された出力カーブに沿って必然的にエンジンを駆動したのでは、燃費が悪化してしまう。
例えば、建設機械の多くは、前進走行中に作業機を駆動させることはあっても、後進(後退)しながら作業機を駆動することは少ない。従って、後進時には、作業機が駆動されないことで出力に余裕が生じるため、速い速度で後進する必要がないにもかかわらず、必要以上に速度があがってしまうことになり、燃費が悪化するのである。
【0004】
そこで、エンジン出力カーブの設定を負荷に応じて可変に設けるとともに、稼働負荷が小さい場合には、エコノミーモードの出力カーブを選択して低出力でエンジンを稼働させ、燃費の低減を図ることが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、近年では、建設機械の速度段を監視し、1速ではエコノミーモードの出力カーブを、2速以上ではハイパワーモードの出力カーブをそれぞれ自動的に選択するようにし、低速運転時にエコノミーモードを用いることで、燃費の低減を図ろうとする提案もされている。
【特許文献1】実開昭59−123640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記許文献1による方法によれば、オペレータがアジャスティングレバーを操作することにより、エンジン出力カーブの設定を手動で変更する必要があるため、面倒であるうえ、最低限必要な出力を正確に確保するようにアジャストするには熟練を要し、操作を容易に行えないという問題がある。
また、近年提案された方法によれば、速度段における1速および2速の間だけで出力カーブの設定を切り換えるため、2速以上のハイパワーモードでも、建設機械の種類によっては、稼働負荷が小さい場合が生じ、やはり燃費を十分に改善できない可能性がある。
【0006】
すなわち、より確実に燃費を改善するためには、その設定変更をいずれのタイミングで行うことがよいのか、正しく見極めることが望まれているのである。
そして、建設機械としては、ブルドーザや、モータグレーダ、油圧ショベルなど多種にわたっており、それぞれにおいて負荷のかかり具合が異なるため、各種類に応じた設定変更を行うことが重要である。
【0007】
本発明の目的は、燃費を確実に改善できるエンジン出力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係るエンジン出力制御装置は、ブルドーザ用のエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、ブレードチルトシリンダの圧力が所定値以上の場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係るエンジン出力制御装置は、ブルドーザ用のエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、作業モードに応じて前記出力カーブを変更することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係るエンジン出力装置は、請求項3に記載のエンジン出力制御装置において、前記出力カーブ変更手段は、前記作業モードが掘削作業の場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更し、押土作業の場合に、前記出力カーブ記憶手段から中出力カーブを呼び出して変更し、前記エンジンの駆動力を伝達する変速機のシフト位置が後進位置の場合に、前記出力カーブ記憶手段から低出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係るエンジン出力制御装置は、ブルドーザ用のエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、前記エンジンの駆動力を伝達する変速機のシフト位置が前進2速から前進1速に変更時で、かつ坂道登坂の場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のエンジン出力制御装置は、モータグレーダ用のエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、グレーディングモードの場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更し、走行モードの場合に、前記出力カーブ記憶手段から低出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のエンジン出力制御装置は、請求項5に記載のエンジン出力制御装置において、前記出力カーブ変更手段は、前記エンジンの駆動力を伝達する変速機のシフト位置が前進4速以上の場合に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のエンジン出力制御装置は、油圧ショベル用のエンジン出力制御装置において、エンジンの出力カーブを複数記憶しておく出力カーブ記憶手段と、前記複数の出力カーブの中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段とを備え、この出力カーブ変更手段は、走行モードで、かつステアリング操作時に、前記出力カーブ記憶手段から高出力カーブを呼び出して変更することを特徴とする。
