説明

エンジン排気ガス添加剤貯蔵システム

内燃機関排気ガス液体添加剤を貯蔵するためのシステムであって、添加剤を貯蔵するためのタンク、およびタンクの底壁に形成された開口を介して配置された「液中」のベースプレート(1)を含み、前記ベースプレートは少なくとも1つのオリフィスを含み、排気ガス中に前記添加剤を噴射するためのシステムが、該オリフィスを介して液体供給されることが可能であり、またベースプレート(1)には、貯蔵システムおよび/または噴射システムの少なくとも1つの他の作動構成部品が組み込まれている、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エンジン排気ガス添加剤貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両および重量物運搬車両からの排出物に関する法制は、とりわけ、大気中に放出される窒素酸化物NOの量の削減を規定している。この要件を達成する1つの公知の方法は、排気系統に一般にアンモニアといった還元剤を噴射することにより窒素酸化物の還元を許容するSCR(選択接触還元)の使用である。このアンモニアは、アンモニア前駆体の溶液の熱分解に由来し得、その濃度は共晶濃度であり得る。このようなアンモニア前駆体は、一般に尿素の溶液である。
【0003】
SCR法を用いることで、最適化された効率での燃焼中にエンジン中で生成される高レベルのNOは、エンジンから排出される際に触媒コンバータ中で処理される。この処理では、正確な濃度および超高品質での還元剤の使用が要求される。そのため、溶液は正確に計量されると共に排気ガス流中に噴射され、ここで、窒素酸化物(NO)を窒素(N)および水(HO)に転換する前に加水分解される。
【0004】
これを行うために、車両は、添加剤(一般に尿素)の溶液を含有するタンクと、排気系統に所望の量の添加剤を計量して噴射するための装置とを備えていることが必要である。
【0005】
従来技術において還元添加剤を貯蔵して供給する種々のシステムが提供されており、これらは:必要な量の添加剤を直接的に引き抜くもの(従って、添加剤溶液を再循環させない)、および添加剤溶液を再循環させるもの、のおよそ2つの区分に分けることが可能である。
【0006】
第1の事例において、計量装置(ポンプまたは計量バルブであり得る)は、添加剤が、貯蔵タンクの底から出る管を介して単に重力下に供給されることが可能である。特許文献1は、このようなシステムを記載する。
【0007】
往流および復流が一般に圧力調整器を用いて制御される第2の事例において、添加剤は圧力下で計量され、一般に、この圧力を生成するためにはポンプに頼らなければならない。特許文献2は、このようなシステムを記載する。
【0008】
排気ガスへの添加剤の溶液を正確に計量することが可能であるために、添加剤タンクに、レベルゲージ、温度センサ、品質センサ、抵抗加熱構成要素等などの構成要素を組み込むことが公知の慣例である。前述の特許文献2は、タンクの上壁に配置されたポンプのベースプレートにこれらの種々の構成部品をグループ化することを提案する。このアプローチは、(すべての接続が同一のプレート上に一緒にグループ化されているため)このシステムの車両への組み込みを容易とし、同時に、タンクの壁に形成される開口の数を少なくすることを可能とする。しかしながら、ベースプレートがタンクの上壁に配置されている事実は、
− 供給および戻り管が高い位置にあるため、添加剤の潜在的な分解からもたらされる気体が蓄積され得るという恐れがあることと;
− ポンプが乾燥し、その呼び水を損失することを防止するために液溜を設けることが必要となることと;
− タンクの末端壁の寿命の間の変形の結果、目盛りがいくらか不正確となることと;
− 添加剤蒸気が度々腐食性(尿素の場合にはアンモニアが存在する)であるにも関わらず、構成部品は持続的な添加剤蒸気への露出を被ることと;
− 凍結した場合に、表面に浮遊する固体の添加剤の塊が動き回って前記構成部品に衝突し得るため、いくつかの構成部品が損傷され得ることと、
の数多くの不利益をもたらす。
【特許文献1】米国特許第5628186号明細書
【特許文献2】米国特許第6063350号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、前述の不利益を軽減し、あるいは不利益の回避さえも可能とするエンジン排気ガス添加剤貯蔵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、内燃機関排気ガス液体添加剤を貯蔵するためのシステムに関し、前記システムは、添加剤を貯蔵するためのタンク、およびタンクの底壁に形成された開口を介して配置された「液中」のベースプレートを含み、前記ベースプレートは少なくとも1つのオリフィスを含み、排気ガス中に前記添加剤を噴射するためのシステムが、該オリフィスを介して液体供給されることが可能であり、さらに前記ベースプレートには、貯蔵システムおよび/または噴射システムの少なくとも1つの他の作動構成部品が組み込まれている。
