説明

オウギ属植物地上部由来の多糖および生体防御機能賦活化剤

【課題】 生体防御機構を賦活化する天然由来の多糖成分もしくは本多糖成分からなる多糖混合物もしくは前記多糖成分を含むナイモウオウギおよびキバナオウギ地上部の抽出エキスを有効成分とする強力な生体防御機能賦活化剤を得るものである。
【解決手段】 ナイモウオウギおよびキバナオウギ地上部由来で、構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン酸、ガラクツロン酸から選ばれた組成を有する多糖成分、並びに本多糖成分もしくはキバナオウギ地上部由来の多糖成分を有効成分とする生体防御機能賦活化剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オウギ属植物[マメ科ナイモウオウギ(Astragalus mongholicus Bunge) およびマメ科キバナオウギ(Astragalus membranaceus (Fisch.) Bunge) ] の地上部から単離された新規多糖成分およびこれを有効成分とする生体防御機能賦活化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児や高齢者とともに、膠原病、慢性腎不全や悪性腫瘍などの患者や腎透析、インプラント、臓器移植および広範手術などの治療においては免疫抑制的な治療により患者の感染防御能が低下している。そのためこれらの病態に合併する感染症例では反復感染を繰り返し、次第に薬剤耐性菌による重篤で難治性の感染症に移行し、患者のQOLの低下を招くことが問題となっている[嶋田甚五郎、日本内科学会誌、89,2237-2239(2000)]。これらのことから、高齢化社会にすでに突入した21世紀における感染症の制御には適切な診断法や抗感染症薬の開発とともに、生体防御機構を賦活化する薬剤や日常的に接種できる機能性食品の開発が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの病原体は粘膜面を介して宿主に侵入し感染が成立することから、局所粘膜に存在する粘膜免疫系が宿主の感染防御に重要な役割を果している[清野宏、粘膜免疫(清野宏、石川博通、名倉宏編)pp.2-30 (2001)]。局所粘膜ではIgA抗体が重要なエフェクターとなっており、defencinなどの先天性免疫因子との相互協力により防御システムを構築している[J.R.McGheeほか、Mucosal immunology 2nd edition (eds.P.L.Orga,J.Mestecky,M.E.Lamm,W.Strober,J.Bienenstodk and J.R.McGhee)pp.485-506(1999)]。また、このIgAはB細胞やT細胞、マクロファージから分泌されるinterleukin 6 (IL−6)などのサイトカイン類によりその産生が制御されており、これらの液性因子も粘膜免疫の維持・調節に重要なファクターとなっている[A.J. Husbandほか、Mucosal immunology 2nd edition (eds.P.L.Orga,J.Mestecky,M.E.Lamm,W.Strober,J.Bienenstodk and J.R.McGhee)pp.541-557(1999)]。消化管、呼吸器、泌尿生殖器や外分泌腺などの種々の局所粘膜免疫系はリンパ球のホーミングにより相互に連関しその維持、調節が行われている。また、粘膜免疫系は全身免疫系とも相互作用し、その調節機構の破綻が腸管はもちろんのこと、他の局所粘膜の免疫系の低下や異常を引き起こすと考えられている[J.R.McGheeほか、Mucosal immunology2nd edition (eds. P.L.Orga,J.Mestecky,M.E.Lamm, W.Strober, J.Bienenstodk and J.R.McGhee)pp.485-506(1999)]。
【0004】
さらに、特に腸管免疫系の機能低下からその防御バリアーが破綻し、食品や自己の抗原タンパクが自己の免疫系に認知されることにより自己免疫疾患、炎症性腸疾患やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患や老化などの病態が引き起こされることも報告されている[名倉宏、Molecular Medicine,34,1124-1133(1996) および上野川修一、日本農芸化学会誌、75,1-20(2001) ]。これらのことから、粘膜免疫系を調節する物質は生体防御機構を広く制御できると考えられる。
【0005】
主要な粘膜免疫系としては、腸管免疫系や気道粘膜免疫系があげられるが、腸管免疫系ではパイエル板が重要な誘導組織として機能しており、このパイエル板中のリンパ球の他の局所粘膜組織へのホーミング(帰巣現象)を介して共通粘膜免疫機構(CMIS)の維持や調節にパイエル板が中心的な役割を果たし、腸管や呼吸器、泌尿生殖器などの局所における粘膜免疫系の調節を行っていると考えられている[J.R.McGheeほか、Mucosal immunology 2nd edition (eds.P.L.Orga, J.Mestecky,M.E.Lamm,W.Strober, J.Bienenstodk and J.R.McGhee)pp.485-506(1999)]。パイエル板における免疫担当細胞の機能を賦活化できる物質が他の局所粘膜の生体防御機構を増強できる例としては、in vitroにおいてパイエル板免疫担当細胞からのIgA産生を増強できるビフィズス菌加熱死菌体が気道におけるインフルエンザウイルスの感染を防御できる例が報告されており[保井久子、Food style 21,5,56-60 (2001)]、パイエル板の免疫担当細胞の機能賦活化を指標にして生体防御機構を賦活化できる物質を見出すことができると考えられる。
【0006】
漢方方剤の中には古来より「傷寒(しょうかん)」と呼ばれる急性および慢性の熱性疾患の治療に用いられる一群の方剤がある。この「傷寒」は各種の感染症に伴う一連の症候群を指しており、現代においてこれらの漢方方剤はインフルエンザウイルス感染症を含む風邪疾患、呼吸器などの気道感染症やウイルス性肝炎などの各種の感染症や感染症関連疾患の治療に応用されて、一定の治療効果が報告されている[花輪壽彦、漢方診療レッスン(1995)]。感染症に対する漢方薬の作用としては、病原体に対する直接作用に加え、感染症に対する宿主生体機構の過剰反応(IFN−α産生による発熱や疼痛、ウイルス性肝疾患における肝細胞の免疫学的破壊など)の制御があげられる。さらに、漢方方剤の中には生体防御機構が低下することにより感染症が慢性化したような病態に用いられるものもあり、これらの漢方方剤は免疫系を賦活化する作用を有することから、生体防御機構の賦活化作用がその抗感染症作用に関与していると考えられる[花輪壽彦、漢方診療レッスン(1995)]。
【0007】
これまでに、漢方方剤の中で「補剤」に分類される十全大補湯や小紫胡湯などについての検討から、これらの漢方方剤が種々の免疫機構を賦活化すること、および本賦活化作用が方剤中の含有成分のうち高分子性の多糖成分により発現されていることが明らかとされている[H.Yamada,Pharmacological Research on Traditional Herbal Medicines (eds.H.Watanabe and T.Shibuya)pp.179-196(1999)およびA.T.Borchensほか、J.Ethnopharmacolgy,73,1-13(2000)]。また、Candida albicans感染モデルマウスに対し十全大補湯に認められた感染防御作用は本方剤の構成生薬の「蒼朮(そうじゅつ)(Atractylodes lancea DC. の根茎)」に由来する多糖成分を活性本体としていることが報告されている[N.Inagaki ほか、Planta Medica,67,428-431(2001)]。これらのことから、植物性の和漢生薬に類似する植物素材から生体防御機構の低下した病態での感染症の治療や予防に、生体防御機構賦活化剤として応用できる高分子多糖成分を見いだすことことができる可能性が期待されてきた。
