説明

オゾン分解方法、オゾン分解装置および処理装置

【課題】オゾンを簡易な方法で容易かつ確実に分解することができるオゾン分解方法、オゾン分解装置、および、排液中のオゾン濃度を低減可能な処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明のオゾン分解装置1は、流入口21と流出口22とを備える本体部2と、本体部2内の空間を、流入口21側と流出口22側とに仕切るように設けられた複数のフィルター部材3とを備えている。各フィルター部材3は、それぞれ、気体が通過可能な支持体31と、支持体31の表面に担持された触媒32とで構成されている。オゾン分解装置1内では、触媒32の表面で、オゾンと水素イオンとが接触することにより、オゾンが分解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン分解方法、オゾン分解装置および処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾンの強力な酸化力を利用して、半導体製造プロセスにおける洗浄やレジスト剥離等が行われるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、オゾンは、人体に対して有毒なガスであるため、これらの処理後には、未反応のオゾンを何らかの方法で分解する必要がある。
オゾンを分解する方法として、硫化水素や金属硫化物を溶解したアルカリ水溶液等の薬液に接触させる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
ところが、かかる方法では、薬液代がかかり、コストが高くつくという問題や、薬液そのものが人体にとって有毒であるという問題もある。
【0003】
【特許文献1】特開2000−100686号公報
【特許文献2】特開平8−281064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、オゾンを簡易な方法で容易かつ確実に分解することができるオゾン分解方法、オゾン分解装置、および、排液中のオゾン濃度を低減可能な処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のオゾン分解方法は、触媒の表面で、オゾンと水素イオンとを接触させることにより、前記オゾンを分解することを特徴とする。
これにより、オゾンを簡易な方法で容易かつ確実に分解することができる。
本発明のオゾン分解方法では、前記触媒は、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものであることが好ましい。
かかる触媒は、オゾンの分解能に優れる。
【0006】
本発明のオゾン分解方法では、前記貴金属は、Au、Ag、Cu、Ir、Ta、Ti、W、Pt、Pd、Rh、Ruまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金であることが好ましい。
これらのものは、特に、オゾンの分解能に優れたものである。
本発明のオゾン分解方法では、前記遷移金属酸化物は、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物であることが好ましい。
これらのものは、特に、オゾンの分解能に優れたものである。
【0007】
本発明のオゾン分解方法では、前記オゾンの分解は、前記触媒を加熱した状態で行われることが好ましい。
これにより、オゾンの分解をより迅速に行うことができる。
本発明のオゾン分解方法では、前記水素イオンは、前記触媒に供給された還元剤が前記触媒の表面で分解されることにより生成したものであることが好ましい。
これにより、同一の触媒上で、還元剤の水素イオンへの分解と、オゾンの分解とが行われるようにすることができるので、装置化にあたって、その装置の小型化を図ることができるという利点がある。
【0008】
本発明のオゾン分解方法では、前記オゾンと前記還元剤とは、混合された状態で前記触媒に供給されることが好ましい。
これにより、オゾンと還元剤とが、予め混合された状態で触媒に供給されるため、オゾンと水素イオンとの接触がより確実かつ均一に生じ、その結果、オゾンがより効率よく分解される。
本発明のオゾン分解方法では、前記還元剤は、水素ガスまたはメタノールを主成分とするものであることが好ましい。
水素ガスやメタノールを主成分とする還元剤は、比較的容易かつ低温で分解して水素イオンを生じ易いことから好ましい。
【0009】
本発明のオゾン分解方法では、前記水素イオンは、前記触媒と異なる第2の触媒に供給された還元剤が前記第2の触媒の表面で分解されることにより生成したものであることが好ましい。
還元剤の分解とオゾンの分解とを、それぞれ、異なる触媒上で行うため、これらの分解反応が競合することなく、より効率よくかつ確実に行うことができる。これにより、オゾンの分解効率がより高まる。
【0010】
本発明のオゾン分解方法では、前記第2の触媒は、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものであることが好ましい。
かかる第2の触媒は、還元剤の分解能に優れる。
本発明のオゾン分解方法では、前記貴金属は、Pt、Auまたはこれらのうちの少なくとも一方を含む合金であることが好ましい。