【0011】
「底壁」という用語は、実際には、本発明の文脈において、(一体に成形されたか、または2枚のシートもしくはパリソン型から成形されたかどうかに関わらず)タンクの底半分を指すことを意図する。好ましくは、ベースプレートはタンクの底側の3分の1に配置されており、特に好ましくは、タンク底側の4分の1、または、さらにはタンクの実際の底に配置されている。底側壁上に部分的に配置されていてもよく、この場合には、一旦車両に搭載されるとわずかに角度がつく。ベースプレートの位置および/または方向は、(組み込まれる必要がある構成部品を考慮すると)特に車両内のタンクの位置、ならびに周囲の空間に依存する。
【0012】
本発明にかかる添加剤は、通常の使用条件下で液体である添加剤である。内燃機関の排気ガス中に存在するNOを還元することができる還元剤であることが好ましい。有利には、アンモニア(実際の還元剤)を排気ガス内にその位置で(in situ)生成する前駆体の溶液である。本発明は、前駆体として、尿素、特に、尿素の水溶液で良好な結果を得る。(32.5重量%の尿素を含有する)共晶溶液が高度に好適である。しかしながら、これらは約−11℃で凍結し、これにより、凍結を防ぐためにヒータがシステムに備えられていることが有利であり、このヒータは、有利には本発明によるベースプレート(下記参照)に組み込まれることに注意しなければならない。
【0013】
本発明は、その排気ガス中にNOを生成する可能性のあるいずれの内燃機関にも適用され得る。これは、燃料戻り管(すなわち、エンジンによって使用されない過剰な燃料を燃料タンクに戻す管)を有する、または有さないエンジンであってもよい。これは、ディーゼルエンジンおよび、特に車両のディーゼルエンジンならびに、特に好ましくは重量物運搬車両のディーゼルエンジンに有利に適用される。
【0014】
本発明によるシステムは、添加剤を貯蔵することを目的とする少なくとも1つのタンクを含む。このタンクは、いずれの材料からなるものであっても良く、関連する添加剤に対する耐薬品性を有するものが好ましい。これは、一般に、金属またはプラスチックであろう。尿素の場合には、ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン(より具体的には、HDPEまたは高密度ポリエチレン)が好ましい材料である。
【0015】
本発明によれば、タンクには、その底壁における開口を閉塞するための扁平な構成部品(すなわち、構成部品の厚さはその長さまたは直径より小さい構成部品)であるベースプレートまたは取付板が備えられている。この部分は中空であって、添加剤が流過することが可能である、オリフィスを介してタンクと連通する空間を形成し得ることに留意すべきである。
【0016】
ベースプレートは、特に、中空体の壁を貫通するおよび/または後者中に配置される付属品を支持するためにきわめて好適である。これは、いずれかの形状の、それ自体で閉塞する周縁部を有する。通常は、その周縁部は円形である。
【0017】
本発明によれば、本ベースプレートは少なくとも1つのオリフィスを含み、排気ガスに前記添加剤を噴射するためのシステムが、該オリフィスを介して液体供給されることが可能である。この液体供給は、前記オリフィスを介してベースプレートを貫通する噴射管を介して、単に重力下に達成され得る。代替的には、かつ、好ましくは、システムはポンプによって液体供給される。
【0018】
また、ベースプレートには、貯蔵および/または噴射において作用する少なくとも1つの構成部品が組み込まれている。これは、構成部品がベースプレート上に固定されているか、または一体的に形成されていることを意味する。この構成部品は、タンク内に組み込まれていても、またはその外部に、必要に応じて、これを貫通する接続と共に組み込まれていてもよい。
【0019】
好ましくは、本発明によるベースプレートには、貯蔵および/または計量において作用する数々の構成部品が組み込まれ、特に好ましくは、添加剤タンク中の、タンクを出るまたはタンクに入る液体添加剤と接触する必要があるすべての作用構成部品が組み込まれる。
【0020】
好ましくは、構成部品は、ポンプ;フィルタ;レベルゲージ;ヒータ;温度センサ;品質センサ;圧力センサ;圧力調整器;ベンチュリ(venturi)管の群から選択される。これらの構成要素はすべて、添加剤を貯蔵および/または噴射するためのシステムに関与する作用部分を有し、これらが「液中」の取付板(すなわち、タンクが空でなければ常に添加剤中にある取付板)上に組み込まれているという事実は、
