オフセット作業機
【課題】トラクタにオフセット作業が行えるように装着された作業機の自由度を制御して、精度の高い連続作業を可能にする。
【解決手段】走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレーム9の先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレーム13に装着され、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、走行機体に対する、伝動フレーム9の水平回動と作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部51と、
作業部51の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて作業部51の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部51を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備える。
【解決手段】走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレーム9の先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレーム13に装着され、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、走行機体に対する、伝動フレーム9の水平回動と作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部51と、
作業部51の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて作業部51の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部51を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着される作業機であって、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業することができるオフセット作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種の連続直進作業を行う作業機は、農業用機械又は土木用機械として一般的に広く使われており、作業の種類に応じた各種の作業機がある。このような作業機の中で、畦塗り機、溝形成機、草刈機等は、その作業の特殊性から、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業させることが出来るような構成となっており、いわゆるオフセット作業機として知られている。特に、畦塗り機は、広い圃場の全周に亘って畦を成形するものであって、従来、多大な時間と労力を要していた畦塗り作業の機械化を達成したものとして近年注目されている。
【0003】
特許文献1には、オフセット作業機としてロータリ砕土装置を例示し、従来のオフセット作業機では困難であった、オフセット量を所望の範囲に調整可能にしたオフセット作業機が開示されている。また、特許文献2には、平行リンク機構を採用することによりオフセット量を調整可能にした溝堀機が開示されている。
しかし、このような従来知られているオフセット作業機は、走行機体の進行に沿ってオフセット位置での直進作業を行うが、例えば、矩形の圃場において圃場の辺に沿った直進作業を行う場合に、走行機体の先端部分が圃場の端に到達した時点でその後の直進作業を行うことができなくなるという共通の問題がある。
【0004】
特に、矩形圃場の周辺に沿って直線的な畦塗り作業を行う畦塗り機においては、走行機体の先端が圃場端部に達した時点で、そこから先の畦塗り作業を行うことができなくなるので、矩形圃場の四隅に必ず未作業部分が残ってしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、本願出願人は、作業部を通常作業時とは反対側のオフセット位置に移動させると共にその前後関係を反転させ、四隅の未作業部分に対して走行機体を後進させながら作業を行う、反転リバース機構を備えた畦塗り機を提案した(特許文献3参照)。
この畦塗り機の基本構成は、走行機体の後部に装着され、走行機体からの動力が入力される入力軸を備える装着部と、入力軸からの動力を伝達する動力伝達機構を備えると共にオフセット位置での機体支持を行うオフセット機構部と、伝達された動力によってオフセット位置で畦塗り作業を行う作業部とを備え、この作業部は、旧畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理部と盛られた土を切り崩された旧畦上に塗りつける整畦部とからなっている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2537586号公報
【特許文献2】実開昭57-22557号公報
【特許文献3】特開2001−28903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような解決策によると、作業部を反転リバースさせるための複雑な機構を装備しなければならないので、作業機の高重量化、大型化、高価格化を招くことになる。また、残りの未作業部分に対しては走行機体を後進させて作業することになるので、作業の熟練性が要求され、特に走行性の悪い湿田等においては後進作業が非常に困難な状況になり、作業性の面で問題がある。
【0007】
更には、このような反転リバースによる作業では、走行機体を停止させてオフセット作業機の作業部を反転リバースさせ、走行機体の進行方向を変えて作業位置を調整した後に作業機を再始動させることになるので、連続作業を一旦中止せざるを得ず、作業能率の面で問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであって、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿ってオフセット位置で作業を行うオフセット作業機において、圃場の端までの連続的な直進作業あるいは隣り合う辺の連続作業を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のオフセット作業機(例えば、実施形態における畦塗り機60、溝掘り機100)は、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレーム9の先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレーム13に装着され、前記走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、前記走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、前記走行機体に対する、前記伝動フレーム9の水平回動と前記作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部と、
前記走行機体と前記伝動フレーム9との間に介装され、伸縮により前記伝動フレーム9を前記走行機体に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、前記伝動フレーム9と前記作業部支持・伝動フレーム13との間に介装され、伸縮により前記作業部支持・伝動フレーム13を前記伝動フレーム9に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記作業部の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備え、
前記伝動フレーム9の基端部は前記走行機体の後方に位置する本体フレーム4の幅方向中央部に水平回動可能に枢支され、この本体フレーム4の幅方向両側部に2本の平行リンク10,11の基端部が水平回動可能に枢支され、前記伝動フレーム9及び前記平行リンク10,11の先端部に水平回動可能に枢支された伝動・後フレーム12に前記作業部を支持した前記作業部支持・伝動フレーム13が水平回動可能に枢支されていることを特徴とする。
平行リンク10,11は平行リンク機構を構成する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心を前記作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の位置を制御するための前記水平回動の中心を前記走行機体から所定距離離れた位置に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心と前記走行機体との距離を変更可能にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部が、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部が、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることを特徴とする。
【0015】
請求項1記載のオフセット作業機によれば、走行機体に対する伝動フレーム9の水平回動と作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部の2通りの水平回動を制御する制御手段を備え、制御手段が前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御することにより走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させるので、圃場の端に至るまで連続的に直進作業を行わせることができる。本発明において、水平回動の自由度とは、単なる基点を中心として回動する回動動作のための自由度と、水平面内での移動をともなう回動の自由度を総称するものとする。
また、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知し、制御手段が走行機体に対する2通りの水平回動の2つの自由度を制御することにより作業部を所望のコースに維持することができ、隣り合う辺の連続作業が可能になる。ここで、本発明においては、少なくとも、走行機体と作業部との相対位置を制御するための第一の自由度と、作業部の方位(方向)など作業部の姿勢を制御するための第二の自由度とが必須不可欠の自由度として含まれる。
作業部は2本の平行リンク10,11からなる平行リンク機構を介して水平移動可能に支持されるため、作業部の作業方向を所定方向(方位)に一定にしたままで作業部のオフセット移動量を容易に調整することができる。
【0016】
制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づき、走行機体に対する作業部の2通りの水平回動を制御することにより、走行機体の旋回等によって作業部の位置及び方位(方向)が変化しても、作業部は所望の姿勢に維持若しくは変化して、より精度の高い作業部の姿勢に調整が可能となり、圃場の端部に至るまで高い精度で作業を継続させることができる。
【0017】
制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、該センサからの検出信号により作業部の2通りの水平回動を制御して作業を行うので、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、より作業の精度を向上させることができる。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても、走行機体の姿勢変化に対応して正確な作業が確保できる。
【0018】
請求項2記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心を作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けることにより、走行機体の旋回により作業部の方位(方向)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけで、作業精度に影響がほとんど及ばないので、作業部の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる。
このため、作業部の回動動作を自動制御する場合には、作業部の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
また、手動を含めた半自動制御を走行機体に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者が容易に予測することが可能になるので、旋回をともなう走行機体の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
【0019】
請求項3記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心を走行機体から所定距離離れた位置に設けることにより、作業部を作業部の回動支点よりも先行させることができ、走行機体が旋回しているときに、作業部が走行機体と接触することなく、作業部の直進作業を維持させて圃場の端部に至るまでの直進作業を継続させることができる。したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。
【0020】
請求項4記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心と走行機体との距離を変更可能にすることにより、走行機体の進行方向に応じて回動支点と走行機体との距離を変更することで、走行機体の進行方向にかかわらず、作業部は所望のコースを作業することができ、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまでの直進作業を継続させることができる。したがって、前進動のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。また、隣り合う辺に対して連続作業を行うことも可能になる。
【0021】
請求項5記載のオフセット作業機によれば、作業部が、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0022】
請求項6記載のオフセット作業機によれば、作業部が、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の溝掘り作業を、連続した前進作業によって行うことができ、溝掘り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係わるオフセット作業機によれば、走行機体に対する伝動フレームの水平回動と作業部支持・伝動フレームの水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部の2通りの水平回動を制御する制御手段を備え、制御手段が前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御することにより走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させるため、圃場の端に至るまで連続的に作業を行わせることができる。
また、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知し、制御手段が自由度を制御することにより作業部を所望のコースに維持することができ、隣り合う辺の連続作業を行わせることもできる。
このため、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能である。
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても走行機体の姿勢変化に対応して作業部の位置・方位を制御するため、正確な作業を行うことができる。