これらのものは、特に、還元剤の分解能に優れたものである。
本発明のオゾン分解方法では、前記遷移金属酸化物は、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物であることが好ましい。
これらのものは、特に、還元剤の分解能に優れたものである。
本発明のオゾン分解方法では、前記第2の触媒の表面で生成した前記水素イオンは、前記触媒と前記第2の触媒との間に設けられた前記水素イオンが通過可能な電解質膜を介して、前記触媒に供給されることが好ましい。
これにより、生成した水素イオンを無駄なくオゾンの分解反応に供することができる。
【0011】
本発明のオゾン分解装置は、本体部と、該本体部内に収納された触媒とを有し、
該触媒の表面で、オゾンと水素イオンとを接触させることにより、前記オゾンを分解することを特徴とする。
これにより、オゾンを簡易な方法で容易かつ確実に分解することができるオゾン分解装置が得られる。
【0012】
本発明のオゾン分解装置では、前記本体部内に収納され、前記触媒と異なる第2の触媒を有し、
該第2の触媒の表面で、前記本体部内に供給された還元剤を分解することにより、前記水素イオンを生成することが好ましい。
還元剤の分解とオゾンの分解とを、それぞれ、異なる触媒上で行うため、これらの分解反応が競合することなく、より効率よくかつ確実に行うことができる。これにより、オゾンの分解効率がより高まる。
【0013】
本発明のオゾン分解装置では、前記触媒と前記第2の触媒との間に、前記水素イオンが通過可能な電解質膜を有し、
該電解質膜を介して、前記第2の触媒の表面で生成した前記水素イオンが前記触媒に供給されることが好ましい。
これにより、生成した水素イオンを無駄なくオゾンの分解反応に供することができる。
【0014】
本発明の処理装置は、オゾンを含有する処理剤を用いて、被処理部材の表面の処理を行う処理部と、
該処理部に接続された本発明のオゾン分解装置とを備え、
前記処理部から排出される排出物を前記オゾン分解装置に供給し、前記排出物中に含まれる前記オゾンを分解することを特徴とする。
これにより、安全性の高い処理装置が得られる。
【0015】
本発明の処理装置では、さらに、水の電気分解によりオゾンを生成するオゾン生成装置を備え、
該オゾン生成装置で生成したオゾンを含有する処理剤を前記処理部に供給するとともに、前記水の電気分解の際に生じる水素ガスを前記オゾン分解装置に供給することが好ましい。
これにより、水素ガスを処理するための装置を別途設ける必要がなく、このため、処理装置全体の小型化を図ることができるとともに、処理装置のランニングコストの低減を図ることができる。
本発明の処理装置は、その各部の駆動に要する電力の一部として、前記オゾン分解装置において前記オゾンを分解する際に発生する電気を利用することが好ましい。
これにより、被処理部材の処理コスト(処理装置のランニングコスト)の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のオゾン分解方法、オゾン分解装置および処理装置について、図示の好適実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の処理装置の実施形態を示す概略図である。
本発明の処理装置10は、オゾンを含有する処理剤を用いて、被処理体(被処理部材)Sの表面の処理(例えば有機物の除去等)を行う装置である。
【0017】
図1に示す処理装置10は、被処理体Sの処理を行う処理室(処理部)100と、処理室100にオゾンを供給するオゾン供給装置200と、処理室100に水蒸気を供給する水蒸気供給装置300とを有している。
処理室100は、気密的に密閉可能となっている。この処理室100の下部には、処理室100の内部を所定温度に加熱するために、例えばホットプレート等で構成される加熱手段120が設けられている。
【0018】
処理室100では、少なくとも水蒸気とオゾンとを含有する混合ガスの雰囲気(処理剤)に被処理体Sを晒すことにより、例えば、被処理体Sに付着する有機物(例えば、レジスト層等)の分解・除去等が行われる。
処理室100とオゾン供給装置200とは、オゾン供給管210を介して接続されている。オゾン供給装置200は、オゾンを、処理室100に、所望の流量、圧力で供給するための装置である。
【0019】
オゾン供給装置200は、例えば、オゾンを収納したボンベ等であってもよいが、本実施形態では、水の電気分解によりオゾンを生成(発生)するオゾン生成装置で構成されている。
また、オゾン供給装置200には、水を電気分解する際に、オゾンとともにを生成する水素ガス(還元剤)を含有する気体(ガス)を、後述するオゾン分解装置1に供給するための供給管220の一端が接続されている。この供給管220の他端は、排気管520の途中に接続されている。
【0020】
処理室100と水蒸気供給装置300とは、水蒸気供給管310を介して接続されている。水蒸気供給装置300は、気密的に密閉可能となっている。
この水蒸気供給装置300の内部には、例えば、純水、超純水、イオン交換水、蒸留水、RO水等の水が収納されている。そして、水蒸気供給装置300は、その内部に収納された水を、例えば95〜130℃程度に加熱する加熱手段(図示せず)を備えている。
【0021】