【0008】
漢方薬の繁用構成生薬の一つである「黄耆(おうぎ)」は、朝鮮人参と並んで強力な生体機能賦活化剤として用いられる和漢生薬で、漢方医学的には体力が低下し栄養状態が悪化した病態に適用され、難治性の化膿性疾患や、痩孔を形成するような皮膚粘膜疾患などに用いられる漢方方剤に配合される構成生薬であり、その薬理作用から免疫系の調節作用を介してその臨床効果を発現していると考えられている[花輪壽彦、漢方診療レッスン(1995)]。黄耆はマメ科(Leguminosae)のキバナオウギ[Astragalus membranaceus (Fisch.) Bunge]およびナイモウオウギ(Astragalus mongholicus Bunge)とその他の同属植物の根部を乾燥したものであり、臨床で使用される中国産の黄耆の正条品は前記の2種のオウギ属植物根部で、綿黄耆や小綿耆などと称されている[第14改正日本薬局方解説書、D135-D138 (2001)]。
【0009】
含有成分として低分子成分では、formononetinなどのflavonoid やastragaloside I-VIIIなどのsaponin が主要成分として含有されており、astragaloside IVがストレス下での抗疲労作用を示すことが報告されている[ヒキノヒロシ、現代東洋医学、3,46-50 (1982)]。一方、キバナオウギやナイモウオウギの地上部は現状では薬用に用いられておらず、食薬区分において食品に分類される天然素材で、低分子および高分子多糖を含めた有効成分などの検討や有効利用はされずにほとんどが廃棄されている。以上のことから発明者らはキバナオウギやナイモウオウギの地上部中に有用な生体防御機能賦活化作用を有する多糖が含まれている可能性が想定され、本課題の材料として優れて好適である。
【0010】
すなわち、本発明の課題は、共通粘膜免疫機構において中心的な役割を果たす腸管パイエル板中の免疫担当細胞の機能賦活化作用を有し、生体防御機構を賦活化する高分子活性多糖成分を提供し、かつ、これらを有効成分とする薬剤および健康食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記のごとく課題を解決すべく、オウギ属植物の地上部中に腸管パイエル板中の免疫担当細胞を賦活化し、生体防御機能賦活化作用を有する高分子多糖成分を探索した結果、特定の糖鎖構造を有する強力な生体防御機能賦活化多糖を見いだして本発明を完成させた。すなわち、上記課題を達成する手段は、以下の発明の生体防御機能賦活化多糖およびそれを有効成分とする薬剤ならびに健康食品により実現される。
(1)本発明はオウギ属植物ナイモウオウギおよびキバナオウギの構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン産、ガラクツロン酸から選ばれたものである、オウギ属植物地上部由来の多糖に関する。
(2)更に本発明はオウギ属植物ナイモウオウギの分子量が約72,000から345,000で、且つ、構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン産、ガラクツロン酸から選ばれたものである、オウギ属植物地上部由来の多糖に関する。
(3)更に本発明は下記式
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Galはガラクトピラノースを示し、aおよびbの数値は不定であり、かつaおよびbの糖鎖構造の序列も不定)を生体防御機能賦活化作用の発現のための共通の活性発現糖鎖としてその構造中に含む、(2)に記載のオウギ属植物地上部由来の多糖に関する。
(4)更に本発明は上記の(2)または(3)のいずれかに記載の多糖を有効成分とする生体防御機能賦活化剤に関する。
(5)更に本発明はオウギ属植物ナイモウオウギより調製した多糖成分を含むことを特徴とする生体防御機能賦活化剤に関する。
(6)更に本発明はオウギ属植物ナイモウオウギより調製した多糖成分、多糖画分もしくは抽出物を有効成分とする粘膜免疫系を介した生体防御機能賦活化剤に関する。
(7)更に本発明はオウギ属植物キバナオウギより調製し、且つ構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン産、ガラクツロン酸から選ばれたものである多糖成分、多糖画分もしくは抽出物を有効成分とする粘膜免疫系を介した生体防御機能賦活化剤に関する。
【0014】
本発明でいうオウギ属植物とはマメ科(Leguminosae)、ナイモウオウギ(Astragalus mongholicus Bunge)およびマメ科キバナオウギ(Astragalus membranaceus (Fisch.) Bunge) をいい[難波恒雄、和漢薬百科図鑑、Vol.I,149-150(1980) および第14改正日本薬局方解説書、D135-D138 (2001)]、地上部とは茎ないし葉もしくは茎および葉を含む、根部を除いた他の部位を指す。また、生のものでもよいが、本発明の多糖成分の取得効率を考えれば乾燥したものを用いるのが好都合である。
【0015】
ナイモウオウギおよびキバナオウギの地上部に含有される本発明の多糖が腸管パイエル板中の免疫担当細胞に対し強力な機能賦活化作用を示し、生体防御機能賦活化作用を示すことは公知の文献には記載はなく、本発明者らの長年の研究により初めて明らかにされた知見である。又、次の通り先行文献の記述からは予測されないことである。
【0016】
友田らは和漢生薬の黄耆(キバナオウギの根部)より細胞内皮系に対し賦活化作用を示す高分子多糖成分のAstragalanを見いだしているが[N.Shimizu ほか、Chemical Pharmaceutical Bulletin,39,2969-2972 (1991)]、本多糖は本発明の活性多糖と分子量などの点において異なることや、腸管パイエル板とは全く異なる腹腔のマクロファージに対する異物貪食作用から腸管パイエル板中の免疫担当細胞に対する機能賦活化作用を予測することはできない。
【0017】
本発明でいうナイモウオウギ地上部由来の多糖成分は、分子量72,000〜345,000で、且つ構成糖がアラビノース(Ara)、ラムノース(Rha)、フコース(Fuc)、キシロース(Xyl)、マンノース(Man)、ガラクトース(Gal)、グルコース(Glc)、グルクロン酸(GlcA) 、ガラクツロン酸(GalA) から選ばれたものである。従って、この多糖成分は実質的に上記の糖のみからなっており、その構成糖の種類は上記糖のいずれか一種のみでも良いし、複数種の組み合わせであってもよい。
【0018】
このような多糖成分の具体例について示せば、以下の通りである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ PS-1 PS-2 PS-3 PS-4 PS-5 PS-6 PS-7 ────────────────────────────────────
分子量 75,000 345,000 87,000 345,000 72,000 129,000 88,000
糖(%) 95.4 91.7 91.5 91.1 91.0 72.1 52.7
ウロン酸(%)3.4 4.4 6.2 3.9 6.9 25.2 44.6
タンパク(%)1.2 3.9 2.3 5.0 2.1 2.7 2.7
構成糖