【0024】
また、制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づいて、走行機体に対する作業部の2通りの水平回動を制御することにより、より精度の高い作業部の位置関係調整が可能となり、圃場の端部に至るまで直進作業を高い精度で継続させることができる。
【0025】
また、制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、センサからの検出信号により作業部の2通りの水平回動を制御することにより、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで作業の継続が可能になり、作業精度を向上させることができる。
【0026】
さらに、作業部の方位を制御するための回動支点を、作業部の主作業部の作業軸心線上あるいはその近傍に設けることにより、作業部の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができ、作業部の回動動作を自動制御する場合、作業部の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
また、手動を含めた半自動制御を走行機体に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者が容易に予測でき、旋回をともなう走行機体の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
【0027】
また、作業部は、走行機体の側方側に揺動自在な伝動フレームを介して水平移動することにより、水平移動用の特別の機構や部材を設ける必要がなくなり、作業部の軽量化と小型化が可能になる。
【0028】
さらに、作業部の位置を制御するための該作業部の回動支点を、走行機体から所定距離離れた位置に設けることにより、走行機体が旋回しているときに、作業部が走行機体と接触することなく、圃場の端部に至るまで作業部による直進作業を継続させることができ、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。
【0029】
また、作業部の方位を制御するための回動支点と走行機体との距離を変更可能にすることにより、走行機体の進行方向に応じて回動支点と走行機体との距離を変更することで、走行機体の進行方向にかかわらず、作業部は所望のコースを作業することができ、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができる。
したがって、前進動のみの連続作業によって圃場の端部までの作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。また、隣り合う辺に対する連続作業を行うことも可能になる。
【0030】
さらに、作業部の姿勢を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、作業が可能であるので、作業能率の高い作業を行うことができる。
【0031】
また、作業部は、前処理体及び整畦体を備えた畦塗り作業部にすることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0032】
また、作業部は、溝掘り体を備えた溝掘り作業部にすることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の溝掘り作業を、連続した前進作業によって行うことができ、溝掘り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係わるオフセット作業機について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は、これら実施の形態や図面に記載された範囲に限定されるものではない。図1〜図3、並びに図5〜図10に示す例は本発明の実施例に関連した参考例(参考形態)であり、図4、図12が本発明の実施例(実施形態)に該当する。
【0034】
本発明に係わるオフセット作業機の実施形態の概要を、畦塗り機を例にして説明する。図1は、畦塗り機の概略構成説明図である。図1において、符号2は走行機体であるトラクタを示し、トラクタ2の後部には、トップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構3が設けられている。畦塗り機50は、本体フレーム4、オフセットアーム(伝動フレーム)5、および作業部51とを有しており、本体フレーム4をトラクタ2の三点リンク連結機構3に連結することによりトラクタ2に装着される。
本体フレーム4の中央部には、オフセットアーム5の基端部が枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動するように枢支され、これによりトラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を構成している。
一方、オフセットアーム5の先端部には作業部51が枢支部Bを回動中心として、水平方向に回動するように枢支され、これにより作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。オフセットアーム5は作業部51を支持すると共にトラクタ2から伝達される動力を作業部51に伝達するための図示しない動力伝達機構を備えて構成されている。
【0035】
本体フレーム4とオフセットアーム5との間には、図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)が介装されており、該アクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により、オフセットアーム5を枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動させて、オフセットアーム5の先端部に枢支された作業部51がトラクタ2から左右方向に移動できるようになっている。
【0036】
作業部51は、オフセットアーム5の先端部の枢支部Bを回動中心として水平方向に回動するように枢支された支持・伝動フレーム7と、該支持・伝動フレーム7の前後に支持された前処理体14及び整畦体15とを有する。
支持・伝動フレーム7は、枢支部Bを構成する垂直方向に延びる水平方向に回動する水平回動軸53を介して水平方向に回動可能であり、その水平回動動作は、オフセットアーム5と支持・伝動フレーム7との間に介装された図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により行われ、作業部51を所望の姿勢に制御することができるようになっている。
すなわち、畦塗り機50は、2つの自由度を備えており、その自由度を後述するコントローラにより制御可能に構成されている。なお、前処理体14及び整畦体15は、作業部51の支持・伝動フレーム7に対して、それぞれが別々に上下位置調節可能に支持されている。
【0037】
畦塗り機50は、トラクタ2の進行方向とほぼ直交するようにして設けられた本体フレーム4の中央部に設けられたギヤボックスから前方に向けて図示しない入力軸を突出し、該入力軸にトラクタ2のPTO軸6からユニバーサルジョイント及び伝動軸等を介して動力が伝達される。また、支持・伝動フレーム7には、オフセットアーム(伝動フレーム)5を介して動力が伝達され、該支持・伝動フレーム7から前処理体14及び整畦体15に動力を伝達するように構成されている。
【0038】
枢支部Bを構成する水平回動軸53は、作業部51における主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けられている。このように構成することにより、作業部51の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる利点がある。
つまり、トラクタ2の旋回により作業部51の姿勢(方位あるいは方向など)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけであり、ほとんど作業精度に影響を及ぼすことがない。また、作業部51の回動動作を自動制御する場合には、作業部51の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
更に、手動を含めた半自動制御をトラクタ2に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者は容易に予測することが可能になる。このため、旋回をともなうトラクタ2の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
なお、この第1実施態様においては、水平回動軸53を主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けたが、必ずしも整畦体15の回転中心軸線S上に限定されるものではなく、ほぼ同様な効果を得ることが可能な範囲であれば、水平回動軸53(枢支部B)を整畦体15の回転中心軸線Sの近傍にずらして設けても良い。
【0039】
畦塗り機50の前処理体14は、元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備え、この耕耘ロ−タは従来周知のものを使用することができる。
また、整畦体15は、前処理体14の耕耘ロ−タにより耕耘されて元畦17に盛り上げられた土壌を、回転しながら畦の傾斜面を成形するドラムと、該ドラムに一体的に連結され、該ドラムにより成形された畦の頂部(天場)を平面状に成形する頂部成形ロールとからなり,これも従来周知のものを使用することができる。
【0040】
水平回動軸53(枢支部B)には、後方に向けてディスク形状をなしてコールタを兼ねるゲージホイール18が上下位置調節可能に設けられている。そして、ゲージホイール18により前処理体14及び整畦体15全体の作業深さを調節して、成形される新畦19の高さを調節すると共に、整畦作業が安定よく行われるようにしている。
【0041】
水平回動軸53(枢支部B)の近傍には、図2に示すように、位置方位センサ20が設けられている。この位置方位センサ20は、畦塗り機50の作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出するものであり、トラクタ2が旋回したときに、この位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して、元畦17に対して所望の新畦19が形成されるように、前処理体14及び整畦体15(主作業部)の位置及び方位を予め設定したデータに基づき自動制御あるいは半自動制御ができるようにしている。
すなわち、位置方位センサ20により作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出し、トラクタ2の姿勢変化に対応して、作業部51を、オフセットアーム5及び水平回動軸53により水平移動及び水平回動させ、コントローラ(制御装置)若しくは手動により、所定の姿勢に調整して、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成することができるのである。
【0042】
上述したように、本発明においては、自動制御を組み合わせることで、トラクタ2が旋回しているときにも、設定した新畦を自動的若しくは半自動的に形成することができる。また、位置方位センサ20は、ひとつに限らず、複数のセンサでもよく、その取付け位置は、水平回動軸53の近傍に限らず、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置及び方位が検出できればどこでも良い。さらに、使用する位置方位センサ20は、光学系、電子系、機械系など何れのものでもよく、例えば、GPS、超音波、レーザ投受光器、画像処理装置、ジャイロ、ポテンショメータ、ボールネジ、パソコンを含むコントローラ(制御装置)など任意の方式のものを選択して用いることができる。
【0043】
また、本発明において、自動制御を行うための構成は、センシング部、コントローラ(制御装置)部、動作(機構)部などに分かれた周知の構成とするが、画像処理装置、コントローラなどは、トラクタ2の操縦席近辺に設けることが、作業性も良く、好ましい。
【0044】
センシング部では、例えば元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の位置と方向を検出する、元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の設定ラインからの位置ずれと方向を検出する、元畦17と新畦19との距離を検出する2つの距離センサにより畦塗り機の位置と方向を検出する、などの手段を選択する。
コントローラでは、例えば2つのセンサからの信号に応じて、それぞれの設定値からのずれがゼロとなるように、アクチュエータへ連続的な動作信号を送り、2つのセンサからの信号に対しそれぞれ閾値を設定し、信号が閾値をオーバーしたときに、それぞれの変位をキャンセルする方向の動作信号をオンにし、信号が動作停止値に達したときに動作信号をオフにする、などの手段を選択する。
【0045】
アクチュエータにおいては、例えば両端にピボットを有する伸縮アクチュエータ、回転アクチュエータなどを選択する。センサ機構とアクチュエータの組み合わせにより動作部を構成することも可能である。
【0046】
次に、上記のように構成された畦塗り機50による作業について、図3を参照して説明する。畦塗り機50は、前述したように、トラクタ2の三点リンク連結機構に連結され、トラクタのPTO軸からギヤボックスに動力が伝達される。ギヤボックスに伝達された動力は、ここで変速され、変速された動力は、オフセットアーム5、作業部51の支持・伝動フレーム7を介して前処理体14及び整畦体15に伝達され、これらを駆動回転させる。そして、図3(a)に示すように、トラクタ2の走行と共に元畦17に沿って前処理体14及び整畦体15を移動させながら整畦作業が行われる。
前処理体14では、耕耘ロ−タにより元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を、整畦体15のドラムが回転して畦法面を叩いて新畦19を成形する。また、ドラムと一体的に設けた頂部成形ロールが、畦の頂部に回転しながら接して畦の頂部を均平にして天場を形成する。
【0047】
この前処理体14及び整畦体15により形成される新畦19の高さ、幅等については、予めコントローラにおいて設定しておく。そして、位置方位センサ20では、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位が検出され、畦塗り機50を、オフセットアーム5及び図1に示す水平回動軸(枢支部B)により水平移動、水平回動させ、コントローラに設定した新畦19を形成する作業位置に移動させ、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成する。
【0048】
前処理体14及び整畦体15が前述のような畦塗り作業を行う際、トラクタ2は以下のように作動する。水田圃場が方形(ほとんどが長方形)の場合、図3(a)に示す直進作業部分では、トラクタ2は元畦17とほぼ一定間隔を保って直進走行する。
そしてトラクタ2が圃場の隅部21に来て、トラクタ2のほぼ最小旋回半径位置に達したとき、ハンドルを最小旋回状態に切って図3(b)〜(d)に示すようにトラクタ2を旋回させる。この間に畦塗り機50は、オフセットアーム5及び水平回動軸(枢支部B)により作業部51を水平移動、水平回動してトラクタ2の姿勢変化に対応させながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