− ポンプに対して:アンモニア前駆体の溶液をポンプの冷却に用いることが可能であり;凍結した場合には、ポンプにより放散される熱が液状に戻すために役立つことと;
− レベルゲージに対して:最低点がより明確に定義され、これにより、計測に対するタンクの変形による影響が小さくなることと;
− ヒータに対して:凍結した場合には、取付板の設計を介した加熱システムに関連する隔室の形成が、モータ製造業者によって要求される時間フレーム内(例えば:3分間で100mL)での、汚染低減システムを作動させるために必要な体積の添加剤溶液の排出を許容することと;
− 温度センサ、品質センサまたは添加剤の他の特徴を感知するセンサに対して:これらを、噴射システムへの供給の観点における重要な領域に容易に配設することが可能であることと;
− ベンチュリ管について:低温度の場合に前駆体が解凍されるに伴って加熱されることになり、この構成部品の機能が確実に保持されることと、
の特定の利点を示す。
【0021】
本発明によるベースプレートに組み込まれ得るレベルゲージは、いずれのタイプであってもよい。好ましくは、これは、例えば容量型タイプのものといった、可動部分を有さないゲージである。
【0022】
加熱について、(前述の隔室を形成するために)好ましくは空間に囲まれている、または空間を囲う、所与の容量の熱交換器、または加熱部材を含んでいてもよい。好ましくは、この空間は、ベースプレートと(適切に一体として成形された)一体のものである。さらに好ましくは、ヒータは、2つのエラストマー層(例えばシリコーン)の間で絶縁された抵抗性構成要素から構成される多層構造を示す可撓性構成部品を含む。可撓性ヒータの使用は、これを、きわめて多くのベースプレートに好適であるよう適合させることを許容する。特に、ベースプレートが管継手を含む場合には、ヒータは、ベースプレートの管継手内に挿入されることが可能であるタブを備え、これにより、低温で前駆体の溶液が凍結した場合に栓が形成されることが防止される。
【0023】
また、温度および品質センサは、いずれかの公知のタイプのものであり得る。添加剤の特徴(純度、濃度等)の計測のために用いられるいずれかの他のセンサが本発明での使用に好適である。
【0024】
また、本発明は、液体添加剤を内燃機関の排気ガス中に供給するための供給システムに関し、前記システムは、上述の貯蔵システムおよび前記添加剤をエンジン排気ガス中に噴射するための噴射システムを含む。この噴射システムは、少なくとも1つの噴射管および1つのインジェクタ(すなわち液体添加剤を排気ガス中に分散化/噴霧化させるための装置)を含む。このインジェクタは、添加剤のその位置での計測のために制御される能動的インジェクタ、または上流に配置された好適な装置(一般に計量ポンプまたはバルブ)により計量された量の添加剤の噴霧化に機能が限定されている受動的インジェクタであり得る。
【0025】
本発明による供給システムは、添加剤を添加剤タンクからインジェクタに輸送するためのポンプを含んでいてもいなくてもよい。好ましくは、ポンプ(安定な噴射圧力を生成することができるように)が含まれ、好ましい変形例において、このポンプは、ベースプレートに固定されている。このポンプは、添加剤タンク内に配置されていてもよく(一緒になってコンパクトな統合的なモジュールが構成されるという利点を有する)、または、腐食性環境の場合には、添加剤タンクの外側に配置されていてもよい。ポンプを形成する材料は、好ましくは、腐食に耐えることができる金属(特に、一定のグレードのステンレス鋼およびアルミニウム)から選択されることとなる。銅に依存することは、コネクタであっても望ましくない。ポンプは、添加剤タンクにおける液取出点として知られる点から液体添加剤を引き抜く。この点は、ポンプ管として知られる管によりポンプと接続されている。この点は、好ましくは、ベースプレートの付近またはその上に配置されている。
【0026】
ポンプにより送られて(制御ユニットから制御に応じて)インジェクタによって消費されなかった添加剤の量がある場合にこれは、有利には、添加剤戻り管として知られる管により添加剤タンクに戻される。この管は、一般に、圧力調整器および/または圧力センサと一緒に備えられている。これは、インジェクタまたはポンプの下流の噴射管におけるいくつかの他の点の一方と添加剤タンクとを接続する。この変形例において、有利には、圧力調整器および/またはセンサもまたベースプレートに組み込まれることが好ましく、すなわち、タンク中においてベースプレート上に固定されることが好ましい。
【0027】
