説明

オイルポンプ

【課題】オイルポンプにおいて、チェーンケース又はオイルポンプの加工性の低下を防止しつつ、エンジンに吐き出されるオイル吐出量の低下を防止するとともに、アウタロータとチェーンケース又はオイルポンプハウジングとの間に生じるフリクショントルクの増加を抑制することにある。
【解決手段】駆動軸(8)の軸線方向(X)でインナロータ(18)の幅寸法(t1)とアウタロータ(19)の幅寸法(t2)とを異ならせて、インナロータ(18)とオイルポンプハウジング(16)又はチェーンケース(5)とによる熱膨張係数の差異によって互いに干渉しない程度に、インナロータ(18)からインナロータ側摺動面(20)までの距離寸法(L1)を、アウタロータ(19)からアウタロータ側摺動面(23)までの距離寸法(L2)よりも小さく設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルポンプに係り、特にエンジンの駆動軸に固定されて回転するインナロータとこのインナロータに噛合して偏心回転するアウタロータとを備えるオイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジンの駆動軸に固定されて回転するインナロータとこのインナロータに噛合して偏心回転するアウタロータとを備えた、いわゆるトロコイド型のオイルポンプを備えたものがある。
このトロコイド型のオイルポンプにおいて、体積効率を上げるとともに、オイル吐出量を上げるためには、ロータ(インナロータ・アウタロータ)のサイドクリアランスを小さくしてオイルの漏れ量を減らすことには良いが、サイドクリアランスを小さくすると、フリクションも大きくなり、実効率が低下し、逆に、サイドクリアランスが大きいと、フリクションが小さくなり、オイル吐出量が低下するという、相反する不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−293965号公報
【0004】
特許文献1に係るオイルポンプは、オイルポンプの駆動力の増加による燃費やエンジン出力の低下を抑制するため、インナロータを、アウタロータを形成する材料の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する材料で形成し、クランク軸(駆動軸)の径方向にてインナロータとアウタロータの間のチップクリアランスを小さく設定して、高油温時にチップクリアランスの拡大を抑制して、オイルポンプの油量差を小さく抑えるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の特許文献1のオイルポンプでは、インナロータとアウタロータとの関係であって、インナロータからインナロータ側摺動面までの距離寸法(クリアランス)及びアウタロータからアウタロータ側摺動面までの距離寸法(クリアランス)に関連するものではない。
このため、このような構造では、インナロータからインナロータ側摺動面までの距離寸法とアウタロータからアウタロータ側摺動面までの距離寸法との関係について詳しく記載されてなく、インナロータからインナロータ側摺動面までの距離寸法とアウタロータからアウタロータ側摺動面までの距離寸法とが同じ、又は、インナロータの幅寸法(板厚寸法)とアウタロータの幅寸法(板厚寸法)とが同じである。
そのため、インナロータからインナロータ側摺動面までの距離寸法を小さく設定すると、それに伴い、アウタロータからアウタロータ側摺動面までの距離寸法も小さくなり、アウタロータとアウタロータ側摺動面との間でフリクショントルクが増加するおそれがあった。
また、その反面、フリクショントルクを低下させるため、アウタロータからアウタロータ側摺動面までの距離寸法を比較的大きく設定すると、インナロータからインナロータ側摺動面までの距離寸法も大きくなり、オイルポンプハウジング内のオイル室(吸入側オイル室・吐出側オイル室)からインナロータとインナロータ側摺動面との間の隙間を介して外部へとオイルが漏洩し易くなり、オイルポンプからエンジンに吐出されるオイル吐出量が低下するおそがあった。