そして、図3(e)に示すように、オフセットアーム5が畦にほぼ直交する状態になり、畦塗り機50がトラクタ2のほぼ後方に位置したときに、トラクタ2の旋回を停止する。本例(実施形態の概要)において、更に圃場の端部まで整畦するためには、作業部51を更に隅部の方に直進移動させる必要があるが、本実施態様の畦塗り機50においては、図3(f)に示すように、トラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させることにより、作業部51を直進移動させて畦の端部を整畦することができる。
また、本例のように、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成し、水平回動(オフセットアーム5)の回動中心よりも作業部51が後方に位置した状態で直進作業部分を作業するように設定したときは、畦塗り機50におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔が一定であるために、上記のような作業形態となる。
【0049】
このように本例の畦塗り機50においては、2つの自由度を有しており、トラクタ2の姿勢変化に対応させて自由度を制御して畦塗り機50の姿勢を調整することで、畦塗り機50自体の直進性を維持しながら、トラクタ2が圃場を走行しつつ作業を行う直進作業部分(図3(a))からトラクタ2が図3(b)〜図3(f)のように順に旋回する圃場隅部21までの整畦(仕上げ)作業を継続して行うことができる。
なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0050】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図3(g)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業を行うこともできる。
【0051】
図4は、本発明に係わる畦塗り機の実施形態を示す。この実施形態の畦塗り機60は、図4(a)に示すように、本体フレーム4の左右中央部に伝動フレーム9の基端部が、その左右両側部に平行リンク10,11の基端部が、それぞれ水平回動可能に枢支されている。また、伝動・後フレーム12には伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部が水平回動可能に枢支され、さらに、伝動・後フレーム12に対して、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支する構造となっている。
【0052】
この畦塗り機60は、本体フレーム4に水平回動可能に枢支された伝動フレーム9および平行リンク10、11と、伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部に枢支された伝動・後フレーム12による水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伝動・後フレーム12に対して水平回動可能に枢支された作業部支持・伝動フレーム13により構成された水平回動の自由度である。この畦塗り機60は、本体フレーム4と伝動フレーム9との間、及び伝動・後フレーム12と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前述した例(実施形態の概要)のものとほぼ同様である。
【0053】
この実施形態の畦塗り機60による作業について、図4を参照して説明する。実施形態の畦塗り機60においても、前述した実施形態の概要の作業と同様に、伝動フレーム9、平行リンク10,11及び水平回動軸(ピボット)により水平移動、水平回動しながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
つまりトラクタ2が圃場の隅部21に来て旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
なお、図4(e)に示すように、伝動フレーム9が畦にほぼ直交する状態になると、トラクタ2と作業部51との間の距離が最大となる。したがって、この状態に達したときに、トラクタ2は旋回を停止する。このとき、畦塗り機60はトラクタ2のほぼ後方に位置しており、さらに圃場の隅部21を整畦するために作業部51を端部に向けて直進移動するが、このときはトラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させて(図4(f))、端部まで整畦する。
なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0054】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0055】
[参考例1]
図5は、本発明による畦塗り機の第1参考例を示す。この第1参考例の畦塗り機65では、前述した例(実施形態の概要)におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する固定伝動アーム22と、この固定伝動アーム22の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された回動伝動アーム23とを設けたものであり、これらによる水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、第1実施態様と同様に、回動伝動アーム23の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。
【0056】
この畦塗り機65は、前記例のものと同様に2つの水平回動の自由度を有するものであるが、固定伝動アーム22により、予めトラクタ2と作業部51の間隔を所定量設定したことに特徴がある。すなわち、本参考例においては、前記例と同様に、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成しているが、固定伝動アーム22を設けることにより、水平回動の回動中心よりも作業部51が前方に位置した状態で直進作業部分を作業するように構成したものである。
固定伝動アーム22と回動伝動アーム23との間、及び回動伝動アーム23と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記例のものとほぼ同様である。
【0057】
この第1参考例の畦塗り機65においては、図5(a)に示すように、直進作業部分では、例えば位置方位センサ20の検知情報に基づいて得られるコントローラからの信号で、回動伝動アーム23及び作業部支持・伝動フレーム13をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機65の直進整畦作業が行われる。
そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図5(b)〜図5(d)に示すように旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、後方に所定距離離れた位置に、回動伝動フレーム23の回動支点を設けたことにより、トラクタ2の中心線よりも隅部12の方に作業部51が先行して移動しているため、トラクタ2を停止することなく、回動伝動フレーム23の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させるだけで、回動伝動アーム23はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することもなく、畦塗り機65の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行うことができる。従って、この第1参考例の畦塗り機65によれば、トラクタ2は直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
また、畦塗り機65が圃場の端部に達した状態(図5(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機65の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機65を持ち上げて図5(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機65を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0058】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図5(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0059】
[参考例2]
図6は、本発明による畦塗り機の第2参考例を示す。この第2参考例の畦塗り機70は、前記例における本体フレーム4に代えて、伝動機能を有する伝動オフセットアーム24をトラクタ2の一方の側に張り出すようにして装着し、この伝動オフセットアーム24の先端部に伝動機能を有する伝動平行リンクアーム25の基部を水平回動可能に枢支し、該伝動平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支したことを特徴とするものである。
【0060】
第2参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伝動オフセットアーム24の先端部に伝動平行リンクアーム25を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度と伝動平行リンクアーム25の伸縮による水平移動の自由度の組み合わせによる自由度である。
また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度である。なお、伝動オフセットアーム24と伝動平行リンクアーム25との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記例のものとほぼ同様である。
【0061】
この畦塗り機70においては、直進作業部分(図6(a))では、第2参考例のものと同様に、位置方位センサ20の検知により伝動平行リンクアーム25をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機1の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図6(b)〜図6(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、トラクタ2から側方に所定距離離れた位置に、伝動平行リンクアーム25の回動支点を設けたことで、トラクタ2の中心線よりも隅部の方に作業部51が先行して移動させることができるため、伝動平行リンクアーム25はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することなく、畦塗り機70の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行う。従って、トラクタ2は第2参考例の場合と同様に直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0062】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0063】
[参考例3]
図7は、本発明による畦塗り機の第3参考例を示す。この第3参考例の畦塗り機75は、前述した実施形態の概要における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伝動アーム27を配設し、このオフセット伝動アーム27の先端部に回動伝動アーム28の基端部を水平回動可能に枢支し、該回動伝動アーム28の先端部に作業部51の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支している。第3参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伝動アーム27による水平移動の自由度と、オフセット伝動アーム27の先端部に枢支した回動伝動アーム28による水平回動の自由度とから構成されている。
オフセット伝動アーム27の動力伝達機構としては、スプラインシャフトとスリーブの組み合わせなどを採用してスライド可能にすることができる。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、回動伝動アーム28の先端部に水平回動可能に枢支した作業部51の支持・伝動フレーム7による水平回動の自由度である。そして、オフセット伝動アーム27と回動伝動アーム28との間、及び回動伝動アーム28と作業部51の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0064】
この第3参考例の畦塗り機75においては、直進作業部分(図7(a))では、位置方位センサ20の検知により回動伝動アーム28及び作業部51の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機75の直進整畦作業が行われる。
そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て図7(b)〜図7(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
このように、第3参考例の場合には、第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機75におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、前記実施形態の概要のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。
【0065】
また、畦塗り機75が圃場の端部に達した状態(図7(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機75の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機75を持ち上げて図7(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機75を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0066】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図7(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0067】
[参考例4]
図8は、本発明による畦塗り機の第4参考例を示す。この第4参考例の畦塗り機80は、直進作業部分(図8(a))におけるトラクタ2に対する畦塗り機80のオフセット位置が図7の場合と比べ前側になるように回動伝動アーム28を位置させている。この第6実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度および作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第3参考例のものと同様である。
【0068】
この畦塗り機80は、前述したように構成されているために、トラクタ2が直進作業部分(図8(a))から圃場の隅部21に来て、図8(b)〜図8(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機80は圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0069】
畦塗り機80が圃場の端部に達した状態(図8(c))のときにトラクタ2の走行と畦塗り機80の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機80を持ち上げ、図8(d)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機80を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機80は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。第6実施形態の方が、図7に示した第3参考例とは回転伝動アーム28の角度が異なるため、トラクタ2の旋回が少なくても端部に到達することができるというメリットがある。