【0015】
なお、以上において、高出力カーブ、中出力カーブ、低出力カーブとは、出力カーブの大きさの序列であり、例えば高出力カーブを基準とすれば、これよりも低い出力カーブは中出力カーブであり、さらに低い出力カーブが低出力カーブである。
つまり、出力カーブが4種類以上ある場合では、任意の2つの出力カーブのうち高出力の方が高出力カーブであり、低い出力の方は低出力カーブである。同様に、4種類以上ある場合の任意の3つの出力カーブのうち、最も高出力のものが高出力カーブ、これよりも低い出力カーブが中出力カーブ、さらに低いのが低出力カーブである。
【0016】
従って、例えば5種類の出力カーブのうち、高い(低い)出力の方から2つをもって高出力カーブおよび低出力カーブということもできるし、2番目および4番目に高い出力カーブをそれぞれ、高出力カーブおよび低出力カーブということもできる。また、5種類のカーブのうち、高い(低い)出力の方から3つをもって高出力カーブ、中出力カーブ、低出力カーブということもできるし、1番目、3番目、4番目に高い出力カーブをそれぞれ、高出力カーブ、中出力カーブ、低出力カーブということもできる。
【発明の効果】
【0017】
以上において、請求項1の発明によれば、ブルドーザにおいて、チルトシリンダへ油圧を供給することでブレードをチルトさせ、この状態で押土スピードを落とさずに作業を行う時には、出力カーブ変更手段は高出力カーブに変更してエンジンを駆動するが、その他の多くの場合には、低出力カーブに自動的に切り換えてエンジンの出力を抑えるため、燃費が確実に改善される。
【0018】
ブルドーザにおいては、その作業モードにより、総合的なエンジン要求出力に違いがある。このため請求項2の発明においては、複数の作業モードを認識させ、各作業モードと出力カーブとを連携させることとした。これにより、負荷の小さい作業モードの時にはより低い出力カーブを用いればよく、軽負荷時や中負荷時の無駄な出力が抑制さて燃費改善が促進される。
【0019】
また、ブルドーザでは、後進時、押土作業時、掘削作業時の順に低出力から大出力が要求される。従って、請求項3の発明では、これらに応じた出力カーブを呼び出して用いるようにし、無駄な出力が抑制されて燃費が改善されるようにした。
【0020】
さらに、前進2速から前進1速にシフトダウンして坂道登坂する場合には、エンジンの回転数のマッチング点を中速から高速に迅速に移行させる必要があり、そのために加速性能が要求され、高出力が要求される。従って、請求項4の発明では、このような状況を判断して高出力カーブを用いるとともに、他の走行パターンの時にはより低い出力カーブを用いるようにすれば、他の走行パターンにおいての燃費が改善される。
【0021】
モータグレーダの場合には、ブレードを用いて作業を行うグレーディングモードの時に特に高出力が要求され、通常の走行モードで行う作業では、さほど高い出力が要求されないことが多い。従って、請求項5の発明では、このようなグレーディングモードと走行モードとを判定することで、走行モードでの燃費が確実に低減され、燃費改善が図られるようにした。
【0022】
また、モータグレーダでは、請求項6の発明のように、前進4速以上の速度段の場合に高出力カーブを用いるようにすれば、燃費がさほど悪化することなく作業時のサイクルタイムが確実に短縮し、作業性が向上する。
【0023】
一方、油圧ショベルでは、走行時のステアリング操作によって車速が落ちてしまうので、走行時には一般に、ステアリング操作をしない場合でも、高出力が維持されるようになっており、燃費が悪化していた。これに対して請求項7の発明では、走行時にあって、ステアリング操作を行った場合にのみ高出力カーブを用いるので、余分な出力が抑えられ、燃費が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
[図1]本発明の第1実施形態に係るエンジン出力制御装置が搭載されたブルドーザを示す模式図。
[図2]前記出力制御装置を示すブロック図。
[図3]出力カーブを示す図。
[図4]第1実施形態での作業モード対応テーブルを示す図。
[図5]第1実施形態での出力カーブ対応テーブルを示す図。
[図6]第1実施形態での出力カーブの選択および設定変更を説明するためのフローチャート。
[図7A]効果を説明するための第1の図。
[図7B]効果を説明するための第2の図
[図8]本発明の第2実施形態に係るエンジン出力制御装置が搭載されたモータグレーダを示す模式図。
[図9]第2実施形態での作業モード対応テーブルを示す図。
[図10]第2実施形態での出力カーブ対応テーブルを示す図。