また、本発明による供給システムは、特に好ましくはベースプレートの中に組み込まれた/ベースプレート上に固定されたフィルタを含むことが好ましい。このフィルタは、ポンプの上流または下流に配置され得る。ポンプの上流に配置されている場合、フィルタはポンプを保護する。好ましくは、圧力の低下およびキャビテーション現象が回避されるようポンプの下流に配置されていることが好ましい。
【0028】
また、ベースプレートは、尿素前駆体の溶液をインジェクタに輸送するための少なくとも1つの管継手を含み得る。タンクへの戻り管が設けられている事例においては、第2の管継手が設けられてもよい。
【0029】
管について利用されるパージシステムおよびこれに接続された構成部品に応じて、ベースプレートに、液体がタンクから配管に戻ることを防止するボール/サイフォン、または同等の機能を備えるいずれかの他の装置が備えられるよう対策がなされ得る。実際には、普通、ポンプが配管を一定の圧力下とし、これが一般にこのような逆流を防止するが、タンク中の液体の水頭が、この圧力を超えるのに十分であるケースもあり得、すべてに関わらず、配管に向かって流れる液体の小さい流れを生じさせる。タンクと配管との間に適切なサイズのボール/サイフォンで連通をもたらすオリフィスを設けることでこの現象を防止させることが可能である。
【0030】
特に車両環境により強制されるタンクへの幾何学的な制約に応じて、ベースプレートは、車両の配向に応じて取り出されることが可能である液体の予備を形成する液溜を備えていてもよい。必要な場合において、ベースプレートには、液溜がタンク内に配置される液取出点から液体供給されることを許容する装置(例えば管継手の後に戻り管に接続され得るベンチュリタイプのもの)が組み込まれ得る。
【0031】
通常は、本発明による供給システムは、(能動的インジェクタの場合)インジェクタに直接的に接続されている、または(受動的インジェクタの場合)個別の計量装置に接続されており、必要な量の添加剤が排気ガス中に噴射されることを許容する制御ユニットを含む(量は、特に、NOの排出レベルおよび転換レベル;温度および圧力;エンジン速度および負荷:などのパラメータに依存する)。本発明によれば、有利に、ベースプレートおよび/またはこれに組み込まれた構成部品は、この制御ユニットに対する接続を含む。
【0032】
この変形例において含まれる制御ユニットは、エンジン制御ユニット(ECU)または車両に組み込まれたいくつかの他の制御ユニット(例えば燃料システム制御ユニット(FSCU))であり得る。同等に、ECU、FSCUまたは車両に組み込まれたいくつかの他の制御ユニットからの指示/情報を受信する特殊目的の制御ユニットであり得る。
【0033】
また、本発明は、本明細書に上述のシステムを製造するための方法に関する。特に、本発明は、このシステムの貯蔵タンクを製造するための方法に関する。
【0034】
このタンクは、中空体について公知である加工法のいずれかにより製造され得る。1つの好ましい方法は、特にタンクがプラスチック製である場合、ならびに特にHDPE製である場合、押出し成形/ブロー成形法である。この方法において、(1以上の部品における)パリソンは、押出し成形により得られ、次いで、ブロー成形により金型中で成型される。単一のパリソンからの一体としてのタンクの成形は、良好な結果をもたらす。
【0035】
また、このタンクの液中のベースプレートは、いずれかの公知の手段によって入手し得るが、好ましくは、これは射出成形により得られ、この方法は、良好な寸法精度の達成を可能とする。
【0036】
好ましくは、ベースプレートは、ポリアセタールなどのアンモニア前駆体の水溶液に耐えることができる材料であって、特に、POM(ポリオキシメチレン);ポリフタルアミド(例えばAMODEL(登録商標)樹脂);またはポリアミド(例えばナイロン−6,6)および、特に、強化グレード(例えばガラス繊維強化プラスチック)に基づく。
【0037】
好ましくは、ベースプレートは、組み込むための能動的構成部品に対する取付システムを備える。これらのシステムは、ベースプレートと一体的に成形され得、またはこの目的のために必要とされるインサートが、(例えば重ね成形を用いて)成形プロセスの最中にあるいは(溶接を用いて)成形プロセスの後に追加され得る。ヒータが可撓性フィルムを含む場合には、これは、クリップを用いて取り付けられ(例えばナイロン−6,6中に射出される)、これらは、取付板における穴および、前者の穴に対応するヒータにおける穴の中に挿入される。
【0038】
タンクの底壁における開口は、例えば成形タンクの機械加工といったいずれかの適切な手段により製造され得る。好ましくは、その周縁部は、ベースプレートの取付を容易とする凸部(例えばネジ山を有する突起)を有し、これは、タンクと同時に成形される。
【0039】