更に、低温環境下でこのような構造を用いた場合、インナロータの熱膨張係数が高いため、インナロータの収縮率が高くなり、インナロータとインナロータ側摺動面との距離寸法が拡大し、オイル室からインナロータとインナロータ側摺動面との間の隙間を介して外部へとオイルがより漏洩し易くなるおそれがあった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、チェーンケース又はオイルポンプの加工性の低下を防止しつつ、オイルポンプからエンジンに吐き出されるオイル吐出量の低下を防止するとともに、アウタロータとチェーンケース又はオイルポンプハウジングとの間に生じるフリクショントルクの増加を抑制するオイルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、オイルポンプハウジングとチェーンケースとで形成される凹状のロータ収容部にはエンジンの駆動軸に固定されて回転するインナロータとこのインナロータに噛合して偏心回転するアウタロータとを配置し、前記ロータ収容部には前記インナロータの回転軸方向側面が当接して摺動するインナロータ側摺動面と前記アウタロータの回転軸方向側面が当接して摺動するとともに吸入側オイル室と吐出側オイル室とを仕切るアウタロータ側摺動面とを形成したオイルポンプにおいて、前記駆動軸の軸線方向で前記インナロータの幅寸法と前記アウタロータの幅寸法とを異ならせて、前記インナロータと前記オイルポンプハウジング又は前記チェーンケースとによる熱膨張係数の差異によって互いに干渉しない程度に、前記インナロータから前記インナロータ側摺動面までの距離寸法を、前記アウタロータから前記アウタロータ側摺動面までの距離寸法よりも小さく設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のオイルポンプは、チェーンケース又はオイルポンプの加工性の低下を防止しつつ、オイルポンプからエンジンに吐き出されるオイル吐出量の低下を防止するとともに、アウタロータとチェーンケース又はオイルポンプハウジングとの間に生じるフリクショントルクの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は図2のオイルポンプ部位の要部拡大図である。(実施例)
【図2】図2は図7のII−II線によるオイルポンプ部位の断面図である。(実施例)
【図3】図3は図6のIII−III線によるエンジン本体側からチェーンケースの内壁面を視た拡大図である。(実施例)
【図4】図4はチェーンケースからオイルポンプを視た図である。(実施例)
【図5】図5はインナロータとアウタロータとを取り外した状態でチェーンケースからオイルポンプを視た図である。(実施例)
【図6】図6はエンジンの正面図である。(実施例)
【図7】図7はエンジンの側面図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、チェーンケース又はオイルポンプの加工性の低下を防止しつつ、オイルポンプからエンジンに吐き出されるオイル吐出量の低下を防止するとともに、アウタロータとチェーンケース又はオイルポンプハウジングとの間に生じるフリクショントルクの増加を抑制する目的を、駆動軸の軸線方向でアウタロータの幅寸法とインナロータの幅寸法とを異ならせて、インナロータとオイルポンプハウジング又はチェーンケースとによる熱膨張係数の差異によって互いに干渉しない程度に、インナロータからインナロータ用摺動面までの距離寸法を、アウタロータからアウタロータ用摺動面までの距離寸法よりも小さく設定して実現するものである。
【実施例】
【0011】
図1〜図7は、この発明の実施例を示すものである。
図6、図7において、1は車両に搭載されるエンジン、2はエンジン本体である。
このエンジン本体2は、シリンダブロック3とシリンダヘッド4とからなる。このエンジン本体2には、タイミングチェーンを覆うチェーンケース5が付設される。シリンダブロック3の下部には、オイルパン6が付設されている。シリンダヘッド4の上部には、シリンダヘッドカバー7が載置されている。
シリンダブロック3には、駆動軸(クランク軸)8が回転自在に支持されている。この駆動軸8には、チェーンケース5よりも外方へ突出した端部で、駆動用プーリ9が取り付けられている。
シリンダヘッド4の上部には、図3に示すように、一側カム軸10と他側カム軸11とが回転自在に並んで支持されている。
エンジンには、可変動機構12が設けられる。この可変動機構12は、一側カム軸10・他側カム軸11の端部に取り付けられた一側油圧アクチュエータ13・他側油圧アクチュエータ14を備える。
【0012】
シリンダブロック3には、下部でオイルポンプ15が取り付けられる。
