説明

オレフィンの重合用の触媒

本発明は、(A)Ti、Mg、ハロゲンを含む固体触媒成分;(B)アルミニウムアルキル化合物;及び(C)式:ROMe(式中、Rは、第3級炭素原子を介して酸素原子に結合しているアルキル基である)のエーテル;を含み、アルミニウムアルキル化合物(B)とエーテル化合物(C)との間のモル比が5〜50の範囲である、エチレン及びそれとオレフィン:CH=CHR(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)のオレフィンとの混合物の重合用の触媒系に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)Ti、Mg、ハロゲン、及び場合によっては電子ドナーを含む固体触媒成分;(b)アルミニウムアルキル化合物;及び(c)外部電子ドナー化合物として特定の種類に属する特定量のエーテルを含む、オレフィン、特にエチレン及びそれとオレフィン:CH=CHR(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)との混合物の重合用の触媒に関する。本発明の触媒は、狭い分子量分布(MWD)及び高い活性を有する(コ)ポリマーを製造するためのエチレンの(共)重合プロセスにおいて好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
MWDは、レオロジー挙動、したがって処理性、及び最終的な機械特性の両方に影響を与える点でエチレンポリマーの重要な特性である。特に、狭いMWDを有するポリマーは、製造物品における変形及び収縮の問題が最小になる点でフィルム及び射出成形のために好適である。エチレンポリマーに関する分子量分布の幅は、一般に、21.6kgの負荷によって測定されるメルトインデックス(メルトインデックスF)と2.16kgの負荷を用いて測定されるもの(メルトインデックスE)との間の比であるメルトフロー比:F/Eとして表される。メルトインデックスの測定は、ASTM−D1238にしたがって190℃において行う。狭いMWDを有するエチレン(コ)ポリマーの製造用の触媒が、ヨーロッパ特許出願EP−A−373999に記載されている。この触媒は、塩化マグネシウム上に担持されているチタン化合物から構成される固体触媒成分、アルキル−Al化合物、及び式:R’OR”のモノエーテルから選択される電子ドナー化合物(外部ドナー)を含む。狭いMWDの観点での良好な結果は、固体成分が内部電子ドナー化合物(ジイソブチルフタレート)も含む場合にのみ得られる。触媒活性は満足できるものではない。この後者の特性は、製造プラントの競争力を確実にするものであるので、プラントの運転において非常に重要である。したがって、触媒が狭い分子量分布を有するポリマーを高収率で製造することができるようにすることが非常に望ましい。
【0003】
EP−1169360においては、重合媒体における静電荷を減少させることのできる薬剤としてエーテルを用いる、チーグラー・ナッタ触媒の存在下でのエチレンとヘキセン−1との共重合が開示されている。tert−ブチルメチルエーテルがかかる用途のために開示されているエーテルの1つであり、これは約3のアルミニウムアルキル/エーテルのモル比を有するようにアルミニウムアルキル化合物(b)に対して比較的高い量で用いる。静電荷を減少させる期待は別にして、重合特性及びポリマーの品質に関する情報は与えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願EP−A−373999
【特許文献2】EP−1169360
【発明の概要】
【0005】
ここで、本出願人は、(A)Ti、Mg、ハロゲンを含む固体触媒成分;(B)アルミニウムアルキル化合物;及び(C)式:ROMe(式中、Rは、第3級炭素原子を介して酸素原子に結合しているアルキル基である)のエーテル;を含み、アルミニウムアルキル化合物(B)とエーテル化合物(C)との間のモル比が5〜50の範囲である、エチレンの(共)重合用の新規な触媒系を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