また、処理室100には、ガス供給管410を介してガス供給装置400が接続されている。図示の構成では、ガス供給管410は、処理室100内において分岐する分岐管420aおよび420bを備えている。
さらに、処理室100には、排気管510を介して、ミストトラップ装置500が接続され、このミストトラップ装置500に、排気管520を介して、本発明のオゾン分解装置1が接続されている。
【0022】
このような処理装置10を用いて、例えば、次のようにして被処理体Sの表面を処理することができる。
まず、被処理体Sをカセット110に収納し、この状態で、カセット110を処理室100内にセットする。
次に、処理室100内に、ガス供給装置400からガス供給管410を介して、例えば100〜200℃程度に加熱された不活性ガス(例えば窒素ガス等)を処理室100へ供給しつつ、排気管510から排気し、処理室100内を不活性ガス雰囲気に置換する。
【0023】
これとほぼ同時に、処理室100の加熱手段120を作動させ、処理室100の温度を所定温度に設定する。
被処理体Sの温度が所定温度(処理室100内の温度とほぼ同じ)で安定した後、水蒸気供給装置300から水蒸気供給管310を介して処理室100内に水蒸気を供給する。
また、これとほぼ同時に、オゾン供給装置200からオゾン供給管210を介して処理室100内にオゾンを供給する。
【0024】
次に、排気管510を閉状態にし、処理室100内を、例えば50〜200kpa程度に加圧する。なお、水蒸気の温度、圧力や流量、オゾンの流量や圧力等は、処理目的等に応じて適宜設定される。
例えば、処理目的がレジスト層の除去の場合には、次のような条件に設定するのが好ましい。
すなわち、処理室100内の温度は、95〜140℃程度であるのが好ましい。
【0025】
また、処理室100の雰囲気(処理剤)は、少なくとも水蒸気とオゾンとを含み、オゾンに対する水蒸気の体積比(水蒸気/オゾン)は、例えば1〜4程度であるのが好ましい。
さらに、処理室100内の温度は、オゾンに対する水蒸気の体積比(水蒸気/オゾン)が増加するにつれて高く設定するのが好ましく、具体的には、体積比(水蒸気/オゾン)を0.1大きくする毎に、処理室100内の温度を、例えば1〜3℃程度上昇させるのが好ましい。
【0026】
処理室100を加熱する方法としては、前述したように、処理室100全体を所定の温度に加熱するための加熱手段120を用いる方法の他、例えば、ガス供給装置400から加熱されたガスを供給する方法、または図示しない赤外線照射装置の輻射熱を用いて被処理体S自体を加熱する方法等が挙げられ、これらの方法のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
被処理体Sの処理が終了したら、被処理体Sの温度が、例えば40℃程度まで低下するのを待って、処理槽100内からオゾン水洗浄槽(図示せず)またはリンス槽(図示せず)へ移動し、被処理体Sに洗浄処理を施した後、乾燥する。
【0027】
一方、処理室100内の気体(排ガス)は、排気管510を介してミストトラップ装置500に排出され、ここで排ガス(処理室100から排出された排出物)中のミストを除去する。
さらに、ミストトラップ装置500で処理された排ガスは、供給管220を介して供給された水素ガスを含有するガスと混合され、この混合ガスが排気管520を介して、オゾン分解装置1に送られる。
そして、オゾン分解装置1において、混合ガス(排ガス)中に含まれるオゾンが分解される。
また、排気管520と供給管220との接続部には、バルブ530が設けられ、排ガスと水素ガスを含有するガスとの混合比が調整可能となっている。
【0028】
次に、本発明のオゾン分解装置1について詳述する。
<第1実施形態>
まず、本発明のオゾン分解装置の第1実施形態について説明する。
図2は、本発明のオゾン分解装置の第1実施形態を示す縦断面図である。
図2に示すオゾン分解装置1は、流入口21と流出口22とを備える本体部2と、本体部2内の空間を、流入口21側(上流側)と流出口22側(下流側)とに仕切るように設けられた複数(本実施形態では、3つ)のフィルター部材3とを備えている。
【0029】
流入口21には、排気管520が接続され、一方、流出口22には、排出管540が接続されている。
各フィルター部材3は、それぞれ、気体や液体(流体)が通過可能な支持体31と、支持体31の表面に担持された触媒32とで構成されている。
支持体31は、流体が円滑に通過可能であればよく、その形状(形態)は、特に限定されないが、例えば、多孔質状、メッシュ状、ハニカム状等が挙げられる。
支持体31の構成材料としては、例えば、炭素、アルミナ、シリカ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、各フィルター部材3において、それぞれ、異なる形状の支持体31を用いるようにしてもよい。
【0030】
触媒32は、オゾンの分解を促進する機能を有するものである。本実施形態では、オゾン分解装置1内(すなわち、触媒32)に、排ガスと水素ガスを含有するガスとが混合ガスとして供給されると、まず、触媒32の表面(触媒32上)で、触媒32の作用により、下記式(1)に示すように、水素ガスが水素イオンに分解される。
また、触媒32の表面で、オゾンと水素イオンとが接触することにより、下記式(2)に示すように、オゾンが酸素と水とに分解され、さらに、酸素から、下記式(3)に示すように、水が生成する。