このオイルポンプ15は、図4に示すように、オイルポンプハウジング16とチェーンケース5とで形成される凹状のロータ収容部17を備えている。このロータ収容部17には、エンジン1の駆動軸8に固定されて回転するインナロータ18と、このインナロータ18に噛合して偏心回転するアウタロータ19とが配置されている。
また、図1、図4に示すように、ロータ収容部17には、インナロータ18の回転軸方向側面が当接して摺動するインナロータ側摺動面20と、アウタロータ19の回転軸方向側面が当接して摺動するとともに吸入側オイル室21と吐出側オイル室22とを仕切るアウタロータ側摺動面23とが形成されている。
図3に示すように、チェーンケース5の内壁面5Aには、オイルポンプ15からのオイルを上方に導くオイル通路24が形成されているとともに、シリンダヘッド4の高さ位置でオイル用ブロック25が取り付けられる。また、チェーンケース5の下部には、オイルフィルタ26が取り付けられている。
【0013】
このオイルポンプに15おいては、図1に示すように、駆動軸8の軸線方向Xでインナロータ18の幅寸法(板厚寸法:t1)とアウタロータ19の幅寸法(板厚寸法:t2)とを異ならせて、インナロータ18とオイルポンプハウジング16又はチェーンケース5とによる熱膨張係数の差異によって互いに干渉しない程度に、インナロータ18からインナロータ側摺動面20までの距離寸法(L1)を、アウタロータ19からアウタロータ用摺動面23までの距離寸法(L2)よりも小さく設定している。
このように、インナロータ18とインナロータ側摺動面20までの距離寸法(L1)を、アウタロータ19からアウタロータ側摺動面23までの距離寸法(L2)よりも小さく設定する構造とすることにより、オイルポンプハウジング16内の吸入側オイル室21・吐出側オイル室22からインナロータ18とインナロータ側摺動面20との間の隙間(距離寸法(L1))を介して外部へとオイルが漏洩するのを抑制できる。
一方、インナロータ18とアウタロータ19との径寸法が大きくなると、それに伴って、インナロータ18とインナロータ側摺動面20、及びアウタロータ19とアウタロータ側摺動面23との間にフリクショントルクが発生する。
そこで、この実施例では、フリクショントルクが大きくなり易いアウタロータ19とアウタロータ側摺動面23までの距離寸法(L2)を、インナロータ18からインナロータ側摺動面20までの距離寸法(L1)よりも大きく設定することで、アウタロータ19とアウタロータ側摺動面23との間でフリクショントルクが増加するのを抑制できる。
このように、インナロータ18の幅寸法(板厚寸法:t1)とアウタロータ19の幅寸法(板厚寸法:t2)とを異ならせることで、オイルポンプハウジング16内の吸入側オイル室21・吐出側オイル室22から外部にオイルが漏洩するのを抑制して、オイルポンプ15からエンジン本体2へのオイル吐出量の低下を防止できるとともに、アウタロータ19とアウタロータ側摺動面23との間で生じるフリクショントルクの増加を抑制できる。
さらに、インナロータ18の幅寸法(板厚寸法:t1)とアウタロータ19の幅寸法(板厚寸法:t2)とを異ならせるだけで、オイルの漏洩及びフリクショントルクの低下を抑制できるため、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16に新たな加工を追加する必要がなくなる。このため、チェーンケース5又はオイルポンプ15の加工性の低下を防止することができる。
【0014】
また、図1に示すように、インナロータ側摺動面20とアウタロータ側摺動面23とは、段差が生じないよう平坦状に形成されている。
このような構造とすることで、インナロータ側摺動面20とアウタロータ側摺動面23との間で段差を設けることなく、インナロータ側摺動面20からアウタロータ側摺動面23までを平坦状にしても、インナロータ18の幅寸法(板厚寸法:t1)とアウタロータの幅寸法(板厚寸法:t2)とによって距離寸法(L1)と距離寸法(L2)とを異ならせることができる。
これにより、オイルポンプハウジング16やチェーンケース5にインナロータ側摺動面20とアウタロータ側摺動面23との境界で段差用の加工を行う必要がなくなり、オイルポンプハウジング16やチェーンケース5の加工性が低下するのを防止できる。
【0015】
即ち、この実施例では、インナロータ18とアウタロータ19とを異なる厚さとして、アウタロータ19のサイドクリアランスを、インナロータ18のサイドクリアランスよりも大きく設定する。
