説明

エンジン駆動発電装置

【課題】エンジンの自動停止後に、使用者が負荷による作業を即座に開始することができるエンジン駆動発電装置を提供する。
【解決手段】本発明は、出力端子6に電流が流れていないことが検出された後、エンジン1を停止させるとともに、出力端子6に所定の無負荷電圧が発生するように、放電器9により第1蓄電手段7から直流電力母線部4への放電状態を制御して、また、エンジン停止後に、出力端子6に電流が流れていることが検出されたとき、エンジン1を再始動させるとともに、エンジン1の回転速度が所定の回転速度に到達するまで、放電器9より第1蓄電手段7から出力端子6を経由して負荷に所定の電力を給電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動発電装置に関し、より詳細には、負荷の使用状態に応じて自動的に停止及び始動するエンジンによって駆動される発電体と蓄電手段とを備えたエンジン駆動発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野外の工事現場のように商用電源が得られない場所では、エンジン駆動発電装置が用いられている。エンジン駆動発電装置は、溶接作業や手持ちの電気機器(例えば、グラインダのような電動工具)の電源として用いられる。
【0003】
ところで、使用者がこのような作業を行う時間は、手溶接による作業であれば1分間程度であり、また、グラインダのような電動工具であれば、長くても10分間程度である。また、溶接作業や電気機器を使用した作業では、1つの作業を終了させた後、次の作業を行うまで、例えば、30分から1時間程度、負荷を使用しない休止状態の期間が生じることがある。休止状態の間は、エンジンの稼動による無駄な燃料消費を抑制するため、エンジンを停止させることが望ましい。
【0004】
しかし、そのようなエンジンの停止及び始動操作を、エンジン本体で行う場合、使用者は、負荷での作業と、本体での作業を繰り返し行う必要があるため、操作が繁雑となる。特に、高層建築物での作業現場では、発電装置を地上に配置して、ケーブルを作業現場まで延ばして負荷を使用することもあり、この場合は、使用者は、作業現場と地上とを行き来する必要がある。
【0005】
そこで、発電装置の本体の操作を行うことなく、負荷の操作を行うことで、エンジンを自動で始動させることができるエンジン駆動発電装置の一例が、下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の技術によれば、溶接出力端子、又は交流電力出力端子に対して、信号発生源(再始動検出用電源)を接続して、使用者が負荷による作業を開始しようとしていることを判断させて、エンジンを始動させている。例えば、溶接負荷であれば、溶接棒と溶接母材が接触されたことを検出して、エンジンを始動させている。また、交流負荷であれば、電気機器のスイッチのON/OFFの操作を検出して、エンジンを始動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−018343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術には、エンジンを自動的に再始動した直後には、使用者は負荷による作業を即座に開始することができないという問題がある。具体的には、エンジンが始動した直後は、エンジンは負荷の稼動に必要な電力を発電するのに必要な回転速度に到達していない。このため、始動直後は、発電体の出力が不足した状態である。この不足状態で負荷による作業を開始すると、負荷が不所望な動作をしてしまう。例えば、溶接負荷であればアークが発生しない、もしくは、発生しにくい状態になってしまう。また、電気機器であれば、作動しない、もしくは、動作の立ち上がりが遅い状態になってしまう。
【0008】
また、エンジンの始動直後は、エンジンの発生トルクも小さい状態である。このため、負荷電流によって生じるエンジンへの回転抵抗に抗うことができずにエンジンが失速することがある。
【0009】
このような事情から、使用者は、エンジンの再始動後、その回転速度の立ち上がりを待って作業を開始する必要があった。この立ち上がり時間は、例えば10秒程度である。しかし、この程度の時間であっても、特に熟練作業者にとっては使い勝手の悪いものであった。このため、エンジンの自動停止、自動始動の機能は従来からあるものの、作業現場では、エンジン駆動発電装置を、エンジン回転速度の調節機能を用いずに、従来通りの高速一定モードで使用することが多かった。
【0010】
また、自動停止及び自動始動の制御を行うエンジン駆動発電装置では、その制御を行うためのコントローラの電源としてバッテリが利用されている。このため、自動停止後、自動始動するまでの待機状態の時間が長くなると、コントローラの電源としてのバッテリの蓄電量が使い果たされ、エンジンの始動ができなくなることがあった。
【0011】
そこで、本発明は、エンジンの自動停止及び自動始動機能を有するエンジン駆動発電装置において、使用者が負荷による作業を開始するときに、エンジンが自動的に再始動してから負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間、使用者が待つことなく、即座に負荷での作業を開始することを可能とするエンジン駆動発電装置を提供することを第1の目的としている。
【0012】
また、本発明は、エンジンが自動停止した待機状態の時間が長くなっても、エンジンの自動始動を確実に行うことができるとともに、使用者がエンジン回転速度の立ち上がりを待つことなく、即座に負荷での作業を開始することができる状態を維持することを可能とするエンジン駆動発電装置を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の第1の目的を達成するため、本発明のエンジン駆動発電装置は、エンジンと、
前記エンジンによって駆動されて交流電力を発生する発電体と、前記発電体から発生する交流電力を直流電力に変換する整流器と、前記整流器の出力側に設けられた直流電力母線部と、負荷を接続するために前記直流電力母線部の出力側に接続された出力端子と、前記直流電力母線部に並列接続された第1蓄電手段と、前記発電体の出力からの前記直流電力母線部を介した前記第1蓄電手段への充電を制御する充電器と、負荷に電力を供給するための前記第1蓄電手段から前記直流電力母線部への放電を制御する放電器と、前記出力端子を流れる電流を検出する出力電流検出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、前記エンジン、発電体、充電器及び放電器の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記出力電流検出手段によって前記出力端子に電流が流れていないことが検出された後、前記エンジンを停止させるとともに、前記出力端子に所定の無負荷電圧が発生するように、前記放電器により前記第1蓄電手段から前記直流電力母線部への放電状態を制御して、前記制御手段は、前記エンジン停止後に、前記出力電流検出手段によって前記出力端子に電流が流れていることが検出されたとき、前記エンジンを再始動させるとともに、前記エンジン回転速度検出手段によって検出された前記エンジンの回転速度が所定の回転速度に到達するまで、前記第1蓄電手段から前記出力端子を経由して負荷に所定の電力が供給されるように前記放電器を制御する。
【0014】
このように構成された本発明は、負荷に電力を供給するための第1蓄電手段を併設したエンジン駆動発電装置であり、このエンジン駆動発電装置には、負荷の使用状態に応じて、エンジンを自動停止及び自動始動させる機能を有している。そして、エンジンが自動停止した待機状態において、負荷による作業が開始されたときに、まず、第1蓄電手段から負荷に電力が供給され、これと同時にエンジンを始動させる。さらに、エンジンが負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間は、第1蓄電手段から負荷への電力供給を継続させる。そして、エンジンが、負荷の稼動に必要な回転速度に到達した後は、第1蓄電手段から負荷への電力供給を停止し、エンジン/発電体から負荷への電力の供給を継続して行う。