【0031】
→ 2H+2e ・・・(1)
+2H+2e → O+HO ・・・(2)
1/2O+2H+2e → HO ・・・(3)
この際、生成した水は、気体(水蒸気)や液体として流出口22に接続された排出管540から、オゾン分解装置1の外部に排出される。
【0032】
触媒32としては、触媒作用(触媒能)を有する物質であればよく、有機または無機の触媒を用いることができるが、特に、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものを用いるのが好ましい。かかる触媒32は、オゾンの分解能に優れる。
貴金属としては、Au、Ag、Cu、Ir、Ta、Ti、W、Pt、Pd、Rh、Ruまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金が好ましい。これらのものは、特に、オゾンの分解能に優れたものである。
また、遷移金属酸化物としては、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Mo、Re、W、Ta、Nb、V、Hf、Zr、Ti、Ir、CuおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物等が挙げられるが、これらの中でも、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物が好ましい。これらのものも、特に、オゾンの分解能に優れたものである。
【0033】
このような触媒32の形状は、図示のように粒状(特に球状)であるのが好ましい。これにより、オゾンや水素ガス(還元剤)との接触面積を増大させることができ、オゾンをより効率よく分解することができる。
この場合、触媒32の平均粒径は、1nm〜1000μm程度であるのが好ましく、5nm〜500nm程度であるのがより好ましい。これにより、オゾンや水素ガスとの接触面積を十分に大きいものとすることができる。
【0034】
また、支持体31に担持される触媒32の量は、1mg〜1000mg/cm程度であるのが好ましく、50mg〜300mg/cm程度であるのがより好ましい。
なお、触媒32の形状は、粒状に限定されず、例えば、塊状等であってもよく、フィルター部材3全体を触媒32で構成(形成)することもできる。
また、図2に示すように、オゾン分解装置1は、フィルター部材3(触媒32)を加熱する加熱手段9を有している。この加熱手段9は、オゾンを分解する際に、触媒32を加熱するものである。オゾンの分解を触媒32を加熱した状態で行うことにより、オゾンの分解をより迅速かつ確実に行うことができる。
【0035】
このような加熱手段9は、例えば、ヒーター、赤外線照射手段、高周波付与手段等で構成することができる。
本実施形態では、同一の触媒32上で、水素ガスの水素イオンへの分解と、オゾンの分解とが行われるように構成されている。このため、オゾン分解装置1の小型化を図ることができるという利点がある。
【0036】
また、オゾンと水素ガスとが、予め混合された状態で、オゾン分解装置1内(触媒32)に供給される。このため、オゾンと水素イオン(水素ガス)との接触がより確実かつ均一に生じ、その結果、オゾンがより効率よく分解される。
また、オゾンを分解する際の還元剤として、オゾンを生成する際に副生成物として生成する水素ガスを用いるため、水素ガスを処理(分解や除去)するための装置を別途設ける必要がない。このため、処理装置1全体の小型化を図ることができるとともに、処理装置1のランニングコストの低減を図ることができる。
【0037】
なお、処理室100から排出された排出物が液体である場合、この液体の排出物(排液)は、そのままオゾン分解装置1に供給することができる。この場合、排液と水素ガスを含有するガスとが排気管520において混合され、オゾンと水素ガスとは、これらを含有する液体としてオゾン分解装置1に供給されることとなる。
また、排出物が気体である場合でも、気体の排出物(排ガス)や水素ガスを含有するガスを適当な溶媒(例えば、水等)に溶解して、オゾンと水素ガスとを含有する液体として、オゾン分解装置1に供給するようにしてもよい。
また、排出物(排ガス、排液)と水素ガスとは、混合することなく、オゾン分解装置1に個別に導入(供給)するようにしてもよい。この場合、供給管220が直接、オゾン分解装置1の本体部2に接続される。
【0038】
また、本実施形態では、還元剤として水素ガスが用いられるが、水素ガスに代えて、例えば、メタノール、エタノールのようなアルコール類や、ジメチルエーテルのようなエーテル類等を用いることもできるが、還元剤としては、水素ガスまたはメタノールを主成分とするものが好適である。水素ガスやメタノールを主成分とする還元剤は、比較的容易かつ低温で分解して水素イオンを生じ易いことから好ましい。
なお、図1に示す処理装置10において、還元剤として水素ガス以外のものを用いる場合には、例えば、供給管220が省略され、還元剤供給手段が、例えば、オゾン分解装置1の本体部2または排気管520の途中等に接続される。
【0039】
<第2実施形態>
次に、本発明のオゾン分解装置の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態のオゾン分解装置について、前記第1実施形態のオゾン分解装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図3は、本発明のオゾン分解装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