【0070】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図8(e)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0071】
[参考例5]
図9は、本発明による畦塗り機の第5参考例を示す。この第5参考例の畦塗り機85は、前述した実施形態の概要におけるオフセットアーム5を伸縮可能な構成にした伸縮・回動伝動アーム29としたことを特徴とするものであり、その先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支し、本体フレーム4と伸縮・回動伝動アーム29との間、及び伸縮・回動伝動アーム29と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。オフセットアーム5は、例えば、複数の伸縮部材を入れ子式に構成して伸縮動可能に構成されている。
なお、オフセットアーム5の動力伝達機構としては、第3参考例と同様な構成をとる。第5参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29により構成される水平移動および水平回動の2つの自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0072】
この第5参考例の畦塗り機85においては、直進作業部分(図9(a))では、位置方位センサ20の検知により伸縮・回動伝動アーム29をわずかに伸縮(平行移動)、水平回動させるだけで畦塗り機85の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図9(b)〜図9(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、伸縮・回動伝動アーム29はやや大きく伸縮、水平回動して畦塗り機85は直進作業から圃場の端部まで整畦作業を継続して行う。旋回作業中にトラクタ2と作業部51が干渉する場合は、伸縮・回動伝動アーム29を伸縮させて回避できるので、畦から近い位置をトラクタ2が走行でき、作業状態が確認しやすく運転も容易となる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行のみで畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。また、畦塗り機85が圃場の端部に達したときトラクタ2の走行と畦塗り機85の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機85を持ち上げて直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機85を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0073】
[参考例6]
図10は、本発明による畦塗り機の第6参考例を示す。この第6参考例の畦塗り機90は、前述した実施形態の概要におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する第一の回動伝動アーム33と、この回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35とを設けたものであり、これらによる2つの水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、実施形態の概要と同様に、第二の回動伝動アーム35の先端部に作業部の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。なお、本体フレーム4と第一の伝動アーム33との間、及び第一の回動伝動アーム33と第二の回動伝動アーム35との間、さらには、第二の回動伝動アーム35と作業部の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0074】
この第6参考例の畦塗り機90においては、直進作業部分(図10(a))では、位置方位センサ20の検知により第一の回動伝動アーム33、第二の回動伝動アーム35及び作業装置の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機90の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図10(b)〜図10(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、第二の回動伝動アーム35の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、第一、第二の回動伝動アーム33,35はやや大きく水平回動して畦塗り機90は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0075】
第6参考例の場合には、第3参考例、第4参考例と同様に第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機90におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム4)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。
このため、実施形態の概要のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図10(e)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
また、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を第一の回動伝動アーム33で構成し、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度をこの回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35で構成してもよい。この場合においては、実施形態の概要とほぼ同様の構成となるが、第二の回動伝動アーム35があるので、実施形態の概要に比べ、前進のみでの連続整畦作業において、曲線整畦作業時の回転半径を小さくでき、非作業時の格納状態もコンパクトにできる。
【0076】
[参考例7]
図11は、本発明による畦塗り機の第7参考例を示す。この第7参考例の畦塗り機95では、前述した実施形態の概要における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伸縮・伝動アーム37を装着し、このオフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支している。そして、オフセット伸縮・伝動アーム37と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0077】
第7参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伸縮・伝動アーム37により構成される水平移動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、実施形態の概要などと同様に、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0078】
この畦塗り機95においては、直進作業部分(図11(a))では、位置方位センサ20の検知によりオフセット伸縮・伝動アーム37をわずかに伸縮させ、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動させるだけで畦塗り機95の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図11(b)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、オフセット伸縮・伝動アーム37はやや大きく伸縮し、また、作業部支持・伝動フレーム13も水平回動して畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行するだけで、畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0079】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0080】
図12に、本発明の第2の実施形態を示す。第2実施形態は、本発明に係るオフセット作業機を溝掘り機100に適用した一例である。なお、実施形態の概要と同一の態様部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
溝掘り機100は、図12(平面図)に示すように、本体フレーム4の左右中央部にオフセットアーム26の基端部が、水平方向に回動するように枢支され、オフセットアーム26の先端部には溝掘り作業が可能な作業部101が、水平方向に回動するように枢支されている。
このように構成することにより、本実施形態のオフセット作業機(溝掘り機101)においては、トラクタ2と作業部101との相対位置を制御するための第一の自由度は、本体フレーム4の左右中央部に枢支されたオフセットアーム26による水平回動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、オフセットアーム26の先端部に枢支された溝掘り作業が可能な作業部101による水平回動の自由度である。
【0082】
そして、本体フレーム4とオフセットアーム26との間、及びオフセットアーム26と作業部101との間に、電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。作業部101の溝掘り体102は、上下方向に延びる回転軸103と回転軸103の外側面に形成された螺旋刃体104とを有してなる。作業部101には、溝掘り体102の螺旋刃体104により切削された排土等を溝掘り体102の上部から外側に放出するための排土放出機構が設けられている。
【0083】
作業部101は、オフセットアーム26の先端部の回動支点105(水平回動軸)を回動中心として配設され、主作業体である溝掘り体102の作業軸心と作業部101の回動支点105とが同軸上に配置されている。このため、主作業部である溝掘り体102の方位(方向)は作業部101の回動角度に応じて容易に演算処理することが可能になる。その結果、作業部101の回動角度を検出するだけで溝掘り体102の姿勢が把握でき、溝掘り体102の姿勢制御の精度を向上させることができる。
【0084】
このような溝掘り作業が可能な作業部101を備えた溝掘り機100であれば、前述した実施形態に示す畦塗り機と同様の効果を得ることができる。即ち、トラクタ2は、直進走行と旋回走行するだけで、圃場の端に至るまで連続的に溝掘り直進作業を行わせることができ、また、隣り合う辺の連続溝掘り作業を行わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態の概要に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図2】同畦塗り機を装着したトラクタが旋回している状態の平面図である。
【図3】同畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第1参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第2参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第3参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第4参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第5参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第6参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第7参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係わる溝掘り機の平面図である。
【符号の説明】
【0086】
2 トラクタ(走行機体)
5、26 オフセットアーム(伝動フレーム)
9 伝動フレーム
10、11 平行リンク(平行リンク機構)
14 前処理体
15 整畦体(主作業部)
20 位置方位センサ(センサ)
23、28、33、35 回動伝動アーム(伝動フレーム)
50、60,65、70、75、80、85,90、95 畦塗り機(オフセット作業機)
51、101 作業部
100 溝掘り機(オフセット作業機)
102 溝掘り体(主作業部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着される作業機であって、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業することができるオフセット作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種の連続直進作業を行う作業機は、農業用機械又は土木用機械として一般的に広く使われており、作業の種類に応じた各種の作業機がある。このような作業機の中で、畦塗り機、溝形成機、草刈機等は、その作業の特殊性から、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業させることが出来るような構成となっており、いわゆるオフセット作業機として知られている。特に、畦塗り機は、広い圃場の全周に亘って畦を成形するものであって、従来、多大な時間と労力を要していた畦塗り作業の機械化を達成したものとして近年注目されている。
【0003】
特許文献1には、オフセット作業機としてロータリ砕土装置を例示し、従来のオフセット作業機では困難であった、オフセット量を所望の範囲に調整可能にしたオフセット作業機が開示されている。また、特許文献2には、平行リンク機構を採用することによりオフセット量を調整可能にした溝堀機が開示されている。
しかし、このような従来知られているオフセット作業機は、走行機体の進行に沿ってオフセット位置での直進作業を行うが、例えば、矩形の圃場において圃場の辺に沿った直進作業を行う場合に、走行機体の先端部分が圃場の端に到達した時点でその後の直進作業を行うことができなくなるという共通の問題がある。
【0004】
特に、矩形圃場の周辺に沿って直線的な畦塗り作業を行う畦塗り機においては、走行機体の先端が圃場端部に達した時点で、そこから先の畦塗り作業を行うことができなくなるので、矩形圃場の四隅に必ず未作業部分が残ってしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、本願出願人は、作業部を通常作業時とは反対側のオフセット位置に移動させると共にその前後関係を反転させ、四隅の未作業部分に対して走行機体を後進させながら作業を行う、反転リバース機構を備えた畦塗り機を提案した(特許文献3参照)。
この畦塗り機の基本構成は、走行機体の後部に装着され、走行機体からの動力が入力される入力軸を備える装着部と、入力軸からの動力を伝達する動力伝達機構を備えると共にオフセット位置での機体支持を行うオフセット機構部と、伝達された動力によってオフセット位置で畦塗り作業を行う作業部とを備え、この作業部は、旧畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理部と盛られた土を切り崩された旧畦上に塗りつける整畦部とからなっている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2537586号公報