【0015】
このように、本発明によれば、エンジンが始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間、第1蓄電手段から負荷への電力供給が行われる。その結果、使用者は、エンジンの再始動後、その回転速度が立ち上がるのを待つことなく、即座に負荷での作業を開始することができる。
【0016】
ところで、エンジン停止後、エンジンが再始動されるまでの待機状態において、第1蓄電手段は、負荷に電力を供給できる状態を維持するため、放電器、あるいは、出力調整器(インバータ等)に電力を供給する必要がある。このため、待機状態の時間が長くなると、第1蓄電手段の端子電圧および蓄電量が不足する事態が生じ得る。
【0017】
そこで、本発明のエンジン駆動発電装置において好ましくは、上記の第1及び第2の目的を達成するため、前記第1蓄電手段の端子電圧を検出する端子電圧検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記エンジン停止後に、前記端子電圧検出手段によって検出された前記第1蓄電手段の端子電圧が基準端子電圧以下の場合に、前記エンジンを再始動させるとともに、前記充電器により前記発電体の出力を前記第1蓄電手段に給電させる。
【0018】
このように、少なくとも、エンジンが自動停止している待機状態において、第1蓄電手段の端子電圧が検出(監視)され、端子電圧が基準端子電圧以下であるときに、エンジンを始動させて発電体の出力で第1蓄電手段の充電を行う。
なお、基準端子電圧は、例えば、(1)負荷の稼動を開始するのに必要な最低限の電圧を確保できていない状態、又は、(2)負荷の稼動が開始されて、エンジンが始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間において行う第1蓄電手段から負荷への電力供給を行うことができるだけの蓄電量が確保できていない状態となる端子電圧に設定するとよい。
【0019】
このように、本発明によれば、第1蓄電手段の端子電圧及び蓄電量が低下する度に、エンジン/発電体で充電を行う。このため、待機状態が長くなっても、エンジンが自動停止した後の待機状態における負荷への給電の初期において行われる、負荷の稼動が開始されて、エンジンが始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間に第1蓄電手段から負荷への電力供給を行うことが可能な状態を維持することができる。その結果、待機状態が長くなっても、エンジンが自動停止した状態から即座に負荷による作業を開始することができる状態を維持することができる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記第1蓄電手段に給電可能に接続された第2蓄電手段を更に備える。
【0021】
このように、エンジンが自動停止した待機状態において、第1蓄電手段の端子電圧及び蓄電量を維持するための第2蓄電手段を設けている。これにより、第1蓄電手段の端子電圧及び蓄電量が「初期に行う第1蓄電手段から負荷への電力供給」が可能な状態を維持することができる時間を長くすることができる。また、即座に負荷での作業を開始できる状態を長く維持することができる。
【0022】
さらに、待機状態で第1蓄電手段に充電する場合、エンジンを始動させて、発電体の出力で第1蓄電手段を充電する頻度を減らすことができ、燃費を改善することができるとともに、エンジンのスタータやスタータ用バッテリの消耗を減らすことができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る本発明のエンジン駆動発電装置によれば、エンジンの自動停止及び自動始動機能を有するエンジン駆動発電装置において、使用者が負荷による作業を開始するときに、エンジンが自動始動してから負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間、使用者が待つことなく、即座に負荷での作業を開始することができる。
【0024】
また、請求項2及び3に係る本発明のエンジン駆動発電装置によれば、上記効果に加えて、エンジンが自動停止した待機状態の時間が長くなっても、エンジンの自動始動を確実に行うことができるとともに、使用者がエンジン回転速度の立ち上がりを待つことなく、即座に負荷での作業を開始することができる状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態によるエンジン駆動発電装置を示すブロック回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態における負荷への電力供給状態を示すグラフである。
【図3】本発明の第2実施形態による第1蓄電手段の待機状態での端子電圧の時間変化を示すグラフである。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態および第3実施形態における第1蓄電手段の端子電圧と蓄電量との関係を示すグラフであり、(b)は本発明の第6実施形態における第1蓄電手段の端子電圧と蓄電量との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第3実施形態によるエンジン駆動発電装置を示すブロック回路図である。
【図6】本発明の第3実施形態における第1蓄電手段の端子電圧の時間変化を示すグラフである。
【図7】本発明の第3実施形態における第2蓄電手段用の充電器の構成を示すブロック回路図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるエンジン駆動発電装置の第1変形例を示すブロック回路図である。
【図9】本発明の第3実施形態によるエンジン駆動発電装置の第2変形例を示すブロック回路図である。
【図10】本発明の第3実施形態によるエンジン駆動発電装置の第3変形例を示すブロック回路図である。
【図11】本発明の第4実施形態によるエンジン駆動発電装置を示すブロック回路図である。
【図12】本発明の第5実施形態によるエンジン駆動発電装置を示すブロック回路図である。
【図13】本発明の第6実施形態によるエンジン駆動発電装置を示すブロック回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態は、本発明のエンジン駆動発電装置を、溶接作業を行うための溶接機に適用した例である。
【0027】
図1を参照して、本発明の第1実施形態におけるエンジン駆動発電装置の構成を説明する。第1実施形態のエンジン駆動発電装置は、エンジン1と、エンジン1によって駆動されて交流電力を発生する発電体2と、発電体2から発生する交流電力を直流電力に変換する整流器3と、整流器3の出力側に設けられた直流電力母線部4と、負荷を接続するために直流電力母線部4の出力側に接続された出力端子6とを備えている。この出力端子6には、負荷である溶接棒W及び母材Bが接続される。また、直流電力母線部4には、直流電力母線部4での直流電力の脈動を防止するため平滑コンデンサ5が設けられている。
【0028】
直流電力母線部4と出力端子6との間には、負荷供給電力調整用インバータ61、トランス62及びトランス用整流器63が順次に接続されている。負荷供給電力調整用インバータ61は、平滑コンデンサ5を介して、直流電力母線部4からの直流電力を交流電力に変換して、負荷への電圧及び電流を調節する。トランス62は、負荷供給電力調整用インバータ61からの交流電力に対して電圧調整を行う。トランス用整流器63は、トランス62からの交流電力を直流に変換する。