Ara 18.8 12.6 36.4 13.6 35.3 26.1 9.7
Rha 4.5 5.0 2.0 6.2 3.9 9.0 8.0
Fuc 0.9 2.5 0.4 3.3 0.4 0.5 0.8
Xyl 6.5 3.6 4.7 3.8 2.4 2.1 1.9
GlcA 0.9 1.3 2.0 2.4 3.4 3.1 3.5
GalA 0.6 1.3 0.4 2.4 2.0 24.8 53.2
Man 17.1 25.3 5.1 26.2 4.1 4.2 5.0
Gal 35.0 23.9 45.2 23.9 44.9 25.8 13.8
Glc 15.7 24.5 3.6 18.3 3.7 4.5 4.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本発明の多糖および多糖混合物としての多糖画分は、オウギ属植物の地上部より公知の方法を組み合わせて、抽出、分離、精製し、製造することができる。例えば、ナイモウオウギの地上部をそのままもしくは粉砕し、10倍量程度の水性溶媒にて室温下もしくは沸騰させて抽出し、抽出液をろ過して得たろ液を遠心分離し、上清を凍結乾燥して乾燥物を得る。この乾燥物をアセトン、メタノール、エタノール等の有機溶媒に溶解し、場合によっては還流した後、遠心分離して脂質成分を除去した沈澱物を精製水に溶解し、さらにエタノール沈澱や透析を行い、非透析物を凍結乾燥して多糖画分を得る。この多糖画分を精製水に溶解し、通常用いられるイオン交換担体やゲルろ過担体を用いたクロマトグラフィーに付し、本発明の多糖を得ることができる。本発明の多糖成分の単離に関する詳細は、後記の実施例を参照されたい。
【0019】
多糖の構造解析は各種の公知の化学的方法や構造特異的な酵素などを用いた非分解的および分解的分析法により行うことができる[生化学実験講座、4、糖質の化学下巻(1974) 、続生化学実験講座、4、複合糖質研究法I、糖タンパク質(1985) 、Pectins and Pectinases (Eds.J.Visser. A.G.J.Voragen),Vol.14 (1995)]。植物性の和漢生薬のように植物由来の多糖の場合、構成糖や糖結合様式などの化学的性状が類似している場合においてもその微細構造が大きく異なっている場合があることが知られている[A.Basic ほか、Structural Classes of Arabinogalactan proteins,11-23(2000)]。
【0020】
また、和漢生薬由来の生理活性多糖ではその生理活性発現に関与する特定の糖鎖構造が存在する場合も報告されており、種々の方法でこの活性発現に必要な糖鎖構造を特定することができ、本活性発現糖鎖構造とそれに付帯する他の糖鎖構造から多糖の全体構造が形成され、この全体構造から個々の活性多糖を特定することができる[H.Kiyohara, Towars Natural Midicine Research in the 21 st Century,161-171 (1998)]。
【0021】
本発明の多糖成分においても特定の糖鎖構造がその生体防御機能賦活化活性に関与していることが本発明の過程において明らかとなった。本構造はこれまでキバナオウギから単離された細網内皮系活性化多糖では明らかとなっておらず[N.Shimizu ほか、Chemical Pharmaceutical Bulletin,39,2969-2972 (1991)]、ナイモウオウギやキバナオウギ由来の多糖では本発明までまったく示されていない。
生体防御機能賦活剤
本発明の生体防御機能賦活化剤はオウギ属植物であるナイモウオウギまたはキバナオウギ地上部の多糖成分の個々もしくはその混合物もしくは当該多糖成分を含む水性エキスや凍結乾燥物をそれ自体または適宜、製剤用の賦形剤、結合剤、希釈剤と混合して成るものであり、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤などの形態で経口的に投与することができる。また、必要に応じて他の薬剤を調合もしくは混合してもよい。また、本発明の生体防御機能賦活化剤は、持続的に生体に作用させることにより、ストレスや疲れなどから日常的に起こりう軽度の生体防御機構の低下状態を回復させるのにも適している。このことから本発明の生体防御機能賦活化剤は食品として日常的に摂取することができる。投与量もしくは摂取量は、年齢、体重、症状により適宜増減するが、通常成人、1日、多糖成分として0.1〜30000mgが望ましい。好ましい具体例は、ナイモウオウギ地上部由来の多糖と製剤上の補助成分からなるものである。また、上記1日当たりの投与量を1回ないしは数回に分けて服用もしくは摂取するための投与形態のものである。
【0022】
なお、本発明における多糖成分の毒性はBALB/cマウス(雌、7週齢)に1g/kgの投与量を7日間、1日一回連続投与した場合にも異常が全く認められなかったこと、および本発明多糖と一般構造が類似し、ヨーグルトなどに添加されているペクチンの部分分解産物[高木久宣ほか、Bulletin National Institute Health Science,115,119-124(1997)]が極めて低毒性であることにより一般に低いと考えることができる。
生体防御機能賦活化作用
腸管、呼吸器、泌尿生殖器や外分泌腺などの種々の局所粘膜は外部からの細菌やウイルスおよび正常細菌叢に由来する細菌群により日常的に暴露されている。これらの局所粘膜には全身免疫系とは機能的に区別される粘膜免疫系が存在し、分泌型IgAの産生、分泌により防御バリアーを形成し、これらの外来性および内因性の微生物群の生体内への移行(トランスロケーション)、すなわち感染を防御している[清野宏、粘膜免疫(清野宏、石川博通、名倉宏編)pp.2-30 (2001)]。この粘膜免疫系は広域抗生物質の投与、ステロイドなどの免疫抑制剤や抗がん剤の投与、放射線療法、外科的侵襲などにより破綻、低下することが示唆されており、この結果として呼吸器からの外来性病原微生物の感染、消化管へのヘリコバクターピロリや病原性大腸菌などの感染や腸管内の正常細菌叢からの腸内細菌のトランスロケーションによる内因性感染症の発症につながると考えられている[清野宏、粘膜免疫(清野宏、石川博通、名倉宏編)pp.2-30(2001) および松本哲哉ほか、日本臨床別冊、感染症症候群III 、339-402 (1999)]。
【0023】
これらの局所粘膜免疫機構において腸管に存在する腸管免疫系中のパイエル板は誘導組織として重要な役割を果しており、パイエル板からの他の局所粘膜や腸管粘膜へのリンパ球の供給を行っている。この供給されるリンパ球は局所粘膜でのIgA産生などの制御に関与しており、パイエル板中のBリンパ球などのIgA産生機能を強化することは、他の粘膜局所でのIgA産生増強による感染防御能の増強につながると考えられる。この概念は、これまでにin vitroにおいてパイエル板免疫担当細胞からのIgA産生を増強できるビフィズス菌加熱死菌体が気道におけるインフルエンザウイルスの感染を防御できる例の報告やコレラ菌の易熱性毒素のBサブユニット(CTB)の経口投与により局所での分泌型IgAの産生が増強される例により証明されている[保井久子、Food style 21.5,56-60(2001) およびA.W.Zuercherほか、J.Immunology,169,3920-3925(2002)]。
【0024】