【特許文献2】実開昭57-22557号公報
【特許文献3】特開2001−28903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような解決策によると、作業部を反転リバースさせるための複雑な機構を装備しなければならないので、作業機の高重量化、大型化、高価格化を招くことになる。また、残りの未作業部分に対しては走行機体を後進させて作業することになるので、作業の熟練性が要求され、特に走行性の悪い湿田等においては後進作業が非常に困難な状況になり、作業性の面で問題がある。
【0007】
更には、このような反転リバースによる作業では、走行機体を停止させてオフセット作業機の作業部を反転リバースさせ、走行機体の進行方向を変えて作業位置を調整した後に作業機を再始動させることになるので、連続作業を一旦中止せざるを得ず、作業能率の面で問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであって、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿ってオフセット位置で作業を行うオフセット作業機において、圃場の端までの連続的な直進作業あるいは隣り合う辺の連続作業を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のオフセット作業機(例えば、実施形態における畦塗り機60、溝掘り機100)は、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレーム9の先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレーム13に装着され、前記走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、前記走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、前記走行機体に対する、前記伝動フレーム9の水平回動と前記作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部と、
前記走行機体と前記伝動フレーム9との間に介装され、伸縮により前記伝動フレーム9を前記走行機体に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、前記伝動フレーム9と前記作業部支持・伝動フレーム13との間に介装され、伸縮により前記作業部支持・伝動フレーム13を前記伝動フレーム9に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記作業部の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備え、
前記伝動フレーム9の基端部は前記走行機体の後方に位置する本体フレーム4の幅方向中央部に水平回動可能に枢支され、この本体フレーム4の幅方向両側部に2本の平行リンク10,11の基端部が水平回動可能に枢支され、前記伝動フレーム9及び前記平行リンク10,11の先端部に水平回動可能に枢支された伝動・後フレーム12に前記作業部を支持した前記作業部支持・伝動フレーム13が水平回動可能に枢支されていることを特徴とする。
平行リンク10,11は平行リンク機構を構成する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心を前記作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の位置を制御するための前記水平回動の中心を前記走行機体から所定距離離れた位置に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心と前記走行機体との距離を変更可能にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部が、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のオフセット作業機の発明において、前記作業部が、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることを特徴とする。
【0015】
請求項1記載のオフセット作業機によれば、走行機体に対する伝動フレーム9の水平回動と作業部支持・伝動フレーム13の水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部の2通りの水平回動を制御する制御手段を備え、制御手段が前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御することにより走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させるので、圃場の端に至るまで連続的に直進作業を行わせることができる。本発明において、水平回動の自由度とは、単なる基点を中心として回動する回動動作のための自由度と、水平面内での移動をともなう回動の自由度を総称するものとする。
また、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知し、制御手段が走行機体に対する2通りの水平回動の2つの自由度を制御することにより作業部を所望のコースに維持することができ、隣り合う辺の連続作業が可能になる。ここで、本発明においては、少なくとも、走行機体と作業部との相対位置を制御するための第一の自由度と、作業部の方位(方向)など作業部の姿勢を制御するための第二の自由度とが必須不可欠の自由度として含まれる。
作業部は2本の平行リンク10,11からなる平行リンク機構を介して水平移動可能に支持されるため、作業部の作業方向を所定方向(方位)に一定にしたままで作業部のオフセット移動量を容易に調整することができる。
【0016】
制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づき、走行機体に対する作業部の2通りの水平回動を制御することにより、走行機体の旋回等によって作業部の位置及び方位(方向)が変化しても、作業部は所望の姿勢に維持若しくは変化して、より精度の高い作業部の姿勢に調整が可能となり、圃場の端部に至るまで高い精度で作業を継続させることができる。
【0017】
制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、該センサからの検出信号により作業部の2通りの水平回動を制御して作業を行うので、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、より作業の精度を向上させることができる。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても、走行機体の姿勢変化に対応して正確な作業が確保できる。
【0018】
請求項2記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心を作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けることにより、走行機体の旋回により作業部の方位(方向)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけで、作業精度に影響がほとんど及ばないので、作業部の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる。
このため、作業部の回動動作を自動制御する場合には、作業部の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
また、手動を含めた半自動制御を走行機体に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者が容易に予測することが可能になるので、旋回をともなう走行機体の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
【0019】
請求項3記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心を走行機体から所定距離離れた位置に設けることにより、作業部を作業部の回動支点よりも先行させることができ、走行機体が旋回しているときに、作業部が走行機体と接触することなく、作業部の直進作業を維持させて圃場の端部に至るまでの直進作業を継続させることができる。したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。
【0020】
請求項4記載のオフセット作業機によれば、作業部の水平回動の中心と走行機体との距離を変更可能にすることにより、走行機体の進行方向に応じて回動支点と走行機体との距離を変更することで、走行機体の進行方向にかかわらず、作業部は所望のコースを作業することができ、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまでの直進作業を継続させることができる。したがって、前進動のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。また、隣り合う辺に対して連続作業を行うことも可能になる。
【0021】
請求項5記載のオフセット作業機によれば、作業部が、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0022】
請求項6記載のオフセット作業機によれば、作業部が、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の溝掘り作業を、連続した前進作業によって行うことができ、溝掘り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係わるオフセット作業機によれば、走行機体に対する伝動フレームの水平回動と作業部支持・伝動フレームの水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部の2通りの水平回動を制御する制御手段を備え、制御手段が前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御することにより走行機体の旋回をともなう前進動時に作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させるため、圃場の端に至るまで連続的に作業を行わせることができる。
また、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知し、制御手段が自由度を制御することにより作業部を所望のコースに維持することができ、隣り合う辺の連続作業を行わせることもできる。
このため、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能である。
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても走行機体の姿勢変化に対応して作業部の位置・方位を制御するため、正確な作業を行うことができる。
【0024】
また、制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づいて、走行機体に対する作業部の2通りの水平回動を制御することにより、より精度の高い作業部の位置関係調整が可能となり、圃場の端部に至るまで直進作業を高い精度で継続させることができる。
【0025】
また、制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、センサからの検出信号により作業部の2通りの水平回動を制御することにより、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで作業の継続が可能になり、作業精度を向上させることができる。
【0026】
さらに、作業部の方位を制御するための回動支点を、作業部の主作業部の作業軸心線上あるいはその近傍に設けることにより、作業部の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができ、作業部の回動動作を自動制御する場合、作業部の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
また、手動を含めた半自動制御を走行機体に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者が容易に予測でき、旋回をともなう走行機体の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
【0027】
また、作業部は、走行機体の側方側に揺動自在な伝動フレームを介して水平移動することにより、水平移動用の特別の機構や部材を設ける必要がなくなり、作業部の軽量化と小型化が可能になる。
【0028】
さらに、作業部の位置を制御するための該作業部の回動支点を、走行機体から所定距離離れた位置に設けることにより、走行機体が旋回しているときに、作業部が走行機体と接触することなく、圃場の端部に至るまで作業部による直進作業を継続させることができ、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。
【0029】
また、作業部の方位を制御するための回動支点と走行機体との距離を変更可能にすることにより、走行機体の進行方向に応じて回動支点と走行機体との距離を変更することで、走行機体の進行方向にかかわらず、作業部は所望のコースを作業することができ、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができる。
したがって、前進動のみの連続作業によって圃場の端部までの作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。また、隣り合う辺に対する連続作業を行うことも可能になる。
【0030】
さらに、作業部の姿勢を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、作業が可能であるので、作業能率の高い作業を行うことができる。
【0031】
また、作業部は、前処理体及び整畦体を備えた畦塗り作業部にすることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0032】
また、作業部は、溝掘り体を備えた溝掘り作業部にすることで、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の溝掘り作業を、連続した前進作業によって行うことができ、溝掘り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係わるオフセット作業機について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は、これら実施の形態や図面に記載された範囲に限定されるものではない。図1〜図3、並びに図5〜図10に示す例は本発明の実施例に関連した参考例(参考形態)であり、図4、図12が本発明の実施例(実施形態)に該当する。
【0034】
本発明に係わるオフセット作業機の実施形態の概要を、畦塗り機を例にして説明する。図1は、畦塗り機の概略構成説明図である。図1において、符号2は走行機体であるトラクタを示し、トラクタ2の後部には、トップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構3が設けられている。畦塗り機50は、本体フレーム4、オフセットアーム(伝動フレーム)5、および作業部51とを有しており、本体フレーム4をトラクタ2の三点リンク連結機構3に連結することによりトラクタ2に装着される。