[図11]第2実施形態での出力カーブの選択および設定変更を説明するためのフローチャート。
[図12]本発明の第3実施形態に係るエンジン出力制御装置が搭載された油圧ショベルを示す模式図。
[図13]第3実施形態での出力カーブ対応テーブルを示す図。
[図14]第3実施形態での出力カーブの選択および設定変更を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0025】
1…ブルドーザ、3…トランスミッション(変速機)、12…ブレードチルトシリンダ、30…コントローラ(エンジン出力制御装置)、35…出力カーブ変更手段、36…記憶手段(出力カーブ記憶手段)、40…モータグレーダ、60…油圧ショベル、N1…高出力カーブ、N2…中出力カーブ、N3…低出力カーブ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコントローラ(エンジン出力制御装置)30が搭載されたブルドーザ1を示す模式図である。
ブルドーザ1は、ディーゼルエンジン2の出力でトランスミッション3をダイレクトに駆動し、ステアリングクラッチ4および終減速装置5を介してスプロケット6を駆動する構成である。
【0027】
ただし、駆動方式としてはこれに限らず、エンジン2の出力をトルクコンバータを介してトランスミッション3に伝えるトルクフロー方式や、ダンパーおよびジョイントを介して伝えるハイドロシフト方式、油圧ポンプによって液体エネルギに変換し、油圧モータによって再び機械エネルギに復帰させ、終減速装置5を介してスプロケット6に伝えるハイドロスタティック方式、ダイレクト方式の機械効率とハイドロスタティック方式の運転効率とを兼ね備えたハイドロメカニカル方式などであってもよい。
【0028】
また、エンジン2の出力軸に連結されたPTO(Power Take−Off:動力取出装置)7には、メインの油圧ポンプ8が接続されている。油圧ポンプ8からの油圧は操作弁9で分配され、チルトシリンダ12、R(ライト)リフトシリンダ13、およびL(レフト)リフトシリンダ14に分配される。
【0029】
この際、エンジン2は、燃料噴射ポンプやガバナ等を含んで構成された燃料噴射装置15を備えており、燃料噴射装置15は、スロットルレバー16からのエンジンスロットル開度信号やデクセルペダル17からのオンオフ信号に基づいて、コントローラ30の燃料噴射量制御手段31(図2)によって制御される。
【0030】
トランスミッション3は、変速レバー18および前後進レバー19からのポジション信号に基づき、コントローラ30のトランスミッション制御手段32(図2)によって速度段や前後進が切り換え制御される。
また、油圧ポンプ8は、制御弁8Aにより斜板角が可変とされており、制御弁8Aは、コントローラ30のポンプ制御手段33(図2)によって制御される。
【0031】
さらに、本実施形態では、R、Lリフトシリンダ13,14自身にストロークセンサ21,22が設けられ、チルトシリンダ12への油圧供給ラインには油圧センサ23が設けられている。各センサ21〜23からの検出信号はそれぞれ、コントローラ30の出力カーブ変更手段35(図2)に入力される。
【0032】
以下には、図2のブロック図に基づき、コントローラ30について詳説する。
コントローラ30は、スロットルレバー16からのスロットル開度信号およびデクセルペダル17からのオンオフ信号に基づいて前述の燃料噴射装置15を制御する燃料噴射量制御手段31、変速レバー18および前後進レバー19からのポジション信号に基づいてトランスミッション3(図2では不図示)を制御するトランスミッション制御手段32、および制御弁8Aを制御するポンプ制御手段33を備えているのに加え、本実施形態の特有な構成として、作業モード判定手段34、出力カーブ変更手段35を備えている。これらの手段31〜35は、記憶手段(出力カーブ記憶手段)36に格納されているコンピュータプログラムであり、エンジン2のスタートスイッチがオンの状態で呼び出され、実行される。
【0033】
そして先ず、記憶手段36には、図3にも示すように、複数(本実施形態では3つ)の出力カーブN1,N2,N3が記憶されている。ここで、N1は高出力カーブ、N2は中出力カーブ、N3は低出力カーブである。
また、記憶手段36には、図4、図5に示すように、作業モード対応テーブル37、および出力カーブ対応テーブル38が格納されている。
【0034】
なお、本実施形態の出力カーブN1〜N3,G1〜G3としては、横軸にエンジン回転数、縦軸にエンジントルクをとったエンジントルクカーブで記憶されているが、縦軸をエンジン出力(kW,PS)としてもよい。
【0035】
作業モード判定手段34は、出力カーブ変更手段35の一機能であり、ストロークセンサ21,22からの検出信号、トランスミッション制御手段32を介して入力される変速レバー18のポジション信号、燃料噴射量制御手段31を介して入力されるスロットルレバー16のスロットル開度信号、およびデクセルペダル17のオンオフ信号に基づき、図4に示す作業モード対応テーブル37を参照して作業モードを判定する。