さらに、特に腸管免疫系の機能低下からその防御バリアーが破綻し、食品や自己の抗原タンパクが自己の免疫系に認知されることにより自己免疫疾患、炎症性腸疾患やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患や老化などの病態が引き起こされることも報告されており[名倉宏、Molecular Medicine,34,1124-1133(1996) および上野川修一、日本農芸化学会誌、75,1-20 (2001)]、パイエル板中の免疫担当細胞の機能を強化することは、上記の疾患の制御や予防につながると考えられる。この概念は乳酸菌やビフィズス菌などの経口投与によりアトピー性皮膚炎や炎症性腸疾患などのアレルギー性疾患の発症が抑制される報告例から証明される[吉開泰信編、粘膜免疫学の最前線(2002)]。
【0025】
本発明でいう生体防御機能賦活化作用は、上記に示した腸管パイエル板中の免疫担当細胞を活性化し、その細胞増殖、IgA産生の増強、IgAなどの抗体産生を誘導させるサイトカインであるinterleukin 6などの液性因子の産生を増強する作用を示し、この結果として上記のように局所粘膜での分泌型IgA産生やサイトカインなどの種々の液性因子の産生を増強または調節し、低下した局所粘膜のバリアー機能を強化して異物(細菌、ウイルス、自己抗原や食物抗原など)の感染や暴露を防御し、種々の感染症、アトピー性皮膚炎、炎症性腸管疾患や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患、自己免疫疾患、がん、老化などの防御や抑制する作用を指すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施例1
多糖成分の取得
多糖成分の取得は以下の方法に従い行った。すなわち、ナイモウオウギ地上部(500g)を粉砕後、精製水(10L)を加えて煮沸下液量が半量になるまで煎出した。残渣は再び同量の精製水を用いて煎出し、抽出液を合わせて吸引ろ過後、ろ液を合わせて減圧濃縮し、4倍量のEtOHを加えて一晩攪拌した。生じた沈澱を遠心分離(6000rpm、4℃、30分間)により分取し、水に再溶解後、精製水を用いて透析(7日間)を行った。透析内液を遠心分離し(6000rpm、4℃、30分間)、不溶物を除去後凍結乾燥することにより多糖画分(収量;8.89g;収率;1.78%)を得た。
【0027】
多糖画分(5.0g)を精製水400mLに溶解後、QAE−Sepharose FF(HCO3 - ) カラム(5.6×38cm)に添加し、精製水(0.8L)を用いて洗浄することにより未吸着画分を除去した。吸着画分を0.062M(2.0L、AMOL−1−IIa 、粗多糖画分からの収率3.9%)、0.112M(1.5L、AMOL−1−IIb 、2.8%)、0.157M(2.0L、AMOL−1−IIc 、3.1%)および0.548M NH4 HCO3 (6.0L、AMOL−1−IId 、33.4%)で順次溶出しAMOL−1−IIa 〜AMOL−1−IId の4画分を得た。各画分は透析膜(Visking tube, MWCO 12,000-14,000) を用いて透析後、透析内液を凍結乾燥した。
【0028】
さらに、AMOL−1−IIa 、IIb およびIIc は0.2M NaClで平衡化したSephacryl S-200 カラム(2.6×90cm)次いでSephacryl S-300 カラム(2.6×90cm)を用いて分画し、本発明の多糖成分の平均分子量を有する画分としてAMOL−1−IIa よりPS−1(多糖画分からの収率0.6%)、AMOL−1−IIb からPS−2(0.06%)およびPS−3(0.6%)、AMOL−1−IIc からPS−4(0.06%)およびPS−5(0.5%)を得た。
【0029】
AMOL−1−IId (200mg)については0.2M NaClで平衡化したSephacryl S-300 カラム(2.6×90cm)、次いでSepharose CL-6B カラム(2.6×85cm)を用いて分画し、PS−6(多糖画分からの収率1.3%)およびPS−7(2.9%)を得た。
【0030】
これらの多糖成分の分子量はゲルろ過カラム(Asahi-Pak GS-510およびGS-320の連結カラム、もしくはAsahi-Pak GS-620およびGS-510の連結カラム)を用いた高速液体クロマトグラフイー(HPLC)にて0.2M NaClを溶出液として分析した。
【0031】
また、糖含量をフェノール硫酸法により、ウロン酸含量をm-hydroxybiphenyl 法により、またタンパク含量をBradford法によって各々測定した。
【0032】
また、構成糖の決定にあたっては、5%塩化水素−メタノールでメタノリシス後、Trimethylsilyl化し、ガスクロマトグラフィー(GLC)により分析した。 また、糖残基の結合様式の決定に当たっては、箱守法によるメチル化、酸加水分解後、常法に従ってalditol acetate 誘導体に導き、ガスクロマトグラフ質量分析(GLC−MS)により分析した。これらの結果は、以下に示すとおりである。
1)PS−1
分子量:75,000
糖含量:95.4%
(標準物質:Ara:Man:Gal:Glc=1.2:1.1:2.2:1.0、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):3.4%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):1.2%
構成糖(モル%)
Ara 18.8
Rha 4.5
Fuc 0.9
Xyl 6.5
GlcA 0.9
GalA 0.6
Man 17.1
Gal 35.0
Glc 15.7
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端アラビノフラノース(Araf)、末端Glc、4もしくは5結合Ara、4結合Xyl、3結合Glc、4結合Glc、6結合Gal、3,6分岐Gal
2)PS−2
分子量:345,000
糖含量:91.7%
(標準物質:Ara:Man:Gal:Glc=0.5:1.0:1.0:1.0、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):4.4%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):3.9%
構成糖(モル%)
Ara 12.6
Rha 5.0
Fuc 2.5
Xyl 3.6
GlcA 1.3
GalA 1.3
Man 25.3
Gal 23.9
Glc 24.5
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端アラビノフラノース(Araf)、末端Glc、4もしくは5結合Ara、4結合Xyl、3結合Glc、4結合Glc、6結合Gal、3,6分岐Gal
3)PS−3
分子量:87,000
糖含量:91.5%
(標準物質:Ara:Gal=1.0:1.2、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):6.2%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):2.3%
構成糖(モル%)
Ara 36.4
Rha 2.0
Fuc 0.4
Xyl 4.7
GlcA 2.0
GalA 0.4
Man 5.1
Gal 45.2
Glc 3.6
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端アラビノフラノース(Araf)、末端Xyl、3結合Xyl、末端Gal、4もしくは5結合Ara、3結合Gal、6結合Gal、3,6分岐Gal
4)PS−4
分子量:345,000
糖含量:91.1%
(標準物質:Ara:Man:Gal:Glc=0.7:1.4:1.3:1.0、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):3.9%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):5.0%