【0040】
図3に示すオゾン分解装置1は、流入口21a、21bと流出口22a、22bとを備える本体部2と、いずれも本体部2内に設けられた電解質膜4と、水素イオン生成部5と、オゾン分解部6とを有している。
流入口21aには排気管520が、流入口21bには供給管220がそれぞれ接続され、一方、流出口22a、22bには、排出管540が接続されている。
【0041】
電解質膜4は、水素イオン(プロトン)が通過可能な膜であり、例えばプロトン(H)の伝導体として機能する有機高分子材料膜等で構成されている。
この有機高分子材料膜の構成材料としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂のようなイオン交換樹脂、カルボン酸系フッ素樹脂、ポリテトラフロロエチレン等が挙げられる。
【0042】
このうち、パーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂を主材料として構成される高分子材料膜としては、例えば、Nafion(デュポン社製)やFlemion(旭硝子社製)等を用いることができる。
また、電解質膜(固体電解質膜)4は、水素イオン生成部5およびオゾン分解部6の両側から一部はみ出している。すなわち、電解質膜4の平面積は、水素イオン生成部5およびオゾン分解部6の平面積より大きく設定されている。
【0043】
この電解質膜4の水素イオン生成部5およびオゾン分解部6からはみ出した部分が、本体部2を構成する第1の枠体2aと第2の枠体2bとにより狭持され、これにより、電解質膜4、水素イオン生成部5およびオゾン分解部6の接合体7が、本体部2に固定されている。
電解質膜4の一方の面側には、電解質膜4に接触して水素イオン生成部5が設けられている。この水素イオン生成部5は、電解質膜4側の触媒層52と、この触媒層52を支持する基板51とで構成されている。
【0044】
基板51は、例えば、前述したような還元剤や還元剤の分解により発生するガス(例えば、水蒸気や二酸化炭素等)等を拡散する拡散層としての機能を有するものである。
この基板51は、例えば、カーボンペーパーのような導電性を有する多孔質体に撥水性物質を付与したもの、スチールウール、アルミニウム(Al)等で構成されるメッシュ状の金属フォーム、スポンジチタン等の多孔性金属材料等で構成するのが好ましい。これにより、基板51に集電体としての機能を付与することができる。
【0045】
触媒層52は、水素イオン生成部5における還元剤(例えば、水素ガスやメタノール等)の分解を促進する触媒(第2の触媒)を含有する層であり、例えばカーボン粉末のような導電性粉末とパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂のような樹脂とを含有する基材に、第2の触媒が担持されて構成される。
この第2の触媒としては、触媒作用(触媒能)を有する物質であればよく、有機または無機の触媒を用いることができるが、特に、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものを用いるのが好ましい。かかる第2の触媒は、還元剤の分解能に優れる。
【0046】
貴金属としては、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ag、Auまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等が挙げることができるが、これらの中でも、Pt、Auまたはこれらのうちの少なくとも一方を含む合金が好ましい。これらのものは、特に、還元剤の分解能に優れたものである。
また、遷移金属酸化物としては、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Mo、Re、W、Ta、Nb、V、Hf、Zr、Ti、Ir、CuおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物等が挙げられるが、これらの中でも、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物が好ましい。これらのものも、特に、還元剤の分解能に優れたものである。
【0047】
このような第2の触媒の形状も、粒状(特に球状)であるのが好ましい。これにより、還元剤との接触面積を増大させることができ、水素イオンをより効率よく生成することができる。
この場合、第2の触媒の平均粒径は、1nm〜1000μm程度であるのが好ましく、5nm〜500nm程度であるのがより好ましい。これにより、還元剤との接触面積を十分に大きいものとすることができる。
触媒層52に担持される第2の触媒の量は、1mg〜1000mg/cm程度であるのが好ましく、50mg〜300mg/cm程度であるのがより好ましい。
【0048】
電解質膜4の他方の面側(水素イオン生成部5と反対側)には、電解質膜4に接触してオゾン分解部6が設けられている。このオゾン分解部6は、電解質膜4側の触媒層62と、この触媒層62を支持する基板61とで構成されている。