【0029】
さらに、直流電力母線部4には第1蓄電手段7が並列接続されている。第1蓄電手段7は、電気二重層コンデンサ又は電気二重層キャパシタ(以下、キャパシタと称する)から構成されている。これらのキャパシタは、同一重量のバッテリとで比較すると、大電流を流すことが可能であり、また、充放電を短時間で行うことができるという長所を有する。
なお、第1蓄電手段7はキャパシタに限定されるものではなく、例えば、バッテリやキャパシタ、又は両者の中間の性質を持つ蓄電手段を用いてもよい。
【0030】
直流電力母線部4と第1蓄電手段7との間には、充電器8及び放電器9が接続されている。充電器8は、発電体2の出力で直流電力母線部4を介して第1蓄電手段7を充電するための充電状態を制御する。また、放電器9は、負荷に電力を供給するための第1蓄電手段7から直流電力母線部4への放電状態を制御する。充電器8及び放電器9は、変圧器を用いたDC−DCコンバータや昇降圧チョッパで構成される。
なお、充電器8及び放電器9は、これらに限定されるものではなく、電圧調整及び電流調整が可能なものであればよい。
【0031】
図1に示すように、充電器8と第1蓄電手段7との間、及び、放電器9と直流電力母線部4との間に、それぞれ逆流防止ダイオード11及び11aを配置するとよい。
なお、充電器8及び放電器9の内部において、電流の逆流を防止する構成がある場合には、逆流防止ダイオードを設ける必要はない。
【0032】
次に、各構成を制御するための制御手段(コントローラ)17について説明する。
制御手段17は、エンジン1、発電体2、充電器8、放電器9、インバータ(電力調整手段)61、及びエンジン始動部のスタータ12の作動を制御する。より詳細には、制御手段17は、エンジン1の燃料供給量を制御する。エンジン1がディーゼルエンジンの場合には、制御手段17はそのグロープラブ(図示せず)への通電制御を行う。また、制御手段17は、発電体2が回転子に界磁巻線を有するものである場合、その励磁電流の制御を行う。また、制御手段17は、充電器8及び放電器9それぞれの内部に設けられたスイッチング素子の駆動信号の制御を行う。また、制御手段17は、エンジン始動部のスタータ12に、エンジン1を自動で再始動させるための始動指令信号を送出する。
【0033】
エンジン始動部には、エンジン1を始動させるために使用者が一番初めに操作するキースイッチ18、エンジンを始動させるスタータ12、スタータ12の電源となるスタータ用バッテリ13、スタータ用バッテリ13を充電するために、エンジン1によって駆動されるダイナモ14が含まれる。スタータ12とスタータ用バッテリ13との間に設けられた切替手段(スイッチ)13aは、キースイッチ18の操作に連動して導通/不導通が切り替わる。切替手段13aはまた、待機状態からエンジン1を再始動させるため、制御手段17からの始動指令信号によって導通に切り替わる。
【0034】
制御手段17を稼動させるための電力は、直流電力母線部4から降圧回路16を介して制御手段17に供給される。制御手段17には、エンジン1が稼動しているときは、発電体2からの出力で電力が供給される。一方、エンジン1が停止しているときは、第1蓄電手段7から制御手段17に電力が供給される。
【0035】
また、制御手段17には、溶接電流設定器19が接続されている。エンジン1、発電体2、第1蓄電手段7の放電器9、負荷供給電力調整用インバータ61は、この溶接電流設定器19の設定値に応じて目標値が決定され、制御が行われる。
【0036】
また、制御手段17には、エンジン回転速度検出手段15によるエンジン1の回転速度の検出結果が入力される。エンジン回転速度検出手段15は、回転センサーとしてエンジン1の回転速度を測定してもよいし、発電体2の出力電圧の波形からエンジン1の回転速度を算出してもよい。
【0037】
また、制御手段17には、端子電圧検出手段10によって検出された第1蓄電手段7の端子電圧の検出結果が入力される。第1蓄電手段7の蓄電量は、この端子電圧から第1蓄電手段7の特性データを用いて算出される。
【0038】
また、制御手段17には、出力電流検出手段60による出力端子6を流れる電流の検出結果が入力される。出力電流検出手段60は、トランス用整流器63と出力端子6との間の出力線の電流値を検出する。
なお、負荷が溶接負荷である場合、この電流値は、負荷供給電力調整用インバータ61の制御情報にも利用される。
【0039】
そして、制御手段17は、出力電流検出手段60によって出力端子6に電流が流れていないことが検出された後、エンジン1を停止させるとともに、出力端子6に所定の無負荷電圧が発生するように、放電器9により第1蓄電手段7から直流電力母線部4への放電状態を制御する。出力端子6に溶接負荷(溶接棒Wと溶接母材B)が接続されている場合、無負荷電圧として、溶接作業を行っていない状態、即ちアークが発生していない状態において、溶接作業を開始するときに必要な無負荷電圧(一般的に80V程度)を設定するとよい。
なお、負荷が稼働していない状態が所定時間経過した場合には、まずエンジン1の回転速度をアイドリング回転速度まで低下させ、更に所定時間経過後にエンジン1を停止するとよい。
【0040】
このように、負荷を使用しない休止状態の期間にエンジン1を停止させる。これにより、休止状態の期間中のエンジン1の稼動による無駄な燃料消費が抑制される。さらに、エンジン1を停止した後には出力端子6に無負荷電圧が継続的に印加される。このため、溶接作業を開始することが可能な状態とすることができる。
【0041】
さらに、制御手段17は、エンジン停止後に、出力電流検出手段60によって出力端子6に電流が流れていることが検出されたとき、エンジン1を再始動させるとともに、エンジン回転速度検出手段15によって検出されたエンジン1の回転速度が所定の回転速度に到達するまで、第1蓄電手段7から出力端子6を経由して負荷(溶接棒W及び母材B)に所定の電力が供給されるように放電器9を制御する。エンジン1の所定の回転速度は、溶接電流設定器19の設定値に応じて目標値が決定される。エンジン1の回転速度は、エンジン回転速度検出手段15により検出される。
【0042】
このように、エンジン1が自動停止している待機状態から溶接作業を開始した直後は、第1蓄電手段7から負荷に給電を行う。これにより、使用者は、エンジン1が自動停止している待機状態から、エンジン1の回転速度が立ち上がるのを待つことなく、即座に溶接作業を開始することができる。
【0043】
以下、第1実施形態のエンジン駆動発電装置の動作を説明する。
まず、エンジン/発電体から負荷への電力供給の基本動作について説明する。
エンジン1によって発電体2が駆動される。発電体2で発生した交流電力は、発電体用の整流器3によって直流に変換されて直流電力母線部4に供給される。直流電力母線部4に設けられた平滑コンデンサ5によって脈動を平滑化した直流電力が、負荷供給電力調整用インバータ61に入力される。負荷供給電力調整用インバータ61は、制御手段17からの駆動信号に応じて動作して、直流電力母線部4からの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力はトランス62に供給される。トランス62に供給された交流電力は、電圧調整されてから、トランス用整流器63で直流電力に変換される。この変換された直流電力が、出力端子6に接続した負荷(溶接棒Wと溶接母材B)に供給される。
【0044】
次に、第1蓄電手段7の放電及び充電について説明する。
第1蓄電手段(キャパシタ)7の端子は、直流電力母線部4に対して並列接続されている。直流電力母線部4と第1蓄電手段7との間には、放電器9及び充電器8が設けられて、第1蓄電手段7の放電及び充電の制御が行われる。
【0045】
第1蓄電手段7から負荷に給電を行う場合、第1蓄電手段7→放電器9→直流電力母線部4→平滑コンデンサ5→負荷供給電力調整用インバータ61→トランス62→トランス用整流器63→出力端子6の経路で負荷に電力が供給される。