エーテル化合物(C)の好ましい下位群は、Rが式:−C(CH−CH(R2)(R3)(式中、R2及びR3は、水素又はC〜C炭化水素基である)のアルキルであるものである。好ましい化合物は、メチル−tert−ブチルエーテル及びメチル−テキシルエーテルである。上記で言及したように、エーテル化合物(C)は、5〜50、好ましくは5〜40、より好ましくは5〜25の範囲の(B)/(C)のモル比を与えるような量で用いる。本出願人は、特定のエーテル及びアルミニウムアルキル化合物(B)に対するそれらの量を選択することによって、ポリマー特性(分子量分布を狭くすること)と許容しうるレベルの触媒活性の保持との間の優れたバランスを与えることができることを見出した。
【0007】
好ましい形態においては、触媒成分は、好ましくは二塩化マグネシウム、より好ましくは活性形態の二塩化マグネシウムである塩化マグネシウム上に担持されている、少なくとも1つのTi−ハロゲン結合を有するTi化合物を含む。本明細書の文脈においては、塩化マグネシウムという用語は少なくとも1つの塩化マグネシウム結合を有するマグネシウム化合物を意味する。触媒成分はまた、ハロゲンとは異なる群を、いかなる場合においてもチタン1モルに対して0.5モルより低く、好ましくは0.3モルより低い量で含んでいてもよい。
【0008】
上記の特徴に加えて、本発明の触媒は、好ましくは0.3cm/gより高く、より好ましくは0.5cm/gより高く、通常は0.5〜0.8cm/gの範囲の水銀法によって測定される多孔度Pを示す。全多孔度Pは、0.50〜1.50cm/gの範囲、特に0.60〜1.2cm/gの範囲であってよく、差(P−P)は、0.1より大きく、好ましくは0.15〜0.50の範囲であってよい。
【0009】
BET法によって測定される表面積は、好ましくは80m/gより低く、特に10〜70m/gの範囲である。BET法によって測定される多孔度は、一般に0.1〜0.5cm/g、好ましくは0.1〜0.4cm/gの範囲である。
【0010】
本発明の触媒成分においては、1μm以下の孔による多孔度に関する平均孔半径値は、通常は600〜1200Åの範囲である。
固体成分の粒子は、実質的に球状の形態、及び5〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜90μmの範囲の平均直径を有する。実質的に球状の形態を有する粒子としては、より大きな軸とより小さな軸との間の比が1.5以下、好ましくは1.3より低いものを意図する。
【0011】
活性形態の二塩化マグネシウムは、非活性塩化物(2.56Åの間隔の格子)のスペクトルにおいて現れる最も強度の高い回折線が強度低下して、2.95Åの格子距離(d)において降下する反射線と完全か又は部分的に結合するようになる程度に広がるX線スペクトルによって特徴づけられる。結合が完全である場合には、生成する単一の幅広いピークは、最も強度の高い線のものよりも低い角度に向かってシフトする強度の最大値を有する。
【0012】
本発明の固体成分には、原則として、例えばエーテル、エステル、アミン、及びケトンの中から選択される電子ドナー化合物(内部ドナー)を含ませることができる。しかしながら、3より低く、好ましくは1より低く、より好ましくは0.3より低いED/Ti比を与えるような量の電子ドナー化合物しか含まないことが、本発明に関して特に有利であることが見出された。最も好ましくは、固体触媒成分はいかなる量の上記で言及した電子ドナー化合物も含まない。
【0013】
電子ドナー化合物は、一般に1:4〜1:20の範囲のマグネシウムに対するモル比で存在する。
好ましいチタン化合物は、式:Ti(ORIIy−n(式中、nは0〜0.5(端値を含む)の範囲の数であり、yはチタンの価数であり、RIIは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であり、Xはハロゲンである)を有する。特に、RIIは、エチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、及びフェニル、(ベンジル)であってよく;Xは好ましくは塩素である。TiClが特に好ましい。
【0014】
yが4である場合には、nは好ましくは0〜0.02で変動し;yが3である場合には、nは好ましくは0〜0.015で変動する。
上記で言及した球状成分を製造するために好適な方法は、化合物:MgCl・mRIIIOH(式中、0.3≦m≦1.7であり、RIIIは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)を式:Ti(ORIIy−n(式中、n、y、X、及びRIIは、上記で定義したものと同じ意味を有する)のチタン化合物と反応させる第1工程(a)を含む。
【0015】