但し、インナロータ18のサイドクリアランスは際限なく小さくするわけではなく、通常、オイルポンプハウジング16とインナロータ18とで線膨張係数が異なるため、極低温時でもオイルポンプハウジング16とインナロータ18とが干渉しない程度に、オイルポンプハウジング16とインナロータ18との間のサイドクリアランスを確保する。
このような構造により、インナロータ18とインナロータ側摺動面20との間は、外部と通じる隙間であり(図5参照)、オイル漏れの多くがこの部分で発生する。そこで、インナロータ18のサイドクリアランスをアウタロータ19のサイドクリアランスよりも小さくすることで、オイルの漏れ量を減らし、オイル吐出量を上げることができる。
また、オイルポンプ15の外両部はオイルポンプハウジング16が密着しているため、オイルが外部に漏れることはほとんどなく、アウタロータ19のサイドクリアランスが影響するのは、アウタロータ側摺動面23のみである。このアウタロータ側摺動面23の長さは、インナロータ側摺動面20の長さに比べて短いため、アウタロータ側摺動面23からの漏れは、インナロータ側摺動面20からの漏れに比べて少ない。この結果、アウタロータ19のサイドクリアランスが大きくても、オイル吐出量には影響しにくい。
更に、オイルポンプ15のフリクショントルクは、摺動面(インナロータ側摺動面20・アウタロータ側摺動面23)の回転半径の約2乗に比例する。アウタロータ19は、インナロータ18よりも径が大きいため、インナロータ18よりもフリクションに与える影響が大きい。そのため、アウタロータ19のサイドクリアランスを広げ、フリクションを下げることで、ロータ(インナロータ18・アウタロータ19)全体のフリクショントルクを大きく下げることができる。
【0016】
上記の「オイルポンプ15のフリクショントルクは、摺動面(インナロータ側摺動面20・アウタロータ側摺動面23)の回転半径の約2乗に比例する」ことについて、以下に、具体的に説明する。
フリクショントルクは、
ΔT=(μ/L)×[u(r)]×[Δs]×[r]
で求められる。
ただし、
ΔT:フリクショントルク
μ:粘性係数
L:クリアランス
u(r):摺動速度、回転体の場合は、(回転数)×(回転半径=r)
Δs:微小な面積
r:回転半径
である。
ロータの回転数をNとすると、u(r)=(N)×(r)で表されるため、
ΔT=(μ/L)×[(N)×(r)]×[Δs]×[r]
=(μ/L)×[(N)×(r)×(Δs)]
となる。
そこで、インナロータ18から円筒孔のインナロータ側摺動面20までの距離寸法(L1)とアウタロータ19から円筒孔のアウタロータ側摺動面23までの距離寸法(L2)とが同じである場合は、
(L1=L2)は、(μ/L1)=(μ/L2)となり、
ここで、(μ/L1)=(μ/L2)=Xとすると、
インナロータのフリクショントルク=ΔT1=(X)×[u(r1)]×[Δs]×[r1]
アウタロータのフリクショントルク=ΔT2=(X)×[u(r2)]×[Δs]×[r2]
ただし、
u(r1):インナロータの回転速度
u(r2):アウタロータの回転速度
r1:インナロータの半径
r2:アウタロータの半径
Δs:微小な面積、インナロータとアウタロータとの違いが微小とする。
このとき、
インナロータの回転速度=u(r1)=[(インナロータの回転数=N1)×(r1)]
アウタロータの回転速度=u(r2)=[(アウタロータの回転数=N2)×(r2)]
となる。
そして、インナロータ18のフリクショントルクとアウタロータ19のフリクショントルクとを比較すると、
ΔT1=(X)×[u(r1)]×[Δs]×[r1]
=(X)×[(N1)×(r1)×(Δs)]
ΔT2=(X)×[u(r2)]×[Δs]×[r2]
=(X)×[(N2)×(r2)×(Δs)]
ΔT1/ΔT2=[(X)×(N1)×(r1)×(Δs)]/[(X)×(N2)×(r2)×(Δs)]
となり、
インナロータ18の回転数(N1)とアウタロータ19の回転数(N2)とは、略同等なので、
ΔT1/ΔT2=(r1)/(r2)
となる。
また、インナロータの回転半径(r1)<アウタロータの回転半径(r2)より、上記式より、ロータのフリクショントルクは、
インナロータのフリクショントルク(ΔT1)<アウタロータのフリクショントルク(ΔT2)となり、
アウタロータ19のフリクショントルクは、インナロータ18のフリクショントルクよりも大きくなる。
従って、ロータのフリクショントルクは、ロータの半径の約2乗に比例して増加するとともに、インナロータとアウタロータとは、ロータの半径の約2乗に比例して相違が生じる。