また、ベースプレートは、特に、タンク側面のネジ山(このネジ山は、好ましくは、タンクのブロー成形の最中に(好適な形状の金型で)製造され)にネジ止めされるリングナットシステムまたは、差込タイプの密封システムを用いるといったいずれかの公知の手段によりタンクの開口に組み立てられ得る。ガスケット(好ましくは、例えばエラストマー、NBRまたはEPDM製)は、好ましくは、タンクにおける開口縁部とベースプレートとの間にシールを形成する。好ましくは、このガスケットは、ベースプレートの周縁部の周囲に形成された通路に載置され、好ましくは、タンクにおける開口の周縁部とベースプレートとの間で圧縮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明が、非限定的に、図1〜図4により図示されており、その好ましい多数の変形例が例示されている。
【0041】
図1は、添加剤タンクの底面(図示せず)に固定されており、ポンプ[3]、予め搭載されたバルブ[7]およびフィルタ[8]のアセンブリを許容する支持体[10]を含む、ベースプレート[1]を示す。この例において、ポンプは歯車ポンプ[6]であり、磁石[4]およびコイル[5]を含む電動機により回転される。また、ベースプレート[1]は、添加剤(例えば尿素などのアンモニア前駆体の溶液)を排気系統(図示せず)中に吹き出すためのインジェクタまたはノズル(図示せず)に接続されているパイプに接続された管継手[9]を含む。このアセンブリには、(アンモニア前駆体を融解するために)システムの低温における作動を許容する加熱部材[11]が載置されている。
【0042】
このアセンブリは、噴射モードおよびパージモードの少なくとも2つの作動モードを有する。
【0043】
噴射モードにおいて、その仕事は、アンモニア前駆体の溶液を車両の排気系統に噴霧することである。これを行うために、タンク中に含有されている溶液をオリフィス[2]を介して引き抜くようポンプ[3]が作動される。流体は、フィルタ[8]を通過し、管継手[9]によって、インジェクタまたはノズルに接続されているパイプに輸送される。良好な品質の噴霧に必要な高い圧力は、予め搭載されたバルブ[7]によって制御される。
【0044】
パージモードにおいて、その仕事は、インジェクタ、配管、フィルタを、ならびにポンプの歯車システムが配置されている容積を抜き取ることである。
【0045】
管継手[9]に接続されたパイプに配置されるインジェクタまたはパージバルブが開けられる。次いで、ポンプ[3]は、液体がインジェクタまたはノズルから引き抜かれると共にオリフィス[2]を介してタンクに吐出(送出)されて戻されるように作動される。ボール[13]およびサイフォン[12]タイプの装置が、ポンプが停止されたときにパージされた容積に液体が戻ることを防止する。
【0046】
図2に図示される変形例において、電動機[4,5]は、タンクの外側のベースプレート[1]の下に組み込まれている。既述の例と比較すると、電気接続(電源コード[14])がより容易であり得る。
【0047】
図3に図示される変形例において、図1および2に図示された構成部品および機能に追加して、ベースプレート[1]には、レベルセンサ[15]および温度プローブ[16]が組み込まれている。
【0048】
図4は、その上にフィルタ[8]、ブラシレスモータにより作動される歯車ポンプ[6]および圧力調整器[7]が組み立てられたベース取付板[1]の例を示す。取付板[1]は、パージバルブを有することができる、インジェクタ戻り管に接続された供給管継手[9]および管継手[10]を有する。取付板[1]は、多層構造の可撓性シートからなり、一連のクリップ[11a]により取付板に固定された加熱部材[11]を備えている。加熱部材[11]は、アンモニア前駆体の追加的な体積が融解されるようタンク[11c]の底に配設された延長部[11b]を有する。液体は、タンクから、取付板[1]に形成された開口[13]を介してベースプレートに戻される。可撓性ヒータ[11]は、前駆体の溶液が管継手[9]および[10]内で凍結した場合に固体栓が形成されることを防止するために、管継手[9]および[10]に挿入される加熱タブ[11d]と共に設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】添加剤タンクの底面(図示せず)に固定されており、ポンプ[3]、予め搭載されたバルブ[7]およびフィルタ[8]のアセンブリを許容する支持体[10]を含む、ベースプレート[1]を示す。
【図2】変形例において、電動機[4,5]が、タンクの外側のベースプレート[1]の下に組み込まれている図である。
【図3】変形例において、図1および2に図示された構成部品および機能に追加して、ベースプレート[1]に、レベルセンサ[15]および温度プローブ[16]が組み込まれている図である。