【0036】
具体的には、ストロークセンサ21,22により、R、Lリフトシリンダ13,14のシリンダロッドが所定位置まで前進したことが検出され、よってブルドーザ1の実際のブレード高さHが予め設定されたブレード高さHset.以下であると判断された場合であって、変速レバー18のポジション信号により、シフト位置がF1(前進1速)かまたはF2(前進2速)であると判断され、かつスロットルレバー16の位置がフルスロットルの状態と判断され、また、デクセルペダル17を踏んでいないと判断されると、ブルドーザ1は掘削作業を行っているものと判定される。
以上の条件のうち、実際のブレード高さHが予め設定されたブレード高さHset.を越えていると判断した場合には、作業モードとして運土作業であると判定される。
さらに、ブレード高さにかかわらず、シフト位置がF2からF1に移動し、スロットルレバー16がフルで、しかもデクセルペダル17が踏まれていない場合には、坂道登坂を開始したと判定される。
なお、ブルドーザ1のシフト段としては、F3以上、R3(後進3速)以上を有するのが一般的であり(クラスによってはF5、R5を有する機種もある)、本実施形態では、その中でもシフト位置が特にF1およびF2にある場合や、いずれかの後進位置(速度段は問わない)にある場合に、所定の作業モードが判定されるようになっている。
【0037】
出力カーブ変更手段35は、図5に示す出力カーブ対応テーブル38を参照し、前記作業モード判定手段34によって作業モードが掘削作業と判定された場合に、出力カーブとして高出力カーブN1を選定する、運土作業と判定された場合には中出力カーブN2を選定し、坂道登坂と判定された場合にも高出力カーブN1を選定し、それまで用いられていた出力カーブと異なる場合には、選定された出力カーブに変更する。さらに、トランスミッション制御手段32を介して入力される前後進レバー19からのポジション信号により、後進していると判断された場合には、低出力カーブN3を選定する。
【0038】
このように、特に後進する場合には、走行抵抗による負荷がエンジン2にほとんどかからないないため、前後進レバー19が後進位置にある時には常時、低出力カーブN3を呼び出して使用することにより、必要以上の速い速度で後退するといったことがなくなり、燃費を格段に改善できるのである。
【0039】
このような燃費低減を図面に基づいて説明すると、図7Aに示すように、高出力カーブN1を使用して例えば掘削作業を行っていたのに対し、ブルドーザ1が後退する時には、走行抵抗が図に示すように曲線Xから曲線Yに下がるため、従来のように依然として高出力カーブN1を使用すると、走行抵抗に見合ったトルクは点Aから点Bに移行し、高いエンジン回転数で後退することになり、図7Bに示すように、燃料消費率が良好とはいえない状況での運転が継続されることになる。これに対して、出力カーブをN1からN2やN3(本実施形態では、後進時にはN3を使用)に変更すれば、走行抵抗とつり合うトルクは点Bから点C、点Dへと変更され、最も良好な点Eに近づくから、燃料消費率がより良好な状態で運転でき、燃費を改善できるのである。
【0040】
さらに、掘削作業、押土作業、後進といった作業モードを認識し、各作業モードと出力カーブN1〜N3とを連携させているため、押土作業のように大きな負荷がかからない場合には、掘削作業の場合よりも低い中出力カーブN2を用いればよく、さらに負荷のかからない後進時には、低出力カーブN3を用いればよく、中負荷時や低負荷時の無駄な出力を抑制して燃費改善を促進できる。
【0041】
また、本実施形態の出力カーブ変更手段35では、油圧センサ23からの検出信号により、チルトシリンダ12の実際の油圧Pが予め設定された圧力P以上であると判断された場合には、高出力カーブN1を選定する。この状況は、チルトシリンダ12へ油圧を供給することでブレードをチルトさせ、チルトさせながらスピードを落とさずに運土作業等を行う時である。しかし、高出力カーブN1に変更して運土作業を行うのは、このような状況の時に限られており、その他の運土作業の場合には、前述したように、より低い中出力カーブN2を使用するため、全ての運土作業を高出力カーブN1で行う場合に比し、やはり燃費を改善できる。
【0042】
なお、エンジン2がスタートした時点でのデフォルト設定としては、低出力カーブN3が用いられる。
【0043】
次に、図6に示すフローチャートをも参照して、ブルドーザ1での出力カーブN1〜N3の選択および設定変更について説明する。
ステップ(以下、ステップを「S」と省略する)1:エンジン2のスタートスイッチがオンになると先ず、出力カーブ変更手段35は、前後進レバー19からのポジション信号により、ポジション位置が後進位置であるかを判断する。
【0044】