本体フレーム4の中央部には、オフセットアーム5の基端部が枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動するように枢支され、これによりトラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を構成している。
一方、オフセットアーム5の先端部には作業部51が枢支部Bを回動中心として、水平方向に回動するように枢支され、これにより作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。オフセットアーム5は作業部51を支持すると共にトラクタ2から伝達される動力を作業部51に伝達するための図示しない動力伝達機構を備えて構成されている。
【0035】
本体フレーム4とオフセットアーム5との間には、図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)が介装されており、該アクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により、オフセットアーム5を枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動させて、オフセットアーム5の先端部に枢支された作業部51がトラクタ2から左右方向に移動できるようになっている。
【0036】
作業部51は、オフセットアーム5の先端部の枢支部Bを回動中心として水平方向に回動するように枢支された支持・伝動フレーム7と、該支持・伝動フレーム7の前後に支持された前処理体14及び整畦体15とを有する。
支持・伝動フレーム7は、枢支部Bを構成する垂直方向に延びる水平方向に回動する水平回動軸53を介して水平方向に回動可能であり、その水平回動動作は、オフセットアーム5と支持・伝動フレーム7との間に介装された図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により行われ、作業部51を所望の姿勢に制御することができるようになっている。
すなわち、畦塗り機50は、2つの自由度を備えており、その自由度を後述するコントローラにより制御可能に構成されている。なお、前処理体14及び整畦体15は、作業部51の支持・伝動フレーム7に対して、それぞれが別々に上下位置調節可能に支持されている。
【0037】
畦塗り機50は、トラクタ2の進行方向とほぼ直交するようにして設けられた本体フレーム4の中央部に設けられたギヤボックスから前方に向けて図示しない入力軸を突出し、該入力軸にトラクタ2のPTO軸6からユニバーサルジョイント及び伝動軸等を介して動力が伝達される。また、支持・伝動フレーム7には、オフセットアーム(伝動フレーム)5を介して動力が伝達され、該支持・伝動フレーム7から前処理体14及び整畦体15に動力を伝達するように構成されている。
【0038】
枢支部Bを構成する水平回動軸53は、作業部51における主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けられている。このように構成することにより、作業部51の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる利点がある。
つまり、トラクタ2の旋回により作業部51の姿勢(方位あるいは方向など)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけであり、ほとんど作業精度に影響を及ぼすことがない。また、作業部51の回動動作を自動制御する場合には、作業部51の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
更に、手動を含めた半自動制御をトラクタ2に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者は容易に予測することが可能になる。このため、旋回をともなうトラクタ2の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。
なお、この第1実施態様においては、水平回動軸53を主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けたが、必ずしも整畦体15の回転中心軸線S上に限定されるものではなく、ほぼ同様な効果を得ることが可能な範囲であれば、水平回動軸53(枢支部B)を整畦体15の回転中心軸線Sの近傍にずらして設けても良い。
【0039】
畦塗り機50の前処理体14は、元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備え、この耕耘ロ−タは従来周知のものを使用することができる。
また、整畦体15は、前処理体14の耕耘ロ−タにより耕耘されて元畦17に盛り上げられた土壌を、回転しながら畦の傾斜面を成形するドラムと、該ドラムに一体的に連結され、該ドラムにより成形された畦の頂部(天場)を平面状に成形する頂部成形ロールとからなり,これも従来周知のものを使用することができる。
【0040】
水平回動軸53(枢支部B)には、後方に向けてディスク形状をなしてコールタを兼ねるゲージホイール18が上下位置調節可能に設けられている。そして、ゲージホイール18により前処理体14及び整畦体15全体の作業深さを調節して、成形される新畦19の高さを調節すると共に、整畦作業が安定よく行われるようにしている。
【0041】
水平回動軸53(枢支部B)の近傍には、図2に示すように、位置方位センサ20が設けられている。この位置方位センサ20は、畦塗り機50の作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出するものであり、トラクタ2が旋回したときに、この位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して、元畦17に対して所望の新畦19が形成されるように、前処理体14及び整畦体15(主作業部)の位置及び方位を予め設定したデータに基づき自動制御あるいは半自動制御ができるようにしている。
すなわち、位置方位センサ20により作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出し、トラクタ2の姿勢変化に対応して、作業部51を、オフセットアーム5及び水平回動軸53により水平移動及び水平回動させ、コントローラ(制御装置)若しくは手動により、所定の姿勢に調整して、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成することができるのである。
【0042】
上述したように、本発明においては、自動制御を組み合わせることで、トラクタ2が旋回しているときにも、設定した新畦を自動的若しくは半自動的に形成することができる。また、位置方位センサ20は、ひとつに限らず、複数のセンサでもよく、その取付け位置は、水平回動軸53の近傍に限らず、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置及び方位が検出できればどこでも良い。さらに、使用する位置方位センサ20は、光学系、電子系、機械系など何れのものでもよく、例えば、GPS、超音波、レーザ投受光器、画像処理装置、ジャイロ、ポテンショメータ、ボールネジ、パソコンを含むコントローラ(制御装置)など任意の方式のものを選択して用いることができる。
【0043】
また、本発明において、自動制御を行うための構成は、センシング部、コントローラ(制御装置)部、動作(機構)部などに分かれた周知の構成とするが、画像処理装置、コントローラなどは、トラクタ2の操縦席近辺に設けることが、作業性も良く、好ましい。
【0044】
センシング部では、例えば元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の位置と方向を検出する、元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の設定ラインからの位置ずれと方向を検出する、元畦17と新畦19との距離を検出する2つの距離センサにより畦塗り機の位置と方向を検出する、などの手段を選択する。
コントローラでは、例えば2つのセンサからの信号に応じて、それぞれの設定値からのずれがゼロとなるように、アクチュエータへ連続的な動作信号を送り、2つのセンサからの信号に対しそれぞれ閾値を設定し、信号が閾値をオーバーしたときに、それぞれの変位をキャンセルする方向の動作信号をオンにし、信号が動作停止値に達したときに動作信号をオフにする、などの手段を選択する。
【0045】
アクチュエータにおいては、例えば両端にピボットを有する伸縮アクチュエータ、回転アクチュエータなどを選択する。センサ機構とアクチュエータの組み合わせにより動作部を構成することも可能である。
【0046】
次に、上記のように構成された畦塗り機50による作業について、図3を参照して説明する。畦塗り機50は、前述したように、トラクタ2の三点リンク連結機構に連結され、トラクタのPTO軸からギヤボックスに動力が伝達される。ギヤボックスに伝達された動力は、ここで変速され、変速された動力は、オフセットアーム5、作業部51の支持・伝動フレーム7を介して前処理体14及び整畦体15に伝達され、これらを駆動回転させる。そして、図3(a)に示すように、トラクタ2の走行と共に元畦17に沿って前処理体14及び整畦体15を移動させながら整畦作業が行われる。
前処理体14では、耕耘ロ−タにより元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を、整畦体15のドラムが回転して畦法面を叩いて新畦19を成形する。また、ドラムと一体的に設けた頂部成形ロールが、畦の頂部に回転しながら接して畦の頂部を均平にして天場を形成する。
【0047】
この前処理体14及び整畦体15により形成される新畦19の高さ、幅等については、予めコントローラにおいて設定しておく。そして、位置方位センサ20では、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位が検出され、畦塗り機50を、オフセットアーム5及び図1に示す水平回動軸(枢支部B)により水平移動、水平回動させ、コントローラに設定した新畦19を形成する作業位置に移動させ、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成する。
【0048】
前処理体14及び整畦体15が前述のような畦塗り作業を行う際、トラクタ2は以下のように作動する。水田圃場が方形(ほとんどが長方形)の場合、図3(a)に示す直進作業部分では、トラクタ2は元畦17とほぼ一定間隔を保って直進走行する。
そしてトラクタ2が圃場の隅部21に来て、トラクタ2のほぼ最小旋回半径位置に達したとき、ハンドルを最小旋回状態に切って図3(b)〜(d)に示すようにトラクタ2を旋回させる。この間に畦塗り機50は、オフセットアーム5及び水平回動軸(枢支部B)により作業部51を水平移動、水平回動してトラクタ2の姿勢変化に対応させながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
そして、図3(e)に示すように、オフセットアーム5が畦にほぼ直交する状態になり、畦塗り機50がトラクタ2のほぼ後方に位置したときに、トラクタ2の旋回を停止する。本例(実施形態の概要)において、更に圃場の端部まで整畦するためには、作業部51を更に隅部の方に直進移動させる必要があるが、本実施態様の畦塗り機50においては、図3(f)に示すように、トラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させることにより、作業部51を直進移動させて畦の端部を整畦することができる。
また、本例のように、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成し、水平回動(オフセットアーム5)の回動中心よりも作業部51が後方に位置した状態で直進作業部分を作業するように設定したときは、畦塗り機50におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔が一定であるために、上記のような作業形態となる。
【0049】
このように本例の畦塗り機50においては、2つの自由度を有しており、トラクタ2の姿勢変化に対応させて自由度を制御して畦塗り機50の姿勢を調整することで、畦塗り機50自体の直進性を維持しながら、トラクタ2が圃場を走行しつつ作業を行う直進作業部分(図3(a))からトラクタ2が図3(b)〜図3(f)のように順に旋回する圃場隅部21までの整畦(仕上げ)作業を継続して行うことができる。
なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0050】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図3(g)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業を行うこともできる。
【0051】
図4は、本発明に係わる畦塗り機の実施形態を示す。この実施形態の畦塗り機60は、図4(a)に示すように、本体フレーム4の左右中央部に伝動フレーム9の基端部が、その左右両側部に平行リンク10,11の基端部が、それぞれ水平回動可能に枢支されている。また、伝動・後フレーム12には伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部が水平回動可能に枢支され、さらに、伝動・後フレーム12に対して、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支する構造となっている。
【0052】
この畦塗り機60は、本体フレーム4に水平回動可能に枢支された伝動フレーム9および平行リンク10、11と、伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部に枢支された伝動・後フレーム12による水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伝動・後フレーム12に対して水平回動可能に枢支された作業部支持・伝動フレーム13により構成された水平回動の自由度である。この畦塗り機60は、本体フレーム4と伝動フレーム9との間、及び伝動・後フレーム12と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前述した例(実施形態の概要)のものとほぼ同様である。
【0053】
この実施形態の畦塗り機60による作業について、図4を参照して説明する。実施形態の畦塗り機60においても、前述した実施形態の概要の作業と同様に、伝動フレーム9、平行リンク10,11及び水平回動軸(ピボット)により水平移動、水平回動しながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
つまりトラクタ2が圃場の隅部21に来て旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
なお、図4(e)に示すように、伝動フレーム9が畦にほぼ直交する状態になると、トラクタ2と作業部51との間の距離が最大となる。したがって、この状態に達したときに、トラクタ2は旋回を停止する。このとき、畦塗り機60はトラクタ2のほぼ後方に位置しており、さらに圃場の隅部21を整畦するために作業部51を端部に向けて直進移動するが、このときはトラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させて(図4(f))、端部まで整畦する。
なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0054】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0055】
[参考例1]