構成糖(モル%)
Ara 13.6
Rha 6.2
Fuc 3.3
Xyl 3.8
GlcA 2.4
GalA 2.4
Man 26.2
Gal 23.9
Glc 18.3
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端アラビノフラノース(Araf)、末端Glc、4もしくは5結合Ara、4結合Xyl、3結合Glc、4結合Glc、6結合Gal、3,6分岐Gal
5)PS−5
分子量:72,000
糖含量:91.0%
(標準物質:Ara:Gal=1.0:1.3、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):6.9%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):2.1%
構成糖(モル%)
Ara 35.3
Rha 3.9
Fuc 0.4
Xyl 2.4
GlcA 3.4
GalA 2.0
Man 4.1
Gal 44.9
Glc 3.7
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端アラビノフラノース(Araf)、末端Xyl、3結合Xyl、末端Gal、4もしくは5結合Ara、3結合Gal、6結合Gal、3,6分岐Gal
6)PS−6
分子量:129,000
糖含量:72.1%
(標準物質:Ara:GalA:Gal=1.0:1.0:1.0、モル比)ウロン酸含量(標準物質:GalA):25.2%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):2.7%
構成糖(モル%)
Ara 26.1
Rha 9.0
Fuc 0.5
Xyl 2.1
GlcA 3.1
GalA 24.8
Man 4.2
Gal 25.8
Glc 4.5
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端Rha、末端アラビノフラノース(Araf)、4もしくは5結合Ara、3結合Gal、6結合Gal、4結合GalA
6)PS−7
分子量:88,000
糖含量:52.7%
(標準物質:GalA:Gal=3.9:1.0、モル比)
ウロン酸含量(標準物質:GalA):44.6%
タンパク含量(標準物質:ウシIgG):2.7%
構成糖(モル%)
Ara 9.7
Rha 8.0
Fuc 0.8
Xyl 1.9
GlcA 3.5
GalA 53.2
Man 5.0
Gal 13.8
Glc 4.0
主要糖結合様式(存在比:3モル%以上)
末端Rha、末端アラビノフラノース(Araf)、4もしくは5結合Ara、3結合Gal、6結合Gal、4結合GalA
実施例2
多糖成分中の共通糖鎖としてのβ-D-(1→3,6)-galactan 鎖
本発明で得られた多糖成分の微細な糖鎖構造の検討は構造特異的な糖鎖分解酵素であるexo-β-D-(1→3)−galactannaseおよびendo -β-D-(1→6)−galactannaseを用いて検討した。また、多糖成分の上記酵素消化により得られたオリゴ糖鎖の構造は高速陰イオン交換クロマトグラフイーを用い、標準オリゴ糖との保持時間の比較から行った。
【0033】
本実験で用いたexo-β-D-(1→3)-galactanaseはIrpex lacteus より分離された鎖分解酵素である[Y.Tsumuraya ほか、J.Biological Chemistry,265,7207-7215(1990)]。本酵素はβ-D-(1→3)- 結合したGalのオリゴ糖もしくは多糖鎖をその非還元末端より順次消化していく酵素で、もしβ-D-(1→3)- 結合したGalがさらにその6位などに種々の糖鎖を側鎖として結合していた場合(β-D-(1→3,6)-galactan 鎖と呼ばれる) においても主鎖のβ-D-(1→3)- 結合したGal鎖を切断できる特異性を有している[Y.Tsumuraya ほか、J.Biological Chemistry,265,7207-7215(1990)]。この特異性から、本酵素を用いた酵素消化の最終生成物は単糖のGal、および側鎖として結合していたオリゴ糖鎖の還元末端にβ-D-(1→3)- 結合したGalに由来する1 個のGalが結合したオリゴ糖となることが報告されている[Y.Tsumuraya ほか、J.Biological Chemistry, 265,7207-7215 (1990)]。
【0034】
また、通常β-D-(1→3,6)-galactan 鎖などではGalにさらにArafが側鎖として結合している場合が多く認められ、このような場合、Araf側鎖が妨害し、exo-β-D-(1→3)-galactanaseによるβ-D-(1→3,6)-galactan 鎖の酵素消化の効率が低下してしまうことが報告されている[I.Taguchi ほか、Carbohydrate Research,339,763-770 (2004)]。この場合Aspergillus niger などに由来するexo-α-L-arabinofuranosidaseをexo-β-D-(1→3)-galactanaseとともに酵素消化に用いるとexo-β-D-(1→3)-galactanaseの酵素消化の効率が上昇することが知られている[K.W.Yuほか、Planta Medica,64,714-719(1998)]。
【0035】
また、endo -β-D-(1→6)-galactanaseはTrichoderma virideより単離された糖鎖分解酵素で、β-D-(1→6)- 結合したGalが3 個以上直鎖状に結合したオリゴ糖もしくは多糖鎖を切断し、最終生成物として単糖のGalおよびβ-D-(1→6)- 結合したGalの2糖を生じることが報告されている[K.Okemoto ほか、Carbohydrate Research,338,219-230(2003)]。
【0036】
本実験では、上記の2種の酵素を用いて本発明の多糖成分の微細構造を検討した。
(a)多糖成分のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよびendo -β-D-(1→6)-galactanaseを用いた順次消化
7種の多糖成分(PS−1〜PS−7、各1mg)を各々50mM acetate buffer (pH4.2,2.0ml)に溶解後、exo-β-D-(1→3)-galactanase (10μL)およびexo-α-L-arabinofuranosidase(10μL)を用いて、トルエン存在下酵素消化した(37℃、2 日間) 。消化液をAG50W−X8(H+ 型) 樹脂カラムにより脱塩後、凍結乾燥し、exo-β-D-(1→3)-galactanase消化物を得た。本消化物を再度上記と同じ緩衝液(1mL)に溶解し、endo -β-D-(1→6)-galactanase(5μL)を加えてトルエン存在下酵素消化した(37℃、8時間) 。消化液をAG50W−X8(H+ 型) 樹脂カラムにより脱塩後、凍結乾燥し、endo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を得た。
【0037】