S2:前後進レバー19のポジション位置が前進位置である場合には、出力カーブ変更手段35は、チルトシリンダ12の油圧Pが予め設定された圧力P以上であるかを判断し、圧力P以上であれば、S11に進んで高出力カーブN1を選定する。S3:油圧Pが圧力Pよりも小さい場合、作業モード判定手段34は、デクセルペダル17のオンオフ状態を判断する。
S4:デクセルペダル17が踏まれておらず、オフ状態にあると判断した場合には、スロットル開度信号に基づき、スロットルレバー16がフルスロットルであるかを判断する。
S5:フルスロットルであると判断した場合には、変速レバー18からのポジション信号により、速度段がF2またはF1であるかを判断する。
【0045】
S6:次いで、速度段がF2またはF1である場合には、作業モード判定手段34は、F2からF1にシフトダウンされたかを監視する。
S7:F2からF1にシフトダウンされた場合、作業モード判定手段34は、ブルドーザ1が坂道登坂を開始したと判定する。
【0046】
S8:S6において、F2からF1へのシフトダウンが行われず、依然としてF1またはF2にそのまま維持されている場合には、R、Lリフトシリンダ13,14に設けられたストロークセンサ21,22からの検出信号に基づき、実際のブレード高さHと予め設定されたブレード高さHset.とを比較する。
S9:実際のブレード高さHがブレード高さHset.以下である場合には、ブレードを下げて掘削作業を行っていると判定する。
S10:また、実際のブレード高さHがブレード高さHset.より高い場合には、ブレードを所定高さに維持しながら運土作業を行っていると判定する。
【0047】
S11:この後、出力カーブ変更手段35は、掘削作業と判定された場合には、出力カーブとして高出力カーブN1を選択し、それまで異なった出力カーブが設定されていた場合には、これと変更して使用する。
また、坂道登坂と判断された場合も同様である。すなわち、速度段をF2からF1にシフトダウンして坂道登坂する場合には、エンジン2の回転数のマッチング点を中速から高速に迅速に移行させる必要があり、そのために加速性能が要求され、高出力が要求されるのであるが、本実施形態では、このような状況を出力カーブ変更手段35が判断し、このような状況でのみ高出力カーブN1を用いるため、平地を走行したり、下り坂を走行したりするような他の走行パターンの時には、より低い出力カーブN2,N3を用いることができ、燃費をより改善できる。
【0048】
S12:そして、運土作業と判定された場合には、中出力カーブN2を選択して使用する。
S13:一方、S1において、前後進レバー19が後進である場合には、出力カーブ変更手段35は低出力カーブN3を選択して使用する。また、S3〜S5において、デクセルペダル17を踏んでいる場合、スロットルレバー16がフルスロットルでない場合、変速レバー18がF3(前進3速)以上の速度段に位置している場合にも、出力カーブ変更手段35は低出力カーブN3を選択して使用する。
【0049】
以上に説明したように、ブルドーザ1では、後進時、押土作業時、掘削作業および坂道登坂時の順に小出力から大出力が要求されるのであるが、これらに応じた出力カーブN1〜N3を呼び出して用いることにより、ブルドーザ1といった特殊な車両においても、燃費を確実に改善できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
図8には、本発明の第2実施形態に係るコントローラ30が搭載されたモータグレーダ40の模式図が示されている。
なお、図8において、前述した第1実施形態と同様な構成には同一符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。後述する第3実施形態でも同様である。
【0051】
モータグレーダ40は、エンジン2からの出力がトルクコンバータ41を介してトランスミッション3に伝達され、さらにデファレンシャルギア42、終減速装置5、タンデムドライブ装置43を介して後輪44に伝達される構成である。このようなモータグレーダ40においても、PTO7を介して油圧ポンプ8が駆動され、油圧が操作弁9によって各作業機に分配される。
【0052】
モータグレーダ40の作業機としては、スカリファイヤシリンダ45、R(ライト)ブレードリフトシリンダ46、L(レフト)ブレードリフトシリンダ47、ドローバサイドシフトシリンダ48、アーティキュレートシリンダ49、ブレードパワーチルトシリンダ50、ブレードサイドシフトシリンダ51、リーニングシリンダ52、ステアリングシリンダ53、サークル回転モータ54などである。そして、これらのうちのR、Lブレードリフトシリンダ46,47にはストロークセンサ55,56が設けられ、実際のブレード高さHを検出できるようになっている。つまり、R、Lブレードリフトシリンダ46,47のシリンダロッドの進退量をストロークセンサ55,56で検出することにより、シリンダロッドの進退に応じて上下動するブレードが地面に対してどの程度の深さで入り込んでいるのか、あるいは地面からどの程度の高さに持ち上げられているのかを知ることができるのである。