この場合においては、MgCl・mRIIIOHはMg二ハロゲン化物の前駆体を表す。これらの種類の化合物は、一般に、アルコール及び塩化マグネシウムを、付加体の溶融温度(100〜130℃)において撹拌条件下で運転して、付加体と非混和性の不活性炭化水素の存在下で混合することによって得ることができる。次に、エマルジョンを速やかにクエンチして、それによって球状粒子の形態の付加体の固化を引き起こす。これらの球状付加体を製造するための代表的な方法は、例えばUSP4,469,648、USP4,399,054、及びWO98/44009において報告されている。球状化のための他の使用可能な方法は、例えばUSP5,100,849及び4,829,034に記載されている噴霧冷却である。所望の最終アルコール含量を有する付加体は、付加体の製造中に直接選択量のアルコールを直接用いることによって得ることができる。しかしながら、増加した多孔度を有する付加体を得る場合には、まず1モルのMgClあたり1.7モルより多いアルコールを用いて付加体を製造し、次にこれらを熱的及び/又は化学的脱アルコール化プロセスにかけることが好都合である。熱的脱アルコール化プロセスは、窒素流中、50〜150℃の範囲の温度において、アルコール含量が0.3〜1.7の範囲の値に減少するまで行う。このタイプのプロセスはEP395083に記載されている。
【0016】
一般に、これらの脱アルコール化された付加体は、0.15〜2.5cm/g、好ましくは0.25〜1.5cm/gの範囲の、0.1μm以下の半径を有する孔による多孔度(水銀法によって測定)によっても特徴づけられる。
【0017】
工程(a)の反応においては、Ti/Mgのモル比は化学量論量か又はこれよりも高く、好ましくは、この比は3より高い。更により好ましくは、大過剰のチタン化合物を用いる。好ましいチタン化合物は、四ハロゲン化チタン、特にTiClである。Ti化合物との反応は、付加体を冷TiCl(一般に0℃)中に懸濁し、混合物を80〜140℃に加熱し、この温度に0.5〜8時間、好ましくは0.5〜3時間保持することによって行うことができる。過剰のチタン化合物は、高温において濾過又は沈降及び吸い上げによって分離することができる。
【0018】
他の好ましい態様によれば、固体触媒成分(a)は、化合物:MgCl・mRIIOHtHO(式中、0.3≦m≦1.7であり、tは0.01〜0.6であり、RIIは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)を、式:Ti(ORy−n(式中、nは0〜0.5の範囲であり、yはチタンの価数であり、Xはハロゲンであり、Rは上記に与えられた意味を有し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である)のチタン化合物と、式:AlL(式中、Lは、独立して、上記に定義したようなOR基又はハロゲンであってよい)のアルミニウム化合物の存在下で反応させる工程(a)を含む方法によって製造することができる。好ましくは、少なくとも1つのLは塩素であり、より好ましくは2つのLは塩素であり、最も好ましくは全てのLは塩素である。このプロセスによって得られる固体触媒成分は、4の原子価状態の実質的に全てのチタン原子、少なくとも0.30cm/gの、水銀法によって測定され、1μm以下の半径を有する孔による多孔度(P)、及び29より低いCl/Tiのモル比を示す。
【0019】
本発明の触媒成分(B)は、場合によってはハロゲン化されているAl−アルキル化合物から選択される。特に、Al−トリアルキル化合物から選択され、例えばAl−トリメチル、Al−トリエチル、Al−トリ−n−ブチル、Al−トリイソブチルが好ましい。Al/Tiの比は、1より高く、一般に5〜800の範囲である。
【0020】
上記で言及した成分(A)〜(C)は、重合条件下でそれらの活性を生かすことができる反応器中に別々に供給することができる。場合によっては少量のオレフィンの存在下において、上記の成分の予備接触を0.1〜120分間の範囲、好ましくは1〜60分間の範囲の時間行うことが有利である可能性がある。予備接触は、液体希釈剤中、0〜90℃の範囲、好ましくは20〜70℃の範囲の温度において行うことができる。
【0021】