基板61は、例えば、オゾンやオゾンの分解により発生するガス(例えば、水蒸気や酸素ガス等)等を拡散する拡散層としての機能を有するものである。
この基板61には、基板51と同様のものを用いることができる。
【0049】
触媒層62は、オゾン分解部6においてオゾンの分解を促進する触媒を含有する層である。この触媒層62には、前記第1実施形態の触媒32と同様の触媒が担持されている。
また、触媒層62に担持される触媒の量は、1mg〜1000mg/cm程度であるのが好ましく、50mg〜300mg/cm程度であるのがより好ましい。
このような水素イオン生成部5およびオゾン分解部6が、それぞれ、図2に示すように、電解質膜4の異なる面に接合され、一体化することにより接合体7が構成されている。この接合は、例えばホットプレス、接着剤による接着等の方法により行うことができる。
【0050】
オゾン分解部6の電解質膜4と反対側には、第1の枠体2aが設けられている。
この第1の枠体2aには、オゾン分解部6側の面に、複数の溝23aがストライプ状に形成されている。この溝23aには、流入口21aおよび流出口22aが連通している。これにより、流入口21aおよび溝23aを介して、オゾン分解部6に処理室100から排出された排出物(排ガス)が供給され、排出物中に含まれるオゾンの分解により生成したガス等は、溝23aおよび流出口22aを介して、オゾン分解部6からオゾン分解装置1外に排出される。
【0051】
また、水素イオン生成部5の電解質膜4と反対側には、第2の枠体2bが設けられている。
この第2の枠体2bには、水素イオン生成部5側の面に、複数の溝23bがストライプ状に形成されている。本実施形態では、各溝23bは、第1の枠体2aに形成された各溝23aとほぼ平行に設けられているが、これらの溝23a、23bは、互いにほぼ略直交するように設けるようにしてもよい。
溝23bには、流入口21bおよび流出口22bが連通している。これにより、流入口21bおよび溝23bを介して、水素イオン生成部5に還元剤が供給され、還元剤の分解により生成したガス等は、溝23bおよび流出口22bを介して、水素イオン生成部5からオゾン分解装置1外に排出される。
【0052】
本体部2(第1の枠体2a、第2の枠体2b)の構成材料としては、例えば、カーボンのような炭素材料、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金、ステンレス鋼のような金属材料、アルミナのようなセラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、本実施形態のオゾン分解装置1では、図3に示すように、水素イオン生成部5の基板51と、オゾン分解部6の基板61とに、それぞれ、配線を介して外部回路8が接続されている。
本実施形態のオゾン分解装置1では、水素イオン生成部5に還元剤(水素ガス)が供給されると、触媒層52に担持された触媒(第2の触媒)の表面において、前記式(I)に示すように分解して、水素イオンと電子とが生成する。
【0054】
生成した水素イオンは、電解質膜4を介して、また、電子は、外部回路8を介して、オゾン分解部6に移動する(供給される)。
一方、オゾン分解部6に処理室100から排出された排出物が供給されると、触媒層62に担持された触媒の表面において、排出物中のオゾンと、水素イオン生成部5から移動した水素イオンおよび電子とが、前記式(2)および(3)に示すように反応して、水(水蒸気)が生成する。
そして、生成した水は、オゾン分解装置1の外部に排出される。
【0055】
このように、本実施形態では、還元剤の分解とオゾンの分解とを、それぞれ、異なる触媒上で行うため、これらの分解反応が競合することなく、より効率よくかつ確実に行うことができる。これにより、オゾンの分解効率がより高まる。
また、異なる触媒間に、電解質膜が配されているので、生成した水素イオンを無駄なくオゾンの分解反応に供することができる。
【0056】
また、本実施形態では、このオゾンを分解する際に生じる電子を、外部回路8に電気として取り出すことができるようになっている。そして、かかるオゾン分解装置1を備える処理装置10では、オゾン分解装置1で発生した電気を、各部(例えば、オゾン供給装置200、加熱手段120等)の作動に必要な電力の一部として利用可能となっている。これにより、被処理体Sの処理コスト(処理装置10のランニングコスト)の削減を図ることができる。
【0057】
なお、オゾン分解装置1で発生した電気は、そのまま処理装置10の各部に供給するようにしてもよいし、外部回路8中に蓄電池を設け、蓄電した後、処理装置10に供給するようにしてもよい。
また、第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、触媒層52に担持された触媒および/または触媒層62に担持された触媒を加熱するための加熱手段を設けることができる。これにより、使用済みの処理液中に含まれるオゾンをより効率よく分解することができる。
【0058】
<第3実施形態>
次に、本発明のオゾン分解装置の第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態のオゾン分解装置について、前記第1および第2実施形態のオゾン分解との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4は、本発明のオゾン分解装置の第3実施形態を示す縦断面図である。