【0053】
また、モータグレーダ40のコントローラ30においても(コントローラ30部分のブロック図に関しては、図2中の一点鎖線で示した部分を参照)、記憶手段36内にはやはり、図3に示すように、複数の出力カーブN1〜N3が記憶されている。ただし、作業モード対応テーブル37および出力カーブ対応テーブル38としては、図9、図10にそれぞれ示されるものが記憶されている。
【0054】
図9に示す作業モード対応テーブル37によれば、実際のブレード高さHが所定のブレード高さHset.以下であり、速度段がF1またはF2の場合には、作業モード判定手段34は、ブレードを用いた掘削作業を主とするグレーディングモードであると判定する。ブレード高さに関係なく、速度段がF4以上の場合には、高速走行モードであると判定する。ブレード高さHがブレード高さHset.を越えており、ブレードを持ち上げながら走行している場合には、通常走行モードであると判断する。
【0055】
図10に示す出力カーブ対応テーブル38によれば、作業モードがグレーディングモードおよび高速走行モードの場合には、出力カーブ変更手段35は、高出力カーブN1を選択して使用し、通常走行モードの場合には、低出力カーブN3を使用する。
なお、高速走行モードおよび通常走行モードの場合に行われる作業としては、ブレードを所定高さHset.よりも上げた状態での作業が専ら行われる。そのような作業としては、例えば、まき出し作業、埋戻し作業、および混合作業など、材料の移動・混合を主とする作業である。
また、エンジン2がスタートした時点でのデフォルト設定として、低出力カーブN3が用いられるのは、前記第1実施形態と同じである。
【0056】
次に、図11に示すフローチャートをも参照して、モータグレーダ40での出力カーブN1〜N3の選択および設定変更について説明する。
S1:先ず、実際のブレード高さHが所定のブレード高さ以下であるかを判断する。
S2:次いで、ブレード高さHが所定のブレード高さ以下であると判断した場合には、変速レバー18がF1またはF2のポジション位置であるかを判断する。
S3:S2において、F1またはF2であるならば、ブレードを下げたグレーディングモードで作業していると判定する。
S4:これに対して、F3以上であれば、その他の作業モード(例えば、ブレードを下げた状態であっても、負荷がさほど大きくならない作業)にあると判定する。
【0057】
S5:一方、S1において、ブレード高さHが所定のブレード高さHset.より高い場合には、ブレードを持ち上げた状態での走行モードであると判定するが、ここでは、変速レバー18のポジション信号により、ポジション位置がF4以上であるかを判断する。
S6:ポジション位置がF4よりも低く、すなわちF1〜F3であると判断した場合には、通常走行モードで作業を行っていると判定する。
S7:変速レバー18がF4以上であれば、高速走行モードで作業を行っていると判定する。
以上の判定は、作業モード判定手段34によって行われる。
【0058】
S8〜S10:この後、出力カーブ変更手段35は、作業モードがグレーディングモードおよび高速走行モードと判定され場合に、高出力カーブN1を選択して使用する。また、その他の作業モードと判定された場合には、中出力カーブN2を選択して使用し、通常走行モードと判定された場合には、低出力カーブN3を使用する。
【0059】
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
すなわち、モータグレーダ40の場合には、ブレードを用いて作業を行うグレーディングモードの時に特に高出力が要求され、通常走行モードの時にはさほど高い出力が要求されないことが多い。従って、本実施形態のように、グレーディングモードと通常走行モードとを作業モード判定手段34により判定することで、通常走行モードでの燃費を確実に低減でき、燃費改善を確実に促進できる。
【0060】
また、モータグレーダ40では、ブレードを上げた状態で作業する場合において、F4以上の速度段の場合に高速走行モードと判定され、この場合にのみ高出力カーブN1を用いるので、燃費がさほど悪化することなく作業時のサイクルタイムを確実に短縮でき、作業性を向上させることができる。
【0061】
〔第3実施形態〕
図12には、本発明の第3実施形態に係るコントローラ30が搭載された油圧ショベル60の模式図が示されている。
【0062】
油圧ショベル60は、エンジン2の出力でF(フロント)油圧ポンプ8fおよびR(リア)油圧ポンプ8rが駆動され、油圧が操作弁9によって各作業機に分配される構成であり、各油圧ポンプ8f,8rの斜板角は制御弁8Af,8Arで制御される。また、油圧ショベル60には燃料ダイヤル61が設けられ、この燃料ダイヤル61からのスロットル信号に基づいて、燃料噴射装置15がコントローラ30の燃料噴射量制御手段31(図2)によって制御される。
【0063】