かくして形成される触媒系は、主重合プロセスにおいて直接用いることができ、或いは前もって予備重合することができる。主重合プロセスを気相中で行う場合には、予備重合工程が通常は好ましい。予備重合は、任意のオレフィン:CH=CHR(式中、Rは、H又はC〜C10炭化水素基である)を用いて行うことができる。特に、エチレン、プロピレン、或いは20モル%以下のα−オレフィンを含むこれらと1種類以上のα−オレフィンとの混合物を予備重合して、固体成分1gあたり約0.1g乃至固体触媒成分1gあたり約1000gの量のポリマーを形成することが特に好ましい。予備重合工程は、0〜80℃、好ましくは5〜70℃の温度において、液相又は気相中で行うことができる。予備重合工程は、連続重合プロセスの一部としてインラインで、或いはバッチプロセスで別々に行うことができる。触媒成分1gあたり0.5〜20gの範囲の量のポリマーを製造するために本発明の触媒をプロピレンによってバッチ予備重合することが特に好ましい。予備重合した触媒成分は、主重合工程において用いる前にチタン化合物による更なる処理にかけることもできる。この場合には、TiClを用いることが特に好ましい。Ti化合物との反応は、予備重合した触媒成分を場合によっては液体希釈剤と混合した液体Ti化合物中に懸濁し、混合物を60〜120℃に加熱し、この温度に0.5〜2時間保持することによって行うことができる。
【0022】
本発明の触媒は、液相及び気相プロセスの両方の任意の種類の重合プロセスにおいて用いることができる。小さい粒径(40μm未満)を有する触媒は、不活性媒体中でのスラリー重合に特に適しており、これは連続撹拌タンク反応器又はループ反応器内で行うことができる。より大きな粒径を有する触媒は、気相重合プロセスに特に適しており、これは撹拌床又は流動床気相反応器内で行うことができる。
【0023】
上記に言及したように、本発明の触媒は、30に等しく、好ましくはこれより低いF/E比によって特徴づけられる狭い分子量分布を高い重合活性と組み合わせて有するエチレンポリマーを製造するために特に好適である。
【0024】
上記で言及したエチレンのホモ及びコポリマーに加えて、本発明の触媒は、80%より高いエチレンから誘導される単位のモル含量を有するエチレンと3〜12個の炭素原子を有する1種類以上のα−オレフィンとのコポリマーから構成される極低密度及び超低密度ポリエチレン(VLDPE及びULDPE;0.920g/cmより低く0.880g/cmまでの密度を有する);約30〜70%の間のエチレンから誘導される単位の重量含量を有する、エチレンとプロピレンのエラストマーコポリマー、並びにエチレン及びプロピレンと小割合のジエンのエラストマーターポリマー;を製造するためにも好適である。
【0025】
本発明を非限定的に更に説明するために以下の実施例を与える。
【実施例】
【0026】
特性分析
以下の方法にしたがって特性を測定した。
メルトインデックス:
メルトインデックス(MI)は、ASTM−D1238にしたがって、
2.16kg,MI E=MI2.16
21.6kg,MI F=MI21.6
の負荷にわたって190℃において測定した。
【0027】
次に、F/Eの比=MI F/MI E=MI21.6/MI2.16をメルトフロー比(MFR)として定義した。
窒素による多孔度及び表面積:
BET法にしたがって測定した(用いた装置はCarlo ErbaによるSORPTOMATIC 1900であった)。
【0028】
水銀による多孔度及び表面積:
Carlo Erbaによる「多孔度計2000シリーズ」を用いて測定を行った。
多孔度は、加圧下での水銀の吸収によって測定した。この測定のために、水銀貯留槽及び高真空ポンプ(1×10−2mbar)に接続した較正膨張計(直径3mm)CD3(Carlo Erba)を用いた。秤量量の試料を膨張計内に配置した。次に、装置を高真空(<0.1mmHg)下に配置し、これらの条件中に20分間保持した。次に、膨張計を水銀貯留槽に接続し、水銀を、膨張計の10cmの高さに印を付けたレベルに到達するまでゆっくりとその中に流入させた。膨張計を真空ポンプに接続するバルブを閉止し、次に窒素によって水銀圧を徐々に140kg/cmに上昇させた。圧力の影響下において、水銀が孔に侵入し、材料の多孔度によってレベルが低下した。
【0029】
全多孔度及び1μm以下の孔による多孔度の両方の多孔度(cm/g)、孔分布曲線、及び平均孔径を、水銀の体積減少及び加えた圧力値(これらのデータは全て、C. Erbaによってプログラムされた「MILESTONE 200/2.04」を備えた多孔度計援用コンピュータによって与え、加工した)の関数である積分孔分布曲線から直接算出した。
【0030】
HDPE重合試験に関する一般手順:
70℃においてN流下で脱気した1.5Lのステンレススチールオートクレーブ中に、500mLの無水ヘキサン、報告する量の触媒成分、及び0.17gのトリエチルアルミニウム(TEA)を導入した(或いは0.29gのTIBA)。混合物を撹拌し、75℃に加熱し、その後、3barのH及び7barのエチレンを供給した。重合を2時間続けた。エチレンを供給して圧力を一定に保持した。終了時において、反応器を減圧し、回収されたポリマーを真空下70℃において乾燥した。
【0031】
実施例1及び比較例1
固体成分(A)の製造:
USP4,399,054の実施例2に記載された方法にしたがい、しかしながら10000RPMに代えて2000RPMで運転して、約3モルのアルコールを含む塩化マグネシウムとアルコールの付加体を調製した。25%のアルコールの重量含量に到達するまで、付加体を窒素流下、50〜150℃の温度範囲にわたって熱処理にかけた。
【0032】
窒素でパージした2Lの4口丸底フラスコ中に、1LのTiClを0℃において導入した。次に同じ温度において、上記に記載のようにして調製した25重量%のエタノールを含む70gの球状のMgCl/EtOH付加体を撹拌下で加えた。温度を2時間で140℃に上昇させ、60分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、固体の残渣を、80℃のヘプタンで1回、25℃のヘキサンで5回洗浄し、真空下30℃において乾燥し、分析した。
【0033】
スターラーを取り付けた260cmのガラス反応器中に、20℃において351.5cmのヘキサン、及び撹拌しながら上記で記載のようにして調製した7gの触媒を20℃において導入した。内部温度を一定に保持しながら、ヘキサン中5.6cmのトリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)(約370g/L)を反応器中にゆっくりと導入し、温度を10℃にした。10分間の撹拌後、10gのプロピレンを同じ温度において反応器中に4時間かけて注意深く導入した。反応器中のプロピレンの消費を監視し、触媒1gあたり1gのポリマーの理論重合率に到達したとみなされたら重合を停止した。次に、全内容物を濾過し、20℃の温度のヘキサン(50g/L)で3回洗浄した。乾燥後、得られた予備重合触媒(A)を分析したところ、触媒1gあたり1.1gのポリプロピレンを含んでいることが分かった。
【0034】
予備重合固体触媒成分(A)を、表1に重合結果と一緒に報告するタイプ及び量のケイ素化合物(C)を用いる一般的手順にしたがうエチレンの重合において用いた。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)Ti、Mg、ハロゲンを含む固体触媒成分;(B)アルミニウムアルキル化合物;及び(C)式:ROMe(式中、Rは、第3級炭素原子を介して酸素原子に結合しているアルキル基である)のエーテル;を含み、アルミニウムアルキル化合物(B)とエーテル化合物(C)との間のモル比が5〜50の範囲である、エチレンの(共)重合用の触媒。
【請求項2】
エーテル化合物(C)において、Rが式:−C(CH−CH(R2)(R3)(式中、R2及びR3は水素又はC〜C炭化水素基である)のアルキルである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
エーテル化合物(C)を、5〜25の範囲の(B)/(C)のモル比を与えるような量で用いる、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
0.4cm/gより高い水銀法によって測定される多孔度Pを有する、請求項1に記載の触媒系。
【請求項5】
請求項1に記載の触媒系の存在下でエチレンを重合することによって行う、30以下のF/E比を有するエチレン(コ)ポリマーの製造方法。

【公表番号】特表2010−537027(P2010−537027A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522314(P2010−522314)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060836
【国際公開番号】WO2009/027269
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(506126071)バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (138)
【Fターム(参考)】