そのため、アウタロータ19は、インナロータ18よりも半径が大きいため、アウタロータ19と円筒孔のアウタロータ側摺動面23とのフリクションロスが大きくなる。
【0017】
これらの構成から、インナロータ18のサイドクリアランスを小さくし、アウタロータ19のサイドクリアランスを大きくすることで、フリクションを小さくしながらオイル吐出量を増加させることができる。
ここで、上記の「インナロータ18のサイドクリアランス(インナロータ18から円筒孔のインナロータ側摺動面20までの距離寸法(L1))を小さくすること」について、以下のように説明する。
一般に、ロータ(インナロータ18・アウタロータ19)を鉄製の材料で成形し、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16をアルミニウム製の材料で成形している。
そのため、使用環境下が低温の場合、ロータ(インナロータ18・アウタロータ19)の熱膨張係数とチェーンケース5やオイルポンプハウジング16の熱膨張係数の差異から、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16は、ロータ(インナロータ18・アウタロータ19)に比べて収縮する。
その際、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16の収縮によって、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16がインナロータ18と干渉しない程度にインナロータ18から円筒孔のインナロータ側摺動面20までの距離が小さくなるように設定する。
これによって、オイルポンプハウジング16の内部のオイル室(吸入側オイル室21・吐出側オイル室22)内からインナロータ18とチェーンケース5又はオイルポンプハウジング16の接触面を通って外部へとオイルが漏洩するのを防止できる。
また、使用環境下が低温であっても、チェーンケース5やオイルポンプハウジング16とインナロータ18との干渉を回避できる。
【0018】
なお、この発明においては、エンジン用オイルポンプに限らず、変速機のオイルポンプ等、中心軸がオイルポンプの外部に通じており、メタルタッチによるシールを採用しているトロコイド型のオイルポンプにも応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明に係るオイルポンプを、各種車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 エンジン
2 エンジン本体
5 チェーンケース
8 駆動軸
12 可変動弁機構
15 オイルポンプ
16 オイルポンプハウジング
17 ロータ収容部
18 インナロータ
19 アウタロータ
20 インナロータ側摺動面
21 吸入側オイル室
22 吐出側オイル室
23 アウタロータ側摺動面
24 オイル通路
25 オイル用ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプハウジングとチェーンケースとで形成される凹状のロータ収容部にはエンジンの駆動軸に固定されて回転するインナロータとこのインナロータに噛合して偏心回転するアウタロータとを配置し、前記ロータ収容部には前記インナロータの回転軸方向側面が当接して摺動するインナロータ側摺動面と前記アウタロータの回転軸方向側面が当接して摺動するとともに吸入側オイル室と吐出側オイル室とを仕切るアウタロータ側摺動面とを形成したオイルポンプにおいて、前記駆動軸の軸線方向で前記インナロータの幅寸法と前記アウタロータの幅寸法とを異ならせて、前記インナロータと前記オイルポンプハウジング又は前記チェーンケースとによる熱膨張係数の差異によって互いに干渉しない程度に、前記インナロータから前記インナロータ側摺動面までの距離寸法を、前記アウタロータから前記アウタロータ側摺動面までの距離寸法よりも小さく設定したことを特徴とするオイルポンプ。
【請求項2】
前記インナロータ側摺動面と前記アウタロータ側摺動面とは、段差が生じないよう平坦状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44254(P2013−44254A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181322(P2011−181322)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】