油圧ショベル60の作業機としては、バケットシリンダ62、アームシリンダ63、ブームシリンダ64、旋回モータ65、走行モータ66などである。そして、これらへの油圧の供給状態を検出するために、汕圧ボンプ8f,8rから操作弁9への油圧供給ラインには油圧センサ8Bf,8Brが設けられている。
【0064】
また、油圧ショベル60のコントローラ30において(コントローラ30部分のブロック図に関しては、図2中の一点鎖線で示した部分を参照)、作業モード判定手段34は、R、L走行レバー67,68のポテンショメータからの操作信号を受信すると、走行モータ66が駆動されることから、走行モードであると判定する。
一方、出力カーブ変更手段35は、R、L走行レバー67,68からの操作信号を比較し、比較した結果、R、L走行レバー67,68の操作量に所定量の差がある場合には、ステアリング操作によって旋回走行を行っていると判断し、出力カーブとして高出力カーブN1を選択、使用する。また、出力カーブ変更手段35は、油圧センサ8Bf,8Brからの検出信号に基づき、作業機62〜66の使用状況に応じた油圧Pを演算し、予め設定された油圧P1set.,P2set.(ただし、P1set.>P2set.)と比較し、P≧P1set.であれば、高出力カーブN1を使用し、P2set.<P<P1set.であれば、中出力カーブN2を使用し、P≦P2set.であれば、低出力カーブN3を使用する。
従って、本実施形態での出力カーブ対応テーブル38としては、図13に示すものとなる。作業モード対応テーブルについては、走行モードを判定できればよく、テーブル構成も簡単で理解も容易であるため、ここでの図示を省略する。
【0065】
次に、図14に示すフローチャートをも参照して、油圧ショベル60での出力カーブN1〜N3の選択および設定変更について説明する。
S1:先ず、作業モード判定手段34は、R、L走行レバー67,68のポテンショメータからの操作信号を監視する。
S2,S3:両方の走行レバー67,68が操作されない場合には、出力カーブ変更手段35は、油圧センサ8Bf,8Brからの検出信号に基づき、PとP1set.とを比較し、P≧P1set.であれば、作業機62〜65に重負荷がかかっていると判断し、高出力カーブN1を選択して使用する。
S4,S5:一方、P≧P1set.ではない場合で、PとP1set.,P2set.とを比較した結果、P2set.<P<P1set.であれば、作業機62〜65に中負荷がかかっていると判断し、中出力カーブN2を選択して使用する。
S6:さらに、S4において、P2set.<P<P1set.でない場合は、P≦P2set.であるから、作業機62〜65に軽負荷がかかっているか、または負荷がかかっていないと判断し、低出力カーブN3を選択して使用する。
S7:また、S1において、走行中と判断され、かつR、L走行レバー67,68の操作量に所定量の差がある場合には、旋回していると判断し、この場合にのみエンジン2の回転数が落ちないように高出力カーブN1を選択して使用する。その場旋回の場合も同様である。
【0066】
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
すなわち、油圧ショベル60の走行時においては、旋回することで車速が落ちるのを防止するために、旋回していると判断した時にのみ高出力カーブN1を使用するが、旋回していない時には、作業機62〜65への負荷のかかり具合に応じて出力カーブN1〜N3を選択して使用するので(通常は、走行中に作業機62〜65を稼働させることは希であるため、中、低出力カーブN2,N3が使用されることになる)、走行中に常時高出力で運転する従来に比して燃費を低減できる。
【0067】
また、作業機62〜65を使用して作業を行っている場合でも、作業機62〜65にかかる負荷を油圧センサ8Bf,8Brからの検出信号に基づいて検出し、その負荷状況に応じて出力カーブN1〜N3を変更するから、より緻密な制御を実現でき、余分な出力を抑えて燃費を確実に低減できる。
【0068】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記第3実施形態では、R、L走行レバー67,68の操作量に所定量の差がある場合に、ステアリング操作を行っていると判断したが、左右一対ある走行モータ66のそれぞれの油圧を検出し、各油圧の差分に基づいて旋回状況を判断してもよい。
【0069】
前記各実施形態では、出力カーブとして、高、中、小の出力カーブN1〜N3が記憶されていたが、場合によっては高、低の出力カーブN1,N3のみを記憶されておいてもよいし、必要に応じて4種類以上の出力カーブを記憶させて使い分けしてもよい。
【0070】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、油圧ショベル、ブルドーザ、モータグレーダ、ホイルローダ等の建設機械の他、エンジン駆動の定置式の発電機、定置式破砕機、定置式土質改良機等の産業機械、あるいはダンプトラック、自走式破砕機、自走式土質改良機等の産業車両に好適に用いられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルドーザ(1)用のエンジン出力制御装置(30)において、