【0046】
また、第1蓄電手段7は、発電体2の出力によって充電される。第1蓄電手段7の充電を行う場合、発電体2→発電体用整流器3→直流電力母線部4→充電器8→第1蓄電手段7の経路で充電が行われる。
【0047】
次に、使用者による操作の流れについて説明する。
先ず、一番初めに使用者が行う操作として、使用者がキースイッチ18をONにすると、スタータ用バッテリ13とスタータ12がスイッチ13aにより導通して、スタータ12が稼動され、エンジン1が始動する。
なお、ディーゼルエンジンを用いる場合には、エンジン1のグロープラグ(点火栓)(図示せず)による予熱を行った後に、スタータ12の稼動を行う。
【0048】
エンジン1の始動後、スタータ12の稼動を停止し、今度は、ダイナモ14によって、スタータ用バッテリ13の充電を行う。
なお、ダイナモ14によるスタータ用バッテリ13の充電は、エンジン1が稼動している間、常時行うようにするとよい。
【0049】
また、エンジン1の始動後に、充電器8を作動させて、第1蓄電手段7の充電を実行する。
【0050】
第1蓄電手段7が満充電に達した後に、負荷が不使用の状態、即ち休止状態となって所定時間経過した場合、エンジン1の回転速度を低速(アイドル回転速度)とする。休止状態であることは、出力電流検出手段60によって検出された電流検出値で判断される。
【0051】
エンジン1をアイドル回転速度とした後に、更に、休止状態となる状態が所定時間経過した場合、エンジン1を停止させる。エンジン1をアイドル回転速度及び停止させる前の「所定時間」の計測には、例えば、制御手段17にタイマ機能を持たせておき、時間をカウントさせるといった、既存の方法を利用することができる。
【0052】
次に、図2を参照して、エンジン1が自動停止した後の待機状態からの負荷への給電について説明する。図2は、負荷への電力供給状態を示すグラフであり、図2の横軸は時間を表し、縦軸は負荷に供給される電力を表す。グラフ中の線Iは、負荷に供給される電力の時間変化を示す。
【0053】
図2の時刻t0にエンジン1が自動で停止した後、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61は、第1蓄電手段7を電源として、負荷に給電が可能な状態で待機させる(区間A)。具体的には、制御手段17から継続して駆動信号を送出し、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61におけるスイッチング素子が、その稼動を継続して行う状態とする。
【0054】
これにより、この第1実施形態のように、負荷が溶接負荷(溶接棒Wと溶接母材B)である場合は、溶接作業を行っていない状態、即ちアークが発生していない状態において、溶接作業を開始するときに必要な無負荷電圧(一般的に80V程度)が継続して溶接棒Wと溶接母材Bとの間に印加される。
【0055】
そして、図2の時刻t1に負荷が稼動状態となると(この実施形態では、溶接作業が開始されると)、まず、第1蓄電手段7→放電器9→直流電力母線部4→平滑コンデンサ5→負荷供給電力調整用インバータ61→トランス62→トランス用整流器63→溶接負荷の経路で、電力が供給される。
なお、負荷が稼動状態になったことは、出力電流検出手段60によって検出される。
【0056】
溶接のアークが発生した後は、アーク特性に従って溶接電流Iに応じた値となるように、電圧が制御される。例えばJIS規格では、溶接電圧V=20+0.04×Iと規定されている。したがって、溶接電流I=100Aならば、溶接電圧は、V=20+0.04×100=24Vになるように制御される。
【0057】
同時に、制御手段17からエンジン始動指令信号がスタータ12に送出される。その結果、スタータ12が起動して、エンジン1が始動する。ディーゼルエンジンの場合は、前述のように、グロープラグ(図示せず)による予熱を行った後、スタータ12を起動させる。
【0058】
次に、エンジン1の始動後、エンジン1の回転速度が立ち上がるまでの動作について説明する。
図2の時刻t1にエンジン1が再始動した後、負荷に対する出力の設定に応じた回転速度、即ち目標回転速度となるように、エンジン1の回転速度が上昇する(区間B)。ここで、負荷に対する出力の設定とは、溶接機に適用した例では、使用者が選択した溶接電流設定器19の設定値である。
【0059】
エンジン1の始動直後は、回転速度が目標値に到達しておらず、発電体2の出力が目標値に到達していない。即ち、溶接電流設定器19で設定した電流値を出力できる状態に達していない。このため、エンジン1の回転速度が目標回転速度に到達するまでの間、第1蓄電手段7から負荷へ継続して給電される。
なお、エンジン1が目標回転速度に到達するまでの間は、第1蓄電手段7のみから負荷に所定電力を給電してもよいし、第1蓄電手段7及び発電体2の両方から負荷に所定電力を給電してもよい。
【0060】
このように、エンジン1が自動停止した後の待機状態において負荷が稼動を開始した場合、エンジン1を始動させて、その回転速度が、負荷の稼動に必要な値に到達するまでの間、第1蓄電手段7から負荷に給電が行われる。これにより、使用者は、エンジン1が自動停止している待機状態から、エンジン1の回転速度が立ち上がるのを待つことなく、即座に負荷での作業を開始することができる。
【0061】
次に、エンジン1の回転速度が立ち上がった後について説明する。
図2の時刻t2にエンジン1が目標回転速度に到達した後、第1蓄電手段7から負荷への給電を停止する。これ以降は、エンジン1によって駆動される発電体2から負荷への給電が行われる。
なお、エンジン1が稼動して、発電体2からの出力で負荷への給電が開始された後は、充電器8を作動させて第1蓄電手段7の充電を行う。この充電は、エンジン1の最大出力から見て余剰能力が残っているときに行えばよい。
【0062】
さらに、再び負荷が不使用の状態、つまり休止状態となって、図2の時刻t3のように所定時間経過した場合、エンジン1の回転速度はアイドル回転速度に下げられる。さらに、エンジン1がアイドル回転速度になって、更に、図2の時刻t4のように所定時間経過した場合、エンジン1は再び自動停止する。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態も、本発明のエンジン駆動発電装置を溶接作業を行うための溶接機に適用した例である。また、第2実施形態のエンジン駆動発電装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと同じである。
【0064】
ところで、上述の第1実施形態のように溶接機に適用した例では、エンジン1が自動停止した待機状態において、溶接作業を行う前の状態として、溶接棒Wと溶接母材Bとの間に、無負荷電圧(例えば80V程度)を絶えず維持する必要がある。そのため、待機状態であっても、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61のスイッチング素子(トランジスタ等)が駆動しており、電力を消費している。また、待機状態の制御手段17においても電力が消費されている。
【0065】
さらに、放電器9や負荷供給電力調整用インバータ61及びトランス62においても電力が消費される。具体的には、トランス62の一次側巻線の回路で電流が流れて電力が消費される。また、放電器9などにおいて昇降圧チョッパを用いる場合は、回路の中のコイルやコンデンサなどにおいて電流が流れて電力が消費される。
【0066】
このため、待機状態を長時間継続すると、負荷による作業を行っていないにも拘わらず、第1蓄電手段7の蓄電量が消費されてしまうことになる。
【0067】