図4に示すオゾン分解装置1は、本体部2内に、複数(本実施形態では、3つ)の接合体7が併設されている。こにより、より効率よくオゾンの分解が可能となっている。
【0059】
以上、本発明のオゾン分解方法、オゾン分解装置および処理装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、本発明のオゾン分解装置および処理装置の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものに置換することができる。
また、本発明は、各前記実施形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【実施例】
【0060】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.オゾン分解装置の製造
(実施例1)
図2に示すオゾン分解装置を製造した。
各部の仕様は、以下に示す通りである。
・本体部
構成材料:ステンレス鋼
・フィルター
設置数 :3つ
・支持体
構成材料:アルミナ
形状 :ハニカム形状
平均厚さ:5mm
・触媒
構成材料:Pt(貴金属)
形状 :粒状
平均粒径:500nm
担持量 :300mg/cm
温度 :80℃
(実施例2)
触媒の構成材料をCr(遷移金属酸化物)に代えた以外は、前記実施例1と同様にして、オゾン分解装置を製造した。
【0061】
(実施例3)
図3に示すオゾン分解装置を製造した。
各部の仕様は、以下に示す通りである。
・本体部
構成材料:ステンレス鋼
・接合体
・電解質膜
構成材料:Nafion(デュポン社製)
平均厚さ:1mm
・水素イオン生成部
・基板
構成材料:炭素
形状 :多孔質
平均厚さ:0.5mm
・触媒層
平均厚さ:0.1mm
・基材
構成 :カーボン粉末とパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂とを含有 ・触媒
構成材料:Pt−Ru合金(貴金属)
形状 :粒状
平均粒径:500nm
担持量 :100mg/cm
・オゾン分解部
・基板
構成材料:炭素
形状 :多孔質
平均厚さ:0.5mm
・触媒層
平均厚さ:0.1mm
・基材
構成 :カーボン粉末とパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂とを含有 ・触媒
構成材料:Pt(貴金属)
形状 :粒状
平均粒径:500nm
担持量 :100mg/cm
温度 :80℃
(実施例4)
水素イオン生成部の触媒の構成材料をPtO(遷移金属酸化物)に、また、オゾン分解部の触媒の構成材料をPd(貴金属)に代えた以外は、前記実施例3と同様にしてオゾン分解装置を製造した。
【0062】
(比較例1)
フィルター部材の支持体の構成材料をポリイミドに代え、触媒の担持を省略した以外は、前記実施例1と同様にして、オゾン分解装置を製造した。
(比較例2)
オゾン分解部において触媒の担持を省略した以外は、前記実施例3と同様にして、オゾン分解装置を製造した。
【0063】
2.評価
各実施例および各比較例のオゾン分解装置に、それぞれ、オゾン濃度10ppmのオゾン水および水素ガス濃度4ppmの水素水を供給して、オゾンの分解を行った。
実施例1、2および比較例1のオゾン分解装置には、それぞれ、オゾン水と水素水との混合液を流量1L/minで供給した。
また、実施例3、4および比較例2のオゾン分解装置には、それぞれ、オゾン水と水素水とを、別々に流量1L/minで供給した。
そして、各実施例および各比較例のオゾン分解装置の廃液中のオゾン濃度を、それぞれ測定した。
【0064】
その結果、各実施例のオゾン分解装置から回収された廃液中のオゾン濃度は、いずれも、各比較例のオゾン分解装置から回収された廃液中のオゾン濃度より明らかに低い値であった。
特に、実施例3および4のオゾン分解装置から回収された廃液中のオゾン濃度は、低い値を示した。
【0065】
また、各実施例のオゾン分解装置では、いずれも、水素水に代えてメタノール水溶液を用いても、前記と同様にオゾンの分解が可能であった。
また、触媒の構成材料を代えて、前記各実施例と同様にしてオゾン処理装置を製造し、前記と同様にして評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、図4に示すオゾン処理装置を製造し、前記と同様にして評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の処理装置の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明のオゾン分解装置の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明のオゾン分解装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明のオゾン分解装置の第3実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1……オゾン分解装置 2……本体部 2a……第1の枠体 2b……第2の枠体 21、21a、21b……流入口 22、22a、22b……流出口 23a、23b……溝 