エンジン(2)の出力カーブ(N1〜N3)を複数記憶しておく出力カーブ記憶手段(36)と、
前記複数の出力カーブ(N1〜N3)の中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段(35)とを備え、
この出力カーブ変更手段(35)は、ブレードチルトシリンダ(12)の圧力が所定値以上の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項2】
ブルドーザ(1)用のエンジン出力制御装置(30)において、
エンジン(2)の出力カーブ(N1〜N3)を複数記憶しておく出力カーブ記憶手段(36)と、
前記複数の出力カーブ(N1〜N3)の中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段(35)とを備え、
この出力カーブ変更手段(35)は、作業モードに応じて前記出力カーブを変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項3】
請求項2に記載のエンジン出力制御装置(30)において、
前記出力カーブ変更手段(35)は、前記作業モードが掘削作業の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更し、押土作業の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から中出力カーブ(N2)を呼び出して変更し、前記エンジン(2)の駆動力を伝達する変速機(3)のシフト位置が後進位置の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から低出力カーブ(N3)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項4】
ブルドーザ(1)用のエンジン出力制御装置(30)において、
エンジン(2)の出力カーブ(N1〜N3)を複数記憶しておく出力カーブ記憶手段(36)と、
前記複数の出力カーブ(N1〜N3)の中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段(35)とを備え、
この出力カーブ変更手段(35)は、前記エンジン(2)の駆動力を伝達する変速機(3)のシフト位置が前進2速から前進1速に変更時で、かつ坂道登坂の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項5】
モータグレーダ(40)用のエンジン出力制御装置(30)において、
エンジン(2)の出力カーブ(N1〜N3)を複数記憶しておく出力カーブ記憶手段(36)と、
前記複数の出力カーブ(N1〜N3)の中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段(35)とを備え、
この出力カーブ変更手段(35)は、グレーディングモードの場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更し、走行モードの場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から低出力カーブ(N3)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項6】
請求項5に記載のエンジン出力制御装置(30)において、
前記出力カーブ変更手段(35)は、前記エンジン(2)の駆動力を伝達する変速機(3)のシフト位置が前進4速以上の場合に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。
【請求項7】
油圧ショベル(60)用のエンジン出力制御装置(30)において、
エンジン(2)の出力カーブ(N1〜N3)を複数記憶しておく出力カーブ記憶手段(36)と、
前記複数の出力カーブ(N1〜N3)の中の一つを選択して変更する出力カーブ変更手段(35)とを備え、
この出力カーブ変更手段(35)は、走行モードで、かつステアリング操作時に、前記出力カーブ記憶手段(36)から高出力カーブ(N1)を呼び出して変更する
ことを特徴とするエンジン出力制御装置(30)。

【国際公開番号】WO2005/042951
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515104(P2005−515104)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014844
【国際出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】