ここで、第1蓄電手段7の蓄電量が完全に消費し尽くされていない場合であっても、蓄電量が減少すると、端子電圧も低下する。この現象は、第1蓄電手段7がキャパシタである場合に特に顕著となる。このため、待機状態が長く続くと、放電器9の昇圧動作をもってしても、必要な無負荷電圧を確保できなくなる可能性がある。
【0068】
また、第1実施形態で説明したように、「負荷での作業の開始」から「エンジン1が負荷の稼動に必要な回転速度に到達」するまでの間は、第1蓄電手段7を電源として負荷に給電するため、第1蓄電手段7は、この期間(例えば、10秒程度)、必要な電力の供給を続けることができるだけの最低限の蓄電量を確保しておく必要がある。このため、待機状態においては、「無負荷電圧の確保」と「第1蓄電手段7のみで、負荷の稼動が開始されて、エンジン1が始動してから目標回転速度に到達するまでの時間に、負荷に給電するのに必要な蓄電量の確保」の両方が必要となる。
【0069】
そこで、第2実施形態では、エンジン停止中で、第1蓄電手段7を電源として、負荷の作業を開始する前の「待機状態」において、第1蓄電手段7の端子電圧を検出しておき、「負荷の稼動に必要な無負荷電圧を確保できる端子電圧」、又は「第1蓄電手段7のみで、負荷の稼動が開始されて、エンジン1が始動してから目標回転速度に到達するまでの時間に、負荷に給電するのに必要な蓄電量」を確保することができなくなる状態を検出したとき、エンジン1を始動させて、発電体2の出力で第1蓄電手段7を充電する。
【0070】
そのために、上記のような状態となるときの端子電圧を基準端子電圧として設定しておく。そして、制御手段17は、エンジン停止後に、端子電圧検出手段10によって検出された第1蓄電手段7の端子電圧が基準端子電圧以下の場合、エンジン1を再始動させるとともに、充電器8により発電体2の出力を第1蓄電手段7に給電させる。
【0071】
以下、図3を参照して、第2実施形態のエンジン駆動発電装置の動作を説明する。
図3は、使用者がキースイッチ18をONに操作した後の待機状態における第1蓄電手段7の端子電圧の時間変化を示すグラフであり、図3の横軸は時間を表し、縦軸は第1蓄電手段7の端子電圧を表す。グラフ中の線IIは、第1蓄電手段7の端子電圧の時間変化を示す。
なお、図3に示す動作では、負荷は使用されていない状態である。
【0072】
使用者が行う一番初めの作業として、図3の時刻t0にキースイッチ18をONにして、時刻t1にエンジン1が始動した後、時刻t2に第1蓄電手段7の充電を開始する。
【0073】
図3の時刻t3に第1蓄電手段7が満充電Vfに達した後、負荷が稼動していない休止状態であるとき、エンジン1が稼動している間は(つまり、時刻t4において自動で速度がアイドル回転速度に調節され、更に、時刻t5においてエンジン1が停止するまでの間は)、発電体2からの出力で制御手段17、負荷供給電力調整用インバータ61及びトランス62に電力が供給される(区間A)。このため、第1蓄電手段7の蓄電量は消費されず、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量は変化しない。
【0074】
そして、休止状態が所定時間経過すると、エンジン1の回転速度が自動的に低速となり、更なる所定時間経過後に停止する。
【0075】
図3の時刻t5にエンジン1が自動で停止した後の待機状態においても、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61は継続して動作している。このため、制御手段17、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61+トランス62において電力が消費されている。その結果、第1蓄電手段7の蓄電量が減少し、これに伴い、端子電圧も減少する(区間B)。
【0076】
この端子電圧の低下(及び蓄電量の低下)が、「負荷の稼動に必要な無負荷電圧を確保できる端子電圧」、又は「第1蓄電手段7のみで、負荷の稼動が開始されて、エンジン1が始動してから目標回転速度に到達するまでの時間に、負荷に給電するのに必要な蓄電量」を下回ってしまうと、種々の不都合な事態が発生する可能性がある。例えば、負荷の稼動を開始することができない(溶接作業であれば、アークが発生しない、もしくは、アークが発生しにくい)事態が発生する可能性がある。また、負荷が稼動できたとしても、エンジン1が始動してから回転速度が必要値まで到達する前に第1蓄電手段7の蓄電量が消費し尽されるため、負荷の稼動が途中で途切れる(溶接作業であれば、途中で、アークが消失する)、もしくは、第1蓄電手段7で受け持っていた負荷が急激にエンジン1に生じ、エンジン1がこの急激な回転抵抗に抗うことができずに失速する、といった事態が発生する可能性がある。
【0077】
そこで、このような事態の発生を回避するため、負荷への電力供給を行うのに必要な最低限の端子電圧及び蓄電量を下回ったときに、制御手段17からエンジン始動指令信号を送出してエンジン1を始動させ、発電体2からの出力で第1蓄電手段7の充電を行う。すなわち、制御手段17は、エンジン停止後に、端子電圧検出手段10によって検出された第1蓄電手段7の端子電圧が基準端子電圧Vm以下の場合、エンジン1を再始動させるとともに、充電器8により、発電体2の出力を第1蓄電手段7に給電させる(時刻t6)。
【0078】
ここで、図4(a)に、本実施形態における第1蓄電手段7の端子電圧と蓄電量の関係を示す。
基準端子電圧Vmは、負荷の稼動が開始されて、「第1蓄電手段7のみで、エンジン1が始動してから目標回転速度に到達するまでの時間に、負荷に給電するのに必要な蓄電量Qz」のときの第1蓄電手段7の端子電圧Vzに対して、「負荷の稼動に必要な無負荷電圧を確保できる端子電圧」が図4(a)に示すV1の状態、すなわちVz>V1の状態であるときは、Vm=Vzとすればよい。端子電圧V1のときの蓄電量Q1は、Qz>Q1となるため、Vm=V1とすると、「負荷に給電するのに必要な蓄電量Qz」を確保できていない状態となるためである。
【0079】
一方、「負荷の稼動に必要な無負荷電圧を確保できる端子電圧」が図4(a)に示すV2の状態、すなわちV2>Vzの状態であるときは、Vm=V2とすればよい。端子電圧V2のときの蓄電量Q2は、Q2>Qzとなるため、Vm=V2とすれば、「負荷に給電するのに必要な蓄電量Qz」も確保できる状態となるためである。
なお、エンジン始動指令信号を送出する基準端子電圧Vmは、これに限定されるものではなく、最低限の電圧より、ある程度、余裕を持たせた値であってもよい。
【0080】
さらに、図3の時刻t7に、第1蓄電手段7が再び満充電Vfに達すると、第1蓄電手段7の充電が停止する。負荷が稼動していない休止状態であるとき、エンジン1の回転速度は自動的にアイドル回転速度に調節される(時刻t8)。そして、更に所定時間が経過した時刻t9に、エンジン1は停止する。
【0081】
このように、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量が負荷への電力供給を行うのに必要な最低限の端子電圧及び蓄電量まで低下する度に、エンジン/発電体で充電を行うので、待機状態が長くなっても、待機状態における負荷への給電の初期において、エンジン1が始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間に行う第1蓄電手段7から負荷への電力供給を行うことが可能な状態を維持するので、待機状態が長くなっても、エンジン1が自動停止した状態から即座に負荷による作業を開始することができる状態を維持することができる。
【0082】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態も、本発明のエンジン駆動発電装置を、溶接作業を行うための溶接機に適用した例である。
【0083】