【図4】その上にフィルタ[8]、ブラシレスモータにより作動される歯車ポンプ[6]および圧力調整器[7]が組み立てられたベース取付板[1]の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関排気ガス液体添加剤を貯蔵するためのシステムであって、
添加剤を貯蔵するためのタンク、およびタンクの底壁に形成された開口を介して配置された「液中」のベースプレートを含み、
前記ベースプレートは、少なくとも1つのオリフィスを含み、排気ガス中に前記添加剤を噴射するためのシステムが、該オリフィスを介して液体供給されることが可能であり、
さらに前記ベースプレートには、前記貯蔵システムおよび/または前記噴射システムの少なくとも1つの他の作動構成部品が組み込まれている、システム。
【請求項2】
ベースプレートにレベルゲージが組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項3】
ベースプレートに添加剤ヒータが組み込まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の貯蔵システム。
【請求項4】
添加剤の特性を計測するために用いられるセンサが、ベースプレートに組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の貯蔵システムと、
少なくとも1つの噴射管および1つのインジェクタを含む噴射システムと、
を含む、液体添加剤を内燃機関の排気ガス中に供給するための供給システム。
【請求項6】
ベースプレートに固定されたポンプを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項7】
ポンプにより輸送され、インジェクタによって消費されなかった量の添加剤が、ベースプレートに組み込まれている圧力調整器および/または圧力センサを備えている戻り管として知られる管により添加剤タンクに戻されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項8】
ベースプレートに組み込まれた/ベースプレート上に固定されたフィルタを含むことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項9】
ベースプレートに、液体添加剤をインジェクタに輸送する管継手および/または未使用の液体添加剤をタンクに戻すための管継手が組み込まれていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項10】
前記システムが、噴射管をパージする装置を含むことと、
噴射管がパージされたときにタンクからの液体が噴射管に戻ることを防止するための装置をベースプレートが含むことと、を特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項11】
ベースプレートが液溜と、タンク内の液取出点からの液溜への液体供給を許容するベンチュリタイプの装置とを含むことを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項12】
制御ユニットを含むこと、および、ベースプレートおよび/またはこれに組み込まれた構成部品がこの制御ユニットに対する接続を含むことを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載の供給システム。
【請求項13】
貯蔵タンクがプラスチックの押出し成形/ブロー成形により得られること、および、ベースプレートがプラスチックの射出成形により製造されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の貯蔵システム、または請求項5〜12のいずれか一項に記載の供給システムを製造するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−540184(P2009−540184A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513698(P2009−513698)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055613
【国際公開番号】WO2007/141312
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(507383057)イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム) (65)
【Fターム(参考)】