exo -β-D-(1→3)-galactanaseおよびexo-α-L-arabinofuranosidaseを用いて酵素消化した7種の多糖成分を高速陰イオン交換クロマトグラフイーにより分析し、単糖のAraおよびGalとβ-D-(1→6)結合のGalの2糖から18糖までの標準品との保持時間の比較を行ったところ、第1図から第4図に示した通り、いずれの多糖成分も単糖のAraおよびGalとともにβ-D-(1→6)結合のGalの2糖から8糖までを与えることが示された。さらにこれらのオリゴ糖がβ-D-(1→6)結合のGalのオリゴ糖であることを証明するため、さらにendo -β-D-(1→6)-galactanaseによる酵素消化を行った。この酵素消化物について同様に高速陰イオン交換クロマトグラフイーにより分析したところ、第1図から第4図に示した通り、3〜8糖のオリゴ糖はいずれも完全に消失し、2糖のオリゴ糖が増加することが示され、本発明の7種の多糖成分が下記式に示す構造を共通した糖鎖構造として有し、本構造にさらに実施例1に示した他の構造が付加された構造から個々の全体構造を構成していることが示された。
【0038】
【化2】

【0039】
(式中、Galはガラクトピラノースを示す。aおよびbの数値は不定であり、かつaおよびbの糖鎖構造の序列も不定)
実施例3
多糖成分の腸管パイエル板リンパ球に対する増殖促進効果
(1)実験動物
雌性C3H/HeJマウス(6〜8週齢)を購入しSpecific Pathogen Free飼育舎で飼育し、購入後3日以内に本実験に使用した。
(2)実験方法
パイエル板細胞の培養は公知のHongらの方法[T.Hongほか、Phytomedicine,5,353-360 (1998)に準じて下記の方法により行った。
【0040】
雌性C3H/HeJマウス(6〜8週齢) を脊髄脱臼後、眼科用ハサミを用いて消化管よりパイエル板を切り出した。このパイエル板を氷冷した5%ウシ胎児血清(FBS)含有RPMI−1640(FBS−RPMI)培地にとり、これをステンレスメッシュ(200 mesh)上で5mLのヂィスポーザブル注射器のゴムラバー付き内筒を用いて処理することによりパイエル板細胞を遊離させた。本懸濁液を50mLファルコンチューブ中で遠心分離(1,200rpm、4 ℃、7分間) し、培地をデカンテーションすることによりパイエル板細胞を得た。本細胞についてFBS−RPMI培地(10mL)を用いて2回同様の操作を繰り返すことにより細胞を洗浄後、FBS−RPMI培地を用いて2〜3×106 cells/mLのパイエル板細胞懸濁液を調製した。
【0041】
96穴培養プレート(3072、FALCON)に精製水(control)および被験試料(各20μL)を分注し、パイエル板細胞懸濁液(180μL/well)を加えて5%CO2-95%空気下で(37℃) で4−6日間培養した。本プレートより上清を除去した96穴培養プレートにFBS−RPMI培地(200μL/well)、次いでAlamer Blue(20μL/well、Biosource)を添加し、37℃で6〜24時間培養後、生じた蛍光物質量を蛍光プレートリーダー(大日本製薬、励起波長; 544nm: 測定波長; 590nm)を用いて測定することにより増殖細胞数を計測した。なお、結果は未処理の細胞(コントロール) と多糖成分処理の結果とを比較し、統計学的処理はFischer のPSLDにて検定した。
【0042】
本発明の7種の多糖成分について腸管パイエル板リンパ球に対する増殖促進効果を測定した結果、第5図に示したようにいずれの多糖成分もパイエル板のリンパ球に対して増殖促進効果を有することが示された。
実施例4
多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子の産生増強効果 パイエル板中の免疫担当細胞は多種類のサイトカインなどの液性因子を産生し、autocrine またはparacrine 的に相互の機能調節を行うとともに、ホーミング現象により他の局所の粘膜免疫系に移行した場合はby stander効果などにより、これらの液性因子などを介して局所粘膜免疫系の免疫担当細胞の機能調節を行う[J.R.McGhee, ほか、Mucosal immunology 2nd edition (eds.P.L.Orga,J.Mestecky,M.E.Lamm,W.Strober,J.Bienenstodk and J.R.McGhee)pp.485-506(1999)]。パイエル板細胞の培養上清中に産生されたこれらの液性因子は公知のELISA法などにより個々に検出定量することができる。また、骨髄細胞などのある種の細胞の中にはこれらの液性因子に対する受容体を有し、液性因子の存在によりその細胞の増殖が増強されることが知られている[笠倉新平編、サイトカイン(1997)]。本発明では骨髄細胞を液性因子の定量を行うための指示(indicator)細胞とし、パイエル板細胞の培養上清中の数種の液性因子を本因子群の作用による骨髄細胞の増殖の促進の度合いを指標に総合的に定量する目的で使用した。
【0043】
実施例3においてパイエル板免疫担当細胞を培養し、得た培養上清は使用まで−20℃にて凍結保管し、培養上清中の骨髄細胞増殖促進因子量および本因子の1つとしてのinterleukin 6 (IL−6)量の計測を以下の方法により行った。
【0044】
(a)パイエル板免疫担当細胞の培養上清中の骨髄細胞増殖促進因子の計測
雌性C3H/HeJマウス(6〜8週齢、日本エスエルシー社)を脊髄脱臼後、大腿骨を摘出し、FBS−RPMI培地を用いて骨髄細胞を採取した。骨髄細胞を分散後、ステンレスメッシュ(200 mesh)でろ過し、次いで遠心分離(1,200 rpm、4℃、7min)を行うことにより骨髄細胞を回収した。同様の操作を2回繰り返して細胞を洗浄後、骨髄細胞をFBS−RPMI培地(10mL)に懸濁し、骨髄細胞懸濁液(5×105 cells/mL)を得た。
【0045】
96穴培養プレート(3072,FALCON)に実施例3で得たパイエル板細胞培養上清(50μL/well)、骨髄細胞懸濁液(100μL/well)およびFBS−RPMI培地(50μL/well)を加えて、5%CO2-95%空気下(37℃)、6 日間培養した。本骨髄細胞培養液にAlamer Blue(20μL/well、Biosource)を添加し、37℃で6〜24時間培養後、生じた蛍光物質量を蛍光プレートリーダー(大日本製薬、励起波長; 544nm: 測定波長; 590nm)にて測定し増殖した骨髄細胞数を骨髄細胞増殖促進因子量とした。
(b)パイエル板免疫担当細胞の培養上清中のIL−6量の計測
常法に従いELISA法を用いて計測した。すなち、ELISA用プレート(Immunoplate, Maxisorp,NUNC)に50mM carbonate-bicarbonate buffer (pH9.6)で1μg/mLに希釈した抗マウスIL−6抗体(100μL/well, Pharmingen) を分注し、4 ℃で一昼夜インキューベーションすることによりプレートに吸着させた後、本プレートを0.05%Tween 20含有PBS(PBS−Tween,200μL/well)で3回洗浄した。本プレートを0.5%BSA含有PBS−Tween(BPBS−Tween,100μL/well)を用いて、37℃で1時間インキューベーションすることによりブロッキングを行った。プレートをPBS−Tween(200μL/well)で4回洗浄した。本プレートにBPBS−Tween(50μL/well)および実施例3で得たパイエル板細胞培養上清(50μL/well)を加えインキューベーションした(37℃、1時間)。
【0046】
次いでプレートをPBS−Tween(200μL/well)で3回洗浄後、BPBS−Tween(100μL/well)を加えプレインキューベーションし(室温、10分間)、BPBS−Tweenで希釈したピオチン標識anti-mouse IL−6抗体(1:1000, 50μL/well, Pharmingen) を加え、インキューベーションした(37℃、1時間)。プレートをPBS−Tween(200μL/well)で3回洗浄後、BPBS−Tween(100μL/well)を加えプレインキューベーションし(室温、10分間)、次いでBPBS−Tweenで希釈したアルカリホスファターゼ標識streptavidin(1:3000,100μL/well, ZYMED)を加え、インキューベーションした(37℃、1時間)。プレートをPBS−Tween(200μL/well)で3回洗浄後、substrate solution[disodium p-nitrophenyl phosphateの10% diethanolamine buffer (pH9.8)溶液(1mg/mL),100μL/well]を加え室温で放置し、発色した黄色をマイクロプレートリーダー(Model 450 Microplate Reader,Bio-Rad) を用いて吸光度(405nm)を測定した。