ところで、上述の第2実施形態では、第1蓄電手段7(キャパシタ)の端子電圧及び蓄電量が低下するたびに、エンジン1を始動させて発電体2の出力で第1蓄電手段7(キャパシタ)を充電している。しかし、待機時間が長くなると、エンジン1が始動する回数が多くなってしまう。このため、今度は、エンジン1における燃料消費が増加してしまう。また、スタータ用バッテリ13の蓄電量が不足する可能性が生じる。
【0084】
このような状況に対しては、例えば、エンジン1を始動させた後の運転時間を長くすることで、スタータ用バッテリ13の充電時間を長くするといった方法が考えられる。しかし、この方法もまた、燃費改善という点では不利であり、燃費改善のためにエンジン1を自動停止/始動させる目的が没却される。
【0085】
特に、本案の第1蓄電手段7として用いているキャパシタは、蓄電量の低下による端子電圧の低下がバッテリよりも顕著であり、また、その蓄電量もバッテリより少ない。このため、キャパシタは、バッテリを用いる場合に比べて、端子電圧が低下する時間も短い。その結果、キャパシタは、バッテリよりも短時間で、放電器9による昇圧動作をもってしても必要な無負荷電圧を確保できなくなるまで蓄電量が低下する可能性がある。
【0086】
そこで、図5を参照して、第3実施形態のエンジン駆動発電装置の構成を説明する。
第3実施形態のエンジン駆動発電装置は、図1に示した第1実施形態の構成に加えて、第1蓄電手段7に給電可能に接続された第2蓄電手段21を更に備えている。第2蓄電手段21には、第2蓄電手段用の充電器22を介して、発電体2から充電のための電力が供給される。また、第2蓄電手段21は、昇圧回路23を介して、第1蓄電手段7に充電のための電力を給電する。
【0087】
第2蓄電手段21によって、第1蓄電手段7を満充電にするためには、第2蓄電手段21から出力される直流出力の電圧を、第1蓄電手段7の端子電圧と同等以上にする必要がある。そのため、第3実施形態では、図5に示すように、第2蓄電手段21の出力側に昇圧回路23を設けて電圧調整を行う。昇圧回路23を設けたことにより、第2蓄電手段21の端子電圧は、第1蓄電手段7の端子電圧よりも小さいもので済む。このため、第2蓄電手段21(バッテリ等)を構成する直列接続されたセルの数も少なくて済む。
【0088】
なお、図5に示すように、充電器22と第2蓄電手段21との間、及び、昇圧回路23と第1蓄電手段7との間に、それぞれ逆流防止ダイオード24及び24aを配置するとよい。
ただし、充電器22及び昇圧回路23の内部において、電流の逆流を防止する構成が有る場合には、逆流防止ダイオード24及び24aを設ける必要はない。
【0089】
第3実施形態では、エンジン停止中に、第2蓄電手段21から第1蓄電手段7に電力を供給する。これにより、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量を、待機状態における負荷への給電の初期においてエンジン1が始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間に行う第1蓄電手段7から負荷への電力供給を行うことが可能な状態を維持することができる時間を長くすることができる。
【0090】
これにより、負荷に電力を供給するための第1蓄電手段7における端子電圧及び蓄電量が、次の負荷の作業に必要な最低限の値に低下するまでの時間が長くなる。このため、エンジン1を始動させて行う補充電の回数を減らすことができる。その結果、エンジン1の燃費を改善し、またスタータ用バッテリ13の蓄電量の低下を防ぐことができる。
【0091】
また、負荷に電力を供給する第1蓄電手段7をキャパシタとし、かつ、このキャパシタを充電する第2蓄電手段21をバッテリとすることが望ましい。バッテリは、キャパシタに比べて、蓄電量に対する端子電圧の変化が小さく、また、重量あたりの蓄積エネルギ(=電力×時間)が大きい。このため、第1及び第2蓄電手段7及び21の重量が互いに同じであれば、第2蓄電手段21として「バッテリ」を設けずに、単純に第1蓄電手段7として用いている「キャパシタ」の容量を余分に大きめのものした場合と比べて、負荷の作業の開始時に必要な電圧と蓄電量を維持することができる時間を長くすることができる。
【0092】
換言すれば、第1蓄電手段7として用いる「キャパシタ」の電圧及び蓄電量が低下するまでの時間が同じであるなら、第2蓄電手段21として用いる「バッテリ」の重量は小さなものとすることができる。
【0093】
次に、図6を参照して、第3実施形態のエンジン駆動発電装置の動作を説明する。
図6は、使用者がキースイッチ18をONに操作した後の待機状態における第1蓄電手段7の端子電圧の時間変化を示すグラフであり、図6の横軸は時間を表し、縦軸は第1蓄電手段7の端子電圧を表す。グラフ中の線IIIは、第1蓄電手段7の端子電圧の時間変化を示す。
なお、図6に示す動作では、負荷は使用されていない状態である。
【0094】
使用者が一番初めに行う作業として、図6の時刻t0にキースイッチ18をONにして、時刻t1にエンジン1が始動した後、時刻t2に第1蓄電手段7の充電を開始する。
【0095】
図6の時刻t3に第1蓄電手段7が満充電Vfに達した後、負荷が稼動していない休止状態であるとき、エンジン1が稼動している間(つまり、時刻t4において自動で速度がアイドル回転速度に調節され、更に時刻t5においてエンジン1が停止するまでの間)、発電体2からの出力で制御手段17、負荷供給電力調整用インバータ61及びトランス62に電力が供給される(区間A)。このため、第1蓄電手段7の蓄電量は消費されず、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量は変化しない。
【0096】
そして、休止状態が所定時間経過すると、エンジン1の回転速度が自動的に低速となり、更なる所定時間経過後に停止する。
【0097】
図6の時刻t5にエンジン1が自動で停止した後の待機状態においても、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61は継続して動作している。このため、制御手段17、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61+トランス62において電力が消費されている。その結果、第1蓄電手段7に電力を供給しなければ、第1蓄電手段7の蓄電量が減少し、これに伴い、図6中に破線IVで示すように、端子電圧も減少する。
【0098】
そこで、第3実施形態では、第1蓄電手段7に第2蓄電手段21を接続している。その結果、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量が減少するたびに、第2蓄電手段21から第1蓄電手段7に電力が供給される。このため、第2蓄電手段21の蓄電量が残っている間は、図6に線IIIで示すように、第1蓄電手段7の端子電圧が最大の状態に保たれる(区間B)。
【0099】
一方、待機時間が更に長くなって、図6の時刻t6に第2蓄電手段21の蓄電量も使い果たされた場合は、第2実施形態と同様に、第1蓄電手段7の端子電圧及び蓄電量は、放電器9及び負荷供給電力調整用インバータ61+トランス62による電力消費によって減少する(区間C)。
【0100】
そこで、第3実施形態においても、上述の第2実施形態と同様に、制御手段17は、エンジン停止後に、端子電圧検出手段10によって検出された第1蓄電手段7の端子電圧が基準端子電圧Vm以下の場合、エンジン1を再始動させるとともに、充電器8により、発電体2の出力を第1蓄電手段7に給電させる(時刻t7)。
【0101】
さらに、図6の時刻t8に、第1蓄電手段7が再び満充電Vfに達すると、第1蓄電手段7の充電が停止する。負荷が稼動していない休止状態であるとき、エンジン1の回転速度は自動的にアイドル回転速度に調節される(時刻t9)。そして、更に所定時間が経過した時刻t10に、エンジン1は停止する。
【0102】
次に、第2蓄電手段21の充電について説明する。