3……フィルター部材 31……支持体 32……触媒 4……電解質膜 5……水素イオン生成部 51……基板 52……触媒層 6……オゾン分解部 61……基板 62……触媒層 7……接合体 8……外部回路 9……加熱手段 10……処理装置 100……処理室 110……カセット 120……加熱手段 200……オゾン供給装置 210……オゾン供給管 220……供給管 300……水蒸気供給装置 310……水蒸気供給管 400……ガス供給装置 410……ガス供給管 420a、420b……分岐管 500……ミストトラップ装置 510……排気管 520……排気管 530……バルブ 540……排出管 S……被処理体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の表面で、オゾンと水素イオンとを接触させることにより、前記オゾンを分解することを特徴とするオゾン分解方法。
【請求項2】
前記触媒は、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものである請求項1に記載のオゾン分解方法。
【請求項3】
前記貴金属は、Au、Ag、Cu、Ir、Ta、Ti、W、Pt、Pd、Rh、Ruまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金である請求項2に記載のオゾン分解方法。
【請求項4】
前記遷移金属酸化物は、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物である請求項2に記載のオゾン分解方法。
【請求項5】
前記オゾンの分解は、前記触媒を加熱した状態で行われる請求項1ないし4のいずれかに記載のオゾン分解方法。
【請求項6】
前記水素イオンは、前記触媒に供給された還元剤が前記触媒の表面で分解されることにより生成したものである請求項1ないし5のいずれかに記載のオゾン分解方法。
【請求項7】
前記オゾンと前記還元剤とは、混合された状態で前記触媒に供給される請求項6に記載のオゾン分解方法。
【請求項8】
前記還元剤は、水素ガスまたはメタノールを主成分とするものである請求項6または7に記載のオゾン分解方法。
【請求項9】
前記水素イオンは、前記触媒と異なる第2の触媒に供給された還元剤が前記第2の触媒の表面で分解されることにより生成したものである請求項1ないし5のいずれかに記載のオゾン分解方法。
【請求項10】
前記第2の触媒は、主として貴金属および/または遷移金属酸化物で構成されたものである請求項9に記載のオゾン分解方法。
【請求項11】
前記貴金属は、Pt、Auまたはこれらのうちの少なくとも一方を含む合金である請求項10に記載のオゾン分解方法。
【請求項12】
前記遷移金属酸化物は、Ag、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ru、Fe、Mn、Cr、Cu、W、Ta、Ti、IrおよびMoよりなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物である請求項2に記載のオゾン分解方法。
【請求項13】
前記第2の触媒の表面で生成した前記水素イオンは、前記触媒と前記第2の触媒との間に設けられた前記水素イオンが通過可能な電解質膜を介して、前記触媒に供給される請求項9ないし12のいずれかに記載のオゾン分解方法。
【請求項14】
本体部と、該本体部内に収納された触媒とを有し、
該触媒の表面で、オゾンと水素イオンとを接触させることにより、前記オゾンを分解することを特徴とするオゾン分解装置。
【請求項15】
前記本体部内に収納され、前記触媒と異なる第2の触媒を有し、
該第2の触媒の表面で、前記本体部内に供給された還元剤を分解することにより、前記水素イオンを生成する請求項14に記載のオゾン分解装置。
【請求項16】
前記触媒と前記第2の触媒との間に、前記水素イオンが通過可能な電解質膜を有し、
該電解質膜を介して、前記第2の触媒の表面で生成した前記水素イオンが前記触媒に供給される請求項14または15に記載のオゾン分解装置。
【請求項17】
オゾンを含有する処理剤を用いて、被処理部材の表面の処理を行う処理部と、
該処理部に接続された請求項14ないし16のいずれかに記載のオゾン分解装置とを備え、
前記処理部から排出される排出物を前記オゾン分解装置に供給し、前記排出物中に含まれる前記オゾンを分解することを特徴とする処理装置。
【請求項18】
さらに、水の電気分解によりオゾンを生成するオゾン生成装置を備え、
該オゾン生成装置で生成したオゾンを含有する処理剤を前記処理部に供給するとともに、前記水の電気分解の際に生じる水素ガスを前記オゾン分解装置に供給する請求項17に記載の処理装置。
【請求項19】
当該処理装置は、その各部の駆動に要する電力の一部として、前記オゾン分解装置において前記オゾンを分解する際に発生する電気を利用する請求項17または18に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−218351(P2006−218351A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31771(P2005−31771)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】