【0047】
本発明の7種の多糖成分について腸管パイエル板免疫担当細胞からのIL-6などの骨髄細胞増殖促進因子の産生増強効果を測定した結果、第6および第7図に示したように本発明の多糖成分は産生増強効果を有することが示された。
実施例5
多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からのIgAの産生増強効果
実施例3においてパイエル板免免疫担当細胞を培養し、得た培養上清は使用まで−20℃にて凍結保管し、培養上清中のIgA量を常法に従いELISA法を用いて計測した。すなわち、ELISA用プレート(Immunoplate, Maxisorp, NUNC) にBSA(10μg/mL) 含有0.01M含有 carbonate-bicarbonate buffer (pH9.6)で5μg/mLに希釈した抗マウスIgA抗体(100μL/well, Pharmingen) を分注し、室温で一昼夜インキュベーションすることによりプレートに吸着させた後、本プレートをPBS−Tween(200μL/well) で4回洗浄した。本プレートを1%スキムミルク含有PBS(SM−PBS, 300μL/well) を用いて、37℃で1時間インキュベーションすることによりブロッキングを行った後、プレートをPBS−Tween(200μL/well) で4回洗浄した。
【0048】
本プレートに0.1%Tween20含有5倍希釈SuperBlock Blocking Buffer (Pierce, 50μL/well) および実施例3で得たパイエル板細胞培養上清(50μL/well) を加えインキュベーションした(37℃, 1 時間) 。次いで、プレートを1%スキムミルク含有PBS−Tween(SM−PBS−Tween,250μL/well) で4回洗浄後、SM−PBSで希釈したアルカリホスファターゼ標識anti-mouse IgA抗体(1:1,000,100μL/well,Pharmingen) を加え、インキュベーションした(37℃,1時間)。プレートをPBS−Tween(200μL/well) で4回洗浄後、substarate solution [disodium p-nitrophenyl phosphateの10% diethanolamine buffer(pH9.8)溶液(1mg/mL),150μL/well]を加え室温で放置し、発色した黄色をマイクロプレートリーダー(Model 450 Microplate Reader,Bio-Rad) を用いて吸光度(405nm)を測定した。
【0049】
本発明の7種の多糖成分について腸管パイエル板免疫担当細胞からのIgAの産生増強効果を測定した結果、第8図に示したように本発明の多糖成分は産生増強効果を有することが示された。
実施例6
多糖成分の糖鎖構造中のβ-D-(1→3,6)-galactan 鎖のパイエル板免疫担当細胞賦活化効果
上記の実施例2で得られた7種の多糖成分(PS−1〜PS−7)のexo-β-D-(1→3)-galactanase消化物について上記実施例4と同様の方法によりパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子の産生に対する影響を未消化の多糖成分と比較した。
【0050】
本発明の7種の多糖成分のexo-β-D-(1→3)-galactanase消化による、多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子の産生増強効果の変化について検討した結果、第9図に示したように、いずれの多糖成分の増強効果も有意に低下もしくは消失することが示された。これまでにβ-D-(1→3)- 結合したGal鎖の6位に単糖のGal側鎖として結合した構造を有するアカシア由来の多糖成分(アラビアゴム)は本発明の多糖成分の示すパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子の産生増強効果をもたないことが報告されている[I Taguchi ほか、Carbohydrate Research,339,763-770 (2004)]。本発明での検討結果と実施例2での検討結果およびこれらの公知の事実から、7種の多糖成分中の下記式に示される構造がパイエル板免疫担当細胞の機能賦活化効果の発現のための共通した糖鎖構造となることが示された。
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、Galはガラクトピラノースを示す。aおよびbの数値は不定であり、かつaおよびbの糖鎖構造の序列も不定)
実施例7
ナイモウオウギおよびキバナオウギの根部および地上部由来多糖成分のパイエル板免疫担当細胞に対するの賦活化効果の比較
ナイモウオウギおよびキバナオウギの地上部由来の多糖成分が極めて有用な生体防御機能賦活化物質であることを検討するため、これらのオウギ属植物の薬用部位となっている根部および地上部より実施例1と同様の方法により多糖画分を精製し、これらの多糖画分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子産生に対する増強効果について検討した。
【0053】
第10図に示したように、ナイモウオウギおよびキバナオウギの根部および地上部由来の多糖画分のうちナイモウオウギおよびキバナオウギの地上部由来の多糖画分が根部由来の多糖画分に比較してより強力にパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子の産生に対する増強効果を示し、本発明のナイモウオウギおよびキバナオウギの地上部の多糖成分がより有用な生体防御機能賦活化物質であることが示された。
実施例8
ナイモウオウギおよびキバナオウギの両オウギ属植物の地上部由来多糖画分が根部由来多糖画分と異なる構造の多糖成分を含んでいること、およびキバナオウギ地上部由来の多糖成分がナイモウオウギ地上部由来の多糖成分と異なる全体構造を有することを検討するため、両オウギ属植物地上部および根部の多糖画分の構成糖を実施例1に示した方法に基づき検討した。
【0054】
その結果、下記に示したように、両オウギ属植物の地上部由来の多糖画分はナイモウオウギおよびキバナオウギいずれにおいても根部由来の多糖画分と全く異なるモル比の構成糖組成を有することが示された。また両オウギ属植物の地上部由来の多糖画分中の多糖成分は異なるモル比のAra、Rha、Fuc、Xyl、GalA、GlcA、Man、GalおよびGlcから構成され、各々全体構造の異なる多糖成分を含有していることが示された。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ モル%
ナイモウオウギ キバナオウギ ナイモウオウギ キバナオウギ
地上部多糖画分 地上部多糖画分 根部多糖画分 根部多糖画分
───────────────────────────────────
Ara 13.4 13.2 7.2 6.9
Rha 4.3 4.2 0.9 1.0
Fuc 1.2 1.0 微量 0.1
Xyl 3.8 4.0 1.0 0.8