第2蓄電手段21は、エンジン1が稼働しているときに、発電体2からの出力で充電される。発電体2の交流出力によって、第2蓄電手段(バッテリ)(直流)21を充電するためには、以下の構成が必要となる。
・第2蓄電手段(バッテリ)21の充電に適した電圧に調節できるもの、
・発電体2の交流出力を直流に変換すること、
・過充電にならないように、必要に応じて、充電のための電力の供給を停止するか、もしくは、印加される電圧が過充電にならない範囲に制限できるものであること。
【0103】
このような充電動作を行わせるため、図5に示したように、第2蓄電手段21と発電体2との間に第2蓄電手段用の充電器22を設け、第2蓄電手段21に充電のための電力を供給するようにしている。
【0104】
ここで、図7に、第2蓄電手段用の充電器22の構成を示す。図7に示すように、充電器22は、変圧器22a、整流器22b、スイッチング素子22cを備えている。そして、この変圧器22aで交流の状態で電圧を調整し、整流器22bで直流に変換して、スイッチング素子22cで電力供給の実行/停止を制御している。
なお、この構成における発電体2の巻線は、負荷に電力を供給する巻線であってもよいし、また、第2蓄電手段(バッテリ)21を充電するために、別の巻線を設けてもよい。
【0105】
次に、図8を参照して、第3実施形態の第1変形例を説明する。図8は、第1変形例のエンジン駆動発電装置を示す要部ブロック回路図である。
図8に示すように、第1変形例のエンジン駆動発電装置では、第2蓄電手段21は、昇圧回路を介さずに、第1蓄電手段7に接続されている。第2蓄電手段21の端子電圧を第1蓄電手段7の端子電圧以上にするため、第2蓄電手段21の端子電圧は、第2蓄電手段21を構成する直列接続されたセルの数で調節される。
【0106】
次に、図9を参照して、第3実施形態の第2変形例を説明する。図9は、第2変形例のエンジン駆動発電装置を示す要部ブロック回路図である。
図9に示すように、第2変形例のエンジン駆動発電装置では、発電体用整流器3の出力側に、即ち直流電力母線部4から並列に電力線を設け、この電力線に充電器22を設ける。この場合の充電器22は、昇降圧チョッパ、又はトランスを用いたDC−DCコンバータで構成される。
【0107】
なお、充電器22から第2蓄電手段21に向かう方向に、逆流防止ダイオード24を設けている。しかし、充電器22の内部に逆流を防止する構成がある場合は、逆流防止ダイオード24を設ける必要はない。
【0108】
次に、図10を参照して、第3実施形態の第3変形例を説明する。図10は、第3変形例のエンジン駆動発電装置を示す要部ブロック回路図である。
図10に示すように、第3変形例のエンジン駆動発電装置では、第1蓄電手段用の充電器8の出力線から、並列に電力線を設けて、第1蓄電手段用の充電器8が、第2蓄電手段用の充電制御手段を兼ねている。この場合は、第1蓄電手段7及び第2蓄電手段21に対して、個別に充電もしくは双方に充電する電力を供給する切替え用の構成・動作が必要となる。
【0109】
なお、充電器8から第2蓄電手段21に向かう方向に、逆流防止ダイオード24を設けている。しかし、充電器8の内部に逆流を防止する構成がある場合は、逆流防止ダイオード24を設ける必要はない。
【0110】
また、図8、図9及び図10に示したいずれの構成であっても、第3実施形態のエンジン駆動発電装置の作用、効果を奏することは可能である。すなわち、いずれの構成であっても、第1蓄電手段7に電力を供給することで、その端子電圧及び蓄電量が待機状態における負荷への給電の初期においてエンジン1が始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間に行う第1蓄電手段7から負荷への電力供給を行うことが可能な状態を維持することができる時間を長くすることができる。図5、図8、図9及び図10に示した各構成は、製品のサイズ、重量及びコストのような、エンジン駆動発電装置に要求される仕様を考慮して適宜選択すればよい。
【0111】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図11に、第4実施形態のエンジン駆動発電装置のブロック回路図を示す。図11に示すように、第4実施形態のエンジン駆動発電装置の構成は、図1に示した第1実施形態の構成と基本的に同じであるが、この構成から「負荷供給電力調整用インバータ61」、「トランス62」及び「トランス用整流器63」が省略されている。
【0112】
本実施形態では、エンジン駆動溶接機としての溶接出力(溶接電流)の制御は、これらの省略された構成に代わって、「エンジン1の回転速度」又は「発電体2の回転子の界磁巻線の励磁電流」によって行われる。
【0113】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
図12に、第5実施形態のエンジン駆動発電装置のブロック回路図を示す。
第5実施形態は、本発明のエンジン駆動発電装置を、交流電力で稼動する電気機器Zに、交流電力を供給する交流発電機に適用した例である。また、第5実施形態のエンジン駆動発電装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと基本的に同じであるが、この構成から「トランス62」及び「トランス用整流器63」が除かれ、代わりに、負荷供給電力調整用インバータ61と出力端子6との間に、ノイズフィルタ64が設けられている。ノイズフィルタ64によって負荷供給電力調整用インバータ61から高周波が除去され、出力端子6から正弦波の交流電圧が得られる。
【0114】
なお、交流発電機において、出力電圧の仕様ごとに専用の出力端子が設けられている場合は、図1に示した「溶接電流設定器19」は必要ない。ただし、代わりに「出力周波数設定器」を設けてもよい。また、本実施形態では、出力端子6の出力電圧を検出する出力電圧検出手段65が設けられている。交流発電機において、負荷(電気機器Z)による作業が開始されたかどうかの判断は、第1、2、3、4実施形態のような溶接機の例と同じように、出力電流検出手段60によって出力端子6に電流が流れていることを検出することで可能であり、また、負荷供給電力調整用インバータ61の入力側に入力電流検出手段を設けて、入力電流を検出する構成としてもよい。
【0115】
本実施形態では、エンジン1が自動停止した後の待機状態において、第1蓄電手段7から負荷(交流電気機器Z)への電力供給を可能とするための無負荷電圧を、負荷の使用電圧に維持する。例えば、国内の商用電源の仕様に合わせた負荷であれば、例えば100V又は200Vに維持するとよい。また、交流電力の周波数は、例えば、50Hz又は60Hzにするとよい。そして、この無負荷電圧及び周波数に応じて、エンジン1、発電体2、第1蓄電手段用の放電器9、インバータ61の目標値が決定される。
また、負荷が稼動している間も、目標となる出力電圧が維持される。
【0116】
次に、本発明の第6実施形態を説明する。
図13に、第6実施形態のエンジン駆動発電装置のブロック回路図を示す。
第6実施形態のエンジン駆動発電装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと基本的に同じであるが、第6実施形態では、発電体が電動機を兼ね、更にエンジン始動用インバータ30および電力調整手段30aが設けられている。
【0117】
エンジン始動用インバータ30の入力線は、第1蓄電手段7に接続されており、エンジン始動用インバータ30と第1蓄電手段7との間には電力調整手段30aが接続されている。また、エンジン始動用インバータ30の出力線は、発電体兼用電動機2aに接続されている。また、エンジン始動用インバータ30および電力調整手段30aの制御は、制御手段17によって行われる。
【0118】