図5は、本発明による畦塗り機の第1参考例を示す。この第1参考例の畦塗り機65では、前述した例(実施形態の概要)におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する固定伝動アーム22と、この固定伝動アーム22の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された回動伝動アーム23とを設けたものであり、これらによる水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、第1実施態様と同様に、回動伝動アーム23の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。
【0056】
この畦塗り機65は、前記例のものと同様に2つの水平回動の自由度を有するものであるが、固定伝動アーム22により、予めトラクタ2と作業部51の間隔を所定量設定したことに特徴がある。すなわち、本参考例においては、前記例と同様に、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成しているが、固定伝動アーム22を設けることにより、水平回動の回動中心よりも作業部51が前方に位置した状態で直進作業部分を作業するように構成したものである。
固定伝動アーム22と回動伝動アーム23との間、及び回動伝動アーム23と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記例のものとほぼ同様である。
【0057】
この第1参考例の畦塗り機65においては、図5(a)に示すように、直進作業部分では、例えば位置方位センサ20の検知情報に基づいて得られるコントローラからの信号で、回動伝動アーム23及び作業部支持・伝動フレーム13をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機65の直進整畦作業が行われる。
そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図5(b)〜図5(d)に示すように旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、後方に所定距離離れた位置に、回動伝動フレーム23の回動支点を設けたことにより、トラクタ2の中心線よりも隅部12の方に作業部51が先行して移動しているため、トラクタ2を停止することなく、回動伝動フレーム23の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させるだけで、回動伝動アーム23はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することもなく、畦塗り機65の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行うことができる。従って、この第1参考例の畦塗り機65によれば、トラクタ2は直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
また、畦塗り機65が圃場の端部に達した状態(図5(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機65の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機65を持ち上げて図5(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機65を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0058】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図5(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0059】
[参考例2]
図6は、本発明による畦塗り機の第2参考例を示す。この第2参考例の畦塗り機70は、前記例における本体フレーム4に代えて、伝動機能を有する伝動オフセットアーム24をトラクタ2の一方の側に張り出すようにして装着し、この伝動オフセットアーム24の先端部に伝動機能を有する伝動平行リンクアーム25の基部を水平回動可能に枢支し、該伝動平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支したことを特徴とするものである。
【0060】
第2参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伝動オフセットアーム24の先端部に伝動平行リンクアーム25を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度と伝動平行リンクアーム25の伸縮による水平移動の自由度の組み合わせによる自由度である。
また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度である。なお、伝動オフセットアーム24と伝動平行リンクアーム25との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記例のものとほぼ同様である。
【0061】
この畦塗り機70においては、直進作業部分(図6(a))では、第2参考例のものと同様に、位置方位センサ20の検知により伝動平行リンクアーム25をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機1の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図6(b)〜図6(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、トラクタ2から側方に所定距離離れた位置に、伝動平行リンクアーム25の回動支点を設けたことで、トラクタ2の中心線よりも隅部の方に作業部51が先行して移動させることができるため、伝動平行リンクアーム25はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することなく、畦塗り機70の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行う。従って、トラクタ2は第2参考例の場合と同様に直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0062】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0063】
[参考例3]
図7は、本発明による畦塗り機の第3参考例を示す。この第3参考例の畦塗り機75は、前述した実施形態の概要における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伝動アーム27を配設し、このオフセット伝動アーム27の先端部に回動伝動アーム28の基端部を水平回動可能に枢支し、該回動伝動アーム28の先端部に作業部51の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支している。第3参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伝動アーム27による水平移動の自由度と、オフセット伝動アーム27の先端部に枢支した回動伝動アーム28による水平回動の自由度とから構成されている。
オフセット伝動アーム27の動力伝達機構としては、スプラインシャフトとスリーブの組み合わせなどを採用してスライド可能にすることができる。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、回動伝動アーム28の先端部に水平回動可能に枢支した作業部51の支持・伝動フレーム7による水平回動の自由度である。そして、オフセット伝動アーム27と回動伝動アーム28との間、及び回動伝動アーム28と作業部51の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前記実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0064】
この第3参考例の畦塗り機75においては、直進作業部分(図7(a))では、位置方位センサ20の検知により回動伝動アーム28及び作業部51の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機75の直進整畦作業が行われる。
そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て図7(b)〜図7(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
このように、第3参考例の場合には、第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機75におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、前記実施形態の概要のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。
【0065】
また、畦塗り機75が圃場の端部に達した状態(図7(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機75の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機75を持ち上げて図7(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機75を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0066】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図7(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0067】
[参考例4]
図8は、本発明による畦塗り機の第4参考例を示す。この第4参考例の畦塗り機80は、直進作業部分(図8(a))におけるトラクタ2に対する畦塗り機80のオフセット位置が図7の場合と比べ前側になるように回動伝動アーム28を位置させている。この第6実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度および作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第3参考例のものと同様である。
【0068】
この畦塗り機80は、前述したように構成されているために、トラクタ2が直進作業部分(図8(a))から圃場の隅部21に来て、図8(b)〜図8(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機80は圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0069】
畦塗り機80が圃場の端部に達した状態(図8(c))のときにトラクタ2の走行と畦塗り機80の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機80を持ち上げ、図8(d)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機80を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機80は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。第6実施形態の方が、図7に示した第3参考例とは回転伝動アーム28の角度が異なるため、トラクタ2の旋回が少なくても端部に到達することができるというメリットがある。
【0070】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図8(e)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0071】
[参考例5]
図9は、本発明による畦塗り機の第5参考例を示す。この第5参考例の畦塗り機85は、前述した実施形態の概要におけるオフセットアーム5を伸縮可能な構成にした伸縮・回動伝動アーム29としたことを特徴とするものであり、その先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支し、本体フレーム4と伸縮・回動伝動アーム29との間、及び伸縮・回動伝動アーム29と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。オフセットアーム5は、例えば、複数の伸縮部材を入れ子式に構成して伸縮動可能に構成されている。
なお、オフセットアーム5の動力伝達機構としては、第3参考例と同様な構成をとる。第5参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29により構成される水平移動および水平回動の2つの自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0072】
この第5参考例の畦塗り機85においては、直進作業部分(図9(a))では、位置方位センサ20の検知により伸縮・回動伝動アーム29をわずかに伸縮(平行移動)、水平回動させるだけで畦塗り機85の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図9(b)〜図9(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
このとき、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、伸縮・回動伝動アーム29はやや大きく伸縮、水平回動して畦塗り機85は直進作業から圃場の端部まで整畦作業を継続して行う。旋回作業中にトラクタ2と作業部51が干渉する場合は、伸縮・回動伝動アーム29を伸縮させて回避できるので、畦から近い位置をトラクタ2が走行でき、作業状態が確認しやすく運転も容易となる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行のみで畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。また、畦塗り機85が圃場の端部に達したときトラクタ2の走行と畦塗り機85の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機85を持ち上げて直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機85を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0073】
[参考例6]
図10は、本発明による畦塗り機の第6参考例を示す。この第6参考例の畦塗り機90は、前述した実施形態の概要におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する第一の回動伝動アーム33と、この回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35とを設けたものであり、これらによる2つの水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。
また、実施形態の概要と同様に、第二の回動伝動アーム35の先端部に作業部の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。なお、本体フレーム4と第一の伝動アーム33との間、及び第一の回動伝動アーム33と第二の回動伝動アーム35との間、さらには、第二の回動伝動アーム35と作業部の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0074】