GlcA 4.0 4.3 0.7 0.5
GalA 30.5 33.4 9.6 5.0
Man 15.1 10.5 微量 微量
Gal 13.3 14.8 3.0 2.4
Gkc 14.5 14.5 77.7 83.3
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【産業上の利用可能性】
【0055】
ナイモウオウギおよびキバナオウギ地上部由来の多糖成分もしくは前記多糖成分からなる多糖混合物もしくは前記多糖成分を含むナイモウオウギおよびキバナオウギ地上部の抽出エキスの投与または摂取により、共通粘膜免疫機構において中心的な役割を果たす腸管パイエル板中の免疫担当細胞に対しその機能を賦活化し、生体防御機能を賦活化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の多糖成分(PS−1)のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよびendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物の高速陰イオン交換クロマトグラフイーでの溶出図(図中、AおよびBは標準のβ-D-(1→6)-Galのオリゴ糖と単糖のAraおよびGalの溶出位置を示したもの。また、図中、CおよびDは各々PS−1のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。図中の*印はendo -β-D-(1→6)-galactanaseにより消失もしくは減少したピークを指す) である。
【図2】本発明の多糖成分(PS−2およびPS−3)のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよびendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物の高速陰イオン交換クロマトグラフイーでの溶出図(図中、AおよびBは図1に同じ。図中、CおよびDは各々PS−2のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。また、図中、EおよびFは各々PS−3のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。図中の*印はendo -β-D-(1→6)-galactanaseにより消失もしくは減少したピークを指す。) である。
【図3】本発明の多糖成分(PS−4およびPS−5)のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよびendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物の高速陰イオン交換クロマトグラフイーでの溶出図(図中、AおよびBは図1に同じ。図中、CおよびDは各々PS−4のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。また、図中、EおよびFは各々PS−5のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。図中の*印はendo -β-D-(1→6)-galactanaseにより消失もしくは減少したピークを指す。) である。
【図4】本発明の多糖成分(PS−6およびPS−7)のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよびendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物の高速陰イオン交換クロマトグラフイーでの溶出図(図中、AおよびBは図1に同じ。図中、CおよびDは各々PS−6のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。また、図中、EおよびFは各々PS−7のexo-β-D-(1→3)-galactanaseおよび本消化物のendo -β-D-(1→6)-galactanase消化物を示したもの。図中の*印はendo -β-D-(1→6)-galactanaseにより消失もしくは減少したピークを指す。) である。
【図5】本発明の多糖成分のパイエル板リンパ球に対する細胞増殖促進効果を示したものである。
【図6】本発明の多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子産生に対する増強効果を示したものである。
【図7】本発明の多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からのIL−6産生に対する増強効果を示したものである。
【図8】本発明の多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からのIgA産生に対する増強効果を示したものである。
【図9】本発明の多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子産生の増強作用に対する糖鎖構造の分解の影響を示したものである。
【図10】ナイモウオウギおよびキバナオウギの地上部および根部由来の多糖成分のパイエル板免疫担当細胞からの骨髄細胞増殖促進因子産生の増強作用の比較を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オウギ属植物ナイモウオウギおよびキバナオウギの構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン酸、ガラクツロン酸から選ばれたものである、オウギ属植物地上部由来の多糖。
【請求項2】
オウギ属植物ナイモウオウギの分子量が約72,000から345,000で、且つ構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン酸、ガラクツロン酸から選ばれたものである、オウギ属植物地上部由来の多糖。
【請求項3】
下記式
【化1】

(式中、Galはガラクトピラノースを示し、aおよびbの数値は不定であり、かつaおよびbの糖鎖構造の序列も不定)を生体防御機能賦活化作用の発現のための共通の活性発現糖鎖としてその構造中に含む、請求項2に記載のオウギ属植物地上部由来の多糖。
【請求項4】
請求項2または3項のいずれかに記載の多糖を有効成分とする生体防御機能賦活化剤。
【請求項5】
オウギ属植物ナイモウオウギより調製した多糖成分を含むことを特徴とする生体防御機能賦活化剤。
【請求項6】
オウギ属植物ナイモウオウギより調製した多糖成分、多糖画分もしくは抽出物を有効成分とする粘膜免疫系を介した生体防御機能賦活化剤。
【請求項7】
オウギ属植物キバナオウギより調製し、且つ構成糖がアラビノース、ラムノース、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン酸、ガラクツロン酸から選ばれたものである多糖成分、多糖画分もしくは抽出物を有効成分とする粘膜免疫系を介した生体防御機能賦活化剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−70217(P2006−70217A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257701(P2004−257701)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月5日 日本薬学会第124年会組織委員会発行の「日本薬学会第124年会要旨集」に発表
【出願人】(390027214)社団法人北里研究所 (20)
【Fターム(参考)】