本実施形態では、エンジン1が自動停止した後の待機状態において、負荷での作業が開始されると、第1蓄電手段7から負荷への給電が開始される。制御手段17は、これと同時に、エンジン始動用インバータ30および電力調整手段30aにエンジン始動指令信号を送り、これらを動作させる。まず、電力調整手段30aにより第1蓄電手段7の直流出力の電圧もしくは電流の調整を行ない、エンジン始動用インバータ30は、電力調整手段30aの直流出力を交流出力に変換し、これを発電体兼用電動機2aに供給する。発電体兼用電動機2aは電動機として稼働して、エンジン1を始動させる。
【0119】
これにより、エンジン1が自動停止した後、スタータ12を使用せずに、エンジン1が再始動する。このため、スタータ12及びスタータ用バッテリ13の消耗を防止することができる。特に、スタータ12とスタータ用バッテリ13との間の導通/不導通の切替手段(スイッチ)13aは、その切替の頻度が多くなると、発熱により壊れやすくなる。このため、スタータ12及びスタータ用バッテリ13の使用頻度を下げて、これらの破損を防止することができる。
【0120】
なお、エンジン始動用インバータ30と電力調整手段30aの間には、図13に示すように、逆流防止ダイオード30bを配置するとよい。ただし、エンジン始動用インバータ30もしくは電力調整手段30aの内部において、電流の逆流を防止する構成がある場合には、逆流防止ダイオードを設ける必要はない。
【0121】
なお、本実施形態の「エンジン始動用インバータ30」および「電力調整手段30a」は、上述の第2実施形態および第3実施形態の構成に加えることもできる。その場合、第2、第3実施形態では、第1蓄電手段7の出力は負荷にのみ給電していたが、本実施形態では、負荷に給電を行うとともに、発電体兼用電動機2aにも給電を行う必要がある。
ゆえに、本実施形態における基準端子電圧Vmは、下記の(1−i)、(1−ii)又は(2)の状態となる端子電圧を設定すればよい。
(1−i)負荷の稼動を開始するのに必要な最低限の電圧を確保できていない状態。
(1−ii)エンジン1を始動させるために、発電体兼用電動機2aを電動機として用いるときの、その稼動を開始するために必要な最低限の電圧を確保できていない状態。
(2)エンジン1が自動停止した後の待機状態において、「負荷の稼動が開始した後、
エンジン1が始動してから、負荷の稼動に必要な回転速度に到達するまでの間において行う負荷への電力供給に必要な蓄電量Qz」と「エンジン1が始動を完了するまでの間に発電体兼用電動機2aを電動機として稼動させるために必要な蓄電量Qg」の両者を足した蓄電量(Qz+Qg)が確保できていない状態。
【0122】
ここで、図4(b)に、本実施形態における第1蓄電手段7の端子電圧と蓄電量の関係を示す。
例えば、上記(2)の蓄電量(Qz+Qg)のときの第1蓄電手段7の端子電圧Vzgに対して、上記(1−i)の「負荷の稼動を開始するのに必要な最低限の電圧」、および、上記(1−ii)の「発電体兼用電動機2aの稼動を開始するのに必要な最低限の電圧」の両方ともが、図4(b)に示すV1の状態、すなわちVzg>V1の状態であるときは、Vm=Vzgとすればよい。端子電圧V1のときの蓄電量Q1は、Qz+Qg>Q1となるため、Vm=V1とすると、「両者を足した蓄電量Qz+Qg」を確保できていない状態となるためである。
【0123】
一方、上記(1−i)の「負荷の稼動を開始するのに必要な最低限の電圧」、もしくは、上記(1−ii)の「発電体兼用電動機2aの稼動を開始するのに必要な最低限の電圧」の少なくともいずれか一方が、図4(b)に示すV2の状態、すなわちV2>Vzgの状態であるときは、Vm=V2とすればよい。端子電圧V2のときの蓄電量Q2は、Q2>Qz+Qgとなるため、Vm=V2とすれば、「両者を足した蓄電量Qz+Qg」も確保できる状態となるためである。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明のエンジン駆動発電装置は、溶接機及び電気機器の電源に利用して好適である。
【符号の説明】
【0125】
1 エンジン
2 発電体
2a 発電体兼用電動機
3 整流器
4 直流電力母線部
5 平滑コンデンサ
6 出力端子
7 第1蓄電手段(キャパシタ)
8 充電器
9 放電器
10 端子電圧検出手段
11、11a 逆流防止ダイオード
12 スタータ
13 スタータ用バッテリ
13a 切替手段(スイッチ)
14 ダイナモ
15 エンジン回転速度検出手段
16 降圧回路
17 制御手段(コントローラ)
18 キースイッチ
19 溶接電流設定器
21 第2蓄電手段(バッテリ)
22 第2蓄電手段用充電器
22a 第2蓄電手段用変圧器
22b 第2蓄電手段用整流器
22c 第2蓄電手段用スイッチング素子
23 昇圧回路
24、24a 逆流防止ダイオード
30 エンジン始動用インバータ
30a 電力調整手段
30b 逆流防止ダイオード
60 出力電流検出手段
61 負荷供給電力調整用インバータ
62 トランス
63 トランス用整流器
64 ノイズフィルタ
65 出力電圧検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンによって駆動されて交流電力を発生する発電体と、
前記発電体から発生する交流電力を直流電力に変換する整流器と、
前記整流器の出力側に設けられた直流電力母線部と、
負荷を接続するために前記直流電力母線部の出力側に接続された出力端子と、
前記直流電力母線部に並列接続された第1蓄電手段と、
前記発電体の出力からの前記直流電力母線部を介した前記第1蓄電手段への充電を制御する充電器と、
負荷に電力を供給するための前記第1蓄電手段から前記直流電力母線部への放電を制御する放電器と、
前記出力端子を流れる電流を検出する出力電流検出手段と、
前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
前記エンジン、発電体、充電器及び放電器の作動を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記出力電流検出手段によって前記出力端子に電流が流れていないことが検出された後、前記エンジンを停止させるとともに、前記出力端子に所定の無負荷電圧が発生するように、前記放電器により前記第1蓄電手段から前記直流電力母線部への放電状態を制御して、
前記制御手段は、前記エンジン停止後に、前記出力電流検出手段によって前記出力端子に電流が流れていることが検出されたとき、前記エンジンを再始動させるとともに、前記エンジン回転速度検出手段によって検出された前記エンジンの回転速度が所定の回転速度に到達するまで、前記第1蓄電手段から前記出力端子を経由して負荷に所定の電力が供給されるように前記放電器を制御する
ことを特徴とするエンジン駆動発電装置。
【請求項2】
前記第1蓄電手段の端子電圧を検出する端子電圧検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記エンジン停止後に、前記端子電圧検出手段によって検出された前記第1蓄電手段の端子電圧が基準端子電圧以下の場合に、前記エンジンを再始動させるとともに、前記充電器により前記発電体の出力を前記第1蓄電手段に給電させる
ことを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動発電装置。
【請求項3】
前記第1蓄電手段に給電可能に接続された第2蓄電手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン駆動発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−90356(P2013−90356A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225811(P2011−225811)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(509264132)株式会社やまびこ (65)
【Fターム(参考)】