この第6参考例の畦塗り機90においては、直進作業部分(図10(a))では、位置方位センサ20の検知により第一の回動伝動アーム33、第二の回動伝動アーム35及び作業装置の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機90の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図10(b)〜図10(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、第二の回動伝動アーム35の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、第一、第二の回動伝動アーム33,35はやや大きく水平回動して畦塗り機90は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0075】
第6参考例の場合には、第3参考例、第4参考例と同様に第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機90におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム4)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。
このため、実施形態の概要のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図10(e)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
また、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を第一の回動伝動アーム33で構成し、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度をこの回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35で構成してもよい。この場合においては、実施形態の概要とほぼ同様の構成となるが、第二の回動伝動アーム35があるので、実施形態の概要に比べ、前進のみでの連続整畦作業において、曲線整畦作業時の回転半径を小さくでき、非作業時の格納状態もコンパクトにできる。
【0076】
[参考例7]
図11は、本発明による畦塗り機の第7参考例を示す。この第7参考例の畦塗り機95では、前述した実施形態の概要における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伸縮・伝動アーム37を装着し、このオフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支している。そして、オフセット伸縮・伝動アーム37と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。
【0077】
第7参考例において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伸縮・伝動アーム37により構成される水平移動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、実施形態の概要などと同様に、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0078】
この畦塗り機95においては、直進作業部分(図11(a))では、位置方位センサ20の検知によりオフセット伸縮・伝動アーム37をわずかに伸縮させ、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動させるだけで畦塗り機95の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図11(b)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
つまり、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、オフセット伸縮・伝動アーム37はやや大きく伸縮し、また、作業部支持・伝動フレーム13も水平回動して畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行するだけで、畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0079】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0080】
図12に、本発明の第2の実施形態を示す。第2実施形態は、本発明に係るオフセット作業機を溝掘り機100に適用した一例である。なお、実施形態の概要と同一の態様部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
溝掘り機100は、図12(平面図)に示すように、本体フレーム4の左右中央部にオフセットアーム26の基端部が、水平方向に回動するように枢支され、オフセットアーム26の先端部には溝掘り作業が可能な作業部101が、水平方向に回動するように枢支されている。
このように構成することにより、本実施形態のオフセット作業機(溝掘り機101)においては、トラクタ2と作業部101との相対位置を制御するための第一の自由度は、本体フレーム4の左右中央部に枢支されたオフセットアーム26による水平回動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、オフセットアーム26の先端部に枢支された溝掘り作業が可能な作業部101による水平回動の自由度である。
【0082】
そして、本体フレーム4とオフセットアーム26との間、及びオフセットアーム26と作業部101との間に、電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、実施形態の概要のものとほぼ同様である。作業部101の溝掘り体102は、上下方向に延びる回転軸103と回転軸103の外側面に形成された螺旋刃体104とを有してなる。作業部101には、溝掘り体102の螺旋刃体104により切削された排土等を溝掘り体102の上部から外側に放出するための排土放出機構が設けられている。
【0083】
作業部101は、オフセットアーム26の先端部の回動支点105(水平回動軸)を回動中心として配設され、主作業体である溝掘り体102の作業軸心と作業部101の回動支点105とが同軸上に配置されている。このため、主作業部である溝掘り体102の方位(方向)は作業部101の回動角度に応じて容易に演算処理することが可能になる。その結果、作業部101の回動角度を検出するだけで溝掘り体102の姿勢が把握でき、溝掘り体102の姿勢制御の精度を向上させることができる。
【0084】
このような溝掘り作業が可能な作業部101を備えた溝掘り機100であれば、前述した実施形態に示す畦塗り機と同様の効果を得ることができる。即ち、トラクタ2は、直進走行と旋回走行するだけで、圃場の端に至るまで連続的に溝掘り直進作業を行わせることができ、また、隣り合う辺の連続溝掘り作業を行わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態の概要に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図2】同畦塗り機を装着したトラクタが旋回している状態の平面図である。
【図3】同畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第1参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第2参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第3参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第4参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第5参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第6参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第7参考例に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係わる溝掘り機の平面図である。
【符号の説明】
【0086】
2 トラクタ(走行機体)
5、26 オフセットアーム(伝動フレーム)
9 伝動フレーム
10、11 平行リンク(平行リンク機構)
14 前処理体
15 整畦体(主作業部)
20 位置方位センサ(センサ)
23、28、33、35 回動伝動アーム(伝動フレーム)
50、60,65、70、75、80、85,90、95 畦塗り機(オフセット作業機)
51、101 作業部
100 溝掘り機(オフセット作業機)
102 溝掘り体(主作業部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレームの先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレームに装着され、前記走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、前記走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、前記走行機体に対する、前記伝動フレームの水平回動と前記作業部支持・伝動フレームの水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部と、
前記走行機体と前記伝動フレームとの間に介装され、伸縮により前記伝動フレームを前記走行機体に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、前記伝動フレームと前記作業部支持・伝動フレームとの間に介装され、伸縮により前記作業部支持・伝動フレームを前記伝動フレームに対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記作業部の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備え、
前記伝動フレームの基端部は前記走行機体の後方に位置する本体フレームの幅方向中央部に水平回動可能に枢支され、この本体フレームの幅方向両側部に2本の平行リンクの基端部が水平回動可能に枢支され、前記伝動フレーム及び前記平行リンクの先端部に水平回動可能に枢支された伝動・後フレームに前記作業部を支持した前記作業部支持・伝動フレームが水平回動可能に枢支されていることを特徴とするオフセット作業機。
【請求項2】
前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心を前記作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載のオフセット作業機。
【請求項3】
前記作業部の位置を制御するための前記水平回動の中心を前記走行機体から所定距離離れた位置に設けたことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項4】
前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心と前記走行機体との距離を変更可能にしたことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項5】
前記作業部は、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項6】
前記作業部は、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項1】
走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動自在に架設された伝動フレームの先端部に水平回動自在に支持された作業部支持・伝動フレームに装着され、前記走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置で、前記走行機体の走行にともなって前進作業し、畦に沿ったまま、前記走行機体に対する、前記伝動フレームの水平回動と前記作業部支持・伝動フレームの水平回動の2通りの動きの自由度を有する作業部と、
前記走行機体と前記伝動フレームとの間に介装され、伸縮により前記伝動フレームを前記走行機体に対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、前記伝動フレームと前記作業部支持・伝動フレームとの間に介装され、伸縮により前記作業部支持・伝動フレームを前記伝動フレームに対して水平回動させる電動シリンダまたは油圧シリンダと、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記作業部の前記2通りの水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その、圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段を備え、
前記伝動フレームの基端部は前記走行機体の後方に位置する本体フレームの幅方向中央部に水平回動可能に枢支され、この本体フレームの幅方向両側部に2本の平行リンクの基端部が水平回動可能に枢支され、前記伝動フレーム及び前記平行リンクの先端部に水平回動可能に枢支された伝動・後フレームに前記作業部を支持した前記作業部支持・伝動フレームが水平回動可能に枢支されていることを特徴とするオフセット作業機。
【請求項2】
前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心を前記作業部の回転中心軸線上、あるいはその近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載のオフセット作業機。
【請求項3】
前記作業部の位置を制御するための前記水平回動の中心を前記走行機体から所定距離離れた位置に設けたことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項4】
前記作業部の方位を制御するための前記水平回動の中心と前記走行機体との距離を変更可能にしたことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項5】
前記作業部は、元畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理体と該前処理体により盛られた土を切り崩された元畦上に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り作業部であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のオフセット作業機。
【請求項6】
前記作業部は、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り作業部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオフセット作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−193878(P2011−193878A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117665(P2011−117665)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【分割の表示】特願2004−52822(P2004−52822)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【分割の表示】特願2004−52822(P2004−52822)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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